説明

光学素子及び照明装置及び投写型映像表示装置

【目的】 比較的簡単な構造で光の波長と偏光の双方の相違を巧みに利用して光を合成する光学素子等を提供する。
【構成】 光学素子50は、多層誘電体膜等から成るダイクロイック面部50a及び多層誘電体膜等から成る偏光ビームスプリッタ面部50bを備える。ダイクロイック面部50aは、光の偏光方向とは無関係に緑色波長帯から赤色波長帯の光(G,R)を透過し、青色波長帯の光(B)を反射する。偏光ビームスプリッタ面部50bは、緑色波長帯のS偏光光(Gs)を反射する。更に、偏光ビームスプリッタ面部50bは、青色波長帯のS偏光光(Bs)及びP偏光光(Bp)を透過し、赤色波長帯のS偏光光(Rs)及びP偏光光(Rp)も透過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光の波長と偏光の相違を利用して光を合成する光学素子、及びこの光学素子を備えた照明装置、及びこの照明装置を備えた投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光の波長の相違を利用して光を合成する光学素子として、クロスダイクロイックプリズムやクロスダイクロイックミラーなどが知られている。また、光の偏光の相違を利用して光を合成する光学素子として、偏光ビームスプリッタが知られている。そして、これらクロスダイクロイックプリズムや偏光ビームスプリッタを用いた投写型映像表示装置が知られている。また、所定の波長に対する選択性を有する偏光分離面を備え、特定の波長帯のs偏光光を反射させ、他の波長帯ののp偏光光やs偏光光を透過させる偏光分離面を備えて光を合成する色分離合成素子が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3609715号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クロスダイクロイックプリズムでは、赤色光と緑色光と青色光とを合成する場合において、緑色光の利用効率が低い場合がある(これについては、実施形態において更に説明する)。また、偏光ビームスプリッタでは、3方向からの光を合成することができない。また、前記色分離合成素子は色合成だけのために用いることはできない。
【0005】
この発明は、上記の事情に鑑み、比較的簡単な構造で光の波長と偏光の双方の相違を巧みに利用して光を合成する光学素子、及びこの光学素子を備えた照明装置、及び前記光学素子或いは前記照明装置を備えた投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる光学素子は、上記の課題を解決するために、互いに色が異なる第1色の光と第2色の光と第3色の光のうち第1色の光及び第2色の光は透過し第3色の光は反射することによってこれら三つの色光のうちの第1色の光と第3色の光を特定光路に導くダイクロイック面部と、互いに直交する偏光方向を有する第1偏光光と第2偏光光のうち第1偏光光は透過し第2偏光光は反射する偏光ビームスプリッタ面部と、がクロスに配置されて成り、前記偏光ビームスプリッタ面部にて第2偏光光の第2色の光が前記特定光路に導かれることを特徴とする(以下、この項において第1光学素子という)。
【0007】
前記第1光学素子であれば、ダイクロイック面部と偏光ビームスプリッタ面部とがクロスに配置されるという比較的簡単な構造で光の波長と偏光の双方の相違を巧みに利用して光を合成することができる。
【0008】
前記第1光学素子は、4つの透明体三角柱の各々の二等辺山側となる二つの面を互いに密着させて成る六面体形状を有していてもよい。或いは、前記第1光学素子は、前記ダイクロイック面部を成す板部材と、偏光ビームスプリッタ面部を成す板部材と、からなり、一方の板部材が2分割され、これら2つの分割パーツが他方の板部材を挟むように配置された十字形状を有していてもよい。或いは、前記第1光学素子は、前記ダイクロイック面部を成す板部材と、偏光ビームスプリッタ面部を成す板部材と、からなり、両方の板部材がそれぞれ2分割され、これらが4つの分割パーツが互いの縁部を近接させることで十字形状を有していてもよい。
【0009】
また、この発明の光学素子は、互いに色が異なる第1色の光と第2色の光と第3色の光のうち第1色の光及び第2色の光は透過し第3色の光は反射することによってこれら三つの色光のうちの第1色の光と第3色の光を特定光路に導くダイクロイック面部と、互いに直交する偏光方向を有する第1偏光光と第2偏光光のうち第1偏光光は透過し第2偏光光は反射する偏光ビームスプリッタ面部と、がクロスに配置されて成り、前記偏光ビームスプリッタ面部は第2色の光に対してのみ偏光ビームスプリッタとして機能することで第2偏光光の第2色の光を前記特定光路に導くともに前記第1色の光及び第2色の光は第2偏光光であっても当該偏光ビームスプリッタ面部を透過して前記特定光路に進むことを特徴とする(以下、この項において第2光学素子という)。
【0010】
前記第2光学素子であれば、ダイクロイック面部と偏光ビームスプリッタ面部とがクロスに配置されるという比較的簡単な構造で光の波長と偏光の双方の相違を巧みに利用して光を合成することができる。しかも、当該光学素子から出射される全ての色光を第2偏光光に統一することが可能である。
【0011】
前記第2光学素子は、4つの透明体三角柱の各々の二等辺山側となる二つの面を互いに密着させて成る六面体形状を有していてもよい。或いは、前記第2光学素子は、前記ダイクロイック面部を成す板部材と、偏光ビームスプリッタ面部を成す板部材と、からなり、一方の板部材が2分割され、これら2つの分割パーツが他方の板部材を挟むように配置された十字形状を有していてもよい。或いは、前記第2光学素子は、前記ダイクロイック面部を成す板部材と、偏光ビームスプリッタ面部を成す板部材と、からなり、両方の板部材がそれぞれ2分割され、これらが4つの分割パーツが互いの縁部を近接させることで十字形状を有していてもよい。
【0012】
また、この発明の照明装置は、前記第1光学素子又はこれに従属する光学素子と、各色光を出射する3つの独立した固体光源と、から成り、各色光を出射する3つの独立した固体光源を有する光学系又は白色光源からの白色光を各色光に分離する光学系と、から成り、各色光が前記光学素子によって前記特定光路に導かれ、且つ、第2色の光に関しては第2偏光光が利用され、他の二つの色光に関しては第1偏光光が利用されることを特徴とする(以下、この項において第1照明装置という)。
【0013】
前記第1照明装置において、前記第2色の光は緑色光であってもよい。また、前記第1照明装置又はこれに従属する構成において、各色光の偏光方向を同一方向化した上で前記光学素子に入射させるための偏光光学素子を備えていてもよい。
【0014】
また、前記第1照明装置又はこれに従属する構成において、前記特定光路上には、特定の一つ又は二つの色光だけについて、その偏光方向を90°回転する狭波長帯偏光回転素子が設けられていてもよい(以下、この項において第2照明装置という)。
【0015】
また、この発明の投写型映像表示装置は、前記第1照明装置又はこれに従属する照明装置(前記第2照明装置は除く)を備えた投写型映像表示装置(固体光源を有する構成とする)であって、前記照明装置の各固体光源をパルス発光駆動する手段と、前記特定光路上で受け取った光の偏光方向を90°回転させる機能状態と回転させない機能状態とが通電のON/OFFによって切り替わるスイッチング偏光回転素子と、前記スイッチング偏光回転素子を経た光を受ける画像表示パネルと、前記固体光源がパルス発光するタイミングに応じて前記スイッチング偏光回転素子をON/OFFさせることで全ての色光の偏光方向を同じに揃える手段と、前記固体光源がパルス発光するタイミングに応じて前記画像表示パネルに各色用の映像信号を供給する手段と、映像光を投写する投写手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、この発明の投写型映像表示装置は、前記第1照明装置又はこれに従属する照明装置(前記第2照明装置は除く)を備えた投写型映像表示装置(固体光源を有する構成とする)であって、前記照明装置の各固体光源をパルス発光駆動する手段と、前記固体光源から出射される光を受け取る入射側偏光板を備えない液晶型の画像表示パネルと、第1偏光光が前記画像表示パネルに入射されるときには、出射側の偏光板に対して入射側の偏光方向がクロスする画像表示パネル用に生成した映像信号又は出射側の偏光板に対して入射側の偏光方向がパラレルである画像表示パネル用に生成した映像信号のどちらか一方の映像信号を前記画像表示パネルに供給する一方、第2偏光光が前記画像表示パネルに入射されるときには他方の映像信号を前記画像表示パネルに供給するパネル駆動手段と、映像光を投写する投写手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、この発明の投写型映像表示装置は、前記第2照明装置を備えた投写型映像表示装置(固体光源を有する構成とする)であって、前記照明装置の各固体光源をパルス発光駆動する手段と、前記狭波長帯偏光回転素子を経た光を受け取る画像表示パネルと、前記固体光源がパルス発光するタイミングに応じて前記画像表示パネルに各色用の映像信号を供給する手段と、映像光を投写する投写手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、この発明の照明装置は、第2光学素子又はこれに従属する光学素子と、各色光を出射する3つの独立した固体光源を有する光学系又は白色光源からの白色光を各色光に分離する光学系と、から成り、各固体光源から出射された色光が前記光学素子によって前記特定光路に導かれ、且つ、第2色の光を出射する固体光源に関しては第2偏光光が利用され、他の二つの固体光源に関しても第2偏光光が利用されることを特徴とする(以下、この項において第3照明装置という)。
【0019】
前記第3照明装置において、前記第2色の光は緑色光であってもよい。また、前記第3照明装置又はこれに従属する照明装置において、各色光の偏光方向を同一方向化した上で前記光学素子に入射させるための偏光光学素子を備えていてもよい。
【0020】
また、この発明の投写型映像表示装置は、前記第3照明装置又はこれに従属する照明装置を備えた投写型映像表示装置(固体光源を有する構成とする)であって、前記照明装置の各固体光源をパルス発光駆動する手段と、前記特定光路上に設けられた画像表示パネルと、前記固体光源がパルス発光するタイミングに応じて前記画像表示パネルに各色用の映像信号を供給する手段と、映像光を投写する投写手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、この発明の投写型映像表示装置は、3枚の画像表示パネルを備えた投写型映像表示装置において、第1光学素子又はこれに従属する光学素子と、前記光学素子の3つの光入射面にそれぞれ映像光を供給するように配置された各色用の前記画像表示パネルと、各色光を出射する3つの独立した固体光源を有する光学系又は白色光源からの白色光を各色光に分離する光学系と、映像光を投写する投写手段と、を備えて成り、第2色の光用の画像表示パネルから出射される映像光は第2偏光光であり、他の二つの画像表示パネルから出射される映像光は第1偏光光であることを特徴とする。かかる投写型映像表示装置において、第2色の光用の画像表示パネルは緑色光用の画像表示パネルであってもよい。また、各色光の偏光方向を同一方向化した上で各画像表示パネルに入射させるための偏光光学素子を備えていてもよい。また、前記特定光路上には、特定の一つ又は二つの色光だけについて、その偏光方向を90°回転する狭波長帯偏光回転素子が設けられていてもよい。
【0022】
また、この発明の投写型映像表示装置は、3枚の画像表示パネルを備えた投写型映像表示装置において、第2光学素子又はこれに従属する光学素子と、前記光学素子の3つの光入射面にそれぞれ映像光を供給するように配置された各色用の前記画像表示パネルと、各色光を出射する3つの独立した固体光源を有する光学系又は白色光源からの白色光を各色光に分離する光学系と、、映像光を投写する投写手段と、を備えて成り、前記3枚の画像表示パネルから出射される映像光は全て第2偏光光であることを特徴とする。かかる投写型映像表示装置において、前記偏光ビームスプリッタ面部にて反射される映像光は緑色映像光であってもよい。また、各色光の偏光方向を同一方向化した上で各画像表示パネルに入射させるための偏光光学素子を備えていてもよい。
【0023】
また、上述した3枚の画像表示パネルを備えた投写型映像表示装置において、前記光学素子の中央側の光入射面に光を供給する光学系は、前記固体光源からの光を90°光路変更する光路変更素子を備えていてもよい。また、前記光学素子の中央側の光入射面に赤色光を供給し、左右の光入射面に緑色光と青色光をそれぞれ供給するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、比較的簡単な構造で光の波長と偏光の双方の相違を巧みに利用して光を合成することができ、例えば従来クロスダイクロイックミラーによって両側波長部分をカットされていた光について、そのカットの程度を低減して光量を増大できるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態の光学素子及び照明装置及び投写型映像表示装置を図1乃至図11に基づいて説明していく。
【0026】
図1及び図2に示すように、本願発明の光学素子50は、透明ガラス立方体内に、当該立方体を三角柱に二分する分割面上に形成された多層誘電体膜等から成るダイクロイック面部50a及び他の分割面上に形成された多層誘電体膜等から成る偏光ビームスプリッタ面部50bを備える。ダイクロイック面部50aは、光の偏光方向とは無関係に緑色波長帯から赤色波長帯の光(G,R)を透過し、青色波長帯の光(B)を反射する。偏光ビームスプリッタ面部50bは、緑色波長帯のS偏光光(Gs)を反射する(なお、緑色波長帯のP偏光光は透過する)。更に、偏光ビームスプリッタ面部50bは、青色波長帯のS偏光光(Bs)及びP偏光光(Bp)を透過し、赤色波長帯のS偏光光(Rs)及びP偏光光(Rp)も透過する。前記光学素子50は、4つの透明体三角柱の各々の二等辺山側となる二つの面を互いに密着させて形成され、これによって六面体形状を有したものとなる。
【0027】
また、図3に示すように、本願発明の光学素子51は、多層誘電体膜等から成るダイクロイックミラー51a及び多層誘電体膜等から成る偏光ビームスプリッタ板51bを備える。ダイクロイックミラー51aは、光の偏光方向とは無関係に緑色波長帯から赤色波長帯の光(G,R)を透過し、青色波長帯の光(B)を反射する。偏光ビームスプリッタ板51bは、緑色波長帯のS偏光光(Gs)を反射する(なお、緑色波長帯のP偏光光は透過する)。更に、偏光ビームスプリッタ板51bは、青色波長帯のS偏光光(Bs)及びP偏光光(Bp)を透過し、赤色波長帯のS偏光光(Rs)及びP偏光光(Rp)も透過する。光学素子51は、ダイクロイックミラー51aと偏光ビームスプリッタ板51bの両方がそれぞれ2分割され、これらが4つの分割パーツが互いの縁部を近接させることで十字形状を有する。なお、ダイクロイックミラー51aと偏光ビームスプリッタ板51bの一方が2分割され、これら二つの分割パーツで他方を挟むように配置することで十字形状を有することもできる。
【0028】
ところで、通常のクロスダイクロイックミラーなどについては、その第1のダイクロイックミラーの特性(波長に対する反射特性)は図4の上段のごとく赤色波長帯の光を反射する特性となり、その第2のダイクロイックミラーの特性(波長に対する反射特性)は図4の下段のごとく青色波長帯の光を反射する特性となる。このため、中間波長帯の緑色光は、図5に示すように、その両側波長の一部が反射(カット)され、緑色光の光利用効率は低くなってしまう。
【0029】
これに対し、前記光学素子50,51であれば、その3つの光入射面からそれぞれ入射される色光に対して、そのダイクロイック面部50a及びダイクロイックミラー51aは、緑色波長帯から赤色波長帯の光を透過し、青色波長帯の光を反射する。そして、ビームスプリッタ面部50b及びビームスプリッタ板51bは色光に対するカット特性は持っていない。このため、緑色波長帯の光のうち赤色光に近い側の波長部分のカットは生じないことになり、緑色光の光利用効率は向上する。
【0030】
前記光学素子50又は光学素子51を用いた照明装置であれば、S偏光光に統一された各色光(後述するプロジェクタにおいては各色映像光)を単一方向(特定光路)に出射することができる。なお、各色光源(固体光源)からの色光をそのまま(偏光方向を揃えずに)前記光学素子50,51に与えた場合、赤色光及び青色光については、そのP偏光光も前記特定光路上に出射されることになる。各色光源(固体光源)からの色光を偏光変換装置(偏光光学素子)にてS偏光光に揃えて前記光学素子50,51に与えた場合、S偏光光に統一された各色光を単一方向(特定光路)に出射することができる。緑色光源(固体光源)からの色光を偏光変換装置にてS偏光光に揃えて前記光学素子50,51に与えるとともに赤色光源及び青色光源(固体光源)からの色光を偏光変換装置にてP偏光光に揃えて前記光学素子50,51に与えた場合、緑色光はS偏光光で他の色光はP偏光光である光が特定光路に向けてに出射される。
【0031】
なお、偏光ビームスプリッタ面部50b或いは偏光ビームスプリッタ板51bに替えて一般的な(帯域を問わない)偏光ビームスプリッタを用いた場合、緑色光はS偏光光で他の色光はP偏光光である光が特定光路に向けてに出射される。このような光学素子も本願発明に含まれる。光学素子51についても同様である。このような光学素子には50′の符号を付記する場合がある。
【0032】
以下、各色光の全てがS偏光光の状態で特定光路に導かれるタイプをタイプAとする。そして、前記光学素子の3面に非変調光が導かれる場合をタイプA照明装置と称し、前記光学素子の3面に変調光(各色映像光)が導かれる場合を3板型タイプAプロジェクタと称する。また、S偏光光とP偏光光とが混在する状態で各色光が特定光路に導かれるタイプをタイプBとする。そして、前記光学素子に非変調光が導かれる場合をタイプB照明装置と称し、前記光学素子に変調光(各色映像光)が導かれる場合を3板型タイプBプロジェクタと称する。
【0033】
図6は3板型タイプAプロジェクタの一例を示した説明図である。緑色固体光源(例えば、緑色LED)1Gから出射された光は、テーパ型ロッド2によって光インテグレート及び分散角の低減がなされて緑色用の液晶表示パネル3Gに導かれる。なお、この例では、テーパ型ロッド2の光出射側にワイヤーグリッド型の偏光ビームスプリッタ(偏光光学素子)を設けることで、所定偏光光のみが出射されるようにしている。勿論、偏光ビームスプリッタアレイから成る偏光変換装置を用いてもよい。他の色光源系においても同様である。液晶表示パネル3Gを経ることで得られた変調光(S偏光光)は、偏光ビームスプリッタ面部50bによって反射されて投写レンズ5へと導かれる。青色固体光源(例えば、青色LED)1Bから出射された光は、テーパ型ロッド2によって光インテグレート及び分散角の低減がなされて青色用の液晶表示パネル3Bに導かれる。液晶表示パネル3Bを経ることで得られた変調光(S偏光光)は、ダイクロイック面部50aによって反射され且つ偏光ビームスプリッタ面部50bを透過して投写レンズ5へと導かれる。赤色固体光源(例えば、赤色LED)1Rから出射された光は、テーパ型ロッド2によって光インテグレート及び分散角の低減がなされ、更に光路変更プリズム4によって光路を90°変更されて赤色用の液晶表示パネル3Rに導かれる。液晶表示パネル3Rを経ることで得られた変調光(S偏光光)は、ダイクロイック面部50aを透過し且つ偏光ビームスプリッタ面部50bを透過して投写レンズ5へと導かれる。
【0034】
従来の液晶プロジェクタにおいて、緑色用の液晶表示パネルは投写レンズと対面する位置に設けられており、緑色光の光量は他の色光の光量に比べて少ない場合がある。緑色光について上記光路変更プリズム4による光路変更を行うと、更にその光量が低下する。図6に示した3板型タイプAプロジェクタであれば、緑色光について上記光路変更プリズム4による光路変更を行わないので、その光量低下を防止できる。そして、緑色光以外について上記光路変更プリズム4による光路変更を行うので、この光路変更プリズム4を用いることによるコンパクト化の利点を享受できることになる。
【0035】
ここで、前記緑色光によって全体光量が決まるとする。従来構成(ダイクロイッククロスプリズムで各色光を合成する構成)と上記図6のプロジェクタとの光量に関して比較を行ってみる。まず、ロッドインテグレータによる光利用効率(以下単に効率と記す)をηrod、投写レンズ5の効率をηPL、液晶表示パネル3及びその偏光板を合わせた効率をηLCDとし、これらの要素は両方式において共通であるとする。次に、光路変更プリズム4の反射率をηm、ダイクロイッククロスプリズム(従来)の透過率をηD、偏光ビームスプリッタ面部50bの反射率をηGPとする。上記ηm、ηD、ηGPに関して、概略の数値は、ηm≒0.9、ηD≒0.99、ηGP≒0.99である。ここで、光源1の発光光量をLとし、スクリーンに到達する光量を求めると、従来構成の効率ηCと本案の効率ηnは、以下のようになる。
【0036】
ηC=ηPL×ηLCD×ηrod×ηm×ηD×L
ηn=ηPL×ηLCD×ηrod×ηGP×L
ηn/ηC=ηGP/(ηm×ηD)≒1.1
となり、本案の方がスクリーンは明るくなる。
【0037】
なお、3板型タイプAプロジェクタは、前記光路変更プリズム4を備えるものに限定されるわけではない。
【0038】
3板型タイプBプロジェクタについても、図6に示した構成と同様の構成を有するプロジェクタとすることができる。そして、緑色映像光がS偏光光で他の映像光がP偏光光であるとき、例えば、緑色波長帯の光に対してのみ偏光方向を90°回転させる狭波長帯偏光回転素子を投写レンズ5の光入射側の位置に設ける構成を採用してもよい。或る色光が第1偏光光で他の二つの色光が第2偏光光である場合に、前記或る色光に対する狭波長帯偏光回転素子或いは他の二つの色光に対する狭波長帯偏光回転素子を設けてもよい。なお、3板型タイプBプロジェクタも、前記光路変更プリズム4を備えるものに限定されるわけではない。
【0039】
図7は、タイプB照明装置を用いた時分割駆動タイプのプロジェクタの一例を示した説明図である。緑色固体光源1Gから出射された緑色光は、偏光変換装置103SによってS偏光光に変換される。赤色固体光源1Rから出射された赤色光は、偏光変換装置103PによってP偏光光に変換される。青色固体光源1Bから出射された青色光は、偏光変換装置103PによってP偏光光に変換される。各光源1R,1G,1Bは、LED点灯回路123によって時分割駆動される。πセル(スイッチング偏光回転素子)105はロッドインテグレータ104の光出射側に配置される。前記πセル105は、例えば液晶表示パネルにおいて偏光板を除いた構造に相当する構造を有するものであり、受け取った光の偏光方向を90度回転させる機能状態と回転させない機能状態とが通電ON/OFFによって切り替わる。例えば、光源1R或いは光源1Bが点灯している状態(P偏光光がロッドインテグレータ104を経てπセル105に供給される状態)では、πセルSW回路121からπセル105に電圧は印加されない(通電OFF)。このとき、πセル105は受け取ったP偏光光をS偏光光に変換する。一方、光源1Gが点灯している状態(S偏光光がロッドインテグレータ104を経てπセル105に供給される状態)では、πセル105に電圧が印加される(通電ON)。このとき、πセル105は受け取ったS偏光光をそのまま透過させる。すなわち、πセル105によって、各色光源からのP偏光光とS偏光光はどちらか一方(上記の場合はS偏光光)に統一される。
【0040】
偏光変換装置103Sは、図8に示しているように、偏光ビームスプリッタアレイ(以下、PBSアレイと称する)によって構成される。このPBSアレイにおける各偏光分離膜は、光源1からの光のうち例えばP偏光を通過させ、S偏光を90°光路変更する。光路変更されたS偏光は隣接の偏光分離膜(或いは反射膜)にて反射され、そのまま出射される。一方、偏光分離膜を透過したP偏光は、その前側(光出射側)に設けてある位相差板(1/2λ板)103aによってS偏光に変換されて出射される。すなわち、この場合には、ほぼ全ての光はS偏光に変換される。なお、偏光ビームスプリッタは、いわゆるワイヤーグリッド偏光板や偏光分離多層膜などによって構成される。また、偏光変換装置103Pは偏光変換装置103Sにおいて位相差板(1/2λ板)103aの位置を入れ替えればよい。ここで、光学素子50′における偏光ビームスプリッタ面部にとってP偏光となる光が赤色光源1R用の偏光変換装置103Pから供給されるようにしておく。同様に、光学素子50′における偏光ビームスプリッタ面部にとってP偏光となる光が青色光源1B用の偏光変換装置103Pから供給されるようにしておく。
【0041】
液晶表示パネル3Fは、透過型の液晶表示パネルである。液晶表示パネル3Fの入射側偏光板はS偏光光を透過させるようになっている。液晶表示パネル3FはLCDドライバ122によって駆動される。また、各光源1R,1G,1Bは第1光源102A及び第2光源102Bは、LED点灯回路123によって互いの位相を120°ずらされてパルス駆動される。そして、これらLCDドライバ122、LED点灯回路123、πセルスイッチ回路121は、制御回路124によって制御される。スイッチング偏光回転素子としてπセル105を示したが、これに限定されるものではない。また、P偏光光とS偏光光をどちらか一方に統一することを例示したが、どちらか一方に統一することに限定されるものではなく、各色光源からの光の偏光方向を統一できればよい。例えば、液晶表示パネルの光入出射偏光方向が45°である場合には前記S偏光光又はP偏光光のどちらかに統一する構成は採用されず、例えば、πセル105と光学素子50′との間に半波長板を配置し、前記45°に対応した偏光方向の光に統一することになる。
【0042】
タイプA照明装置を用いた時分割駆動タイプのプロジェクタについても、図7に示した構成と同様の構成を有するプロジェクタとすることができる。この場合には、πセル105及びπセルスイッチ回路121は特に必要ない。なお、光学素子50における偏光ビームスプリッタ面部にとってS偏光となる光が赤色光源1R用の偏光変換装置から供給されるようにしておく。同様に、光学素子50における偏光ビームスプリッタ面部にとってS偏光となる光が青色光源1B用の偏光変換装置から供給されるようにしておく。
【0043】
なお、図7に示したタイプB照明装置を用いた時分割駆動タイプのプロジェクタにおいて、光学素子50′から液晶表示パネル3Fまでの間に狭波長帯偏光回転素子を設けることにより、πセル及びπセルスイッチ回路121を必要としない構成を実現できる。
【0044】
図9は、タイプB照明装置を用いた時分割駆動タイプのプロジェクタの一例を示した説明図である。緑色固体光源1Gから出射された緑色光は、偏光変換装置103SによってS偏光光に変換される。赤色固体光源1Rから出射された赤色光は、偏光変換装置103PによってP偏光光に変換される。青色固体光源1Bから出射された青色光は、偏光変換装置103PによってP偏光光に変換される。そして、このプロジェクタは、液晶表示パネル3F′を備えている。
【0045】
図10には、一般的なノーマリーホワイトタイプの液晶表示パネル3Xの構造を示している。この液晶表示パネル3Xの入射側偏光板3Xaと出射側偏光板3Xbとは、その光透過軸方向が互いに90°異なるように配置される。この液晶表示パネル3Xの画素に対する通電がOFFのときには、入射光はその偏光方向が90°変換されて出射側偏光板3Xbから出射されるため、表示は白表示となる。逆に、前記画素に対する通電がONのときには、入射光の偏光の回転は生じないため、入射光は出射側偏光板3Xbを透過できず、表示は黒表示となる。
【0046】
前記液晶表示パネル3F′の構造は、前記液晶表示パネル3Xにおいて入射側偏光板を取り除いた構造に相当する。そして、LCDドライバ122は、各色光源の発光の切り替わり(P偏光光とS偏光光との切り替わり)タイミングに応じ、液晶表示パネル3F′がノーマリーホワイトタイプであると見做した映像信号供給と、液晶表示パネル3F′がノーマリーブラックタイプであると見做した映像信号供給と、を切り替える。すなわち、LCDドライバ122は、第1方向の偏光光が液晶表示パネル3F′に入射されるときには、出射側の偏光板に対して入射側の偏光方向がクロスする液晶表示パネル用に生成した映像信号又は出射側の偏光板に対して入射側の偏光方向がパラレルである液晶表示パネル用に生成した映像信号のどちらか一方の映像信号を液晶表示パネル3F′に供給する一方、第2方向の偏光の光が液晶表示パネル3F′に入射されるときには他方の映像信号を前記液晶表示パネルに供給する。
【0047】
以下、更に具体的に説明を行っていく。なお、以下の説明では、液晶表示パネル3F′の出射側偏光板はS偏光を透過させるものとする。赤色光源1Rが点灯してP偏光が出射されているタイミングでは、LCDドライバ122は、ノーマリーホワイト用の赤色用映像信号を液晶表示パネル3F′に供給する。赤100%に相当する映像信号が液晶表示パネル3F′に供給されるとき(すなわち、液晶表示パネル3F′の画素に対する通電がOFFのとき)、液晶表示パネル3F′に入射したP偏光光はその偏光方向が90°変換されることによってS偏光光となるため、前記出射側偏光板を透過することができ、表示は赤100%表示となる。青色光源1Bが点灯するタイミングにおいても、上記と同様の制御が実行される。一方、緑色光源1Gが点灯してS偏光が出射されているタイミングでは、LCDドライバ122は、ノーマリーブラック用の映像信号を液晶表示パネル3F′に供給する。緑100%に相当する映像信号が液晶表示パネル3F′に供給されるとき(すなわち、液晶表示パネル3F′の画素に対する通電がONのとき)、液晶表示パネル3F′に入射したS偏光光の回転は生じないため、前記出射側偏光板を透過することができ、表示は緑100%表示となる。
【0048】
すなわち、図9に示すプロジェクタであれば、LCDドライバ122によってノーマリーホワイト用の映像信号供給とノーマリーブラック用の映像信号供給とが光源1の点灯のタイミングに合わせて切り替わり、これら二つの映像信号が液晶表示パネル3F′(入射側偏光板無し)に供給されることになるため、πセル105を用いることなしに、映像表示を実現することができる。
【0049】
なお、以上の説明では、緑色光が偏光ビームスプリッタ面部で反射される場合を主に説明してきたが、これに限るものではない。3原色光のなかで出射光量が低い色光を偏光ビームスプリッタ面部等で反射することとしてもよい。また、透過型の画像表示パネルを用いた例を示したが、反射型の画像表示パネル(反射型液晶表示パネル、DMD(ディジタルマイクロミラーデバイス)等)を用いることもできる。
【0050】
図11はこの実施形態の白色光源色分離系を備える3板式カラー液晶プロジェクタの光学系を例示した図である。光源200の発光部は、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等から成り、その照射光はパラボラリフレクタによって平行光となって出射され、インテグレータレンズ201へと導かれる。
【0051】
インテグレータレンズ201は一対のレンズ群にて構成されており、個々のレンズ対が光源200から出射された光を液晶ライトバルブ211,212,213の全面へ導くようになっている。インテグレータレンズ201を経た光は、偏光ビームスプリッタアレイから成る偏光変換装置202を経て第1ダイクロイックミラー203へと導かれる。
【0052】
第1ダイクロイックミラー203は、赤色波長帯域の光を透過し、シアン(緑+青)の波長帯域の光を反射する。第1ダイクロイックミラー203を透過した赤色波長帯域の光は、反射ミラー204にて反射されて光路を変更される。反射ミラー204にて反射された赤色光はコンデンサレンズ208を経て赤色光用の透過型の液晶ライトバルブ211を透過することによって光変調される。一方、第1ダイクロイックミラー203にて反射したシアンの波長帯域の光は、第2ダイクロイックミラー205に導かれる。
【0053】
第2ダイクロイックミラー205は、青色波長帯域の光を反射し、緑色波長帯域の光を透過する。第2ダイクロイックミラー205にて反射した青色波長帯域の光はコンデンサレンズ209を経て青色光用の透過型の液晶ライトバルブ212に導かれ、これを透過することによって光変調される。また、第2ダイクロイックミラー205を透過した緑色波長帯域の光は、反射ミラー206,207、及びコンデンサレンズ210を経て緑色光用の透過型の液晶ライトバルブ213に導かれ、これを透過することによって光変調される。
【0054】
各液晶ライトバルブ211,212,213は、入射側偏光板と、一対のガラス基板(画素電極や配向膜を形成してある)間に液晶を封入して成るパネル部と、出射側偏光板とを備えて成る。液晶ライトバルブ211,212,213を経ることで変調された変調光(各色映像光)は、光学素子50(51)によって合成されてカラー映像光となる。このカラー映像光は、投写レンズ215によって拡大投写され、スクリーン上に投影表示される。
【0055】
図12に参考として従来構成の白色光源色分離系を備える3板式カラー液晶プロジェクタの光学系を例示する。本願の図11の液晶プロジェクタにおける第2ダイクロイックミラーが青色光を反射して緑色光を透過するのに対して図12の液晶プロジェクタにおける第2ダイクロイックミラー205′が緑色光を反射して青色光を透過する点、本願の図11の液晶プロジェクタにおける映像合成部材が光学素子50,51,50′であるのに対し、図12の液晶プロジェクタにおける映像光合成部材がクロスダイクロイックプリズム214である点である。このような図11の液晶プロジェクタにおいても、図6の液晶プロジェクタにおいて適用した技術と同様の技術を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の実施形態の光学素子を示した斜視図である。
【図2】図1の光学素子の平面図である。
【図3】この発明の他の実施形態の光学素子を示した平面図である。
【図4】一般的なダイクロイックミラーの特性を説明するための説明図である。
【図5】一般的なダイクロイックミラーによる緑色光の光量低減を示す説明図である。
【図6】この発明の実施形態の照明装置及びプロジェクタを示した説明図である。
【図7】この発明の他の実施形態の照明装置及びプロジェクタを示した説明図である。
【図8】偏光変換装置を示した説明図である。
【図9】この発明の他の実施形態の照明装置及びプロジェクタを示した説明図である。
【図10】液晶表示パネルの説明図である。
【図11】この発明の他の実施形態の照明装置及びプロジェクタを示した説明図である。
【図12】図11のプロジェクタとの関係で参考となる従来のプロジェクタを示した説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 光源
3 液晶表示パネル
50 光学素子
50a ダイクロイック面部
50b 偏光ビームスプリッタ面部
51 光学素子
51a ダイクロイック板
51b 偏光ビームスプリッタ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに色が異なる第1色の光と第2色の光と第3色の光のうち第1色の光及び第2色の光は透過し第3色の光は反射することによってこれら三つの色光のうちの第1色の光と第3色の光を特定光路に導くダイクロイック面部と、互いに直交する偏光方向を有する第1偏光光と第2偏光光のうち第1偏光光は透過し第2偏光光は反射する偏光ビームスプリッタ面部と、がクロスに配置されて成り、前記偏光ビームスプリッタ面部にて第2偏光光の第2色の光が前記特定光路に導かれることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光学素子において、4つの透明体三角柱の各々の二等辺山側となる二つの面を互いに密着させて成る六面体形状を有することを特徴とする光学素子。
【請求項3】
請求項1に記載の光学素子において、前記ダイクロイック面部を成す板部材と、偏光ビームスプリッタ面部を成す板部材と、からなり、一方の板部材が2分割され、これら2つの分割パーツが他方の板部材を挟むように配置された十字形状を有することを特徴とする光学素子。
【請求項4】
請求項1に記載の光学素子において、前記ダイクロイック面部を成す板部材と、偏光ビームスプリッタ面部を成す板部材と、からなり、両方の板部材がそれぞれ2分割され、これらが4つの分割パーツが互いの縁部を近接させることで十字形状を有することを特徴とする光学素子。
【請求項5】
互いに色が異なる第1色の光と第2色の光と第3色の光のうち第1色の光及び第2色の光は透過し第3色の光は反射することによってこれら三つの色光のうちの第1色の光と第3色の光を特定光路に導くダイクロイック面部と、互いに直交する偏光方向を有する第1偏光光と第2偏光光のうち第1偏光光は透過し第2偏光光は反射する偏光ビームスプリッタ面部と、がクロスに配置されて成り、前記偏光ビームスプリッタ面部は第2色の光に対してのみ偏光ビームスプリッタとして機能することで第2偏光光の第2色の光を前記特定光路に導くともに前記第1色の光及び第2色の光は第2偏光光であっても当該偏光ビームスプリッタ面部を透過して前記特定光路に進むことを特徴とする光学素子。
【請求項6】
請求項5に記載の光学素子において、4つの透明体三角柱の各々の二等辺山側となる二つの面を互いに密着させて成る六面体形状を有することを特徴とする光学素子。
【請求項7】
請求項5に記載の光学素子において、前記ダイクロイック面部を成す板部材と、偏光ビームスプリッタ面部を成す板部材と、からなり、一方の板部材が2分割され、これら2つの分割パーツが他方の板部材を挟むように配置された十字形状を有することを特徴とする光学素子。
【請求項8】
請求項5に記載の光学素子において、前記ダイクロイック面部を成す板部材と、偏光ビームスプリッタ面部を成す板部材と、からなり、両方の板部材がそれぞれ2分割され、これらが4つの分割パーツが互いの縁部を近接させることで十字形状を有することを特徴とする光学素子。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光学素子と、各色光を出射する3つの独立した固体光源を有する光学系又は白色光源からの白色光を各色光に分離する光学系と、から成り、各色光が前記光学素子によって前記特定光路に導かれ、且つ、第2色の光に関しては第2偏光光が利用され、他の二つの色光に関しては第1偏光光が利用されることを特徴とする照明装置。
【請求項10】
請求項9に記載の照明装置において、前記第2色の光は緑色光であることを特徴とする照明装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の照明装置において、白色光又は各色光の偏光方向を同一方向化した上で前記光学素子に入射させるための偏光光学素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項12】
請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の照明装置において、前記特定光路上には、特定の一つ又は二つの色光だけについて、その偏光方向を90°回転する狭波長帯偏光回転素子が設けられていることを特徴とする照明装置。
【請求項13】
請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の照明装置のうち固体光源からなる照明装置を備える投写型映像表示装置であって、前記照明装置の各固体光源をパルス発光駆動する手段と、前記特定光路上で受け取った光の偏光方向を90°回転させる機能状態と回転させない機能状態とが通電のON/OFFによって切り替わるスイッチング偏光回転素子と、前記スイッチング偏光回転素子を経た光を受ける画像表示パネルと、前記固体光源がパルス発光するタイミングに応じて前記スイッチング偏光回転素子をON/OFFさせることで全ての色光の偏光方向を同じに揃える手段と、前記固体光源がパルス発光するタイミングに応じて前記画像表示パネルに各色用の映像信号を供給する手段と、映像光を投写する投写手段と、を備えたことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項14】
請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の照明装置のうち固体光源からなる照明装置を備える投写型映像表示装置であって、前記照明装置の各固体光源をパルス発光駆動する手段と、前記固体光源から出射される光を受け取る位置に設けられた入射側偏光板を備えない液晶型の画像表示パネルと、第1偏光光が前記画像表示パネルに入射されるときには、出射側の偏光板に対して入射側の偏光方向がクロスする画像表示パネル用に生成した映像信号又は出射側の偏光板に対して入射側の偏光方向がパラレルである画像表示パネル用に生成した映像信号のどちらか一方の映像信号を前記画像表示パネルに供給する一方、第2偏光光が前記画像表示パネルに入射されるときには他方の映像信号を前記画像表示パネルに供給するパネル駆動手段と、映像光を投写する投写手段と、を備えたことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項15】
請求項12に記載の照明装置のうち固体光源からなる照明装置を備える投写型映像表示装置であって、前記照明装置の各固体光源をパルス発光駆動する手段と、前記狭波長帯偏光回転素子を経た光を受け取る画像表示パネルと、前記固体光源がパルス発光するタイミングに応じて前記画像表示パネルに各色用の映像信号を供給する手段と、映像光を投写する投写手段と、を備えたことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項16】
請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の光学素子と、各色光を出射する3つの独立した固体光源を有する光学系又は白色光源からの白色光を各色光に分離する光学系と、から成り、各色光が前記光学素子によって前記特定光路に導かれ、且つ、第2色の光に関しては第2偏光光が利用され、他の二つの色光に関しても第2偏光光が利用されることを特徴とする照明装置。
【請求項17】
請求項16に記載の照明装置において、前記第2色の光は緑色光であることを特徴とする照明装置。
【請求項18】
請求項16又は請求項17に記載の照明装置において、白色光又は各色光の偏光方向を同一方向化した上で前記光学素子に入射させるための偏光光学素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項19】
請求項16乃至請求項18のいずれかに記載の照明装置のうち固体光源からなる照明装置を備える投写型映像表示装置であって、前記照明装置の各固体光源をパルス発光駆動する手段と、前記特定光路上に設けられた画像表示パネルと、前記固体光源がパルス発光するタイミングに応じて前記画像表示パネルに各色用の映像信号を供給する手段と、映像光を投写する投写手段と、を備えたことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項20】
3枚の画像表示パネルを備えた投写型映像表示装置において、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光学素子と、前記光学素子の3つの光入射面にそれぞれ映像光を供給するように配置された各色用の前記画像表示パネルと、各色光を出射する3つの独立した固体光源を有する光学系又は白色光源からの白色光を各色光に分離する光学系と、映像光を投写する投写手段と、を備えて成り、第2色の光用の画像表示パネルから出射される映像光は第2偏光光であり、他の二つの画像表示パネルから出射される映像光は第1偏光光であることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項21】
請求項20に記載の投写型映像表示装置において、第2色の光用の画像表示パネルは緑色光用の画像表示パネルであることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項22】
請求項20又は請求項21に記載の投写型映像表示装置において、白色光又は各固体光源から出射された光の偏光方向を一方向化した上で各画像表示パネルに入射させるための偏光光学素子を備えたことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項23】
請求項20乃至請求項22のいずれかに記載の投写型映像表示装置において、前記特定光路上には、特定の一つ又は二つの色光だけについて、その偏光方向を90°回転する狭波長帯偏光回転素子が設けられていることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項24】
3枚の画像表示パネルを備えた投写型映像表示装置において、請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の光学素子と、前記光学素子の3つの光入射面にそれぞれ映像光を供給するように配置された各色用の前記画像表示パネルと、各色光を出射する3つの独立した固体光源を有する光学系又は白色光源からの白色光を各色光に分離する光学系と、映像光を投写する投写手段と、を備えて成り、前記3枚の画像表示パネルから出射される映像光は全て第2偏光光であることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項25】
請求項24に記載の投写型映像表示装置において、前記偏光ビームスプリッタ面部にて反射される映像光は緑色映像光であることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項26】
請求項24又は請求項25に記載の投写型映像表示装置において、白色光又は各固体光源から出射された光の偏光方向を同一方向化した上で各画像表示パネルに入射させるための偏光光学素子を備えたことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項27】
請求項20乃至請求項26のいずれかに記載の投写型映像表示装置において、前記光学素子の中央側の光入射面に光を供給する光学系は、前記固体光源からの光を90°光路変更する光路変更素子を備えていることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項28】
請求項20乃至請求項27のいずれかに記載の投写型映像表示装置において、前記光学素子の中央側の光入射面に赤色光を供給し、左右の光入射面に緑色光と青色光をそれぞれ供給することを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−65407(P2007−65407A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252697(P2005−252697)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】