説明

光回線伝送装置、通信システム及びそれらに用いる回線障害通知方法

【課題】 ALS制御中に光回線状態が回線断/回線復旧を繰り返すという回線障害アラームの不要なバタつきを抑えることが可能な光回線伝送装置を提供する。
【解決手段】 片方向の光回線障害時に自動リスタートまでの設定時間の間、光出力を停止し、一定時間の光出力停止解除後に再度光出力を停止するためのALS制御の自動リスタート機能(ALS制御回路22)を備える接続先(光送信回路2)に接続するための光インタフェース(光回線100)を含む光回線伝送装置(光受信回路1)は、光回線が復旧するまで光入力断アラームから自動リスタートによる入力断解除分をマスクして少なくともアラーム転送先の上位監視系に光回線障害アラームを通知するアラーム制御手段(アラーム制御回路13)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光回線伝送装置、通信システム及びそれらに用いる回線障害通知方法に関し、特に光回線伝送部分で障害が発生した場合の回線障害通知とそれによる接続先LAN(Local Area Network)インタフェースのリンク断制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク中継装置において、光回線伝送部分で障害が発生した場合の回線障害通知とそれによる接続先LANインタフェースのリンク断制御とに関する技術は、下記の特許文献1にて提案されている。
【0003】
この提案されている技術の光回線障害情報通知部分について、図8を参照して説明する。図8において、光受信回路6の光回線障害情報通知部分は、光受信部61と、光パワーモニタ62と、リンクコントロール部63とから構成されている。
【0004】
光受信部61は、光回線から入力した光信号を光パワーモニタ62へ出力する。光パワーモニタ62は、光パワーが一定値以下になった場合にアラーム信号をリンクコントロール部63に出力する。リンクコントロール部63は、光パワーモニタ62が出力するアラーム信号を一条件としてリンク断制御を実施する。
【0005】
上記のように、提案されている技術では、入力した光信号のパワーの判定をそのままアラームとしてリンク断制御部分(リンクコントロール部63)に通知しているので、片方向の光回線障害時にALS(Automatic Laser Shutdown)制御を実施した場合、回線障害が復帰していない状態で出力停止を解除された時にリンクが復帰してしまう。特に、自動リスタート機能を実施した際には、一定周期に、一定時間分、リンク断制御解除を繰り返す状態に陥ってしまう。
【0006】
また、光回線障害アラームやLANインタフェースのリンクステータスを上位の監視系に通知する場合、通知するアラーム、ステータスのバタつきが増えると負荷が増大してしまう。
【0007】
光伝送システムにおいて、光回線の片方向に障害が発生した場合には、光入力断を検出した装置が光出力を停止するALS制御機能と、ALS制御時に予め設定した時間毎に光出力停止を一定時間解除する自動リスタート機能とがITU−T Rec.G.664(03/2006)で規定されている。
【0008】
また、ALS制御の自動リスタート機能については、以下の特許文献2,3に記載されている。
【特許文献1】特開2000−324153号公報
【特許文献2】特開2000−228639号公報
【特許文献3】特開2002−077056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明に関連する技術では、上記の特許文献1〜3に記載のように、ALS制御の自動リスタート機能を使用した通信において、上位の監視系もしくは接続先の機器に回線障害情報を転送する場合に、光入力断アラームを回線障害情報として転送すると、ALS制御の自動リスタート機能によって、回線障害が復旧していないにも関わらず、回線障害アラームが一定周期で一定時間解除され、回線障害が復旧するまで回線障害アラームの発動/解除を繰り返す。
【0010】
例えば、LAN−光変換機能を有するメディアコンバータにおいて、光回線断を一条件としてLANインタフェースのリンク断制御を実施する場合には、光インタフェースの光入力断アラームを光回線断としてLANインタフェースのリンク断制御を実施すると、光回線断時に光回線が復旧していないにも関わらず、一定周期でリンク断状態となり、一定時間後にリンク断解除という動作を繰り返す。この場合、LANインタフェース側では、光回線状態が回線断/回線復旧を繰り返していると、誤認識する恐れがあり、光回線の状態を正確に通知できない。
【0011】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、ALS制御中に光回線状態が回線断/回線復旧を繰り返すという回線障害アラームの不要なバタつきを抑えることができる光回線伝送装置、通信システム及びそれらに用いる回線障害通知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による光回線伝送装置は、片方向の光回線障害時に自動リスタートまでの設定時間の間、光出力を停止し、一定時間の光出力停止解除後に再度光出力を停止するためのALS(Automatic Laser Shutdown)制御の自動リスタート機能を備える接続先に接続するための光インタフェースを含む光回線伝送装置であって、
前記光回線が復旧するまで光入力断アラームから自動リスタートによる入力断解除分をマスクして少なくともアラーム転送先の上位監視系に光回線障害アラームを通知するアラーム制御手段を備えている。
【0013】
本発明による通信システムは、上記の光回線伝送装置を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明による回線障害通知方法は、片方向の光回線障害時に自動リスタートまでの設定時間の間、光出力を停止し、一定時間の光出力停止解除後に再度光出力を停止するためのALS(Automatic Laser Shutdown)制御の自動リスタート機能を備える接続先に接続するための光インタフェースを含む光回線伝送装置に用いる回線障害通知方法であって、
前記光回線が復旧するまで光入力断アラームから自動リスタートによる入力断解除分をマスクして少なくともアラーム転送先の上位監視系に光回線障害アラームを通知するアラーム制御処理を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、ALS制御中に光回線状態が回線断/回線復旧を繰り返すという回線障害アラームの不要なバタつきを抑えることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態による通信システムの構成例を示すブロック図である。図1において、本発明の第1の実施の形態による通信システムは、ネットワーク中継装置の光受信回路1と、対向側装置の光送信回路2とから構成されている。
【0017】
ネットワーク中継装置の光受信回路1は、光受信部11と、光入力断検出回路12と、アラーム制御回路13と、リンク断制御回路14とから構成されている。アラーム制御回路13は、自動リスタート検出回路131と、タイマ回路132と、マスク回路133とから構成されている。
【0018】
対向側装置の光送信回路2は、光送信部21と、ALS(Automatic Laser Shutdown)制御回路22とから構成されている。ここで、ALS制御回路22のALS制御機能については、ITU−T Rec. G.664(03/2006)にて規定されている。
【0019】
本実施の形態では、アラーム制御回路13を追加して、ALS制御の自動リスタート時の光入力断解除を、通知するアラーム情報からマスクすることで、光回線障害状態を正しく通知してLAN(Local Area Network)インタフェースのリンク断制御のバタつき(光回線100の状態が回線断/回線復旧を繰り返す状態)を防止するとともに、上位監視系(図示せず)の不要な負荷増大を抑えている。
【0020】
つまり、本実施の形態では、ALS制御の自動リスタート機能を使用する光インタフェースにおいて、自動リスタートによる光入力断解除分をマスクして、回線障害アラームを上位監視系に通知することで、LANインタフェースのリンク断制御のバタつき(光回線100の状態が回線断/回線復旧を繰り返す状態)を防止するとともに、上位監視系の不要な負荷増大を抑えている。
【0021】
図1において、対向側装置の光送信回路2の出力がALS制御機能を有する場合、対向側装置は、入力方向の光回線100に障害が発生すると、光出力停止制御を実施する。さらに、自動リスタート機能を使用した場合、対向側装置の光送信回路2の出力は、予め設定した自動リスタート設定時間分の出力停止、その直後に一定時間の出力停止解除という動作を光回線100が復旧するまで周期的に繰り返す。
【0022】
上記のALS制御の自動リスタート機能を使用した場合、図1の自局装置(ネットワーク中継装置)の光受信回路1における光受信部11で受信した光信号に基づいて光入力断検出回路12で光入力断を検出し、予め設定した自動リスタート設定時間後の一定時間だけ光入力断アラームが解除される状態を繰り返す。
【0023】
したがって、光回線障害アラームをリンク断制御の一条件とするLANインタフェースに対しては、上述した光入力断アラームを光回線障害アラームとしてそのまま通知した場合、光回線100の障害が復旧していないにも関わらず、LANのリンク断制御が周期的にバタつく動作を繰り返す。また、通知するアラームにバタつきが生じることによって、上位監視系の負荷が増大する。
【0024】
そこで、本実施の形態では、ALS制御の自動リスタートによる光回線障害アラームのバタつきと、それに伴う接続先LANインタフェースのリンク断制御のバタつきとを抑圧するために、ALS制御の自動リスタートによる光入力断アラーム解除をマスクして回線障害アラーム信号を生成し、それを転送先に通知する。
【0025】
アラーム制御回路13においては、自動リスタート検出回路131が光入力断アラーム信号のノーマルからアラームへの変化点を検出して、内部カウンタによって光入力断アラーム発生から予め設定した自動リスタート設定時間までをカウントする。また、自動リスタート検出回路131は、光入力断アラーム発生から自動リスタート設定時間が経過した時点で、自動リスタート設定時間経過を通知するタイマ制御信号を生成してタイマ回路132に出力する。
【0026】
タイマ回路132は、予め設定した自動リスタート設定時間が経過した時点で、光入力断アラーム解除分の一定時間をカウントし、自動リスタートによる光入力断解除の間だけマスク制御を実施するためのマスク制御信号を生成してマスク回路133に出力する。
【0027】
マスク回路133は、上記のマスク制御信号にしたがって光入力断アラーム信号から自動リスタートによるアラーム解除をマスクして、リンク断制御回路14と上位監視系(図示せず)とに転送用回線障害アラーム信号を出力する。リンク断制御回路14は、ALS制御の自動リスタートによる光入力断解除をマスクした回線障害アラームを条件としてLANインタフェースのリンク断制御を実施するため、回線障害が復旧するまでリンク断状態を維持する。
【0028】
このように、本実施の形態では、ALS制御時の自動リスタート機能による対向側装置の光出力停止解除に伴う自局光入力断アラーム解除をマスクして回線障害アラームとして転送先に通知しているので、接続先のLANインタフェースのリンク断制御において、ALS制御の自動リスタート機能による不要なリンク断解除を避けることができると共に、回線障害アラームを通知する上位監視系の負荷を軽減することができる。
【0029】
図2は本発明の第2の実施の形態による通信システムの構成例を示すブロック図である。図2においては、本発明の第2の実施の形態による通信システムの一例として、LAN−光変換機能を有するメディアコンバータ3a,3bからなるシステムを示している。尚、図2には、メディアコンバータ3aのみの構成を示しているが、メディアコンバータ3bの構成はメディアコンバータ3aと同じ構成なので省略している。
【0030】
メディアコンバータ3aは、光受信部11と、光入力断検出回路12と、アラーム制御回路13と、リンク断制御回路14と、光送信部21と、ALS制御回路22と、LAN送受信部31と、LAN−光変換部32と、光−LAN変換部33と、LED(Light Emitting Diode)34と、LED制御回路35とから構成されている。LAN送受信部31は、LAN受信部311と、LAN送信部312とからなる。
【0031】
メディアコンバータ3aのLAN受信部131は、LANインタフェースに入力されたLAN信号を受信し、LAN−光変換部32でLAN信号を光信号に変換する。光送信部21は、LAN−光変換部32で変換された光信号を光回線100へ送信する。
【0032】
次に、メディアコンバータ3aの光受信部11は、光回線100を経由して伝送される光信号を受信し、受信した光信号を光−LAN変換部33でLAN信号に変換する。LAN送信部311は、変換したLAN信号を入力してLANインタフェース側へ送出する。
【0033】
光入力断検出回路12は、光受信部11で受信した光信号のレベル判定を行い、判定結果として光入力断アラーム信号を生成してアラーム制御回路13とALS制御回路22とに送出する。アラーム制御回路13は、光入力断アラーム信号にALS制御の自動リスタートによる光入力断解除をマスクした転送用回線障害アラーム信号を生成し、リンク断制御回路14と上位監視系(図示せず)とに通知する。
【0034】
リンク断制御回路14は、転送用回線障害アラーム信号を一条件としてリンク断制御信号を生成し、LAN送受信部31へ出力する。LAN送受信部31は、入力したリンク断制御信号にしたがってLAN送受信部31のリンク断制御を行うと共に、LANインタフェースのリンク状態を判別した結果であるリンク判定信号をLED制御回路35と上位監視系とに出力する。
【0035】
LED制御回路35は、リンク判定信号にしたがってLED制御信号を生成し、LED34へ出力する。LED34は、LED制御信号にしたがってLEDの点灯/消灯を実施する。
【0036】
また、ALS制御回路22は、光入力断アラーム信号にしたがってALS制御信号を生成し、光送信部21へ送出する。光送信部21は、ALS制御信号にしたがって光出力制御を実施する。
【0037】
図3は図2に示すアラーム制御回路13の構成を示すブロック図である。図3において、アラーム制御回路13は、上記の図1に示すアラーム制御回路13と同様に、自動リスタート検出回路131と、タイマ回路132と、マスク回路133とから構成されている。
【0038】
自動リスタート検出回路131は、光入力断アラーム信号を入力し、光入力断アラーム発生から自動リスタート設定までの時間をカウントしてタイマ制御信号をタイマ回路132に出力する。ここで、自動リスタート検出回路131に外部から入力される自動リスタート設定とは、対向側装置のALS制御による光出力停止から自動リスタートによる光出力停止解除が開始されるまでの時間設定である。
【0039】
タイマ回路132は、タイマ制御信号にしたがってマスク制御信号を生成し、マスク回路133へ送出する。マスク回路133は、マスク制御信号にしたがって光入力断アラーム信号にマスク処理を実施し、転送用回線障害アラーム信号を出力する。
【0040】
図4は図3に示す自動リスタート検出回路131の構成を示すブロック図である。図4において、自動リスタート検出回路131は、エッジ検出回路1311と、カウンタ回路1312と、比較回路1313とから構成されている。
【0041】
エッジ検出回路1311は、入力する光入力断アラーム信号のノーマルからアラームへの変化点を検出してカウンタ動作制御信号を生成する。カウンタ回路1312は、カウンタ動作制御信号にしたがってカウントしたカウンタ値を比較回路1313に出力する。
【0042】
比較回路1313は、カウンタ回路1312が出力するカウンタ値と予め設定した自動リスタート設定値とを比較し、それらが一致した時にのみタイマ制御を開始するための通知としてタイマ制御信号を出力する。
【0043】
これら図2〜図4を参照して本実施の形態による通信システムの動作について説明する。本実施の形態は、LANインタフェースのリンク断制御の一条件として光回線障害アラームを使用するLAN−光メディアコンバータ3a,3bである。
【0044】
メディアコンバータ3aからメディアコンバータ3bの方向の光回線100に障害が発生して回線断状態となった場合、メディアコンバータ3bの光受信部11に入力された光信号は、光入力断検出回路12でレベル判定される。光入力断検出回路12は、レベル判定結果として光入力断アラーム信号をALS制御回路22とアラーム制御回路13とに送出する。
【0045】
ここで、ALS制御回路22は光入力断アラーム信号を入力し、光入力断の場合、ITU−T Rec. G.664(03/2006)で規定されたALS制御の自動リスタート機能を実行するためのALS制御信号を生成する。
【0046】
光送信部21は、ALS制御回路22が出力するALS制御信号にしたがって自動リスタートまでの設定時間の間、光出力を停止し、一定時間の光出力停止解除後に再度光出力を停止する。光出力が再停止した時点で、再度、同一のALS制御の自動リスタートが繰り返されるので、光出力は自動リスタート設定時間の間だけ出力を停止し、その後、一定時間だけ出力する動作を繰り返す。
【0047】
次に、回線障害の発生した光回線の反対方向の光入力側の動作について説明する。メディアコンバータ3aの光受信部11は、入力した光信号を光入力断検出回路12へ出力する。光入力断検出回路12は、光受信部11で受信した光信号のレベル判定を行い、光入力断のアラーム通知を光入力断アラーム信号として出力する。ここで、光入力断検出回路12が出力する光入力断アラーム信号は、上記のメディアコンバータ3bの光出力制御によって自動リスタート設定時間の間は入力断、直後の一定時間の間だけ光入力断解除という状態を繰り返す。
【0048】
アラーム制御回路13は、マスク回路133と自動リスタート時間検出回路131とに上記の光入力断アラーム信号を出力する。自動リスタート検出回路131に入力された光入力断アラーム信号は、エッジ検出回路1311に出力される。エッジ検出回路1311は、入力した光入力断アラーム信号がノーマルからアラームに変わる変化点及びアラームからノーマルに変わる変化点を検出し、検出結果をカウンタ動作制御信号としてカウンタ回路1312に通知する。
【0049】
カウンタ回路1312は、入力したカウンタ動作制御信号を基に、光入力断アラームのノーマルからアラームの変化点検出でカウンタアップを開始し、光入力断アラームのアラームからノーマルの変化点でカウンタをリセットして停止する。比較回路1313はカウンタ回路1312から入力するカウンタ値と自動リスタート設定値との比較を行い、カウンタ値と自動リスタート設定値とが一致した時にのみタイマ制御信号を出力してタイマ計測開始通知を行うと共に、カウンタ回路1312へリセット信号を出力する。カウンタ回路1312は上記のカウンタ動作に加えて、リセット信号を入力した時にもカウンタをリセットして停止する。
【0050】
タイマ回路132は入力したタイマ制御信号のタイマ計測開始通知を検出した場合にのみ、メディアコンバータ3bの光出力自動リスタート時に出力される一定時間、すなわちメディアコンバータ3aの光入力断が一時的に解除される時間を内部カウンタでカウントアップし、一定時間分をカウントアップするまでのマスク処理指示をマスク制御信号としてマスク回路133へ送出する。
【0051】
マスク回路133は、光入力断アラーム信号とマスク制御信号とを入力し、マスク制御信号がマスク処理を指示した時にのみ、光入力断アラーム信号をアラーム状態に固定して転送用回線障害アラーム信号として出力する。
【0052】
図5は本発明の第2の実施の形態における光回線障害発生前後の動作を示すタイムチャートであり、図6は本発明の第2の実施の形態における光回線復帰前後の動作を示すタイムチャートである。これら図5及び図6を参照して、上記のカウンタ回路1312及びタイマ回路132の内部カウンタ動作と光入力断アラーム及び転送用回線障害アラームの動作とについて説明する。
【0053】
カウンタ回路1312の内部カウンタは、光回線障害発生前の正常状態ではカウンタ値「0」で動作を停止している。カウンタ回路1312の内部カウンタは、光回線障害が発生して光入力断アラームがノーマルからアラームに変化した時点でカウントアップを開始し、自動リスタート設定時間が経過した時点でカウンタ値を「0」にリセットしてカウンタ動作を停止する。
【0054】
カウンタ回路1312の内部カウンタは、カウンタ動作の停止後、自動リスタートによる出力停止解除時間が経過して光入力断アラームが再度ノーマルからアラームに変化した時点でカウントアップを開始し、以降、回線が復帰するまで同様の動作を繰り返す(図5参照)。
【0055】
次に、タイマ回路132の内部カウンタは、光回線に障害が発生して自動リスタート設定時間が経過するまではカウンタ値「0」で動作を停止している。タイマ回路132の内部カウンタは、自動リスタート設定時間が経過した時点でカウントアップを開始し、自動リスタートによる出力停止解除時間が経過した時点でカウンタ値を「0」にリセットして動作を停止する。タイマ回路132の内部カウンタは、以降、回線復帰するまで同様の動作を繰り返す(図5参照)。
【0056】
自動リスタート中に回線復帰した場合[図6(a)参照]、カウンタ回路1312の内部カウンタは、光入力断アラームのノーマル状態が継続するため、カウンタ値「0」の停止状態を維持する。タイマ回路132の内部カウンタは、自動リスタートによる出力停止解除時間分のカウントを継続し、出力停止解除時間分のカウントが完了した時点でカウンタ値を「0」にリセットして動作を停止する。転送用回線障害アラームは、自動リスタートによる出力停止解除時間まではアラーム状態を継続し、出力停止解除時間が経過した時点でノーマル状態へ変化する。
【0057】
次に、自動リスタート外に回線復帰した場合[図6(b)参照]、カウンタ回路1312の内部カウンタは、光入力断アラームがアラームからノーマルに変化した時点でカウンタ値を「0」にリセットしてカウンタ動作を停止する。タイマ回路132の内部カウンタは、自動リスタート設定時間の経過を検出しないため、カウンタ値「0」を継続する。
【0058】
以上のように、本実施の形態では、ALS制御の自動リスタート機能の出力停止解除をマスクすることによって、回線復帰していない状態でのアラームのバタつきを排除した転送用回線障害アラーム信号を送出することができる。
【0059】
図2において、アラーム制御回路13は、内部のタイマ回路132が出力する転送用回線障害アラーム信号をリンク制御回路14と上位監視系とに出力する。リンク断制御回路14は、転送用回線障害アラーム信号をリンク断制御の一条件としてその他のリンク断条件信号とのOR論理をとった結果のリンク断制御信号をLAN送受信部31へ出力する。
【0060】
LAN送受信部31は、リンク断制御信号にしたがってLANインタフェースの送受信のリンク断処理を実施し、LANインタフェースのリンク状態を検出してリンクステータスを示すリンク検出信号をLED制御回路35と上位監視系とに出力する。
【0061】
LED制御回路35は、リンク検出信号にしたがってリンク確立時にLED34の点灯、リンク断時にLED34の消灯制御を実施するためのLED制御信号を出力する。LED34はLED制御信号にしたがって点灯/消灯を実施する。
【0062】
このようにして、本実施の形態では、アラーム制御回路13にてALS制御の自動リスタート時の光入力断アラーム解除をマスクすることによって、通知する回線障害アラーム信号のアラームのバタつきを抑圧することで、上位監視系へ通知する回線障害アラームのバタつきを防止して負荷を軽減するとともに、接続先のLANインタフェースのリンク断制御のバタつきの回避と、それに伴うLANインタフェースのリンクステータスを収集する上位監視系の負荷の軽減とを実現することができる。
【0063】
上記のように、本実施の形態では、メディアコンバータ3a,3bにおいて光回線のALS制御の自動リスタート機能動作時の対向側装置出力停止解除による自局光入力断アラーム解除をマスクすることによって、ALS制御中に回線障害アラームの不要なバタつきを抑えることができ、回線障害アラームを通知する上位監視系の負荷を軽減することができるとともに、LANインタフェースのリンク断制御を実施するシステムにおいて、光回線障害によるリンク断制御の不要なバタつきを回避することができる。
【0064】
また、本実施の形態では、リンク断制御の不要なバタつきの回避によって、LANインタフェースのリンクステータスのバタつきも抑えられるため、リンクステータス通知先の上位監視系の負荷を軽減することができる。
【0065】
図7は本発明の第3の実施の形態による通信システムの構成例を示すブロック図である。図7には、ユーザインタフェースとして光回線を使用する無線中継装置4及び無線対向側装置5からなる通信システムを示している。
【0066】
図7において、無線中継装置4は、光受信部11と、光入力断検出回路12と、アラーム制御回路13と、光送信部21と、ALS制御回路22と、信号多重部41と、無線送信部42と、無線受信部43と、信号抽出部44とから構成されており、無線回線を介して無線対向側装置5に接続される。
【0067】
無線中継装置4では、ユーザインタフェースとしての光回線に障害が発生して接続先装置(図示せず)がALS制御の自動リスタート機能を実施した場合、前上述したアラーム制御回路13を使用して生成した転送用回線障害アラーム信号を信号多重部41で主信号に多重して無線送信部42から無線回線へ送信する。
【0068】
このように、本実施の形態では、無線対向側装置5へ転送する自局回線障害アラームのALS制御時のアラームバタつきを回避することができるとともに、無線対向側装置5の上位監視系の負荷を軽減させることが可能になる。
【0069】
上記のように、本発明は、光回線にALS制御機能を有するネットワーク中継装置において、光回線の片方向に障害が発生して逆方向光出力停止とともに、自動リスタート機能を実行する場合に、光回線障害アラームのバタつきを抑圧することで、接続先のLANリンク断制御のバタつき防止と、上位監視系の負荷軽減とを実現することを特徴とする。
【0070】
本発明では、ALS制御の自動リスタート機能使用時に対向側装置の光出力停止が一定周期で解除されることによる自局光入力断アラーム解除を光回線障害アラーム解除として通知しないために、光回線が復旧するまで光入力断アラームから自動リスタートによる入力断解除分をマスクして光回線障害アラームを通知する。
【0071】
上記のマスク制御は、上述したアラーム制御回路13において行う。光入力断アラーム発生から自動リスタートまでの設定時間は、自動リスタート検出回路131の内部カウンタで計測し、自動リスタート設定時間経過と同時にタイマ回路132の内部カウンタで対向側装置の出力停止解除時間を計測する。マスク回路133は、自動リスタート設定時間後に対向側装置の光出力停止解除時間分だけ光入力断アラーム解除をマスクする。リンク断制御回路14は、上記のマスク処理を施した光回線障害アラーム信号を条件としてリンク断制御を実施する。
【0072】
このように、本発明では、ALS制御の自動リスタート機能による対向側装置の出力停止解除までの設定時間後に、光出力停止解除時間分のマスク制御を実施することで、光回線障害アラーム転送先のLANインタフェースにおけるALS制御自動リスタート時の一時的なリンク断解除を回避するとともに、上位監視系の負荷を軽減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、光回線を使用するネットワークやユーザインタフェースとして光回線を使用するネットワークに用いられる中継装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施の形態による通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態による通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示すアラーム制御回路の構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す自動リスタート検出回路の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における光回線障害発生前後の動作を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態における光回線復帰前後の動作を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態による通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明に関連する技術の光回線障害情報通知部分を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
1 光受信回路
2 光送信回路
3a,3b メディアコンバータ
4 無線中継装置
5 無線対向側装置
11 光受信部
12 光入力断検出回路
13 アラーム制御回路
14 リンク断制御回路
21 光送信部
22 ALS制御回路
31 LAN送受信部
32 LAN−光変換部
33 光−LAN変換部
34 LED
35 LED制御回路
41 信号多重部
42 無線送信部
43 無線受信部
44 信号抽出部
100 光回線
131 自動リスタート検出回路
132 タイマ回路
133 マスク回路
311 LAN受信部
312 LAN送信部
1311 エッジ検出回路
1312 カウンタ回路
1313 比較回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片方向の光回線障害時に自動リスタートまでの設定時間の間、光出力を停止し、一定時間の光出力停止解除後に再度光出力を停止するためのALS(Automatic Laser Shutdown)制御の自動リスタート機能を備える接続先に接続するための光インタフェースを含む光回線伝送装置であって、
前記光回線が復旧するまで光入力断アラームから自動リスタートによる入力断解除分をマスクして少なくともアラーム転送先の上位監視系に光回線障害アラームを通知するアラーム制御手段を有することを特徴とする光回線伝送装置。
【請求項2】
前記アラーム制御手段は、前記接続先の光出力停止が一定周期で解除されることによる前記光入力断アラームの解除を光回線障害アラーム解除として通知することを抑止することを特徴とする請求項1記載の光回線伝送装置。
【請求項3】
前記アラーム制御手段は、前記光入力断アラーム発生から前記自動リスタートまでの設定時間を計測する手段と、前記自動リスタートの設定時間経過と同時に前記接続先の出力停止解除時間を計測する手段と、前記自動リスタートの設定時間後に前記接続先の光出力停止解除時間分だけ前記光入力断アラームの解除をマスクするマスク手段とを含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光回線伝送装置。
【請求項4】
前記マスク手段による処理を施した光回線障害アラームを条件としてリンク断制御を実施するリンク断制御手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の光回線伝送装置。
【請求項5】
前記リンク断制御の信号にしたがってLAN(Local Area Network)インタフェースの送受信のリンク断処理を実施するLAN送受信手段を含むことを特徴とする請求項4記載の光回線伝送装置。
【請求項6】
LAN−光変換機能を有するメディアコンバータであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか記載の光回線伝送装置。
【請求項7】
ユーザインタフェースとして光回線を使用する無線中継装置であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の光回線伝送装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の光回線伝送装置を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
片方向の光回線障害時に自動リスタートまでの設定時間の間、光出力を停止し、一定時間の光出力停止解除後に再度光出力を停止するためのALS(Automatic Laser Shutdown)制御の自動リスタート機能を備える接続先に接続するための光インタフェースを含む光回線伝送装置に用いる回線障害通知方法であって、
前記光回線が復旧するまで光入力断アラームから自動リスタートによる入力断解除分をマスクして少なくともアラーム転送先の上位監視系に光回線障害アラームを通知するアラーム制御処理を有することを特徴とする回線障害通知方法。
【請求項10】
前記アラーム制御処理において、前記接続先の光出力停止が一定周期で解除されることによる前記光入力断アラームの解除を光回線障害アラーム解除として通知することを抑止することを特徴とする請求項9記載の回線障害通知方法。
【請求項11】
前記アラーム制御処理は、前記光入力断アラーム発生から前記自動リスタートまでの設定時間を計測する処理と、前記自動リスタートの設定時間経過と同時に前記接続先の出力停止解除時間を計測する処理と、前記自動リスタートの設定時間後に前記接続先の光出力停止解除時間分だけ前記光入力断アラームの解除をマスクするマスク処理とを含むことを特徴とする請求項9または請求項10記載の回線障害通知方法。
【請求項12】
前記マスク処理を施した光回線障害アラームを条件としてリンク断制御を実施するリンク断制御処理を含むことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか記載の回線障害通知方法。
【請求項13】
前記リンク断制御の信号にしたがってLAN(Local Area Network)インタフェースの送受信のリンク断処理を実施するLAN送受信処理を含むことを特徴とする請求項12記載の回線障害通知方法。
【請求項14】
前記光回線伝送装置が、LAN−光変換機能を有するメディアコンバータであることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれか記載の回線障害通知方法。
【請求項15】
前記光回線伝送装置が、ユーザインタフェースとして光回線を使用する無線中継装置であることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか記載の回線障害通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−94825(P2009−94825A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263864(P2007−263864)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】