説明

光ピックアップ装置、光ディスク装置

【課題】受光面の手前でビーム分割を行うことによって適正な分割受光のために要求される位置精度の緩和を図るようにした構成において、複数波長光の受光にあたり共通の受光部を利用可能とし、且つ分光による光のロスを低減してC/Nの改善を図る。
【解決手段】光ディスク記録媒体からの反射光を回折ではなく屈折により分光する。これにより、それぞれ波長の異なる光を同方向に分光することができ、結果、第1波長光・第2波長光の各光を共通の受光素子を用いて受光できる。波長ごとに異なる受光素子を設けずに済むことから、構成の簡略化、コスト削減が図られる。また、屈折による分光としたことで、HOEなどのブレーズホログラムを用いるよりも効率を高めることができ、分光によるC/N(搬送波対雑音比)の悪化を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、光ディスク記録媒体についての記録又は再生を行う光ディスク装置が備える光ピックアップ装置、及び光ディスク装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2010−146607号公報
【背景技術】
【0003】
光ディスク記録媒体(以下、単に光ディスクとも表記)について記録又は再生を行う光ディスク装置において、RF信号とDPD信号(DPD:Differential Phase Detection)等のトラッキングエラー信号とを共通の受光部による受光信号からそれぞれ生成するように構成されたものがある。
この場合の受光系では、トラッキングエラー信号の生成のため光ディスクからの反射光を分割受光、すなわち光束内の複数位置の光を分割して受光することになる。
【0004】
ここで、分割受光としては、光ディスクからの反射光を集光レンズにより例えば4分割ディテクタ等の分割ディテクタの中心部に集光させて行う手法が広く知られている(例えば図3Bを参照)。
しかしながらこの手法によると、適正な分割受光の実現のためには、分割ディテクタの中心と反射光の光軸とを正確に一致させる必要があり、その分、高い位置精度が要求されることになる。
【0005】
このような位置精度を緩和させてトレランスの向上を図るため、受光面の手前にビーム分割用のHOE(Holographic Optical Element)を設けて分割受光を実現する構成が提案されている(例えば図3Aを参照)。この構成では、反射光ビームの集光点(受光面に一致)の手前、すなわち当該反射光ビームの径が比較的大きい状態でビーム分割を行い、それら分割ビームの各々をそれぞれ対応するディテクタで受光する。このような構成によれば、HOEの取り付け位置の誤差が生じても、その誤差量と比較として受光面上でのビームの受光位置の誤差量を小さくすることができる。具体的に、HOE上でのスポットサイズと受光面上でのスポットサイズとの比率がN:1であるとすれば、HOE上での「1」のずれ量は、受光面上では「1/N」に縮小化できるものである。この結果、位置精度の緩和が図られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光ディスク装置としては複数の波長光に対応可能とされたものがある。例えばBD(Blu-ray Disc:登録商標)とDVD(Digital Versatile Disc)の双方に対応するなどの構成である。
【0007】
このような複数波長対応の構成では、上記HOEにそれぞれ波長の異なる光が入射されることになる。
しかしながら、HOEにおける回折については、その波長依存性のため、異なる波長の光に対して回折角や回折効率を同一とすることはできず、その結果、それら波長の異なるそれぞれの光については、その分光方向を一致させることが実質的に不可能となる。このため、それら波長の異なるそれぞれの光については共通のディテクタを用いた受光を行うことができず、波長ごとに別々の受光部を形成しなければならないものとなる。
この結果、部品点数の増加に伴うコストアップを招いたり、また小型化を図ることが困難となる等の問題が生じる。
【0008】
また、HOEとして用いるブレーズホログラムは、効率が比較的低く(つまり光のロスが比較的大きく)、その分、C/N(搬送波対雑音比)の悪化を助長しているものとなる。
【0009】
本技術は上記問題点に鑑み為されたものであり、その課題は、受光面の手前でビーム分割を行うことによって適正な分割受光のために要求される位置精度の緩和を図るようにした構成において、複数波長光の受光にあたり共通の受光部を利用可能とし、且つ分光による光のロスを低減してC/Nの改善を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決のため、本技術では光ディスク装置として以下のように構成することとした。
すなわち、本技術の光ディスク装置は、光ディスク記録媒体に対して第1の波長による第1波長光と第2の波長による第2波長光を照射するように構成された上で、入射光を屈折により複数方向に分光する分光部を備える。
また、上記分光部に対して、上記光ディスク記録媒体からの上記第1波長光の反射光と上記第2波長光の反射光とを互いの光軸を一致させた状態で入射させる光学系を備える。
また、上記分光部により分光された各光を受光する複数の受光素子を備えるものである。
【0011】
上記本技術によれば、光ディスク記録媒体からの反射光を回折ではなく屈折により分光するものとしたので、それぞれ波長の異なる光を同方向に分光することができる。この結果、第1波長光・第2波長光の各光を共通の受光素子を用いて受光することができる。
波長ごとに異なる受光素子を設けずに済むことから、構成の簡略化、コスト削減が図られる。
また、屈折による分光としたことで、HOEなどのブレーズホログラムを用いるよりも効率を高めることができ、分光によるC/N(搬送波対雑音比)の悪化を抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
上記のように本技術によれば、受光面の手前でビーム分割を行うことによって適正な分割受光のために要求される位置精度の緩和を図るようにした構成において、複数波長光の受光にあたり共通の受光部を利用可能とすることができる。これにより、波長ごとに異なる受光素子を設けずに済み、構成の簡略化、コスト削減が図られる。
また、分光にHOEなどのブレーズホログラムを用いる従来よりも、分光による光のロスを低減してC/Nの改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態の基となる光ディスク装置が備える光学系の構成を示した図である。
【図2】実施の形態の基となる光ディスク装置が備える信号生成系の構成を示した図である。
【図3】第1分光部による分光パターンと第1受光部による受光パターンとの関係を示した図である。
【図4】第2分光部の分光(回折)によって実現されるスポットサイズ法によるフォーカスエラー信号FEの生成手法の概要についての説明図である。
【図5】フォーカスエラー信号(スポットサイズ法)、レンズエラー信号、プッシュプル信号の生成を可能とするための第2分光部の分光パターンの例について説明するための図である。
【図6】第1の実施の形態の実施例1としての光ディスク装置の内部構成について説明するための図である。
【図7】HOEとしての第1分光部を用いた場合の分割受光の様子について説明するための図である。
【図8】迷光除去の観点において、マスク回折領域を光束中央部に配置することによる作用について説明するための図である。
【図9】第1の実施の形態の実施例1としての光ディスク装置が備える第1分光部について説明するための図である。
【図10】第1の実施の形態の実施例1としての光ディスク装置が備える第1分光部の具体的な構成例を示した図である。
【図11】金型作製をより容易とするための第1分光部の形状例(4分割の場合)を示した図である。
【図12】第1の実施の形態の実施例1に関する変形例について説明するための図である。
【図13】第1の実施の形態の実施例2としての光ディスク装置の内部構成について説明するための図である。
【図14】第1の実施の形態の実施例2としての光ディスク装置が備える第1分光部について説明するための図である。
【図15】第1の実施の形態の実施例2としての光ディスク装置が備える第1分光部の具体的な構成例を示した図である。
【図16】第1の実施の形態の実施例2としての光ディスク装置が備える第1受光部に形成される受光素子と各反射光の受光スポット位置との対応関係を示した図である。
【図17】金型作製をより容易とするための第1分光部の形状例(6分割の場合)を示した図である。
【図18】第1の実施の形態の実施例1の場合に3ビームを用いるとした場合の第1分光部と各ビームのスポット位置との関係と、第1受光部に形成されるべき各受光素子と各ビームの受光スポット位置との関係を示した図である。
【図19】第1の実施の形態の実施例2の場合に3ビームを用いるとした場合の第1分光部と各ビームのスポット位置との関係と、第1受光部に形成されるべき各受光素子と各ビームの受光スポット位置との関係を示した図である。
【図20】2層ディスクの場合に対応した迷光除去を行うためのマスク回折領域が形成された第2分光部の構成例を示した図である。
【図21】多層ディスクの場合に対応した迷光除去を行うためのマスク回折領域が形成された第2分光部の構成例について説明するための図である。
【図22】多層ディスク対応のマスク回折領域を設けた場合のフォーカスエラー信号の歪みについて説明するための図である。
【図23】第2の実施の形態の実施例1としてのフォーカスエラー信号の生成手法について説明するための図である。
【図24】第2の実施の形態としてのフォーカスエラー信号生成手法を採った場合におけるフォーカスエラー信号のS字波形の改善の様子について説明するための図である。
【図25】第2の実施の形態の実施例2としての信号生成手法について説明するための図である。
【図26】BD、DVD、CDの3波長に対応するとした場合の第2分光部の回折領域形成パターン(図26A)、及び第2受光部に形成される各受光素子と第2分光部による回折光の受光スポットとの位置関係(図26B)を示した図である。
【図27】回折領域Aと回折領域BBの位置関係、及び回折領域Bと回折領域AAの位置関係を反転させた場合における第2受光部の各受光素子と第2分光部による回折光の受光スポットとの位置関係を示した図である。
【図28】合波機能を与えられた積層プリズムを備える変形例としての光ディスク装置の内部構成について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術に係る実施の形態について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.実施の形態の基となる構成>
[1-1.光学系の構成]
[1-2.信号生成系の構成]
[1-3.分光・受光パターンと各種信号の具体的生成手法]
<2.第1の実施の形態>
[2-1.実施例1]
[2-2.実施例2]
<3.第2の実施の形態>
[3-1.従来のマスク回折領域とその問題点]
[3-2.実施例1]
[3-3.実施例2]
<4.変形例>
【0015】
<1.実施の形態の基となる構成>
[1-1.光学系の構成]

図1は、実施の形態としての光ディスク装置の構成に至る上でその基とした光ディスク装置の構成について説明するための図である。具体的に図1では、当該光ディスク装置が備える光ピックアップの内部構成を主に示している。
【0016】
先ず、図1には、光ディスク装置が記録又は再生の対象とする光ディスク100が示されている。ここで、光ディスク100は、例えばBD(Blu-ray Disc:登録商標)、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)などの光ディスク記録媒体とされる。ここで、光ディスク記録媒体は、円盤状の光記録媒体を意味し、光記録媒体とは、光の照射により信号の再生が行われる記録媒体を総称したものである。
【0017】
光ディスク100が再生専用のROMディスクとされる場合、記録面にはピット(エンボスピット)が断続的に形成されて情報が記録される。このようにピットが断続的に形成されて成るピット列が、記録トラックとして記録面上に例えばスパイラル状又は同心円状に形成される。
また、光ディスク100が記録可能ディスク(追記型及び書き換え可能型)とされる場合、記録面にはグルーブ(連続溝)によるトラックが記録面上にスパイラル状又は同心円状に形成される。
【0018】
光ピックアップ内には、光ディスク100に対し記録/再生を行うために照射されるべき光の光源となるレーザ1が備えられている。また、光ピックアップ内には、図のように複合レンズ2、積層プリズム3、コリメートレンズ4、1/4波長板5、対物レンズ6、アクチュエータ7、及び受光ユニット8が備えられている。
【0019】
複合レンズ2は、例えば透明樹脂が射出成形されることで形成されたものであり、図のように全体としては略直方体の形状を有し、且つその所定部位にレーザ1からのレーザ光を通過させるための貫通孔2Aが形成されている。
【0020】
貫通孔2Aを通過したレーザ光は、積層プリズム3に入射する。
この積層プリズム3は、例えば透明樹脂が複数の接合面を介してそれぞれ接合されて構成され、全体として略直方体状の形状を有する。
積層プリズム3の各接合面には、レーザ光を所定の透過率/反射率で透過/反射させる各膜が形成されている。具体的には、図中の偏光選択反射膜3A、半反射膜3B、全反射膜3Cである。
【0021】
レーザ1より出射され貫通孔2Aを介したレーザ光は、積層プリズム3における偏光選択反射膜3Aに入射する。
偏光選択反射膜3Aは、偏光状態に応じた透過率/反射率により入射光を透過/反射するように構成されている。具体的に本例では、P偏光を透過、S偏光を反射するように構成されているとする。
レーザ1側から入射した上記レーザ光は、当該偏光選択反射膜3Aにてその一部が透過し一部が反射する。
【0022】
偏光選択反射膜3Aを透過したレーザ光は、コリメートレンズ4によりそれまでの発散光の状態から平行光の状態となるように変換されて1/4波長板5に入射する。
そして、当該1/4波長板5を介したレーザ光は、アクチュエータ7により保持された対物レンズ6に入射し、これにより光ディスク100の記録面に集光するようにされる。
【0023】
アクチュエータ7は、対物レンズ6を光ディスク100の半径方向に平行な方向であるトラッキング方向(ラジアル方向)、及び光ディスク100に接離する方向であるフォーカス方向に変位可能に保持する。アクチュエータ7は、トラッキング駆動信号、フォーカス駆動信号に応じて対物レンズ6をトラッキング方向、フォーカス方向に変位させる。
【0024】
光ディスク100からの反射光は、対物レンズ6→1/4波長板5を介した後、コリメートレンズ4にて収束光に変換されて偏光選択反射膜3Aに入射する。
ここで、このようにコリメートレンズ4を介して入射する光ディスク100からの反射光(復路光)は、1/4波長板5による作用と光ディスク100(記録面)における反射時の作用とにより、その偏光方向が、レーザ1より出射され貫通孔2A→偏光選択反射膜3Aを介して出射されたレーザ光(往路光)の偏光方向に対して90°異なる(つまりこの場合はS偏光となる)。従って、上記反射光は偏光選択反射膜3Aにてほぼ100%反射され、図のように半反射膜3Bに導かれることになる。
【0025】
半反射膜3Bは、入射光を所定の割合で反射/透過する。
半反射膜3Bを透過した光は、全反射膜3Cに導かれ、当該全反射膜3Cにてほぼ100%反射される。
【0026】
全反射膜3Cにて反射された光は、複合レンズ2の上面側(積層プリズム3と対向する面側)に形成された第1分光部11’に入射する。
また半反射膜3Bにて反射された光は、同じく複合レンズ2の上面側に形成された第2分光部12’に入射する。
【0027】
第1分光部11’は、全反射膜3Cによる反射光を所定角度で分光する。この第1分光部11’としてはHOE(Holographic Optical Element)が用いられる。
なお、第1分光部11’による具体的な分光パターンについては後述する。
【0028】
また、第2分光部12’は、半反射膜3Bによる反射光を所定角度で分光する。ここで、第2分光部12’としてもHOEが用いられる。
なお、第2分光部12’による具体的な分光パターンについても後述する。
【0029】
受光ユニット8には、第1分光部11’により分光された各光を受光する複数の受光素子が形成された第1受光部13と、第2分光部12’により分光された各光を受光する複数の受光素子が形成された第2受光部14とが形成されている。
なお、これら第1受光部13、第2受光部14における受光素子の形成パターンについても後述する。
【0030】
[1-2.信号生成系の構成]

図2は、実施の形態の基となる光ディスク装置が備える信号生成系の構成を示した図である。
なおこの図では図1に示した第1受光部13、第2受光部14も併せて示している。
【0031】
図示するように第1受光部13による受光信号に基づいては、RF信号生成回路30によりRF信号が生成される。具体的には、第1受光部13に形成される複数の受光素子からの受光信号の和を計算することで、RF信号を得る。
【0032】
また、第1受光部13による受光信号に基づいては、DPD信号生成回路31によりDPD信号(DPD:Differential Phase Detection)が生成される。
【0033】
一方、第2受光部14による受光信号に基づいては、スポットサイズ法によるフォーカスエラー信号(FE)、レンズエラー信号(LE)、プッシュプル信号(PP)が生成される。
具体的に、フォーカスエラー信号FEについては、図中のフォーカスエラー信号生成回路32が第2受光部14に形成された複数の受光素子からの受光信号に基づき所定の計算を行って生成する。
同様に、レンズエラー信号LEについては、図中のレンズエラー信号生成回路33が第2受光部14に形成された複数の受光素子からの受光信号に基づき所定の計算を行って生成し、またプッシュプル信号PPについてはプッシュプル信号生成回路34が第2受光部14に形成された複数の受光素子からの受光信号に基づき所定の計算を行って生成する。
なお、これらフォーカスエラー信号生成回路32、レンズエラー信号生成回路33、プッシュプル信号生成回路34による具体的な信号計算の手法については後述する。
【0034】
[1-3.分光・受光パターンと各種信号の具体的生成手法]

図3Aは、第1分光部11’による分光パターンと第1受光部13による受光パターンとの関係を示した図である。
図示するように第1分光部11’によっては、入射光(全反射膜3Cによる反射光)が4方向に分光される。
この場合の第1受光部13は、図のように4分割ディテクタとされて、4つの受光素子が形成されている。第1分光部11’より分光出力される4つの光が、第1受光部13におけるそれぞれ対応する1つの受光素子により受光される。
【0035】
ところで、このような分割受光を実現するにあたっては、図3Bに示されるように、光ディスク100からの反射光を集光レンズ101により分割ディテクタとしての第1受光部13の中心部に集光させる手法が広く知られている。
しかしながらこの手法によると、適正な分割受光の実現のためには分割ディテクタの中心と反射光の光軸とを正確に一致させる必要があり、その分、高い位置精度が要求されることになる。
【0036】
図3Aのように受光面の手前で反射光を分光する構成としているのは、このような位置精度の緩和を図るためである。
すなわち、前述のように第1分光部11’を配置して受光面の手前で反射光を分光してこれらを各受光素子で受光する構成とすれば、仮に第1分光部11’の取り付け位置の誤差が生じても、その誤差量と比較として受光面上でのビームの受光位置の誤差量を小さくすることができる。具体的に、第1分光部11’上でのスポットサイズと受光面上でのスポットサイズとの比率がN:1であるとすれば、第1分光部11’上での「1」のずれ量は、受光面上では「1/N」に縮小化できるものである。この結果、位置精度の緩和が図られる。
【0037】
図4は、第2分光部12’の分光(回折)によって実現されるスポットサイズ法によるフォーカスエラー信号FEの生成手法の概要についての説明図である。
先ず前提として、第2分光部12’としてのHOEは、シリンドリカルレンズとしての機能を有するように構成されており、これによりその回折光のタンジェンシャル方向(光ディスク100に形成されるトラックの長手方向に相当する方向)における焦点位置を変化させることができるようにされている。具体的には、図のように+1次光のタンジェンシャル方向の焦点位置を受光面よりも奥側とし、また−1次光のタンジェンシャル方向の焦点位置を受光面よりも手前側とするようにされている。
この場合のスポットサイズ法では、このように第2分光部12’から出力される+1次光と−1次光とを個別に受光し、それらの受光スポットサイズを比較することでフォーカスエラー信号FEを得るようにされる。
【0038】
図4において、図4Bは、対物レンズ6を介して光ディスク100に照射されるレーザ光が記録面に対して合焦している状態における第2受光部12’による回折光(±1次光)の様子を示し、図4Eは図4Bに示す状態での+1次光、−1次光の受光スポットの様子を示している。
また、図4Aは、対物レンズ6を介して光ディスク100に照射されるレーザ光の焦点位置が記録面よりも奥側に位置している状態における第2受光部12’による±1次光の様子を示し、図4Dは図4Aに示す状態での+1次光、−1次光の受光スポットの様子を示している。
また図4Cは、対物レンズ6を介して光ディスク100に照射されるレーザ光の焦点位置が記録面よりも手前側に位置している状態における第2受光部12’による±1次光の様子を示し、図4Fは図4Cに示す状態での+1次光、−1次光の受光スポットの様子を示している。
【0039】
先ず図4Bに示されるように、この場合、第2受光部12’は、レーザ光が記録面に対して合焦状態にあるときに、その+1次光のタンジェンシャル方向の焦点位置が受光面よりも奥側、−1次光の焦点位置が受光面よりも手前側となるように設計されているとする。
また、図4Bに示す合焦状態では、図4Eに示すように、第2分光部12’の+1次光、−1次光の受光スポットサイズは同じとなるようにされる。換言すれば、第2分光部12’としては、このように合焦状態での+1次光、−1次光の受光スポットサイズが同じとなるように設計されているものである。
【0040】
図4Aに示す状態、すなわち焦点位置が記録面よりも奥側にある状態では、図4Dに示すように、+1次光の受光スポットは図4Eの合焦状態よりも縮小し、逆に−1次光の受光スポットは図4Eの合焦状態よりも拡大することとなる。
一方、図4Cに示す状態、つまり焦点位置が記録面よりも手前側にある状態では、図4Fに示すように、+1次光の受光スポットは図4Eの合焦状態よりも拡大し、−1次光の受光スポットは図4Eの合焦状態よりも縮小することになる。
【0041】
この場合のスポットサイズ法では、+1次光の受光スポットサイズと−1次光の受光スポットサイズとの差分、つまりは+1次光の受光信号と−1次光の受光信号の差分を計算することで、フォーカスエラー信号FEを得る。
例えば具体的に、+1次光の受光信号をD_p1、−1次光についての受光信号をD_m1とし、フォーカスエラー信号FEを

FE=D_p1−D_m1

により求める。これによれば、図4Bの合焦状態ではFE=0、図4Aに示す奥側デフォーカス時にはFE=+、図4Cの手前側デフォーカス時にはFE=−という結果が得られるものとなり、適正なフォーカスエラー信号が生成されることが分かる。
【0042】
なお、受光面手前に配置されたHOEにシリンドリカルレンズ効果を与えてスポットサイズ法によるフォーカスエラー信号を生成する技術に関しては、先に掲げた特許文献1などにも開示されている。
【0043】
ここで、先の図2を参照して分かるように、本例では、第2分光部12’を用いた分割受光により、上記のようなスポットサイズ法によるフォーカスエラー信号FEの生成と共に、レンズエラー信号LE及びプッシュプル信号PPの生成も行うようにされる。
以下、これらフォーカスエラー信号FE、レンズエラー信号LE、プッシュプル信号PPの生成を可能とするための第2分光部12’の分光パターンの例を、図5を参照して説明する。
【0044】
先ず図5において、この場合の第2分光部12’の分光パターンは、図5A〜Cの各図に示されている。
具体的に、この場合の第2分光部12’は、タンジェンシャル方向に沿った分割線によりラジアル方向に大きく2分割されている。そして、これらラジアル方向に分割された2つの領域が、さらにラジアル方向に沿った分割線によりそれぞれ2つの領域に分割されている。つまり、この場合の第2分光部12’は計4つの領域に分割されているものである。
【0045】
ここで、図5A〜Cでは、第2受光部12’において形成される光ディスク100からの反射光のスポットSpを表すと共に、当該スポットSp内における光ディスク100からの±1次光の重畳領域をスクリーンにより表しているが、上記のラジアル方向の分割線は、当該分割線によりタンジェンシャル方向において形成される2つの領域のうち一方の領域がこのようなスポットSp内の±1次光の重畳領域に重ならない領域となるように設定されている。
ラジアル方向に2分割された領域のうちの一方の領域について、上記分割線により形成された上記±1次光の重畳領域が重なる方の領域を「A」(回折領域A)、該重畳領域が重ならない方の領域を「BB」(回折領域BB)とおく。また、ラジアル方向に2分割された領域のうちの他方の領域について、上記重畳領域が重なる方の領域を「AA」(回折領域AA)、上記重畳領域が重ならない方の領域を「B」(回折領域B)とおく。
本例の場合、上記重畳領域が重ならない回折領域B、回折領域BBについては、図のように上下対称の位置に形成されるものとしている。そしてこれに伴い、回折領域A、回折領域AAについても、これらが上下対称の位置に形成されるものとなっている。
【0046】
上記の前提を踏まえた上で、レンズエラー信号LE、プッシュプル信号PP、及びフォーカスエラー信号FEの具体的生成手法について説明する。
先ず、上記で触れた図5A、図5B、図5Cでは、第2受光部12’の分光パターンを示すと共に、対物レンズ6のレンズシフトに起因した第2受光部12’とスポットSpとの位置関係の変化の様子を表している。
具体的に、図5Aは、レンズシフトがトラッキング方向(ラジアル方向)における一方の方向に生じた場合のスポットSpと第2分光部12’との位置関係を示し、図5Cは、レンズシフトがトラッキング方向における他方の方向に生じた場合のスポットSpと第2分光部12’との位置関係を示している。図5Bは、レンズシフトが生じていない理想状態におけるスポットSpと第2分光部12’との位置関係を示すものである。
【0047】
また図5Dは、第2分光部12’より出力される+1次光と−1次光の光束の様子(タンジェンシャル方向の断面)を示している。
【0048】
また、図5Eでは、第2受光部14上の受光素子の形成パターンの例を示している。
図5Eにおいて、第2受光部14上に形成される受光素子としては、大きく分けて、第2分光部12’(各回折領域)からの+1次光を受光するための受光部(以下、+1次側受光部D_p1と総称する)と、−1次光を受光するための受光部(−1次側受光部D_m1と総称する)とが形成される。
この場合、+1次側受光部D_p1としては、図のように受光素子D_p1Mll、D_p1Zll、D_p1Nll、D_p1Mlr、D_p1Zlr、D_p1Nlr、D_p1Mr、D_p1Zr、D_p1Nrが形成されている。
また−1次側受光部D_m1としては、図のように受光素子D_m1Ml、D_m1Zl、D_m1Nl、D_m1Mr、D_m1Zr、D_m1Nrが形成される。
【0049】
ここで、図5Eにおいては、第2分光部12’に形成される各回折領域からの回折光の受光スポットを示している。
各受光素子Dとこれに受光される回折光との関係は下記の通りである。なお下記において、「上部」「下部」は、第2分光部12’の分光パターンを示す図5A〜図5Cを基準としたものである。
また、−1次光側については、図5Dに示すように手前側焦点となる関係から回折光の位置関係が光軸を基準として点対称に上下左右が入れ替わることに注意が必要である。

[+1次光側]
D_p1Mll・・・Aの上部
D_p1Zll・・・Aの下部
D_p1Nll・・・Aの下辺部(少量)
D_p1Mlr・・・AAの上辺部(少量)
D_p1Zlr・・・AAの上部
D_p1Nlr・・・AAの下部
D_p1Mr・・・B
D_p1Zr・・・無し
D_p1Nr・・・BB
[−1次光側]
D_m1Ml・・・BB
D_m1Zl・・・無し
D_m1Nl・・・B
D_m1Mr・・・Aの下辺部(少量)&AAの下部
D_m1Zr・・・Aの下部&AAの上部
D_m1Nr・・・Aの上部&AAの上辺部
【0050】
ここで、スポットSp内において、前述した光ディスク100からの±1次光の重畳領域は、光ディスク100に形成されるトラックとレーザ光のスポット位置とのずれ量を反映した信号が得られる領域となる。これは換言すれば、当該重畳領域と重ならないように設定された回折領域B、回折領域BBに対しては、このようなトラックに対するずれ量を表す成分が殆ど反映されない光が入射するということを意味する。
従って、これら回折領域B、BBへの入射成分は、レンズエラー信号LEの検出に好適に用いることができる。
【0051】
ここで、図5Bを参照すると、レンズシフトの無い理想状態では、光ディスク100からの±1次光の重畳領域と重ならない回折領域B、回折領域BBに対する入射光量はほぼ等しいものとなっていることが分かる。
これに対し、図5Aに示す一方向へのレンズシフトが生じた場合には、図5Bに示す理想状態との比較で、回折領域BBに入射する光量が大となり、回折領域Bへの入射光量が小となる。
また、図5Cに示す他方向へのレンズシフトが生じた場合、逆に回折領域BBに入射する光量が小となり、回折領域Bへの入射光量が大となる。
【0052】
これらの点を踏まえ、本例ではレンズエラー信号LEを下記[式1]により求めるものとしている。ただし、当該[式1]を始め以下に示す各式において、p1Mll、p1Zll、p1Nll、p1Mlr、p1Zlr、p1Nlr、p1Mr、p1Zr、p1Nr、m1Ml、m1Zl、m1Nl、m1Mr、m1Zr、m1Nrは、それぞれ受光素子D_p1Mll、D_p1Zll、D_p1Nll、D_p1Mlr、D_p1Zlr、D_p1Nlr、D_p1Mr、D_p1Zr、D_p1Nr、D_m1Ml、D_m1Zl、D_m1Nl、D_m1Mr、D_m1Zr、D_m1Nrによる受光信号を表すものである。

LE={(p1Mll+p1Mlr+p1Nr)−(p1Nll+p1Nlr+p1Mr)}・・・[式1]
【0053】
また、プッシュプル信号PPについては、下記[式2]により求めるものとしている。

PP={(p1Mll+p1Zll+p1Nll+p1Nr)−(p1Mlr+p1Zlr+p1Nlr+p1Mr)}
・・・[式2]
【0054】
またフォーカスエラー信号FEについては下記[式3]により求めるものとしている。

FE={(m1Ml+m1Mr+m1Nl+m1Nr+p1Zll+p1Zlr+p1Zr)
−(m1Zl+m1Zr+p1Mll+p1Mlr+p1Mr+p1Nll+p1Nlr+p1Nr)} ・・・[式3]
【0055】
先の図2に示したフォーカスエラー信号生成回路32は上記[式3]、レンズエラー信号生成回路33は上記[式1]、プッシュプル信号生成回路34は上記[式2]に従ってそれぞれフォーカスエラー信号FE、レンズエラー信号LE、プッシュプル信号PPを生成する。
【0056】
以上で説明したように、第1分光部11’を用いた分割受光によるRF信号及びDPD信号の生成、及び第2受光部12’を用いた分割受光によるフォーカスエラー信号FE(スポットサイズ法)、レンズエラー信号LE、プッシュプル信号PPの生成が実現される。
【0057】
なお、レンズエラー信号LEについては、少なくとも回折領域Bと回折領域BBのスポットサイズを比較するものとして計算されればよく、その計算式は[式1]に限定されるべきものではない。
また、レンズエラー信号LE及びプッシュプル信号PPについては、+1次光側の受光信号のみを用いて生成するものとしたが、もちろん、−1次光側の受光信号を用いて(±1次光の双方を用いる場合も含む)生成することもできる。
また、スポットサイズ法によるフォーカスエラー信号FEについては、タンジェンシャル方向に拡大/縮小するスポットサイズを対比するものとして計算されればよく(先の図4を参照)、その計算式は[式3]に限定されるべきものではない。
【0058】
<2.第1の実施の形態>
[2-1.実施例1]

上記の前提を踏まえた上で、以下、本技術に係る各実施の形態について説明していく。
先ずは第1の実施の形態として、RF信号及びDPD信号の生成に用いられる第1分光部側の実施例について説明する。
【0059】
図6は、第1の実施の形態の実施例1としての光ディスク装置の内部構成について説明するための図である。
なお、以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
また以下の説明において、RF信号及びDPD信号を生成するための構成(RF信号生成回路30、DPD信号生成回路31)については、特に断りが無い限り図2に示したものと同様となるため改めての図示による説明は省略する。
【0060】
第1の実施の形態の実施例1としての光ディスク装置は、先の図1に示した光ディスク装置と比較して、DVDの規格に準拠したレーザ光(波長650nm程度)を照射するための光学系が追加される共に、複合レンズ2において、第1分光部11’に代えて第1分光部11が設けられた点が異なる。
この場合、レーザ1は、BDの規格に準拠したレーザ光(波長405nm程度)を発光するものとされる。なお、この意味で以下、レーザ1についてはBDレーザ1と表記する。
【0061】
図6において、DVD用のレーザ光を照射するための構成として、DVDレーザ20及びダイクロイックプリズム21が設けられる。
図のようにダイクロイックプリズム21はBDレーザ1と複合レンズ2との間に配置され、その波長選択面により、BDレーザ1から出射されたレーザ光(以下、BD用レーザ光とも表記)とDVDレーザ20から出射されたレーザ光(DVD用レーザ光とも表記)とを光軸を一致させて出力する。
具体的に、この場合のダイクロイックプリズム21はBD用レーザ光と同波長帯の光を透過し、それ以外の波長による光を反射するように構成されており、上記波長選択面を透過するBD用レーザ光と上記波長選択面で反射されたDVD用レーザ光とをそれらの光軸を一致させるようにして出力する。
【0062】
光ディスク100としてBDが装填されこれに応じBDレーザ1が点灯された場合における光ディスク100への照射光、及び光ディスク100からの反射光の光路については図1にて説明したものと同様となる。
DVDが装填され、DVDレーザ20が点灯された場合、当該DVDレーザ20からのDVD用レーザ光は、ダイクロイックプリズム21で反射された後、複合レンズ2(前述した貫通孔2A)に入射する。複合レンズ2に入射した以降のDVD用レーザ光の光路については、BD用レーザ光の場合と同様となるので重複説明は避ける。
【0063】
なおこの場合、第2分光部12’にはBD用レーザ光の反射光とDVD用レーザ光の反射光とが入射することになるが、HOEとしての第2分光部12’に対し異波長の光が入射された場合は、これらの光について回折角がそれぞれ異なることになる。
このため、この場合の第2受光部14には、BD用レーザ光の反射光を受光するための先の図5Eに示した各受光素子と共に、DVD用レーザ光の反射光を受光するための図5Eと同様の各受光素子を別途形成することになる。
なお、DVD用レーザ光の反射光についても、これに基づきレンズエラー信号LE、フォーカスエラー信号FE、プッシュプル信号PPを生成するとした場合、それらの計算式は例えば先の[式1]〜[式3]に示したものと同様とすればよい。
【0064】
ここで、図1に示した光ディスク装置においては、第1分光部11’として、HOEとしての回折素子による分光部を設けるようにされていた。
【0065】
図7は、HOEとしての第1分光部11’を用いた場合の分割受光の様子について説明するための図である。なお図7においては、第1受光部11’上に形成される光ディスク100からの反射光のスポットをスポットSpと表記している。
この図7に示されるように、従来の第1分光部11’は、回折領域11’A、11’B、11’C、11’Dの4つの回折領域が形成されたものとなる。すなわち、これら4つの回折領域により、光ディスク装置からの反射光ビームを4方向に分光し、RF信号・DPD信号の生成のための分割受光を可能とするものである。
【0066】
ここで、この場合の第1分光部11’には、その中央部において、光ディスク装置からの反射光ビームの中央部の光を回折により第1受光部13以外の場所に飛ばす(つまりマスク効果を得る)ための回折領域11’E(マスク回折領域)が形成されている。
このような中央部の回折領域11’は、光ディスク100として記録層を複数有するディスクが装填された場合に生じるとされる迷光(記録や再生の対象としている記録層よりも手前側の記録層からの反射光)が受光されてしまうことによるC/Nの悪化を抑制するために設けられたものとなる。
【0067】
図8は、迷光除去の観点において、マスク回折領域を光束中央部に配置することによる作用について説明するための図である。
先ず前提として、記録再生対象の記録層と迷光の発生元となる他の記録層との形成位置は異なるため、対象記録層からの反射光と迷光とには焦点位置の差が生じる。具体的に、迷光の焦点位置は、第1分光部11’が配される位置の近傍となる。
【0068】
マスク回折領域11’Eの形成位置を光束中央部とするのは、第1分光部11’の配置面近傍において、比較的浅い角度で入射する迷光(図中JやK)の受光量が、比較的深い角度で入射する迷光(図中LやM)の受光量に比して大となることを考慮してのことである。
マスク回折領域11’Eを光束中央部に配置すれば、図のように、受光量が大となる比較的浅い角度で入射する迷光を除去しつつ、対象記録層からの反射光についてはその中央以外の部分を適切に受光することができる。つまり、C/Nの悪化への影響が大となる迷光を選択的に除去しつつ、対象記録層からの反射光についての受光も可能とすることができるものである。
【0069】
ここで、第1分光部11’としてのHOEによる分光部を設けることによっては、特に図6のような複数波長対応の構成とした場合に、以下のような問題が生じる。
具体的に、HOEにおける回折については、その波長依存性のため、異なる波長の光に対して回折角や回折効率を同一とすることはできず、その結果、それら波長の異なるそれぞれの光については、その分光方向を一致させることが実質的に不可能となる。このため、それら波長の異なるそれぞれの光については共通のディテクタを用いた受光を行うことができず、波長ごとに別々の受光部を形成しなければならないものとなる。
この結果、部品点数の増加に伴うコストアップを招いたり、また小型化を図ることが困難となる等の問題が生じる。
【0070】
また、HOEとして用いるブレーズホログラムは、効率が比較的低く(つまり光のロスが比較的大きく)、その分、C/Nの悪化を助長するという問題もある。
【0071】
第1の実施の形態はこのような問題点に鑑み為されたものであり、受光面の手前でビーム分割を行うことによって適正な分割受光のために要求される位置精度の緩和を図るようにした構成において、複数波長光の受光にあたり共通の受光部を利用可能とし、且つ分光による光のロスを低減してC/Nの改善を図ることを課題とする。
【0072】
上記課題の解決のため、第1の実施の形態の光ディスク装置では、回折ではなく屈折により分光を行う分光部を備えるようにする。
【0073】
図9は、第1の実施の形態の実施例1としての光ディスク装置が備える第1分光部11について説明するための図である。
なお図9では、第1分光部11の構成と共に、当該第1分光部11を用いた分割受光の様子も併せて示している。
【0074】
先ずこの場合、第1分光部11は、複合レンズ2の下面側、すなわち第1受光部13(受光面)と対向する側の面に対して形成されている。
この場合、複合レンズ2の上面(上記下面と逆側の面:積層プリズム3と対向する側の面)側には、マスク回折領域11’E(以下、回折素子11’Eと表記する)が形成される。すなわち、迷光の除去を行うものである。
【0075】
複合レンズ2の上面側には、BD用レーザ光の反射光とDVD用レーザ光の反射光のスポットが形成される。具体的に、BDレーザ1の点灯時にはBDレーザ光の反射光のスポットが形成され、DVDレーザ20の点灯時にはDVD用レーザ光の反射光のスポットが形成されるものである。
図6を参照して分かるように、これらBD・DVDの各スポットは、複合レンズ2の上面側において2組形成されるものである。すなわち一方は、積層プリズム3における全反射面3Cにて反射されて複合レンズ2に入射する光についてのBDとDVDのスポットであり、もう一方は積層プリズム3における半反射面3Bで反射されて複合レンズ2に入射する光についてのBDとDVDのスポットである。
【0076】
回折素子11’Eは、複合レンズ2の上面側において、上記のように全反射面3Cにて反射されたBD・DVDの反射光が入射する位置に対して形成される。具体的には、全反射面3Cにて反射されたBD・DVDの反射光についてのスポットの中心位置近傍に位置するように形成されているものである。
また第2分光部12’は、複合レンズ2の上面側において、上記のように半反射面3Bにて反射されたBD・DVDの反射光が入射する位置に形成されるものである。
【0077】
なおこれまでの説明からも理解されるように、BD用レーザ光とDVD用レーザ光はその光軸が一致するようにされているので、上記のように複合レンズ2の上面側に形成される各スポットの組としても、それぞれその中心位置(光軸位置)が共通となる。
【0078】
そして、第1分光部11は、複合レンズ2の下面側において、その中心位置が、全反射面3Cにて反射されたBD・DVDの反射光の光軸に一致するようにして形成されている。
なお複合レンズ2の下面側において、BD・DVDの反射光のスポット中央部を切り欠いて示しているのは、回折素子11’Eにより光束中央部の光が除去されることを表すためである。
【0079】
図のように第1分光部11は、4つの分光領域を有し、入射光を4方向に分光することが可能に構成されている。すなわち、RF信号とDPD信号とを共通の受光素子を用いて生成するための4分割受光を可能とすべく、4つの分光領域を有するようにされているものである。
この場合の第1分光部11は十字の分割線によって4分割されており、当該十字の分割線の交点(十字の中心)が、BD・DVDの反射光の光軸にほぼ一致するようにされている。
【0080】
図10は、第1の実施の形態の実施例1としての光ディスク装置が備える第1分光部11の具体的な構成例を示した図である。
図10において、図10Aは第1分光部11の平面図、図10Bは第1分光部11の横断面図、図10Cは第1分光部11の縦断面図をそれぞれ示している。
第1分光部11の各分光領域は、入射光を屈折させて出力するように構成されている。
この場合、各分光領域の入射面・出射面の何れか一方は、球面状としている。具体的に本例では、各分光領域の入射面側を球面状、出射面側を平面状としている。各分光領域の入射面、出射面の少なくとも何れか一方を球面状としているのは、第1受光部13に形成される各受光素子までの光学距離を考慮し、必要な焦点距離の調整をするためである。
【0081】
前述もしたように、第1分光部11の十字分割線の交点(この場合は第1分光部11の中心と一致)P1は、BD・DVDの反射光の光軸と一致するようにされている。
このため入射光は、十字の分割線を境界として4方向に分光されることになる。
【0082】
なお、図10では第1分光部11として単純に4つの球面を組み合わせた形状としたので、全体の外形形状が4つの円弧が組み合わされた複雑なものとなっている。
しかしながら、このような複雑な外形とされた場合は、一般にモールド金型作製がやや困難なものとなってしまう。
金型作製をより容易にするには、外形を円形や楕円形、又はトラック形状等、単純な形状とすることが望ましい。
【0083】
図11は、金型作製をより容易とするための第1分光部11の形状例を示した図である。先の図10と同様、図11Aは平面図、図11Bは横断面図、図11Cは縦断面図を示している。
図11に示すように、分割球面と円錐面との組み合わせによって、金型の外形を円形にすることができる。具体的にこの場合は、分割球面を円錐内に配置した構造とすることで、第1分光部11を成型するための金型として円錐状のものを用いることができる。
金型コマの作製および組込みを容易にすることができので、成型精度アップやコストダウンに寄与する。
【0084】
上記により説明したように第1の実施の形態では、回折ではなく屈折により分光を行うものとしたので、それぞれ波長の異なる光を同方向に分光することができる。この結果、例えばBD、DVDなど波長の異なる光を共通の受光素子を用いて受光することができる。
【0085】
波長ごとに異なる受光素子を設けずに済むことから、構成の簡略化、コスト削減が図られる。
【0086】
また、屈折による分光としたことで、HOEなどのブレーズホログラムを用いるよりも効率を高めることができ、分光によるC/N(搬送波対雑音比)の悪化を抑制できる。
【0087】
また、ブレーズホログラムのように金型作成に電子ビーム描画を使わず、切削のみで同様の機能を実現できるため、金型コストを低く抑えることができる。
【0088】
また、ブレーズホログラムのように微細な凹凸がないため、ARコート(AR:Anti Reflection)等の表面コーティングがし易く、コーティングをより安定かつ容易にできる。
【0089】
また、ブレーズホログラムのように微細な凹凸がないため、耐光性も確保し易いものとできる。換言すれば、光による性能劣化を生じ難くできる。
【0090】
図12は、第1の実施の形態の実施例1に関する変形例について説明するための図である。
この図12に示されるように、第1分光部11としては、複合レンズ2の上面側に対し、回折素子11’Eと共に形成することができる。
金型の作製の面では、図9と比較してやや複雑となるが、複合レンズ2としてのモールド部品の片側に双方を形成できることで、モールド部品の位置調整はし易くなる。
【0091】
なお、第1の実施の形態において、迷光除去のための回折素子11’Eは、例えば光りディスク100として単層ディスクのみに対応する場合など、迷光を除去すべきとされる事情が無い場合には、これを省略できることは言うまでも無い。回折素子11’Eを省略すれば、複合レンズ2の作製をより容易とでき、また光のロスを低減して受光光量を増大させることができる。
【0092】
[2-2.実施例2]

図13は、第1の実施の形態の実施例2としての光ディスク装置の内部構成について説明するための図である。
当該実施例2としての光ディスク装置は、BD、DVDと共にCDにも対応するいわゆる3波長対応の光ディスク装置とされる。
具体的に、この場合の光ディスク装置は、先の実施例1の光ディスク装置(図6)と比較して、DVDレーザ20に代えてDVD・CDレーザ22が設けられ、また第1分光部11に代えて第1分光部23が設けられる点が異なる。
【0093】
DVD・CDレーザ22は、DVD用レーザ光とCD用レーザ光(波長=780nm程度)とを選択的に出射することが可能に構成されている。
このDVD・CDレーザ22においては、DVD用レーザ光の発光点とCD用レーザ光の発光点が異なる位置にあり、DVD用レーザ光とCD用レーザ光の光軸は一致しないものとなる。本例の光ピックアップでは、先の実施例1の場合と同様、DVD用レーザ光の光軸がBD用レーザ光の光軸と一致するようにレーザ発光点が調整されているものとする。
なお、DVD・CDレーザ22より出射されるDVD用レーザ光の光路については実施例1の場合と同様となることから説明は省略する。
【0094】
DVD・CDレーザ22より出射されたCD用レーザ光は、ダイクロイックプリズム21にて反射され、その光軸がBD用レーザ光・DVD用レーザ光の光軸とはずれた状態で複合レンズ2(貫通孔2A)→積層プリズム3(偏光選択反射面3A)→コリメートレンズ4→1/4波長板5→対物レンズ7を介して光ディスク100に照射される。
そして復路においても、CD用レーザ光の反射光は、BD用レーザ光・DVD用レーザ光の反射光に対してその光軸がずれた状態で対物レンズ7→1/4波長板5→コリメートレンズ4→積層プリズム3(偏光選択反射面3A)を介して、半反射膜3B及び全反射膜3Cに導かれる。
【0095】
半反射膜3Bにて反射されたCD用レーザ光の反射光は、該半反射膜3Bで反射されるBD用レーザ光の反射光の光軸に対しその光軸が傾いた状態で第2分光部12’に入射し、該第2分光部12’で分光されて第2受光部14により受光される。
なお、この場合はBD、DVDと共にCDについての反射光も受光可能とすべく、第2受光部14には、CDの反射光の受光用に受光素子を別途設けることになる。
【0096】
全反射膜3Cにて反射されたCD用レーザ光の反射光は、該全反射膜3Cで反射されるBD用レーザ光の反射光の光軸に対しその光軸が傾いた状態で第1分光部23に入射し、該第1分光部23で分光されて第1受光部13により受光される。
【0097】
図14は、第1の実施の形態の実施例2としての光ディスク装置が備える第1分光部23について説明するための図である。
この図14に示すように、この場合の第1分光部23としても、複合レンズ2の下面側に対して形成される。
またこの場合、複合レンズ2の上面側には、第2分光部12’と共にマスク用の回折素子11’Eが形成されている。
【0098】
ここで、実施例2においては、DVD・CDレーザ22においてDVDとCDの発光点が異なり、且つDVDの光軸をBDの光軸に対して一致させるものとしていることに起因して、CDの反射光が複合レンズ2の上面に対して斜入射する。この結果、複合レンズ2の上面及び下面において形成されるBD・DVDのスポットとCDのスポットとに位置ずれが生じることとなる。
【0099】
この場合、回折素子11’Eとしては、BD・DVDの反射光の光軸近傍に位置するように(つまりBD・DVDの反射光の光束中央部に位置するように)配置される。つまり、CDについては規格上記録層を複数有するディスクは存在しないため、迷光除去のための回折素子11’Eとしては上記のようにBD・DVDの反射光が入射する位置に対応して設ければよい。
【0100】
そしてこの場合、第2分光部23としては、斜入射によりBD・DVD側とは異なる位置に入射するCDの反射光についてもその光軸を基準とした適切な4分割を行うことができるように、先の第1分光部11に対し、さらにCD用の十字分割線を追加したものを用いる。具体的には、このように十字分割線が追加されたことで、第2分光部23としては、図のように連続する3つの分光領域の組が2列隣接配置され計6つの分光領域を有するものとなる。
【0101】
図15は、第1の実施の形態の実施例2としての光ディスク装置が備える第1分光部23の具体的な構成例を示した図である。
先の図10と同様、図15Aは平面図、図15Bは横断面図、図15Cは縦断面図を表す。
先ず、上記もしているように第1分光部23には2つの十字分割線が形成される。図中ではこれらの十字分割線のそれぞれの交点を交点P2、交点P3と示している。
そして、これら2つの十字分割線で仕切られる6つの分光領域のそれぞれは、入射光を屈折させて出力するように構成されている。
なお、この場合も各分光領域の入射面・出射面の何れか一方は球面状とされている(この図の例では入射面側)。すなわち、第1受光部13に形成される各受光素子までの光学距離を考慮し、必要な焦点距離の調整を行っているものである。
【0102】
この場合、第1分光部23の交点P2はBD・DVDの反射光の光軸と一致し、交点P3はCDの反射光の光軸と一致するようにされている。このことで、BD・DVDの反射光については交点P2を有する十字分割線を境界として4方向に分光され、且つCDの反射光については交点P3を有する十字分割線を境界として4方向に分光されることになる。
【0103】
図16は、第1の実施の形態の実施例2としての光ディスク装置が備える第1受光部13に形成される受光素子とBD・DVDの反射光及びCDの反射光の受光スポット位置との対応関係を示した図である。
上記のようにこの場合の第1分光部23によっては、BD・DVDの反射光、及びCDの反射光がそれぞれ4方向に分光される。
この場合の第1受光部13には、このように分光されるBD・DVDの反射光の各光、CDの反射光の各光を受光するための複数の受光素子が設けられる。具体的に、この場合は反射光が4方向に分光されることから、BD・DVD用の4分割ディテクタとしての受光部13-1と、CD用の4分割ディテクタとしての受光部13-2とが形成される。
図のように第1分光部23で分光されたBD・DVDの反射光についての各光は、受光部13-1に形成される4つの受光素子のうち対応する1つの受光素子によってそれぞれ受光される。また、第1分光部23で分光されたCDの反射光についての各光は、受光部13-2に形成される4つの受光素子のうち対応する1つの受光素子によってそれぞれ受光される。
【0104】
上記により説明した実施例2によっても、回折ではなく屈折により分光を行うものとしたので、先の実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。
その上で、当該実施例2によれば、BD、DVD、CDの3波長対応の構成においてそのうちの1種のレーザ光が斜入射される場合に対応して、当該斜入射されるレーザ光についての適切な分割受光を実現することができる。
【0105】
なお、上記により説明した実施例2においても、先の図10に示した第1分光部11と同様の要領で、単純に6つの球面を組み合わせた形状の第1分光部23としたので、その全体の外形形状が6つの円弧が組み合わされた複雑なものとなり、モールド金型作製が困難となる虞がある。
この場合としても、金型作製をより容易にするには、外形を円形や楕円形、トラック形状等、単純な形状とすることが望ましい。
【0106】
図17は、金型作製をより容易とするための第1分光部23の形状例を示した図である。先の図10等と同様、図17Aは平面図、図17Bは横断面図、図17Cは縦断面図を表すものである。
図17に示すように、この場合も分割球面と円錐面との組み合わせによって、金型の外形を円形にすることができる。具体的に、この場合としても分割球面を円錐内に配置した構造とすることで、第1分光部23を成型するための金型として円錐状のものを用いることができる。
金型コマの作製および組込みを容易にすることができので、成型精度アップやコストダウンに寄与する。
【0107】
ところで、これまでで説明した実施例1及び実施例2においては、第1分光部(11又は23)を用いた分割受光によってRF信号とDPD信号のみを生成することを前提としたが、第1分光部を用いた分割受光によっては、RF信号と共に、例えばDPP(Differential Push-Pull)法によるトラッキングエラー信号を生成するなど、DPD信号以外の信号を生成するということもできる。
【0108】
例えばDPP法によるトラッキングエラー信号を生成するとした場合には、光ディスク100に対して照射すべきレーザ光を3ビームに分割するということが行われる。すなわち、これら3ビームについての各反射光を個別に受光して信号生成が行われるものである。
【0109】
このような3ビームについての照射・受光を行うとした場合には、第1分光部における十字分割線上にそれら各ビームの光軸が配置されるようにすればよい。
図18は実施例1、図19は実施例2の場合に3ビームを用いるとした場合の第1分光部(11又は23)と各ビームのスポット位置との関係と、第1受光部13に形成されるべき各受光素子と各ビームの受光スポット位置との関係を示した図である。
図18に示すように、実施例1の場合は、各ビームの光軸が第1分光部11の十字分割線上に配置されるようにする。
これにより、中央に配置されるメインビームについては適切な4分割が可能となり、また各サイドビームについては適切な2分割を行うことが可能となる。
【0110】
なお図18において、この場合の第1受光部13には、メインビームの反射光を受光するための受光部13-1と共に、一方のサイドビームの反射光を受光するための受光部13-1s1、及び他方のサイドビームの反射光を受光するための受光部13-1s2が形成される。この図の例では、これら3つの受光部13-1が全て4分割ディテクタとされる場合を例示している。
【0111】
また、図19に示される実施例2の場合、BD・DVD用の3ビームについては、第1受光部23に形成される2つの十字分割線のうち交点P2を有する十字分割線のタンジェンシャル方向(つまりビームの配列方向)の分割線上に各ビームの光軸を一致させるようにする。
そして、CD用の3ビームについては、交点P3を有する十字分割線のタンジェンシャル方向の分割線上に各ビームの光軸を一致させるようにする。
これにより、BD・DVD及びCDの双方について、メインビームについては適切な4分割が可能となり、また各サイドビームについては適切な2分割を行うことが可能となる。
【0112】
実施例2の場合、第1受光部13には、図のようにBD・DVD用の3ビームについては受光部13-1、受光部13-1s1、及び受光部13-1s2を設け、CD用の3ビームについてはメインビームの反射光を受光する受光部13-2と共に、一方のサイドビームの反射光を受光するための受光部13-2s1、及び他方のサイドビームの反射光を受光するための受光部13-2s2を設ける。
なおこの図の例では、CD用の3つの受光部13-2についてもその全てが4分割ディテクタで構成された場合を例示している。
【0113】
なお確認のため述べておくと、3ビームの生成は、例えば光源より出射されたレーザ光をグレーティング等の分光素子により分光することで実現できる。
【0114】
<3.第2の実施の形態>
[3-1.従来のマスク回折領域とその問題点]

続いて、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、複合レンズ2に形成された第2分光部に係るものである。
【0115】
ここで、先に触れたように、受光面手前に分光部を配置して位置精度の緩和を図るための分割受光を行う構成においては、記録層を複数有する光ディスク100に対応する場合に、当該分光部に迷光除去のためのマスク用回折領域を設けるということが行われている。
先に説明したRF信号生成側のみでなく、スポットサイズ法によるフォーカスエラー信号FEとレンズエラー信号LEとを生成する側である第2分光部12’側においても、このような迷光除去のためのマスク用回折領域が設けられる。具体的に、第2分光部12’側では、多層ディスクの迷光による影響として、特にレンズエラー信号LEの品質が悪化することが判明しており、その対策としてマスク用回折領域を設けるようにされている。
【0116】
図20は、2層ディスクの場合に対応した迷光除去を行うためのマスク回折領域が形成された第2分光部12’の構成例を示している。
また図21は、記録層を3層以上有する多層ディスクの場合に対応した迷光除去を行うためのマスク回折領域(この図では4層ディスク対応の例を示している)が形成された第2分光部12’の構成例について説明するための図である。
図21おいては、図21Aによって多層ディスク対応のマスク回折領域が形成された第2分光部12’の構成例を示し、図21Bにより、第2受光部14に形成される各受光素子と上記マスク回折領域が形成された第2分光部12’により分光された各光の受光スポットとの位置関係を示している。
【0117】
これら図20と図21を比較すると、光ディスク100の多層化に伴い、マスク回折領域を拡大させるという対策が採られていることが分かる。特に、光束外縁部に一部被るように形成された回折領域Msと光束中央部に位置する回折領域Mcのうち、中央部の回折領域Mc側を拡大することで、記録層の数が増えることに伴い増加する迷光が適切に除去されるようにしている。
【0118】
しかしながら、多層ディスクへの対策として上記のようにマスク回折領域Mcの拡大を図った場合には、レンズエラー信号LEの品質悪化は抑止できるものの、これに反しフォーカスエラー信号FEの品質が悪化してしまうという問題が生じる。
これはつまり、光束中心部の成分が、適正なレンズエラー信号LEの生成のためには除去すべきであるのに対し、スポットサイズ法によるフォーカスエラー信号FEの生成のためには重要であるということを意味している。
【0119】
ここで、具体的にフォーカスエラー信号FEの悪化としては、S字信号の波形の歪みとして表れる。
図22は、図21に示した多層ディスク対応のマスク回折領域を設けた場合のフォーカスエラー信号FE(S字信号)の歪みについて説明するための図である。具体的に図22では、フォーカスサーチ動作を行った際に得られるフォーカスエラー信号FE、m1信号、及びp1信号の各波形を示している。
【0120】
ここで、「m1信号」は、第2分光部12’による−1次光についての受光信号の総和に相当する信号であり、「p1信号」は第2分光部12’による各+1次光の受光信号の総和に相当する信号である。
具体的に、先の[式3]によるフォーカスエラー信号FEの生成を行う場合にあっては、

m1=m1Ml+m1Mr+m1Nl+m1Nr+p1Zll+p1Zlr+p1Zr

p1=m1Zl+m1Zr+p1Mll+p1Mlr+p1Mr+p1Nll+p1Nlr+p1Nr

に相当するものである。
なお[式3]より、フォーカスエラー信号FEはこれらm1信号とp1信号との差分を計算したものであることが分かる。
【0121】
図22を参照すると、マスク回折領域の拡大を図った場合には、S字信号の中間区間(正/負の各ピークの間)の波形の歪みが生じるものとなる。
このようなS字波形の歪みが生じる結果、所望の記録層へのフォーカスオン動作を安定的に行うことが困難となってしまう。また同時に、サーボ特性の悪化を招く。
【0122】
第2の実施の形態はこのような問題点に鑑み為されたものであり、その課題は、回折素子によって光ディスクからの反射光を分割受光してその受光信号からスポットサイズ法によるフォーカスエラー信号、及びレンズエラー信号の検出を行う構成において、多層ディスクについての迷光に起因するレンズエラー信号の品質悪化の抑制を図りつつ、同時にフォーカスエラー信号(S字信号)の品質悪化の抑制も図られるようにすることにある。
【0123】
[3-2.実施例1]

上記課題の解決のため、第2の実施の形態では、従来の第2分光部12’が有するマスク回折領域Mcの一部の光を第2受光部14に新たに設けた受光素子によって受光するものとし、その受光信号を用いてフォーカスエラー信号FEの計算を行うという手法を採る。
【0124】
図23は、第2の実施の形態の実施例1としてのフォーカスエラー信号FEの生成手法について説明するための図である。
具体的に、図23Aは第2の実施の形態の実施例1としての光ディスク装置が備える第2分光部12の回折領域形成パターンを示し、図23Bは第2受光部14に形成される各受光素子と第2分光部12による回折光の受光スポットとの位置関係を示している。
【0125】
なお当該実施例1において、光ディスク装置の内部構成については、第2分光部12’に代え第2分光部12が設けられる点、第2受光部14が備える受光素子が図23Bに示すものとなる点、及びフォーカスエラー信号生成回路32による信号計算が異なる点を除き、先の図1及び図2に示したものと同様となるため改めての説明は省略する。
【0126】
図23Aに示すように、第2分光部12においては、光束中央部の光を除去するためのマスク回折領域Mcと、当該マスク回折領域Mcの外縁に接するように形成された回折領域Cと、当該回折領域Cの外縁に接するように形成された回折領域としての回折領域A、回折領域B、回折領域AA、及び回折領域BBが形成されている。
先の説明からも理解されるように、従来は、回折領域A,B,AA,BBによる回折光のみを受光して、レンズエラー信号LE、プッシュプル信号PP、及びフォーカスエラー信号FEの生成を行うようにされていたものである。
【0127】
第2の実施の形態の実施例1では、従来の多層ディスク対応の場合(図21A)との比較で、マスク回折領域Mcの面積を縮小化するものとしている。そして、その縮小化により生じたスペースに、上記回折領域Cを形成するものとしている。
図のように、この場合の回折領域Cは、マスク回折領域Mcの対向する2辺の外縁に対してそれぞれ形成するものとしている。具体的には、マスク回折領域Mcのラジアル方向の2辺の外縁に対しそれぞれ回折領域Cを形成している。
【0128】
そして、図23Bに示すように、この場合の第2受光部14には、先の図5Eや図21Bに示した従来の第2受光部14に形成されていた受光素子Dに加えて、新たに受光素子D_p1j、受光素子D_m1jを形成するものとしている。
これら受光素子D_p1j,D_m1jにより、回折領域Cによる回折光をそれぞれ受光し、これら受光素子D_p1j,D_m1jによる受光信号を、フォーカスエラー信号FEの計算に新たに組み入れる。
【0129】
具体的に、この場合のフォーカスエラー信号FEは、受光素子D_p1j,D_m1jによる受光信号をそれぞれp1j,m1jとしたとき、

FE={(m1Ml+m1Mr+m1Nl+m1Nr+p1Zll+p1Zlr+p1Zr+p1j)
−(m1Zl+m1Zr+p1Mll+p1Mlr+p1Mr+p1Nll+p1Nlr+p1Nr+m1j)} ・・・[式4]

により計算する。
【0130】
上記のような第2の実施の形態としてのフォーカスエラー信号生成手法は、換言すれば、従来では多層ディスク対応に伴うレンズエラー信号LEの品質悪化の抑制のため受光素子以外の場所に飛ばしていた光束中央部近傍の光について、その一部を、フォーカスエラー信号FEの生成用に新たに受光し、その受光信号を、フォーカスエラー信号FEの計算に取り入れるようにしたものと表現することができる。
フォーカスエラー信号FEの生成にとって重要である光束中央部の光を一部利用してフォーカスエラー信号FEの計算が為されるので、従来よりもS字波形の改善が図られる。つまりこの結果、フォーカスオン動作の安定性向上、及びサーボ特性の改善が図られる。
一方、レンズエラー信号LEについては、上記のようにマスク回折領域Mcに接する回折領域Cによる回折光はレンズエラー信号生成用の受光部には受光されようにできるため、従来の多層ディスク対応のマスク回折領域Mcと同等の効果を維持することができる。従って、レンズエラー信号LEについては従来と同様の信号品質を維持できる。
【0131】
このようにして本例によれば、レンズエラー信号LEの品質悪化の抑制と共に、フォーカスエラー信号FEのS字波形の悪化の抑制も図ることができる。
【0132】
図24は、上記により説明した第2の実施の形態としてのフォーカスエラー信号生成手法を採った場合におけるフォーカスエラー信号FEのS字波形の改善の様子について説明するための図である。
なおこの図24では、第2の実施の形態のフォーカスエラー信号生成手法を採った場合における、フォーカスサーチ動作を行った際のフォーカスエラー信号FE、m1信号、p1信号の各波形を示している。
【0133】
この図24によれば、先の図22に示した従来の場合と比較して、フォーカスエラー信号FEのS字波形の中間区間の波形の歪みが抑制されて、リニアリティが改善されていることが分かる。この結果からも、フォーカスオン動作の安定性が向上し、またサーボ特性が改善することが分かる。
【0134】
[3-3.実施例2]

続いて、第2の実施の形態の実施例2について説明する。
当該実施例2は、多層ディスク対応の従来例においてマスクされていた部分の光を、フォーカスエラー信号FEの生成のみでなく、プッシュプル信号PPの生成にも用いるようにするものである。
【0135】
図25は、第2の実施の形態の実施例2としての信号生成手法について説明するための図であり、図25Aは当該実施例2としての光ディスク装置が備える第2分光部25の回折領域形成パターンを示し、図25Bは当該実施例2の光ディスク装置が備える第2受光部14に形成される各受光素子と第2分光部25による回折光の受光スポットとの位置関係を示している。
【0136】
なお当該実施例2において、光ディスク装置の内部構成については、第2分光部12’に代え第2分光部25が設けられる点、第2受光部14が備える受光素子が図25Bに示すものとなる点、及びフォーカスエラー信号生成回路32、プッシュプル信号生成回路34による信号計算が異なる点を除き、先の図1及び図2に示したものと同様となるため改めての説明は省略する。
【0137】
図25Aにおいて、当該実施例2における第2分光部25としては、先の実施例1における第2分光部12との比較で、回折領域Cをラジアル方向に2分割して図のように回折領域CLと回折領域CRとを形成した点が異なる。
具体的に、これら回折領域CL,CRは、回折領域Cを、回折領域Aと回折領域Bとの分割線、回折領域AAと回折領域BBとの分割線をそれぞれ延長して分割したものとなっている。換言すれば、光軸を通るタンジェンシャル方向の分割線により回折領域Cを分割したものである。
【0138】
このように回折領域CL,CRを形成した上で、この場合の第2受光部14に対しては、図25Bに示されるように先の図5Eや図21Bに示した従来の第2受光部14に形成されていた受光素子Dに加えて、新たに受光素子D_M2F、受光素子D_Z2F、受光素子D_N2F、受光素子D_M2E、受光素子D_Z2E、受光素子D_N2E、及び受光素子D_m1jを形成するものとしている。
ここで、これらの受光素子Dと回折領域CL,CRによる回折光の受光スポットとの位置関係は以下のようになる。

[+1次光側]
D_M2F・・・紙面上側のCLの一部
D_Z2F・・・紙面上側のCLの残部&紙面下側のCLの一部
D_N2F・・・紙面下側のCLの残部
D_M2E・・・紙面上側のCRの一部
D_Z2E・・・紙面上側のCRの残部&紙面下側のCRの一部
D_N2E・・・紙面下側のCRの残部
[−1次光側]
D_m1j・・・CL&CR
【0139】
上記の対応関係により回折領域CL,CRからの回折光を受光素子D_M2F、D_Z2F、D_N2F、D_M2E、D_Z2E、D_N2E、D_m1jで受光し、それらの受光信号を、フォーカスエラー信号FEの計算と共に、プッシュプル信号PPの計算にも新たに組み入れる。
【0140】
具体的に、この場合のフォーカスエラー信号FEは、受光素子D_M2F、D_Z2F、D_N2F、D_M2E、D_Z2E、D_N2E、D_m1jによる受光信号をそれぞれM2F、Z2F、N2F、M2E、Z2E、N2E、m1jとしたとき、

FE={(m1Ml+m1Mr+m1Nl+m1Nr+p1Zll+p1Zlr+p1Zr+Z2F+Z2E)
−(m1Zl+m1Zr+p1Mll+p1Mlr+p1Mr+p1Nll+p1Nlr+p1Nr+m1j)}
・・・[式5]

により計算する。
【0141】
また、プッシュプル信号PPについては、

PP={(p1Mll+p1Zll+p1Nll+p1Nr+M2F+Z2F+N2F)
−(p1Mlr+p1Zlr+p1Nlr+p1Mr+M2E+Z2E+N2E)}
・・・[式6]

により計算する。
【0142】
上記のように第2の実施の形態の実施例2では、従来の多層ディスク対応のマスク回折領域Mcを縮小化し、当該縮小化により生じたスペースに対して形成した回折領域Cからの回折光を受光してその受光信号をプッシュプル信号PPの計算にも取り入れるようにしている。このことで、プッシュプル信号PPの振幅特性や視野特性、ポジションずれトレランス等の改善をすることができ、サーボ特性の改善が図られる。
【0143】
ところで、これまでの第2の実施の形態の説明では、光ディスク装置が単波長のレーザ光を照射する場合を例示したが、もちろん第2の実施の形態の光ディスク装置としても、複数の波長によるレーザ光を照射可能に構成することもできる。
【0144】
前述もしたように、回折により分光を行う第2分光部側においては、それぞれ波長の異なるレーザ光についての反射光受光及び信号生成を行うには、第2受光部14において波長ごとに受光素子を設けることになる。波長ごとに第2分光部における回折角が異なるためである。
【0145】
図26は、BD、DVD、CDの3波長に対応するとした場合の第2分光部25の回折領域形成パターン(図26A)、及び第2受光部14に形成される各受光素子と第2分光部25による回折光の受光スポットとの位置関係(図26B)を示している。
ここで、3波長対応の光ピックアップの構成としては、例えば先の図13に示したものと同様でよい。
【0146】
先ず前提として、BD、DVD、CDの3波長対応の構成では、HOEとしての第2分光部25は、BDの波長(例えば405nm程度)に対して最大の回折効率が得られるようにするいわゆるBD用設計が採られるのが一般的である。
BD用設計が採られる場合は、DVDの2層ディスクを再生対象とした場合に、当該DVDの手前側記録層からの迷光についての0次光(第2分光部25による0次光)がかなりの強度で存在するため、それを避けるようにDVD用の受光素子を配置させることが肝要となる。
3波長対応とする場合の第2分光部25の回折領域形成パターン、及び第2受光部14における各受光素子の形成パターンについては、このような2層DVDの迷光(0次光)を避けることができるように設定すべきものとなる。
【0147】
また、第2分光部25の回折領域形成パターン、及び第2受光部14における各受光素子の形成パターンの設定にあたっては、BDとDVDの各レーザ光(つまり2以上の記録層を有し他層迷光が生じる可能性のある規格に対応したレーザ光)について、1次回折光(第2分光部25による)としての迷光が対象記録層からの反射光の1次回折光(第2分光部25による)の受光領域に重ならないようにするということも考慮すべきである。
具体的に、ここでは+1次光のみを用いたレンズエラー信号LE及びプッシュプル信号PPの生成を行うものとしているが、その場合には、BD、DVDの+1次光の受光素子に対して、それぞれBD、DVDの+1次の迷光が被らないようにするということも適正な信号生成を実現する上で考慮すべきものとなる。
【0148】
図26Aにおいて、この場合の第2分光部25は、先の図25Aに示した第2分光部25と比較して、回折領域Aと回折領域BBの位置関係、及び回折領域Bと回折領域AAの位置関係がそれぞれタンジェンシャル方向において反転したものとなっている。
【0149】
ここで、このように回折領域Aと回折領域BBの位置関係、及び回折領域Bと回折領域AAの位置関係を反転させた場合における第2受光部14の各受光素子と第2分光部25による回折光の受光スポットとの位置関係を図27に示しておく。
なお、この図27では先の図25Bと対比しやすいよう、第2受光部14に形成される受光素子として、図25Bに示した受光素子Dを示している。なお、受光素子Dについては、図25Bに示される全ての受光素子のうち、回折パターンの入れ替えに係る受光素子D(D_p1Mll、D_p1Zll、D_p1Nll、D_p1Mlr、D_p1Zlr、D_p1Nlr、D_p1Mr、D_p1Zr、D_p1Nr)のみを抽出して示している。
【0150】
図26Aに示したような回折領域形成パターンを設定した場合、各回折領域による回折光と各受光素子との対応は以下のようになる。

[+1次光側]
D_p1Mll・・・BBの上辺部(少量)
D_p1Zll・・・BBの上部
D_p1Nll・・・BBの下部
D_p1Mlr・・・Bの上部
D_p1Zlr・・・Bの下部
D_p1Nlr・・・Bの下辺部(少量)
D_p1Mr・・・A
D_p1Zr・・・無し
D_p1Nr・・・AA
[−1次光側]
D_m1Ml・・・AA
D_m1Zl・・・無し
D_m1Nl・・・A
D_m1Mr・・・BBの下部&Bの下辺部(少量)
D_m1Zr・・・BBの上部&Bの下部
D_m1Nr・・・BBの上辺部(少量)&Bの上部
【0151】
説明を図26に戻す。
図26Bに示されるように、この場合の第2受光部14には、BD、DVD、CDのそれぞれの反射光を受光するための受光素子が形成される。
【0152】
先ず、この場合の第2受光部14には、DVD及びCDの反射光についての第2分光部25による0次光を受光するための受光素子が備えられる。
第2分光部25がBD用設計とされる場合、DVD、CDの反射光についての0次光が第2分光部25より出射される。これまでの説明から理解されるように、本実施の形態では各種信号生成を±1次光を用いて行うようにされているので、信号生成に不要となるDVD、CDの0次光については、これらを受光する受光素子を設けて吸収し、散乱を防いで他の受光素子への漏れ込みを防止するものである。
【0153】
そして、この場合の第2受光部14には、BD用の+1次光についての受光素子として、受光素子b_MIF、b_ZIF、b_N1F、b_MIE、b_ZIE、b_N1E、b_N2、b_M2、b_M2E、b_Z2E、b_N2E、b_M2F、b_Z2F、b_N2Fが形成される。
また、DVD用の+1次光についての受光素子として、受光素子d_MIF、d_ZIF、d_N1F、d_MIE、d_ZIE、d_N1E、d_N2、d_M2、d_j2が形成される。
さらに、CD用の+1次光についての受光素子として、受光素子c_MIF、c_ZIF、c_N1F、c_MIE、c_ZIE、c_N1E、c_j2が形成される。
【0154】
また、BD用の−1次光についての受光素子として、受光素子b_L、b_W、b_K、b_jが形成される。
また、DVD用の−1次光についての受光素子として、受光素子「d_L,c_L」「d_W,c_W」「d_K,c_K」、及び受光素子d_j1が形成される。
さらに、CD用の−1次光についての受光素子として、受光素子「d_L,c_L」「d_W,c_W」「d_K,c_K」、及び受光素子c_j1が形成される。
なお、受光素子「d_L,c_L」「d_W,c_W」「d_K,c_K」は、それぞれDVDとCDで共用される受光素子である。
【0155】
この場合における第2分光部25の各回折領域による回折光と第2受光部14における各受光素子との対応関係は以下のようになる。

[BD+1次光側]
b_MIF・・・BBの上辺部(少量)
b_ZIF・・・BBの上部
b_N1F・・・BBの下部
b_M1E・・・Bの上部
b_Z1E・・・Bの下部
b_N1E・・・Bの下辺部(少量)
b_N2・・・A
b_M2・・・AA
b_M2F・・・紙面上側のCLの一部
b_Z2F・・・紙面上側のCLの残部&紙面下側のCLの一部
b_N2F・・・紙面下側のCLの残部
b_M2E・・・紙面上側のCRの一部
b_Z2E・・・紙面上側のCRの残部&紙面下側のCRの一部
b_N2E・・・紙面下側のCRの残部
[BD−1次光側]
b_L・・・BBの下部&Bの下辺部(少量)
b_W・・・BBの上部&Bの下部
b_K・・・BBの上辺部(少量)&Bの上部
b_j・・・CL&CR
[DVD+1次光側]
d_MIF・・・BBの上辺部(少量)
d_ZIF・・・BBの上部
d_N1F・・・BBの下部
d_M1E・・・Bの上部
d_Z1E・・・Bの下部
d_N1E・・・Bの下辺部(少量)
d_N2・・・A
d_M2・・・AA
d_j2・・・CL&CR
[DVD−1次光側]
d_L・・・BBの下部&Bの下辺部(少量)
d_W・・・BBの上部&Bの下部
d_K・・・BBの上辺部(少量)&Bの上部
d_j1・・・CL&CR
[CD+1次光側]
c_MIF・・・BBの上辺部(少量)
c_ZIF・・・BBの上部
c_N1F・・・BBの下部
c_M1E・・・Bの上部
c_Z1E・・・Bの下部
c_N1E・・・Bの下辺部(少量)
c_j2・・・CL&CR
[CD−1次光側]
c_L・・・BBの下部&Bの下辺部(少量)
c_W・・・BBの上部&Bの下部
c_K・・・BBの上辺部(少量)&Bの上部
c_j1・・・CL&CR
【0156】
図25Bに示した受光素子との対応で、図中の受光素子b_L、b_W、b_Kは、BDについての受光素子D_m1Mr、D_m1Zr、D_m1Nrにそれぞれ相当するものである。また受光素子「d_L,c_L」「d_W,c_W」「d_K,c_K」は、DVD及びCDについての受光素子D_m1Mr、D_m1Zr、D_m1Nrにそれぞれ相当するものである。
また、受光素子b_jはBDについての受光素子D_m1jに相当し、受光素子d_j1はDVDについての受光素子D_m1jに相当し、受光素子c_j1はCDについての受光素子D_m1jに相当するものである。
【0157】
また、受光素子b_MIF、b_ZIF、b_N1F、b_MIE、b_ZIE、b_N1EはそれぞれBDについての受光素子D_p1Mll、D_p1Zll、D_p1Nll、D_p1Mlr、D_p1Zlr、D_p1Nlrに相当し、受光素子d_MIF、d_ZIF、d_N1F、d_MIE、d_ZIE、d_N1EはそれぞれDVDについての受光素子D_p1Mll、D_p1Zll、D_p1Nll、D_p1Mlr、D_p1Zlr、D_p1Nlrに相当し、受光素子c_MIF、c_ZIF、c_N1F、b_MIE、b_ZIE、b_N1EはそれぞれCDについての受光素子D_p1Mll、D_p1Zll、D_p1Nll、D_p1Mlr、D_p1Zlr、D_p1Nlrに相当するものである。
また、受光素子b_N2、b_M2はそれぞれBDについての受光素子D_p1Mr、D_p1Nrに相当し、受光素子d_N2、d_M2はそれぞれDVDについての受光素子D_p1Mr、D_p1Nrに相当するものである。
また、受光素子b_M2E、b_Z2E、b_N2EはBDについての受光素子D_M2E、D_Z2E、D_N2Eに、受光素子b_M2F、b_Z2F、b_N2FはBDについての受光素子D_M2F、D_Z2F、D_N2Fにそれぞれ相当するものである。
また、受光素子d_j2はDVDについての受光素子D_Z2F及び受光素子D_Z2Eに相当し、受光素子c_j2はCDについての受光素子D_Z2F及び受光素子D_Z2Eに相当するものである。
【0158】
ここで、図26Bでは、先の図25Bと比較して、回折領域CLによる回折光の受光位置と回折領域CRによる回折光の受光位置とがラジアル方向において反転するものとなっているが、これは、前述のような迷光の影響を抑制するような回折領域形成パターン・受光素子の形成パターンを考慮した際に導き出された解の1つである。
【0159】
第2分光部25の各回折領域による回折光と第2受光部14における各受光素子との対応関係を上記のように設定した上で、この場合の光ディスク装置では、各種信号を以下のように生成する。
先ず、BDについては、

FE={(b_L+b_K+b_Z1E+b_Z1F+b_Z2E+b_Z2F)
−(b_M1E+b_M1F+b_N1E+b_N1F+b_W+b_j) ・・・[式7]

LE={(b_M1E+b_M1F+b_M2)−(b_N1E+b_N1F+b_N2)} ・・・[式8]

PP={(b_M1E+b_N1E+b_Z1E+b_M2+b_M2E+b_N2E+b_Z2E) −(b_M1F+b_N1F+b_Z1F+b_N2+b_M2F+b_N2F+b_Z2F)}
・・・[式10]

によりフォーカスエラー信号FE、レンズエラー信号LE、及びプッシュプル信号PPを生成する。
【0160】
また、DVDについては、

FE={(d_L+d_K+d_Z1E+d_Z1F+d_j2)
−(d_M1E+d_M1F+d_N1E+d_N1F+d_W+d_j1)} ・・・[式11]

LE={(d_M1E+d_M1F+d_M2)−(d_N1E+d_N1F+d_N2)} ・・・[式12]

PP={(d_M1E+d_N1E+d_Z1E+d_M2)−(d_M1F+d_N1F+d_Z1F+d_N2)}
・・・[式13]

によりフォーカスエラー信号FE、レンズエラー信号LE、及びプッシュプル信号PPを生成する。
【0161】
また、CDについては、

FE={(c_L+c_K+c_j2)−(c_M1F+c_M1E+c_N1F+c_N1E+c_j1)}
・・・[式14]

によりフォーカスエラー信号FEを生成する。
【0162】
とろこで、これまでの説明からも理解されるように第2の実施の形態は、多層ディスク対応のためマスク回折領域Mcを拡大して光束中央部の光がより大きく除去されたことに伴い生じるフォーカスエラー信号FEの特性悪化の抑制を図るものであるが、マスク回折領域Mcの拡大に伴うフォーカスエラー信号FEの特性悪化は、例えば実施例2で例示した3波長対応の構成におけるCDのように、第2分光部に対して斜入射する光について特に顕著に表れるものとなる。
このように斜入射される光は、第2分光部への入射スポットがBD・DVDの入射スポットに対してずれた位置に形成されるため、マスク回折領域Mcによって光軸を中心とした範囲ではく光軸からずれた位置を中心した範囲の光が除去されてしまい、結果、必要な信号が大きく除去されてしまうからである。また、特に上記で例示したCD斜入射の3波長対応の構成においては、CD用レーザ光のスポット径が比較的小さい(複数波長対応の対物レンズのNA制限によって小さい)ため、BD・DVDとの比較でスポットに対するマスク回折領域Mcのサイズが相対的に大となってしまい、この点でも必要な信号が大きく除去されてしまうことになる。
【0163】
このような事情を考慮すると、先の[式14]に示したようにCDについても回折領域Cの回折光を利用したフォーカスエラー信号FEの計算を行うものとすれば、CD(斜入射)についてのフォーカスエラー信号FEの特性悪化を効果的に抑制できることが分かる。
【0164】
なお、図26により説明したような複数波長対応の構成において、第2受光部14における各受光素子については、それらを二次元的に配置することによって、それぞれの波長についての受光部の重なりをできるだけ避けた配置にすることで、I−V変換アンプ数を極力抑え、フォーカスエラー信号、レンズエラー信号LE、プッシュプル信号PPの各種信号の演算をし易いようにできる。
【0165】
また、BD, DVD, CDは同時動作しないため、同じ働きをする受光素子を同じI−V変換アンプで使えるよう切り換えるようにすることで、I−V変換アンプ数を抑えることができる。アンプ数が抑えられれば、消費電流やチップ面積も抑えられ、コストダウンにも寄与する。
【0166】
<4.変形例>

以上、本技術に係る各実施の形態について説明したが、本技術はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、BD、DVD、CDの3波長対応の構成の実現にあたり、図13に示したようにダイクロイックプリズム21を積層プリズム3とは別途に設けてBD系に対しDVD・CD系のレーザ光を合波するものとしたが、次の図28に示すような合波機能を与えた積層プリズム40を備えるものとすることで、ダイクロイックプリズム21を省略することができる。
【0167】
図28は、合波機能を与えられた積層プリズム40を備える変形例としての光ディスク装置の内部構成について説明するための図である。
なおこの図28では、当該変形例としての光ディスク装置が有する光ピックアップの内部構成のうち、先の図13にて説明した構成とは異なる部分のみを抽出して示している。
【0168】
図示するようにこの場合の光ピックアップには、積層プリズム3に代えて積層プリズム40が、また複合レンズ2に代えて複合レンズ41が設けられる。
図示するように複合レンズ41には、BDレーザ1から出射されたBD用レーザ光がその内部を通過する貫通孔2A、第1分光部11(又は23)、第2分光部12(又は25)、及び回折素子11’Eが形成されている。
この場合の複合レンズ41にはカップリングレンズ41Aが形成され、DVD・CDレーザ22より出射されたDVD用レーザ光、CD用レーザ光は当該カップリングレンズ41Aを介して積層プリズム40に入射する。
【0169】
積層プリズム40には、積層プリズム3が備えていた半反射膜3B及び全反射膜3Cが形成されると共に、波長選択性偏光選択反射膜40A及び波長選択性偏光選択反射膜40Bが形成されている。
これら波長選択性偏光選択反射膜40A,40Bは、BDの波長帯の光に対しては偏光ビームスプリッタとして機能し、他の波長帯の光に対してはほぼ無偏光ビームスプリッタとして機能する。
【0170】
BDレーザ1より出射され貫通孔2Aを介して積層プリズム40に入射したBD用レーザ光は、波長選択性偏光選択反射膜40Bに導かれ、当該波長選択性偏光選択反射膜40Bにてその偏光状態に応じた割合による一部の光が反射されて、波長選択性偏光選択反射膜40Aに導かれる。
そして、このように波長選択性偏光選択反射膜40Aに導かれたBD用レーザ光は、当該波長選択性偏光選択反射膜40Aにてほぼ全反射されて、ここでは図示を省略したコリメートレンズ4に入射する。
一方、復路光としてコリメートレンズ4を介して波長選択性偏光選択反射膜40Aに入射したBD用レーザ光の反射光は、当該波長選択性偏光選択反射膜40Aにて反射され、波長選択性偏光選択反射膜40Bに導かれ、当該波長選択性偏光選択反射膜40Bを透過する。
【0171】
また、DVD・CDレーザ22より出射されカップリングレンズ41Aを介したDVD用レーザ光、CD用レーザ光は、波長選択性偏光選択反射膜40Aに入射し、その一部が当該波長選択性偏光選択反射膜40Aを透過して、コリメートレンズ4に入射する。
そして、復路光としてコリメートレンズ4を介して波長選択性偏光選択反射膜40Aに入射したDVD用レーザ光、CD用レーザ光の反射光は、当該波長選択性偏光選択反射膜40Aにてその一部が反射され、波長選択性偏光選択反射膜40Bに導かれる。
このように波長選択性偏光選択反射膜40Bに導かれたDVD用レーザ光、CD用レーザ光の反射光は、その一部が当該波長選択性偏光選択反射膜40Bを透過する。
【0172】
波長選択性偏光選択反射膜40Bを透過したBD用レーザ光、DVD用レーザ光、CD用レーザ光の反射光は、半反射膜3Bに導かれる。
なお、この場合も半反射膜3Bにて反射された光は第2分光部12(又は25)を介して第2受光部14により受光され、半反射膜3Bを透過し全反射膜3Cで反射された光は、回折素子11’E→第1分光部12(又は23)を介して第1受光部13により受光される点は先の各実施例の場合と同様となる。
【0173】
また、これまでの説明では、3波長対応の構成において、共通の1つの対物レンズ6を用いる場合を例示したが、BD用の対物レンズとDVD・CD用の対物レンズとを個別に備えた構成とすることもできる。
【0174】
また、先の第1の実施の形態では、同一光軸を有する複数の波長光として、BDとDVDのレーザ光が第1分光部(11又は23)に対して入射されるものとしたが、BD・CDの組み合わせ、又はDVD・CDの組み合わせによりそれらの光が同一光軸により第1分光部に入射される構成も有り得る。
【0175】
また、本技術は以下に示す構成とすることもできる。
(1)
光ディスク記録媒体に対して第1の波長による第1波長光と第2の波長による第2波長光を照射するように構成されていると共に
入射光を屈折により複数方向に分光する分光部と、
上記分光部に対して、上記光ディスク記録媒体からの上記第1波長光の反射光と上記第2波長光の反射光とを互いの光軸を一致させた状態で入射させる光学系と、
上記分光部により分光された各光を受光する複数の受光素子と
を備える光ピックアップ装置。
(2)
上記分光部は、十字分割により4つの分光領域が形成されている上記(1)に記載の光ピックアップ装置。
(3)
上記分光部に対して、上記第1波長光の反射光及び上記第2波長光の反射光を、上記分光部における上記十字分割のラインの交点部にその光軸を一致させて入射させるように構成されている
上記(2)に記載の光ピックアップ装置。
(4)
上記光ディスク記録媒体に対して、第3の波長による第3波長光を、上記第1波長光及び上記第2波長光の光軸に対しその光軸を傾けて照射するように構成されている共に、
上記光学系は、
上記光ディスク記録媒体からの上記第3波長光の反射光を、上記第1波長光の反射光及び上記第2波長光の反射光の光軸に対しその光軸が傾けられた状態で上記分光部に対して入射させるように構成されており、
上記分光部は、
連続する3つの分光領域の組が2列隣接配置されることで、2つの十字分割ラインが形成されるようにして6つの分光領域が形成されている
上記(1)に記載の光ピックアップ装置。
(5)
上記第1波長光の反射光及び上記第2波長光の反射光を、上記分光部が有する上記2つの十字分割ラインのうち一方の十字分割ラインの交点部である第1交点部にその光軸を一致させて上記分光部に入射させ、且つ、
上記第3波長光の反射光を、上記分光部が有する上記2つの十字分割ラインのうち他方の十字分割ラインの交点部である第2交点部にその光軸を一致させて上記分光部に入射させるように構成されている
上記(4)に記載の光ピックアップ装置。
(6)
上記第1波長光及び上記第2波長光について3つの分割ビームを上記光ディスク記録媒体に照射するように構成され、
これら3つのビームの上記光ディスク記録媒体からの反射光を、上記分光部に形成された十字分割のラインを構成する縦・横の2つの分割線のうち一方の分割線上に各ビームの光軸を一致させて上記分光部に入射させるように構成されている
上記(2)に記載の光ピックアップ装置。
(7)
上記第1波長光及び上記第2波長光について3つの分割ビームを上記光ディスク記録媒体に照射すると共に、これら第1波長光・第2波長光の光軸に対しその光軸が傾けられた第3の波長による第3波長光について、その3つの分割ビームを上記光ディスク記録媒体に照射するように構成されており、
上記第1波長光及び上記第2波長光の上記3つの分割ビームの上記光ディスク記録媒体からの反射光を、上記分光部における上記2つの十字分割ラインのうち一方の十字分割ラインを構成するタンジェンシャル方向の分割線上に各ビームの光軸を一致させて上記分光部に入射させ、且つ、
上記第3波長光の上記3つの分割ビームの上記光ディスク記録媒体からの反射光を、上記2つの十字分割ラインのうち他方の十字分割ラインを構成するタンジェンシャル方向の分割線上に各ビームの光軸を一致させて上記分光部に入射させるように構成されている
上記(4)に記載の光ピックアップ装置。
(8)
上記分光部における各分光領域は、少なくともその出射面に球面を有する
上記(1)〜(7)に記載の光ピックアップ装置。
(9)
上記複数の受光素子による受光信号の和信号を生成する和信号生成部をさらに備える
上記(1)〜(8)に記載の光ピックアップ装置。
(10)
上記複数の受光素子による受光信号に基づきDPD(Differential Phase Detection)信号を生成するDPD信号生成部をさらに備える
上記(1)〜(9)に記載の光ピックアップ装置。
(11)
上記第1波長光の反射光及び上記第2波長光の反射光の光束中央部の光を回折するホログラム素子をさらに備える
上記(1)〜(10)に記載の光ピックアップ装置。
(12)
上記分光部と上記ホログラム素子とが同一の複合レンズに形成されている上記(11)に記載の光ピックアップ装置。
(13)
上記分光部と上記ホログラム素子は、上記複合レンズの上面/下面のうちの互いに異なる面側に形成されている
上記(12)に記載の光ピックアップ装置。
(14)
上記分光部と上記ホログラム素子は、上記複合レンズの同一面側に形成されている上記(12)に記載の光ピックアップ装置。
(15)
光ディスク記録媒体に対して第1の波長による第1波長光と第2の波長による第2波長光を照射するように構成されていると共に
入射光を屈折により複数方向に分光する分光部と、
上記分光部に対して、上記光ディスク記録媒体からの上記第1波長光の反射光と上記第2波長光の反射光とを互いの光軸を一致させた状態で入射させる光学系と、
上記分光部により分光された各光を受光する複数の受光素子と
を備える光ディスク装置。
【符号の説明】
【0176】
1 レーザ(BDレーザ)、2,41 複合レンズ、2A 貫通孔、3,40 積層プリズム、3A 偏光選択反射膜、3B 半反射膜、3C 全反射膜、4 コリメートレンズ、5 1/4波長板、6 対物レンズ、7 アクチュエータ、8 受光ユニット、11,23 第1分光部、12,25 第2分光部、13 第1受光部、14 第2受光部、20 DVDレーザ、21 ダイクロイックプリズム、22 DVD・CDレーザ、Mc,Ms マスク回折領域、100 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク記録媒体に対して第1の波長による第1波長光と第2の波長による第2波長光を照射するように構成されていると共に
入射光を屈折により複数方向に分光する分光部と、
上記分光部に対して、上記光ディスク記録媒体からの上記第1波長光の反射光と上記第2波長光の反射光とを互いの光軸を一致させた状態で入射させる光学系と、
上記分光部により分光された各光を受光する複数の受光素子と
を備える光ピックアップ装置。
【請求項2】
上記分光部は、十字分割により4つの分光領域が形成されている請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
上記分光部に対して、上記第1波長光の反射光及び上記第2波長光の反射光を、上記分光部における上記十字分割のラインの交点部にその光軸を一致させて入射させるように構成されている
請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
上記光ディスク記録媒体に対して、第3の波長による第3波長光を、上記第1波長光及び上記第2波長光の光軸に対しその光軸を傾けて照射するように構成されている共に、
上記光学系は、
上記光ディスク記録媒体からの上記第3波長光の反射光を、上記第1波長光の反射光及び上記第2波長光の反射光の光軸に対しその光軸が傾けられた状態で上記分光部に対して入射させるように構成されており、
上記分光部は、
連続する3つの分光領域の組が2列隣接配置されることで、2つの十字分割ラインが形成されるようにして6つの分光領域が形成されている
請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
上記第1波長光の反射光及び上記第2波長光の反射光を、上記分光部が有する上記2つの十字分割ラインのうち一方の十字分割ラインの交点部である第1交点部にその光軸を一致させて上記分光部に入射させ、且つ、
上記第3波長光の反射光を、上記分光部が有する上記2つの十字分割ラインのうち他方の十字分割ラインの交点部である第2交点部にその光軸を一致させて上記分光部に入射させるように構成されている
請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
上記第1波長光及び上記第2波長光について3つの分割ビームを上記光ディスク記録媒体に照射するように構成され、
これら3つのビームの上記光ディスク記録媒体からの反射光を、上記分光部に形成された十字分割のラインを構成する縦・横の2つの分割線のうち一方の分割線上に各ビームの光軸を一致させて上記分光部に入射させるように構成されている
請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
上記第1波長光及び上記第2波長光について3つの分割ビームを上記光ディスク記録媒体に照射すると共に、これら第1波長光・第2波長光の光軸に対しその光軸が傾けられた第3の波長による第3波長光について、その3つの分割ビームを上記光ディスク記録媒体に照射するように構成されており、
上記第1波長光及び上記第2波長光の上記3つの分割ビームの上記光ディスク記録媒体からの反射光を、上記分光部における上記2つの十字分割ラインのうち一方の十字分割ラインを構成するタンジェンシャル方向の分割線上に各ビームの光軸を一致させて上記分光部に入射させ、且つ、
上記第3波長光の上記3つの分割ビームの上記光ディスク記録媒体からの反射光を、上記2つの十字分割ラインのうち他方の十字分割ラインを構成するタンジェンシャル方向の分割線上に各ビームの光軸を一致させて上記分光部に入射させるように構成されている
請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
上記分光部における各分光領域は、少なくともその出射面に球面を有する
請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
上記複数の受光素子による受光信号の和信号を生成する和信号生成部をさらに備える
請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
上記複数の受光素子による受光信号に基づきDPD(Differential Phase Detection)信号を生成するDPD信号生成部をさらに備える
請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項11】
上記第1波長光の反射光及び上記第2波長光の反射光の光束中央部の光を回折するホログラム素子をさらに備える
請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項12】
上記分光部と上記ホログラム素子とが同一の複合レンズに形成されている請求項11に記載の光ピックアップ装置。
【請求項13】
上記分光部と上記ホログラム素子は、上記複合レンズの上面/下面のうちの互いに異なる面側に形成されている
請求項12に記載の光ピックアップ装置。
【請求項14】
上記分光部と上記ホログラム素子は、上記複合レンズの同一面側に形成されている請求項12に記載の光ピックアップ装置。
【請求項15】
光ディスク記録媒体に対して第1の波長による第1波長光と第2の波長による第2波長光を照射するように構成されていると共に
入射光を屈折により複数方向に分光する分光部と、
上記分光部に対して、上記光ディスク記録媒体からの上記第1波長光の反射光と上記第2波長光の反射光とを互いの光軸を一致させた状態で入射させる光学系と、
上記分光部により分光された各光を受光する複数の受光素子と
を備える光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図27】
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【図28】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−97830(P2013−97830A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238468(P2011−238468)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】