説明

光ピックアップ装置

【課題】高倍速化に対応させるために対物レンズアクチュエータのワイヤをハの字状に配置した場合に、安定して半田付けできるようにすることで、性能の安定と性能の向上とを実現する光ピックアップ装置を提供することである。
【解決手段】対物レンズ17、21と、対物レンズ17、21を保持するレンズホルダ31と、レンズホルダ31の両側面に貼着された一対のワイヤ固定基板37a、37bと、ハの字型に配置されるようにワイヤ固定基板37a、37bに半田付けされた複数のサスペンションワイヤ32とを備えた対物レンズアクチュエータ30を搭載した光ピックアップ装置において、ワイヤ固定基板37a、37b表面を自身に固定されるサスペンションワイヤ32と平行に配置した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハの字型に配置されるように各ワイヤ固定基板に半田付けされた複数のサスペンションワイヤを備えた対物レンズアクチュエータを搭載した光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、BD(Blu-ray Disc)やDVD等の光ディスクの再生/記録を行う光ディスク装置において高倍速化の要請が増しており、光ディスク装置に搭載される光ピックアップ装置も高倍速化に対応させる必要が出てきている。
【0003】
この光ピックアップ装置を高倍速化、つまり高帯域化に対応させるために、対物レンズを有する可動部を揺動可能に支持するワイヤを備えた構成においては、ワイヤの配置を工夫するなどの技術が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、レンズホルダ等を搭載した可動部と、固定ブロックと、固定部接続用基板と、から成り、可動部をフォーカシング方向とトラッキング方向へ進退可能に支持する固定部と、可動部と固定部とを接続する4本の支持用ワイヤであって、各支持ワイヤのワイヤ間隔が可動部端よりも固定部端をハの字型に拡開させたもの、とを備えた二軸レンズアクチュエータにおいて、各支持ワイヤと、固定部接続用基板のワイヤ接続面とが直交するように、固定部接続用基板を湾曲させた構成が開示されている。
【0005】
また特許文献2には、対物レンズを有する可動部をワイヤを介して支持ベース側に変位可能に懸架支持する対物レンズ支持装置に用いられ、支持ベース側にワイヤの延在方向に板面を向けて配設されてワイヤを接続するワイヤ接続基板であって、ワイヤの延在方向とほぼ平行な側面に形成され、可動部側に形成される第1ワイヤ接続ランドとほぼ同一方向を向いた第2ワイヤ接続ランドを有する構成が開示されている。
【0006】
また特許文献3には、対物レンズが取り付けられたレンズ枠を4本のワイヤ状弾性部材で支持基体に支持させる対物レンズ支持装置において、ワイヤ状弾性部材のうち左右のワイヤ状弾性部材どうしは、非平行で且つ対物レンズ中心及び回動中心を通る垂直な平面に対して対称となるように、互いの先端部に向かって漸次接近した状態で配置され、支持基体とレンズ枠に固定され、これら左右のワイヤ状弾性部材の延長線上の交点は、対物レンズの中心とレンズ枠の回転中心との間に位置している構成が開示されている。
【0007】
また特許文献4には、固定された本体と、可動部と、本体と可動部を接続する二対の平行な線状支持体とより成り、二対の平行な線状支持帯の各対が非平行に配設される光学系支持装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−272193号公報
【特許文献2】特開2001−23206号公報
【特許文献3】特開2003−123289号公報
【特許文献4】特開昭60−197942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1、3、4のように、ワイヤをハの字状に配置すると、高帯域化のために低弾性係数のワイヤを用いても、ロール方向のねじり剛性を確保でき、ロール方向への回転運動により生じる光軸の傾きを抑制することができる。
【0010】
しかしながら、これら特許文献1、3、4では半田付けの安定性に関しては触れられていない。半田量が安定しないと、ワイヤの位置や固定が不安定になり、性能悪化や性能のばらつきに繋がる。一方、上記の特許文献2では半田付けの作業性の向上に関して記載されているが、半田付けの安定性については触れられておらず、高倍速化のために必要なワイヤをハの字状に配置することについても考慮されていない。
【0011】
本発明は、高倍速化に対応させるために対物レンズアクチュエータのワイヤをハの字状に配置した場合に、安定して半田付けできるようにすることで、性能の安定と性能の向上とを実現する光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、対物レンズと、該対物レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダの両側面に貼着された一対のワイヤ固定基板と、ハの字型に配置されるように各ワイヤ固定基板に半田付けされた複数のサスペンションワイヤとを備えた対物レンズアクチュエータを搭載した光ピックアップ装置において、前記ワイヤ固定基板表面を自身に固定される前記サスペンションワイヤと平行に配置したことを特徴とする。
【0013】
上記の光ピックアップ装置において、前記ワイヤ固定基板表面を自身に固定される前記サスペンションワイヤと平行に配置するために、例えば、前記レンズホルダの前記ワイヤ固定基板を貼着する部分を、該ワイヤ固定基板に固定される前記サスペンションワイヤと平行に形成することが好ましい。
【0014】
また上記の光ピックアップ装置において、前記ワイヤ固定基板表面を自身に固定される前記サスペンションワイヤと平行に配置するために、例えば、前記レンズホルダの前記ワイヤ固定基板を貼着する部分を、階段状に形成してもよい。
【0015】
また上記の光ピックアップ装置において、前記ワイヤ固定基板表面を自身に固定される前記サスペンションワイヤと平行に配置するために、例えば、前記ワイヤ固定基板は厚み方向にテーパーを有するようにしてもよい。
【0016】
また上記の光ピックアップ装置において、各ワイヤ固定基板に前記サスペンションワイヤが3本ずつ固定される構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、ワイヤ固定基板の表面が自身に固定されるサスペンションワイヤと平行であるため、サスペンションワイヤを少量の半田で固定することができ、半田を一定量(同量)に保ちやすい。その結果、各サスペンションワイヤの位置や固定にばらつきがなくなり、性能悪化や性能のばらつきがなくなる。すなわち、高倍速化に対応させるためにサスペンションワイヤをハの字状に配置した場合に、サスペンションワイヤの半田付けが安定するので、対物レンズアクチュエータ、さらには光ピックアップ装置の性能の安定と性能の向上とに繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の光ピックアップ装置の外観構成を示す概略平面図である。
【図2】本発明の一実施形態の光ピックアップ装置の光学構成を示す概略平面図である。
【図3】本発明の一実施形態の光ピックアップ装置が備える対物レンズアクチュエータの概略斜視図である。
【図4】図3の対物レンズアクチュエータの平面図である。
【図5】図3の対物レンズアクチュエータの右側面図である。
【図6】他の形態の対物レンズアクチュエータのワイヤ固定基板付近を拡大した平面図である。
【図7】他の形態の対物レンズアクチュエータのワイヤ固定基板付近を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態の光ピックアップ装置について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態の光ピックアップ装置は、BD、DVD、CDといった3種類の規格の光ディスクに対して情報の読み取りや書き込みを行える構成となっている。
【0020】
図1は、本実施形態の光ピックアップ装置1の外観構成を示す概略平面図である。なお、図1に示される光ピックアップ装置1で光ディスクの情報の読み取り等を行う場合、光ディスクは紙面手前側に配置されることになる。
【0021】
光ディスク装置(光ディスクの再生や記録を行うための装置)に搭載されることになる光ピックアップ装置1は、ピックアップベース10が光ディスク装置内に配置される2本のガイドシャフトGSに摺動可能に支持されることで、光ディスクの半径方向(ラジアル方向)に移動可能とされる。なお、ガイドシャフトGSによるピックアップベース10の支持は、ピックアップベース10の左右の端部に設けられる軸受け部10a、10bを使用して行われる。
【0022】
ピックアップベース10には、光ディスクに記録される情報を読み取ったり、光ディスクに情報を書き込んだりする上で必要となる各種の部材が搭載されている。この各種の部材には、光源となる半導体レーザ11、18(後述の図2参照)、対物レンズ17、21を含む各種の光学部材、光検出器23、対物レンズ17、21を駆動させる対物レンズアクチュエータ30、及び、半導体レーザ11、18や対物レンズアクチュエータ30等を駆動させるために必要となる各種の回路が形成されるプリント基板40が含まれる。
【0023】
なお、半導体レーザ11、18や後述の光学部材の一部はピックアップベース10の内部に内蔵される。対物レンズアクチュエータ30は、その全体がピックアップベース10内にほぼ埋め込まれるようにして取り付けられており、対物レンズアクチュエータ30に搭載される対物レンズ17、21は外部に露出している。プリント基板40は、ピックアップベース10の裏面側(光ディスクに対向する面の反対側)に取り付けられる。
【0024】
また、ピックアップベース10には、半導体レーザ11、28で発生する熱を放熱するために、ヒートシンク50が取り付けられている。このヒートシンク50は、ピックアップベース10の表面10d(光ディスクに対向する面)を覆うように、ピックアップベース10に取り付けられる。なお、対物レンズアクチュエータ30はヒートシンク50に覆われることなく露出している。
【0025】
図2は、本実施形態の光ピックアップ装置1の光学構成を示す概略平面図である。光ピックアップ装置1には、第1の半導体レーザ11から出射される光を光ディスクの情報記録面に導くとともに、情報記録面で反射される反射光(戻り光)を光検出器23に導く、BD用の光路が形成されている。また、光ピックアップ装置1には、第2の半導体レーザ18から出射される光を光ディスクの情報記録面に導くとともに、情報記録面で反射される反射光(戻り光)を光検出器23に導く、DVD及びCD用の光路が形成されている。
【0026】
なお、光ピックアップ装置1においては、複数の光学部材が、BD用の光路と、DVD及びCD用の光路とで共用される構成となっている。このような構成を採用しているため、光ピックアップ装置1は、BD、DVD、及び、CDに対応する光ピックアップ装置を少ない部品点数で形成可能となっている。
【0027】
まず、BD用の光路について説明する。第1の半導体レーザ11は、BD用のレーザ光(例えば波長405nm帯のレーザ光)を出射可能となっている。この第1の半導体レーザ11が配置される位置は、図1においては破線DL1で示す位置が対応する。
【0028】
第1の半導体レーザ11から出射されたレーザ光は、回折素子12によって主光と2つの副光とに分けられる。回折素子12を経たレーザ光は偏光ビームスプリッタ13によって反射され、1/4波長板14及びコリメートレンズ15を透過する。コリメートレンズ15を透過したレーザ光は、第1の立ち上げミラー16によって反射されて、第1の立ち上げミラー16の上方にある第1の対物レンズ17へと至る。
【0029】
第1の対物レンズ17は、入射したレーザ光を光ディスクの情報記録面に集光する機能を有する。第1の対物レンズ17によって情報記録面に集光されたレーザ光は、情報記録面で反射される。この反射光(戻り光)は、第1の対物レンズ17を通過後、第1の立ち上げミラー16で反射され、コリメートレンズ15、1/4波長板14、偏光ビームスプリッタ13、ビームスプリッタ19を順に透過する。そして、ビームスプリッタ19を透過した戻り光は、センサーレンズ22によって非点収差を与えられて光検出器23の所定の受光領域に集光される。
【0030】
光検出器23は、受光した光信号を電気信号に変換する光電変換手段として機能する。光検出器23から出力された電気信号は図示しない信号処理部に送られ、この信号処理部で、再生信号、フォーカスエラー(FE)信号、トラッキングエラー(TE)信号等が生成される。
【0031】
次に、DVD及びCD用の光路について説明する。第2の半導体レーザ18は、DVD用のレーザ光(例えば波長650nm帯のレーザ光)とCD用のレーザ光(例えば波長780nm帯のレーザ光)とを切り換えて出射可能になっている。このようなレーザ光源は、例えばモノリシックタイプ或いはハイブリッドタイプの2波長レーザによって構成できる。なお、この第2の半導体レーザ18が配置される位置は、図1においては破線DL2で示す位置が対応する。
【0032】
第2の半導体レーザ18から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ19によって反射され、その後、偏光ビームスプリッタ13、1/4波長板14、コリメートレンズ15、及び、第1の立ち上げミラー16を順に透過する。第1の立ち上げミラー16を透過したレーザ光は、第2の立ち上げミラー20によって反射されて、第2の立ち上げミラー20の上方にある第2の対物レンズ21へと至る。
【0033】
なお、偏光ビームスプリッタ13は、BD用のレーザ光に作用する光学部材であり、DVD用のレーザ光及びCD用のレーザ光は、偏光状態に関係なく透過する。また、第1の立ち上げミラー16はダイクロイックミラーであり、BD用のレーザ光は反射されるが、DVD用のレーザ光及びCD用のレーザ光は透過可能となっている。
【0034】
第2の対物レンズ21は、入射したレーザ光を光ディスクの情報記録面に集光する機能を有する。第2の対物レンズ21によって情報記録面に集光されたレーザ光は、情報記録面で反射される。この反射光(戻り光)は、第2の対物レンズ21を通過後、第2の立ち上げミラー20で反射され、第1の立ち上げミラー16、コリメートレンズ15、1/4波長板14、偏光ビームスプリッタ13、ビームスプリッタ19を順に透過する。そして、ビームスプリッタ19を透過した戻り光は、センサーレンズ22によって非点収差を与えられて光検出器23の所定の受光領域に集光される。
【0035】
BD対応の場合と同様に、光検出器23から出力された電気信号は図示しない信号処理部に送られ、この信号処理部で、再生信号、FE信号、TE信号等が生成される。
【0036】
なお、コリメートレンズ15は、図示しないレンズ駆動機構によって、その光軸方向(図2に矢印で示す方向)に移動可能となっている。そして、コリメートレンズ15の位置は、光ディスクの種類やレイヤージャンプ等に応じて適宜移動される。このようにコリメートレンズ15を移動可能とするのは、対物レンズ17、21に入射するレーザ光の収束・発散度合いを調節して、球面収差の影響を適切に抑制できるようにするためである。
【0037】
また、第1の対物レンズ17及び第2の対物レンズ21は、ピックアップベース10に取り付けられる対物レンズアクチュエータ30(図1参照)に搭載された状態で、ピックアップベース10に搭載されることになる。対物レンズアクチュエータ30は、光ピックアップ装置1に備えられる2つの対物レンズ17、21をフォーカス方向(図1及び図2においては紙面に垂直な方向が該当)及びトラッキング方向(図1及び図2においては上下方向が該当)に移動可能とする装置である。
【0038】
光ピックアップ装置1においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、対物レンズ17、21の焦点位置が常に光ディスクの情報記録面に合うようにフォーカシング制御を行う必要がある。また、光ピックアップ装置1においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、対物レンズ17、21によって光ディスクの情報記録面に集光される光スポットの位置が、光ディスクのトラックに常に追随するようにトラッキング制御を行う必要がある。対物レンズアクチュエータ30は、例えば、これらフォーカシング制御及びトラッキング制御を行う際に駆動される。
【0039】
対物レンズアクチュエータ30は、対物レンズ17、21を保持するレンズホルダ31(図1参照)を有する可動部33(図1参照)を備え、レンズホルダ31をサスペンションワイヤ32(図1参照)で揺動可能に支持する構成のものである。そして、コイル及び磁石を利用して発生させた力でレンズホルダ31(すなわち対物レンズ17、21)を動かすものである。
【0040】
次に、以上のように構成される光ピックアップ装置1の特徴的な構成について説明する。光ピックアップ装置1においては、対物レンズアクチュエータ30に関して特徴を有する。
【0041】
図3は、本実施形態の光ピックアップ装置1が備える対物レンズアクチュエータ30の概略斜視図であり、図4は、図3の対物レンズアクチュエータ30の平面図、図5は、図3の対物レンズアクチュエータ30の右側面図である。
【0042】
図3に示すように、対物レンズアクチュエータ30は、大まかには可動部33と、可動部33と6本のサスペンションワイヤ32で接続された固定部34とで構成される。固定部34からは各サスペンションワイヤ32を通じて可動部33のコイルに給電している。本実施形態では6本のサスペンションワイヤ32のうち、2本がトラッキング用、4本がフォーカス及びチルト用である。なお、サスペンションワイヤ32は最低限、トラッキング用に2本とフォーカス用に2本の計4本あれば足りる。
【0043】
また可動部33は、対物レンズ17、21と、レンズホルダ31と、トラッキング用コイル35a〜35dと、フォーカス用コイル36a、36bと、一対のワイヤ固定基板37a、37bとを備えている。
【0044】
レンズホルダ31は、対物レンズ17、21を保持する保持部31aと、保持部31aの短手方向両端からそれぞれ対物レンズ17、21の光軸方向に延設された脚部31b、31cとを樹脂で一体成型したブリッジ形状の部材である。またレンズホルダ31は、平面視では略十字形状である。
【0045】
保持部31aは、脚部31b、31cの配置と略直角に対物レンズ17、21を配置している。脚部31b、31cは、保持部31aの両端である側面から保持部31aよりも下方(対物レンズ17、21と反対側)に延びた筒状の部材である。脚部31b、31cの外側面には、トラッキング用コイル35a〜35dと、サスペンションワイヤ32を半田付けするためのワイヤ固定基板37a、37bとが設けられている。
【0046】
図4に示すように、平面視で左右のサスペンションワイヤ32がハの字型に配置されており、脚部31b、31cのワイヤ固定基板37a、37bを固定する基板設置部31d、31eは、それぞれのワイヤ固定基板37a、37bに固定されるサスペンションワイヤ32と平行なテーパー形状となっている。そして、この基板設置部31d、31eにそれぞれ平板状のワイヤ固定基板37a、37bが接着剤で貼着されている。接着剤としては、例えば、エポキシ系の熱硬化接着剤を用いることができる。
【0047】
これにより、基板設置部31d、31eと平行にワイヤ固定基板37a、37bの表面が配置される。ワイヤ固定基板37a、37bには複数のランド38が形成されており、これらのランド38にサスペンションワイヤ32が半田付けされる。したがって、ワイヤ固定基板37a、37bの表面が自身に固定されるサスペンションワイヤ32と平行に配置されることになる。
【0048】
このように、ワイヤ固定基板37a、37bの表面が自身に固定されるサスペンションワイヤ32と平行であるため、ランド38に対してサスペンションワイヤ32を平行に設置することになる。その結果、ランド38にサスペンションワイヤ32を半田付けする際、ランド38とサスペンションワイヤ32との間に傾斜による隙間が生じない。
【0049】
したがって、どのサスペンションワイヤ32も少量の半田で固定することができ、半田を一定量(同量)に保ちやすい。その結果、各サスペンションワイヤ32の位置や固定にばらつきがなくなり、性能悪化や性能のばらつきがなくなる。すなわち、高倍速化に対応させるためにサスペンションワイヤ32をハの字状に配置した場合に、サスペンションワイヤ32の半田付けが安定するので、対物レンズアクチュエータ30、さらには光ピックアップ装置1の性能の安定と性能の向上とに繋がる。
【0050】
次に、ワイヤ固定基板とサスペンションワイヤとを平行に配置するための他の形態について説明する。図6は、他の形態の対物レンズアクチュエータのワイヤ固定基板付近を拡大した平面図である。上記の対物レンズアクチュエータ30と同じ部材については同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0051】
上記の対物レンズアクチュエータ30と異なる点は、レンズホルダ31のワイヤ固定基板37a、37bを固定する基板設置部31d、31eを、階段状に形成した点である。図6ではサスペンションワイヤ32がハの字型に拡がる方向に沿って、2段の階段が上るように形成されている。基板設置部31dとワイヤ固定基板37aとは接着剤(不図示)によって接着されている。
【0052】
このように、基板設置部31d、31eを階段状にすることでもワイヤ固定基板37a、37bとサスペンションワイヤ32とを平行に配置でき、上記の形態と同様の効果を得ることができる。さらにレンズホルダ31を成型する金型の抜き方向をあまり考慮しなくてもよいので設計が容易になる。
【0053】
次に、ワイヤ固定基板とサスペンションワイヤとを平行に配置するためのさらに他の形態について説明する。図7は、他の形態の対物レンズアクチュエータのワイヤ固定基板付近を拡大した平面図である。上記の対物レンズアクチュエータ30と同じ部材については同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0054】
上記の対物レンズアクチュエータ30と異なる点は、ワイヤ固定基板37a、37bを、厚み方向にテーパーを有する形状にした点である。図7ではサスペンションワイヤ32がハの字型に拡がる方向に沿って、ワイヤ固定基板37aの厚みが徐々に厚く形成されている。なお、基板設置部31dとワイヤ固定基板37aとは接着剤(不図示)によって接着されている。
【0055】
このように、ワイヤ固定基板37a、37bが厚み方向にテーパーを有することでもワイヤ固定基板37a、37bとサスペンションワイヤ32とを平行に配置でき、上記の形態と同様の効果を得ることができる。さらにレンズホルダ31を成型する金型の抜き方向をあまり考慮しなくてもよいので設計が容易になる。
【0056】
上記の実施形態では、光ピックアップ装置1が3種類の規格の光ディスクに対応する構成としたが、これはあくまでも例示である。よって、光ピックアップ装置が対応可能な光ディスクの種類や、使用する光学構成が本実施形態の構成から変更されても、本発明が広く適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、高倍速化が要求される光ピックアップ装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 光ピックアップ装置
17、21 対物レンズ
30 対物レンズアクチュエータ
31 レンズホルダ
31a 保持部
31b、31c 脚部
31d、31e 基板設置部
32 サスペンションワイヤ
37a、37b ワイヤ固定基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズと、該対物レンズを保持するレンズホルダと、該レンズホルダの両側面に貼着された一対のワイヤ固定基板と、ハの字型に配置されるように各ワイヤ固定基板に半田付けされた複数のサスペンションワイヤとを備えた対物レンズアクチュエータを搭載した光ピックアップ装置において、
前記ワイヤ固定基板表面を自身に固定される前記サスペンションワイヤと平行に配置したことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記レンズホルダの前記ワイヤ固定基板を貼着する部分を、該ワイヤ固定基板に固定される前記サスペンションワイヤと平行に形成したことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記レンズホルダの前記ワイヤ固定基板を貼着する部分を、階段状に形成したことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記ワイヤ固定基板は厚み方向にテーパーを有することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
各ワイヤ固定基板に前記サスペンションワイヤが3本ずつ固定されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−4144(P2013−4144A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134437(P2011−134437)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】