説明

光ピックアップ装置

【課題】波長の異なる二つのレーザ光に対応しており不要な回折光を抑えてエラー信号の検出精度を向上させる。
【解決手段】CD規格に準拠した第1のレーザ光を発光する第1の光源と、当該第1のレーザ光の波長よりも短い波長のDVD規格に準拠した第2のレーザ光を発光する第2の光源と、を同一の面上に配置したレーザユニットと、第2のレーザ光の波長に対応した回折格子部材のみにより構成される回折格子と、光検出器と、を備え、光検出器において第1のレーザ光に対応する一方の第1のサブ受光部と、第1のメイン受光部と、他方の第1のサブ受光部とのそれぞれの受光感度は、一方の第1のサブ受光部と、第1のメイン受光部と、他方の第1のサブ受光部とにそれぞれ照射されるレーザ光の分光比が略1:16:1とされる場合に相当するように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置は、対物レンズの位置を制御して光ディスク内にある所定の記録トラック上に集光スポットを適切に照射させるべく、トラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等のエラー信号を検出するための光学系を備えている。尚、エラー信号の検出方式としては、トラックピッチが1.6μmのCD規格(CD−ROM、CD−R、CD−RW等)の光ディスクの場合には所謂「3ビーム方式(又は3スポット方式とも称される。)」が主に採用され、トラックピッチが0.74μmのDVD規格(DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW等)の光ディスクの場合には所謂「インライン方式」が主に採用される。
【0003】
「CD」は、「Compact Disc」(商標)の略称とされ、「DVD」(登録商標)は、「Digital Versatile Disc」の略称とされている。
【0004】
まず、CD規格のエラー信号検出に際して主に採用される「3ビーム方式」について説明する。光ピックアップ装置には、図7に示すように、半導体レーザ素子1と偏光ビームスプリッタ3間の光路上にCD用回折格子32を配置している。CD用回折格子32は、一定の周期で等間隔に刻まれた直線状の格子溝を有しており、半導体レーザ素子1から発したレーザ光をメインビーム(0次光)および2つのサブビーム(±1次回折光束)の合計3ビームに回折分岐させる機能を備えている。
【0005】
これらの3ビームが偏光ビームスプリッタ3、コリメートレンズ4、対物レンズ5を経た結果、図8の左側に示すように、光ディスクDの信号記録面上において、メインビームに対応したメインスポット100と、2つのサブビームに各々対応したサブスポット101、102とが形成される。尚、光ディスクDの信号記録面上には信号を記録するためのトラック10が周期的に設けられており、メインスポット100並びにサブスポット101、102のディスク半径方向の間隔δは、CD用回折格子32を光軸回りに回転調整する手段等によって、トラック10の周期Tpの略2分の1に一致するように調整される。そして、メインスポット100並びにサブスポット101、102の反射光が、再び対物レンズ5、コリメートレンズ4、偏光ビームスプリッタ3に達して、その一部の光量が偏光ビームスプリッタ3を透過した後に検出レンズ6を経て光検出器20に入射される。
【0006】
光検出器20には、図8の右側に示すように、メインスポット100並びにサブスポット101、102の反射光に各々対応した受光面20a、20b、20cが配置される。メインスポット100並びにサブスポット101、102の反射光が各々受光面20a、20b、20cに入射されると、メインスポット100に対応するメイン検出光スポット200と、サブスポット101、102に対応するサブ検出光スポット201、202がそれぞれ形成される。
【0007】
ここで、メインスポット100がトラック10上を正確に走査している場合、サブ検出光スポット201、202の光量は同一である。しかし、メインスポット100の走査がトラック10上からずれる場合、サブ検出光スポット201、202間の光量に差が生じてくる。そこで、サブ検出光スポット201、202の光量を減算器54によって減算処理することによって、トラッキングの走査ずれを示すトラッキングエラー信号が生成される。
【0008】
つぎに、DVD規格のエラー信号検出に際して主に採用される「インライン方式」について説明する。インライン方式の光学系としては、基本的には、3ビーム方式と同じ光学系に基づきトラッキングエラー信号を検出することができる。ただし、3ビーム方式の光学系と対比して、図10の左側に示すように、一方の半平面341に形成された格子溝の周期構造の位相が他方の半平面342に形成された格子溝の周期構造の位相に対して約180度ずれたDVD用回折格子34を用いる点が相違する。
【0009】
ここで、DVD用回折格子34を図7に示すCD用回折格子32と同じ位置にCD用回折格子32と置き換えて設ける場合とする。また、インライン方式に対応すべく、図9の左側に示すように、光ディスクDの信号記録面に照射されたメインスポット100及びサブスポット101、102が同一のトラック10上を照射するように、DVD用回折格子34や集光光学系等の配置位置が調整された場合とする。すると、図9の右側に示すように、メイン検出光スポット200から検出されるプッシュプル信号Saとサブスポット101、102のそれぞれに対応するサブ検出光スポット201、202から検出されるプッシュプル信号Sb、Scは、3ビーム方式と同様に互いに逆位相で出力される。従って、減算器53によって、プッシュプル信号Saからプッシュプル信号Sb、Scの加算器51によって加算された信号を減算処理することによって、プッシュプル信号Sa、Sb、Scの各オフセット成分が相殺されたトラッキングエラー信号を生成することが可能となる。
【0010】
ところで、近年、CD規格の光ディスクとDVD規格の光ディスクとの両方の記録再生を行うことができる光ピックアップ装置が提案されている。尚、当該光ピックアップ装置では、光学系の簡略化によるコストダウンを図るべく、CD規格に適した赤外波長帯765nm〜805nmの第1の波長の第1のレーザ光を発光するCD用半導体レーザ素子及びDVD規格に適した赤色波長帯645nm〜675nmの第2の波長の第2のレーザ光を発光するDVD用半導体レーザ素子を具備したマルチレーザユニットが用いられる。
【0011】
また、当該光ピックアップ装置では、光学系の更なる簡略化を図るべく、CD規格の3ビーム方式及びDVD規格のインライン方式の両方に対応した2波長対応回折格子30が用いられる(例えば、以下に示す特許文献1を参照)。尚、2波長対応回折格子30の構造としては、図10に示すように、光学ガラス板36の厚さ方向で対向する一方の平面及び他方の平面に関して、当該一方の平面にはCD用回折格子32を固着し、当該他方の平面にはDVD用回折格子34を固着して構成される。
【0012】
図10に示した2波長対応回折格子30の構造以外にも、例えば、図11に示すような構造の2波長対応回折格子38が提案されている(例えば、以下に示す特許文献2を参照)。即ち、2波長対応回折格子38の構造としては、液晶材料で形成されたCD用回折格子32及びDVD用回折格子34を重ね合わせて固着した上で、2枚の光学ガラス板36a、36bの間に挟み込んで固着して構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−164962号公報
【特許文献2】特開2007−149249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記のようなCD用回折格子及びDVD用回折格子を組み合わせた2波長対応回折格子を使用した場合、例えば、CD規格の第1のレーザ光をCD用回折格子側に入射させたとき、当該CD用回折格子によって当該第1のレーザ光が回折されてメインビーム(0次光)及び2つのサブビーム(±1次回折光束)の3ビームに分岐される。そして、当該3ビームがDVD用回折格子側より更に回折されてメインビーム及び2つのサブビームの3ビームに分岐される。
【0015】
このように、マルチレーザユニットから発光される第1のレーザ光又は第2のレーザ光が、2波長対応回折格子が備えるCD用回折格子及びDVD用回折格子の両方を通過する結果、CD用及びDVD用それぞれの回折格子において回折分岐が行われるので、不要な回折光が発生してしまう。この結果、トラッキングエラー信号等のエラー信号検出精度が悪化するという問題が生じていた。
【0016】
また、例えば不要な回折光の発生により、0次光および±1次回折光の回折格子における透過率が低下し、その結果、マルチレーザユニットから発せられる出射光の利用効率が低下するという問題も生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するための主たる発明は、CD規格に準拠した第1のレーザ光を発光する第1の光源と、当該第1のレーザ光の波長よりも短い波長のDVD規格に準拠した第2のレーザ光を発光する第2の光源と、を同一の面上に配置したレーザユニットと、前記第2のレーザ光の波長に対応した回折格子部材のみにより構成され、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を回折してメインビームと2つのサブビームとを発生させる回折格子と、前記メインビームと前記2つのサブビームとを集光して、光ディスクのトラック上で略一列に前記メインビームに対応したメインスポットと前記2つのサブビームに対応した2つのサブスポットとを照射させる集光光学系と、前記第1のレーザ光に応じた前記メインスポットと前記2つのサブスポットとが前記光ディスクに照射されたのちに、前記光ディスクから反射される前記メインスポットに対応する反射スポットを受光する第1のメイン受光部、及び前記光ディスクから反射される前記2つのサブスポットそれぞれに対応する反射スポットを受光する2つの第1のサブ受光部と、前記第2のレーザ光に応じた前記メインスポットと前記2つのサブスポットとが前記光ディスクに照射されたのちに、前記光ディスクから反射される前記メインスポットに対応する反射スポットを受光する第2のメイン受光部、及び前記光ディスクから反射される前記2つのサブスポットそれぞれに対応する2つの反射スポットを受光する第2のサブ受光部と、を配設した光検出器と、を備え、一方の前記第1のサブ受光部と、前記第1のメイン受光部と、他方の前記第1のサブ受光部とのそれぞれの受光感度は、前記一方の第1のサブ受光部と、前記第1のメイン受光部と、前記他方の第1のサブ受光部とにそれぞれ照射されるレーザ光の分光比が略1:16:1とされる場合に相当するように設定される光ピックアップ装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、波長の異なる二つのレーザ光に対応しており不要な回折光を抑えてエラー信号の検出精度を向上させた光ピックアップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ピックアップ装置の光学配置図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る回折格子を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るインライン方式における光ディスク上の集光スポット配置とトラッキングエラー信号検出系の概要を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光検出器の受光領域を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光検出器の受光領域における各受光部間隔の導出方法を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る光検出器の受光領域における各受光部間隔の導出方法を説明するための図である。
【図7】従来の光ピックアップ装置の光学系を示した図である。
【図8】3ビーム方式を説明するための図である。
【図9】インライン方式を説明するための図である。
【図10】従来の2波長対応回折格子を説明するための図である。
【図11】従来のその他の2波長対応回折格子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<<光ピックアップ装置の光学系>>
図1は、本発明の一実施形態に係る光ピックアップ装置の光学配置図である。尚、当該光ピックアップ装置は、CD規格(CD−ROM、CD−R、CD−RW等)又はDVD規格(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW等)の光ディスクDに対応したものである。
【0021】
レーザユニット61は、CD規格に適した赤外波長帯略765nm〜830nmの第1の波長(例えば782nm)の第1のレーザ光を発光する第1の光源62と、DVD規格に適した赤色波長帯略630nm〜685nmの第2の波長(例えば655nm)の第2のレーザ光を発光する第2の光源63と、を同一の発光面61a上に有したマルチレーザユニットである。レーザユニット61は、第1のレーザ光と、第1のレーザ光と異なる波長とされる第2のレーザ光との2種類の波長のレーザ光を出射可能な例えば二波長発光素子として構成されている。このように、レーザユニット61は、複数種類の波長のレーザ光を出射可能な発光素子とされている。尚、第1の光源62、第2の光源63は、半導体レーザ素子を構成するものである。
【0022】
第1の光源62及び第2の光源63からそれぞれ出射される第1のレーザ光及び第2のレーザ光は、回折格子64または645によりメインビーム(0次光)と2つのサブビーム(±1次回折光束)による少なくとも合計3ビームを発生させるべく回折されたのちに、カップリングレンズ65により広がり角が調整されてプレート型の偏光ビームスプリッタ66の偏光フィルタ面により反射される。
【0023】
偏光ビームスプリッタ66により反射されたレーザ光は、光学レンズとされるコリメータレンズ67により平行光に形成されたのちに、1/4波長板68を通過して円偏光に変換され、更に、反射ミラー69により光軸が折曲されて光学レンズとされる対物レンズ70に入射され、対物レンズ70により収束されて光ディスクDに照射される。
【0024】
以上のように、カップリングレンズ65、偏光ビームスプリッタ66、コリメータレンズ67、1/4波長板68、反射ミラー69、対物レンズ70は、集光光学系の一例となる。即ち、回折格子64/645は、回折格子64/645によって分岐されたメインビームと2つのサブビームとを集光して、光ディスクDのトラック80上において、細長のトラック80に対し斜めに傾けられて略一列にメインビームに対応したメインスポットと2つのサブビームに対応した2つのサブスポットとを照射させるものである。
【0025】
なお、光ピックアップ装置の設計/仕様などにより、例えばカップリングレンズ65が装備されることなく省略されてもよい。また、図1においては、コリメータレンズ67と反射ミラー69との間に1/4波長板68が位置する光ピックアップ装置の光学配置例を示したが、光ピックアップ装置の設計/仕様などにより、例えば、コリメータレンズ67と反射ミラー69との間に1/4波長板68が装備されることなく、偏光ビームスプリッタ66とコリメータレンズ67との間に1/4波長板68が位置する光ピックアップ装置も使用可能とされている。
【0026】
また、光ディスクDに信号が記録可能な光ピックアップ装置においては、レーザユニット61から出射されるレーザ光をモニタし、レーザユニット61の制御のためにフィードバックをかける受光素子(不図示)が、例えば偏光ビームスプリッタ66の周辺近傍に装備される。
【0027】
対物レンズ70は、各種の光ディスクDに適合した波長の各レーザ光をそれぞれの光学特性に合わせて回折する回折格子(不図示)が入射面に光軸を中心として輪帯状に形成され、当該回折格子により回折分岐された3ビームが各光ディスクDに対して球面収差を補正して集光作用を持たせるように設計される。そして、対物レンズ70をフォーカス方向(図1中に示すP軸方向)及びトラッキング方向(図1中に示すトラック80の形成方向を示すQ軸と直交する方向)に駆動することにより光ディスクDの信号層にレーザ光を合焦させるとともに、光ディスクDの所定のトラック80にレーザ光を追従させるように、対物レンズ70から光ディスクDに向けてレーザ光が照射される。
【0028】
光ディスクDの信号層により変調されて反射されたレーザ光は対物レンズ70に戻り、往路と途中まで略同じ光路である復路を経由して偏光ビームスプリッタ66に至る。光ディスクDの信号層に例えば右旋回のレーザ光が照射されたときに、反射されたレーザ光は、例えば左旋回のレーザ光に反転された状態の円偏光となる。光ディスクDへの往路でS偏光であったレーザ光は、復路ではP偏光のレーザ光となって1/4波長板68から出射され、P偏光のレーザ光は、偏光ビームスプリッタ66に入射される。
【0029】
復路のP偏光のレーザ光は、偏光ビームスプリッタ66を略透過する。偏光ビームスプリッタ66に戻されたレーザ光は、例えば偏光ビームスプリッタ66を透過する際の非点収差を補正すべく傾けて配置された第1の平行平板71を透過する。また、第1の平行平板71を透過したレーザ光が第2の平行平板72を透過することにより、例えば光ディスクDに照射されるレーザ光のフォーカスエラー成分となる非点収差が付与されるとともに、偏光ビームスプリッタ66及び第1の平行平板71により発生されるコマ収差が補正された上で、光検出器73にレーザ光が導かれる。この結果、光検出器73は、第2の平行平板72より導かれたレーザ光に基づきトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号等を生成する。
【0030】
<<回折格子64または645と光検出器73>>
以下、図2、図3を用いて回折格子64または645について説明する。
【0031】
本実施形態の光ピックアップ装置はCD規格及びDVD規格いずれの光ディスクDにも対応したものである。回折格子645は、例えば図2に示す回折格子643と略同じ構成をした安価なインライン方式対応の回折格子とされている。また、回折格子64は、3ビーム方式対応のCD用回折格子を用いずに、インライン方式対応のDVD用回折格子のみで構成したものである。即ち、従来のCD用回折格子及びDVD用回折格子を両方具備する2波長対応回折格子30、38において問題であった、CD規格に準拠した第1のレーザ光又はDVD規格に準拠した第2のレーザ光がCD用回折格子及びDVD用回折格子の両方を通過した結果発生する不要な回折光を解消するために、回折格子64は、DVD用回折格子のみの構成とされている。
【0032】
具体的には、回折格子64は、図2に示すように、一方の半平面641に形成された格子溝の周期構造の位相が他方の半平面642に形成された格子溝の周期構造の位相に対して約180度ずれたDVD用回折格子部材643を、光学ガラス板644の一方の平面に固着して構成される。また、回折格子64の光学配置は、インライン方式に準拠して、図3に示すように、光ディスクD上に照射された第1又は第2のレーザ光のメインビームに基づくメインスポット800及び第1又は第2のレーザ光のサブビームに基づくサブスポット801、802を同一のトラック80上に略斜めに傾けられた状態で略一列に照射させるように調整される。
【0033】
以上のようなDVD用回折格子部材643のみによる回折格子64、645の構成並びにその光学配置を採用したことによって、前述したとおり、不要な回折光が抑制されるとともに、インライン方式に基づくトラッキングエラー信号の検出を適切に行うことができる。具体的には、図3に示すように、DVD規格に準拠した第2のレーザ光の場合には、メインスポット800に対応したメイン検出光スポット803から検出されるプッシュプル信号Saとサブスポット801、802のそれぞれに対応するサブ検出光スポット804、805から検出されるプッシュプル信号Sb、Scは、互いに逆位相で出力される。このため、減算器738によって、プッシュプル信号Saからプッシュプル信号Sb、Scの加算器737によって加算された信号を減算処理することで、プッシュプル信号Sa、Sb、Scの各オフセット成分が相殺された精度の高いトラッキングエラー信号を生成することができる。
【0034】
一方、CD規格に準拠した第1のレーザ光の場合であっても、メインスポット800に対応したメイン検出光スポット806から検出されるプッシュプル信号Sa’とサブスポット801、802のそれぞれに対応するサブ検出光スポット807、808から検出されるプッシュプル信号Sb’、Sc’は、互いに逆位相で出力される。このため、減算器738によって、プッシュプル信号Sa’、Sb’、Sc’の各オフセット成分が相殺されたトラッキングエラー信号を生成することができる。
【0035】
しかし、回折格子64は、DVD規格に準拠した第2のレーザ光の第2の波長に対応したDVD用回折格子部材643を備えるにとどまり、CD規格に準拠した第1のレーザ光の第1の波長には対応していない。また、回折格子645は、DVD規格に準拠した第2のレーザ光の第2の波長に対応したDVD用回折格子部材645のみで構成されており、CD規格に準拠した第1のレーザ光の第1の波長には対応していない。このため、CD規格に準拠した第1のレーザ光を回折格子64、645により回折分岐されたメイン検出光スポット806とサブ検出光スポット807、808の間隔(以下、メイン−サブピッチと呼ぶ。)は、回折格子64、645が対応する波長に反比例した長さとなるので、本来使用すべきCD用回折格子により回折分岐された場合と対比して拡大する。また、メイン−サブピッチが拡大した結果、メイン検出光スポット806とサブ検出光スポット807、808の分光比も変化してしまう。
【0036】
そこで、光検出器73において、メイン検出光スポット803を受光する第2のメイン受光部731とサブ検出光スポット804を受光する第2のサブ受光部732及びサブ検出光スポット805を受光する第2のサブ受光部733との間の受光間隔Ys(dvd)と、メイン検出光スポット806を受光する第1のメイン受光部734とサブ検出光スポット807を受光する第2のサブ受光部735及びサブ検出光スポット808を受光する第1のサブ受光部736との間の受光間隔Ys(cd)を、それぞれのレーザ光に応じたメイン−サブピッチと合わせるように、適切に設定する必要がある。
【0037】
<<光検出器73の受光領域>>
以下、図4乃至図6を用いて光検出器73の受光領域について説明する。
【0038】
光検出器73の同一受光面において、DVD規格の光ディスクDの記録再生に用いられるDVD受光領域7302と、CD規格の光ディスクDの記録再生に用いられるCD受光領域7304とが並べて形成されている。
【0039】
DVD受光領域7302には、DVD規格に準拠した第2のレーザ光を回折格子64または645により回折分岐した3ビーム、具体的には、メインビーム(0次光)と、そのメインビームの前後に配置される2つのサブビーム(±1次回折光束)それぞれに対応して、第2のメイン受光部731、第2のサブ受光部732、733が形成される。第2のメイン受光部731、第2のサブ受光部732、733は4分割されてそれぞれ4つのセグメントにより構成される。即ち、第2のメイン受光部731、第2のサブ受光部732及び第2のサブ受光部733を構成する各セグメントから得られる各受光出力に所定の演算を施すことにより、DVD規格の光ディスクDの記録再生時に、メイン情報信号、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号が得られる。尚、第2のメイン受光部731、第2のサブ受光部732、733は4分割に限定されず、例えば2分割であってもよい。
【0040】
CD受光領域7304には、CD規格に準拠した第1のレーザ光を回折格子64または645により回折分岐した3ビーム、具体的には、メインビーム(0次光)と、そのメインビームの前後に配置される2つのサブビーム(±1次回折光束)それぞれに対応して、第1のメイン受光部734と、2つの第1のサブ受光部735、736が形成される。第1のメイン受光部734、第1のサブ受光部735、736はそれぞれ4分割されて4つのセグメントにより構成される。即ち、第1のメイン受光部734、第1のサブ受光部735、736を構成する各セグメントから得られる各受光出力に所定の演算を施すことにより、CD規格の光ディスクDの記録再生時に、メイン情報信号、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号が得られる。尚、第1のメイン受光部734、第1のサブ受光部735、736は4分割に限定されず、例えば2分割であってもよい。
【0041】
DVD受光領域7302における第2のメイン受光部731と第2のサブ受光部732、733との間の受光間隔Ys(dvd)と、CD受光領域7304における第1のメイン受光部734と第1のサブ受光部735、736との間の受光間隔Ys(cd)とは、つぎのように導出される。
【0042】
まず、第1又は第2の光源62、63より出射される第1又は第2のレーザ光の波長λと、回折格子64または645において連続した凸部から凹部までを一周期とした格子間隔dと、に基づいて、つぎの式(1)によるブラッグの条件に基づく近似式によって回折角θが求められる(図5、図6参照)。尚、回折角θとは、回折光が回折格子64または645の略平滑面Sの裏側の凹面64bや凸面64aの法線Nと成す角度のことを意味する。また、図5に示す説明図および図6に示す説明図は、説明を容易とさせるために、便宜上、描かれた図であり、実際には、仮想の発光点Xは、法線Nを中心軸として略対称に一対ほど設定される。
θ=Sin-1(λ/d) …(1)
【0043】
つぎに、レーザユニット61の発光面61aに含まれる第1又は第2の光源62、63の現実の位置を示す第1の発光点Oから回折格子64または645の略平滑面Sの裏側の凹面64bや凸面64aまでの間の法線距離Lと、式(1)により求めた回折角θと、に基づき、レーザユニット61の発光面61a上でのサブビームに関する見かけ上の第1又は第2の光源62、63の位置を示す第2の発光点Xを定めることができる。尚、レーザユニット61の発光面61aは、回折格子64または645の略平滑面Sの法線Nに対して垂直であり、面Sの裏側の凹面64bや凸面64aから略法線距離Lだけ離れた位置にある平面となっている。そして、つぎの式(2)により、レーザユニット61の発光面61a上における第1の発光点Oから第2の発光点Xまでの間の距離Yrが求められる(図5、図6参照)。
Yr=L×tan(θ) …(2)
【0044】
ここで、光ディスクDの信号記録面上におけるメインスポットの第1の照射点O’(不図示)と、第2の発光点Xより仮想的に発光される第1又は第2のレーザ光に対応した光ディスクDの信号記録面上におけるサブスポットの第2の照射点X’(不図示)とについて、簡単に説明する。
【0045】
例えば、コリメータレンズ67の焦点距離f2(不図示)と、対物レンズ70の焦点距離f1(不図示)と、に基づいて、第1の発光点Oより仮想的に発光される第1又は第2のレーザ光に対応した光ディスクDの信号記録面上におけるメインスポットの第1の照射点O’(不図示)と、第2の発光点Xより仮想的に発光される第1又は第2のレーザ光に対応した光ディスクDの信号記録面上におけるサブスポットの第2の照射点X’(不図示)と、が求められる。すると、光ディスクDの信号記録面上における第1の照射点O’と第2の照射点X’との間の距離Ys’(不図示)は、発光点Oから発光点Xまでの距離Yrと、コリメータレンズ67の焦点距離f2と、対物レンズ70の焦点距離f1と、に基づいて、例えばつぎの式(3)により求められる。
Ys’=Yr×f1/f2 …(3)
【0046】
以上を整理すると、第1又は第2のレーザ光の波長を例えばλとし、回折格子64、645の格子間隔をdとし、レーザユニット61の発光面61aから回折格子64、645の面Sに対する裏側の凹面64bや凸面64aとの間の法線距離をLとし、対物レンズ70の焦点距離をf1とし、コリメータレンズ67の焦点距離をf2としたとき、光ディスクDの信号記録面上における第1の照射点O’と第2の照射点X’との間の距離Ys’は、つぎの式(4)に基づいて求められる。尚、距離Ys’は、第1又は第2のレーザ光が回折格子64または645により回折分岐された場合の光ディスクDの信号記録面上での各メイン−サブピッチを表している。
Ys’=L×tan{sin-1(λ/d)}×f1/f2 …(4)
【0047】
つぎに、光検出器73における第1のメイン受光部734と第1のサブ受光部735、736との間の受光間隔Ys(cd)並びに第2のメイン受光部731と第2のサブ受光部732、733との間の受光間隔Ys(dvd)の設定方法について、引き続き説明する。
上記式(1)および式(2)に基づき、つぎの式(5)が求められる。
Yr=L×tan{sin-1(λ/d)} …(5)
【0048】
ここで、レーザユニット61の発光面61aにおけるDVD用の発光点O、Xと、DVD用反射光に対応した光検出器73の受光面におけるDVD用の照射点O(dvd)、X(dvd)とを、例えば光学的に等価な位置に配置させるために、DVD用出射光に対応した仮想の光源間隔Yr(dvd)と、DVD用反射光に対応した実際の受光間隔Ys(dvd)とが略等しいものと仮定する。
例えばつぎの式(6)を仮定する。
Ys(dvd)≒Yr(dvd) …(6)
つぎに、式(5)および式(6)に基づき、例えばつぎの式(7)が設定される。
Ys(dvd)=L×tan{sin-1(λ(dvd)/d)} …(7)
DVD規格の波長(第2の波長)λ(dvd)が例えば略660nmとされている場合、式(7)のλ(dvd)に660を代入すると、つぎの式(8)が求められる。
Ys(dvd)=L×tan{sin-1(660/d)} …(8)
予め定められた法線距離Lの数値と、予め定められた格子間隔dの数値とを式(8)に代入することにより、光検出器73のDVD受光領域7302における受光間隔Ys(dvd)が求められる。
【0049】
つぎに、レーザユニット61の発光面61aにおけるCD用の発光点O、Xと、CD用反射光に対応した光検出器73の受光面におけるCD用の照射点O(cd)、X(cd)とを、例えば光学的に等価な位置に配置させるために、CD用出射光に対応した仮想の光源間隔Yr(cd)と、CD用反射光に対応した実際の受光間隔Ys(cd)とが略等しいものと仮定する。
例えばつぎの式(9)を仮定する。
Ys(cd)≒Yr(cd) …(9)
つぎに、式(5)および式(9)に基づき、例えばつぎの式(10)が設定される。
Ys(cd)=L×tan{sin-1(λ(cd)/d)} …(10)
CD規格の波長(第1の波長)λ(cd)が例えば略785nmとされている場合、式(10)のλ(cd)に785を代入すると、つぎの式(11)が求められる。
Ys(cd)=L×tan{sin-1(785/d)} …(11)
【0050】
予め定められた法線距離Lの数値と、予め定められた格子間隔dの数値とを式(11)に代入することにより、光検出器73のCD受光領域7304における受光間隔Ys(cd)が求められる。
【0051】
このようにして、光検出器73のDVD受光領域7302における受光間隔Ys(dvd)と、光検出器73のCD受光領域7304における受光間隔Ys(cd)とが定められる。
【0052】
予め定められた法線距離Lの数値と、予め定められた格子間隔dの数値とは、共に一定値とされることから、式(8)に基づいて導き出されたDVD用反射光に対応する実際の受光間隔Ys(dvd)と、式(11)に基づいて導き出されたCD用反射光に対応する実際の受光間隔Ys(cd)とを比較すると、受光間隔Ys(dvd)よりも受光間隔Ys(cd)のほうが明らかに長くなる。
【0053】
このように、光検出器73における第1のメイン受光部734と第1のサブ受光部735、736との間の受光間隔Ys(cd)は、式(11)によって求まる距離Ys(cd)に基づいて設定される。また、光検出器73における第2のメイン受光部731と第2のサブ受光部732、733との間の受光間隔Ys(dvd)は、式(8)によって求まる距離Ys(dvd)に基づいて設定される。
【0054】
具体的には、第1のメイン受光部734における4セグメントの中心と、第1のサブ受光部735、736の4セグメントの中心との間の距離Ys(cd)を、式(11)によって求められる距離Ys(cd)に設定する。また、第2のメイン受光部731における4セグメントの中心と、第2のサブ受光部732、733の4セグメントの中心との間の距離Ys(dvd)を、式(8)によって求められる距離Ys(dvd)に設定する。これにより、光検出器73は、第1又は第2のレーザ光を回折格子64または645により回折分岐させた場合の各メイン−サブピッチに適切に対応可能となる。
【0055】
<<光検出器73に照射される各スポットの分光比>>
以下、図3を用いて例えば各スポット803、804、805/806、807、808の光の強度比とされる分光比等について説明する。
まず、光検出器73のDVD受光領域7302に照射される光の強さや分光比等について説明する。
【0056】
例えば、DVD規格に基づく光ディスクDのトラック80上の先行サブスポット801に対応するサブ検出光スポット804と、DVD規格に基づく光ディスクDのトラック80上のメインスポット800に対応するメイン検出光スポット803と、DVD規格に基づく光ディスクDのトラック80上の後行サブスポット802に対応するサブ検出光スポット805との分光比は、略1:15:1とされている。
【0057】
この場合のサブ検出光スポット804または805における光の強さは、光検出器73のDVD受光領域7302に照射される光の強さ全体の略1/17となる。また、この場合のメイン検出光スポット803における光の強さは、光検出器73のDVD受光領域7302に照射される光の強さ全体の略15/17となる。
【0058】
図3に示すインライン方式の光検出器73のDVD受光領域7302に照射されるレーザ光の分光比は、図9に示すインライン方式のDVD用光検出器20に照射されるレーザ光の分光比と略同じとされている。
【0059】
例えば、DVD規格に基づく光ディスクDのトラック10上の先行サブスポット101に対応するサブ検出光スポット201と、DVD規格に基づく光ディスクDのトラック10上のメインスポット100に対応するメイン検出光スポット200と、DVD規格に基づく光ディスクDのトラック10上の後行サブスポット102に対応するサブ検出光スポット202との分光比は、略1:15:1とされている。
【0060】
この場合のサブ検出光スポット201または202における光の強さは、光検出器20に照射される光の強さ全体の略1/17となる。また、この場合のメイン検出光スポット200における光の強さは、光検出器20に照射される光の強さ全体の略15/17となる。
【0061】
つぎに、図3に示す光検出器73のCD受光領域7304に照射される光の強さや分光比等について説明する。
例えば、CD規格に基づく光ディスクDのトラック80上の先行サブスポット801に対応するサブ検出光スポット807と、CD規格に基づく光ディスクDのトラック80上のメインスポット800に対応するメイン検出光スポット806と、CD規格に基づく光ディスクDのトラック80上の後行サブスポット802に対応するサブ検出光スポット808との分光比は、略1:23:1とされている。
【0062】
この場合のサブ検出光スポット807または808における光の強さは、光検出器73のCD受光領域7304に照射される光の強さ全体の略1/25となる。また、この場合のメイン検出光スポット806における光の強さは、光検出器73のCD受光領域7304に照射される光の強さ全体の略23/25となる。
【0063】
図3に示すインライン方式の光検出器73のCD受光領域7304に照射されるレーザ光の分光比は、図8に示す3ビーム方式のCD用光検出器20に照射されるレーザ光の分光比と異なる。
【0064】
例えば、CD規格に基づく光ディスクDのトラック10上の先行サブスポット101に対応するサブ検出光スポット201と、CD規格に基づく光ディスクDのトラック10上のメインスポット100に対応するメイン検出光スポット200と、CD規格に基づく光ディスクDのトラック10上の後行サブスポット102に対応するサブ検出光スポット202との分光比は、略1:16:1とされている。
【0065】
この場合のサブ検出光スポット201または202における光の強さは、光検出器20に照射される光の強さ全体の略1/18となる。また、この場合のメイン検出光スポット200における光の強さは、光検出器20に照射される光の強さ全体の略16/18となる。
【0066】
CD用レーザ光に対応する回折格子部を有していない回折格子64、645を備える光ピックアップ装置が構成された場合、回折格子64、645を透過した各CD用レーザ光が光検出器73のCD受光領域7304に照射されると、従来のものに対し、CD受光領域7304に照射される各レーザ光の分光比が変更される。
【0067】
従来のものに対し、CD受光領域7304に照射される各レーザ光の分光比が変更されることに伴い、光検出器73のCD受光領域7304におけるメイン受光部734および各サブ受光部735、736の受光感度が変更される。
【0068】
例えば、サブ検出光スポット807、808が照射されるサブ受光部735、736の受光感度の変更倍率は、つぎの式(12)により求められる。
{(1/18)/(1/25)}×100=138.88889 …(12)
このように、光検出器73のCD受光領域7304におけるサブ受光部735または736の受光感度(mV/uW)は、例えば従来のものを100%とした場合、従来のものに対して略139%の値に設定されることとなる。
【0069】
また、例えば、メイン検出光スポット806が照射されるメイン受光部734の受光感度の変更倍率は、つぎの式(13)により求められる。
{(16/18)/(23/25)}×100=96.61836 …(13)
このように、光検出器73のCD受光領域7304におけるメイン受光部734の受光感度(mV/uW)は、例えば従来のものを100%とした場合、従来のものに対して略97%の値に設定されることとなる。
【0070】
上記回折格子64または645と、上記光検出器73とを備える上記光ピックアップ装置が構成されることにより、光検出器73は、DVD規格に準拠した第2のレーザ光を回折格子64、645により回折分岐した3ビームに関するメイン−サブピッチはもとより、CD規格に準拠した第1のレーザ光を回折格子64、645により回折分岐した3ビームに関するメイン−サブピッチならびに分光比についても対応することができ、トラッキングエラー信号等のエラー信号検出精度等を向上させることができる。
【0071】
また、光検出器73のDVD受光領域7302における受光間隔Ys(dvd)は、DVD用回折格子部材643もしくはDVD用回折格子645の格子間隔dを基準としたものであるので、例えば、DVD規格の光ディスクDがL0層とL1層の2層構造の場合にあって、L0層再生時においてL1層からの反射光が第2のメイン受光部731のみならず第2のサブ受光部732及び第2のサブ受光部733においても受光されてしまうことを未然に抑制することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0073】
例えば、二つの半平面部641、642を備える二分割タイプの回折格子64、645に代えて、三つの半平面部を備える三分割タイプの回折格子(不図示)が用いられてもよい。また、例えば、二つの半平面部641、642を備える二分割タイプの回折格子64、645に代えて、四つの半平面部を備える四分割タイプの回折格子(不図示)が用いられてもよい。このように複数の半平面部を備える複数分割タイプの回折格子が使用可能とされている。
【0074】
また、例えば、第1のレーザ光はDVD規格の波長略660nm(第1の波長)の赤色レーザ光であり、第2のレーザ光は波長略405nm(第2の波長)の「HD DVD」(登録商標)規格又は「Blu−ray Disc」(登録商標)規格の青紫色レーザ光でもよい。尚、この場合、回折格子64または645は、「HD DVD」又は「Blu−ray Disc」の波長に応じた格子間隔を具備した回折格子部材のみで構成される。
【0075】
上記光ピックアップ装置が構成されることにより、光学系の簡略化を図りつつ、波長の異なる二つの第1及び第2のレーザ光に対応しており不要な回折光を抑えてエラー信号の検出精度を向上させると共に安価で高効率な光ピックアップ装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 半導体レーザ素子
30、38 2波長対応回折格子
6 検出レンズ
20a、20b、20c 受光面
61 レーザユニット
61a 発光面
62 第1の光源
63 第2の光源
64、645 回折格子
64a 凸面
64b 凹面
341、342、641、642 半平面
32 CD用回折格子
34、643 DVD用回折格子(回折格子)
36、36a、36b、644 ガラス基板
65 カップリングレンズ
3、66 偏光ビームスプリッタ
4、67 コリメータレンズ
68 1/4波長板
69 反射ミラー
5、70 対物レンズ
71 第1の平行平板
72 第2の平行平板
20、73 光検出器
731、734 メイン受光部
732、733、735、736 サブ受光部
7302、7304 受光領域
51、737 加算器
50a、50b、50c、53、54、738 減算器
10、80 トラック
100、800 メインスポット
101、102、801、802 サブスポット
200、803、806 メイン検出光スポット
201、202、804、805、807、808 サブ検出光スポット
D 光ディスク
d 格子間隔
L 法線距離
N 法線
O、X 発光点
O(cd)、X(cd) 照射点
O(dvd)、X(dvd) 照射点
S 面
Sa、Sb、Sc、Sa’、Sb’、Sc’ プッシュプル信号
Tp 周期
Yr 距離
Ys 間隔(距離)
Ys(cd) 間隔(距離)
Ys(dvd) 間隔(距離)
θ 回折角
δ 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD規格に準拠した第1のレーザ光を発光する第1の光源と、当該第1のレーザ光の波長よりも短い波長のDVD規格に準拠した第2のレーザ光を発光する第2の光源と、を同一の面上に配置したレーザユニットと、
前記第2のレーザ光の波長に対応した回折格子部材のみにより構成され、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を回折してメインビームと2つのサブビームとを発生させる回折格子と、
前記メインビームと前記2つのサブビームとを集光して、光ディスクのトラック上で略一列に前記メインビームに対応したメインスポットと前記2つのサブビームに対応した2つのサブスポットとを照射させる集光光学系と、
前記第1のレーザ光に応じた前記メインスポットと前記2つのサブスポットとが前記光ディスクに照射されたのちに、前記光ディスクから反射される前記メインスポットに対応する反射スポットを受光する第1のメイン受光部、及び前記光ディスクから反射される前記2つのサブスポットそれぞれに対応する反射スポットを受光する2つの第1のサブ受光部と、前記第2のレーザ光に応じた前記メインスポットと前記2つのサブスポットとが前記光ディスクに照射されたのちに、前記光ディスクから反射される前記メインスポットに対応する反射スポットを受光する第2のメイン受光部、及び前記光ディスクから反射される前記2つのサブスポットそれぞれに対応する2つの反射スポットを受光する第2のサブ受光部と、を配設した光検出器と、を備え、
一方の前記第1のサブ受光部と、前記第1のメイン受光部と、他方の前記第1のサブ受光部とのそれぞれの受光感度は、前記一方の第1のサブ受光部と、前記第1のメイン受光部と、前記他方の第1のサブ受光部とにそれぞれ照射されるレーザ光の分光比が略1:16:1とされる場合に相当するように設定されること、
を特徴とする光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−164418(P2012−164418A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−126813(P2012−126813)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【分割の表示】特願2007−210227(P2007−210227)の分割
【原出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】