説明

光位相変調評価装置

【課題】光位相変調信号の変調状態を従来よりも正確に評価することができる光位相変調評価装置を提供すること。
【解決手段】光位相変調評価モジュール10は、第3の光103及び第5の光105の光路上においてシンボルレートの1ビットの遅延に相当する光路長を与えるビット遅延器15と、第9の光109及び第10の光110の少なくとも一方にゼロを除く所定の光位相の遅延を与える光位相差設定器16とを備え、光位相差設定器16は、第9の光109の光路上に設けられた透光性板16aと、第10の光110の光路上に設けられた透光性板16bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コヒーレント光通信方式における光搬送波がデータ信号によって位相変調された光位相変調信号を評価する光位相変調評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光搬送波がデータ信号によって所定のシンボルレートで位相変調された光位相変調信号を評価する光位相変調評価装置として、1つのビット遅延干渉計で光位相変調信号の光位相検波を行って当該光位相変調信号の位相変調特性を評価するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示された従来の光位相変調評価装置1を図16に示す。図16に示すように、光位相変調評価装置1は、ビット遅延干渉計2と、PD(受光器)3と、信号処理部4とを備えている。
【0004】
光位相変調評価装置1の被測定光である光位相変調信号は、光搬送波がデータ信号で位相変調されることによって発生されており、光位相検波器としてのビット遅延干渉計2に入力される。ビット遅延干渉計2は、光導波路を用いたマッハツェンダ型干渉計で構成されており、ポート2aから入力された光位相変調信号を分波部2bにおいて、アーム2cを通る光とアーム2d(ビット遅延器2fを含んで構成される。)を通る光とに分波するとともに、アーム2cを通った光とアーム2dを通った光とを合波部2eで合波し干渉させる。それによって、光位相変調信号の位相の変化を光強度の変化に変換し、互いの位相が180°(π)異なる2つの光強度変調信号を2つのポート2g、2hからそれぞれ出力する。なお、上記ビット遅延器2fは、2つのアーム間の遅延量(遅延時間差)が上記シンボルレートの1ビット分に相当する遅延量(時間)になるように、その遅延量分アーム2dの光路長をアーム2cの光路長より長くしている。
【0005】
PD3は、ビット遅延干渉計2のポート2gから出力される光強度変調信号を光電変換して電気信号を出力する。信号処理部4は、PD3から出力される電気信号から上記データ信号を復調する。したがって、光位相変調評価装置1により、信号処理部4が出力する復調信号を用いて誤り率測定や波形観測を行って光位相変調信号を評価することができる。
【特許文献1】特開平6−21891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の光位相変調評価装置では、光位相変調信号の相対的なビット間位相差(以下適宜「相対ビット間位相差」という。)を測定することができないので、光位相変調信号の変調状態を正確に評価することができないという課題があった。以下、その理由について数式を用いて説明する。なお、相対ビット間位相差をΔφmodで示す。
【0007】
まず、相対ビット間位相差Δφmodで位相変調されて、ビット遅延干渉計2のポート2aに入力される光位相変調信号の電界強度を(1)式で表す。
【0008】
E=E・exp{j(ωt+Δφmod)} (1)
次に、この光位相変調信号が分波部2bにおいて、アーム2cを通る光とアーム2dを通る光とに分波され、それぞれが合波部2eに入力されるとき、アーム2cを通った光及びアーム2dを通った光のそれぞれの電界強度E、E並びに光強度P、Pをそれぞれ(2)〜(5)式で表す。
【0009】
=A・exp{j(ωt+φ)} (2)
=A・exp{j(ωt+φ)} (3)
=|E・E| (4)
=|E・E| (5)
ここで、φはアーム2cにおける光位相、φはアーム2dにおける光位相を示す。また、EはEの共役複素数、EはEの共役複素数を示す。なお、(2)、(3)式においては、理解を容易にするために、上記(1)式における相対ビット間位相差Δφmodを省いている。
【0010】
合波部2eにおける合波光の光強度Pは、上記(2)、(3)式を用いて(6)式のように表される。
【0011】
P=(E+E)・(E+E
=A+A+2・A・A・cos(φ−φ) (6)
そして、電界強度をA=A=1/2とし、上述の相対ビット間位相差Δφmodを考慮すると、合波光(干渉光)の光強度Pは(7)式で表される。また、アーム2cとアーム2d間(適宜2つのアーム間という。)の光位相差(φ−φ)をφで表すと(7)式から(8)式が得られる。
【0012】
P=0.5+0.5cos(Δφmod+φ−φ) (7)
P=0.5+0.5cos(Δφmod+φ) (8)
さらに、アーム2cにおける光位相φとアーム2dにおける光位相φとが等しい(φ=φ)、すなわち2つのアーム間の光位相差φ=0とすると、合波光の光強度Pは(9)式で与えられる。
【0013】
P=0.5+0.5cos(Δφmod) (9)
ところで、(9)式で表される光強度Pは、ポート2g又はポート2hから出力される光強度変調信号の光強度である。したがって、(9)式で表される光強度Pをポート2gから出力される光強度変調信号Pとして(10)式で表すとすると、ポート2hからは、(11)式で表されるように、位相が180°(π)異なった光強度変調信号Pが出力される。
【0014】
=0.5+0.5cos(Δφmod) (10)
=0.5−0.5cos(Δφmod) (11)
その結果、(10)式で表される光強度変調信号Pが、PD3に入力されて光電変換され、その後にオフセットパワーがキャンセルされると、(12)式で与えられる光強度Iαを表す電気信号となって信号処理部4に出力される。
【0015】
α∝0.5cos(Δφmod) (12)
したがって、信号処理部4では、上記(12)式に基づいて、相対ビット間位相差Δφmodと光強度Iαの関係とを予め求めておくことによって、光強度Iαから相対ビット間位相差Δφmodが測定できるように思われるが、図17に示すように、1つの光強度Iαに対して2つの相対ビット間位相差Δφmodが該当することとなり、いずれかを特定することができない。すなわち、従来の光位相変調評価装置1では、相対ビット間位相差Δφmodを測定することができないので、光位相変調信号の変調状態を正確に評価することができないという課題があった。
【0016】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、光位相変調信号の変調状態を従来よりも正確に評価することができる光位相変調評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の請求項1に記載の光位相変調評価装置は、光搬送波がデータ信号によって所定のシンボルレートで位相変調された光位相変調信号(a)を入力する光入力部(11)と、入力された前記光位相変調信号(a)を第1の光(101)と第2の光(102)とに分岐する光分岐部(12)と、前記第1の光(101)を第3の光(103)と第4の光(104)とに分波するとともに前記第2の光(102)を第5の光(105)と第6の光(106)とに分波する分波器(13a)と、前記第3の光(103)を反射して第7の光(107)として出力するとともに前記第5の光(105)を反射して第8の光(108)として出力する第1ミラー(14a)と、前記第4の光(104)を反射して第9の光(109)として出力するとともに前記第6の光(106)を反射して第10の光(110)として出力する第2ミラー(14b)と、前記第8の光(108)と前記第10の光(110)とを合波することによって前記光位相変調信号(a)の位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第1及び第2の光強度変換信号(111、112)を出力するとともに前記第7の光(107)と前記第9の光(109)とを合波することによって前記光位相変調信号(a)の位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第3及び第4の光強度変換信号(113、114)を出力する合波器(13b)と、前記分波器(13a)から前記第1ミラー(14a)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上と前記分波器(13a)から前記第2ミラー(14b)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上とのいずれかにおいて前記シンボルレートの1ビットに相当する遅延を与えるビット遅延器(15)と、前記分波器(13a)から前記第1ミラー(14a)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上と前記分波器(13a)から前記第2ミラー(14b)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上とのいずれかにおける2つの光の少なくとも一方に所定の光位相の遅延を与える光位相差設定手段(16)と、前記第1及び前記第2の光強度変換信号(111、112)の少なくとも一方の光信号を受けて電気信号に変換する第1の受光部(120)と、前記第3及び前記第4の光強度変換信号(113、114)の少なくとも一方の光信号を受けて電気信号に変換する第2の受光部(130)と、前記第1及び前記第2の受光部(120、130)の出力信号に基づいて前記光位相変調信号(a)を解析する信号処理部(140)とを備えた構成を有している。
【0018】
この構成により、本発明の請求項1に記載の光位相変調評価装置は、2つの光干渉計を備えることとなり、一方の光干渉計における位相差と、他方の光干渉計における位相差との差を所定の値に設定するので、従来のものとは異なり、相対ビット間位相差を別個に特定することができる。したがって、本発明の光位相変調評価装置は、光位相変調信号の変調状態を従来よりも正確に評価することができる。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載の光位相変調評価装置は、前記光位相差設定手段(16)は、前記第9の光(109)に与える光位相の遅延量と前記第10の光(110)に与える光位相の遅延量との差をπ/2に設定する構成を有している。
【0020】
この構成により、本発明の請求項2に記載の光位相変調評価装置は、相対ビット間位相差を最も識別しやすくすることができるので、光位相変調信号の変調状態を従来よりも正確に評価することができる。
【0021】
さらに、本発明の請求項3に記載の光位相変調評価装置は、前記ビット遅延器(15)は、前記シンボルレートに応じて予め定められた複数の光路長の1つを選択して切り替える構成を有している。
【0022】
この構成により、本発明の請求項3に記載の光位相変調評価装置は、異なるシンボルレートの光位相変調信号の評価も1台の装置で正確に行うことができる。
【0023】
さらに、本発明の請求項4に記載の光位相変調評価装置は、前記ビット遅延器(15)が、前記シンボルレートの1ビットに相当する遅延量を与える厚さを持つ透過性材質の平行板(21a、21b)であって、複数の前記シンボルレートのそれぞれに対応する厚さの前記平行板(21a、21b)を複数個備え、これらを切り替えて前記シンボルレートに対応した遅延量を設定できる構成を有している。
【0024】
この構成により、本発明の請求項4に記載の光位相変調評価装置は、異なるシンボルレートに応じた遅延量を容易に与えることができる。
【0025】
さらに、本発明の請求項5に記載の光位相変調評価装置は、前記ビット遅延器(15)が、第1の平行板(23a、23b)と第2の平行板(23a、23b)とをハの字型に配置した2枚の透過性材質の平行板のペア(23a、23b)であって、複数の前記シンボルレートのそれぞれに対応する厚さの前記平行板のペア(23a、23b)を複数個備え、当該平行板のペア(23a、23b)を切り替えて前記シンボルレートに対応した遅延量を設定できる構成を有している。
【0026】
この構成により、本発明の請求項5に記載の光位相変調評価装置は、ビット遅延器が、2枚の透過性材質の平行板のペアを切り替えることにより、シンボルレートに応じて光路長を切り替えることができる。
【0027】
さらに、本発明の請求項6に記載の光位相変調評価装置は、前記ビット遅延器(15)が、互いに透過面が対向するように配置されたくさび形状の透過体(24a、24b)のペアであって、該透過体(24a、24b)の少なくともいずれか一方を移動して光路長を調整し、複数の前記シンボルレートのそれぞれに対応した前記遅延量を設定できる構成を有している。
【0028】
この構成により、本発明の請求項6に記載の光位相変調評価装置は、ビット遅延器が、くさび形状の透過体のペアの少なくともいずれか一方を移動して光路長を調整することにより、複数のシンボルレートのそれぞれに対応した遅延量を設定することができる。
【0029】
さらに、本発明の請求項7に記載の光位相変調評価装置は、前記信号処理部(140)は前記光位相変調信号(a)の変調位相を評価する信号処理部であって、前記分波器(13a)から前記第1ミラー(14a)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上と前記分波器(13a)から前記第1ミラー(14b)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上とのいずれかにおいて光位相の遅延を与える光位相調整手段(31)を備え、該光位相の遅延量を可変して前記信号処理部(140)が算出する相対ビット間位相差の初期位相(φ)を調整可能にした構成を有している。
【0030】
この構成により、本発明の請求項7に記載の光位相変調評価装置は、異なる波長の被測定光に対しても初期位相(φ)を任意に設定することができる。
【0031】
さらに、本発明の請求項8に記載の光位相変調評価装置は、光搬送波がデータ信号によって所定のシンボルレートで位相変調された光位相変調信号(a)を入力する光入力部(11)と、入力された前記光位相変調信号(a)を第1の光(101)と第2の光(102)とに分岐する光分岐部(12)と、前記第1の光(101)を第3の光(103)と第4の光(104)とに分波するとともに前記第2の光(102)を第5の光(105)と第6の光(106)とに分波する分波器(13a)と、前記第4の光(104)を反射して第7の光(107)として出力するとともに前記第6の光(106)を反射して第8の光(108)として出力する第1ミラー(51a)と、前記第7の光(107)を反射して第9の光(109)として出力するとともに前記第8の光(108)を反射して第10の光(110)として出力する第2ミラー(51b)と、前記第5の光(105)と前記第10の光(110)とを合波することによって前記光位相変調信号(a)の位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第1及び第2の光強度変換信号(111、112)を出力するとともに前記第3の光(103)と前記第9の光(109)とを合波することによって前記光位相変調信号(a)の位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第3及び第4の光強度変換信号(113、114)を出力する合波器(13b)と、前記分波器(13a)から前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上において前記シンボルレートの1ビットに相当する遅延を与えるビット遅延器(52)と、前記分波器(13a)から前記第1ミラー(51a)及び前記第2ミラー(51b)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上と前記分波器(13a)から前記ビット遅延器(52)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上とのいずれかにおける2つの光の少なくとも一方に所定の光位相の遅延を与える光位相差設定手段(16)と、前記第1及び前記第2の光強度変換信号(111、112)の少なくとも一方の光信号を受けて電気信号に変換する第1の受光部(120)と、前記第3及び前記第4の光強度変換信号(113、114)の少なくとも一方の光信号を受けて電気信号に変換する第2の受光部(130)と、前記第1及び前記第2の受光部(120、130)の出力信号に基づいて前記光位相変調信号(a)を解析する信号処理部(140)とを備えた構成を有している。
【0032】
この構成により、本発明の請求項8に記載の光位相変調評価装置は、2つの光干渉計を備えることとなり、一方の光干渉計における位相差と、他方の光干渉計における位相差との差を所定の値に設定するので、従来のものとは異なり、相対ビット間位相差を別個に特定することができる。したがって、本発明の光位相変調評価装置は、光位相変調信号の変調状態を従来よりも正確に評価することができる。
【0033】
さらに、本発明の請求項9に記載の光位相変調評価装置は、前記光位相差設定手段(16)は、前記第7の光(107)に与える光位相の遅延量と前記第8の光(108)に与える光位相の遅延量との差をπ/2に設定する構成を有している。
【0034】
この構成により、本発明の請求項9に記載の光位相変調評価装置は、相対ビット間位相差を最も識別しやすくすることができるので、光位相変調信号の変調状態を従来よりも正確に評価することができる。
【0035】
さらに、本発明の請求項10に記載の光位相変調評価装置は、前記ビット遅延器(52)は、前記分波器(13a)からの光を反射する入力側ミラー(52a)と、該入力側ミラー(52a)の反射光を該反射光の進行方向と逆方向に反射するコーナーミラー(52b)と、該コーナーミラー(52b)の反射光を前記合波器(13b)に出力する出力側ミラー(52c)とを備え、前記入力側ミラー(52a)から前記コーナーミラー(52b)までの光路長及び前記コーナーミラー(52b)から前記出力側ミラー(52c)までの光路長を可変する方向に移動可能である構成を有している。
【0036】
この構成により、本発明の請求項10に記載の光位相変調評価装置は、ビット遅延器が設けられた光路上において遅延量を任意に設定することができる。
【0037】
さらに、本発明の請求項11に記載の光位相変調評価装置は、前記第1の受光部(120)は、前記第1及び前記第2の光強度変換信号(111、112)をバランスド受信するバランスドレシーバであり、前記第2の受光部(130)は、前記第3及び前記第4の光強度変換信号(113、114)をバランスド受信するバランスドレシーバである構成を有している。
【0038】
この構成により、本発明の請求項11に記載の光位相変調評価装置は、第1の受光部が第1の光強度変換信号と第2の光強度変換信号との差分を電気信号に変換し、第2の受光部が第3の光強度変換信号と第4の光強度変換信号との差分を電気信号に変換し、それぞれ、信号処理部に出力することができる。
【0039】
さらに、本発明の請求項12に記載の光位相変調評価装置は、前記光分岐部(12)は、光カプラ(12b)を備えた構成を有している。
【0040】
この構成により、本発明の請求項12に記載の光位相変調評価装置は、光カプラによって、入力された前記光位相変調信号を第1の光と第2の光とに分岐することができる。
【0041】
さらに、本発明の請求項13に記載の光位相変調評価装置は、前記光位相差設定手段(16)が、透過性材質の平行板(16a、16b)であって、該平行板(16a、16b)を回転して当該平行板(16a、16b)への光の入射角を変えることによって任意の遅延量に設定できる構成を有している。
【0042】
この構成により、本発明の請求項13に記載の光位相変調評価装置は、光位相変調信号の波長の変更に応じて光位相の遅延量を設定したり、温度変化等に伴う光路長の変動による光位相の遅延量を設定する際に、小さな遅延量も正確に設定できるため光位相変調信号の変調状態を従来よりも正確に評価することができる。
【0043】
さらに、本発明の請求項14に記載の光位相変調評価装置は、前記光位相差設定手段(16)が、ハの字型に配置された透過性材質の2枚の平行板(16e、16f)のペアであって、2枚の該平行板(16e、16f)の少なくともいずれか一方を回転して当該平行板(16e、16f)への光の入射角を変えることによって任意の遅延量に設定できる構成を有している。
【0044】
この構成により、本発明の請求項14に記載の光位相変調評価装置は、光位相遅延器の透過光のビームシフトを抑えることができる。
【0045】
さらに、本発明の請求項15に記載の光位相変調評価装置は、前記信号処理部(140)は前記光位相変調信号(a)の変調位相を評価する信号処理部であって、前記合波器(13b)と前記第1及び前記第2の受光部(120、130)のうち少なくとも一方の受光部との間の光路上において光路長を調整する光路長調整手段(41)を備え、前記第1及び前記第2の受光部(120、130)がそれぞれ変換した電気信号の位相を調整可能にした構成を有している。
【0046】
この構成により、本発明の請求項15に記載の光位相変調評価装置は、光路長調整手段が、光路長を調整することにより、第1の受光部及び第2の受光部がそれぞれ変換した電気信号の位相を180°(π)の位相差に調整することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明は、光位相変調信号の変調状態を従来よりも正確に評価することができるという効果を有する光位相変調評価装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0049】
(第1の実施の形態)
まず、本発明に係る光位相変調評価装置の第1の実施の形態における構成について説明する。最初に、光位相変調評価装置が備える光位相変調評価モジュールの構成について説明する。
【0050】
図1に示すように、光位相変調評価モジュール10は、光位相変調信号aを入力する光入力部11と、入力された光位相変調信号aを第1の光101と第2の光102とに分岐する光分岐部12と、第1の光101を第3の光103と第4の光104とに分波するとともに第2の光102を第5の光105と第6の光106とに分波するビームスプリッタ(以下「BS」という。)13aと、第3の光103を反射して第7の光107として出力するとともに第5の光105を反射して第8の光108として出力する第1ミラー14aと、第4の光104を反射して第9の光109として出力するとともに第6の光106を反射して第10の光110として出力する第2ミラー14bとを備えている。
【0051】
また、光位相変調評価モジュール10は、第8の光108と第10の光110とを合波することによって光位相変調信号aの位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第1の光強度変換信号111及び第2の光強度変換信号112を出力するとともに第7の光107と第9の光109とを合波することによって光位相変調信号aの位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第3の光強度変換信号113及び第4の光強度変換信号114を出力するBS13bと、シンボルレートの1ビットの遅延に相当する光路長を与えるビット遅延器15と、光位相差を設定する光位相差設定器16と、光位相差の設定値を光位相差設定器16に指示する位相制御手段17とを備えている。
【0052】
さらに、光位相変調評価モジュール10は、第1の光強度変換信号111を入力して光ファイバ19aに出力する第1の光出力部18aと、第2の光強度変換信号112を入力して光ファイバ19bに出力する第2の光出力部18bと、第3の光強度変換信号113を入力して光ファイバ19cに出力する第3の光出力部18cと、第4の光強度変換信号114を入力して光ファイバ19dに出力する第4の光出力部18dとを備えている。
【0053】
ここで、光位相変調評価モジュール10は、2つのマッハツェンダ干渉計を備える構成となっている。
【0054】
まず、第1のマッハツェンダ干渉計は、光入力部11から光分岐部12、BS13a、第2ミラー14b及びBS13bを経由して第1の光出力部18aに至る光路(以下「第11光路」という。)と、光入力部11から光分岐部12、BS13a、第1ミラー14a及びBS13bを経由して第2の光出力部18bに至る光路(以下「第12光路」という。)とを含む。
【0055】
次に、第2のマッハツェンダ干渉計は、光入力部11から光分岐部12、BS13a、第2ミラー14b及びBS13bを経由して第3の光出力部18cに至る光路(以下「第21光路」という。)と、光入力部11から光分岐部12、BS13a、第1ミラー14a及びBS13bを経由して第4の光出力部18dに至る光路(以下「第22光路」という。)とを含む。
【0056】
光入力部11は、入力光をコリメートするレンズを備え、光搬送波がデータ信号によって所定のシンボルレートで位相変調された光位相変調信号aを入力するようになっている。具体的には、光入力部11は、シンボルレート20Gbpsや40GbpsのDPSK(Differential Phase Shift Keying)やDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)等で位相変調された光位相変調信号aを入力するようになっている。なお、前述の位相変調方式やシンボルレートは一例であり、光入力部11に入力される光位相変調信号aはこれらに限定されるものではない。
【0057】
光分岐部12は、例えば図示のように複数のミラー12aを備え、光入力部11が入力した光を第1の光101と第2の光102とに分岐するようになっている。
【0058】
BS13aは、例えば無偏光ビームスプリッタで構成され、入力された光を透過光と反射光とに分波して出力するようになっている。なお、BS13aは、本発明の分波器に対応している。
【0059】
具体的には、BS13aは、光分岐部12からの第1の光101を透過して第3の光103として出力するとともに、光分岐部12からの第1の光101を反射して第4の光104として出力するようになっている。また、BS13aは、光分岐部12からの第2の光102を透過して第5の光105として出力するとともに、光分岐部12からの第2の光102を反射して第6の光106として出力するようになっている。
【0060】
ビット遅延器15は、第3の光103及び第5の光105を透過し、屈折率が同一で平行な透光性板、例えば石英ガラス板を備え、第3の光103及び第5の光105の光路上においてシンボルレートの1ビットの遅延に相当する光路長を与えるようになっている。
【0061】
ここで、シンボルレートの1ビットに相当する遅延時間t[s]、透光性板の屈折率をn、真空中の光速をcで表すと、第3の光103及び第5の光105の進行方向における透光性板の厚さをdは(13)式で示される。
【0062】
d=c×t/(n−1) (13)
(13)式において、1ビットに相当する遅延時間t[s]は、光入力部11に入力される光位相変調信号aのシンボルレートをSR[bps]で表すと、t=1/SR[s]であるので、シンボルレートSR=40[Gbps]の場合はt=25[ps]、シンボルレートSR=20[Gbps]の場合はt=50[ps]となる。よって、透過性板の屈折率が1.5のときシンボルレートSR=40[Gbps]の場合は、透光性板の厚さd=15[mm]となる。また、シンボルレートSR=20[Gbps]の場合は、透光性板の厚さd=30[mm]となる。
【0063】
以上のように、ビット遅延器15は、光位相変調信号aのシンボルレートに応じて、第1及び第2のマッハツェンダ干渉計がそれぞれ有する2つの光路間に1ビットに相当する光路差を与えることができるようになっている。
【0064】
ところで、ビット遅延器15は、前述の構成に限定されるものではなく、例えば図2に示すような構成としてもよい。図2に示されたビット遅延器15は、第3の光103及び第5の光105の入射面と出射面とが平行で屈折率が同一の2つの透光性板15a及び15bを備えている。透光性板15a及び15bは、第3の光103及び第5の光105のそれぞれに対し、透光性板15aにおける入射角と、透光性板15bにおける出射角とが等しくなるようハの字型に対称に傾けて設けられている。
【0065】
なお、ビット遅延器15を例えば透光性板15a又は15bのみで構成することもできる。例えば、透光性板15aのみを用いるとき、透光性板15aが第3の光103及び第5の光105を屈折させるので、図示のように第3の光103及び第5の光105の入射光軸と出射光軸とが異なる現象(以下「ビームシフト」という。)が生じる。このビームシフトは、ビーム自体がある程度の幅を持っているので実用上問題にはならないが、図示のようにハの字型に対称に傾けて設けることにより、ビームシフトの影響をさらに除くことができて好ましい。また、図2に示されたビット遅延器15の構成では、第3の光103及び第5の光105の入射角がほぼ0°で設けられたものとは異なり、入射面からの戻り光を抑えることができて好ましい。
【0066】
図1に戻り、光位相変調評価モジュール10の構成の説明を続ける。
【0067】
第1ミラー14aは、ビット遅延器15を透過した第3の光103及び第5の光105をそれぞれ反射して第7の光107及び第8の光108とし、BS13bに出力するようになっている。
【0068】
第2ミラー14bは、BS13aからの第4の光104及び第6の光106をそれぞれ反射して第9の光109及び第10の光110とし、光位相差設定器16に出力するようになっている。
【0069】
光位相差設定器16は、第9の光109の光路上に設けられた透光性板16aと、第10の光110の光路上に設けられた透光性板16bとを備え、位相制御手段17の指示に従って、第11光路と第12光路との位相差(Δφ)と、第21光路と第22光路との位相差(Δφ)との差(Δφ−Δφ)をπ/2の光位相差に設定するようになっている。透光性板16a及び16bは、それぞれ、第9の光109及び第10の光110を透過し、屈折率が同一で平行な透光性板、例えば石英ガラス板を備えている。なお、透光性板16a及び16bのそれぞれの厚さは、同一でもよいし、互いに異なっていてもよい。また、透光性板16a及び16bのいずれかのみで光位相差設定器16を構成し、光位相差(Δφ−Δφ)をπ/2に設定するようにしてもよい。また、光位相差設定器16は、本発明の光位相差設定手段に対応している。
【0070】
なお、光位相差設定器16で生じる遅延量を加味したビット遅延器15の遅延量が設定できるよう、すなわちマッハツェンダ干渉計の2つの光路差がシンボルレートの1ビット分の遅延となるようにする。
【0071】
透光性板16aは、図示した矢印の方向に回転できるようになっており、第9の光109の光路長を変更できるものである。一方、透光性板16bは、第10の光110を一定の入射角で入射する構成となっている。
【0072】
また、光位相差設定器16は、前述の構成に限定されるものではなく、例えば図3に示すような構成とすることもできる。図3に示された光位相差設定器16は、第10の光110の光路上に設けられた透光性板16c及び16dと、第9の光109の光路上に設けられた透光性板16e及び16fと、透光性板16e及び16fをそれぞれ保持する保持板16g及び16hとを備えている。
【0073】
透光性板16c及び16dは、第10の光110に対し、透光性板16cにおける入射角と、透光性板16dにおける出射角とが等しくなるようハの字型に対称に傾けて設けられている。
【0074】
透光性板16e及び16fは、第9の光109に対し、透光性板16eにおける入射角と、透光性板16fにおける出射角とが等しくなるようハの字型に対称に傾けて設けられている。また、透光性板16e及び16fは、それぞれを保持する保持板16g及び16hの少なくとも一方を、図中のA方向又はB方向に回転させることにより、第10の光110の光位相に対する第9の光109の光位相を設定できるようになっている。
【0075】
この構成により、図3に示された光位相差設定器16は、透光性板16cと透光性板16dとを、また、透光性板16eと透光性板16fとを所定の角度でハの字型に対称に傾けて設けることにより、ビームシフトの影響を除くことができて好ましい。さらに、この構成では、第9の光109及び第10の光110の入射角がほぼ0°で設けられたものとは異なり、入射面からの戻り光を抑えることができて好ましい。
【0076】
再び図1に戻り、光位相変調評価モジュール10の構成の説明を続ける。
【0077】
BS13bは、例えば無偏光ビームスプリッタを備え、入力された2組の光をそれぞれ合波して干渉させることによって光位相の変化を光強度の変化に変換し、互いにπの光位相差を有する2つの光強度変換信号を出力するようになっている。なお、BS13bは、本発明の合波器に対応している。
【0078】
具体的には、BS13bは、第8の光108と第10の光110とを合波することによって光位相変調信号aの位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第1の光強度変換信号111及び第2の光強度変換信号112を出力するとともに、第7の光107と第9の光109とを合波することによって光位相変調信号aの位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第3の光強度変換信号113及び第4の光強度変換信号114を出力するようになっている。
【0079】
第1〜4の光出力部18a〜18dは、それぞれレンズを備え、光強度変換信号111〜114はそれぞれ光ファイバ19a〜19dに集光されている。
【0080】
第1の光出力部18aは、第1の光強度変換信号111を入力して光ファイバ19aに出力するようになっている。第2の光出力部18bは、第2の光強度変換信号112を入力して光ファイバ19bに出力するようになっている。第3の光出力部18cは、第3の光強度変換信号113を入力して光ファイバ19cに出力するようになっている。第4の光出力部18dは、第4の光強度変換信号114を入力して光ファイバ19dに出力するようになっている。
【0081】
次に、前述の光位相変調評価モジュール10を備えた光位相変調評価装置の構成について説明する。
【0082】
図4に示すように、本実施の形態における光位相変調評価装置100は、光位相変調評価モジュール10と、バランスドレシーバ120及び130と、信号処理部140と、表示部150とを備えている。光位相変調評価モジュール10とバランスドレシーバ120及び130との間には、4つの光ファイバ19a〜19dが接続されている。
【0083】
バランスドレシーバ120は、光位相変調評価モジュール10からの光強度変換信号を受光して光電変換する受光器(以下「PD」という。)121及び122と、PD121及び122が光電変換した電気信号(以下「光電変換信号」という。)の減算を行う減算器123とを備えている。
【0084】
PD121は、光ファイバ19aを介し、光位相変調評価モジュール10の第1の光出力部18a(図1参照)から第1の光強度変換信号111を入力して光電変換し、光電変換信号を減算器123に出力するようになっている。PD122は、光ファイバ19bを介し、光位相変調評価モジュール10の第2の光出力部18b(図1参照)から第2の光強度変換信号112を入力して光電変換し、光電変換信号を減算器123に出力するようになっている。
【0085】
減算器123は、PD121が出力する光電変換信号とPD122が出力する光電変換信号との差分を出力するようになっている。
【0086】
以上の構成により、バランスドレシーバ120は、光ファイバ19a及び19bからの光強度変換信号、すなわち、第1のマッハツェンダ干渉計からの光強度変換信号をバランスド受信して信号処理部140に出力するようになっている。
【0087】
バランスドレシーバ130は、光位相変調評価モジュール10からの光強度変換信号を受光して光電変換するPD131及び132と、PD131及び132が光電変換した光電変換信号の減算を行う減算器133とを備えている。
【0088】
PD131は、光ファイバ19cを介し、光位相変調評価モジュール10の第3の光出力部18c(図1参照)から第3の光強度変換信号113を入力して光電変換し、光電変換信号を減算器133に出力するようになっている。PD132は、光ファイバ19dを介し、光位相変調評価モジュール10の第4の光出力部18d(図1参照)から第4の光強度変換信号114を入力して光電変換し、光電変換信号を減算器133に出力するようになっている。
【0089】
減算器133は、PD131が出力する光電変換信号とPD132が出力する光電変換信号との差分を出力するようになっている。
【0090】
以上の構成により、バランスドレシーバ130は、光ファイバ19c及び19dからの光強度変換信号、すなわち、第2のマッハツェンダ干渉計からの光強度変換信号をバランスド受信して信号処理部140に出力するようになっている。
【0091】
信号処理部140は、バランスドレシーバ120及び130の出力信号に基づいて、光位相変調評価モジュール10に入力される光位相変調信号aの位相変調による相対ビット間位相差Δφmodを算出するとともに、相対ビット間位相差ヒストグラム、コンスタレーション及び相対ビット間位相差対時間グラフ等を求めるようになっている。
【0092】
すなわち、信号処理部140は、図示を省略したが、バランスドレシーバ120及び130がそれぞれ出力する出力信号と光位相変調信号aの相対ビット間位相差Δφmodとの関係を予め測定して記憶した位相差テーブルと、この位相差テーブルに記憶されたデータに基づき、バランスドレシーバ120及び130がそれぞれ出力する出力信号の相対ビット間位相差Δφmodを算出する位相差算出手段と、算出した相対ビット間位相差Δφmodに基づいて相対ビット間位相差ヒストグラム、コンスタレーション及び相対ビット間位相差対時間グラフ等を算出する手段等を備えている。
【0093】
表示部150は、例えば液晶ディスプレイを備え、信号処理部140が算出した相対ビット間位相差ヒストグラム、コンスタレーション及び相対ビット間位相差対時間グラフ等を表示するようになっている。
【0094】
次に、本実施の形態における光位相変調評価装置100の動作について説明する。
【0095】
最初に、図1を用いて光位相変調評価モジュール10の動作について説明する。
【0096】
まず、光入力部11は、光位相変調信号aを入力し、光分岐部12に出力する。
【0097】
次いで、光分岐部12は、光入力部11が入力した光を第1の光101と第2の光102とに分岐し、BS13aに出力する。
【0098】
さらに、BS13aは、入力された第1の光101を第3の光103と第4の光104とに分波し、第3の光103をビット遅延器15に出力し、第4の光104を第2ミラー14bに出力する。また、BS13aは、入力された第2の光102を第5の光105と第6の光106とに分波し、第5の光105をビット遅延器15に出力し、第6の光106を第2ミラー14bに出力する。
【0099】
続いて、第2ミラー14bは、入力された第4の光104を反射して第9の光109として光位相差設定器16の透光性板16aに出力し、この第9の光109は、透光性板16aを透過してBS13bに入力される。また、第2ミラー14bは、入力された第6の光106を反射して第10の光110として光位相差設定器16の透光性板16bに出力し、この第10の光110は、透光性板16bを透過してBS13bに入力される。ここで、透光性板16aに入力された第9の光109は、透光性板16aによって、第21光路が第11光路に対して所定の位相差を有するように遅延され、BS13bに出力される。
【0100】
一方、ビット遅延器15に入力された第3の光103及び第5の光105は、ビット遅延器15によって、シンボルレートの1ビットに相当する遅延時間だけそれぞれ遅延させられ、第1ミラー14aに入力される。
【0101】
次いで、第1ミラー14aは、ビット遅延器15によって遅延された第3の光103を反射して第7の光107としてBS13bに出力する。また、第1ミラー14aは、ビット遅延器15によって遅延された第5の光105を反射して第8の光108としてBS13bに出力する。
【0102】
引き続き、BS13bは、第8の光108と第10の光110とを合波して干渉させることによって位相の変化を光強度の変化に変換し、互いにπの光位相差を有する第1の光強度変換信号111及び第2の光強度変換信号112を出力する。また、BS13bは、第7の光107と第9の光109とを合波して干渉させることによって位相の変化を光強度の変化に変換し、互いにπの光位相差を有する第3の光強度変換信号113及び第4の光強度変換信号114を出力する。
【0103】
そして、第1の光出力部18aは、第1の光強度変換信号111を入力して光ファイバ19aに出力する。また、第2の光出力部18bは、第2の光強度変換信号112を入力して光ファイバ19bに出力する。また、第3の光出力部18cは、第3の光強度変換信号113を入力して光ファイバ19cに出力する。また、第4の光出力部18dは、第4の光強度変換信号114を入力して光ファイバ19dに出力する。
【0104】
次に、図4を用いて光位相変調評価モジュール10の後段の動作について説明する。
【0105】
まず、バランスドレシーバ120において、PD121は、光ファイバ19aを介し、第1の光出力部18a(図1参照)から第1の光強度変換信号111を入力して光電変換し、光電変換信号を減算器123に出力する。
【0106】
同様に、PD122は、光ファイバ19bを介し、第2の光出力部18b(図1参照)から第2の光強度変換信号112を入力して光電変換し、光電変換信号を減算器123に出力する。
【0107】
次いで、減算器123は、PD121が出力する光電変換信号とPD122が出力する光電変換信号との差分を信号処理部140に出力する。
【0108】
ここで、[発明が解決しようとする課題]の項で説明した内容と同じ条件に基づいて、第1の光強度変換信号111及び第2の光強度変換信号112をそれぞれP及びPとして数式で表すと、P及びPは(10)、(11)式(再掲)で表される。
【0109】
=0.5+0.5cos(Δφmod) (10)
=0.5−0.5cos(Δφmod) (11)
したがって、減算器123が出力する出力信号Pは(14)式で表され、オフセットパワーがキャンセルされるとともに、光強度が2倍となる。その結果、減算器123が出力する出力信号Pに対応する光強度Iαは(15)式で表される。
【0110】
P=P−P=cos(Δφmod) (14)
α∝cos(Δφmod) (15)
次に、バランスドレシーバ130において、PD131は、光ファイバ19cを介し、第3の光出力部18c(図1参照)から第3の光強度変換信号113を入力して光電変換し、光電変換信号を減算器133に出力する。
【0111】
同様に、PD132は、光ファイバ19dを介し、第4の光出力部18d(図1参照)から第4の光強度変換信号114を入力して光電変換し、光電変換信号を減算器133に出力する。
【0112】
次いで、減算器133は、PD131が出力する光電変換信号とPD132が出力する光電変換信号との差分を信号処理部140に出力する。
【0113】
ここで、[発明が解決しようとする課題]の項で説明した内容と同じ条件に基づいて、第3の光強度変換信号113及び第4の光強度変換信号114をそれぞれP及びPとして数式で表すと、光位相差設定器16(図1参照)を設けているので、P及びPは(16)、(17)式で表される。
【0114】
=0.5+0.5cos(Δφmod+π/2) (16)
=0.5−0.5cos(Δφmod+π/2) (17)
したがって、減算器133が出力する出力信号Pは(18)式で表され、オフセットパワーがキャンセルされるとともに、光強度が2倍となる。その結果、減算器133が出力する出力信号Pに対応する光強度Iβは(19)式で表される。
【0115】
P=P−P=cos(Δφmod+π/2) (18)
β∝cos(Δφmod+π/2) (19)
(19)式で表される光強度Iβは、(15)式で表される光強度Iαに対し、図5に示すような関係となる。すなわち、光強度Iβは、光強度Iαよりも位相がπ/2(90°)だけ遅れたものとなる。
【0116】
引き続き、信号処理部140は、バランスドレシーバ120及び130がそれぞれ出力する出力信号と光位相変調信号aの相対ビット間位相差Δφmodとの関係を予め測定して記憶した位相差テーブル(図示省略)を参照し、バランスドレシーバ120及び130がそれぞれ出力する出力信号に基づいて相対ビット間位相差Δφmodを算出する。さらに、信号処理部140は、算出した相対ビット間位相差Δφmodに基づいて、相対ビット間位相差ヒストグラム、コンスタレーション及び相対ビット間位相差対時間グラフ等を求め、これらのデータを表示部150に出力する。
【0117】
ここで、前述したように、光強度Iαの位相と光強度Iβの位相との間にはπ/2の位相差があるので、信号処理部140は、光強度Iα及びIβに基づいて、相対ビット間位相差Δφmodを特定することができる(図5参照)。
【0118】
最後に、表示部150は、信号処理部140が算出した相対ビット間位相差ヒストグラム、コンスタレーション及び相対ビット間位相差対時間グラフ等を表示する。
【0119】
以上のように、本実施の形態における光位相変調評価モジュール10によれば、ビット遅延器15は、BS13bに入力される第7の光107及び第8の光108に対し、入力された光位相変調信号aのシンボルレートの1ビット分だけ遅延させ、光位相差設定器16は、BS13bに入力される第9の光109及び第10の光110に対し、互いの光位相差をゼロを除く所定の光位相差に設定する構成としたので、従来のものとは異なり、1つのモジュールで2つの光干渉計が構成され、光位相差0及びπ/2の信号を同時に出力することができ、任意の波長に対して光位相差の設定が可能となった。したがって、本実施の形態における光位相変調評価モジュール10は、光位相変調信号aの変調状態を従来よりも正確に評価することができる。
【0120】
また、本実施の形態における光位相変調評価装置100によれば、光位相変調信号aの相対的なビット間位相差を測定することができる光位相変調評価モジュール10を備える構成としたので、光位相変調信号aの相対的なビット間位相差に基づいて相対ビット間位相差ヒストグラム、コンスタレーション及び相対ビット間位相差対時間グラフ等を算出することができ、算出したこれらの結果に基づいて従来よりも正確に光位相変調信号aを評価することができる。
【0121】
なお、前述の実施の形態において、光分岐部12が複数のミラーを備えた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図6に示すように、光分岐部12が光カプラ12bを備える構成としても同様な効果が得られる。
【0122】
また、前述の実施の形態において、第3の光103及び第5の光105の光路上にビット遅延器15を設け、第9の光109及び第10の光110の光路上に光位相差設定器16を設けた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0123】
具体的には、ビット遅延器15は、第3の光103及び第5の光105の光路上以外に、第4の光104及び第6の光106の光路上、第7の光107及び第8の光108の光路上、第9の光109及び第10の光110の光路上のいずれかに設ける構成とすることができる。
【0124】
一方、光位相差設定器16は、第9の光109及び第10の光110の光路上以外に、第3の光103及び第5の光105の光路上、第4の光104及び第6の光106の光路上、第7の光107及び第8の光108の光路上のいずれかに設ける構成とすることができる。
【0125】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る光位相変調評価装置の第2の実施の形態について説明する。
【0126】
図7に示すように、本実施の形態における光位相変調評価装置が備える光位相変調評価モジュール20は、第1の実施の形態における光位相変調評価モジュール10(図1参照)のビット遅延器15をビット遅延器21に変更し、遅延量設定手段22を追加したものである。したがって、光位相変調評価モジュール10と同様な構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0127】
ビット遅延器21は、第3の光103及び第5の光105の進行方向における厚さがdの透光性板21aと、厚さがdの透光性板21bとを備えている。図示を省略したが、ビット遅延器21は、図示した矢印の方向に移動可能な移動保持部に保持され、シンボルレートの1ビットの遅延に相当する光路長をシンボルレートに応じて切り替えて与えるようになっている。
【0128】
遅延量設定手段22は、シンボルレート指定信号を受けてビット遅延器21に対して、透光性板21a及び21bの切替え指示を示す信号を出力するようになっている。
【0129】
透光性板21a及び21bは、例えば石英ガラス板で構成される。透光性板21aは、例えば屈折率が1.5で厚さd=30[mm]であり、シンボルレートSR=20[Gbps]の光位相変調信号aを1ビット分遅延するようになっている。透光性板21bは、例えば屈折率が1.5で厚さd=15[mm]であり、シンボルレートSR=40[Gbps]の光位相変調信号aを1ビット分遅延するようになっている。
【0130】
なお、ビット遅延器21の構成は、図7に示すものに限定されるものではなく、例えば図8に示すようなものでもよい。
【0131】
まず、図8(a)に示されたビット遅延器23は、厚さが互いに異なり、同じ材質の平行板で構成された2つの透光性板23a及び23bと23a及び23bとを備え、第3の光103及び第5の光105に対し、透光性板23a、23bの入射角と透光性板23a、23bの出射角とが等しくなるよう透光性板23a及び23bと23a及び23bとをハの字型に対称に傾けて配置したものである。ここで、透光性板の厚さが厚い23a側はシンボルレートSR=20[Gbps]用であり、透光性板の厚さが薄い23b側はシンボルレートSR=40[Gbps]用である。この構成により、図8(a)に示されたビット遅延器23は、図示した矢印の方向にビット遅延器23を移動することにより、シンボルレートに応じて光路長を切り替えることができる。
【0132】
次に、図8(b)に示されたビット遅延器24は、第3の光103及び第5の光105の進行方向に平行な断面が三角形(くさび形)である2つの透過体24a及び24bを備えている。透過体24aは保持部(図示省略)に固定されており、透過体24bは図示した矢印の方向に移動できるようになっている。この構成により、図8(b)に示されたビット遅延器24は、透過体24bを図示した矢印の方向に移動することにより、シンボルレートに応じて光路長を切り替えることができる。
【0133】
なお、2つの透過体24a及び24bを移動可能な構成としてもよい。また、図8(b)においては、第3の光103及び第5の光105の入射角及び出射角がほぼ0°となる構成としているが、透過体24a及び24bを傾けて、第3の光103及び第5の光105の入射角及び出射角を所定角度に設定する構成としてもよい。この構成により、入射面での反射を抑えることができて好ましい。
【0134】
以上のように、本実施の形態における光位相変調評価モジュール20によれば、ビット遅延器21は、第3の光103及び第5の光105の進行方向における厚さが互いに異なる透光性板21a及び21bを備える構成としたので、シンボルレートの1ビットの遅延に相当する光路長をシンボルレートに応じて切り替えて与えることができる。
【0135】
なお、シンボルレートが20[Gbps]及び40[Gbps]の場合の例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、厚さが互いに異なる3つの平行板でビット遅延器21を構成することにより、3とおりのシンボルレートに対しても対応することができる。
【0136】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る光位相変調評価装置の第3の実施の形態について説明する。
【0137】
図9に示すように、本実施の形態における光位相変調評価装置が備える光位相変調評価モジュール30は、第1の実施の形態における光位相変調評価モジュール10(図1参照)に位相調整用遅延器31を追加したものである。したがって、光位相変調評価モジュール10と同様な構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0138】
位相調整用遅延器31は、第3の光103及び第5の光105を透過し、屈折率が同一で平行な透光性板、例えば石英ガラス板を備えている。位相調整用遅延器31は、図示した矢印の方向に回転できるようになっており、第3の光103及び第5の光105の光路上において所定の光路長を与えるようになっている。なお、位相調整用遅延器31は、本発明の光位相差調整手段に対応している。
【0139】
したがって、位相調整用遅延器31を図示した矢印の方向に回転させることにより、第3の光103及び第5の光105の光路長が変化し、その結果、第1〜4の光出力部18a〜18dからそれぞれ出力される光強度変換信号の相対ビット間位相差Δφmodに対する光強度が変動する。この位相調整用遅延器31の遅延量を調整することで、光強度変換信号の光強度に基づいて算出される相対ビット間位相差の初期位相(φ)を調整することができる。
【0140】
なお、位相調整用遅延器31の構成は、図9に示されたものに限定されるものではなく、例えば図3において説明した光位相差設定器16の透光性板16e及び16fと同様に、回転可能な2つの透光性板を設け、第3の光103及び第5の光105に対し、一方の透光性板における入射角と、他方の透光性板における出射角とが等しくなるようハの字型に対称に傾けて設ける構成とすることもできる。
【0141】
光位相変調評価モジュール30は、前述のように構成されているので、図4に示された光位相変調評価モジュール10に代えて光位相変調評価モジュール30を用いることにより、PD121、122、131及び132がそれぞれ出力する光電変換信号をモニタすることで、バランスドレシーバ120及び130に入力される光強度変換信号の光位相を容易に調整することができる。
【0142】
以上のように、本実施の形態における光位相変調評価モジュール30によれば、位相調整用遅延器31は、第3の光103及び第5の光105を透過し、回転可能な透光性板を備えた構成としたので、第3の光103及び第5の光105の光路長を変化させることにより、第1〜4の光出力部18a〜18dがそれぞれ出力する光強度変換信号の相対ビット間位相差Δφmodに対する光強度を調整し、光強度変換信号の光強度に基づいて算出される相対ビット間位相差Δφmodを校正することができる。
【0143】
なお、前述の実施の形態において、第3の光103及び第5の光105の光路上に位相調整用遅延器31を設ける構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、BS13aから第1ミラー14aを経由してBS13bに至る2つの光の光路上とBS13aから第2ミラー14bを経由してBS13bに至る2つの光の光路上とのいずれかに位相調整用遅延器31を設ける構成とすることができる。
【0144】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る光位相変調評価装置の第4の実施の形態について説明する。
【0145】
図10に示すように、本実施の形態における光位相変調評価装置が備える光位相変調評価モジュール40は、第1の実施の形態における光位相変調評価モジュール10(図1参照)に位相調整器41を追加したものである。したがって、光位相変調評価モジュール10と同様な構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0146】
位相調整器41は、バランスドレシーバ120及び130(図4参照)における光電変換信号の位相を調整するものであり、図10に示すように、第2の光強度変換信号112の光路上に設けられたミラー41a、コーナーミラー41b及びミラー41cと、第4の光強度変換信号114の光路上に設けられたミラー41d、コーナーミラー41e及びミラー41fとを備えている。コーナーミラー41b及び41eは、それぞれ別個に保持手段(図示省略)に保持され、互いに独立して図中の矢印方向に移動できるようになっている。ここで、位相調整器41は、本発明の光路長調整手段に対応している。
【0147】
この構成により、位相調整器41は、第2の光強度変換信号112の光路長と、第4の光強度変換信号114の光路長とをそれぞれ独立して変化させることができる。
【0148】
なお、図10において、コーナーミラー41bの初期位置は、BS13bからPD121(図4参照)までの光路長(111、18a、19a)と、BS13bからPD122(図4参照)までの光路長(112、18b、19b)とがほぼ等しくなる位置とするのが好ましい。また、コーナーミラー41eの初期位置は、BS13bからPD131(図4参照)までの光路長(113、18c、19c)と、BS13bからPD132(図4参照)までの光路長(114、18d、19d)とがほぼ等しくなる位置とするのが好ましい。
【0149】
光位相変調評価モジュール40は、前述のように構成されているので、図4に示された光位相変調評価モジュール10に代えて光位相変調評価モジュール40を用いることにより、バランスドレシーバ120及び130における光電変換信号の位相を位相差180°(π)に調整することができる。
【0150】
したがって、例えば、図4に示された光ファイバ19a及び19bのそれぞれの長さが互いに多少異なることにより、PD121及び122の光電変換信号の位相が所望値に対してずれている場合でも、位相調整器41を調整することによって所望値と一致させることができる。
【0151】
以上のように、本実施の形態における光位相変調評価モジュール40によれば、位相調整器41は、第2の光強度変換信号112の光路長及び第4の光強度変換信号114の光路長を互いに独立して変化させる構成としたので、バランスドレシーバ120及び130における光電変換信号の位相を調整することができる。
【0152】
なお、前述の実施の形態において、第2の光強度変換信号112及び第4の光強度変換信号114の光路上に位相調整器41を設ける構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、BS13bとバランスドレシーバ120及び130のうち少なくとも一方のバランスドレシーバとの間の光路上に位相調整器41を設ける構成としても同様の効果が得られる。
【0153】
また、位相調整器41の構成は、図10に示されたものに限定されるものではなく、例えば第2の光強度変換信号112及び第4の光強度変換信号114の光路上にそれぞれ透光性板を設け、この2つの透光性板をそれぞれ別個に回転させて光路長を変更する構成とすることもできる。
【0154】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係る光位相変調評価装置の第5の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態の説明において、第1の実施の形態における光位相変調評価モジュール10(図1参照)と同様な構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0155】
図11に示すように、光位相変調評価モジュール50は、光位相変調信号aを入力する光入力部11と、入力された光位相変調信号aを第1の光101と第2の光102とに分岐する光分岐部12と、第1の光101を第3の光103と第4の光104とに分波するとともに第2の光102を第5の光105と第6の光106とに分波するBS13aと、第4の光104を反射して第7の光107として出力するとともに第6の光106を反射して第8の光108として出力する第1ミラー51aと、第7の光107を反射して第9の光109として出力するとともに第8の光108を反射して第10の光110として出力する第2ミラー51bとを備えている。
【0156】
また、光位相変調評価モジュール50は、第5の光105と第10の光110とを合波することによって光位相変調信号aの位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第1の光強度変換信号111及び第2の光強度変換信号112を出力するとともに第3の光103と第9の光109とを合波することによって光位相変調信号aの位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第3の光強度変換信号113及び第4の光強度変換信号114を出力するBS13bと、シンボルレートの1ビットの遅延に相当する光路長を与えるビット遅延器52と、光位相差を設定する光位相差設定器16と、光位相差の設定値を光位相差設定器16に指示する位相制御手段17とを備えている。
【0157】
さらに、光位相変調評価モジュール50は、第1の光強度変換信号111を入力して光ファイバ19aに出力する第1の光出力部18aと、第2の光強度変換信号112を入力して光ファイバ19bに出力する第2の光出力部18bと、第3の光強度変換信号113を入力して光ファイバ19cに出力する第3の光出力部18cと、第4の光強度変換信号114を入力して光ファイバ19dに出力する第4の光出力部18dとを備えている。
【0158】
ここで、光位相変調評価モジュール50は、2つのマッハツェンダ干渉計を備える構成となっている。
【0159】
まず、第1のマッハツェンダ干渉計は、光入力部11から光分岐部12、BS13a、第1ミラー51a、第2ミラー51b及びBS13bを経由して第1の光出力部18aに至る光路(以下「第31光路」という。)と、光入力部11から光分岐部12、BS13a及びBS13bを経由して第2の光出力部18bに至る光路(以下「第32光路」という。)とを含む。
【0160】
次に、第2のマッハツェンダ干渉計は、光入力部11から光分岐部12、BS13a、第1ミラー51a、第2ミラー51b及びBS13bを経由して第3の光出力部18cに至る光路(以下「第41光路」という。)と、光入力部11から光分岐部12、BS13a及びBS13bを経由して第4の光出力部18dに至る光路(以下「第42光路」という。)とを含む。
【0161】
なお、本実施の形態において、光入力部11、光分岐部12、BS13a、第1〜4の光出力部18a〜18dの構成は、第1の実施の形態における光位相変調評価モジュール10(図1参照)と同様であるので説明を省略する。
【0162】
第1ミラー51aは、BS13aからの第4の光104及び第6の光106をそれぞれ反射して第7の光107及び第8の光108とし、光位相差設定器16に出力するようになっている。
【0163】
第2ミラー51bは、光位相差設定器16を透過した第7の光107及び第8の光108をそれぞれ反射して第9の光109及び第10の光110とし、BS13bに出力するようになっている。
【0164】
他方、BS13aを透過した第3の光103及び第5の光105は、ビット遅延器52を通過後、BS13bでそれぞれ第9の光109及び第10の光110と合波されるようになっている。
【0165】
ビット遅延器52は、例えば図示のように複数のミラーで構成され、第3の光103及び第5の光105の光路上において、マッハツェンダ干渉計の両アーム間の光路長差間にシンボルレートの1ビットの遅延に相当する光路長を与えるようになっている。本実施の形態においては、ビット遅延器52は、入力側ミラー52a、コーナーミラー52b及び出力側ミラー52cを備え、コーナーミラー52bは、例えばモータで平行移動される保持手段(図示省略)に保持され、図中の矢印方向に移動できるようになっている。
【0166】
具体的には、本実施の形態において、BS13a〜第1ミラー51a間の光路長と、BS13b〜第2ミラー51b間の光路長とが等しい構成となっており、これらの光路長と、入力側ミラー52a〜コーナーミラー52b間の光路長及びコーナーミラー52b〜出力側ミラー52c間の光路長とが等しい位置にコーナーミラー52bの初期位置(ゼロ点)が設定されるようビット遅延器52が構成されている。
【0167】
ビット遅延器52は、前述のように構成されているので、光位相変調評価モジュール50は、コーナーミラー52bの位置調整によって、第1及び第2のマッハツェンダ干渉計における両アーム間の光路長差を任意に設定することができ、被測定信号のシンボルレートに応じて任意の光路長差を設定することができる。
【0168】
ここで、ビット遅延器52において、シンボルレートの1ビットに相当する光路長差dは、遅延時間t[s]、空間の屈折率をn、真空中の光速をcで表すと、(20)式で示される。
【0169】
d=c×t/n (20)
(20)式において、1ビットに相当する遅延時間t[s]は、光入力部11に入力される光位相変調信号aのシンボルレートをSR[bps]で表すと、t=1/SR[s]であるので、シンボルレートSR=40[Gbps]の場合はt=25[ps]、シンボルレートSR=20[Gbps]の場合はt=50[ps]となる。よって、シンボルレートSR=40[Gbps]の場合に与えるべき光路長差d=7.5[mm]となる。また、シンボルレートSR=20[Gbps]の場合に与えるべき光路長差d=15[mm]となる。
【0170】
以上のように、ビット遅延器52は、光位相変調信号aのシンボルレートに応じて、第1及び第2のマッハツェンダ干渉計がそれぞれ有する2つの光路間に1ビットに相当する光路差を与えることができるようになっている。
【0171】
光位相差設定器16は、第7の光107の光路上に設けられた透光性板16aと、第8の光108の光路上に設けられた透光性板16bとを備え、位相制御手段17の指示に従って、第31光路と第32光路との位相差(Δφ1)と、第41光路と第42光路との位相差(Δφ2)との差(Δφ1−Δφ2)をπ/2の光位相差に設定するようになっている。透光性板16a及び16bは、それぞれ、第7の光107及び第8の光108を透過し、屈折率が同一で平行な透光性板、例えば石英ガラス板を備えている。なお、透光性板16a及び16bのそれぞれの厚さは、同一でもよいし、互いに異なっていてもよい。また、透光性板16a及び16bのいずれかのみで光位相差設定器16を構成し、光位相差(Δφ1−Δφ2)をπ/2に設定するようにしてもよい。
【0172】
透光性板16aは、図示した矢印の方向に回転できるようになっており、第7の光107の光路長を変更できるものである。一方、透光性板16bは、第8の光108を一定の入射角で入射する構成となっている。
【0173】
BS13bは、例えば無偏光ビームスプリッタを備え、第5の光105と第10の光110とを合波することによって光位相変調信号aの位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第1の光強度変換信号111及び第2の光強度変換信号112を出力するとともに第3の光103と第9の光109とを合波することによって光位相変調信号aの位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第3の光強度変換信号113及び第4の光強度変換信号114を出力するようになっている。
【0174】
前述のように構成された光位相変調評価モジュール50を、第1の実施の形態において説明した光位相変調評価装置100(図4参照)に適用することにより、第1の実施の形態と同様に、信号処理部140は、光強度Iα及びIβに基づいて、相対ビット間位相差Δφmodを特定することができる(図5参照)。
【0175】
なお、第1の実施の形態の光位相変調評価装置100において、受光部(PD)の応答特性が十分でない場合には、図12に示すような光位相変調評価装置200を構成することもできる。図12において、第1の実施の形態における光位相変調評価装置100と同様な構成には同一の符号を付している。
【0176】
光位相変調評価装置200は、光位相変調評価モジュール50と、光サンプリング部201と、信号処理部140と、表示部150とを備えている。光位相変調評価モジュール50と光サンプリング部201との間には、2つの光ファイバ19a及び19cが接続されている。
【0177】
光サンプリング部201は、光ファイバ19a及び19cからそれぞれ入射される光に対し非線形光学効果を用いて光サンプリングを行うようになっており、例えば、非線形光学材料、光フィルタ、受光素子等を備えている。
【0178】
この構成により、光位相変調評価装置200は、非線形光学効果を用いて光サンプリングされた光学信号を受光素子で電気信号に変換し、この電気信号に基づいて相対ビット間位相差Δφmodを特定することができる。
【0179】
以上のように、本実施の形態における光位相変調評価モジュール50によれば、1つのモジュールで2つの光干渉計が構成され、しかもビット遅延器52によって光干渉計の両アーム間にシンボルレートの1ビット分の遅延を与えることができ、さらに光位相差設定器16によって2つの光干渉計の出力信号間に光位相差π/2を与えることができる構成としたので、光位相変調信号aの直交成分の信号強度が検出でき、位相測定を容易に行うことができる。また、任意の波長に対して光位相差の設定が可能である。したがって、本実施の形態における光位相変調評価モジュール50は、光位相変調信号aの変調状態を従来よりも正確に評価することができる。
【0180】
また、本実施の形態における光位相変調評価モジュール50を光位相変調評価装置100(図4参照)に適用すれば、光位相変調信号aの相対的なビット間位相差に基づいて相対ビット間位相差ヒストグラム、コンスタレーション及び相対ビット間位相差対時間グラフ等を算出することができ、算出したこれらの結果に基づいて従来よりも正確に光位相変調信号aを評価することができる。
【0181】
また、本実施の形態における光位相変調評価モジュール50を光位相変調評価装置200(図12参照)に適用すれば、非線形光学効果を用いて光サンプリングした光信号に基づき、より高速に光位相変調信号aを評価することができる。
【0182】
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係る光位相変調評価装置の第6の実施の形態について説明する。
【0183】
図13に示すように、本実施の形態における光位相変調評価装置が備える光位相変調評価モジュール60は、第5の実施の形態における光位相変調評価モジュール50(図11参照)に、第4の実施の形態における位相調整器41(図10参照)を追加したものである。したがって、光位相変調評価モジュール50と同様な構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0184】
位相調整器41は、バランスドレシーバ120及び130(図4参照)における光電変換信号の位相を調整するものであり、図13に示すように、第2の光強度変換信号112の光路上に設けられたミラー41a、コーナーミラー41b及びミラー41cと、第4の光強度変換信号114の光路上に設けられたミラー41d、コーナーミラー41e及びミラー41fとを備えている。コーナーミラー41b及び41eは、それぞれ別個に保持手段(図示省略)に保持され、互いに独立して図中の矢印方向に移動できるようになっている。
【0185】
この構成により、位相調整器41は、第2の光強度変換信号112の光路長と、第4の光強度変換信号114の光路長とをそれぞれ独立して変化させることができる。
【0186】
なお、図13において、コーナーミラー41bの初期位置は、BS13bからPD121(図4参照)までの光路長(111、18a、19a)と、BS13bからPD122(図4参照)までの光路長(112、18b、19b)とがほぼ等しくなる位置とするのが好ましい。また、コーナーミラー41eの初期位置は、BS13bからPD131(図4参照)までの光路長(113、18c、19c)と、BS13bからPD132(図4参照)までの光路長(114、18d、19d)とがほぼ等しくなる位置とするのが好ましい。
【0187】
光位相変調評価モジュール60は、前述のように構成されているので、図4に示された光位相変調評価モジュール10に代えて光位相変調評価モジュール60を用いることにより、バランスドレシーバ120及び130における光電変換信号の位相を位相差180°(π)に調整することができる。
【0188】
したがって、例えば、図4に示された光ファイバ19a及び19bのそれぞれの長さが互いに多少異なることにより、PD121及び122の光電変換信号の位相が所望値に対してずれている場合でも、位相調整器41を調整することによって所望値と一致させることができる。
【0189】
以上のように、本実施の形態における光位相変調評価モジュール60によれば、位相調整器41は、第2の光強度変換信号112の光路長及び第4の光強度変換信号114の光路長を互いに独立して変化させる構成としたので、バランスドレシーバ120及び130における光電変換信号の位相を調整することができる。
【0190】
なお、前述の実施の形態において、第2の光強度変換信号112及び第4の光強度変換信号114の光路上に位相調整器41を設ける構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、BS13bとバランスドレシーバ120及び130のうち少なくとも一方のバランスドレシーバとの間の光路上に位相調整器41を設ける構成としても同様の効果が得られる。
【0191】
また、位相調整器41の構成は、図13に示されたものに限定されるものではなく、例えば第2の光強度変換信号112及び第4の光強度変換信号114の光路上にそれぞれ透光性板を設け、この2つの透光性板をそれぞれ別個に回転させて光路長を変更する構成とすることもできる。
【0192】
(第7の実施の形態)
次に、本発明に係る光位相変調評価装置の第7の実施の形態について説明する。
【0193】
図14に示すように、本実施の形態における光位相変調評価装置70は、第1の実施の形態における光位相変調評価モジュール10(図1参照)の後段部を変更し、図4に示したバランスドレシーバ120及び130等を付加したものである。したがって、図1及び図4に示したものと同様な構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、図14において、図4に示した信号処理装置140及び表示部150の図示を省略している。
【0194】
光位相変調評価装置70は、BS13bが出力する第1の光強度変換信号111及び第3の光強度変換信号113を反射するミラー71と、BS13bが出力する第2の光強度変換信号112及び第4の光強度変換信号114を反射するミラー72と、第1〜第4の光強度変換信号の光をそれぞれ集光するレンズ73a〜73dと、第1の光強度変換信号111と第2の光強度変換信号112とをバランスド受信するバランスドレシーバ120と、第3の光強度変換信号113と第4の光強度変換信号114とをバランスド受信するバランスドレシーバ130とを備えている。
【0195】
この構成により、光位相変調評価装置70は、ミラー71及び72を用いることによって、光位相変調評価モジュールとバランスドレシーバ120及び130とを空間的に結合することができ、図4に示した光ファイバ19a〜19dを用いることなく、BS13bからバランスドレシーバ120及び130までのそれぞれの光路長をほぼ等しくすることができる。
【0196】
なお、前述の構成において、レンズ73a〜73dを備えることは必須ではない。また、レンズ73a及び73bとバランスドレシーバ120とを、また、レンズ73c及び73dとバランスドレシーバ130とをそれぞれ一体化する構成としてもよい。
【0197】
さらに、図15に示すように、第1の光強度変換信号111及び第2の光強度変換信号112を出力する干渉計の光軸がなす平面と、第3の光強度変換信号113及び第4の光強度変換信号114を出力する干渉計の光軸がなす平面とが、図14において紙面と垂直な方向にずれた2重干渉計となるように構成すれば、バランスドレシーバ120及び130の図14における水平方向の位置を同じくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0198】
以上のように、本発明に係る光位相変調評価装置は、光位相変調信号の変調状態を従来よりも正確に評価することができるという効果を有し、コヒーレント光通信方式における光搬送波がデータ信号によって位相変調された光位相変調信号を評価する光位相変調評価装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第1の実施の形態における構成を示すブロック図
【図2】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第1の実施の形態において、ビット遅延器の他の構成例を示す図
【図3】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第1の実施の形態において、光位相差設定器の他の構成例を示す図
【図4】本発明に係る光位相変調評価モジュールを備えた光位相変調評価装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第1の実施の形態における光強度Iα及びIβの位相関係を示す図
【図6】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第1の実施の形態において、光分岐部の他の構成例を示すブロック図
【図7】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第2の実施の形態における構成を示すブロック図
【図8】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第2の実施の形態において、ビット遅延器の他の構成例を示す図
【図9】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第3の実施の形態における構成を示すブロック図
【図10】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第4の実施の形態における構成を示すブロック図
【図11】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第5の実施の形態における構成を示すブロック図
【図12】本発明に係る光位相変調評価モジュールを備えた光位相変調評価装置の構成を示すブロック図
【図13】本発明に係る光位相変調評価モジュールの第6の実施の形態における構成を示すブロック図
【図14】本発明に係る光位相変調評価装置の第7の実施の形態における構成を示すブロック図
【図15】本発明に係る光位相変調評価装置の第7の実施の形態において、2つのバランスドレシーバを垂直方向に並べて設けた構成を示すブロック図
【図16】従来の光位相変調評価モジュールの構成を示すブロック図
【図17】従来の光位相変調評価装置における光強度Iαの位相を示す図
【符号の説明】
【0200】
10 光位相変調評価モジュール
11 光入力部
12 光分岐部
12a 複数のミラー
12b 光カプラ
13a BS(分波器)
13b BS(合波器)
14a 第1ミラー
14b 第2ミラー
15 ビット遅延器
15a、15b 透光性板
16 光位相差設定器(光位相差設定手段)
16a〜16f 透光性板
16g 保持板
17 位相制御手段
18a 第1の光出力部
18b 第2の光出力部
18c 第3の光出力部
18d 第4の光出力部
19a〜19d 光ファイバ
20 光位相変調評価モジュール
21 ビット遅延器
21a、21b 透光性板
22 遅延量設定手段
23 ビット遅延器
23a(23a、23a)、23b(23b、23b) 透光性板
24(24a、24b) 透過体
30 光位相変調評価モジュール
31 位相調整用遅延器(光位相差調整手段)
40 光位相変調評価モジュール
41 位相調整器(光路長調整手段)
41a、41c、41d、41f ミラー
41b、41e コーナーミラー
50 光位相変調評価モジュール
51a 第1ミラー
51b 第2ミラー
52 ビット遅延器
52a 入力側ミラー
52b コーナーミラー
52c 出力側ミラー
60 光位相変調評価モジュール
70 光位相変調評価装置
71、72 ミラー
73a〜73d レンズ
100、200 光位相変調評価装置
101 第1の光
102 第2の光
103 第3の光
104 第4の光
105 第5の光
106 第6の光
107 第7の光
108 第8の光
109 第9の光
110 第10の光
111 第1の光強度変換信号
112 第2の光強度変換信号
113 第3の光強度変換信号
114 第4の光強度変換信号
120、130 バランスドレシーバ
121、122、131、132 PD
123、133 減算器
140 信号処理部
150 表示部
201 光サンプリング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光搬送波がデータ信号によって所定のシンボルレートで位相変調された光位相変調信号(a)を入力する光入力部(11)と、入力された前記光位相変調信号(a)を第1の光(101)と第2の光(102)とに分岐する光分岐部(12)と、前記第1の光(101)を第3の光(103)と第4の光(104)とに分波するとともに前記第2の光(102)を第5の光(105)と第6の光(106)とに分波する分波器(13a)と、前記第3の光(103)を反射して第7の光(107)として出力するとともに前記第5の光(105)を反射して第8の光(108)として出力する第1ミラー(14a)と、前記第4の光(104)を反射して第9の光(109)として出力するとともに前記第6の光(106)を反射して第10の光(110)として出力する第2ミラー(14b)と、前記第8の光(108)と前記第10の光(110)とを合波することによって前記光位相変調信号(a)の位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第1及び第2の光強度変換信号(111、112)を出力するとともに前記第7の光(107)と前記第9の光(109)とを合波することによって前記光位相変調信号(a)の位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第3及び第4の光強度変換信号(113、114)を出力する合波器(13b)と、前記分波器(13a)から前記第1ミラー(14a)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上と前記分波器(13a)から前記第2ミラー(14b)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上とのいずれかにおいて前記シンボルレートの1ビットに相当する遅延を与えるビット遅延器(15)と、前記分波器(13a)から前記第1ミラー(14a)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上と前記分波器(13a)から前記第2ミラー(14b)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上とのいずれかにおける2つの光の少なくとも一方に所定の光位相の遅延を与える光位相差設定手段(16)と、前記第1及び前記第2の光強度変換信号(111、112)の少なくとも一方の光信号を受けて電気信号に変換する第1の受光部(120)と、前記第3及び前記第4の光強度変換信号(113、114)の少なくとも一方の光信号を受けて電気信号に変換する第2の受光部(130)と、前記第1及び前記第2の受光部(120、130)の出力信号に基づいて前記光位相変調信号(a)を解析する信号処理部(140)とを備えたことを特徴とする光位相変調評価装置。
【請求項2】
前記光位相差設定手段(16)は、前記第9の光(109)に与える光位相の遅延量と前記第10の光(110)に与える光位相の遅延量との差をπ/2に設定することを特徴とする請求項1に記載の光位相変調評価装置。
【請求項3】
前記ビット遅延器(15)は、前記シンボルレートに応じて予め定められた複数の光路長の1つを選択して切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光位相変調評価装置。
【請求項4】
前記ビット遅延器(15)が、前記シンボルレートの1ビットに相当する遅延量を与える厚さを持つ透過性材質の平行板(21a、21b)であって、複数の前記シンボルレートのそれぞれに対応する厚さの前記平行板(21a、21b)を複数個備え、これらを切り替えて前記シンボルレートに対応した遅延量を設定できることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の光位相変調評価装置。
【請求項5】
前記ビット遅延器(15)が、第1の平行板(23a、23b)と第2の平行板(23a、23b)とをハの字型に配置した2枚の透過性材質の平行板のペア(23a、23b)であって、複数の前記シンボルレートのそれぞれに対応する厚さの前記平行板のペア(23a、23b)を複数個備え、当該平行板のペア(23a、23b)を切り替えて前記シンボルレートに対応した遅延量を設定できることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の光位相変調評価装置。
【請求項6】
前記ビット遅延器(15)が、互いに透過面が対向するように配置されたくさび形状の透過体(24a、24b)のペアであって、該透過体(24a、24b)の少なくともいずれか一方を移動して光路長を調整し、複数の前記シンボルレートのそれぞれに対応した前記遅延量を設定できることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の光位相変調評価装置。
【請求項7】
前記信号処理部(140)は前記光位相変調信号(a)の変調位相を評価する信号処理部であって、前記分波器(13a)から前記第1ミラー(14a)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上と前記分波器(13a)から前記第1ミラー(14b)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上とのいずれかにおいて光位相の遅延を与える光位相調整手段(31)を備え、該光位相の遅延量を可変して前記信号処理部(140)が算出する相対ビット間位相差の初期位相(φ)を調整可能にしたことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の光位相変調評価装置。
【請求項8】
光搬送波がデータ信号によって所定のシンボルレートで位相変調された光位相変調信号(a)を入力する光入力部(11)と、入力された前記光位相変調信号(a)を第1の光(101)と第2の光(102)とに分岐する光分岐部(12)と、前記第1の光(101)を第3の光(103)と第4の光(104)とに分波するとともに前記第2の光(102)を第5の光(105)と第6の光(106)とに分波する分波器(13a)と、前記第4の光(104)を反射して第7の光(107)として出力するとともに前記第6の光(106)を反射して第8の光(108)として出力する第1ミラー(51a)と、前記第7の光(107)を反射して第9の光(109)として出力するとともに前記第8の光(108)を反射して第10の光(110)として出力する第2ミラー(51b)と、前記第5の光(105)と前記第10の光(110)とを合波することによって前記光位相変調信号(a)の位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第1及び第2の光強度変換信号(111、112)を出力するとともに前記第3の光(103)と前記第9の光(109)とを合波することによって前記光位相変調信号(a)の位相の変化を光強度の変化に変換して互いにπの光位相差を有する第3及び第4の光強度変換信号(113、114)を出力する合波器(13b)と、前記分波器(13a)から前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上において前記シンボルレートの1ビットに相当する遅延を与えるビット遅延器(52)と、前記分波器(13a)から前記第1ミラー(51a)及び前記第2ミラー(51b)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上と前記分波器(13a)から前記ビット遅延器(52)を経由して前記合波器(13b)に至る2つの光の光路上とのいずれかにおける2つの光の少なくとも一方に所定の光位相の遅延を与える光位相差設定手段(16)と、前記第1及び前記第2の光強度変換信号(111、112)の少なくとも一方の光信号を受けて電気信号に変換する第1の受光部(120)と、前記第3及び前記第4の光強度変換信号(113、114)の少なくとも一方の光信号を受けて電気信号に変換する第2の受光部(130)と、前記第1及び前記第2の受光部(120、130)の出力信号に基づいて前記光位相変調信号(a)を解析する信号処理部(140)とを備えたことを特徴とする光位相変調評価装置。
【請求項9】
前記光位相差設定手段(16)は、前記第7の光(107)に与える光位相の遅延量と前記第8の光(108)に与える光位相の遅延量との差をπ/2に設定することを特徴とする請求項8に記載の光位相変調評価装置。
【請求項10】
前記ビット遅延器(52)は、前記分波器(13a)からの光を反射する入力側ミラー(52a)と、該入力側ミラー(52a)の反射光を該反射光の進行方向と逆方向に反射するコーナーミラー(52b)と、該コーナーミラー(52b)の反射光を前記合波器(13b)に出力する出力側ミラー(52c)とを備え、前記入力側ミラー(52a)から前記コーナーミラー(52b)までの光路長及び前記コーナーミラー(52b)から前記出力側ミラー(52c)までの光路長を可変する方向に移動可能であることを特徴とする請求項8又は9に記載の光位相変調評価装置。
【請求項11】
前記第1の受光部(120)は、前記第1及び前記第2の光強度変換信号(111、112)をバランスド受信するバランスドレシーバであり、前記第2の受光部(130)は、前記第3及び前記第4の光強度変換信号(113、114)をバランスド受信するバランスドレシーバであることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の光位相変調評価装置。
【請求項12】
前記光分岐部(12)は、光カプラ(12b)を備えたことを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の光位相変調評価装置。
【請求項13】
前記光位相差設定手段(16)が、透過性材質の平行板(16a、16b)であって、該平行板(16a、16b)を回転して当該平行板(16a、16b)への光の入射角を変えることによって任意の遅延量に設定できることを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の光位相変調評価装置。
【請求項14】
前記光位相差設定手段(16)が、ハの字型に配置された透過性材質の2枚の平行板(16e、16f)のペアであって、2枚の該平行板(16e、16f)の少なくともいずれか一方を回転して当該平行板(16e、16f)への光の入射角を変えることによって任意の遅延量に設定できることを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項に記載の光位相変調評価装置。
【請求項15】
前記信号処理部(140)は前記光位相変調信号(a)の変調位相を評価する信号処理部であって、前記合波器(13b)と前記第1及び前記第2の受光部(120、130)のうち少なくとも一方の受光部との間の光路上において光路長を調整する光路長調整手段(41)を備え、前記第1及び前記第2の受光部(120、130)がそれぞれ変換した電気信号の位相を調整可能にしたことを特徴とする請求項1から14までのいずれか1項に記載の光位相変調評価装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−197621(P2008−197621A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288869(P2007−288869)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】