説明

光可変フィルタアレイ装置の校正方法

【課題】複数チャンネルのWDM光から所望のチャンネルの所望の波長を選択することができる光可変フィルタアレイ装置を校正すること。
【解決手段】光可変フィルタアレイ装置に用いられる波長選択素子18をライン状に光反射状態とし、波長走査光を光可変フィルタアレイ装置に入射する。出力が得られるタイミングでの反射走査光の波長と光反射状態の位置から、波長選択素子18のx座標と波長との関係を確定する。こうすれば波長選択素子18の各画素の反射特性を変化させることによって、光フィルタの特性を変化させ、任意のWDM光の任意の波長を選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はWDM信号を選択するのに適した光可変フィルタアレイ装置の校正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在WDM通信のROADM(Reconfigurable Optical Add Drop−multiplexing)ノードではアド・ドロップ機能のカラーレス化、即ち任意の周波数の光信号を分離したり加えたりできる機能を有することが求められている。カラーレス化の方法として入力WDM信号から複数の入力信号を選択するチューナブル可変フィルタアレイ(TFA)を使用する構成が知られている。従来のチューナブル可変フィルタアレイ構成として、特許文献1及び2では液晶素子の電界効果によるキャビティ長変化を利用した光可変フィルタが提案されている。又特許文献3,4にはMEMSの機械的変化によってキャビティ長を変化させ、選択波長を変化させる波長可変フィルタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−23891号公報
【特許文献2】特開平5−196910号公報
【特許文献3】特開2000−28931号公報
【特許文献4】US 6,449,410
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
WDM変調信号はスペクトル成分が周波数軸上に広がりを有しているため、フィルタ形状としては信号スペクトル成分を包含しつつ隣接チャンネルのクロストークが高いフラットトップ型のスペクトル波形が望ましい。しかしファブリペロー干渉系のフィルタ形状はローレンツ型であるため、選択した波長のピークが狭くなりすぎて、WDM信号の特定波長を選択するフィルタとしては不向きであった。又特許文献5のフィルタではTO効果を用いているため、アレイ化のために消費電力が増加するという問題点があった。更に非特許文献1においてはフィルタ形状はガウシアン波形状であり、特許文献1〜4と同様にWDM信号のフィルタとして適していないという問題点があった。
【0005】
このような従来の欠点を解消するため、出願人は複数のチャンネルのWDM信号を入力とし、2次元の波長選択素子上に展開し任意のチャンネルについて任意の波長を選択できるようにした光可変フィルタアレイ装置を提案している。本発明は光可変フィルタアレイ装置について、その特性を校正するための光可変フィルタアレイ装置の校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明の光可変フィルタアレイ装置の校正方法は、xy平面を受光面として2次元に格子状に配列された多数の画素を有する波長選択素子を有し、少なくとも1本の波長に応じて分散する波長分散光をx軸方向を波長分散方向として前記波長選択素子に入射し、各画素に印加する電圧によってその通過特性を変化させることによってフィルタリングを行う光可変フィルタアレイ装置の校正方法であって、単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力することにより前記波長選択素子のx座標と入射光の波長との対応を検出してそのデータを保持し、単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力し、前記波長選択素子の各画素への印加電圧を変化させることにより、印加電圧と前記波長選択素子に入射する入出射光の波長毎の挿入損失との関係を測定してデータを保持するものである。
【0007】
この課題を解決するために、本発明の光可変フィルタアレイ装置の校正方法は、xy平面を受光面として2次元に格子状に配列された多数の画素を有する波長選択素子を有し、少なくとも1本の波長に応じて分散する波長分散光をx軸方向を波長分散方向として前記波長選択素子に入射し、各画素に印加する電圧によってその通過特性を変化させることによってフィルタリングを行う光可変フィルタアレイ装置の校正方法であって、単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力することにより前記波長選択素子のx座標と入射光の波長との対応を検出してそのデータを保持し、単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力することにより前記波長選択素子のy座標と波長分散された光が入射する入射領域との対応を検出してそのデータを保持し、単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力し、前記波長選択素子の各画素への印加電圧を変化させることにより、前記波長選択素子の各画素への印加電圧と前記波長選択素子に入射する入出射光の波長毎の挿入損失との関係を測定してデータを保持するものである。
【0008】
ここで前記波長選択素子のx座標と入射光の波長との対応関係の検出は、前記波長選択素子において波長分散方向と垂直な方向に複数分のライン状の画素群を通過状態とし、光可変フィルタアレイ装置の制御可能な波長範囲を含む波長の範囲で単色光を出力する波長可変光源を波長走査して波長走査光を入力し、前記光可変フィルタアレイ装置より前記波長選択素子の通過ラインに対応する出力が得られたときに、出射された時点での入射光の波長と通過状態としている画素の座標とから、波長とこれに対応する波長選択素子のx座標の対応付けを行うようにしてもよい。
【0009】
ここで前記波長選択素子のy座標と波長分散光が入射する入射領域との対応関係の検出は、前記波長選択素子の対角線に沿って所定の関数で示される画素を通過状態とし、光可変フィルタアレイ装置の制御可能な波長範囲を含む波長の範囲で単色光を出力する波長可変光源を波長走査して波長走査光を入力し、前記光可変フィルタアレイ装置を通過した光が得られるタイミングでの波長走査光の波長からその波長に対応するx座標を決定し、決定されたx座標から前記所定の関数によってy座標を判別し、前記光可変フィルタアレイへの入射光とその入射光が投光される波長選択素子のy座標との関係を保持するようにしてもよい。
【0010】
ここで光の挿入損失と各画素への印加電圧との関係を測定する際に、前記波長選択素子の電圧設定範囲をV0からVkとすると、その中の任意の電圧Vi(i=0〜K)を全画素に印加し、光可変フィルタアレイ装置の制御可能な波長範囲を含む波長の範囲で単色光を出力する波長可変光源を波長走査して波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力し、電圧Viを印加したときに、前記波長選択素子の各入射領域を通過して出力される光のレベルをx軸方向の画素毎に検出し、前記波長選択素子に印加する電圧の設定範囲内で印加電圧Viをiが0からKまで変化させて同様の処理を行い、各入射領域の夫々の画素について印加電圧と挿入損失との関係を示すデータを保持するようにしてもよい。
【0011】
ここで前記光可変フィルタアレイ装置は反射型の光可変フィルタアレイ装置であり、前記波長選択素子は、各画素の光反射特性を変化させることによってフィルタリングを行うようにしてもよい。
【0012】
ここで前記光可変フィルタアレイ装置は透過型の光可変フィルタアレイ装置であり、前記波長選択素子は各画素の光透過特性を変化させることによってフィルタリングを行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上詳細に説明したように本発明によれば、複数の画素を有する波長選択素子を用いた光可変フィルタアレイ装置に対しての入力光及びその波長と波長選択素子の画素の座標との関係を確定することができる。この関係に基づいて少なくとも1つのチャンネルのWDM信号について任意の波長の光を選択したり、波長選択特性を自由に変化させることができる。又これに加えて波長選択素子の各画素に加える電圧を変化させることで所望の通過率とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1Aは本発明の校正の対象となる反射型の光可変フィルタアレイ装置のx軸方向から見た光学的な配置である。
【図1B】図1Bはそのy軸方向からの光学的な配置を示す図である。
【図2A】図2Aは本発明の校正の対象となる透過型の光可変フィルタアレイ装置のx軸方向から見た光学的な配置である。
【図2B】図2Bはそのy軸方向からの光学的な配置を示す図である。
【図3】図3は光可変フィルタアレイ装置に用いられる波長選択素子と周辺回路を示す図である。
【図4A】図4Aは光可変フィルタアレイ装置に用いられるLCOS素子の変調方式の一例を示す図である。
【図4B】図4Bは光可変フィルタアレイ装置に用いられるLCOS素子の変調方式の他の例を示す図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態に用いられる校正のためのブロック図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態によるx座標に対応する波長を確定するための処理を示すフローチャートである。
【図7】図7は本実施の形態によるライン状の画素の反射状態とする状態を示すLCOS素子を示す図である。
【図8A】図8Aは波長可変光源51の波長走査光を示すスペクトル図である。
【図8B】図8Bは光パワーメータに得られる光出力の変化を示す図である。
【図8C】図8Cは光パワーメータに得られる時間軸上での出力変化を示す図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態によるy座標と入力光との対応を確定するための処理を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aはy座標の確定のためにLCOS素子上の画素を反射状態とする第1の関数と光の入射領域を示す図である。
【図10B】図10Bはy座標の確定のためにLCOS素子上の画素を反射状態とする第2の関数と光の入射領域を示す図である。
【図11A】図11Aは波長可変光源51の波長走査光を示すスペクトル図である。
【図11B】図11Bはある入射領域からの光出力の変化を示す図である。
【図11C】図11Cは他の入射領域からの光出力の変化を示す図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態による挿入損失レベルの確定処理を示すフローチャートである。
【図13】図13はある入射光についてx軸方向の画素と挿入損失及び電圧の関係を示すグラフである。
【図14】図14はある画素について印加電圧と挿入損失の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(光可変フィルタアレイ装置)
図1Aは本発明の校正の対象となる反射型の光可変フィルタアレイ装置10Aの光学素子の構成を示すx軸方向から見た側面図、図1Bはそのy軸方向から見た側面図である。入射光は例えばmチャンネル分のWDM信号光であり、各チャンネルのWDM光は夫々波長λ1〜λnの光信号が多重化されたものである。第1〜第mチャンネルのWDM光は夫々光ファイバ11−1〜11−mを介してサーキュレータ12−1〜12−mに与えられる。入射光は光ファイバ11−1〜11−mを介してサーキュレータ12−1〜12−mに入力してもよく、又直接入力してもよい。サーキュレータ12−1〜12−mは入射光を光ファイバ13−1〜13−mを介してコリメートレンズ14−1〜14−mに出射すると共に、光ファイバ13−1〜13−mから入射された光を光ファイバ15−1〜15−mに出射するものである。又光ファイバ13−1〜13−mを介してコリメートレンズ14−1〜14−mから出射された光はz軸方向に互いに平行であり、全チャンネルのWDM光は波長分散素子16に入射される。波長分散素子16は光を波長に応じてxz平面上で異なった方向に分散するものである。ここで波長分散素子16としては、透過型又は反射型の回折格子であってもよく、又プリズム等を用いてもよい。又回折格子とプリズムを組み合わせた構成でもよい。こうして波長分散素子16で分散された光は集光素子であるシリンドリカルレンズ17に与えられる。シリンドリカルレンズ17はxz平面上で分散した光をz軸方向に平行に集光する集光素子であって、集光した光は波長選択素子18に垂直に入射される。
【0016】
尚ここでは図1Bに最長波長λ1及び最短波長λnの光を例示しているが、入射光は波長λ1〜λnまでの間で多数のスペクトルを有するWDM信号光であるので、xz平面に沿って展開されたmチャンネル分のWDM信号光が帯状に波長選択素子18に加わる。波長選択素子18は入射光を選択的に反射するものであり、その反射特性に応じて光フィルタの選択特性が決定されるが、詳細については後述する。波長選択素子18によって反射された光は、同一の経路を通ってシリンドリカルレンズ17に加わり、再び波長分散素子16に加わる。波長分散素子16は反射光に対しては元の入射光と同一方向に集束し、コリメートレンズ14−1〜14−mを介して光ファイバ13−1〜13−mに出射する。この光はサーキュレータ12−1〜12−mによって光ファイバ15―1〜15−mに出射される。ここで光ファイバ11−1〜11−m,13−1〜13−m,15―1〜15−mとサーキュレータ12−1〜12−m、コリメートレンズ14−1〜14−mは、mチャンネルのWDM信号光を入射し、選択された光を出射する入出射部を構成している。
【0017】
反射型の光可変フィルタアレイ装置は、y軸に沿って配列され、夫々が多数の波長の光から成る第1〜第mチャンネルのWDM信号光を入射し、各チャンネルについて選択された波長の光信号を出射する複数のチャンネル分の入出射部と、各チャンネルのWDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させる波長分散素子と、記波長分散素子によって分散した各チャンネルのWDM光を2次元平面上に集光する集光素子と、波長に応じてx軸方向に配列され、更にmチャンネル分のWDM光が夫々y軸の異なった位置に配列されてxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の反射特性を切換えることにより任意のチャンネルのWDM信号について任意の波長帯の光を選択する波長選択素子と、波長選択素子のxy方向に配列された各画素の電極を駆動することによってx軸及びy軸方向の所定の位置の画素の光反射特性を制御する波長選択素子駆動部と、を具備することができる。
【0018】
次に本発明の校正の対象となる透過型の光可変フィルタアレイ装置10Bについて説明する。図2Aは透過型の光可変フィルタアレイ装置10Bの光学素子の構成を示すx軸方向から見た側面図、図2Bはそのy軸方向から見た側面図である。図2Aにおいても入射光は前述したWDM信号であり、光ファイバ21−1〜21−mから夫々コリメートレンズ22−1〜22−mに入射され、平行な光ビームとして波長分散素子23に与えられる。光ファイバ21−1〜21−m、コリメートレンズ22−1〜22−mはWDM信号光を入射する入射部を構成している。波長分散素子23は図2Bに示すように光の波長に応じてxz平面上で異なった方向に光を出射するものである。波長分散素子23は波長分散素子16と同様に、回折格子やプリズムもしくは回折格子とプリズムの組み合わせにより実現することができる。分散された光はいずれもシリンドリカルレンズ24に入射される。シリンドリカルレンズ24はxz平面上で分散した光をz軸方向に平行に集光する第1の集光素子である。又シリンドリカルレンズ24の光軸に垂直に波長選択素子25が配置される。波長選択素子25は入射光を波長毎に透過又は減衰させるものであり、詳細については後述する。波長選択素子25を透過した光はシリンドリカルレンズ26に入射される。シリンドリカルレンズ24、波長分散素子23とシリンドリカルレンズ26、波長合成素子27は波長選択素子25の中心のxy面に対して面対称である。シリンドリカルレンズ26はxz平面上の平行な光を集光する第2の集光素子であり、波長合成素子27は図2Bに示すように異なった方向から同一位置に入射した光を合成して出射するものである。波長合成素子27によって合成された光はコリメートレンズ28−1〜28−mを介して光ファイバ29−1〜29−mに与えられる。コリメートレンズ28−1〜28−m及び光ファイバ29−1〜29−mは、選択された波長の光を出射する出射部を構成している。
【0019】
透過型の光可変フィルタアレイ装置は、y軸に沿って配列され、多数の波長の光から成る第1〜第mチャンネルのWDM信号光を入射する入射部と、各チャンネルのWDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させる第1の分散素子と、第1の分散素子によって分散した各チャンネルのWDM光を波長選択素子平面上に集光する第1の集光素子と、波長に応じてx軸方向に配列され、更にmチャンネル分のWDM光が夫々y軸の異なった位置に配列されてxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の透過特性を切換えることにより任意のチャンネルのWDM信号について任意の波長帯の光を選択する波長選択素子と、波長選択素子のxy方向に配列された電極を駆動することによってx軸及びy軸方向の所定の位置の画素の光透過特性を制御する波長選択素子駆動部と、波長選択素子を透過した各波長の光を集光する第2の集光素子と、第2の集光素子によって集光された分散光を合成する第2の波長分散素子と、各チャンネルについて選択された波長のWDM信号を出射する複数のチャンネル分の出射部と、を具備することができる。
【0020】
(波長選択素子の構成)
次にこれらの光可変フィルタアレイ装置に用いられる波長選択素子18,25について説明する。光可変フィルタアレイ装置において、入射光を波長に応じてxz平面上で分散させ、帯状の光として波長選択素子18,25に入射したとき、その入射領域は図3に示す長方形状の領域R1〜Rmであるとする。即ち入射領域R1〜Rmに加わる光は夫々第1〜第mチャンネルのWDM光をチャンネルと波長帯に応じてxy平面に展開した光である。そして反射型の光可変フィルタアレイ装置では、波長毎に反射させる方向を変化させたり、減衰させたりすることによって、任意の波長の光を選択することができる。透過型の光可変フィルタアレイ装置では、波長毎に透過させる方向を変化させたり、減衰させたりすることによって、任意の波長の光を選択することができる。波長選択素子18,25には設定部30がドライバ31を介して接続されている。設定部30はxy平面の光を反射又は透過する画素を選択波長に合わせて決定するものである。設定部30とドライバ31は波長選択素子のxy方向に配列された各画素の電極を駆動することによってx軸及びy軸方向の所定の位置の画素の特性を制御する波長選択素子駆動部を構成している。
【0021】
次に反射型の光可変フィルタアレイ装置10Aで用いる波長選択素子18の詳細な構成について説明する。波長選択素子18としてはLCOS(Liquid Crystal On Silicon)の液晶素子を用いて実現することができる。LCOS素子18Aは各画素の背面に液晶変調ドライバを内蔵しているため、画素数を多くすることができ、例えば1920×1000の多数の格子状の画素から構成することができる。LCOS素子18Aでは各チャンネル毎及び波長毎に異なる位置に各光ビームが入射するので、その位置の画素を反射状態とすればその光信号を選択することができる。
【0022】
ここでLCOS素子18Aにおける変調方式の1つである位相変調方式について説明する。図4AはLCOS素子18Aを示す概略図であり、光が入射する面からz軸に沿って透明電極41,液晶42及び背面反射電極43を積層して構成されている。LCOS素子18Aは1つのチャンネルの1つの波長帯を複数の画素で構成するため、複数画素についてマルチレベルの光フェーズドアレイにより屈折率の凹凸を形成し、回折現象を発現することができる。従って透明電極41と背面反射電極43との間に電圧を印加することによって各波長成分の回折角を独立に制御し、特定波長の入力光をそのまま入射方向に反射させたり、他の波長成分の光を不要な光として回折させ、入射方向とは異なった方向に光を反射させることができる。
【0023】
次にLCOS素子18Aの他の変調方式である強度変調方式について説明する。図4Bは強度変調方式による波長選択方法を示す図であり、入出射光の入射する面には偏光子44を配置する。偏光子44は入射光を図中○で示す特定の偏光状態にして反射型のLCOS素子18Aに入射する。この場合にもLCOS素子18Aは透明電極41,液晶42及び背面反射電極43によって構成される。LCOS素子18Aに光を入射すると、電圧の印加状態によって電極間の液晶の複屈折率差を制御することができる。従って印加する電圧の偏光状態を独立に制御することにより反射光の偏光状態を異ならせることができる。ここで液晶分子の配向成分によって電圧を制御したときに偏光面が回転するか保持されるかが決定される。例えば電圧を印加しない場合に偏光面が保持されるとすると、図中○状態で示す光がそのまま反射することとなる。一方電圧を印加すれば偏光面が回転して反射するため、反射光は偏光子44によって遮蔽される。従って画素に加える電圧を制御して入射光を選択することができる。ここで任意数の画素を反射状態とすれば任意の複数のWDM信号光の、任意の複数の波長帯を選択することができる。
【0024】
またこの波長選択素子18の第2の例として、LCOS構造ではない反射型の2次元電極アレイを有する液晶素子18Bについて説明する。LCOS素子の場合には画素の背面に液晶ドライバが内蔵されているが、2次元電極アレイ液晶素子18Bは液晶変調用のドライバが素子の外部に装備されている。その他の構成はLCOS素子と同様であり、前述したマルチレベルの光フェーズドアレイによる位相変調や強度変調を実現することができる。
【0025】
波長選択素子18の第3の例として2次元のMEMS素子18Cについて説明する。多数のMEMSミラーが2次元に配置されたMEMS素子は、デジタルマイクロ素子(DMD)として実用化されている。MEMSミラーのy軸方向の1列の全画素はWDM信号のある波長に対応させるものとする。MEMSを用いた場合も1つの波長帯に対して複数のMEMS素子の画素を対応付けているので、前述したマルチレベルの光フェーズドアレイによる位相変調や強度変調を実現することができる。
【0026】
次に透過型の光可変フィルタアレイ装置10Bで用いる透過型の波長選択素子25について説明する。この波長選択素子25の第1の例として、透過型のLCOS素子25Aを用いることができる。透過型のLCOS素子25Aは背面反射電極43に代えて透明電極としたものである。この場合も、前述したマルチレベルの光フェーズドアレイによる位相変調や強度変調を実現することができる。
【0027】
またこの波長選択素子25の第2の例として、LCOS構造ではない透過型の2次元電極アレイを有する液晶素子25Bを用いることができる。LCOS素子の場合には画素の背面に液晶ドライバが内蔵されているが、2次元電極アレイ液晶素子25Bは液晶変調用のドライバが素子の外部に装備されている。その他の構成はLCOS素子と同様である。
【0028】
(光可変フィルタアレイ装置の校正)
次に各画素とWDM信号及びその波長の対応を得るための本発明の実施の形態による校正方法について説明する。図5は波長に対応する波長分散素子の画素位置及び特性の決定のための校正システムを示すブロック図である。本図において波長可変光源51は、光可変フィルタアレイ装置に用いられる波長帯域の最長波長λ1から最短波長λnまで単一波長の光を連続的に変化させて出射することができる波長走査型の光源である。この実施の形態では、外部からの信号に基づいて一定の速度で波長を走査して波長走査光を出力するものである。波長可変光源51からの出力は偏波スクランブラ52を介して分岐カップラ53に与えられる。分岐カップラ53は偏波スクランブルされた光信号を最大mの任意の数に分岐するものであり、分岐した出力は前述した光可変フィルタアレイ装置10A,10Bに入射光として出力される。そして光可変フィルタアレイ装置10A,10Bからの出射光はパワーメータ54に入射される。パワーメータ54は各チャンネル毎に出力を検出してその出力レベルのデータを制御装置55に出力する。制御装置55は、波長可変光源51より出力している波長と、光可変フィルタアレイ装置で入力光が出力されるように設定している画素、及びパワーメータ54で検出される出力レベルに基づいて、画素と波長との対応及び出力特性を演算し、その結果をテーブルメモリ56に保持するものである。
【0029】
次にこの校正方法の詳細について説明する。この校正処理では
(1)x座標の波長の確定
(2)入力光とy座標との対応の確定
(3)挿入損失レベルの確定
が行われる。尚、反射型の光可変フィルタ装置10Aにあっては波長選択素子18の各画素を反射状態とすることにより、透過型の光可変フィルタ装置10Bにあっては波長選択素子25の各画素を透過状態とすることにより、入射光の一部が出力側に戻ってくる。従っていずれの場合も光可変フィルタアレイ装置から見て光が通過するものであり、通過の程度は挿入損失の大小として表現することができる。以下の説明では、波長選択素子18の各画素についての反射状態、波長選択素子25の各画素についての透過状態をまとめて通過状態として表現する。
【0030】
(x座標の波長の確定)
図3に示すようにx軸方向は波長分散方向であるが、波長選択素子18上では波長分散方向の各画素がどの波長に対応しているか確定する必要がある。本実施の形態では、この処理を図6に示すフローチャートに基づいて行う。尚、以下では光可変フィルタアレイ装置10Aにおいて、強度変調されるLCOS素子18Aの校正を行うものとする。図7に示すLCOS素子18Aの各画素の座標を(x1,y1)から(x1920,y1000)とする。まず制御装置55は、ステップS11においてx座標が例えばx100である全てのy軸に平行な一列の画素、x座標がx300である全てのy軸に平行な一列の画素のように、ハッチングで示す複数本のライン状の画素を反射状態とする。そうすればその位置の画素に光が入射したときに出力側に光が戻ってくるため、反射型の光可変フィルタアレイ装置10Aとしては挿入損失が小さくなる。ここでx座標の確定を容易にするために、これらのラインの一部、例えば中央のx座標xcのラインの反射率を他よりも小さくしておく。
【0031】
そしてステップS12において波長可変光源51より図8Aに示すように使用する波長帯の範囲で波長を走査した光を出力する。こうすれば偏波スクランブラ52を介して分岐カップラ53に出力が加わる。x軸の座標の確定時には1本の光ビームの入力でよいため、光を分岐させずに光可変フィルタアレイ装置10Aのいずれかの光ファイバ、例えば11−3より波長走査光を入力する。図8Aに示すように1つの光ファイバより波長走査された光を入射すると、波長分散素子16を介して光が波長に応じてLCOS素子18A上を走査することとなる。図7の入射領域R3は1回の走査分の光の軌跡を示している。こうすれば反射状態となっている画素に入射した光は反射して光ファイバ13−3に入り、これをサーキュレータ12−3で分離することによって光ファイバ15―3側に出力が得られる。図8Bはこの出力の軌跡を示している。そして光ファイバ15−3からの出力をパワーメータ54によって検出する。
【0032】
次にステップS13においてパワーメータによって出力のピークとそのレベルを検出し、ステップS14において検出した出力ピークと波長との関係から波長と画素との対応関係を確定する。例えば図8B,図8Cに示すように他のピークに比べてレベルが低い中央のピーク出力の波長λcは、他より反射率を低くした中央のラインからの反射光と考えられる。従ってxcの座標は波長λcに対応するものとする。そしてその前後のピークの波長λc-1,λc+1と反射状態としたx座標、更にその前後に隣接するピークの波長λc-2,λc+2と反射状態としたx座標・・・のように順次各反射状態のラインに対応した波長を全て確定する。そしてステップS15では全x座標に対応する波長を数値補間によって算出する。ステップS16ではこうして得られたx座標に対応する波長を、制御装置55よりテーブルメモリ56に書き込む。これによって波長とLCOS素子18Aの画素のx座標との関係を確定することができる。
【0033】
(入力光とy座標との対応の確定)
次にy軸座標の位置の確定について説明する。図9はこの処理を示すフローチャートである。まず制御装置55はステップS21において図10Aに示すようにLCOS素子18Aの画面を斜め方向に横切る既知の第1の関数y=ax(a>0)を設定し、この関数で示されるx座標とy座標を有する画素のみをハッチングで示すように反射状態とする。こうすればこれらの画素に光が入射したときに出力が得られることとなる。そして波長可変光源51を走査して走査光を偏波スクランブラ52に入射し、分岐カップラ53により、更に2つの光に分岐して波長可変フィルタアレイ10Aに加える。そしてステップS22において任意の入力用光ファイバ、例えば光ファイバ11−2と11−5より入力を加える。そうすれば図示のようにこの2本の入射領域R2,R5と第1の関数で示される斜めにラインが交差する部分のみから出力が得られることとなる。ここで図10Aに示すように2本の入射領域はy軸方向に複数の画素を含むある幅を有しているため、複数画素に照射される。従ってこの光ビームの幅を第1の関数の斜めのラインが通過する間では図11B,11Cに示すような出力が得られることとなる。従ってこの出力のピークから−3dBを超える範囲の波長の中で中央の波長をピークの受光波長λf,λgとする。このようにしてステップS23において2本の光ファイバからの出力をモニタし、既に保持しているテーブルメモリ56から夫々のピーク波長に対応するx座標を読出す(ステップS24)。そしてステップS25で第1の関数y=axに基づいてx座標に対応するy座標を算出する。こうして得られたy座標を夫々y1p,y2pとする。
【0034】
次いでステップS26において第2の関数を設定する。第2の関数は第1の既知関数とは傾きが異なり、図10Bに示すようにLCOS素子18Aの画面の対角線を逆方向に結ぶ関数、即ちy=−ax+b(b>0)とする。そしてステップS27〜S30にまで同一の処理を行い、夫々のy座標y1n,y2nを算出する。そして以下に示すように夫々2つのy座標の平均をとって2つのy座標y1,y2を夫々求める(ステップS31)。
y1=(y1p+y1n)/2
y2=(y2p+y2n)/2
こうすれば2つの光ファイバより入射した光ファイバビームについてのy座標の中心座標を算出することができる。この処理は全ての光ファイバから順次光を入射して全入射領域R1〜Rmについて実行することが好ましい。但し光ビームがLCOS素子18Aに等間隔で入射するように光学系が構成されている場合は、上下の任意の入射領域、例えばR1とRmやその間の任意の受光領域について算出し、それらの間を補間処理によって夫々の入射領域のy座標の中心座標を算出してもよい。こうすることによって各チャンネルに対応するy軸の中心座標を確定する。制御装置55は確定したy座標をテーブルメモリ56に登録する(ステップS32)。
【0035】
尚上述した方法では既知の第1,第2の関数を用いて関数上の画素と光の入射領域との交差するy座標を算出しているが、いずれか一方の関数のみを用いてy座標を算出し、平均演算を省略することもできる。
【0036】
(挿入損失レベルの確定)
次に各画素に印加する電圧と挿入損失との関係を確定するための方法について説明する。LCOS素子18Aをフィルタとして用いてその特性を任意に設定できるようにするため、各画素に必要な印加電圧の情報を確定しておく必要がある。例えば1/2の挿入損失を設定したい場合には、挿入損失を1/2とするための印加電圧を知る必要がある。図12はこの処理を示すフローチャートである。本図のステップS41に示すようにまず電圧の印加によって反射状態が変化する範囲の最低電圧と最大電圧との差をK等分する。そしてパラメータiを0〜Kとし、この範囲の等分したK+1の各電圧値を電圧Viとする。次にステップS42において最初のパラメータiを0とする。次いでステップS43においてLCOS素子18Aの全画素に最も低い電圧V0を印加する。次いでステップS44,45に進み、波長走査型光源51より走査光を出力し、所定数、例えばm本の光ビームをLCOS素子18Aに入射する。こうすればステップS46に示すように夫々の入射領域R1〜Rmから反射した光のレベルを画素単位で得ることができる。図13の曲線V0はある入射領域に入射した光のx軸方向の画素に対する挿入損失を示している。次いでこの電圧Viが最大電圧Vkであるかどうかをチェックし(ステップS47)、最大電圧に達していなければステップS48においてパラメータiをインクリメントし、ステップS43に戻って同様の処理を行う。こうすればV0〜Vkの夫々の電圧について、各入力チャンネル毎に図13に示すように挿入損失のグラフを得ることができる。図14はこうして得られた挿入損失のグラフから、ある位置の画素について、入力チャンネルの印加電圧に対する挿入損失を示すグラフである。こうして各画素について、電圧と挿入損失との関係が確定する。この画素は入射領域R1〜Rmの中心となるy座標を持つ各x座標毎に求めるようにしてもよい。又処理数を少なくするために所定間隔毎に電圧と挿入損失の関係を確定し、ステップS50に示すようにスプライン補間などの関数補間によってその間の電圧を確定してもよい。
【0037】
次にステップS51においてこうして得られた挿入損失はテーブルメモリ56に設定する。そして電圧V0〜Vkの間は光可変フィルタアレイに実際に図3の設定部30より設定する場合の分解能に応じた値とする必要があるので、これをスプライン補間などの関数補間によりあらかじめ求めておき、テーブルメモリに保持しておいてもよく、実際に電圧を印加する場合に関数補間を実行するようにしてもよい。これによって入射光の画素位置と入射チャンネルのy軸上の位置及び所望の透過率を得るための印加電圧レベルを確定することができる。
【0038】
尚この場合に全てのチャンネルについて挿入損失を測定することなく複数本の領域に入射する光の挿入損失を測定し、その間を関数補間で挿入損失のレベルを算出し、テーブルメモリに保持するようにしてもよい。又ここでは電圧V0〜Vkまで順次電圧を上昇させて出力レベルを検出しているが、全電圧を網羅すれば足り、必ずしも順に実行する必要はない。
【0039】
尚ここでは反射型の光可変フィルタアレイ装置10AのLCOS素子18Aの画素と印加レベルを構成する方法について説明しているが、他の波長選択素子についても同様の処理を行うことによって同様の効果が得られる。又透過型の波長選択素子については、各画素を透過状態として制御して同様の処理を行うことによって同様の効果が得られる。
【0040】
こうして得られたx軸とy軸と入射光との位置関係を用いて図3に示す設定部30に設定することによって所望の入力について所定の波長の所望損失レベルとして制御することができる。ここでは図3に示す入力位置の中心のy座標を検出するようにしているので、隣接する入力チャンネルのy座標との中間位置まで同一のレベルでy軸座標の画素を制御することによって入力の幅にかかわらず所望の制御が可能となる。
【0041】
又この実施の形態ではx座標の波長を確定し、入力光とy座標との対応を確定し、次いで挿入損失レベルを確定しているが、入射光が1つの多波長から成る光ビームである場合には、入力光とy座標との対応の確定をすることなく、x座標の波長を確定し、挿入損失レベルを確定すれば足りる。
【0042】
又本実施の形態によって構成する光可変フィルタアレイ装置は、WDM信号光を入力するものに限らず、複数の波長成分を含む光をフィルタリングする装置に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上詳細に説明したように本発明によれば、波長選択素子の各画素と入力チャンネルやその波長との関係及び印加電圧と挿入損失との関係が確定するため、その反射特性や透過特性を種々変更することによって、多数チャンネルのWDM信号の夫々について任意の波長の光を選択することができる。これにより光可変フィルタアレイ装置をWDM光のアドドロップ機能を有するノードの主要構成要素として用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
11−1〜11−m,13−1〜13−m,15−1〜15−m,21−1〜21−m,29−1〜29−m 光ファイバ
12−1〜12−m 光サーキュレータ
14−1〜14−m,22−1〜22−m,28−1〜28−m コリメートレンズ
16,23 波長分散素子
17,24,26 シリンドリカルレンズ
18,25 波長選択素子
18A,25A LCOS素子
18B,25B 2D電極アレイ液晶素子
18C MEMS素子
27 波長合成素子
30 設定部
31 ドライバ
41 透明電極
42 液晶
43 背面反射電極
51 波長可変光源
52 偏波スクランブラ
53 m分岐カップラ
54 パワーメータ
55 制御装置
56 テーブルメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
xy平面を受光面として2次元に格子状に配列された多数の画素を有する波長選択素子を有し、少なくとも1本の波長に応じて分散する波長分散光をx軸方向を波長分散方向として前記波長選択素子に入射し、各画素に印加する電圧によってその通過特性を変化させることによってフィルタリングを行う光可変フィルタアレイ装置の校正方法であって、
単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力することにより前記波長選択素子のx座標と入射光の波長との対応を検出してそのデータを保持し、
単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力し、前記波長選択素子の各画素への印加電圧を変化させることにより、印加電圧と前記波長選択素子に入射する入出射光の波長毎の挿入損失との関係を測定してデータを保持する光可変フィルタアレイ装置の校正方法。
【請求項2】
前記波長選択素子のx座標と入射光の波長との対応関係の検出は、
前記波長選択素子において波長分散方向と垂直な方向に複数分のライン状の画素群を通過状態とし、
光可変フィルタアレイ装置の制御可能な波長範囲を含む波長の範囲で単色光を出力する波長可変光源を波長走査して波長走査光を入力し、
前記光可変フィルタアレイ装置より前記波長選択素子の通過ラインに対応する出力が得られたときに、出射された時点での入射光の波長と通過状態としている画素の座標とから、波長とこれに対応する波長選択素子のx座標の対応付けを行う請求項1記載の光可変フィルタアレイ装置の校正方法。
【請求項3】
光の挿入損失と各画素への印加電圧との関係を測定する際に、
前記波長選択素子の電圧設定範囲をV0からVkとすると、その中の任意の電圧Vi(i=0〜K)を全画素に印加し、
光可変フィルタアレイ装置の制御可能な波長範囲を含む波長の範囲で単色光を出力する波長可変光源を波長走査して波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力し、
電圧Viを印加したときに、前記波長選択素子の入射領域を通過して出力される光のレベルをx軸方向の画素毎に検出し、
前記波長選択素子に印加する電圧の設定範囲内で印加電圧Viをiが0からKまでの間で変化させて同様の処理を行い、
各入射領域の夫々の画素について印加電圧と挿入損失との関係を示すデータを保持する請求項2記載の光可変フィルタアレイ装置の校正方法。
【請求項4】
xy平面を受光面として2次元に格子状に配列された多数の画素を有する波長選択素子を有し、少なくとも1本の波長に応じて分散する波長分散光をx軸方向を波長分散方向として前記波長選択素子に入射し、各画素に印加する電圧によってその通過特性を変化させることによってフィルタリングを行う光可変フィルタアレイ装置の校正方法であって、
単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力することにより前記波長選択素子のx座標と入射光の波長との対応を検出してそのデータを保持し、
単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力することにより前記波長選択素子のy座標と波長分散された光が入射する入射領域との対応を検出してそのデータを保持し、
単色の波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力し、前記波長選択素子の各画素への印加電圧を変化させることにより、前記波長選択素子の各画素への印加電圧と前記波長選択素子に入射する入出射光の波長毎の挿入損失との関係を測定してデータを保持する光可変フィルタアレイ装置の校正方法。
【請求項5】
前記波長選択素子のx座標と入射光の波長との対応関係の検出は、
前記波長選択素子において波長分散方向と垂直な方向に複数分のライン状の画素群を通過状態とし、
光可変フィルタアレイ装置の制御可能な波長範囲を含む波長の範囲で単色光を出力する波長可変光源を波長走査して波長走査光を入力し、
前記光可変フィルタアレイ装置より前記波長選択素子の通過ラインに対応する出力が得られたときに、出射された時点での入射光の波長と通過状態としている画素の座標とから、波長とこれに対応する波長選択素子のx座標の対応付けを行う請求項4記載の光可変フィルタアレイ装置の校正方法。
【請求項6】
前記波長選択素子のy座標と波長分散光が入射する入射領域との対応関係の検出は、
前記波長選択素子の対角線に沿って所定の関数で示される画素を通過状態とし、
光可変フィルタアレイ装置の制御可能な波長範囲を含む波長の範囲で単色光を出力する波長可変光源を波長走査して波長走査光を入力し、
前記光可変フィルタアレイ装置を通過した光が得られるタイミングでの波長走査光の波長からその波長に対応するx座標を決定し、決定されたx座標から前記所定の関数によってy座標を判別し、
前記光可変フィルタアレイへの入射光とその入射光が投光される波長選択素子のy座標との関係を保持する請求項5記載の光可変フィルタアレイ装置の校正方法。
【請求項7】
光の挿入損失と各画素への印加電圧との関係を測定する際に、
前記波長選択素子の電圧設定範囲をV0からVkとすると、その中の任意の電圧Vi(i=0〜K)を全画素に印加し、
光可変フィルタアレイ装置の制御可能な波長範囲を含む波長の範囲で単色光を出力する波長可変光源を波長走査して波長走査光を前記光可変フィルタアレイ装置に入力し、
電圧Viを印加したときに、前記波長選択素子の各入射領域を通過して出力される光のレベルをx軸方向の画素毎に検出し、
前記波長選択素子に印加する電圧の設定範囲内で印加電圧Viをiが0からKまで変化させて同様の処理を行い、
各入射領域の夫々の画素について印加電圧と挿入損失との関係を示すデータを保持する請求項6記載の光可変フィルタアレイ装置の校正方法。
【請求項8】
前記光可変フィルタアレイ装置は反射型の光可変フィルタアレイ装置であり、
前記波長選択素子は、各画素の光反射特性を変化させることによってフィルタリングを行う請求項1〜7のいずれか1項記載の光可変フィルタアレイ装置の校正方法。
【請求項9】
前記光可変フィルタアレイ装置は透過型の光可変フィルタアレイ装置であり、
前記波長選択素子は各画素の光透過特性を変化させることによってフィルタリングを行う請求項1〜7のいずれか1項記載の光可変フィルタアレイ装置の校正方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−128180(P2012−128180A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279534(P2010−279534)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(591102693)サンテック株式会社 (57)
【Fターム(参考)】