説明

光学部品用樹脂原料組成物、光学部品用樹脂および光学部品

【課題】優れた透明性を有すると共に、クラックを発生させず、形状安定性も優れ、かつ熱に対して安定で黄変が発生せず、金型からの離型性にも優れた光学部品用樹脂を製造するための原料組成物および光学部品を提供する。
【解決手段】特定の構造を有する、アダマンチル基を含む(メタ)アクリレート化合物(A)と低分子量の(メタ)アクリレート化合物(B)及び下記一般式(III)で表される脂肪族化合物(C)を含有する光学部品用樹脂原料組成物である。[R4は炭素数6〜30の脂肪族炭化水素基、Wは水素原子、金属原子又は炭素数1〜8の炭化水素基である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた透明性を有すると共に、クラックを発生させず、形状安定性も優れ、かつ熱に対して安定で黄変が発生せず、金型からの離型性にも優れた光学部品用樹脂を製造するための原料組成物、光学部品用樹脂および光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、透明性樹脂として、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、脂環型オレフィンポリマー(例えば、特許文献1参照)及びエポキシ樹脂などが知られている。これらの透明性樹脂は、工業的にも大量に製造され、その良好な透明性を生かして各分野で大量に使用されている。
【0003】
また、これらの透明性樹脂は、その良好な透明性に加えて、軽量性、成形性を活かしガラス代替品として利用されている。さらに、透明性樹脂は、近年の軽薄短小化、部品点数の削減を反映して、ハンダリフロー工程で耐えうる材料が望まれており、そのためには光線透過率などの光学特性に加えて非常に高い耐熱性が求められている。
【0004】
しかしながら、上記の透明性樹脂は、耐熱性が必ずしも充分ではない。例えば上記の透明性樹脂のうちで耐熱性の最も高い樹脂とされるポリカーボネート樹脂でも、その耐熱性の指標であるガラス転移温度は150℃程度であり、より高い耐熱性を持つ新しい透明樹脂の開発が望まれている。
【0005】
透明性樹脂として、具体的には、ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート系重合体やポリカーボネート系重合体が既に光学部品用樹脂材料の用途に供せられている。しかし、上記ポリ(メタ)アクリレート系重合体の中のポリメチルアクリレートは、耐熱性、耐熱安定性、耐溶剤性などの性能に劣ると共に、吸水性が大きく耐水性にも劣るので、これらの性能の要求される分野では利用できない。また、ポリメチルメタクリレートは、光学部品用樹脂材料の用途に供せられるが、ハンダリフロー工程に耐えうるような非常に高い耐熱性、耐熱安定性の要求される分野には適用できない。
【0006】
光学部品用樹脂材料の分野において、従来から知られているポリ(メタ)アクリレート系重合体が有する上述の問題を改善する方法として、多環式脂環族アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体や、多環式脂環族アルキル(メタ)アクリレートと各種の(メタ)アクリレート系単量体の共重合体を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
【0007】
この特許文献2及び3に記載の多環式脂環族アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体やその共重合体は、いずれも従来から使用されているポリメチル(メタ)アクリレートに比べて耐熱性及び耐熱安定性は改善されるが、その改善幅は小さく、ハンダリフロー工程に耐える耐熱性には達していない。特許文献4にアダマンチル(メタ)アクリレートについて公開されているが、光学部材用途で用いるには耐熱性が不十分でありハンダリフロー工程時変形や破断が発生する。
このため光学部品用樹脂材料の分野において、透明性が高く、クラックを発生させず、形状安定性も優れ、さらに耐熱性及び耐熱安定性に優れた材料の開発が強く要望されている。また、光学部品を製造する場合には金型からの光学部品の離型性が重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−105131号公報
【特許文献2】特公平7−17713号公報
【特許文献3】特開平6−208001号公報
【特許文献4】特開2006−213851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記状況に鑑みて為されたものであり、優れた透明性を有すると共に、クラックを発生させず、形状安定性も優れ、かつ熱に対して安定で黄変が発生せず、成形時、金型からの離型性にも優れた光学部品用樹脂を製造するための原料組成物、光学部品用樹脂および光学部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、アダマンチル基を含み、剛直な部位を有する(メタ)アクリレート化合物(A)と柔軟な部位を有する(メタ)アクリレート化合物(B)及び特定構造の酸化防止剤(C)を含む樹脂組成物が上記目的に適うものであることを見出した。
即ち本発明は、以下の光学部品用樹脂原料組成物、光学部品用樹脂及び光学部品を提供するものである。
【0011】
1.下記一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)と、下記一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)および下記一般式(III)で表される脂肪族化合物(C)を含有し、かつ
(1)(メタ)アクリレート化合物(A)は、Xが少なくとも1つはアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含むこと、
(2)(メタ)アクリレート化合物(B)の質量平均分子量が140〜2500であること、(3)(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との比率が、40〜100質量%:60〜0質量%であること、
及び
(4)(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との合計量100質量部に対して、脂肪族化合物(C)0.01〜10質量部を含有すること、
を特徴とする光学部品用樹脂原料組成物。
【0012】
【化1】

(Xは多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は単環式脂肪族炭化水素基、Yは独立に直接結合、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数1〜4のオキシアルキレン基、R1は独立に水素原子又はメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
【0013】
【化2】

〔Z1は、エーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び/又は-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)、R2は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜8の整数である。〕
【0014】
【化3】

[R4は炭素数6〜30の脂肪族炭化水素基、Wは水素原子、金属原子又は炭素数1〜8の炭化水素基である。]
【0015】
2.(メタ)アクリレート化合物(B)が下記の一般式(IV)又は一般式(V)で表される化合物である上記1の光学部品用樹脂原料組成物。
【化4】

(Z2は、エーテルを含んでも良い炭素数1〜30の直鎖状又はエーテル結合を含んでも良い炭素数3〜30の分岐状脂肪族炭化水素基、単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれる一種以上の有機基、Y1はエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基、R5は独立に炭素数1〜4のアルキレン基を示し、pは2〜20の整数である。R2およびmは前式と同様である。)
【0016】
3.一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)のY1が、-(CH2)r-、-(CH3CH)r-で表されるアルキレン基(rは5〜30の整数)又は-(CR6−CR7)q-で表されるプロピレン基(R6、R7のどちらかが水素原子で他方がメチル基、qは2〜15の整数)である上記2の光学部品用樹脂原料組成物。
4.(メタ)アクリレート化合物(A)の20〜100質量%がアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物である上記1〜3のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
5.一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)において、nが1であるものとnが2〜4であるものの比率が50〜0質量%:50〜100質量%である上記1〜4のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
6.一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)におけるmが4〜8の整数であり、Z1の分子量が400以下であり、Z1中にエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)以外の有機基を15〜50質量%を含有する上記1〜5のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
【0017】
7.脂肪族化合物(C)の融点が−40〜140℃の範囲である上記1〜6のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
8.脂肪族化合物(C)のWが水素原子であり、R4が炭素数6〜20の脂肪族炭化水素基である上記1〜7のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
9.脂肪族化合物(C)のWが金属原子であり、R4が炭素数6〜18の脂肪族炭化水素基である上記1〜7のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
10脂肪族化合物(C)のWが炭化水素基であり、R4とWの炭化水素基の炭素数の合計が7〜30である上記1〜7のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
11.(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)の合計量100質量部に対して、酸化防止剤0.01〜10質量部を含有する上記1〜10のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物。
12.上記1〜11のいずれかの光学部品用樹脂原料組成物を重合して得られた光学部品用樹脂。
13.上記12の光学部品用樹脂を成形して得られた光学部品。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、優れた透明性を有すると共に、クラックを発生させず、形状安定性も優れ、かつ熱に対して安定で黄変が発生せず、成形時金型からの離型性にも優れた光学部品用樹脂が得られる原料組成物、光学部品用樹脂及び光学部品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物は、次の一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)と、一般式(II)で表される(メタ)クリレート化合物(B)を含有するものである。なお、「(メタ)アクリレート化合物」は、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の双方を含むことを示す。
次に本発明の光学部品用樹脂原料組成物の各成分を説明する。
【0020】
【化5】

(Xは、多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は単環式脂肪族炭化水素基、Yは独立に、直接結合、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数1〜4のオキシアルキレン基、R1は独立に水素原子又はメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
【0021】
【化6】

〔Z1は、エーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び/又は-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)、R2は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜8の整数である。〕
【0022】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物において、(メタ)アクリレート化合物(A)は、光学部品用樹脂において主にハードセグメントとなるものであり、重合した際に分子間で運動性が低い部位になる。
先ず、一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)において、Xの多環式脂肪族炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、ノルボルニル基、1−メチル−ノルボルニル基、5,6−ジメチル−ノルボルニル基、イソボルニル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、9−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンタニル基及び、下記の一般式で表されるアダマンチル基などがある。
【0023】
【化7】

上式中、Uは炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基又は、2つのUが一緒になって形成された=Oを示す。kは0〜15の整数を示す。また、複数のUは同じでもよく、異なっていてもよい。
これらの中で、ジシクロペンタニル基、1−アダマンチル基が好ましく、特に1−アダマンチル基が好適である。なお、上記例示の各基は、モノイル基のみならず、ジイル基、トリイル基およびテトライル基を包含する。
【0024】
一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物が、一種であっても二種以上の組み合わせであってもよい。
一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)は、耐熱性の観点から(メタ)アクリレート化合物(A)の20〜100質量%がアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物である(実施例17〜24を参照)。
一般式(I)において、アダマンチル基を含み、nが1である化合物としては、アダマンチルメタノール(メタ)アクリレート及びアダマンチルエタノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0025】
前記の、nが2である化合物としては、アダマンチルジメタノールジ(メタ)アクリレート及びアダマンチルジエタノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記の、nが3である化合物としては、アダマンチルトリメタノールトリ(メタ)アクリレート及びアダマンチルトリエタノールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0026】
Yは独立に、直接結合、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数1〜4のオキシアルキレン基、アルキレン基であり、具体的には、-C-、-C-C-、-C-C-C-、-C-C-C-C-、-C(C)-C-、-C(C2)-C-などがあり、オキシアルキレン基として具体的には、-C-O-、-C-C-O-、-C-C(C)-O-、-C-C-C-O-、-C-C-C-C-O-、-C-C-O-C-、-C-O-C-などがある。
XとYの部分は重合した際にハードセグメント部位にあたるので、Xは、多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は単環式脂肪族炭化水素基であることが必須となり、Yは直接結合、炭素数4以下のアルキレン基又炭素数4以下のオキシアルキレン基であることが必須となる。
【0027】
(メタ)アクリレート化合物(A)において、アダマンチル基を含む(メタ)アクリレート化合物を含有するものの比率は、20〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることが更に好ましい。該比率を20質量%以上とすることにより、熱に対する変色性を抑制することができる。
【0028】
前記の芳香族炭化水素基としては、ビフェニル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセン基、ビスフェノール基及び、下記の芳香族炭化水素化合物の残基などを挙げることができる。なお、上記例示の各基は、モノイル基のみならず、ジイル基、トリイル基およびテトライル基を包含する。
【化8】

【0029】
前記の単環式脂肪族炭化水素基としてシクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
なお、上記例示の各基は、モノイル基のみならず、ジイル基、トリイル基およびテトライル基を包含する。
このようにXが芳香族炭化水素基や単環式脂肪族炭化水素基からなる(メタ)アクリレート化合物としては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0030】
(メタ)アクリレート化合物(A)は、一般式(I)において、nが1であるものとnが2〜4であるものの比率が50〜0質量%:50〜100質量%であることが必要であり、該比率が40〜0質量%:60〜100質量%であることが好ましい。
一般式(I)においてnが1であるものの比率が50質量%以下とすることにより、熱履歴後にクラックが発生せず、形状安定性に優れた光学用樹脂が得られる。Xがアダマンチル基のみの場合や、nが1だけである場合は耐熱性や安定性に影響を与える。
【0031】
(メタ)アクリレート化合物(B)は、下記の一般式(II)表される(メタ)クリレート化合物であり、一種であっても二種以上の組み合わせであっても良く、架橋密度の観点からmが2以上の化合物が好ましい。
(メタ)アクリレート化合物(B)の質量平均分子量は140〜2500であり、好ましくは190〜2000である。(メタ)アクリレート化合物(B)の質量平均分子量が2500を越えると熱履歴後に形状の変化を招く可能性がある。
【0032】
【化9】

〔Z1は、エーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び/又は-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)、R2は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜8の整数である。〕
【0033】
(メタ)アクリレート化合物(B)のZ1には、上記のエーテル結合を含んで良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基や-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基が含まれていれば、他に炭素数5未満の該直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基などを含んでいても良い。
これらのエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基や-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基が光学部品用樹脂におけるソフトセグメントとなるものである。ソフトセグメント(いわゆる屈曲性部位を多く有する部位)は分子内でポリマー鎖の運動性が高くなり、柔軟な部位になる。
【0034】
また、(メタ)アクリレート化合物(B)のZ1が、上記のエーテル結合を含んで良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基である場合は下記の一般式(IV)であることが好ましく、又は(メタ)アクリレート化合物(B)のZ1が、-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基である場合は下記の一般式(V)で表される化合物であることが好ましい。
【化10】

(Z2は、エーテル結合を含んでも良い炭素数1〜30の直鎖状又はエーテル結合を含んでも良い炭素数3〜30の分岐状炭化水素基、単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれる一種以上の有機基、Y1はエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基、R5は独立に炭素数1〜4のアルキレン基を示し、pは2〜20の整数である。R2およびmは前式と同様である。)
【0035】
2の単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基については一般式(I)で説明したのと同様である。またR4の炭素数1〜4のアルキレン基も一般式(I)で説明したのと同様である。
2のエーテル結合を含んでも良い炭素数1〜30の直鎖状脂肪族炭化水素基とはアルキレン基やオキシアルキレン基を示す。アルキレン基やオキシアルキレン基については一般式(I)のYで説明と同様である。
2のエーテル結合を含んでも良い炭素数3〜30の分岐状脂肪族炭化水素基とはイソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、イソヘキシル基等が挙げられる。それらの炭素と炭素の間にエーテル結合を含んでも良い。
【0036】
1の非環状炭化水素基の具体的は例としては、-(CH2)r-、-(CH3CH)r-で表されるアルキレン基(rは5〜30の整数)、-(CR5−CR6)q-表されるプロピレン基〔R5、R6のどちらかが水素原子で他方がメチル基、qは2〜15の整数〕、-(CH2O)r-、-(CH3CHO)r-〔rは5〜30の整数〕等で表されるアルコキシ基である。
さらに、上記の一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)のY1が、-(CH)r-で表される直鎖アルキレン基(rは5〜30の整数)又は-(CR5−CR6)q-表されるプロピレン基(R5、R6のどちらかが水素原子で他方がメチル基、qは2〜15の整数)である化合物であることが好ましい。
【0037】
一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物でmが2の化合物としては、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(サートマー・ジャパン(株)製)、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、水添ポリブタジエンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0038】
一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物でmが3以上の化合物としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、多官能性ポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0039】
一般式(V)で表される(メタ)アクリレート化合物でmが2の化合物としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、pが2〜20のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジオールジアクリレート(サートマー・ジャパン(株)製)などが挙げられる。好ましくは、pが2〜20のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
【0040】
一般式(V)で表される(メタ)アクリレート化合物でmが3以上の化合物としては、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、pが2〜20のアルコキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、アルコキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、pが2〜20のアルコキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、pが2〜20のアルコキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、pが2以上のアルコキシ化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)におけるmが4〜8の整数である化合物では、Z1の分子量が400以下であり、Z1中にエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)以外の有機基である(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0041】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物は、化合物(A)および化合物(B)の合計量に対して、化合物(A)が40〜100質量%、化合物(B)が60〜0質量%であることを要する。化合物(A)が45〜100質量%、化合物(B)が55〜0質量%であることが好ましく、化合物(A)が50〜100質量%、化合物(B)が50〜0質量%であることが更に好ましい。化合物(A)が40質量%以上であると添加効果が得られて熱に対する変形、変色が抑えられるとともに、低線膨張率で低含水率となる。
【0042】
一般式(III)で表される脂肪族化合物(C)は(メタ)アクリレート化合物(A)および(メタ)アクリレート化合物(B)に対して離型性を付与するものである。
脂肪族化合物(C)は(メタ)アクリレート化合物(A)や(メタ)アクリレート化合物(B)に対して溶解して良分散し、さらに、硬化する際に低粘度の溶融状態であることで分子運動しやすく、硬化時、硬化する樹脂成分からはじき出され、金型と硬化成分との間に存在することで、離型性を有するようになる。また、離型時、溶融状態で低粘度であることがより離型性を高められる。
以上の点から、脂肪族化合物(C)は融点が−40℃〜140℃の範囲であることが好ましく、−30℃〜130℃の範囲であることが更に好ましい。脂肪族化合物(C)の融点を−40℃以上とすることにより、硬化時に気化して製品中に気泡などが発生して外観不良を起すことがなく、良好な離型性を発現する。また、脂肪族化合物(C)の融点を140℃以下とすることにより、溶解性が向上して良好な外観と離型性が得られる。
【0043】
一般式(III)で表される脂肪族化合物(C)のR4の脂肪族炭化水素基は、直鎖構造でも分岐構造であっても良く、分子鎖内の結合状態は単結合のみでも、多重結合が含まれていても良い。具体的には脂肪族飽和炭化水素基や脂肪族不飽和炭化水素基である。脂肪族不飽和炭化水素基中の多重結合数は1つでもそれ以上でも良い。
4の炭化水素基の炭素数は6〜30である。炭素数が6よりも小さい場合は硬化時に揮発してしまうなどして、型と材料との間に脂肪族化合物(C)が存在できずに離型性が発現しなかったり、材料中に気泡が残ったりする可能性がある。炭素数が30よりも大きい場合は、材料の運動性が低くなり、材料中に脂肪族化合物(C)が取り込まれて材料が不透明になったり、離型性が発現しなかったりする。R4の炭化水素基の好ましい炭素数は6〜26であり、より好ましくは8〜22である。
【0044】
一般式(III)で表される脂肪族化合物(C)のWにおける金属原子としては、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属およびアルミニウムが挙げられる。第2族やアルミニウムの場合、2価以上となるため、脂肪族化合物(C)の一般式は(R4−CO−O)q-lWで表され、qが2〜4となる。
【0045】
一般式(III)で表される脂肪族化合物(C)のWにおける炭化水素基は、直鎖構造でも分岐構造であっても良く、分子鎖内の結合状態は単結合のみでも、多重結合が含まれていても良い。具体的には脂肪族飽和炭化水素基や脂肪族不飽和炭化水素基である。脂肪族不飽和炭化水素基中の多重結合数は1つでもそれ以上でも良い。Wの炭化水素基の炭素数は1〜8である。炭素数が9以上の場合は脂肪族化合物(C)の融点の上昇や溶解性の低下を招き、脂肪族化合物(C)が硬化時樹脂成分中に取り込まれたり、偏在したりして、離型性が発現しなかったり、不透明になったりすることがある。Wの炭化水素基の好ましい炭素数は1〜6である。
【0046】
なお、良好な離型性を発現するために、一般式(III)で表される脂肪族化合物(C)のWが水素原子の場合には、R4が炭素数6〜20の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、Wが金属原子の場合にはR4が炭素数6〜18の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。Wが炭化水素基である場合には、R4とWの炭化水素基の炭素数の合計が7〜30であることが好ましい。
【0047】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物における脂肪族化合物(C)の含有量は、(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.01〜5質量部である。脂肪族化合物(C)の含有量が(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との合計量100質量部に対して10質量部を超えると金型形状の転写性や熱に対する形状安定性が保たれなくなる可能性がある。0.01質量部未満では離型性が得られなくなる。
【0048】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物には必要に応じて酸化防止剤を含有させる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、チオエーテル酸化防止剤、ビタミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0049】
フェノール系酸化防止剤としては、Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox3114(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、Irganox3125(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、アデカスタブAO−20(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−50(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−60(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−80(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−30(株式会社ADEKA、商標)、アデカスタブAO−40(株式会社ADEKA、商標)、BHT(武田薬品工業(株)製、商標)、Cyanox1790(サイアナミド社製、商標)、SumilizerGP(住友化学(株)製、商標)、SumilizerGM(住友化学(株)製、商標)、SumilizerGS(住友化学(株)製、商標)及び、SumilizerGA−80(住友化学(株)製、商標)などの市販品を挙げることができる。
【0050】
リン系化合物としてはIRAGAFOS168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS12(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS38(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS P−EPQ(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、IRAGAFOS126(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標)、ADKSTAB 329K(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB PEP-36(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB PEP−8(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB HP−10(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB 2112(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB 260(株式会社ADEKA、商標)、ADKSTAB 522A(株式会社ADEKA、商標)、Weston 618(GE社製、商標)、Weston 619G(GE社製、商標)、及びWeston 624(GE社製、商標)などの市販品を挙げることができる。
【0051】
イオウ系酸化防止剤としては、DSTP(ヨシトミ)〔吉富(株)製、商標〕、DLTP(ヨシトミ)〔吉富(株)製、商標〕、DLTOIB〔吉富(株)製、商標〕、DMTP(ヨシトミ)〔吉富(株)製、商標〕、Seenox 412S〔シプロ化成(株)製、商標〕、Cyanox 1212(サイアナミド社製、商標)及びTP−D、TPS、TPM、TPL−R[住友化学(株)製、商標]等の市販品を挙げることができる。
ビタミン系酸化防止剤としては、トコフェロール〔エーザイ(株)製、商標〕及びIrganoxE201〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標、化合物名;2,5,7,8−テトラメチル−2(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クマロン−6−オール〕などの市販品を挙げることができる。
【0052】
チオエーテル系酸化防止剤としては、アデカスタブAO−412S(株式会社ADEKA製、商標)、アデカスタブAO−503(株式会社ADEKA製、商標)などの市販品を挙げることができる。
ラクトン系酸化防止剤としては、特開平7−233160号公報及び特開平7−247278号公報に記載されているものを使用することができる。また、HP−136〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標、化合物名;5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン〕などの市販品を挙げることができる。
【0053】
アミン系酸化防止剤としては、IrgastabFS042〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕及びGENOX EP〔クロンプトン社製、商標、化合物名;ジアルキル−N−メチルアミンオキサイド〕などの市販品を挙げることができる。
これらの酸化防止剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができ る。
【0054】
酸化防止剤の含有量は、光学部品用樹脂材料の透明性、黄変性の低下を抑制する観点から、化合物(A)および化合物(B)の合計量100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.02〜2質量部である。
【0055】
本発明の光学部品用樹脂原料組成物(以下、「原料組成物」とも云う。)には、必要に応じてラジカル重合開始剤を配合することができる。
熱によって開裂して開始ラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;ジイソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びm−トルイルベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチル)シクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン及び2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオジカーボネート、α−クミルペルオキシネオジカーボネート、t−ブチルペルオキシネオジカーボネート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート及びジブチルペルオキシトリメチルアジペートなどのアルキルパーエステル類;ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(1,1−ブチルシクロヘキサオキシジカーボネート)、ジイソプロピルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート及び1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボキシ)ヘキサンなどのパーオキシカーボネート類;1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン及び(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネートなどが挙げられる。
【0056】
ラジカル重合開始剤として、上記の熱ラジカル重合開始剤の他に、光、電子線又は放射線で開始ラジカルを生成するラジカル重合開始剤を用いることができる。
このようなラジカル重合開始剤としては、ベンゾインエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン〔IRGACURE651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔IRGACURE184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン〔DAROCUR1173、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン〔IRGACURE2959、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン〔IRGACURE127、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン〔IRGACURE907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1〔IRGACURE369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モノホリニル)フェニル]−1−ブタノン〔IRGACURE379、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド〔DAROCUR TPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド〔IRGACURE819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム〔IRGACURE784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]〔IRGACURE OXE 01、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)〔IRGACURE OXE 02、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商標〕などを挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
ラジカル重合開始剤の使用量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計量100質量部に対して、通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.05〜5質量部である。熱による開始重合の場合は、ラジカル重合開始剤を含む原料組成物を通常40〜200℃程度に加熱して重合させることができる。光による開始重合の場合は、水銀キセノンランプなどを光源として用い、紫外光、可視光を原料組成物に照射することにより重合させることができる。
【0058】
本発明の原料組成物には、前記の酸化防止剤の他に、必要に応じて、滑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、無機充填剤、着色剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機化合物との密着性改良を目的とした成分などを配合することができる。
滑剤としては、高級ジカルボン酸金属塩及び高級カルボン酸エステル等を使用することができる。
【0059】
光安定剤としては、公知のものを使用することができるが、好ましくはヒンダードアミン系光安定剤である。ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ADKSTAB LA−77、同LA−57、同LA−52、同LA−62、同LA−67、同LA−68、同LA−63、同LA−94、同LA−94、同LA−82及び同LA−87〔以上、株式会社ADEKA製〕、Tinuvin123、同144、同440及び同662、Chimassorb2020、同119、同944〔以上、CSC社製〕、Hostavin N30(Hoechst社製)、Cyasorb UV−3346、同UV−3526(以上、Cytec社製)、Uval 299(GLC)及びSanduvorPR−31(Clariant)などを挙げることができる。
これらの光安定剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
光安定剤の使用量は、化合物(A)及び化合物(B)の合計量100質量部に対して、通常、0.005〜5質量部であり、好ましくは0.02〜2質量部である。
酸化チタンや酸化ケイ素などの無機化合物との密着性改良を目的とした成分としては、シラン化合物のメタクリオキシ基やアクリロキシ基を含むシランカップリング剤などが挙げられる。これを上記原料組成物に含有させ、光学部品を重合、成形しても良い。
【0061】
本発明の光学部品は、上記の原料組成物を重合・成形することによって製造することができる。原料組成物の重合に際し、化合物(A)を主成分とするモノマー成分に上記ラジカル重合開始剤を加えて予備重合を行なってもよい。このような予備重合を行うことにより、原料組成物の粘度を調整することができる。
【0062】
重合・成形法としては通常の熱硬化性樹脂の成形と同様の方法を用いることができる。例えば、上記の原料組成物又はその予備重合物を用い、これらの液状樹脂の射出成形、圧縮成形、トランスファー成形及びインサート成形などで、重合・成形する方法が挙げられる。また、ポッティング加工やコーティング加工で成形体を得ることもできる。さらに、例えばUV硬化成形など光硬化樹脂の成形と同様の方法によっても成形体を得ることができる。
【0063】
本発明の光学部品は、液状樹脂成形法により製造されることが好ましい。液状樹脂成形法としては、常温で液状の原料組成物又はその予備重合物を高温の金型に圧入して加熱硬化させる液状樹脂射出成形、液状の原料組成物を金型に入れ、プレスによって加圧し、硬化させる圧縮成形、加温した液状の原料組成物に圧力をかけて金型に圧入することにより原料組成物を硬化させるトランスファー成形などが挙げられる。
【実施例】
【0064】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、得られた樹脂の評価(耐熱試験を含む)を次のように行った。
【0065】
(1)熱履歴後のクラックの有無
実施例および比較例において得られた樹脂の、厚み2mm、縦25mm、横25mmの板状体を用い、その板状体3枚を厚さ3mmのステンレス鋼板の上に乗せ、250℃で10分間放置した後、その板状体のクラックの有無を確認し、下記の基準で評価した。
○:クラックが入っていない。
△:長さ10mm以上のクラックが発生した枚数が2枚以下、
又は全てのクラックの長さが10mm未満である。
×:3枚とも長さ10mm以上のクラックが発生した。
【0066】
(2)熱履歴後の形状安定性評価
前記と同様の、厚み2mm、縦25mm、横25mmの板状体を用い、その板状体3枚を厚さ3mmのステンレス鋼板の上に乗せ、250℃で10分間放置した後、その板状体の縁の変形度合いを目視にて確認し、下記の基準で評価した。
○:縁の部分が熱履歴前と同様であり、形状安定性に優れる。
△:縁の部分が一部丸みを帯びており、形状安定性は普通である。
×:縁の部分が一様に丸みを帯びており、形状安定性に劣る。
【0067】
(3)光線透過率
肉厚3mmの試験片を用いてJIS K7105に準拠して測定した(単位%)。測定装置はHGM−2DP(スガ試験機(株)製)を用いた。測定は試験片をオーブンに入れる前(初期特性)と250℃のオーブン中に10分間置いた後(耐熱試験後)に行った。
光線透過率の評価を次のように行った。
(a)初期全光線透過率:試験片をオーブンに入れる前の光線透過率(%)
(b)全光線透過率の低下量(△250℃全光線透過率):初期光線透過率と、250℃のオーブン中に10分間置いた後(耐熱試験後)の全光線透過率の差の絶対値(%)
【0068】
(4)黄変度(YI値)
YI値の測定装置は、SZ optical SENSOR(日本電色工業(株)製)により、縦30mm×横30mm×肉厚3mmの試験片を用いて行った。
黄変度(YI値)の評価を次のように行った。
(a)初期黄変度(初期YI値):試験片をオーブンに入れる前のYI値
(b)YI値の低下量(△0℃YI値):初期YI値と、250℃のオーブン中に10分間置いた後(耐熱試験後)のYI値の差の絶対値
【0069】
(5)溶解性
アダマンタンアクリレート化合物10gに対し、C2成分を0.1g入れた液を作成する。その溶液を室温で20分間攪拌する。溶解しない場合は上限温度80℃までの範囲で加熱しても良い。室温にて、60分間放置し、その際の液の状態から溶解性を評価する。
溶解性の判断は、溶液が無色透明な場合は○とし、溶液は無色透明では無いが沈澱物がなく懸濁状態である場合は△とし、それ以外の場合は×とした。
【0070】
(6)離型性
後述の成形法A及びBでは、硬化物を5枚作成し、硬化後、ステンレスの板を外し、ステンレスシートを取り出す際の硬化物との密着度合から離型性を評価した。成形法Cでは型開きしたのち、型より平板を取り出す際の抵抗感から離型性を評価した。
離型性の評価は2人で判断し、判断基準は以下の通りとした。
(成形法A及びBの場合)
○:硬化物からステンレスのシートを剥す際、2人とも抵抗感がなく剥がせた。
△:硬化物からステンレスのシートを剥す際、1人のみが抵抗感がなく剥がせた。
×:硬化物からステンレスのシートを剥す際、2人とも抵抗感があった。もしくはシートに張り付き物が残った。
(硬化法Cの場合)
○:金型から硬化物を取り出す際、2人とも抵抗感がなくかつ、金型に張り付き成形品が金型に張り付いた状態で割れてしまうことなく成形品を取り出せた。
△:金型から硬化物を取り出す際、1人のみが抵抗感がなくかつ、金型に張り付き成形品が金型に張り付いた状態で割れてしまうことなく成形品を取り出せた。
×:金型から硬化物を取り出す際、2人とも抵抗感があった。もしくは、取り出す際、硬化物が金型張り付いたために割れてしまった。
【0071】
なお、実施例および比較例において、成形法は次のように行った。
(成形法A)
2枚の3mm厚みで、縦、横それぞれ70mmのステンレス板の間に、2枚の0.1mの厚みで縦、横それぞれ70mmのステンレスのシートを挟み、そのシートの間に3mm厚みで縦、横それぞれ70mmテフロン(登録商標)製スペーサを挟み込むことにより得られる容器を用いて樹脂の成形を行った。
液状の原料組成物を上記の容器に流しこみ、硬化物を得た。テフロン(登録商標)製のスペーサ部には3mmの厚みで、縦、横それぞれ30mmの窓と原料組成物をその窓内に流し込める通路を設け、この容器に硬化液を流し込み、液漏れしないように容器を押さえ、窒素雰囲気下(酸素濃度5%以下)のオーブンにて110℃で3時間、次いで160℃で1時間加熱を行い、重合・成形した後、室温に冷却することで無色透明な板状体を得た。
なお、製品表面がヒケて平らになっていない場合は、紙やすりや、研磨剤を用いて研磨し表面を平らにして光学特性の評価に使用した。
(成形法B)
硬化温度を100℃で3時間、次いで160℃で1時間加熱を行った以外は成形法Aと同様に行った。
(成形法C)
液状樹脂封止装置(アピックヤマダ製)を用いて、原料組成物を重合・成形し、板状硬化物を得た。硬化物のサイズは厚み2mm、縦50mm、横50mmの平板とした。
金型の表面は硬質クロムメッキを施してある。重合・成形条件は金型温度140℃、硬化時間3分間とした。硬化時の保圧は5MPaとし、得られた硬化物を160℃で1時間加熱を行い、室温で徐冷し、無色透明な板状体を得た。
【0072】
製造例1(1,3−アダマンタンジメタノールジメタクリレートの合成)
攪拌羽根、Dean−Stark冷却器、温度指示計及び三方コックを取付けた2000mlの4ツ口フラスコに、1,3−アダマンタンジメタノール[100g, 0.51mol]、メタクリル酸[110.2g、1.28mol]、98質量%硫酸[4.60g、0.046mol]、メトキノン[0.092g, アクリル酸に対して1000wtppm]およびトルエン 1000mLを投入した。
このフラスコを130℃のオイルバスで加熱、攪拌し、共沸により反応系内から水を除去しながら3時間反応を行った。室温付近まで冷却後、分液ロートに移し、5質量%NaCl水溶液、5質量%Na3PO4水溶液、5質量%NaCl水溶液の順に洗浄を行った。有機層をわけ、硫酸マグネシウムで脱水し、40℃にてトルエンを留去することで目的の下記化学式で表される1,3−アダマンタンジメタノールジメタクリレート(収率86%、GC純度97質量%)を得た。
【化11】

【0073】
実施例1〜8
化合物(A)として下記化学式で表される1−アダマンチルメタクリレート〔大阪有機化学工業(株)製〕30質量部及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−DCP)70質量部に、化合物(C)として下記の第1表に示す(C1)〜(C8)の脂肪族化合物を各々0.5質量部、酸化防止剤としてIrganox1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を0.5質量部、重合開始剤としてパーヘキサHC(日本油脂(株)製)を0.4質量部加えて混合し、原料組成物を得た。この原料組成物を上述の評価法に適合した形状に成形法Aを用いて成形した。評価結果を第1表に示す。
【化12】

【0074】
実施例9〜16
化合物(A)として1−アダマンチルメタクリレート30質量部及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP)45質量部、化合物(B)としてSR−499〔サイートマー・ジャパン(株)製〕24質量部を用い、酸化防止剤を使用しない他は実施例1〜8と同様に行った。評価結果を第2表に示す。
【0075】
実施例17〜24
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP)に代えてトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP)45質量部を用い、酸化防止剤としてIrganox1076を0.5質量部使用した他は実施例9〜16と同様に行った。評価結果を第3表に示す。
【0076】
実施例25〜32
化合物(A)のトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP)45質量部に代えて製造例1で得られた1,3-アダマンタンジメタノールジアクリレート45質量部を使用した他は実施例17〜24と同様に行った。評価結果を第4表に示す。
【0077】
実施例33〜40
酸化防止剤としてIrganox1076を0.5質量部、重合開始剤としてパーロイルL(日本油脂(株)製)を0.4質量部用い、成形法Bとした他は実施例9〜16と同様に行った。評価結果を第5表に示す。
【0078】
実施例41〜48
化合物(A)として1−アダマンチルメタクリレート50質量部のみ、化合物(B)としてSR−502〔サイートマー・ジャパン(株)製〕40質量部とSR−399〔サイートマー・ジャパン(株)製〕10質量部を用いた他は実施例1〜8と同様に行った。評価結果を第6表に示す。
【0079】
実施例49〜56
化合物(B)のSR−502に代えてSR−415を〔サイートマー・ジャパン(株)製〕40質量部を用いた他は実施例41〜48と同様に行った。評価結果を第7表に示す。
【0080】
実施例57〜64
重合開始剤としてパーヘキサHCを1.0質量部用い、成形法Cとした他は実施例9〜16と同様に行った。評価結果を第8表に示す。
【0081】
比較例1
酸化防止剤としてIrganox1076を0.5質量部使用し、脂肪族化合物(C)を使用しない他は実施例9〜16と同様とした。評価結果を第9表に示す。
【0082】
比較例2
酸化防止剤としてIrganox1076を0.5質量部使用し、脂肪族化合物(C)に代えて高級アルコールA(カルコール0898)0.5を使用した他は実施例9〜16と同様とした。評価結果を第9表に示す。
【0083】
比較例3
脂肪族化合物(C)を使用しない他は実施例17〜24と同様とした。評価結果を第9表に示す。
【0084】
比較例4
脂肪族化合物(C)を使用しない他は実施例25〜32と同様とした。評価結果を第9表に示す。
【0085】
比較例5
脂肪族化合物(C)を使用しない他は実施例41〜48と同様とした。評価結果を第9表に示す。
【0086】
比較例6
脂肪族化合物(C)に代えて高級アルコールB(カルコール8098)0.5部を使用した他は実施例41〜48と同様とした。評価結果を第9表に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
【表9】

【0096】
以上の実施例および比較例から明らかなように、本願発明の全ての実施例では熱履歴後にクラックの発生がなく、形状安定性も優れており、透明度も優れて安定しており、初期黄変度(YI値)が低く加熱してもYI値の上昇が極めて小さく、かつ離型性にも優れていることが分かる。脂肪酸金属塩の場合には溶解性が低いものもあるが、透明度や離型性に悪影響を及ぼしていない。
これに対して比較例では、熱履歴後にクラックの発生がなく、形状安定性や透明度、黄変度(YI値)にも優れているものの、離型性が悪いことが分かる。
本願発明においては、脂肪族化合物(C)が原料組成物(硬化液)中に存在すると、硬化時に(メタ)アクリレート化合物(A)および(メタ)アクリレート化合物(B)反応部位を有しない成分を除外しながら硬化し、脂肪族化合物(C)が金型と硬化物との間に偏在する。この脂肪族化合物(C)は油脂成分から構成されているので、金型から硬化物を取り出す際に離型剤として有効に作用するものと考えられる。
【0097】
各実施例及び比較例で使用した原料および重合開始剤の化合物名および化学式は次の通りである。
化合物(A)
(1)A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学製)
化合物名:トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン−3,8(又は3,9又は4,8)−ジイルジメチル=ジアクリレート
【化13】

【0098】
(2)DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学製)
化合物名:トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン−3,8(又は3,9又は4,8)−ジイルジメチル=ジメタクリレート
【化14】

【0099】
化合物(B)
(1)SR−499:エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート〔サートマー・ジャパン(株)製、CAS.28961−43−5, 既存化学物質7−775,平均分子量560〕
化合物名:8−[7−(アクリロイルオキシ)−2,5−ジオキサヘプタン]−8−エチル−3,6,10,13−テトラペンタデカン−1,15−ジイル=ジアクリレート
【化15】

【0100】
(2):SR−399:ジペンタエリストールペンタアクリレート〔サートマー・ジャパン(株)製) 、平均分子量525〕
化合物名:2−(アクリロイルオキシ)メチル−2−({2,2−ビス[(アクリロイルオキシ)メチル]−3−ヒドロキシプロパン-1−イル]オキシ}メチルプロパン−1,3−ジイル=ジアクリレート
【化16】

【0101】
(3)SR−502:エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート〔サートマー・ジャパン(株)製、平均分子量692〕
化合物名:11−[10−(アクリロイルオキシ)−2,5、8−トリオキサデカン−1−イル]−11−エチル−3,6,9,13,16,19−ヘキサオキサヘンイコサン−1,21−ジイル=ジアクリレート
【化17】

【0102】
(4)SR−415:エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクラレート〔サートマー・ジャパン(株)製,平均分子量1176〕
化合物名:20−エチル−20−(21−オキソ−2,5,8,11,14,17,20−ヘプタオキサトリコス−22−エンイル)−3,6,9,12,15,18,22,25,28,31,34,37−ドデカオキサノナトリアコンタン−1,39−ジイルジアクリレート
【化18】

【0103】
重合開始剤
(1)パーヘキサHC(日本油脂(株)製)
化合物名: 1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン
【化19】

【0104】
(2)パーロイルL(日本油脂(株)製)
化学式:ジラウロイルパーオキサイド
【化20】

【0105】
脂肪族化合物(C)およびそれに類する脂肪族化合物(C')については化合物名と化学式などを第10表に示す。
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)と、下記一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)および下記一般式(III)で表される脂肪族化合物(C)を含有し、かつ
(1)(メタ)アクリレート化合物(A)は、Xが少なくとも1つはアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物を含むこと、
(2)(メタ)アクリレート化合物(B)の質量平均分子量が140〜2500であること、(3)(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との比率が、40〜100質量%:60〜0質量%であること、
及び
(4)(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)との合計量100質量部に対して、脂肪族化合物(C)0.01〜10質量部を含有すること、
を特徴とする光学部品用樹脂原料組成物。
【化1】

(Xは多環式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は単環式脂肪族炭化水素基、Yは独立に直接結合、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数1〜4のオキシアルキレン基、R1は独立に水素原子又はメチル基であり、nは1〜4の整数である。)
【化2】

〔Z1は、エーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び/又は-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)、R2は独立に水素原子又はメチル基であり、mは1〜8の整数である。〕
【化3】

[R4は炭素数6〜30の脂肪族炭化水素基、Wは水素原子、金属原子又は炭素数1〜8の炭化水素基である。]
【請求項2】
(メタ)アクリレート化合物(B)が下記の一般式(IV)又は一般式(V)で表される化合物である請求項1に記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【化4】

(Z2は、エーテル結合を含んでも良い炭素数1〜30の直鎖状又はエーテル結合を含んでも良い炭素数3〜30の分岐状脂肪族炭化水素基、単環式又は多環式脂肪族炭化水素基、および芳香族炭化水素基から選ばれる一種以上の有機基、Y1はエーテル結合を含んでも良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基、R5は独立に炭素数1〜4のアルキレン基を示し、pは2〜20の整数である。R2およびmは前式と同様である。)
【請求項3】
一般式(IV)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)のY1が、-(CH2)r-、-(CH3CH)r-で表されるアルキレン基(rは5〜30の整数)又は-(CR6−CR7)q-で表されるプロピレン基(R6、R7のどちらかが水素原子で他方がメチル基、qは2〜15の整数)である請求項2に記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項4】
(メタ)アクリレート化合物(A)の20〜100質量%がアダマンチル基を有する(メタ)アクリレート化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項5】
一般式(I)で表される(メタ)アクリレート化合物(A)において、nが1であるものとnが2〜4であるものの比率が50〜0質量%:50〜100質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項6】
一般式(II)で表される(メタ)アクリレート化合物(B)におけるmが4〜8の整数であり、Z1の分子量が400以下であり、Z1中にエーテル結合を含んで良い炭素数5〜30の非環状炭化水素基及び-R3(OR3)k-で表されるオキシアルキレン基(R3は炭素数1〜4の鎖状アルキレン基を含む有機置換基、kは1〜20の整数である。)以外の有機基を15〜50質量%を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項7】
脂肪族化合物(C)の融点が−40〜140℃の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項8】
脂肪族化合物(C)のWが水素原子であり、R4が炭素数6〜20の脂肪族炭化水素基である請求項1〜7のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項9】
脂肪族化合物(C)のWが金属原子であり、R4が炭素数6〜18の脂肪族炭化水素基である請求項1〜7のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項10】
脂肪族化合物(C)のWが炭化水素基であり、R4とWの炭化水素基の炭素数の合計が7〜30である請求項1〜7のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項11】
(メタ)アクリレート化合物(A)と(メタ)アクリレート化合物(B)の合計量100質量部に対して、酸化防止剤0.01〜10質量部を含有する請求項1〜10のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の光学部品用樹脂原料組成物を重合して得られた光学部品用樹脂。
【請求項13】
請求項12に記載の光学部品用樹脂を成形して得られた光学部品。

【公開番号】特開2010−163610(P2010−163610A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284356(P2009−284356)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】