光導波路の製造方法および光導波路
【課題】所望のシリコンコア形状を有するスポットサイズ変換導波路を、歩留まり良く、かつ、所望の導波路特性を発揮させるように作成する。
【解決手段】シリコン酸化膜の下地にシリコン層を配置し、このシリコン層をエッチングストッパとして使用してシリコン酸化膜を選択的にエッチングして所望のトレンチ形状をあらかじめ作製する。このトレンチにアモルファスシリコンやポリシリコンを埋め込むように成膜することで、所望の形状を有するスポットサイズ変換導波路を歩留まり良く製造することができる。
【解決手段】シリコン酸化膜の下地にシリコン層を配置し、このシリコン層をエッチングストッパとして使用してシリコン酸化膜を選択的にエッチングして所望のトレンチ形状をあらかじめ作製する。このトレンチにアモルファスシリコンやポリシリコンを埋め込むように成膜することで、所望の形状を有するスポットサイズ変換導波路を歩留まり良く製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路の製造方法および光導波路に関し、特に、導波光のスポットサイズを変化させるための光導波路の製造方法および光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信における基幹部品として、石英系導波路によるPLC(Planar Lightwave Circuit: 平面光回路)が、広く用いられている。特に、PLCによる波長多重光信号の波長フィルタや波長合分波器を複合的に組み合わせた光変調器および光スイッチは、波長多重光信号を用いた光通信において必須の構成要素となっている。このように、光変調器および光スイッチを用いた光通信システムにおいて、PLCを用いた構成要素の高性能化や多機能化(以下、「高集積化」という。)は、光通信システムの性能やシステム構築の柔軟性向上に直接寄与することから、PLCの高集積化が求められている。
【0003】
近年、PLCの高集積化等を実現する技術として、従来の石英系導波路ではなくシリコンをコアとするシリコン導波路を用いて光信号を伝送させるシリコンフォトニクス技術が注目されている。
シリコンフォトニクス技術で使用されるシリコン導波路は、コアとクラッドとの間の屈折率の差が、従来の石英系導波路と比較して非常に大きいといった特徴があることから、従来の石英系導波路よりも導波路曲げ半径を大幅に縮小することができる。よって、導波路素子の小型化・高集積化が可能となる。
また、シリコンの熱光学係数は石英と比較して約20倍以上であることから、シリコンは、熱光学効果による屈折率の変化を石英に比べ少ない消費電力で実現でき、さらに、自由キャリアプラズマ分散効果によって、石英に比べて高速な屈折率の変化を得ることができる。
このようなシリコン導波路の特性を利用したPLCの高集積化に対する研究開発が盛んに行われている。
【0004】
しかしながら、シリコン導波路における導波光のスポットサイズは、一般的に数ミクロン以下であり、一方、シングルモードの光ファイバの導波光のスポットサイズは10ミクロン程度であるため、シリコン導波路にシングルモードの光ファイバを直接接続しようとすると、シリコン導波路と光ファイバ等の光信号伝送路との結合部分において大きな光学結合損失が生じてしまう。
そこで、上記の光学結合損失を低減するため、導波光のスポットサイズを変換するスポットサイズ変換部を備えた光導波路(以下、「スポットサイズ変換導波路」という。)が研究開発されている。このようなスポットサイズ変換導波路に関連する技術として、例えば、特許文献1または特許文献2に記載されているような、一端が平面視テーパー状に形成された複数のシリコンコアを鉛直方向に重ねた光導波路構造が知られている。このような光導波路構造を用いた場合、光ファイバとの光学結合損失は、約0.5dBと低い損失であることが実験的に示されている(非特許文献1)。
【0005】
また、シリコン導波路を集積した大規模なPLCを作製する場合、光変調器および光スイッチ等の構成要素において、それぞれの構成要素に応じたシリコンコアサイズを使用することが望ましい。このような場合においても、特許文献1,2に開示されている平面視テーパー状に形成されたシリコンコアによるスポットサイズ変換導波路を導入することにより、構成要素それぞれに最適なシリコンコアサイズを用いることができ、かつ、これらを低損失に接続することが可能となる。
【0006】
さらに、PLCに関しては、シリコン導波路層を複数設けて、光導波路を3次元的に配置することにより、単一の導波路層では得られない導波路交差の配置や、光回路のさらなる高集積化等を可能にする技術の開発も進められている。このようなPLCのさらなる高集積化等に関連する技術として、バックエンドCMOSプロセスによってアモルファスシリコンまたはポリシリコンを成膜することにより、シリコンコアを3次元的に配置したシリコン導波路の構造が知られており(非特許文献2)、近年、シリコンコアを3次元的に配置した構造を有するシリコン導波路の実用化に向けて、研究開発が行われている。
【0007】
非特許文献2に開示されているシリコン導波路においても、導波光のスポットサイズを変換する平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねる構造を導入することにより、多層に積層された光導波路間の光波の移行を低損失に実現でき、また、光導波路を3次元的に配置することによる導波路構造の設計自由度を向上させ、PLCのさらなる高集積化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2001−510589号公報
【特許文献2】特表2003−511737号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】I.Day et al. “Tapered Silicon Waveguides for Low Insertion Loss Highly-Efficient High-Speed Electronic Variable Optical Attenuators” Optical Fiber Communication Conference 2003, TUEADAY AFTERNOON/OFC 2003/VOL1, pp249-pp251.
【非特許文献2】Rong Sun et al. “Transparent amorphous silicon channel waveguides and hihg-Q resonators using a damascene process” OPTICS LETTERS, Vol.34, No.15, August 1, 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1,2に記載されたスポットサイズ変換導波路の平面視テーパー状に形成されたシリコンコアの構造は、テーパー状に形成されたシリコンコアの接続箇所において、光学損失の原因とならないよう高さが一定で均一に形成されたシリコンコアを重ねたものである。非特許文献2に開示されているシリコン導波路の構造に平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねた構造を導入する場合も同様に、テーパー状に形成されたシリコンコアの接続箇所において、高さが一定で均一に形成されたシリコンコアを重ねる必要がある。
【0011】
このような平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねたスポットサイズ変換導波路の構造を製造する方法は、一般的に、SOI(Cilicon on Insulator)基板上に導波光が数ミクロンのシリコン導波路部を予め作製し、このシリコン導波路部の一端、すなわち、スポットサイズ変換箇所にシリコンを成膜する。引き続き、所望のスポットサイズを実現する平面視テーパー状となるように、その成膜したシリコンを選択的にエッチングすることで、平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねたスポットサイズ変換導波路の構造を形成することが考えられる。
【0012】
しかしながら、上記した平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねたスポットサイズ変換導波路を所望の導波路特性が発揮されるように上述した方法で製造するためには、スポットサイズ変換箇所におけるシリコンコアのサイズを精度良く定められた値となるようシリコンに対するエッチング工程が必要となる。
具体的には、スポットサイズ変換箇所に新たに成膜したシリコンに対して、光学損失の原因とならないように高さが一定で均一となるように平面視テーパー状に、かつ、上下方向に接するように高精度なエッチング工程を実現させる必要がある。
【0013】
すなわち、上述した製造方法によって所望の導波路特性が発揮されるスポットサイズ変換導波路を製造するには、成膜したシリコンに対して高精度な異なる高さ制御がなされたエッチング工程によってシリコンコアに不要な段差が生じないよう製造しなければならない。このため、上述した製造方法では、スポットサイズ変換導波路を歩留まり良く、かつ、所望の導波路特性を発揮させるように作製することは、煩雑で高精度な製造工程を必要とするため、困難であるといった問題があった。
そこで、本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、所望のシリコンコア形状を有するスポットサイズ変換導波路を、歩留まり良く、かつ、所望の導波路特性を発揮させるように作成する光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、上述の目的を達成するために、シリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、前記第1のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第2のクラッド層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、コア材料であるシリコンに対して高さの異なる高精度なエッチング工程を必要とせず第2のコアを形成することができることから、容易に歩留まり良く所望の導波路特性を発揮するスポットサイズ変換導波路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路の一例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路の形状の一例を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路の形状の一例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路の形状の一例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態にかかる光導波路の一例の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態にかかる光導波路の製造方法は、導波光のスポットサイズを変換する箇所(以下、「スポットサイズ変換部」という。)を備えた光導波路の製造方法であって、特に、基板上のシリコン層に形成された第1のコアの上面にクラッド層を形成した後に、このクラッド層を選択的に除去することにより形成した第1のトレンチにシリコンを堆積させて第2のコアを形成することで、所望の形状のスポットサイズ変換部を備えた光導波路を製造する製造方法である。
【0018】
図1は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって形成されるスポットサイズ変換部を備えた光導波路の製造方法を説明する断面図である。以下、図1を参照して本実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する。
図1(A)に示すように、シリコン層10を選択的にエッチングすることにより、第1のコア11を形成する工程を実行する。
第1のコア11が形成されると、図1(B)に示すように、シリコン層10と第1のコア11とを覆う第1のクラッド層12を形成する工程を実行する。
【0019】
第1のクラッド層12が形成されると、図1(C)に示すように、第1のクラッド層12の一部を除去して第1のトレンチ13を形成する工程を実行する。ここで、第1のトレンチ13は、第1のクラッド層12の第1のコア10の少なくとも一端と重なる領域を含む部分を除去することにより形成される。
【0020】
第1のトレンチ13が形成されると、図1(D)に示すように、形成された第1のトレンチ13内にシリコンを堆積させて第2のコア14を形成する工程を実行する。
第2のコア14が形成されると、図1(E)に示すように、第1のクラッド層12と第2のコア14とを覆う第2のクラッド層15を形成する工程を実行する。
【0021】
上述のように、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造されるスポットサイズ変換部を備えた光導波路の一例を図2に示す。
図2(A)は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造されるスポットサイズ変換部を備えた光導波路の一例を上面から見た上面図である。また、図2(B)は、図2(A)に示した光導波路a-a'断面から見た断面図である。
本実施の形態にかかる光導波路の製造方法で製造された光導波路は、図2(A)および図2(B)に示すように、一端のコア幅が先端に向けて漸次的に細くなる第2のコア14と、一端のコア幅が先端に向けて漸次的に広くなる第1のコア11とが重なる領域を含んだスポットサイズ変換部を有するように形成されている。
【0022】
このように、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によれば、第1のコアを形成する工程に続き第1のクラッド層を形成する工程が実行され、この第1のクラッド層を選択的に除去することによって形成される第1のトレンチにシリコンを堆積させた第2のコアを形成する工程が実行されることにより、エッチング工程を実施することなく第2のコアを形成することができる。
したがって、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によってシリコンフォトニクス技術におけるスポットサイズ変換部を有する光導波路を製造することにより、コア材料であるシリコンに対して高さの異なる高精度なエッチング工程を必要とせず第2のコアを形成することができることから、容易に歩留まり良く所望の導波路特性を発揮するスポットサイズ変換部を有する光導波路を形成することができる。
【0023】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法は、第1の実施の形態において説明した光導波路の製造方法において、特に、SOI基板上に少なくとも一端を平面視テーパー状に変化させた形状(以下、「テーパー形状」という。)を有する第1のシリコンコアと、この第1のシリコンコアのテーパー形状を有する一端と重なる領域を含む第2のシリコンコアとを備えるスポットサイズ変換部を有した光導波路の製造方法である。
図3〜図8は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法の各工程によって形成されるスポットサイズ変換部を有する光導波路の一例を示す図であり、特に、各工程によって形成される光導波路を上面から見た上面図を(A)で、この光導波路のa−a'断面から見た断面図を(B)で示す。以下、図3〜図8を参照して、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する。
【0024】
まずはじめに、図3に示すように、SOI基板20上のシリコン層21にテーパー形状を有する第1のシリコンコア21−2を形成する工程を実行する。
具体的には、図3(A),(B)に示すように、一端が先端に向けて広がるテーパー形状を有するように選択的にシリコン層21をエッチングして溝21−1を形成することで、第1のシリコンコア21−2を形成する工程である。この工程によって形成された第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状部分が、導波光のスポットサイズ変換部分となる。
【0025】
第1のシリコンコア21−2が形成されると、図4に示すように、シリコン層21上の第1のシリコンコア21−2および溝21−1を覆うように第1のクラッド層23を形成する工程を実行する。
具体的には、図4(A),(B)に示すように、シリコン層21上の第1のシリコンコア21−2および溝21−1に対して、シリコン酸化膜を所定の厚さに成膜することにより第1のクラッド層23を形成する。ここで、シリコン酸化膜の成膜は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって実現することができる。
【0026】
第1のクラッド層23が形成されると、図5に示すように、第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状部分と重なる領域を含んだ第1のクラッド層23の所定部分を選択的にエッチングして、第1のトレンチ24を形成する工程を実行する。
具体的には、図5(A),(B)に示すように、第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状に対応させて、先端に向かってトレンチの幅が狭くなるように第1のクラッド層23を選択的にエッチングすることにより第1のトレンチ24を形成する工程である。
【0027】
第1のトレンチ24を形成する工程は、第1のクラッド層23であるシリコン酸化膜を選択的にICP(Inductiv Coupled Plasma)ドライエッチングする工程である。その際、シリコン層21をエッチングストッパとしてシリコン酸化膜に対しICPドライエッチングを行うことにより、シリコン層21を露出させかつ第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状と重なる領域を含んだ第1のトレンチ24を形成する。
【0028】
第1のトレンチ24が形成されると、図6に示すように、第1のトレンチ24の内部にシリコンを充填するため、第1のトレンチ24内にアモルファスシリコン25を堆積させる工程を実行する。その際、図6(A),(B)に示すように、第1のトレンチ24内に十分にシリコンを充填するため、第1のトレンチ24から溢れる程度にアモルファスシリコン25を堆積させる。なお、図6は、便宜上、第1のトレンチ24の付近に選択的にアモルファスシリコン25を成膜しているように示しているが、実際の工程では、第1のクラッド層23の上面全体にアモルファスシリコン25が成膜される。
また、第1のトレンチ24内に充填するシリコンは、例えば、ポリシリコンを第1のトレンチ24内に堆積させても良い。
【0029】
第1のトレンチ24内にシリコンが十分に充填されると、図7に示すように、第1のトレンチ内に充填されたシリコンの表面と第1のクラッド層23の表面とを同一の平坦な面とし、第2のシリコンコア26を形成する工程を実行する。
具体的には、アモルファスシリコン25に応じたスラリーを用いて化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を行うことにより、図7(A),(B)に示すように、第1のトレンチ24から溢れたアモルファスシリコン25を除去して、第1のクラッド層23の表面と第1のトレンチ内に充填されたアモルファスシリコン25の表面とを同一の平坦な面とし、第2のシリコンコア26を形成する。
【0030】
第2のシリコンコア26が形成されると、図8に示すように、第2のシリコンコア26と第1のクラッド層23とを覆う第2のクラッド層27を形成する工程を実行する。この第2のクラッド層27は、第1のクラッド層23と同一の材質によって形成される。例えば、図8(A),(B)に示すように、第2のシリコンコア26と第1のクラッド層23とを覆うようにシリコン酸化膜を成膜することにより、第2のクラッド層27を形成することができる。
第2のクラッド層27が形成されることにより、スポットサイズ変換部を有した光導波路の構造を製造することができる。
【0031】
なお、シリコンコアを備える光導波路とシングルモードファイバとを結合する際の光導波路のシリコンコアサイズは、前述したように10ミクロン程度である。よって、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法における該工程の、シリコン酸化膜の成膜にともなう膜厚制御や余剰シリコンの除去にともなうCMP量の制御(以下、単に「加工精度制御」という。)を数百nm程度の制御量とすることで、スポットサイズ変換箇所での光学損失の起因となるようなシリコンコアの不要な段差を防ぐことができる。このような加工精度制御は、上述した該工程において一般的に実現することができるものである。
【0032】
また、上述した本実施の形態にかかる光導波路の製造方法の各工程によって製造される光導波路の例の断面図を図9に示す。
具体的には、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によれば、図9の(A)に示すように、シリコン層21の第1のシリコンコア21−2上に配置されるテーパー形状の第2のシリコンコア26を2段にした構造や、図9(B),(C)に示すように、第2のシリコンコア26を多段にする構造も容易に実現できる。
このようなテーパー形状を有するシリコンコアを多段に重ねてコアの高さを段階的に変化させる構成では、第2のシリコンコア26のテーパー形状の先端部分のコア幅を数百nm程度まで広く形成した場合においても光学損失を十分に抑制することが可能である。
【0033】
以上のことから、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によれば、シリコン酸化膜をエッチングして第1のトレンチを形成する際、シリコン酸化膜の下層にあるシリコン層をエッチングストッパとして使用できること、また、第1のトレンチに堆積させたシリコンのうち第1のトレンチから溢れたシリコンをCMPで除去する際、適切なCMPスラリーを用いることで第1のクラッド層の表面がCMPのエンドポイントにできることから、シリコン酸化膜を選択的にエッチングして所望の形状のトレンチを形成し、かつ、シリコン酸化膜の表面と同一の平坦な面となるようトレンチにシリコンを堆積させた第2のシリコンコアを容易に製造することができる。
【0034】
よって、コア材料であるシリコンに対して高さの異なる高精度なエッチング工程を必要とせず第2のコアを形成することができることから、容易に歩留まり良く所望の導波路特性を発揮するスポットサイズ変換部を有する光導波路を製造することができる。
さらに、第2のシリコンコアを多段にするといったエッチングでは形成することの困難なシリコンコア形状を容易に作製できることから、導波路特性を維持し、かつ、光導波路の製造歩留まりを向上させたシリコンコア形状を多様に設計することができる。
【0035】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態にかかる光導波路の製造方法は、シリコンコアが3次元に配置された構造を有する光導波路の製造方法である。
本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される3次元に配置されたシリコンコアの構造の一例を、図10に示す。図10(A)は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造されるシリコンコアの構造の一例を上面から見た図であり、図10(B)は、本実施の形態にかかる製造方法によって製造されるシリコンコアをA−A’断面から見た図である。
また、図11(A)〜(D)は、本実施の形態にかかる製造方法によって製造される光導波路の3次元に配置されたシリコンコアの接合部について、図10に示すa−a’断面、b−b’断面、c−c’断面、d−d’断面それぞれから見た断面図である。
【0036】
図10(A),(B)に示すように、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路のシリコンコアの形状は、先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状(以下、「テーパー状に細くなる形状」という。)の第1のシリコンコア31の一端と、コア幅が先端に向かってテーパー状に細くなる形状の第2のシリコンコア33の一端とが重なる領域を含むように、シリコンスラブ32を介して配置された形状を有している。このような構造によれば、光導波路を移行する導波光は、積層されたシリコン層(第1のシリコンコア31と第2のシリコンコア32)の間を、スポットサイズが変換されるとともに低損失で移行することが可能となる。
【0037】
以下、図10および図11を参照して、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する。図10および図11に示すような形状のシリコンコアを有する光導波路は、第2の実施の形態において説明した光導波路の製造方法に、シリコンスラブ32を形成する工程と、このシリコンスラブ32を境界面としてシリコン酸化膜をエッチングして形成したトレンチにシリコンを堆積させることにより第2のシリコンコア33を形成する工程とをさらに備える光導波路の製造方法である。
【0038】
第2の実施の形態において説明したように、第1のシリコンコア31を形成して第1のクラッド層34を形成する工程を実行すると、第1のシリコンコア31の表面と第1のクラッド層34の表面とを同一の平坦な面とする工程を実行する。
例えば、第1のシリコンコア31を形成する際にできた溝を含んだシリコン層上に成膜されたシリコン酸化膜を、第1のシリコンコア31の表面と同一の面となるようシリコン酸化膜を除去することにより実現する。また、第1のクラッド層34にトレンチを形成して第1のシリコンコア31を成膜し、第1のシリコンコア31の表面と第1のクラッド層34の正面とを同一の平坦な面とする工程を実行しても良い。
【0039】
第1のシリコンコア31の表面と第1のクラッド層34の表面とからなる平坦な面が形成されると、この平坦な面上にシリコンスラブ32を形成する工程を実行する。
シリコンスラブ32が形成されると、このシリコンスラブ32上に第2のクラッド層35を形成する工程を実行する。
ここで、シリコンスラブ32は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンを所定の膜厚だけ成膜することにより形成でき、第2のクラッド層35は、シリコン酸化膜を所定の膜厚だけ成膜することにより形成できる。
【0040】
第2のクラッド層35が形成されると、第2のクラッド層の第1のシリコンコア31の少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的にエッチングして所定の形状のトレンチを形成する工程を実行する。この際、シリコンスラブ32を境界面として第2のクラッド層35を選択的にエッチングして除去することにより、第1のシリコンコア31に対応するシリコン層を露出させた所定の形状のトレンチを形成することができる。
【0041】
トレンチが形成されると、このトレンチ内に十分なシリコンを充填するため、トレンチから溢れる程度にシリコンを堆積させ、トレンチから溢れたシリコン除去して第2のクラッド層35の表面とトレンチ内に充填されたシリコンの表面とを同一の平坦な面とし、第2のシリコンコア33を形成する工程を実行する。
ここで、トレンチ内に堆積させるシリコンは、例えば、アモルファスシリコンまたはポリシリコンとすることができ、堆積させたシリコンに応じたスラリーを用いたCMPを実行することで、第2のクラッド層35の表面とトレンチ内に充填されたシリコンの表面とを同一の平坦な面とすることができる。
【0042】
第2のシリコンコア33が形成されると、この第2のシリコンコア33と第2のクラッド層35を覆うように、第3のクラッド層36を形成する工程を実行する。第3のクラッド層36が形成されると、図10よび図11に示すようなシリコンコアが3次元に配置された構造を有する光導波路が製造される。
【0043】
このように、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によれば、テーパー状に細くなる一端が重なるようにシリコンコアが配置された光導波路を、エッチング工程を必要とせずに形成することができる。
よって、多段に積層されたシリコン層の間を導波光が低損失に移行することができる光導波路の製造歩留まりを向上させることができる。
【0044】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態にかかる光導波路は、第2の実施の形態において説明した光導波路の製造方法と第3の実施の形態において説明した光導波路の製造方法とを適宜繰り返して実施することにより製造される光導波路である。具体的には、SOI基板の単結晶シリコン層で形成した導波路と、このSOI基板上にアモルファスシリコンを成膜することにより形成される導波路とを接続した光導波路である。
【0045】
図12に、本実施の形態にかかる光導波路の断面図を示す。以下、本実施の形態にかかる光導波路の構成について、図12を参照して説明する。
本実施の形態にかかる光導波路の構成は、図12(A)に示すように、SOI基板40の単結晶シリコン層41に形成された先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状(以下、単に「テーパー形状」という。)を少なくとも一端に有する単結晶シリコンコア42と、図12(B),(C)に示すように、単結晶シリコンコア42とシリコンスラブ44とを接続するテーパー形状のアモルファスシリコンコア43と、図12(D),(E)に示すように、シリコンスラブ44とアモルファスシリコン層46とを接続するテーパー形状のアモルファスシリコンコア45と、これらを覆うクラッド層とから構成されている。
なお、アモルファスシリコンコア45は、シリコンスラブ44をエッチングストッパとして利用してクラッド層をエッチングして形成されるトレンチにアモルファスシリコンを堆積させることによって、容易に形成することができる。
【0046】
上記したような本実施の形態にかかる光導波路の構造、すなわち、図12(A)〜(F)に示すように、単結晶シリコンコア42とシリコンスラブ44とをテーパー形状のアモルファスシリコンコア43によって接続してシリコンスラブ44とアモルファスシリコン層46とをテーパー形状のアモルファスシリコンコア45によって接続し、かつ、単結晶シリコン層41上のアモルファスシリコンコア43の他端のコア幅を徐々に狭くしていくことにより、単結晶シリコンコア42を移行する導波光は、SOI基板40の上に積層されたアモルファスシリコン導波路47へ収まるような分布となる。
その結果、図12(G)に示すように、SOI基板40の単結晶シリコン層41とアモルファスシリコン導波路47とをクラッド層を介して分離した構成とすることができる。
【0047】
このように、本実施の形態にかかる光導波路によれば、SOI基板上の単結晶シリコン層の導波路とアモルファスシリコン導波路とを、導波光のスポットサイズを変換するとともに導波光が低損失に移行するよう接続させることができ、それぞれの導波路特定を生かした集積デバイスの自由な配置ができることから、PLCのさらなる高集積化を実現することが可能となる。
【0048】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0049】
(付記1)シリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、前記第1のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第2のクラッド層を形成する工程とを備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0050】
(付記2)付記1に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のクラッド層の底面に接するシリコンを境界面として前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0051】
(付記3)付記2に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のコアを形成する工程は、SOI(Silicon on Insulator)基板の単結晶シリコン層を選択的にエッチングし、前記第1のクラッド層を形成する工程は、前記単結晶シリコン層と前記第1のコアとを覆うシリコン酸化膜を成膜し、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記単結晶シリコン層を境界面として前記シリコン酸化膜をエッチングすることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0052】
(付記4)付記1乃至3のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、前記第2のコアを形成する工程は、前記第1のトレンチ内にアモルファスシリコンを堆積する工程と、堆積された前記アモルファスシリコンを化学機械研磨して、前記第1のトレンチ内に堆積した前記アモルファスシリコンの表面と前記第1のクラッド層との表面とを同一の平坦な面とする工程とを備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0053】
(付記5)付記4に記載の光導波路の製造方法において、前記第2のコアを形成する工程は、前記第1のトレンチ内にポリシリコンを堆積させることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0054】
(付記6)付記1乃至5のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、前記第2のコアを形成する工程の後に、前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブの上面に前記第2のクラッド層を形成する工程と、前記第2のクラッド層を選択的に除去して第2のトレンチを形成する工程と、前記第2のトレンチ内にシリコンを堆積させて第3のコアを形成する工程と、前記第3のコアを化学機械研磨して、前記第2のクラッド層の表面と前記第3のコアの表面とを同一の平坦な面とする工程と、前記第3のコアと前記第2のクラッド層とを覆う第3のクラッド層を形成する工程とをさらに備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0055】
(付記7)付記1に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のクラッド層を形成する工程の後に、前記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とを同一の平坦な面とする工程と、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブ上に前記第2のクラッド層を形成する工程と、前記第2のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して前記第1のトレンチを形成する工程とをさらに備え、前記第1トレンチを形成する工程は、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0056】
(付記8)付記1乃至6のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が広くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が広がる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第1のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0057】
(付記9)付記7に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0058】
(付記10)先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように基板上のシリコン層を選択的にエッチングして形成される第1のコアと、前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層と、記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とが同一の平坦な面の上に形成されるシリコンスラブと、このシリコンスラブを覆う第2のクラッド層と、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去して形成された第1のトレンチ内にシリコンを堆積させた第2のコアと、前記第2のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第3のクラッド層とを備えることを特徴とする光導波路。
【0059】
(付記11)SOI(Silicon on Insulator)基板の単結晶シリコン層を選択的にエッチングすることにより少なくとも一端が先端に向かって漸次的にコア幅が広くなるテーパー状に形成された第1のコアと、この第1のコアと前記単結晶シリコン層とをシリコン酸化膜によって所定の厚さで覆う第1のクラッド層と、前記第1のコアの少なくとも一端が先端に向かって漸次的にコア幅が広くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第1のクラッド層を除去して形成された第1のトレンチにシリコンを堆積して形成される第2のコアと、この第2のコアと前記第第1のクラッド層とをシリコン酸化膜によって所定の厚さで覆う第2のクラッド層とを備えることを特徴とする光導波路。
【0060】
(付記12)付記11に記載の光導波路において、
前記第2のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とが同一で平坦な面の上に形成されるシリコンスラブと、このシリコンスラブを覆う第2のクラッド層と、前記シリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的にエッチングして形成された第2のトレンチにシリコンを堆積した第3のコアと、前記第2のクラッド層と前記第3のコアとを覆う第3のクラッド層とをさらに備えることを特徴とする光導波路。
【0061】
(付記13)基板上のシリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、前記第1のコアを化学機械研磨して、前記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とを同一の平坦な面とする工程と、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブ上に前記第2のクラッド層を形成する工程と、前記第2のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、前記第2のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第3のクラッド層を形成する工程とを備え前記第1トレンチを形成する工程は、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0062】
(付記14)付記13に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0063】
光通信におけるPLCに用いられる光導波路の製造方法および光導波路に利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10…シリコン層、11…第1のコア、12,23,34…第1のクラッド層、13…第1のトレンチ、14…第2のコア、15,27,35…第2のクラッド層、20,40…SOI基板、21…シリコン層、21−1…エッチングにより形成される溝、21−2,31…第1のシリコンコア、22…絶縁層、24…第1のトレンチ、25…シリコン(アモルファスシリコンまたはポリシリコン)、26,33…第2のシリコンコア、32,44…シリコンスラブ、36…第3のクラッド層、41…単結晶シリコン層、42…単結晶シリコンコア、43,45…アモルファスシリコンコア、46…アモルファスシリコン層、47…アモルファスシリコン導波路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路の製造方法および光導波路に関し、特に、導波光のスポットサイズを変化させるための光導波路の製造方法および光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信における基幹部品として、石英系導波路によるPLC(Planar Lightwave Circuit: 平面光回路)が、広く用いられている。特に、PLCによる波長多重光信号の波長フィルタや波長合分波器を複合的に組み合わせた光変調器および光スイッチは、波長多重光信号を用いた光通信において必須の構成要素となっている。このように、光変調器および光スイッチを用いた光通信システムにおいて、PLCを用いた構成要素の高性能化や多機能化(以下、「高集積化」という。)は、光通信システムの性能やシステム構築の柔軟性向上に直接寄与することから、PLCの高集積化が求められている。
【0003】
近年、PLCの高集積化等を実現する技術として、従来の石英系導波路ではなくシリコンをコアとするシリコン導波路を用いて光信号を伝送させるシリコンフォトニクス技術が注目されている。
シリコンフォトニクス技術で使用されるシリコン導波路は、コアとクラッドとの間の屈折率の差が、従来の石英系導波路と比較して非常に大きいといった特徴があることから、従来の石英系導波路よりも導波路曲げ半径を大幅に縮小することができる。よって、導波路素子の小型化・高集積化が可能となる。
また、シリコンの熱光学係数は石英と比較して約20倍以上であることから、シリコンは、熱光学効果による屈折率の変化を石英に比べ少ない消費電力で実現でき、さらに、自由キャリアプラズマ分散効果によって、石英に比べて高速な屈折率の変化を得ることができる。
このようなシリコン導波路の特性を利用したPLCの高集積化に対する研究開発が盛んに行われている。
【0004】
しかしながら、シリコン導波路における導波光のスポットサイズは、一般的に数ミクロン以下であり、一方、シングルモードの光ファイバの導波光のスポットサイズは10ミクロン程度であるため、シリコン導波路にシングルモードの光ファイバを直接接続しようとすると、シリコン導波路と光ファイバ等の光信号伝送路との結合部分において大きな光学結合損失が生じてしまう。
そこで、上記の光学結合損失を低減するため、導波光のスポットサイズを変換するスポットサイズ変換部を備えた光導波路(以下、「スポットサイズ変換導波路」という。)が研究開発されている。このようなスポットサイズ変換導波路に関連する技術として、例えば、特許文献1または特許文献2に記載されているような、一端が平面視テーパー状に形成された複数のシリコンコアを鉛直方向に重ねた光導波路構造が知られている。このような光導波路構造を用いた場合、光ファイバとの光学結合損失は、約0.5dBと低い損失であることが実験的に示されている(非特許文献1)。
【0005】
また、シリコン導波路を集積した大規模なPLCを作製する場合、光変調器および光スイッチ等の構成要素において、それぞれの構成要素に応じたシリコンコアサイズを使用することが望ましい。このような場合においても、特許文献1,2に開示されている平面視テーパー状に形成されたシリコンコアによるスポットサイズ変換導波路を導入することにより、構成要素それぞれに最適なシリコンコアサイズを用いることができ、かつ、これらを低損失に接続することが可能となる。
【0006】
さらに、PLCに関しては、シリコン導波路層を複数設けて、光導波路を3次元的に配置することにより、単一の導波路層では得られない導波路交差の配置や、光回路のさらなる高集積化等を可能にする技術の開発も進められている。このようなPLCのさらなる高集積化等に関連する技術として、バックエンドCMOSプロセスによってアモルファスシリコンまたはポリシリコンを成膜することにより、シリコンコアを3次元的に配置したシリコン導波路の構造が知られており(非特許文献2)、近年、シリコンコアを3次元的に配置した構造を有するシリコン導波路の実用化に向けて、研究開発が行われている。
【0007】
非特許文献2に開示されているシリコン導波路においても、導波光のスポットサイズを変換する平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねる構造を導入することにより、多層に積層された光導波路間の光波の移行を低損失に実現でき、また、光導波路を3次元的に配置することによる導波路構造の設計自由度を向上させ、PLCのさらなる高集積化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2001−510589号公報
【特許文献2】特表2003−511737号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】I.Day et al. “Tapered Silicon Waveguides for Low Insertion Loss Highly-Efficient High-Speed Electronic Variable Optical Attenuators” Optical Fiber Communication Conference 2003, TUEADAY AFTERNOON/OFC 2003/VOL1, pp249-pp251.
【非特許文献2】Rong Sun et al. “Transparent amorphous silicon channel waveguides and hihg-Q resonators using a damascene process” OPTICS LETTERS, Vol.34, No.15, August 1, 2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1,2に記載されたスポットサイズ変換導波路の平面視テーパー状に形成されたシリコンコアの構造は、テーパー状に形成されたシリコンコアの接続箇所において、光学損失の原因とならないよう高さが一定で均一に形成されたシリコンコアを重ねたものである。非特許文献2に開示されているシリコン導波路の構造に平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねた構造を導入する場合も同様に、テーパー状に形成されたシリコンコアの接続箇所において、高さが一定で均一に形成されたシリコンコアを重ねる必要がある。
【0011】
このような平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねたスポットサイズ変換導波路の構造を製造する方法は、一般的に、SOI(Cilicon on Insulator)基板上に導波光が数ミクロンのシリコン導波路部を予め作製し、このシリコン導波路部の一端、すなわち、スポットサイズ変換箇所にシリコンを成膜する。引き続き、所望のスポットサイズを実現する平面視テーパー状となるように、その成膜したシリコンを選択的にエッチングすることで、平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねたスポットサイズ変換導波路の構造を形成することが考えられる。
【0012】
しかしながら、上記した平面視テーパー状に形成されたシリコンコアを重ねたスポットサイズ変換導波路を所望の導波路特性が発揮されるように上述した方法で製造するためには、スポットサイズ変換箇所におけるシリコンコアのサイズを精度良く定められた値となるようシリコンに対するエッチング工程が必要となる。
具体的には、スポットサイズ変換箇所に新たに成膜したシリコンに対して、光学損失の原因とならないように高さが一定で均一となるように平面視テーパー状に、かつ、上下方向に接するように高精度なエッチング工程を実現させる必要がある。
【0013】
すなわち、上述した製造方法によって所望の導波路特性が発揮されるスポットサイズ変換導波路を製造するには、成膜したシリコンに対して高精度な異なる高さ制御がなされたエッチング工程によってシリコンコアに不要な段差が生じないよう製造しなければならない。このため、上述した製造方法では、スポットサイズ変換導波路を歩留まり良く、かつ、所望の導波路特性を発揮させるように作製することは、煩雑で高精度な製造工程を必要とするため、困難であるといった問題があった。
そこで、本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、所望のシリコンコア形状を有するスポットサイズ変換導波路を、歩留まり良く、かつ、所望の導波路特性を発揮させるように作成する光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、上述の目的を達成するために、シリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、前記第1のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第2のクラッド層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、コア材料であるシリコンに対して高さの異なる高精度なエッチング工程を必要とせず第2のコアを形成することができることから、容易に歩留まり良く所望の導波路特性を発揮するスポットサイズ変換導波路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路の一例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路の形状の一例を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路の形状の一例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路の形状の一例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態にかかる光導波路の一例の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態にかかる光導波路の製造方法は、導波光のスポットサイズを変換する箇所(以下、「スポットサイズ変換部」という。)を備えた光導波路の製造方法であって、特に、基板上のシリコン層に形成された第1のコアの上面にクラッド層を形成した後に、このクラッド層を選択的に除去することにより形成した第1のトレンチにシリコンを堆積させて第2のコアを形成することで、所望の形状のスポットサイズ変換部を備えた光導波路を製造する製造方法である。
【0018】
図1は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって形成されるスポットサイズ変換部を備えた光導波路の製造方法を説明する断面図である。以下、図1を参照して本実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する。
図1(A)に示すように、シリコン層10を選択的にエッチングすることにより、第1のコア11を形成する工程を実行する。
第1のコア11が形成されると、図1(B)に示すように、シリコン層10と第1のコア11とを覆う第1のクラッド層12を形成する工程を実行する。
【0019】
第1のクラッド層12が形成されると、図1(C)に示すように、第1のクラッド層12の一部を除去して第1のトレンチ13を形成する工程を実行する。ここで、第1のトレンチ13は、第1のクラッド層12の第1のコア10の少なくとも一端と重なる領域を含む部分を除去することにより形成される。
【0020】
第1のトレンチ13が形成されると、図1(D)に示すように、形成された第1のトレンチ13内にシリコンを堆積させて第2のコア14を形成する工程を実行する。
第2のコア14が形成されると、図1(E)に示すように、第1のクラッド層12と第2のコア14とを覆う第2のクラッド層15を形成する工程を実行する。
【0021】
上述のように、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造されるスポットサイズ変換部を備えた光導波路の一例を図2に示す。
図2(A)は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造されるスポットサイズ変換部を備えた光導波路の一例を上面から見た上面図である。また、図2(B)は、図2(A)に示した光導波路a-a'断面から見た断面図である。
本実施の形態にかかる光導波路の製造方法で製造された光導波路は、図2(A)および図2(B)に示すように、一端のコア幅が先端に向けて漸次的に細くなる第2のコア14と、一端のコア幅が先端に向けて漸次的に広くなる第1のコア11とが重なる領域を含んだスポットサイズ変換部を有するように形成されている。
【0022】
このように、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によれば、第1のコアを形成する工程に続き第1のクラッド層を形成する工程が実行され、この第1のクラッド層を選択的に除去することによって形成される第1のトレンチにシリコンを堆積させた第2のコアを形成する工程が実行されることにより、エッチング工程を実施することなく第2のコアを形成することができる。
したがって、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によってシリコンフォトニクス技術におけるスポットサイズ変換部を有する光導波路を製造することにより、コア材料であるシリコンに対して高さの異なる高精度なエッチング工程を必要とせず第2のコアを形成することができることから、容易に歩留まり良く所望の導波路特性を発揮するスポットサイズ変換部を有する光導波路を形成することができる。
【0023】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態にかかる光導波路の製造方法は、第1の実施の形態において説明した光導波路の製造方法において、特に、SOI基板上に少なくとも一端を平面視テーパー状に変化させた形状(以下、「テーパー形状」という。)を有する第1のシリコンコアと、この第1のシリコンコアのテーパー形状を有する一端と重なる領域を含む第2のシリコンコアとを備えるスポットサイズ変換部を有した光導波路の製造方法である。
図3〜図8は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法の各工程によって形成されるスポットサイズ変換部を有する光導波路の一例を示す図であり、特に、各工程によって形成される光導波路を上面から見た上面図を(A)で、この光導波路のa−a'断面から見た断面図を(B)で示す。以下、図3〜図8を参照して、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する。
【0024】
まずはじめに、図3に示すように、SOI基板20上のシリコン層21にテーパー形状を有する第1のシリコンコア21−2を形成する工程を実行する。
具体的には、図3(A),(B)に示すように、一端が先端に向けて広がるテーパー形状を有するように選択的にシリコン層21をエッチングして溝21−1を形成することで、第1のシリコンコア21−2を形成する工程である。この工程によって形成された第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状部分が、導波光のスポットサイズ変換部分となる。
【0025】
第1のシリコンコア21−2が形成されると、図4に示すように、シリコン層21上の第1のシリコンコア21−2および溝21−1を覆うように第1のクラッド層23を形成する工程を実行する。
具体的には、図4(A),(B)に示すように、シリコン層21上の第1のシリコンコア21−2および溝21−1に対して、シリコン酸化膜を所定の厚さに成膜することにより第1のクラッド層23を形成する。ここで、シリコン酸化膜の成膜は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって実現することができる。
【0026】
第1のクラッド層23が形成されると、図5に示すように、第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状部分と重なる領域を含んだ第1のクラッド層23の所定部分を選択的にエッチングして、第1のトレンチ24を形成する工程を実行する。
具体的には、図5(A),(B)に示すように、第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状に対応させて、先端に向かってトレンチの幅が狭くなるように第1のクラッド層23を選択的にエッチングすることにより第1のトレンチ24を形成する工程である。
【0027】
第1のトレンチ24を形成する工程は、第1のクラッド層23であるシリコン酸化膜を選択的にICP(Inductiv Coupled Plasma)ドライエッチングする工程である。その際、シリコン層21をエッチングストッパとしてシリコン酸化膜に対しICPドライエッチングを行うことにより、シリコン層21を露出させかつ第1のシリコンコア21−2の一端のテーパー形状と重なる領域を含んだ第1のトレンチ24を形成する。
【0028】
第1のトレンチ24が形成されると、図6に示すように、第1のトレンチ24の内部にシリコンを充填するため、第1のトレンチ24内にアモルファスシリコン25を堆積させる工程を実行する。その際、図6(A),(B)に示すように、第1のトレンチ24内に十分にシリコンを充填するため、第1のトレンチ24から溢れる程度にアモルファスシリコン25を堆積させる。なお、図6は、便宜上、第1のトレンチ24の付近に選択的にアモルファスシリコン25を成膜しているように示しているが、実際の工程では、第1のクラッド層23の上面全体にアモルファスシリコン25が成膜される。
また、第1のトレンチ24内に充填するシリコンは、例えば、ポリシリコンを第1のトレンチ24内に堆積させても良い。
【0029】
第1のトレンチ24内にシリコンが十分に充填されると、図7に示すように、第1のトレンチ内に充填されたシリコンの表面と第1のクラッド層23の表面とを同一の平坦な面とし、第2のシリコンコア26を形成する工程を実行する。
具体的には、アモルファスシリコン25に応じたスラリーを用いて化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を行うことにより、図7(A),(B)に示すように、第1のトレンチ24から溢れたアモルファスシリコン25を除去して、第1のクラッド層23の表面と第1のトレンチ内に充填されたアモルファスシリコン25の表面とを同一の平坦な面とし、第2のシリコンコア26を形成する。
【0030】
第2のシリコンコア26が形成されると、図8に示すように、第2のシリコンコア26と第1のクラッド層23とを覆う第2のクラッド層27を形成する工程を実行する。この第2のクラッド層27は、第1のクラッド層23と同一の材質によって形成される。例えば、図8(A),(B)に示すように、第2のシリコンコア26と第1のクラッド層23とを覆うようにシリコン酸化膜を成膜することにより、第2のクラッド層27を形成することができる。
第2のクラッド層27が形成されることにより、スポットサイズ変換部を有した光導波路の構造を製造することができる。
【0031】
なお、シリコンコアを備える光導波路とシングルモードファイバとを結合する際の光導波路のシリコンコアサイズは、前述したように10ミクロン程度である。よって、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法における該工程の、シリコン酸化膜の成膜にともなう膜厚制御や余剰シリコンの除去にともなうCMP量の制御(以下、単に「加工精度制御」という。)を数百nm程度の制御量とすることで、スポットサイズ変換箇所での光学損失の起因となるようなシリコンコアの不要な段差を防ぐことができる。このような加工精度制御は、上述した該工程において一般的に実現することができるものである。
【0032】
また、上述した本実施の形態にかかる光導波路の製造方法の各工程によって製造される光導波路の例の断面図を図9に示す。
具体的には、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によれば、図9の(A)に示すように、シリコン層21の第1のシリコンコア21−2上に配置されるテーパー形状の第2のシリコンコア26を2段にした構造や、図9(B),(C)に示すように、第2のシリコンコア26を多段にする構造も容易に実現できる。
このようなテーパー形状を有するシリコンコアを多段に重ねてコアの高さを段階的に変化させる構成では、第2のシリコンコア26のテーパー形状の先端部分のコア幅を数百nm程度まで広く形成した場合においても光学損失を十分に抑制することが可能である。
【0033】
以上のことから、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によれば、シリコン酸化膜をエッチングして第1のトレンチを形成する際、シリコン酸化膜の下層にあるシリコン層をエッチングストッパとして使用できること、また、第1のトレンチに堆積させたシリコンのうち第1のトレンチから溢れたシリコンをCMPで除去する際、適切なCMPスラリーを用いることで第1のクラッド層の表面がCMPのエンドポイントにできることから、シリコン酸化膜を選択的にエッチングして所望の形状のトレンチを形成し、かつ、シリコン酸化膜の表面と同一の平坦な面となるようトレンチにシリコンを堆積させた第2のシリコンコアを容易に製造することができる。
【0034】
よって、コア材料であるシリコンに対して高さの異なる高精度なエッチング工程を必要とせず第2のコアを形成することができることから、容易に歩留まり良く所望の導波路特性を発揮するスポットサイズ変換部を有する光導波路を製造することができる。
さらに、第2のシリコンコアを多段にするといったエッチングでは形成することの困難なシリコンコア形状を容易に作製できることから、導波路特性を維持し、かつ、光導波路の製造歩留まりを向上させたシリコンコア形状を多様に設計することができる。
【0035】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態にかかる光導波路の製造方法は、シリコンコアが3次元に配置された構造を有する光導波路の製造方法である。
本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される3次元に配置されたシリコンコアの構造の一例を、図10に示す。図10(A)は、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造されるシリコンコアの構造の一例を上面から見た図であり、図10(B)は、本実施の形態にかかる製造方法によって製造されるシリコンコアをA−A’断面から見た図である。
また、図11(A)〜(D)は、本実施の形態にかかる製造方法によって製造される光導波路の3次元に配置されたシリコンコアの接合部について、図10に示すa−a’断面、b−b’断面、c−c’断面、d−d’断面それぞれから見た断面図である。
【0036】
図10(A),(B)に示すように、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によって製造される光導波路のシリコンコアの形状は、先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状(以下、「テーパー状に細くなる形状」という。)の第1のシリコンコア31の一端と、コア幅が先端に向かってテーパー状に細くなる形状の第2のシリコンコア33の一端とが重なる領域を含むように、シリコンスラブ32を介して配置された形状を有している。このような構造によれば、光導波路を移行する導波光は、積層されたシリコン層(第1のシリコンコア31と第2のシリコンコア32)の間を、スポットサイズが変換されるとともに低損失で移行することが可能となる。
【0037】
以下、図10および図11を参照して、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法を説明する。図10および図11に示すような形状のシリコンコアを有する光導波路は、第2の実施の形態において説明した光導波路の製造方法に、シリコンスラブ32を形成する工程と、このシリコンスラブ32を境界面としてシリコン酸化膜をエッチングして形成したトレンチにシリコンを堆積させることにより第2のシリコンコア33を形成する工程とをさらに備える光導波路の製造方法である。
【0038】
第2の実施の形態において説明したように、第1のシリコンコア31を形成して第1のクラッド層34を形成する工程を実行すると、第1のシリコンコア31の表面と第1のクラッド層34の表面とを同一の平坦な面とする工程を実行する。
例えば、第1のシリコンコア31を形成する際にできた溝を含んだシリコン層上に成膜されたシリコン酸化膜を、第1のシリコンコア31の表面と同一の面となるようシリコン酸化膜を除去することにより実現する。また、第1のクラッド層34にトレンチを形成して第1のシリコンコア31を成膜し、第1のシリコンコア31の表面と第1のクラッド層34の正面とを同一の平坦な面とする工程を実行しても良い。
【0039】
第1のシリコンコア31の表面と第1のクラッド層34の表面とからなる平坦な面が形成されると、この平坦な面上にシリコンスラブ32を形成する工程を実行する。
シリコンスラブ32が形成されると、このシリコンスラブ32上に第2のクラッド層35を形成する工程を実行する。
ここで、シリコンスラブ32は、アモルファスシリコンまたはポリシリコンを所定の膜厚だけ成膜することにより形成でき、第2のクラッド層35は、シリコン酸化膜を所定の膜厚だけ成膜することにより形成できる。
【0040】
第2のクラッド層35が形成されると、第2のクラッド層の第1のシリコンコア31の少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的にエッチングして所定の形状のトレンチを形成する工程を実行する。この際、シリコンスラブ32を境界面として第2のクラッド層35を選択的にエッチングして除去することにより、第1のシリコンコア31に対応するシリコン層を露出させた所定の形状のトレンチを形成することができる。
【0041】
トレンチが形成されると、このトレンチ内に十分なシリコンを充填するため、トレンチから溢れる程度にシリコンを堆積させ、トレンチから溢れたシリコン除去して第2のクラッド層35の表面とトレンチ内に充填されたシリコンの表面とを同一の平坦な面とし、第2のシリコンコア33を形成する工程を実行する。
ここで、トレンチ内に堆積させるシリコンは、例えば、アモルファスシリコンまたはポリシリコンとすることができ、堆積させたシリコンに応じたスラリーを用いたCMPを実行することで、第2のクラッド層35の表面とトレンチ内に充填されたシリコンの表面とを同一の平坦な面とすることができる。
【0042】
第2のシリコンコア33が形成されると、この第2のシリコンコア33と第2のクラッド層35を覆うように、第3のクラッド層36を形成する工程を実行する。第3のクラッド層36が形成されると、図10よび図11に示すようなシリコンコアが3次元に配置された構造を有する光導波路が製造される。
【0043】
このように、本実施の形態にかかる光導波路の製造方法によれば、テーパー状に細くなる一端が重なるようにシリコンコアが配置された光導波路を、エッチング工程を必要とせずに形成することができる。
よって、多段に積層されたシリコン層の間を導波光が低損失に移行することができる光導波路の製造歩留まりを向上させることができる。
【0044】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態にかかる光導波路は、第2の実施の形態において説明した光導波路の製造方法と第3の実施の形態において説明した光導波路の製造方法とを適宜繰り返して実施することにより製造される光導波路である。具体的には、SOI基板の単結晶シリコン層で形成した導波路と、このSOI基板上にアモルファスシリコンを成膜することにより形成される導波路とを接続した光導波路である。
【0045】
図12に、本実施の形態にかかる光導波路の断面図を示す。以下、本実施の形態にかかる光導波路の構成について、図12を参照して説明する。
本実施の形態にかかる光導波路の構成は、図12(A)に示すように、SOI基板40の単結晶シリコン層41に形成された先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状(以下、単に「テーパー形状」という。)を少なくとも一端に有する単結晶シリコンコア42と、図12(B),(C)に示すように、単結晶シリコンコア42とシリコンスラブ44とを接続するテーパー形状のアモルファスシリコンコア43と、図12(D),(E)に示すように、シリコンスラブ44とアモルファスシリコン層46とを接続するテーパー形状のアモルファスシリコンコア45と、これらを覆うクラッド層とから構成されている。
なお、アモルファスシリコンコア45は、シリコンスラブ44をエッチングストッパとして利用してクラッド層をエッチングして形成されるトレンチにアモルファスシリコンを堆積させることによって、容易に形成することができる。
【0046】
上記したような本実施の形態にかかる光導波路の構造、すなわち、図12(A)〜(F)に示すように、単結晶シリコンコア42とシリコンスラブ44とをテーパー形状のアモルファスシリコンコア43によって接続してシリコンスラブ44とアモルファスシリコン層46とをテーパー形状のアモルファスシリコンコア45によって接続し、かつ、単結晶シリコン層41上のアモルファスシリコンコア43の他端のコア幅を徐々に狭くしていくことにより、単結晶シリコンコア42を移行する導波光は、SOI基板40の上に積層されたアモルファスシリコン導波路47へ収まるような分布となる。
その結果、図12(G)に示すように、SOI基板40の単結晶シリコン層41とアモルファスシリコン導波路47とをクラッド層を介して分離した構成とすることができる。
【0047】
このように、本実施の形態にかかる光導波路によれば、SOI基板上の単結晶シリコン層の導波路とアモルファスシリコン導波路とを、導波光のスポットサイズを変換するとともに導波光が低損失に移行するよう接続させることができ、それぞれの導波路特定を生かした集積デバイスの自由な配置ができることから、PLCのさらなる高集積化を実現することが可能となる。
【0048】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0049】
(付記1)シリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、前記第1のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第2のクラッド層を形成する工程とを備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0050】
(付記2)付記1に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のクラッド層の底面に接するシリコンを境界面として前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0051】
(付記3)付記2に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のコアを形成する工程は、SOI(Silicon on Insulator)基板の単結晶シリコン層を選択的にエッチングし、前記第1のクラッド層を形成する工程は、前記単結晶シリコン層と前記第1のコアとを覆うシリコン酸化膜を成膜し、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記単結晶シリコン層を境界面として前記シリコン酸化膜をエッチングすることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0052】
(付記4)付記1乃至3のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、前記第2のコアを形成する工程は、前記第1のトレンチ内にアモルファスシリコンを堆積する工程と、堆積された前記アモルファスシリコンを化学機械研磨して、前記第1のトレンチ内に堆積した前記アモルファスシリコンの表面と前記第1のクラッド層との表面とを同一の平坦な面とする工程とを備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0053】
(付記5)付記4に記載の光導波路の製造方法において、前記第2のコアを形成する工程は、前記第1のトレンチ内にポリシリコンを堆積させることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0054】
(付記6)付記1乃至5のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、前記第2のコアを形成する工程の後に、前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブの上面に前記第2のクラッド層を形成する工程と、前記第2のクラッド層を選択的に除去して第2のトレンチを形成する工程と、前記第2のトレンチ内にシリコンを堆積させて第3のコアを形成する工程と、前記第3のコアを化学機械研磨して、前記第2のクラッド層の表面と前記第3のコアの表面とを同一の平坦な面とする工程と、前記第3のコアと前記第2のクラッド層とを覆う第3のクラッド層を形成する工程とをさらに備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【0055】
(付記7)付記1に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のクラッド層を形成する工程の後に、前記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とを同一の平坦な面とする工程と、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブ上に前記第2のクラッド層を形成する工程と、前記第2のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して前記第1のトレンチを形成する工程とをさらに備え、前記第1トレンチを形成する工程は、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0056】
(付記8)付記1乃至6のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が広くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が広がる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第1のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0057】
(付記9)付記7に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0058】
(付記10)先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように基板上のシリコン層を選択的にエッチングして形成される第1のコアと、前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層と、記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とが同一の平坦な面の上に形成されるシリコンスラブと、このシリコンスラブを覆う第2のクラッド層と、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去して形成された第1のトレンチ内にシリコンを堆積させた第2のコアと、前記第2のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第3のクラッド層とを備えることを特徴とする光導波路。
【0059】
(付記11)SOI(Silicon on Insulator)基板の単結晶シリコン層を選択的にエッチングすることにより少なくとも一端が先端に向かって漸次的にコア幅が広くなるテーパー状に形成された第1のコアと、この第1のコアと前記単結晶シリコン層とをシリコン酸化膜によって所定の厚さで覆う第1のクラッド層と、前記第1のコアの少なくとも一端が先端に向かって漸次的にコア幅が広くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第1のクラッド層を除去して形成された第1のトレンチにシリコンを堆積して形成される第2のコアと、この第2のコアと前記第第1のクラッド層とをシリコン酸化膜によって所定の厚さで覆う第2のクラッド層とを備えることを特徴とする光導波路。
【0060】
(付記12)付記11に記載の光導波路において、
前記第2のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とが同一で平坦な面の上に形成されるシリコンスラブと、このシリコンスラブを覆う第2のクラッド層と、前記シリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的にエッチングして形成された第2のトレンチにシリコンを堆積した第3のコアと、前記第2のクラッド層と前記第3のコアとを覆う第3のクラッド層とをさらに備えることを特徴とする光導波路。
【0061】
(付記13)基板上のシリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、前記第1のコアを化学機械研磨して、前記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とを同一の平坦な面とする工程と、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブ上に前記第2のクラッド層を形成する工程と、前記第2のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、前記第2のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第3のクラッド層を形成する工程とを備え前記第1トレンチを形成する工程は、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0062】
(付記14)付記13に記載の光導波路の製造方法において、前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0063】
光通信におけるPLCに用いられる光導波路の製造方法および光導波路に利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10…シリコン層、11…第1のコア、12,23,34…第1のクラッド層、13…第1のトレンチ、14…第2のコア、15,27,35…第2のクラッド層、20,40…SOI基板、21…シリコン層、21−1…エッチングにより形成される溝、21−2,31…第1のシリコンコア、22…絶縁層、24…第1のトレンチ、25…シリコン(アモルファスシリコンまたはポリシリコン)、26,33…第2のシリコンコア、32,44…シリコンスラブ、36…第3のクラッド層、41…単結晶シリコン層、42…単結晶シリコンコア、43,45…アモルファスシリコンコア、46…アモルファスシリコン層、47…アモルファスシリコン導波路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、
前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、
前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、
前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、
前記第1のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第2のクラッド層を形成する工程と
を備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のクラッド層の底面に接するシリコンを境界面として前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のコアを形成する工程は、SOI(Silicon on Insulator)基板の単結晶シリコン層を選択的にエッチングし、
前記第1のクラッド層を形成する工程は、前記単結晶シリコン層と前記第1のコアとを覆うシリコン酸化膜を成膜し、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記単結晶シリコン層を境界面として前記シリコン酸化膜をエッチングすることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、
前記第2のコアを形成する工程は、
前記第1のトレンチ内にアモルファスシリコンを堆積する工程と、
堆積された前記アモルファスシリコンを化学機械研磨して、前記第1のトレンチ内に堆積した前記アモルファスシリコンの表面と前記第1のクラッド層との表面とを同一の平坦な面とする工程と
を備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の光導波路の製造方法において、
前記第2のコアを形成する工程は、前記第1のトレンチ内にポリシリコンを堆積させることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、
前記第2のコアを形成する工程の後に、前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、
前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブの上面に前記第2のクラッド層を形成する工程と、
前記第2のクラッド層を選択的に除去して第2のトレンチを形成する工程と、
前記第2のトレンチ内にシリコンを堆積させて第3のコアを形成する工程と、
前記第3のコアを化学機械研磨して、前記第2のクラッド層の表面と前記第3のコアの表面とを同一の平坦な面とする工程と、
前記第3のコアと前記第2のクラッド層とを覆う第3のクラッド層を形成する工程と
をさらに備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のクラッド層を形成する工程の後に、前記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とを同一の平坦な面とする工程と、
前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、
前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブ上に前記第2のクラッド層を形成する工程と、
前記第2のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して前記第1のトレンチを形成する工程とをさらに備え、
前記第1トレンチを形成する工程は、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が広くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が広がる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第1のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項10】
先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように基板上のシリコン層を選択的にエッチングして形成される第1のコアと、
前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層と、
記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とが同一の平坦な面の上に形成されるシリコンスラブと、
このシリコンスラブを覆う第2のクラッド層と、
前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去して形成された第1のトレンチ内にシリコンを堆積させた第2のコアと、
前記第2のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第3のクラッド層と
を備えることを特徴とする光導波路。
【請求項1】
シリコン層を選択的にエッチングして第1のコアを形成する工程と、
前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層を形成する工程と、
前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して第1のトレンチを形成する工程と、
前記第1のトレンチ内にシリコンを堆積させて第2のコアを形成する工程と、
前記第1のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第2のクラッド層を形成する工程と
を備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のクラッド層の底面に接するシリコンを境界面として前記第1のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のコアを形成する工程は、SOI(Silicon on Insulator)基板の単結晶シリコン層を選択的にエッチングし、
前記第1のクラッド層を形成する工程は、前記単結晶シリコン層と前記第1のコアとを覆うシリコン酸化膜を成膜し、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記単結晶シリコン層を境界面として前記シリコン酸化膜をエッチングすることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、
前記第2のコアを形成する工程は、
前記第1のトレンチ内にアモルファスシリコンを堆積する工程と、
堆積された前記アモルファスシリコンを化学機械研磨して、前記第1のトレンチ内に堆積した前記アモルファスシリコンの表面と前記第1のクラッド層との表面とを同一の平坦な面とする工程と
を備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の光導波路の製造方法において、
前記第2のコアを形成する工程は、前記第1のトレンチ内にポリシリコンを堆積させることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、
前記第2のコアを形成する工程の後に、前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、
前記第2のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブの上面に前記第2のクラッド層を形成する工程と、
前記第2のクラッド層を選択的に除去して第2のトレンチを形成する工程と、
前記第2のトレンチ内にシリコンを堆積させて第3のコアを形成する工程と、
前記第3のコアを化学機械研磨して、前記第2のクラッド層の表面と前記第3のコアの表面とを同一の平坦な面とする工程と、
前記第3のコアと前記第2のクラッド層とを覆う第3のクラッド層を形成する工程と
をさらに備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のクラッド層を形成する工程の後に、前記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とを同一の平坦な面とする工程と、
前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面にシリコンスラブを形成する工程と、
前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブ上に前記第2のクラッド層を形成する工程と、
前記第2のクラッド層の前記第1のコアの少なくとも一端と重なる領域を含んだ部分を選択的に除去して前記第1のトレンチを形成する工程とをさらに備え、
前記第1トレンチを形成する工程は、前記第1のコアと前記第1のクラッド層との上面に形成されたシリコンスラブを境界面として前記第2のクラッド層を選択的に除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が広くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が広がる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第1のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の光導波路の製造方法において、
前記第1のコアを形成する工程は、先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように前記シリコン層を選択的にエッチングし、
前記第1のトレンチを形成する工程は、前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項10】
先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状を少なくとも一端に有するように基板上のシリコン層を選択的にエッチングして形成される第1のコアと、
前記シリコン層と前記第1のコアとを覆う第1のクラッド層と、
記第1のコアの表面と前記第1のクラッド層の表面とが同一の平坦な面の上に形成されるシリコンスラブと、
このシリコンスラブを覆う第2のクラッド層と、
前記第1のコアの少なくとも一端の先端に向かって漸次的にコア幅が狭くなる形状と重なる領域を含むように、先端に向かって漸次的にトレンチの幅が狭くなるよう選択的に前記第2のクラッド層を除去して形成された第1のトレンチ内にシリコンを堆積させた第2のコアと、
前記第2のクラッド層と前記第2のコアとを覆う第3のクラッド層と
を備えることを特徴とする光導波路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−22079(P2012−22079A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158661(P2010−158661)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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