説明

光半導体装置用ダイボンド材及びそれを用いた光半導体装置

【課題】熱伝導性が高く、ダイボンド材を用いた光半導体装置においてクラックを生じ難くすることができる光半導体装置用ダイボンド材を提供する。
【解決手段】本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材は、珪素原子に結合した水素原子を有する第1のシリコーン樹脂と、珪素原子に結合した水素原子を有さず、かつアルケニル基を有する第2のシリコーン樹脂と、ヒドロシリル化反応用触媒と、化学式MgCOで示される結晶水を含まない炭酸マグネシウム無水塩、及び該炭酸マグネシウム無水塩の表面が、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆されている被覆体の内の少なくとも一方の物質とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)素子などの光半導体素子をダイボンディングするために用いられる光半導体装置用ダイボンド材、並びに該光半導体装置用ダイボンド材を用いた光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)素子などの光半導体素子が、表示装置の光源等に広く用いられている。光半導体素子を用いた光半導体装置の消費電力は低く、かつ寿命は長い。また、光半導体装置は、過酷な環境下でも使用され得る。従って、光半導体装置は、携帯電話用バックライト、液晶テレビ用バックライト、自動車用ランプ、照明器具及び看板などの幅広い用途で使用されている。
【0003】
下記の特許文献1には、LED素子が基板上に実装された光半導体装置が開示されている。この光半導体装置では、LED素子は、基板の上面にダイボンド材を用いて接合されている。このダイボンド材は、アルケニル基含有ポリオルガノシロキサンと、珪素原子に結合した水素原子を3個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、白金触媒と、接着性付与剤とを含む。上記アルケニル基含有ポリオルガノシロキサンは、珪素原子に結合する水酸基量が50〜3000ppmであり、珪素原子に結合したアルケニル基を平均1個以上有し、かつSiO4/2単位を有するポリオルガノシロキサンを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−114365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記光半導体装置では、光半導体素子から光を発する際に、高い熱量が発生する。このため、ダイボンド材により接合された光半導体素子が熱劣化することがある。光半導体素子の熱劣化を抑制するためには、発生した熱を、ダイボンド材を介して十分に放散させる必要がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来のダイボンド材では、熱を十分に放散させることはできない。
【0007】
また、一般的に、フィラーであるアルミナ及び酸化亜鉛は、熱伝導率が高いので、放熱性に優れた材料として知られている。しかしながら、アルミナ及び酸化亜鉛の比重は比較的大きい。このため、仮にアルミナ及び酸化亜鉛をダイボンド材に添加した場合には、ダイボンド材中でアルミナ及び酸化亜鉛が沈降するという問題がある。
【0008】
さらに、上記フィラーを添加した従来の光半導体装置用ダイボンド材では、該ダイボンド材を用いた光半導体装置においてクラックが生じやすいという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、熱伝導性が高く、ダイボンド材を用いた光半導体装置においてクラックを生じ難くすることができる光半導体装置用ダイボンド材、並びに該光半導体装置用ダイボンド材を用いた光半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の広い局面によれば、珪素原子に結合した水素原子を有する第1のシリコーン樹脂と、珪素原子に結合した水素原子を有さず、かつアルケニル基を有する第2のシリコーン樹脂と、ヒドロシリル化反応用触媒と、化学式MgCOで示される結晶水を含まない炭酸マグネシウム無水塩、及び該炭酸マグネシウム無水塩の表面が、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆されている被覆体の内の少なくとも一方の物質とを含む、光半導体装置用ダイボンド材が提供される。
【0011】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材のある特定の局面では、上記第1のシリコーン樹脂は、下記式(1A)又は下記式(1B)で表され、かつ珪素原子に結合した水素原子を有する第1のシリコーン樹脂であり、上記第2のシリコーン樹脂は、下記式(51A)又は下記式(51B)で表され、かつ珪素原子に結合した水素原子を有さず、かつアルケニル基を有する第2のシリコーン樹脂である。
【0012】
【化1】

【0013】
上記式(1A)中、a、b及びcは、a/(a+b+c)=0.05〜0.50、b/(a+b+c)=0〜0.40及びc/(a+b+c)=0.30〜0.80を満たし、R1〜R6は、少なくとも1個が水素原子を表し、水素原子以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
【0014】
【化2】

【0015】
上記式(1B)中、a、b、c及びdは、a/(a+b+c+d)=0.05〜0.50、b/(a+b+c+d)=0〜0.40、c/(a+b+c+d)=0.30〜0.80及びd/(a+b+c+d)=0.01〜0.40を満たし、R1〜R6は、少なくとも1個が水素原子を表し、水素原子以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R7〜R10はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R11は、炭素数1〜8の2価の炭化水素基を表す。
【0016】
【化3】

【0017】
上記式(51A)中、p、q及びrは、p/(p+q+r)=0.05〜0.50、q/(p+q+r)=0〜0.40及びr/(p+q+r)=0.30〜0.80を満たし、R51〜R56は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、フェニル基及びアルケニル基以外のR51〜R56は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
【0018】
【化4】

【0019】
上記式(51B)中、p、q、r及びsは、p/(p+q+r+s)=0.05〜0.50、q/(p+q+r+s)=0〜0.40、r/(p+q+r+s)=0.30〜0.80及びs/(p+q+r+s)=0.01〜0.40を満たし、R51〜R56は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、フェニル基及びアルケニル基以外のR51〜R56は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R57〜60はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R61は、炭素数1〜8の2価の炭化水素基を表す。
【0020】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材の他の特定の局面では、上記第1のシリコーン樹脂は、珪素原子に結合した水素原子と、アルケニル基とを有する第1のシリコーン樹脂である。
【0021】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材の他の特定の局面では、上記物質の平均粒子径は3μm以下である。
【0022】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材のさらに他の特定の局面では、上記物質とは異なり、平均粒子径が0.01〜2μmであり、かつ熱伝導率が10W/m・K以上であるフィラーがさらに含まれている。
【0023】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材の別の特定の局面では、上記フィラーは、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素及び酸化亜鉛からなる群から選択された少なくとも1種である。
【0024】
本発明に係る光半導体装置は、本発明に従って構成された光半導体装置用ダイボンド材と、接続対象部材と、上記光半導体装置用ダイボンド材を用いて上記接続対象部材に接続された光半導体素子とを備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材は、珪素原子に結合した水素原子を有する第1のシリコーン樹脂と、珪素原子に結合した水素原子を有さず、かつアルケニル基を有する第2のシリコーン樹脂と、ヒドロシリル化反応用触媒と、化学式MgCOで示される結晶水を含まない炭酸マグネシウム無水塩、及び該炭酸マグネシウム無水塩の表面が、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆されている被覆体の内の少なくとも一方の物質とを含むので、熱伝導性を高くすることができる。さらに、ダイボンド材を用いた光半導体装置においてダイボンド材にクラックを生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る光半導体装置を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0028】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材は、珪素原子に結合した水素原子を有する第1のシリコーン樹脂と、珪素原子に結合した水素原子を有さず、かつアルケニル基を有する第2のシリコーン樹脂と、ヒドロシリル化反応用触媒と、物質(X)とを含む。上記物質(X)は、化学式MgCOで示される結晶水を含まない炭酸マグネシウム無水塩(X1)、及び該炭酸マグネシウム無水塩の表面が、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆されている被覆体(X2)の内の少なくとも一方である。
【0029】
上記組成の採用により、ダイボンド材の熱伝導性を高くすることができる。さらに、ダイボンド材の熱伝導性を高くすることができるだけでなく、ダイボンド材を用いた光半導体装置においてダイボンド材にクラックを生じ難くすることができる。ダイボンド材の熱伝導性が高いと、光半導体素子から生じた熱量を十分に放散させることができ、光半導体素子の熱劣化を抑制できる。このため、光半導体装置を長期間使用でき、光半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0030】
熱伝導性を付与するために、フィラーとして、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、酸化マグネシウム及びシリカ等が一般的に用いられている。窒化物の熱伝導性は、非常に高い。例えば、窒化アルミニウムの熱伝導率は150〜250W/m・Kであり、窒化ホウ素の熱伝導率は30〜50W/m・Kである。しかし、窒化物は、非常に高価である。また、アルミナは比較的安価であり、熱伝導性も20〜35W/m・Kと比較的高い。しかし、アルミナはモース硬度が9であり、硬度が高い。このため、アルミナが用いられた場合には、ダイボンド材におけるクラックの発生が問題となると推察される。酸化マグネシウムは安価であり、熱伝導率も45〜60W/m・Kと良好である。しかし、酸化マグネシウムは耐水性が低い。シリカは非常に安価である。しかし、シリカは熱伝導率が2W/m・Kと低い。また、アルミナ及び酸化亜鉛の比重は比較的大きいので、ダイボンド材中でアルミナ及び酸化亜鉛が沈降するという問題もある。
【0031】
上記化学式MgCOで示される結晶水を含まない炭酸マグネシウム無水塩(X1)は、熱伝導率が15W/m・Kと比較的良好であり、モース硬度も3.5と低い。従って、上記炭酸マグネシウム塩(X1)又は該炭酸マグネシウム塩を含む上記被覆体(X2)の使用により、ダイボンド材の熱伝導性を高くし、ダイボンド材のクラックを抑制できる。さらに、上記炭酸マグネシウム無水塩(X1)は、窒化物と比べて安価である。従って、上記炭酸マグネシウム塩(X1)又は該炭酸マグネシウム塩を含む上記被覆体(X2)の使用により、光半導体装置用ダイボンド材の生産コストを低減できる。
【0032】
なお、上記化学式MgCOで示される結晶水を含まない炭酸マグネシウム無水塩(X1)は、例えば化学式4MgCO・Mg(OH)・4HOで表されるヒドロキシ炭酸マグネシウムとは異なる。このヒドロキシ炭酸マグネシウムは、単に炭酸マグネシウムと呼ばれることもある。このヒドロキシ炭酸マグネシウムは100℃前後に加熱されると、結晶水を放出する。このため、ヒドロキシ炭酸マグネシウムは、例えば高い耐熱性が要求される光半導体装置の用途には適さない。
【0033】
上記第1のシリコーン樹脂及び上記第2のシリコーン樹脂における下記式(X)より求められるアリール基の含有比率はそれぞれ、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下である。アリール基の含有比率が上記下限以上及び上記上限以下であると、ガスバリア性がより一層高くなり、かつダイボンド材の剥離が生じ難くなる。
【0034】
アリール基の含有比率(モル%)=(上記第1のシリコーン樹脂又は上記第2のシリコーン樹脂の1分子あたりに含まれるアリール基の平均個数×アリール基の分子量/上記第1のシリコーン樹脂又は上記第2のシリコーン樹脂の数平均分子量)×100 ・・・式(X)
【0035】
(第1のシリコーン樹脂)
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材に含まれている第1のシリコーン樹脂は、珪素原子に結合した水素原子を有する。該水素原子は、珪素原子に直接結合している。ダイボンド材のガスバリア性をより一層高める観点からは、第1のシリコーン樹脂は、珪素原子に結合した水素原子と、アリール基とを有することが好ましい。該アリール基としては、無置換のフェニル基、置換フェニル基、無置換のフェニレン基、及び置換フェニレン基が挙げられる。
【0036】
ガスバリア性により一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記第1のシリコーン樹脂は、珪素原子に結合した水素原子と、アルケニル基とを有することが好ましい。
【0037】
ガスバリア性により一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記第1のシリコーン樹脂は、下記式(1A)又は下記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂であることが好ましい。ただし、上記第1のシリコーン樹脂として、下記式(1A)又は下記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂以外の第1のシリコーン樹脂を用いてもよい。下記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂は、フェニレン基を有していてもよく、フェニレン基を有していなくてもよい。上記第1のシリコーン樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
【化5】

【0039】
上記式(1A)中、a、b及びcは、a/(a+b+c)=0.05〜0.50、b/(a+b+c)=0〜0.40及びc/(a+b+c)=0.30〜0.80を満たし、R1〜R6は、少なくとも1個が水素原子を表し、水素原子以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。なお、上記式(1A)中、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位及び(R6SiO3/2)で表される構造単位はそれぞれ、アルコキシ基を有していてもよく、ヒドロキシ基を有していてもよい。
【0040】
【化6】

【0041】
上記式(1B)中、a、b、c及びdは、a/(a+b+c+d)=0.05〜0.50、b/(a+b+c+d)=0〜0.40、c/(a+b+c+d)=0.30〜0.80及びd/(a+b+c+d)=0.01〜0.40を満たし、R1〜R6は、少なくとも1個が水素原子を表し、水素原子以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R7〜R10はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R11は、炭素数1〜8の2価の炭化水素基を表す。なお、上記式(1B)中、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位、(R6SiO3/2)で表される構造単位、(R7R8R9R10SiR11O2/2)で表される構造単位はそれぞれ、アルコキシ基を有していてもよく、ヒドロキシ基を有していてもよい。
【0042】
ガスバリア性にさらに一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記式(1A)中、R1〜R6は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個が水素原子を表し、フェニル基及び水素原子以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表すことが好ましい。
【0043】
ガスバリア性にさらに一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記式(1B)中、R1〜R6は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個が水素原子を表し、フェニル基及び水素原子以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表すことが好ましい。
【0044】
ガスバリア性にさらに一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記式(1A)中、R1〜R6は、少なくとも1個が水素原子を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、水素原子及びアルケニル基以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表すことが好ましい。
【0045】
ガスバリア性にさらに一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記式(1B)中、R1〜R6は、少なくとも1個が水素原子を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、水素原子及びアルケニル基以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表すことが好ましい。
【0046】
ガスバリア性にさらに一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記式(1A)中、R1〜R6は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個が水素原子を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、フェニル基、水素原子及びアルケニル基以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表すことが好ましい。
【0047】
ガスバリア性にさらに一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記式(1B)中、R1〜R6は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個が水素原子を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、フェニル基、水素原子及びアルケニル基以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表すことが好ましい。
【0048】
上記式(1A)及び上記式(1B)は平均組成式を示す。上記式(1A)及び上記式(1B)における炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記式(1A)及び上記式(1B)中のR1〜R6は同一であってもよく、異なっていてもよい。上記式(1B)中のR7〜R10は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0049】
上記式(1A)及び上記式(1B)中、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位における酸素原子部分、(R6SiO3/2)で表される構造単位における酸素原子部分、(R7R8R9R10SiR11O2/2)で表される構造単位における酸素原子部分はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子部分、アルコキシ基の酸素原子部分、又はヒドロキシ基の酸素原子部分を示す。
【0050】
なお、一般に、上記式(1A)及び上記式(1B)の各構造単位において、アルコキシ基の含有量は少なく、更にヒドロキシ基の含有量も少ない。これは、一般に、第1のシリコーン樹脂を得るために、アルコキシシラン化合物などの有機珪素化合物を加水分解し、重縮合させると、アルコキシ基及びヒドロキシ基の多くは、シロキサン結合の部分骨格に変換されるためである。すなわち、アルコキシ基の酸素原子及びヒドロキシ基の酸素原子の多くは、シロキサン結合を形成している酸素原子に変換される。上記式(1A)及び上記式(1B)の各構造単位がアルコキシ基又はヒドロキシ基を有する場合には、シロキサン結合の部分骨格に変換されなかった未反応のアルコキシ基又はヒドロキシ基がわずかに残存していることを示す。後述の式(51A)及び式(51B)の各構造単位がアルコキシ基又はヒドロキシ基を有する場合に関しても、同様のことがいえる。
【0051】
上記式(1A)及び上記式(1B)における炭素数1〜8の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、イソへキシル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基及びフェニル基等が挙げられる。
【0052】
上記式(1B)における炭素数1〜8の2価の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基及びフェニレン基等が挙げられる。
【0053】
上記式(1A)及び上記式(1B)中、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基及びヘキセニル基等が挙げられる。ガスバリア性をより一層高める観点からは、上記第1のシリコーン樹脂におけるアルケニル基は、ビニル基又はアリル基であることが好ましく、ビニル基であることがより好ましい。
【0054】
上記式(1A)又は上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂における下記式(X1)より求められるアリール基の含有比率は、好ましくは10モル%以上、好ましくは50モル%以下である。このアリール基の含有比率が10モル%以上であると、ガスバリア性がより一層高くなる。アリール基の含有比率が50モル%以下であると、ダイボンド材の剥離が生じ難くなる。ガスバリア性を更に一層高める観点からは、アリール基の含有比率は20モル%以上であることがより好ましい。ダイボンド材の剥離をより一層生じ難くする観点からは、アリール基の含有比率は、40モル%以下であることがより好ましい。
【0055】
アリール基の含有比率(モル%)=(平均組成式が上記式(1A)又は上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂の1分子あたりに含まれるアリール基の平均個数×アリール基の分子量/平均組成式が上記式(1A)又は上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂の数平均分子量)×100 ・・・式(X1)
【0056】
上記式(1A)で表され、かつフェニル基を有する第1のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X1)におけるアリール基はフェニル基を示し、アリール基の含有比率はフェニル基の含有比率を示す。
【0057】
上記式(1B)で表され、かつフェニル基とフェニレン基とを有する第1のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X1)におけるアリール基はフェニル基とフェニレン基とを示し、アリール基の含有比率はフェニル基とフェニレン基との合計の含有比率を示す。
【0058】
上記式(1B)で表され、フェニル基を有し、かつフェニレン基を有さない第1のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X1)におけるアリール基はフェニル基を示し、アリール基の含有比率はフェニル基の含有比率を示す。
【0059】
ガスバリア性をより一層高める観点からは、上記式(1B)中、(R7R8R9R10SiR11O2/2)の構造単位は、下記式(1b−1)で表される構造単位であることが好ましい。下記式(1b−1)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は置換又は無置換のフェニレン基である。本明細書において、「フェニレン基」の用語には、炭素数1〜8の炭化水素基がベンゼン環に置換した置換フェニレン基も含まれる。
【0060】
【化7】

【0061】
上記式(1b−1)中、Raは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R7〜R10はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。上記炭化水素基は直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。なお、上記式(1b−1)中のベンゼン環に結合している3つの基の結合部位は特に限定されない。また、上記式(1b−1)で表される構造単位において、末端の酸素原子は、一般に隣接する珪素原子とシロキサン結合を形成しており、隣接する構造単位と酸素原子を共有している。従って、末端の1つの酸素原子を「O1/2」とする。
【0062】
上記式(1B)中、(R7R8R9R10SiR11O2/2)の構造単位は、下記式(1b−2)で表される構造単位であることが好ましい。下記式(1b−2)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は置換又は無置換のフェニレン基である。下記式(1b−2)中のベンゼン環に結合しているRaの結合部位は特に限定されない。
【0063】
【化8】

【0064】
上記式(1b−2)中、Raは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R7〜R10はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
【0065】
上記式(1B)中、(R7R8R9R10SiR11O2/2)の構造単位は、下記式(1b−3)で表される構造単位であることがより好ましい。下記式(1b−3)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は無置換のフェニレン基である。
【0066】
【化9】

【0067】
上記式(1b−3)中、R7〜R10はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
【0068】
上記式(1A)又は上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂において、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位(以下、二官能構造単位ともいう)は、下記式(1−2)で表される構造、すなわち、二官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
【0069】
(R4R5SiXO1/2) ・・・式(1−2)
【0070】
(R4R5SiO2/2)で表される構造単位は、下記式(1−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(1−2−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R4及びR5で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位に含まれる。具体的には、アルコキシ基がシロキサン結合の部分骨格に変換された場合には、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位は、下記式(1−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を示す。未反応のアルコキシ基が残存している場合、又はアルコキシ基がヒドロキシ基に変換された場合には、残存アルコキシ基又はヒドロキシ基を有する(R4R5SiO2/2)で表される構造単位は、下記式(1−2−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を示す。
【0071】
【化10】

【0072】
上記式(1−2)及び上記式(1−2−b)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(1−b)、(1−2)及び(1−2−b)中のR4及びR5は、上記式(1A)及び上記式(1B)中のR4及びR5と同様の基である。
【0073】
上記式(1A)又は上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂において、(R6SiO3/2)で表される構造単位(以下、三官能構造単位ともいう)は、下記式(1−3)又は下記式(1−4)で表される構造、すなわち、三官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の2つがそれぞれヒドロキシ基若しくはアルコキシ基を構成する構造、又は、三官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基若しくはアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
【0074】
(R6SiX1/2) ・・・式(1−3)
【0075】
(R6SiXO2/2) ・・・式(1−4)
【0076】
(R6SiO3/2)で表される構造単位は、下記式(1−c)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(1−3−c)又は下記式(1−4−c)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R6で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R6SiO3/2)で表される構造単位に含まれる。
【0077】
【化11】

【0078】
上記式(1−3)、(1−3−c)、(1−4)及び(1−4−c)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(1−c)、(1−3)、(1−3−c)、(1−4)及び(1−4−c)中のR6は、上記式(1A)及び上記式(1B)中のR6と同様の基である。
【0079】
上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂において、(R7R8R9R10SiR11O2/2)で表される構造単位は、下記式(1−5)で表される構造、すなわち、(R7R8R9R10SiR11O2/2)の構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
【0080】
(R7R8R9R10SiR11XO1/2) ・・・式(1−5)
【0081】
(R7R8R9R10SiR11O2/2)で表される構造単位は、下記式(1−d)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(1−5−d)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R7、R8、R9、R10及びR11で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R7R8R9R10SiR11O2/2)で表される構造単位に含まれる。
【0082】
【化12】

【0083】
上記式(1−5)及び(1−5−d)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(1−d)、(1−5)及び(1−5−d)中のR7〜R11は、上記式(1B)中のR7〜R11と同様の基である。
【0084】
上記式(1−b)〜(1−d)、式(1−2)〜(1−5)、並びに式(1−2−b)、(1−3−c)、(1−4−c)、及び(1−5−d)において、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びt−ブトキシ基が挙げられる。
【0085】
上記式(1A)中、a/(a+b+c)の下限は0.05、上限は0.50である。a/(a+b+c)が上記下限及び上限を満たすと、ダイボンド材の耐熱性をより一層高めることができ、かつダイボンド材の剥離をより一層抑制できる。上記式(1A)中、a/(a+b+c)の好ましい下限は0.10、より好ましい下限は0.15であり、好ましい上限は0.45、より好ましい上限は0.40である。
【0086】
上記式(1A)中、b/(a+b+c)の下限は0、上限は0.40である。b/(a+b+c)が上記上限を満たすと、ダイボンド材の高温での貯蔵弾性率を高くすることができる。なお、bが0であり、b/(a+b+c)が0である場合、上記式(1A)中、(R4R5SiO2/2)の構造単位は存在しない。
【0087】
上記式(1A)中、c/(a+b+c)の下限は0.30、上限は0.80である。c/(a+b+c)が上記下限を満たすと、ダイボンド材の高温での貯蔵弾性率を高くすることができる。c/(a+b+c)が上記上限を満たすと、ダイボンド材の耐熱性が高くなり、かつ高温環境下でダイボンド材の硬化物の厚みが減少し難くなる。上記式(1A)中、c/(a+b+c)の好ましい下限は0.35、より好ましい下限は0.40、好ましい上限は0.75である。
【0088】
上記式(1B)中、a/(a+b+c+d)の下限は0.05、上限は0.50である。a/(a+b+c+d)が上記下限及び上限を満たすと、ダイボンド材の耐熱性をより一層高めることができ、かつダイボンド材の剥離をより一層抑制できる。上記式(1B)中、a/(a+b+c+d)の好ましい下限は0.10、より好ましい下限は0.15であり、好ましい上限は0.45、より好ましい上限は0.40である。
【0089】
上記式(1B)中、b/(a+b+c+d)の下限は0、上限は0.40である。b/(a+b+c+d)が上記上限を満たすと、ダイボンド材の高温での貯蔵弾性率を高くすることができる。なお、bが0であり、b/(a+b+c+d)が0である場合、上記式(1B)中、(R4R5SiO2/2)の構造単位は存在しない。
【0090】
上記式(1B)中、c/(a+b+c+d)の下限は0.30、上限は0.80である。c/(a+b+c+d)が上記下限を満たすと、ダイボンド材の高温での貯蔵弾性率を高くすることができる。c/(a+b+c+d)が上記上限を満たすと、ダイボンド材の耐熱性が高くなり、かつ高温環境下でダイボンド材の硬化物の厚みが減少し難くなる。c/(a+b+c+d)の好ましい下限は0.35、より好ましい下限は0.40、好ましい上限は0.75である。
【0091】
上記式(1B)中、d/(a+b+c+d)の下限は0.01、上限は0.40である。d/(a+b+c+d)が上記下限及び上限を満たすと、腐食性ガスに対して高いガスバリア性を有し、過酷な環境下で使用されてもクラック又は剥離が生じ難い光半導体装置用ダイボンド材を得ることができる。腐食性ガスに対してより一層高いガスバリア性を有し、過酷な環境下で使用されてもクラック又は剥離がより一層生じ難い光半導体装置用ダイボンド材を得る観点からは、上記式(1B)中、d/(a+b+c+d)の好ましい下限は0.03、より好ましい下限は0.05、好ましい上限は0.35、より好ましい上限は0.30である。
【0092】
上記第1のシリコーン樹脂について、テトラメチルシラン(以下、TMS)を基準に29Si−核磁気共鳴分析(以下、NMR)を行うと、置換基の種類によって若干の変動は見られるものの、上記式(1A)及び上記式(1B)中の(R1R2R3SiO1/2で表される構造単位に相当する各ピークは+10〜−5ppm付近に現れ、上記式(1A)及び上記式(1B)中の(R4R5SiO2/2及び上記式(1−2)の二官能構造単位に相当する各ピークは−10〜−50ppm付近に現れ、上記式(1A)及び上記式(1B)中の(R6SiO3/2、並びに上記式(1−3)及び上記式(1−4)の三官能構造単位に相当する各ピークは−50〜−80ppm付近に現れ、上記式(1B)中の(R7R8R9R10SiR11O2/2及び上記式(1−5)の構造単位に相当する各ピークは0〜−5ppm付近に現れる。
【0093】
従って、29Si−NMRを測定し、それぞれのシグナルのピーク面積を比較することによって上記式(1A)及び上記式(1B)中の各構造単位の比率を測定できる。
【0094】
但し、上記TMSを基準にした29Si−NMRの測定で上記式(1A)及び上記式(1B)中の構造単位の見分けがつかない場合は、29Si−NMRの測定結果だけではなく、H−NMRの測定結果を必要に応じて用いることにより、上記式(1A)及び上記式(1B)中の各構造単位の比率を見分けることができる。
【0095】
(第2のシリコーン樹脂)
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材に含まれている第2のシリコーン樹脂は、アルケニル基を有する。該アルケニル基は、珪素原子に直接結合している。上記アルケニル機の炭素−炭素二重結合における炭素原子が、珪素原子に結合していてもよく、上記アルケニル基の炭素−炭素二重結合における炭素原子とは異なる炭素原子が、珪素原子に結合していてもよい。
【0096】
ダイボンド材のガスバリア性をより一層高める観点からは、上記第2のシリコーン樹脂は、アルケニル基と、アリール基とを有することが好ましい。該アリール基としては、無置換のフェニル基、置換フェニル基、無置換のフェニレン基、及び置換フェニレン基が挙げられる。
【0097】
ガスバリア性により一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記第2のシリコーン樹脂は、下記式(51A)又は下記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂であることが好ましい。ただし、上記第2のシリコーン樹脂として、下記式(51A)又は下記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂以外の第2のシリコーン樹脂を用いてもよい。下記式(51B)で表されるシリコーン樹脂は、フェニレン基を有していてもよく、フェニレン基を有していなくてもよい。上記第2のシリコーン樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0098】
【化13】

【0099】
上記式(51A)中、p、q及びrは、p/(p+q+r)=0.05〜0.50、q/(p+q+r)=0〜0.40及びr/(p+q+r)=0.30〜0.80を満たし、R51〜R56は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、フェニル基及びアルケニル基以外のR51〜R56は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。なお、上記式(51A)中、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位及び(R56SiO3/2)で表される構造単位はそれぞれ、アルコキシ基を有していてもよく、ヒドロキシ基を有していてもよい。
【0100】
【化14】

【0101】
上記式(51B)中、p、q、r及びsは、p/(p+q+r+s)=0.05〜0.50、q/(p+q+r+s)=0〜0.40、r/(p+q+r+s)=0.30〜0.80及びs/(p+q+r+s)=0.01〜0.40を満たし、R51〜R56は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、フェニル基及びアルケニル基以外のR51〜R56は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R57〜60はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R61は、炭素数1〜8の2価の炭化水素基を表す。なお、上記式(51B)中、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位、(R56SiO3/2)で表される構造単位、(R57R58R59R60SiR61O2/2)で表される構造単位はそれぞれ、アルコキシ基を有していてもよく、ヒドロキシ基を有していてもよい。
【0102】
上記式(51A)及び上記式(51B)は平均組成式を示す。上記式(51A)及び上記式(51B)における炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記式(51A)及び上記式(51B)中のR51〜R56は同一であってもよく、異なっていてもよい。上記式(51B)中のR57〜R60は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0103】
上記式(51A)及び(51B)中、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位における酸素原子部分、(R56SiO3/2)で表される構造単位における酸素原子部分、(R57R58R59R60SiR61O2/2)で表される構造単位における酸素原子部分はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子部分、アルコキシ基の酸素原子部分、又はヒドロキシ基の酸素原子部分を示す。
【0104】
上記式(51A)及び上記式(51B)中、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基及びヘキセニル基等が挙げられる。ガスバリア性をより一層高める観点からは、第2のシリコーン樹脂におけるアルケニル基及び上記式(51A)及び上記式(51B)中のアルケニル基は、ビニル基又はアリル基であることが好ましく、ビニル基であることがより好ましい。
【0105】
上記式(51A)及び上記式(51B)における炭素数1〜8の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、イソへキシル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。上記式(51B)における炭素数1〜8の2価の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基及びフェニレン基等が挙げられる。
【0106】
上記式(51A)又は上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂における下記式(X51)より求められるアリール基の含有比率は好ましくは10モル%以上、好ましくは50モル%以下である。このアリール基の含有比率が10モル%以上であると、ガスバリア性がより一層高くなる。アリール基の含有比率が50モル%以下であると、ダイボンド材の剥離が生じ難くなる。ガスバリア性を更に一層高める観点からは、アリール基の含有比率は20モル%以上であることがより好ましい。剥離をより一層生じ難くする観点からは、アリール基の含有比率は、40モル%以下であることがより好ましい。
【0107】
アリール基の含有比率(モル%)=(平均組成式が上記式(51A)又は上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂の1分子あたりに含まれるアリール基の平均個数×アリール基の分子量/平均組成式が上記式(51A)又は上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂の数平均分子量)×100 ・・・式(X51)
【0108】
上記式(51A)で表され、かつフェニル基を有する第2のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X51)におけるアリール基はフェニル基を示し、アリール基の含有比率はフェニル基の含有比率を示す。
【0109】
上記式(51B)で表され、かつフェニル基とフェニレン基とを有する第2のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X51)におけるアリール基はフェニル基とフェニレン基とを示し、アリール基の含有比率はフェニル基とフェニレン基との合計の含有比率を示す。
【0110】
上記式(51B)で表され、フェニル基を有し、かつフェニレン基を有さない第2のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X51)におけるアリール基はフェニル基を示し、アリール基の含有比率はフェニル基の含有比率を示す。
【0111】
ガスバリア性をより一層高める観点からは、上記式(51B)中、(R57R58R59R60SiR61O2/2)の構造単位は、下記式(51b−1)で表される構造単位であることが好ましい。下記式(51b−1)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は置換又は無置換のフェニレン基である。
【0112】
【化15】

【0113】
上記式(51b−1)中、Rbは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R57〜R60はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。上記炭化水素基は直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。なお、上記式(51b−1)中のベンゼン環に結合している3つの基の結合部位は特に限定されない。
【0114】
上記式(51B)中、(R57R58R59R60SiR61O2/2)の構造単位は、下記式(51b−2)で表される構造単位であることが好ましい。下記式(51b−2)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は置換又は無置換のフェニレン基である。下記式(51b−2)中のベンゼン環に結合しているRbの結合部位は特に限定されない。
【0115】
【化16】

【0116】
上記式(51b−2)中、Rbは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R57〜R60はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
【0117】
上記式(51B)中、(R57R58R59R60SiR61O2/2)の構造単位は、下記式(51b−3)で表される構造単位であることがより好ましい。下記式(51b−3)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は無置換のフェニレン基である。
【0118】
【化17】

【0119】
上記式(51b−3)中、R57〜R60はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
【0120】
上記式(51A)又は上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂において、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位(以下、二官能構造単位ともいう)は、下記式(51−2)で表される構造、すなわち、二官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
【0121】
(R54R55SiXO1/2) ・・・式(51−2)
【0122】
(R54R55SiO2/2)で表される構造単位は、下記式(51−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(51−2−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R54及びR55で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位に含まれる。
【0123】
【化18】

【0124】
上記式(51−2)及び(51−2−b)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(51−b)、(51−2)及び(51−2−b)中のR54及びR55は、上記式(51A)又は上記式(51B)中のR54及びR55と同様の基である。
【0125】
上記式(51A)又は上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂において、(R56SiO3/2)で表される構造単位(以下、三官能構造単位ともいう)は、下記式(51−3)又は下記式(51−4)で表される構造、すなわち、三官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の2つがそれぞれヒドロキシ基若しくはアルコキシ基を構成する構造、又は、三官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基若しくはアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
【0126】
(R56SiX1/2) ・・・式(51−3)
【0127】
(R56SiXO2/2) ・・・式(51−4)
【0128】
(R56SiO3/2)で表される構造単位は、下記式(51−c)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(51−3−c)又は下記式(51−4−c)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R56で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R56SiO3/2)で表される構造単位に含まれる。
【0129】
【化19】

【0130】
上記式(51−3)、(51−3−c)、(51−4)及び(51−4−c)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(51−c)、(51−3)、(51−3−c)、(51−4)及び(51−4−c)中のR56は、上記式(51A)及び(51B)中のR56と同様の基である。
【0131】
上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂において、(R57R58R59R60SiR61O2/2)で表される構造単位は、下記式(51−5)で表される構造、すなわち、(R57R58R59R60SiR61O2/2)の構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
【0132】
(R57R58R59R60SiXR61O1/2) ・・・式(51−5)
【0133】
(R57R58R59R60SiR61O2/2)で表される構造単位は、下記式(51−d)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(51−5−d)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R57、R58、R59、R60及びR61で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R57R58R59R60SiR61O2/2)で表される構造単位に含まれる。
【0134】
【化20】

【0135】
上記式(51−5)及び(51−5−d)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(51−d)、(51−5)及び(51−5−d)中のR57〜R61は、上記式(51B)中のR57〜R61と同様の基である。
【0136】
上記式(51−b)〜(51−d)、式(51−2)〜(51−5)、並びに式(51−2−b)、(51−3−c)、(51−4−c)、及び(51−5−d)において、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びt−ブトキシ基が挙げられる。
【0137】
上記式(51A)中、p/(p+q+r)の下限は0.05、上限は0.50である。p/(p+q+r)が上記下限及び上限を満たすと、ダイボンド材の耐熱性をより一層高めることができ、かつダイボンド材の剥離をより一層抑制できる。上記式(51A)中、中、p/(p+q+r)の好ましい下限は0.10、より好ましい下限は0.15であり、好ましい上限は0.45、より好ましい上限は0.40である。
【0138】
上記式(51A)中、q/(p+q+r)の下限は0、上限は0.40である。q/(p+q+r)上記上限を満たすと、ダイボンド材の高温での貯蔵弾性率を高くすることができる。上記式(51A)中、q/(p+q+r)の好ましい上限は0.35、より好ましい上限は0.30である。なお、qが0であり、q/(p+q+r)が0である場合、上記式(51A)中、(R54R55SiO2/2)の構造単位は存在しない。
【0139】
上記式(51A)中、r/(p+q+r)の下限は0.30、上限は0.80である。r/(p+q+r)が上記下限を満たすと、ダイボンド材の高温での貯蔵弾性率を高くすることができる。r/(p+q+r)が上記上限を満たすと、ダイボンド材の耐熱性が高くなり、かつ高温環境下でダイボンド材の硬化物の厚みが減少し難くなる。
【0140】
上記式(51B)中、p/(p+q+r+s)の下限は0.05、上限は0.50である。p/(p+q+r+s)が上記上限を満たすと、ダイボンド材の耐熱性をより一層高めることができ、かつダイボンド材の剥離をより一層抑制できる。
【0141】
上記式(51B)中、q/(p+q+r+s)の下限は0、上限は0.40である。q/(p+q+r+s)が上記上限を満たすと、ダイボンド材の高温での貯蔵弾性率を高くすることができる。なお、qが0であり、q/(p+q+r+s)が0である場合、上記式(51B)中、(R54R55SiO2/2)の構造単位は存在しない。
【0142】
上記式(51B)中、r/(p+q+r+s)の下限は0.30、上限は0.80である。r/(p+q+r+s)が上記下限を満たすと、ダイボンド材の高温での貯蔵弾性率を高くすることができる。上記上限を満たすと、ダイボンド材の耐熱性が高くなり、かつ高温環境下でダイボンド材の硬化物の厚みが減少し難くなる。
【0143】
上記式(51B)中、s/(p+q+r+s)の下限は0.01、上限は0.40である。s/(p+q+r+s)が上記下限及び上限を満たすと、腐食性ガスに対して高いガスバリア性を有し、過酷な環境下で使用されてもクラック又は剥離が生じ難い光半導体装置用ダイボンド材を得ることができる。腐食性ガスに対してより一層高いガスバリア性を有し、過酷な環境下で使用されてもクラック又は剥離がより一層生じ難い光半導体装置用ダイボンド材を得る観点からは、上記式(51B)中、s/(p+q+r+s)の好ましい下限は0.03、より好ましい下限は0.05、好ましい上限は0.35、より好ましい上限は0.30である。
【0144】
上記第2のシリコーン樹脂について、テトラメチルシラン(以下、TMS)を基準に29Si−核磁気共鳴分析(以下、NMR)を行うと、置換基の種類によって若干の変動は見られるものの、上記式(51A)及び上記式(51B)中の(R51R52R53SiO1/2で表される構造単位に相当する各ピークは+10〜−5ppm付近に現れ、上記式(51A)及び上記式(51B)中の(R54R55SiO2/2及び上記式(51−2)の二官能構造単位に相当する各ピークは−10〜−50ppm付近に現れ、上記式上記(51A)及び上記式(51B)中の(R56SiO3/2、並びに上記式(51−3)及び上記式(51−4)の三官能構造単位に相当する各ピークは−50〜−80ppm付近に現れ、上記式(51B)中の(R57R58R59R60SiR61O2/2)及び上記式(51−5)に相当する各ピークは0〜−5ppm付近に現れる。
【0145】
従って、29Si−NMRを測定し、それぞれのシグナルのピーク面積を比較することによって上記式(51A)及び上記式(51B)中の各構造単位の比率を測定できる。
【0146】
但し、上記TMSを基準にした29Si−NMRの測定で上記式(51A)及び上記式(51B)中の構造単位の見分けがつかない場合は、29Si−NMRの測定結果だけではなく、H−NMRの測定結果を必要に応じて用いることにより、上記式(51A)及び上記式(51B)中の各構造単位の比率を見分けることができる。
【0147】
上記第1のシリコーン樹脂100重量部に対して、上記第2のシリコーン樹脂の含有量は10重量部以上、400重量部以下であることが好ましい。第1,第2のシリコーン樹脂の含有量がこの範囲内であると、高温での貯蔵弾性率がより一層高く、かつガスバリア性により一層優れたダイボンド材を得ることができる。高温での貯蔵弾性率がさらに一層高く、かつガスバリア性にさらに一層優れたダイボンド材を得る観点からは、上記第1のシリコーン樹脂100重量部に対して、上記第2のシリコーン樹脂の含有量のより好ましい下限は30重量部、更に好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は300重量部、更に好ましい上限は200重量部である。
【0148】
ガスバリア性により一層優れているダイボンド材を得る観点からは、本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材は、上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂及び上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂の内の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0149】
(第1,第2のシリコーン樹脂の他の性質及びその合成方法)
上記第1,第2のシリコーン樹脂のアルコキシ基の含有量の好ましい下限は0.5モル%、より好ましい下限は1モル%、好ましい上限は10モル%、より好ましい上限は5モル%である。アルコキシ基の含有量が上記好ましい範囲内であると、ダイボンド材の密着性を高めることができる。
【0150】
アルコキシ基の含有量が上記好ましい下限を満たすと、ダイボンド材の密着性を高めることができる。アルコキシ基の含有量が上記好ましい上限を満たすと、上記第1,第2のシリコーン樹脂及びダイボンド材の貯蔵安定性が高くなり、ダイボンド材の耐熱性がより一層高くなる。
【0151】
上記アルコキシ基の含有量は、上記第1,第2のシリコーン樹脂の平均組成式中に含まれる上記アルコキシ基の量を意味する。
【0152】
上記第1,第2のシリコーン樹脂はシラノール基を含有しないほうが好ましい。上記第1,第2のシリコーン樹脂がシラノール基を含有しないと、上記第1,第2のシリコーン樹脂及びダイボンド材の貯蔵安定性が高くなる。上記シラノール基は、真空下での加熱により減少させることができる。シラノール基の含有量は、赤外分光法を用いて測定できる。
【0153】
上記第1,第2のシリコーン樹脂の数平均分子量(Mn)の好ましい下限は500、より好ましい下限は800、更に好ましい下限は1000、好ましい上限は50000、より好ましい上限は15000である。数平均分子量が上記好ましい下限を満たすと、熱硬化時に揮発成分が少なくなり、高温環境下でダイボンド材の硬化物の厚みが減少しにくくなる。数平均分子量が上記好ましい上限を満たすと、粘度調節が容易である。
【0154】
上記数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレンを標準物質して求めた値である。上記数平均分子量(Mn)は、Waters社製の測定装置(カラム:昭和電工社製 Shodex GPC LF−804(長さ300mm)を2本、測定温度:40℃、流速:1mL/分、溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)を用いて測定された値を意味する。
【0155】
上記第1,第2のシリコーン樹脂を合成する方法としては特に限定されず、アルコキシシラン化合物を加水分解し縮合反応させる方法、クロロシラン化合物を加水分解し縮合させる方法が挙げられる。なかでも、反応の制御の観点からアルコキシシラン化合物を加水分解し縮合反応させる方法が好ましい。
【0156】
上記アルコキシシラン化合物を加水分解し縮合反応させる方法としては、例えば、アルコキシシラン化合物を、水と酸性触媒又は塩基性触媒との存在下で反応させる方法が挙げられる。また、ジシロキサン化合物を加水分解して用いてもよい。
【0157】
上記第1,第2のシリコーン樹脂にフェニル基を導入するための有機珪素化合物としては、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル(フェニル)ジメトキシシラン、及びフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0158】
上記第1,第2のシリコーン樹脂に(R57R58R59R60SiR61O2/2)、(R7R8R9R10SiR11O2/2)の構造単位を導入するための有機珪素化合物としては、例えば、1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エトキシエチルメチルシリル)ベンゼン、1,6−ビス(ジメチルメトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(ジエチルメトキシシリル)ヘキサン及び1,6−ビス(エトキシエチルメチルシリル)ヘキサン等が挙げられる。
【0159】
上記第1,第2のシリコーン樹脂にアルケニル基を導入するための有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メトキシジメチルビニルシラン及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
【0160】
上記第1のシリコーン樹脂に珪素原子に結合した水素原子を導入するための有機珪素化合物としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
【0161】
上記第1,第2のシリコーン樹脂を得るために用いることができる他の有機珪素化合物としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソプロピル(メチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(メチル)ジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン及びオクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0162】
上記酸性触媒としては、例えば、無機酸、有機酸、無機酸の酸無水物及びその誘導体、並びに有機酸の酸無水物及びその誘導体が挙げられる。
【0163】
上記無機酸としては、例えば、塩酸、リン酸、ホウ酸及び炭酸が挙げられる。上記有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸及びオレイン酸が挙げられる。
【0164】
上記塩基性触媒としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキシド及びアルカリ金属のシラノール化合物が挙げられる。
【0165】
上記アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムが挙げられる。上記アルカリ金属のアルコキシドとしては、例えば、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド及びセシウム−t−ブトキシドが挙げられる。
【0166】
上記アルカリ金属のシラノール化合物としては、例えば、ナトリウムシラノレート化合物、カリウムシラノレート化合物及びセシウムシラノレート化合物が挙げられる。なかでも、カリウム系触媒又はセシウム系触媒が好適である。
【0167】
(ヒドロシリル化反応用触媒)
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材に含まれているヒドロシリル化反応用触媒は、上記第1のシリコーン樹脂中の珪素原子に結合した水素原子と、上記第2のシリコーン樹脂中のアルケニル基とをヒドロシリル化反応させる触媒である。
【0168】
上記ヒドロシリル化反応用触媒として、ヒドロシリル化反応を進行させる各種の触媒を用いることができる。上記ヒドロシリル化反応用触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0169】
上記ヒドロシリル化反応用触媒としては、例えば、白金系触媒、ロジウム系触媒及びパラジウム系触媒等が挙げられる。ダイボンド材の透明性を高くすることができるため、白金系触媒が好ましい。
【0170】
上記白金系触媒としては、白金粉末、塩化白金酸、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体及び白金−カルボニル錯体が挙げられる。特に、白金−アルケニルシロキサン錯体又は白金−オレフィン錯体が好ましい。
【0171】
上記白金−アルケニルシロキサン錯体におけるアルケニルシロキサンとしては、例えば、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。上記白金−オレフィン錯体におけるオレフィンとしては、例えば、アリルエーテル及び1,6−ヘプタジエン等が挙げられる。
【0172】
上記白金−アルケニルシロキサン錯体及び白金−オレフィン錯体の安定性を向上させることができるため、上記白金−アルケニルシロキサン錯体又は白金−オレフィン錯体に、アルケニルシロキサン、オルガノシロキサンオリゴマー、アリルエーテル又はオレフィンを添加することが好ましい。上記アルケニルシロキサンは、好ましくは1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンである。上記オルガノシロキサンオリゴマーは、好ましくはジメチルシロキサンオリゴマーである。上記オレフィンは、好ましくは1,6−ヘプタジエンである。
【0173】
ダイボンド材100重量%中、上記ヒドロシリル化反応用触媒の含有量は、0.01〜0.5重量部の範囲内であることが好ましい。上記ヒドロシリル化反応用触媒の含有量が上記下限以上であると、ダイボンド材を十分に硬化性させることが容易であり、ダイボンド材のガスバリア性をより一層高めることができる。上記ヒドロシリル化反応用触媒の含有量が上記上限以下であると、ダイボンド材がより一層変色し難くなる。上記ヒドロシリル化反応用触媒の含有量は、より好ましくは0.02重量部以上、より好ましくは0.3重量部以下である。
【0174】
(物質(X))
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材に含まれている物質(X)は、化学式MgCOで示される結晶水を含まない炭酸マグネシウム無水塩(X1)、及び該炭酸マグネシウム無水塩の表面が、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆されている被覆体(X2)の内の少なくとも一方である。物質(X)として、上記炭酸マグネシウム無水塩(X1)のみが用いられてもよく、被覆体(X2)のみが用いられてもよく、炭酸マグネシウム無水塩(X1)と上記被覆体(X2)との双方が用いられてもよい。
【0175】
上記炭酸マグネシウム無水塩の表面が、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆されている被覆体がより好ましく、上記炭酸マグネシウム無水塩の表面が、シリコーン樹脂により被覆されている被覆体がさらに好ましい。
【0176】
物質(X)がフィラーとして用いられることにより、ダイボンド材の硬化物の熱伝導率及び耐熱性を充分に高くすることができる。さらに、物質(X)の使用によって、ダイボンド材の硬化物にクラックが生じ難くなる。
【0177】
上記化学式MgCOで示される結晶水を含まない炭酸マグネシウム無水塩(X1)として、天然品及び合成品が存在する。天然品は不純物を含むため、天然品が用いられた場合には、耐熱性などの物性が安定しない可能性がある。このため、上記炭酸マグネシウム無水塩(X1)は、合成品であることが望ましい。
【0178】
上記被覆体(X2)は、炭酸マグネシウム無水塩(X1)をコアとし、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより形成された被覆層をシェルとするコア/シェル構造を有する。上記被覆体(X2)は、上記被覆層を有するので、樹脂への分散性が高い。さらに上記被覆層を有する上記被覆体(X2)の使用により、ダイボンド材の硬化物の耐湿熱性をより一層高めることもできる。
【0179】
上記炭酸マグネシウム無水塩(X1)の表面を上記被覆層により被覆する方法は特に限定されない。この方法としては、例えば、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカ原料であるシランカップリング剤が溶解されている溶液中に炭酸マグネシウム無水塩(X1)を分散させた分散液をスプレー乾燥する方法、有機樹脂又はシリコーン樹脂が溶解された溶液中に炭酸マグネシウム無水塩(X1)を分散させた後、有機樹脂又はシリコーン樹脂の貧溶媒を添加することにより、炭酸マグネシウム無水塩(X1)の表面に有機樹脂又はポリシロキサンを析出させる方法、並びに炭酸マグネシウム無水塩(X1)が分散された媒体中でアクリル樹脂、スチレン樹脂又は低分子量シラン等の重合性単量体を反応させ、高分子量化し媒体中に溶けきれなくなった有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカを炭酸マグネシウム無水塩(X1)の表面に析出させる方法等が挙げられる。
【0180】
上記有機樹脂は、炭酸マグネシウム無水塩(X1)の表面を被覆できれば特に限定されない。上記有機樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。
【0181】
上記有機樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、熱硬化性ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂、アミノアルキド系樹脂、フェノキシ樹脂、フタレート樹脂、ポリアミド系樹脂、ケトン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、ベンゾオキサジン、及びポリベンゾオキサゾールとベンゾオキサジンとの反応物等が挙げられる。この中でも単量体の種類が豊富であり、被覆層を幅広く設計でき、かつ熱又は光等により反応を容易に制御できるため、(メタ)アクリル系樹脂又はスチレン系樹脂が好ましい。
【0182】
上記スチレン系樹脂は特に限定されない。上記スチレン系樹脂としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン及びジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0183】
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0184】
上記被覆層の厚みは、10nm〜1μmの範囲内であることが好ましい。被覆層の厚みが10nm以上であると、被覆体(X2)の樹脂への分散性の向上効果、及びダイボンド材の硬化物の耐湿熱性の向上効果が十分に得られる。被覆層の厚みが1μm以下であると、被覆体(X2)の熱伝導性がより一層高くなる。
【0185】
物質(X)の形状は、特に限定されない。物質(X)は、略多面体状又は長径と短径との比であるアスペクト比が1〜2の範囲内である形状を有することが好ましい。この場合には、ダイボンド材中に上記物質(X)を高密度で充填させることができ、従って、ダイボンド材の硬化物の放熱性を高めることができる。
【0186】
物質(X)は、化学式MgCOで示される結晶水を含まない球状の炭酸マグネシウム無水塩(X1x1)、及び該球状の炭酸マグネシウム無水塩(X1x1)の表面が、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆されている被覆体(X2x1)の内の少なくとも一方の物質(Xx1)であることが好ましい。なお、球状の炭酸マグネシウム無水塩(X1x1)の表面を、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆することにより、被覆体(X2x1)を球状にできる。また、物質(Xx1)は、球状であることが好ましい。球状の場合には、ダイボンド材中に物質(Xx1)を高密度で充填させることができ、従ってダイボンド材の硬化物の放熱性を高めることができる。さらに、ダイボンド材の硬化物の絶縁破壊特性を高めることができる。
【0187】
なお、球状は、真球状に限られない。球状には、真球がわずかに扁平していたり、歪んでいたりしている形状が含まれる。例えば、球状には、アスペクト比が1〜1.5の範囲内である形状、又は表面の多くの部分例えば表面の30%以上の部分が平面等ではなく曲面であり、表面の一部の部分例えば表面の70%未満の部分が曲面ではなく、平面等である形状が含まれる。表面の50%以上の部分が曲面である形状がより好ましく、表面の70%以上の部分が曲面である形状がさらに好ましい。
【0188】
また、上記球状の炭酸マグネシウム無水塩(X1x1)、該球状の炭酸マグネシウム無水塩を用いた上記被覆体(X2x1)又は球状の物質(Xx1)は、ジェットミル又は回転するローターとステーターとを有する粉砕−表面処理装置により球状化処理された物質であることが好ましい。このような球状化処理により、球形度を高くすることができ、かつ真球状又は真球状に近い形状にすることができる。さらに、上記球状化処理により、物質(X)の凝集物を砕くことができる。従って、上記物質(Xx1)を、ダイボンド材中に高密度で充填させることができる。このため、ダイボンド材の硬化物の放熱性をより一層高めることができる。さらに、ダイボンド材の硬化物の絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
【0189】
上記物質(X)の平均粒子径は、0.01〜40μmの範囲内であることが好ましい。上記物質(X)の平均粒子径は、より好ましくは0.1μm以上、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは3μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、物質(X)を高密度で充填させることが容易である。平均粒子径が上記上限以下であると、光半導体装置においてダイボンド材の厚みが厚くなりすぎず、ダイボンド材の硬化物の絶縁破壊特性をより一層高めることができる。
【0190】
上記物質(X)の平均粒子径は、3μm以下であることが特に好ましい。この場合には、ダイボンド材中で上記物質(X)がより一層沈降し難くなり、ダイボンド材におけるクラックがより一層生じ難くなる。
【0191】
なお、「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
【0192】
ダイボンド材中に細密充填構造を形成して、ダイボンド材硬化物の放熱性を高めるために、形状が異なる2種以上の物質(X)が用いられてもよく、粒径が異なる2種以上の物質(X)が用いられてもよい。
【0193】
上記物質(X)は、化学式MgCOで示される結晶水を含まない略多面体状の炭酸マグネシウム無水塩(X1x2)、及び該略多面体状の炭酸マグネシウム無水塩(X1x2)の表面が、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆されている被覆体(X2x2)の内の少なくとも一方の物質(Xx2)であることも好ましい。なお、略多面体状の炭酸マグネシウム無水塩(X1x2)の表面を、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆することにより、被覆体(X2x2)を略多面体状にできる。また、物質(Xx2)は、球状であることが好ましい。また、物質(Xx2)が略多面体状である場合に、上記物質(X)以外のフィラー(Y)がさらに含まれており、該フィラー(Y)が板状フィラーであることが好ましい。
【0194】
物質(Xx2)が略多面体状であり、板状フィラーが含まれている場合には、ダイボンド材中で物質(Xx2)と板状フィラーとが点接触ではなく面接触し、物質(Xx2)と板状フィラーとの接触面積が大きくなる。また、ダイボンド材中に距離を隔てて分散されている複数の物質(Xx2)同士が、板状フィラーを介して接触又は近接することで、ダイボンド材中の各フィラーが橋掛け又は効率的に近接された構造となる。このため、ダイボンド材の硬化物の熱伝導性をより一層高くすることができる。
【0195】
なお、「略多面体状」とは、一般的な多面体の定義である平面によってのみ構成される多面体状だけでなく、平面と一定割合以下の曲面を有する形状も含まれる。略多面体状には、例えば表面の10%以下の曲面と、表面の90%以上の平面とにより構成される形状が含まれる。略多面体状は、略立方体状又は略直方体状であることが好ましい。
【0196】
ダイボンド材100重量%中、物質(X)の含有量は、20〜90重量%の範囲内であることが好ましい。ダイボンド材100重量%中の物質(X)の含有量は、より好ましくは30重量%以上、より好ましくは80重量%以下である。上記物質(X)の含有量が上記下限以上であると、ダイボンド材の硬化物の放熱性をより一層高めることができる。上記物質(X)の含有量が上記上限以下であると、ダイボンド材の柔軟性又は接着性をより一層高めることができる。
【0197】
後述するフィラー(Y)が含有されない場合には、ダイボンド材100重量%中、物質(X)の含有量は、30〜90重量%の範囲内であることがより好ましい。
【0198】
(フィラー(Y))
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材は、上記物質(X)に加えて、該物質(X)とは異なるフィラー(Y)を含んでいてもよい。フィラー(Y)の使用により、ダイボンド材の硬化物の熱伝導性をより一層高めることができる。フィラー(Y)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0199】
フィラー(Y)は無機フィラーであってもよく、有機フィラーであってもよい。フィラー(Y)は無機フィラーであることが好ましい。
【0200】
上記フィラー(Y)は特に限定されない。ダイボンド材の硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、上記フィラーは、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化炭素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、マイカ及びハイドロタルサイトからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。ダイボンド材の硬化物の熱伝導性を高くし、放熱性をさらに一層高める観点からは、上記フィラー(Y)は、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素及び酸化亜鉛からなる群から選択された少なくとも1種であることが特に好ましい。
【0201】
ダイボンド材の熱伝導性をより一層高める観点からは、上記フィラー(Y)の熱伝導率は10W/m・K以上であることが好ましい。フィラー(Y)の熱伝導率は、より好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上である。フィラー(Y)の熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率300W/m・K程度の無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率200W/m・K程度の無機フィラーは容易に入手できる。
【0202】
上記フィラー(Y)は、球状であることが特に好ましい。球状フィラーの場合には、フィラー(Y)を高密度で充填させることができるため、ダイボンド材の硬化物の放熱性をより一層高めることができる。
【0203】
上記フィラー(Y)の平均粒子径は、0.01〜40μmの範囲内であることが好ましい。上記フィラー(Y)の平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは2μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、フィラー(Y)を高密度で充填することが容易になる。平均粒子径が上記上限以下であると、ダイボンド材の硬化物の絶縁破壊特性をより一層高くすることができる。
【0204】
上記フィラー(Y)の平均粒子径は0.01〜2μmの範囲内であることが特に好ましい。この場合には、ダイボンド材中で上記フィラー(Y)がより一層沈降し難くなり、ダイボンド材にクラックがより一層生じ難くなる。
【0205】
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
【0206】
上記物質(Xx2)が含まれている場合に、上記フィラー(Y)は板状のフィラーであることが好ましい。
【0207】
上記物質(Xx2)の平均粒子径は0.01〜40μmの範囲内であり、かつ上記板状フィラーの平均長径は0.01〜10μmの範囲内であることが好ましい。このような形状の物質(Xx2)及び板状フィラーの使用により、ダイボンド材中で物質(Xx2)と板状フィラーとを充分に接触させることができる。このため、ダイボンド材の硬化物の熱伝導性をより一層高くすることができる。
【0208】
上記板状フィラーの平均長径が0.01μm未満であると、板状フィラーの充填が困難であったり、板状フィラーによって略多面体状の物質(Xx2)間を効率的かつ十分に橋かけさせることができなかったりことがある。板状フィラーの平均長径が10μmを超えると、ダイボンド材の絶縁性が低くなりやすくなる。板状フィラーの平均長径は、0.5〜9μmの範囲内であることがより好ましく、1〜9μmの範囲内であることがより好ましい。
【0209】
上記板状フィラーの平均厚みは、100nm以上であることが好ましい。板状フィラーの厚みが100nm以上の場合には、硬化物の熱伝導率をさらに一層高くすることができる。また、上記板状フィラーのアスペクト比は2〜50の範囲内であることが好ましい。板状フィラーのアスペクト比が50を超えると、板状フィラーの充填が困難なことがある。板状フィラーのアスペクト比は、3〜45の範囲内であることがより好ましい。
【0210】
また、上記板状フィラーは、アルミナ及び窒化ホウ素の内の少なくとも一方であることが好ましい。この場合には、ダイボンド材の硬化物の熱伝導性をさらに一層高くすることができる。特に、上記物質(Xx2)とアルミナ及び窒化ホウ素の内の少なくとも一方との併用により、ダイボンド材の硬化物の熱伝導性をさらに一層高くすることができる。
【0211】
物質(X)とフィラー(Y)とが併用される場合には、その含有量は、物質(X)及びフィラー(Y)のそれぞれの種類、粒径及び形状により適宜最適なように決定される。ダイボンド材100重量%中、物質(X)と無機フィラー(Y)との合計の含有量は、60〜90重量%の範囲内であることが好ましい。物質(X)と無機フィラー(Y)との合計の含有量が60重量%以上であると、硬化物の放熱性をより一層高めることができる。物質(X)とフィラー(Y)との合計の含有量が90重量%以下であると、ダイボンド材の柔軟性又は接着性がより一層高くなる。
【0212】
物質(X)とフィラー(Y)とが併用される場合には、物質(X)とフィラー(Y)との合計100重量%中、物質(X)の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、特に好ましくは10重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。物質(X)とフィラー(Y)とが併用される場合には、ダイボンド材100重量%中、上記物質(X)の含有量は、20〜80重量%の範囲内であることがより好ましい。
【0213】
ダイボンド材中に、上記物質(Xx2)と上記板状フィラーとは体積比で70:30〜99:1で含まれていることが好ましい。また、ダイボンド材100重量%中、上記物質(Xx2)と上記板状フィラーとの合計の含有量は60〜90重量%の範囲内であることが好ましい。また、ダイボンド材中に上記物質(Xx2)と上記板状フィラーとの含有量は、体積比で70:30〜99:1であり、かつダイボンド材100重量%中の上記物質(Xx2)と上記板状フィラーとの合計の含有量は60〜90重量%の範囲内であることがより好ましい。上記物質(X2x)及び上記板状フィラーの含有量がそれぞれ上記好ましい範囲内である場合には、ダイボンド材の硬化物の熱伝導性をより一層高くすることができる。
【0214】
(カップリング剤)
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材は、接着性を付与するために、カップリング剤をさらに含有してもよい。
【0215】
上記カップリング剤としては特に限定されず、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。該シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。カップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0216】
(他の成分)
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、溶剤、着色剤、充填剤、消泡剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調節剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、防黴剤、レベリング剤、安定剤、カップリング剤、タレ防止剤又は蛍光体等を含有してもよい。
【0217】
(光半導体装置用ダイボンド材の詳細及び用途)
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材は、ペースト状であってもよく、フィルム状であってもよい。本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材は、ペースト状であることが好ましい。ダイボンド材がペースト状であっても、上記物質(X)は沈降し難く、良好な分散状態を維持できる。
【0218】
上記第1のシリコーン樹脂と、上記第2のシリコーン樹脂と、上記ヒドロシリル化反応用触媒とは、これらを1種又は2種以上含む液を別々に調製しておき、使用直前に複数の液を混合して、本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材を調製してもよい。例えば、上記第2のシリコーン樹脂及び上記ヒドロシリル化反応用触媒を含むA液と、第1のシリコーン樹脂を含むB液とを別々に調製しておき、使用直前にA液とB液を混合して、ダイボンド材を調製してもよい。この場合に、上記物質(X)及び上記フィラー(Y)はそれぞれ、A液に含まれていてもよく、B液に含まれていてもよい。このように上記第2のシリコーン樹脂及び上記ヒドロシリル化反応用触媒と上記第1のシリコーン樹脂とを別々に、第1の液と第2の液との2液にすることによって保存安定性を向上させることができる。
【0219】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材の製造方法としては特に限定されず、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロール又はビーズミル等の混合機を用いて、常温又は加温下で、上記第1のシリコーン樹脂、上記第2のシリコーン樹脂、上記ヒドロシリル化反応用触媒、上記物質(X)及び必要に応じて配合される他の成分を混合する方法等が挙げられる。
【0220】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材を、基板等の接続対象部材上に配置し、又は光半導体素子の下面に配置し、ダイボンド材を介して接続対象部材と光半導体素子とを接続することにより、光半導体装置を得ることができる。
【0221】
本発明に係る光半導体装置用ダイボンド材の硬化温度は特に限定されない。光半導体装置用ダイボンド材の硬化温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下である。硬化温度が上記好ましい下限以上であると、ダイボンド材の硬化が充分に進行する。硬化温度が上記好ましい上限以下であると、ダイボンド材及びダイボンド材により接合される部材の熱劣化が起こり難い。
【0222】
硬化方式は特に限定されないが、ステップキュア方式を用いることが好ましい。ステップキュア方式は、一旦低温で仮硬化させておき、その後に高温で硬化させる方法である。ステップキュア方式の使用により、ダイボンド材の硬化収縮を抑えることができる。
【0223】
(光半導体装置)
本発明に係る光半導体装置は、光半導体装置用ダイボンド材と、接続対象部材と、上記光半導体装置用ダイボンド材を用いて上記接続対象部材に接続された光半導体素子とを備える。
【0224】
本発明に係る光半導体装置としては、具体的には、例えば、発光ダイオード装置、半導体レーザー装置及びフォトカプラ等が挙げられる。このような光半導体装置は、例えば、液晶ディスプレイ等のバックライト、照明、各種センサー、プリンター及びコピー機等の光源、車両用計測器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト並びにスイッチング素子等に好適に用いることができる。
【0225】
上記光半導体素子である発光素子としては、半導体を用いた発光素子であれば特に限定されず、例えば、上記発光素子が発光ダイオードである場合、例えば、基板上にLED形式用半導体材料を積層した構造が挙げられる。この場合、半導体材料としては、例えば、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaAlN、及びSiC等が挙げられる。
【0226】
上記基板の材料としては、例えば、サファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、及びGaN単結晶等が挙げられる。また、必要に応じ基板と半導体材料との間にバッファー層が形成されていてもよい。上記バッファー層の材料としては、例えば、GaN及びAlN等が挙げられる。
【0227】
図1は、本発明の一実施形態に係る光半導体装置を示す正面断面図である。
本実施形態の光半導体装置1は、接続対象部材であるハウジング2と、光半導体素子3とを有する。ハウジング2内にLEDからなる光半導体素子3が実装されている。この光半導体素子3の周囲を、ハウジング2の光反射性を有する内面2aが取り囲んでいる。本実施形態では、光半導体により形成された発光素子として、光半導体素子3が用いられている。
【0228】
ハウジング2の内面2aは、内面2aの径が開口端に向かうにつれて大きくなるように形成されている。従って、光半導体素子3から発せられた光のうち、内面2aに到達した光B1が内面2aにより反射され、光半導体素子3の前方側に進行する。
【0229】
光半導体素子3は、ハウジング2に設けられたリード電極4に、ダイボンド材5を用いて接続されている。ダイボンド材5は、光半導体装置用ダイボンド材である。光半導体素子3に設けられたボンディングパッド(図示せず)とリード電極4とが、ボンディングワイヤー6により電気的に接続されている。光半導体素子3及びボンディングワイヤー6を封止するように、内面2aで囲まれた領域内には、封止剤7が充填されている。
【0230】
ダイボンド材5は、光半導体素子3の底部からはみ出してその周囲を囲むように配置されてもよく、光半導体素子3の底部からはみ出さないように配置されてもよい。ダイボンド材5の厚みは、2〜50μmの範囲内であることが好ましい。
【0231】
光半導体装置1では、光半導体素子3を駆動すると、破線Aで示すように光が発せられる。この場合、光半導体素子3からリード電極4の上面とは反対側すなわち上方に照射される光だけでなく、ダイボンド材5に到達した光が矢印B2で示すように反射される光もある。
【0232】
なお、図1に示す構造は、本発明に係る光半導体装置の一例にすぎず、光半導体素子3の実装構造等には適宜変形され得る。
【0233】
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0234】
(合成例1)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン120g、メチルトリメトキシシラン54g、及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン40gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、塩酸1.2gと水83gとの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(A)を得た。
得られたポリマー(A)の数平均分子量(Mn)は1500であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(A)は、下記の平均組成式(A1)を有していた。
【0235】
(HMeSiO1/20.20(MeSiO2/20.50(MeSiO3/20.30 …式(A1)
【0236】
上記式(A1)中、Meはメチル基を示す。
【0237】
なお、合成例1及び合成例2〜8で得られた各ポリマーの分子量は、10mgにテトラヒドロフラン1mLを加え、溶解するまで攪拌し、GPC測定により測定した。GPC測定では、Waters社製の測定装置(カラム:昭和電工社製 Shodex GPC LF−804(長さ300mm)×2本、測定温度:40℃、流速:1mL/min、溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)を用いた。
【0238】
(合成例2)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン48g、メチルトリメトキシシラン163g、及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン27gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、塩酸1.2gと水102gとの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(B)を得た。
得られたポリマー(B)の数平均分子量(Mn)は1500であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(B)は、下記の平均組成式(B1)を有していた。
【0239】
(HMeSiO1/20.20(MeSiO2/20.30(MeSiO3/20.50 …式(B1)
【0240】
上記式(B1)中、Meはメチル基を示す。
【0241】
(合成例3)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン48g、ビニルメチルジメトキシシラン26g、フェニルトリメトキシシラン119g、メチルトリメトキシシラン54g、及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン27gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、塩酸1.2gと水101gとの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(C)を得た。
【0242】
得られたポリマー(C)の数平均分子量(Mn)は1300であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(C)は、下記の平均組成式(C1)を有していた。
【0243】
(HMeSiO1/20.20(MeSiO2/20.20(ViMeSiO2/20.10(MeSiO3/20.20(PhSiO3/20.30 …式(C1)
上記式(C1)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
得られたポリマー(C)のフェニル基の含有比率は18モル%であった。
【0244】
(合成例4)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン26g、フェニルトリメトキシシラン119g、メチルトリメトキシシラン54g、1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン40g、及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン27gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、塩酸1.4gと水99gとの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(D)を得た。
【0245】
得られたポリマー(D)の数平均分子量(Mn)は1200であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(D)は、下記の平均組成式(D1)を有していた。
【0246】
(HMeSiO1/20.20(MeSiO2/20.20(MeSiO3/20.20(PhSiO3/20.30(MeSiPheO2/20.10 …式(D1)
【0247】
上記式(D1)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Pheはフェニレン基を示す。
【0248】
得られたポリマー(D)のフェニル基とフェニレン基との含有比率(アリール基の含有比率)は26モル%であった。
【0249】
(合成例5)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ビニルメチルジメトキシシラン26g、フェニルトリメトキシシラン119g、メチルトリメトキシシラン54g、1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン40g、及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン27gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水114gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(E)を得た。
【0250】
得られたポリマー(E)の数平均分子量(Mn)は1000であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(E)は、下記の平均組成式(E1)を有していた。
【0251】
(HMeSiO1/20.20(ViMeSiO2/20.10(MeSiO3/20.30(PhSiO3/20.30(MeSiPheO2/20.10 …式(E1)
【0252】
上記式(E1)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基、Pheはフェニレン基を示す。
【0253】
得られたポリマー(E)のフェニル基とフェニレン基との含有比率(アリール基の含有比率)は31モル%であった。
【0254】
(合成例6)第2のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トリメチルメトキシシラン41g、ジメチルジメトキシシラン72g、メチルトリメトキシシラン81g、及びビニルメチルジメトキシシラン52gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水114gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(F)を得た。
【0255】
得られたポリマー(F)の数平均分子量(Mn)は2000であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(F)は、下記の平均組成式(F1)を有していた。
【0256】
(MeSiO1/20.20(ViMeSiO2/20.20(MeSiO2/20.30(MeSiO3/20.30 …式(F1)
【0257】
上記式(F1)中、Meはメチル基、Viはビニル基を示す。
【0258】
(合成例7)第2のシリコーン樹脂の合成
トリメチルメトキシシラン41g、ビニルメチルジメトキシシラン52g、メチルトリメトキシシラン54g、及びフェニルトリメトキシシラン158gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水114gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(G)を得た。
【0259】
得られたポリマー(G)の数平均分子量(Mn)は2200であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(G)は、下記の平均組成式(G1)を有していた。
【0260】
(MeSiO1/20.20(ViMeSiO2/20.20(MeSiO3/20.20(PhSiO3/20.40 …式(G1)
【0261】
上記式(G1)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
【0262】
得られたポリマー(G)のフェニル基の含有比率は14モル%であった。
【0263】
(合成例8)第2のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トリメチルメトキシシラン41g、ビニルメチルジメトキシシラン52g、メチルトリメトキシシラン54g、フェニルトリメトキシシラン119g、及び1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン40gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水114gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(H)を得た。
【0264】
得られたポリマー(H)の数平均分子量(Mn)は1500であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(H)は、下記の平均組成式(H1)を有していた。
【0265】
(MeSiO1/20.20(ViMeSiO2/20.20(MeSiO3/20.20(PhSiO3/20.30(MeSiPheO2/20.10 …式(H1)
【0266】
上記式(H1)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基、Pheはフェニレン基を示す。
【0267】
得られたポリマー(H)のフェニル基とフェニレン基との含有比率(アリール基の含有比率)は16モル%であった。
【0268】
(合成例9)被覆体(X2)の作製
攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計が取り付けられた2Lの容器内に、分散媒体であるメチルイソブチルケトン1000gと、略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)600gと、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート50gと、アゾビスイソブチロニトリル1gとを加え、攪拌により混合し、表面処理溶液中にマグネサイトが分散された分散液を調製した。その後、減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素により内部を大気圧まで戻し、容器内を窒素雰囲気とした。その後、攪拌しながら容器内を70℃に加熱し、8時間反応を行った。室温まで冷却した後、反応溶液をセントルにより脱溶剤し、更に真空乾燥することにより、表面がメタクリル樹脂により被覆された合成マグネサイト6μm(アクリル樹脂被覆合成マグネサイト6μm)を得た。
【0269】
(合成例10)被覆体(X2)の作製
表面を被覆するためのモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートを、両末端メタクリロキシ基含有シリコーン(チッソ社製、商品名:サイラプレーンFM−7721)に変更したこと以外は合成例9と同様にして、表面がシリコーン樹脂により被覆された合成マグネサイト6μm(シリコーン樹脂被覆合成マグネサイト6μm)を得た。
【0270】
(合成例11)被覆体(X2)の作製
攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計が取り付けられた2Lの容器内に、分散媒体であるpH9に調整されたイオン交換水1,000gと、略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)600gと、テトラエトキシシラン60gとを加え、攪拌することにより混合し、表面処理溶液中にマグネサイトが分散された分散液を調製した。その後、攪拌しながら容器内を70℃に加熱し、8時間反応を行った。室温まで冷却した後、反応溶液をセントルにより脱水し、更に真空乾燥することにより、表面がシリカにより被覆された合成マグネサイト6μm(シリカ被覆合成マグネサイト6μm)を得た。
【0271】
(合成例12)被覆体(X2)の作製
略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSS、平均粒子径1.2μm)に変更したこと以外は合成例9と同様にして、表面がメタクリル樹脂により被覆された合成マグネサイト1.2μm(アクリル樹脂被覆合成マグネサイト1.2μm)を得た。
【0272】
(合成例13)被覆体(X2)の作製
略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSS、平均粒子径1.2μm)に変更したこと以外は合成例10と同様にして、表面がシリコーン樹脂により被覆された合成マグネサイト1.2μm(シリコーン樹脂被覆合成マグネサイト1.2μm)を得た。
【0273】
(合成例14)被覆体(X2)の作製
略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSS、平均粒子径1.2μm)に変更したこと以外は合成例11と同様にして、表面がシリカにより被覆された合成マグネサイト1.2μm(シリカ被覆合成マグネサイト1.2μm)を得た。
【0274】
(実施例1)
ポリマーA5重量部、ポリマーF5重量部、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体0.02重量部、及び上記炭酸マグネシウム無水塩(X1)に相当する略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)60重量部を混合し、脱泡を行い、光半導体装置用ダイボンド材を得た。
【0275】
(実施例2)
マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、合成例9で得られた表面がメタクリル樹脂により被覆された合成マグネサイト6μm(アクリル樹脂被覆合成マグネサイト6μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0276】
(実施例3)
マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、合成例10で得られた表面がシリコーン樹脂により被覆された合成マグネサイト6μm(シリコーン樹脂被覆合成マグネサイト6μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0277】
(実施例4)
炭酸マグネシウム無水塩(X1)に相当するマグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、合成例11で得られた表面がシリカにより被覆された合成マグネサイト6μm(シリカ被覆合成マグネサイト6μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0278】
(実施例5)
ポリマーA5重量部をポリマーB5重量部に変更したこと、並びにポリマーF5重量部をポリマーG5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0279】
(実施例6)
ポリマーA5重量部をポリマーC5重量部に変更したこと、並びにポリマーF5重量部をポリマーG5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0280】
(実施例7)
ポリマーA5重量部をポリマーD5重量部に変更したこと、並びにポリマーF5重量部をポリマーG5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0281】
(実施例8)
ポリマーA5重量部をポリマーE5重量部に変更したこと、並びにポリマーF5重量部をポリマーG5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0282】
(実施例9)
ポリマーA5重量部をポリマーE5重量部に変更したこと、ポリマーF5重量部をポリマーH5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0283】
(実施例10)
合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、上記炭酸マグネシウム無水塩(X1)に相当する略多面体状の合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSS、平均粒子径1.2μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0284】
(実施例11)
マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、合成例12で得られた表面がメタクリル樹脂により被覆された合成マグネサイト1.2μm(アクリル樹脂被覆合成マグネサイト1.2μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0285】
(実施例12)
マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、合成例13で得られた表面がシリコーン樹脂により被覆された合成マグネサイト1.2μm(シリコーン樹脂被覆合成マグネサイト1.2μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0286】
(実施例13)
マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径1.2μm)を、合成例14で得られた表面がシリカにより被覆された合成マグネサイト1.2μm(シリカ被覆合成マグネサイト1.2μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0287】
(実施例14)
上記フィラー(Y)に相当する窒化アルミニウム(トクヤマ社製、平均粒子径0.6μm、熱伝導率100W/m・K)10重量部をさらに混合したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0288】
(実施例15)
上記フィラー(Y)に相当する窒化ホウ素(水島合金鉄社製、平均粒子径0.5μm、熱伝導率50W/m・K)10重量部をさらに混合したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0289】
(実施例16)
上記フィラー(Y)に相当する窒化ケイ素(電気化学工業社製、平均粒子径1.5μm、熱伝導率35W/m・K)10重量部をさらに混合したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0290】
(実施例17)
上記フィラー(Y)に相当する酸化亜鉛(ハクスイテック社製、平均粒子径0.2μm、熱伝導率25W/m・K)10重量部をさらに混合したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0291】
(実施例18)
上記フィラー(Y)に相当するアルミナ(住友化学社製、平均粒子径0.4μm、熱伝導率20W/m・K)10重量部をさらに混合したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0292】
(比較例1)
合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、酸化マグネシウム(堺化学工業社製、平均粒子径1.1μm、熱伝導率30W/m・K)60重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0293】
(比較例2)
合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、結晶水含有炭酸マグネシウム(神島化学工業社製、平均粒子径9μm、熱伝導率15W/m・K)60重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0294】
(比較例3)
合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、酸化亜鉛(ハクスイテック社製、平均粒子径0.2μm、熱伝導率25W/m・K)60重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0295】
(比較例4)
合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、アルミナ(住友化学社製、平均粒子径0.4μm、熱伝導率20W/m・K)60重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0296】
(比較例5)
合成マグネサイト(神島化学工業社製、商品名:MSL、平均粒子径6μm)を、シリカ(トクヤマ社製、平均粒子径15μm、熱伝導率2W/m・K)60重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイボンド材を得た。
【0297】
(評価)
(1)熱伝導率
実施例及び比較例で得られた各光半導体装置用ダイボンド材を150℃で3時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ50μmの硬化物を得た。この硬化物を評価サンプルとした。
【0298】
得られた評価サンプルの熱伝導率を、京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて測定した。なお、熱伝導率は高い方がよく、熱伝導率は0.3W/m・K以上である必要がある。
【0299】
(2)絶縁破壊電圧
上記(1)熱伝導率の評価で用いた評価サンプルを用意した。耐電圧試験器(MODEL7473、EXTECH Electronics社製)を用いて、硬化物間に、1kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。硬化物が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。
【0300】
(3)ガスバリア性(透湿度)
実施例及び比較例で得られた各光半導体装置用ダイボンド材を150℃で3時間加熱し、硬化させ、100mm×100mm×厚さ1mmの硬化物を得た。この硬化物を直径6cmの円形に裁断し、評価サンプルを得た。
【0301】
塩化カルシウムが設置されたJIS Z0208に規定のカップの上に評価サンプルを載せ、周辺を蝋で固定した。次いで、85℃及び85%RHの雰囲気下に24時間放置した後、重量変化を測定して、透湿度(g/m・24h/100μm)を求めた。
【0302】
(4)接着性(ダイシェア強度)
AgメッキしたCu基板上に、接着面積が3mm×3mmになるように光半導体装置用ダイボンド材を塗布し、3mm角のSiチップを載せて、テストサンプルを得た。
【0303】
得られたテストサンプルを150℃で3時間加熱し、ダイボンド材を硬化させた。次に、ダイシェアテスター(アークテック社製、型番:DAGE 4000)を用いて、300μ/秒の速度で、185℃でのダイシェア強度(吸湿前)を評価した。
【0304】
また、得られたテストサンプルを85℃及び85RH%の高温高湿オーブン内に100時間放置した後、185℃でのダイシェア強度(吸湿後)を評価した。
【0305】
(5)沈降性試験
実施例及び比較例で得られた各光半導体装置用ダイボンド材を23℃及び50%RHの条件で100時間放置した後、フィラーの沈降の有無を目視にて確認した。沈降が生じていない場合を「○」、沈降が生じている場合を「×」と判定した。
【0306】
(6)リフロー試験
硬化物を半田リフロー炉(プレヒート150℃×100秒+リフロー[最高温度260℃])に3回通過させた後に、硬化物にクラックが生じているか否かを観察した。ダイボンド材にクラックが生じている場合を「×」、クラックが生じていない場合を「○」と判定した。
結果を下記の表1,2に示す。
【0307】
【表1】

【0308】
【表2】

【符号の説明】
【0309】
1…光半導体装置
2…ハウジング
2a…内面
3…光半導体素子
4…リード電極
5…ダイボンド材
6…ボンディングワイヤー
7…封止剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪素原子に結合した水素原子を有する第1のシリコーン樹脂と、
珪素原子に結合した水素原子を有さず、かつアルケニル基を有する第2のシリコーン樹脂と、
ヒドロシリル化反応用触媒と、
化学式MgCOで示される結晶水を含まない炭酸マグネシウム無水塩、及び該炭酸マグネシウム無水塩の表面が、有機樹脂、シリコーン樹脂又はシリカにより被覆されている被覆体の内の少なくとも一方の物質とを含む、光半導体装置用ダイボンド材。
【請求項2】
前記第1のシリコーン樹脂が、珪素原子に結合した水素原子と、アルケニル基とを有する第1のシリコーン樹脂である、請求項1に記載の光半導体装置用ダイボンド材。
【請求項3】
前記物質の平均粒子径が3μm以下である、請求項1又は2に記載の光半導体装置用ダイボンド材。
【請求項4】
前記物質とは異なり、平均粒子径が0.01〜2μmであり、かつ熱伝導率が10W/m・K以上であるフィラーをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光半導体装置用ダイボンド材。
【請求項5】
前記フィラーが、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素及び酸化亜鉛からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項4に記載の光半導体装置用ダイボンド材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の光半導体装置用ダイボンド材と、
接続対象部材と、
前記光半導体装置用ダイボンド材を用いて前記接続対象部材に接続された光半導体素子とを備える、光半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−49567(P2012−49567A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256396(P2011−256396)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2011−529084(P2011−529084)の分割
【原出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】