説明

光モジュールの接続構造および通信装置

【課題】狭い筐体内でも実装することが可能な光モジュールの接続構造および通信装置を提供する。
【解決手段】発光素子を内蔵した光デバイス15をベース基板11の下面にホルダ14によって取り付け、電気コネクタ13をベース基板11の上面に取り付け、光デバイス15と電気コネクタ13とを、両端の第1,第2のリジッド基板16a,16bを備えたフレキシブル基板16によりベース基板11の端面の外側を経由して電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールの接続構造、およびその光モジュールの接続構造を用いた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、データ通信においては、データアクセスの高速化、サーバの性能向上等の要望に伴って、メモリ容量の不足が顕在化している。また、IT設備投資の低コスト化及び高効率化等の観点から、メモリ容量の不足が生じた場合、システムの入れ換え等は行わず、拡張メモリの外付けで対応することが効果的である。拡張メモリにおけるバス伝送帯域は少なくとも3(GB/s)、望ましくば10(GB/s)以上であることが要求され、また、1ユニットに実装するメモリ容量は、16GB以上を要求されている。
【0003】
一方、メモリ容量の不足が、伝送帯域の狭さに起因する場合があり、これに対しては、光ファイバと、その両端に配設された送受信部(光デバイス)とを備える光伝送によってメモリバスの高帯域化を図ることにより、データアクセスのボトルネックを解消することができる。
【0004】
図7は、従来の通信装置の一例を示す。この通信装置100は、増幅器、電源回路等の電子部品102が上面に実装されたベース基板101と、ベース基板101の下面の端部においてベース基板101に実装された電気コネクタ103と、電気コネクタ103に隣接して設けられたホルダ104と、ホルダ104に保持されて光送信または光受信を行う光デバイス105と、ホルダ104の側面に沿って布線され、両端に設けられた第1,第2のリジッド基板106a,106bによって電気コネクタ103と光デバイス105を電気的に接続するフレキシブル基板106と、光ファイバ108を保持すると共に光モジュール105に結合される光コネクタ107と、複数の半導体メモリ110及び制御IC112等が実装されると共にベース基板101の上方に配設されたメモリ基板109と、上記各部品を内蔵した筐体111とを備えて構成されている。
【0005】
なお、ホルダ104、光デバイス105、フレキシブル基板106、光コネクタ107および光ファイバ108は、同図ではそれぞれ1つしか図示されていないが、実際は送信用と受信用との2種類がベース基板101に取り付けられており、送信用の光デバイス105は、発光素子が内蔵され、受信用の光デバイス105は、受光素子が内蔵されている。
【0006】
図7において、例えば、ベース基板101上の制御LSI102から配線パターンを介して電気コネクタ103に入力すると、そのデータ信号は第1のリジッド基板106aからフレキシブル基板106に伝送され、更に、第2のリジッド基板106bを介して送信用の光デバイス105に入力される。
【0007】
送信用の光デバイス105は、電気コネクタ103からの電気信号に応じて、内蔵の発光素子を駆動回路により駆動する。発光素子による光信号は、光コネクタ107に内挿された光ファイバ108に照射され、コア内を伝搬する。
【0008】
また、受信用の光ファイバ108から光信号が光コネクタ107に到達すると、受信用の光デバイス105に内蔵した受光素子によって電気信号に変換され、第2のリジッド基板106b、フレキシブル基板106及び第1のリジッド基板106aを介して電気コネクタ103に伝送される。
【0009】
なお、上記した光デバイス105と同様に、フレキシブル基板を接続媒体に用いた従来の光モジュールの接続構造として、特許文献1が知られている。この光モジュールの接続構造は、光素子とバイパスコンデンサ等の電源フィルタ回路および周辺回路をモジュール側基板(ヘッド部)に搭載し、ヘッド部と回路基板との接続をフレキシブル基板で行っている。この構成によれば、光素子とバイパスコンデンサとの距離が短くなり、十分なバイパス効果を得ることができ、また、光素子の端子をフレキシブル基板で構成しているため、耐ノイズ特性が向上する。
【特許文献1】特開平8−136767号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、図7の構成によると、ベース基板101のメモリ基板109と反対側の面に電気コネクタ103と光コネクタ107が配置されているため、第1,第2のリジッド基板106a,106bをL字形に配置可能なスペースを確保する必要があり、ホルダ104の高さhを小さくすることができない。このため、ベース基板101の下面からの突出高さを小さくできず、実装占有エリアが広くなり、規格寸法のラックに収納するのが難しくなる。
【0011】
また、特許文献1の構成によると、回路基板の一方の面側に光素子とモジュール側基板(ヘッド部)が配置されているため、図7と同様に、回路基板の面からの突出高さを小さくできず、実装占有エリアが広くなり、規格寸法のラックに収納するの難しくなる。
【0012】
従って、本発明の目的は、狭い筐体内でも実装することが可能な光モジュールの接続構造および通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の光モジュールの接続構造および通信装置を提供する。
【0014】
[1]ベース基板の第1の面に、光素子を内蔵した光デバイスを取り付ける光デバイス取付部材と、前記ベース基板の前記第1の面と反対側の第2の面に設けられ、前記ベース基板に形成された配線パターンに接続された中継部と、前記光デバイスと前記中継部とを前記ベース基板の端面の外側を経由して電気的に接続するフレキシブル基板とを備えたことを特徴とする光モジュールの接続構造。
【0015】
上記構成の光モジュールの接続構造によれば、光デバイスと中継部をベース基板を介して配置することにより、ベース基板の第1の面からの突出高さを低くすることができる。また、ベース基板の第2の面に電子部品が搭載されている場合や、ベース基板の第2の面側に所定の距離を設けて他の基板が配置されている場合には、ベース基板の第2の面に中継部を設けることで、ベース基板の第2の面側のエリアを有効利用することができる。従って、光モジュールを狭い筐体内に実装可能となる。
【0016】
光デバイスに内蔵の光素子には、半導体レーザ、発光ダイオード等の1つ又は2つ以上の発光素子、フォトダイオード等の1つ又は2つ以上の受光素子、発光素子と受光素子の組合せが含まれる。中継部には、電気コネクタ、ピンを介してベース基板上の配線パターンに接続されるタイプ等が含まれる。
【0017】
[2]前記フレキシブル基板は、前記光デバイス取付部材に取り付けられ、前記光デバイスに電気的に接続するリジッド基板を備えたことを特徴とする前記[1]に記載の光モジュールの接続構造。
【0018】
[3]前記中継部は、電気コネクタであり、前記フレキシブル基板は、前記電気コネクタに接続する第1のリジッド基板と、前記光デバイス取付部材に取り付けられ、前記光デバイスに電気的に接続する第2のリジッド基板とを備えたことを特徴とする前記[1]に記載の光モジュールの接続構造。これにより、中継部を電気コネクタとすることにより、電気コネクタと第1のリジッド基板との着脱が容易となる。
【0019】
[4]前記光素子は、発光素子であり、前記光デバイスに電気的に接続される前記リジッド基板は、前記発光素子を駆動する駆動回路を備えたことを特徴とする前記[1]2又は[3]に記載の光モジュールの接続構造。この構成によれば、発光素子と駆動回路との配線長を短くすることができ、放射ノイズが少なくなる。また、駆動回路をリジッド基板上に設けることにより、ベース基板を小型にすることができる。
【0020】
[5]前記光素子は、受光素子であり、前記光デバイスに電気的に接続される前記リジッド基板は、前記受光素子の出力信号を処理する処理回路を備えたことを特徴とする前記[1]2又は[3]に記載の光モジュールの接続構造。この構成によれば、受光素子と処理回路との配線長を短くすることができ、ノイズの影響が受け難くなる。処理回路には、増幅回路、変調回路等が含まれる。
【0021】
[6]前記光素子の光軸、および前記電気コネクタの差し込み方向は、前記ベース基板に対して平行であることを特徴とする前記[3]に記載の光モジュールの接続構造。この構成によれば、光モジュールの接続構造を薄型にすることができ、占有スペースの小型化が図れる。
【0022】
[7]前記光デバイス取付部材は、光ファイバの端部を保持し、前記光ファイバを前記光素子に光学的に結合させる光コネクタが装着される構成を有することを特徴とする前記[1]に記載の光モジュールの接続構造。この構成によれば、光デバイスおよび光コネクタを共通の光デバイス取付部材に取り付けることができるので、光デバイスと光ファイバとの接続部の構成を簡素化することができる。
【0023】
[8]前記光デバイスは、前記光コネクタよりも前記ベース基板の端面側に配置されていることを特徴とする前記[7]に記載の光モジュールの接続構造。この構成によれば、光ファイバをベース基板の第1の面側に配置することができ、ベース基板の端面側の占有エリアを小さくすることができる。
【0024】
[9]光素子を内蔵した光デバイスと、配線パターンが形成されたベース基板と、前記光デバイスを前記ベース基板の第1の面に取り付ける光デバイス取付部材と、前記ベース基板の前記第1の面と反対側の第2の面に設けられ、前記配線パターンに接続された中継部と、前記光デバイスと前記中継部とを前記ベース基板の端面の外側を経由して電気的に接続するフレキシブル基板とを備えたことを特徴とする通信装置。
【0025】
上記構成の通信装置によれば、光デバイスと中継部をベース基板を介して配置することにより、ベース基板の第1の面からの突出高さを低くすることができ、ベース基板の第2の面側のエリアを有効利用することができるので、光モジュールを狭い筐体内でも実装可能となる。また、筐体サイズを小さくすることができる。
【0026】
[10]発光素子を内蔵した送信用の光デバイスと、受光素子を内蔵した複数の受信用の光デバイスと、配線パターンが形成されたベース基板と、前記送信用の光デバイスおよび前記複数の受信用の光デバイスをそれぞれ前記ベース基板の第1の面に取り付ける複数の光デバイス取付部材と、前記ベース基板の前記第1の面と反対側の第2の面に設けられ、前記配線パターンに接続された複数の中継部と、前記送信用の光デバイスおよび前記複数の受信用の光デバイスと前記複数の中継部とをそれぞれ前記ベース基板の端面の外側を経由して電気的に接続する複数のフレキシブル基板と、前記送信用の光デバイスに光コネクタによって一方の端面が光結合された入射側光ファイバと、前記複数の受信用の光デバイスに複数の光コネクタによって一方の端面が光結合された複数の出射側光ファイバと、一方の端面に前記入射側光ファイバの他方の端面が光結合され、他方の端面に前記複数の出射側光ファイバの他方の端面が光結合されたシート状導光路とを備えたことを特徴とする通信装置。
【0027】
上記構成の通信装置によれば、光デバイスと中継部をベース基板を介して配置することにより、ベース基板の第1の面からの突出高さを低くすることができ、ベース基板の第2の面側のエリアを有効利用することができるので、光モジュールを狭い筐体内でも実装可能となる。また、1つの入力信号を複数の出力信号に分岐することができ、伝送の高速化、高帯域化が図れる。
【0028】
[11]前記中継部は、電気コネクタであり、前記フレキシブル基板は、前記電気コネクタに接続する第1のリジッド基板と、前記光デバイス取付部材に取り付けられ、前記光デバイスに電気的に接続する第2のリジッド基板とを備えたことを特徴とする前記[9]又は[10]に記載の通信装置。これにより、中継部を電気コネクタとすることにより、電気コネクタと第1のリジッド基板との着脱が容易となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、光デバイスと中継部をベース基板を介して配置し、光デバイスと中継部をフレキシブル基板によって接続したので、狭い筐体内でも実装することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(通信装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る通信装置の要部断面図である。この通信装置1は、略箱型状の筐体21を有し、この筐体21内に、ベース基板11、メモリ基板19、カプラ収納ケース30、後述する電源ユニット等を配設して構成されている。
【0031】
ベース基板11は、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁基板からなり、その両面に配線パターンが形成されている。このベース基板11の上面(第2の面)には、端面近傍に配置された中継部としての電気コネクタ13が実装され、ベース基板11の両面には、増幅器,電源回路,コンデンサ,抵抗等の電子部品他、制御LSI12と、端面近傍に配置された電気コネクタ13が実装されている。
【0032】
また、ベース基板11の下面(第1の面)には、電気コネクタ13に対向する位置に、光デバイス15を保持する光デバイス取付部材としてのホルダ14が実装されている。そして、ベース基板11の上面の電気コネクタ13と下面の光デバイス15とは、ベース基板11の端面の外側を経由して両端に第1,第2のリジッド基板16a,16bを備えたフレキシブル基板16によって電気的に接続されている。
【0033】
電気コネクタ13は、ベース基板11の配線パターンに接続されるリード(図示せず)と、第2のリジッド基板16aの一端が挿入接続される挿入口及び端子とを有している。
【0034】
ホルダ14は、2本の光ファイバ18の端部を保持して光デバイス15に光学的に結合させる光コネクタ17が装着されている。ホルダ14は、例えば、樹脂成型により形成され、光コネクタ17が着脱される孔14aを有している。また、ホルダ14は、接着する構造、ネジ止めする構造、嵌合させる構造等のものを用いてベース基板11に固定することができる。
【0035】
なお、電気コネクタ13、ホルダ14および光デバイス15は、同図では1つしか図示していないが、実際は紙面の奥行き方向に複数実装されている。
【0036】
また、電気コネクタ13、ホルダ14、光デバイス15、第1,第2のリジッド基板16a,16bは、光モジュールを構成するが、光コネクタ17を光モジュールに含めてもよい。
【0037】
複数の光デバイス15には、光送信を行う送信用の光デバイスと、光受信を行う受信用の光デバイスとがある。光デバイス15は、第2のリジッド基板16bに接続されるリードピン15aを有し、更に、送信用の光デバイスは、半導体レーザ等からなる2つの発光素子を備え、受信用の光デバイスは、発光ダイオード等の2つの受光素子を備え、それぞれ光路を除いて全体が金属製容器で覆われている。なお、光デバイス15に内蔵する発光素子又は受光素子の数は、1つでもよい。この場合は、1本の光ファイバが光結合される。
【0038】
フレキシブル基板16は、両端に第1,第2のリジッド基板16a,16bを備え、送信用の光デバイス15に接続される第2のリジッド基板16bには、2つの発光素子を駆動する駆動回路を備え、受信用の光デバイス15に接続される第2のリジッド基板16bには、2つの受光素子からの出力信号を処理する信号処理回路を備えている。なお、発光素子用の駆動回路は、送信用の光デバイス15に内蔵してもよく、第1のリジッド基板16aまたはベース基板11に設けてもよい。また、受光素子用の信号処理回路は、受信用の光デバイス15に内蔵してもよく、第1のリジッド基板16aまたはベース基板11に設けてもよい。
【0039】
光コネクタ17は、2本の光ファイバ18の先端部が挿入される筒状のプラグアダプタ17aと、2本の光ファイバ18のコアをプラグアダプタ17a内に正確に位置決めするフェルール17bと、フェルール17bの先端部をプラグアダプタ17aの先端部に固定するスリーブ17cとを備える。なお、同図では、光ファイバ18は、1本しか図示していないが、実際は紙面の奥行き方向に複数本が配置されている。
【0040】
メモリ基板19は、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁基板からなり、その片面または両面に配線パターンが形成され、複数の半導体メモリ20や制御IC26等が実装されている。
【0041】
カプラ収納ケース30は、複数の光デバイス15間を接続する光ファイバ18の余剰分を収納するとともに、送信用の光デバイス15から出力された光信号を複数の光信号に分岐して受信用の光デバイス15に送信するカプラ部を内蔵している。
【0042】
図2は、通信装置の全体構成を示す平面図である。なお、同図は、筐体21の上部の図示を省略している。ベース基板11上には、図1に示す複数の半導体メモリ20が実装された複数(ここでは、4枚)のメモリ基板19が同一平面上に配設されている。また、ベース基板11の片側近傍には、通信装置1内の各基板11,19、表示器等に電源供給を行う電源ユニット23が設置されている。光デバイス15(15A〜15E)、フレキシブル基板16、光コネクタ17(17A〜17E)は、ベース基板11の端面に複数(ここでは5つ)設けられている。
【0043】
図3は、ベース基板の全体を示す。同図中、(a)は平面図、(b)は正面図である。なお、各図においては、電気コネクタ13の図示を省略している。また、(a)においてはネジ類の図示を省略している。
【0044】
ベース基板11は、スペーサ24及びネジ25を用いて筐体21に取り付けられている。図3の(b)に示すように、ベース基板11の裏面には、スペーサ36及びネジ27を用いてカプラ収納ケース30が、ベース基板11との間に、例えば、2mm程度の間隔を設けて取り付けられている。また、ベース基板11の裏面には、複数(ここでは、5つ)の光デバイス15及び光コネクタ17が所定間隔に設置されている。更に、ベース基板11の表面には、複数の電子部品12のほか、ベース基板11とメモリ基板19を接続するためのコネクタ28が設置されている。
【0045】
(カプラ収納ケースの構成)
図4及び図5は、カプラ収納ケースの詳細構成を示す。図4において、(a)は光ファイバを収納した状態の斜視図、(b)は光ファイバ収納前の分解斜視図である。図5において、(a)は背面図、(b)は入出口の構成が異なるカプラ収納ケースの背面図である。なお、図4、図5は、図1〜図3に対して上下逆に図示している。
【0046】
図4に示すように、カプラ収納ケース30は、板状を成すと共に図3(b)に示す上記スペーサ36が下面の各コーナ部に設けられたベース部31と、ベース部31に被せられる板状の蓋32とを備える。
【0047】
ベース部31は、図4(b)に示すように、光ファイバ18の余剰部分を収納する円環状の溝33A,33Bと、溝33A,33Bの間を結ぶ直線状の溝33Cと、これら溝33A,33B,33Cに連通して溝33A,33Bに布線される光ファイバ18を通す入出口34A,34Bとを備えている。
【0048】
また、ベース部31は、溝33Cの適当な場所に凹部を設け、その凹部に後述するカプラ部を収納している。また、光ファイバ18がバラバラになるのを防止する必要がある場合、押え部材等を溝33A〜33Cの所定位置に設置する。
【0049】
入出口34A,34Bは、光ファイバ18が疵付き難くいように、図4(b)、図5の(a)に示す如く、入り口を横長にし、間口を狭くした奥部との間の側壁にテーパ39を設けている。ベース部31には、光ファイバ18を溝33A,33Bに収納した後、蓋32が被せられ、蓋32が図示しないネジ等によりベース部31に固定される。
【0050】
なお、図5の(b)に示すように、光コネクタ17の個数分の入出口35A〜35Eを設けた構成にし、各光コネクタ17に接続された光ファイバ18を各入出口35A〜35Eに挿通させることもできる。
【0051】
(光モジュール及び通信装置の組み立て)
以下に、上記構成による実施の形態の組立について説明する。
【0052】
まず、図3のように電子部品12、電気コネクタ13、ホルダ14及び光デバイス15、コネクタ28を実装済みのベース基板11と、第1,第2のリジッド基板16a,16bが取り付けられたフレキシブル基板16と、半導体メモリ20及び制御IC26を実装したメモリ基板19とを用意する。また、光コネクタ17を装着済みの光ファイバ18を、必要な本数だけ用意する。
【0053】
次に、第1のリジッド基板16aを電気コネクタ13に挿入して接続し、更に、第2のリジッド基板16bをホルダ14の側面に位置決めして光デバイス15のリードピン15aにハンダ付けする。
【0054】
次に、ベース基板11の裏面(下面)にカプラ収納ケース30のベース部31をネジ27により装着する。ついで、光ファイバ18が接続されている光コネクタ17をホルダ14の孔14aに挿入し、光ファイバ18の先端面を各光デバイス15の発光素子または受光素子の受発光部に光結合させる。
【0055】
次に、カプラ収納ケース30の溝33A,33B内に光コネクタ17に接続された光ファイバ18の余剰部分を収納する。光ファイバ18は、入出口34A,34Bの一方から他方へ引き回してもよいし、同一の入出口34A,34Bから引き入れと引き出しを行ってもよい。光ファイバ18が長い場合、溝33A,33B内に複数回巻き付けて収納する。更に長い場合には、溝33cを経由して溝33A,33B間に複数回巻き付ける様にして収納する。光ファイバ18の収納が終了した後、蓋32をベース部31に取り付ける。
【0056】
次に、図2及び図3の(a),(b)に示すように、電源ユニット23が取り付けられた筐体21内の所定の位置に、カプラ収納ケース30が取り付けられたベース基板11をネジ25及びスペーサ24を用いて取り付ける。ついで、図1及び図2に示すように、ベース基板11の上方の所定位置に4枚のメモリ基板19を取り付ける。
【0057】
(光ファイバの収納)
図6は、カプラ収納ケース内の光ファイバの収納例を示す。なお、同図は、図1〜図3の対して上下逆に図示している。ここでは、2系統の1×4の光分岐をカプラ収納ケース30に収納されたカプラ部37によって行っている。なお、逆に、n×1の光合波も可能である。
【0058】
カプラ部37は、シート状導光路38A,38Bからなり、それぞれの光入射側に2本1組の入射側光ファイバとしての光ファイバ18Cが結合され、光出射側には2本4組の出射側光ファイバとしての光ファイバ18A、18B、18D、18Eが結合される。光ファイバ光ファイバ18A、18B、18D、18Eの接続先は、図2、図3に示した4つの光コネクタ17A,17B,17D,17Fである。また、光ファイバ18Cの接続先は、1つの光コネクタ17Cである。
【0059】
光ファイバ18A〜18Eは、その余剰分を溝33A〜33Cに収納した後、各光ファイバ18A〜18Eの端部を、例えば、図5の様に2つの入出口34A,34Bから引き込み及び引き出しを行う。なお、入出口が、図5の(b)の構成の場合、光ファイバ18A〜18Eを、2本毎に入出口35A〜35Eに振り分ける。
【0060】
(通信装置の動作)
メモリ基板19上の制御IC26が電気コネクタ13にデータ信号を入力すると、そのデータ信号は、第1のリジッド基板16aおよびフレキシブル基板16を介して第2のリジッド基板16b上の駆動回路に入力される。駆動回路は、駆動信号を送信用の光デバイス15Cに入力して光デバイス15Cに内蔵された発光素子を駆動する。
【0061】
光デバイス15C内の発光素子は、駆動信号に基づいて光信号を出射し、その光信号は、光コネクタ17Cに内挿された光ファイバ18Cに照射され、コア内を伝搬する。そして光ファイバ18Cの端部に伝搬した光は、カプラ部37にて4組8本の光ファイバ18A,18B,18D,18Eに分岐され、光ファイバの18A,18B,18D,18Eのコア内を伝搬し、光コネクタ17A,17B,17D,17Eに入射し、その受信側のコネクタ17A,17B,17D,17Eに対応する光デバイス15A,15B,15D,15E内の受光素子に入射する。
【0062】
光デバイス15A,15B,15D,15E内の受光素子は、入射した光信号を電気信号に変換する。その電気信号は、受信側の光デバイス15A,15B,15D,15Eに接続された第2のリジッド基板16bの信号処理回路によって信号処理された後、フレキシブル基板16及び第1のリジッド基板16aを介して受信側の電気コネクタ13に伝送され、ベース基板11の配線パターンを介してメモリ基板19上の半導体メモリ20にデータが記憶される。
【0063】
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(イ)電気コネクタ13と光デバイス15をベース基板11の上下に振り分けたため、ホルダ14の高さh(図1参照)を低くすることができ、実装面積及び筐体のサイズを小さくすることができる。
(ロ)ベース基板11の下側に光ファイバ18を収納したことにより、実装面積及び筐体のサイズを小さくすることができる。また、光デバイス15列と筐体21との間に余裕スペース2を確保することができる。
(ハ)上記(イ)の構造により、狭い筐体内でも高速伝送に対応可能な光デバイス15の実装が実現できる。
(ニ)光デバイス15は、ホルダ14に着脱可能であるため、組み立て性、メンテナンス性を向上させることができる。
(ホ)光ファイバ18の引き回し方向と光コネクタ17の差し込み方向、及び光デバイス15の接続/光結合の方向をベース基板11に対して平行にしたことにより、ベース基板11と筐体22の底面との間の高さを低くすることができる。
【0064】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その要旨を変更しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、1つの光デバイスに発光素子と受光素子を内蔵してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信装置の要部断面図である。
【図2】通信装置の全体構成を示す平面図である。
【図3】ベース基板の全体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】カプラ収納ケースの詳細構成を示し、(a)は光ファイバを収納した状態の斜視図、(b)は分解斜視図である。
【図5】カプラ収納ケースの詳細構成を示し、(a)は背面図、(b)は入出口の構成が異なるカプラ収納ケースの背面図である。
【図6】カプラ収納ケース内の光ファイバの収納例を示す平面図である。
【図7】従来の通信装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 通信装置
2 余裕スペース
11 ベース基板
12 電子部品
13 電気コネクタ
14 ホルダ
14a 孔
15,15A〜15E 光デバイス
15a リードピン
16 フレキシブル基板
16a,16b リジッド基板
17,17A〜17E 光コネクタ
17a プラグアダプタ
17b フェルール
17c スリーブ
18,18A〜18E 光ファイバ
19 メモリ基板
20 半導体メモリ
21 筐体
23 電源ユニット
24 スペーサ
25,27 ネジ
26 制御LSI
28 コネクタ
30 カプラ収納ケース
31 ベース部
32 蓋
33A,33B,33C 溝
34A,34B,35A〜35E 入出口
36 スペーサ
37 カプラ部
38A,38B シート状導光路
39 テーパ
100 光デバイス
101 ベース基板
102 制御LSI
103 電気コネクタ
104 ホルダ
105 光デバイス
106 フレキシブル基板
106a,106b リジッド基板
107 光コネクタ
108 光ファイバ
109 メモリ基板
110 半導体メモリ
111 筐体
112 制御LSI

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板の第1の面に、光素子を内蔵した光デバイスを取り付ける光デバイス取付部材と、
前記ベース基板の前記第1の面と反対側の第2の面に設けられ、前記ベース基板に形成された配線パターンに接続された中継部と、
前記光デバイスと前記中継部とを前記ベース基板の端面の外側を経由して電気的に接続するフレキシブル基板とを備えたことを特徴とする光モジュールの接続構造。
【請求項2】
前記フレキシブル基板は、前記光デバイス取付部材に取り付けられ、前記光デバイスに電気的に接続するリジッド基板を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光モジュールの接続構造。
【請求項3】
前記中継部は、電気コネクタであり、
前記フレキシブル基板は、前記電気コネクタに接続する第1のリジッド基板と、前記光デバイス取付部材に取り付けられ、前記光デバイスに電気的に接続する第2のリジッド基板とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の光モジュールの接続構造。
【請求項4】
前記光素子は、発光素子であり、
前記光デバイスに電気的に接続される前記リジッド基板は、前記発光素子を駆動する駆動回路を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の光モジュールの接続構造。
【請求項5】
前記光素子は、受光素子であり、
前記光デバイスに電気的に接続される前記リジッド基板は、前記受光素子の出力信号を処理する処理回路を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の光モジュールの接続構造。
【請求項6】
前記光素子の光軸、および前記電気コネクタの差し込み方向は、前記ベース基板に対して平行であることを特徴とする請求項3に記載の光モジュールの接続構造。
【請求項7】
前記光デバイス取付部材は、光ファイバの端部を保持し、前記光ファイバを前記光素子に光学的に結合させる光コネクタが装着される構成を有することを特徴とする請求項1に記載の光モジュールの接続構造。
【請求項8】
前記光デバイスは、前記光コネクタよりも前記ベース基板の端面側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の光モジュールの接続構造。
【請求項9】
光素子を内蔵した光デバイスと、
配線パターンが形成されたベース基板と、
前記光デバイスを前記ベース基板の第1の面に取り付ける光デバイス取付部材と、
前記ベース基板の前記第1の面と反対側の第2の面に設けられ、前記配線パターンに接続された中継部と、
前記光デバイスと前記中継部とを前記ベース基板の端面の外側を経由して電気的に接続するフレキシブル基板とを備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項10】
発光素子を内蔵した送信用の光デバイスと、
受光素子を内蔵した複数の受信用の光デバイスと、
配線パターンが形成されたベース基板と、
前記送信用の光デバイスおよび前記複数の受信用の光デバイスをそれぞれ前記ベース基板の第1の面に取り付ける複数の光デバイス取付部材と、
前記ベース基板の前記第1の面と反対側の第2の面に設けられ、前記配線パターンに接続された複数の中継部と、
前記光送信用の光デバイスおよび前記複数の受信用の光デバイスと前記複数の中継部とをそれぞれ前記ベース基板の端面の外側を経由して電気的に接続する複数のフレキシブル基板と、
前記送信用の光デバイスに光コネクタによって一方の端面が光結合された入射側光ファイバと、
前記複数の受信用の光デバイスに複数の光コネクタによって一方の端面が光結合された複数の出射側光ファイバと、
一方の端面に前記入射側光ファイバの他方の端面が光結合され、他方の端面に前記複数の出射側光ファイバの他方の端面が光結合されたシート状導光路とを備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項11】
前記中継部は、電気コネクタであり、
前記フレキシブル基板は、前記電気コネクタに接続する第1のリジッド基板と、前記光デバイス取付部材に取り付けられ、前記光デバイスに電気的に接続する第2のリジッド基板とを備えたことを特徴とする請求項9又は10に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−225635(P2007−225635A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43292(P2006−43292)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】