説明

光ファイバ延長コード及び光ファイバコード

【課題】従来の光ファイバリールは、中心軸と回転胴体が一体であったため、ホーリーファイバを延長するには、まずホーリーファイバを前記光ファイバリールから巻きほどかなければならなかった。このためホーリーファイバを簡便に延長することができなかった。
【解決手段】光ファイバコードを巻きつける光ファイバコードリールを中心軸と回転胴体に分けることで、光ファイバ延長コードは、光ファイバコードの一端を引き出すだけで簡便に延長ができるようにする。光ファイバコードリールの内部に回転コネクタを有し、光ファイバコードの一端に接続された光アダプタを中心軸に装着することで、光アダプタに他の光ファイバを接続した状態で、光ファイバコードを延長及び余長処理を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便に延長が可能な光ファイバ延長コード及び光ファイバコードに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅内に光ファイバを敷設する場合、あらかじめ壁内、床下等に通信用パイプが埋め込まれていなければ、壁伝いに敷設するしかなかった。しかも光ファイバは一般に曲げに弱いため、室内の隅は大きな曲げ半径を持たせて敷設しなければならず、電気配線、アンテナ線のような収容が期待できなかった。これは一般住宅への光ファイバ導入の阻害要因のひとつだった。
【0003】
FTTH(Fiber To The Home)の構築において、曲げ損失の少なく施工の容易なホーリーファイバの適用が期待されている。ホーリーファイバの適用に伴い、従来から使用されているメタル線並みのハンドリング性が期待されるようになっている。しかし、ホーリーファイバであっても余長をコンパクトに収納したり、または簡便に延長したりすることができなかった。
【0004】
従来の光ファイバリールについて説明する(例えば、特許文献1参照。)。従来は、糸巻き状の形状をした光ファイバリールにホーリーファイバを巻きつけて、余長を処理していた。従来の光ファイバリールは、中心軸と回転胴体が一体であった。ホーリーファイバを延長するには、まず、ホーリーファイバを前記光ファイバリールから巻きほどかなければならず、このため簡便に延長することができなかった。
【特許文献1】特開2004−317600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために、簡便に延長が可能な光ファイバ延長コード及び光ファイバコードの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明は、ホーリーファイバ及び前記ホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコードと、前記光ファイバコードの両端に装着されている光コネクタと、回転の軸となる中心軸及び前記中心軸の周りで回転して前記光ファイバコードを巻き取る回転胴体を含む光ファイバコードリールと、を備える光ファイバ延長コードである。
【0007】
このように、本願第1の発明では、許容最小曲げ半径が小さいホーリーファイバを用い、またホーリーファイバを柔軟性のある被覆材で被覆することで、ホーリーファイバを保護しつつ、光ファイバコードの余長をコンパクトに収容することができる。また、光ファイバコードリールを回転の軸となる中心軸と、中心軸の周りで回転して光ファイバコードを巻き取る回転胴体とに分けているため、光ファイバコードの一端を引き出し可能とし、もう一端を回転胴体に配置することができる。従って、光ファイバコードを延長する際に光ファイバコードを光ファイバコードリールから巻きほどく必要がなく、引き出し可能な光ファイバコードの一端を引き出すだけで簡便に延長することができる。また、回転胴体を回転させ光ファイバコードを巻き取ることで光ファイバコードの余長を処理することができる。
【0008】
本願第1発明において、前記回転胴体の外周面で前記光ファイバコードの少なくとも一部が収容される螺旋状の外面螺旋溝と、前記回転胴体の内周面で前記光ファイバコードの少なくとも一部が収容される螺旋状の内面螺旋溝と、前記外面螺旋溝と前記内面螺旋溝とを結び、前記回転胴体を斜めに貫通する斜め貫通孔と、をさらに備えることが好ましい。
【0009】
回転胴体の外周面に、中心軸に対して略垂直で巻きつけられた光ファイバコードは、その少なくとも一部が外面螺旋溝に収容されている。外面螺旋溝を徐々に中心軸の軸方向へ向きが変わるように形成すれば、当該外面螺旋溝に収容される光ファイバコードは徐々に中心軸の軸方向へ向きを変えることができる。光ファイバコードは外面螺旋溝から滑らかに接続された斜め貫通孔を通り、再びなめらかに接続された内面螺旋溝に少なくともその一部が収容される。内面螺旋溝も同様に徐々に中心軸の軸方向へ向きが変わるように形成すれば、当該内面螺旋溝に収容される光ファイバコードを徐々に中心軸の軸方向へ向きを変えることができ、光ファイバコードを捩ることなく光コネクタを回転胴体の端面に配置することができる。また、光ファイバコードを中心軸に対して略垂直方向から中心軸の方向に徐々に角度を変えることによって、最小曲げ半径以下に曲げることなく、光コネクタを光ファイバリールの端面に配置することができる。
【0010】
本願第1発明において、前記光ファイバ延長コードは、前記光ファイバコードリールの回転胴体に装着され前記光コネクタの一方を接続する光アダプタと、をさらに備えるのが好ましい。回転胴体に装着される光アダプタに光コネクタの一方を接続することができる。
【0011】
本願第2の発明は、ホーリーファイバ及び前記ホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコードと、前記光ファイバコードの両端に装着されている光コネクタと、回転の軸となる中心軸及び前記中心軸の周りで回転して前記光ファイバコードを巻き取る回転胴体を含む光ファイバコードリールと、前記光ファイバコードの途中でかつ前記回転の中心にあって前記回転胴体の回転に対して光学的接続を維持する回転コネクタと、を備える光ファイバ延長コードである。
【0012】
このように、本願第2の発明では、許容最小曲げ半径が小さいホーリーファイバを用い、またホーリーファイバを柔軟性のある被覆材で被覆することで、ホーリーファイバを保護しつつ、光ファイバコードの余長をコンパクトに収容することができる。また、光ファイバコードリールを回転の軸となる中心軸と、中心軸の周りで回転して光ファイバコードを巻き取る回転胴体とに分けている。光ファイバコードの一端を引き出し可能とし、回転胴体の回転に対して光学的接続を維持する回転コネクタを光ファイバコードの途中に備えることで、もう一端を中心軸に配置することができる。このため、延長する際に光ファイバコードを光ファイバコードリールから巻きほどく必要がなく、引き出し可能な光ファイバコードの一端を引き出すだけで簡便に延長することができる。また、回転胴体を回転させ光ファイバコードを巻き取ることで光ファイバコードの余長を処理することができる。
さらに、延長や巻き取りで回転胴体が回転しても中心軸は回転しないため、中心軸に固定されている光ファイバコードの一端に他の光ファイバが接続された状態であっても、光ファイバコードの引き出し可能なもう一端を引き出したり巻き取るだけで、光ファイバコードをねじることなく延長及び余長処理をすることができる。
【0013】
本願第2発明において、前記光ファイバ延長コードは、前記光ファイバコードリールの中心軸に装着され、前記光コネクタの一方を接続する光アダプタと、をさらに備えることが好ましい。中心軸に装着される光アダプタに光コネクタの一方を接続することができる。
【0014】
本願第1の発明、第2の発明で用いられる被覆材は、ホーリーファイバから被覆材表面までの厚さが、ホーリーファイバの許容最小曲げ半径以上であることが好ましい。
【0015】
ホーリーファイバから被覆材表面までの厚さをホーリーファイバの許容最小曲げ半径以上にすることにより、光ファイバコードを最小に曲げても許容最小曲げ半径以下に曲がらない。従って、光ファイバコードを巻きつける回転胴体の半径を可能な限り小さくすることができ、且つ許容最小曲げ半径を意識することなく簡易に光ファイバコードの敷設等をすることができる。
【0016】
本願第3の発明は、ホーリーファイバと、ホーリーファイバをつづら折に被覆し、長手方向に伸縮性のあるテープ状の被覆材と、を備える光ファイバコードである。
【0017】
このように、本願第3の発明では、長手方向に伸縮性のあるテープ状の被覆材にホーリーファイバをつづら折に被覆しているため、光ファイバコードをテープの長手方向に引っ張るだけで余長を残さず、簡便に光ファイバコードを延長することができる。
【0018】
なお、前記第1の発明から第3の発明までは、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、簡便に延長が可能な光ファイバ延長コード及び光ファイバコードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
本願第1の実施形態は、ホーリーファイバ及び前記ホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコードと、前記光ファイバコードの両端に装着されている光コネクタと、回転の軸となる中心軸及び前記中心軸の周りで回転して前記光ファイバコードを巻き取る回転胴体を含む光ファイバコードリールと、前記光ファイバコードリールの回転胴体に装着され、前記光コネクタの一方を接続する光アダプタと、を備える光ファイバ延長コードである。
【0022】
本願第1の実施形態について、図1を用いて説明する。図1は、本願第1の発明に係る光ファイバ延長コードの一例を示す斜視図である。図1に示す光ファイバ延長コード10は、ホーリーファイバ及び前記ホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコード31と、光ファイバコード31の両端に装着されている光コネクタ21、29と、回転の軸となる中心軸12及び中心軸12の周りで回転して光ファイバコード31を巻き取る回転胴体11を含む光ファイバコードリール13と、光ファイバコードリール13の回転胴体11に装着され、光ファイバコード31の一端に装着している光コネクタ29と接続する光アダプタ24と、を備える。
【0023】
ホーリーファイバとしては、クラッドに数個の空孔を設けることで実効的な屈折率をコアより小さくし全反射によって光を閉じ込める空孔アシスト型ホーリーファイバ、フォトニックバンドギャップによって光を閉じ込めるフォトニックバンドギャップ型ホーリーファイバ、クラッドに結晶格子のように整然と並んだ空孔を有するフォトニック結晶型ホーリーファイバ等を用いることができる。ホーリーファイバを用いることで、信号伝送に寄与する基底モードの光を逃がさずコアに閉じ込め、逆に曲げによって生じる高次モードの光はコア外に逃がすことができる。従って、従来の光ファイバと比較してホーリーファイバは許容曲げ半径が大幅に小さく、コンパクトに収容することができる。
【0024】
ホーリーファイバは、まず裸線が紫外線硬化型樹脂等で被覆され、一般に芯線と呼ばれる保護された状態にされる。ホーリーファイバは単芯が好ましいが、2芯でも多芯でもよい。単芯とは1本の芯線を用いたもので、2芯とは2本の芯線を用いたもので、多芯とは2本以上の芯線を用いたものである。ホーリーファイバを外部からの衝撃から保護するためにホーリーファイバの周囲を、高強度、高弾性率、耐疲労性、耐衝撃性に優れ、非導電性、非磁性を有するケブラー(登録商標)で保護することが好ましい。
【0025】
光ファイバコード31はホーリーファイバを柔軟性のある被覆材によりさらに被覆したものである。ホーリーファイバを用い、ホーリーファイバを柔軟性のある被覆材で被覆することで、ホーリーファイバを保護しつつ、光ファイバコード31の余長をコンパクトに収容することができる。従って、光ファイバコードリール13を小型化することができる。柔軟性のある被覆材としては、ゴム弾性を有するエラストマー樹脂を用いるのが好ましい。光ファイバコード31に巻き癖がつくことや、光ファイバコード31が互いに融着するのを防止できる。
【0026】
被覆材の形状はひも状でもテープ状でもよい。ホーリーファイバから被覆材表面までの厚さがホーリーファイバの許容最小曲げ半径以上であることが好ましい。ホーリーファイバから被覆材表面までの厚さをホーリーファイバの許容最小曲げ半径以上にすることで、光ファイバコード31を巻きつける回転胴体11の半径を可能な限り小さくできる。また、光ファイバコード31を最小に曲げても、許容最小曲げ半径以下に曲がることはないため、許容最小曲げ半径を意識することなく簡易に光ファイバコード31の敷設等をすることができる。
【0027】
光ファイバコードリール13は、光ファイバコード31の余長処理の機能を有する。光ファイバコードリール13は、回転胴体11の回転の中心軸である中心軸12と、光ファイバコード31を巻き取る回転胴体11とを含む。光ファイバコードリール13は、回転胴体11が円筒状の形状をし、回転胴体11の同心に棒状の中心軸12が貫通しているのが好ましい。中心軸12は回転胴体11を貫通していなくてもよい。例えば、回転胴体11の中心線上に中心軸12を収める凹部があり、凹部に中心軸12が収納されていてもよい。中心軸12は、回転胴体11に対しベアリングにより支えられる。ベアリングは、転がり軸受でも滑り軸受でもよい。転がり軸受は玉軸受、ころ軸受を含む。滑り軸受は球面滑り軸受、流体潤滑軸受を含む。光ファイバコードリール13により、光ファイバコード31の一端を引っ張るだけで回転胴体11を滑らかに回転させ、光ファイバコード31を簡便に延長することができる。
【0028】
中心軸12は、回転胴体11の回転の中心となる軸である。中心軸12は棒状であることが好ましいがこれに限らない。中心軸12にグリップ等を装着してもよい。グリップを手や壁等に固定することで、中心軸12を回転胴体11の回転に対してより確実に固定ができ、光ファイバコード31の延長及び余長処理作業での光ファイバ延長コード10の取り扱い性が向上する。
【0029】
回転胴体11は、光ファイバコード31を巻き取り、光ファイバコード31の余長を処理する。回転胴体11は、円筒状であることが好ましいがこれに限らない。回転胴体11の半径は光ファイバコード31の許容最小曲げ半径よりも大きい。回転胴体11に、回転グリップを有するハンドル等を装着してもよい。ハンドルを用いることで、手動で簡単に光ファイバコード31を巻き取ることができる。また、光ファイバコード31の巻き取りは、手動に限らず、モーターやばね等を利用し自動で行ってもよい。
【0030】
光コネクタ21、29は、光ファイバコード31の両端にそれぞれ装着され、光ファイバコード31を他の光ファイバと接続するためのプラグである。他の光ファイバは、従来の光ファイバ、ホーリーファイバを含む。光コネクタ21は、光ファイバコード31の引き出し可能な一端に装着され、光コネクタ29は光ファイバコード31のもう一端に装着される。光コネクタ21、29は、光ファイバコード31の種類に応じ、単芯型、2芯型または多芯型がある。光コネクタ21、29は、それぞれホーリーファイバの一端の一部をそれぞれフェルールの中心軸に配し、ハウジングするものである。例えば、SC(Single Fiber coupling)型光コネクタ、MU(Miniature−Unit coupling)型光コネクタ等がある。または、前記ハウジングを省略してフェルール単体で、光コネクタの役割を果たす簡易レセプタクル型光コネクタでもよい。フェルールは、精密な接続ができるように端面に精密な研磨加工が施される。フェルールの材料としては、ジルコニアセラミックスを用いることが好ましい。研磨性に優れ傷の少ない研磨面を得られる。または、プラスチックを用いてもよい。低価格化、研磨工程の短縮が図れる。
【0031】
光コネクタ29は、回転胴体11に装着された光アダプタ24に接続される。光アダプタ24は、回転胴体11の端面に装着されていることが好ましい。回転胴体11に装着されていれば端面でなくてもよい。光アダプタ24と回転胴体11との装着部分で、光ファイバコード31が許容最小曲げ半径以下に曲げられないよう、回転胴体11に、溝やトンネル等が掘られファイバガイドが設けられているのが好ましい。例えば、回転胴体11の半径が許容最小曲げ半径であっても、光アダプタ24と回転胴体11との装着部分から始まり回転胴体11の内部を通り回転胴体11の表面まで続くトンネルが、十分に長くなだらかな角度で掘られていればよい。光ファイバコード31は、トンネル内でも許容最小曲げ半径以下に曲げられない。
【0032】
光アダプタ24は、光コネクタ29の種類に応じたものが用いられる。光アダプタ24は、内部に筒状のスリーブを含む。スリーブは裂け目のある割スリーブでも裂け目のないソリッドスリーブでもよい。光アダプタ24は、そのスリーブの両端からそれぞれ挿入される光コネクタ29と他の光ファイバの一端に装着された光コネクタとを連結させる。光アダプタ24は、二つの光コネクタ内のフェルールが整列し精密に突き当たるように圧力をかける。光アダプタ24の内部では、光ファイバと空気との境界でフレネル反射が発生しないように、光ファイバと同等の屈折率を持つマッチングオイルがフェルール端面に塗布されるか、またはフェルール端面とその中心にある光ファイバ端面がお互いに物理接触(Physical Contact)される。斜め研磨フェルールを用い反射減衰量の大きい接続がされてもよい。
【0033】
図1を用いて説明した本願第1の実施形態では、光コネクタ29は光アダプタ24に終端されているが、光アダプタ24に終端されずに回転胴体11に装着されたままでも良い。この場合は外部の光アダプタを介して、他の光コネクタと接続することができる。
【0034】
本願第1の実施形態における動作について図1を用いて説明する。光ファイバコード31を延長するには、光ファイバコード31の両端の内、回転胴体11に装着されていない引き出し可能な一端を必要な長さ分引っ張る。すると中心軸12に対して、回転胴体11が回転し、光ファイバコード31が必要な長さ分簡便に延長することができる。このとき、中心軸12に備えられているグリップ等を用いて、中心軸12を固定するとよい。また光ファイバコード31の余長を処理するには、回転胴体11を回転させ光ファイバコード31の余長分を巻きつける。このとき、中心軸12に備えられているグリップ等により中心軸12を固定し、回転胴体11に備えられている回転グリップ付ハンドル等を用いて、回転胴体11を回転させるとよい。余長処理を自動で行ってもよい。従って、本願第1の実施形態は、簡便に延長及び余長処理が可能な光ファイバ延長コードを提供することができる。
【0035】
(実施の形態2)
本願第2の実施形態は、ホーリーファイバ及び前記ホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコードと、前記光ファイバコードの両端に装着されている光コネクタと、回転の軸となる中心軸及び前記中心軸の周りで回転して前記光ファイバコードを巻き取る回転胴体を含む光ファイバコードリールと、前記回転胴体の外周面で前記光ファイバコードの少なくとも一部が収容される螺旋状の外面螺旋溝と、前記回転胴体の内周面で前記光ファイバコードの少なくとも一部が収容される螺旋状の内面螺旋溝と、 前記外面螺旋溝と前記内面螺旋溝とを結び、前記回転胴体を斜めに貫通する斜め貫通孔と、前記光ファイバコードリールの回転胴体に装着され、前記光コネクタの一方を接続する光アダプタと、を備える光ファイバ延長コードである。
【0036】
前記外面螺旋溝は前記中心軸に略垂直な方向から前記中心軸の軸方向へ徐々に方向を変えるように形成され、前記斜め貫通孔は前記外面螺旋溝及び前記内面螺旋溝と滑らかに接続され、前記内面螺旋溝は前記斜め貫通孔から前記中心軸の軸方向へ徐々に方向を変えるように形成されることが好ましい。
【0037】
本願第2の実施形態について、図2を用いて説明する。図2は、本願第1の発明にかかる光ファイバ延長コードの一例を示す斜視図である。図2に示す光ファイバ延長コード15は、ホーリーファイバ及び前記ホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコード31と、前記光ファイバコード31の両端に装着されている光コネクタ21,29と、回転の軸となる中心軸12及び前記中心軸12の周りで回転して前記光ファイバコード31を巻き取る回転胴体14を含む光ファイバコードリール13と、回転胴体の外周面71で前記光ファイバコード31の少なくとも一部が収容される螺旋状の外面螺旋溝と、前記回転胴体の内周面72で前記光ファイバコード31の少なくとも一部が収容される螺旋状の内面螺旋溝と、前記外面螺旋溝と前記内面螺旋溝とを結び、前記回転胴体14を斜めに貫通する斜め貫通孔73と、回転胴体の蓋部74に装着され、前記光コネクタ29と外部の光コネクタを接続する光アダプタ24と、を備える。
【0038】
回転胴体14は回転胴体の外周面71と、回転胴体の内周面72と、を含む。外面螺旋溝は、回転胴体の外周面71に、中心軸12に対して略垂直方向から徐々に中心軸12の方向へ向きが変わるよう螺旋状に形成されるのが好ましい。外面螺旋溝は、ファイバガイドの機能を有する。外面螺旋溝は、光ファイバコード31の少なくとも一部を収容し、光ファイバコード31の向きを徐々に中心軸12の方向へ変えながら光ファイバコード31を回転胴体の外周面71に捩れずに巻きつけることができる。同様に、内面螺旋溝は、回転胴体の内周面72に、外面螺旋溝に引き続いて徐々に中心軸12の方向へ向きが変わるよう螺旋状に形成されるのが好ましい。内面螺旋溝は、ファイバガイドの機能を有する。内面螺旋溝は、光ファイバコード31の少なくとも一部を収容し、光ファイバコード31の向きを徐々に中心軸12の方向へ変えながら光ファイバコード31を回転胴体の内周面72に捩れずに巻きつけることができる。
【0039】
外面螺旋溝及び内面螺旋溝を斜めに貫通する斜め貫通孔73は、外面螺旋溝と内面螺旋溝とを滑らかに接続する。光ファイバコード31は、外面螺旋溝と、外面螺旋溝に滑らかに接続する斜め貫通孔73と、斜め貫通孔73に滑らかに接続する内面螺旋溝とを通過する。このため光ファイバコード31を外面螺旋溝、斜め貫通孔73及び内面螺旋溝で捩ることなく、光コネクタ29を回転胴体14の端面に配置することができる。
【0040】
回転胴体の外周面71の半径は光ファイバの最少曲げ半径以上であることが好ましい。最少曲げ半径以上であることで、光ファイバコード31を中心軸12に略垂直に回転胴体の外周面71に巻きつけても光ファイバコード31は最少曲げ半径以下に曲げられない。回転胴体の内周面72の半径との兼ね合いで、内面螺旋溝の中心軸12方向への角度を、3次元的な曲げ半径が最少曲げ半径以下とならないよう調節することにより、光ファイバコード31は回転胴体の内周面72でも最少曲げ半径以下に曲げられることはない。
【0041】
すなわち、回転胴体14に形成された外面螺旋溝に巻きつけられた光ファイバコード31は、光ファイバの最少曲げ半径以下に曲げられることなく回転胴体14に巻きつけることができる。また、回転胴体の外周面71に中心軸12に対して略垂直方向から徐々に中心軸12の方向に向きが変わるように螺旋状に外面螺旋溝が形成され、回転胴体の内周面72には外面螺旋溝に引き続いて、徐々に中心軸12の方向へ向きが変わるように内面螺旋溝が形成されているため、内周面の半径が光ファイバの最少曲げ半径以下であっても光ファイバコード31が光ファイバの最少曲げ半径以下に曲げられることはない。
【0042】
光コネクタ29に接続される光アダプタ24は回転胴体14の端面に配置されるのが好ましい。このため、回転胴体14は回転胴体の蓋部74を含み、回転胴体の蓋部74は回転胴体14の端面に配置されるのが好ましい。光アダプタ24を回転胴体の蓋部74に安定に配置することができる。回転胴体の蓋部74は、回転胴体14とともに回転し、中心軸12と重なる部分に孔が形成されていることが好ましい。孔からグリップ等を通して中心軸12の固定をすることができる。
【0043】
本願第2の実施形態における動作について図2を用いて説明する。光ファイバコード31を延長するには、光ファイバコード31の両端の内、回転胴体の蓋部74に装着されていない引き出し可能な一端を必要な長さ分引っ張る。すると中心軸12に対して、回転胴体14が回転しても光ファイバコード31は捩れずに必要な長さ分簡便に延長することができる。この場合、必要な長さに応じて、外面螺旋溝及び内面螺旋溝から光ファイバコード31が引き出されても良い。光ファイバコード31を巻き取るには、光ファイバコード31を回転胴体の外周面71に形成された外面螺旋溝に沿って巻き取る。すると光ファイバコード31は必要な長さを残して、光ファイバの最小曲げ半径以上の半径で光ファイバコード31を収容することができる。
【0044】
(実施の形態3)
本願第3の実施形態は、ホーリーファイバ及び前記ホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコードと、前記光ファイバコードの両端に装着されている光コネクタと、回転の軸となる中心軸及び前記中心軸の周りで回転して前記光ファイバコードを巻き取る回転胴体を含む光ファイバコードリールと、前記光ファイバコードリールの中心軸に装着され、前記光コネクタの一方を接続する光アダプタと、前記光ファイバコードの途中でかつ前記回転の中心にあって前記回転胴体の回転に対して光学的接続を維持する回転コネクタと、を備える光ファイバ延長コードである。
【0045】
本願第3の実施形態について、図3を用いて説明する。図3は、本願第2の発明に係る光ファイバ延長コードの一例を示す斜視図である。図3に示す光ファイバ延長コード20は、ホーリーファイバ及びホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコード31と、光ファイバコード31の両端に装着されている光コネクタ32、33と、回転の軸となる中心軸52及び中心軸52の周りで回転して光ファイバコード31を巻き取る回転胴体51を含む光ファイバコードリール53と、光ファイバコードリール53の中心軸52に装着され、光コネクタの一方を接続する光アダプタ34と、光ファイバコード31の途中でかつ前記回転の中心にあって前記回転胴体51の回転に対して光学的接続を維持する回転コネクタ25と、を備える。
【0046】
このように、第1の実施形態と同様、本願第3の実施形態においても、柔軟な被覆材に被覆されたホーリーファイバを用いることで、光ファイバコード31の余長がコンパクトに収容される。すなわち、光ファイバコードリール53の小型化ができる。被覆材の形状は、ひも状でもテープ状でもよい。光ファイバコード31は、ホーリーファイバから被覆材表面までの厚さがホーリーファイバの許容最小曲げ半径以上であることが好ましい。光ファイバコード31に含まれるホーリーファイバは単芯であるのが好ましい。回転コネクタ25内の光ファイバコード31の接続部分で接続面が点対称であるため、回転胴体51の回転に対して光学的接続を維持できる。
【0047】
光ファイバコードリール53は、第1の実施形態と同様、光ファイバコード31の余長処理の機能を有する。光ファイバコードリール53は、中心軸52と回転胴体51を含む。光ファイバコードリール53は、回転胴体51が円柱状の形状で、同心の円柱状にくり抜かれた凹部を含み、その凹部に円柱状の中心軸52が収納されているものが好ましい。中心軸52は、回転胴体51の凹部に対しベアリングにより支えられる。光ファイバコードリール53は、光ファイバコード31の一端を引っ張るだけで回転胴体51を滑らかに回転させ、光ファイバコード31を簡便に延長することができるようにする。図3では、回転胴体51は同心の円柱状にくり抜かれて、くり抜かれた空洞に中心軸52が収納されているが、回転胴体51と中心軸52を共通の軸を中心として縦列に並べてもよい。
【0048】
光コネクタ32、33は、第1の実施形態と同様、光ファイバコード31の両端にそれぞれ装着される。光コネクタ32は、光ファイバコード31の引き出し可能な一端に装着され、光コネクタ33は光ファイバコード31のもう一端に装着される。光コネクタ33は、中心軸52に装着された光アダプタ34に接続される。光アダプタ34は、中心軸52の端面に固定される。光コネクタ32,33は光ファイバコード31の種類に応じたものが用いられ、光アダプタ34は光コネクタ33の種類に応じたものが用いられる。
【0049】
中心軸52は、回転胴体51の回転の中心となる軸である。中心軸52は円柱状であることが好ましいがこれに限らない。中心軸52にグリップ等が装着されてもよい。光ファイバコード31の延長及び余長処理作業での光ファイバ延長コード20の取り扱い性が向上する。中心軸52は回転胴体51の回転に対し独立である。このため、中心軸52に装着された光アダプタ34に他の光ファイバが接続されている状態で、光ファイバコード31の延長及び余長処理を行うことができる。
【0050】
光アダプタ34は中心軸52の端面の中心に装着されるのが好ましい。また、中心軸52の内部では、光アダプタ34から光ファイバコード31が中心軸52の中心線を通るよう中心軸52の中心線に沿ってトンネルが掘られていることが好ましい。中心線にトンネルを掘ってファイバガイドを設けることで、光ファイバコード31がねじられたり、許容最小曲げ半径以下に曲げられることを防止できる。光ファイバコード31は、光アダプタ34から中心軸52の中心線上のファイバガイドを通り回転コネクタ25に接続される。回転コネクタ25は、回転胴体51の回転中心である直線上、且つ中心軸52と回転胴体51との接続部に装着される。
【0051】
図3を用いて説明した本願第3の実施形態では、光コネクタ33は光アダプタ34に終端されているが、光アダプタ34に終端されずに中心軸52に装着されたままでも良い。この場合は外部の光アダプタを介して、他の光コネクタと接続することができる。
【0052】
回転胴体51は、光ファイバコード31を巻き取り、光ファイバコード31の余長を処理する。回転胴体51に、回転グリップを有するハンドル等を装着してもよい。回転胴体51の半径は光ファイバコード31の許容最小曲げ半径より大きい。回転胴体51には、回転コネクタ25に接続された光ファイバコード31を回転胴体51の表面に導くために、回転コネクタ25から回転胴体51の表面へトンネルが掘られファイバガイドが設けられる。トンネルは回転コネクタ25から回転胴体51の表面へ、十分に長くなだらかな角度で掘られるのが好ましい。トンネルがなだらかに掘られることで、光ファイバコード31はトンネル内でも許容最小曲げ半径以下に曲げることを防止できる。
【0053】
回転コネクタ25は、光ファイバコード31の途中に接続され、回転胴体51の回転中心である直線上、且つ中心軸52と回転胴体51との接続部に装着される。回転コネクタ25の内部で光ファイバコード31は、一旦分断され、再度光学的に接続される。回転コネクタ25は、分断された光ファイバコード31の一方が、ホーリーファイバの長手方向を中心軸とする回転をしても、もう一方が回転に対して独立を保ちつつ、なお分断されたホーリーファイバの光学的接続を維持する。
【0054】
図3における回転コネクタ25について、具体的に、図4及び図5に示される例を用いて説明する。但し、回転コネクタ25は、この例に限られない。図4及び図5は、図3で示される回転コネクタの一例を示す斜視図である。まず図4に示される回転コネクタの一例について説明する。図4は、光ファイバコード31に接続される回転コネクタ35であって、一旦分断された光ファイバコード31の両端に装着されるフェルール26及びフェルール27と、フェルール27に対し光ファイバコード31の光軸方向に圧力をかける板ばね39と、フェルール26及びフェルール27を再度光学的に接続するスリーブ28と、を含む回転コネクタ35である。
【0055】
一端にフェルール26が装着された光ファイバコード31は、もう一端が図3において引き出し可能な一端である。また、一端にフェルール27が装着された光ファイバコード31は、もう一端が図3において中心軸52に固定された一端である。
【0056】
回転コネクタ35において、一旦分断された光ファイバコード31は、その分断された両端にそれぞれフェルール26及びフェルール27を装着し、スリーブ28に挿入される。フェルール26及びフェルール27の材料としては、ジルコニアセラミックス、プラスチック等のどちらでもよい。スリーブ28は、割スリーブでもソリッドスリーブでもよい。スリーブ28とフェルール26及び27とは摩擦が少ないものを用い、フェルール端面同士も摩擦が少なくなるように球面加工が施されているものを用いるのが好ましい。フェルール26は回転胴体51(不図示)に固定され、フェルール27は中心軸52に固定される。スリーブ28は、回転胴体51(不図示)又は中心軸52(不図示)のどちらに固定されていてもよい。フェルール26の回転胴体51(不図示)に対する固定、フェルール27の中心軸52(不図示)に対する固定、スリーブ28の回転胴体51(不図示)または中心軸52(不図示)に対する固定には、接着剤等を用いることができる。
【0057】
スリーブ28は、フェルール26とフェルール27とを精密に突き合わせるように整列させ、この状態を保つように圧力をかける。板ばね39は、回転胴体51(不図示)の回転に伴いフェルール26が回転してもスリーブ28内で光学的接続を維持するように、フェルール27に対しフェルール26の方向へ圧力をかける。板ばね39は中心軸52(不図示)に対し接着剤等で固定することができる。フェルール27に溝やくびれ等の加工を施してもよい。板ばね39を溝やくびれ等に配置することで、フェルール27に対してぶれずに圧力をかけることができる。
【0058】
図3における光ファイバ延長コード20で用いられる回転コネクタ25に、図4における回転コネクタ35を用いたときの動作について図3及び図4を用いて説明する。光ファイバコード31を延長または巻き取るために回転胴体51を回転させる。そのとき、回転胴体51に固定されたフェルール26は回転胴体51の回転に伴って共に回転し、中心軸52に固定されたフェルール27はその回転に対して独立でありながら、なお両フェルールは光学的接続を維持することができる。従って中心軸52に固定された光ファイバコード31の一端に接続された光アダプタ34に他の光ファイバを接続したまま、回転胴体51を回転させて光ファイバコード31の延長及び巻き取りを行うことができる。
【0059】
次に、回転コネクタの他の例について図5を用いて説明する。図5は、光ファイバコード31に接続される回転コネクタ45であって、一旦分断された光ファイバコード31の一端に装着されるフェルール61と、フェルール61から出射される光を集光し平行光に変換するコリメータレンズ63と、フェルール61及びコリメータレンズ63を保持するスリーブ62と、一旦分断された光ファイバコード31のもう一端に装着されるフェルール66と、コリメータレンズ63を通過した光を集光しフェルール66の中心に入力するコリメータレンズ64と、フェルール66及びコリメータレンズ64を保持するスリーブ65と、を含む回転コネクタ45である。
【0060】
一端にフェルール61が装着された光ファイバコード31は、もう一端が図3において引き出し可能な一端である。また、一端にフェルール66が装着された光ファイバコード31は、もう一端が図3において中心軸52に固定された一端である。
【0061】
回転コネクタ45において、一旦分断された光ファイバコード31は、その分断された両端にそれぞれフェルール61及びフェルール66を装着する。スリーブ62内では、フェルール61と、フェルール61に光軸を合わせたコリメータレンズ63とが配置される。フェルール61、コリメータレンズ63及びスリーブ62は、互いに固定されていることが好ましい。焦点の位置が移動しないようにすることができる。また前記固定には接着剤等を用いることができる。フェルール66、コリメータレンズ64及びスリーブ65についても同様である。
【0062】
コリメータレンズ63及び64としては、高い収差補正を持つ非球面レンズを用いるのが好ましい。精度よく平行光に変換することができる。例えば、ボールレンズ、半球レンズでもよい。また、単レンズでも複合レンズでもよい。コリメータレンズ63及び64は金属枠に保持されていることが好ましい。スリーブ内への実装が容易である。また、コリメータレンズ63及び64の表面は反射防止膜の加工が施されてあることが好ましい。コリメータレンズ63は、フェルール61から射出され広がった光を集光し平行光に変換し、コリメータレンズ64が、その平行光を集光しもうフェルール66の中心へ入射する。光の進行方向が逆の場合も同様に機能する。
【0063】
スリーブ62とスリーブ65は、互いに光軸が略一致するように配置される。スリーブ62は回転胴体51(不図示)に固定され、スリーブ65は中心軸52(不図示)に固定される。スリーブ62及びスリーブ65を内部に保持する円筒状の大スリーブがあってもよい。この場合、大スリーブは、回転胴体51(不図示)と中心軸52(不図示)のどちらに固定されていてもよい。フェルール61とフェルール66との間に空気の層があると、フェルール61及び66の中心に保持されるホーリーファイバと空気との屈折率の違いによりフレネル反射が発生する。フレネル反射を防止するため、スリーブ62及びスリーブ65内と、コリメータレンズ63及びコリメータレンズ64の間とをマッチングオイルで充填することが好ましい。フレネル反射を防止することによりコリメータレンズ63及び64の結合効率を向上させることができる。
【0064】
フェルール61とフェルール66とが物理的に接触していないため、フェルール61が回転しても、フェルール66は回転に対して独立を保つことができ、且つ、コリメータレンズ63及び64が、フェルール61とフェルール66との間に配置されることで、光学的接続を維持することができる。また、この光学的接続では、光路101で示されるように、接続部分で一旦広がった光を扱っているため、光軸に対して垂直方向のずれに対する接続損失の割合が少ない。
【0065】
図3における光ファイバ延長コード20で用いられる回転コネクタ25に、図5における回転コネクタ45を用いたときの動作について図3及び図5を用いて説明する。光ファイバコード31を延長または巻き取るために回転胴体51を回転させる。そのとき、回転胴体51に固定されたスリーブ62は回転胴体51の回転に伴って共に回転し、中心軸52に固定されたスリーブ65はその回転に対して独立である。且つ、両スリーブに保持された両フェルールはコリメータレンズ63及び64により光学的接続を低い接続損失で維持することができる。従って中心軸52に固定された光ファイバコード31の一端に接続された光アダプタ34に他の光ファイバを接続したまま、回転胴体51を回転させて光ファイバコード31の延長及び巻き取りを行うことができる。
【0066】
本願第3の実施形態における動作について図3を用いて説明する。光ファイバコード31を延長するには、光ファイバコード31の一端であり回転胴体51に装着されていない方を必要な長さ分引っ張る。すると固定された中心軸52に対し回転胴体51が回転し、光ファイバコード31が必要な長さ分簡便に延長することができる。また光ファイバコード31の余長を処理するには、回転胴体51を回転させ光ファイバコード31の余長分を巻きつける。光ファイバコード31の延長、または余長処理において、回転胴体51が回転すると回転胴体51に掘られたファイバガイドを通って回転コネクタ25に接続された光ファイバコード31の一端は回転し、もう一端は回転しない。光ファイバコード31の延長または余長処理で、回転胴体51が回転しても中心軸52に装着された光アダプタ34は回転しないため、光アダプタ34に接続された他の光ファイバはねじれない。このため、光アダプタ34に他の光ファイバが接続されたまま、光ファイバコード31の延長及び余長処理ができる。従って、本願第3の実施形態は、他の光ファイバが接続された状態であっても、簡便に延長及び余長処理が可能な光ファイバ延長コードを提供することができる。
【0067】
(実施の形態4)
本願第4の実施形態は、 ホーリーファイバと、ホーリーファイバをつづら折に被覆し、長手方向に伸縮性のあるテープ状の被覆材と、を備える光ファイバコードである。
【0068】
本願第4の実施形態について、図6を用いて説明する。図6は、本願第3発明に係る光ファイバコードの部分の一例を示す上面図である。図6に示す光ファイバコード30は、ホーリーファイバ41と、ホーリーファイバ41をつづら折に被覆し、長手方向に伸縮性のあるテープ状の被覆材42と、を備える。
【0069】
ホーリーファイバ41は、空孔アシスト型ホーリーファイバ、フォトニックバンドギャップ型ホーリーファイバ、フォトニック結晶型ホーリーファイバを含む。ホーリーファイバ41はまず裸線が紫外線硬化型樹脂等で被覆され、一般に芯線と呼ばれる保護された状態にされた後つづら折にされ、長手方向に伸縮性のあるテープ状の被覆材42に被覆され保護される。図6のホーリーファイバ41は4芯であるが、ホーリーファイバ41は単芯でも2芯でも多芯でもよい。ホーリーファイバ41は許容最小曲げ半径より大きい半径でつづら折にされる。被覆材42を長手方向にひっぱって伸ばすと、つづら折にされたホーリーファイバ41の折られた箇所が広がる。従って、光ファイバコード30を簡便に延長することができる。また被覆材42の長手方向にひっぱる力を変えることで光ファイバコード30の延長の長さを自由に変えることができる。従って、光ファイバコード30の余長を残さず延長することができる。
【0070】
また被覆材42は柔軟性のあるものが好ましい。光ファイバコード30の余長をコンパクトに収容することができる。長手方向に伸縮性のある被覆材42としては、ゴム弾性及び柔軟性を有するエラストマー樹脂を用いるのが好ましいがこれに限定されない。一旦長さを調節した後に化学的または物理的操作がされると長さが固定される素材を用いてもよい。被覆材42は、ホーリーファイバ41の他につづら折にされたメタル線を被覆してもよい。従来のメタル線についても余長を残さず簡便に延長することができる。
【0071】
本願の第4の実施形態における動作について図6を用いて説明する。光ファイバコード30を延長するには、光ファイバコード30の両端を持って、テープ状の被覆材42の長手方向に引っ張る。光ファイバコード30の一端を固定し、もう一端を持って引っ張ってもよい。被覆材42の長手方向への引っ張る力が調節されることで、光ファイバコード30の延長する長さが決められる。従って、本願第4の実施形態は、余長を残さず簡便に延長が可能な光ファイバコードを提供することができる。
【0072】
(実施の形態5)
本願第5の実施形態は、本願第1発明及び本願第2発明である光ファイバ延長コードにおいて、本願第3発明である余長を残さず簡便に延長が可能な光ファイバコードを用いた光ファイバ延長コードである。
【0073】
本願第5の実施形態について図1、図3及び図6を用いて説明する。本実施形態は、図1に示される光ファイバ延長コード10において、図1の光ファイバコード31が図6の光ファイバコード30である光ファイバ延長コードである。この場合、光ファイバコード30に含まれるホーリーファイバ41は単芯でも2芯でも多芯でもよい。また、本実施形態は図3に示される光ファイバ延長コード20において、図3の光ファイバコード31が図6の光ファイバコード30である光ファイバ延長コードである。この場合、光ファイバコード30に含まれるホーリーファイバ41は単芯が好ましい。光ファイバコード30に含まれるホーリーファイバ41が単芯であると、回転コネクタ25内の光ファイバコード30の接続部分で接続面が点対称であるため、回転胴体51の回転に対して光学的接続を維持できる。
【0074】
光ファイバコード30は長手方向に伸縮性があるため、長手方向へ引っ張る力を調節することで光ファイバコード30の延長する長さの微調整ができる。従って、本実施形態では、本願第1発明及び本願第2発明である光ファイバコード31に本願第3発明である光ファイバコード30を用いることで、簡便に延長が可能で且つ延長の長さの微調整が可能な光ファイバ延長コードを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、ホーリーファイバのみならず、許容最小曲げ半径の小さい光ファイバの延長を簡便にする光ファイバ延長コード及び光ファイバコードとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本願第1発明に係る光ファイバ延長コードの一例を示す斜視図である。
【図2】本願第1発明に係る光ファイバ延長コードの一例を示す斜視図である。
【図3】本願第2発明に係る光ファイバ延長コードの一例を示す斜視図である。
【図4】図3で示される回転コネクタの一例を示す斜視図である。
【図5】図3で示される回転コネクタの一例を示す斜視図である。
【図6】本願第3発明に係る光ファイバコードの部分の一例を示す上面図である。
【符号の説明】
【0077】
10 光ファイバ延長コード
11 回転胴体
12 中心軸
13 光ファイバコードリール
14 回転胴体
15 光ファイバ延長コード
20 光ファイバ延長コード
21、29 光コネクタ
24 光アダプタ
25 回転コネクタ
26、27 フェルール
28 スリーブ
30 光ファイバコード
31 光ファイバコード
32、33 光コネクタ
34 光アダプタ
35 回転コネクタ
39 板ばね
41 ホーリーファイバ
42 被覆材
45 回転コネクタ
51 回転胴体
52 中心軸
53 光ファイバコードリール
61、66 フェルール
62、65 スリーブ
63、64 コリメータレンズ
71 回転胴体の外周面
72 回転胴体の内周面
73 斜め貫通孔
74 回転胴体の蓋部
101 光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホーリーファイバ及び前記ホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコードと、
前記光ファイバコードの両端に装着されている光コネクタと、
回転の軸となる中心軸及び前記中心軸の周りで回転して前記光ファイバコードを巻き取る回転胴体を含む光ファイバコードリールと、を備える光ファイバ延長コード。
【請求項2】
前記回転胴体の外周面で前記光ファイバコードの少なくとも一部が収容される螺旋状の外面螺旋溝と、
前記回転胴体の内周面で前記光ファイバコードの少なくとも一部が収容される螺旋状の内面螺旋溝と、
前記外面螺旋溝と前記内面螺旋溝とを結び、前記回転胴体を斜めに貫通する斜め貫通孔と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ延長コード。
【請求項3】
前記光ファイバコードリールの回転胴体に装着され、前記光コネクタの一方を接続する光アダプタと、をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ延長コード。
【請求項4】
ホーリーファイバ及び前記ホーリーファイバを被覆する柔軟性のある被覆材を有する光ファイバコードと、
前記光ファイバコードの両端に装着されている光コネクタと、
回転の軸となる中心軸及び前記中心軸の周りで回転して前記光ファイバコードを巻き取る回転胴体を含む光ファイバコードリールと、
前記光ファイバコードの途中でかつ前記回転の中心にあって前記回転胴体の回転に対して光学的接続を維持する回転コネクタと、を備える光ファイバ延長コード。
【請求項5】
前記光ファイバコードリールの中心軸に装着され、前記光コネクタの一方を接続する光アダプタと、をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ延長コード。
【請求項6】
前記ホーリーファイバから前記被覆材表面までの厚さは、前記ホーリーファイバの許容最小曲げ半径以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光ファイバ延長コード。
【請求項7】
ホーリーファイバと、
前記ホーリーファイバをつづら折に被覆し、長手方向に伸縮性のあるテープ状の被覆材と、を備える光ファイバコード。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−121532(P2007−121532A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311422(P2005−311422)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【出願人】(505399948)NTTエレクトロニクステクノ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】