説明

光伝送路遮断接続装置、および光伝送装置動作検証システム

【課題】複数系統の光伝送路の両端に光伝送装置を接続した際、1系統の光伝送路における送信線と受信線の2本の光通信線について、自動的かつ個別に遮断・接続可能な光伝送路遮断接続装置を提供する。
【解決手段】信号伝送方向が異なる2本の光通信線(Ft1〜Ft4,Fr1〜Fr4)で構成された光伝送路(An-Bn:n=1,2,3…)に介在し、n系統の光伝送路における2n本の光通信線のそれぞれに対応する2n個の光スイッチ(20t,20r)と、各光スイッチの遮断・接続状態を制御する制御部10とを備え、光スイッチは、二つ一組で光スイッチ対SWnを構成して1系統の光伝送路に介在するとともに、制御部の制御により1本の光通信線毎に遮断と接続を行い、制御部は、各光スイッチの遮断と接続の状態を指定するスイッチング指示情報を受信して、所定の光スイッチに対して遮断あるいは接続を行わせる光伝送路遮断接続装置1としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は光通信に用いる光伝送装置間の光伝送路を接続したり遮断したりするための光伝送路遮断接続装置に関する。また、光伝送装置の動作を検証するためのシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバからなる光伝送路を介して通信する装置(以下、光伝送装置)には、メディアコンバータと呼ばれる光回線終端装置(OLU:Optical Line Terminal)や、そのメディアコンバータを内蔵したルータなどがある。これら光伝送装置は、光伝送路を介した相互通信に際し、光伝送路が物理的に接続されて通信を開始したり、あるいは光伝送路が切断(遮断)されて通信が不能になったりすると、その旨の情報を、例えば、光伝送装置の後段に接続されるLAN上のコンピュータなどに向けて出力する。すなわち、光伝送装置は、光伝送路の状態によって所定の挙動を示すようになっている。
【0003】
このような光伝送装置では、実際に商用ネットワーク上に設置される前の製品出荷段階において、光伝送路を介して正しくデータ通信が行われるかどうかを試験する動作検証が必要となる。検証は、例えば、一つの光伝送路の両端にそれぞれ光伝送装置を接続し、通信経路を接続したときの状態と、通信経路を遮断したときの状態とを再現し、所定の挙動を示すかどうかによって行う。
【0004】
なお、以下の特許文献1には、アクチュエータを用いて光導波路中の光路を遮蔽したり接続したりすることで、光伝送路の遮断と接続を行う光スイッチについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−99678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光伝送装置は、商用ネットワークに接続される機器であり、確実に動作することを事前に検証しておくことが必要となる。しかし、上述したように、光伝送装置の動作検証は、光伝送路の接続と遮断という人手に頼る基本動作を主体にして行われる。確かに、上記特許文献1に記載したような光スイッチを用いれば、人が光コネクタを挿抜するなどの手作業を不要とするが、個々の光伝送路の接続と遮断は、やはり人がその光スイッチを操作する必要がある。しかも、一系統分の光伝送路は、光信号の伝送方向が異なる2本の通信線で構成されている。この2本の通信線は、一方の光伝送装置から見て、他方の光伝送装置に光信号を送信するための通信線(送信線)と、他方の光伝送装置からの光信号を受信するための通信線(受信線)である。なお、送信線はTx、受信線はRxと呼ばれている。確かに、周知の波長分割多重(WDM)方式を用いたデータ通信により、TxとRxを1本の光ファイバで構成する場合も多くなってきているが、依然として、1系統の光伝送路を2本の光ファイバで構成する場合の方が多い。
【0007】
したがって、1系統の光伝送路を介して接続される一対の光伝送装置間での動作検証には、図12に示したように、TxとRxの双方における切断と接続の組み合わせ状態、すなわち四つの状態を全て再現する必要がある。このような動作検証を多数の光伝送装置に対して人の手で行えば、その検証作業に多大な労力と時間が掛かり、結果的に光伝送装置を安価に提供することが困難となる。
【0008】
したがって、本発明は、複数系統の光伝送路の両端に光伝送装置を接続した際、1系統の光伝送路におけるTxとRxの2本の光通信線について、自動的かつ個別に遮断・接続可能な光伝送路遮断接続装置を提供することを目的としている。また、その光伝送路遮断接続装置を主要素として、光伝送装置間の動作を検証するための光伝送装置動作検証システムを提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記光伝送路遮断接続装置に係る本発明は、光信号の伝送方向が異なる2本の光通信線で構成された光伝送路に介在して各光伝送路の遮断・接続を行う光伝送路遮断接続装置であって、
n系統の光伝送路における2n本の光通信線のそれぞれに対応する2n個の光スイッチと、各光スイッチの遮断・接続状態を制御するスイッチング制御部とを備え、
前記光スイッチは、二つ一組で光スイッチ対を構成して1系統の光伝送路に介在するとともに、スイッチング制御部の制御により1本の光通信線毎に遮断と接続を行い、
前記スイッチング制御部は、各光スイッチの遮断と接続の状態を指定するスイッチング指示情報を受信して、所定の光スイッチに対して遮断あるいは接続を行わせる
光伝送路遮断接続装置としている。
【0010】
また、本発明はn系統の光伝送路の両端に接続される光伝送装置の動作を検証するための光伝送装置動作検証システムにも及んでおり、当該光伝送装置動作検証システムに係る発明は、上記光伝送路遮断接続装置と、所定の通信ネットワークを介して当該遮断接続装置の前記スイッチング制御部、および前記光伝送装置と通信する情報処理部とを含み、
前記情報処理部は、前記スイッチング制御部に対して特定の光伝送路に対応する1組の前記光スイッチ対における前記二つの光スイッチのそれぞれについての遮断・接続状態を指定したスイッチング指示情報を出力するスイッチング指示処理と、当該スイッチング指示処理に応答して前記特定の光伝送路における前記二つの光スイッチが所定の遮断・接続状態になったときに、当該光伝送路に接続されている2台の前記光伝送装置が出力する挙動情報を前記通信ネットワークを介して受信する挙動情報受信処理と、を実行することを特徴としている。
【0011】
そして、上記光伝送装置動作検証システムを基本発明とし、当該基本発明において、前記光伝送路遮断接続装置は、前記光伝送路に光伝送装置を複数接続し、前記スイッチング制御部は、前記情報処理部から所定内容のスイッチング指示情報を受信すると、各系統の前記光伝送路における前記二つの光スイッチの遮断・接続状態を所定の手順で一斉に遷移させる光伝送装置動作検証システムとすることもできる。
【0012】
ところで、光伝送装置には、メーカや型式が異なる多種多様なタイプが存在し、通信相手となる光伝送装置の組み合わせは膨大な数に及ぶ、実際の商用ネットワークでは、異種光伝送装置間での通信も当然考えられる。したがって、光伝送装置は、その出荷段階において、異種光伝送装置との通信を考慮して動作検証する必要がある。本発明は、このような要求にも対応できる光伝送装置動作検証システムも範囲としている。
【0013】
そして、その異種光伝送装置間での動作検証を行える光伝送装置動作検証システムは、上記基本発明において、前記光伝送路遮断接続装置に対して前記n系統の光伝送路の一端側に介在し、前記情報処理部からの指示情報に従って、当該n系統の光伝送路のいずれかを、前記光伝送路遮断接続装置におけるいずれか1組の前記光スイッチ対の一端に接続することで、前記n系統の光伝送路のいずれかの前記一端側に接続される光伝送装置からの光信号を選択的に前記光伝送路遮断接続装置に入力させる第1マトリクススイッチを備えたことを特徴としている。
【0014】
上記第1マトリクススイッチを備えた光伝送装置動作検証システムにおいて、前記光伝送路遮断接続装置に対して前記n系統の光伝送路の他端側に介在し、前記情報処理部からの指示情報に従って、当該n系統の光伝送路のいずれかを、前記光伝送路遮断接続装置におけるいずれか1組の前記光スイッチ対の他端に接続することで、前記光伝送路遮断接続装置から出力される光信号を前記n系統の光伝送路のいずれかの前記他端側に接続される光伝送装置に入力させる第2マトリクススイッチを備えた光伝送装置動作検証システムも本発明の範囲である。
【0015】
また、光伝送装置と同様に、光伝送路構成する光ファイバにも特性が異なる多種多様なタイプが存在する。実際の商用ネットワークでは、異種光伝送装置間での通信、多種多様な特性の光ファイバを介しての通信など、その多種多様なネットワーク構成が想定される。本発明は、このようなネットワーク構成の多様性にも対応できる光伝送装置動作検証システムにも及んでいる。
【0016】
そして、当該光伝送装置動作検証システムは、第1および第2マトリクススイッチを備えた上記光伝送装置動作検証システムにおいて、前記n系統の光伝送路が、前記光伝送路遮断接続装置と前記第1マトリクススイッチ、あるいは前記第2マトリクススイッチとの間の経路で、それぞれ光信号の伝送特性が異なっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光伝送路遮断接続装置によれば、複数系統の光伝送路の両端に光伝送装置を接続した際、1系統の光伝送路における送信線と受信線の2本の光通信線について、自動的かつ個別に遮断・接続することが可能となる。したがって、多数の光伝送装置の動作検証を容易に、かつ短時間で行える。光伝送装置の動作検証に係るコストを低減させることができるため、光伝送装置を安価に提供することも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態である光伝送路遮断接続装置の機能ブロック図である。
【図2】上記光伝送路遮断接続装置の外観図である。
【図3】上記光伝送路遮断接続装置の内外における光ファイバの接続状態を示す図である。
【図4】光伝送装置動作検証システムに係る発明の第1実施例、および第2実施例の構成を示す図である。
【図5】上記光伝送装置動作検証システムを構成する情報処理部が出力するスイッチング指示情報の概略図である。
【図6】上記情報処理部による動作検証処理の流れを示す図である。
【図7】光伝送装置動作検証システムに係る発明の第3実施例の構成を示す図である。
【図8】上記第3実施例の光伝送装置動作検証システムを構成する光路選択装置の機能ブロック図である。
【図9】光伝送装置動作検証システムに係る発明の第4実施例、および第5実施例の構成を示す図である。
【図10】光伝送装置動作検証システムに係る発明のその他の実施例の構成を示す図である。
【図11】上記その他の実施例における変形例の構成を示す図である。
【図12】光伝送路における2本の通信線の遮断・接続状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
===光伝送路遮断接続装置の構成===
図1に、光伝送路遮断接続装置に係る本発明の一実施形態を機能ブロック構成として示した。当該光伝送路遮断接続装置(以下、遮断接続装置)1は、外部電源(図示せず)により動作し、スイッチング制御部10と、並列に複数配置された1×1タイプの光スイッチ(20t,20r)などを含んで構成されている。
【0020】
スイッチング制御部10は、例えば、CPUとメモリを備えたマイクロコンピュータなどで構成することができる。そして、各光スイッチ(20t,20r)に対して遮断と接続を指示するための制御信号を出力する。また、この遮断接続装置1は、100BASE−TXなど、所定規格のLANポート40を備え、スイッチング制御部10は、当該LANポート40を介してEthernet(登録商標)などのLANに接続されている外部の情報処理装置(コンピュータ)と通信するための通信インタフェース(IF)11を含んでいる。例示した遮断接続装置1では、さらに、光スイッチ(20t,20r)の遮断と接続の各状態に応じて点灯したり消灯したりするLEDなどの表示器50を備え、スイッチング制御部10には、この表示器50用の駆動回路12も含まれている。
【0021】
各光スイッチ(20t,20r)は、その両端に光ファイバの接続ポートを備え、双方の接続ポートに接続される光ファイバ間の光路に介在して、スイッチング制御部10からの制御信号を制御信号線13を介して受信すると、その光路を遮断したり接続したりする開閉動作を行う。また、光スイッチ(20t,20r)は、一系統分の光伝送路(An-Bn:n=1〜4)について、二つ1組で対応し、この1組中の二つの光スイッチ(20t,20r)の両端に接続されている光ファイバ(Ft2−Ft3,Fr2-Fr3)が、光通信におけるTx通信線とRx通信線とに個別に対応している。すなわち、互いに通信する2台の光伝送装置は、光スイッチ(20t,20r)を介して接続する光ファイバ(Ft1〜Ft4,Fr1〜Fr4)からなる光伝送路(An-Bn)を介して通信し、その通信経路の途上に、二つ1組の光スイッチ(20t,20r、以下、光スイッチ対)が介在することになる。ここに例示した遮断接続装置1では、4系統の光伝送路(An-Bn)のそれぞれに接続するように、4組の光スイッチ対(SWn:n=1〜4)を備えているものとする。
【0022】
また、各光スイッチ(20t,20r)に接続されている光ファイバ(Ft2,Fr2,Ft3,Fr3)の末端は、筐体外部の光アダプタ(31t,31r,32t,32r)に案内されている。したがって、遮断接続装置1は、1系統の光伝送路(An-Bn)毎に、二つ1組の光スイッチ対SWn、4本の光ファイバ(Ft2,Ft3,Fr2,Fr3)、および4個の光アダプタ(31t,31r、および32t,32r)を備えていることになる。なお、光伝送路(An-Bn)におけるTxとRxの関係は、その光伝送路(An-Bn)の両端に接続される光伝送装置の一方と他方のそれぞれから見ると逆転することになるが、ここでは説明を容易にするために、便宜上、1系統の光伝送路(An-Bn)における2本一組の光ファイバ(Ft1−Fr1〜Ft4−Fr4)の一方をTx、他方をRxと称することとする。
【0023】
図2に、本実施形態における遮断接続装置1の外観を示した。遮断接続装置1の筐体2は、上下に扁平な箱形であり、この筐体2内にスイッチング制御部10と光スイッチ(20t,20r)を内蔵している。筐体2の外側前面3には、光アダプタ(31t,31r,32t,32r)と、LANポート40、定圧電源入力端子60、表示器50、および電源スイッチ70が配設され、外部機器との接続、およびこの装置の操作や動作確認に関わる機能が筐体2の前面3に集中配置されている。
【0024】
図3に、当該遮断接続装置における上記光アダプタ(31t,31r,32t,32r)、その光アダプタ(31t,31r,32t,32r)に接続される光コネクタ(131t,131r,132t,132r)、および筐体2の内部における光ファイバ(Ft2,Ft3,Fr2,Fr3)と光スイッチ(20t,20r)との接続構造を簡略化して示した。光アダプタ(31t,31r,32t,32r)は、SC型など、適宜な規格に準拠した構造で、上述した機能ブロック構成によれば、光伝送路(An-Bn)を介して互いに通信する2台1組の光伝送装置ごとに、二つの光スイッチ対(SWn)と、四つの光アダプタ(31t,31r,32t,32r)が必要である。この例では、上下に並べられた二つ一組の光アダプタ(31t−32t,31r−32r)を左右に二組並べることで上記四つの光アダプタ(31t,31r,32t,32r)を設けている。
【0025】
また、光伝送路(An-Bn)を構成する2本の光ファイバ(Tx,Rx)は、その一端が互いに通信する2台の光伝送装置のそれぞれに接続されるとともに、他端に光アダプタ(31t,31r,32t,32r)に係合する光コネクタ(131t,131r,132t,132r)を備えている。そして、二組の光アダプタ(31t−32t,31r−32r)を左右に並べた際、上段と下段の二つの光アダプタ(31t−31r,32t−32r)が1台の光伝送装置に対応し、左右一方の光アダプタ(31t,32t)がTx通信線となる光ファイバ(Ft1,Ft4)に接続され、他方(31r,32r)がRx通信線となる光ファイバ(Fr1,Fr4)に接続される。
【0026】
一方、筐体2の内部では、上段と下段の左側の光アダプタ同士(31t-32t)、および右側の光アダプタ同士(31r-32r)を連絡する光ファイバ(Ft2-Fr3,Fr2−Fr3)の光路上に光スイッチ(20t,20r)が介在している。図示した光スイッチは、ピグティル型であり、実際には、筐体内の基板上に実装されている。そして、図2に示したように、遮断接続装置1の筐体前面3には、四つ一組の光アダプタ(31t,31r,32t,32r)が左右に4組配設されて、8台4組の光伝送装置を接続することができるようになっている。
【0027】
===遮断接続装置の動作===
上記構成の遮断接続装置1において、スイッチング制御部10は、各光スイッチ(20t,20r)の開閉状態を指示する情報(スイッチング指示情報)を、例えば、LAN上に設置された情報処理部(コンピュータなど)から通信IF11を介して受信すると、その指示情報に基づいて、所定の光スイッチ(20t,20r)を遮断、あるいは切断させる制御信号を出力する。また、表示駆動回路12により、その制御信号の出力状態を表示器50の点灯状態に反映させる。
【0028】
各光スイッチ(20t,20r)は、スイッチング制御部10からの制御信号に従って光路を開閉し、特定の系統の光伝送路(An-Bn)におけるTx用とRx用の光ファイバ(Ft2-Ft3,Fr2−Fr3)の光路を個別に遮断/切断する。それによって、従来、人が行っていた光伝送路の遮断/接続作業を全自動化することが可能となる。
【0029】
===光伝送装置動作検証システム===
上記遮断接続装置1は、複数の光伝送路(An-Bn)の両端に光伝送装置を接続することで、商用ネットワーク上の光伝送装置間の光通信状況を再現するとともに、上述した構成と動作とにより、任意の光伝送路(An-Bn)のTxとRxの任意の光ファイバ(Ft2−Ft3,Fr2−Fr3)の光路の遮断・接続状態も再現することができる。
【0030】
正常に動作する光伝送装置は、光伝送路(An-Bn)の遮断・接続状態に応じて所定の挙動を示す、すなわち特定の情報を出力する。そこで、上記遮断接続装置1を、各光伝送装置が光伝送路(An-Bn)の状態に応じて正しい挙動を示すか否かを検証するためのシステムの主要部として使用することが考えられる。そして本発明は、この光伝送装置の挙動を確認するためのシステム(光伝送装置動作検証システム:以下、動作検証システム)にも及んでいる。以下では、光伝送装置動作検証システムに係る発明について、いつかの実施例を挙げる。
【0031】
===第1の実施例===
以下に挙げる動作検証システムに係る本発明の実施例は、上記実施形態における遮断接続装置1を主要構成としたコンピュータシステムである。図4に、本発明の第1実施例における動作検証システム100aについて、そのネットワーク構成を示した。遮断接続装置1には、光伝送装置として8台4組のルータ(Rna-Rnb:n=1〜4)が接続されている。なお、各ルータRnaとRnbのnは同じであり、互いに通信相手となるルータ(Rna-Rnb)は、1対1の関係であることを示している。
【0032】
そして、この動作検証システム100a全体を制御するための情報処理部として、パーソナルコンピュータ(以下、PC)101がLAN102に接続され、そのLAN102上に遮断接続装置1、および各光伝送装置(Rna-Rnb)がPC101と通信可能に接続されている。
【0033】
PC101には、光伝送装置(Rna,Rnb)の動作検証用のソフトウエアがインストールされており、PC101はこのソフトウエアを実行することで、動作検証システム100aの主制御部として動作し、LAN102を介して遮断接続装置1に指定の光伝送路(An-Bn)における光スイッチ対SWnの遮断・接続状態を指示する情報(スイッチング指示情報)を送信する。図5にスイッチング指示情報の概略構造を示した。光伝送路の指定情報201と、TxとRxのそれぞれの光ファイバ(Ft1,Fr1)の光路に対する遮断あるいは接続の指示情報(202t,202r)が記述されている。遮断接続装置1のスイッチング制御部10は、例えば、光伝送路(An-Bn)のそれぞれに対応する光スイッチ(20t,20r)を自身のメモリに記憶されている識別子によって認識し、通信IF11により、PC101からLANポート50を介してスイッチング指示情報を受け取ると、その指示情報に従って特定の光伝送路(An-Bn)における二つの光スイッチ(20t,20r)の一方、あるいは両方を開閉制御して、その光伝送路(An-Bn)を指定の遮断・接続状態にする。
【0034】
またPCは、光伝送装置(Rna,Rnb)に対して通信の開始や終了を指示する情報を出力したり、光伝送装置(Rna,Rnb)が光伝送路の遮断・接続状態を検出したときに出力する情報(挙動情報)を受け取ったりする。このように、PC101は、遮断接続装置1や光伝送装置(R1n,R2n)を制御するとともに、光伝送装置(Rna,Rnb)からの挙動情報を監視することで光伝送装置(Rna,Rnb)の動作状態を検証していく。
【0035】
図6にPC101における光伝送装置動作検証処理の流れについて、その一例を示した。まず、遮断接続装置1のスイッチング制御部10に向けて、特定の光伝送路(An-Bn)におけるTxとRxの光ファイバ(Ft1,Fr1)双方を接続状態にする旨のスイッチング指示情報を出力する(s1)。また、当該光伝送路(An-Bn)の両端に接続されている2台の光伝送装置(Rna,Rnb)に対して通信の開始を指示する情報を出力する(s2)。そして、光伝送路(An-Bn)の遮断・接続状態を変化させる度に、その状態を記述したスイッチング指示情報を出力するとともに、光伝送路の遮断・接続状態を変化させたときの各光伝送装置(Rna,Rnb)からの挙動情報の出力状況を監視する。
【0036】
具体的には、光伝送路(An-Bn)の遮断・接続状態を変化させてから一定時間が経過したり、間違った挙動情報が出力されたりした場合には、例えば、光伝送装置(Rna,Rnb)の識別子と遮断・接続状態とエラーの内容(タイムアウト、挙動情報の誤出力など)をエラー情報として記憶する(s3,s4→s6、s3,s4→s5→s6)。制限時間以内に正しい挙動情報を入力したならば、正常動作情報として、光伝送装置(Rna,Rnb)の識別子と正常動作内容(遮断・接続状態など)を記憶する(s3,s4→s5→s7)。
【0037】
接続・遮断状態を一通り変化させて動作検証を終えたならば、動作検証中に入力したエラー情報や正常動作情報を、後段の情報処理に受け渡す(s8→s9)。なお、後段の情報処理としては、例えば、利用者に向けて表示出力したり、記憶情報を各光伝送装置(Rna,Rnb)の挙動を解析する際に必要な所定形式のデータに加工したり、データ解析用の他のソフトウエアの処理に受け渡したりすることなどが考えられる。
【0038】
なお、この第1の実施例では、遮断接続装置1がスイッチング指示情報をPC101などの外部の情報処理部から受け取る構成とせず、スイッチング制御部10のメモリに、各光スイッチ(20t,20r)の開閉状態の遷移手順を記述した情報を記憶させておき、スイッチング制御部10自体を情報処理部としても機能させる構成に変更することができる。この変更例では、PC101は、利用者による操作入力情報や、各光スイッチ(20t,20r)への制御信号の出力状態を遮断接続装置1側から受け取ることで、光伝送路(An-Bn)の遮断・接続状態を検知するとともに、光伝送装置(Rna,Rnb)から、その遮断・接続状態に応じた挙動を示す情報を受信すればよい。
【0039】
なお、挙動情報を遮断接続装置1が受信する構成にすることもできる。例えば、光伝送装置(Rna,Rnb)が、光伝送路(An−Bn)の遮断・接続状態に応じ、その光伝送路上(An−Bn)に光信号による挙動信号を送出する場合では、PC101がLAN102を介して挙動情報を受信するのに代えて、遮断接続装置1が光伝送路を介して挙動情報を受信することになる。そして、遮断接続装置に、受信した光信号による挙動信号を電気信号に変換する構成と、電気信号に変換された挙動信号の内容を処理する構成と、その処理結果を表示器50の点灯状態に反映させる構成とを含ませる。あるいは、テキスト表示をする液晶表示器などを遮断接続装置1に備えさせて、挙動情報の内容などをより具体的に表示する構成としてもよい。
【0040】
もちろん、光伝送装置(Rna,Rnb)が、光伝送路の遮断に応動して光伝送路(An−Bn)を介したデータ通信を停止するような場合では、遮断接続装置1の表示器50を光信号の入力時に点灯させるようにしておけばよい。すなわち、伝送装置(Rna,Rnb)が正しく動作していれば、TxとRxのいずれか一方を遮断すれば、データ通信が停止し、表示器50が消灯する。この消灯状態により、伝送装置が正しい挙動を示しているか否かを確認することができる。
【0041】
===第2の実施例===
第1の実施例では、1対1の対応関係にある2台の光伝送装置(Rna,Rnb)を複数系統並列に接続した状態で動作検証を行うことを前提としている。そこで、例えば、この第1の実施例における動作検証システム100aの構成を用い、全光伝送路(An-Bn)に光伝送装置(Rna,Rnb)を接続し、全光伝送装置(Rna,Rnb)の挙動を同時に一括して確認できる動作検証システムに発展させることもできる。
【0042】
具体的には、図4に示したネットワーク構成において、遮断接続装置1の複数系統の光伝送路(An-Bn)の両端に光伝送装置(Rna,Rnb)を1対1の関係となるように接続するとともに、PC101は、スイッチング制御部10に対し、全系統の光伝送路(An-Bn)の遮断・接続状態の遷移手順を記述したスイッチング指示情報を送信する。スイッチング制御部10は、このスイッチング指示情報に従って、各光伝送路(An-Bn)におけるTx用とRx用の2本の光ファイバ(Ft1,Fr1)の光路を同じ手順で一斉に開閉する。
【0043】
このように、第2の実施例では、多数の光伝送装置(Rna,Rnb)の挙動を一斉に検証することができるため、例えば、光伝送装置(Rna,Rnb)の出荷検査時などに、同じ型式の光伝送装置(Rna,Rnb)を大量に動作検証する場合などに利用することができる。
【0044】
===第3の実施例===
上記第1および第2の実施例は、1対1の対応関係にある2台の光伝送装置(Rna,Rnb)を複数系統並列に接続した状態で動作検証を行っていた。しかし、同じプロトコルで通信する光伝送装置(R1n,R2n)であっても、メーカや型式が異なることによる、いわゆる「相性問題」が発生する可能性も十分にあり得る。そして、メーカや型式などが異なる光伝送装置(R1n,R2n)の組み合わせは膨大な数に及ぶ。第3の実施例は、このような異種光伝送装置間での動作検証も行えるシステム構成としている。
【0045】
図7に第3の実施例における動作検証システム100bの構成を示した。第3の実施例の動作検証システム100bは、PC101によって制御される2台の多肢選択型の光スイッチ装置(光路選択装置:SL1,SL2)が追加されている点が第1および第2の実施例の動作検証システム100aと異なっている。なお、当該動作検証システム100bにおいて、遮断接続装置1と2台の光路選択装置(SL1、SL2)は、個別の筐体で構成されていてもよいし、全部(1,SL1、SL2)、あるいは適宜な組み合わせ(SL1とSL2など)ごとに一つの筐体で構成されていてもよい。
【0046】
図8に、図7における光路選択装置(SL1,SL2)の内部構成を示した。ここでは、2台の光路選択装置(SL1,SL2)が個別の筐体で構成されているものとし、その構成や動作について、一方の光路選択装置SL1を例に挙げて説明する。また、i、jをそれぞれ1〜4の任意の整数として光伝送路上の特定の経路や特定の光伝送装置を表現するものとする。各光路選択装置(SL1,SL2)は、複数系統の光伝送路に対応する経路(Ci,Aj)に接続する側(多肢側)と1系統の光伝送路に対応する経路(D,E)と接続する側(選択側)の両端に図3に示した光コネクタ(131t,131r,132t,132r)と同様の光コネクタ34に接続される光アダプタ33を備えている。そして、多肢側経路Ciの光アダプタ33から案内される光ファイバ(Ft5,Fr5)が、TxとRxの2本を一組として2×2タイプの光スイッチ22に接続され、各光スイッチ22における選択側の光ファイバ(Ft6,Fr6)が2本の光ファイバ(Ft7,Fr7)に集約され、総体的に2×8タイプの光スイッチ120が構成されている。
【0047】
また、光スイッチ22以外の構成は、ほぼ遮断接続装置1と同様の構成となっており、例えば、光路選択制御部110は、遮断接続装置1におけるスイッチング制御部10に相当し、LAN102を介してPC101と通信する通信IF111を備え、PC101から特定の経路Ciを選択する旨の情報(光伝送路選択情報)を受信すると、各2×2タイプの光スイッチ22に制御信号線113を介して制御信号を送信し、多肢側経路Ciにおける特定の1系統分の2本の光ファイバ(Ft5,Fr5)からの光路のみを、選択側経路Dの2本の光ファイバ(Ft7,Fr7)の光路に導くように光スイッチ22を動作させる。すなわち、一つの2×2タイプの光スイッチ22を接続状態にすれば、他の光スイッチ22を遮断状態にする。
【0048】
そして、第3の実施例における動作検証システム100bでは、図7に示したように、上記多肢選択型の2台の光路選択装置(SL1,SL2)のそれぞれの選択側(D,E)の光ファイバ(Ft6−Ft7,Fr6−Fr7)を光コネクタ35を介して接続することで、両端が多肢側(Cn,An)となるマトリクス型の光スイッチ(マトリクススイッチ:MX1)を構成要素として含んでいる点に特徴があり、マトリクススイッチMX1に接続されている4台の光伝送装置Riaのいずれかと、遮断接続装置1に接続されている4台のいずれかの光伝送装置Rjbとを通信相手として任意に選択し、合計4×4=16通りの組み合わせを自在に設定することができる。そして、その組み合わされた2台の光伝送装置(Ria,Rjb)間の光伝送路(Ci-D-E-Aj-Bj)をTxとRx毎に個別に遮断・接続することができるようになっている。なお、光伝送装置(Ria,Rjb)の組み合わせに応じた動作検証を行う際には、PC101が、光伝送装置(Ria,Rjb)の組み合わせ(Ria-Rjb)と、光伝送路(Ci-D-E-Aj-Bj)の遮断・接続状態に応じた挙動情報とを対応付けして記憶したり、表示出力したりすればよい。
【0049】
===第4の実施例===
第3の実施例は、多対多の関係で互いに通信し合う光伝送装置(Ria,Rjb)の組み合わせ(Ria-Rjb)を設定できる構成であった。第4の実施例では、この第3の実施例の構成をさらに発展させて、その多対多の関係とともに、光伝送路の経路も選択できる構成となっている。図9に当該第4の実施例における動作検証システム101cの構成を示した。また、第4の実施例では、i、j、mをそれぞれ1〜4の任意の整数として光伝送路上の特定の経路や特定の光伝送装置を表現することとする。光伝送路(Ci-D-E-Aj-Bj-F-G-Hm)の途上に、第3の実施例におけるマトリクススイッチMX1に加え、これと同じマトリクススイッチMX2を備えている。そして、各マトリクススイッチ(MX1,MX2)が遮断接続装置1の両側に配置されている。
【0050】
この構成によれば、例えば、ある2台の光伝送装置(Ria-Rmb)がある光伝送路(Ci-D-E-Aj-Bj-F-G-Hm)を介して通信しているときに、その光伝送路(Ci-D-E-Aj-Bj-F-G-Hm)が遮断された際、他の光伝送路(Ci-D-E-Aj-Bj-F-G-Hm)を介して再接続する冗長処理を確実に行うことができるか否か、などを検証することができる。
【0051】
当該冗長処理に関わる動作検証として、光伝送装置R1aとR2bとの光伝送路を可変設定する例を挙げると、光伝送路(Ci-D-E-Aj-Bj-F-G-Hm)における末端の経路C1とH2が決まっているので、遮断接続装置1内のどの光スイッチ対(SWj)を経由させるのかを任意に設定することになる。この任意に設定可能な経路(Aj-Bj)を商用ネットワーク上の光伝送路と見なす。例えば、初期設定として、2台の光伝送装置R1aとR2bがC1-D-E-A2-B2-F-G-H2の経路で通信するように設定されていたとする。すなわち、遮断接続装置1において、経路(A2,B2)の途上に介在するスイッチ対SW2は、TxとRxの双方の光ファイバ(Ft2−Ft3,Fr2−Fr3)が接続された状態となっている。
【0052】
ここで、PC101が、スイッチ対SW2の2本の光ファイバ(Ft2−Ft3,Fr2−Fr3)のいずれかを遮断する旨のスイッチング指示情報を遮断接続装置1に宛てて送信すると、遮断接続装置1では、この指示情報に基づいてスイッチ対SW2の一方の光ファイバ(Ft2−Ft3,Fr2−Fr3)を遮断する。2台の光伝送装置(R1a,R2b)が正常に機能していれば、双方の光伝送装置(R1a,R2b)が、この一方の光ファイバ(Ft2−Ft3,Fr2−Fr3)が遮断された旨の挙動情報をPC101に向けて出力する。PC101は、2台の光伝送装置(R1a,R2b)からの挙動情報を受け取ると、他の光スイッチ対(SWj)を経由させて光伝送路(Ci-D-E-Aj-Bj-F-G-Hm)を再接続させる。例えば、スイッチ対SW4の2本の光ファイバ(Ft2−Ft3,Fr2−Fr3)を接続状態にする旨のスイッチング指示情報を出力するとともに、光伝送路の経路がC1-D-E-A4-B4-F-G-H2となるように遮断接続装置1に隣接する光路選択装置(SL1,SL2)を制御する。そして、この経路C1-D-E-A4-B4-F-G-H2によって光伝送路が再接続されたときに、光伝送装置R1aとR2bから挙動情報が出力されたか否か、正しい挙動情報が出力されたか否かなどを監視する。それによって、冗長処理についての動作検証を行うことができる。
【0053】
===第5の実施例===
互いに通信する光伝送装置の組み合わせが多様であるのと同様に、光伝送路の特性も多様である。例えば、伝送路の長さ、損失(伝送効率)などである。そして光伝送装置では、「ある長さ以上の光伝送路には接続しないこと」「ある伝送効率以上の光伝送路に接続すること」など、光伝送装置に固有の使用条件を決定する必要性もある。第5の実施例は、このような光伝送路の特性も加味した動作検証を行えるシステムとしている。
【0054】
この第5の実施例における動作検証システムのハードウエアやネットワークの構成は、図9に示した第4の実施例とほぼ同様であるが、遮断接続装置1と第2マトリクススイッチMX2との間の経路における光ファイバ(Ft4,Fr4)の特性を系統毎に異ならせていることに特徴がある。
【0055】
第5の実施例では、この特性が異なる光ファイバ(Ft4,Fr4)によって構成されている経路Bjを商用ネットワーク上の光伝送路と見なし、通信相手同士となる2台の光伝送装置(Ria,Rmb)を固定する。次に、2台の光伝送装置(Ria,Rmb)間の経路Bjを順次選択していき、経路Bjが異なるそれぞれの光伝送路において遮断接続装置1のスイッチ対SWjにおける遮断・接続状態を順次変化させていく。そして、全ての遮断・接続状態において正常な挙動情報が出力されるか否かを監視する。
【0056】
例えば、図9において、互いに通信する2台の光伝送装置としてR1aとR2bを設定する場合、PC101は、まず、光伝送路の経路がC1-D-E-A1-B1-F-G-H2となるように4台の光路選択装置(SL1〜SL4)と遮断接続装置1を制御する。そして、スイッチング指示情報により、遮断接続装置1におけるスイッチ対SW1の遮断・接続状態を順次変化させる。そして、各遮断・接続状態での光伝送装置(R1a,R2b)からの挙動情報の出力状況を監視する。
【0057】
つぎに、光路選択装置SL2を制御して経路A1をA2に変更し、同様に遮断接続装置1におけるスイッチ対SW2の遮断・接続状態を順次変化させる。以下、同様にして経路Ajを順次替えていき、遮断・接続状態を変化させる毎に、経路Bjに対応する光ファイバの識別子と遮断・接続状態と挙動情報の内容などを対応付けして記憶していく。このような一連の経路設定制御と遮断接続制御を他の光伝送装置の組み合わせ(Ria-Rmb)でも行う。それによって、多種多様な光伝送装置の組み合わせでの光通信について、光伝送路の特性依存性を確認することができる。
【0058】
===動作検証システムのネットワーク構成について===
<情報処理部の構成>
上記動作検証システムでは、PC101がLAN102を介して、遮断接続装置1やマトリクススイッチ(MX1,MX2)などのシステム構成要素を制御するとともに、光伝送装置(Rna,Rnb)も制御して、通信の開始や終了などを指示していた。この構成に限らず、例えば、光伝送装置(Rna,Rnb)の制御や挙動情報の解析は、別のコンピュータに実行させてもよい。すなわち、情報処理部は、システム構成要素を制御する装置と伝送装置を制御する別の装置とで構成されていてもよい。そして、この別の装置としては、例えば、パケット送受信装置、負荷装置、パフォーマンス測定装置、通信性能評価装置、トラフィック生成装置、IPテスト装置などと呼ばれる解析装置がある。
【0059】
図10にこの解析装置(以下、パケット送受信装置)を含んだネットワーク構成の一例を示した。この図では、第1の実施例におけるネットワーク構成の変更例が示されており、互いに通信する2台1組の伝送装置(Rna−Rnb)間の光伝送路に遮断接続装置1が介在している。そして、パケット送受信装置103は、例えば、多数のEthernet用ポートを備え、各光伝送装置とLAN102経由せずにEthernet用の100BASE-Tx規格の通信ケーブル104を介して直接通信可能に接続されている。その一方で、パケット送受信装置103は、LAN102を介してPC101とも通信可能に接続されている。
【0060】
PC101は、LAN102を介してパケット送受信装置103に光伝送装置(Rna,Rnb)間での通信を開始させるように指示するとともに、遮断接続装置1を制御して光路の遮断・接続を行わせる。パケット送受信装置103は、PC101からの指示に従って、光伝送装置(Rna,Rnb)に対し、所定のパケットを送信させたり、各光伝送装置(Rna,Rnb)が通信相手の光伝送装置(Rnb,Rna)から受信したパケットを通信ケーブル104を介して送信させたりする。すなわち、光伝送装置(Rna,Rnb)間でやりとりされるパケットを監視する。
【0061】
そして、これらのパケットを解析し、その解析結果(正常か否か、異常の内容など)をLAN102を介してPC101に出力する。PC101は、光路の切り替えや遮断・接続状態と、パケット送受信装置103からの解析結果との関係を記憶したり、後段の情報処理に受け渡したりする。すなわち、光伝送装置(Rna,Rnb)が出力するパケットを挙動情報とする。もちろん、パケット送受信装置103が、監視中のパケットをPC101に転送してもよい。
【0062】
また、図11に示したように、光伝送装置(Rna,Rnb)をLAN102とパケット送受信装置103の双方に接続し、光伝送装置(Rna,Rnb)が光伝送路(An−Bn)を介してやりとりするパケットについてはパケット送受信装置103における監視対象や解析対象とし、光伝送路(An−Bn)の遮断接続状態に応じて伝送装置(Rna,Rnb)が出力する上記パケットとは別の情報については、挙動情報としてPC101がLAN102を介して伝送装置(Rna,Rnb)から受信する構成としてもよい。
【0063】
<ネットワークの種類>
上記動作検証システムでは、PC101などの情報処理部と、遮断接続装置1やマトリクススイッチ(MX1,MX2)などのシステム構成要素は、LAN102を通信ネットワークとして構成されていたが、この通信ネットワークは、USBなどの汎用の通信インタフェースとハブなどの分岐装置を用いて構成することもできる。もちろん、パケット送受信装置103を含む動作検証システムでは、パケット送受信装置103とPC101間の通信規格も適宜に設定できる。
【0064】
また、光伝送装置(Rna,Rnb)とPC101間のLAN102をインターネットやイントラネットなどの既設のネットワークに接続することも可能である。例えば、第1〜第5の実施例のネットワーク構成において、PC101は、LAN102を介して遮断接続装置1やマトリクススイッチ(MX1,MX2)と通信するとともに、LAN101上に別途設置されたルータを介してインターネットなどのTCP/IPネットワークに接続し、光伝送装置(Rna,Rnb)もそのTCP/IPネットワーク上に設置しておく。それによって、光伝送装置(Rna,Rnb)とPCとがTCP/IPネットワークを介して通信可能となる。なお、光伝送装置(Rna,Rnb)と動作検証システム(100a〜100c)間の経路は、例えば、出荷検査用や製品開発用に設けられた短距離の光ファイバを用いてもよいし、商用ネットワークの一部となる長距離の架設済みの光ファイバを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、光伝送路を介して通信する光伝送装置の動作検証を行う用途などに利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 光伝送路遮断接続装置、2 筐体、10 スイッチング制御部、
11 通信インタフェース、20t,20r 1×1光スイッチ、
31t,31r,32t,32r,33 光アダプタ、
34,131t,131r,132t,132r 光コネクタ、
40 LANポート、50 表示器、60 電源、70 電源ボタン、
100a〜100c 光伝送装置動作検証システム、101 PC、
102 LAN、103 パケット送受信装置、120 2×8光スイッチ、
104 通信ケーブル、Ft1〜Ft7,Fr1〜Fr7 光ファイバ、
MX1,MX2 マトリクススイッチ、
R1a〜R4a,R1b〜R4b 光伝送装置、
SL1〜SL4 光路選択装置、SW1〜SW4 光スイッチ対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号の伝送方向が異なる2本の光通信線で構成された光伝送路に介在して各光伝送路の遮断・接続を行う光伝送路遮断接続装置であって、
n系統の光伝送路における2n本の光通信線のそれぞれに対応する2n個の光スイッチと、各光スイッチの遮断・接続状態を制御するスイッチング制御部とを備え、
前記光スイッチは、二つ一組で光スイッチ対を構成して1系統の光伝送路に介在するとともに、スイッチング制御部の制御により1本の光通信線毎に遮断と接続を行い、
前記スイッチング制御部は、各光スイッチの遮断と接続の状態を指定するスイッチング指示情報を受信して、所定の光スイッチに対して遮断あるいは接続を行わせる
ことを特徴とする光伝送路遮断接続装置。
【請求項2】
n系統の光伝送路の両端に接続される光伝送装置の動作を検証するための光伝送装置動作検証システムであって、
請求項1に記載の前記光伝送路遮断接続装置と、所定の通信ネットワークを介して前記光伝送路遮断接続装置の前記スイッチング制御部、および前記光伝送装置と通信する情報処理部とを含み、
前記情報処理部は、前記スイッチング制御部に対して特定の光伝送路に対応する1組の前記光スイッチ対における前記二つの光スイッチのそれぞれについての遮断・接続状態を指定したスイッチング指示情報を出力するスイッチング指示処理と、当該スイッチング指示処理に応答して前記特定の光伝送路における前記二つの光スイッチが所定の遮断・接続状態になったときに、当該光伝送路に接続されている2台の前記光伝送装置が出力する挙動情報を前記通信ネットワークを介して受信する挙動情報受信処理と、を実行する
ことを特徴とする光伝送装置動作検証システム。
【請求項3】
請求項2において、前記光伝送路遮断接続装置は、前記光伝送路に光伝送装置を複数接続し、前記スイッチング制御部は、前記情報処理部から所定内容のスイッチング指示情報を受信すると、各系統の前記光伝送路における前記二つの光スイッチの遮断・接続状態を所定の手順で一斉に遷移させる、
ことを特徴とする光伝送装置動作検証システム。
【請求項4】
請求項2において、前記光伝送路遮断接続装置に対して前記n系統の光伝送路の一端側に介在し、前記情報処理部からの指示情報に従って、当該n系統の光伝送路のいずれかを、前記光伝送路遮断接続装置におけるいずれか1組の前記光スイッチ対の一端に接続することで、前記n系統の光伝送路のいずれかの前記一端側に接続される光伝送装置からの光信号を選択的に前記光伝送路遮断接続装置に入力させる第1マトリクススイッチを備えたことを特徴とする光伝送装置動作検証システム。
【請求項5】
請求項4において、前記光伝送路遮断接続装置に対して前記n系統の光伝送路の他端側に介在し、前記情報処理部からの指示情報に従って、当該n系統の光伝送路のいずれかを、前記光伝送路遮断接続装置におけるいずれか1組の前記光スイッチ対の他端に接続することで、前記光伝送路遮断接続装置から出力される光信号を前記n系統の光伝送路のいずれかの前記他端側に接続される光伝送装置に入力させる第2マトリクススイッチを備えたことを特徴とする光伝送装置動作検証システム。
【請求項6】
請求項5において、前記n系統の光伝送路は、前記光伝送路遮断接続装置と前記第1マトリクススイッチ、あるいは前記第2マトリクススイッチとの間の経路で、それぞれ光信号の伝送特性が異なっていることを特徴とする光伝送装置動作検証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−10226(P2011−10226A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154109(P2009−154109)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】