説明

光モジュールのロック構造

【課題】構造の簡略化と使い勝手の向上を図る。
【解決手段】光モジュール本体部2のロック用突起部14が本体収納ケース3の舌片部17に形成されている本体ロック用貫通孔15に挿通係止することによって光モジュール本体部2が本体収納ケース3に収納完了している状態をロックする。光モジュール本体部2には、支点部30を支点にしてシーソー状に可動する可動片31A,31Bを有するシーソー部材20と、シーソー部材20を操作するシーソー部材操作部21とを設ける。シーソー部材操作部21を光モジュール本体部2から引き出す方向にスライド移動させると、シーソー部材20の可動片31Bが降下方向に変位し、可動片31Aが上昇方向に変位して舌片部17を押し上げる。ロック用突起部14が本体ロック用貫通孔15から抜け出て光モジュール本体部2のロック状態が解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号と電気信号との変換を行う光−電気変換機能が内蔵されている光モジュールのロック構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8には光モジュールの一つが模式的な分解状態により示されている。図8に示される光モジュール1は、SFP(Small-Form-Pluggable)と呼ばれるものであり、MSA(Multi-Source-Agreement)の規格に基づいて作製される。当該光モジュール1は、光モジュール本体部2と、この光モジュール本体部2を収容する本体収納ケースであるケージ3と、電気用外部接続部材4とを有して構成されている。
【0003】
光モジュール本体部2は、図9の側面図に示されるような回路基板6を有し、この回路基板6には、光信号を電気信号に変換する機能と、電気信号を光信号に変換する機能との両方又は一方の機能を備えた光−電気変換部であるサブモジュール7が設けられ、また、回路基板6には、サブモジュール7と電気的に接続されている電気回路が形成されている。
【0004】
光モジュール本体部2は、回路基板6とサブモジュール7を筐体8内に収容した態様と成し、外観は直方体状と成している。この光モジュール本体部2の一端側は光線路の接続端であり、当該光モジュール本体部2の光線路の接続端にはサブモジュール7を外部に光接続させるための光コネクタ10が設けられている。光コネクタ10は、一般的なSCコネクタやMUコネクタやLCコネクタにコネクタ接続することができる形態と成している。
【0005】
また、光モジュール本体部2の他端側(つまり、光線路の接続端とは反対側の端部側)は電気用の接続端と成し、当該電気用の接続端においては、筐体8に設けられた開口部から回路基板6が露出しており、電気用外部接続部材4の図9に示されるような基板挟持部11がその露出している回路基板6の端部を挟持する構成と成している。電気用外部接続部材4の基板挟持部11により挟持される回路基板6の端部には、回路基板6の表面と裏面の両方又は一方に、回路基板6に形成されている電気回路の外部接続部としての電極パッドが形成されており、電気用外部接続部材4の導体から成る基板挟持部11がその回路基板6の電極パッドに接触接続することにより、回路基板6の電気回路は、電気用外部接続部材4に電気的に接続することができる。
【0006】
電気用外部接続部材4は、例えばマザー基板12に実装されてマザー基板12に形成されている回路に電気的に接続され、光モジュール本体部2の回路基板6の電気回路と、マザー基板12の回路とを電気的に接続させる構成を備えている。なお、回路基板6の電気回路の外部接続部としての電極パッドが形成され電気用外部接続部材4の基板挟持部11により挟み込まれる回路基板6の端部は、エッジコネクタと呼ばれている。
【0007】
ケージ3は筒状の金属により構成され、マザー基板12に実装された電気用外部接続部材4を収容した状態でマザー基板12に取り付けられる。ケージ3がマザー基板12に取り付けられた後に、当該ケージ3の筒孔の一端側の開口部13から例えば図8の矢印a方向に沿って光モジュール本体部2がケージ3の内部に挿入され、光モジュール本体部2は、回路基板6の端部(エッジコネクタ)と電気用外部接続部材4の基板挟持部11とが接続している状態でケージ3内に収容される。
【0008】
ケージ3は、光モジュール本体部2の挿入時に光モジュール本体部2のエッジコネクタと電気用外部接続部材4の基板挟持部11とが確実に接続するように光モジュール本体部2をガイドする機能と、光モジュール本体部2のエッジコネクタと電気用外部接続部材4の基板挟持部11との接続状態を維持すべく光モジュール本体部2をロックする機能とを備えている。光モジュール本体部2をケージ3にロックするために、ケージ3には、図10(b)に示されるように、光モジュール本体部2の挿入口である開口部13側の周壁部位に本体ロック用貫通孔15が設けられている。また、光モジュール本体部2には、図10(a)の簡略的な断面図に示されるようなロック用突起部14が設けられている。このロック用突起部14は、光モジュール本体部2がケージ3に収容完了した状態でケージ3の本体ロック用貫通孔15に挿通係止する位置に配設されている。さらに、ケージ3の内部には、光モジュール本体部2に弾性力を加える弾性部材16が設けられている。この弾性部材16は、光モジュール本体部2のロック用突起部14がケージ3の本体ロック用貫通孔15に挿通している状態で光モジュール本体部2に図10(a)に示す矢印A方向の弾性力を加えてロック用突起部14を本体ロック用貫通孔15の内壁面に押し付けて係止させるものである。
【0009】
光モジュール本体部2がケージ3の内部に差し込まれ当該光モジュール本体部2のエッジコネクタが電気用外部接続部材4の基板挟持部11に接続した状態で、光モジュール本体部2のロック用突起部14がケージ3の本体ロック用貫通孔15に挿通係止することによって、光モジュール本体部2はケージ3に位置決め固定(ロック)されて、光モジュール本体部2のエッジコネクタが電気用外部接続部材4の基板挟持部11に接続している状態を維持することができる。
【0010】
【特許文献1】特開2004−309576号公報
【特許文献2】国際公開第2003/060583号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、ケージ3に収納されている光モジュール本体部2を他の光モジュール本体部2に取り替えることが有る。このような場合を考慮して、光モジュール本体部2のロック用突起部14と、ケージ3の本体ロック用貫通孔15との係止状態を容易に解消させるための構成が備えられていることが多い。そのようなロック用突起部14と本体ロック用貫通孔15による光モジュール本体部2のロックおよびそのロック解除を行うことができる構成は様々に提案されている(例えば特許文献1,2参照)。しかしながら、それら提案のものは、構造が複雑であったり、部品点数が多かったり、使い勝手が悪いというような問題があり、満足のいくものではなかった。
【0012】
本発明の目的は、簡単な構造で部品点数が少なく、また、使い勝手が良い光モジュールのロック構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明は、一端側が光線路の接続端と成し他端側が電気用コネクタ形成端と成し当該電気用コネクタ形成端と光線路の接続端との間に光信号と電気信号との変換を行う光−電気変換部が設けられている光モジュール本体部と、
一端面に設けられた開口部から光モジュール本体部を挿入させて収納する筒状の本体収納ケースと、
を有する光モジュールにおける光モジュール本体部と本体収納ケースのロック構造であって、
本体収納ケースの周壁は、
前記開口部から奥に向けて切り込まれ互いに周回方向に間隔を介して並設された切り欠き部間に形成された弾性変形可能な舌片部と、
この舌片部に形成された本体ロック用貫通孔と、
を有しており、
光モジュール本体部には、当該光モジュール本体部の周面上に配設されている支点部を支点としてシーソー運動するシーソー部材が設けられ、このシーソー部材は、前記支点部から光線路の接続端側に伸長形成されている部位が外側可動片と成し、前記支点部から電気用コネクタ形成端側に伸長形成されている部位が舌片部側可動片と成しており、
また、光モジュール本体部には、
シーソー部材の舌片部側可動片よりも電気用コネクタ形成端側に配設されたロック用突起部と、
シーソー部材の支点部と外側可動片の伸長先端部との間のストローク区間でスライド移動可能に設けられている可動片操作部と当該可動片操作部に接続されている取っ手部とを有するシーソー部材操作部と、
が設けられており、
光モジュール本体部が本体収納ケースに挿入されて収納完了している状態では前記シーソー部材操作部の可動片操作部がシーソー部材の支点部側に位置し前記シーソー部材の舌片部側可動片が光モジュール本体部と本体収納ケースの舌片部との間の隙間に入り込んで前記光モジュール本体部のロック用突起部が本体収納ケースの本体ロック用貫通孔に挿通係止している状態と成して光モジュール本体部が本体収納ケースにロックされており、
このロック状態から前記シーソー部材操作部の可動片操作部をシーソー部材の外側可動片の伸長先端側にスライド移動させた状態では、シーソー部材の舌片部側可動片が本体収納ケースの舌片部を押し上げてロック用突起部を本体ロック用貫通孔から抜け出させてロック用突起部と本体ロック用貫通孔との係止状態が解消されてロックが解除されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、光モジュール本体部にシーソー部材をシーソー状に可動可能に設けると共に、シーソー部材操作部をスライド移動可能に設けるだけで、光モジュール本体部のロック解除のための構成を構築できるので、光モジュールのロック構造の簡略化および部品点数の削減を図ることができる。また、この発明の光モジュールのロック構造は、上記のように構造が簡単であることから、壊れ難い。このため、光モジュールの耐久性に対する信頼性を高めることができる。
【0015】
さらに、この発明の構成では、光モジュール本体部のロック状態を解除するためのシーソー部材操作部のスライド操作方向(つまり、シーソー部材の支点部側から外側可動片の伸長先端側に向かう方向)が、本体収納ケースから光モジュール本体部を抜き出す方向と同じ方向である。このため、シーソー部材操作部をロック解除方向にスライド移動することにより、光モジュール本体部のロック解除から、光モジュール本体部を本体収納ケースから抜き出すまでの一連の動作を連続的に行うことが可能となる。これにより、使い勝手の良い光モジュールのロック構造を提供することができる。
【0016】
さらに、光モジュール本体部にシーソー部材操作部のスライド移動用のガイド部が設けられていることによって、シーソー部材操作部のスライド移動が円滑に行えることとなり、より一層使い勝手を向上させることができる。
【0017】
さらに、光モジュール本体部に操作部保持手段が設けられ、シーソー部材操作部がシーソー部材の支点部側のストローク区間終点位置まで前進方向にスライド移動したときに、その操作部保持手段によって、シーソー部材操作部のスライド移動を停止させ当該停止状態が保持される構成を備えることによって、次に示すような効果を得ることができる。つまり、シーソー部材操作部がシーソー部材の支点部側のストローク区間終点位置まで前進方向にスライド移動したときにはシーソー部材による本体収納ケースの舌片部の押し上げが無い状態となるように設計することによって、シーソー部材操作部が前進方向にストローク区間終点位置までスライド移動したときには光モジュール本体部のロック用突起部が本体収納ケースの舌片部の本体ロック用貫通孔に挿通係止して光モジュール本体部を本体収納ケースにロックすることができる。この光モジュール本体部のロック状態を継続しなければならないのにも拘わらず、シーソー部材操作部が後退方向(シーソー部材の支点部側から外側可動片の伸長先端側に向かう方向)にスライド移動してしまうと、シーソー部材が無用に可動して本体収納ケースの舌片部を押し上げて光モジュール本体部のロック状態が解除されてしまう。これに対して、操作部保持手段が設けられて、シーソー部材操作部が前進方向にストローク区間終点位置に配置されている状態が保持固定されることによって、シーソー部材操作部が安易に後退方向にスライド移動してしまうことを防止でき、これにより、光モジュール本体部のロック状態が誤って解除されてしまうという問題の発生を回避することができる。
【0018】
光モジュール本体部は、シーソー部材操作部が前進方向にストローク区間終点位置までスライド移動したときにシーソー部材操作部の取っ手部を係止する取っ手部係止部と、シーソー部材操作部の前端部である可動片操作部を係止する前端部係止部と、シーソー部材操作部の側部の折り曲げ部を係止する折り曲げ部係止部とを有して、三点支持によりシーソー部材操作部の停止状態を保持する構成を備えることによって、簡単な構成でもって前進方向のストローク区間終点位置でシーソー部材操作部を停止させ保持することができる。また、光モジュール本体部のロック状態を継続しなければならないのにも拘わらず、シーソー部材操作部の後退方向の無用なスライド移動に起因して光モジュール本体部のロック状態が誤って解除されてしまうという問題を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態例の説明において、図8〜図10に示される光モジュールに関わる構成と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0020】
この実施形態例は光モジュール本体部を本体収納ケースに収納固定するロック構造に関するものであり、図1(a)には、この実施形態例の光モジュールのロック構造を構成する光モジュール本体部が表面側から見た模式的な斜視図により示され、図1(b)には図1(a)の光モジュール本体部が裏面側から見た模式的な斜視図により示されている。また、図2(a)には図1(b)に示されている光モジュール本体部の裏面側における光線路の接続端側の構成例が分解状態により示されている。
【0021】
この実施形態例では、図1や図2に示される光モジュール本体部2が収納される本体収納ケースであるケージ3は、図8に示されるような筒状と成し、このケージ3は、その筒孔の一端側の光モジュール本体部挿入口の開口部から光モジュール本体部2の光線路の接続端側を突出させた態様でもって光モジュール本体部2を収納する構成となっている。このケージ3には、図10(b)に示されるように、光モジュール本体部挿入口の開口部13側の周壁部位に、開口部13から奥に向けて切り込まれた2つの切り込み部19が互いに周回方向に間隔を介して並設され、当該切り込み部19間には、開口部13側を自由端とした弾性変形可能な舌片部17が形成され、この舌片部17に本体ロック用貫通孔15が形成されている。
【0022】
図1(a)、(b)に示されるように、光モジュール本体部2の光線路の接続端側には光コネクタ10が形成されている。この実施形態例では、2つの光コネクタ10が並設されており、それら光コネクタ10のうちの一つは送信側(つまり、光モジュール本体部2内で電気信号から変換された光信号を送信する側)の光コネクタと成し、他方側の光コネクタ10は受信側(つまり、光モジュール本体部2に向けて送信されてきた光信号を受信する側)の光コネクタと成している。また、この実施形態例では、光モジュール本体部2の電気用の接続端側(電気用コネクタ形成端側)にはエッジコネクタ18が形成されている。さらに、光モジュール本体部2の裏面側には、光線路の接続端側にロック用突起部14が固設されている。このロック用突起部14の形成位置は、光モジュール本体部2がケージ3に収納完了した状態でロック用突起部14がケージ3の本体ロック用貫通孔15に挿通係止する位置となっている。
【0023】
さらにまた、光モジュール本体部2の裏面側には、そのロック用突起部14よりも光線路の接続端寄りの位置に、シーソー部材20と、シーソー部材操作部21と、スライド移動機構部22と、シーソー部材保持部23とが設けられている(例えば図2(a)参照)。すなわち、図3(a)には図2(a)のA−A部分の断面およびその位置よりもロック用突起部14側の光モジュール本体部部位の模式的な斜視図が示されている。この図3(a)や図2(a)に示されるように、この実施形態例では、光モジュール本体部2の裏面側の両側の側縁部には、それぞれ、光線路の接続端からロック用突起部14の形成領域に至る手前までの領域に、ガイド壁25が設けられている。このガイド壁25は、光モジュール本体部2の裏面に対して立設されている側壁部25Aと、この側壁部25Aの上部から内向きに張り出し形成されている鍔壁部25Bとを有して構成されている。また、光モジュール本体部2の裏面側には、ロック用突起部14よりも光線路の接続端側の部位に、シーソー部材位置決め保持用の突起部27A,27Bが互いに光モジュール本体部2の長手方向(換言すれば、ケージ3に対する光モジュール本体部2の進退方向)に間隔を介して配列配置されている。さらに、光モジュール本体部2の裏面側の光線路の接続端部には、両側の側縁部のガイド壁25の鍔壁部25B間を接続する態様の梁部28が設けられている。この梁部28には、抜け止め部29が図2(a)に示される下方側に向けて伸長形成されていると共に、取っ手部係止部33が光モジュール本体部2の光線路の接続端よりも外側に向かう方向に突出形成されている。さらに、両側の側縁部に設けられている各ガイド壁25の光線路の接続端側から、それぞれ、ぶれ防止用壁部34が光モジュール本体部2の光線路の接続端よりも外側に向かう方向に突出形成されている。
【0024】
この実施形態例では、ガイド壁25と梁部28と抜け止め部29と取っ手部係止部33とぶれ防止用壁部34によって、後述するシーソー部材操作部21をスライド移動させるためのスライド移動機構部22が構成されている。また、ガイド壁25と突起部27A,27Bとによって、次に述べるシーソー部材20を保持するシーソー部材保持部23が構成されている。
【0025】
シーソー部材20は、棒状の支点部30と、この支点部30の両側に一体的に設けられている可動片31A,31Bとを有して構成されている。図3(b)にはシーソー部材20がシーソー部材保持部23に保持されている状態の一例が模式的に示されている。また、図4(a)、(b)には図1(b)のB−B部分の模式的な断面図が示されている。つまり、この実施形態例では、シーソー部材20は、支点部30の両端側30a,30bが、それぞれ、ガイド壁25の鍔壁部25Bと、光モジュール本体部2の裏面との間の隙間Sに配置されて当該鍔壁部25Bと光モジュール本体部2の裏面とによって挟持され、かつ、支点部30の周面部が突起部27A,27B間の間隙に嵌った状態で、光モジュール本体部2のシーソー部材保持部23に位置決め保持される。シーソー部材20がそのような状態で保持されることによって、シーソー部材20の可動片31A,31Bは、支点部30を支点にしてシーソー状に可動することができる構成となっている。つまり、図4(a)に示されるように、可動片31Bが光モジュール本体部2に近付く方向(降下方向)に変位したときには、可動片31Aは支点部30を支点にして光モジュール本体部2から離れる方向(上昇方向)に変位する。また、図4(b)に示されるように、可動片31Bが上昇方向に変位したときには可動片31Aは支点部30を支点にして降下方向に変位する。
【0026】
この実施形態例では、図5(a)の模式的な断面図に示されるように、シーソー部材20の可動片31Aは、光モジュール本体部2がケージ3に収納完了した状態(つまり、光モジュール本体部2のロック用突起部14がケージ3の本体ロック用貫通孔15に挿通係止している状態)で光モジュール本体部2とケージ3の舌片部17との間の隙間に入り込む位置に配設されるものであり、当該可動片31Aは舌片部側可動片と成している。また、可動片31Bは、光モジュール本体部2がケージ3に収納完了した状態でケージ3の外側に配置される位置に配設されるものであり、当該可動片31Bは外側可動片と成している。
【0027】
図2(b)には図2(a)に示されるシーソー部材20を裏側から見た形態例が示されている。この実施形態例では、可動片31A,31Bのそれぞれの裏面側の周縁部には強度強化用のリブ32が設けられている。
【0028】
この実施形態例では、シーソー部材操作部21は、図2(a)に示されるように、取っ手部36と、この取っ手部36と間隔を介して配置される可動片操作部(シーソー部材操作部の前端部)37と、取っ手部36と可動片操作部37とを接続している連結部(シーソー部材操作部の側部)38とを有して構成されており、リング形状と成している。取っ手部36は、例えば樹脂材料により構成されており、その表面は指等が滑り難い状態となっている。可動片操作部37および連結部38は、ステンレス等の強度の強い線状部材により構成されており、可動片操作部37の両端側にそれぞれ連結部38の一端側が連接され、各連結部38の他端側には共通の取っ手部36が取り付けられている。各連結部38は、それぞれ、下側に凸の折り曲げ部38Kを持つ形状と成し、これら連結部38は光モジュール本体部2の長手方向に直交する幅方向に間隔を介して並設されている。各連結部38間の間隔は光モジュール本体部2の両側のガイド壁25間の間隔よりも僅かに狭い寸法となっており、図6のモデル図に示されるように、シーソー部材操作部21は、各連結部38をそれぞれガイド壁25の側壁部25Aの壁面に添わせる態様でもって両側のガイド壁25間に配置される。また、シーソー部材操作部21は、各連結部38がそれぞれガイド壁25の側壁部25Aの壁面にガイドされて、光モジュール本体部2の長手方向(ケージ3に対する光モジュール本体部2の進退方向)にスライド移動可能となっている。つまり、ガイド壁25は、光モジュール本体部2の裏面(底面部)と側壁部(側面部)25Aと鍔壁部(上面部)25Bとでシーソー部材操作部21のスライド移動を支持するものである。
【0029】
この実施形態例では、シーソー部材操作部21の可動片操作部37はシーソー部材20の外側可動片31Bの上面上に載置され、シーソー部材操作部21の取っ手部36による操作によって外側可動片31Bの上面上を摺動(スライド移動)しながら、外側可動片31Bに押圧力を加えて外側可動片31Bを支点部30を支点にして次のように可動させるものである。つまり、ケージ3に対する光モジュール本体部2の前進方向にシーソー部材操作部21がスライド移動するときには、可動片操作部37はシーソー部材20の外側可動片31Bを光モジュール本体部2の裏面から離れる上昇方向に可動変位させる。また、ケージ3に対する光モジュール本体部2の後退方向にシーソー部材操作部21がスライド移動するときには、可動片操作部37は外側可動片31Bを光モジュール本体部2の裏面に近付ける降下方向に可動変位させる。
【0030】
この実施形態例では、例えば図5(a)に示されるように、シーソー部材20の支点部30と外側可動片31Bとの連接部に操作部係止部40が設けられている。この操作部係止部40は、シーソー部材操作部21の可動片操作部37を係止させてシーソー部材操作部21の前進方向のスライド移動を停止させるものである。また、光モジュール本体部2の光線路の接続端部には、前述したように、抜け止め部29が設けられており、この抜け止め部29にシーソー部材操作部21の可動片操作部37が例えば図5(b)に示されるように係止してシーソー部材操作部21の後退方向のスライド移動が停止する。つまり、この実施形態例では、シーソー部材操作部21の可動片操作部37は、抜け止め部29に係止する位置と、操作部係止部40に係止する位置との間(換言すれば、支点部30と外側可動片31Bの伸長先端側との間)のストローク区間でスライド移動可能となっている。
【0031】
また、この実施形態例では、シーソー部材操作部21が前進方向にストローク区間終点位置(つまり、可動片操作部37が操作部係止部40に係止する位置)までスライド移動したときには、図5(a)に示されるように、シーソー部材操作部21の取っ手部36が取っ手部係止部33に係止し、かつ、シーソー部材操作部21の連結部38の折り曲げ部38Kが光モジュール本体部2の裏面に係止し、かつ、シーソー部材操作部21の可動片操作部37が操作部係止部40およびガイド壁25の鍔壁部25Bに係止している状態となっており、シーソー部材操作部21は三点支持によって停止状態が保持される。すなわち、この実施形態例では、光モジュール本体部2の裏面が連結部(側部)38の折り曲げ部38Kを係止する折り曲げ部係止部と成し、操作部係止部40および鍔壁部25Bが可動片操作部(前端部)37の係止部(前端部係止部)と成している。それら折り曲げ部係止部と前端部係止部と、取っ手部係止部33とによって、シーソー部材操作部21が前進方向にストローク区間終点位置までスライド移動したときにシーソー部材操作部21のスライド移動を停止させ当該停止状態を保持する操作部保持手段が構成されている。
【0032】
さらに、この実施形態例では、前述したように、光モジュール本体部2の両側縁部のガイド壁25から光線路の接続端よりも外側に突出する方向に、ぶれ防止用壁部34が伸張形成されている。シーソー部材操作部21が後退方向にスライド移動しているときに、ぶれ防止用壁部34によって、シーソー部材操作部21における光モジュール本体部2の幅方向のがたつきが抑制されており、シーソー部材操作部21のスライド移動のより一層の円滑化が図られている。
【0033】
なお、この実施形態例では、図7(a)の模式的な斜視図に示されるように、光モジュール本体部2の裏面2rと、抜け止め部29との間に間隙41が設けられている。この間隙41の寸法Hは、シーソー部材操作部21の可動片操作部37が間隙41を通り抜けることが可能な大きさとなっている。その間隙41を利用して、シーソー部材操作部21およびシーソー部材20を次に示すように光モジュール本体部2に取り付けることができる。例えば、まず、図7(b)の模式的な断面図に示されるように、シーソー部材操作部21の可動片操作部37を外側から間隙41を通してガイド壁25の形成領域に入り込ませる。次に、図7(c)に示されるように、シーソー部材20の外側可動片31Bを可動片操作部37にくぐらせて外側可動片31Bをガイド壁25の形成領域に入り込ませ、シーソー部材20の支持部30の両端部30a,30bをガイド壁25の鍔壁部25Bと光モジュール本体部2の裏面とによって保持させると共に支点部30の周面部を突起部27A,27B間の間隙に位置決め配置させて図7(d)に示されるようにシーソー部材20を光モジュール本体部2に取り付ける。このようにシーソー部材20を光モジュール本体部2に取り付けることによって、シーソー部材20の外側可動片31Bと、抜け止め部29とにより、シーソー部材操作部21の可動片操作部37が前記間隙41を通って外部に抜け出ない状態となる。
【0034】
この実施形態例において特有な光モジュールのロック構造は上記のように構成されている。この実施形態例では、例えば、図5(a)に示されるように、光モジュール本体部2がケージ3の内部に収納され、また、シーソー部材操作部21が前進方向にストローク区間終点位置までスライド移動して停止して当該停止状態が保持されシーソー部材20の舌片部側可動片31Aが光モジュール本体部2の裏面に添っている状態となって、光モジュール本体部2のロック用突起部14がケージ3の本体ロック用貫通孔15に挿通係止することによって、光モジュール本体部2をケージ3にロックさせることができる。このような状態から、図5(b)に示されるように、シーソー部材操作部21を後退方向にスライド移動させることにより、シーソー部材操作部21の可動片操作部37がシーソー部材20の外側可動片31Bへ押圧力を加えながら後退方向に移動する。これにより、外側可動片31Bが支点部30を支点にして光モジュール本体部2の裏面に近付く降下方向に変位し、この外側可動片31Bの可動に伴って舌片部側可動片31Aが光モジュール本体部2から離れる上昇方向に変位してケージ3の舌片部17を押し上げる。この舌片部17の押し上げによって、光モジュール本体部2のロック用突起部14がケージ3の舌片部17の本体ロック用貫通孔15から抜け出てロック用突起部14と本体ロック用貫通孔15の係止状態が解消されて光モジュール本体部2のロック状態が解除される。これにより、光モジュール本体部2をケージ3から容易に抜き出すことができる。
【0035】
なお、この発明はこの実施形態例の形態に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、この実施形態例では、シーソー部材操作部21はリング形状と成していたが、シーソー部材操作部はシーソー部材20のシーソー状の可動を操作できる構成を備えていれば、その形状は特に限定されるものではなく、様々な形態を採り得るものである。
【0036】
また、この実施形態例では、シーソー部材20の支点部30を位置決め配設させるための突起部27A,27Bが形成されていたが、例えば、支点部30の底部側が嵌まる凹部を設け当該凹部に支点部30を位置決め配設する構成としてもよい。
【0037】
さらに、この実施形態例では、光モジュール本体部2の光線路の接続端側には2つの光コネクタ10が並設されていたが、光モジュール本体部2の光線路の接続端側に設ける光コネクタ10の形成数は限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る光モジュールのロック構造の一実施形態例を構成する光モジュール本体部の一形態例を説明するためのモデル図である。
【図2】図1の光モジュール本体部の光線路の接続端側における裏面側の構造例を説明するための模式的な分解図である。
【図3】図1の光モジュール本体部におけるシーソー部材の取り付け構成例を説明するための図である。
【図4】シーソー部材の可動状態例を表したモデル図である。
【図5】シーソー部材操作部によるシーソー部材の可動操作例を説明するための図である。
【図6】シーソー部材操作部のスライド移動の状態例を説明するための図である。
【図7】シーソー部材とシーソー部材操作部を光モジュール本体部に取り付ける作業例を説明するための図である。
【図8】光モジュールの一構成例を説明するための図である。
【図9】光モジュール本体部に内蔵されている回路基板と、電気用外部接続部材との接続状態例を模式的に表した図である。
【図10】光モジュール本体部がケージに収容されている状態の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0039】
1 光モジュール
2 光モジュール本体部
3 ケージ
14 ロック用突起部
15 本体ロック用貫通孔
17 舌片部
20 シーソー部材
21 シーソー部材操作部
25 ガイド壁
30 支点部
31A 舌片部側可動片
31B 外側可動片
33 取っ手部係止部
36 取っ手部
37 可動片操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が光線路の接続端と成し他端側が電気用コネクタ形成端と成し当該電気用コネクタ形成端と光線路の接続端との間に光信号と電気信号との変換を行う光−電気変換部が設けられている光モジュール本体部と、
一端面に設けられた開口部から光モジュール本体部を挿入させて収納する筒状の本体収納ケースと、
を有する光モジュールにおける光モジュール本体部と本体収納ケースのロック構造であって、
本体収納ケースの周壁は、
前記開口部から奥に向けて切り込まれ互いに周回方向に間隔を介して並設された切り欠き部間に形成された弾性変形可能な舌片部と、
この舌片部に形成された本体ロック用貫通孔と、
を有しており、
光モジュール本体部には、当該光モジュール本体部の周面上に配設されている支点部を支点としてシーソー運動するシーソー部材が設けられ、このシーソー部材は、前記支点部から光線路の接続端側に伸長形成されている部位が外側可動片と成し、前記支点部から電気用コネクタ形成端側に伸長形成されている部位が舌片部側可動片と成しており、
また、光モジュール本体部には、
シーソー部材の舌片部側可動片よりも電気用コネクタ形成端側に配設されたロック用突起部と、
シーソー部材の支点部と外側可動片の伸長先端部との間のストローク区間でスライド移動可能に設けられている可動片操作部と当該可動片操作部に接続されている取っ手部とを有するシーソー部材操作部と、
が設けられており、
光モジュール本体部が本体収納ケースに挿入されて収納完了している状態では前記シーソー部材操作部の可動片操作部がシーソー部材の支点部側に位置し前記シーソー部材の舌片部側可動片が光モジュール本体部と本体収納ケースの舌片部との間の隙間に入り込んで前記光モジュール本体部のロック用突起部が本体収納ケースの本体ロック用貫通孔に挿通係止している状態と成して光モジュール本体部が本体収納ケースにロックされており、
このロック状態から前記シーソー部材操作部の可動片操作部をシーソー部材の外側可動片の伸長先端側にスライド移動させた状態では、シーソー部材の舌片部側可動片が本体収納ケースの舌片部を押し上げてロック用突起部を本体ロック用貫通孔から抜け出させてロック用突起部と本体ロック用貫通孔との係止状態が解消されてロックが解除されていることを特徴とする光モジュールのロック構造。
【請求項2】
光モジュール本体部には、シーソー部材操作部のスライド移動をガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光モジュールのロック構造。
【請求項3】
光モジュール本体部には、シーソー部材操作部の可動片操作部がシーソー部材の支点部側のストローク区間終点位置までスライド移動したときにシーソー部材操作部のスライド移動を停止させ当該停止状態を保持する操作部保持手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光モジュールのロック構造。
【請求項4】
光モジュール本体部には、シーソー部材操作部のスライド移動を底面部と側面部と上面部とで支持してガイドするガイド壁が設けられており、
シーソー部材操作部はガイド壁側面部に沿う部位を有し、当該部位は下側に凸の折り曲げ部を持つ形状と成し、シーソー部材操作部の可動片操作部はスライド移動方向の前端部に設けられ、取っ手部はスライド移動方向の後端側に設けられており、
光モジュール本体部は、シーソー部材操作部がガイド壁にガイドされて可動片操作部がシーソー部材の支点部側のストローク区間終点位置までスライド移動したときにシーソー部材操作部の取っ手部を係止する取っ手部係止部と、シーソー部材操作部の可動片操作部を係止する前端部係止部と、シーソー部材操作部の側部の前記折り曲げ部を係止する折り曲げ部係止部とを有して、三点支持によりシーソー部材操作部の停止状態を保持することを特徴とする請求項1記載の光モジュールのロック構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−279509(P2007−279509A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107689(P2006−107689)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】