説明

光ディスク装置

【課題】調整結果の精度を維持しつつ調整にかかる時間を短縮する光ディスク装置を提供する。
【解決手段】N個(N≧3、Nは整数)の記録層を有する光ディスクの記録層の配置に基づいて、調整処理を実施するA個(A≧1、A<N、Aは整数)の記録層を決定する。調整処理を実施しない残りのB個(B≧1、B<N、B=N−A、Bは整数)の記録層について、調整を行った他の記録層の調整結果の補正値と、記録層の板厚に基づいて、それぞれの記録層に対応するB個の補正値を計算する。各記録層において、調整処理によって補正値を求めるか、計算によって補正値を求めるかは、光ディスクにおける記録層の配置によって決定する。記録層の配置とは、記録層の板厚や記録層数などである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに代表される光情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う光ディスク装置に関し、特に複数の記録層を有する光ディスクに対して情報の記録または再生を行う光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に光ディスク装置では、ディスクの反りやクランピング誤差などから生じるレーザー光の光軸に対するディスクの傾き(以下、チルト)により、集光した光スポットにコマ収差が発生する。
【0003】
また、チルト調整に関する文献として、特許文献1がある。特許文献1に記載の発明は、複数の記録/再生層を持つ光ディスクの各層に対してレーザー光を照射することにより情報の記録又は再生が可能な光ディスク装置におけるチルト補正処理方法に関するものである。また、特許文献1には、例えば、その請求項1に、「前記レーザ光の光軸に対する前記光ディスクの記録/再生面の傾きであるチルト量を補正するチルト補正処理方法であって、前記複数層の内、前記レーザ光の照射側から最も遠い距離にある記録/再生層の所定の半径位置において、所定の範囲内においてチルト量を段階的に設定し、当該設定したチルト量に対して前記光ディスクから得られる所定信号の演算値に基づいて最適のチルト補正量を得、かつ、当該得られた最適チルト補正量を、前記レーザ光の照射側から最も遠い距離にある記録/再生層以外の他の記録/再生層においても適用することを特徴とする光ディスク装置のチルト補正処理方法。」との記載がある。
【0004】
さらに、チルト調整に関する文献として、特許文献2がある。特許文献2には、例えば、その請求項7に、「前記サーボパラメータ設定手段は、一つの記録面の分割された各領域についてチルト機構を調整し前記データ再生信号の振幅が最大となるチルト機構の調整値を記憶手段に記憶させ、他の記録面の調整値は既に調整した記録面の同じ領域の調整値に所定の値を加えるかまたは所定の計数を乗じた値とすることを特徴とする光ディスク記録再生装置」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4069087号公報
【特許文献2】特開2008−090911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題を説明する前に、まず、図2の模式図を用いてコマ収差について説明する。図2(a)のようにディスクのチルトがない場合は対物レンズによって集光されるレーザー光はディスクの記録層中にほぼ収差なく集光される。図2(b)のようにディスクのチルトがある場合は、記録層上の焦点にコマ収差が発生する。このコマ収差により情報の記録または再生動作において性能が劣化する。そのため、コマ収差の影響を補正するためのチルト補正機構を設ける必要があり、また、ディスクと装置の状態に対して適切なチルト補正量を検出するためのチルト調整処理も必要となる。
【0007】
次に、図3を用いて、従来のチルト調整の処理手順の例について説明する。図3(a)に調整の手順を示す。図3(a)において、ステップS102で収差補正機構109のチルト補正量を任意の値に設定し、ステップS103でジッター、エラーレート、再生信号振幅、Wobble信号振幅、トラッキング誤差信号振幅などのいずれかの指標となる物理量の計測を行う(図3ではジッターとして例示する)。ステップS104では、前記指標となる物理量をチルト補正量の関数として近似した場合(図3の例では二次関数として近似できる)に、図3(b)に示すように最小二乗法などでその最適点(図3の場合は二次関数の極値)を必要な精度で算出可能かを判定する。算出不可である場合はステップS102に戻り、異なるチルト補正量を設定し繰り返し指標値の測定を行う。ステップS104で算出可能であると判定された場合は算出された最適点のチルト補正量を最適なチルト補正量とする。
【0008】
次に、本発明の課題を説明する前に、球面収差について説明する。例えば光ディスクの一種であるBD(Blu−ray Disc)においては、高い開口数(NA)の対物レンズを使用することにより、ディスク基板厚の誤差に対する球面収差の影響が増加している。
【0009】
この球面収差について、図6の模式図を用いて説明する。図6(a)のような基板厚tを有する記録層上の焦点に対してレーザー光が集光するように球面収差の発生を抑えるような構成の光学系では、図6(b)のように基板厚がΔt変化した場合に対物レンズの外側と内側とで収差が生じる。光ディスクの製造ばらつきなどによって同種別の光ディスクであっても記録層の基板厚には数μm程度の誤差が生じる。このため、球面収差を補正する構造を有し、適切な補正量を設定することで球面収差の影響を低減する必要がある。また、基板厚の誤差に対して発生する球面収差の影響を低減するため、前述のチルト調整と同様に球面収差の調整を行う必要がある。そして、球面収差の調整は前述のチルト調整と同様に球面収差補正量を段階的に任意の回数設定し、それぞれの補正量について指標となる物理量を測定し、最小二乗法などにより極値を算出することで、最適な補正量とする方法がある。また、複数の記録層を持つ光ディスクに対しては各記録層における基板厚が異なるため、記録層ごとに異なる球面収差が発生する。そのため、各記録層において前記調整を実施し、球面収差を補正する必要がある。
【0010】
上述したように、複数の記録層を備える光ディスクについては、各層ごとに実際に調整処理を実行した上で補正値・調整値を得ることが望ましいパラメータがある。しかし、例えば、1層毎に最小二乗法を利用する等の調整処理を行うことは、処理時間の増大を招く。特に、処理時間の増大の問題は、3層以上の記録層を備える光ディスクにおいて顕著となる。
【0011】
これに対しては、特許文献1および2のように、ある層の調整値に基づいて他の層の調整値を求める方法がある。しかし、3層以上の記録層を有する光ディスクにおいては記録層の層間距離の増大や、記録層数増加により製造工程での誤差要因の増加等が考えられ、基板厚変化による収差変動の要因が増大する。このため単にある一層の調整値に基づいた補正演算では、他の層での適切な補正値を求められない場合がある。
【0012】
上述したように、処理時間の増大を防ぐ観点からは、より少ない層において再生信号や反射光を測定した上で調整値を求めることが望ましい。一方、調整値の精度を維持する観点からは、より多い層において、再生信号や反射光を実際に測定した上で調整値を求めることが望ましい。
【0013】
また、光ディスクの種類や規格によって、記録層の層数は、記録層と記録層との層間距離は異なる。また、各記録層の反射率や透過率も異なる場合もある。
【0014】
これに対して、本発明者は、どの記録層にて再生信号や反射光に基づいた調整処理を行い、どの記録層にて他の層の調整値を補正演算するかの問題については、光ディスク毎に異なるとの知見を得た。例えば、再生信号や反射光に基づいた調整処理を行う層と補正演算を行う層との距離が近いほど、演算によって得られる調整値の制度が高い場合が多い。
【0015】
本発明は、調整結果の精度を維持しつつ調整にかかる時間を短縮する光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的は、例えば、特許請求の範囲に記載の構成によって解決される。
【0017】
また、上記の目的は、以下示す手段によっても解決される。すなわち、本発明ではN個(N≧3、Nは整数)の記録層を有する光ディスクの記録層の配置に基づいて、調整処理を実施するA個(A≧1、A<N、Aは整数)の記録層を決定する。調整処理を実施しない残りのB個(B≧1、B<N、B=N−A、Bは整数)の記録層について、調整を行った他の記録層の調整結果の補正値と、記録層の板厚に基づいて、それぞれの記録層に対応するB個の補正値を計算する。
【0018】
各記録層において、調整処理によって補正値を求めるか、計算によって補正値を求めるかは、光ディスクにおける記録層の配置によって決定する。記録層の配置とは、記録層の板厚や記録層数などである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、光ディスクの構造に応じた記録層の選択と調整処理の省略により、調整結果の精度を維持しつつ調整にかかる時間を短縮する光ディスク装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】光ディスク装置の構成例を示す図
【図2】ディスクの傾きにより発生するコマ収差を模式的に示す図
【図3(a)】コマ収差を補正するための調整処理を示す図
【図3(b)】チルト補正量とジッターとの関係を示すプロット図
【図4】光ディスク装置の補正値取得処理を示すフローチャート
【図5】四つの記録層を有する光ディスクと商店誤差信号の関係を示す図
【図6】ディスク基板厚の変化により発生する球面収差を模式的に示す図
【図7(a)】球面収差を補正するための調整処理を示すフローチャート
【図7(b)】球面収差の補正量とジッターとの関係を示すプロット図
【図8(a)】四つの記録層を有する光ディスクにおける動作例を示す図
【図8(b)】四つの記録層を有する光ディスクにおける動作例を示す図
【図9(a)】三つの記録層を有する光ディスクにおける動作例を示す図
【図9(b)】三つの記録層を有する光ディスクにおける動作例を示す図
【図10】記録再生時の補正値の設定処理を示すフローチャート
【図11(a)】四つの記録層を有する光ディスクにおける動作例を示す図
【図11(b)】四つの記録層を有する光ディスクにおける動作例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて実施例について説明する。また、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1に本発明における実施の一形態を示す。
【0023】
図1において、101は片面からアクセス可能なN個(N≧3、Nは整数)の記録層を持つ光ディスクである。
【0024】
102はレーザー光をディスクの記録層に集光するための対物レンズである。
【0025】
103は対物レンズ102を駆動するための駆動手段である。
【0026】
104は光ディスクから反射されるレーザー光を受光する受光器である。
【0027】
105は受光器104により受光されたレーザー光からディスク上の焦点と記録層とのずれを示す焦点誤差信号を生成する誤差信号生成手段である。
【0028】
106は駆動手段102を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成手段である。
【0029】
107は駆動信号に応じて駆動手段103に駆動電圧を供給する駆動電圧供給手段である。
【0030】
108はレーザーである。
【0031】
109はディスク上の焦点の収差を補正する収差補正機構である。
【0032】
110は収差補正機構109を駆動して収差補正を行う収差補正制御手段である。
【0033】
111は制御手段である。例えば、制御手段は、CPU等の信号処理回路によって実装する。
【0034】
112は前記収差補正制御手段110によって前記収差補正機構109を駆動させながら最適となる収差補正機構109の補正値を調整する調整手段である。
【0035】
113は前記受光器104が受光した反射光から光ディスク101上に記録された情報を再生する再生手段である。
【0036】
114は前記誤差信号または再生された情報から光ディスク101上に存在する記録層の数を検出する記録層数検出手段である。
【0037】
115は記録層の距離情報を取得する距離情報取得手段である。
【0038】
116は各記録層における収差補正の補正値を記憶するための記憶手段である。記憶手段116は、例えば半導体メモリによって実装する。
【0039】
117は記憶手段116に記憶された補正値から他の記録層の補正値を算出する算出手段である。
【0040】
118は前記距離情報または前記記録層数情報に応じて任意の記録層において調整手段112と算出手段115のいずれかを選択して動作する処理動作選択手段である。
【0041】
119はレーザー108を変調してディスク101に所望の情報を記録するための記録手段である。
【0042】
図1において102から104、108、109で光ヘッド120を構成する。光ヘッド120はさらに119を含んでもよい。
【0043】
図1の装置は、対物レンズ102によってレーザー108から出射されるレーザー光を光ディスク101上に集光し焦点を生じる。
【0044】
なお、本光ディスク装置において、誤差信号生成手段105、駆動信号生成手段106、駆動電圧供給手段107、収差補正制御手段110、制御手段111、調整手段112、再生手段113、記録層数検出手段114、距離情報取得手段115、算出手段117、処理動作選択手段118、記録手段119は、例えば、単一のLSIやMPUによって実装するものとする。また、任意の手段を別のLSIによって実装してもよい。
【0045】
収差補正機構109は光ディスク101の傾き(チルト)などによって光ディスク101上に生じるレーザー光焦点におけるコマ収差の影響を補正するものであって、レーザー108から対物レンズ102の間のレーザーの光路中に配置される。コマ収差補正機構109の構成は対物レンズ102の角度を傾けるものでも、液晶などによりレーザー光束の収差分布を補正するものでも良い。本実施例においては例として収差補正機構109は対物レンズ102の角度を傾ける構成として以下説明する。
【0046】
調整手段112は例えば、前記公知例に記載の動作によって、一つの記録層における最適な補正量を求めるものである(以下、調整処理と呼ぶ)。
【0047】
本実施で示す例では、調整手段112は一つの記録層について複数回の収差補正機構109の設定と指標となる信号の測定を行い、最適となる収差補正機構109の設定値を導出できる。
【0048】
次に、図4のフローチャートを用いて、本実施例における光ディスク装置の補正値取得処理について説明する。
【0049】
まず、光ディスク101の光ディスク装置への挿入などによって処理が開始される(ステップS201)。
【0050】
次にステップS202では、記録層数検出手段114によって記録層数の取得を行う。ステップS203では、距離情報取得手段115によってステップS202で取得されたN個(N≧3、Nは整数)の記録層に対して、それぞれの記録層の距離情報を取得する。記録層の距離情報は、隣接する記録層間の距離でもよいし、ディスク表面などの基準となる位置から各記録層への距離でもよい。
【0051】
記録層数検出手段114は、例えば誤差信号生成手段105による誤差信号によって記録層の距離情報を取得する。図5のように、例えば4つの記録層を有するディスク101の表面から奥に向かってレーザー焦点が移動するように対物レンズ102を略一定の速度vで駆動したとき、誤差信号生成手段105によって生成される焦点誤差信号(フォーカスエラー信号ともいう)および総光量信号(プルインエラー信号ともいう)は図5に示すようになる。例えば、記録層を検出するため、焦点誤差信号に対して電圧閾値Vth1とVth2を設け、信号レベルがVth2→0→Vth1と順番に変化したときに記録層が一つ存在すると計測すれば、光ディスク101に存在するすべての記録層の数を検出することができる。
【0052】
なお、記録層数検出手段114の動作はこれに限ったものではなく、例えば図7の総光量信号などの他の信号によって記録層の数を検出しても良いし、光ディスク101に記録されたPICやDI等の管理情報を再生することでディスク中に存在する記録層の数を検出しても良い。
【0053】
また、距離情報取得手段115は、例えば、前記記録層数検出手段114と同様の方法で記録層の距離情報を取得できる。例えば図5の焦点誤差信号記録層を検出するための電圧閾値Vth1とVth2を設け、Vth1による信号検出タイミングとVth2による信号検出タイミングの真ん中に記録層を検出する。k番目(kは1〜Nの整数)の記録層が検出された時間をtとすると、k番目の記録層とh番目(k≠h、hは1〜Nの整数)の記録層との間隔はd(k,h)=(t−t)×vで表される。このようにして記録層間の距離情報を知ることができる。
【0054】
なお、電圧閾値Vth1、Vth2をディスク表面での信号レベル以下に設定し、ディスク表面の検出タイミングをt0とし、表面からk番目の記録層までの距離をd=(t−t)×vとして求めても良い。
【0055】
また、距離情報取得手段115の動作はこれに限ったものではなく、例えば図5の総光量信号などの他の信号によって記録層の数を検出しても良いし、光ディスク101に記録された管理情報を再生することで記録層の基板厚情報を検出しても良い。また、別の言葉で説明すると、距離情報取得手段115は、光ディスク101における各記録層の厚み方向の位置情報を取得する。
【0056】
また、例えばBlu−rayDiscなどの規格によって記録層数と記録層の標準的な配置の関係が規定されている場合には、記録層数Nを取得することで各記録層間の標準的な距離情報を決定することができる。
【0057】
また、ステップS202とステップS203の動作は同時に実施されても良い。この場合、上述した記録層検出手段114と距離情報取得手段115の動作を同時に行っても良い。
【0058】
ステップS204において、処理動作選択手段118が、前記記録層数情報および前記距離情報に基づき、光ディスク101のN個の記録層を調整手段112によって補正値を導出するA個(A≧1、A<N、Aは整数)の記録層(以下、a群の記録層)と、算出手段117によって補正値を導出するa群の記録層以外のB個(B≧1、B<N、B=N−A、Bは整数)の記録層(以下、b群の記録層)とに分類する。
【0059】
ここで、処理動作選択手段118が光ディスク101上のN個の記録層の物理的な配置によって記録層をa群とb群に分類する方法の一例を説明する。物理的な配置として記録層間の距離を用い、所定の閾値Dth(Dth>0)によって記録層の分類を行う。例えばi番目(i≦N、iは整数)の記録層とj番目(j≦N、j≠i、jは整数)の記録層との記録層間の距離d(i,j)がDth以下である場合、i番目の記録層で調整手段112による補正値の導出が行われていれば、i番目の記録層の補正値からj番目の記録層の補正値を計算可能であるとする。このとき逆の場合も考えられるので、i番目の記録層またはj番目の記録層のどちらか一方で調整処理を行えばよい。このような規則にしたがって、1〜N番目のすべての記録層において、調整手段112または算出手段117によって補正値が求められるように、N個の記録層をa群とb群に分類する。
【0060】
なお、閾値Dthは、光ヘッド120の構成、光ディスク101の有する記録層数N、光ディスク装置のサーボ制御の設計などによって決定される。
【0061】
また、記録層間の距離に対して閾値を設ける方法以外にも、記録層の並び順に関連して学習対象の記録層を決定しても良い。たとえば、隣接するm個(m≦i−1、m≦N−i、mは整数)以内のいずれかの記録層の調整手段112により導出された補正値を用いて補正値の算出が可能であるとすると、i番目の記録層で調整処理を実施すれば、i−m番目からi+m番目の記録層ではi番目の記録層での補正値と、i番目の記録層との距離を元にして補正値を決定することができる。
【0062】
上記のような規則によって処理動作選択手段118は、閾値Dth等の光ディスクの構造に基づいて、調整処理を実施するa群の記録層としてN個未満の記録層を選択する。かつ、光ディスクの構造に応じて、選択される層に最も奥側では無い第C層(1<C≦N、Cは整数)が含まれることになる。本光ディスク装置は、このような構成によって、N層全部に対して調整手段112によって補正値の導出をするよりも、調整のための時間を短縮することができる。また、本光ディスク装置は、例えば、最も奥の層以外の層でも調整手段112による補正値の導出をすることで、調整の精度を維持することが可能となる。
【0063】
そして、上記のような規則に従って、調整を実施する記録層の数が最も少なくなるよう(a群の記録層の数Aが最も少なくなるよう)に記録層を選択すると調整時間の短縮効率が増す。
【0064】
例として、図8のように第一の記録層801、第二の記録層802、第三の記録層803、第四の記録層804の計四つの記録層を持つ光ディスクが、それぞれ隣り合う記録層と10μmの間隔で配置されているディスクの場合を考える。例えば、このとき補正値の算出が可能な記録層間の距離Dthを15μmとすると、記録層間隔は10μmであるので隣り合う記録層の補正値によって補正値の算出が可能となる。このとき算出手段117による補正値の導出を行うb群の記録層(調整処理を行わない記録層)に隣接する記録層のうち少なくとも一つでは必ず調整処理を実施する、つまりb群の記録層に隣接する記録層のうち少なくとも一つが必ずa群の記録層となるように分類すればすべての記録層に対する補正値を求めることができる。このように、例えば、a群との記録層間の距離Dthに基づいて、b群を選択することにより、算出手段117に導出される補正値の精度を高く維持することが可能となる。
【0065】
前記条件に当てはまり、かつ最も調整回数が少なくなるように分類を行うと図8(b)の表に示すパターン1ないしパターン4の4通りが考えられる。このいずれかにしたがってa群の記録層では調整手段112によって補正値を導出し、b群の記録層では調整処理によって導出された隣接するa群の記録層の補正値を用いて算出手段117によって補正値を導出することですべての記録層に対する補正値を決定できる。
【0066】
なお、上述の例によっては、4つのパターンがある例を示したが、本光ディスク装置は、調整する層に、最初にフォーカスサーボを引き込む層を含むパターンを選ぶ構成としてもよい。この処理によって、さらに調整時間を短縮することが可能となる。つまり、最初にフォーカスサーボを引き込む層を調整手段112による導出を行う層に含めない場合、調整を実施するために他の記録層への焦点移動(フォーカスジャンプ)が必要となり、フォーカスジャンプを実施する総数が増大するため、調整時間が増大する可能性があるところ、最初にフォーカスサーボを引き込む層を含むパターンを選ぶことにより、調整時間の増大を抑制することが可能となる。最初にフォーカスサーボを引き込む層としては、例えば、第1の記録層801が該当する。
【0067】
また、調整する層に、管理情報が記録されている層を含むパターンを選ぶ構成としてもよい。この処理によって、さらに調整時間を短縮することが可能である。つまり、管理情報が記録されている層を調整手段112による導出を行う層に含めない場合でも、管理情報の再生のために管理情報が記録された層へのフォーカスジャンプが必要となる。このため、フォーカスジャンプの総数が増大する懸念があり、調整時間が増大する可能性がある。最初に管理情報が記録された層を含むパターンを選択することにより、調整時間の増大を抑制することが可能となる。ここで、管理情報とは例えば既存の光ディスクにおけるBCAやDIといったものになる。
【0068】
また、処理動作選択手段118は、光ディスク媒体の情報の管理手段として、メモリ(図示しない)を備えておいてもよい。そして、処理動作選択手段118は、装着した種類の光ディスクの種類と調整手段112による補正値の導出を行う層の層番号とを対応づけて予め記憶しておいてもよい。ここで、光ディスクの情報とは、光ディスクの製造業者、光ディスクの型番号、ロットを示す番号等である。
【0069】
ここで、図4に戻る。ステップS205において、処理動作選択手段118は、N個の記録層のうち一つの記録層を選択する。記録層の選択順は、例えばN個の記録層にそれぞれ1〜Nの番号を付けて区別し、記録層が対物レンズ側から見て奥側から番号順に並んでいるとするとき、1〜Nの番号順に選択する方法がある。また、1〜Nの記録層のうち、まず処理動作選択手段118により分類されたa群の記録層のみを優先的に選択しても良い。
【0070】
ステップS206では処理動作選択手段118は、選択された記録層についてその記録層が前記a群の記録層かb群の記録層であるかによって処理を分岐する。
【0071】
ステップS206において、a群の記録層である場合は、ステップS207に遷移して、駆動手段103は、対象の記録層に焦点位置を移動する。ステップS208では調整手段112によって記録層における最適な収差補正設定値を調整する。ここで、対象の記録層に焦点位置を移動する際、仮の補正値として算出手段117による計算に求められた補正値を設定しても良いし、あらかじめ定められた初期値を用いても良い。
【0072】
一方、b群の記録層の場合はステップS209に進み、算出手段117は選択された記録層における最適な収差補正値を計算によって導出する。
【0073】
次に、算出手段117による補正値の算出方法の一例を説明する。例えばi番目(i≦N、iは整数)の記録層における調整済みの補正値θからj番目(i≦N、|i−j|=1、jは整数)の記録層における調整結果θを算出する際には、光学系の倍率や記録層間の距離d(i, j)によって決まる係数k(i,j)を掛けることで換算を行う(θ = k(i,j)×θ)。ただし、算出手段117による補正値の算出は、元となる調整値(例えばθ)を求める調整手段112の調整精度と、距離情報(例えばd(i,j))を求める距離情報取得手段115の取得精度の二つの精度の影響を受けるため、調整手段112により補正値を求めるよりも精度は低くなる。
【0074】
算出手段117では、選択された記録層以外の他の記録層における収差補正調整値を必要とする。ステップS209の処理段階で計算に要する他の記録層の調整が未実施の場合は算出を実施しなくてもよい。また、ステップS205の対象記録層を決定する段階で、補正値が算出できない記録層については、選択しないように処理してもよい。
【0075】
次に、ステップS210では、ステップS208またはステップS209によって求められた対象の記録層における補正値を、記憶手段116が記憶する。このとき、補正値と記録層との対応が取れるように記憶を行う。たとえば、記録層番号1〜Nを補正値と関連付けてもよいし、あらかじめ1〜Nの記録層の補正値を記録する記憶領域のアドレス等を規定しても良い。また、補正値の導出を調整手段112で実施したか算出手段117で実施したかの情報を、補正値と対応付けて記録手段116に記憶してもよい。
【0076】
次に、ステップS211において、光ディスク装置は、例えば制御手段110の制御によって、光ディスク101におけるN個の記録層すべてについて、補正値が得られたか否かを示す情報を取得する。ステップS211において、補正値が導出済みの場合には、ステップS212に進んで処理を終了する。一方、補正値が導出されていない記録層がある場合は、ステップS205に戻り、補正値の導出されていない記録層のうち一つを選択して繰り返し処理を行う。
【0077】
なお、本実施例においては、処理動作選択手段118が記録層数NとN個の記録層の物理的な配置の情報の両方によって動作を選択する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、処理動作選択手段118は、Blu−rayDiscなどの規格によって記録層数によって記録層の標準的な配置が規定されている場合には記録層数Nを取得して動作を選択して良いし、記録層数Nのみを取得して板厚によらず記録層の並び順によってのみ動作選択を選択しても良い。
【0078】
また、図2に示すように、ディスクの基板厚さに比例してコマ収差は大きくなる。このため、ディスクのレーザー照射面から見てより奥に存在する記録層において、ディスク傾きに対する球面コマ収差の影響は大きい。したがって、調整処理を実施するにあたって、収差補正機構109の補正値の変動に対する指標値の変動量は奥に存在する記録層ほど大きくなる。これを考慮して、処理動作選択手段118は、より奥の記録層で優先的に調整処理を行うように記録層の選択を行っても良い。
【0079】
また、本実施では四つの記録層を有する光ディスクを例に挙げたが、記録層数はこれに限るものではない。例えば三つの記録層を有する光ディスクにおいて、図8と同様にDth=15とし、各記録層間の距離を10μmとした場合を例に挙げると、選択手段118による記録層の分類は図9に示されるパターンがある。調整処理の実施回数を優先して決定するならば、パターン2が選択される。最も端に存在する記録層で調整処理を実施する場合はパターン1を選択しても良い。このパターン1とパターン2との選択は、たとえば、処理動作選択手段118が、ユーザの操作に基づいて行ってもよい。また、例えば、ホスト装置(図示せず)から入力されるユーザの操作に基づいた信号によって選択してもよい。
【0080】
また、本実施では、すべての記録層に対する補正値の導出を一度に行う例を示したが、調整または算出を行うタイミングはこのとおりに限らない。例えば調整処理を実施するa群の記録層についてはあらかじめ補正値を求め、b群の記録層についてはその記録層に焦点の移動が必要になった際に逐次算出処理を行う方法が考えられる。
【0081】
また、導出された補正量の一部または全部を光ディスク101に記録してもよい。
【0082】
以上の説明では、光ディスク装置によるコマ収差の補正値取得処理について説明したが、コマ収差では無く、球面収差の補正値取得処理においても適用できる。以下、球面収差の補正値取得処理について説明する。
【0083】
ただし、球面収差の補正値取得処理においては、図1中の、収差補正機構109は、光ディスク101上に生じる焦点における球面収差を補正するものとする。また、収差補正機構109は、レーザー108から対物レンズ102の間のレーザー光路中に配置される。収差補正機構109の構成は、レーザー光路中に配置されたレンズ位置を駆動することで収差を補正するものでも、液晶などによってレーザー光束中の位相分布を変化させることで収差を補正するものでもよい。本実施例ではレンズ位置を駆動することで収差を補正する構成として以下説明する。
【0084】
また、球面収差の補正値取得処理について、その処理の大まかな流れは、コマ収差の補正値取得処理と同様に図4のフローチャートで示される。但し、ステップS208での調整処理、ステップS209での算出処理の詳細が異なる。
【0085】
ステップS208においては、調整手段112は、各記録層において収差補正機構109の設定を変化させながら指標となる信号を繰り返し測定することで、球面収差の影響が最も小さくなるような収差補正機構109の設定を導出する。
【0086】
ここで、図7のフローチャートとプロット図を用いて、球面収差の調整処理について説明する。
【0087】
図7(a)において、まず、ステップS301において調整処理が開始される。次に、ステップS302において、収差補正制御手段110は、球面収差補正機構109の球面補正量を任意の値に設定する。次に、ステップS303において、調整手段112および再生手段113は、ジッター、エラーレート、再生信号振幅、Wobble信号振幅、トラッキング誤差信号振幅などのいずれかの指標となる物理量の計測を行う(図7ではジッターとして例示する)。ステップS304では、調整手段112は、前記指標となる物理量を球面収差補正量の関数として近似した場合(図7の例では二次関数として近似できる)に、図7(b)に示すように最小二乗法などでその最適点(図7の場合は二次関数の極値)を必要な精度で算出可能かを判定する。ステップS304において、算出不可である場合はステップS302に戻り、異なる球面収差補正量を設定し繰り返し指標値の測定を行う。一方、ステップS304において、算出可能であると判定された場合は算出された極値を最適な収差補正量とする。
【0088】
なお、調整処理を実施するために対象の記録層に焦点位置を移動する際、光ディスク装置は、仮の補正値として算出手段117による計算に求められた補正値を設定しても良いし、あらかじめ定められた初期値を用いても良い。
【0089】
また、ステップS209においては、算出手段117によって選択された記録層における最適な収差補正値を計算によって導出する。
【0090】
ここで、図6を用いて、本実施における算出手段117の補正値の算出方法の一例を説明する。図6に「Ws∝Δt」と示すように各記録層に発生する球面収差量はディスクの基板厚の変化量に比例する。したがって、本実施においても算出手段117は、ディスクの基板厚が明らかであれば一つの記録層の補正量から基板厚に関連して他の記録層の球面収差補正量を算出できる。例えば、i番目の記録層で調整処理を実施し、調整結果として収差補正機構109の補正値(収差補正用レンズの位置)がXと求められたとき、i番目の記録層からd(i,j)だけ離れた距離にあるj番目の記録層における最適な球面収差補正量Xは、X=X+has×d(i,j)として算出できる。なお、ここで、係数has、は、光ディスク装置の光学系や光ディスクの材質などによって決まる係数である。算出手段117による補正値の算出は、元となる調整値(例えばX)を求める調整手段112の調整精度と、距離情報(例えばd(i,j))を求める距離情報取得手段115の取得精度の二つの精度の影響を受けるため、調整手段112により補正値を求めるよりも精度は低くなる。
【実施例2】
【0091】
以上の説明では、本光ディスク装置のコマ収差または球面収差の補正値取得処理について説明した。
【0092】
次に、本光ディスク装置の他の動作例について説明する。具体的には、N個の記録層を有する光ディスク101に対して、記録または再生要求などにより異なる記録層へ焦点制御が必要となった場合、当該の記録層への情報の記録または再生の実施前に行う補正値の設定動作例について説明する。
【0093】
ただし、この設定動作例の説明においては、図1中の、収差補正機構109は、コマ収差を補正する補正機構でもよいし、球面収差を補正する補正機構でも良いものとする。
【0094】
以下、図10に示すフローチャートを用いて、記録再生時の補正値の設定処理について説明する。
【0095】
記録または再生により、異なる記録層への焦点制御が必要となったとき、ステップS401により処理が開始される。
【0096】
ステップS402では、例えば、制御手段111が、焦点制御の対象となる記録層において補正値が決定しているかを確認する。
【0097】
ステップS402においてすでに補正値が決定している場合は制御手段111は、ステップS403に遷移して記憶手段116から設定値の情報を読み出す。その後、ステップS408において、制御手段111は、収差補正制御手段110を介して、補正値を収差補正機構109に設定し、処理を終了する。
【0098】
一方、ステップS402において、補正値が決定していない場合は、ステップS404に進み、対象の記録層における補正値が算出可能であるかを処理動作選択手段118によって判定する。
【0099】
本実施例における、処理動作選択手段118は光ディスク101上のN個の記録層の物理的な配置と記憶手段116に保存された他の記録層の補正値によって、対象の記録層における補正値を導出するための処理を選択する。
【0100】
下記に処理動作選択手段118の動作例を説明する。例えば光ディスク101上のN個の記録層に1〜N番まで番号をつけたとする。このとき、各記録層が対物レンズ102から見て光ディスク101の奥側より1番から番号順に配置されているとする。このとき物理的な配置として記録層間の距離を用い、所定の閾値Dth(Dth>0)を設ける。対象となる記録層をi番目(i>0,i≦N,iは整数)の記録層とするとき、i番目の記録層からDthの距離に存在する他の記録層のいずれかにおいて、調整手段112による補正値の導出が行われている場合はi番目の記録層においては算出処理117による補正値の導出が可能である。一方、i番目の記録層からDthの距離に存在する他の記録層のすべてにおいて、補正値が決定していないかまたは算出処理117によって補正値が導出されている場合には、i番目の記録層では補正値の算出は不可能とし、調整処理112による補正値の導出を行う。
【0101】
この処理の一例として、光ディスク101が図11(a)に示すディスクであった場合の処理について説明する。図11の光ディスク101は、4個の記録層が記録層間10umで配置された構造を有する。また、本例の処理においては、閾値Dthが15umであるものとする。このようなディスクにおいて、第三の記録層に焦点制御を移動する際の例を図11(b)の表に示した。図11(b)の表において、“未実施”はその記録層における収差補正値が導出されていないことを示し、“調整済”は調整手段112により補正値が導出されていること、“算出済”は算出手段117により補正値が導出されていることをそれぞれ示す。
【0102】
図11(b)中のパターンA、Bのように第三の記録層から15um以内の10um離れた第二の記録層および第四の記録層において”算出済”または”未実施“の状態であり、かつ第三の記録層では”未実施“の状態である場合、光ディスク装置は、第三の記録層への焦点移動時には調整手段112によって補正値を決定する(表中、”第三の記録層に移動時の動作“欄に”調整“で表記)。
【0103】
一方、表のパターンC、Dのように第三の記録層から15um以内の10um離れた第二の記録層または第四の記録層において“調整済”の状態の記録層が一つでも存在し、第三の記録層において“未実施”の場合には、光ディスク装置は、第三の記録層における補正値は算出手段117によって算出可能とする(表中、”第三の記録層に移動時の動作“欄に”算出“で表記)。
【0104】
なお、記録層間の距離は距離情報取得手段115によって取得できる。距離情報取得手段115の動作は実施例1と同様であり、説明を省略する。また、該距離情報を記憶手段116または距離情報取得手段115内に設けられた専用のバッファなどに保存して、記録層移動が必要となるたびに読み出されても良い。なお、閾値Dthは光ヘッド120の構成、光ディスク101の有する記録層数N、光ディスク装置のサーボ制御の設計などによって決定され、例示した数値に限定されるものではない。
【0105】
また、ステップS404において、補正値を算出手段117での演算による算出が可能ではない場合にはステップS405に進む。ステップS405においては、調整手段112によって収差補正値の調整を実施し補正値を導出する。調整手段112の動作は実施例1と同様である。
【0106】
一方、算出可能である場合にはステップS406に進み、算出手段117によって収差補正値の算出を行う。算出手段117の動作は実施例1と同様である。
【0107】
ステップS407では、ステップS405またはステップS406によって導出された収差補正値を記憶手段116に記憶する。
【0108】
ステップS408で収差補正機構109に補正値を設定し、手順は完了となる(ステップS409)。
【0109】
本実施例では処理動作選択手段118はN個の記録層の物理的な配置の情報によって動作を選択する例を示したが、例えばBlu−rayDiscなどの規格によって記録層数によって記録層の標準的な配置が規定されている場合には記録層数Nを取得して動作を選択して良いし、記録層数Nのみを取得して板厚によらず記録層の並び順によってのみ動作選択を選択しても良い。
【0110】
また、本実施では四つの記録層を有する光ディスクを例に挙げたが、記録層数はこれに限るものではない。例えば、3層の光ディスクでも5層以上の光ディスクでもよい。
【0111】
また、導出された補正量の一部または全部を光ディスク101に記録してもよい。
【0112】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0113】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0114】
101 光ディスク、
102 対物レンズ、
103 駆動手段、
104 受光器、
105 誤差信号生成手段、
106 駆動信号生成手段、
107 駆動電圧供給手段、
108 レーザー、
109 収差補正機構、
110 収差補正制御手段、
111 制御手段、
112 調整手段、
113 再生手段、
114 記録層数検出手段、
115 距離情報取得手段、
116 記憶手段、
117 算出手段、
118 処理動作選択手段、
119 記録手段、
120 光ヘッド、
801 第一の記録層、
802 第二の記録層、
803 第三の記録層、
804 第四の記録層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層から第N層までのN個(N≧3、Nは整数)の記録層を有する光ディスクに対して記録または再生を行う光ディスク装置であって、
レーザー光を発光する発光部と、
前記光ディスクからの反射されたレーザー光を受光する受光部と、
前記光ディスクのチルトまたは前記レーザー光の収差を補正する補正部と、
対象となる記録層から得られる反射光に基づいて当該記録層における前記補正部の補正量を取得する調整部と、
前記光ディスクの層構造を検出する検出部と、
前記光ディスクの層構造に応じてA個(A<N、Aは整数)の記録層を選択する選択部と、を備え、
前記調整部は、前記選択部に選択されたA個の記録層における前記補正量を取得することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記選択部は、第C層(1<C<N、Cは整数)を含むA個(A<N、Aは整数)の記録層を選択することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
対象の記録層における該補正量を他の記録層の補正量から求める算出部を備え、
前記算出部は、前記A個の補正量のうち一つ以上の補正量と記録層位置情報とに基づいて、前記調整部が補正量を取得しないB個(B=N−A)の記録層に対応するB個の補正量を算出することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
前記選択部は、前記調整部が補正量を取得しないB個(B=N−A)の記録層から距離D(D>0)の範囲内に調整を実施するA個の記録層のうち少なくとも一つ以上が存在するように記録層の選択を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
前記調整部が補正量を取得しないB個(B=N−A)の記録層に隣接して存在する記録層のうち少なくともどちらか一方は調整を実施するA個の記録層のいずれかとなるように選択を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
前記選択部はN個の記録層のうち、最も対物レンズに近い側と最も対物レンズに遠い側に存在する二つの記録層が調整を実施するA個の記録層に含まれるように選択を行う特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
前記選択部は、Aの数が最も少なくなるように記録層を選択することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクの層構造とは、前記光ディスクが有する記録層の数であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
前記光ディスクの層構造とは、前記光ディスクが有する記録層の前記光ディスクにおける厚み方向の位置であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
レンズに対向して配置された対物レンズと、
前記対物レンズを焦点方向に駆動する駆動部と、
前記受光部により受光されたレーザー光から前記焦点位置と記録層との焦点方向の位置関係を示す焦点誤差信号を生成する焦点誤差信号生成部を有し、
前記検出部は前記駆動部によって対物レンズを焦点方向に駆動した際の前記焦点誤差信号によって、前記光ディスクの層構造を検出することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の光ディスク装置であって、
前記検出部は光ディスク上から再生される管理情報に基づいて記録層数を検出すること特徴とする光ディスク装置。
【請求項12】
第1層から第N層までのN個(N≧3、Nは整数)の記録層を有する光ディスクに対して記録または再生を行う光ディスク装置であって、
レーザー光を発光する発光部と、
前記光ディスクからの反射されたレーザー光を受光する受光部と、
前記光ディスクのチルトまたは前記レーザー光の収差を補正する補正部と、
ある記録層から得られる反射光に基づいて当該記録層における前記補正部の補正量を取得する調整部と、を備え、
装着された光ディスクが第1層、第2層、第3層とを備える場合において、
前記補正部は、前記第n(n≦N−1、nは整数)層での補正量は、前記調整部にて取得される補正量とし、
前記第n+1層での補正量は、前記第n+1層と前記第n層との距離が所定値より大きい場合には前記調整部にて取得される補正量とし、前記n+1層と前記第n層との距離が所定より小さい場合には、前記第1層での補正量に基づいて取得される補正量とすることを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【公開番号】特開2011−76659(P2011−76659A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225854(P2009−225854)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】