説明

光学薄膜積層体

【課題】 加飾性、金属光沢性があり、光透過性と光吸収性が両立され、さらには導電性を有する光学薄膜積層体を提供することを課題とする。
【解決手段】 基材の一方の面に薄膜積層体を備える光学薄膜積層体であって、該薄膜積層体が高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層を少なくとも1層以上積層した積層構造であり、且つ、前記基材の薄膜積層体が形成されている面と反対側の面に導電性薄膜層が形成されていることを特徴とする光学薄膜積層体とした。また、前記導電性薄膜層が形成されている面の表面の表面抵抗率が1.00×10−4Ω/□未満であることを特徴とする光学薄膜積層体とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車部材、車両部材、家電用品部材、携帯電話部材、携帯ゲーム機部材、パーソナルコンピューター部材、PDA部材、オーディオ製品部材、カーナビゲーション部材、事務用品部材、スポーツ用品部材、雑貨部材、メガネ・サングラス部材、カメラ部材、光学用品部材、計測機器部材等に用いられる光学薄膜積層体であって、加飾性、金属光沢性があり、光透過性と光吸収性が両立され、さらには導電性を有する光学薄膜積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、各種部材を彩色する手段として塗料による塗装が一般的に行われている。しかし、塗装は基材により塗料を適宜選択する必要があるため面倒であること、均一な膜厚で塗装することが困難で熟練した技術が必要なこと、曲面への塗装では平面と異なる仕上がりになり易いこと、塗料の塗装ムラや異物の混入により塗膜の欠陥が生じること等の問題がある。
【0003】
加えて、塗装は多数の工程を要すること、塗装を行うための特殊な専用ブースが必要なこと、塗装ブースおよび塗料の乾燥室の設置には広い面積を占有すること、塗装は必要以上に塗料を消費するためエネルギー効率が悪いこと、一旦塗装された塗膜は回収が困難なためリサイクル性に乏しいこと、塗料の溶剤による作業環境・安全衛生環境の悪化・汚染が付きまとうこと等の問題もある。
【0004】
金属光沢を有する彩色を行う方法としては、塗装による方法、着色フィルムに金属材料を蒸着する方法がある。前者としては塗料の中にアルミニウムなどの金属フレーク、あるいは雲母フレークを混ぜて行うことができる。しかし、塗料に金属や雲母のフレークを混ぜる方法は、塗料中へのフレークの混入割合に限度があること、ある程度の金属光沢性および光反射性を得るためには3μm程度の厚膜に塗装する必要があること、金属光沢感が不十分なため違和感のある見た目になること、更には、乾燥手段に時間を要するため生産性に劣るという問題がある。
【0005】
一方、後者は金属材料の薄膜が緻密に形成されるため十分な金属光沢が得られる(特許文献1参照)。金属材料の一例としてはアルミニウムが用いられている。アルミニウムの蒸着は比較的容易であり、蒸着レートは速く、安価であり、何より容易に白金色が出せるため一般に利用されている。しかし、この方法によって所望の色の金属光沢を持つフィルムを得るためには色毎の着色フィルムを用意する必要があるため工程管理が面倒になる。更には、着色フィルムに色ムラがあると、着色フィルム上に形成される金属薄膜層の反射により色ムラが拡大されて目立ってしまうという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平10−139063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明にあっては、加飾性、金属光沢性があり、光透過性と光吸収性が両立され、さらには導電性を有する光学薄膜積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、基材の一方の面に薄膜積層体を備える光学薄膜積層体であって、該薄膜積層体が高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層を少なくとも1層以上積層した積層構造であり、且つ、前記基材の薄膜積層体が形成されている面と反対側の面に導電性薄膜層が形成されていることを特徴とする光学薄膜積層体とした。
【0009】
また、請求項2に係る発明としては、前記導電性薄膜層が形成されている面の表面の表面抵抗率が1.00×10−4Ω/□未満であることを特徴とする請求項1記載の光学薄膜積層体とした。
【0010】
また、請求項3に係る発明としては、前記導電性薄膜層が、三酸化インジウム(In)、二酸化錫(SnO)、一酸化亜鉛(ZnO)、一酸化カドミウム(CdO)、カドミウム錫の三酸化物(CdSnO)、カドミウム錫の四酸化物(CdSnO)のいずれの化合物も含まないことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光学薄膜積層体とした。
【0011】
また、請求項4に係る発明としては、前記薄膜積層体における高屈折率薄膜層及び低屈折率薄膜層が、真空成膜法により形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学薄膜積層体とした。
【0012】
また、請求項5に係る発明としては、請求項1乃至4のいずれかに記載の光学薄膜積層体を具備してなることを特徴とする成形品とした。
【発明の効果】
【0013】
上記構成の光学薄膜積層体とすることにより、加飾性、金属光沢性があり、光透過性と光吸収性が両立され、さらには導電性を有する光学薄膜積層体とすることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の光学薄膜積層体について説明する。
本発明の光学薄膜積層体は、基材の一方の面に高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層を少なくとも1層以上積層した薄膜積層体を備え、基材の薄膜積層体が形成されている面と反対側の面に導電性薄膜層を備える。
【0015】
図1は、本発明の光学薄膜積層体の一例の断面模式図を示した。この光学薄膜積層体1は、基材2と、基材2の一方の面上に設けられた薄膜積層体3と、基材2のもう一方の面上に設けられた導電性薄膜層4から構成される。
【0016】
図1の光学薄膜積層体にあっては、薄膜積層体3が基材2に近い側から順に高屈折率薄膜層5、低屈折率薄膜層6、高屈折率薄膜層7の3層が順次積層された積層構造をもつ。本発明にあって光学薄膜積層体は、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層を少なくとも1層以上備えていれば良く、図1に限定されるものではない。
【0017】
本発明の光学薄膜積層体にあっては、薄膜積層体の高屈折率薄膜層及び/または低屈折率薄膜層の光学干渉により、彩色を備える。また、本発明の光学薄膜積層体にあっては、薄膜積層体の高屈折率薄膜層及び/または低屈折率薄膜層を形成する材料により金属光沢を備える。
【0018】
また、本発明にあっては、薄膜積層体3が設けられた側の反対側の基材上に導電性薄膜層を備える。導電性薄膜層を備えることにより、光学薄膜積層体の導電性薄膜層表面は導電性を備えることが可能となる。導電性薄膜層は、電極層、帯電防止層、もしくは電波吸収層として機能させることができる。導電性薄膜層を、薄膜積層体が形成されている面と反対側の面に設けることによって他の層に挟まれずに表出した構造となるため、表面抵抗率がより低減でき、更には、製造時の表面抵抗率の制御及び再現性も容易になる。
【0019】
なお、本発明の光学薄膜積層体の導電性薄膜層が形成されている面の表面の表面抵抗率は1.00×10−4Ω/□以下であることが好ましい。導電性薄膜層が形成されている面の表面の表面抵抗率を1.00×10−4Ω/□以下とすることにより、低抵抗な導電性機能が必要とされる、タッチパネル、無機・有機ELの陽極、液晶パネルの電極、電波吸収体等の電子機器部材に適用することができる。
【0020】
なお、本発明の光学薄膜積層体においては、薄膜積層体を形成する高屈折率薄膜層及び低屈折率薄膜層、また、導電性薄膜層の形成材料及び各層の膜厚を変更することにより、光透過性と光吸収性を両立することができる。
【0021】
また、本発明の光学薄膜積層体において導電性薄膜層は、三酸化インジウム(In)、二酸化錫(SnO)、一酸化亜鉛(ZnO)、一酸化カドミウム(CdO)、カドミウム錫の三酸化物(CdSnO)、カドミウム錫の四酸化物(CdSnO)のいずれも含まないことが好ましい。
【0022】
理由は次のようになる。すなわち、三酸化インジウム(In)に関しては、希少金属であるインジウムが世界的に供給不足のため価格が高騰しており、問題となっている。インジウムの市場価格は、2004年以降価格が急激に上昇しており、2002年には80〜95USドル/kgであったものが、2004年には200USドル/kgを超え、2005年には1000USドル/kgを突破するまでに達している。2006年以降は価格が下降基調にあるものの未だ高水準であり、今後も当面、高値で推移するものと予測されている。更に、二酸化錫(SnO)に関しては、ある程度の厚膜にしないと低抵抗にならない、ウェットエッチングによるパターンニングが困難であるといった問題がある。一酸化亜鉛(ZnO)に関しては、大気中での抵抗率が経時的に不安定であり、温度の上昇により抵抗率が変化し易いといった問題がある。一酸化カドミウム(CdO)、カドミウム錫の三酸化物(CdSnO)、カドミウム錫の四酸化物(CdSnO)に関しては、毒性を有するカドミウムの化合物であるといった問題がある。
【0023】
導電性薄膜層を、三酸化インジウム(In)、二酸化錫(SnO)、一酸化亜鉛(ZnO)、一酸化カドミウム(CdO)、カドミウム錫の三酸化物(CdSnO)、カドミウム錫の四酸化物(CdSnO)のいずれも含まないとすることにより、上記の問題を回避した導電性を有する光学薄膜積層体を提供することができる。
【0024】
また、本発明の光学薄膜積層体の薄膜積層体において、高屈折率薄膜層及び低屈折率薄膜層は真空成膜法により形成されることが好ましい。本発明の光学薄膜積層体にあっては、薄膜積層体の高屈折率薄膜層及び/または低屈折率薄膜層の光学干渉により、彩色を備える。したがって、高屈折率薄膜層及び低屈折率薄膜層は面内において膜厚が均一であることが求められる。
【0025】
真空成膜法では基材表面の形状を保持したまま薄膜を形成することが可能であり、真空成膜法で堆積していく薄膜形成材料のサイズはオングストロームオーダーの原子・分子であるため、例えば、マイクロメーターオーダーの微細な凹凸を有する基材上に成膜しても表面に均一の厚さで堆積して凹部分を埋めずに元の凹凸形状を保持する。したがって、高屈折率薄膜層及び低屈折率薄膜層を真空成膜法により形成することにより、得られる光学薄膜積層体は色ムラのない表面加飾性を得ることができる。
【0026】
本発明の光学薄膜積層体は、具体的には、液晶ディスプレイ部材、自動車部材、車両部材、家電用品部材、携帯電話部材、パーソナルコンピューター部材、オーディオ製品部材、カーナビゲーション部材、事務用品部材、スポーツ用品部材、雑貨部材、メガネ・サングラス部材、カメラ部材、光学用品部材、計測機器部材等に適用され、成形品として用いることができる。
【0027】
特に、本発明の光学薄膜積層体は携帯電話、PDA、スマートフォン、携帯ゲーム機等の薄型携帯端末機の部材の成形品として用いることができる。薄型携帯端末機は液晶ディスプレイ部とその回りを囲む筐体部の間に溝、あるいは段差を有している場合が多い。溝、あるいは段差が存在することによってディスプレイ部が額縁のように縁取られるため形状デザインが醜くなり好ましくない。
【0028】
本発明の光学薄膜積層体を筐体及び液晶ディスプレイ表面に貼り合わせることによって、ディスプレイ点灯時はカラーフィルムを通して画像を視認でき、一方、ディスプレイ消灯時はディスプレイを囲う筐体部をカラーフィルムと同じ色調の部材で構成すればディスプレイ部と筐体部の色調が同じになってカラーデザインの統一感を演出できる。
【0029】
液晶ディスプレイ消灯時の液晶素子の色は濃い灰色をしているが、液晶素子の色自体を彩色することは出来ず、液晶ディスプレイとその回りを囲む筐体に色彩デザイン上の統一感を喪失しており好ましくない。本発明の光学薄膜積層体を用いることにより、消灯時に液晶ディスプレイと筐体の色調が一体となり、ディスプレイ部の存在を意識させないように隠すことができる。一方、点灯時はディスプレイ部が明るくなって画面を浮き上がらせることができる。
【0030】
また、本発明の光学薄膜積層体は、タッチパネル部材の成形品として用いることができる。本発明の光学薄膜積層体は、加飾性、金属光沢性があり、光透過性と光吸収性が両立され、さらには導電性を有するため、液晶ディスプレイの視認側に貼り合わせることにより、種々の機能の選択をディスプレイ上で展開することが可能になり、多彩なエンターテイメント性を演出できる。
【0031】
以下に本発明の光学薄膜積層体の製造方法について説明する。
【0032】
(基材)
本発明における基材としては、透明性を有しているものであれば特に限定されるものではなく、プラスチック、ガラス、あるいはこれらを複合した素材が挙げられる。
プラスチック素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリパラキシレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニルオキサイド、トリアセチルセルロース、セルロースアセテート、珪素樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ABSアロイ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ガラス素材としては、例えば、ソーダライムガラス、硼珪酸ガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、無アルカリガラス、鉛ガラス等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらプラスチック素材、ガラス素材を各種複合した素材でも構わない。
【0033】
基材の形状としては、表面が平滑であれば特に限定されず、板状、ロール状等が挙げられる。
【0034】
基材の表面は薄膜積層体を形成する前に、目的に応じて表面処理を施してもよい。表面処理法としては、例えば、コロナ処理法、蒸着処理法、電子ビーム処理法、高周波放電プラズマ処理法、スパッタリング処理法、イオンビーム処理法、大気圧グロー放電プラズマ処理法、アルカリ処理法、酸処理法等が挙げられる。
【0035】
基材の厚さは、目的の用途に応じて適宜選択され、通常5μm以上10mm以下である。プラスチック素材には、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等が含有されていてもよい。
【0036】
(薄膜積層体)
本発明における薄膜積層体は、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層の少なくとも1層以上の薄膜層を積層して形成されたものである。
【0037】
図1には、基材2に近い側から高屈折率薄膜層5、低屈折率薄膜層6、高屈折率薄膜層7の3層が順次積層してなる薄膜積層体3が示されているが、これは一実施例にすぎず、基材2の一方の面上に、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層の少なくとも一層以上を積層していれば、1層であっても、2層以上であってもよく、層数に制限はない。
【0038】
(高屈折率薄膜層)
本発明における高屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.75以上の層である。
光の透過性に優れた高屈折率薄膜層とする場合は、可視光領域での消衰係数を0.01未満にすれば良く、一方、光吸収性を有する高屈折率薄膜層とする場合は、可視光領域での消衰係数を0.01以上にすれば良い。
【0039】
高屈折率薄膜層の材料としては、例えば、
テルル化鉛(PbTe)(屈折率 1.75、消衰係数 2.90)、
三酸化イットリウム(Y)(屈折率 1.79、消衰係数 0)、
二酸化トリウム(ThO)(屈折率 1.80、消衰係数 0)、
ニッケル(Ni)(屈折率 1.87、消衰係数 3.32)、
三酸化ビスマス(Bi)(屈折率 1.91、消衰係数 0)、
三酸化ガドリニウム(Gd)(屈折率 1.93、消衰係数 0)、
三酸化ランタン(La)(屈折率 1.95、消衰係数 0)、
十一酸化プラセオジム(Pr11)(屈折率 1.95、消衰係数 0)、
ロジウム(Rh)(屈折率 1.97、消衰係数 5.02)、
二酸化ハフニウム(HfO)(屈折率 1.99、消衰係数 0)、
三酸化ネオジウム(Nd)(屈折率 2.00、消衰係数 0)、
一酸化珪素(SiO)(屈折率 2.00、消衰係数 0.03)、
三酸化アンチモン(Sb)(屈折率 2.04、消衰係数 0)、
一窒化珪素(SiN)(屈折率 2.06、消衰係数 0)、
二酸化ジルコニウム(ZrO)(屈折率 2.06、消衰係数 0)、
白金(Pt)(屈折率 2.13、消衰係数 3.71)、
五酸化タンタル(Ta)(屈折率 2.14、消衰係数 0)、
二酸化セリウム(CeO)(屈折率 2.20、消衰係数 0)、
三酸化クロム(Cr)(屈折率 2.24、消衰係数 0.07)、
五酸化ニオブ(Nb)(屈折率 2.27、消衰係数 0)、
二酸化チタン(TiO)(屈折率 2.32、消衰係数 0)、
一硫化亜鉛(ZnS)(屈折率 2.35、消衰係数 0)、
タンタル(Ta)(屈折率 2.48、消衰係数 1.83)、
チタン(Ti)(屈折率 2.54、消衰係数 3.34)、
一炭化珪素(SiC)(屈折率 2.66、消衰係数 0)、
セレン化亜鉛(ZnSe)(屈折率 2.69、消衰係数 0.02)、
鉄(Fe)(屈折率 2.89、消衰係数 3.35)、
三硫化アンチモン(Sb)(屈折率 3.00、消衰係数 0)、
クロム(Cr)(屈折率 3.12、消衰係数 4.42)、
タングステン(W)(屈折率 3.24、消衰係数 2.49)、
モリブデン(Mo)(屈折率 3.79、消衰係数 3.51)、
ゲルマニウム(Ge)(屈折率 3.95、消衰係数 1.98)、
珪素(Si)(屈折率 4.08、消衰係数 0.04)、
または、これら材料の混合物が挙げられる。屈折率、消衰係数は光の波長550nmのときの値である。
【0040】
光吸収性を有する高屈折率薄膜層とする場合は、可視光領域での消衰係数が0.01以上の材料を使用すればよいが、可視光領域の光透過性を有する程度の膜厚とする必要がある。膜厚が厚過ぎると光透過性のない層になり、逆に、膜厚が薄過ぎると光吸収性が不十分な層になる。光透過性と光吸収性を両立させる好ましい膜厚は0.3nm以上100nm以下である。
【0041】
ここで、図1に示す高屈折率薄膜層5、および7とは、必ずしも同一の材料でなくてもよく、目的に合わせて適宜選択されるものである。
【0042】
(低屈折率薄膜層)
本発明における低屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.75未満の層である。光の透過性に優れた低屈折率薄膜層とする場合は、可視光領域での消衰係数を0.01未満にすれば良く、一方、光吸収性を有する低屈折率薄膜層とする場合は、可視光領域での消衰係数を0.01以上にすれば良い。
【0043】
低屈折率薄膜層の材料としては、例えば、
銀(Ag)(屈折率 0.055、消衰係数 3.32)、
金(Au)(屈折率 0.331、消衰係数 2.32)、
銅(Cu)(屈折率 0.670、消衰係数 2.86)、
アルミニウム(Al)(屈折率 0.834、消衰係数 6.03)、
一窒化チタン(TiN)(屈折率 1.25、消衰係数 2.10)、
クライオライト(NaAlF)(屈折率 1.35、消衰係数 0)、
二弗化マグネシウム(MgF)(屈折率 1.38、消衰係数 0)、
一弗化リチウム(LiF)(屈折率 1.39、消衰係数 0)、
二弗化カルシウム(CaF)(屈折率 1.43、消衰係数 0)、
二酸化珪素(SiO)(屈折率 1.46、消衰係数 0)、
二弗化ストロンチウム(SrF)(屈折率 1.46、消衰係数 0)、
二弗化バリウム(BaF)(屈折率 1.48、消衰係数 0)、
三弗化イッテルビウム(YbF)(屈折率 1.52、消衰係数 0)、
タングステンとチタンの窒化物(TiN)(屈折率 1.54、消衰係数 1.52)、
四弗化トリウム(ThF)(屈折率 1.56、消衰係数 0)、
四弗化ハフニウム(HfF)(屈折率 1.57、消衰係数 0)、
三弗化ランタン(LaF)(屈折率 1.58、消衰係数 0)、
三弗化ネオジウム(NdF)(屈折率 1.60、消衰係数 0)、
三弗化セリウム(CeF)(屈折率 1.64、消衰係数 0)、
パラジウム(Pd)(屈折率 1.64、消衰係数 3.85)、
三酸化アルミニウム(Al)(屈折率 1.67、消衰係数 0)、
一酸化マグネシウム(MgO)(屈折率 1.74、消衰係数 0)、
または、これら材料の混合物が挙げられる。屈折率、消衰係数は光の波長550nmのときの値である。
【0044】
光吸収性を有する低屈折率薄膜層とする場合は、可視光領域での消衰係数が0.01以上の材料を使用すればよいが、可視光領域の光透過性を有する程度の膜厚とする必要がある。膜厚が厚過ぎると光透過性のない層になり、逆に、膜厚が薄過ぎると光吸収性が不十分な層になる。光透過性と光吸収性を両立させる好ましい膜厚は0.3nm以上100nm以下である。
【0045】
本発明における薄膜積層体の高屈折率薄膜層及び低屈折率薄膜層は、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等の真空成膜法により形成することが好ましい。
【0046】
真空成膜法では基材表面の形状を保持したまま薄膜を形成することが可能である。真空成膜法で堆積していく薄膜形成材料のサイズはオングストロームオーダーの原子・分子であるため、例えば、マイクロメーターオーダーの微細な凹凸を有する基材上に成膜しても表面に均一の厚さで堆積して凹部分を埋めずに元の凹凸形状を保持するため、色ムラのない表面加飾性を得ることができる。
【0047】
高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層に腐食、劣化性の金属材料を用いる場合は、腐食、劣化を防止するために高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層に隣接して保護層を形成してもよい。JIS Z0103−2004は腐食を「金属がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象。」と定義している。更に、耐食性を「金属が腐食に耐える性質。」、防食を「金属が腐食するのを防止すること。」としている。従って、保護層に使用する防食剤としては金属を防食する性能を有するものであれば如何なる材料でも構わない。
【0048】
防食剤としては、例えば、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する物、トリアゾール環を有する物、ピラゾール環を有する物、チアゾール環を有する物、イミダゾール環を有する物、インダゾール環を有する物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
防食剤を塗布する方法としては、スプレー法、マイクログラビア法、スクリーンコート法、ディップコート法等のウェットプロセスに加えて、蒸着法、CVD法、プラズマ重合法等の真空ドライプロセスにより成膜することができる。防食剤の成分の有効範囲に関しては、防食剤を成膜した箇所の表面に成分が存在する場合のみならず、成分が内部に浸透して表面以外の箇所でも存在する場合も含む。
【0050】
本発明における薄膜積層体は、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層を少なくとも1層以上積層して形成されたものである。これによると、彩色、金属光沢、光透過性、及び光吸収性を有する光学薄膜積層体を得ることができる。
【0051】
本発明の光学薄膜積層体においては、薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が15以上75以下、a*が10以上80以下、b*が−80以上80以下であることが好ましい。これによると、金属光沢と赤色の彩色を有する光学薄膜積層体とすることができる。
【0052】
本発明の光学薄膜積層体においては、薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*を15以上60以下、a*を−20以上70以下、b*を−80以上−10以下とすることが好ましい。これによると、金属光沢と青色の彩色を有する光学薄膜積層体とすることができる。
【0053】
本発明の光学薄膜積層体においては、薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*を15以上80以下、a*を−35以上35以下、b*を−20以上20以下とすることが好ましい。これによると、金属光沢と銀色、または黒色の彩色を有する光学薄膜積層体とすることができる。
【0054】
本発明の光学薄膜積層体においては、薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*を15以上80以下、a*を−30以上30以下、b*を5以上70以下とすることが好ましい。これによると、金属光沢と黄色の彩色を有する光学薄膜積層体とすることができる。
【0055】
本発明の光学薄膜積層体においては、薄膜積層体を形成した側に測定光源を設置し、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*を15以上80以下、a*を−75以上−5以下、b*を−45以上45以下とすることが好ましい。これによると、金属光沢と緑色の彩色を有する光学薄膜積層体とすることができる。
【0056】
なお、本発明の光学薄膜積層体におけるCIELABの明度L*、色相・彩度a*、b*は、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光を用いて、JIS Z 8729に準拠して測定したものであり、薄膜積層体4を形成した側と反対側の導電性薄膜層表面を黒く塗り、測定光源は基材の薄膜積層体を形成した側に設置している。
【0057】
(導電性薄膜層)
本発明おける導電性薄膜層は、薄膜積層体を形成した側と反対の基材の面上に、高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層から選ばれる1層の薄膜層を形成したものである。
【0058】
導電性薄膜層は、三酸化インジウム(In)、二酸化錫(SnO)、一酸化亜鉛(ZnO)、一酸化カドミウム(CdO)、カドミウム錫の三酸化物(CdSnO)、カドミウム錫の四酸化物(CdSnO)のいずれも含まないことが好ましい。
【0059】
導電性薄膜層の材料としては、例えば、
銀(Ag)(屈折率 0.055、消衰係数 3.32)、
金(Au)(屈折率 0.331、消衰係数 2.32)、
銅(Cu)(屈折率 0.670、消衰係数 2.86)、
アルミニウム(Al)(屈折率 0.834、消衰係数 6.03)、
一窒化チタン(TiN)(屈折率 1.25、消衰係数 2.10)、
タングステンとチタンの窒化物(TiN)(屈折率 1.54、消衰係数 1.52)、
パラジウム(Pd)(屈折率 1.64、消衰係数 3.85)、
ニッケル(Ni)(屈折率 1.87、消衰係数 3.32)、
ロジウム(Rh)(屈折率 1.97、消衰係数 5.02)、
白金(Pt)(屈折率 2.13、消衰係数 3.71)、
タンタル(Ta)(屈折率 2.48、消衰係数 1.83)、
チタン(Ti)(屈折率 2.54、消衰係数 3.34)、
クロム(Cr)(屈折率 3.12、消衰係数 4.42)、
タングステン(W)(屈折率 3.24、消衰係数 2.49)、
モリブデン(Mo)(屈折率 3.79、消衰係数 3.51)、
ゲルマニウム(Ge)(屈折率 3.95、消衰係数 1.98)、
または、これら材料の混合物が挙げられる。屈折率、消衰係数は光の波長550nmのときの値である。
【0060】
光吸収性を有する導電性薄膜層とする場合は、可視光領域での消衰係数が0.01以上の材料を使用すればよいが、可視光領域の光透過性を有する程度の膜厚とする必要がある。膜厚が厚過ぎると光透過性のない層になり、逆に、膜厚が薄過ぎると光吸収性が不十分な層になる。光透過性と光吸収性を両立させる好ましい膜厚は0.3nm以上50nm以下である。
【0061】
導電性薄膜層は、ドライプロセスやウェットプロセスにより形成が可能である。ドライプロセスの場合、例えば、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で成膜することができる。
【0062】
ウェットプロセスの場合、透明樹脂中に導電性材料を分散させた溶液を用いて、例えば、スプレー法、マイクログラビア法、スクリーンコート法、ディップコート法等で成膜することができる。勿論、導電性材料を分散させた溶液を真空蒸着法によって飛散させて成膜してもよい。
【0063】
導電性薄膜層に腐食、劣化性の金属材料を用いる場合は、腐食、劣化を防止するために導電性薄膜層に隣接して保護層を形成してもよい。保護層に使用する防食剤としては金属を防食する性能を有するものであれば如何なる材料でもよく、例えば、上記で記載した材料、あるいは混合物が挙げられる。
【0064】
防食剤を塗布する方法としては、スプレー法、マイクログラビア法、スクリーンコート法、ディップコート法等のウェットプロセスに加えて、蒸着法、CVD法、プラズマ重合法等の真空ドライプロセスにより成膜することができる。導電性薄膜層をウェットプロセスによって形成する場合は、導電性薄膜層を形成する溶液中に防食剤を添加してもよい。防食剤の成分の有効範囲に関しては、防食剤を成膜した箇所の表面に成分が存在する場合のみならず、成分が内部に浸透して表面以外の箇所でも存在する場合も含む。
【0065】
屈折率、および、消衰係数の光学定数に関しては、分光エリプソメトリー法を用いて、薄膜層試料の表面から反射してくる光の偏光状態の変化を測定することで求めることが可能である。消衰係数に関しては、0.01以上になると光の吸収が大きくなり、一方、0.01未満では光の吸収が小さくなるため、光吸収性を有する光吸収薄膜と光透過性に優れた透明薄膜を消衰係数の値で使い分けることが可能である。
【0066】
本発明の光学薄膜積層体は、以下の式で定義される5°入射、正反射光における波長550nmの光での吸収率が2%以上70%以下であることが好ましい。
(式) 吸収率(%)=100%−透過率(%)−反射率(%)
光学薄膜積層体の吸収率を2%以上70%以下とすることにより、光吸収性と光透過性を両立させた性能を付与することができる。光学薄膜積層体の吸収率が70%を超えるような場合、光透過性が不十分となってしまい、例えば、液晶ディスプレイ部材に適用した場合、ディスプレイ画面の画像の視認性が悪くなり問題になる。一方、光学薄膜積層体の吸収率が2%を満たない場合、光吸収性が不十分となってしまい、例えば、本発明の光学薄膜積層体を薄型携帯端末機の液晶ディスプレイ部とその回りを囲む筐体部の全面を覆うように貼り合わせた場合、ディスプレイ部と筐体部の色調が異なり、カラーデザインの統一感を演出できなくなり問題になる。
【0067】
本発明の光学薄膜積層体は、具体的には、自動車部材、車両部材、家電用品部材、携帯電話部材、携帯ゲーム機部材、パーソナルコンピューター部材、PDA部材、オーディオ製品部材、カーナビゲーション部材、事務用品部材、スポーツ用品部材、雑貨部材、メガネ・サングラス部材、カメラ部材、光学用品部材、計測機器部材等に適用される。
【0068】
本発明の光学薄膜積層体を、携帯電話、PDA、スマートフォン、携帯ゲーム機等の薄型携帯端末機の液晶ディスプレイ部上に貼り合わせることにより、ディスプレイ消灯時は液晶素子を見えなくして隠し、一方、ディスプレイ点灯時は光学薄膜積層体を通してディスプレイ画面の画像が視認できるようになる。更に、液晶ディスプレイ部のみならず、ディスプレイ部の周囲にある筐体をディスプレイ部も含めて本発明の光学薄膜積層体で被覆することによって、ディスプレイ消灯時にディスプレイ部と筐体の見た目の質感を一体にすることが可能になる。つまり、ディスプレイ点灯時だけディスプレイ部の画像が浮かび上がって視認できるようになるため、ディスプレイ部と周囲の筐体部のデザインに統一感を持たせることができるようになる。
【0069】
加えて、本発明の光学薄膜積層体を、薄型携帯端末機の液晶ディスプレイ部とその回りを囲む筐体部の全面を覆うように貼り合わせれば、液晶ディスプレイ部とその回りを囲む筐体部の間に溝、あるいは段差が無く滑らかになり、形状デザインがすっきりとした統一感のあるものになる。ディスプレイ部とその回りを囲む筐体部の形状が一体となることで構造上の容積を減らせるため薄型携帯端末機をより一層薄型化することも可能になる。
【0070】
更に、本発明の光学薄膜積層体は、導電性を有しているためタッチパネル部材として使用することができる。特に、導電性材料に三酸化インジウム、二酸化錫、一酸化亜鉛、一酸化カドミウム、カドミウム錫の三酸化物、カドミウム錫の四酸化物を使用しない場合には、安価でかつ生産供給が安定した、ウェットエッチングによるパターンニングが容易で、大気中での抵抗率が安定した、毒性の無い、加飾性、金属光沢性、光透過性、光吸収性を兼備した導電性部材を提供することが可能である。
【実施例】
【0071】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0072】
[実施例1]
図2に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層5、低屈折率薄膜層6、高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体3を以下のように形成した。
【0073】
まず、基材2上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚30nmの高屈折率薄膜層5を形成した。
【0074】
高屈折率薄膜層5の上に、二酸化珪素(SiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚15nmの低屈折率薄膜層6を形成した。
【0075】
低屈折率薄膜層6の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚55nmの高屈折率薄膜層7を形成した。
【0076】
高屈折率薄膜層7の上に、二酸化珪素(SiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚65nmの低屈折率薄膜層8を形成した。
【0077】
低屈折率薄膜層8の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚10nmの高屈折率薄膜層9を形成し、薄膜積層体3を完成させた。
【0078】
次に、基材2の薄膜積層体3を形成した面と反対の面上に、1層の薄膜層からなる導電性薄膜層4を以下のように形成した。
【0079】
基材2上に、ニッケル(Ni)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚7nmの導電性薄膜層4を形成し、光学薄膜積層体1を完成させた。
【0080】
得られた光学薄膜積層体1について、薄膜積層体3を形成した側と反対側の導電性薄膜層4表面を黒く塗り、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が35.9、a*が0.6、b*が0.2であった。
【0081】
得られた光学薄膜積層体1について、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、透過光における視感平均透過率Yは46.6%であった。
【0082】
以下の式で定義される5°入射、波長550nmの光における光学薄膜積層体1の吸収率は48.1%であった。

(式) 吸収率(%)=100%−透過率(%)−反射率(%)

【0083】
得られた光学薄膜積層体1を液晶ディスプレイに貼り合わせたところ、ディスプレイ消灯時は、銀色の金属光沢感が演出されており、更に、液晶素子の隠蔽性に優れていることが確認できた。一方、ディスプレイ点灯時は、光学薄膜積層体1を通してディスプレイに写し出された画像が浮かび上がり、画像が視認できた。
【0084】
上記した分光測定は、U−4000形 自記分光光度計(株式会社 日立製作所製)を用いて行った。測定手順は次に示すとおりである。まず、反射明度、および反射色相・彩度の場合、光学薄膜積層体1の薄膜積層体3を形成した側と反対側の導電性薄膜層4表面全面を黒い塗料でムラの出ないように塗りつぶした。黒い塗料で塗りつぶした基材2を太陽光の自然光あるいは蛍光灯などの人工光にかざして、基材2を通して光が漏れていないか確認した。基材2の黒塗りしなかった面側をU−4000形 自記分光光度計の測定光源に向けて設置した。このとき、薄膜積層体を形成した基材2表面における鉛直線に対して測定光が5°の角度を持って基材2表面に入射するように設置した。基材2表面で正反射される光の方向で、かつ、2°視野になる位置に測光器を設置して可視光領域(380〜780nm)における分光反射率を測定し、JIS Z 8701に規定される三刺激値X、Y、Zを求めた。三刺激値X、Y、Zの計算は5nm間隔で実施した。続いて、三刺激値を用いてJIS Z 8729に規定されるL*a*b*表色系の明度L*、色相・彩度a*、b*を求めた。
【0085】
次に、視感平均透過率Yの場合、光学薄膜積層体1の薄膜積層体3を形成した側をU−4000形 自記分光光度計の測定光源に向けて設置した。このとき、薄膜積層体を形成した基材2表面における鉛直線に対して測定光が5°の角度を持って基材2表面に入射するように設置した。基材2を透過した光の方向で、かつ、2°視野になる位置に測光器を設置して可視光領域(380〜780nm)における分光透過率を測定し、JIS Z 8701に規定される三刺激値X、Y、Zを求めた。三刺激値X、Y、Zの計算は5nm間隔で実施した。
【0086】
更に、吸収率に関しては、予め測定した可視光領域(380〜780nm)における分光反射率、および分光透過率のうち波長550nmのときのそれぞれの値を百分率から引いて求めた。吸収率を求める際の分光反射率の測定に関しては、光学薄膜積層体1の薄膜積層体3を形成した側と反対側の導電性薄膜層4表面を黒く塗らずに、光学薄膜積層体1の薄膜積層体3を形成した側をU−4000形 自記分光光度計の測定光源に向けて設置して行った。
【0087】
なお、本発明におけるCIELABの明度L*、色相・彩度a*、b*は、D65光源、5°入射、2°視野の条件でJIS Z 8729に準拠して測定したものである。
【0088】
また、得られた光学薄膜積層体1の導電性薄膜層4側の表面抵抗率を測定したところ6.93×10+1Ω/□であった。
【0089】
上記した表面抵抗率の測定は、ロレスタ−HP(三菱化学株式会社製)を用いて行った。プローブには四探針プローブ(プローブのピン間隔 5mm)を使用した。測定手順に関しては、JIS K 7194−1994に準拠した。
【0090】
[実施例2]
図3に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層5、高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層6、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体3を以下のように形成した。
【0091】
基材2上に、ニッケル(Ni)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚1.5nmの高屈折率薄膜層5を形成した。
【0092】
高屈折率薄膜層5の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚40nmの高屈折率薄膜層7を形成した。
【0093】
高屈折率薄膜層7の上に、二酸化珪素(SiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚50nmの低屈折率薄膜層6を形成した。
【0094】
低屈折率薄膜層6の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚15nmの高屈折率薄膜層9を形成し、薄膜積層体3を完成させた。
【0095】
次に、基材2の薄膜積層体3を形成した面と反対の面上に、1層の薄膜層からなる導電性薄膜層4を以下のように形成した。
【0096】
基材2上に、クロム(Cr)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚10nmの導電性薄膜層4を形成し、光学薄膜積層体1を完成させた。
【0097】
薄膜積層体3を形成した側と反対側の導電性薄膜層4表面を黒く塗り、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が54.5、a*が−0.5、b*が−0.9であった。
【0098】
得られた光学薄膜積層体1について、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、透過光における視感平均透過率Yは15.5%であった。
【0099】
5°入射、波長550nmの光における光学薄膜積層体1の吸収率は65.6%であった。
【0100】
得られた光学薄膜積層体1を液晶ディスプレイに貼り合わせたところ、ディスプレイ消灯時は、黒色の金属光沢感が演出されており、更に、液晶素子の隠蔽性に優れていることが確認できた。一方、ディスプレイ点灯時は、光学薄膜積層体1を通してディスプレイに写し出された画像が浮かび上がり、画像が視認できた。
【0101】
得られた光学薄膜積層体1の導電性薄膜層4側の表面抵抗率を測定したところ1.17×10+3Ω/□であった。
【0102】
[実施例3]
図4に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層5、低屈折率薄膜層6、高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体3を以下のように形成した。
【0103】
まず、基材2上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚70nmの高屈折率薄膜層5を形成した。
【0104】
高屈折率薄膜層5の上に、一窒化チタン(TiN)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚15nmの低屈折率薄膜層6を形成した。
【0105】
低屈折率薄膜層6の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚55nmの高屈折率薄膜層7を形成した。
【0106】
高屈折率薄膜層7の上に、一窒化チタン(TiN)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚15nmの低屈折率薄膜層8を形成した。
【0107】
低屈折率薄膜層8の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚35nmの高屈折率薄膜層9を形成し、薄膜積層体3を完成させた。
【0108】
次に、基材2の薄膜積層体3を形成した面と反対の面上に、1層の薄膜層からなる導電性薄膜層4を以下のように形成した。
【0109】
基材2上に、銀(Ag)中に金(Au)を2.5原子パーセント含有させた合金を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚9nmの導電性薄膜層4を形成した。
【0110】
更に、導電性薄膜層4の上に、防食剤の2‐ヘプタデシルイミダゾールをメタノールの溶媒に溶解した溶液をマイクログラビア法で塗布して保護層10を形成し、光学薄膜積層体1を完成させた。
【0111】
得られた光学薄膜積層体1について、薄膜積層体3を形成した側と反対側の導電性薄膜層4表面を黒く塗り、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が38.5、a*が−29.5、b*が0.4であった。
【0112】
得られた光学薄膜積層体1について、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、透過光における視感平均透過率Yは25.0%であった。
【0113】
5°入射、波長550nmの光における光学薄膜積層体1の吸収率は62.2%であった。
【0114】
得られた光学薄膜積層体1を液晶ディスプレイに貼り合わせたところ、ディスプレイ消灯時は、緑色の金属光沢感が演出されており、更に、液晶素子の隠蔽性に優れていることが確認できた。一方、ディスプレイ点灯時は、光学薄膜積層体1を通してディスプレイに写し出された画像が浮かび上がり、画像が視認できた。
【0115】
得られた光学薄膜積層体1の導電性薄膜層4側の表面抵抗率を測定したところ1.15×10+1Ω/□であった。
【0116】
[実施例4]
図3に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層5、高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層6、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体3を以下のように形成した。
【0117】
基材2上に、ニッケル(Ni)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚2.0nmの高屈折率薄膜層5を形成した。
【0118】
高屈折率薄膜層5の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚65nmの高屈折率薄膜層7を形成した。
【0119】
高屈折率薄膜層7の上に、二酸化珪素(SiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚65nmの低屈折率薄膜層6を形成した。
【0120】
低屈折率薄膜層6の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚30nmの高屈折率薄膜層9を形成し、薄膜積層体3を完成させた。
【0121】
次に、基材2の薄膜積層体3を形成した面と反対の面上に、1層の薄膜層からなる導電性薄膜層4を以下のように形成した。
【0122】
基材2上に、ニッケル(Ni)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚5nmの導電性薄膜層4を形成し、光学薄膜積層体1を完成させた。
【0123】
薄膜積層体3を形成した側と反対側の導電性薄膜層4表面を黒く塗り、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が47.5、a*が0.7、b*が−40.0であった。
【0124】
得られた光学薄膜積層体1について、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、透過光における視感平均透過率Yは41.2%であった。
【0125】
5°入射、波長550nmの光における光学薄膜積層体1の吸収率は44.0%であった。
【0126】
得られた光学薄膜積層体1を液晶ディスプレイに貼り合わせたところ、ディスプレイ消灯時は、青色の金属光沢感が演出されており、更に、液晶素子の隠蔽性に優れていることが確認できた。一方、ディスプレイ点灯時は、光学薄膜積層体1を通してディスプレイに写し出された画像が浮かび上がり、画像が視認できた。
【0127】
得られた光学薄膜積層体1の導電性薄膜層4側の表面抵抗率を測定したところ2.67×10+2Ω/□であった。
【0128】
[実施例5]
図2に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層5、低屈折率薄膜層6、高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体3を以下のように形成した。
【0129】
基材2上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚85nmの高屈折率薄膜層5を形成した。
【0130】
高屈折率薄膜層5の上に、二酸化珪素(SiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚90nmの低屈折率薄膜層6を形成した。
【0131】
低屈折率薄膜層6の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚25nmの高屈折率薄膜層7を形成した。
【0132】
高屈折率薄膜層7の上に、二酸化珪素(SiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚40nmの低屈折率薄膜層8を形成した。
【0133】
低屈折率薄膜層8の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚20nmの高屈折率薄膜層9を形成し、薄膜積層体3を完成させた。
【0134】
次に、基材2の薄膜積層体3を形成した面と反対の面上に、1層の薄膜層からなる導電性薄膜層4を以下のように形成した。
【0135】
基材2上に、タングステン(W)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚7nmの導電性薄膜層4を形成し、光学薄膜積層体1を完成させた。
【0136】
得られた光学薄膜積層体1について、薄膜積層体3を形成した側と反対側の導電性薄膜層4表面を黒く塗り、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、
D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が32.6、a*が−0.7、b*が43.0であった。
【0137】
得られた光学薄膜積層体1について、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、透過光における視感平均透過率Yは30.2%であった。
【0138】
5°入射、波長550nmの光における光学薄膜積層体1の吸収率は39.0%であった。
【0139】
得られた光学薄膜積層体1を液晶ディスプレイに貼り合わせたところ、ディスプレイ消灯時は、黄色の金属光沢感が演出されており、更に、液晶素子の隠蔽性に優れていることが確認できた。一方、ディスプレイ点灯時は、光学薄膜積層体1を通してディスプレイに写し出された画像が浮かび上がり、画像が視認できた。
【0140】
得られた光学薄膜積層体1の導電性薄膜層4側の表面抵抗率を測定したところ3.50×10+1Ω/□であった。
【0141】
[実施例6]
図2に示すように、基材2である、厚さ100μmの無色透明なポリエチレンテレフタレートのフィルムの一方の面上に、高屈折率薄膜層5、低屈折率薄膜層6、高屈折率薄膜層7、低屈折率薄膜層8、高屈折率薄膜層9からなる薄膜積層体3を以下のように形成した。
【0142】
基材2上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚100nmの高屈折率薄膜層5を形成した。
【0143】
高屈折率薄膜層5の上に、二酸化珪素(SiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚115nmの低屈折率薄膜層6を形成した。
【0144】
低屈折率薄膜層6の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚60nmの高屈折率薄膜層7を形成した。
【0145】
高屈折率薄膜層7の上に、二酸化珪素(SiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚150nmの低屈折率薄膜層8を形成した。
【0146】
低屈折率薄膜層8の上に、二酸化チタン(TiO)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚85nmの高屈折率薄膜層9を形成し、薄膜積層体3を完成させた。
【0147】
次に、基材2の薄膜積層体3を形成した面と反対の面上に、1層の薄膜層からなる導電性薄膜層4を以下のように形成した。
【0148】
基材2上に、ニッケル(Ni)を電子ビームを利用した真空蒸着法によって堆積させ、物理膜厚7.5nmの導電性薄膜層4を形成し、光学薄膜積層体1を完成させた。
【0149】
得られた光学薄膜積層体1について、薄膜積層体3を形成した側と反対側の導電性薄膜層4表面を黒く塗り、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、正反射光におけるCIELAB(JIS Z 8729に準拠)のL*が60.5、a*が48.6、b*が−0.1であった。
【0150】
得られた光学薄膜積層体1について、基材2の薄膜積層体3を形成した側に測定光源を設置したとき、D65光源、5°入射、2°視野、透過光における視感平均透過率Yが34.8%であった。
【0151】
5°入射、波長550nmの光における光学薄膜積層体1の吸収率は45.4%であった。
【0152】
得られた光学薄膜積層体1を液晶ディスプレイに貼り合わせたところ、ディスプレイ消灯時は、赤色の金属光沢感が演出されており、更に、液晶素子の隠蔽性に優れていることが確認できた。一方、ディスプレイ点灯時は、光学薄膜積層体1を通してディスプレイに写し出された画像が浮かび上がり、画像が視認できた。
【0153】
得られた光学薄膜積層体1の導電性薄膜層4側の表面抵抗率を測定したところ4.84×10+1Ω/□であった。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の光学薄膜積層体の一例の断面模式図である。
【図2】実施例1、5、6の光学薄膜積層体を示す断面模式図である。
【図3】実施例2、4の光学薄膜積層体を示す断面模式図である。
【図4】実施例3の光学薄膜積層体を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0155】
1 光学薄膜積層体
2 基材
3 薄膜積層体
4 導電性薄膜層
5 高屈折率薄膜層
6 低屈折率薄膜層
7 高屈折率薄膜層
8 低屈折率薄膜層
9 高屈折率薄膜層
10 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に薄膜積層体を備える光学薄膜積層体であって、
該薄膜積層体が高屈折率薄膜層、低屈折率薄膜層を少なくとも1層以上積層した積層構造であり、且つ、
前記基材の薄膜積層体が形成されている面と反対側の面に導電性薄膜層が形成されていることを特徴とする光学薄膜積層体。
【請求項2】
前記導電性薄膜層が形成されている面の表面の表面抵抗率が1.00×10−4Ω/□未満であることを特徴とする請求項1記載の光学薄膜積層体。
【請求項3】
前記導電性薄膜層が、三酸化インジウム(In)、二酸化錫(SnO)、一酸化亜鉛(ZnO)、一酸化カドミウム(CdO)、カドミウム錫の三酸化物(CdSnO)、カドミウム錫の四酸化物(CdSnO)のいずれの化合物も含まないことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光学薄膜積層体。
【請求項4】
前記薄膜積層体における高屈折率薄膜層及び低屈折率薄膜層が、真空成膜法により形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学薄膜積層体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光学薄膜積層体を具備してなることを特徴とする成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−92913(P2009−92913A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263032(P2007−263032)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】