光ディスク装置
【課題】
光ディスク装置のサーボ制御において、サーボ追従性能を向上させることである。
【解決手段】
光スポットが追従しているトラックが既記録であるか未記録であるかと、光ディスクに対して情報が記録されているか再生されているかとに応じて、前記サーボエラー信号に対するゲインを設定するゲイン設定部と、
前記ゲインが設定されたサーボエラー信号に基づきサーボアクチュエータを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記ゲイン設定部は、前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、レーザ光の発光パワーを調整するために前記光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際に設定するゲインを変更する。
光ディスク装置のサーボ制御において、サーボ追従性能を向上させることである。
【解決手段】
光スポットが追従しているトラックが既記録であるか未記録であるかと、光ディスクに対して情報が記録されているか再生されているかとに応じて、前記サーボエラー信号に対するゲインを設定するゲイン設定部と、
前記ゲインが設定されたサーボエラー信号に基づきサーボアクチュエータを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記ゲイン設定部は、前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、レーザ光の発光パワーを調整するために前記光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際に設定するゲインを変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報の再生時と比較して、光ディスク装置は、情報の記録時にはレーザ発光パワーを大きくすることで光ディスクに情報を記録する。この結果、情報の記録時にはディテクタの出力信号が大きくなる。特許文献1には、例えば、その段落番号0012に、「TE信号及びFE信号を全光量和で割ることにより、レーザダイオード1からの出射光のパワーが変化してもサーボゲインを一定とする」との記載がある。以下、これをAGC(Automatic Gain Control)と呼ぶ。
【0003】
特許文献2には、例えば、その段落番号0005に、「光ディスク媒体の記録領域と未記録領域で媒体の反射率が変化することによりDPP信号の振幅が記録領域と未記録領域で変化してしまうという問題点がある。」との記載、「AGCを適用することで光ディスク媒体の記録領域と未記録領域で媒体の反射率が変化してもDPP信号の振幅の変動を抑制することができる」との記載がある。
【0004】
更に非特許文献1によれば、光ディスクの一種であるDVD−Rの規格では、未記録部でのAGCによる正規化後のプッシュプル振幅PPb、既記録部でのAGCによる正規化後のプッシュプル振幅PPaを用いて、
【数1】
を定義し、上記PPrの値に関して
【数2】
を満たす必要があると規定されている。
【0005】
また、特許文献3は、例えば、その請求項9に、「前記光ピックアップを記憶済領域で動作させるときは、前記第1調整値記憶手段の調整値をゲイン調整手段に設定し、前記光ピックアップを未記録領域で動作させるときは、前記第2調整値記憶手段の調整値をゲイン調整手段に設定する」が記載されている。
【0006】
また、記録発光時の最適記録パワーを決定する手法として、最適パワー制御(Optimum Power Control;OPC)と呼ばれる技術が知られている。特許文献4によれば、その請求項1に、「特定領域に最適記録パワーを設定するためのテスト記録領域を備えたディスクにおいて、前記テスト記録を行うために特定領域中の一部に基準記録パワーを変更させながらテスト記録を行う過程と、前記特定領域中の残りの領域は同一レベルの基準記録パワーによりテスト記録を行う過程と、前記各テスト記録の結果から最適記録パワーを決定する過程と、を順次行う」最適記録パワー決定方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−52564
【特許文献2】特開2007−328833
【特許文献3】特開2001−266367
【特許文献4】特開2001−216643
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ECMA-359 80 mm (1,46 Gbytes per side) and 120 mm(4,70 Gbytes per side) DVD Recordable Disk (DVD-R) 1st Edition / December 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、光ディスク装置のトラッキングサーボ、フォーカスサーボともに同様の課題を有しているが、ここではトラッキングサーボを例に説明する。また、光ディスクとしてはDVD−Rを例に説明する。
【0010】
前述したように、DVD−Rの既記録部のプッシュプル振幅は、規格(非特許文献1)によって数値PPrの規定がある。本明細書では、上記PPrを既記録部プッシュプル振幅比と呼ぶことにする。
【0011】
プッシュプル振幅が変化するということは、トラッキングサーボのゲインが変化することを意味する。(数2)の規定に基づけば、AGCを用いてトラッキングサーボを実施する場合、未記録部でのトラッキングサーボのゲインに対して、既記録部でのトラッキングサーボのゲインは−6dB〜0dBの範囲で低下することを示している。ここで0.5倍は約−6.02dBであるが、本明細書では簡単のため整数値に丸めた値、−6dBとして以下、説明する。
【0012】
従って、DVD−Rの情報再生時のトラッキングサーボとしては、規格に規定のあるAGCで正規化したプッシュプル信号を用いてトラッキングサーボを実施し、トラッキングサーボのゲインが−6dB〜0dBの範囲で変動することを想定してサーボ特性を設計すればよい。このように規格の規定に基づきトラッキングサーボを設計することで、未記録部であっても既記録部であっても、安定したトラック追従性能を達成することができる。
【0013】
もしくは、特許文献3のように、現在追従しているトラックが未記録状態か既記録状態であるかに同期してゲインを切り替えることで、未記録部と既記録部のゲイン差をなくし、より追従性能を上げることも可能である。
【0014】
しかし、DVD−Rの規格によって規定されているのは最適記録パワーで記録された既記録部のプッシュプル振幅である。従って、特許文献4に記載されているOPCを考えたとき、記録パワーを変化させて記録した既記録部が存在するOPC領域に関してはプッシュプル振幅の規定がなされていない。そのため、最適パワーで記録した既記録部と比較してOPC領域においてプッシュプル振幅が変化する記録膜特性を有する光ディスクが存在すること、及び上記光ディスクに関して従来技術での解決には課題があることを本発明者は見出した。
【0015】
以下、まずはDVD−Rのように規格によって既記録部プッシュプル振幅比が規定されている媒体を例に、詳細に説明する。
【0016】
図14は、記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部での既記録部プッシュプル振幅比の関係を模式的に示したものである。横軸は記録パワーであり、変数Pwで表す。図中のP0は最適記録パワーを示している。またPlowはOPC時に実際に発光するパワーの最低パワー、PhighはOPC時に実際に発光するパワーの最高パワーを示している。
【0017】
また、図14の縦軸は既記録部プッシュプル振幅比PPrをデシベル(dB)表記で示したものであり、Pcは規格上のPPr範囲の中心値を示し、Sは規格上のPPr範囲を示している。例えばDVD−Rの場合、規格上のPPrの範囲は(数2)から0dB〜−6dBであるので、Pc=−3dBとなる。また、Rで示した範囲は、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲を示している。ここでは簡単のため、トラッキングサーボのゲインが増加した場合の許容限界のみを示している(ゲインが減少した場合の許容限界は図示していない)。
【0018】
図14(a)は光ディスクにおける、記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部での既記録部プッシュプル振幅比PPrの関係の一例である。記録パワーPw=P0での既記録部プッシュプル振幅比PPr(図中の黒丸)は規格上のPPr範囲の中心値Pcと一致し、OPC領域でのトラッキングサーボのゲイン変動幅はトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rの範囲内に収まっている。このような記録膜の特性であれば、従来の技術でも問題は起こらない。
【0019】
しかしながら、記録膜の特性によっては、図14(b)Bで示すような記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部での既記録部プッシュプル振幅比PPrの関係を持つ光ディスクが存在する。
【0020】
図14(b)Bにおいて、記録パワーPw=P0でのPPr(図中の黒丸)は規格上のPPr範囲に収まっているが、中心値Rcとは一致していないため、記録パワーPwが最適記録パワーP0から離れると、PPrはトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超える。図14(b)の場合は、高パワーで記録した領域において、トラッキングサーボのゲインが許容範囲Rを超えて高くなる。
【0021】
従来技術の特許文献3のように最適記録パワーでの既記録部でのゲインを未記録部に合わせると、図14(b)B’となる。また、この図の場合は最適記録パワーP0でのPPrは規格上のPPr範囲に収まっているが、中心値Rcと一致していないため不利であった点に着目し、最適記録パワーP0でのPPrを中心値Rcにあわせると、図14(b)B’’となる。
【0022】
図14(b)B’は更なる性能劣化を招き、他方で図14(b)B’’の場合には高パワーで記録した領域におけるトラッキングサーボのゲインは改善するものの、図14(b)のように直線の傾きが大きい場合には、いずれの場合もPPrがトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超えてしまう。
【0023】
このように、最適記録パワーP0での既記録部でのゲイン増加量はトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rに収まっている場合であっても、記録パワーが最適値でない状態で記録されたOPC領域におけるゲインは、許容範囲Rに収まらなくなる可能性があるという課題があった。
【0024】
以上、DVD−Rのプッシュプル振幅を例に、規格に既記録部プッシュプル振幅比についての規定がある場合を例に説明した。しかし既記録部でのプッシュプル振幅に関して、既記録部プッシュプル振幅比についての規定がない媒体も考えられる。また、DVD−Rの規格であっても、既記録部でのフォーカスエラー振幅についての規定はなく、同様の課題がある。
【0025】
このような場合には例えば、未記録部のサーボエラー信号振幅と既記録部のサーボエラー信号振幅とで、変化が小さくて済むのはAGCによる正規化を実施する場合か、AGCによる正規化を実施しない場合か、を実際の光ディスクを用いて調査し、判断する。
【0026】
このようにAGCで正規化したサーボエラー信号(トラッキングエラー信号、もしくはフォーカスエラー信号)が規格で規定されていない媒体であっても、図14(b)のような特性の記録膜の媒体に対してAGCを用いてサーボをかける場合には、同様にサーボのゲイン変動に対する許容範囲を超えてゲインが変動してしまうという課題があった。
【0027】
本発明の目的は、光ディスク装置のサーボ性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の目的は、例えば、特許請求の範囲に記載の構成により達成される。その一例としては、レーザ光の発光パワーを調整するために光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際に、ゲイン切り替え手段が、光スポットが追従しているトラックが記録済であり、かつ光ディスクから情報が再生されている場合に、選択するゲイン値を変更することで達成できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、光ディスク装置のサーボ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1を示すブロック図である。
【図2】実施例1のFES振幅補正回路を示す構成図である。
【図3】実施例1のトラッキング系ゲイン変更回路を示す構成図である。
【図4】実施例1のシーク動作実施時のフローチャートである。
【図5】実施例1を説明する特性図である。
【図6】実施例1のOPCのフローチャートである。
【図7】実施例1を説明する波形図である。
【図8】実施例1のトラッキングサーボ特性である。
【図9】実施例2を示すブロック図である。
【図10】実施例2のトラッキング系ゲイン変更回路を示す構成図である。
【図11】実施例2のシーク動作実施時のフローチャートである。
【図12(a)】実施例2のリトライ配列である。
【図12(b)】実施例2のリトライ配列である。
【図13】実施例2を説明する特性図である。
【図14】解決しようとする課題を説明する特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【0032】
本発明はトラッキング制御、フォーカス制御共に適用可能であるが、ここではトラッキング制御を例に説明を行う。
【実施例1】
【0033】
本発明における実施例1について、以下に説明する。
【0034】
図1は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0035】
光ディスク101は、光ディスク装置の各種の信号処理を行う信号処理回路103に搭載されたシステム制御回路1031からの指令信号を受けたスピンドル制御回路1038から出力される制御信号に基づいてスピンドルモータ駆動回路111によりスピンドルモータ104が駆動され、所定の回転数で回転される。
【0036】
レーザ光源1022は、システム制御回路1031からピックアップ102に搭載されたレーザパワー制御回路1021への指示信号により所定のパワーでレーザ光を発光する。レーザ光源1022から発光されたレーザ光は、コリメートレンズ1023、ビームスプリッタ1024、立上ミラー1025、対物レンズ1027を通して光ディスク101の情報記録面に光スポットとして集光される。光ディスク101の情報記録面で反射した光はビームスプリッタ1024で分岐され、集光レンズ1028で光検出器1029に集光される。光検出器1029は、集光された光を電気信号に変換し、サーボエラー信号生成回路105、総和信号生成回路106、記録状態判別回路107に出力する。
【0037】
サーボエラー信号生成回路105は、後述するフォーカス制御に使用するためのフォーカスエラー信号FES、及び、後述するトラッキング制御に使用するためのトラッキングエラー信号TESを生成して出力する。本実施例においては、TES信号はプッシュプル法で生成されるものとする。
【0038】
また総和信号生成回路106は、光検出器1029で集光した全光量に比例した電圧をSUM信号として出力する。また、再生信号処理回路107は、光ディスク101から読み出した情報(現在のアドレス情報、光ディスク101に記録されているメディアIDを含む)をシステム制御回路1031に出力する。なお、SUM信号は、プルインエラー信号、総光量信号と言い換えても良い。
【0039】
また記録状態判別回路108は、再生信号処理回路107から出力される信号を元に、BLANK信号を出力する。BLANK信号とは、現在レーザ光が集光されている記録面上のトラックが未記録状態であるか既記録状態であるかを示す信号とする。BLANK信号は一例として、再生信号処理回路107から出力されるRF信号の振幅が所定の値を超えていれば既記録部と判別することで生成できる。BLANK信号は未記録状態の時にHighレベルとなり、既記録状態の時にLowレベルとなる信号であるとする。このように、例えば、記録状態判別回路108が、信号処理回路103に対して、光ディスクが記録状態か未記録状態を報告する手段として機能する。
【0040】
FES振幅補正回路1032は、サーボエラー信号生成回路105から出力されるフォーカスエラー信号FESの信号振幅を補正し、補正された補正フォーカスエラー信号NFESをフォーカス制御回路1033に出力する。また、FES振幅補正回路1032による補正は、光量信号生成回路106から出力される総和信号SUMに基づいて行う。
【0041】
フォーカス制御回路1033は、システム制御回路1031の指示により、補正フォーカス誤差信号NFESに基づいてフォーカス駆動信号FODを出力する。
【0042】
アクチュエータ駆動回路109は、フォーカス駆動信号FODに従って対物レンズ1027と一体で動作するように構成されたアクチュエータ1026をディスク面に垂直な方向に駆動する。上記したようにフォーカス制御回路1033及びアクチュエータ駆動回路109が動作することで、光ディスク101に照射された光スポットが常に光ディスク101の情報記録面で合焦するようにフォーカス制御が行われる。
【0043】
フォーカス制御が動作して、光スポットがディスク1の情報記録面で合焦すると、サーボエラー信号生成回路105は、光スポットと情報記録面上のトラックとの位置のずれを示すトラッキングエラー信号TESを出力する。トラッキングエラー信号TESはトラッキング系ゲイン変更回路1034に入力される。トラッキング系ゲイン変更回路1034は、システム制御回路1031の指示により総和信号SUM、及び記録状態判別回路107の出力するBLANK信号、後述するRDWR信号に基づいて信号振幅を補正し、補正された補正トラッキングエラー信号CTESを出力する。補正トラッキングエラー信号CTESは、トラッキング制御回路1035に出力される。
【0044】
トラッキング制御回路1035は、システム制御回路1031からの指令信号により補正トラッキング誤差信号CTESに基づいて光ディスク101に照射された光スポットが情報記録面上のトラックを追従するように対物レンズ1027をディスク半径方向に駆動するための信号を出力する。トラッキング制御回路1035から出力された信号は、スイッチ1036bを介してアクチュエータ駆動回路109にトラッキング駆動信号TRDとして入力される。なお、トラッキング系ゲイン変更回路1034、及びトラッキング制御回路1035とで、入力されるトラッキングサーボ信号に対して所定のゲインを設定して出力する駆動信号生成部として機能する。また、例えば、トラッキング系ゲイン変更回路1034と、システム制御回路1031とで、ゲインを設定するゲイン設定部として機能する。
【0045】
アクチュエータ駆動回路109ではトラッキング駆動信号TRDに従ってアクチュエータ1026を駆動することで対物レンズ1027がディスク半径方向に駆動され、光スポットが情報記録面上のトラックを追従する。
【0046】
また、スライダ制御回路1037は、システム制御回路1031からの指令信号を受けると、トラッキングアクチュエータ駆動信号TRDの平均値に基づいてスライダモータ111を駆動するスライダ駆動信号を出力する。このスライダ駆動信号に従ってスライダモータ駆動回路109がスライダモータ112を駆動することにより、トラックを追従し続けた場合であっても対物レンズ1027が常に中立位置近傍で動作するように光ピックアップ102がディスク半径方向に移送される。
【0047】
更に、光ディスク101上の半径の異なる位置へ光ピックアップ102を駆動するシーク動作においては、システム制御回路1031からのシーク動作の指示を受けてスライダ駆動回路1037がスライダ駆動信号を出力し、このスライダ駆動信号に従ってスライダモータ駆動回路109がスライダモータ111を駆動することでシーク動作を行う。
【0048】
更にシステム制御回路1031から指令を受けた動作状態信号生成回路1039は、光ディスク装置の動作状態を表すRDWR信号を出力する。ここでRDWR信号は、情報の記録中にHighとなり、それ以外はLowとなる信号とする。従って、情報の再生中に出力されるRDWR信号は、Lowの値となる。
【0049】
次に、かかる光ディスク装置におけるFES振幅補正回路1032の構成について、図2を用いて説明する。
【0050】
FES振幅補正回路1032は除算器201からなり、除算器201はFES信号とSUM信号を入力として、
【数3】
で表される電圧をNFES信号として出力する。
【0051】
次に、かかる光ディスク装置におけるトラッキング系ゲイン変更回路1034の構成について、図3を用いて説明する。
【0052】
符号301は除算器であり、TES信号とSUM信号を入力として、
【数4】
で表される電圧をNTES信号として出力する。
【0053】
符号302は可変ゲインであり、NTES信号の振幅をシステム制御回路1031の指示に基づき増幅、もしくは減衰する。
【0054】
符号303は第一のセレクタであり、BLANK信号の電圧レベルに応じてNTES信号と可変ゲイン302の出力信号のいずれかを選択して出力する。本実施例においては、第一のセレクタ303は、BLANK信号がHighレベルの時に、つまり、未記録領域ないし未記録トラックにアクセスされている場合に、図3におけるaの端子が選択されてNTES信号を出力する。また、第一のセレクタ303は、BLANK信号がLowレベルの時、つまり既記録領域ないし既記録トラックにアクセスされている場合に、図3におけるbの端子が選択されて可変ゲイン302の出力信号を出力するものとする。
【0055】
符号304は第二のセレクタであり、システム制御回路1031の出力するRDWR信号に基づいて第一のセレクタ303の出力信号と、NTES信号のいずれかを選択してCTES信号として出力する。本実施例においては、第二のセレクタ304は、RDWR信号がLowレベルの時、例えば情報の再生中に、図3におけるcの端子が選択されて第一のセレクタ303の出力信号を出力する。また、第二のセレクタ304は、RDWR信号がHighレベルの時、例えば情報の記録中には、図3におけるdの端子が選択されてNTES信号を出力するものとする。
【0056】
かかるトラッキング系ゲイン変更回路1034の構成によれば、記録パワーでの発光中や、再生パワーで未記録部を追従している際は可変ゲイン302によるゲイン変更はされず、再生パワーで既記録部を追従している条件において可変ゲイン302によるゲイン変更が有効になる。
【0057】
次に、本実施例におけるシステム制御回路1031のシーク動作時の動作について説明する。図4はシーク動作実施時のシステム制御回路1031のフローチャートである。
【0058】
シーク動作を開始すると(ステップS401)、システム制御回路1031はトラッキングサーボをオフする(ステップS402)。続いて、システム制御回路1031は、スライダ駆動の要否を判断する(ステップS403)。スライダ移動の必要があると判断した場合は(ステップS403でYesの場合)、システム制御回路1031は、スライダ移動を実施させる(ステップS404)。続いて、システム制御回路1031は、シークの目標アドレスがOPC領域の範囲内であるかを判断する(ステップS405)。また、スライダ移動の必要がないと判断した場合は(ステップS403でNoの場合)、システム制御回路1031は、シークの目標アドレスがOPC領域の範囲内であるかを判断する(ステップS405)。なお、OPC領域とは、レーザ光の記録発光パワーの調整に用いる領域であるが、試し書き領域、PCA領域と言い換えても良い。
【0059】
S405において、目標アドレスがOPC領域の範囲内でなかった場合(ステップS405でNoの場合)、システム制御回路1031は、可変ゲイン302の値を初期値に変更する(ステップS406)。次に、システム制御回路1031は、トラック引き込みを実施する(ステップS408)。本実施例においては、可変ゲイン302の初期値=0dBとする。
【0060】
S405において、目標アドレスがOPC領域の範囲内である場合(ステップS405でYesの場合)、システム制御回路1031は、光ディスク101に記録されているメディアIDに基づき可変ゲイン302に設定する値を決定して、可変ゲイン302の値を変更する(ステップS407)。このとき、ゲインの変更量をΔGとし、本実施例においてΔGは負の値とする。ステップS407の後、トラック引き込みを実施する(ステップS408)。
【0061】
続いて、システム制御回路1031は、再生信号処理回路107の出力信号から現在のアドレス情報を取得し(ステップS409)、現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内であるかどうかを判断する(ステップS410)。
【0062】
現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内でなければ(ステップS410でNoの場合)、システム制御回路1031は、トラックジャンプを実施し(ステップS411)、ステップS410に戻る。現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内であれば(ステップS410でYesの場合)、シーク動作を終了する(ステップS412)。
【0063】
以上述べたように、本実施例の光ディスク装置は、S407に示されるように、OPC領域にシークを行う場合に、可変ゲイン302の設定値が変更されるものである。また、図3について述べたように、ゲインの値は、光ディスク装置が記録中か再生中、サーボをかけているトラックが未記録か既記録かに応じて設定されるものである。
【0064】
次に、本実施例の光ディスク装置が、サーボ特性をどのように改善するかについて、OPC処理についての説明を含めて記載する。また、以下の例では、DVD−Rを例に説明する。
【0065】
図5(a)は、DVD−Rにおける、記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部でのトラッキングサーボのゲインの関係の一例を示す図である。以下の説明では、図5(a)の直線Lに示す特性の記録膜を有するDVD−Rに基づいて説明する。横軸は記録パワーであり、図中のP0は最適記録パワーを示している。またPlowはOPC時に実際に発光するパワーの最低パワー、PhighはOPC時に実際に発光するパワーの最高パワーを示している。
【0066】
また、図5(a)の縦軸は、上記記録パワーで記録された既記録部を再生した場合のトラッキングサーボのゲインを、未記録部を基準としてデシベル表記(dB)で示したものである。Pcは規格上のPPr範囲の中心値である−3dBであり、Sは規格上のPPr範囲(0dB〜−6dB)を示している。また、Rで示した範囲は、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲を示している。
【0067】
図5(a)からわかるように、記録パワーPw=Phighで記録された既記録部において既記録部でのトラッキングサーボのゲインは、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超えている(図中のA点)。
【0068】
ここで、光ディスクの記録膜特性とトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲が図5(a)に示した関係にある光ディスク装置に関して、OPCを実施する場合について説明する。
【0069】
図6のフローチャートを用いて、OPCについて説明する。OPCにおいては、光ディスク装置は、まずOPCでテスト記録すべきアドレスへシークしする(ステップS601)。次に、光ディスク装置は、レーザパワーを変えてテスト記録を行う(ステップS602)。本実施例においては、記録パワーを低パワーから高パワーに、5段階に変化させてテスト記録するものとし、5段階の記録パワーは、図5(a)において白丸で示した5つの点に相当するものとする。
【0070】
続いて、光ディスク装置は、ステップS602にテスト記録した領域へシークし(ステップS603)、記録品質チェックを行い(ステップS604)、最終的に最適記録パワーを決定する(ステップS605)。
【0071】
このうち、ステップS601やステップS603において、OPC領域へのシーク動作が行われるが、そのシーク動作中及びステップS604の記録品質チェック中に、以前のOPCにてテスト記録された既記録部をフォローイングにて通過することになる。
【0072】
次に、図7を用いて、上記したフォローイング処理において取得される光ディスク装置内の各部の信号波形について説明する。
【0073】
図7(a)はSUM信号であり、(b)はプッシュプル法で生成されたTES信号である。また、VrefはTES信号の基準レベルを示す。図7においてt1≦t≦t2の期間に通過した領域A1は、図5のPlowの記録パワーでテスト記録した領域である。また、図7中、t3≦t≦t4の期間に通過した領域A2は、図5のP0の記録パワーでテスト記録した領域である。また、図7中、t5≦t≦t6の期間に通過した領域A3は、図5のPhighの記録パワーでテスト記録した領域を示している。
【0074】
図7(b)では、高パワーで記録した領域において、TE信号が発振する波形となっている。このような波形となる理由について、次に説明する。
【0075】
図8は、図5で例示した光ディスクにおけるトラッキングサーボ特性を示す図である。図中、(a)はゲイン、(b)は位相の特性を示している。図8(a)において、Glowは記録パワーPlowで記録した領域A1でのゲイン特性、G0は最適記録パワーP0で記録した領域A2でのゲイン特性、Ghighは記録パワーPhighで記録した領域A3でのゲイン特性である。このように、図5で示した記録膜の特性の場合には、高パワーで記録された既記録部ほどトラッキングサーボ特性のゲインが増加する。なお、位相特性は領域A1、A2、A3で変化せず、同一の特性となる。
【0076】
図8における周波数fz1、fz2は位相が−180°となる周波数であり、周波数fz2においてGhighのゲインが0dBに近い値となっている。このような状態はゲイン余裕が低く、サーボ系が不安定になりやすい。サーボ系が不安定となった結果、fz2の周波数の外乱成分がトラッキングサーボ系に入力されると、図7(b)に示したようにサーボ系が発振してしまう。サーボ系が発振すると、最悪の場合はサーボが外れて、シーク動作が失敗する。
【0077】
また、サーボ系としての安定性が保たれていて発振には至らない状態であっても、サーボ系に加わるfz2の周波数の外乱成分のレベルが大きいと、fz2の周波数成分に対する追従性能が劣化しているため追従誤差が大きくなり、隣接トラックに移動してしまう現象が起こる。この結果、シークを繰り返しても目標アドレス(OPC実施予定アドレスもしくはOPC実施済みアドレス)に到達できない状態に陥り、最終的にはシーク動作が失敗する。
【0078】
このように、以前のOPCにてテスト記録された既記録部をフォローイングにて通過する際に安定性が劣化し、発振や追従性能劣化が原因で、目標アドレス(OPC実施予定アドレスもしくはOPC実施済みアドレス)に到達できないという現象が起こりうる。そのため、OPC領域へのシークやOPC領域の既記録部のフォローイングさえ成功すればOPCが正常に終了する記録膜を有する光ディスクであっても、目標アドレスに到達できないがためにOPCが失敗し、情報の記録ができない状態に陥る。以下では、この問題をOPC領域でのサーボ安定性劣化と呼ぶ。
【0079】
以上を鑑み、本明細書における「トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲R」は、トラッキングサーボ系が安定条件を満たすためのゲイン変動に対する許容範囲ではなく、サーボ系に加わる外乱成分のレベルが大きく隣接トラックに移動してしまう現象をも回避するための、ゲイン変動に対する許容範囲とする。
【0080】
ここで、実際に隣接トラックに移動してしまうかどうかは、入力される外乱成分の周波数におけるサーボ系の安定性と、外乱成分の振幅レベルで決まる。光ディスクの規格においては、光ディスクの追従対象であるトラックの変位(外乱)について、トラックの変位の最大振幅レベルが周波数に応じて規定されている。即ち「トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲R」は、光ディスクの規格で規定されているトラックの変位の最大振幅レベルに基づき決定され、外乱成分の周波数によって範囲が変動する。
【0081】
従来は、このようなOPC領域でのサーボ安定性劣化を起こさないように、サーボ特性を最適化してトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを広くすることで、OPC領域でのサーボ安定性劣化を回避していた。しかし、今後、光ディスク装置に対しては、更なる薄型化、軽量化が求められると予想されている。そして、薄型化や軽量化を図ると、図8(a)においてRで示した副共振と呼ばれるゲインのピークは一般に、レベルが大きくなり、またその周波数が低周波数側へ移動する傾向を発明者は経験的に得ている。この結果、薄型化、軽量化を図った光ディスク装置では、サーボゲインが増加した場合の安定度が従来以上に低下する。
【0082】
また、今後は、更なる高倍速化も要求されている。高倍速に対応するためには、サーボ帯域をより高帯域化する必要があり、その結果としてサーボゲインが増加した場合の安定度が従来以上に低下する。
【0083】
以上の理由により、薄型化や軽量化、もしくは高倍速化を図った光ディスク装置においては、OPC領域でのサーボ安定性劣化を回避することがより困難になる。そのため、OPC領域でのサーボ安定性劣化を解決する発明が望まれていた。従って従来技術では、特に薄型化、軽量化を図った光ディスク装置において、図7のようなOPC領域でのサーボ安定性劣化に対応できず、OPC領域においてサーボ安定性が劣化するという課題があった。
【0084】
また、本実施例において、図5で示したトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rは、サーボゲインが低下する場合と比較して増加した場合の方が、サーボが不安定になりやすいことを示している。これは上述したような薄型化、軽量化、もしくは高倍速化を図った光ディスク装置を想定している。
【0085】
一方、本実施例の光ディスク装置は、図4で示したシーク動作時のフローチャートに従い、可変ゲイン302の値がΔGだけ変化させる。可変ゲイン302によるゲイン変更が有効になるのは再生パワーで既記録部を追従している場合であり、ΔGは負であることから、記録パワーと該記録パワーで記録された既記録部でのプッシュプル振幅の関係は、図5(b)の直線L’になる。
【0086】
この図5(b)からわかるように、OPC領域での既記録部でのトラッキングサーボのゲインは、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超えなくなる。この結果、図7のようなOPC領域再生時のサーボ安定性劣化を回避できる。
【0087】
なお、本実施例では記録パワーでの発光中はΔGのゲイン変更を無効とする構成とした。以下、本実施例のように記録パワーでの発光中にゲイン変更を無効とせずに、OPC領域へのシークで単純にサーボゲインを変更してしまう場合の問題点について説明する。
【0088】
例えば、図6で示したOPCのフローチャート中、ステップS601のOPC領域へシークでトラッキングサーボのゲインを変更してしまうと、シークが成功した後、ステップS602の記録時にもゲインが変化してしまう。
【0089】
しかし、本光ディスク装置の処理を実行する場合に問題となるのは、あくまで記録パワーが最適でない状態で記録された既記録部を、情報を再生する際に用いるレーザ発光パワーで通過した際のサーボゲインの変動である。仮に記録発光中にまで、サーボゲインを変更してOPCを実施してしまうと、記録発光中のサーボ残留誤差が変化し、その影響で記録品質も変わってしまう。そのため、最適な記録品質の評価ではなくなり、OPCの精度が劣化して最適記録パワーが求まらないという問題がある。従って、本光ディスク装置は、OPC実施中の記録発光時には未記録状態のトラックに対してレーザパワーを上げて情報の記録を行うのであり、サーボゲインは変更せずに、実際の記録発光と同一のサーボゲインで行う。
【0090】
なお、シークのリトライで変更したサーボゲインを、シーク成功をもって元に戻せばOPC精度の問題は回避できるが、ステップS604にて記録品質をチェックするためにOPCでテスト記録した領域を再生する際に、再度サーボが外れてしまうという問題点がある 。
【0091】
以上の理由から、OPC領域再生時のサーボ安定性劣化を解決するのに最適な構成は、記録パワーでの発光中や、再生パワーで未記録部を追従している際にはゲイン変更はされず、再生パワーで既記録部を追従している条件においてゲイン変更が有効になる構成であり、その一例が本実施例のトラッキング系ゲイン変更回路1034である。
【0092】
以上の動作により、実施例1による光ディスク装置は、OPC領域におけるサーボ追従性能を向上することができる。また、実施例1の光ディスク装置によると、記録パワーが最適でない状態で記録された既記録部を、情報を再生する際に用いるレーザ発光パワーで通過した際のサーボゲインの変動を抑制し、サーボ性能を向上することが可能となる。また、実施例1の光ディスク装置によると、サーボ性能を維持しつつ、装置の薄型化、軽量化を図ることが可能となる。また、実施例1の光ディスク装置によると、他の光ディスク装置によって過度の高パワーや低パワーで記録された結果、トラッキングゲインの上下幅が広がってしまった光ディスクに対しても、サーボ性能を向上させることが可能となる。
【実施例2】
【0093】
実施例2について、以下に説明する。
【0094】
実施例1では、OPC領域へのシークを契機として可変ゲイン302に設定する値を変更した。
【0095】
実施例2における光ディスク装置は、実施例1のようにOPC領域へのシークで必ずゲイン変更をするのではなく、例えば、OPC領域へのシークが失敗した後のリトライ動作において、トラッキングサーボのゲインを変更する構成を備えるものとする。
【0096】
図9は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0097】
実施例1のブロック図である図1と共通の構成要素については共通の符号を付し、説明を省略する。
【0098】
符号1040はトラッキング系ゲイン変更回路である。トラッキング系ゲイン変更回路1040は、システム制御回路1041の指示により総和信号SUM、及び記録状態判別回路107の出力するBLANK信号、動作状態信号生成回路1039の出力するRDWR信号に基づいて信号振幅を補正する。また、トラッキング系ゲイン変更回路1040は、補正された補正トラッキングエラー信号CTESがトラッキング制御回路1035に出力する。
【0099】
符号1041は、システム制御回路である。システム制御回路1041は、後述するシーク動作時の動作以外に関しては、実施例1におけるシステム制御回路1031と同等の制御を行う。
【0100】
次に、図10を用いて、本実施例のトラッキング系ゲイン変更回路1040の構成について説明する。実施例1におけるトラッキング系ゲイン変更回路と共通の構成要素については共通の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
符号305は第一の可変ゲインであり、NTES信号の振幅をシステム制御回路1041の指示に基づき増幅、もしくは減衰する。
【0102】
符号306は第二の可変ゲインであり、NTES信号の振幅をシステム制御回路1041の指示に基づき増幅、もしくは減衰する。
【0103】
符号307は第一のセレクタであり、BLANK信号の電圧レベルに応じて第一の可変ゲイン305の出力信号と第二の可変ゲイン306の出力信号のいずれかを選択して出力する。本実施例においては、第一のセレクタ307は、BLANK信号がHighレベルの時に図10におけるaの端子が選択されて第一の可変ゲイン305の出力信号を出力する。また、第一のセレクタ307は、BLANK信号がLowレベルの時に図10におけるbの端子が選択されて第二の可変ゲイン306の出力信号を出力するものとする。
【0104】
符号308は第二のセレクタであり、システム制御回路1031の出力するRDWR信号に基づいて第一のセレクタ307の出力信号と、第一の可変ゲイン305の出力信号のいずれかを選択してCTES信号として出力する。本実施例においては、第二のセレクタ308は、RDWR信号がLowレベルの時に図10におけるcの端子が選択されて第一のセレクタ307の出力信号を出力する。また、第二セレクタ308は、RDWR信号がHighレベルの時に図10におけるdの端子が選択されて第一の可変ゲイン305の出力信号を出力するものとする。
【0105】
かかるトラッキング系ゲイン変更回路1040の構成によれば、記録パワーでの発光中や、再生パワーで未記録部を追従している際は第二の可変ゲイン306によるゲイン変更が有効となり、再生パワーで既記録部を追従している条件において第一の可変ゲイン305によるゲイン変更が有効になる。
【0106】
次に、本実施例におけるシステム制御回路1041のシーク動作時の動作について説明する。図11はシーク動作実施時のシステム制御回路1041のフローチャートである。
【0107】
シーク動作を開始すると(ステップS1101)、システム制御回路1041はシークのリトライ回数をカウントするカウンタRetryNumを0にリセットするとともに、シークの実施時間を計測するタイマSeekTimerをリセットする(ステップS1102)。
【0108】
続いて、システム制御回路1041は、トラッキングサーボをオフする(ステップS1103)。次に、システム制御回路1041は、スライダ駆動の要否を判断する(ステップS1104)。S1104において、スライダ移動の必要があると判断した場合は(ステップS1104でYesの場合)、システム制御回路1041は、スライダ移動を実施させる(ステップS1405)。次に、システム制御回路1041は、シークの目標アドレスがOPC領域の範囲内であるかを判断する(ステップS1106)。
【0109】
一方、S1104において、スライダ移動の必要がないと判断した場合は(ステップS1104でNoの場合)、システム制御回路1041は、シークの目標アドレスがOPC領域の範囲内であるかを判断する(ステップS1106)。
【0110】
S1106において、目標アドレスがOPC領域の範囲内でなかった場合(ステップS1106でNoの場合)、システム制御回路1041は、後述する通常領域用リトライ配列に従い、シークリトライ回数RetryNumに応じて第一の可変ゲイン305の値を変更する(ステップS1107)。
【0111】
一方、S1106において、目標アドレスがOPC領域の範囲内でなかった場合(ステップS1106でYesの場合)、システム制御回路1041は後述するOPC領域用リトライ配列に従い、シークリトライ回数RetryNumに応じて第一の可変ゲイン305の値を変更する(ステップS1108)。
【0112】
ステップS1106もしくはステップS1107の後、システム制御回路1041は後述する通常領域用リトライ配列に従い、シークリトライ回数RetryNumに応じて第二の可変ゲイン306の値を変更する(ステップS1109)。
【0113】
S1109に続いて、システム制御回路1041は、トラック引き込みを実施し(ステップS1110)、トラック引き込みが正常に終了したかを判断する(ステップS1111)。S1111において、トラック引き込みが正常終了せずに失敗したと判断した場合(ステップS1111でNoの場合)、システム制御回路1041は、後述するリトライ処理に移行する(ステップS1119)。
【0114】
S1111において、トラック引き込みが正常終了したと判断した場合(ステップ1111でYesの場合)には、システム制御回路1041は、再生信号処理回路107の出力信号から現在のアドレス情報を取得する(ステップS1112)。続いて、システム制御回路1041は、現在のアドレスが正常に取得できたかを判断する(ステップS1113)。S1113において、現在のアドレスが正常に取得できずに失敗したと判断した場合(ステップ1113でNoの場合)、システム制御回路1041は、後述するリトライ処理に移行する(ステップS1119)。
【0115】
S1113において、現在のアドレスが正常に取得できたと判断した場合(ステップS1113でYesの場合)、現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内であるかどうかを判断する(ステップS1114)。
【0116】
S1114において、現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内でない場合(ステップS1114でNoの場合)、システム制御回路1041は、まずはシーク実施時間計測タイマSeekTimerが所定の値Tthより小さいかを判断する(ステップS1115)。S1115において、シーク実施時間計測タイマSeekTimerが所定の値Tth以上であれば(ステップS1115でNoの場合)、システム制御回路1041は、現在のリトライ条件ではシークは成功しないと予想して、後述するリトライ処理に移行する(ステップS1119)。
【0117】
S1115において、シーク実施時間計測タイマSeekTimerが所定の値Tthより小さい場合(ステップS1115でYesの場合)、システム制御回路1041は、トラックジャンプを実施し(ステップS1116)、トラックジャンプが正常に終了したかを判断する(ステップS1117)。S1117において、トラックジャンプが正常終了せずに失敗したと判断した場合(ステップ1117でNoの場合)、後述するリトライ処理に移行する(ステップS1119)。
【0118】
一方、S1117において、トラックジャンプが正常に終了したと判断した場合(ステップ1117でYesの場合)、ステップS1112に戻る。
【0119】
また、S1114において、現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内であれば(ステップS1114でYesの場合)、システム制御回路1041は、シーク動作を終了する(ステップS1118)。
【0120】
また、シーク中に異常を検出した場合には、ステップS1119にて、システム制御回路1041は、リトライ処理を行う。リトライ処理では、シークリトライ回数RetryNumに1を加算し、その後、ステップS1103に戻る。
【0121】
以上のフローチャートによれば、OPC領域以外へのシークのリトライでは、第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306は通常領域用リトライ配列に従い共通の値となる。一方で、OPC領域へのシークのリトライでは、第二の可変ゲイン306は通常領域用リトライ配列に従い設定されるものの、第一の可変ゲイン305に関してはOPC領域用リトライ配列に従い設定された上で、トラック引き込みが実施される。
【0122】
次に、ステップS1107及びステップS1108、ステップS1109において、可変ゲインに設定するゲインの値を決めるためのリトライ配列について、図12(a)(b)を用いて説明する。
【0123】
図12(a)は、本実施例における通常領域用リトライ配列である。設定ゲインは、シークリトライ回数RetryNumに応じて第一の可変ゲイン305または第二の可変ゲイン306に設定する値であり、RetryNum=0の行からわかるように、本実施例の第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306の初期値はともに0dBであるとしている。
【0124】
図12(a)によれば、本実施例におけるOPC領域以外のシークでは、1回目から3回目までのリトライ(RetryNum=1〜3)はゲインを変更せずに再度シークを実施し、次の3回のリトライ(RetryNum=4〜6)はゲインを2dB下げ、更に次の3回のリトライ(RetryNum=7〜9)はゲインを2dB上げる。このリトライ配列によれば、OPC領域以外へのシークでは、トラッキングサーボのゲインを最大で±2dB変化させてシークのリトライを実施する。
【0125】
これに対し、図12(b)は本実施例におけるOPC領域用リトライ配列を示す。
【0126】
図12(b)に示す設定ゲインは、OPC領域でのシークのリトライにおいて、再生パワーで既記録部を追従している条件において有効となる可変ゲイン305の値である。一方で、記録パワーでの発光中や、再生パワーで未記録部を追従している場合には、図12(a)の通常領域用リトライ配列が適用される。そこで図12(b)においてΔGrecは、再生パワーでトラックを追従している際の未記録部でのゲインGunrecと既記録部でのゲインGrecの差(即ち、ΔGrec=Grec−Gunrec)を示している。
【0127】
図12(b)によれば、本実施例におけるOPC領域へのシークが失敗した場合には、1回目のリトライ(RetryNum=1)はゲインを変更せずに再度シークを実施し、2回目のリトライ(RetryNum=2)では第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306を、ともに2dBゲインを減少する。3回目のリトライ(RetryNum=3)では、第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306を、ともに初期値に対して2dBゲインを増加する。
【0128】
更に失敗した場合、4回目のリトライは初期値に対して第一の可変ゲイン305のみを2dB下げた状態にする。この時、既記録部でのみゲインが2dB下がった状態になる。4回目のリトライ(RetryNum=4)以降、6回目のリトライ(RetryNum=6)までの3回のリトライでは、ΔGrec=−2dBである点が共通である。即ち、再生パワーで追従している場合、既記録部でのみゲインが2dB下がった状態になる。5回目のリトライ(RetryNum=5)では上記の関係を維持したまま、第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306をそれぞれ4回目のリトライ条件に対して2dB下げ、6回目のリトライ(RetryNum=6)では上記の関係を維持したまま、第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306をそれぞれ4回目のリトライ条件に対して2dB上げる。
【0129】
更に7回目のリトライ(RetryNum=7)以降、9回目のリトライ(RetryNum=9)までの3回のリトライでは、ΔGrec=+2dBであり、再生パワーで追従している場合、既記録部でのみゲインが2dB上がった状態になる。その関係を維持した上で、同様にトラッキングサーボのゲインを変更するリトライ配列となっている。
【0130】
これによって、OPC領域の既記録部でトラッキングサーボのゲインが変動することと、シークのリトライでのゲイン変更を合わせたリトライが実施できる。即ち、例えばOPC領域の既記録部でのトラッキングサーボのゲインが2dB上がる場合には、既記録部についてのみトラッキングサーボのゲインを2dB下げた状態にするのが好ましく、シークのリトライではその状態から更にトラッキングサーボ系全体のゲインを最大で±2dB変化させることが望ましい。これは4回目のリトライ(RetryNum=4)以降、6回目のリトライ(RetryNum=6)までの3回のリトライで実施されている。このように、OPC領域へのシークのリトライでは、OPC領域は最適記録パワーでは記録されていないことを鑑みて、OPC領域以外へのシークのリトライよりもゲインを大きく変更することが望ましい。
【0131】
次に、本実施例の光ディスク装置が、サーボ特性をどのように改善するかについて、OPC処理についての説明を含めて記載する。また、以下の例では、DVD−Rを例に説明する。
【0132】
図13は、DVD−Rにおける、記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部でのトラッキングサーボのゲインの関係の一例を示す図である。以下、図13に示す特性の記録膜を有するDVD−Rに基づいて説明する。
【0133】
図13において範囲Rはトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲であり、範囲R2は、トラッキングサーボ系が安定条件を満たすためのゲイン変動に対する許容範囲である。即ち、ゲイン変動がR2の範囲を超えた場合にはサーボ系が制御不能になる。しかしながら、前述したようにトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rは、サーボ系に加わる外乱成分のレベルが大きく隣接トラックに移動してしまう現象をも回避するための、ゲイン変動に対する許容範囲である。このため、範囲R2は範囲Rを包含する。
【0134】
図13に示すように、OPC領域において最高記録パワーPhighで記録された既記録部(A点)及び最低記録パワーPlowで記録された既記録部(B点)ともに、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超える場合を考える。この場合、OPC領域の既記録部でのトラッキングサーボのゲインの変動は範囲R2の範囲に収まっているので、サーボ系は安定である。次に、サーボ系としての安定性が保たれていて発振には至らない状態であっても、サーボ系に加わる不安定周波数の外乱成分のレベルが大きいと、追従性能劣化が原因で隣接トラックに移動してしまう現象について考える。
【0135】
上述したように許容範囲Rは、光ディスクの規格で規定されているトラックの変位の最大振幅レベルに基づき決めている。実際の光ディスクは規格上限のトラック変位を有している訳ではないので、実際に隣接トラックに移動してしまうかどうかは、不安定周波数の外乱(トラック変位)の大きさで決まる。
【0136】
また、図13では実施例1と同様に、サーボゲインが低下する場合と比較して増加した場合の方が、サーボが不安定になりやすい例を示している。そのためB点よりもA点の方が範囲Rからは外れているが、必ずしも最高記録パワーで記録した既記録部(A点に相当)で隣接トラックに移動してしまう現象が起こるとは限らない。一方、最低記録パワーで記録した既記録部(B点に相当)を追従中にサーボ系に入力されるトラック変位成分に、図8でfz1として示した周波数のトラック変動成分が存在し、その振幅レベルが大きかった場合には、隣接トラックに移動してしまう可能性がある。
【0137】
そして、上記のA点でサーボ安定性劣化が起こる場合にはトラッキングサーボのゲインを減少することで改善するが、一方、上記のB点でサーボ安定性劣化が起こる場合にはトラッキングサーボのゲインを増加することで改善する。従って、図13の場合には、OPC領域に存在するトラック変位成分の周波数によって、トラッキングサーボのゲインを増加すべきか減少すべきかが異なる。
【0138】
このようなOPC領域へのシークを行う場合、実施例2の光ディスク装置は、実施例1のようにサーボゲインを減少させるだけでなく、シークのリトライでサーボゲインの増加も実施させる構成を備える。更に望ましくは、実施例2の光ディスク装置は、OPC領域以外へのシークのリトライよりもゲインを大きく変更する。以上を鑑み、本実施例の効果としては、図13のような場合にもOPC領域でのサーボ安定性劣化を改善できる。つまり、実施例2の光ディスク装置は、OPC領域の既記録部にトラッキングゲインが低い領域が存在して隣接トラックへの移動が発生し得るディスクに対しても、サーボ安定性劣化を抑制できる。
【0139】
また、本実施例は実施例1と異なり光ディスク101に記録されているメディアIDによらず、OPC領域用リトライ配列に従い可変ゲイン305の値を変更する動作とした。これによる効果としては、光ディスク装置が未知の媒体であっても、安定したサーボ性能を実現できることが挙げられる。
【0140】
また、実施例2の光ディスク装置は、図12(b)に示すように、2回目までのリトライまではゲインを変更しない。これにより、例えば、図13に示すディスクの特性以外の原因によってシークが失敗した場合にも対応することが可能となる。
【0141】
以上の動作により、実施例2による光ディスク装置は、OPC領域におけるサーボ追従性能を向上することができる。
【0142】
なお、実施例1では、OPC領域へのシークを契機として、既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを減少させる動作とした。トラッキングサーボのゲインを減少させる動作とした理由は上述したように、特に薄型化、軽量化を図った光ディスク装置においてサーボゲインが増加した場合の安定度が従来以上に低下する傾向があるからであるが、薄型化、軽量化を図らない光ディスクでは上記傾向は必ずしも当てはまらない。そのため、OPC領域へのシークを契機として、既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを増減する方向は、ゲインを減少する方向に限定されるものではない。
【0143】
また、実施例1では、サーボゲインが低下する場合と比較して増加した場合の方が不安定になりやすいサーボ系を例に、OPC領域へのシークを契機として、既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを減少させる動作とした。これは、OPC領域でのサーボ安定性劣化が起こるとすればゲインが増加したことで起こると予想できるためである。即ち、OPC領域へのシークを契機として、既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを増減する方向は、サーボ系がより安定になる(発振条件から遠ざかる)ゲイン増減方向と一致することが望ましい。
【0144】
また、実施例1では光ディスク101に記録されているメディアIDに基づき可変ゲイン302のゲイン変更量ΔGを決める動作とした。しかし、「既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを増減する方向は、サーボ系がより安定になるゲイン増減方向と一致することが望ましい」という考え方に基づけば、ゲイン変更量ΔGはサーボ特性に依存して、サーボ系の安定性が保たれる範囲で決定することができる。サーボ特性はディスク種別に応じて変わるので、ゲイン変更量ΔGはディスク種別に応じて変更する動作としてもよい。メディアIDによらない動作とすれば、光ディスク装置が未知の媒体であっても、安定したサーボ性能を実現できる。
【0145】
また、実施例2では、実施例1と異なり光ディスク101に記録されているメディアIDによらず、OPC領域用リトライ配列に従い可変ゲイン305の値を変更する動作とした。しかし、メディアIDによってOPC領域用リトライ配列を変更する動作としてもよい。または、メディアIDによってはOPC領域用リトライ配列を使用せず、OPC領域へのシークであっても通常領域用リトライ配列を使用する動作としてもよい。
【0146】
また、実施例2のリトライ配列では未記録部と既記録部のゲイン差ΔGrecについて、リトライ配列にΔGrec=−2dBの状態、ΔGrec=+2dBの状態の両方を含むとしたが、ΔGrec=−2dBのみ、もしくはΔGrec=+2dBのみを含むようにしてもよい。このように片方のみを含むとした場合には、図13の場合には対応できない可能性が残るものの、実施例1の説明で使用した図5の場合には既記録部におけるトラッキングサーボのゲインを下げるだけでも改善効果が得られるためである。
【0147】
また、以上の実施例では、規格によって既記録部プッシュプル振幅比が規定されているDVD−Rを例に説明した。しかし本発明が適用可能な光ディスクはDVD−Rに限定されるものではなく、また、規格によって既記録部プッシュプル振幅比が規定されていない光ディスクに対しても本発明は適用可能である。
【0148】
また、本発明は光ディスク装置のフォーカス制御に関しても、同様に適用可能であることは明らかである。
【0149】
さらに、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0150】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0151】
101…光ディスク、102…ピックアップ、103…信号処理回路、104…スピンドルモータ、105…サーボエラー信号生成回路、106…総和信号生成回路、107…再生信号処理回路、108…記録状態判別回路、109…アクチュエータ駆動回路、110…スピンドルモータ駆動回路、111…スライダモータ、112…スライダモータ、1021…レーザパワー制御回路、1022…レーザ光源、1023…コリメートレンズ、1024…ビームスプリッタ、1025…立上ミラー、1026…アクチュエータ、1027…対物レンズ、1028…集光レンズ、1029…光検出器、1031…システム制御回路、1032…FES振幅補正回路、1033…フォーカス制御回路、1034…トラッキング系ゲイン変更回路、1035…トラッキング制御回路、1036…スイッチ、1037…スライダ制御回路、1038…スピンドル制御回路、1039…動作状態信号生成回路、1040…トラッキング系ゲイン変更回路、1041…システム制御回路、201…除算器、301…除算器、302…可変ゲイン、303…第一のセレクタ、304…第二のセレクタ、305…第一の可変ゲイン、306…第二の可変ゲイン、307…第一のセレクタ、308…第二のセレクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報の再生時と比較して、光ディスク装置は、情報の記録時にはレーザ発光パワーを大きくすることで光ディスクに情報を記録する。この結果、情報の記録時にはディテクタの出力信号が大きくなる。特許文献1には、例えば、その段落番号0012に、「TE信号及びFE信号を全光量和で割ることにより、レーザダイオード1からの出射光のパワーが変化してもサーボゲインを一定とする」との記載がある。以下、これをAGC(Automatic Gain Control)と呼ぶ。
【0003】
特許文献2には、例えば、その段落番号0005に、「光ディスク媒体の記録領域と未記録領域で媒体の反射率が変化することによりDPP信号の振幅が記録領域と未記録領域で変化してしまうという問題点がある。」との記載、「AGCを適用することで光ディスク媒体の記録領域と未記録領域で媒体の反射率が変化してもDPP信号の振幅の変動を抑制することができる」との記載がある。
【0004】
更に非特許文献1によれば、光ディスクの一種であるDVD−Rの規格では、未記録部でのAGCによる正規化後のプッシュプル振幅PPb、既記録部でのAGCによる正規化後のプッシュプル振幅PPaを用いて、
【数1】
を定義し、上記PPrの値に関して
【数2】
を満たす必要があると規定されている。
【0005】
また、特許文献3は、例えば、その請求項9に、「前記光ピックアップを記憶済領域で動作させるときは、前記第1調整値記憶手段の調整値をゲイン調整手段に設定し、前記光ピックアップを未記録領域で動作させるときは、前記第2調整値記憶手段の調整値をゲイン調整手段に設定する」が記載されている。
【0006】
また、記録発光時の最適記録パワーを決定する手法として、最適パワー制御(Optimum Power Control;OPC)と呼ばれる技術が知られている。特許文献4によれば、その請求項1に、「特定領域に最適記録パワーを設定するためのテスト記録領域を備えたディスクにおいて、前記テスト記録を行うために特定領域中の一部に基準記録パワーを変更させながらテスト記録を行う過程と、前記特定領域中の残りの領域は同一レベルの基準記録パワーによりテスト記録を行う過程と、前記各テスト記録の結果から最適記録パワーを決定する過程と、を順次行う」最適記録パワー決定方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−52564
【特許文献2】特開2007−328833
【特許文献3】特開2001−266367
【特許文献4】特開2001−216643
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ECMA-359 80 mm (1,46 Gbytes per side) and 120 mm(4,70 Gbytes per side) DVD Recordable Disk (DVD-R) 1st Edition / December 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、光ディスク装置のトラッキングサーボ、フォーカスサーボともに同様の課題を有しているが、ここではトラッキングサーボを例に説明する。また、光ディスクとしてはDVD−Rを例に説明する。
【0010】
前述したように、DVD−Rの既記録部のプッシュプル振幅は、規格(非特許文献1)によって数値PPrの規定がある。本明細書では、上記PPrを既記録部プッシュプル振幅比と呼ぶことにする。
【0011】
プッシュプル振幅が変化するということは、トラッキングサーボのゲインが変化することを意味する。(数2)の規定に基づけば、AGCを用いてトラッキングサーボを実施する場合、未記録部でのトラッキングサーボのゲインに対して、既記録部でのトラッキングサーボのゲインは−6dB〜0dBの範囲で低下することを示している。ここで0.5倍は約−6.02dBであるが、本明細書では簡単のため整数値に丸めた値、−6dBとして以下、説明する。
【0012】
従って、DVD−Rの情報再生時のトラッキングサーボとしては、規格に規定のあるAGCで正規化したプッシュプル信号を用いてトラッキングサーボを実施し、トラッキングサーボのゲインが−6dB〜0dBの範囲で変動することを想定してサーボ特性を設計すればよい。このように規格の規定に基づきトラッキングサーボを設計することで、未記録部であっても既記録部であっても、安定したトラック追従性能を達成することができる。
【0013】
もしくは、特許文献3のように、現在追従しているトラックが未記録状態か既記録状態であるかに同期してゲインを切り替えることで、未記録部と既記録部のゲイン差をなくし、より追従性能を上げることも可能である。
【0014】
しかし、DVD−Rの規格によって規定されているのは最適記録パワーで記録された既記録部のプッシュプル振幅である。従って、特許文献4に記載されているOPCを考えたとき、記録パワーを変化させて記録した既記録部が存在するOPC領域に関してはプッシュプル振幅の規定がなされていない。そのため、最適パワーで記録した既記録部と比較してOPC領域においてプッシュプル振幅が変化する記録膜特性を有する光ディスクが存在すること、及び上記光ディスクに関して従来技術での解決には課題があることを本発明者は見出した。
【0015】
以下、まずはDVD−Rのように規格によって既記録部プッシュプル振幅比が規定されている媒体を例に、詳細に説明する。
【0016】
図14は、記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部での既記録部プッシュプル振幅比の関係を模式的に示したものである。横軸は記録パワーであり、変数Pwで表す。図中のP0は最適記録パワーを示している。またPlowはOPC時に実際に発光するパワーの最低パワー、PhighはOPC時に実際に発光するパワーの最高パワーを示している。
【0017】
また、図14の縦軸は既記録部プッシュプル振幅比PPrをデシベル(dB)表記で示したものであり、Pcは規格上のPPr範囲の中心値を示し、Sは規格上のPPr範囲を示している。例えばDVD−Rの場合、規格上のPPrの範囲は(数2)から0dB〜−6dBであるので、Pc=−3dBとなる。また、Rで示した範囲は、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲を示している。ここでは簡単のため、トラッキングサーボのゲインが増加した場合の許容限界のみを示している(ゲインが減少した場合の許容限界は図示していない)。
【0018】
図14(a)は光ディスクにおける、記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部での既記録部プッシュプル振幅比PPrの関係の一例である。記録パワーPw=P0での既記録部プッシュプル振幅比PPr(図中の黒丸)は規格上のPPr範囲の中心値Pcと一致し、OPC領域でのトラッキングサーボのゲイン変動幅はトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rの範囲内に収まっている。このような記録膜の特性であれば、従来の技術でも問題は起こらない。
【0019】
しかしながら、記録膜の特性によっては、図14(b)Bで示すような記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部での既記録部プッシュプル振幅比PPrの関係を持つ光ディスクが存在する。
【0020】
図14(b)Bにおいて、記録パワーPw=P0でのPPr(図中の黒丸)は規格上のPPr範囲に収まっているが、中心値Rcとは一致していないため、記録パワーPwが最適記録パワーP0から離れると、PPrはトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超える。図14(b)の場合は、高パワーで記録した領域において、トラッキングサーボのゲインが許容範囲Rを超えて高くなる。
【0021】
従来技術の特許文献3のように最適記録パワーでの既記録部でのゲインを未記録部に合わせると、図14(b)B’となる。また、この図の場合は最適記録パワーP0でのPPrは規格上のPPr範囲に収まっているが、中心値Rcと一致していないため不利であった点に着目し、最適記録パワーP0でのPPrを中心値Rcにあわせると、図14(b)B’’となる。
【0022】
図14(b)B’は更なる性能劣化を招き、他方で図14(b)B’’の場合には高パワーで記録した領域におけるトラッキングサーボのゲインは改善するものの、図14(b)のように直線の傾きが大きい場合には、いずれの場合もPPrがトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超えてしまう。
【0023】
このように、最適記録パワーP0での既記録部でのゲイン増加量はトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rに収まっている場合であっても、記録パワーが最適値でない状態で記録されたOPC領域におけるゲインは、許容範囲Rに収まらなくなる可能性があるという課題があった。
【0024】
以上、DVD−Rのプッシュプル振幅を例に、規格に既記録部プッシュプル振幅比についての規定がある場合を例に説明した。しかし既記録部でのプッシュプル振幅に関して、既記録部プッシュプル振幅比についての規定がない媒体も考えられる。また、DVD−Rの規格であっても、既記録部でのフォーカスエラー振幅についての規定はなく、同様の課題がある。
【0025】
このような場合には例えば、未記録部のサーボエラー信号振幅と既記録部のサーボエラー信号振幅とで、変化が小さくて済むのはAGCによる正規化を実施する場合か、AGCによる正規化を実施しない場合か、を実際の光ディスクを用いて調査し、判断する。
【0026】
このようにAGCで正規化したサーボエラー信号(トラッキングエラー信号、もしくはフォーカスエラー信号)が規格で規定されていない媒体であっても、図14(b)のような特性の記録膜の媒体に対してAGCを用いてサーボをかける場合には、同様にサーボのゲイン変動に対する許容範囲を超えてゲインが変動してしまうという課題があった。
【0027】
本発明の目的は、光ディスク装置のサーボ性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の目的は、例えば、特許請求の範囲に記載の構成により達成される。その一例としては、レーザ光の発光パワーを調整するために光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際に、ゲイン切り替え手段が、光スポットが追従しているトラックが記録済であり、かつ光ディスクから情報が再生されている場合に、選択するゲイン値を変更することで達成できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、光ディスク装置のサーボ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1を示すブロック図である。
【図2】実施例1のFES振幅補正回路を示す構成図である。
【図3】実施例1のトラッキング系ゲイン変更回路を示す構成図である。
【図4】実施例1のシーク動作実施時のフローチャートである。
【図5】実施例1を説明する特性図である。
【図6】実施例1のOPCのフローチャートである。
【図7】実施例1を説明する波形図である。
【図8】実施例1のトラッキングサーボ特性である。
【図9】実施例2を示すブロック図である。
【図10】実施例2のトラッキング系ゲイン変更回路を示す構成図である。
【図11】実施例2のシーク動作実施時のフローチャートである。
【図12(a)】実施例2のリトライ配列である。
【図12(b)】実施例2のリトライ配列である。
【図13】実施例2を説明する特性図である。
【図14】解決しようとする課題を説明する特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【0032】
本発明はトラッキング制御、フォーカス制御共に適用可能であるが、ここではトラッキング制御を例に説明を行う。
【実施例1】
【0033】
本発明における実施例1について、以下に説明する。
【0034】
図1は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0035】
光ディスク101は、光ディスク装置の各種の信号処理を行う信号処理回路103に搭載されたシステム制御回路1031からの指令信号を受けたスピンドル制御回路1038から出力される制御信号に基づいてスピンドルモータ駆動回路111によりスピンドルモータ104が駆動され、所定の回転数で回転される。
【0036】
レーザ光源1022は、システム制御回路1031からピックアップ102に搭載されたレーザパワー制御回路1021への指示信号により所定のパワーでレーザ光を発光する。レーザ光源1022から発光されたレーザ光は、コリメートレンズ1023、ビームスプリッタ1024、立上ミラー1025、対物レンズ1027を通して光ディスク101の情報記録面に光スポットとして集光される。光ディスク101の情報記録面で反射した光はビームスプリッタ1024で分岐され、集光レンズ1028で光検出器1029に集光される。光検出器1029は、集光された光を電気信号に変換し、サーボエラー信号生成回路105、総和信号生成回路106、記録状態判別回路107に出力する。
【0037】
サーボエラー信号生成回路105は、後述するフォーカス制御に使用するためのフォーカスエラー信号FES、及び、後述するトラッキング制御に使用するためのトラッキングエラー信号TESを生成して出力する。本実施例においては、TES信号はプッシュプル法で生成されるものとする。
【0038】
また総和信号生成回路106は、光検出器1029で集光した全光量に比例した電圧をSUM信号として出力する。また、再生信号処理回路107は、光ディスク101から読み出した情報(現在のアドレス情報、光ディスク101に記録されているメディアIDを含む)をシステム制御回路1031に出力する。なお、SUM信号は、プルインエラー信号、総光量信号と言い換えても良い。
【0039】
また記録状態判別回路108は、再生信号処理回路107から出力される信号を元に、BLANK信号を出力する。BLANK信号とは、現在レーザ光が集光されている記録面上のトラックが未記録状態であるか既記録状態であるかを示す信号とする。BLANK信号は一例として、再生信号処理回路107から出力されるRF信号の振幅が所定の値を超えていれば既記録部と判別することで生成できる。BLANK信号は未記録状態の時にHighレベルとなり、既記録状態の時にLowレベルとなる信号であるとする。このように、例えば、記録状態判別回路108が、信号処理回路103に対して、光ディスクが記録状態か未記録状態を報告する手段として機能する。
【0040】
FES振幅補正回路1032は、サーボエラー信号生成回路105から出力されるフォーカスエラー信号FESの信号振幅を補正し、補正された補正フォーカスエラー信号NFESをフォーカス制御回路1033に出力する。また、FES振幅補正回路1032による補正は、光量信号生成回路106から出力される総和信号SUMに基づいて行う。
【0041】
フォーカス制御回路1033は、システム制御回路1031の指示により、補正フォーカス誤差信号NFESに基づいてフォーカス駆動信号FODを出力する。
【0042】
アクチュエータ駆動回路109は、フォーカス駆動信号FODに従って対物レンズ1027と一体で動作するように構成されたアクチュエータ1026をディスク面に垂直な方向に駆動する。上記したようにフォーカス制御回路1033及びアクチュエータ駆動回路109が動作することで、光ディスク101に照射された光スポットが常に光ディスク101の情報記録面で合焦するようにフォーカス制御が行われる。
【0043】
フォーカス制御が動作して、光スポットがディスク1の情報記録面で合焦すると、サーボエラー信号生成回路105は、光スポットと情報記録面上のトラックとの位置のずれを示すトラッキングエラー信号TESを出力する。トラッキングエラー信号TESはトラッキング系ゲイン変更回路1034に入力される。トラッキング系ゲイン変更回路1034は、システム制御回路1031の指示により総和信号SUM、及び記録状態判別回路107の出力するBLANK信号、後述するRDWR信号に基づいて信号振幅を補正し、補正された補正トラッキングエラー信号CTESを出力する。補正トラッキングエラー信号CTESは、トラッキング制御回路1035に出力される。
【0044】
トラッキング制御回路1035は、システム制御回路1031からの指令信号により補正トラッキング誤差信号CTESに基づいて光ディスク101に照射された光スポットが情報記録面上のトラックを追従するように対物レンズ1027をディスク半径方向に駆動するための信号を出力する。トラッキング制御回路1035から出力された信号は、スイッチ1036bを介してアクチュエータ駆動回路109にトラッキング駆動信号TRDとして入力される。なお、トラッキング系ゲイン変更回路1034、及びトラッキング制御回路1035とで、入力されるトラッキングサーボ信号に対して所定のゲインを設定して出力する駆動信号生成部として機能する。また、例えば、トラッキング系ゲイン変更回路1034と、システム制御回路1031とで、ゲインを設定するゲイン設定部として機能する。
【0045】
アクチュエータ駆動回路109ではトラッキング駆動信号TRDに従ってアクチュエータ1026を駆動することで対物レンズ1027がディスク半径方向に駆動され、光スポットが情報記録面上のトラックを追従する。
【0046】
また、スライダ制御回路1037は、システム制御回路1031からの指令信号を受けると、トラッキングアクチュエータ駆動信号TRDの平均値に基づいてスライダモータ111を駆動するスライダ駆動信号を出力する。このスライダ駆動信号に従ってスライダモータ駆動回路109がスライダモータ112を駆動することにより、トラックを追従し続けた場合であっても対物レンズ1027が常に中立位置近傍で動作するように光ピックアップ102がディスク半径方向に移送される。
【0047】
更に、光ディスク101上の半径の異なる位置へ光ピックアップ102を駆動するシーク動作においては、システム制御回路1031からのシーク動作の指示を受けてスライダ駆動回路1037がスライダ駆動信号を出力し、このスライダ駆動信号に従ってスライダモータ駆動回路109がスライダモータ111を駆動することでシーク動作を行う。
【0048】
更にシステム制御回路1031から指令を受けた動作状態信号生成回路1039は、光ディスク装置の動作状態を表すRDWR信号を出力する。ここでRDWR信号は、情報の記録中にHighとなり、それ以外はLowとなる信号とする。従って、情報の再生中に出力されるRDWR信号は、Lowの値となる。
【0049】
次に、かかる光ディスク装置におけるFES振幅補正回路1032の構成について、図2を用いて説明する。
【0050】
FES振幅補正回路1032は除算器201からなり、除算器201はFES信号とSUM信号を入力として、
【数3】
で表される電圧をNFES信号として出力する。
【0051】
次に、かかる光ディスク装置におけるトラッキング系ゲイン変更回路1034の構成について、図3を用いて説明する。
【0052】
符号301は除算器であり、TES信号とSUM信号を入力として、
【数4】
で表される電圧をNTES信号として出力する。
【0053】
符号302は可変ゲインであり、NTES信号の振幅をシステム制御回路1031の指示に基づき増幅、もしくは減衰する。
【0054】
符号303は第一のセレクタであり、BLANK信号の電圧レベルに応じてNTES信号と可変ゲイン302の出力信号のいずれかを選択して出力する。本実施例においては、第一のセレクタ303は、BLANK信号がHighレベルの時に、つまり、未記録領域ないし未記録トラックにアクセスされている場合に、図3におけるaの端子が選択されてNTES信号を出力する。また、第一のセレクタ303は、BLANK信号がLowレベルの時、つまり既記録領域ないし既記録トラックにアクセスされている場合に、図3におけるbの端子が選択されて可変ゲイン302の出力信号を出力するものとする。
【0055】
符号304は第二のセレクタであり、システム制御回路1031の出力するRDWR信号に基づいて第一のセレクタ303の出力信号と、NTES信号のいずれかを選択してCTES信号として出力する。本実施例においては、第二のセレクタ304は、RDWR信号がLowレベルの時、例えば情報の再生中に、図3におけるcの端子が選択されて第一のセレクタ303の出力信号を出力する。また、第二のセレクタ304は、RDWR信号がHighレベルの時、例えば情報の記録中には、図3におけるdの端子が選択されてNTES信号を出力するものとする。
【0056】
かかるトラッキング系ゲイン変更回路1034の構成によれば、記録パワーでの発光中や、再生パワーで未記録部を追従している際は可変ゲイン302によるゲイン変更はされず、再生パワーで既記録部を追従している条件において可変ゲイン302によるゲイン変更が有効になる。
【0057】
次に、本実施例におけるシステム制御回路1031のシーク動作時の動作について説明する。図4はシーク動作実施時のシステム制御回路1031のフローチャートである。
【0058】
シーク動作を開始すると(ステップS401)、システム制御回路1031はトラッキングサーボをオフする(ステップS402)。続いて、システム制御回路1031は、スライダ駆動の要否を判断する(ステップS403)。スライダ移動の必要があると判断した場合は(ステップS403でYesの場合)、システム制御回路1031は、スライダ移動を実施させる(ステップS404)。続いて、システム制御回路1031は、シークの目標アドレスがOPC領域の範囲内であるかを判断する(ステップS405)。また、スライダ移動の必要がないと判断した場合は(ステップS403でNoの場合)、システム制御回路1031は、シークの目標アドレスがOPC領域の範囲内であるかを判断する(ステップS405)。なお、OPC領域とは、レーザ光の記録発光パワーの調整に用いる領域であるが、試し書き領域、PCA領域と言い換えても良い。
【0059】
S405において、目標アドレスがOPC領域の範囲内でなかった場合(ステップS405でNoの場合)、システム制御回路1031は、可変ゲイン302の値を初期値に変更する(ステップS406)。次に、システム制御回路1031は、トラック引き込みを実施する(ステップS408)。本実施例においては、可変ゲイン302の初期値=0dBとする。
【0060】
S405において、目標アドレスがOPC領域の範囲内である場合(ステップS405でYesの場合)、システム制御回路1031は、光ディスク101に記録されているメディアIDに基づき可変ゲイン302に設定する値を決定して、可変ゲイン302の値を変更する(ステップS407)。このとき、ゲインの変更量をΔGとし、本実施例においてΔGは負の値とする。ステップS407の後、トラック引き込みを実施する(ステップS408)。
【0061】
続いて、システム制御回路1031は、再生信号処理回路107の出力信号から現在のアドレス情報を取得し(ステップS409)、現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内であるかどうかを判断する(ステップS410)。
【0062】
現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内でなければ(ステップS410でNoの場合)、システム制御回路1031は、トラックジャンプを実施し(ステップS411)、ステップS410に戻る。現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内であれば(ステップS410でYesの場合)、シーク動作を終了する(ステップS412)。
【0063】
以上述べたように、本実施例の光ディスク装置は、S407に示されるように、OPC領域にシークを行う場合に、可変ゲイン302の設定値が変更されるものである。また、図3について述べたように、ゲインの値は、光ディスク装置が記録中か再生中、サーボをかけているトラックが未記録か既記録かに応じて設定されるものである。
【0064】
次に、本実施例の光ディスク装置が、サーボ特性をどのように改善するかについて、OPC処理についての説明を含めて記載する。また、以下の例では、DVD−Rを例に説明する。
【0065】
図5(a)は、DVD−Rにおける、記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部でのトラッキングサーボのゲインの関係の一例を示す図である。以下の説明では、図5(a)の直線Lに示す特性の記録膜を有するDVD−Rに基づいて説明する。横軸は記録パワーであり、図中のP0は最適記録パワーを示している。またPlowはOPC時に実際に発光するパワーの最低パワー、PhighはOPC時に実際に発光するパワーの最高パワーを示している。
【0066】
また、図5(a)の縦軸は、上記記録パワーで記録された既記録部を再生した場合のトラッキングサーボのゲインを、未記録部を基準としてデシベル表記(dB)で示したものである。Pcは規格上のPPr範囲の中心値である−3dBであり、Sは規格上のPPr範囲(0dB〜−6dB)を示している。また、Rで示した範囲は、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲を示している。
【0067】
図5(a)からわかるように、記録パワーPw=Phighで記録された既記録部において既記録部でのトラッキングサーボのゲインは、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超えている(図中のA点)。
【0068】
ここで、光ディスクの記録膜特性とトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲が図5(a)に示した関係にある光ディスク装置に関して、OPCを実施する場合について説明する。
【0069】
図6のフローチャートを用いて、OPCについて説明する。OPCにおいては、光ディスク装置は、まずOPCでテスト記録すべきアドレスへシークしする(ステップS601)。次に、光ディスク装置は、レーザパワーを変えてテスト記録を行う(ステップS602)。本実施例においては、記録パワーを低パワーから高パワーに、5段階に変化させてテスト記録するものとし、5段階の記録パワーは、図5(a)において白丸で示した5つの点に相当するものとする。
【0070】
続いて、光ディスク装置は、ステップS602にテスト記録した領域へシークし(ステップS603)、記録品質チェックを行い(ステップS604)、最終的に最適記録パワーを決定する(ステップS605)。
【0071】
このうち、ステップS601やステップS603において、OPC領域へのシーク動作が行われるが、そのシーク動作中及びステップS604の記録品質チェック中に、以前のOPCにてテスト記録された既記録部をフォローイングにて通過することになる。
【0072】
次に、図7を用いて、上記したフォローイング処理において取得される光ディスク装置内の各部の信号波形について説明する。
【0073】
図7(a)はSUM信号であり、(b)はプッシュプル法で生成されたTES信号である。また、VrefはTES信号の基準レベルを示す。図7においてt1≦t≦t2の期間に通過した領域A1は、図5のPlowの記録パワーでテスト記録した領域である。また、図7中、t3≦t≦t4の期間に通過した領域A2は、図5のP0の記録パワーでテスト記録した領域である。また、図7中、t5≦t≦t6の期間に通過した領域A3は、図5のPhighの記録パワーでテスト記録した領域を示している。
【0074】
図7(b)では、高パワーで記録した領域において、TE信号が発振する波形となっている。このような波形となる理由について、次に説明する。
【0075】
図8は、図5で例示した光ディスクにおけるトラッキングサーボ特性を示す図である。図中、(a)はゲイン、(b)は位相の特性を示している。図8(a)において、Glowは記録パワーPlowで記録した領域A1でのゲイン特性、G0は最適記録パワーP0で記録した領域A2でのゲイン特性、Ghighは記録パワーPhighで記録した領域A3でのゲイン特性である。このように、図5で示した記録膜の特性の場合には、高パワーで記録された既記録部ほどトラッキングサーボ特性のゲインが増加する。なお、位相特性は領域A1、A2、A3で変化せず、同一の特性となる。
【0076】
図8における周波数fz1、fz2は位相が−180°となる周波数であり、周波数fz2においてGhighのゲインが0dBに近い値となっている。このような状態はゲイン余裕が低く、サーボ系が不安定になりやすい。サーボ系が不安定となった結果、fz2の周波数の外乱成分がトラッキングサーボ系に入力されると、図7(b)に示したようにサーボ系が発振してしまう。サーボ系が発振すると、最悪の場合はサーボが外れて、シーク動作が失敗する。
【0077】
また、サーボ系としての安定性が保たれていて発振には至らない状態であっても、サーボ系に加わるfz2の周波数の外乱成分のレベルが大きいと、fz2の周波数成分に対する追従性能が劣化しているため追従誤差が大きくなり、隣接トラックに移動してしまう現象が起こる。この結果、シークを繰り返しても目標アドレス(OPC実施予定アドレスもしくはOPC実施済みアドレス)に到達できない状態に陥り、最終的にはシーク動作が失敗する。
【0078】
このように、以前のOPCにてテスト記録された既記録部をフォローイングにて通過する際に安定性が劣化し、発振や追従性能劣化が原因で、目標アドレス(OPC実施予定アドレスもしくはOPC実施済みアドレス)に到達できないという現象が起こりうる。そのため、OPC領域へのシークやOPC領域の既記録部のフォローイングさえ成功すればOPCが正常に終了する記録膜を有する光ディスクであっても、目標アドレスに到達できないがためにOPCが失敗し、情報の記録ができない状態に陥る。以下では、この問題をOPC領域でのサーボ安定性劣化と呼ぶ。
【0079】
以上を鑑み、本明細書における「トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲R」は、トラッキングサーボ系が安定条件を満たすためのゲイン変動に対する許容範囲ではなく、サーボ系に加わる外乱成分のレベルが大きく隣接トラックに移動してしまう現象をも回避するための、ゲイン変動に対する許容範囲とする。
【0080】
ここで、実際に隣接トラックに移動してしまうかどうかは、入力される外乱成分の周波数におけるサーボ系の安定性と、外乱成分の振幅レベルで決まる。光ディスクの規格においては、光ディスクの追従対象であるトラックの変位(外乱)について、トラックの変位の最大振幅レベルが周波数に応じて規定されている。即ち「トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲R」は、光ディスクの規格で規定されているトラックの変位の最大振幅レベルに基づき決定され、外乱成分の周波数によって範囲が変動する。
【0081】
従来は、このようなOPC領域でのサーボ安定性劣化を起こさないように、サーボ特性を最適化してトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを広くすることで、OPC領域でのサーボ安定性劣化を回避していた。しかし、今後、光ディスク装置に対しては、更なる薄型化、軽量化が求められると予想されている。そして、薄型化や軽量化を図ると、図8(a)においてRで示した副共振と呼ばれるゲインのピークは一般に、レベルが大きくなり、またその周波数が低周波数側へ移動する傾向を発明者は経験的に得ている。この結果、薄型化、軽量化を図った光ディスク装置では、サーボゲインが増加した場合の安定度が従来以上に低下する。
【0082】
また、今後は、更なる高倍速化も要求されている。高倍速に対応するためには、サーボ帯域をより高帯域化する必要があり、その結果としてサーボゲインが増加した場合の安定度が従来以上に低下する。
【0083】
以上の理由により、薄型化や軽量化、もしくは高倍速化を図った光ディスク装置においては、OPC領域でのサーボ安定性劣化を回避することがより困難になる。そのため、OPC領域でのサーボ安定性劣化を解決する発明が望まれていた。従って従来技術では、特に薄型化、軽量化を図った光ディスク装置において、図7のようなOPC領域でのサーボ安定性劣化に対応できず、OPC領域においてサーボ安定性が劣化するという課題があった。
【0084】
また、本実施例において、図5で示したトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rは、サーボゲインが低下する場合と比較して増加した場合の方が、サーボが不安定になりやすいことを示している。これは上述したような薄型化、軽量化、もしくは高倍速化を図った光ディスク装置を想定している。
【0085】
一方、本実施例の光ディスク装置は、図4で示したシーク動作時のフローチャートに従い、可変ゲイン302の値がΔGだけ変化させる。可変ゲイン302によるゲイン変更が有効になるのは再生パワーで既記録部を追従している場合であり、ΔGは負であることから、記録パワーと該記録パワーで記録された既記録部でのプッシュプル振幅の関係は、図5(b)の直線L’になる。
【0086】
この図5(b)からわかるように、OPC領域での既記録部でのトラッキングサーボのゲインは、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超えなくなる。この結果、図7のようなOPC領域再生時のサーボ安定性劣化を回避できる。
【0087】
なお、本実施例では記録パワーでの発光中はΔGのゲイン変更を無効とする構成とした。以下、本実施例のように記録パワーでの発光中にゲイン変更を無効とせずに、OPC領域へのシークで単純にサーボゲインを変更してしまう場合の問題点について説明する。
【0088】
例えば、図6で示したOPCのフローチャート中、ステップS601のOPC領域へシークでトラッキングサーボのゲインを変更してしまうと、シークが成功した後、ステップS602の記録時にもゲインが変化してしまう。
【0089】
しかし、本光ディスク装置の処理を実行する場合に問題となるのは、あくまで記録パワーが最適でない状態で記録された既記録部を、情報を再生する際に用いるレーザ発光パワーで通過した際のサーボゲインの変動である。仮に記録発光中にまで、サーボゲインを変更してOPCを実施してしまうと、記録発光中のサーボ残留誤差が変化し、その影響で記録品質も変わってしまう。そのため、最適な記録品質の評価ではなくなり、OPCの精度が劣化して最適記録パワーが求まらないという問題がある。従って、本光ディスク装置は、OPC実施中の記録発光時には未記録状態のトラックに対してレーザパワーを上げて情報の記録を行うのであり、サーボゲインは変更せずに、実際の記録発光と同一のサーボゲインで行う。
【0090】
なお、シークのリトライで変更したサーボゲインを、シーク成功をもって元に戻せばOPC精度の問題は回避できるが、ステップS604にて記録品質をチェックするためにOPCでテスト記録した領域を再生する際に、再度サーボが外れてしまうという問題点がある 。
【0091】
以上の理由から、OPC領域再生時のサーボ安定性劣化を解決するのに最適な構成は、記録パワーでの発光中や、再生パワーで未記録部を追従している際にはゲイン変更はされず、再生パワーで既記録部を追従している条件においてゲイン変更が有効になる構成であり、その一例が本実施例のトラッキング系ゲイン変更回路1034である。
【0092】
以上の動作により、実施例1による光ディスク装置は、OPC領域におけるサーボ追従性能を向上することができる。また、実施例1の光ディスク装置によると、記録パワーが最適でない状態で記録された既記録部を、情報を再生する際に用いるレーザ発光パワーで通過した際のサーボゲインの変動を抑制し、サーボ性能を向上することが可能となる。また、実施例1の光ディスク装置によると、サーボ性能を維持しつつ、装置の薄型化、軽量化を図ることが可能となる。また、実施例1の光ディスク装置によると、他の光ディスク装置によって過度の高パワーや低パワーで記録された結果、トラッキングゲインの上下幅が広がってしまった光ディスクに対しても、サーボ性能を向上させることが可能となる。
【実施例2】
【0093】
実施例2について、以下に説明する。
【0094】
実施例1では、OPC領域へのシークを契機として可変ゲイン302に設定する値を変更した。
【0095】
実施例2における光ディスク装置は、実施例1のようにOPC領域へのシークで必ずゲイン変更をするのではなく、例えば、OPC領域へのシークが失敗した後のリトライ動作において、トラッキングサーボのゲインを変更する構成を備えるものとする。
【0096】
図9は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0097】
実施例1のブロック図である図1と共通の構成要素については共通の符号を付し、説明を省略する。
【0098】
符号1040はトラッキング系ゲイン変更回路である。トラッキング系ゲイン変更回路1040は、システム制御回路1041の指示により総和信号SUM、及び記録状態判別回路107の出力するBLANK信号、動作状態信号生成回路1039の出力するRDWR信号に基づいて信号振幅を補正する。また、トラッキング系ゲイン変更回路1040は、補正された補正トラッキングエラー信号CTESがトラッキング制御回路1035に出力する。
【0099】
符号1041は、システム制御回路である。システム制御回路1041は、後述するシーク動作時の動作以外に関しては、実施例1におけるシステム制御回路1031と同等の制御を行う。
【0100】
次に、図10を用いて、本実施例のトラッキング系ゲイン変更回路1040の構成について説明する。実施例1におけるトラッキング系ゲイン変更回路と共通の構成要素については共通の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
符号305は第一の可変ゲインであり、NTES信号の振幅をシステム制御回路1041の指示に基づき増幅、もしくは減衰する。
【0102】
符号306は第二の可変ゲインであり、NTES信号の振幅をシステム制御回路1041の指示に基づき増幅、もしくは減衰する。
【0103】
符号307は第一のセレクタであり、BLANK信号の電圧レベルに応じて第一の可変ゲイン305の出力信号と第二の可変ゲイン306の出力信号のいずれかを選択して出力する。本実施例においては、第一のセレクタ307は、BLANK信号がHighレベルの時に図10におけるaの端子が選択されて第一の可変ゲイン305の出力信号を出力する。また、第一のセレクタ307は、BLANK信号がLowレベルの時に図10におけるbの端子が選択されて第二の可変ゲイン306の出力信号を出力するものとする。
【0104】
符号308は第二のセレクタであり、システム制御回路1031の出力するRDWR信号に基づいて第一のセレクタ307の出力信号と、第一の可変ゲイン305の出力信号のいずれかを選択してCTES信号として出力する。本実施例においては、第二のセレクタ308は、RDWR信号がLowレベルの時に図10におけるcの端子が選択されて第一のセレクタ307の出力信号を出力する。また、第二セレクタ308は、RDWR信号がHighレベルの時に図10におけるdの端子が選択されて第一の可変ゲイン305の出力信号を出力するものとする。
【0105】
かかるトラッキング系ゲイン変更回路1040の構成によれば、記録パワーでの発光中や、再生パワーで未記録部を追従している際は第二の可変ゲイン306によるゲイン変更が有効となり、再生パワーで既記録部を追従している条件において第一の可変ゲイン305によるゲイン変更が有効になる。
【0106】
次に、本実施例におけるシステム制御回路1041のシーク動作時の動作について説明する。図11はシーク動作実施時のシステム制御回路1041のフローチャートである。
【0107】
シーク動作を開始すると(ステップS1101)、システム制御回路1041はシークのリトライ回数をカウントするカウンタRetryNumを0にリセットするとともに、シークの実施時間を計測するタイマSeekTimerをリセットする(ステップS1102)。
【0108】
続いて、システム制御回路1041は、トラッキングサーボをオフする(ステップS1103)。次に、システム制御回路1041は、スライダ駆動の要否を判断する(ステップS1104)。S1104において、スライダ移動の必要があると判断した場合は(ステップS1104でYesの場合)、システム制御回路1041は、スライダ移動を実施させる(ステップS1405)。次に、システム制御回路1041は、シークの目標アドレスがOPC領域の範囲内であるかを判断する(ステップS1106)。
【0109】
一方、S1104において、スライダ移動の必要がないと判断した場合は(ステップS1104でNoの場合)、システム制御回路1041は、シークの目標アドレスがOPC領域の範囲内であるかを判断する(ステップS1106)。
【0110】
S1106において、目標アドレスがOPC領域の範囲内でなかった場合(ステップS1106でNoの場合)、システム制御回路1041は、後述する通常領域用リトライ配列に従い、シークリトライ回数RetryNumに応じて第一の可変ゲイン305の値を変更する(ステップS1107)。
【0111】
一方、S1106において、目標アドレスがOPC領域の範囲内でなかった場合(ステップS1106でYesの場合)、システム制御回路1041は後述するOPC領域用リトライ配列に従い、シークリトライ回数RetryNumに応じて第一の可変ゲイン305の値を変更する(ステップS1108)。
【0112】
ステップS1106もしくはステップS1107の後、システム制御回路1041は後述する通常領域用リトライ配列に従い、シークリトライ回数RetryNumに応じて第二の可変ゲイン306の値を変更する(ステップS1109)。
【0113】
S1109に続いて、システム制御回路1041は、トラック引き込みを実施し(ステップS1110)、トラック引き込みが正常に終了したかを判断する(ステップS1111)。S1111において、トラック引き込みが正常終了せずに失敗したと判断した場合(ステップS1111でNoの場合)、システム制御回路1041は、後述するリトライ処理に移行する(ステップS1119)。
【0114】
S1111において、トラック引き込みが正常終了したと判断した場合(ステップ1111でYesの場合)には、システム制御回路1041は、再生信号処理回路107の出力信号から現在のアドレス情報を取得する(ステップS1112)。続いて、システム制御回路1041は、現在のアドレスが正常に取得できたかを判断する(ステップS1113)。S1113において、現在のアドレスが正常に取得できずに失敗したと判断した場合(ステップ1113でNoの場合)、システム制御回路1041は、後述するリトライ処理に移行する(ステップS1119)。
【0115】
S1113において、現在のアドレスが正常に取得できたと判断した場合(ステップS1113でYesの場合)、現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内であるかどうかを判断する(ステップS1114)。
【0116】
S1114において、現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内でない場合(ステップS1114でNoの場合)、システム制御回路1041は、まずはシーク実施時間計測タイマSeekTimerが所定の値Tthより小さいかを判断する(ステップS1115)。S1115において、シーク実施時間計測タイマSeekTimerが所定の値Tth以上であれば(ステップS1115でNoの場合)、システム制御回路1041は、現在のリトライ条件ではシークは成功しないと予想して、後述するリトライ処理に移行する(ステップS1119)。
【0117】
S1115において、シーク実施時間計測タイマSeekTimerが所定の値Tthより小さい場合(ステップS1115でYesの場合)、システム制御回路1041は、トラックジャンプを実施し(ステップS1116)、トラックジャンプが正常に終了したかを判断する(ステップS1117)。S1117において、トラックジャンプが正常終了せずに失敗したと判断した場合(ステップ1117でNoの場合)、後述するリトライ処理に移行する(ステップS1119)。
【0118】
一方、S1117において、トラックジャンプが正常に終了したと判断した場合(ステップ1117でYesの場合)、ステップS1112に戻る。
【0119】
また、S1114において、現在のアドレスとシークの目標アドレスとの差分が所定のアドレス範囲内であれば(ステップS1114でYesの場合)、システム制御回路1041は、シーク動作を終了する(ステップS1118)。
【0120】
また、シーク中に異常を検出した場合には、ステップS1119にて、システム制御回路1041は、リトライ処理を行う。リトライ処理では、シークリトライ回数RetryNumに1を加算し、その後、ステップS1103に戻る。
【0121】
以上のフローチャートによれば、OPC領域以外へのシークのリトライでは、第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306は通常領域用リトライ配列に従い共通の値となる。一方で、OPC領域へのシークのリトライでは、第二の可変ゲイン306は通常領域用リトライ配列に従い設定されるものの、第一の可変ゲイン305に関してはOPC領域用リトライ配列に従い設定された上で、トラック引き込みが実施される。
【0122】
次に、ステップS1107及びステップS1108、ステップS1109において、可変ゲインに設定するゲインの値を決めるためのリトライ配列について、図12(a)(b)を用いて説明する。
【0123】
図12(a)は、本実施例における通常領域用リトライ配列である。設定ゲインは、シークリトライ回数RetryNumに応じて第一の可変ゲイン305または第二の可変ゲイン306に設定する値であり、RetryNum=0の行からわかるように、本実施例の第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306の初期値はともに0dBであるとしている。
【0124】
図12(a)によれば、本実施例におけるOPC領域以外のシークでは、1回目から3回目までのリトライ(RetryNum=1〜3)はゲインを変更せずに再度シークを実施し、次の3回のリトライ(RetryNum=4〜6)はゲインを2dB下げ、更に次の3回のリトライ(RetryNum=7〜9)はゲインを2dB上げる。このリトライ配列によれば、OPC領域以外へのシークでは、トラッキングサーボのゲインを最大で±2dB変化させてシークのリトライを実施する。
【0125】
これに対し、図12(b)は本実施例におけるOPC領域用リトライ配列を示す。
【0126】
図12(b)に示す設定ゲインは、OPC領域でのシークのリトライにおいて、再生パワーで既記録部を追従している条件において有効となる可変ゲイン305の値である。一方で、記録パワーでの発光中や、再生パワーで未記録部を追従している場合には、図12(a)の通常領域用リトライ配列が適用される。そこで図12(b)においてΔGrecは、再生パワーでトラックを追従している際の未記録部でのゲインGunrecと既記録部でのゲインGrecの差(即ち、ΔGrec=Grec−Gunrec)を示している。
【0127】
図12(b)によれば、本実施例におけるOPC領域へのシークが失敗した場合には、1回目のリトライ(RetryNum=1)はゲインを変更せずに再度シークを実施し、2回目のリトライ(RetryNum=2)では第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306を、ともに2dBゲインを減少する。3回目のリトライ(RetryNum=3)では、第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306を、ともに初期値に対して2dBゲインを増加する。
【0128】
更に失敗した場合、4回目のリトライは初期値に対して第一の可変ゲイン305のみを2dB下げた状態にする。この時、既記録部でのみゲインが2dB下がった状態になる。4回目のリトライ(RetryNum=4)以降、6回目のリトライ(RetryNum=6)までの3回のリトライでは、ΔGrec=−2dBである点が共通である。即ち、再生パワーで追従している場合、既記録部でのみゲインが2dB下がった状態になる。5回目のリトライ(RetryNum=5)では上記の関係を維持したまま、第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306をそれぞれ4回目のリトライ条件に対して2dB下げ、6回目のリトライ(RetryNum=6)では上記の関係を維持したまま、第一の可変ゲイン305及び第二の可変ゲイン306をそれぞれ4回目のリトライ条件に対して2dB上げる。
【0129】
更に7回目のリトライ(RetryNum=7)以降、9回目のリトライ(RetryNum=9)までの3回のリトライでは、ΔGrec=+2dBであり、再生パワーで追従している場合、既記録部でのみゲインが2dB上がった状態になる。その関係を維持した上で、同様にトラッキングサーボのゲインを変更するリトライ配列となっている。
【0130】
これによって、OPC領域の既記録部でトラッキングサーボのゲインが変動することと、シークのリトライでのゲイン変更を合わせたリトライが実施できる。即ち、例えばOPC領域の既記録部でのトラッキングサーボのゲインが2dB上がる場合には、既記録部についてのみトラッキングサーボのゲインを2dB下げた状態にするのが好ましく、シークのリトライではその状態から更にトラッキングサーボ系全体のゲインを最大で±2dB変化させることが望ましい。これは4回目のリトライ(RetryNum=4)以降、6回目のリトライ(RetryNum=6)までの3回のリトライで実施されている。このように、OPC領域へのシークのリトライでは、OPC領域は最適記録パワーでは記録されていないことを鑑みて、OPC領域以外へのシークのリトライよりもゲインを大きく変更することが望ましい。
【0131】
次に、本実施例の光ディスク装置が、サーボ特性をどのように改善するかについて、OPC処理についての説明を含めて記載する。また、以下の例では、DVD−Rを例に説明する。
【0132】
図13は、DVD−Rにおける、記録パワーと、該記録パワーで記録された既記録部でのトラッキングサーボのゲインの関係の一例を示す図である。以下、図13に示す特性の記録膜を有するDVD−Rに基づいて説明する。
【0133】
図13において範囲Rはトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲であり、範囲R2は、トラッキングサーボ系が安定条件を満たすためのゲイン変動に対する許容範囲である。即ち、ゲイン変動がR2の範囲を超えた場合にはサーボ系が制御不能になる。しかしながら、前述したようにトラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rは、サーボ系に加わる外乱成分のレベルが大きく隣接トラックに移動してしまう現象をも回避するための、ゲイン変動に対する許容範囲である。このため、範囲R2は範囲Rを包含する。
【0134】
図13に示すように、OPC領域において最高記録パワーPhighで記録された既記録部(A点)及び最低記録パワーPlowで記録された既記録部(B点)ともに、トラッキングサーボのゲイン変動に対する許容範囲Rを超える場合を考える。この場合、OPC領域の既記録部でのトラッキングサーボのゲインの変動は範囲R2の範囲に収まっているので、サーボ系は安定である。次に、サーボ系としての安定性が保たれていて発振には至らない状態であっても、サーボ系に加わる不安定周波数の外乱成分のレベルが大きいと、追従性能劣化が原因で隣接トラックに移動してしまう現象について考える。
【0135】
上述したように許容範囲Rは、光ディスクの規格で規定されているトラックの変位の最大振幅レベルに基づき決めている。実際の光ディスクは規格上限のトラック変位を有している訳ではないので、実際に隣接トラックに移動してしまうかどうかは、不安定周波数の外乱(トラック変位)の大きさで決まる。
【0136】
また、図13では実施例1と同様に、サーボゲインが低下する場合と比較して増加した場合の方が、サーボが不安定になりやすい例を示している。そのためB点よりもA点の方が範囲Rからは外れているが、必ずしも最高記録パワーで記録した既記録部(A点に相当)で隣接トラックに移動してしまう現象が起こるとは限らない。一方、最低記録パワーで記録した既記録部(B点に相当)を追従中にサーボ系に入力されるトラック変位成分に、図8でfz1として示した周波数のトラック変動成分が存在し、その振幅レベルが大きかった場合には、隣接トラックに移動してしまう可能性がある。
【0137】
そして、上記のA点でサーボ安定性劣化が起こる場合にはトラッキングサーボのゲインを減少することで改善するが、一方、上記のB点でサーボ安定性劣化が起こる場合にはトラッキングサーボのゲインを増加することで改善する。従って、図13の場合には、OPC領域に存在するトラック変位成分の周波数によって、トラッキングサーボのゲインを増加すべきか減少すべきかが異なる。
【0138】
このようなOPC領域へのシークを行う場合、実施例2の光ディスク装置は、実施例1のようにサーボゲインを減少させるだけでなく、シークのリトライでサーボゲインの増加も実施させる構成を備える。更に望ましくは、実施例2の光ディスク装置は、OPC領域以外へのシークのリトライよりもゲインを大きく変更する。以上を鑑み、本実施例の効果としては、図13のような場合にもOPC領域でのサーボ安定性劣化を改善できる。つまり、実施例2の光ディスク装置は、OPC領域の既記録部にトラッキングゲインが低い領域が存在して隣接トラックへの移動が発生し得るディスクに対しても、サーボ安定性劣化を抑制できる。
【0139】
また、本実施例は実施例1と異なり光ディスク101に記録されているメディアIDによらず、OPC領域用リトライ配列に従い可変ゲイン305の値を変更する動作とした。これによる効果としては、光ディスク装置が未知の媒体であっても、安定したサーボ性能を実現できることが挙げられる。
【0140】
また、実施例2の光ディスク装置は、図12(b)に示すように、2回目までのリトライまではゲインを変更しない。これにより、例えば、図13に示すディスクの特性以外の原因によってシークが失敗した場合にも対応することが可能となる。
【0141】
以上の動作により、実施例2による光ディスク装置は、OPC領域におけるサーボ追従性能を向上することができる。
【0142】
なお、実施例1では、OPC領域へのシークを契機として、既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを減少させる動作とした。トラッキングサーボのゲインを減少させる動作とした理由は上述したように、特に薄型化、軽量化を図った光ディスク装置においてサーボゲインが増加した場合の安定度が従来以上に低下する傾向があるからであるが、薄型化、軽量化を図らない光ディスクでは上記傾向は必ずしも当てはまらない。そのため、OPC領域へのシークを契機として、既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを増減する方向は、ゲインを減少する方向に限定されるものではない。
【0143】
また、実施例1では、サーボゲインが低下する場合と比較して増加した場合の方が不安定になりやすいサーボ系を例に、OPC領域へのシークを契機として、既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを減少させる動作とした。これは、OPC領域でのサーボ安定性劣化が起こるとすればゲインが増加したことで起こると予想できるためである。即ち、OPC領域へのシークを契機として、既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを増減する方向は、サーボ系がより安定になる(発振条件から遠ざかる)ゲイン増減方向と一致することが望ましい。
【0144】
また、実施例1では光ディスク101に記録されているメディアIDに基づき可変ゲイン302のゲイン変更量ΔGを決める動作とした。しかし、「既記録部再生中のトラッキングサーボのゲインを増減する方向は、サーボ系がより安定になるゲイン増減方向と一致することが望ましい」という考え方に基づけば、ゲイン変更量ΔGはサーボ特性に依存して、サーボ系の安定性が保たれる範囲で決定することができる。サーボ特性はディスク種別に応じて変わるので、ゲイン変更量ΔGはディスク種別に応じて変更する動作としてもよい。メディアIDによらない動作とすれば、光ディスク装置が未知の媒体であっても、安定したサーボ性能を実現できる。
【0145】
また、実施例2では、実施例1と異なり光ディスク101に記録されているメディアIDによらず、OPC領域用リトライ配列に従い可変ゲイン305の値を変更する動作とした。しかし、メディアIDによってOPC領域用リトライ配列を変更する動作としてもよい。または、メディアIDによってはOPC領域用リトライ配列を使用せず、OPC領域へのシークであっても通常領域用リトライ配列を使用する動作としてもよい。
【0146】
また、実施例2のリトライ配列では未記録部と既記録部のゲイン差ΔGrecについて、リトライ配列にΔGrec=−2dBの状態、ΔGrec=+2dBの状態の両方を含むとしたが、ΔGrec=−2dBのみ、もしくはΔGrec=+2dBのみを含むようにしてもよい。このように片方のみを含むとした場合には、図13の場合には対応できない可能性が残るものの、実施例1の説明で使用した図5の場合には既記録部におけるトラッキングサーボのゲインを下げるだけでも改善効果が得られるためである。
【0147】
また、以上の実施例では、規格によって既記録部プッシュプル振幅比が規定されているDVD−Rを例に説明した。しかし本発明が適用可能な光ディスクはDVD−Rに限定されるものではなく、また、規格によって既記録部プッシュプル振幅比が規定されていない光ディスクに対しても本発明は適用可能である。
【0148】
また、本発明は光ディスク装置のフォーカス制御に関しても、同様に適用可能であることは明らかである。
【0149】
さらに、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0150】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0151】
101…光ディスク、102…ピックアップ、103…信号処理回路、104…スピンドルモータ、105…サーボエラー信号生成回路、106…総和信号生成回路、107…再生信号処理回路、108…記録状態判別回路、109…アクチュエータ駆動回路、110…スピンドルモータ駆動回路、111…スライダモータ、112…スライダモータ、1021…レーザパワー制御回路、1022…レーザ光源、1023…コリメートレンズ、1024…ビームスプリッタ、1025…立上ミラー、1026…アクチュエータ、1027…対物レンズ、1028…集光レンズ、1029…光検出器、1031…システム制御回路、1032…FES振幅補正回路、1033…フォーカス制御回路、1034…トラッキング系ゲイン変更回路、1035…トラッキング制御回路、1036…スイッチ、1037…スライダ制御回路、1038…スピンドル制御回路、1039…動作状態信号生成回路、1040…トラッキング系ゲイン変更回路、1041…システム制御回路、201…除算器、301…除算器、302…可変ゲイン、303…第一のセレクタ、304…第二のセレクタ、305…第一の可変ゲイン、306…第二の可変ゲイン、307…第一のセレクタ、308…第二のセレクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに対してレーザ光を照射して情報の記録もしくは再生を行う光ディスク装置であって、
光スポットを光ディスク上に集光させる対物レンズと、
前記光ディスクからの反射光量に応じた電気信号を出力する光検出部と、
前記光検出手段の出力信号からサーボエラー信号を生成するサーボエラー信号生成部と、
前記光スポットが追従しているトラックが既記録であるか未記録であるかと、前記光ディスクに対して情報が記録されているか再生されているかとに応じて、前記サーボエラー信号に対するゲインを設定するゲイン設定部と、
前記ゲインが設定されたサーボエラー信号に基づきサーボアクチュエータを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記ゲイン設定部は、前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、レーザ光の発光パワーを調整するために前記光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際に設定するゲインを変更することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記所定の領域へのシークが失敗した後のリトライ動作において、前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、設定するゲインを変更することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記所定の領域へのシークが失敗した後のリトライ動作において、前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、設定するゲインを減少させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記光ディスクの任意のアドレスへのシークが失敗した後のリトライ動作においてゲインを変更し、
前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、シーク先が前記所定の領域である場合に限り前記ゲインの変更量を増加させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記光検出手段の出力信号から、前記光ディスクからの反射光の光量の総和信号を生成する総和信号生成部を備え、
前記総和信号の電圧レベルに応じてゲイン調整を実施するゲイン調整部と、を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記光ディスクに情報が記録されている場合には、レーザ光の発光パワーを調整するために前記光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際にゲインを変更しないことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記トラックが未記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、レーザ光の発光パワーを調整するために前記光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際にゲインを変更しないことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
前記所定の領域とは、OPC領域、またはPCA領域であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
光ディスクに対してレーザ光を照射して情報の記録もしくは再生を行う光ディスク装置であって、
光スポットを光ディスク上に集光させる対物レンズと、
前記光ディスクからの反射光量に応じた電気信号を出力する光検出部と、
前記光検出手段の出力信号からサーボエラー信号を生成するサーボエラー信号生成部と、
前記光スポットが追従しているトラックが既記録であるか未記録であるかと、前記光ディスクに対して情報が記録されているか再生されているかとに応じて、前記サーボエラー信号に対するゲインを設定するゲイン設定部と、
前記ゲインが設定されたサーボエラー信号に基づきサーボアクチュエータを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項1】
光ディスクに対してレーザ光を照射して情報の記録もしくは再生を行う光ディスク装置であって、
光スポットを光ディスク上に集光させる対物レンズと、
前記光ディスクからの反射光量に応じた電気信号を出力する光検出部と、
前記光検出手段の出力信号からサーボエラー信号を生成するサーボエラー信号生成部と、
前記光スポットが追従しているトラックが既記録であるか未記録であるかと、前記光ディスクに対して情報が記録されているか再生されているかとに応じて、前記サーボエラー信号に対するゲインを設定するゲイン設定部と、
前記ゲインが設定されたサーボエラー信号に基づきサーボアクチュエータを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を備え、
前記ゲイン設定部は、前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、レーザ光の発光パワーを調整するために前記光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際に設定するゲインを変更することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記所定の領域へのシークが失敗した後のリトライ動作において、前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、設定するゲインを変更することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記所定の領域へのシークが失敗した後のリトライ動作において、前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、設定するゲインを減少させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記光ディスクの任意のアドレスへのシークが失敗した後のリトライ動作においてゲインを変更し、
前記光スポットが追従しているトラックが既記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、シーク先が前記所定の領域である場合に限り前記ゲインの変更量を増加させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記光検出手段の出力信号から、前記光ディスクからの反射光の光量の総和信号を生成する総和信号生成部を備え、
前記総和信号の電圧レベルに応じてゲイン調整を実施するゲイン調整部と、を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記光ディスクに情報が記録されている場合には、レーザ光の発光パワーを調整するために前記光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際にゲインを変更しないことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記ゲイン設定部は、前記トラックが未記録であり、かつ、前記光ディスクから情報が再生されている場合には、レーザ光の発光パワーを調整するために前記光ディスク上に設けられた所定の領域へシークする際にゲインを変更しないことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
前記所定の領域とは、OPC領域、またはPCA領域であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
光ディスクに対してレーザ光を照射して情報の記録もしくは再生を行う光ディスク装置であって、
光スポットを光ディスク上に集光させる対物レンズと、
前記光ディスクからの反射光量に応じた電気信号を出力する光検出部と、
前記光検出手段の出力信号からサーボエラー信号を生成するサーボエラー信号生成部と、
前記光スポットが追従しているトラックが既記録であるか未記録であるかと、前記光ディスクに対して情報が記録されているか再生されているかとに応じて、前記サーボエラー信号に対するゲインを設定するゲイン設定部と、
前記ゲインが設定されたサーボエラー信号に基づきサーボアクチュエータを駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−170933(P2011−170933A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35554(P2010−35554)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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