説明

光応答芳香物

本発明は、洗浄目的のために、または局所的投与のために使用されるキャリア溶液、および芳香を放出するための分子内光転移を受ける能力のある非芳香光応答薬剤を含有する芳香組成物を提供する。この光応答芳香組成物は、光転移の前の第1の芳香剤、光転移し、そして放出された芳香剤、第1の薬剤および第2の薬剤の組み合わせ、または公知の芳香剤と組み合わせた上記のうちの任意のものを含み得る。Rは芳香物または芳香を与える分子である。好ましくは、Rはカルボキシル、ホスフェート、スルフェート、チオール、またはアミン(−−NR)により結合される。より好ましくは、Rは−OC(O)OR12であり、R12は芳香物または芳香を与える分子であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ水素、アルキル、アリール(例えばフェニル)、アルコキシ、置換されたアルコキシ、またはハロゲン化物である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、光応答芳香組成物に関連し、より具体的には、織物、皮膚および毛髪に適用され得、日光に曝露された場合に好ましい匂いを生成する組成物に関連する。本発明は、このような光感受性の芳香組成物を提供し、その組成物は、局所的投与または直接的投与もしくは日常の洗浄による投与のためのキャリア、ならびに上記の薬剤分子を変換し、そして望ましい芳香を放出するための効率的な光転移を受ける能力のある有機的な光応答芳香剤を含む。
【0002】
(2.当該関連分野の背景)
匂いのする織物のための芳香物の適用は、このような織物を洗浄する間に、日常的に行われる。これらの目的のために使用される洗浄剤は、好ましい香りを与えるために種々の芳香分子を含む。
【0003】
有効な芳香は、それが匂われ得るために、揮発性でなければならない。この必要条件は、織物が長い時間の間(例えば旅行の間、またはクロゼットもしくは他の場所での保管の間)芳香を保持しないという保管の問題点を引き起こす。
【0004】
加えて、ローション、身体洗浄剤、およびシャンプーは一般的に芳香物を含み、これらのローション、身体洗浄剤、およびシャンプーは時間がたてば香りを失う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、その物質が望ましい香りを保持する期間を増加させるような様式で、織物、衣料および他の物質に芳香を与えるより効率的な方法の必要性が、当該分野には存在する。芳香の塗布および含浸のための方法、ならびに匂いのする織物を長い期間保管することを可能にする組成物、ならびに所望の時期に放出される芳香物に対する必要性がさらに、当該分野には存在する。このような様式において、織物は長い期間の間保管され得、そしてなお、香りにおいてちょうど洗浄された新鮮さを維持し得る。石鹸およびシャンプーによる日常の洗浄、もしくはローションによる日常の処置の後の「ちょうど洗浄された」香りを維持する毛髪もしくは皮膚を実現するために、匂いのするヘアーローションおよびボディローション、石鹸ならびにシャンプーのためのより効率的な方法の必要性もまた存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、日光への曝露により放出される非揮発性芳香物を含有する組成物を提供する。このような様式において、織物は長い期間の間保管され得、そしてその後、日光への適度な曝露により所望の芳香の放出を開始する。このような様式において、織物は長い期間の間保管され得、そしてなお、香りにおいてちょうど洗浄された新鮮さを維持する。
【0007】
本発明はさらに、ローション、石鹸、身体洗浄剤、およびシャンプーを含む化粧製品を提供し、その化粧製品は、芳香が日常の洗浄後に持続的に放出されるように製剤化され、そのため皮膚および毛髪は新鮮な香りを維持する。
【0008】
本発明は、本明細書中に記載される光応答芳香組成物の成分として、光活性のある化合物を提供する。特に、光応答芳香組成物は、衣料、織物、皮膚および毛髪への適用のために提供され、その組成物は日常の洗浄の間の投与もしくはスプレー塗布としての投与のための、不揮発性キャリアを含有する。1つの実施形態においては、本発明の光応答芳香組成物は、以下の構造:
【0009】
【化9】

を有する3’,5’−ジメトキシベンゾインの誘導体を含有し、ここで、R、R、およびRは以下に定義される通りである。
【0010】
本発明の具体的に好ましい実施形態は、以下の特定の好ましい実施形態のより詳細な記載およびその特許請求の範囲から明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(好ましい実施形態の詳細な記載)
本発明は、光応答芳香組成物、ならびにその組成物の、織物、哺乳動物(特にヒトもしくはイヌ、ネコ、ハムスター、スナネズミなどのようなコンパニオン・アニマル)の皮膚および/または毛髪の処置のための利用の方法、ならびにその組成物に芳香を与えるための他の物質を提供する。本発明の光応答芳香組成物は、光応答芳香剤および投与のためのキャリアを含有する。
【0012】
本明細書中に記載されていることは、新しい芳香剤としての光応答化合物の新規の利用である。好ましい光応答芳香剤は、揮発性の芳香を放出するための分子内光転移を受ける能力がある。これらの感光性化合物は、その揮発性芳香が光の存在量とともに増加するという、少なくとも1つの要素を提供するために、織物の洗浄組成物に利用され得る。同様に、その光応答芳香剤は、その揮発性芳香が光の存在量とともに増加するという、少なくとも1つの要素を提供するために、ボディローション、石鹸およびシャンプーに利用され得る。その光応答芳香剤は、単独で使用されてもよいし、公知の芳香剤と組み合わせて使用されてもよい。
【0013】
多くの感光性化合物が利用可能である。光分解性の性質を有している化合物(カルボン酸塩およびリン酸塩のベンゾインエステルを含む(Corrieら、1992、J.Chem.Soc.Perkin.Trans.1:2409;Pirrungら、1994、J.Org.Chem.59:3890))は記載されており、そして当該分野において公知である。
【0014】
上記の組成物において、および本発明の方法の実施において有用な感光性の化合物の1つのクラスは、置換ベンゾインである(Sheehanら、1971、J.Am.Chem.Soc.93:7222により最初に報告されたように)。特に興味深いのは、本発明の実施のために特に有利な光切断の性質を有している、置換アルコキシベンゾインである。この化合物のクラスに含まれるものは、光により開始する環化および切断を起こす3’,5’−ジメトキシベンゾインエステル(3’,5’−DMB)である。この反応は、そのα−炭素のRO−がアセチルの場合、およそ1010/秒より大きい測度定数を、および0.64の量子効率を有する。図2は、定常状態の光分解により3’,5’−ジメトクシベンゾイルエチルカーボネートが生じることを示す。図3は、定常状態の光分解により、O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインが生じることを示す。
【0015】
好ましい実施形態において、上記の組成物は、分子内光転移を受ける第1の非揮発性芳香剤を含有し、その分子内光転移は、紫外線の照射(好ましくは、約250〜約400nmの間である)により開始され、揮発性の芳香剤を放出する。好ましい実施形態において、光転移の速度およびそれによる芳香の放出は、光と競合する添加物を含むことによって調節される。
【0016】
好ましい芳香組成物は、光応答芳香剤および局所的投与のためのキャリア(そのキャリアにより、皮膚、毛髪もしくは織物への適量の芳香剤の適用を補助する)を含有する。局所的使用のために、芳香組成物は好ましくは、皮膚組織に対して無毒性であり、そして非刺激性である。織物の適用のために、好ましい実施形態は日常の洗浄の間に、適用され得る。
【0017】
好ましい局所的組成物は、クリーム、ゲル、ローション、オイル、石鹸、シャンプーもしくは他の溶液(その溶液は活性剤として光分解前の化合物(式3)、光分解後の化合物(式4)、もしくはその2つの組み合わせを含有する)の形態であり得る。その組成物は、好ましくは、同質な溶液(無水の溶媒のような)を利用して製剤化されるか、もしくは異質な混合物(エマルジョンのような)を利用して製剤化される。局所的キャリアならびにこのような組成物の日焼け止めの製剤化および製造の一般的な方法は、当該分野において公知である。例えば、米国特許番号第4,522,807号および同第4,822,600号(このどちらも本明細書中で明確に参考として援用される)を参照のこと。
【0018】
適した局所的キャリアの例は、水、低級モノアルコールおよびその混合物、あるいは水性アルコール溶液もしくはオイル/アルコール溶液であるが、これらに限定されず、好ましいアルコールとしてはエタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセロール、およびソルビトールが挙げられ、好ましい水性アルコール混合物は、水とエチルアルコールとの混合物である。
【0019】
上記の光応答芳香剤の、皮膚もしくは毛髪への分配を助けるためのキャリア成分に加えて、いくつかの実施形態は、その芳香組成物の化粧品としての性質を向上させるための添加物を含み得る。本発明の組成物中に有利に組み込まれ得るいくつかの化粧品の成分としては、濃厚剤、軟化剤、過脂肪剤、防水剤、緩和剤、湿潤剤、および界面活性剤、ならびに防腐剤、消泡剤、芳香剤、もしくは通常化粧品に利用される他の任意の適合性の成分が挙げられるが、これらに限定されない。これらの添加物および構成成分のうち特定のものはまた、織物に香りを与えるために提供される実施形態においても有用である。
【0020】
塗膜形成剤および化粧品用樹脂もまた、本発明の実施に有用であり、それらとしては例えば、ポリビニルピロリドン;ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(単量体比率は約70:30から約30:70の間である);酢酸ビニル/不飽和カルボン酸共重合体(例えば、90%の酢酸ビニルおよび10%のクロトン酸を含む共重合体)、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチルアミノエチルの三元共重合体(硫酸ジメチルにより完全に四級化され、ここに有用な単量体が、約20:23:57の単量体比率で有利に含まれる)、ならびに酢酸ビニル/ステアリル酸アリル/アリルオキシ酢酸の三元共重合体(特に80:15:5の比率)、無水マレイン酸/ビニルエーテル共重合体(例えば、商業的には「Gantrex AN」と言われるもの)、そしてこれらの共重合体のエチルエステル、イソプロピルエステル、およびブチルエステル、ならびに無水マレイン酸/ブチルビニルエーテルの共重合体が挙げられる。
【0021】
加えて、日常の洗浄の間の織物への利用および適用のために最適化された組成物が、望ましい。これらとしては、このような洗浄の目的のために最適化された洗剤と酵素とを含む組成物が挙げられる。
【0022】
投与のためのキャリアに加えて、光応答芳香組成物は、個々の光応答芳香剤、2つ以上の本発明の光応答芳香剤の組み合わせ、もしくは1つ以上の公知の芳香剤と1つ以上の光応答芳香剤との組み合わせを含み得る。
【0023】
本発明の光応答芳香剤は、1つ以上の公知の芳香剤と組み合わされ得る。好ましい公知の芳香剤としては:アンゼリカ根油(Angelica root oil)、アニシリデンアセトン(4−(4−メトキシフェニル)−3−ブテンー2−オン)、アサロン((E)−2,4,5−トリメトキシプロペン−1−イルベンゼンおよび(Z)−2,4,5−トリメトキシプロペン−1−イルベンゼン)、ベンジリデンアセトン(4−フェニル−3−ブテン−2−オン)、圧搾ベルガモット油、樺の木熱分解生成物(Birch wood pyrolysate)、圧搾苦橙皮油(Bitter Orange Peel Oil Expressed)、ブチル−ジヒドロケイ皮アルデヒド(ボージュナール)、ブチルフェノール、ケード油(Cade oil)、カルボンオキシド(Carvone oxide)、カッシア油、ケイ皮アルコール、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルデヒド−アントラニル酸メチルシフ塩基、ケイ皮樹皮油(Cinnamon bark oil)、セイロン(Ceylon)、シンナニムニトリル(Cinnamyl Nitrile)、シトラール(レマローム(Lemarome))、シトラス油、および精油を含有する他のフロクマリン、松やに(Colophony)、(アブソリュート(absolute)、およびコンクリート(concrete)の)カスタス根油(Costus root oil)、クミン油(Cumin oil)、シクラメンアルコール(3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパノール)、マレイン酸ジエチル、ジヒドロクマリン(メリロチン)、ジヒドロキシ−3−メチル−ベンズアルデヒド、ジメチル−8−t−ブチルクマリン(ブトリア(Butolia))、シトラコン酸ジメチル(シス−メチルブテン二酸ジメチルエステル)、アクリル酸エチル、ファルネゾール、イチジク葉アブソリュート(Fig leaf absolute)、圧搾グレープフルーツ油、ヘプテナール(Heptenal)、ヘキサヒドロクマリン、ヘキセナール、ヘキセナールジエチルアセタール、ヘキセナールジメチルアセタール、ヘキシリジンシクロペンタノン(Hexylidene cyclopentanone)、ヒドロアビエチルアルコール(Hydroabietyl alcohol)(アビトール(Abitol))、ヒドロキノンモノエチルエーテル(4−エトキシフェノール)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(4−メトキシフェノール)、ヒドロキシシトロネラール(ローリーヌ(Laurine)、ヒドロナール(Hydronal)、フィキシア(Phixia)、ローリナール(Laurinal))、イソシクロゲラニオール(2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール)、イソオイゲノール、イソプロピル−2−デカロール(Isopropyl−2−decalol)、冷圧レモン油(Lemon oil cold pressed)、圧搾ライム油、リモネン、ギ酸メンタジエニル(イソベルガメート(Isobergamate))、メトキシジシクロペンタジエンカルボキシアルデヒド(センテナール(Scentenal))、メトキシ−4−メチルフェノール(クレオソール)、メトキシクマリン、クロトン酸メチル、メチルヘプタジエノン(6−メチル−3,5−ヘプタジエノン)、メチルヘプチンカーボネート(MHC、フォリオン(Folione))、N−メチルアントラニル酸メチル(アントラニル酸ジメチル)、メチルオクチンカーボネート(MOC)、メチル−2(3)−ノネンニトリル(シトグレニル(Citgrenile))、メチル−7−エトキシクマリン((マラニオール(Maraniol))、メチルクマリン、メチルクマリン(トンカリン(Toncarine))、メチルオイゲノール、メチルヒドロシンナムアルデヒド(Methylhydrocinnamic aldehyde)、ムスクアンブレット(Musk ambrette)、ニトロベンゼン、ヌートカトン(Nootkatone)、オークモス抽出物(Oak moss extract)、オクテン−3−イルアセテート(アミルビニルカルビニルアセテート)、オポポナックス(Opoponax)、他の物質(Other material)、ペンチリデンシクロヘキサノン、ペリラアルデヒド、ペルーバルサム(Peru balsam)、プチグレーンマンダリン油(Petitgrain Mandarin Oil)、フェニルアセトアルデヒド(ハイアシンチン(Hyacinthin))、マツ科誘導体(Pinacea derivative)、プロピリデンフタリド(Propylidene phthalide)、プソイドイオノン(2,6−ジメチルウンデカ−2,6,8−トリエン−10−オン)、プソイドメチルイオノン、ルー油(Rue oil)、サフロール、イソサフロール、ジヒドロサフロール、サビン油(Savin oil)、スクラレオール(Sclareol)、スチラックス(Styrax)、タジェティーズ油(Tagetes oil)およびアブソリュート、ツリーモス抽出物(Tree moss extract)、トリメチルシクロヘキサ−1,3−ジエニルメタナール(サフラナール)、トリメチルシクロヘキセニル/シクロヘキサジエニル)−2−ブテン−1−オン(ローズケトン(Rose ketone))、バーベナアブソリュート(Verbena absolute)、およびバーベナ油(Verbena oil)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
好ましくは、本発明の芳香剤(例えば、式3のベンゾイン誘導体)は、早期の光転移を防ぐために、暗い容器内で保管されるべきである。最も好ましくは、このようなベンゾイン誘導体含有組成物は、その組成物の光への曝露を顕著に制限する暗い(好ましくは、黒い)容器内で保管されるべきである。
【0025】
上で述べたように、ベンゾイン化合物は光感受性である。従って、保管目的のために、その化合物の安定な形態を有することは、有益である。ベンゾイン化合物は、それらのジチアン誘導体(式2)として保管することにより、光から好ましく保護される。そのジチアン保護基は、過塩素酸水銀との接触により、もしくは当業者に公知である他の方法を介して、取り除かれ得る。そのジチアン保護基の除去は、上記のベンゾイン化合物(式3)を与える。そのベンゾイン化合物は、光への曝露により、ベンゾフラン化合物(式4)へ変換される。
【0026】
式2(下)に示される一般的なジチアン付加体は、重要な、非感光性の中間体化合物を表す。1つの実施形態において、本発明は、一般的に式2で示されるような、新規な感光性前駆化合物を提供する。
【0027】
【化10】

1つの実施形態において、Rは、ヒドロキシ、カーボネート、置換エステル(−−OC(O)R)、リン含有基、硫黄含有基、蛍光標識、または芳香分子もしくは芳香を与える分子である。R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、置換アルコキシ、もしくはハロゲン化物である。RもしくはRのうちの少なくとも1つは、水素である。R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシもしくは置換アルコキシである。
【0028】
式2のジチアン−ベンゾイン付加体に加えて、本発明は、以下の式3により一般的に示されるような、対応する感光性ベンゾイン化合物を提供する。
【0029】
【化11】

この実施形態において、Rは芳香物であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、置換アルコキシ、もしくはハロゲン化物である。RもしくはRのうちの少なくとも1つは、水素である。R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシもしくは置換アルコキシである。
【0030】
式3で示される一般的な化合物は、ジチアン付加体を除去してケトンを形成することにより、一般に生成される。当該分野において一般に公知であるように、これは、過塩素酸水銀もしくはビス(トリフルオロアセトキシ)−ヨウ化ベンゼンを使用することにより、達成される;例えば、Greeneら(1991、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS ,John Wiley and Sons,New York,203〜205頁(本明細書中で参考として援用する))を参照のこと。この様式において、上記のジチアン付加体は、後の操作の間もしくは光分解が望まれるまで、上記の感光性ベンゾインの保護基として役立つ。適切な時に、そのジチアン付加体は除去され、次いで必要に応じて光分解が開始される。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、一般的に式4で示される、対応した光転移したベンゾフラン化合物を含有する:
【0032】
【化12】

式4の異性体化合物4Aおよび4Bは、フラン環形成がそれぞれR位およびR位で起こることにおいてのみ、異なる。ベンゾイン前駆体において、Rが水素であり、そしてRが水素でない場合、4Bが形成される。ベンゾイン前駆体において、Rが水素であり、そしてRが水素でない場合、4Aが形成される。ベンゾイン前駆体において、RおよびRの両方が水素である場合、4Aと4Bの混合物が形成される。この最後のケースにおいては、ベンゾイン前駆体のRとRとが異ならない場合には、4Aと4Bとは同一の化合物である(図1、化合物8および化合物9を参照のこと)。
【0033】
この実施形態において、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、置換されたアルコキシ、もしくはハロゲン化物である。R、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシもしくは置換されたアルコキシである。
【0034】
上記のフラン生成物(式4)は、光への曝露後に、置換ベンゾインから形成される。式1はR位(4B)もしくはR位(4A)(そのうちの1つは必ず水素である)への攻撃により形成されるフランを示す。
【0035】
以下の官能基の定義は、本明細書中に記載される構造の好ましい実施形態について、さらに記載する。
【0036】
本明細書中の「カーボネート」は、−−OC(O)OR12基を意味し、ここでR12は芳香物、または芳香を与える分子である。
【0037】
本明細書中の「置換エステル」は、−−OC(O)R12基を意味し、ここでR12は芳香物または芳香を与える分子である。従って、上記のRは式−−OC(O)NR’R’’のカルバメートであり得、ここでR’およびR’’は同一であってもよいし異なっていてもよく、ならびにR’およびR’’は水素、アルキル、およびアリールを含み得る。R’が置換エステルである場合、R12は芳香物または芳香を与える分子である。
【0038】
本明細書中の「アルキル」または「アルキル基」、あるいは文法的にそれらに等価なものは、直鎖のアルキル基または分枝鎖アルキル基を意味する(直鎖アルキル基が好ましい)。分枝である場合、その分枝鎖は1つ以上の部位で分枝し得、そして明記されない場合は、任意の部位で分枝し得る。C5環およびC6環のようなシクロアルキル基もまた、アルキル基の定義内に含まれる。いくつかのケースにおいて、2つのR基が同一の環構造の一部であり得る。すなわち、2つのR基は環状構造(複素環式構造を含む)を形成するために結合され得る。例えば、RおよびR、ならびに/またはRおよびR10は、メチレンジオキシの5員環を形成するために、結合し得る(Pillai,Synthesis,January 1980,1−26頁(本明細書において参考として援用する)に記載されるように);加えて、RおよびR、ならびに/またはRおよびRもまた、同様に結合し得る。いくつかのケースにおいて、そのR基はアリール基を形成し得る;例えば、RおよびR10はベンジル基を形成し得る(ナフチル基が形成されるように)(米国特許番号第4,469,774号(参考として援用する)に記載されるように)。
【0039】
本発明の式の置換基として開示されるアルキル基は、約1炭素原子〜約100炭素原子(C−C100)の間のサイズであり得、好ましい実施形態においては約1炭素原子〜約20炭素原子(C−C20)を利用し、約C〜約Cが最も好ましい。しかし、いくつかの実施形態において、そのアルキル基は、特にそれが直鎖アルキルである場合、より大きくなり得る。特に好ましい化合物は、R位〜R位にメチル基を有する。
【0040】
本明細書中の「アリール」または「アリール基」は、芳香環を意味し、その芳香環としては、フェニル環、ベンジル環、およびナフチル環、ならびに複素環の芳香環(例えば、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、インドールおよびプリン、ならびに炭素、窒素、酸素、硫黄、またはリンを含む他の複素環式芳香環)が挙げられる。
【0041】
本発明の式の置換基として開示されるアルキル基およびアリール基は、置換され得る;例えば、フェニル基は、置換フェニル基であり得る。適切な置換基としては、アルキル基;アルコキシ基;OCF;CF;フェニルのようなアリール基;塩素、臭素およびフッ素のようなハロゲン;アミン;カルボン酸;アミド基、アミン基およびニトロ基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書の「アミン」という用語は、−NR1314基を意味する。この実施形態において、R13およびR14は、同一であってもよいし異なっていてもよく、そして水素、アルキルまたはアリール(例えば、フェニルもしくはナフチル)であり得る。好ましい−NR1314基は、−−NHである。2級アミンは、R13もしくはR14のどちらかが水素である(しかし両方ではない)−NR1314である。3級アミンは、R13もしくはR14のどちらも水素ではない−−NR1314である。
【0043】
本明細書中の「ヒドロキシ」は、−−OH基を意味する。
【0044】
本明細書中の「アルコキシ」は、−OR15基を意味し、ここでR15は上で定義されたようなアルキル基である。メトキシ(−−OCH)は、アルコキシの定義内に含まれる。
【0045】
本明細書中の「置換アルコキシ」は、−−OX(CR16)(R17)(R18)基を意味し、ここでXは存在しない(すなわち、置換メトキシ)か、または直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基である。好ましい実施形態においては、Xは直鎖アルキル基であり、その結果その置換アルコキシ基は、−−O(CHC(R16)(R17)(R18)の式を有し、ここでnは0(置換メトキシであり、これは好ましい)もしくはそれより大きく、好ましくは0〜100であり、0〜20が特に好ましい。R16、R17およびR18は、水素、アミノ、カルボキシ、リン含有基、硫黄含有基、シリル基および当該分野において公知である他の基、芳香物もしくは芳香を与える分子からなる群から選択される。好ましい実施形態において、R16およびR17は水素であり、その結果単一の置換基が存在する。
【0046】
本明細書中の「リン含有基」は、少なくとも1つのリン原子を含む官能基を意味する。好ましい実施形態において、そのリン含有基は化学的に、または機能的に活性であり、その結果さらなる基がそのリンを利用して化合物に結合され得る。好ましい実施形態において、そのリン含有基は、リン酸(−−OP(O)(OH))基、ピロリン酸基、または式−−OP(O)(OR19)(OR20)の置換リン酸基である。この実施形態において、R19およびR20としては、水素、アルキル、またはアリール(例えば、フェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、R19およびR20のうち1つは水素である。ホスフィン(−−RPR1920)、およびホスホネート(−−R−−P(O)(OR19)(OR20))もまた、リン含有基の定義内に含まれる。
【0047】
本明細書中の「硫黄含有基」は、少なくとも1つ以上の硫黄原子を含む官能基を意味する。上記のリン酸のように、この硫黄含有基は、化学的に、または機能的に、好ましく活性である。すなわち、芳香物または芳香を与える分子のようなさらなる基が、その硫黄原子を利用して結合され得る。従って、チオール(−−RSH)、スルフィド(−−RSR19)、スルホン(−−RS(O)19)、スルフェート(−−ROS(O)OR19)、およびスルホン酸(−−RS(O)OH)はすべて、硫黄含有基の定義内に含まれる。
【0048】
本明細書中の「ハロゲン化物」は、ハロゲン化物原子を意味する。好ましいハロゲン化物としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素が挙げられ、塩素とフッ素が特に好ましく、そして塩素が最も好ましい。
【0049】
上に開示されたように、式2、3、および4の化合物は、使用される置換基の官能性により異なる多くの可能な構造を有し得る。式2、3、および4のための好ましいR基は以下の通りである:
は、芳香物または芳香を与える分子である。好ましくは、Rはカルボキシル、ホスフェート、スルフェート、チオール、またはアミン(−−NR)を介して結合される。よりこの好ましくは、Rは−−OC(O)OR12であり、ここでR12は芳香物もしくは芳香を与える分子である。
【0050】
は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、Rは水素である。
【0051】
は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、Rはアルコキシ、置換アルコキシであるか、または、Rがアルコキシまたは置換アルコキシである場合、Rは水素である。より好ましくは、Rは−−OMeである。
【0052】
は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、Rは水素である。
【0053】
は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、Rはアルコキシまたは置換アルコキシである。より好ましくは、Rは−−OMeである。
【0054】
は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、Rは水素である。
【0055】
は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、Rは水素である。
【0056】
は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、Rは水素である。
【0057】
は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、Rは水素である。
【0058】
10は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、R10は水素である。
【0059】
11は、水素、アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アルコキシ、または置換アルコキシであり得る。好ましくは、R11は水素である。
【0060】
1つの局面において、式2および/もしくは式3のRおよびRのうちの少なくとも1つは、水素である。これは方程式1に示される光分解機構のために必要とされ、ここでフラン環は上記R位もしくはR位のどちらかへの攻撃により形成される。従って、少なくともRもしくはRは、水素である;すなわち、RおよびRのどちらも置換基を含有してはならない。好ましい実施形態において、式2および式3のRおよびRの両方が、水素である。
【0061】
式2のジチアン−ベンゾイン付加体、および式3の置換ベンゾイン化合物は、図1に示されるスキームを利用して、一般的に合成される。一般的に、その合成は、以下の式5に示される反応物を接触させる工程を含む(式2の化合物の形成のため)。
【0062】
【化13】

これは、本明細書中に記載されるジアチン−ベンゾイン付加体の形成を可能にする条件下で行われる。
【0063】
一般的に、ヒドロキシベンズアルデヒドのヒドロキシ基は、tert−ブチルジメチルシロキシ基のような公知の保護基を利用して、保護される。ジチアン付加体は、Corey−Seebachジチアン付加を利用して、ジチアン−ベンゾイン化合物(図1、化合物2)を形成するために付加され得る。そのヒドロキシル−保護基は除去され、そして化学的に活性な基が付加される。例えば、置換アルコキシは付加され得る。その置換アルコキシは、そのR位〜R位のうちの1つにおいて、カルボキシ基(図1、化合物4)、もしくはカルバメート(図1、化合物5)のような化学的に反応性の基を含有するように、変化させられ得る。当該分野において公知であるように、同様の様式で、アミノ基、リン含有基、硫黄含有基、置換カルボニル、芳香分子もしくは芳香を与える分子、標識、または他のものが、その化合物のベンジル環に付加され得る。
【0064】
芳香分子もしくは芳香を与える分子が、その化合物のベンジル環もしくはベンゾイル環、あるいはその化合物のR位に付加される場合、その付加は、その芳香分子に依存して多様な方法により行われ得る。一般的に、芳香物がそのコア化合物に結合される場合、その付加は2つの段階で行われる。第1に、そのコア化合物が2つの化学的活性基を含有するように生成される;1つの活性基はそのR位に、そして1つの活性基はその他のR基の1つに生成される。例えば、そのコア化合物は、アミン、カルボキシ基、リン酸基、もしくはスルフヒドリル基とともに、生成される。次に、上記の芳香物が生成され、これはまた付加のために利用され得る官能基も含有する。本発明の組成物のいくつかの実施形態の調製において、その芳香剤の他の反応基は、それらをそのコア化合物の官能基と反応することから防ぐために、保護される。例えば、アミノ基は、この基を反応から防ぐために保護される必要があり得るが、いくつかの実施形態においては、上記の付加はアミノ基の官能基を介して行われる。保護基および保護技術は、当該分野において周知である。いったんそのコア化合物、およびその芳香分子もしくは芳香を与える分子が生成されると、それらはその官能基と反応することにより、付加され得る。
【0065】
以下の実施例は、上に記載された方法および有利な結果の特定の局面を例証する。以下の実施例は例証のために示され、限定のためではない。
【実施例】
【0066】
(一般的な方法)
THFを、ナトリウムおよびベンゾフェノンで還流し、そして使用に先立って蒸留した。3−ヒドロキシベンズアルデヒド(Fluka)を、ジエチルエーテルに溶解し、中性アルミナのプラグを通して濾過し、そしてエバポレートした。すべての他の出発物質は、Aldrich製で、そしてそれ以上の精製なしで使用した。THF中の1.0Mテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)溶液を、3Åモレキュラーシーブで乾燥した。IRスペクトルは、ポリエチレン基材上の、そのサンプルの薄いフィルムから得た。
【0067】
(実施例1)
3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド(図1、化合物1)の合成:
3−ヒドロキシベンズアルデヒドのヒドロキシルを、ジアニオンの溶解性の問題を回避するために、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)エーテルとして保護した。600mLのTHF中の3−ヒドロキシベンズアルデヒド(12.21g、100mmol)溶液へ、t−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMSCl、18.84g、125mmol)を加えた。その溶液を0℃に冷却し、そしてトリエチルアミン(12.65g、17.4mL,125mmol)を滴下して加えた。その反応混合物を室温にし、そして5時間攪拌した。その混合物を濾過し、そして上記のTHFを減圧下で除去した。そのオイルを、それ以上トリエチルアミンクロリドが沈殿しなくなるまで、繰り返しTHFの200mL部分に溶解し、そしてエバポレートした。そのオイルをその後、150mLのジエチルエーテルに溶解し、そのオイルの塩および黄色を除去するために中性アルミナおよび活性炭のプラグを通して濾過し、そしてエバポレートした。
【0068】
その無色で、流動性のオイルを、真空で一晩、乾燥した。収量:21.43g(91%)。
【0069】
【化14】

(実施例2)
(±)−1−ヒドロキシ−1−(3−tert−ブチルジメチルシリルオキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(図1、化合物2)の合成:
125mLのTHF中の2−フェニル−1,3−ジチアン溶液(15.71g、80mmol)を調製した。その溶液を、0℃、窒素雰囲気下で、40mLのn−ブチルリチウム(シクロヘキサン中に2.0M、80mmol)で処理した。30分後、3−(tert−ブチル−ジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド(18.91g、80mmol)を加えた。その溶液を0℃で1時間攪拌し、その後100mLの1N HClに注ぎ、そしてジクロロメタン(4×、50mL)で抽出した。その有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、活性炭およびシリカゲルのプラグを通して濾過し、そして減圧下でエバポレートした。その結果得られたオイルを、白色粉末を形成するために、エタノール/水から結晶化した。収量:29.98g(84%)、融点75−76℃。
【0070】
【化15−1】

【0071】
【化15−2】

(実施例3)
(±)−1−ヒドロキシ−1−(3−カルボメトキシメトキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(図1.化合物3):
上記のフェノールヒドロキシルを、ブロモ酢酸メチルの存在下でTBAFで処理することにより、簡便に、そして選択的にアルキル化して、そのメチルエステルを得た。窒素雰囲気下で、150mLの乾燥THF中の(±)−1−ヒドロキシ−1−(3−tert−ブチルジメチルシリルオキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(28.12g、65mmol)およびブロモ酢酸メチル(12.43g、81.25mmol)溶液を調製した。その溶液を、THF(68.25mL、68.25mmol)中の1M TBAFに滴下して処理した。その溶液を一晩反応させ、その後酢酸エチル(200mL)中に注ぎ、そして水で洗浄した(5回、50mL)。その有機相をMgSOで乾燥し、そしてエバポレートした。その残渣を200mLのジエチルエーテルに溶解し、少量の中性アルミナおよび活性炭で濾過し、そして真空で乾燥した。その生成物を、酢酸エチル/ヘキサンから結晶化して、白色粉末を得た。収量:23.61g(93%)、融点122−122.5℃。
【0072】
【化16】

(実施例4)
(±)−1−ヒドロキシ−1−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(図1、化合物4)の合成:
25mLの乾燥ピリジン中の無水ヨウ化リチウム(2.68g、20mmol,Aldrich)溶液を、窒素雰囲気下で還流し、そして(±)−1−ヒドロキシ−1−(3−カルボメトキシメトキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(1.95g、5mmol)で処理した。その反応を6時間還流し、次いで窒素流動下で室温まで冷却させた。その溶液を1N HCl(300mL)に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した(3回、50mL)。その合わせた酢酸エチル層を、5%の重炭酸ナトリウムで抽出した(4回、50mL)。その水相をpH 2まで酸性にし、酢酸エチルで抽出した(3回、50mL)。その有機相をMgSOで乾燥し、活性炭を通して濾過し、エバポレートし、そしてヘキサンとともに摩砕して、白色の固形物を得た。収量:1.71g(91%)、融点99−101℃。
【0073】
【化17】

(実施例5)
(±)−1−ヒドロキシ−1−(3−カルバミルメトキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(図1、化合物5)の合成:
(±)−1−ヒドロキシ−1−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(391mg、1mmol)の溶液を、50mLメタノール中で、緩やかに加温しながら調製した。その溶液を0℃に冷却し、そして30分間を通じて気体アンモニアを通気させた。そのフラスコをタオルで覆い、しっかりと栓をし、そして室温になるまで放置した。2時間後、その溶媒を減圧下で除去し、白色の固形物を得た。収量:348mg(93%)、融点140−141℃。
【0074】
【化18−1】

【0075】
【化18−2】

(実施例6)
(±)−1−アセトキシ−1−(3−カルバミルメトキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(図1、化合物6)の合成:
10mLのTHF中の(±)−1−ヒドロキシ−1−(3−カルバミルメトキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(192mg、0.5mmol)の溶液に、DMAP(2mg)、トリエチルアミン(70mL、0.5mmol)、および無水酢酸(94mL、1.0mmol)を加えた。その溶液を室温で4時間攪拌し、次いで酢酸エチル(50mL)と5%重炭酸ナトリウム(50mL)の間で分配した。その有機相を水で洗浄し(3回、50mL)、MgSOで乾燥し、そしてエバポレートして、無色のオイルを得た。収量205mg(98%)。
【0076】
【化19】

(実施例7)
(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾイン(図1、化合物7)の合成:
5mLの9:1(v/v)アセトニトリル/水中の(±)−1−アセトキシ−1−(3−カルバミルメトキシフェニル)−2−フェニル−2−(1,3−ジチアン−2−イル)−エタン(110mg、0.26mmol)の溶液に、過塩素酸水銀(148mg、0.33mmol)を加えた。その溶液を15分間攪拌し、0.45mmのPTFEシリンジフィルター(Gelman)を通して5%の重炭酸ナトリウム溶液(10mL)中へ濾過し、そして50mLのジクロロメタンで抽出した。その有機相を乾燥し、減圧下でエバポレートして、無色のオイルを得た。分析のためのサンプルをメタノールからエバポレートし、温水に溶解し、そして凍結乾燥した。収量:65mg(76%)。
【0077】
【化20】

(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインの定常状態の光分解:
1:1メタノール/トリスHCl(0.05M、pH 7.40)中の、(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインの47.7mM溶液を、路経1cmの石英キュベット中に調製した。そのサンプルを450ワットで作動するOriel 66011Hg蒸気ランプにより照射し、水冷したSchott glass UG11フィルターで濾過した。間隔をおいて、そのサンプルを取り出し、そしてその210〜400nmのUV吸収スペクトルをHP 8452分光光度計により取得した。完全な光分解は、照射90秒以内に生じた。
【0078】
その光分解生成物の単離のために、50mLのメタノール中の、25.6mgの(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインのサンプルを、そのサンプルの吸収スペクトルにそれ以上の変化が観察されなくなるまで、上記のように3mLバッチ中で照射した。そのメタノールを減圧下で除去し、20.6mg(99%)の上記光分解生成物を得た。この物質の組成は、GCMSにより決定すると、74%の2−フェニル−5−カルバミルメトキシベンゾフラン、24%の2−フェニル−7−カルバミルメトキシベンゾフラン、および2%の他の物質であった。標準サンプルを、粗製の光分解サンプルの分取用TLC(シリカゲル/ジエチルエーテル)により得、H NMRおよびIRにより同定した。
【0079】
(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインの過渡光分解(transient photolysis):
1:1メタノール/トリスHCl(0.05M、pH7.40)中の、(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインの9.54mM溶液を、光路長1cmの石英キュベット中に調製した。そのサンプルを、Q−スイッチSpectra Physics DCR−12 Nd:YAGレーザー由来の、355nmでの3次元共鳴を利用して、光分解した。代表的なパルスは、1.5mJ/パルスのエネルギーでの期間で、10〜20ns(FWHM)であった。そのサンプルを、アークランプとキュベットとの間に配置されたSchott glass UG11フィルターによりフィルターをかけた75Wのキセノンアークランプでモニターした。次いで、そのキュベットに依存するプローブ光を、310nmにセットしたSA1690Bダブルモノクロメータにより波長選択し、光電子倍増管により検出した。そのシグナルを、Keithly 427電流増幅器により増幅し、そしてマイクロコンピュータに接続されたTektronix R 10 200MHzトランジエントデジタイザーによりデジタル化した。サンプルを10Hzの光分解パルス繰り返し数で取得し、スキャンは20パルスの平均を示した。
【0080】
(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインの照射の結果、フェニルベンゾフラン(図1、化合物8および化合物9)への完全な転換が起こる。(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインの定常状態の光分解スペクトルは、その光分解の過程を通じて、2つの等吸収点を示す(図3)。単離されたフェニルベンゾフランのGCMSおよびNMRにより決定したところ、酢酸の等価物と共に、その2つの異性体光分解生成物(図1の化合物8および化合物9)が、3:1の割合で、98%の収率で生成された。
【0081】
310nm(Δε=35,000 M−1cm−1)における大きな吸収の変化に起因して、そのベンゾフランの形成についての過渡吸収(transient absorption)の研究を行った。Sheehanら(上記)によるクエンチングの研究は、3’,5’−酢酸ジメトキシベンゾインの光分解は、1010/秒のオーダーの速度で、非常に急速であることを示した。急速な光分解は、(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインにおいても維持されているようである。355nmにおける3倍波Nd:YAGレーザーによる(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインの光分解は、310nmにおける急速な吸収の増加という結果になった。この増加の過程は、およそ30nsの器具の応答時間(これは、3x10/秒の光分解速度の下限に位置する)内では計測し得ない(データは示さず)。
【0082】
(実施例8)
ジチアン保護された3’,5’−ジメトキシベンゾイン:
20mLの乾燥THF中の2−フェニル−1,3−ジチアン(390mg、2mM)の溶液を0℃に冷却し、1.01当量のnBuLiを、急速に攪拌しながら、シリンジを介して、滴下して加えた。その溶液を30分間攪拌し、次いで1mlの乾燥THF中に溶解した1.0等量の3,5−ジメトキシベンズアルデヒドを、滴下して加えた。その溶液を室温まで温め、そして1時間攪拌した。その反応物をNHCl水溶液を加えることによりクエンチし、THF溶媒を真空中で除去し、そしてその結果生じたスラリーをジクロロメタンで抽出した。そのジクロロメタン層を20mLの水で2回洗浄し、そして溶媒を真空中で除去し、淡黄色のオイルを得た。その得られたオイルは、代表的には、静置した際に結晶し、GC/MS、H NMRおよびTLCによると99%よりも大きい純度である。従って、そのオイルを精製なしでさらなる合成転換へ使用し得る。
【0083】
(実施例9)
ジチアン保護された4’−メトキシベンゾイン:
3,5−ジメトキシベンズアルデヒドの代わりに1.0当量の4−メトキシベンズアルデヒドを使用したことを除いて、実施例8の手順に従った。
【0084】
(実施例10)
ジチアン保護された2’−エトキシベンゾイン:
3,5−ジメトキシベンズアルデヒドの代わりに1.0当量の2−エトキシベンズアルデヒドを使用したことを除いて、実施例8の手順に従った。
【0085】
(実施例11)
ジチアン保護された2’−メチルベンゾイン:
3,5−ジメトキシベンズアルデヒドの代わりに1.0当量の2−メチルベンズアルデヒドを使用したことを除いて、実施例8の手順に従った。
【0086】
(実施例12)
3’,5’−ジメトキシベンベンゾイニルエチルカルボネートの合成:
100mLの乾燥THF中の、3,927g(20mmol)2−フェニル−1,3−ジチアンの溶液を、窒素雰囲気下、0℃で調製した。N−ブチルリチウム(8mL、ヘキサン中の2.5M、20mmol)を5分間に渡って滴下して加え、そしてその溶液を1時間半攪拌した。固形の3,5−ジメトキシベンズアルデヒド(3.324g、20mmol)を次いで加えた。1時間半後、エチルクロロホルメート(2.713g、25mmol)を加えた。追加のTHFを加え(100mL)、その後最低限の量の水に溶解した過塩素酸水銀(18.42g、41mmol)の溶液を加えた。15分後、最低量の水の中の5,560gのKCOの溶液を加え、その混合物をシリカゲルのプラグを通して濾過した。その濾液にジエチルエーテル(200mL)を加え、そしてその溶液を5%(w/v)NaHCOおよびブラインで抽出した。その有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、そしてエバポレートした。ジエチルエーテル/ヘキサンから結晶化し、6.04g(88%)の表題化合物を得た。この物質をジエチルエーテルから再結晶化し、4.20g(61%)の分析的に純粋な物質を得た。
【0087】
【化21】

前述の記載は、本発明を実施するために利用され得る具体的な方法を詳述する。このような具体的な方法を詳述すると、当業者は、本発明の結果を利用して同じ情報に到達するための、代替の信頼性のある方法をどのように考案するかを、十分に精通する。従って、前述の詳細が本文に現れ得るが、それは全体の記述範囲を限定するように解釈されるべきではない;むしろ、本発明の境界は、添付の特許請求の範囲の法的解釈のみによって決定されるべきである。本明細書中に引用されるすべての文書は、明確に本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本発明の例示的な化合物の合成を示す。
【図2】図2は、0秒〜150秒の3’,5’−ジメトキシベンゾインエチルカーボネートの定常状態の光分解を示す紫外スペクトログラフである。アセトニトリル中の53.5μMのベンゾイン誘導体溶液に、UG11およびWG320フィルターを用いて、Oriel 66011 Hg蒸気ランプにより照射した。これらの結果は、上記の光変換の有効性および上記の所望の芳香の放出を実証した。
【図3】図3は、(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾインの定常状態の光分解を示す紫外スペクトログラフである。1:1のメタノール/トリス−HCl(0.05M,pH7.4)中の54.8μMの(±)−O−アセチル−3’−カルバミルメトキシベンゾイン溶液に、UG11およびWG320フィルターを用いて、Oriel 66011 Hg蒸気ランプにより照射した。これらの結果はさらに、上記の光変換の有効性を実証した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不定に芳香を放出するための組成物であって、以下:
(a)日光の放射により誘発される分子内の光化学転移を起こして、芳香を放出するか、もしくは芳香である第2の薬剤を形成する、第1の有機剤;そして
(b)洗浄もしくは噴霧の方法による、皮膚もしくは毛髪への局所的投与のための、または衣料製品もしくは織物製品への投与のための、キャリア、
を組み合わせて含有する、組成物。
【請求項2】
光応答性の芳香組成物であって、以下:
(a)下の式を有する化合物であって、
【化1】

ここで、Rは、置換されたエステル(−−OC(O)R12)、置換されたリン酸基(−−OP(O)R19)(OR20)、置換されたチオール(−−S−R12)、置換されたアミン(−−NH−R12)、または芳香もしくは芳香分子に共有結合により結合する他の置換された化学基であり;
、R、R、RおよびRは、独立的に水素、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アルコキシもしくは置換されたアルコキシであり;
、R、R、R10およびR11は、独立的に水素、アルキル、アリール、アルコキシもしくは置換されたアルコキシであり;
12は、芳香もしくは芳香を与える分子であり;
19は水素であり、そしてR20は芳香もしくは芳香を与える分子であるか、またはR19は芳香もしくは芳香を与える分子であり、そしてR20は水素であり、
ここで、RもしくはRのうち、少なくとも1つは水素であり;
ここで、R、R、R、R、もしくはRのうち、少なくとも1つはヒドロキシもしくは置換されたアルコキシである、化合物;ならびに
(b)皮膚もしくは毛髪への局所的投与のための、または衣料製品もしくは織物製品への直接的投与のための、キャリア、
を含有する、組成物。
【請求項3】
光応答性の芳香組成物であって、以下:
(A)下の式を有する、日光を吸収する化合物であって、
【化2】

ここで、R、R、RおよびRは、独立的に水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシもしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
、R、R、R10およびR11は、独立的に水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシもしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
ここで、R、R、RもしくはRのうち、少なくとも1つは水素もしくは置換された(C1−20)アルコキシである、化合物;
(B)皮膚もしくは毛髪への局所的投与のための、または衣料製品もしくは織物製品への直接的投与のための、キャリア;
(C)芳香もしくは芳香分子、
を含有する、組成物。
【請求項4】
望ましい香りの芳香を放出するために有用な組成物であって、以下:
(A)以下の式を有する化合物であって、
【化3】

ここで、Rは、置換されたエステル(−−OC(O)R12)、置換されたリン酸基(−−OP(O)R19)(OR20)、置換されたチオール(−−S−R12)、置換されたアミン(−−NH−R12)、または芳香もしくは芳香分子に共有結合により結合する他の置換された化学基であり;
、R、R、RおよびRは、独立的に水素、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アルコキシ、もしくは置換されたアルコキシであり;
、R、R、R10およびR11は、独立的に水素、アルキル、アリール、アルコキシ、もしくは置換されたアルコキシであり;
12は、芳香もしくは芳香分子であり;
19は、水素もしくは芳香分子であり;そして、
20が、水素もしくは芳香分子であり、
ここで、RもしくはRのうち少なくともどちらか1つが水素であり;ここで、R、R、R、R、もしくはRのうち、少なくとも1つはヒドロキシもしくは置換されたアルコキシである、化合物;ならびに、
(B)皮膚もしくは毛髪への局所的投与のための、または衣料製品もしくは他の織物製品への直接的投与のための、キャリア、
を含有する、組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、上記光放出される芳香とは異なる芳香を有する補助的な芳香剤をさらに含有する、組成物。
【請求項6】
請求項4に基づいた組成物であって、望ましい芳香を有する光転移生成物をさらに含有する、組成物。
【請求項7】
望ましい芳香を放出するために有用な組成物であって、以下:
(A)下の式を有する、日光を吸収する化合物であって、
【化4】

ここで、R、R、RおよびRは、独立的に水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
、R、R、R10およびR11は、独立的に水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
ここで、R、R、R、もしくはRのうち少なくとも1つは、ヒドロキシもしくは置換された(C1−20)アルコキシである、化合物;ならびに
(B)衣料製品および他の織物製品への局所的投与または直接的投与のための、あるいは日常的な洗浄における投与のための、キャリア
を含有する、組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物であって、
が水素であり;
が水素、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
が水素であり;
が(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
が水素であり;
が水素であり;
が水素であり;
10が水素であり;そして
11が水素である、組成物。
【請求項9】
請求項7に記載の組成物であって、化合物(A)とは異なる芳香を有する補助的な芳香剤をさらに含有する、組成物。
【請求項10】
光応答性の芳香組成物であって、以下:
(A)下の式を有する化合物であって、
【化5】

ここで、Rは、置換されたエステル(−−OC(O)R12)、置換されたリン酸基(−−OP(O)R19)(OR20)、置換されたチオール(−−S−R12)、置換されたアミン(−−NH−R12)、または芳香もしくは芳香分子に共有結合により結合する他の置換された化学基であり;
が水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
が水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
が水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
が水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
が水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
が水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
が水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
が水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
10が水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
11が水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
12は、芳香もしくは芳香を与える分子であり;
19は、水素もしくは芳香分子であり;
20は、水素もしくは芳香分子であり;
ここで、RもしくはRのうち少なくとも1つは水素であり;
ここで、R、R、R、R、もしくはRのうち少なくとも1つはヒドロキシもしくは置換された(C1−20)アルコキシである、化合物;ならびに、
(B)衣料製品および他の織物製品への局所的投与または直接的投与のための、あるいは日常的な洗浄における投与のための、キャリア、
を含有する、組成物。
【請求項11】
望ましい芳香を放出するために有用な組成物であって、以下
(A)下の式を有する化合物であって、
【化6】

ここで、Rは、置換されたエステル(−−OC(O)R12)、置換されたリン酸基(−−OP(O)R19)(OR20)、置換されたチオール(−−S−R12)、置換されたアミン(−−NH−R12)、または芳香もしくは芳香分子に共有結合により結合する他の置換された化学基であり;
は水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
は水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
は水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
は水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
は水素、ヒドロキシ、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
は水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
は水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
は水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
10は水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
11は水素、(C1−20)アルキル、(C5−12)アリール、(C1−20)アルコキシ、もしくは置換された(C1−20)アルコキシであり;
12は、芳香もしくは芳香を与える分子であり;
19は、水素もしくは芳香分子であり;
20は、水素もしくは芳香分子であり;
ここで、RもしくはRのうち少なくとも1つは水素であり;
ここで、R、R、R、R、もしくはRのうち少なくとも1つはヒドロキシもしくは置換された(C1−20)アルコキシである、化合物;および、
(B)衣料製品もしくは他の織物製品への局所的投与または直接的投与のための、あるいは日常的な洗浄における投与のための、キャリア、
を含有する、組成物。
【請求項12】
光応答性の芳香組成物であって、以下:
(A)下の式を有する化合物であって、
【化7】

ここで、Rは芳香分子であり;Rは水素、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アルコキシもしくは置換されたアルコキシであり;
、R、R、およびRは、独立的に水素、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アルコキシもしくは置換されたアルコキシであり;
、R、R、R10、およびR11は、独立的に水素、アルキル、アリール、アルコキシもしくは置換されたアルコキシであり;
ここで、RもしくはRのうち、少なくとも1つは水素であり;
ここで、R、R、R、R、もしくはRのうち、少なくとも1つはヒドロキシもしくは置換されたアルコキシである、化合物;および、
(B)局所的投与のための、あるいは衣料製品もしくは他の織物製品への直接的投与または日常的な洗浄における投与のための、キャリア、
を含有する、組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物を衣料もしくは織物に取り込むことによって芳香の放出を調節する方法であって、該組成物を該衣料もしくは織物へ噴霧するか、または該組成物の溶液中で該衣料もしくは織物を洗浄することによる、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記組成物が、前記衣料もしくは織物に噴霧される、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、上記組成物が、洗浄によって上記衣料もしくは織物へ取り込まれる、方法。
【請求項16】
請求項1、2、3、4、5、もしくは6のいずれか1項に記載の組成物であって、皮膚へ噴霧するために調合された、組成物。
【請求項17】
請求項1、2、3、4、5、もしくは6のいずれか1項に記載の組成物であって、皮膚にこすりつけるために調合された、組成物。
【請求項18】
芳香の放出を調節する方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物を、哺乳動物の皮膚もしくは毛髪へ塗布することによって、芳香の放出を調節する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記哺乳動物がヒトである、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、前記哺乳動物がコンパニオン・アニマルである、方法。
【請求項21】
請求項1、2、4、5、6、10、11、12、16もしくは17のいずれか1項に記載の組成物であって、前記化合物が以下の式:
【化8】

を有する、組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−520828(P2006−520828A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501241(P2006−501241)
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/008610
【国際公開番号】WO2004/084853
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505350101)フォ デルマ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】