説明

光学材料用樹脂組成物、光学材料用樹脂フィルム、及びこれらを用いた光導波路

【課題】透明性、硬化性、及び耐熱性に優れた光学材料用樹脂組成物、該光学材料用樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルム、並びにこれらを用いた透明性、信頼性、及び耐熱性に優れた光導波路を提供すること。
【解決手段】(A)特定の(メタ)アクリル基を繰り返し単位として有し、かつ、側鎖にウレタン結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位及び/又は側鎖にアミド結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を含有するアクリルポリマー及び/又はメタクリルポリマー、(B)重合性化合物、並びに(C)重合開始剤を含む光学材料用樹脂組成物、該光学材料用樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルム、並びにこれらを用いた光導波路である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料用樹脂組成物、光学材料用樹脂フィルム、及びこれらを用いた光導波路に関し、特に、透明性、硬化性、及び耐熱性に優れた光学材料用樹脂組成物、該樹脂組成物を含む光導波路形成用樹脂組成物、該光学材料用樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルム、及びこれらを用いた透明性、信頼性、及び耐熱性に優れた光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子素子間や配線基板間の高速・高密度信号伝送において、従来の電気配線による伝送では、信号の相互干渉や減衰が障壁となり、高速・高密度化の限界が見え始めている。これを打ち破るため電子素子間や配線基板間を光で接続する技術、いわゆる光インタコネクションが検討されている。光の伝送路として加工の容易さ、低コスト、配線の自由度が高く、かつ高密度化が可能な点からポリマー光導波路が注目を集めている。
ポリマー光導波路の形態として、光電気混載基板への適用を想定したガラスエポキシ樹脂基板上に作製するタイプや、ボード同士の接続を想定した硬い支持基板を持たないフレキシブルタイプが好適と考えられる。
【0003】
ポリマー光導波路には、適用される機器の使用環境や部品実装などの観点から、透明性(低光伝搬損失)と共に耐熱性も要求されるが、このような光導波路材として、(メタ)アクリル重合体(例えば、特許文献1〜3参照)が知られている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の(メタ)アクリル重合体は波長850nmにおいて透明性を有するものの、信頼性の評価、例えば、高温高湿放置試験や温度サイクル試験後の光伝搬損失などの具体的な試験結果に関する記述はなく、明らかではない。同様に、耐熱性の評価、例えば、はんだリフロー試験後の光伝搬損失などの具体的な試験結果に関する記述もなく、明らかではない。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−81301号公報
【特許文献2】特開平06−258537号公報
【特許文献3】特開2003−195079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、透明性、硬化性、及び耐熱性に優れた光学材料用樹脂組成物、該光学材料用樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルム、並びにこれらを用いた透明性、信頼性、及び耐熱性に優れた光導波路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、(A)特定の繰り返し単位を有する(メタ)アクリルポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)重合開始剤を含む光学材料用樹脂組成物、又は該光学材料用樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルムを用いて光導波路を製造することにより、上記問題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有し、かつ、下記一般式(2)で表される側鎖にウレタン結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位及び/又は下記一般式(3)で表される側鎖にアミド結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を含有する(メタ)アクリルポリマー、(B)重合性化合物、並びに(C)重合開始剤を含む光学材料用樹脂組成物
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜20の有機基を示す。)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す。X1及びX2はそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基を示す。)
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す。X3及びX4はそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基を示す。)、該光学材料用樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルム、下部クラッド層、コア部、及び上部クラッド層の少なくとも1つを該光学材料用樹脂組成物、又は該光学材料用樹脂フィルムを用いて形成した光導波路を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光学材料用樹脂組成物、及び該光学材料用樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルムは、透明性、硬化性、及び耐熱性に優れており、これらを用いて製造した光導波路は透明性、信頼性、及び耐熱性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、(A)特定の繰り返し単位を有する(メタ)アクリルポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)重合開始剤を含み、活性光線の照射によって、又は加熱によって硬化する樹脂組成物であることが好ましい。
【0015】
以下、本発明に用いられる(A)成分について説明する。
本発明の(A)成分における(メタ)アクリルポリマーとは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、及びこれらの誘導体を単量体とし、これを重合してなるポリマーをいう。該(メタ)アクリルポリマーは、上記単量体の単独重合体であってもよいし、また、これらのモノマーの2種以上を重合させた共重合体であってもよい。さらには、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記のモノマーと、上記以外のモノマーとを含む共重合体であってもよい。また、複数の(メタ)アクリルポリマーの混合物であってもよい。
本発明の(A)成分は、少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する。
【0016】
【化4】

【0017】
式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜20の有機基を示す。炭素数1〜20の有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボニル基、エステル基、カルバモイル基などの1価の有機基が挙げられ、それらは、さらに、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボニル基、ホルミル基、エステル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、シリル基、シリロキシ基などで置換されていてもよい。
【0018】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(1)で表される繰り返し単位の原料となる化合物としては、特に制限はなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリル酸エステル;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリル酸エステル;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−カルバゾールなどの複素環式(メタ)アクリル酸エステル、これらのカプロラクトン変性体などが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び耐熱性の観点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリル酸エステル;上記脂環式(メタ)アクリル酸エステル;上記芳香族(メタ)アクリル酸エステル;上記複素環式(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(1)で表される繰り返し単位の含有率は20〜99モル%であることが好ましい。20モル%以上であると、得られる硬化物が脆くなることがなく、99モル%以下であると、硬化性、得られる硬化物の強度、及び耐熱性が十分である。以上の観点から、一般式(1)で表される繰り返し単位の含有率は25〜90モル%がさらに好ましく、30〜80モル%であることが特に好ましい。
【0020】
また、(A)成分の(メタ)アクリルポリマーは、下記一般式(2)で表される側鎖にウレタン結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位、及び下記一般式(3)で表される側鎖にアミド結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位の少なくとも一方を有することを特徴とする。すなわち、一般式(2)で表される繰り返し単位と一般式(3)で表される繰り返し単位のいずれか一方を有するか又は両者を有する。
【0021】
【化5】

【0022】
式中、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示し、X1及びX2はそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基を示す。
【0023】
【化6】

【0024】
式中、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示し、X3及びX4はそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基を示す。
なお、一般式(3)で表わされる繰り返し単位は、アミド結合を介してエチレン性不飽和基が結合されていることを要するため、アミド基と結合する有機基X4は、炭素を介して結合するものに限られる。
【0025】
一般式(2)及び(3)における有機基(R3〜R6)としては、前述のR2の説明において示した炭素数1〜20の有機基と同様である。
【0026】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(2)で表される側鎖にウレタン結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位の導入方法としては、特に制限はなく、例えば、エチレン性不飽和イソシアネートなどを共重合させた後に、エチレン性不飽和アルコール、エチレン性不飽和フェノールなどを付加反応させる方法などが挙げられる。
【0027】
エチレン性不飽和イソシアネートとしては、特に制限はなく、例えば、N−(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシメチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
エチレン性不飽和アルコールとしては、特に制限はなく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
エチレン性不飽和フェノールとしては、特に制限はなく、例えば、o−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール、p−ビニルフェノール、o−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、m−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、o−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、m−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(2)で表される側鎖にウレタン結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を含有する場合、その含有率は1〜80モル%であることが好ましい。1モル%以上であると、硬化性及び得られる硬化物の強度が十分で、80モル%以下であると、得られる硬化物が脆くなることがない。以上の観点から、一般式(2)で表される繰り返し単位の含有率は、3〜60モル%がさらに好ましく、5〜40モル%であることが特に好ましい。
【0031】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(3)で表される側鎖にアミド結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位の導入方法としては、特に制限はなく、例えば、前記エチレン性不飽和イソシアネートなどを共重合させた後に、エチレン性不飽和カルボン酸などを付加反応させる方法などが挙げられる。
【0032】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、特に制限はなく、例えば、((メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)スクシネート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)テレフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロイソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロテレフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、o−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、p−ビニル安息香酸などが挙げられる。
これらの中でも、透明性、耐熱性、及び反応性の観点から、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタレートであることが好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(3)で表される側鎖にアミド結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を有する場合、その含有率は1〜80モル%であることが好ましい。1モル%以上であると、硬化性及び得られる硬化物の強度が十分で、80モル%以下であると、得られる硬化物が脆くなることがない。以上の観点から、一般式(3)で表される繰り返し単位の含有率は、3〜60モル%がさらに好ましく、5〜40モル%であることが特に好ましい。
【0034】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーは、耐熱性の観点から、必要に応じてさらに下記一般式(4)で表されるマレイミド骨格を有する構造単位を有していてもよい。
【0035】
【化7】

【0036】
式中、R7は水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す。なお、R7における有機基としては、前述のR2の説明において示した炭素数1〜20の有機基と同様である。
【0037】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(4)で表されるマレイミド骨格を有する繰り返し単位の原料となる化合物としては、特に制限はなく、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−2,2−ジメチルプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−sec-ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−2−ペンチルマレイミド、N−3−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヘキシルマレイミド、N−2−エチルヘキシルマレイミド、N−ヘプチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ノニルマレイミド、N−デシルマレイミドなどのアルキルマレイミド;N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−エチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−クロロシクロヘキシルマレイミドなどのシクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミドなどのアリールマレイミドなどが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び耐熱性の観点から、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−sec-ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミドなどのアルキルマレイミド;上記シクロアルキルマレイミド;上記アリールマレイミドを用いることが好ましく、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドであることがさらに好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(4)で表されるマレイミド骨格を有する繰り返し単位を有する場合、その含有率は1〜70モル%であることが好ましい。1モル%以上であると、マレイミド骨格に由来する耐熱性が得られ、70モル%以下であると、透明性が十分で、得られる硬化物が脆くなることがない。以上の観点から、一般式(4)で表される繰り返し単位の含有率は、3〜60モル%がさらに好ましく、5〜50モル%であることが特に好ましい。
【0039】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーは、アルカリ性現像液による現像性の観点から、必要に応じて下記一般式(5)で表される構造単位を有していてもよい。
【0040】
【化8】

【0041】
式中、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示し、X5は単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基を示す。
【0042】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(5)で表される繰り返し単位の導入方法としては、特に制限はなく、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸などのカルボキシル基を保護した化合物を共重合させた後に、一般式(2)及び/又は(3)で表される側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を導入し、次いで、カルボキシル基の保護基を脱保護する方法などが挙げられる。
該エチレン性不飽和カルボン酸としては、特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)スクシネート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)テレフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロイソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロテレフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などが挙げられる。
【0043】
これらの中でも、透明性及びアルカリ性現像液による現像性の観点から(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)スクシネート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロイソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロテレフタレートであることが好ましい。
【0044】
また、前記カルボキシル基の保護基としては、特に制限はなく、例えば、t−ブチル基、シリル基などが挙げられる。
また、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸を原料として用いて、共重合し、一般式(2)及び/又は(3)で表される側鎖にエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を導入後にメタノール、エタノール、プロパノールなどの適当なアルコールによって開環し、一般式(5)で表される構造単位に変換してもよい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーにおいて、一般式(5)で表される繰り返し単位を有する場合、その含有率は3〜60モル%であることが好ましい。3モル%以上であると、アルカリ性現像液による現像が容易であり、一方、60モル%以下であると、耐現像液性(現像により除去されずにパターンとなる部分が、現像液によって侵されない性質)が良好である。以上の観点から、一般式(5)で表される繰り返し単位の含有率は、5〜50モル%がさらに好ましく、7〜40モル%であることが特に好ましい。
【0046】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーは、必要に応じてさらに一般式(1)〜(5)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。
このような繰り返し単位の原料となるエチレン性不飽和基を有する化合物としては、特に制限はなく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α,2−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルベンジルエーテル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び耐熱性の観点からスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α,2−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビニルカルバゾールであることが好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーは、その合成方法に特に制限はなく、例えば、一般式(1)〜(3)で表される繰り返し単位の原料となる化合物、必要に応じてさらに一般式(4)及び(5)で表される繰り返し単位の原料となる化合物、及び一般式(1)〜(5)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位の原料となる化合物と、適切な熱ラジカル重合開始剤を用いて、加熱しながら共重合させることにより得ることができる。このとき、必要に応じて有機溶剤を反応溶媒として用いることができる。また、必要に応じて適切な連鎖移動剤などと組み合わせて用いることもできる。
【0048】
熱ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシドなどのヒドロパーオキシド;α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどのジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネートなどのパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。
【0049】
反応溶媒として用いる有機溶剤としては、(A)成分の(メタ)アクリルポリマーを溶解しえるものであれば、特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテルなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量は、1,000〜3,000,000であることが好ましい。1,000以上であると、分子量が大きいため樹脂組成物とした場合の硬化物の強度が十分で、3,000,000以下であると、現像液に対する溶解性や(B)重合性化合物との相溶性が良好である。以上の観点から、(A)成分の(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量は、3,000〜2,000,000とすることがさらに好ましく、5,000〜1,000,000であることが特に好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算した値である。
【0051】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーは、一般式(5)で表される繰り返し単位を有する場合、アルカリ性現像液により現像可能となるように酸価を規定することができる。例えば、現像液としてアルカリ性水溶液を用いる場合、酸価が20〜300mgKOH/gであることが好ましい。20mgKOH/g以上であると、現像が容易であり、一方、300mgKOH/g以下であると、耐現像液性が低下することがない。以上の観点から、酸価は30〜250mgKOH/gであることがさらに好ましく、40〜200mgKOH/gであることが特に好ましい。
現像液としてアルカリ性水溶液と1種以上の有機溶剤からなるアルカリ性水系現像液を用いる場合は、酸価が10〜260mgKOH/gであることが好ましい。酸価が10mgKOH/g以上であると、現像が容易で、260mgKOH/g以下であると、耐現像液性が低下することがない。以上の観点から、酸価は20〜250mgKOH/gであることがさらに好ましく、30〜200mgKOH/gであることが特に好ましい。
【0052】
(A)成分の(メタ)アクリルポリマーの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して、10〜85質量%であることが好ましい。10質量%以上であると、光学材料用樹脂組成物の硬化物の強度や可撓性が十分で、85質量%以下であると、硬化時に(B)成分によって絡め込まれて容易に硬化し、耐現像液性が不足することがない。以上の観点から、(メタ)アクリルポリマーの配合量は、20〜80質量%であることがさらに好ましく、25〜75質量%であることが特に好ましい。
【0053】
以下、本発明に用いられる(B)成分について説明する。
(B)成分の重合性化合物としては、特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルアミド、アリール化ビニル、ビニルピリジン、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデンなどのエチレン性不飽和基などの重合性置換基を有する化合物が挙げられる。
これらの中でも、透明性及び耐熱性の観点から、(メタ)アクリレートやアリール化ビニルが好適に挙げられる。
(メタ)アクリレートとしては、単官能のもの、2官能のもの又は3官能以上の多官能のもののいずれも用いることができる。
【0054】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)スクシネートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヘキサヒドロフタレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−カルバゾールなどの複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体などが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び耐熱性の観点から、上記脂環式(メタ)アクリレート;上記芳香族(メタ)アクリレート;上記複素環式(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0055】
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;ネオペンチルグリコール型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;レゾルシノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAF型エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び耐熱性の観点から、上記脂環式(メタ)アクリレート;上記芳香族(メタ)アクリレート;上記複素環式(メタ)アクリレート;上記脂環式エポキシ(メタ)アクリレート;上記芳香族エポキシ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0056】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとして、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び耐熱性の観点から、複素環式(メタ)アクリレート;芳香族エポキシ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
これらの化合物は、単独又は2種類以上組み合わせて用いることができ、さらにその他の重合性化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0057】
前記(メタ)アクリレート以外に好ましい(B)成分の重合性化合物として、(A)成分の(メタ)アクリル共重合体との相溶性の観点から、分子内に環状エーテル基を有する化合物も挙げられる。
環状エーテル基として、特に制限はないが、例えば、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
【0058】
分子内にエポキシ基を有する化合物としては、特に制限はなく、例えば、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂などの2官能フェノールグリシジルエーテル型;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添2,2’−ビフェノール型エポキシ樹脂、水添4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂などの水添2官能フェノールグリシジルエーテル型;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−クレゾール型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂などの3官能以上の多官能フェノールグリシジルエーテル型;ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂などの2官能脂肪族アルコールグリシジルエーテル型;シクロヘキサンジオール型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリシクロデカンジメタノール型エポキシ樹脂などの2官能脂環式アルコールグリシジルエーテル型;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、ソルビトール型エポキシ樹脂、グリセリン型エポキシ樹脂などの3官能以上の多官能脂肪族アルコールグリシジルエーテル型;フタル酸ジグリシジルエステルなどの2官能芳香族グリシジルエステル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルなどの2官能脂環式グリシジルエステル;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトリフルオロメチルアニリンなどの2官能芳香族グリシジルアミン;N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,o−トリグリシジル−p−アミノフェノールなどの3官能以上の多官能芳香族グリシジルアミン;アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシドなどの2官能脂環式エポキシ樹脂;2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加体などの3官能以上の多官能脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレートなどの3官能以上の多官能複素環式エポキシ樹脂;オルガノポリシロキサン型エポキシ樹脂などのケイ素含有2官能又は3官能以上の多官能エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び耐熱性の観点から、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂などの2官能フェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;上記各種の水添2官能フェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;上記各種の多官能フェノールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;上記各種の2官能脂環式アルコールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;上記2官能芳香族グリシジルエステル;上記2官能脂環式グリシジルエステル;上記2官能脂環式エポキシ樹脂;上記3官能以上の多官能脂環式エポキシ樹脂;上記3官能以上の多官能複素環式エポキシ樹脂;上記ケイ素含有2官能又は3官能以上の多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0059】
分子内にオキセタニル基を有する化合物としては、特に制限はなく、例えば、ヒドロキノン型オキセタン樹脂、レゾルシノール型オキセタン樹脂、カテコール型オキセタン樹脂、ビスフェノールA型オキセタン樹脂、テトラブロモビスフェノールA型オキセタン樹脂、ビスフェノールF型オキセタン樹脂、ビスフェノールAF型オキセタン樹脂、ビスフェノールAD型オキセタン樹脂、ビフェニル型オキセタン樹脂、ナフタレン型オキセタン樹脂、フルオレン型オキセタン樹脂などの2官能フェノールオキセタニルエーテル型;水添ビスフェノールA型オキセタン樹脂、水添ビスフェノールF型オキセタン樹脂、水添2,2’−ビフェノール型オキセタン樹脂、水添4,4’−ビフェノール型オキセタン樹脂などの水添2官能フェノールオキセタニルエーテル型;フェノールノボラック型オキセタン樹脂、クレゾールノボラック型オキセタン樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール型オキセタン樹脂、ジシクロペンタジエン−クレゾール型オキセタン樹脂、テトラフェニロールエタン型オキセタン樹脂などの3官能以上の多官能フェノールオキセタニルエーテル型;ポリエチレングリコール型オキセタン樹脂、ポリプロピレングリコール型オキセタン樹脂、ネオペンチルグリコール型オキセタン樹脂、1,6−ヘキサンジオール型オキセタン樹脂などの2官能脂肪族アルコールオキセタニルエーテル型;シクロヘキサンジオール型オキセタン樹脂、シクロヘキサンジメタノール型オキセタン樹脂、トリシクロデカンジメタノール型オキセタン樹脂などの2官能脂環式アルコールオキセタニルエーテル型;トリメチロールプロパン型オキセタン樹脂、ソルビトール型オキセタン樹脂、グリセリン型オキセタン樹脂などの3官能以上の多官能脂肪族アルコールオキセタニルエーテル型;フタル酸ジオキセタニルエステルなどの2官能芳香族オキセタニルエステル;テトラヒドロフタル酸ジオキセタニルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジオキセタニルエステルなどの2官能脂環式オキセタニルエステル;N,N−ジオキセタニルアニリン、N,N−ジオキセタニルトリフルオロメチルアニリンなどの2官能芳香族オキセタニルアミン;N,N,N’,N’−テトラオキセタニル−4,4−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビス(N,N−オキセタニルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,o−トリグリシジル−p−アミノフェノールなどの3官能以上の多官能芳香族オキセタニルアミン;トリオキセタニルイソシアヌレートなどの3官能以上の多官能複素環式オキセタン樹脂;オルガノポリシロキサン型オキセタニル樹脂などのケイ素含有2官能又は3官能以上の多官能オキセタン樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、透明性及び耐熱性の観点から、ヒドロキノン型オキセタン樹脂、レゾルシノール型オキセタン樹脂、カテコール型オキセタン樹脂、ビスフェノールA型オキセタン樹脂、ビスフェノールF型オキセタン樹脂、ビスフェノールAF型オキセタン樹脂、ビスフェノールAD型オキセタン樹脂、ビフェニル型オキセタン樹脂、ナフタレン型オキセタン樹脂、フルオレン型オキセタン樹脂などの2官能フェノールオキセタニルエーテル型オキセタン樹脂;上記各種の水添2官能フェノールオキセタニルエーテル型オキセタン樹脂;上記各種の多官能フェノールオキセタニルエーテル型オキセタン樹脂;上記各種の2官能脂環式アルコールオキセタニルエーテル型オキセタン樹脂;上記2官能芳香族オキセタニルエステル;上記2官能脂環式オキセタニルエステル;上記3官能以上の多官能複素環式オキセタン樹脂;上記ケイ素含有2官能又は3官能以上の多官能オキセタン樹脂であることが好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができ、さらにその他の重合性化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0060】
(B)成分の重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して、15〜90質量%であることが好ましい。15質量%以上であると、(A)成分の(メタ)アクリル共重合体を絡みこんで硬化することが容易で、耐現像液性が不足することがない。一方、90質量%以下であると、硬化フィルムのフィルム強度や可撓性が十分である。以上の観点から、(B)成分の配合量は20〜80質量%であることがさらに好ましく、25〜75質量%であることが特に好ましい。
【0061】
以下、本発明に用いられる(C)成分について説明する。
(C)成分の重合開始剤としては、加熱又は紫外線、可視光線などの活性光線の照射によって重合を開始させるものであれば特に制限はないが、例えば、(B)成分の重合性化合物としてエチレン性不飽和基を有する化合物を用いる場合には、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などが挙げられ、(B)成分の重合性化合物として分子内に環状エーテル基を有する化合物を用いる場合には、熱カチオン重合開始剤、光カチオン重合開始剤などが挙げられる。
【0062】
熱ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、前述の(A)成分の(メタ)アクリルポリマーを合成する際に用いられる熱ラジカル重合開始剤と同様のものを用いることができる。
それらの中で、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、ジアシルパーオキシド、パーオキシエステル、及びアゾ化合物であることが好ましい。
【0063】
光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンなどのα−ヒドロキシケトン;フェニルグリオキシル酸メチル、フェニルグリオキシル酸エチル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、オキシフェニル酢酸2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルなどのグリオキシエステル;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−(4−モルフォリン)−2−イルプロパン−1−オンなどのα−アミノケトン;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ),2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)などのオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノンなどのキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニルヘプタン)などのアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリンなどが挙げられる。
また、前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
これらの中で、硬化性及び透明性の観点から、上記α−ヒドロキシケトン;上記グリオキシエステル;上記オキシムエステル;上記ホスフィンオキシドであることが好ましい。
以上の熱及び光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせて用いることもできる。
【0064】
熱カチオン重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、p−アルコキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのベンジルスルホニウム塩;ベンジル−p−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ナフチルメチル−o−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、シンナミル−o−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのピリジニウム塩;ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのベンジルアンモニウム塩などが挙げられる。
これらの中でも、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記ベンジルスルホニウム塩であることが好ましい。
【0065】
光カチオン重合開始剤として、特に制限はないが、例えばp−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのジアリールヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムペンタフルオロヒドロキシアンチモネートなどのトリアリールスルホニウム塩;トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルセレノニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルセレノニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのトリアリールセレノニウム塩;ジメチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジエチルフェナシルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのジアルキルフェナシルスルホニウム塩;4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのジアルキル−4−ヒドロキシ塩;α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトン、β−スルホニロキシケトンなどのスルホン酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記トリアリールスルホニウム塩であることが好ましい。
これらの熱及び光カチオン重合開始剤は、単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせて用いることもできる。
【0066】
(C)成分の重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。0.01質量部以上であると、硬化が十分であり、10質量部以下であると、十分な光透過性が得られる。以上の観点から、(C)成分の配合量は0.05〜7質量部であることがさらに好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。
【0067】
また、必要に応じて本発明の光学材料用樹脂組成物中には、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤などのいわゆる添加剤を本発明の効果に悪影響を与えない範囲で添加してもよい。
【0068】
本発明の(A)(メタ)アクリルポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)重合開始剤からなる光学材料用樹脂組成物を重合、硬化してなる硬化フィルムの温度25℃における波長830nmでの屈折率は1.400〜1.700であることが好ましい。該屈折率が1.400〜1.700であると、通常の光学樹脂との屈折率が大きく異ならないため、光学材料としての汎用性が損なわれることがない。以上の観点から、屈折率は1.425〜1.675以下であることがさらに好ましく、1.450〜1.650であることが特に好ましい。
【0069】
また、本発明の(A)(メタ)アクリルポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)重合開始剤からなる光学材料用樹脂組成物を重合、硬化してなる厚み50μmの硬化フィルムの波長400nmでの透過率は80%以上であることが好ましい。該透過率が80%以上であると、光の透過量が十分である。以上の観点から、該透過率は85%以上であることがさらに好ましい。なお、透過率の上限については特に制限されない。
【0070】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、好適な有機溶剤を用いて希釈してもよい。ここで用いる有機溶剤として、該樹脂組成物を溶解しえるものであれば特に制限はなく、前述の(A)成分の(メタ)アクリルポリマーを溶解し得る反応溶媒として用いる有機溶剤と同様のものを用いることができる。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、固形分濃度は、通常10〜80質量%であることが好ましい。
【0071】
光学材料用樹脂組成物を調合する際は、撹拌により混合することが好ましい。撹拌方法には特に制限はないが、撹拌効率の観点からプロペラを用いた撹拌が好ましい。撹拌する際のプロペラの回転速度には特に制限はないが、10〜1,000rpmであることが好ましい。10rpm以上であると、各成分が十分に混合され、1,000rpm以下であると、プロペラの回転による気泡の巻き込みが少なくなる。以上の観点から、プロペラの回転速度は50〜800rpmであることがさらに好ましく、100〜500rpmであることが特に好ましい。
また、撹拌時間には特に制限はないが、1〜24時間であることが好ましい。撹拌時間が1時間以上であると、各成分が十分に混合され、24時間以下であると、調合時間を短縮することができ、生産性が向上する。
【0072】
調合した光学材料用樹脂組成物は、孔径50μm以下のフィルタを用いて濾過するのが好ましい。孔径50μm以下のフィルタを用いることで、大きな異物などが除去されて塗布時にはじきなどを生じることがなく、また、光の散乱が抑制されて透明性が損なわれることがない。以上の観点から、孔径30μm以下のフィルタを用いて濾過するのがさらに好ましく、孔径10μm以下のフィルタを用いて濾過するのが特に好ましい。
【0073】
調合した光学材料用樹脂組成物は、減圧下で脱泡することが好ましい。脱泡方法には特に制限はなく、例えば、真空ポンプとベルジャー、真空装置付き脱泡装置を用いる方法が挙げられる。減圧時の圧力には特に制限はないが、樹脂組成物に含まれる低沸点成分が沸騰しない圧力が好ましい。また、減圧脱泡時間には特に制限はないが、3〜60分であることが好ましい。3分以上であると、樹脂組成物内に溶解した気泡を取り除くことができ、60分以下であると、樹脂組成物に含まれる脱泡時間を短縮することができ、生産性が向上する。
【0074】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、透明性及び耐熱性に優れており、光導波路形成用樹脂組成物として好適である。
【0075】
以下、本発明の光学材料用樹脂フィルムについて説明する。
本発明の光学材料用樹脂フィルムは、前記光学材料用樹脂組成物を用いてなり、前記(A)〜(C)成分を含有する光学材料用樹脂組成物を好適な支持フィルムに塗布することにより容易に製造することができる。また、前記光学材料用樹脂組成物が前記有機溶剤で希釈されている場合、樹脂組成物を支持フィルムに塗布し、有機溶剤を除去することにより製造することができる。
【0076】
支持フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、液晶ポリマーなどが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホンであることが好ましい。
なお、樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
【0077】
支持フィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、3〜250μmであることが好ましい。3μm以上であると、フィルム強度が十分であり、250μm以下であると、十分な柔軟性が得られる。以上の観点から、支持フィルムの厚みは、5〜200μmであることがさらに好ましく、7〜150μmであることが特に好ましい。
【0078】
支持フィルム上に光学材料用樹脂組成物を塗布して製造した光学材料用樹脂フィルムは、必要に応じて保護フィルムを樹脂層上に貼り付け、支持フィルム、樹脂層、及び保護フィルムからなる3層構造としてもよい。
【0079】
保護フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンであることが好ましい。なお、樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
【0080】
保護フィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、10〜250μmであることが好ましい。10μm以上であると、フィルム強度が十分であり、250μm以下であると、十分な柔軟性が得られる。以上の観点から、保護フィルムの厚みは15〜200μmであることがさらに好ましく、20〜150μmであることが特に好ましい。
【0081】
本発明の光学材料用樹脂フィルムの樹脂層の厚みについても、特に限定されず、乾燥後の厚みで、通常は5〜500μmであることが好ましい。5μm以上であると、厚みが十分であるため樹脂フィルム又は樹脂フィルムの硬化物の強度が十分であり、一方、500μm以下であると、乾燥が十分に行えるため樹脂フィルム中の残留溶剤量が増えることなく、樹脂フィルムの硬化物を加熱したときに発泡することがない。
【0082】
このようにして得られた光学材料用樹脂フィルムは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。また、ロール状のフィルムを好適なサイズに切り出して、シート状にして保存することもできる。
【0083】
本発明の光学材料用樹脂フィルムは、透明性及び耐熱性に優れており、光導波路形成用樹脂フィルムとして好適である。
【0084】
以下、本発明の光学材料用樹脂フィルムを最も好適な用途である光導波路形成用樹脂フィルムとして用いた場合の適用例について説明する。
光導波路形成用樹脂フィルムも、前記光学材料用樹脂フィルムと同様の方法によって製造することができる。
なお、コア部形成用樹脂フィルムの製造過程で用いる支持フィルムとしては、コアパターン形成に用いる露光用活性光線が透過するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、液晶ポリマーなどが挙げられる。
これらの中で、露光用活性光線の透過率、柔軟性、及び強靭性の観点から、上記ポリエステル;上記ポリオレフィンであることが好ましい。さらに、露光用活性光線の透過率向上及びコアパターンの側壁荒れ低減の観点から、高透明タイプな支持フィルムを用いることがさらに好ましい。このような高透明タイプな支持フィルムとして、東洋紡績株式会社製コスモシャインA1517、コスモシャインA4100が挙げられる。
なお、樹脂層との剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
【0085】
コア部形成用樹脂フィルムの支持フィルムの厚みは、5〜50μmであることが好ましい。5μm以上であると、支持体としての強度が十分であり、50μm以下であると、コアパターン形成時にフォトマスクとコア部形成用樹脂層のギャップが大きくならず、パターン解像度が良好である。以上の観点から、支持フィルムの厚みは10〜40μmであることがさらに好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。
【0086】
以下、本発明の光導波路について説明する。
図1の(a)に光導波路の断面図を示す。光導波路1は基材5上に形成され、高屈折率であるコア部形成用樹脂組成物からなるコア部2、並びに低屈折率であるクラッド層形成用樹脂組成物からなる下部クラッド層4及び上部クラッド層3で構成されている。
本発明の光導波路形成用組成物及び光導波路形成用樹脂フィルムは、光導波路1の下部クラッド層4、コア部2、及び上部クラッド層3のうち、少なくとも1つに用いることが好ましい。
【0087】
光導波路形成用樹脂フィルムを用いることによって、各層の平坦性、クラッドとコアの層間密着性、及び光導波路コアパターン形成時の解像度(細線又は狭線間対応性)をより向上させることができ、平坦性に優れ、線幅や線間の小さい微細パターンの形成が可能となる。
【0088】
光導波路1において、基材5としては、特に制限はなく、例えば、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板、樹脂層付き基板、金属層付き基板、プラスチックフィルム、樹脂層付きプラスチックフィルム、金属層付きプラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0089】
光導波路1は、基材5として柔軟性及び強靭性のある基材、例えば前記光導波路形成用樹脂フィルムの支持フィルムを基材として用いた場合、フレキシブル光導波路としてもよく、このとき基材5を光導波路1の保護フィルムとして機能させてもよい。保護フィルム5を配置することにより、保護フィルム5の柔軟性及び強靭性を光導波路1に付与することが可能となる。さらに、光導波路1が汚れや傷を受けなくなるため、取り扱いやすさが向上する。
以上の観点から、図1の(b)のように上部クラッド層3の外側に保護フィルムとして基材5が配置されていたり、図1の(c)のように下部クラッド層4及び上部クラッド層3の両方の外側に保護フィルムとして基材5が配置されていたりしてもよい。
なお、光導波路1に柔軟性や強靭性が十分に備わっているならば、図1の(d)のように、保護フィルム5が配置されていなくてもよい。
【0090】
下部クラッド層4の厚みは、特に制限はないが、2〜200μmであることが好ましい。2μm以上であると、伝搬光をコア内部に閉じ込めるのが容易となり、200μm以下であると、光導波路1全体の厚みが大きすぎることがない。なお、下部クラッド層4の厚みとは、コア部2と下部クラッド層4との境界から下部クラッド層4の下面までの値である。
下部クラッド層形成用樹脂フィルムの厚みについては特に制限はなく、硬化後の下部クラッド層4の厚みが上記の範囲となるように厚みが調整される。
【0091】
コア部2の高さは、特に制限はないが、10〜150μmであることが好ましい。コア部の高さが10μm以上であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において位置合わせトレランスが小さくなることがなく、150μm以下であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において、結合効率が小さくなることがない。以上の観点から、コア部の高さは、15〜130μmであることがさらに好ましく、20〜120μmであることが特に好ましい。なお、コア部形成用樹脂フィルムの厚みについては特に制限はないが、硬化後のコア部の高さが上記の範囲となるように厚みが調整される。
【0092】
上部クラッド層3の厚みは、コア部2を埋め込むことができる範囲であれば、特に制限はないが、乾燥後の厚みで、12〜500μmであることが好ましい。上部クラッド層3の厚みとして、最初に形成される下部クラッド層4の厚みと同一であっても異なってもよいが、コア部2を埋め込むという観点から、下部クラッド層4の厚みよりも厚くすることが好ましい。なお、上部クラッド層3の厚みとは、コア部2と下部クラッド層4との境界から上部クラッド層3の上面までの値である。
【0093】
本発明の光導波路において、光伝搬損失は0.3dB/cm以下であることが好ましい。0.3dB/cm以下であると、光の損失が小さくなり、伝送信号の強度が十分である。以上の観点から、該光伝搬損失は0.2dB/cm以下であることがさらに好ましい。
【0094】
本発明の光導波路において、温度85℃、湿度85%の高温高湿放置試験を1000時間実施後の光伝搬損失が、0.3dB/cm以下であることが好ましい。0.3dB/cm以下であると、光の損失が小さくなり、伝送信号の強度が十分である。以上の観点から、該光伝搬損失は0.2dB/cm以下であることがさらに好ましい。
なお、温度85℃、湿度85%の高温高湿放置試験とはJPCA規格(JPCA−PE02−05−01S)に準じた条件で実施する高温高湿放置試験のことを意味する。
【0095】
本発明の光導波路において、温度−55℃と125℃の間の温度サイクル試験を1000サイクル実施後の光伝搬損失が、0.3dB/cm以下であることが好ましい。0.3dB/cm以下であると、光の損失が小さくなり、伝送信号の強度が十分である。以上の観点から、該光伝搬損失は0.2dB/cm以下であることがさらに好ましい。
なお、温度−55℃と125℃の間の温度サイクル試験とはJPCA規格(JPCA−PE02−05−01S)に準じた条件で実施する温度サイクル試験のことを意味する。
【0096】
本発明の光導波路において、最高温度265℃のリフロー試験を3回実施後の光伝搬損失は、0.3dB/cm以下であることが好ましい。0.3dB/cm以下であると、光の損失が小さくなり、伝送信号の強度が十分であれば同時に、リフロープロセスによる部品実装が行えるために、適用範囲が広くなる。以上の観点から、該光伝搬損失は0.2dB/cm以下であることがさらに好ましい。
なお、最高温度265℃のリフロー試験とはJEDEC規格(JEDEC JESD22A113E)に準じた条件で実施する鉛フリーはんだリフロー試験のことを意味する。
【0097】
本発明の光導波路は、透明性、信頼性、及び耐熱性に優れており、光モジュールの光伝送路として用いてもよい。光モジュールの形態として、例えば、光導波路の両端に光ファイバを接続した光ファイバ付き光導波路、光導波路の両端にコネクタを接続したコネクタ付き光導波路、光導波路とプリント配線板と複合化した光電気複合基板、光導波路と光信号と電気信号を相互に変換する光/電気変換素子を組み合わせた光電気変換モジュール、光導波路と波長分割フィルタを組み合わせた波長合分波器などが挙げられる。
なお、光電気複合基板において、複合化するプリント配線板として、特に制限はないが、例えば、ガラスエポキシ基板、セラミック基板などのリジッド基板、ポリイミド基板、ポリエチレンテレフタレート基板などのフレキシブル基板などが挙げられる。
【0098】
以下、本発明の光導波路形成用樹脂組成物及び/又は光導波路形成用樹脂組成物を用いて光導波路1を形成するための製造方法について説明する。
本発明の光導波路1を製造する方法として、特に制限はなく、例えば、光導波路形成用樹脂組成物及び/又は光導波路形成用樹脂フィルムを用いて、基材上に光導波路形成用樹脂層を形成して製造する方法などが挙げられる。
【0099】
本発明に用いられる基材としては、特に制限はなく、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板、樹脂層付き基板、金属層付き基板、プラスチックフィルム、樹脂層付きプラスチックフィルム、金属層付きプラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0100】
光導波路形成用樹脂層を形成する方法として、特に制限はなく、例えば、光導波路形成用樹脂組成物を用いて、スピンコート法、ディップコート法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、カーテンコート法、グラビアコート法、スクリーンコート法、インクジェットコート法などにより塗布する方法などが挙げられる。
光導波路形成用感光性組成物が、好適な有機溶剤で希釈されている場合、必要に応じて樹脂層を形成後に、乾燥する工程を入れてもよい。乾燥方法として、例えば、加熱乾燥、減圧乾燥などが挙げられる。また、必要に応じてこれらを併用してもよい。
【0101】
光導波路形成用樹脂層を形成するその他の方法として、光導波路形成用樹脂組成物を用いた光導波路形成用樹脂フィルムを用いて、積層法により形成する方法が挙げられる。
これらの中で、平坦性に優れ、線幅や線間の小さい微細パターンを有する光導波路が形成能という観点から、光導波路形成用樹脂フィルムを用いて積層法により製造する方法が好ましい。
【0102】
以下、光導波路形成用樹脂フィルムを下部クラッド層、コア部、及び上部クラッド層に用いて光導波路1を形成するための製造方法について説明するが、本発明はこれに何ら制限されるものではない。
まず、第1の工程として下部クラッド層形成用樹脂フィルムを基材5上に積層する。第1の工程における積層方法として、特に制限はないが、例えば、ロールラミネータ又は平板型ラミネータを用いて加熱しながら圧着することにより積層する方法などが挙げられる。なお、本発明における平板型ラミネータとは、積層材料を一対の平板の間に挟み、平板を加圧することにより圧着させるラミネータのことを指し、例えば、真空加圧式ラミネータを好適に用いることができる。ここでの加熱温度は、20〜130℃であることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPaであることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。下部クラッド層形成用樹脂フィルムに保護フィルムが存在する場合、保護フィルムを除去した後に積層する。
【0103】
真空加圧式ラミネータを用いて積層する場合、ロールラミネータを用いて、あらかじめ下部クラッド層形成用樹脂フィルムを基材5上に仮貼りしておいてもよい。ここで、密着性及び追従性向上の観点から、圧着しながら仮貼りすることが好ましく、圧着する際、ヒートロールを有するラミネータを用いて加熱しながら行っても良い。ラミネート温度は、20〜130℃であることが好ましい。20℃以上であれば下部クラッド層形成用樹脂フィルムと基材5との密着性が向上し、130℃以下であれば樹脂層がロールラミネート時に流動しすぎることがなく、必要とする膜厚が得られる。以上の観点から、40〜100℃であることがさらに好ましい。圧力は0.2〜0.9MPaであることが好ましく、ラミネート速度は0.1〜3m/minであることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
【0104】
基材5上に積層された下部クラッド層形成用樹脂層を光及び/又は熱により硬化し、下部クラッド層4を形成する。なお、下部クラッド層形成用樹脂フィルムの支持フィルムの除去は、硬化前及び硬化後のどちらで行ってもよい。
下部クラッド層形成用樹脂層を光により硬化する際の活性光線の照射量は、0.1〜5J/cm2とすることが好ましいが、この条件には特に制限はない。また、活性光線が基材を透過する場合、効率的に硬化させるために、両面から同時に活性光線を照射可能な両面露光機を使用することができる。また、加熱をしながら活性光線を照射してもよい。なお、光硬化後の処理として、必要に応じて50〜200℃の加熱処理を行ってもよい。
下部クラッド層形成用樹脂層を熱により硬化する際の加熱温度は、50〜200℃とすることが好ましいが、この条件には特に制限はない。
【0105】
下部クラッド層形成用樹脂フィルムの支持フィルムを、光導波路1の保護フィルム5として機能させる場合、下部クラッド層形成用樹脂フィルムを積層することなく、光及び/又は熱により前記と同様な条件で硬化し、下部クラッド層4を形成してもよい。
なお、下部クラッド層形成用樹脂フィルムの保護フィルムは、硬化前に除去しても、硬化後に除去してもよい。
【0106】
第2の工程として、第1の工程と同様な方法で、下部クラッド層4上にコア部形成用樹脂フィルムを積層する。ここで、コア部形成用樹脂層は下部クラッド層形成用樹脂層より高屈折率であるように設計され、活性光線によりコアパターンを形成し得る感光性樹脂組成物からなることが好ましい。
【0107】
第3の工程として、コア部2(コアパターン)を露光する。コア部2を露光する方法として、特に制限はないが、例えば、アートワークと呼ばれるネガマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法、レーザ直接描画を用いてフォトマスクを通さずに直接活性光線を画像上に照射する方法などが挙げられる。
活性光線の光源として、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、水銀蒸気アークランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプなどの紫外線を有効に放射する光源が挙げられる。また、他にも写真用フラッド電球、太陽ランプなどの可視光線を有効に放射する光源が挙げられる。
【0108】
コア部2を露光する際の活性光線の照射量は、0.01〜10J/cm2であることが好ましい。0.01J/cm2以上であると、硬化反応が十分に進行し、現像によりコア部2が流失することがない。一方、10J/cm2以下であると、露光量過多によりコア部2が太ることがなく、微細なパターンが形成でき好適である。以上の観点から、活性光線の照射量は、0.03〜5J/cm2であることがさらに好ましく、0.05〜3J/cm2であることが特に好ましい。
コア部2の露光は、コア部形成用樹脂フィルムの支持フィルムを介して行っても、支持フィルムを除去してから行ってもよい。
【0109】
また、露光後に、コア部2の解像度及び密着性向上の観点から、必要に応じて露光後加熱を行ってもよい。紫外線照射から露光後加熱までの時間は、10分以内であることが好ましいが、この条件には特に制限はない。露光後加熱温度は40〜160℃であることが好ましく、時間は30秒〜10分であることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
【0110】
第4の工程として、コア部形成用樹脂フィルムの支持フィルムを介して露光した場合、これを除去し、コア部形成用樹脂層の組成に適した現像液を用いて現像する。
現像方法として、特に制限はないが、例えば、スプレー法、ディップ法、パドル法、スピン法、ブラッシング法、スクラッピング法などが挙げられる。また、必要に応じてこれらの現像方法を併用してもよい。
現像液として、特に制限はないが、例えば、有機溶剤、有機溶剤と水からなる準水系現像液などの有機溶剤系現像液;アルカリ性水溶液、アルカリ性水溶液と1種類以上の有機溶剤からなるアルカリ性準水系現像液などのアルカリ性現像液などが挙げられる。
また、現像温度は、コア部形成用樹脂層の現像性に合わせて調節される。
【0111】
有機溶剤としては、特に制限はなく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテルなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、有機溶剤中には、表面活性剤、消泡剤などを混入させてもよい。
【0112】
準水系現像液として、1種類以上の有機溶剤と水からなるものであれば特に制限はない。
有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましい。また、準水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
【0113】
アルカリ性水溶液の塩基として、特に制限はないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウムなどのアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウムなどのアルカリ金属ピロリン酸塩;四ホウ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどのナトリウム塩;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどのアンモニウム塩;水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2−モルホリンなどの有機塩基などが挙げられる。
これらの塩基は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜14であることが好ましく、pH10〜13であることがさらに好ましい。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤などを混入させてもよい。
【0114】
アルカリ性準水系現像液として、アルカリ性水溶液と1種類以上の前記有機溶剤からなるものであれば特に制限はない。アルカリ性準水系現像液のpHは、現像が十分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜13であることが好ましく、pH9〜12であることがさらに好ましい。
有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましい。また、アルカリ性準水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤などを少量混入させてもよい。
【0115】
現像後の処理として、必要に応じて前記有機溶剤、前記有機溶剤と水からなる準水系洗浄液、又は水を用いて洗浄してもよい。
洗浄方法として、特に制限はないが、例えば、スプレー法、ディップ法、パドル法、スピン法、ブラッシング法、スクラッピング法などが挙げられる。また、必要に応じてこれらの洗浄方法を併用してもよい。
前記有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。準水系洗浄液において、有機溶剤の濃度は通常、2〜90質量%とすることが好ましい。また、洗浄温度はコア部形成用樹脂層の現像性に合わせて調節される。
【0116】
現像又は洗浄後の処理として、コア部2の硬化性及び密着性向上の観点から、必要に応じて露光及び/又は加熱を行ってもよい。加熱温度は40〜200℃であることが好ましく、活性光線の照射量は、0.01〜10J/cm2であることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
【0117】
第5の工程として、第1及び第2の工程と同様の方法で、下部クラッド層4及びコア部2上に上部クラッド層形成用樹脂フィルムを積層する。ここで、上部クラッド層形成用樹脂層は、コア部形成用樹脂層よりも低屈折率になるように設計されている。また、上部クラッド形成用樹脂層の厚みは、コア部2の高さより大きくすることが好ましい。
【0118】
次いで、第1の工程と同様な方法で上部クラッド層形成用樹脂層を光及び/又は熱により硬化し、上部クラッド層3を形成する。
上部クラッド層形成用樹脂層を光により硬化する際の活性光線の照射量は、0.1〜30J/cm2とすることが好ましいが、この条件には特に制限はない。また、活性光線が基材を透過する場合、効率的に硬化させるために、両面から同時に活性光線を照射可能な両面露光機を使用することができる。また、必要に応じて加熱をしながら活性光線を照射してもよく、光硬化後の処理として加熱処理を行ってもよい。活性光線照射中及び/又は照射後の加熱温度は50〜200℃であることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
上部クラッド層形成用樹脂層を熱により硬化する際の加熱温度は、50〜200℃とすることが好ましいが、この条件には特に制限はない。
なお、上部クラッド層形成用樹脂フィルムの支持フィルムの除去が必要な場合、硬化前に除去しても、硬化後に除去してもよい。
以上の工程で、光導波路1を作製することができる。
【実施例】
【0119】
以下、本発明の実施例をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0120】
製造例1
[(メタ)アクリルポリマーA−1の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン83質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を55℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド20質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート44質量部、メチルメタクリレート42質量部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート32質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部、及びメチルエチルケトン56質量部の混合物を3時間かけて滴下後、55℃で5時間撹拌し、さらに80℃で2時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、液温を50℃に上昇させ、メタクリル酸18質量部、ジブチルスズジラウリレート0.07質量部、及びメチルエチルケトン18質量部の混合物を30分かけて滴下後、50℃で3時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマーA−1溶液(固形分50質量%)を得た。
【0121】
[重量平均分子量の測定]
A−1の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)をGPC(東ソー株式会社製SD−8022/DP−8020/RI−8020)を用いて測定した結果、62,000であった。なお、カラムは日立化成工業株式会社製Gelpack GL−A150−S/GL−A160−Sを使用した。
【0122】
製造例2
[(メタ)アクリルポリマーA−2の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン83質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を55℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド20質量部、ベンジルメタクリレート82質量部、メチルメタクリレート17質量部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部、及びメチルエチルケトン56質量部の混合物を3時間かけて滴下後、55℃で5時間撹拌し、さらに80℃で2時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、液温を50℃に上昇させ、メタクリル酸11質量部、ジブチルスズジラウリレート0.07質量部、及びメチルエチルケトン11質量部の混合物を30分かけて滴下後、50℃で3時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマーA−2溶液(固形分50質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、重量平均分子量を測定した結果、56,000であった。
【0123】
製造例3
[(メタ)アクリルポリマーA−3の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン83質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を55℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド20質量部、ベンジルメタクリレート82質量部、メチルメタクリレート17質量部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部、及びメチルエチルケトン56質量部の混合物を3時間かけて滴下後、55℃で5時間撹拌し、さらに80℃で2時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、液温を50℃に上昇させ、メタクリル酸5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8質量部、ジブチルスズジラウリレート0.07質量部、及びメチルエチルケトン13質量部の混合物を30分かけて滴下後、50℃で3時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマーA−3溶液(固形分50質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、重量平均分子量を測定した結果、54,000であった。
【0124】
製造例4
[(メタ)アクリルポリマーA−4の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン83質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を55℃に上昇させ、N−シクロヘキシルマレイミド20質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート44質量部、メチルメタクリレート42質量部、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート32質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部、及びメチルエチルケトン56質量部の混合物を3時間かけて滴下後、55℃で5時間撹拌し、さらに80℃で2時間撹拌を続けて、室温まで冷却した。
続いて、液温を50℃に上昇させ、メタクリル酸9質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13質量部、ジブチルスズジラウリレート0.07質量部、及びメチルエチルケトン22質量部の混合物を30分かけて滴下後、50℃で3時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマーA−4溶液(固形分50質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、重量平均分子量を測定した結果、65,000であった。
【0125】
製造例5
[(メタ)アクリルポリマーA−5の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン83質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を55℃に上昇させ、シクロヘキシルメタクリレート20質量部、ベンジルメタクリレート82質量部、メチルメタクリレート17質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート19質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部、及びメチルエチルケトン56質量部の混合物を3時間かけて滴下後、55℃で5時間撹拌し、さらに80℃で2時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマーA−5溶液(固形分50質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、重量平均分子量を測定した結果、61,000であった。
【0126】
製造例6
[(メタ)アクリルポリマーA−6の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、メチルエチルケトン83質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を55℃に上昇させ、シクロヘキシルメタクリレート20質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート44質量部、メチルメタクリレート42質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート32質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部、及びメチルエチルケトン56質量部の混合物を3時間かけて滴下後、55℃で5時間撹拌し、さらに80℃で2時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマーA−6溶液(固形分50質量%)を得た。
製造例1と同様な方法で、重量平均分子量を測定した結果、67,000であった。
【0127】
実施例1
[コア部形成用樹脂ワニスCOV−1の調合]
(A)(メタ)アクリルポリマーとして、前記A−1溶液(固形分50質量%)120質量部(固形分60質量部)、(B)重合性化合物として、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−BPE−6)20質量部、p−クミルフェノキシエチルアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−CMP−1E)20質量部及び(C)重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)1質量部を広口のポリ瓶に秤量し、撹拌機を用いて、温度25℃、回転数400rpmの条件で、6時間撹拌して、コア部形成用樹脂ワニスを調合した。その後、孔径2μmのポリフロンフィルタ(アドバンテック東洋株式会社製PF020)及び孔径0.5μmのメンブレンフィルタ(アドバンテック東洋株式会社製J050A)を用いて、温度25℃、圧力0.4MPaの条件で加圧濾過した。続いて、真空ポンプ及びベルジャーを用いて減圧度200mmHgの条件で15分間減圧脱泡し、コア部形成用樹脂ワニスCOV−1を得た。
【0128】
[コア部形成用樹脂フィルムCOF−1の作製]
上記コア部形成用樹脂ワニスCOV−1を、PETフィルム(東洋紡績株式会社製A1517、厚み16μm)の非処理面上に塗工機(株式会社ヒラノテクシード製マルチコーターTM−MC)を用いて塗布し、80℃で10分及び100℃で10分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製A31、厚み25μm)を貼付け、コア部形成用樹脂フィルムCOF−1を得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が、50μmとなるように調節した。
【0129】
[クラッド層形成用樹脂ワニスCLV−1の調合]
(A)主鎖にマレイミド骨格を含む(メタ)アクリルポリマーとして、前記A−1溶液(固形分50質量%)120質量部(固形分60質量部)、(B)重合性化合物として、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−BPE−6)20質量部、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)20質量部、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−CHD−4E)20質量部及び(C)重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)1質量部を広口のポリ瓶に秤量し、撹拌機を用いて、温度25℃、回転数400rpmの条件で、6時間撹拌して、コア部形成用樹脂ワニスを調合した。その後、孔径2μmのポリフロンフィルタ(アドバンテック東洋株式会社製PF020)及び孔径0.5μmのメンブレンフィルタ(アドバンテック東洋株式会社製J050A)を用いて、温度25℃、圧力0.4MPaの条件で加圧濾過した。続いて、真空ポンプ及びベルジャーを用いて減圧度200mmHgの条件で15分間減圧脱泡し、クラッド層形成用樹脂ワニスCLV−1を得た。
【0130】
[クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1の作製]
上記クラッド層形成用樹脂ワニスCLV−1を、PETフィルム(東洋紡績株式会社製A4100、厚み50μm)の非処理面上に、コア層形成用樹脂フィルムと同様な方法で塗布乾燥し、クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1を得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が、下部クラッド層形成用樹脂フィルムでは25μm、上部クラッド形成用樹脂フィルムでは75μm、並びに屈折率及び透過率測定用硬化フィルムでは50μmとなるように調節した。
【0131】
[屈折率及び透過率測定用硬化フィルムの作製]
前記コア部形成用樹脂フィルムCOF−1及びクラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1に、紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm2照射した。続いて、保護フィルム(A31)を除去し、130℃で1時間乾燥を行った後、支持フィルム(A1517又はA4100)を除去して厚み50μmの硬化フィルムを得た。
【0132】
[屈折率の測定]
得られた硬化フィルムの温度25℃における波長830nmでの屈折率をプリズムカプラ(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA−4000)を用いて測定した。
【0133】
[透過率の測定]
得られた硬化フィルムの温度25℃における波長400nmでの透過率を分光光度計(株式会社日立製作所製U−3410 Spectrophotometer)を用いて測定した。以下の基準で評価した。
○:80%以上
×:80%未満
【0134】
[光導波路の作製]
ロールラミネータ(日立化成テクノプラント株式会社製HLM−1500)を用い、保護フィルム(A31)を除去した下部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1を、ガラスエポキシ樹脂基板(日立化成工業株式会社製E−679FB)上に、圧力0.4MPa、温度80℃、速度0.4m/minの条件で積層した。さらに、真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製MVLP−500/600)を用い、圧力0.4MPa、温度80℃及び加圧時間30秒の条件で圧着した。
次に、紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm2照射後、支持フィルム(A4100)を除去することによって、下部クラッド層4を形成した。
【0135】
続いて、前記ロールラミネータを用い、保護フィルム(A31)を除去したコア部形成用樹脂フィルムCOF−1を、下部クラッド層4上に、圧力0.4MPa、温度80℃、速度0.4m/minの条件で積層した。さらに、上記真空加圧式ラミネータを用い、圧力0.4MPa、温度80℃及び加圧時間30秒の条件で圧着した。
次いで、幅50μmのネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機で紫外線(波長365nm)を500mJ/cm2照射し、次いで80℃で5分間露光後加熱を行った。支持フィルム(A1517)を除去し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N,N−ジメチルアセトアミド=80/20質量比)を用い、コア部2を現像した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル、次いでイソプロパノールを用いて洗浄し、100℃で1時間加熱乾燥した。
【0136】
次に、前記真空加圧式ラミネータを用い、保護フィルム(A31)を除去した上部クラッド層形成用樹脂フィルムCLF−1を、コア部2及び下部クラッド層4上に、圧力0.4MPa、温度80℃及び加圧時間30秒の条件で積層した。紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm2照射し、支持フィルム(A4100)を除去した後、130℃で1時間加熱処理することによって、上部クラッド層3を形成し、図1(a)に示す光導波路1を得た。その後、ダイシングソー(株式会社ディスコ製DAD−341)を用いて導波路長10cmの光導波路を切り出した。
【0137】
実施例2〜5及び比較例1
表1に示す配合比に従ってコア部形成用感光性樹脂ワニスCOV−2〜4を調合した。同様に、表2に示す配合比に従ってクラッド層形成用感光性樹脂ワニスCLV−2〜4を調合した。実施例1と同様な方法で、コア部形成用感光性樹脂フィルムCOF−2〜4及びクラッド層形成用感光性樹脂フィルムCLF−2〜4を作製した。これらの硬化フィルムの屈折率及び透過率を測定した結果を表1及び表2に示す。
続いて、これらの光導波路形成用樹脂フィルムを用いて、実施例1と同様な方法で、光導波路を作製した。光導波路の作製に用いたコア部形成用樹脂フィルム及びクラッド層形成用樹脂フィルムの組合せを表3に示す。
【0138】
【表1】

【0139】
*1:製造例1で作製した(メタ)アクリルポリマー溶液
*2:製造例2で作製した(メタ)アクリルポリマー溶液
*3:製造例3で作製した(メタ)アクリルポリマー溶液
*4:製造例5で作製した(メタ)アクリルポリマー溶液
*5:エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*6:p−クミルフェノキシエチルアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*7:1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
*8:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
*9:波長830nm、25℃、フィルム厚み50μmの条件で測定
*10:○…80%以上、×…80%未満、波長400nm、25℃、フィルム厚み50μmの条件で測定
【0140】
【表2】

【0141】
*1:製造例1で作製した(メタ)アクリルポリマー溶液
*11:製造例4で作製した(メタ)アクリルポリマー溶液
*12:製造例6で作製した(メタ)アクリルポリマー溶液
*13:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*14:エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*15:水添ビスフェノールA型エポキシアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
*7:1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
*8:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
*9:波長830nm、25℃、フィルム厚み50μmの条件で測定
*10:○…80%以上、×…80%未満、波長400nm、25℃、フィルム厚み50μmの条件で測定
【0142】
【表3】

【0143】
[光伝搬損失の測定]
実施例1〜5及び比較例1で得られた光導波路(導波路長10cm)の光伝搬損失を、光源に波長850nmの光を中心波長とするVCSEL(EXFO社製FLS−300−01−VCL)、受光センサ(株式会社アドバンテスト製Q82214)、入射ファイバ(GI−50/125マルチモードファイバ、NA=0.20)及び出射ファイバ(SI−114/125、NA=0.22)を用いて、カットバック法(測定導波路長10、5、3、2cm)により測定し、以下の基準で評価した。。
○:0.3dB/cm以下
×:0.3dB/cmより大きい
【0144】
[高温高湿放置試験]
実施例1〜5及び比較例1で得られた光導波路(導波路長10cm)を、高温高湿試験機(エスペック株式会社製PL−2KT)を用いて、JPCA規格(JPCA−PE02−05−01S)に準じた条件で温度85℃、湿度85%の高温高湿放置試験を1000時間実施した。
高温高湿放置試験実施後の光導波路の光伝搬損失を、前記と同様の光源、受光素子、入射ファイバ及び出射ファイバを用いて測定し、以下の基準で評価した。。
○:0.3dB/cm以下
×:0.3dB/cmより大きい
【0145】
[温度サイクル試験]
実施例1〜5及び比較例1で得られた光導波路(導波路長10cm)を、温度サイクル試験機(楠本化成株式会社製ETAC WINTECH NT1010)を用いて、JPCA規格(JPCA−PE02−05−01S)に準じた条件で温度−55℃と125℃の間の温度サイクル試験を1000サイクル実施した。詳細な温度サイクル試験条件を表4に示す。
【0146】
【表4】

【0147】
温度サイクル試験実施後の光導波路の光伝搬損失を前記と同様の光源、受光素子、入射ファイバ及び出射ファイバを用いて測定し、以下の基準で評価した。
○:0.3dB/cm以下
×:0.3dB/cmより大きい
【0148】
[リフロー試験]
実施例1〜5及び比較例1で得られた光導波路(導波路長10cm)を、リフロー試験機(古河電気工業株式会社製サラマンダXNA−645PC)を用いて、IPC/JEDEC J−STD−020Bに準じた条件で最高温度265℃のリフロー試験を3回実施した。詳細なリフロー条件を表5、リフロー炉内の温度プロファイルを図2に示す。
【0149】
【表5】

【0150】
リフロー試験実施後の光導波路の光伝搬損失を前記と同様の光源、受光素子、入射ファイバ及び出射ファイバを用いて測定し、以下の基準で評価した。
○:0.3dB/cm以下
×:0.3dB/cmより大きい
以上の光伝搬損失の測定結果を表6に示す。
【0151】
【表6】

【0152】
*16:○…0.3dB/cm以下、×…0.3dB/cmより大きい
【0153】
表1、表2及び表6から、本発明の光学材料用樹脂組成物は、透明性及び耐熱性に優れており、これらを用いて製造した光導波路は透明性、信頼性、及び耐熱性に優れていることがわかる。一方、本発明に属さない光学材料用樹脂組成物を用いて製造した光導波路は、信頼性及び耐熱性に劣っていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の光学材料用樹脂組成物及び該光学材料用樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルムは、透明性及び耐熱性に極めて優れている。従って、これらの光学材料用樹脂組成物又は光学材料用樹脂フィルムを用いて製造した光導波路は透明性、信頼性、及び耐熱性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の光導波路の形態を説明する断面図である。
【図2】本発明で実施したリフロー試験におけるリフロー炉内の温度プロファイルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0156】
1 光導波路
2 コア部
3 上部クラッド層
4 下部クラッド層
5 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有し、かつ、下記一般式(2)で表される側鎖にウレタン結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位及び/又は下記一般式(3)で表される側鎖にアミド結合を介して結合させたエチレン性不飽和基を有する繰り返し単位を含有する(メタ)アクリルポリマー、(B)重合性化合物、並びに(C)重合開始剤を含む光学材料用樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜20の有機基を示す。)
【化2】

(式中、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す。X1及びX2はそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基を示す。)
【化3】

(式中、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す。X3及びX4はそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基を示す。)
【請求項2】
(A)(メタ)アクリルポリマーが、さらに下記一般式(4)で表されるマレイミド骨格を有する繰り返し単位を含む請求項1に記載の光学材料用樹脂組成物。
【化4】

(式中、R7は水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す。)
【請求項3】
(A)(メタ)アクリルポリマーが、さらに下記一般式(5)で表される繰り返し単位を有する請求項1又は2に記載の光学材料用樹脂組成物。
【化5】

(式中、R8及びR9はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す。X5は単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基を示す。)
【請求項4】
(B)重合性化合物が、その分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項5】
(A)(メタ)アクリルポリマーの配合量が(A)成分及び(B)成分の総量に対して10〜85質量%であり、(B)重合性化合物の配合量が(A)成分及び(B)成分の総量に対して15〜90質量%であり、(C)重合開始剤の配合量が(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項6】
前記光学材料用樹脂組成物を重合、硬化してなる硬化フィルムの、温度25℃における波長830nmでの屈折率が、1.400〜1.700である請求項1〜5のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項7】
前記光学材料用樹脂組成物を重合、硬化してなる厚み50μmの硬化フィルムの、温度25℃における波長400nmでの透過率が、80%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項8】
光導波路形成用である請求項1〜7のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルム。
【請求項10】
下部クラッド層、コア部、及び上部クラッド層の少なくとも1つを請求項8に記載の光導波路形成用樹脂組成物を用いて形成した光導波路。
【請求項11】
下部クラッド層、コア部、及び上部クラッド層の少なくとも1つを請求項9に記載の光学材料用樹脂フィルムを用いて形成した光導波路。
【請求項12】
光伝搬損失が、0.3dB/cm以下である請求項10又は11に記載の光導波路。
【請求項13】
温度85℃、湿度85%の高温高湿放置試験を1000時間実施後の光伝搬損失が、0.3dB/cm以下である請求項10〜12のいずれかに記載の光導波路。
【請求項14】
温度−55℃と125℃の間の温度サイクル試験を1000サイクル実施後の光伝搬損失が、0.3dB/cm以下である請求項10〜13のいずれかに記載の光導波路。
【請求項15】
最高温度265℃のリフロー試験を3回実施後の光伝搬損失が、0.3dB/cm以下である請求項10〜14のいずれかに記載の光導波路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−175244(P2009−175244A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11482(P2008−11482)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】