説明

光塩基発生剤を含有する感光性組成物

【課題】 高価な成膜装置を使用することなく工程が少ないため生産性に優れ、現像によりパターン形成可能な感光性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、光塩基発生剤、および下記一般式(1)で表される金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物を必須成分とし、光照射による硬化、現像することによりパターン形成することを特徴とする感光性組成物である。
Si(OR(R4−x (1)
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基;Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を表す。xは(OR)の個数を表し、2〜4の整数を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパターン形成にすぐれた感光性組成物に関するものである。さらに詳しくは、パターン形成の生産性に優れる感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無機物質のパターン形成方法に関し、スパッタ法(特許文献1)や真空成膜法(特許文献2)等が広く用いられている。これらの方法により、半導体部品の保護膜、透明電極膜等が形成されている。
【0003】
しかし、スパッタ法や真空成膜法においては、装置が大掛かりで高価である。またこれらの方法は主として被成膜基板の全面に成膜する方法であり、膜形成完了後に目的とするパターン形状とするため、場合によりさらにフォトエッチング等の工程が必要である。
フォトエッチング工程においては、フォトレジスト等の感光性樹脂を塗布し、パターン形成後除去する等の多工程が必要であり、製造時間の遅延、高価な薬剤の使用などによる量産面での短所を有している。そのため、安価な装置による簡便なパターン形成方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−75165号公報
【特許文献2】特開平11−80955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高価な成膜装置を使用することなく工程が少ないため生産性に優れ、現像によりパターン形成可能な感光性組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、光塩基発生剤(A)、および下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン(B1)または下記一般式(2)で表される金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B2)を必須成分とし、活性エネルギー線照射による硬化後に現像することによりパターン形成が可能であることを特徴とする感光性組成物;
光塩基発生剤(A)、上記のアルコキシシラン(B1)または上記の金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B2)の加水分解物の縮合物(C)を必須成分とすることを特徴とする感光性組成物;
およびこれらの感光性組成物を活性エネルギー線照射により硬化させて得られるパターン形成物である。
【0007】
Si(OR(R4−x (1)
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基;Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表す。xは(OR)の個数を表し、2〜4の整数である。]
【0008】
M(OR(2)
[式中、MはNb、Ti、Zr、Al、In、ZnおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の原子;Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、アセチルアセトナート基、およびアルキルアセトアセテート基からなる群より選ばれる1種以上の有機基を表す。yは原子Mの価数を表し、2〜5の整数である。]
【発明の効果】
【0009】
本発明の感光性組成物は、高価な成膜装置を使用することなく、また工程が少ないため生産性に優れたパターン形成物が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、活性エネルギー線照射による硬化後に現像することによりパターン形成が可能であることを特徴とする感光性組成物に関するものであり、
(1)光塩基発生剤(A)と、金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B)を必須成分とする第1発明と、
(2)光塩基発生剤(A)と、上記(B)の加水分解物の縮合物(C)を必須成分とする第2発明である。
さらに、金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B)としては、後述する一般式(1)で表されるアルコキシシラン(B1)と、後述する一般式(2)で表されるAl、Tiなどの金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B2)の2つのグループの化合物を使用することが必要である。
【0011】
本発明の光塩基発生剤とは、活性エネルギー線の作用により塩基を発生する物質と定義され、より具体的には、(1)紫外線・可視光・赤外線の照射により脱炭酸して分解する有機酸と塩基の塩、(2)分子内求核置換反応や転位反応などにより分解してアミン類を放出する化合物、あるいは(3)紫外線・可視光・赤外線の照射により何らかの化学反応を起こして塩基を放出するものの総称である。
【0012】
本発明に用いられる光塩基発生剤(A)は、紫外線、電子線、X線、赤外線および可視光線などの活性エネルギー線の作用により塩基を発生する物質であれば特に限定されない。
【0013】
本発明に用いられる光塩基発生剤(A)としては、第四アンモニウムテトラフェニルホウ酸塩類のようなアンモニウム化合物;ベンゾイルオキシカルボニル誘導体;o−アシルオキシム類、o−カルバモイルオキシム類のようなオキシムエステル化合物;カルバミン酸ベンジル類やカルバミン酸ベンゾイン類などの光活性カルバミン酸塩類;ベンゾイン化合物;ジメトキシベンジルウレタン系化合物;オルトニトロベンジルウレタン系化合物;アミンイミド類;芳香族スルホンアミド類;α−ラクタム類、N−(2−アリールエテニル)アミド類;N−置換4−(o−ニトロフェニル)ジヒドロキシピリジン類;N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピペリジン類;、1,3−ビス(N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル)プロパン類;N,N’−ビス(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ジヘキシルアミン類;O−ベンジルカルボニル−N−(1−フェニルエチリデン)ヒドロキルアミン類;およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0014】
光塩基発生剤(A)から発生する塩基(D)としては特に限定されないが、より具体的には有機塩基である。
発生塩基(D)としては、エチルアミンなどの第1級アルキルアミン類;ジエチルアミンなどの第2級アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリメチルアミン、1,8−ジアザビシクロオクタンなどの第3級アルキルアミン類;4−ジメチルアミノピリジンなどの芳香族アミン類;およびアミジン類が挙げられる。
これらの有機塩基のうち、強塩基であるアミジン骨格を有する塩基(D1)が好ましく、さらに環式アミジン類が好ましい。
【0015】
環式アミジン類としては、イミダゾリン系化合物、テトラヒドロピリミジン系化合物、トリアザビシクロアルケン系化合物、ジアザビシクロアルケン系化合物が挙げられる。
なお、上記した塩基は、1種のものを単独で用いることもできるし、2種以上のものを組み合わせて用いることもできる。
【0016】
このような環式アミジン類を具体的に例示すると、イミダゾリン系化合物としては1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1−メチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−オクチルイミダゾリンなどを挙げることができる。
【0017】
テトラヒドロピリミジン系化合物としては1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−メチル−2−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−メチル−2−ブチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−エチル−2−オクチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンなどを挙げることができる。
【0018】
トリアザビシクロアルケン系化合物としては、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、7−エチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセン−5などを挙げることができる。
【0019】
ジアザビシクロアルケン系化合物としては、1,5−ジアザビシクロ[4.2.0]オクテン−5、1,8−ジアザビシクロ[7.2.0]ウンデセン−8、1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、3−メチル−1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、3,6,7,7−テトラメチル−1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4、7,8,8−トリメチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[7.3.0]ドデセン−8、1,7−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−6、8−フェニル−1,7−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−6、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、4−フェニル−1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]デセン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]デセン−7、1,8−ジアザビシクロ[7.4.0]トリデセン−8、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−メチルブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−メチルオクチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ブチルベンジルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジヘキシルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、9−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、9−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]デセン−7、1,6−ジアザビシクロ[5.5.0]ドデセン−6、1,7−ジアザビシクロ[6.5.0]トリデセン−7、1,8−ジアザビシクロ[7.5.0]テトラデセン−8、1,10−ジアザビシクロ[7.3.0]ドデセン−9、1,10−ジアザビシクロ[7.4.0]トリデセン−9、1,14−ジアザビシクロ[11.3.0]ヘキサデセン−13、1,14−ジアザビシクロ[11.4.0]ヘプタデセン−13などを挙げることができる。
【0020】
これらの光塩基発生剤(A)から発生するアミジン骨格を有する塩基(D1)のうち、工業的に入手が容易であるという点で、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)が特に好ましい。
【0021】
本発明に用いられる光塩基発生剤(A)を具体的に例示すると、1,3−ビス〔N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル〕プロパン、N,N’−ビス(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ジヘキシルアミン、O−ベンジルカルボニル−N−(1−フェニルエチリデン)ヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノンN−カルバミン酸シクロヘキシル、o−ニトロベンジルN−カルバミン酸シクロヘキシル、N−シクロヘキシル−2−ナフタレンスルホンアミド、3,5−ジメトキシベンジルN−カルバミン酸シクロヘキシル、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、ジベンゾインイソホロンジカルバメート、N−{[(3−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン、N−{[(6,7−ジメトキシ−3−ニトロ−2−ナフタレンメチル)オキシ]カルボニル}−2,6−ジメチルピペリジン、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカーバメート、1−(2−ニトロフェニル)エチル シクロヘキシルカーバメート、2,6−ジニトロベンジル シクロヘキシルカーバメート、1−(2,6−ジニトロフェニル)エチル シクロヘキシルカーバメート、1−(3,5−ジメトキシフェニル)−1−メチルエチル シクロヘキシルカーバメート、1−ベンゾイル−1−フェニルメチルシクロヘキシルカーバメート、2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル シクロヘキシルカーバメート、1,2,3−ベンゼントリイル トリス(シクロヘキシルカーバメート)、α−(シクロヘキシルカーバモイルオキシイミノ)−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル、N−(シクロヘキシルカーバモイルオキシ)スクシンイミド、トリフェニルメタノール、o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(2−ニトロペンジルオキシカルボニル)ピペリジン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(3−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−クロロ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(5−メチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4,5−ジメチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(2−メチル−2−フェニルプロピオニルオキシ)−N−シクロヘキシルアミン、8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート、8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフェニルボレートなどを挙げることができる。
これらの内、高圧水銀灯に対する感度特性、発生塩基の強さ、および工業的な入手性の観点から、8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレート、8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフェニルボレートが好ましい。
【0022】
本発明に用いられる金属アルコキシドまたは金属キレート化合物は、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン(B1)または、下記一般式(2)で表される金属アルコキシドまたは金属キレート化合物(B2)である。
Si(OR(R4−x (1)
【0023】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基;Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を表す。xは(OR)の個数を表し、2〜4の整数である。]
【0024】
M(OR(2)
【0025】
[式中、MはNb、Ti、Zr、Al、In、ZnおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の原子;Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、アセチルアセトナート基、およびアルキルアセトアセテート基からなる群より選ばれる1種以上の有機基を表す。yは原子Mの価数を表し、2〜5の整数である。]
【0026】
本発明に用いられる上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン(B1)において、R1は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基である。
例えば水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、フェニル基などが挙げられる。
これらのうち好ましいのは、メチル基、エチル基である。
【0027】
また、R2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基であり、例えば水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基などが挙げられる。
これらのうち好ましいのは、エチル基、フェニル基である。
xは(OR)の個数を表し、2〜4の整数である。
【0028】
これら一般式(1)の具体例を以下に示す。
x=4のものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなどを挙げることができる。
【0029】
x=3のものとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
【0030】
x=2のものとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどを挙げることができる。
【0031】
本発明に用いられる上記一般式(2)で表される金属アルコキシドまたは金属キレート化合物(B2)において、MはNb、Ti、Zr、Al、In、ZnまたはBaである。
は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、アセチルアセトナート基、またはアルキルアセトアセテート基であり、例えば水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセチルアセトナート基、メチルアセトアセテート基、エチルアセトアセテート基などが挙げられる。
yは原子Mの価数を表し、2〜5の整数である。
【0032】
ニオブアルコキシドまたはニオブキレート化合物の例としては、ニオブ(V)メトキサイド、ニオブ(V)エトキサイド、ニオブ(V)−iso−プロポキサイド、ニオブ(V)n−プロポキサイド、ニオブ(V)n−ブトキサイド、ニオブ(V)tert−ブトキサイド、ニオブ(V)ジn−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、ニオブ(V)フェノキサイド等が挙げられる。
【0033】
チタンアルコキシドまたはチタンキレート化合物の例としては、チタン(IV)n−ブトキサイド、チタン(IV)メトキサイド、チタン(IV)エトキサイド、チタン(IV)n−プロポキサイド、チタン(IV)iso−プロポキサイド、チタン(IV)tert−ブトキサイド、チタン(IV)iso−ブトキサイド、チタン(IV)メトキシプロポキサイド、チタン(IV)ジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタジオネート)、チタン(IV)ジ−iso−プロポキサイド(ビス−2,4−ペンタジオネート)、チタン(IV)ジ−iso−プロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタン(IV)エチルアセトアセテートトリ−iso−プロポキシド、チタン(IV)メチルフェノキサイド等が挙げられる。
【0034】
ジルコニウムアルコキシドまたはジルコニウムキレート化合物の例としては、ジルコニウム(IV)エトキサイド、ジルコニウム(IV)−iso−プロポキサイド、ジルコニウム(IV)n−プロポキサイド、ジルコニウム(IV)n−ブトキサイド、ジルコニウム(IV)tert−ブトキサイド、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート、ジルコニウム(IV)ジn−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)等が挙げられる。
【0035】
アルミニウムアルコキシドまたはアルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウム(III)n−ブトキサイド、アルミニウム(III)sec−ブトキサイド、アルミニウム(III)tert−ブトキサイド、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アルミニウム(III)sec−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム(III)ジ−sec−ブトキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)ジ−iso−プロポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート、アルミニウム(III)フェノキサイドなどが挙げられる。
【0036】
インジウムアルコキシドまたはインジウムキレート化合物の例としては、インジウム(III)n−ブトキサイド、インジウム(III)sec−ブトキサイド、インジウム(III)tert−ブトキサイド、インジウム(III)エトキサイド、インジウム(III)iso−プロポキサイド、インジウム(III)sec−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、インジウム(III)ジ−sec−ブトキサイドエチルアセトアセテート、インジウム(III)アセチルアセトナート、インジウム(III)ジ−iso−プロポキサイドエチルアセトアセテート、インジウム(III)2,4−ペンタンジオネート、インジウム(III)トリス(1‐エチル‐1‐メチルプロポキシ)、インジウム(III)トリス(1,1,2‐トリメチルプロポキシ)などが挙げられる。
【0037】
亜鉛アルコキシドまたは亜鉛キレート化合物の例としては、亜鉛(II)n−ブトキサイド、亜鉛(II)sec−ブトキサイド、亜鉛(II)tert−ブトキサイド、亜鉛(II)エトキサイド、亜鉛(II)−iso−プロポキサイド、亜鉛(II)sec−ブトキサイドエチルアセトアセテート、亜鉛(II)エチルアセトアセテート、亜鉛(II)アセチルアセトナート、亜鉛(II)−iso−プロポキサイドエチルアセトアセテート、亜鉛(II)フェノキサイドなどが挙げられる。
【0038】
バリウムアルコキシドまたはバリウムキレート化合物の例としては、バリウム(II)エトキサイド、バリウム(II)iso−プロポキサイド、バリウム(II)n−プロポキサイド、バリウム(II)n−ブトキサイド、バリウム(II)tert−ブトキサイド等が挙げられる。
【0039】
本発明の感光性組成物において、第2発明の感光性組成物は、第1発明における金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物の代わりに、その一部が加水分解した物質の縮合物を必須成分とすることを特徴とする。
より具体的には、一般式(1)で表されるアルコキシシラン(B1)または一般式(2)で表される金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B2)の加水分解物の縮合物(C)のことである。
【0040】
本発明における加水分解物の縮合物(C)とは、具体的には、前記の一般式(1)で表されるアルコキシシラン(B1)においては、下記の反応式(3)で表される反応により加水分解して生じる加水分解物が、反応式(4)または反応式(5)により縮合したものを表す。
【0041】
【化1】

【0042】
【化2】

【0043】
【化3】

【0044】
反応式(3)〜(5)中のRは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を表すが、Rが水素原子の場合は、反応式(3)は左辺と右辺が同一となり既に加水分解物であるため、反応式(3)は考えなくてよい。
【0045】
加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されるものに限定されず、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよい。さらに、加水分解物の縮合物(C)としては、加水分解アルコキシドの2量体以上であってもよい。
【0046】
また、前記の一般式(2)で表されるAl、Tiなどの金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B2)についても、上記の反応式(3)〜(5)におけるSiが金属原子Mに、RがRに変更されたのみで、同様の反応である。
ただし、式中、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基以外に、アセチルアセトナート基、アルキルアセトアセテート基でもよい。
が水素原子の場合は、反応式(3)は左辺と右辺が同一となり既に加水分解物であるため、反応式(3)は考えなくてよい。
【0047】
加水分解物の縮合物(C)の具体例としては、たとえば通常の方法でアルコキシシラン(B1)であるテトラアルコキシシランまたはトリアルコキシシランに水を添加し、縮合させて得られるものが挙げられ、一般に市販されている。
例えば、MSI51、ESI28、ESI40、ESI48、HAS−1、HAS−10(以上、コルコート株式会社製)、MS51、MS56、MS56S(以上、三菱化学株式会社製)、Mシリケート51、FR−3、シリケート40、シリケート45、シリケート48、ES−48(以上、多摩化学株式会社製)などのテトラアルコキシシランの部分加水分解物の縮合物や、たとえばAFP−1(信越化学工業株式会社製)などのトリアルコキシシランの部分加水分解物の縮合物などが挙げられる。
また、金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B2)の加水分解物の縮合物としては、公知のゾル−ゲル法(たとえば、「ゾルゲル法に技術的課題とその対策」山根正之編・著;株式会社アイピーシー、平成2年発行)などにより得ることができる。
【0048】
本発明のパターン形成物とは、感光性組成物を塗布した後、形成したいパターンが刻まれたフォトマスク等を介して活性エネルギー線を照射し、硬化させることにより得られる。
本発明におけるパターンの好ましい形成工程は、活性エネルギー線照射の後、溶剤現像してパターン形成し、さらにポストベークを行う工程である。パターンの形成は、通常、以下の(1)〜(6)の工程で行われる。
(1)基板上に本発明の感光性組成物を塗布する工程。
塗布方法としては、ロールコート、スピンコート、スプレーコートおよびスリットコート等が挙げられ、塗布装置としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター及びコンマコーター等が挙げられる。膜厚は、通常0.05〜20μm、好ましくは0.1〜2μmである。
【0049】
(2)塗布された感光性組成物層を、必要に応じて熱を加えて乾燥させる(プリベーク)工程。
乾燥温度としては、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは5〜90℃、特に好ましくは15〜80℃である。乾燥時間は、好ましくは0.5〜20分、さらに好ましくは1〜15分、特に好ましくは2〜10分である。乾燥は、減圧、常圧どちらでもよいが、常圧の方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
【0050】
(3)所定のフォトマスクを介して、活性エネルギー線により感光性組成物層の露光を行う工程。
使用されるフォトマスクの開口部の大きさは、形成するパターンに応じて設定されるが、好ましくは直径4〜15μm(面積20〜100μm)以上、さらに好ましくは直径6〜12μmであり、4〜15μmであれば精度良くパターンを形成することができる。例えば、開口部が直径4〜15μmであれば、直径6〜22μm程度のパターンを得ることができる。活性エネルギー線の光線源としては、太陽光、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、半導体レーザー等が挙げられる。露光量としては、特に限定されないが、好ましくは20〜5000mJ/cmである。露光を行う工程においては、感光性組成物中の光塩基発生剤(A)から塩基が発生することにより、金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物がゾル−ゲル反応することにより硬化する。
【0051】
(4)塗布された感光性組成物層を、必要に応じて熱を加えて硬化させる工程。
乾燥温度としては、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは5〜90℃、特に好ましくは15〜80℃である。乾燥時間は、好ましくは0.5〜60分、さらに好ましくは1〜30分、特に好ましくは2〜15分である。乾燥は、減圧、常圧どちらでもよいが、常圧の方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
【0052】
(5)続いて未露光部を現像液で除去し、現像を行う工程。
現像液は、通常、水または溶剤を用いる。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることもでき、また、水を現像液として使用する場合は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を添加して用いることもできる。現像方法としては、ディップ方式とシャワー方式があるが、シャワー方式の方が好ましい。現像液の温度は、特に限定されないが、好ましくは5〜50℃である。現像時間は、膜厚や感光性組成物の溶解性に応じて適宜決定される。
【0053】
(6)現像された感光性組成物層を、必要に応じて熱を加えて乾燥させる後加熱(ポストベーク)工程。
ポストベークの温度としては、好ましくは10〜500℃、さらに好ましくは80〜350℃、特に好ましくは100〜300℃である。ポストベークの時間は5分〜60時間、好ましくは10分〜40時間、特に好ましくは20分〜30時間である。ベークは、減圧、常圧どちらでもよいが、常圧の方が好ましい。また、空気中、不活性ガス中どちらで行ってもよいが、不活性ガス中が好ましい。
【0054】
上記の工程により形成されたパターンの高さは、通常0.03〜15μmである。
【0055】
本発明の感光性組成物は、透明導電膜としても利用できる。透明導電膜とは、一般に導電性物質を薄膜状にパターン形成したものであり、透明性の要求されるフラットパネルディスプレイや太陽電池などの電極として用いられる。
【0056】
キャパシタ用高誘電体膜とは、高密度実装基板における埋め込み形キャパシタ用として高誘電体物質を薄膜状にパターン形成したものであり、携帯電話やデジタルカメラなどのプリント配線板として用いられる。
【0057】
半導体用保護膜とは、半導体における配線絶縁用として保護膜を薄膜状にパターン形成したものであり、CPUや半導体メモリなどの製造時に用いられる。
プリント配線板用カバーレイとは、フレキシブルプリント配線板における配線絶縁用保護膜として主として最外層に形成されるものである。
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0059】
製造例1
2−ブロモメチルチオキサントンの合成
J.Am.Chem.Soc.,1952,74(17)pp4296−4309、およびRevista de Chimie,1968,19(10)pp561−565の文献記載の方法を参考に、2−ブロモメチルチオキサントン20gを合成した。
【0060】
クロロホルム550gに上記の2−ブロモメチルチオキサントン20gを溶解し、これに1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU;サンアプロ株式会社製)11gを撹拌下に混合した。常温で2時間撹拌した後、エバポレーターにて40℃減圧下でクロロホルムを留去して、白色固体14gを得た。この白色固体をジエチルエーテルに溶解して精製を行い、白色固体(a−1)8gを得た。
H−NMRによる分析の結果、この白色固体(a−1)は8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムブロマイドであることを確認した。
【0061】
ジクロロメタン400gに上記の白色固体(a−1)8gを溶解させた溶液と、ナトリウムテトラフェニルボレート塩(北興化学工業株式会社製)6.7gを水330gで溶解させた水溶液を混合し、常温で1.5時間撹拌した。撹拌停止し30分間静置した後、水層を分液除去した。得られた有機層を200gの蒸留水で4回洗浄した後、エバポレーターにて40℃減圧下で乾燥し、黄色固体12gを得た。を得た。この黄色固体をアセトニトリル/ジエチルエーテルにて精製を行い、淡黄色粉末である光塩基発生剤(A−1)10gを得た。
H−NMRによる分析の結果、この淡黄色粉末である光塩基発生剤(A−1)は8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムテトラフェニルボレートであることを確認した。
【0062】
製造例2
製造例1の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7を1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN;サンアプロ株式会社製)9gに変更した以外は同様にして、光塩基発生剤(A−2)である8−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イル)メチル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフェニルボレートの微黄色粉末9gを得た。
【0063】
実施例1
製造例1で得られた光塩基発生剤(A−1)1gを2−ビニルピロリドン4gに加え、均一溶解させた。続いてテトラエトキシシラン(TEOS;株式会社高純度化学研究所製)10gを加え、均一混合し、本発明の感光性組成物(C−1)を得た。
【0064】
この溶液(C−1)を、ガラス基板上にスピンコートで塗布し、25℃で1分間乾燥した。その後、フォトマスクと基板とを密着させ、高圧水銀灯の光を1000mJ/cm照射し露光した。その後、80℃で3分間乾燥した後、アセトンを用いて現像をした。水洗を施したのち、80℃で60分間ポストベークしてパターンをガラス基板上に形成し、パターン形成物(E−1)を得た。
そのラインアンドスペースパターン(以下、L/Sパターンという。)の形成を光学顕微鏡にて目視確認したところ、L/S=10/10μmのマスクにおいてマスク通りのL/S=10/10μmパターンが形成できており、かつパターン線幅が均一でパターンのはがれも無く、パターン形成物(E−1)において良好な微細パターン形成が確認された。
【0065】
実施例2
実施例1において、光塩基発生剤(A−1)を製造例2で合成した光塩基発生剤(A−2)1gとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、本発明の感光性組成物(C−2)を得た。さらに実施例1と同様な操作を行い、本発明のパターン形成物(E−2)を得、そのL/Sパターンの形成を目視確認したところ、良好な微細パターン形成が確認された。
【0066】
実施例3
実施例1において、テトラエトキシシランをMS56(テトラメトキシシランの加水分解物の縮合物;三菱化学株式会社製)10gをとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、本発明のパターン形成物(E−3)を得、そのL/Sパターンの形成を目視確認したところ良好な微細パターン形成が確認された。
【0067】
実施例4
光塩基発生剤(A−1)1gを2−ビニルピロリドン1g、エタノール5gに加え均一溶解させた。続いてチタン(IV)n−ブトキサイド(オルガチックスTA−25;マツモトファインケミカル株式会社製)2gを加え、均一混合し、本発明の感光性組成物(C−4)を得た。なお、溶液の調製は窒素雰囲気下で実施した。
【0068】
この溶液(C−4)を、ガラス基板上にスピンコートで塗布し、25℃で1分間乾燥した。次に、フォトマスクとこのガラス基板とを密着させ、高圧水銀灯の光を3000mJ/cm照射し露光した。
その後、現像溶剤としてアセトンを用いたシャワー方式の現像装置によりこのガラス基板を30秒間現像した。さらに、40℃で10時間、さらに80℃で5時間ポストベークしてパターンをガラス基板上に形成し、パターン形成物(E−4)を得た。
そのL/Sパターンの形成を目視確認したところ、良好な微細パターン形成が確認された。
【0069】
実施例5
実施例4において、チタン(IV)n−ブトキサイドをジルコニウム(IV)アセチルアセトナート(オルガチックスZC−150;マツモトファインケミカル株式会社製)2gとした以外は、実施例4と同様な操作を行い、本発明の感光性組成物(C−5)を得た。さらに実施例4と同様な操作を行い、パターン形成物(E−5)を得た。
そのL/Sパターンの形成を目視確認したところ、良好な微細パターン形成が確認された。
【0070】
実施例6
実施例4において、チタン(IV)n−ブトキサイドをアルミニウム(III)イソプロポキサイド(三津和化学薬品株式会社製)2gとし、光塩基発生剤(A−1)を光塩基発生剤(A−2)1gとした以外は、実施例4と同様な操作を行い、本発明の感光性組成物(C−6)を得た。さらに実施例4と同様な操作を行い、パターン形成物(E−6)を得た。
そのL/Sパターンの形成を目視確認したところ、良好な微細パターン形成が確認された。
【0071】
実施例7
実施例4において、チタン(IV)n−ブトキサイドをインジウム(III)アセチルアセトナート(三津和化学薬品株式会社製)2gとした以外は、実施例4と同様な操作を行い、本発明の感光性組成物(C−7)を得た。
さらに実施例4と同様な操作を行い、パターン形成物(E−7)を得た。
そのL/Sパターンの形成を目視確認したところ、良好な微細パターン形成が確認された。
【0072】
実施例8
実施例4において、チタン(IV)n−ブトキサイドを亜鉛(II)アセチルアセトナート(三津和化学薬品株式会社製)2gとした以外は、実施例4と同様な操作を行い、本発明の感光性組成物(C−8)を得た。さらに実施例4と同様な操作を行い、パターン形成物(E−8)を得た。
そのL/Sパターンの形成を目視確認したところ、良好な微細パターン形成が確認された。
【0073】
実施例9
実施例4において、チタン(IV)n−ブトキサイドをバリウム(II)エトキサイド(株式会社高純度化学研究所製)2gとした以外は、実施例4と同様な操作を行い、本発明の感光性組成物(C−9)を得た。さらに実施例4と同様な操作を行い、パターン形成物(E−9)を得た。
そのL/Sパターンの形成を目視確認したところ、良好な微細パターン形成が確認された。
【0074】
比較例1
特許文献2記載の方法を参考に、比較パターン形成物(E’−1)を得た。そのL/Sパターンの形成を目視確認したところ、良好な微細パターン形成が確認された。
【0075】
比較例に示したパターン形成方法は、高真空下で使用可能な高価な材質を使用した大型の真空チャンバ、さらには高出力のプラズマ発生装置等の大掛かりで高価な製膜装置が必要であり、工程も長く生産性が低い。
しかし、本発明の実施例における感光性組成物は、調製した溶液を基盤に塗布し、活性エネルギー線照射および現像という非常に簡便な方法により、L/S=10/10μmのマスク通りでかつパターン線幅が均一でパターンのはがれも無く、比較例と遜色のないパターン形成が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の感光性組成物のパターン形成方法は、安価な装置を用いた簡便なパターン形成方法であるため、半導体用保護膜やプリント配線板用カバーレイとして有用である。また、本発明のパターン形成方法は微細なパターンを形成できるため、フラットパネルディスプレイ等の透明導電膜や部品内蔵プリント配線板のキャパシタ用高誘電体膜としても有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光塩基発生剤(A)、および下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン(B1)または下記一般式(2)で表される金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B2)を必須成分とし、活性エネルギー線照射による硬化後に現像することによりパターン形成が可能であることを特徴とする感光性組成物。
Si(OR(R4−x (1)
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基;Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基を表す。xは(OR)の個数を表し、2〜4の整数である。]
M(OR(2)
[式中、MはNb、Ti、Zr、Al、In、ZnおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の原子;Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、アセチルアセトナート基、およびアルキルアセトアセテート基からなる群より選ばれる1種以上の有機基を表す。yは原子Mの価数を表し、2〜5の整数である。]
【請求項2】
光塩基発生剤(A)、および下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン(B1)または下記一般式(2)で表される金属アルコキシドもしくは金属キレート化合物(B2)の加水分解物の縮合物(C)を必須成分とし、活性エネルギー線照射による硬化後に現像することによりパターン形成が可能であることを特徴とする感光性組成物。
Si(OR(R4−x (1)
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基;Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基を表す。xは(OR)の個数を表し、2〜4の整数である。]
M(OR(2)
[式中、MはNb、Ti、Zr、Al、In、ZnおよびBaからなる群より選ばれる1種以上の原子;Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、アセチルアセトナート基、およびアルキルアセトアセテート基からなる群より選ばれる1種以上の有機基を表す。yは原子Mの価数を表し、2〜5の整数である。]
【請求項3】
活性エネルギー線によって該光塩基発生剤(A)から発生する塩基(D)がアミジン骨格を有する塩基(D1)である請求項1または2記載の感光性組成物。
【請求項4】
該発生塩基(D1)が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)である請求項3記載の感光性組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の感光性組成物を活性エネルギー線照射により硬化させて得られるパターン形成物。
【請求項6】
請求項1〜4いずれか記載の感光性組成物を用いてパターンが形成された透明導電膜、キャパシタ用高誘電体膜、半導体用保護膜またはプリント配線板用カバーレイ。

【公開番号】特開2010−243773(P2010−243773A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92212(P2009−92212)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】