説明

光学フィルムの製造方法及び光学フィルムの製造装置

【課題】外観欠点が少ない光学フィルムを得る光学フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る光学フィルムの製造方法は、第1の押出機2により溶融した樹脂組成物を押し出す第1の押出工程と、第1の押出機2により押し出された樹脂組成物を、濾過フィルタ装置3を通過させて、濾過する濾過工程と、濾過フィルタ装置3により濾過された樹脂組成物を、ベント部4aを有する第2の押出機4により押し出し、かつフィルム状に成膜する第2の押出工程と、フィルム状に成膜された樹脂組成物を、冷却することにより固化させて、光学フィルムを得る冷却工程とを備える。第1の押出機2による押し出し時の樹脂組成物の最高温度をT1(℃)とし、ベント部4aを有する第2の押出機4による押し出し時の樹脂組成物の最高温度をT2(℃)としたときに、T2を(T1−50)℃〜(T1−5)℃にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、表示画像を高品位にするために、液晶表示装置などに用いられる光学フィルムの製造方法及び光学フィルムの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、表示品位を高めるために位相差フィルム及び偏光子保護フィルム等の各種の光学フィルムが用いられている。
【0003】
液晶表示装置では、液晶の光学特性の補償、視野角の改善、コントラストの改善又は着色防止等を目的として、偏光子保護フィルム又は位相差フィルム等の光学フィルムが、液晶セルの片面又は両面に積層されている。
【0004】
上記光学フィルムは、一般的に樹脂材料を、流延(溶液キャスト)法、カレンダー法又は溶融押出法等により成膜することにより作製されている。
【0005】
上記光学フィルムを得るための樹脂材料として、例えば、アクリル系樹脂などの非晶性樹脂が広く知られている。上記アクリル系樹脂は、光学的透明性に優れている。
【0006】
上記アクリル系樹脂を溶融押出法により成膜する光学フィルムの製造方法が、下記の特許文献1に開示されている。特許文献1では、アクリル系樹脂20〜80質量部及びスチレン系樹脂80〜20質量部を含む熱可塑性樹脂組成物とポリマー炭素ラジカル捕捉剤0.05〜0.5質量部とを含む原料組成物を溶融押出しすることにより、光学フィルムを得ている。ここでは、Tダイを備えた単軸押出機を用いて、該単軸押出機の原料投入口から上記Tダイ出口までの溶融樹脂温度を上記原料組成物のガラス転移温度+150℃未満に維持して、上記原料組成物を溶融押出ししている。
【0007】
また、特許文献1では、上記単軸押出機は、ベント部及びポリマーフィルターを備えた押出機であることが好ましいこと、上記ポリマーフィルターの濾過精度が20μm未満であることが好ましいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−279787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記アクリル系樹脂は一般に光学的透明性が高いものの、例えば、上記アクリル系樹脂を250℃以上の高温で溶融押出しすると、熱分解して発泡が生じることがある。
【0010】
一方で、発泡を抑制するために、溶融押出温度を低くすると、溶融押出しされる上記アクリル系樹脂の溶融粘度が高くなることがある。このため、溶融押出が困難になることがある。さらに、特許文献1に記載のように、溶融押出しされた上記アクリル樹脂は、不純物又はゲル化物などを除去するために、ポリマーフィルターを通過させることが多い。溶融粘度が高いと、溶融押出しされた上記アクリル系樹脂をポリマーフィルターにより濾過することが困難になったり、ポリマーフィルターの目詰まりや破損が生じたりする。一方で、ポリマーフィルターによる濾過を行わなければ、得られる光学フィルムに外観欠点が生じやすい。
【0011】
本発明の目的は、外観欠点が少ない光学フィルムを得ることができる光学フィルムの製造方法及び光学フィルムの製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の広い局面によれば、溶融押出法により樹脂組成物を成膜する光学フィルムの製造方法であって、第1の押出機により溶融した樹脂組成物を押し出す第1の押出工程と、上記第1の押出機により押し出された樹脂組成物を、濾過フィルタ装置を通過させて、濾過する濾過工程と、上記濾過フィルタ装置により濾過された樹脂組成物を、ベント部を有する第2の押出機により押し出し、かつフィルム状に成膜する第2の押出工程と、フィルム状に成膜された樹脂組成物を、冷却することにより固化させて、光学フィルムを得る冷却工程とを備え、上記第1の押出機による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度をT1(℃)とし、上記ベント部を有する第2の押出機による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度をT2(℃)としたときに、T2を(T1−50)℃〜(T1−5)℃にする、光学フィルムの製造方法が提供される。
【0013】
本発明に係る光学フィルムの製造方法のある特定の局面では、上記樹脂組成物として、非晶性樹脂70〜95重量%と、該非晶性樹脂に対して相分離形態を呈する熱可塑性エラストマー系樹脂5〜30重量%とを含む樹脂組成物が用いられる。
【0014】
本発明に係る光学フィルムの製造方法の他の特定の局面では、上記非晶性樹脂として、アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂又はマレイミド系樹脂が用いられる。
【0015】
本発明に係る光学フィルムの製造方法の別の特定の局面では、上記熱可塑性エラストマー系樹脂として、ブタジエン系化合物とスチレン系化合物とを含む共重合成分の共重合体が用いられる。
【0016】
本発明に係る光学フィルムの製造方法のさらに別の特定の局面では、上記熱可塑性エラストマー系樹脂として、ブタジエン系化合物10〜70重量%と、スチレン系化合物3〜30重量%と、アクリル系化合物20〜80重量%とを含む共重合成分の共重合体が用いられる。
【0017】
本発明に係る光学フィルムの製造方法の他の特定の局面では、ガラス転移温度が100〜180℃である光学フィルムを得る。
【0018】
本発明に係る光学フィルムの製造方法のさらに他の特定の局面では、厚みが10〜200μmである光学フィルムを得る。
【0019】
本発明に係る光学フィルムの製造方法の別の特定の局面では、上記光学フィルムを延伸して、延伸された光学フィルムを得る延伸工程がさらに備えられる。
【0020】
また、本発明の広い局面によれば、溶融押出法により樹脂組成物を成膜する光学フィルムの製造装置であって、溶融した樹脂組成物を押し出すための第1の押出機と、該第1の押出機により押し出された樹脂組成物を濾過する濾過フィルタ装置と、該濾過フィルタ装置により濾過された樹脂組成物を押し出して、フィルム状に成膜するための第2の押出機とを備え、上記第2の押出機は、ベント部を有するベント押出機である、光学フィルムの製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、第1の押出機により溶融した樹脂組成物を押し出し、次に第1の押出機により押し出された樹脂組成物を、濾過フィルタ装置を通過させて、濾過した後、上記濾過フィルタ装置により濾過された樹脂組成物を、ベント部を有する第2の押出機により押し出しかつフィルム状に成膜するので、外観欠点が少ない光学フィルムを得ることができる。
【0022】
本発明に係る光学フィルムの製造装置は、溶融した樹脂組成物を押し出すための第1の押出機と、該第1の押出機により押し出された樹脂組成物を濾過する濾過フィルタ装置と、該濾過フィルタ装置により濾過された樹脂組成物を押し出して、フィルム状に成膜するための第2の押出機とを備え、上記第2の押出機がベント部を有するベント押出機であるので、本発明に係る光学フィルムの製造装置の使用により、外観欠点が少ない光学フィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る光学フィルムの製造方法に用いられる光学フィルムの製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示す装置における第2の押出機の内部構造を拡大して模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0025】
従来、光学フィルムは、一般的に樹脂組成物を、流延(溶液キャスト)法、カレンダー法又は溶融押出法等により成膜することにより作製されている。なかでも、溶融押出法は、高い生産効率で光学フィルムを得ることができるので、広く用いられている。
【0026】
本発明に係る光学フィルムの製造方法でも、溶融押出法により樹脂組成物を成膜し、光学フィルムを得る。
【0027】
本発明に係る光学フィルムの製造方法は、第1の押出機により溶融した樹脂組成物を押し出す第1の押出工程と、上記第1の押出機により押し出された樹脂組成物を、濾過フィルタ装置を通過させて、濾過する濾過工程と、上記濾過フィルタ装置により濾過された樹脂組成物を、ベント部を有する第2の押出機により押し出し、かつフィルム状に成膜する第2の押出工程と、フィルム状に成膜された樹脂組成物を、冷却することにより固化させて、光学フィルムを得る冷却工程とを備える。
【0028】
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、上流側から下流側にかけて、第1の押出機、濾過フィルタ装置及びベント部を有する第2の押出機がこの順で配置された光学フィルムの製造装置が用いられる。上記第2の押出機は、ベント部を有するベント押出機である。上記光学フィルムの製造装置は、溶融押出装置である。
【0029】
さらに、本発明に係る光学フィルムの製造方法では、上記第1の押出機による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度をT1(℃)とし、上記ベント部を有する第2の押出機による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度をT2(℃)としたときに、T2を(T1−50)℃〜(T1−5)℃にする。
【0030】
また、本発明に係る光学フィルムの製造装置は、溶融押出法により樹脂組成物を成膜する光学フィルムの製造装置であって、溶融した樹脂組成物を押し出すための第1の押出機と、該第1の押出機により押し出された樹脂組成物を濾過する濾過フィルタ装置と、該濾過フィルタ装置により濾過された樹脂組成物を押し出して、フィルム状に成膜するための第2の押出機とを備える。該第2の押出機は、ベント部を有するベント押出機である。
【0031】
従来、樹脂組成物を加熱溶融させて、押出成形する際には、樹脂が熱分解し、発泡が生じることがあった。例えば、アクリル系樹脂では、250℃以上に加熱されると熱分解し、発泡が生じやすい。発泡が生じると、光学フィルムにおいて外観欠点が生じる。さらに、アクリル系樹脂が高温に晒されると、一方で、樹脂組成物に異物が含まれていたり、溶融押出成形時に生じたゲル化物を除去したりするために、押出機の先端にポリマーフィルターが取り付けられていることが多い。樹脂の熱分解を抑制するために、溶融押出温度を低くすると、樹脂組成物の粘度が上昇する。このため、ポリマーフィルターの目詰まりが生じて、樹脂組成物を濾過することが困難になったり、ポリマーフィルターに負荷がかかってポリマーフィルターが破損したりすることがある。
【0032】
従って、従来の光学フィルムの製造装置では、ポリマーフィルターにより異物又はゲル化物を除去して、かつポリマーフィルターの目詰まり及び破損を抑制し、更に樹脂の熱分解による発泡を抑制して、外観欠点が少ない光学フィルムを得ることは困難であった。
【0033】
これに対して、上流側から下流側にかけて、第1の押出機、濾過フィルタ装置及びベント部を有する第2の押出機がこの順で配置された光学フィルムの製造装置を用いることにより、上記第1の押出機により比較的高温で樹脂組成物を押し出して濾過フィルタ装置を通過させ、次に上記ベント部を有する第2の押出機により比較的低温で樹脂組成物を押し出しすることにより、また第2の押出機においてベント部により揮発分を除去することにより、外観欠点が抑制された光学フィルムを得ることができる。
【0034】
以下、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明しつつ、本発明をより明らかにする。
【0035】
図1に、本発明の一実施形態に係る光学フィルムの製造方法に用いられる光学フィルムの製造装置を示す。
【0036】
図1に示す装置1は、光学フィルムの製造装置であり、溶融押出装置である。装置1は、上流側から下流側にかけて、第1の押出機2と、濾過フィルタ装置3と、第2の押出機4とを備える。
【0037】
第1の押出機2には、上流側において、樹脂組成物を投入するためのホッパー2aが設けられている。装置1は、乾燥機11をさらに備える。乾燥機11は、押し出し前のペレット状の樹脂組成物を乾燥するために設けられている。乾燥機11により乾燥されたペレット状の樹脂組成物は、ホッパー2aから第1の押出機2内に投入される。
【0038】
第1の押出機2は、溶融した樹脂組成物を押し出すために用いられている。第1の押出機2は、濾過フィルタ装置3に接続されている。第1の押出機2内で、樹脂組成物を加熱して溶融させ、混練し、押し出す。第1の押出機2により押し出された樹脂組成物は、濾過フィルタ装置3に導かれる。濾過フィルタ装置3として、ポリマーフィルターを用いることが好ましい。
【0039】
濾過フィルタ装置3の目詰まり及び破損をより一層抑制する観点からは、上記樹脂組成物に含まれている非晶性樹脂などの樹脂のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、第1の押出機2による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度T1は、好ましくは(Tg+80)℃以上、より好ましくは(Tg+100)℃以上、好ましくは(Tg+180)℃以下、より好ましくは(Tg+160)℃以下である。上記最高温度T1は、第1の押出機2内に樹脂が導入されてから、第1の押出機2から樹脂が押し出されるまでに樹脂が到達する最高温度を示す。
【0040】
濾過フィルタ装置3は、第1の押出機2により押し出された樹脂組成物を濾過するために用いられている。第1の押出機2により押し出された樹脂組成物を、濾過フィルタ装置3を通過させ、濾過することにより、樹脂組成物に含まれている異物及びゲル化物を除去できる。濾過フィルタ装置3により濾過された樹脂組成物は、第2の押出機4に導かれる。
【0041】
第2の押出機4は、濾過フィルタ装置3により濾過された樹脂組成物を押し出すために用いられている。第2の押出機4は、ベント部4aを有する。第2の押出機4は、ベント部4aにベント孔を有する。第2の押出機4はベント押出機である。濾過フィルタ装置3は、第2の押出機4に接続されている。濾過フィルタ装置3により濾過された樹脂組成物を第2の押出機4により押し出す際に、ベント部4aから揮発分が排出され、除去される。ベント部4aにより、例えば、モノマーなどの揮発分、分解樹脂気体、残留水分及び空隙に存在していた窒素等が排出される。
【0042】
第2の押出機4の先端には、金型4bが取り付けられている。金型4bには、樹脂組成物の溶融物が導かれる。第2の押出機4内の樹脂組成物は、金型4bの開口からフィルム状に押し出され、排出され、フィルム状に成膜される。成形性をより一層高める観点からは、金型4bは、Tダイであることが好ましい。なお、金型4bの近傍には、排気ダクト12が設けられていることが好ましい。
【0043】
図2に、ベント部4aを有する第2の押出機4の内部構造を模式的に示す。
【0044】
図2に示すように、第2の押出機4は、スクリュー31を内部に有する。スクリュー31は、次第にスクリュー31の谷径が大きくなる加熱及び圧縮部31aを有する。加熱及び圧縮部31aでは、樹脂組成物が流れる内部空間が狭くなり、樹脂組成物が圧縮される。加熱及び圧縮部31aよりも下流にベント部4aが設けられている。加熱及び圧縮部31aにより予め圧縮された樹脂組成物中の揮発分を、ベント部4aにより圧力を下げて、排出することにより、外観欠点が少ない光学フィルムを得ることができる。
【0045】
樹脂組成物に含まれている樹脂の熱分解による発泡を抑制し、外観欠点により一層優れた光学フィルムを得る観点から、第1の押出機2による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度をT1(℃)とし、ベント部4aを有する第2の押出機4による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度をT2(℃)としたときに、T2は、好ましくは(T1−50)℃以上、より好ましくは(T1−30)℃以上、好ましくは(T1−5)℃以下、より好ましくは(T1−10)℃以下である。特に、T2(℃)は、(T1−50)℃〜(T1−5)℃であることが特に好ましい。上記最高温度T2は、第2の押出機4内に樹脂が導入されてから、第2の押出機4から樹脂が押し出されるまでに樹脂が到達する最高温度を示す。
【0046】
フィルム状に成膜された樹脂組成物である樹脂フィルム21は、ロール13の表面上に導かれる。ロール13は、冷却ロールである。樹脂フィルム21をロール13の表面上に供給して、挟圧することが好ましい。挟圧するためにタッチロールを用いて、該タッチロールを、ロール13に対して樹脂フィルム21を押圧するように設けてもよい。タッチロールにかえて、エアナイフ又は静電ピニング等を用いてもよい。
【0047】
冷却ロールであるロール13により冷却された樹脂フィルム21を、冷却ロール15,16により更に冷却し、固化させる。その後、一対の引取ロール17,18により樹脂フィルム21を引き取って、巻き取る。このようにして、光学フィルムを得ることができる。
【0048】
上述の装置1の使用により、外観欠点が抑制された光学フィルムを得ることができる。特に、T2(℃)を(T1−50)℃〜(T1−5)℃とすることにより、外観欠点がかなり抑制された光学フィルムを得ることができる。
【0049】
得られた光学フィルムは、延伸されることが好ましい。すなわち、上記冷却工程の後、フィルム状に成膜された光学フィルムを延伸して、延伸された光学フィルムを得る延伸工程がさらに備えられることが好ましい。延伸により、位相差フィルムに加工することができ、位相差フィルムである光学フィルムが得られる。一軸又は二軸延伸して光学フィルムに配向性を付与することにより、液晶表示装置に用いられる液晶や偏光板等の各部材を通過する際の光の歪みを補償する位相差フィルムを得ることができる。
【0050】
延伸方法は特に限定されない。延伸方法として、従来公知の延伸方法を用いることができる。上記延伸方法として、縦方向(長さ方向)に一軸延伸(縦一軸延伸)する方法、横方向(幅方向)に一軸延伸(横一軸延伸)する方法、並びにそれら両方の方向に逐次延伸(二軸延伸)する方法等が挙げられる。延伸されたフィルムの幅方向の両側の端部は、切断して、除去されることが好ましい。
【0051】
次に、光学フィルムを得るための材料及び得られる光学フィルムの詳細を説明する。
【0052】
(光学フィルムを得るための材料)
上記光学フィルムを得るための樹脂は特に限定されない。上記光学フィルムを得るための樹脂は、非晶性樹脂であることが好ましく、アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂又はマレイミド系樹脂であることがより好ましい。このような樹脂は、250℃以上の高温で熱分解し、発泡が生じやすかったり、ゲル化しやすかったりする。一方で、このような樹脂は、溶融温度が比較的低いと粘度が高くなる。このような性質を有する樹脂であっても、装置1を用いることにより、外観欠点が抑制された光学フィルムを得ることができる。
【0053】
上記樹脂組成物として、非晶性樹脂70〜95重量%と、該非晶性樹脂に対して相分離形態を呈する熱可塑性エラストマー系樹脂5〜30重量%とを含む樹脂組成物を用いることが好ましい。このような樹脂組成物では、従来の光学フィルムの製造装置では、外観欠点が少ない光学フィルムを得ることは極めて困難であった。
【0054】
これに対して、上記第1の押出機と上記濾過フィルタ装置と上記ベント部を有する第2の押出機とを備えた光学フィルムの製造装置の使用により、非晶性樹脂70〜95重量%と、該非晶性樹脂に対して相分離形態を呈する熱可塑性エラストマー系樹脂5〜30重量%とを含む樹脂組成物を用いたとしても、外観欠点が抑制された光学フィルムを得ることができる。
【0055】
[非晶性樹脂]
上記非晶性樹脂は特に限定されない。上記非晶性樹脂として、透明性、耐熱性及び液晶とのマッチング性が高く、光弾性係数が小さく光学部材として適当な特性を具備し、実質的に結晶性を有さない樹脂が好適に用いられる。このような性質を示すので、上記非晶性樹脂は、アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂又はマレイミド系樹脂であることが好ましい。上記非晶性樹脂としては、具体的には、(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリロイル基の誘導基を分子側鎖に有するアクリル系樹脂、脂環式炭化水素構造を分子主鎖又は側鎖に有する環状オレフィン系樹脂、マレイミド構造を有するマレイミド系樹脂が挙げられる。上記非晶性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0056】
上記アクリル系樹脂は、光学用途のフィルムに用いられている。上記アクリル系樹脂は、アクリル酸エステル系単量体を単独重合又は共重合させることにより得られる。上記アクリル酸エステル系単量体は、下記式(21)で表される樹脂であることが好ましい。
【0057】
CH=C(R1)COOR2・・・式(21)
上記式(21)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子を含む炭化水素基、アミン構造を含む炭化水素基及びエーテル構造を含む炭化水素基からなる群から選択される1価の基を示す。
【0058】
上記アクリル酸エステル系単量体は特に限定されない。上記アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルオリル、(メタ)アクリル酸2,3−ジブロモプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、二官能エポキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンテトラアクリレート、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、及び多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。上記アクリル系樹脂を得る際に、上記アクリル酸エステル系単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0059】
上記アクリル系樹脂を得る際に、上記アクリル酸エステル系単量体とともに、該アクリル酸エステル系単量体と共重合可能なラジカル重合性単量体を用いてもよい。例えば、極性基を有するビニル単量体を用いてもよい。上記ラジカル重合性単量体としては、無水マレイン酸及びスチレン等が挙げられる。上記ラジカル重合性単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0060】
種々の方法で架橋変性させることにより、上記アクリル系樹脂の耐摩耗性及び耐熱性を高めることができる。架橋方法は特に限定されない。架橋方法としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に架橋助剤を添加して、重合する方法等が挙げられる。
【0061】
上記架橋助剤は特に限定されない。上記架橋助剤としては、過酸化ベンゾイルなどのラジカル発生剤、並びにジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル等の多官能性モノマー等が挙げられる。上記架橋助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
上記アクリル酸エステル系単量体の含有量は、重合体全体の5〜99モル%の範囲内であることが好ましく、30〜90モル%の範囲内であることがより好ましい。
【0063】
上記アクリル系樹脂の重合方法として、公知のラジカル重合方法、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法及び乳化重合法の内のいずれも選択可能である。重合プロセス上有利であり、かつフィルムの品位を高める観点からは、溶液重合法及び塊状重合法が好ましい。
【0064】
上記環状オレフィン系樹脂の一種であるノルボルネン系樹脂は、従来、光学用材料としての使用が検討されている。上記環状オレフィン系樹脂としては、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加共重合体及びこれらの誘導体等が挙げられる。上記ノルボルネン系樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。炭素−炭素不飽和二重結合の量を少なくし、耐候性を高めるために、上記ノルボルネン系樹脂は、水素添加により飽和されていてもよい。
【0065】
上記ノルボルネン系樹脂を構成する上記ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を有するモノマーであれば特に限定されない。上記ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネン及びノルボルナジエン等の2環体、ジシクロペンタジエン及びジヒドロキシペンタジエン等の3環体、テトラシクロドデセン等の4環体、シクロペンタジエン3量体等の5環体、テトラシクロペンタジエン等の7環体、これらのメチル、エチル、プロピル及びブチル等のアルキル置換体、これらのビニル等のアルケニル置換体、これらのエチリデン等のアルキリデン置換体、これらのフェニル、トリル及びナフチル等のアリール置換体、並びにこれらのエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン基、アルコキシカルボニル基、ピリジル基、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、無水酸基、シリル基、エポキシ基、及び(メタ)アクリロイル等の炭素及び水素以外の元素を含有する極性基を有する置換体等が挙げられる。上記ノルボルネン系モノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0066】
入手が容易であり、反応性に優れ、光学フィルムの耐熱性を高めることができるので、3環体以上の多環ノルボルネン系モノマーが好ましく、3環体、4環体及び5環体のノルボルネン系モノマーがより好ましい。
【0067】
上記ノルボルネン系樹脂を構成する上記オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン及び1−ヘキサデセン等が挙げられる。共重合性が高いので、炭素数2〜10のα−オレフィン系モノマーが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0068】
上記環状オレフィン系樹脂の重合方法として、例えば、開環メタセシス重合又は付加重合等の従来公知の方法を用いることができる。
【0069】
上記マレイミド系樹脂は、従来、光学用途材料としての使用が検討されている。上記マレイミド系樹脂としては、下記構成成分(X1)と下記構成成分(X2)とを構成成分とするマレイミド−オレフィン共重合体が挙げられる。上記マレイミド系樹脂は、例えば、マレイミド類とオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。
【0070】
【化1】

【0071】
上記式(X1)中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。
【0072】
【化2】

【0073】
上記式(X2)中のR2及びR3はそれぞれ、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。上記R2及びR3は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0074】
上記構成成分(X1)を与える化合物としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ヘプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(3−メチルフェニル)マレイミド、N−(3−エチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−エチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジクロロフェニル)マレイミド、N−(2−ブロモフェニル)マレイミド、N−(パーブロモフェニル)マレイミド、N−(2,4−ジメチルフェニル)マレイミド及びパラトリルマレイミド等のN−置換マレイミド類が挙げられる。なかでも、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド又はN−シクロヘキシルマレイミドが好適である。上記構成成分(1)を与える化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0075】
上記構成成分(X2)を与える化合物としては、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、1−メチル−1−ヘプテン、1−イソオクテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−メチル−2−ペンテン及び2−メチル−2−ヘキセン等のオレフィン類が挙げられる。光学フィルムの耐熱性、機械特性及び透明性を高める観点からは、イソブテンが好ましい。上記構成成分(X2)を与える化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0076】
上記構成成分(X1)の含有量は、共重合体全体の30〜70モル%の範囲内であることが好ましく、40〜60モル%の範囲内であることがより好ましい。上記構成成分(X1)の含有量が少なすぎると、充分な耐熱性又は透明性が得られないことがある。上記構成成分(X1)の含有量が多すぎると、成形加工性が低下することがある。
【0077】
上記マレイミド系樹脂の重合方法として、公知の重合方法、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法及び乳化重合法の内のいずれも選択可能である。光学フィルムの透明性、色調をより一層高める観点からは、沈殿重合法がより好ましい。
【0078】
上記マレイミド−オレフィン共重合体は、無水マレイン酸とオレフィン類との共重合により得られた樹脂を、アンモニア又はアルキルアミンを用いて、後アミド化することによっても得られる。
【0079】
上記非晶性樹脂の光弾性係数は、2.0×10−11Pa−1以下であることが好ましい。光学フィルムを偏光子保護フィルムとして用いる場合には、偏光板の収縮応力、偏光板への貼合時の歪み、ディスプレイへの組込時の歪みによる応力等の種々の外力がかかり、光学フィルム内部に応力が発生する。高温高湿環境下では、偏光板の収縮応力は大きい。上記光弾性係数とは、下記式(31)により定義され、フィルム内部に発生した応力に対する複屈折の変化を表す値である。
【0080】
C=△n/σ・・・式(31)
C:光弾性係数(Pa−1
△n:発現複屈折
σ:フィルム内部応力(Pa)
【0081】
上記光弾性係数が小さいほど、外力による複屈折率の変化量が小さくなる。上記光弾性係数が2.0×10−11Pa−1以下であると、外力による変形により光学性能が大きく変化し難くなり、光学フィルムの用途により一層好適なフィルムを得ることができる。上記非晶性樹脂の光弾性係数は、1.0×10−11Pa−1以下であることがより好ましい。
【0082】
上記非晶性樹脂のガラス転移温度は、光学特性又は耐久性に影響を与える重要な要素である。液晶表示装置に用いられた光学フィルムが曝される熱環境を考慮すると、上記非晶性樹脂のガラス転移温度は、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。
【0083】
[熱可塑性エラストマー系樹脂]
上記熱可塑性エラストマー系樹脂として、ブタジエン系化合物とスチレン系化合物とを含む共重合成分の共重合体(以下、共重合体Aともいう)が用いられる。この共重合体の使用により、光学フィルムの耐熱性を低下させることなく、柔軟性及び強靭性を高めることができる。上記共重合体Aを構成する共重合成分は、ブタジエン系化合物及びスチレン系化合物以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。上記熱可塑性エラストマー系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0084】
上記共重合体Aとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体(SEBS)、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体等が挙げられる。
【0085】
上記共重合体Aとして、ブタジエン系化合物10〜70重量%と、スチレン系化合物3〜30重量%と、アクリル系化合物20〜80重量%とを含む共重合成分の共重合体(以下、共重合体A1ともいう)が好適に用いられる。上記共重合体A1を構成する共重合成分は、上記ブタジエン系化合物、スチレン系化合物及びアクリル系化合物をそれぞれ上記含有量で含んでいればよく、他の共重合成分を含んでいてもよい。上記共重合体A1を構成するブタジエン系化合物が10重量%以上であると、光学フィルムが脆くなるのをより一層抑制でき、70重量%以下であると、光学フィルムの耐熱性がより一層高くなる。上記共重合体A1を構成するスチレン系化合物が3重量%以上であると、加工性がより一層高くなり、30重量%以下であると、光学フィルムが脆くなるのをより一層抑制できる。上記共重合体A1を構成するアクリル系化合物が20重量%以上であると、光学フィルムの透明性をより一層高くすることができ、80重量%以下であると、光学フィルムが脆くなるのをより一層抑制できる。
【0086】
上記熱可塑性エラストマー系樹脂は、上記非晶性樹脂に対して相分離形態を呈する。上記熱可塑性エラストマー系樹脂は、非晶性樹脂と相溶せず、一定のドメイン構造を保持しながらマトリクス相である非晶性樹脂に分散していることが好ましい。上記非晶性樹脂と上記熱可塑性エラストマー系樹脂との溶融混練の後に、上記非晶性樹脂が連続相としてマトリクスを構成し、上記熱可塑性エラストマー系樹脂が連続相中に島構造を形成してドメインを構成し、上記熱可塑性エラストマー系樹脂が不連続相としてマトリクス中に分散していることが好ましい。
【0087】
上記非晶性樹脂のマトリクス相に分散している上記熱可塑性エラストマー系樹脂のドメインサイズとしては、ドメイン長軸方向サイズをドメイン短軸サイズで除したアスペクト比が1〜50であることが好ましく、ドメイン長軸サイズが0.1〜5μmであることが好ましい。上記アスペクト比が50以下であると、分子配向の主軸方向への引裂伝播抵抗性がより一層高くなり、フィルム搬送時に切断が生じ難くなり、分子配向主軸に沿ってフィルムが座屈し難くなる。上記ドメイン長軸サイズが0.1μm以上であると、正面レターデーションR0及び厚みレターデーションRthが所望の範囲になりやすく、加熱下での耐久性がより一層高くなる。上記ドメイン長軸サイズが5μmを超えると、透明性が低下しやすくなる。
【0088】
上記非晶性樹脂のマトリクス相に分散している上記熱可塑性エラストマー系樹脂のドメイン分散状態を評価する際には、上記光学フィルムを四酸化ルテニウム等により染色する。次に、ミクロトームを用いて、押出成形時の長手方向と幅方向に約0.05μmの厚さに光学フィルムを切断する。透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−1200EXII)を用いて、切断された光学フィルムの断面を観察する。80μm×100μmの断面積において、上記熱可塑性エラストマー系樹脂のドメインの平均分散径及びアスペクト比を測定する。
【0089】
上記非晶性樹脂と上記熱可塑性エラストマー系樹脂との屈折率の差は、0.2以下であることが好ましい。上記屈折率の差が0.2以下であると、光学フィルムの透明性又は残留位相差等をより一層良好にできり、光学的な歪み等をより一層生じ難くなる。上記屈折率の差のより好ましい上限は0.1、より好ましい上限は0.05、更に好ましい上限は0.03である。
【0090】
[他の成分]
上記樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、フェノール系及びリン系などの酸化防止剤、アミン系などの帯電防止剤、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールの部分エステル、高級脂肪酸及びこれらのアミドなどの滑剤、並びにベンゾフェノン系及びベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤等を添加してもよい。
【0091】
上記酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)及びトリス(ジ−ノニルフェニルホスファイト)等が挙げられる。上記紫外線吸収剤の具体例としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン及び2−(2’−ジヒドロキシ−4’−m−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。上記滑剤の具体例としては、パラフィンフェノス及び硬化油等が挙げられる。上記帯電防止剤の具体例としては、ステアロアジトプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムトレート等が挙げられる。
【0092】
(光学フィルム)
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、ガラス転移温度が100〜180℃である光学フィルムを得ることが好ましい。本発明に係る光学フィルムの製造方法では、ガラス転移温度が100〜180℃である光学フィルムを容易に得ることができる。特に、上記非晶性樹脂として、アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂及びマレイミド系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を用い、かつ上記熱可塑性エラストマー系樹脂として、上記共重合体A1を用いた場合には、ガラス転移温度が100〜180℃である光学フィルムをより一層容易に得ることができる。得られる光学フィルムのガラス転移温度が100〜180℃であると、光学フィルムの高温条件下での耐久性、耐熱安定性をより一層高めることができる。
【0093】
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、下記式(11)で定義される正面レターデーションR0(nm)が5以下であり、かつ下記式(12)で定義される厚み方向レターデーションRth(nm)が−5以上5以下である光学フィルムを得ることが好ましい。本発明に係る光学フィルムの製造方法では、上記R0(nm)が5以下であり、かつ上記Rth(nm)が−5以上5以下である光学フィルムを容易に得ることができる。
【0094】
R0 (nm)=(nx−ny)×d・・・式(11)
Rth(nm)=((nx+ny)/2−nz)×d・・・式(12)
nx:フィルム面内の最大屈折率
ny:フィルム面内のnx方向と直交する方向の屈折率
nz:nx及びnyの屈折率方向と直交するフィルム厚み方向の屈折率
d:光学フィルムの平均厚み(nm)
【0095】
上記R0(nm)が5以下であり、かつ上記Rth(nm)が−5以上5以下であると、光学フィルムは充分な光学的特性を有し、液晶ディスプレイ(LCD)の表示品質向上に寄与する。従って、光学フィルムを偏光子保護フィルムとして好適に用いることができる。上記R0(nm)は2nm以下であることがより好ましい。上記Rth(nm)は、−3以上3以下であることがより好ましい。
【0096】
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、ヘイズ値が10%以下である光学フィルムを得ることが好ましい。本発明に係る光学フィルムの製造方法では、ヘイズ値が10%以下である光学フィルムを容易に得ることができる。上記ヘイズ値の好ましい上限は8%、より好ましい上限は7%、更に好ましい上限は6%である。上記ヘイズ値が低いほど、光学フィルムの透明性に優れている。上記ヘイズ値が高すぎると、光学フィルムを偏光子保護フィルム等として用いた場合に、光洩れ等が生じやすくなる傾向がある。
【0097】
得られる光学フィルムの平均厚みは特に制限されない。光学フィルムの平均厚みは10〜100μmの範囲内であることが好ましい。光学フィルムの平均厚みのより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は80μmである。光学フィルムの平均厚みが上記好ましい範囲内にあると、所定の複屈折発現性を損わず、かつ一定の機械的強度を有し、さらに液晶表示装置へ積層される際に重視される部材の軽量化を進めることができる。
【0098】
光学フィルムの表面には、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射及び各種薬品処理等の表面活性処理を施してもよい。さらに、光学フィルムの表面に、塗布加工又は蒸着による各種の機能コーティング、ラミネート等を行うことにより諸性能を付加し、利用価値を更に高めることもできる。例えば、光学特性を損なわない範囲で、偏光板又は偏光子との貼り合わせ性を高める目的で、表面の水の接触化度が40〜50度程度になるように、光学フィルムをコロナ放電処理してもよい。
【0099】
上記光学フィルムは、偏光子保護フィルムとして好適に用いられ、偏光板を得るためにより好適に用いられる。該偏光板は、偏光子と上記光学フィルムとを備える。接着剤層を介して、上記偏光子が上記光学フィルムに接着されていることが好ましい。上記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂により形成されていることが好ましい。上記接着剤層は、ポリビニルアルコール系樹脂により形成されていることが好ましい。偏光板は、最外層に、粘着剤層をさらに備えることが好ましい。
【0100】
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0101】
(実施例1)
(1)ペレットの作製
メチルメタクリレート−スチレン−マレイン酸共重合体(メチルメタクリレート成分の含有量55モル%、スチレン成分の含有量30モル%、マレイン酸成分の含有量15モル%、ガラス転移温度Tg:120℃)85重量%と、ブタジエン−スチレン−メチルメタクリレート−アクリロニトリル共重合体(ブタジエン系化合物としてのブタジエン成分の含有量35重量%、スチレン系化合物としてのスチレン成分の含有量10重量%、アクリル化合物としてのメチルメタクリレート成分の含有量50重量%、アクリロニトリル成分の含有量5重量%)15重量%とを、二軸押出機を用いて混合して、樹脂組成物としてのペレットを作製した。
【0102】
(2)溶融押出成形による偏光子保護フィルムの作製
図1に示す装置1を用いて、以下のようにして、偏光子保護フィルムを作製した。
【0103】
第1の押出機2(口径φ50mmの単軸押出機)にペレットを投入し、第1の押出機2内でペレットを溶融させ、第1の押出機2から溶融した樹脂組成物を押し出した。第1の押出機2により押し出された樹脂組成物を、濾過フィルタ装置3(濾過精度5μmのディスク型金属焼結フィルタ)を通過させて、濾過した。該濾過フィルタ装置3により濾過された樹脂組成物を、ベント部4aを有する第2の押出機4(口径φ50mmの単軸押出機)により押し出し、かつフィルム状に成膜した。このとき、ベント部4aから揮発分を除去した。さらに、フィルム状に成膜された樹脂組成物を、冷却ロール13で引き取り、冷却することにより固化させて、偏光子保護フィルムを得た。
【0104】
上記光学フィルムの製造工程において、第1の押出機2による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度T1は、250℃とした。ベント部4aを有する第2の押出機4による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度T2(℃)は、230℃とした。冷却ロール13の表面温度は120℃とした。偏光子保護フィルムの有効幅は600mmとした。
【0105】
冷却ロール13として、外径が200mm、有効幅が900mm及び材質がS45Cであり、表面がHCrメッキ仕上げされており、熱媒体循環加熱方式の温度調節機構(オイルを熱媒体として用いる)が備えられた冷却ロールを用いた。
【0106】
(3)偏光板の作製
重合度2400及び鹸化度99%のポリビニルアルコール(PVA)により形成された厚さ75μmの未延伸PVAフィルムを用意した。この未延伸PVAフィルムを室温の水で洗浄した後、5倍の延伸倍率で縦一軸延伸し、延伸PVAフィルムを得た。
【0107】
得られた延伸PVAフィルムの緊張状態を保持したまま、染色浴(ヨウ素0.5重量%とヨウ化カリウム5重量%を含有する水溶液)に浸漬し、延伸PVAフィルムに二色性色素を吸着させた。その後、架橋浴(ホウ酸10重量%とヨウ化カリウム10重量%を含有する水溶液)で、50℃で5分間架橋処理を行い、70℃で5分間乾燥し、水分率が8重量%である膜状の偏光子を作製した。
【0108】
得られた偏光子保護フィルムの片面にコロナ放電処理を施した。2液混合型水性ウレタン系接着剤(東洋モートン社製:EL−436A/B)のA剤/B剤を10/3(重量比)で混合し、固形分10重量%となるように水で希釈し、接着剤溶液を調製した。メイヤーバー#8を用いて、上記偏光子保護フィルムのコロナ放電処理面に、得られた接着剤溶液を塗布し、偏光子保護フィルムの片面に接着剤層を形成した。接着剤層が片面に形成された偏光子保護フィルムを接着剤層側から、上記偏光子の両面に貼り付けて、サンドイッチ状の積層体を得た。この積層体を45℃の恒温槽中で72時間保管し、乾燥し、養生して、偏光板を作製した。
【0109】
(実施例2)
メチルメタクリレート−スチレン−マレイン酸共重合体(メチルメタクリレート成分の含有量55モル%、スチレン成分の含有量30モル%、マレイン酸成分の含有量15モル%、Tg:120℃)75重量%と、ブタジエン−スチレン−メチルメタクリレート−アクリロニトリル共重合体(ブタジエン成分の含有量20重量%、スチレン成分の含有量10重量%、メチルメタクリレート成分の含有量65重量%、アクリロニトリル成分の含有量5重量%)25重量%とを、二軸押出機を用いて混合して、樹脂組成物としてのペレットを作製した。
【0110】
得られたペレットを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子保護フィルム及び偏光板を作製した。
【0111】
(実施例3)
第1の押出機2による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度T1を、240℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、偏光子保護フィルムを得た。
【0112】
(実施例4)
第1の押出機2による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度T1を、260℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、偏光子保護フィルムを得た。
【0113】
(実施例5)
ベント部4aを有する第2の押出機4による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度T2(℃)を、220℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、偏光子保護フィルムを得た。
【0114】
(実施例6)
ベント部4aを有する第2の押出機4による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度T2(℃)を、240℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、偏光子保護フィルムを得た。
【0115】
(比較例1)
第2の押出機4を用いずに、濾過フィルタ装置3により濾過された樹脂組成物を金型に直接導いて押し出したこと以外は実施例1と同様にして、偏光子保護フィルムを得た。比較例1では、ベント部により揮発分を除去しなかった。
【0116】
(比較例2)
第2の押出機4を用いずに、濾過フィルタ装置3により濾過された樹脂組成物を金型に直接導いて押し出したこと、並びに第1の押出機2による押し出し時の上記樹脂組成物の最高温度T1を、220℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、偏光子保護フィルムを得ようと試みた。
【0117】
その結果、濾過フィルタ装置3を通過する際の樹脂組成物の温度が低すぎて、押し出し時に濾過フィルタ装置3に目詰まりが生じ、更に長期間押し出しを続けると、濾過フィルタ装置3が破損した。従って、比較例2に関しては、後述の評価を行わなかった。
【0118】
(比較例3)
濾過フィルタ装置3を用いずに、第1の押出機2により押し出した樹脂組成物を第2の押出機4に直接導いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子保護フィルムを得た。
【0119】
(評価)
(1)ガラス転移温度Tg
示差走査熱量計(TA Instruments社製「DSC2920 Modulated DSC」)を用いて、以下の温度プログラム条件において、得られた偏光子保護フィルムの最終昇温時のガラス転移温度を測定した。
【0120】
温度プログラム条件:
室温から50℃まで10℃/分で昇温し、50℃で5分間保持する。次に、50℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で5分間保持する。次に、200℃から−50℃まで10℃/分で降温し、−50℃で5分間保持する。次に、−50℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で5分間保持する。
【0121】
(2)外観欠点
実施例及び比較例で得られた偏光子保護フィルム(原反フィルム)を連続的に巻き出して、テンター延伸機を用いて、延伸倍率2.0倍で幅方向に一軸延伸して、延伸された光学フィルムを得た。
【0122】
延伸された光学フィルムを0.1mの面積に切断し、クロスニコルの状態にした偏光板に挟み、サンプルを得た。得られたサンプルを、机上照度1000ルクスの作業台上に置いて、反射光及び透過光を利用して、100μm以上の大きさの点状欠点の数を目視にてカウントした。
【0123】
結果を下記の表1に示す。
【0124】
【表1】

【符号の説明】
【0125】
1…装置
2…第1の押出機
2a…ホッパー
3…濾過フィルタ装置
4…第2の押出機
4a…ベント部
4b…金型
11…乾燥機
12…排気ダクト
13…ロール
15,16…冷却ロール
21…樹脂フィルム
31…スクリュー
31a…加熱及び圧縮部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融押出法により樹脂組成物を成膜する光学フィルムの製造方法であって、
第1の押出機により溶融した樹脂組成物を押し出す第1の押出工程と、
前記第1の押出機により押し出された樹脂組成物を、濾過フィルタ装置を通過させて、濾過する濾過工程と、
前記濾過フィルタ装置により濾過された樹脂組成物を、ベント部を有する第2の押出機により押し出し、かつフィルム状に成膜する第2の押出工程と、
フィルム状に成膜された樹脂組成物を、冷却することにより固化させて、光学フィルムを得る冷却工程とを備え、
前記第1の押出機による押し出し時の前記樹脂組成物の最高温度をT1(℃)とし、前記ベント部を有する第2の押出機による押し出し時の前記樹脂組成物の最高温度をT2(℃)としたときに、T2を(T1−50)℃〜(T1−5)℃にする、光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂組成物として、非晶性樹脂70〜95重量%と、該非晶性樹脂に対して相分離形態を呈する熱可塑性エラストマー系樹脂5〜30重量%とを含む樹脂組成物を用いる、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記非晶性樹脂として、アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂又はマレイミド系樹脂を用いる、請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性エラストマー系樹脂として、ブタジエン系化合物とスチレン系化合物とを含む共重合成分の共重合体を用いる、請求項2又は3に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記熱可塑性エラストマー系樹脂として、ブタジエン系化合物10〜70重量%と、スチレン系化合物3〜30重量%と、アクリル系化合物20〜80重量%とを含む共重合成分の共重合体を用いる、請求項4に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項6】
ガラス転移温度が100〜180℃である光学フィルムを得る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
厚みが10〜200μmである光学フィルムを得る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記光学フィルムを延伸し、延伸された光学フィルムを得る延伸工程をさらに備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項9】
溶融押出法により樹脂組成物を成膜する光学フィルムの製造装置であって、
溶融した樹脂組成物を押し出すための第1の押出機と、
前記第1の押出機により押し出された樹脂組成物を濾過する濾過フィルタ装置と、
前記濾過フィルタ装置により濾過された樹脂組成物を押し出して、かつフィルム状に成膜するための第2の押出機とを備え、
前記第2の押出機が、ベント部を有するベント押出機である、光学フィルムの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−159752(P2012−159752A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20312(P2011−20312)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】