光モジュール及びその製造方法
【課題】 光学的アイソレーションに優れた一パッケージ型の双方向光モジュールを提供する。
【解決手段】 光モジュールは、フィルタ、受光素子、発光素子、ブロック、及び、パッケージを備えている。フィルタは、第1の波長の光を透過し、第2の波長の光を反射する特性を有する。受光素子は、フィルタを透過した第1の波長の光を受光する。発光素子は、フィルタによって反射されるよう第2の波長の光を出射する。ブロックは、フィルタを搭載するための部品である。ブロックは、フィルタを搭載する斜面を有している。この斜面は、発光素子の光の出射方向及び第1の波長の光の通過方向に交差する面に沿っている。ブロックは、フィルタを透過した第1の波長の光が通過する空間を提供している。この空間は、第1の波長の光の通過方向に直交する断面において三角形の少なくとも一部を形成している。
【解決手段】 光モジュールは、フィルタ、受光素子、発光素子、ブロック、及び、パッケージを備えている。フィルタは、第1の波長の光を透過し、第2の波長の光を反射する特性を有する。受光素子は、フィルタを透過した第1の波長の光を受光する。発光素子は、フィルタによって反射されるよう第2の波長の光を出射する。ブロックは、フィルタを搭載するための部品である。ブロックは、フィルタを搭載する斜面を有している。この斜面は、発光素子の光の出射方向及び第1の波長の光の通過方向に交差する面に沿っている。ブロックは、フィルタを透過した第1の波長の光が通過する空間を提供している。この空間は、第1の波長の光の通過方向に直交する断面において三角形の少なくとも一部を形成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一本のファイバに対して送信、受信の双方向の光通信を可能とする一芯双方向光モジュール及びその製造方法に関し、特に、発光デバイスと受光デバイスとが一つの筐体内に収容されている一パッケージ型一芯双方向光モジュール及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市型の光通信システムが一般的になってきている。このシステムでは、既設ファイバを有効に利用するために、送信と受信の双方を、波長を変えて行う形態が採用されている。すなわち、送信は波長1.31μmの信号光で、受信は波長1.49μm又は1.55μmの信号光で行われる。これら信号は、いずれもデジタル信号の送受を意図したものである。さらに、映像信号等のアナログ信号をも同一のファイバで送信するシステムが提案されている。このようなシステムは、波長1.55μmの信号光をアナログ光信号として用い、波長1.49μmの信号光をデジタル光信号として用いるシステムである。
【0003】
このようなシステムに用いられる双方向モジュールとしては、筐体内に発光素子を搭載した送信モジュールと別の筐体内に受光素子を搭載した受信モジュールとを、WDMユニット(波長合/分波ユニット)を用いて一体に組み立てたものがある。このような形態の双方向モジュールでは、送信モジュールと受信モジュールとを一体に組み立てる作業が必要となるので、そのコストが割高になってしまう。また、このような双方向モジュールは、別個の二つの筐体を用いているので、そのサイズが大きいものとなる。
【0004】
以上のような問題に対する解決策として、半導体レーザ等の発光素子と、フォトダイオード等の受光素子とを一つの筐体内に収容する一パッケージ型の双方向光モジュールが提案されている。
【0005】
一パッケージ型の双方向光モジュールとしては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示の光モジュールは、半導体レーザ(LD)、フォトダイオード(PD)、WDMフィルタ、プリアンプ、カバー、及び、パッケージを備えている。LD、PD、WDMフィルタ、プリアンプ、及びカバーは、パッケージ内部に収容されている。
【0006】
LDの出射光はパッケージのステムに平行に出射され、WDMフィルタで反射され、ステムに対して略直角に曲げられて、レンズで集光された後、光ファイバに結合する。一方、この光ファイバから出射した光はレンズで集光された後、WDMフィルタを透過して、ステム上に実装されたPDに入射する。
【0007】
一パッケージ型の双方向光モジュールでは、送信部と受信部との間の電気的なクロストーク及び光沢的なクロストークが常に問題となる。すなわち、LDは大きな電流を変調(On/Off)することにより、このOn/Offに同期した信号光を生成する。大きな電流をOn/Offすること(スイッチングすること)で、電磁誘導雑音が生ずるのは必須である。PDは極微弱光を受光してこれを電気信号に変換するが、LDの駆動電流が、PDの受信状態に影響を与えてしまう。
【0008】
また、LDから出射された光が、光ファイバと結合する前にパッケージ内で乱反射して迷光となり、迷光の一部がPDに入射することもある。PDは、一般にLDの出射光の波長帯にも受信感度を有しているので、迷光がPDの受信状態を阻害することもある。
【0009】
特許文献1に開示の光モジュールでは、パッケージ内部に設けた導電性のカバーによってPD及びプリアンプが覆われている。このカバーの一部には孔が設けられており、この孔を塞ぐようにWDMフィルタがカバーに取り付けられている。この光モジュールでは、送信部と受信部との間の電気的アイソレーション及び光学的アイソレーションが、このカバーによって試みられている。
【特許文献1】特開2004−133463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一パッケージ型の双方向光モジュールには、電気的アイソレーション及び光学的アイソレーションの更なる特性向上が要請されている。
【0011】
本発明は、特に、光学的アイソレーションに優れた一パッケージ型の双方向光モジュールを提供することを目的としている。また、本発明は、一パッケージ型の双方向光モジュールの製造方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者は、特許文献1に開示の光モジュールであっても、迷光の一部がPDに入射することがあることを見出した。本願発明者は、この現象について研究した結果、カバーの孔の形状が迷光のPDへの入射に影響しているという知見を得た。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
【0013】
本発明の光モジュールは、フィルタ、受光素子、発光素子、ブロック、及び、パッケージを備えている。フィルタは、一のファイバが出射する第1の波長の光を透過し、第1の波長とは異なる第2の波長の光を反射する特性を有する。受光素子は、フィルタを透過した第1の波長の光を受けて、この光の量に応じた光電流を出力する素子である。発光素子は、第2の波長の光をフィルタに向けて出射する素子である。ブロックは、フィルタを搭載するための部品である。ブロックは、斜面を有している。この斜面は、発光素子の光の出射方向及び第1の波長の光の通過方向の何れにも交差する面に沿っている。フィルタは、この斜面に搭載されている。パッケージは、フィルタ、受光素子、発光素子、及び、ブロックを収容している。ブロックは、フィルタを透過した第1の波長の光が通過する空間を提供している。この空間は、第1の波長の光の通過方向に直交する断面において三角形の少なくとも一部を形成している。
【0014】
一般的には、フィルタを透過した第1の波長の光を通過させるために、ブロック或いはカバーに設けた空間、即ち孔は円形の断面形状を有している。円形の断面形状の孔を画成する面は、あらゆる方向に光を反射する。したがって、当該面によって反射された迷光の一部が受光素子によって受光されることがある。
【0015】
一方、本発明のブロックが提供する空間は、その断面が三角形の一部を構成しているので、この空間を画成するブロックの面は、特定の方向にのみ光を反射することができる。したがって、本発明の光モジュールは、上記空間に入り込む光を受光素子に向かう方向とは異なる方向に反射させることが可能である。
【0016】
ブロックは、次の構成を有し得る。すなわち、ブロックは、上述の空間を画成する二つの平面を有し得る。二つの平面は、第1の波長の光の通過方向に延びており、且つ、発光素子からの距離が離れるについて、該二つの面の間の空間が狭くなるように設けられている。
【0017】
本発明の光モジュールは、次の構成を有していてもよい。すなわち、パッケージは、受光素子を搭載する搭載面を有している。ブロックは、一対の側壁と、支持部と、第1の底面と、を有し得る。支持部は、一対の側壁の間に位置している。第1の底面は、搭載面に接する面である。支持部は、上記斜面を提供している。支持部は、搭載面と斜面との間に、第2の底面を含んでいる。この第2の底面は、搭載面から離間している。第2の底面と前記一対の側壁とは、受光素子を配置する空間を画成している。この構成によれば、ブロックによって発光素子と受光素子とのアイソレーションがより確実なものとされる。
【0018】
搭載面と一対の側壁の頂部との間の距離は、搭載面と斜面との間の距離より小さいことが好ましい。この構成では、斜面より側壁の高さが小さいので、第1の波長の光が通過する空間を画成する面で反射された迷光を、側壁の頂部の上の空間に逃がすことができる。
【0019】
本光モジュールは、発光素子を搭載するための金属製の搭載部材を更に備え、当該搭載部材が、一対の側壁の間に置かれており、受光素子を配置する上述の空間を画成していることが好ましい。この構成では、金属製の搭載部材を受光素子と発光素子との間に介在させているので、受光素子と発光素子とのアイソレーションがより確実なものとなる。
【0020】
第2の底面には、第2の波長の光を遮断するための光学フィルタが設けられていることが好適である。この構成によれば、発光素子と受光素子との光学的なアイソレーションがより確実なものとなる。また、波長カットフィルタの光軸は、受光素子の光軸に平行であることが好適である。
【0021】
本発明は別の側面は、光モジュールを製造する方法に関する。この方法は、(a)発光素子及び受光素子を、それぞれの所定の位置に配置する工程と、(b)フィルタを搭載したブロックを移動する工程であって、フィルタは、受光素子へと第1の波長の光を通過させ、発光素子からの第2の波長の光を反射するためのフィルタである、該工程と、を含む。ブロックを移動する工程では、受光素子の光軸上に配置した画像取得装置によって観察される画像において受光素子の画像とフィルタによる反射を介して取得される発光素子の画像とが所定の位置関係となるように、ブロックが移動される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、光学的アイソレーションに優れた一パッケージ型の双方向光モジュールが提供される。また、一パッケージ型の双方向光モジュールの製造に好適な製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0024】
図1は、一実施形態に係る双方向光モジュールを一部破断して示す斜視図である。図2は、図1に示す光モジュールを、キャップを取り除いて示した平面図である。図2に示す平面図は、光モジュールをレンズ側から見た平面図である。図1及び図2に示す光モジュール1は、パッケージ10、受光素子12、発光素子14、WDMフィルタ16、及びブロック18を備えている。
【0025】
パッケージ10は、受光素子12、発光素子14、WDMフィルタ16、及びブロック18等の部品を搭載し、且つ、収容するための部品である。パッケージ10は、ステム10a、複数のリードピン10b、キャップ10c、及びレンズ10dを含んでいる。
【0026】
ステム10aは、略円板状の金属製の部材である。ステム10aは、受光素子12、発光素子14、WDMフィルタ16、及びブロック18等の部品を搭載するための搭載面10eを有している。ステム10aは、複数の孔を有しており、これら孔に複数のリードピン10bが通っている。ステム10aとリードピン10bとの間には、絶縁性の封止部材、例えば、シールガラスが設けられている。受光素子12、発光素子14等のデバイスは、これらリードピン10bと電気的に接続されている。
【0027】
キャップ10cは、略円筒状の金属製の部材である。キャップ10cは、搭載面10eに固定される一端と、レンズ10dを保持する他端とを有する。キャップ10cのステム10aへの固定は、例えば、プロジェクション溶接によって行われ得る。レンズ10dとキャップ10cの他端との間は、シールガラスといった封止部材によって封止されている。
【0028】
受光素子12は、フォトダイオード(PD)である。PD12は、単一の光ファイバOFから出射されてレンズ10dを経てWDMフィルタ16によって透過された第1の波長の光を受光して、その光の量に応じた光電流を出力する。第1の波長は、例えば、1.49μm又は1.55μmである。
【0029】
光モジュール1では、PD12は、ステム10aの搭載面10e上であって当該搭載面10eの略中央に、サブマウント20を介して搭載されている。光モジュール1は、プリアンプ22を更に備えている。プリアンプ22は、PD12の近傍に配置されており、PD12の生成した光電流を増幅し、相補的な出力電圧信号を出力する。この出力電圧信号は、リードピン10bのうち、プリアンプ22の両側に配置された二本のリードピン10b1を介して、モジュールの外に取り出される。すなわち、PD12とプリアンプ22が並ぶ方向に交差する方向においてプリアンプ22の両側に、二つのリードピン10b1が設けられている。したがって、プリアンプ22、は二本のリードピン10b1とPD12とで形成される三角形(二等辺三角形)の中央において、ステム10a上に直接搭載されている。
【0030】
発光素子14は、半導体レーザ(LD)であり、第2の波長の光を出射するものである。LD14から出射される光の波長は、例えば、1.31μmである。LD14から出射された光は、搭載面10eと略平行に進み、フィルタ16で反射されることによって約90度方向を変えて、レンズ10dによって集光される。レンズ10dで集光された後、LD14からの光は、単一の光ファイバOFに結合される。
【0031】
LD14は、PD12が設けられた位置とは、ブロック18を基準にして反対側の位置に配置されている。即ち、LD14は、当該LD14とPD12との間にブロック18が位置するように、設けられている。LD14は、当該位置において、LDサブマウント24及び配線基板26を介して、搭載面10e上に搭載されている。この配線基板26上の配線と、リードピン10bのうちLD用のリードピン10b2とはボンディングワイヤによって結線されている。
【0032】
リードピン10bのうちLD14の背面側に位置するリードピン10b3の先端には、PD28が直接搭載されている。PD28は、LD14が出射する光のうちの背面光を受光して、当該背面光の量に応じた光電流を出力する。PD28の出力信号は、LD14の出射光の強度を一定に保つようLD14の駆動条件を自動的に制御するために利用される。したがって、PD28は、モニタPDと呼ばれる。また、この制御は、APC(Auto-Power Control)と呼ばれる制御である。
【0033】
モニタPD28を搭載するリードピン10b3の先端部は、例えば20〜30°の角度で僅かに曲げられている。これは、LD14の背面光が、モニタPD28の表面で反射されて、戻り光として再びLD14に入射し、この戻り光がLD14の雑音源となることを防ぐためである。
【0034】
本光モジュール1では、受信部(PD12を搭載する部位)と送信部(LD14を搭載する部位)との間に、ブロック18が設けられている。ブロック18は導電性材料、例えば、金属で形成されている。このブロック18の一面を、搭載面10eに対して傾斜させた面とし、当該面にWDMフィルタ16を装着することで、受信部、送信部、及びWDMフィルタ16に要請される光学系を実現している。
【0035】
このように、受信部と送信部との間にブロック18を挟み込むことによって、受信部と送信部との間のアイソレーションが実現されている。即ち、ブロック18の導電性によって、受信部と送信部との間の電気的アイソレーションが実現されている。また、後述するようなブロック18が提供する構成によって、LD14が出射する光が、PD12に入射しない系、即ち光学的アイソレーションが実現されている。
【0036】
以下、ブロック18について、詳細に説明する。図3及び図4は、ブロックの一例を示す斜視図である。図3は、ブロック18を上方から見た斜視図であり、図4は、ブロック18を下方から見た斜視図である。また、図5は、図3に示すブロックを一部破断して示す斜視図である。
【0037】
ブロック18は、一対の側壁18a、中央壁18b、及び支持部18cを有している。中央壁18b及び支持部18cは、一対の側壁18aの間に位置している。ブロックの上面18dは、一対の側壁18a及び支持部18cによって画成されている。また、ブロックの第1の底面18eは、一対の側壁18aと中央壁18bとによって画成されており、略H字型の平面形状を有している。この第1の底面18eは、ステム10aの搭載面10eに接触する面である。
【0038】
支持部18cは、斜面18fを含んでいる。この斜面18fは、上面18dから下方に向けて傾斜して、中央壁18bの頂部に連続している。斜面18fは、LD14の出射方向ZL及び第1の波長の光の通過方向Zに交差する面である。この斜面18f上には、WDMフィルタ16が装着されている。
【0039】
支持部18cは、第2の底面18gを含んでいる。第2の底面18gは、ブロック18がステム10aに搭載されたときに、ステム10aの搭載面10eと斜面18fの間に位置する。この第2の底面18gは、ステム10aの搭載面10eと対面しており、搭載面10eから離間している。即ち、第2の底面18gから上面18dまでの距離は、第1の底面18eから上面18dまでの距離よりも短くなっている。
【0040】
支持部18cは、斜面18fから第2の底面18gまで延びる空間18hを提供している。本実施形態では、空間18hは、貫通孔となっている。この空間18hは、光ファイバOFから出射された第1の波長の光が通過する空間である。
【0041】
また、第2の底面18gには、この貫通孔18hを塞ぐように、光学フィルタ30が装着されている。光学フィルタ30は、第2の波長の光を遮断する特性を有する。したがって、LD14からの光が乱反射されてブロック18を通過しようとしても、光学フィルタ30によって遮断される。なお、本実施の形態では、第2の底面18gと搭載面10eは略平行になっており、この第2の底面18gに装着された光学フィルタ30の光軸が、PD12の光軸と平行になっている。
【0042】
中央壁18bは、LD14の光の出射方向ZLに交差する面に沿って延びている。中央壁18bは、空間18i及び空間18jを画成している。空間18iは、LD14と中央壁18bとの間に位置する空間であり、空間18jは、中央壁18bを基準にして空間18iとは反対側に位置している。
【0043】
中央壁18bは、第1の底面18eまで延びており、搭載面10eに接している。空間18jは、この中央壁18bによって、LD12側、即ち、前方側を囲まれている。また、空間18jは、一対の側壁18aによって、その両側を囲まれており、また、光学フィルタ30が装着された第2の底面18gによって、その上方を覆われている。一方、空間18iは、中央壁18bと一対の側壁18aによって囲まれている。
【0044】
このような空間18i内に、LD14及びLDサブマウント24が配置されており、また、空間18j内に、PD12、サブマウント20等が配置されている。したがって、送信部と受信部とを互いに分離して電気的にシールドすることが可能である。
【0045】
図6は、図2に示すVI−VI線に沿った断面図である。図6は、PD12、LD14、WDMフィルタ16、及び、ブロック18の位置関係を示している。LD14から出射される光は、その光軸Lzに対してガウス分布に従い、広がり角が1/e2の半値幅で20〜25°程度にも達する。従って、WDMフィルタ16の大きさとして、この様に大きな広がり角を有する光を効率よく分離(反射/透過)するものでなければならない。例えば、WMDフィルタ16は、広がり角±30°の光に対応することが必要である。しかしながら、WDMフィルタ16への入射角が大きくなってくると(入射角が45°から大きく外れてくると)、フィルタ16の波長弁別性能が劣化してしまう。
【0046】
図7は、波長1.31μm以下の波長の光を反射し、それ以上の波長の光を透過するように設計されたWDMフィルタの、透過率の入射角依存性を示している。図7における横軸は、光の波長を示しており、縦軸は、WDMフィルタの透過率を示している。また、図7では、最も太い実線で示す特性、この線より細い実線で示す特性、点線で示す特性、一点鎖線で示す特性、二点差線で示す特性はそれぞれ、WDMフィルタに対する光の入射角が75°、60°、45°、30°、15°の場合の特性である。なお、図7に示す特性は、LDの出射光のs波(偏光方向がWDMフィルタの入射面に垂直な方向)成分についての特性である。
【0047】
入射角75°(中心45°からプラス30°オフセット)では、1.31μmの波長の光のほぼ全てが反射するように(透過率〜0)設計されたフィルタであっても、1.35μmの波長に対しては相当な透過率を示している。ここで、光の入射角はWDMフィルタ16の法線からの角度であるので、入射角75°は、図6に示した広がり角の上限に対応する。このような入射光は、迷光となり、フィルタ16内で多重反射、複屈折を繰り返してフィルタ16から抜け出し、あるいは、キャップ内で乱反射を繰り返し、それらの迷光の一部がPD12に入射してしまう。
【0048】
本実施形態の光モジュール1では、これら迷光がPD12に入射することを阻止するために、中央壁18bを挟んで送信部と受信部とを分離し、且つ、受信部については、第2の底面18gにフィルタ30を装着して、迷光が直接PD12に入射する割合を減じている。従来の構成では、WDMフィルタの背面はオープンとなっており、迷光がPDに入射する可能性が大きかった。また、LDとPDとが単一のパッケージ内に収容されている従来の光モジュールでは、フィルタ30のような光遮断フィルタをPDの近傍に設けることは困難であった。本実施形態のブロック18を採用することにより、カットフィルタを設けることが可能となる。
【0049】
次に、PD12、LD14、及び、WDMフィルタ16を調芯して、光モジュールを製造する方法について説明する。図10は、光モジュールを製造する方法を示す図である。ここでは、PD12の光軸方向、即ち、搭載面10eに直交する方向をZ、LD14の光軸の方向をZLとする。
【0050】
この製造方法では、まず、図10の(a)に示すように、PD12及びLD14をそれぞれのハンドリング治具の機械的精度の範囲内で、搭載面10e上に配置する。通常、この時のPD12及びLD14の位置精度として10〜15μm程度の精度は十分に確保される。
【0051】
次いで、図10の(b)に示すように、WDMフィルタ16を装着したブロック18を、搭載面10e上に配置し、ブロック18を軸線ZL方向に移動させて、PD12、LD14、及び、WDMフィルタ16を調芯する。調芯を行うときには、図10の(b)に示すように、PD12の直上位置、即ち、PD12の光軸Z上にCCDカメラ等の画像取得装置32が配置される。
【0052】
画像取得装置32によって取得される画像は、フィルタ30及びフィルタ16を透過して取得されるPD12の受光面の画像、及び、フィルタ16によって反射されるLD14の画像が含まれる。
【0053】
図10の(c)に示すように、画像取得装置32によって取得される画像において、PD12の受光部12aの中心とLD14の端面の縁部の中心とを一致させるよう、ブロック18を移動させることで、PD12、LD14、及び、WDMフィルタ16の調芯が実現される。なお、LD14の縁部の中心には、LD14の活性層の端面が位置している。移動後のブロック18のステム10aへの固定には、樹脂を用いることができる。
【0054】
以下、別の実施形態にかかる光モジュールについて説明する。図9は、別の実施形態に係る光モジュールの平面図である。図9は、光モジュール1Aを、キャップを取り除いて示している。図9に示す光モジュール1Aでは、ブロック18A及びLDサブマウント(搭載部材)24Aが、図1の光モジュール1の対応の部品と異なっている。以下、ブロック18A及びLDサブマウント24Aについて、詳細に説明する。
【0055】
図10は、別の実施の形態に係る光モジュールのブロックの斜視図である。図10に示す光モジュール1Aのブロック18Aの空間18hは、貫通孔ではなく、その水平断面形状が三角形の一部を構成するものとなっている。本実施の形態では、ブロック18Aは、空間18hを画成する二つの面18k,18mを含んでいる。面18k及び18mは、第1の波長の光が通過する方向(軸線Z方向)に延びている。また、本例では、面18k及び18mは、LD14からの距離が離れるに従い互いの間隔が狭くなるように構成されている。
【0056】
光モジュール1では、ブロック18が提供する空間18hの水平断面形状が円形となっていた。断面形状が円形の孔は、ドリルのみにより加工できるので生産性に優れる。しかしながら、発明者等の経験によると、曲面に入射する光は全ての方向に反射されるため、その反射光の一部がPD12に入射することがある。この対策を施したものがブロック18Aである。ブロック18Aの空間18hは、面18kと面18mによって、その水平断面の形状が三角形の一部を構成するようになっているので、面18k及び面18mで反射される光を特定の方向に向けることができる。したがって、PD12への迷光を更に低減することができる。
【0057】
また、ブロック18Aは、ブロック18と異なり、中央壁18bを有していない。その対策として、図9に示すように、光モジュール1Aでは、金属製のLDサブマウント24Aの幅が、当該LDサブマウント24Aが一対の側壁18aに接するよう拡大されている。また、LDサブマウント24Aは、LD14の光の出射方向においてPD12側に、LD14よりも延びだしている。かかるLDサブマウント24Aは、PD12を配置する空間をブロック18Aと共に画成しており、LD14とPD12との電気的アイソレーションに寄与している。
【0058】
また、ブロック18Aでは、搭載面10eと側壁18aの頂部との間の距離が、搭載面10eと斜面18fとの間の距離より小さくなっている。即ち、側壁18aの頂部の上には、斜面18fを露出させる空間が広がっている。これによって、面18k及び18mによって反射される光を、ブロック18の外側に逃がすことが可能となる。
【0059】
なお、図11に示すようにブロック18Bのように、側壁18aは、斜面18fと同じ高さまで延びていてもよい。
【0060】
以下、更に別の実施形態に係る光モジュールについて説明する。図12は、更に別の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。図12では、光モジュール1Cが、キャップを取り除いた状態で示されている。また、図13は、図12に示す光モジュールからブロックを取り除いた状態を示している。
【0061】
図12及び図13に示す光モジュール1Cでは、ブロック18C及びLDサブマウント24Cが、光モジュール1の対応の部品とは異なっている。図14及び図15は、更に別の実施形態に係る光モジュールのブロックを示す斜視図である。図14は、ブロックを上方から見た斜視図であり、図15は、ブロックを下方から見た斜視図である。また、図16は、図14のXVI−XVI線に沿ってブロックを破断して示す斜視図である。
【0062】
図14〜図16に示すブロック18Cは、一対の側壁を有していない点で、光モジュール1のブロック18とは異なっている。ブロックから一対の側壁を取り除いたことに対する対策として、図12及び図13に示すように、サブマウント24Cに一対の側壁を設けている。
【0063】
即ち、サブマウント24Cは、LD14及び配線基板26を搭載するための中央部24aと、この中央部24aの両側に位置する一対の側壁24bとを含んでいる。サブマウント24Cの水平断面形状は略C字形状である。ブロック18Cは、一対の側壁24bと中央部24aとによって画成される空間に配置されている。一対の側壁24bの間の間隔は、ブロック18Cの幅より僅かに大きくなっている。
【0064】
図14〜図16に示すように、ブロック18Cは、ブロック18における中央壁に相当する前方壁18b、この前方壁18bの頂部から後方に向かって延び、その縦断面が三角形状の支持部18cを有する。支持部18cが提供する斜面18fにはWDMフィルタ16が装着されており、支持部18cの底面18gには、光学フィルタ30が装着されている。この底面18gが、PD12の上方に位置して、迷光がPD12に入射することを防止している。
【0065】
PD12は、前方壁18bと支持部18c、及び、サブマウント24Cの一対の側壁によって画成される空間に配置されている。また、前方壁18bの底面18eは、直接ステム10aの搭載面10eに接触するので、PD12とLD14との間の電気的アイソレーションが、この前方壁18bによって実現される。
【0066】
支持部18cには、PD12に入射する第1の波長の光が通過する空間18hが形成されている。この空間18hの水辺断面形状であるが、先の例の様に、この断面形状を三角形状としてもよい。
【0067】
図17は、更に別の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。また、図18は、図17に示す光モジュールのブロックの斜視図である。図17に示す光モジュール1Dは、図12に示す光モジュール1Cを基礎とした変形例に係る光モジュールである。図17に示す光モジュール1Dでは、ブロック18Dが、光モジュール1Cの対応の部品と異なっている。
【0068】
光モジュール1Dのブロック18Dは、図18に示すように、支持部18cの両側に一対のフランジ18nを有している。このフランジ18nは、サブマウント24Cの一対の側壁24bの頂部上に配置することができる。したがって、PD12、LD14、及びWDMフィルタ16の調芯を行う際には、サブマウント24Cの一対の側壁24bの頂部に沿って、ブロック18Dをスライドすることができる。したがって、ブロック18Dによれば、前方壁18bのみが搭載面10eに接し、重心は支持部18cにあるサブマウント24Cよりも、調芯を安定して行うことが可能である。なお、ブロック18Dの前方壁18bの高さがサブマウント24Cの側壁24bの高さよりも僅かに低い方が、ブロック18Dを安定してスライドさせるためには、好ましい。
【0069】
図19は、更に別の実施形態に係る光モジュールの主要部の断面図である。図20は、図19に示す光モジュールのブロックを示す斜視図である。図19に示す光モジュール1Eは、光モジュール1Cを基礎とした変形例である。光モジュール1Eでは、ブロック18Eが、光モジュール1Cの対応の部品と異なっている。
【0070】
図20に示すように、ブロック18Eは、前方壁を有していない。しかしながら、WDMフィルタ16の下端が、先の何れの例にも比較して下方に延長されている。また、このWDMフィルタ16を搭載するためのブロック18Eの斜面18fが先の例に比較して下方に延長されている。図6にも示したように、LD14から出射した光は有意な広がり角を有しているが、この広がり角の範囲の最下限の光は、小さい入射角でWDMフィルタへ入射し、その入射角ではLDの出射光は確実に反射される。従って、この最下限に近い側のLD出射光がWDMフィルタ16によって反射されて迷光となる可能性は低い。
【0071】
一方、ブロック18Eの前方壁を除去したことに対する対策として、本例では、ブロック18Eの斜面18fを従前の例に比較して前方側、即ちLD側に延ばすことによって、電気的クロストークの低下を図っている。なお、ブロック18Eの幅をサブマウント24Cの一対の側壁24bの間の間隔より僅かに小さくして、ブロック18Eの側面を側壁24bの内面に接着してブロック18Eを固定する点については、先の実施の形態と同様である。
【0072】
図21及び図22は、ブロックの更なる変形例を示す斜視図である。図21に示すブロック18F、図22に示すブロック18Gは、ブロック18Eの更なる変形例である。図21に示すブロック18Fでは、空間18hの水平断面形状が、半円形となっている。また、図22に示すブロック18Gでは、空間18hの水平断面形状が三角形になっている。
【0073】
空間18hの水平断面が円形の場合には、反射光が分散されるので、一方向に絞ってみれば反射光強度が極めて小さくなる。しかしながら、理論上ゼロではなく有限の反射光が存在し、これが迷光となる可能性が残る。図21に示すブロック18Fの空間18hは、貫通孔を画成する面の一部を除去することによって形成された空間であり。また、図22に示す空間18hは、その水平断面形状を三角形としたものであり、空間18hは2面で画成されており、LD14側に開放された空間となっている。図21及び図22のブロックのように、空間18hをLD14側に開放した空間とすることによって、空間18hを画成する面で乱反射される光を逃がすことができ、その結果、光クロストークを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】一実施形態に係る双方向光モジュールを一部破断して示す斜視図である。
【図2】図1に示す光モジュールを、キャップを取り除いて示した平面図である。
【図3】ブロックの一例を示す斜視図である。
【図4】ブロックの一例を示す斜視図である。
【図5】図3に示すブロックを一部破断して示す斜視図である。
【図6】図2に示すVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】波長1.31μm以下の波長の光を反射し、それ以上の波長の光を透過するように設計されたWDMフィルタの、透過率の入射角依存性を示すグラフである。
【図8】光モジュールを製造する方法を示す図である。
【図9】別の実子形態に係る光モジュールの平面図である。
【図10】別の実施の形態に係る光モジュールのブロックの斜視図である。
【図11】光モジュールのブロックの別の例の斜視図である。
【図12】更に別の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
【図13】図12に示す光モジュールからブロックを取り除いた状態を示している。
【図14】更に別の実施形態に係る光モジュールのブロックを示す斜視図である。
【図15】更に別の実施形態に係る光モジュールのブロックを示す斜視図である。
【図16】図14のXVI−XVI線に沿ってブロックを破断して示す斜視図である。
【図17】更に別の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
【図18】図17に示す光モジュールのブロックの斜視図である。
【図19】更に別の実施形態に係る光モジュールの主要部の断面図である。
【図20】図19に示す光モジュールのブロックを示す斜視図である。
【図21】ブロックの更なる変形例を示す斜視図である。
【図22】ブロックの更なる変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A,1C,1D,1E…光モジュール、10…パッケージ、10a…ステム、10b…リードピン、10c…キャップ、10e…搭載面、12…受光素子(PD)、14…発光素子(LD)、16…WDMフィルタ、18,18A,18B,18C,18D,18E,18F,18G…ブロック、18a…側壁、18b…中央壁(前方壁)、18c…支持部、18d…上面、18e…第1の底面、18f…斜面、18g…第2の底面、18h…空間、18k,18m…面、18n…フランジ、20…サブマウント(PDサブマウント)、22…プリアンプ、24,24A,24C…LDサブマウント、24a…中央部、24b…側壁、26…配線基板、30…光学フィルタ、32…画像取得装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は一本のファイバに対して送信、受信の双方向の光通信を可能とする一芯双方向光モジュール及びその製造方法に関し、特に、発光デバイスと受光デバイスとが一つの筐体内に収容されている一パッケージ型一芯双方向光モジュール及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市型の光通信システムが一般的になってきている。このシステムでは、既設ファイバを有効に利用するために、送信と受信の双方を、波長を変えて行う形態が採用されている。すなわち、送信は波長1.31μmの信号光で、受信は波長1.49μm又は1.55μmの信号光で行われる。これら信号は、いずれもデジタル信号の送受を意図したものである。さらに、映像信号等のアナログ信号をも同一のファイバで送信するシステムが提案されている。このようなシステムは、波長1.55μmの信号光をアナログ光信号として用い、波長1.49μmの信号光をデジタル光信号として用いるシステムである。
【0003】
このようなシステムに用いられる双方向モジュールとしては、筐体内に発光素子を搭載した送信モジュールと別の筐体内に受光素子を搭載した受信モジュールとを、WDMユニット(波長合/分波ユニット)を用いて一体に組み立てたものがある。このような形態の双方向モジュールでは、送信モジュールと受信モジュールとを一体に組み立てる作業が必要となるので、そのコストが割高になってしまう。また、このような双方向モジュールは、別個の二つの筐体を用いているので、そのサイズが大きいものとなる。
【0004】
以上のような問題に対する解決策として、半導体レーザ等の発光素子と、フォトダイオード等の受光素子とを一つの筐体内に収容する一パッケージ型の双方向光モジュールが提案されている。
【0005】
一パッケージ型の双方向光モジュールとしては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示の光モジュールは、半導体レーザ(LD)、フォトダイオード(PD)、WDMフィルタ、プリアンプ、カバー、及び、パッケージを備えている。LD、PD、WDMフィルタ、プリアンプ、及びカバーは、パッケージ内部に収容されている。
【0006】
LDの出射光はパッケージのステムに平行に出射され、WDMフィルタで反射され、ステムに対して略直角に曲げられて、レンズで集光された後、光ファイバに結合する。一方、この光ファイバから出射した光はレンズで集光された後、WDMフィルタを透過して、ステム上に実装されたPDに入射する。
【0007】
一パッケージ型の双方向光モジュールでは、送信部と受信部との間の電気的なクロストーク及び光沢的なクロストークが常に問題となる。すなわち、LDは大きな電流を変調(On/Off)することにより、このOn/Offに同期した信号光を生成する。大きな電流をOn/Offすること(スイッチングすること)で、電磁誘導雑音が生ずるのは必須である。PDは極微弱光を受光してこれを電気信号に変換するが、LDの駆動電流が、PDの受信状態に影響を与えてしまう。
【0008】
また、LDから出射された光が、光ファイバと結合する前にパッケージ内で乱反射して迷光となり、迷光の一部がPDに入射することもある。PDは、一般にLDの出射光の波長帯にも受信感度を有しているので、迷光がPDの受信状態を阻害することもある。
【0009】
特許文献1に開示の光モジュールでは、パッケージ内部に設けた導電性のカバーによってPD及びプリアンプが覆われている。このカバーの一部には孔が設けられており、この孔を塞ぐようにWDMフィルタがカバーに取り付けられている。この光モジュールでは、送信部と受信部との間の電気的アイソレーション及び光学的アイソレーションが、このカバーによって試みられている。
【特許文献1】特開2004−133463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一パッケージ型の双方向光モジュールには、電気的アイソレーション及び光学的アイソレーションの更なる特性向上が要請されている。
【0011】
本発明は、特に、光学的アイソレーションに優れた一パッケージ型の双方向光モジュールを提供することを目的としている。また、本発明は、一パッケージ型の双方向光モジュールの製造方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者は、特許文献1に開示の光モジュールであっても、迷光の一部がPDに入射することがあることを見出した。本願発明者は、この現象について研究した結果、カバーの孔の形状が迷光のPDへの入射に影響しているという知見を得た。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
【0013】
本発明の光モジュールは、フィルタ、受光素子、発光素子、ブロック、及び、パッケージを備えている。フィルタは、一のファイバが出射する第1の波長の光を透過し、第1の波長とは異なる第2の波長の光を反射する特性を有する。受光素子は、フィルタを透過した第1の波長の光を受けて、この光の量に応じた光電流を出力する素子である。発光素子は、第2の波長の光をフィルタに向けて出射する素子である。ブロックは、フィルタを搭載するための部品である。ブロックは、斜面を有している。この斜面は、発光素子の光の出射方向及び第1の波長の光の通過方向の何れにも交差する面に沿っている。フィルタは、この斜面に搭載されている。パッケージは、フィルタ、受光素子、発光素子、及び、ブロックを収容している。ブロックは、フィルタを透過した第1の波長の光が通過する空間を提供している。この空間は、第1の波長の光の通過方向に直交する断面において三角形の少なくとも一部を形成している。
【0014】
一般的には、フィルタを透過した第1の波長の光を通過させるために、ブロック或いはカバーに設けた空間、即ち孔は円形の断面形状を有している。円形の断面形状の孔を画成する面は、あらゆる方向に光を反射する。したがって、当該面によって反射された迷光の一部が受光素子によって受光されることがある。
【0015】
一方、本発明のブロックが提供する空間は、その断面が三角形の一部を構成しているので、この空間を画成するブロックの面は、特定の方向にのみ光を反射することができる。したがって、本発明の光モジュールは、上記空間に入り込む光を受光素子に向かう方向とは異なる方向に反射させることが可能である。
【0016】
ブロックは、次の構成を有し得る。すなわち、ブロックは、上述の空間を画成する二つの平面を有し得る。二つの平面は、第1の波長の光の通過方向に延びており、且つ、発光素子からの距離が離れるについて、該二つの面の間の空間が狭くなるように設けられている。
【0017】
本発明の光モジュールは、次の構成を有していてもよい。すなわち、パッケージは、受光素子を搭載する搭載面を有している。ブロックは、一対の側壁と、支持部と、第1の底面と、を有し得る。支持部は、一対の側壁の間に位置している。第1の底面は、搭載面に接する面である。支持部は、上記斜面を提供している。支持部は、搭載面と斜面との間に、第2の底面を含んでいる。この第2の底面は、搭載面から離間している。第2の底面と前記一対の側壁とは、受光素子を配置する空間を画成している。この構成によれば、ブロックによって発光素子と受光素子とのアイソレーションがより確実なものとされる。
【0018】
搭載面と一対の側壁の頂部との間の距離は、搭載面と斜面との間の距離より小さいことが好ましい。この構成では、斜面より側壁の高さが小さいので、第1の波長の光が通過する空間を画成する面で反射された迷光を、側壁の頂部の上の空間に逃がすことができる。
【0019】
本光モジュールは、発光素子を搭載するための金属製の搭載部材を更に備え、当該搭載部材が、一対の側壁の間に置かれており、受光素子を配置する上述の空間を画成していることが好ましい。この構成では、金属製の搭載部材を受光素子と発光素子との間に介在させているので、受光素子と発光素子とのアイソレーションがより確実なものとなる。
【0020】
第2の底面には、第2の波長の光を遮断するための光学フィルタが設けられていることが好適である。この構成によれば、発光素子と受光素子との光学的なアイソレーションがより確実なものとなる。また、波長カットフィルタの光軸は、受光素子の光軸に平行であることが好適である。
【0021】
本発明は別の側面は、光モジュールを製造する方法に関する。この方法は、(a)発光素子及び受光素子を、それぞれの所定の位置に配置する工程と、(b)フィルタを搭載したブロックを移動する工程であって、フィルタは、受光素子へと第1の波長の光を通過させ、発光素子からの第2の波長の光を反射するためのフィルタである、該工程と、を含む。ブロックを移動する工程では、受光素子の光軸上に配置した画像取得装置によって観察される画像において受光素子の画像とフィルタによる反射を介して取得される発光素子の画像とが所定の位置関係となるように、ブロックが移動される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、光学的アイソレーションに優れた一パッケージ型の双方向光モジュールが提供される。また、一パッケージ型の双方向光モジュールの製造に好適な製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0024】
図1は、一実施形態に係る双方向光モジュールを一部破断して示す斜視図である。図2は、図1に示す光モジュールを、キャップを取り除いて示した平面図である。図2に示す平面図は、光モジュールをレンズ側から見た平面図である。図1及び図2に示す光モジュール1は、パッケージ10、受光素子12、発光素子14、WDMフィルタ16、及びブロック18を備えている。
【0025】
パッケージ10は、受光素子12、発光素子14、WDMフィルタ16、及びブロック18等の部品を搭載し、且つ、収容するための部品である。パッケージ10は、ステム10a、複数のリードピン10b、キャップ10c、及びレンズ10dを含んでいる。
【0026】
ステム10aは、略円板状の金属製の部材である。ステム10aは、受光素子12、発光素子14、WDMフィルタ16、及びブロック18等の部品を搭載するための搭載面10eを有している。ステム10aは、複数の孔を有しており、これら孔に複数のリードピン10bが通っている。ステム10aとリードピン10bとの間には、絶縁性の封止部材、例えば、シールガラスが設けられている。受光素子12、発光素子14等のデバイスは、これらリードピン10bと電気的に接続されている。
【0027】
キャップ10cは、略円筒状の金属製の部材である。キャップ10cは、搭載面10eに固定される一端と、レンズ10dを保持する他端とを有する。キャップ10cのステム10aへの固定は、例えば、プロジェクション溶接によって行われ得る。レンズ10dとキャップ10cの他端との間は、シールガラスといった封止部材によって封止されている。
【0028】
受光素子12は、フォトダイオード(PD)である。PD12は、単一の光ファイバOFから出射されてレンズ10dを経てWDMフィルタ16によって透過された第1の波長の光を受光して、その光の量に応じた光電流を出力する。第1の波長は、例えば、1.49μm又は1.55μmである。
【0029】
光モジュール1では、PD12は、ステム10aの搭載面10e上であって当該搭載面10eの略中央に、サブマウント20を介して搭載されている。光モジュール1は、プリアンプ22を更に備えている。プリアンプ22は、PD12の近傍に配置されており、PD12の生成した光電流を増幅し、相補的な出力電圧信号を出力する。この出力電圧信号は、リードピン10bのうち、プリアンプ22の両側に配置された二本のリードピン10b1を介して、モジュールの外に取り出される。すなわち、PD12とプリアンプ22が並ぶ方向に交差する方向においてプリアンプ22の両側に、二つのリードピン10b1が設けられている。したがって、プリアンプ22、は二本のリードピン10b1とPD12とで形成される三角形(二等辺三角形)の中央において、ステム10a上に直接搭載されている。
【0030】
発光素子14は、半導体レーザ(LD)であり、第2の波長の光を出射するものである。LD14から出射される光の波長は、例えば、1.31μmである。LD14から出射された光は、搭載面10eと略平行に進み、フィルタ16で反射されることによって約90度方向を変えて、レンズ10dによって集光される。レンズ10dで集光された後、LD14からの光は、単一の光ファイバOFに結合される。
【0031】
LD14は、PD12が設けられた位置とは、ブロック18を基準にして反対側の位置に配置されている。即ち、LD14は、当該LD14とPD12との間にブロック18が位置するように、設けられている。LD14は、当該位置において、LDサブマウント24及び配線基板26を介して、搭載面10e上に搭載されている。この配線基板26上の配線と、リードピン10bのうちLD用のリードピン10b2とはボンディングワイヤによって結線されている。
【0032】
リードピン10bのうちLD14の背面側に位置するリードピン10b3の先端には、PD28が直接搭載されている。PD28は、LD14が出射する光のうちの背面光を受光して、当該背面光の量に応じた光電流を出力する。PD28の出力信号は、LD14の出射光の強度を一定に保つようLD14の駆動条件を自動的に制御するために利用される。したがって、PD28は、モニタPDと呼ばれる。また、この制御は、APC(Auto-Power Control)と呼ばれる制御である。
【0033】
モニタPD28を搭載するリードピン10b3の先端部は、例えば20〜30°の角度で僅かに曲げられている。これは、LD14の背面光が、モニタPD28の表面で反射されて、戻り光として再びLD14に入射し、この戻り光がLD14の雑音源となることを防ぐためである。
【0034】
本光モジュール1では、受信部(PD12を搭載する部位)と送信部(LD14を搭載する部位)との間に、ブロック18が設けられている。ブロック18は導電性材料、例えば、金属で形成されている。このブロック18の一面を、搭載面10eに対して傾斜させた面とし、当該面にWDMフィルタ16を装着することで、受信部、送信部、及びWDMフィルタ16に要請される光学系を実現している。
【0035】
このように、受信部と送信部との間にブロック18を挟み込むことによって、受信部と送信部との間のアイソレーションが実現されている。即ち、ブロック18の導電性によって、受信部と送信部との間の電気的アイソレーションが実現されている。また、後述するようなブロック18が提供する構成によって、LD14が出射する光が、PD12に入射しない系、即ち光学的アイソレーションが実現されている。
【0036】
以下、ブロック18について、詳細に説明する。図3及び図4は、ブロックの一例を示す斜視図である。図3は、ブロック18を上方から見た斜視図であり、図4は、ブロック18を下方から見た斜視図である。また、図5は、図3に示すブロックを一部破断して示す斜視図である。
【0037】
ブロック18は、一対の側壁18a、中央壁18b、及び支持部18cを有している。中央壁18b及び支持部18cは、一対の側壁18aの間に位置している。ブロックの上面18dは、一対の側壁18a及び支持部18cによって画成されている。また、ブロックの第1の底面18eは、一対の側壁18aと中央壁18bとによって画成されており、略H字型の平面形状を有している。この第1の底面18eは、ステム10aの搭載面10eに接触する面である。
【0038】
支持部18cは、斜面18fを含んでいる。この斜面18fは、上面18dから下方に向けて傾斜して、中央壁18bの頂部に連続している。斜面18fは、LD14の出射方向ZL及び第1の波長の光の通過方向Zに交差する面である。この斜面18f上には、WDMフィルタ16が装着されている。
【0039】
支持部18cは、第2の底面18gを含んでいる。第2の底面18gは、ブロック18がステム10aに搭載されたときに、ステム10aの搭載面10eと斜面18fの間に位置する。この第2の底面18gは、ステム10aの搭載面10eと対面しており、搭載面10eから離間している。即ち、第2の底面18gから上面18dまでの距離は、第1の底面18eから上面18dまでの距離よりも短くなっている。
【0040】
支持部18cは、斜面18fから第2の底面18gまで延びる空間18hを提供している。本実施形態では、空間18hは、貫通孔となっている。この空間18hは、光ファイバOFから出射された第1の波長の光が通過する空間である。
【0041】
また、第2の底面18gには、この貫通孔18hを塞ぐように、光学フィルタ30が装着されている。光学フィルタ30は、第2の波長の光を遮断する特性を有する。したがって、LD14からの光が乱反射されてブロック18を通過しようとしても、光学フィルタ30によって遮断される。なお、本実施の形態では、第2の底面18gと搭載面10eは略平行になっており、この第2の底面18gに装着された光学フィルタ30の光軸が、PD12の光軸と平行になっている。
【0042】
中央壁18bは、LD14の光の出射方向ZLに交差する面に沿って延びている。中央壁18bは、空間18i及び空間18jを画成している。空間18iは、LD14と中央壁18bとの間に位置する空間であり、空間18jは、中央壁18bを基準にして空間18iとは反対側に位置している。
【0043】
中央壁18bは、第1の底面18eまで延びており、搭載面10eに接している。空間18jは、この中央壁18bによって、LD12側、即ち、前方側を囲まれている。また、空間18jは、一対の側壁18aによって、その両側を囲まれており、また、光学フィルタ30が装着された第2の底面18gによって、その上方を覆われている。一方、空間18iは、中央壁18bと一対の側壁18aによって囲まれている。
【0044】
このような空間18i内に、LD14及びLDサブマウント24が配置されており、また、空間18j内に、PD12、サブマウント20等が配置されている。したがって、送信部と受信部とを互いに分離して電気的にシールドすることが可能である。
【0045】
図6は、図2に示すVI−VI線に沿った断面図である。図6は、PD12、LD14、WDMフィルタ16、及び、ブロック18の位置関係を示している。LD14から出射される光は、その光軸Lzに対してガウス分布に従い、広がり角が1/e2の半値幅で20〜25°程度にも達する。従って、WDMフィルタ16の大きさとして、この様に大きな広がり角を有する光を効率よく分離(反射/透過)するものでなければならない。例えば、WMDフィルタ16は、広がり角±30°の光に対応することが必要である。しかしながら、WDMフィルタ16への入射角が大きくなってくると(入射角が45°から大きく外れてくると)、フィルタ16の波長弁別性能が劣化してしまう。
【0046】
図7は、波長1.31μm以下の波長の光を反射し、それ以上の波長の光を透過するように設計されたWDMフィルタの、透過率の入射角依存性を示している。図7における横軸は、光の波長を示しており、縦軸は、WDMフィルタの透過率を示している。また、図7では、最も太い実線で示す特性、この線より細い実線で示す特性、点線で示す特性、一点鎖線で示す特性、二点差線で示す特性はそれぞれ、WDMフィルタに対する光の入射角が75°、60°、45°、30°、15°の場合の特性である。なお、図7に示す特性は、LDの出射光のs波(偏光方向がWDMフィルタの入射面に垂直な方向)成分についての特性である。
【0047】
入射角75°(中心45°からプラス30°オフセット)では、1.31μmの波長の光のほぼ全てが反射するように(透過率〜0)設計されたフィルタであっても、1.35μmの波長に対しては相当な透過率を示している。ここで、光の入射角はWDMフィルタ16の法線からの角度であるので、入射角75°は、図6に示した広がり角の上限に対応する。このような入射光は、迷光となり、フィルタ16内で多重反射、複屈折を繰り返してフィルタ16から抜け出し、あるいは、キャップ内で乱反射を繰り返し、それらの迷光の一部がPD12に入射してしまう。
【0048】
本実施形態の光モジュール1では、これら迷光がPD12に入射することを阻止するために、中央壁18bを挟んで送信部と受信部とを分離し、且つ、受信部については、第2の底面18gにフィルタ30を装着して、迷光が直接PD12に入射する割合を減じている。従来の構成では、WDMフィルタの背面はオープンとなっており、迷光がPDに入射する可能性が大きかった。また、LDとPDとが単一のパッケージ内に収容されている従来の光モジュールでは、フィルタ30のような光遮断フィルタをPDの近傍に設けることは困難であった。本実施形態のブロック18を採用することにより、カットフィルタを設けることが可能となる。
【0049】
次に、PD12、LD14、及び、WDMフィルタ16を調芯して、光モジュールを製造する方法について説明する。図10は、光モジュールを製造する方法を示す図である。ここでは、PD12の光軸方向、即ち、搭載面10eに直交する方向をZ、LD14の光軸の方向をZLとする。
【0050】
この製造方法では、まず、図10の(a)に示すように、PD12及びLD14をそれぞれのハンドリング治具の機械的精度の範囲内で、搭載面10e上に配置する。通常、この時のPD12及びLD14の位置精度として10〜15μm程度の精度は十分に確保される。
【0051】
次いで、図10の(b)に示すように、WDMフィルタ16を装着したブロック18を、搭載面10e上に配置し、ブロック18を軸線ZL方向に移動させて、PD12、LD14、及び、WDMフィルタ16を調芯する。調芯を行うときには、図10の(b)に示すように、PD12の直上位置、即ち、PD12の光軸Z上にCCDカメラ等の画像取得装置32が配置される。
【0052】
画像取得装置32によって取得される画像は、フィルタ30及びフィルタ16を透過して取得されるPD12の受光面の画像、及び、フィルタ16によって反射されるLD14の画像が含まれる。
【0053】
図10の(c)に示すように、画像取得装置32によって取得される画像において、PD12の受光部12aの中心とLD14の端面の縁部の中心とを一致させるよう、ブロック18を移動させることで、PD12、LD14、及び、WDMフィルタ16の調芯が実現される。なお、LD14の縁部の中心には、LD14の活性層の端面が位置している。移動後のブロック18のステム10aへの固定には、樹脂を用いることができる。
【0054】
以下、別の実施形態にかかる光モジュールについて説明する。図9は、別の実施形態に係る光モジュールの平面図である。図9は、光モジュール1Aを、キャップを取り除いて示している。図9に示す光モジュール1Aでは、ブロック18A及びLDサブマウント(搭載部材)24Aが、図1の光モジュール1の対応の部品と異なっている。以下、ブロック18A及びLDサブマウント24Aについて、詳細に説明する。
【0055】
図10は、別の実施の形態に係る光モジュールのブロックの斜視図である。図10に示す光モジュール1Aのブロック18Aの空間18hは、貫通孔ではなく、その水平断面形状が三角形の一部を構成するものとなっている。本実施の形態では、ブロック18Aは、空間18hを画成する二つの面18k,18mを含んでいる。面18k及び18mは、第1の波長の光が通過する方向(軸線Z方向)に延びている。また、本例では、面18k及び18mは、LD14からの距離が離れるに従い互いの間隔が狭くなるように構成されている。
【0056】
光モジュール1では、ブロック18が提供する空間18hの水平断面形状が円形となっていた。断面形状が円形の孔は、ドリルのみにより加工できるので生産性に優れる。しかしながら、発明者等の経験によると、曲面に入射する光は全ての方向に反射されるため、その反射光の一部がPD12に入射することがある。この対策を施したものがブロック18Aである。ブロック18Aの空間18hは、面18kと面18mによって、その水平断面の形状が三角形の一部を構成するようになっているので、面18k及び面18mで反射される光を特定の方向に向けることができる。したがって、PD12への迷光を更に低減することができる。
【0057】
また、ブロック18Aは、ブロック18と異なり、中央壁18bを有していない。その対策として、図9に示すように、光モジュール1Aでは、金属製のLDサブマウント24Aの幅が、当該LDサブマウント24Aが一対の側壁18aに接するよう拡大されている。また、LDサブマウント24Aは、LD14の光の出射方向においてPD12側に、LD14よりも延びだしている。かかるLDサブマウント24Aは、PD12を配置する空間をブロック18Aと共に画成しており、LD14とPD12との電気的アイソレーションに寄与している。
【0058】
また、ブロック18Aでは、搭載面10eと側壁18aの頂部との間の距離が、搭載面10eと斜面18fとの間の距離より小さくなっている。即ち、側壁18aの頂部の上には、斜面18fを露出させる空間が広がっている。これによって、面18k及び18mによって反射される光を、ブロック18の外側に逃がすことが可能となる。
【0059】
なお、図11に示すようにブロック18Bのように、側壁18aは、斜面18fと同じ高さまで延びていてもよい。
【0060】
以下、更に別の実施形態に係る光モジュールについて説明する。図12は、更に別の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。図12では、光モジュール1Cが、キャップを取り除いた状態で示されている。また、図13は、図12に示す光モジュールからブロックを取り除いた状態を示している。
【0061】
図12及び図13に示す光モジュール1Cでは、ブロック18C及びLDサブマウント24Cが、光モジュール1の対応の部品とは異なっている。図14及び図15は、更に別の実施形態に係る光モジュールのブロックを示す斜視図である。図14は、ブロックを上方から見た斜視図であり、図15は、ブロックを下方から見た斜視図である。また、図16は、図14のXVI−XVI線に沿ってブロックを破断して示す斜視図である。
【0062】
図14〜図16に示すブロック18Cは、一対の側壁を有していない点で、光モジュール1のブロック18とは異なっている。ブロックから一対の側壁を取り除いたことに対する対策として、図12及び図13に示すように、サブマウント24Cに一対の側壁を設けている。
【0063】
即ち、サブマウント24Cは、LD14及び配線基板26を搭載するための中央部24aと、この中央部24aの両側に位置する一対の側壁24bとを含んでいる。サブマウント24Cの水平断面形状は略C字形状である。ブロック18Cは、一対の側壁24bと中央部24aとによって画成される空間に配置されている。一対の側壁24bの間の間隔は、ブロック18Cの幅より僅かに大きくなっている。
【0064】
図14〜図16に示すように、ブロック18Cは、ブロック18における中央壁に相当する前方壁18b、この前方壁18bの頂部から後方に向かって延び、その縦断面が三角形状の支持部18cを有する。支持部18cが提供する斜面18fにはWDMフィルタ16が装着されており、支持部18cの底面18gには、光学フィルタ30が装着されている。この底面18gが、PD12の上方に位置して、迷光がPD12に入射することを防止している。
【0065】
PD12は、前方壁18bと支持部18c、及び、サブマウント24Cの一対の側壁によって画成される空間に配置されている。また、前方壁18bの底面18eは、直接ステム10aの搭載面10eに接触するので、PD12とLD14との間の電気的アイソレーションが、この前方壁18bによって実現される。
【0066】
支持部18cには、PD12に入射する第1の波長の光が通過する空間18hが形成されている。この空間18hの水辺断面形状であるが、先の例の様に、この断面形状を三角形状としてもよい。
【0067】
図17は、更に別の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。また、図18は、図17に示す光モジュールのブロックの斜視図である。図17に示す光モジュール1Dは、図12に示す光モジュール1Cを基礎とした変形例に係る光モジュールである。図17に示す光モジュール1Dでは、ブロック18Dが、光モジュール1Cの対応の部品と異なっている。
【0068】
光モジュール1Dのブロック18Dは、図18に示すように、支持部18cの両側に一対のフランジ18nを有している。このフランジ18nは、サブマウント24Cの一対の側壁24bの頂部上に配置することができる。したがって、PD12、LD14、及びWDMフィルタ16の調芯を行う際には、サブマウント24Cの一対の側壁24bの頂部に沿って、ブロック18Dをスライドすることができる。したがって、ブロック18Dによれば、前方壁18bのみが搭載面10eに接し、重心は支持部18cにあるサブマウント24Cよりも、調芯を安定して行うことが可能である。なお、ブロック18Dの前方壁18bの高さがサブマウント24Cの側壁24bの高さよりも僅かに低い方が、ブロック18Dを安定してスライドさせるためには、好ましい。
【0069】
図19は、更に別の実施形態に係る光モジュールの主要部の断面図である。図20は、図19に示す光モジュールのブロックを示す斜視図である。図19に示す光モジュール1Eは、光モジュール1Cを基礎とした変形例である。光モジュール1Eでは、ブロック18Eが、光モジュール1Cの対応の部品と異なっている。
【0070】
図20に示すように、ブロック18Eは、前方壁を有していない。しかしながら、WDMフィルタ16の下端が、先の何れの例にも比較して下方に延長されている。また、このWDMフィルタ16を搭載するためのブロック18Eの斜面18fが先の例に比較して下方に延長されている。図6にも示したように、LD14から出射した光は有意な広がり角を有しているが、この広がり角の範囲の最下限の光は、小さい入射角でWDMフィルタへ入射し、その入射角ではLDの出射光は確実に反射される。従って、この最下限に近い側のLD出射光がWDMフィルタ16によって反射されて迷光となる可能性は低い。
【0071】
一方、ブロック18Eの前方壁を除去したことに対する対策として、本例では、ブロック18Eの斜面18fを従前の例に比較して前方側、即ちLD側に延ばすことによって、電気的クロストークの低下を図っている。なお、ブロック18Eの幅をサブマウント24Cの一対の側壁24bの間の間隔より僅かに小さくして、ブロック18Eの側面を側壁24bの内面に接着してブロック18Eを固定する点については、先の実施の形態と同様である。
【0072】
図21及び図22は、ブロックの更なる変形例を示す斜視図である。図21に示すブロック18F、図22に示すブロック18Gは、ブロック18Eの更なる変形例である。図21に示すブロック18Fでは、空間18hの水平断面形状が、半円形となっている。また、図22に示すブロック18Gでは、空間18hの水平断面形状が三角形になっている。
【0073】
空間18hの水平断面が円形の場合には、反射光が分散されるので、一方向に絞ってみれば反射光強度が極めて小さくなる。しかしながら、理論上ゼロではなく有限の反射光が存在し、これが迷光となる可能性が残る。図21に示すブロック18Fの空間18hは、貫通孔を画成する面の一部を除去することによって形成された空間であり。また、図22に示す空間18hは、その水平断面形状を三角形としたものであり、空間18hは2面で画成されており、LD14側に開放された空間となっている。図21及び図22のブロックのように、空間18hをLD14側に開放した空間とすることによって、空間18hを画成する面で乱反射される光を逃がすことができ、その結果、光クロストークを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】一実施形態に係る双方向光モジュールを一部破断して示す斜視図である。
【図2】図1に示す光モジュールを、キャップを取り除いて示した平面図である。
【図3】ブロックの一例を示す斜視図である。
【図4】ブロックの一例を示す斜視図である。
【図5】図3に示すブロックを一部破断して示す斜視図である。
【図6】図2に示すVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】波長1.31μm以下の波長の光を反射し、それ以上の波長の光を透過するように設計されたWDMフィルタの、透過率の入射角依存性を示すグラフである。
【図8】光モジュールを製造する方法を示す図である。
【図9】別の実子形態に係る光モジュールの平面図である。
【図10】別の実施の形態に係る光モジュールのブロックの斜視図である。
【図11】光モジュールのブロックの別の例の斜視図である。
【図12】更に別の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
【図13】図12に示す光モジュールからブロックを取り除いた状態を示している。
【図14】更に別の実施形態に係る光モジュールのブロックを示す斜視図である。
【図15】更に別の実施形態に係る光モジュールのブロックを示す斜視図である。
【図16】図14のXVI−XVI線に沿ってブロックを破断して示す斜視図である。
【図17】更に別の実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
【図18】図17に示す光モジュールのブロックの斜視図である。
【図19】更に別の実施形態に係る光モジュールの主要部の断面図である。
【図20】図19に示す光モジュールのブロックを示す斜視図である。
【図21】ブロックの更なる変形例を示す斜視図である。
【図22】ブロックの更なる変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A,1C,1D,1E…光モジュール、10…パッケージ、10a…ステム、10b…リードピン、10c…キャップ、10e…搭載面、12…受光素子(PD)、14…発光素子(LD)、16…WDMフィルタ、18,18A,18B,18C,18D,18E,18F,18G…ブロック、18a…側壁、18b…中央壁(前方壁)、18c…支持部、18d…上面、18e…第1の底面、18f…斜面、18g…第2の底面、18h…空間、18k,18m…面、18n…フランジ、20…サブマウント(PDサブマウント)、22…プリアンプ、24,24A,24C…LDサブマウント、24a…中央部、24b…側壁、26…配線基板、30…光学フィルタ、32…画像取得装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一のファイバが出射する第1の波長の光を透過し、該第1の波長とは異なる第2の波長の光を反射するフィルタと、
前記フィルタを透過した前記第1の波長の光を受ける受光素子と、
前記第2の波長の光を前記フィルタに向けて出射する発光素子と、
前記発光素子の光の出射方向及び前記第1の波長の光の通過方向のいずれにも交差する面に沿った斜面であって、前記フィルタを搭載するための該斜面を有するブロックと、
前記フィルタ、前記受光素子、前記発光素子、及び、前記ブロックを収容するパッケージと、
を備え、
前記ブロックは前記第1の波長の光が通過する空間を有し、該空間の前記第1の波長の光の通過方向に直交する断面が三角形である、
光モジュール。
【請求項2】
前記ブロックは、前記空間を画成する二つの平面を有しており、
前記二つの平面は、前記第1の波長の光の通過方向に延びており、且つ、前記発光素子からの距離が離れるにつれて、該二つの面の間の空間が狭くなるように設けられている、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記パッケージは、前記受光素子を搭載する搭載面を有しており、
前記ブロックは、一対の側壁と、該一対の側壁の間に位置する支持部とを有し、且つ、前記搭載面に接する第1の底面を含んでおり、
前記斜面は、前記支持部によって提供されており、
前記支持部は、前記搭載面と前記斜面との間に、前記搭載面から離間した第2の底面を含んでおり、
前記第2の底面と前記一対の側壁とが、前記受光素子を配置する空間を画成している、
請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記搭載面と前記一対の側壁の頂部との間の距離は、前記搭載面と前記斜面との間の距離より小さい、
請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記発光素子を搭載するための搭載部材を更に備え、
前記搭載部材は金属製であって、前記一対の側壁の間に置かれており、前記受光素子を配置する前記空間を画成している、
請求項3又は4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第2の底面には、前記第2の波長の光を遮断するための光学フィルタが設けられている、請求項3〜5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記波長カットフィルタの光軸が、前記受光素子の光軸に平行である、請求項6に記載の光モジュール。
【請求項8】
光モジュールを製造する方法であって、
発光素子及び受光素子を、それぞれの所定の位置に配置する工程と、
フィルタを搭載したブロックを移動する工程であって、該フィルタは、前記受光素子へと第1の波長の光を通過させ、前記発光素子からの第2の波長の光を反射するためのフィルタである、該工程と、
を含み、
前記ブロックを移動する工程では、前記受光素子の光軸上に配置した画像取得装置によって観察される画像において前記受光素子の画像と前記フィルタによる反射を介して取得される前記発光素子の画像とが所定の位置関係となるように、前記ブロックが移動される、
方法。
【請求項1】
一のファイバが出射する第1の波長の光を透過し、該第1の波長とは異なる第2の波長の光を反射するフィルタと、
前記フィルタを透過した前記第1の波長の光を受ける受光素子と、
前記第2の波長の光を前記フィルタに向けて出射する発光素子と、
前記発光素子の光の出射方向及び前記第1の波長の光の通過方向のいずれにも交差する面に沿った斜面であって、前記フィルタを搭載するための該斜面を有するブロックと、
前記フィルタ、前記受光素子、前記発光素子、及び、前記ブロックを収容するパッケージと、
を備え、
前記ブロックは前記第1の波長の光が通過する空間を有し、該空間の前記第1の波長の光の通過方向に直交する断面が三角形である、
光モジュール。
【請求項2】
前記ブロックは、前記空間を画成する二つの平面を有しており、
前記二つの平面は、前記第1の波長の光の通過方向に延びており、且つ、前記発光素子からの距離が離れるにつれて、該二つの面の間の空間が狭くなるように設けられている、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記パッケージは、前記受光素子を搭載する搭載面を有しており、
前記ブロックは、一対の側壁と、該一対の側壁の間に位置する支持部とを有し、且つ、前記搭載面に接する第1の底面を含んでおり、
前記斜面は、前記支持部によって提供されており、
前記支持部は、前記搭載面と前記斜面との間に、前記搭載面から離間した第2の底面を含んでおり、
前記第2の底面と前記一対の側壁とが、前記受光素子を配置する空間を画成している、
請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記搭載面と前記一対の側壁の頂部との間の距離は、前記搭載面と前記斜面との間の距離より小さい、
請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記発光素子を搭載するための搭載部材を更に備え、
前記搭載部材は金属製であって、前記一対の側壁の間に置かれており、前記受光素子を配置する前記空間を画成している、
請求項3又は4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第2の底面には、前記第2の波長の光を遮断するための光学フィルタが設けられている、請求項3〜5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記波長カットフィルタの光軸が、前記受光素子の光軸に平行である、請求項6に記載の光モジュール。
【請求項8】
光モジュールを製造する方法であって、
発光素子及び受光素子を、それぞれの所定の位置に配置する工程と、
フィルタを搭載したブロックを移動する工程であって、該フィルタは、前記受光素子へと第1の波長の光を通過させ、前記発光素子からの第2の波長の光を反射するためのフィルタである、該工程と、
を含み、
前記ブロックを移動する工程では、前記受光素子の光軸上に配置した画像取得装置によって観察される画像において前記受光素子の画像と前記フィルタによる反射を介して取得される前記発光素子の画像とが所定の位置関係となるように、前記ブロックが移動される、
方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−39115(P2010−39115A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200819(P2008−200819)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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