説明

光モジュール

【課題】フレキシブル基板の曲げ性を劣化させることなく配線密度を低下させ、線路間のアイソレーションを確保することができる光モジュールを得る。
【解決手段】フレキシブル基板5は、誘電体層11と、誘電体層11を挟んで対向する第1地導体パターン、および電気端子と電気的に接続された第1配線パターンを有する第1パターン対向部と、誘電体層を挟んで対向する第2地導体パターン、および電気端子と電気的に接続された第2配線パターンを有し、誘電体層11の長さ方向について、第1パターン対向部と対向する第2パターン対向部と、を有し、第1パターン対向部と第2パターン対向部との間の部分を中心に誘電体層11を折り曲げたときに、第1地導体パターンおよび第2地導体パターンの少なくとも一方が、第1配線パターンと第2配線パターンとの間に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光通信に用いられる光モジュールに関し、特にフレキシブル基板を介して光モジュールを駆動する回路基板と電気的に接続される光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光モジュールは、光デバイスを搭載したキャリアが収容されたパッケージと、パッケージの一端側に設けられた光コネクタと、パッケージの他端側に設けられたフィードスルーと、フィードスルーに固着されたフレキシブル基板とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
フィードスルーは、セラミックを積層して形成されるとともに、パッケージ外面に光コネクタへの入出射光の光軸に対して垂直に設けられた電気端子(高周波端子およびバイアス端子)を有し、パッケージ内面に電気端子と接続して設けられたキャリア接続端子を有している。
【0004】
フレキシブル基板は、一方の面の端部が異方導電性接着剤によってフィードスルーの全面に貼り付けられるとともに、フィードスルーの電気端子と対向する位置に設けられた接続パッドを有している。ここで、異方導電性接着剤は、圧着加圧しながら熱硬化させることにより、対向する面の間にのみ導通性を示す。
【0005】
フィードスルーとフレキシブル基板とを異方導電性接着剤で互いに接着することにより、フィードスルーに設けられた電気端子とフレキシブル基板に設けられた接続パッドとが電気的に接続されるので、機構面での自由度を確保することができる。また、この光モジュールには、リードピン等の高周波特性を阻害するものがないので、高周波特性も確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−71980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
従来の光モジュールにおいて、複数チャンネルの光デバイスを1つのパッケージに組み込んだ場合には、フィードスルーに設けられる電気端子の密度が高くなる。そのため、フレキシブル基板の配線密度が高くなり、フレキシブル基板の配線が物理的に困難になるという問題がある。
【0008】
また、フレキシブル基板の配線密度が高くなると、フレキシブル基板に設けられて高周波端子と接続される高周波線路(RF線路)と、同じくバイアス端子と接続されるバイアス線路(DC線路)とが互いに交錯する。そのため、線路間のアイソレーションを確保することができなくなり、隣接チャンネルの信号が漏洩(クロストーク)したり、出力信号が入力信号に回り込んで発振したりするという問題もある。
【0009】
なお、フレキシブル基板を3層以上の多層構造とすることにより、フレキシブル基板の各層の配線密度を低下させることが考えられるが、この場合には、フレキシブル基板の曲げ性が劣化し、回路基板への実装性が低下するという新たな問題が発生する。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、フレキシブル基板の曲げ性を劣化させることなく配線密度を低下させ、線路間のアイソレーションを確保してクロストークを低減させることができる光モジュールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る光モジュールは、光デバイスが収容されたパッケージと、パッケージの一端側に設けられ、パッケージ外面に、パッケージ内面で光デバイスと電気的に接続された電気端子を有するフィードスルーと、フィードスルーに固着されたフレキシブル基板と、を備えた光モジュールであって、フレキシブル基板は、誘電体層と、誘電体層を挟んで対向する第1地導体パターン、および電気端子と電気的に接続された第1配線パターンを有する第1パターン対向部と、誘電体層を挟んで対向する第2地導体パターン、および電気端子と電気的に接続された第2配線パターンを有し、誘電体層の長さ方向について、第1パターン対向部と対向する第2パターン対向部と、を有し、第1パターン対向部と第2パターン対向部との間の部分を中心に誘電体層を折り曲げたときに、第1地導体パターンおよび第2地導体パターンの少なくとも一方が、第1配線パターンと第2配線パターンとの間に位置するものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る光モジュールによれば、フレキシブル基板は、誘電体層と、誘電体層を挟んで対向する第1地導体パターン、および電気端子と電気的に接続された第1配線パターンを有する第1パターン対向部と、誘電体層を挟んで対向する第2地導体パターン、および電気端子と電気的に接続された第2配線パターンを有し、誘電体層の長さ方向について、第1パターン対向部と対向する第2パターン対向部と、を有し、第1パターン対向部と第2パターン対向部との間の部分を中心に誘電体層を折り曲げたときに、第1地導体パターンおよび第2地導体パターンの少なくとも一方が、第1配線パターンと第2配線パターンとの間に位置する。
そのため、フレキシブル基板の曲げ性を劣化させることなく配線密度を低下させ、線路間のアイソレーションを確保してクロストークを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光モジュールをプリント基板とともに示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1の光モジュールを示す正面図であり、(b)は、この光モジュールを示す側面図である。
【図3】(a)は、図2のフレキシブル基板の第1配線層を示す正面図であり、(b)は、このフレキシブル基板の第2配線層を透過して示す正面図であり、(c)は、このフレキシブル基板を示す側面図である。
【図4】(a)は、この発明の実施の形態2に係るフレキシブル基板の第1配線層を示す正面図であり、(b)は、このフレキシブル基板の第2配線層を透過して示す正面図であり、(c)は、このフレキシブル基板の第3配線層を透過して示す正面図であり、(d)は、このフレキシブル基板を示す側面図である。
【図5】(a)は、この発明の実施の形態3に係るフレキシブル基板の第1配線層を示す正面図であり、(b)は、このフレキシブル基板の第2配線層を透過して示す正面図であり、(c)は、このフレキシブル基板を示す側面図である。
【図6】(a)は、この発明の実施の形態4に係る光モジュールを示す正面図であり、(b)は、この光モジュールを示す側面図である。
【図7】(a)は、この発明の実施の形態5に係る光モジュールを示す正面図であり、(b)は、この光モジュールを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の光モジュールの好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る光モジュールをプリント基板7(回路基板)とともに示す斜視図である。また、図2(a)は、図1の光モジュールを示す正面図であり、図2(b)は、この光モジュールを示す側面図である。なお、図1では、プリント基板7と接続するためにフレキシブル基板5を折り曲げており、図2では、光モジュールをプリント基板7に接続する前のフレキシブル基板5を折り曲げていない状態を示している。
【0016】
図1、2において、この光モジュールは、パッケージ1と、パッケージ1のカバー2と、レセプタクル3と、フィードスルー4と、フレキシブル基板5とを備えている。
パッケージ1は、例えば光変調器等の光デバイスを搭載したキャリア(図示せず)を収容している。
【0017】
レセプタクル3は、パッケージ1の一端側に設けられ、光信号の入出力口となるとともに、光コネクタを形成する。レセプタクル3には、光ファイバ(図示せず)が接続される。フィードスルー4は、パッケージ1の別の一端側(他端側)に設けられ、電気信号の入出力口となる。また、フィードスルー4は、例えばセラミックを積層して形成される。
【0018】
フィードスルー4には、パッケージ1外面に、レセプタクル3への入出射光の光軸に対して垂直に電気端子(高周波端子およびバイアス端子)(図示せず)が設けられている。電気端子は、パッケージ1内面で光デバイスと電気的に接続されている。フレキシブル基板5は、帯状の形状を有し、長さ方向の中間部分が異方導電性接着剤6によってフィードスルー4に接着されている。
【0019】
フレキシブル基板5は、フィードスルー4の電気端子と対向する位置に設けられた第1フィードスルー接続パッド21および第2フィードスルー接続パッド31を有している。上述したように、異方導電性接着剤6は、対向する面の間にのみ導通性を示すので、フィードスルー4の電気端子と第1フィードスルー接続パッド21および第2フィードスルー接続パッド31とは、それぞれ電気的に接続される。
【0020】
第1フィードスルー接続パッド21は、第1フレキシブル基板配線パターン22および第1プリント基板接続パッド23に接続され、第1プリント基板接続パッド23を介してプリント基板7と電気的に接続される。一方、第2フィードスルー接続パッド31は、第2フレキシブル基板配線パターン32および第2プリント基板接続パッド33に接続され、第2プリント基板接続パッド33を介してプリント基板7と電気的に接続される。
【0021】
ここで、第2フレキシブル基板配線パターン32は、フレキシブル基板5の長さ方向に対して、第1フレキシブル基板配線パターン22の反対側に延びている。すなわち、第2フレキシブル基板配線パターン32は、フレキシブル基板5の長さ方向について、第1フレキシブル基板配線パターン22と対向する。なお、フレキシブル基板5の詳細な構成については、図3を用いて後述する。
【0022】
プリント基板7上には、プリント基板配線8が形成されている。第1プリント基板接続パッド23および第2プリント基板接続パッド33は、それぞれプリント基板配線8と電気的に接続され、プリント基板7上の他の部品(図示せず)と接続される。そのため、第2フレキシブル基板配線パターン32は、第1フレキシブル基板配線パターン22および第1プリント基板接続パッド23を覆うように配置される。
【0023】
続いて、図3を参照しながら、フレキシブル基板5の詳細な構成について説明する。図3(a)は、図2のフレキシブル基板5の第1配線層12を示す正面図であり、図3(b)は、このフレキシブル基板5の第2配線層13を透過して示す正面図であり、図3(c)は、このフレキシブル基板5を示す側面図である。
【0024】
図3において、フレキシブル基板5は、誘電体層11と、誘電体層11の一方の面に形成された第1配線層12と、誘電体層11の他方の面に形成された第2配線層13とから構成されている。なお、図3では、第1配線層12および第2配線層13に共通する部分であって、第1配線層12に形成されたものには「a」を付し、第2配線層13に形成されたものには「b」を付して説明するが、総称する場合には「a」、「b」を付さない。
【0025】
第1配線層12は、複数の第1フィードスルー接続パッド21aと、複数の第1プリント基板接続パッド23aと、第1フィードスルー接続パッド21aと第1プリント基板接続パッド23aとの間をそれぞれ接続する複数の第1フレキシブル基板配線パターン22とを有している。また、第1配線層12は、複数の第2フィードスルー接続パッド31aと、複数の第2プリント基板接続パッド33aと、第2フィードスルー接続パッド31aと第2プリント基板接続パッド33aとの間に全面的に設けられた第2地導体34とを有している。
【0026】
第2配線層13は、複数の第1フィードスルー接続パッド21bと、複数の第1プリント基板接続パッド23bと、第1フィードスルー接続パッド21bと第1プリント基板接続パッド23bとの間に全面的に設けられた第1地導体24とを有している。また、第2配線層13は、複数の第2フィードスルー接続パッド31bと、複数の第2プリント基板接続パッド33bと、第2フィードスルー接続パッド31bと第2プリント基板接続パッド33bとの間をそれぞれ接続する複数の第2フレキシブル基板配線パターン32とを有している。
【0027】
また、第1配線層12に形成された第1フィードスルー接続パッド21aと、第2配線層13に形成された第1フィードスルー接続パッド21bとの間は、スルーホール100を介して誘電体層11を貫通して電気的に接続されている。なお、第1プリント基板接続パッド23a、23bの間、第2フィードスルー接続パッド31a、31bの間、および第2プリント基板接続パッド33a、33bの間も同様に、誘電体層11を貫通して電気的に接続されている。
【0028】
ここで、誘電体層11を挟んで対向する第1フィードスルー接続パッド21a、第1フレキシブル基板配線パターン22および第1プリント基板接続パッド23a(第1配線パターン)と、第1フィードスルー接続パッド21b、第1地導体24および第1プリント基板接続パッド23b(第1地導体パターン)とを第1パターン対向部と称する。
【0029】
また、誘電体層11を挟んで対向する第2フィードスルー接続パッド31a、第2フレキシブル基板配線パターン32および第2プリント基板接続パッド33a(第2配線パターン)と、第2フィードスルー接続パッド31b、第2地導体34および第2プリント基板接続パッド33b(第2地導体パターン)とを第2パターン対向部と称する。
【0030】
また、第1パターン対向部と第2パターン対向部との間の部分を中心に誘電体層11を折り曲げたときに、第1地導体24および第2地導体34の少なくとも一方が、第1配線パターンと第2配線パターンとの間に位置するように、地導体と配線パターンとの関係が決められている。
【0031】
次に、上記構成の光モジュールの動作について説明する。ここでは、パッケージ1からフィードスルー4を介して信号が出力される場合について説明する。なお、信号が出力される場合について説明するが、信号としては可逆なので、フィードスルー4を介してパッケージ1に信号が入力される場合であっても、同様の動作となる。
まず、パッケージ1からの信号が、フィードスルー4の電気端子を介して第1フィードスルー接続パッド21および第2フィードスルー接続パッド31にそれぞれ出力される。
【0032】
第1フィードスルー接続パッド21に出力された信号は、第1フレキシブル基板配線パターン22を伝送する。このとき、第1フレキシブル基板配線パターン22の裏面には、誘電体層11を挟んで第1地導体24が形成されている。そのため、第1フレキシブル基板配線パターン22と第1地導体24との間で電磁的な結合が生じ、いわゆるマイクロストリップ線路として構成されるので、高周波信号を伝送させることが可能となる。第1フレキシブル基板配線パターン22を伝送した信号は、第1プリント基板接続パッド23に出力され、続いてプリント基板7に出力される。
【0033】
同様に、第2フィードスルー接続パッド31に出力された信号は、第2フレキシブル基板配線パターン32を伝送する。このとき、第2フレキシブル基板配線パターン32の裏面には、誘電体層11を挟んで第2地導体34が形成されている。そのため、第2フレキシブル基板配線パターン32と第2地導体34との間で電磁的な結合が生じ、いわゆるマイクロストリップ線路として構成されるので、高周波信号を伝送させることが可能となる。第2フレキシブル基板配線パターン32を伝送した信号は、第2プリント基板接続パッド33に出力され、続いてプリント基板7に出力される。
【0034】
一般的に、マイクロストリップ線路においては、表面の信号線路と地導体との間に大部分の電界が分布して信号が伝送するが、一部の信号は空間にも分布する。第1フレキシブル基板配線パターン22においても同様に、一部の信号は空間に放射される。このとき、上述したように、第1フレキシブル基板配線パターン22の上部には、第2フレキシブル基板配線パターン32が配置されている(図1参照)。
【0035】
そのため、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との間に地導体等の導電体層が存在しなければ、空間に分布した信号成分は、第2フレキシブル基板配線パターン32と再度結合する。第1フレキシブル基板配線パターン22を伝送する信号で、第2フレキシブル基板配線パターン32と再度結合する信号と、もともと第2フレキシブル基板配線パターン32を伝送する信号とは異なる信号なので、妨害波となって干渉を引き起こす。
【0036】
しかしながら、この発明の実施の形態1に係る光モジュールでは、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との間に、第2地導体34が配置されている。そのため、第1フレキシブル基板配線パターン22から放射した信号は、第2地導体34によって遮蔽されるので、第2フレキシブル基板配線パターン32には信号が結合しない。
【0037】
なお、第2フレキシブル基板配線パターン32を伝送する信号についても、同様に一部が空間に放射されるが、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との間に第2地導体34が配置されているので、放射した信号は、第1フレキシブル基板配線パターン22に結合しない。
【0038】
このように、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との間に第2地導体34が配置されていることにより、第1フレキシブル基板配線パターン22から放射された信号は、第2地導体34によって遮蔽される。そのため、第1フレキシブル基板配線パターン22から放射された信号は、第2フレキシブル基板配線パターン32には結合しないので、電磁干渉を抑制することができる。
【0039】
また、第1フレキシブル基板配線パターン22に加えて、第2フレキシブル基板配線パターン32もプリント基板7との配線に寄与することから、上述した従来のフレキシブル基板と比較して、同一線路幅および同一ピッチとした場合に、2倍の配線が可能となる。
また、フレキシブル基板5は1枚なので、1回の接着でフレキシブル基板5をフィードスルー4に取り付けることができ、実装コストを従来の光モジュールと同等にすることができる。
【0040】
以上のように、実施の形態1によれば、フレキシブル基板は、誘電体層と、誘電体層を挟んで対向する第1地導体パターン、および電気端子と電気的に接続された第1配線パターンを有する第1パターン対向部と、誘電体層を挟んで対向する第2地導体パターン、および電気端子と電気的に接続された第2配線パターンを有し、誘電体層の長さ方向について、第1パターン対向部と対向する第2パターン対向部と、を有し、第1パターン対向部と第2パターン対向部との間の部分を中心に誘電体層を折り曲げたときに、第1地導体パターンおよび第2地導体パターンの少なくとも一方が、第1配線パターンと第2配線パターンとの間に位置する。
そのため、フレキシブル基板の曲げ性を劣化させることなく配線密度を低下させ、線路間のアイソレーションを確保してクロストークを低減させることができる。また、1枚のフレキシブル基板なので、容易にフィードスルーと接続することができる。
【0041】
なお、上記実施の形態1では、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との間に第2地導体34が配置されている場合について説明した。しかしながら、これに限定されず、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との間に第1地導体24が配置されてもよいし、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との間に第1地導体24および第2地導体34が配置されてもよい。
【0042】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との間に第2地導体34を配置して、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との電磁干渉を抑制する場合について説明した。実施の形態2では、外部からの信号に対しても、電磁干渉を抑制することができる構成について説明する。
【0043】
図4(a)は、この発明の実施の形態2に係るフレキシブル基板5の第1配線層16を示す正面図であり、図4(b)は、このフレキシブル基板5の第2配線層17を透過して示す正面図であり、図4(c)は、このフレキシブル基板5の第3配線層18を透過して示す正面図であり、図4(d)は、このフレキシブル基板5を示す側面図である。
【0044】
図4において、フレキシブル基板5は、2枚の誘電体層14、15と、誘電体層14、15の外側の一方の面に形成された第1配線層16と、誘電体層14、15の間に形成された第2配線層17と、誘電体層14、15の外側の他方の面に形成された第3配線層18とから構成されている。なお、図4では、第1〜第3配線層16〜18に共通する部分であって、第1配線層16に形成されたものには「a」を付し、第2配線層17に形成されたものには「b」を付し、第3配線層18に形成されたものには「c」を付して説明するが、総称する場合には「a」、「b」、「c」を付さない。
【0045】
第1配線層16は、複数の第1フィードスルー接続パッド21aと、複数の第1プリント基板接続パッド23aと、第1フィードスルー接続パッド21aと第1プリント基板接続パッド23aとの間に全面的に設けられた第1地導体24aとを有している。また、第1配線層16は、複数の第2フィードスルー接続パッド31aと、複数の第2プリント基板接続パッド33aと、第2フィードスルー接続パッド31aと第2プリント基板接続パッド33aとの間に全面的に設けられた第2地導体34aとを有している。
【0046】
第2配線層17は、複数の第1フィードスルー接続パッド21bと、複数の第1プリント基板接続パッド23bと、第1フィードスルー接続パッド21bと第1プリント基板接続パッド23bとの間をそれぞれ接続する複数の第1フレキシブル基板配線パターン22とを有している。また、第2配線層17は、複数の第2フィードスルー接続パッド31bと、複数の第2プリント基板接続パッド33bと、第2フィードスルー接続パッド31bと第2プリント基板接続パッド33bとの間をそれぞれ接続する複数の第2フレキシブル基板配線パターン32とを有している。
【0047】
第3配線層18は、複数の第1フィードスルー接続パッド21cと、複数の第1プリント基板接続パッド23cと、第1フィードスルー接続パッド21cと第1プリント基板接続パッド23cとの間に全面的に設けられた第1地導体24cとを有している。また、第3配線層18は、複数の第2フィードスルー接続パッド31cと、複数の第2プリント基板接続パッド33cと、第2フィードスルー接続パッド31cと第2プリント基板接続パッド33cとの間に全面的に設けられた第2地導体34cとを有している。
【0048】
また、第1配線層16に形成された第1フィードスルー接続パッド21aと、第2配線層17に形成された第1フィードスルー接続パッド21bと、第3配線層18に形成された第1フィードスルー接続パッド21cとの間は、スルーホール100によって誘電体層14、15を貫通して電気的に接続されている。なお、第1プリント基板接続パッド23a、23b、23cの間、第2フィードスルー接続パッド31a、31b、31cの間、および第2プリント基板接続パッド33a、33b、33cの間も同様に、誘電体層14、15を貫通して電気的に接続されている。
【0049】
すなわち、フィードスルー4の電気端子と第1フィードスルー接続パッド21a、21b、21cおよび第2フィードスルー接続パッド31a、31b、31cとは、それぞれ電気的に接続される。
【0050】
ここで、誘電体層14、15を挟んで対向する第1フィードスルー接続パッド21a、第1地導体24aおよび第1プリント基板接続パッド23a(第1地導体パターン)と、第1フィードスルー接続パッド21b、第1フレキシブル基板配線パターン22および第1プリント基板接続パッド23b(第1配線パターン)と、第1フィードスルー接続パッド21c、第1地導体24cおよび第1プリント基板接続パッド23c(第1地導体パターン)とを第1パターン対向部と称する。
【0051】
また、誘電体層14、15を挟んで対向する第2フィードスルー接続パッド31a、第2地導体34aおよび第2プリント基板接続パッド33a(第2地導体パターン)と、第2フィードスルー接続パッド31b、第2フレキシブル基板配線パターン32および第2プリント基板接続パッド33b(第2配線パターン)と、第2フィードスルー接続パッド31c、第2地導体34cおよび第2プリント基板接続パッド33c(第2地導体パターン)とを第2パターン対向部と称する。
【0052】
次に、上記構成の光モジュールの動作について説明する。ここでは、上述した実施の形態1と同様に、パッケージ1からフィードスルー4を介して信号が出力される場合について説明する。なお、フィードスルー4を介してパッケージ1に信号が入力される場合であっても、同様の動作となる。
まず、パッケージ1からの信号が、フィードスルー4の電気端子を介して第1フィードスルー接続パッド21および第2フィードスルー接続パッド31にそれぞれ出力される。
【0053】
第1フィードスルー接続パッド21に出力された信号は、第1フレキシブル基板配線パターン22を伝送する。このとき、第1フレキシブル基板配線パターン22の両面には、それぞれ誘電体層14、15を挟んで第1地導体24a、24cが形成されている。そのため、第1フレキシブル基板配線パターン22と第1地導体24a、24cとの間で電磁的な結合が生じ、いわゆるトリプレート線路を形成し、高周波信号を伝送することができる。第1フレキシブル基板配線パターン22を伝送した信号は、第1プリント基板接続パッド23に出力され、続いてプリント基板7に出力される。
【0054】
同様に、第2フィードスルー接続パッド31に出力された信号は、第2フレキシブル基板配線パターン32を伝送する。このとき、第2フレキシブル基板配線パターン32の両面には、それぞれ誘電体層14、15を挟んで第2地導体34a、34cが形成されている。そのため、第2フレキシブル基板配線パターン32と第2地導体34a、34cとの間で電磁的な結合が生じ、いわゆるトリプレート線路を形成し、高周波信号を伝送することができる。第2フレキシブル基板配線パターン32を伝送した信号は、第2プリント基板接続パッド33に出力され、続いてプリント基板7に出力される。
【0055】
ここで、この発明の実施の形態2に係る光モジュールでは、第1フレキシブル基板配線パターン22の両面に第1地導体24a、24cが形成され、第2フレキシブル基板配線パターン32の両面に第2地導体34a、34cが形成されている。そのため、第1フレキシブル基板配線パターン22と第2フレキシブル基板配線パターン32との電磁干渉を抑制するとともに、外部からの信号に対する電磁干渉も抑制することができる。
【0056】
以上のように、実施の形態2によれば、第1パターン対向部は、2層の第1地導体パターンを含み、2層の第1地導体パターンは、第1配線パターンの両面とそれぞれ誘電体層を挟んで対向し、第2パターン対向部は、2層の第2地導体パターンを含み、2層の第2地導体パターンは、第2配線パターンの両面とそれぞれ誘電体層を挟んで対向する。
そのため、フレキシブル基板の配線密度を低下させ、線路間のアイソレーションを確保してクロストークを低減させることができる。また、1枚のフレキシブル基板なので、容易にフィードスルーと接続することができる。さらに、外部からの信号に対するアイソレーションも確保してクロストークを低減させることができる。
【0057】
実施の形態3.
上記実施の形態1、2では、フレキシブル基板5が、異方導電性接着剤6によってフィードスルー4に接着されている場合について説明した。しかしながら、これに限定されず、フレキシブル基板5は、ハンダ材を用いてフィードスルー4に接続されてもよい。実施の形態3では、ハンダ材を用いてフレキシブル基板5をフィードスルー4に接続する構成について説明する。
【0058】
図5(a)は、この発明の実施の形態3に係るフレキシブル基板5の第1配線層12を示す正面図であり、図5(b)は、このフレキシブル基板5の第2配線層13を透過して示す正面図であり、図5(c)は、このフレキシブル基板5を示す側面図である。
【0059】
図5において、フレキシブル基板5には、第1フィードスルー接続パッド21および第2フィードスルー接続パッド31と隣接して、ハンダ実装用穴41が設けられている。ハンダ実装用穴41は、誘電体層11を貫通して開けられた穴である。その他の構成は、上述した図3と同様なので、説明を省略する。
【0060】
フレキシブル基板5をフィードスルー4にハンダ付けする場合には、ハンダ材の量の制御が問題となる。すなわち、ハンダ材が少ない場合には、十分な接合強度を確保することができない。一方、ハンダ材が多すぎる場合には、フィードスルー4の電気端子と第1フィードスルー接続パッド21または第2フィードスルー接続パッド31との間からハンダ材が広がり、他の電気端子やフィードスルー接続パッドとの間でショートを引き起こす恐れがある。
【0061】
そこで、ハンダ実装用穴41を設けることにより、フィードスルー4の電気端子と第1フィードスルー接続パッド21および第2フィードスルー接続パッド31とのハンダ付けによってあふれたハンダ材を、ハンダ実装用穴41にはみ出させることができる。そのため、多少のハンダ材の過多があった場合でも、ハンダ実装用穴41でハンダ材の量を調節することにより、他の電気端子やフィードスルー接続パッドとの間でショートが生じることを防止することができる。
【0062】
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、フレキシブル基板5が、異方導電性接着剤6またはハンダ材によってフィードスルー4に固着されている場合について説明したが、さらに、固定治具を用いてフレキシブル基板5をフィードスルー4に固着してもよい。実施の形態4では、固定治具を用いてフレキシブル基板5をフィードスルー4に固着する構成について説明する。
【0063】
図6(a)は、この発明の実施の形態4に係る光モジュールを示す正面図であり、図6(b)は、この光モジュールを示す側面図である。図6において、フレキシブル基板5に覆いかぶさるようにコの字状の補強部材42が配置されている。補強部材42は、例えばアクリルやプラスチックといった非金属材料で形成され、補強接着剤43によってパッケージ1に接着固定されている。その他の構成は、上述した図2と同様なので、説明を省略する。
【0064】
フレキシブル基板5がフィードスルー4との接続界面付近で折り曲げられる場合、補強部材42によって折れ曲がる箇所が強制されるので、異方導電性接着剤6またはハンダ材の接合箇所に応力がかかることがなく、この箇所で曲げられることはない。また、補強部材42は、非金属材料で形成されているので、補強部材42が第1フレキシブル基板配線パターン22や第2フレキシブル基板配線パターン32を覆うように配置された場合であっても、電磁界の乱れは小さく、信号の伝送特性に影響を与えることはほとんどない。
【0065】
したがって、補強部材42を設けることにより、フレキシブル基板5の折り曲げ箇所が強制的に固定されるので、接合強度を十分に確保することができない異方導電性接着剤やハンダ材を用いた場合であっても、十分な接合強度を確保することができる。
【0066】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、フレキシブル基板5が、異方導電性接着剤6またはハンダ材によってフィードスルー4に固着されている場合について説明したが、このとき、位置決め用ピンおよび位置決め用穴を用いてフレキシブル基板5とフィードスルー4との位置決めをしてもよい。実施の形態5では、位置決め用ピンを用いてフレキシブル基板5とフィードスルー4との位置決めをする構成について説明する。
【0067】
図7(a)は、この発明の実施の形態5に係る光モジュールを示す正面図であり、図7(b)は、この光モジュールを示す側面図である。図7において、フレキシブル基板5およびフィードスルー4には、位置決め用ピン44を挿入するための位置決め用穴45が形成されている。その他の構成は、上述した図2と同様なので、説明を省略する。
【0068】
通常、フレキシブル基板5とフィードスルー4との位置決めは、第1フィードスルー接続パッド21および第2フィードスルー接続パッド31の外形形状と、フィードスルー4の電気端子の外形形状とを透かしてみることによって行われている。これに対して、この発明の実施の形態5に係る光モジュールでは、フレキシブル基板5をフィードスルー4に接続する際に、位置決め用ピン44をフレキシブル基板5側から位置決め用穴45に挿入する。そのため、フレキシブル基板5とフィードスルー4との位置決めを一意に行うことができる。
【0069】
このように、フレキシブル基板5とフィードスルー4との位置決めを一意に行うことにより、位置決めを正確に行うことができるので、第1フィードスルー接続パッド21および第2フィードスルー接続パッド31のパッドピッチをより狭くし、フレキシブル基板5の配線密度を高めることができる。また、フレキシブル基板5とフィードスルー4との位置決めを一意に行うことができるので、フレキシブル基板5をフィードスルー4に接続する時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 パッケージ、4 フィードスルー、5 フレキシブル基板、6 異方導電性接着剤、11、14、15 誘電体層、12、16 第1配線層、13、17 第2配線層、18 第3配線層、21、21a、21b、21c 第1フィードスルー接続パッド、22 第1フレキシブル基板配線パターン、23、23a、23b、23c 第1プリント基板接続パッド、24、24a、24c 第1地導体、31、31a、31b、31c 第2フィードスルー接続パッド、32 第2フレキシブル基板配線パターン、33、33a、33b、33c 第2プリント基板接続パッド、34、34a、34c 第2地導体、41 ハンダ実装用穴、42 補強部材、43 補強接着剤、44 位置決め用ピン、45 位置決め用穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光デバイスが収容されたパッケージと、前記パッケージの一端側に設けられ、前記パッケージ外面に、前記パッケージ内面で前記光デバイスと電気的に接続された電気端子を有するフィードスルーと、前記フィードスルーに固着されたフレキシブル基板と、を備えた光モジュールであって、
前記フレキシブル基板は、
誘電体層と、
前記誘電体層を挟んで対向する第1地導体パターン、および前記電気端子と電気的に接続された第1配線パターンを有する第1パターン対向部と、
前記誘電体層を挟んで対向する第2地導体パターン、および前記電気端子と電気的に接続された第2配線パターンを有し、前記誘電体層の長さ方向について、前記第1パターン対向部と対向する第2パターン対向部と、を有し、
前記第1パターン対向部と前記第2パターン対向部との間の部分を中心に前記誘電体層を折り曲げたときに、前記第1地導体パターンおよび前記第2地導体パターンの少なくとも一方が、前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの間に位置する
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記第1パターン対向部は、2層の前記第1地導体パターンを含み、前記2層の第1地導体パターンは、前記第1配線パターンの両面とそれぞれ前記誘電体層を挟んで対向し、
前記第2パターン対向部は、2層の前記第2地導体パターンを含み、前記2層の第2地導体パターンは、前記第2配線パターンの両面とそれぞれ前記誘電体層を挟んで対向する
ことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記フレキシブル基板は、前記第1パターン対向部と前記第2パターン対向部との間の部分が、異方導電性接着剤によって前記フィードスルーに接着されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記フレキシブル基板は、前記第1パターン対向部と前記第2パターン対向部との間の部分が、ハンダ材によって前記フィードスルーに接続されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記フレキシブル基板には、前記電気端子と対向する第1フィードスルー接続パッドおよび第2フィードスルー接続パッドと隣接して、ハンダ実装用穴が設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記フレキシブル基板に覆いかぶさるように配置され、前記パッケージに固着された補強部材をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記フレキシブル基板および前記フィードスルーには、前記フレキシブル基板と前記フィードスルーとの位置決めを行うための位置決め用ピンが挿入される位置決め用穴が形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−18289(P2012−18289A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155471(P2010−155471)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、「超高速光伝送システム技術の研究開発(イーサネット向け超高速省電力光伝送技術)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】