光情報再生方法
【課題】レーザの特性ばらつきや温度特性などの変動要因があっても,レーザの再生パワーを安定的に制御できる光情報再生装置ないし光情報再生方法を現実的な回路構成で実現。
【解決手段】レーザの抵抗または微分抵抗値あるいは温度に対してHF振幅を変化させる。レーザドライバの電位を計測して抵抗または微分抵抗値を計算したり、温度を計測して、温度と抵抗または微分抵抗値の換算テーブルから抵抗値を推定する。また高周波電流の振幅値、高周波電流の周波数、レーザ駆動電流の振幅値などを各々格納したレジスタを持つ。
【解決手段】レーザの抵抗または微分抵抗値あるいは温度に対してHF振幅を変化させる。レーザドライバの電位を計測して抵抗または微分抵抗値を計算したり、温度を計測して、温度と抵抗または微分抵抗値の換算テーブルから抵抗値を推定する。また高周波電流の振幅値、高周波電流の周波数、レーザ駆動電流の振幅値などを各々格納したレジスタを持つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,光変調波形を駆動・制御し、光記録媒体(以下、光ディスク)から情報を読み出す光情報再生方法および当該再生方法を実現する光ディスク装置(以下、光ディスクドライブ)に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクドライブでは大容量化が進み,従来までの赤外レーザ(波長780nm)を用いたCDや,赤色レーザ(波長650nm)を用いたDVDが広く普及している。また、青色レーザ(405nm)を用いたBlu-ray Disc(BD)も製品化され、先頃市場投入された。
【0003】
光ディスクに記録された情報を再生する際,半導体レーザの雑音を極力小さくする必要がある。この半導体レーザの雑音はRIN (Relative Intensity Noise)と呼ばれ一般的に
RIN = 10×log(ΔP2/P2 × 1/Δf) (dB/Hz)
(ΔP:光出力のAC成分、P:光出力のDC成分 Δf:測定帯域幅)、で表される。また、BDの規格書においても、RINは-125 dB/Hz以下で使うと定義されている
このRINを低減するため、光ディスク再生装置においては、高周波重畳法(HF:High Frequency)が知られている。これは、レーザ発振を高周波でオン・オフし多重縦モード発振状態を保つことにより、光ディスクからの反射光帰還によるレーザダイオードの光出力変動を抑止するものである。RINは、半導体レーザのHF変調度(高周波重畳時の光パルスのピークパワーをPHF、HF全体の平均パワーをPaとした場合のPHFとPaとの比;PHF/Pa)と関係があり、HF変調度を調整することにより制御される。
【0004】
一方、半導体レーザの発振特性は温度によって変化するため、動作温度が変われば、出射される光のパワーも変動する。特開2006−48885号公報(特許文献1)には、半導体レーザの駆動装置(レーザドライバ:LDD)に温度センサを設け、記録動作時に、半導体レーザを駆動する主電流パルスに対して温度による変動分を補償する副電流パルスを同位相で重畳して半導体レーザに供給することにより、温度による記録パルスのパワーの変動を防止する発明が開示されている。
【0005】
また、特開平5−299738号公報(特許文献2)には、高周波重畳法により半導体レーザを駆動する光ディスクドライブにおいて、レーザドライバから半導体レーザに供給する駆動電流に高周波が重畳されている時といない時の半導体レーザの発光強度を適当なタイミングで観測し、観測結果に基づき、レーザを駆動するための基準電流(直流電流)の振幅と、重畳する高周波電流の振幅とを個別に制御することにより、レーザの変調度を一定範囲内に制御する発明が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−48885号公報
【特許文献2】特開平5−299738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の赤色レーザを用いた光ディスクドライブについては、再生動作時のレーザの温度変化はそれほど問題にはならなかった。赤色レーザの場合は、温度によるHF変調度の変動が比較的小さく従ってRINの温度変動も小さかったことと、再生信号波形の小さな歪みであれば、再生信号処理系に設けられた波形等化器で修正可能であるからである。ところが、青色レーザの場合には、HF変調度の温度変動が赤色レーザに比べて非常に大きく、RINの温度変動も大きくなる。また、製造技術上の困難さから、レーザの特性ばらつきも赤色レーザに比べて大きい。
【0008】
特許文献1には、記録パルスのパワーの温度変動を防止することは開示されているが、再生動作時のレーザの制御については全く開示がない。また、特許文献2には、再生時にHF変調度の温度変動を防止することは開示されているものの、HF時の発光パワーを直接測定するため、発光パワーの測定機構が必要となる。高周波重畳時のレーザの発光パルス強度を観測するには、発光パルスの立ち上がりと立ち下がりに追随できるだけの感度を持ったフォトディテクタが必要である。発光パルスの立ち上がりと立ち下がり速度は、レーザ発振の緩和周波数により定まる。現状のBD用レーザでは、HFの周波数(発光パルスの間隔の逆数)自体は400MHz相当であるが、緩和周波数はGHzオーダであり、このような高速な光パルスの光量を測定することは現実的には不可能である。また、特許文献1に開示された発明においては、フォトディテクタの他、サンプルホールド回路や差動アンプなど、発光パルス観測のための回路構成が必要となり、レーザドライバの回路規模が増大することになる。
【0009】
そこで、本発明は、レーザの特性ばらつきや温度特性などの変動要因があっても、レーザの再生パワーを安定的に制御できる光情報再生装置ないし光情報再生方法を現実的な回路構成で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では,半導体レーザの抵抗値または微分抵抗値に応じたHFの振幅設定値を格納したレジスタをレーザドライバ内に設け、レーザの抵抗または微分抵抗値に応じてレジスタの設定値を制御することにより、上記課題を解決する。HFの振幅設定値としては、半導体レーザの温度に応じた値をレジスタ内に格納しても良い。
【0011】
HFの振幅は、半導体レーザの抵抗値ないし微分抵抗値あるいは温度のいずれか1つに応じて定めれば良いが、抵抗(ないし微分抵抗)と温度の双方を使用して制御を実行した方が好ましい。温度と微分抵抗の双方を用いることにより、LDの抵抗もしくは微分抵抗以外の温度特性も考慮した補正ができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,環境温度,レーザのばらつきに対して,再生性能を極力落とさずに再生回数の減少を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態の説明を行うが、その前に、本発明を理解する上で必要と思われる背景技術について、発明者らが実験的に得た知見も交えて説明する。
(HF変調度について)
図1にはHF変調度MHFを説明するための模式図を示す。図1は、半導体レーザが発光する光パルスの波形を示す模式図であり、横軸が時間、縦軸が光パワーである。図1のように一定の時間間隔(周期)で光パルスを発生させた場合を仮定すると、周期の逆数がHF周波数となる。HF変調度MHFは、前述の通り、PHFとPaとの比=PHF/Paで定義される。ここで、PHFはHF光パルスのピークパワー、PaはHF全体の平均パワーである。平均パワーPaは、発光波形を面積分し、積分時間で除算した値とすることで算出され、パワーモニタを用いて測定することができる。
(微分抵抗について)
図2(A)には、光ディスクドライブに組み込まれているLD(レーザダイオード)とLD駆動用ドライバ(LDD)とLD駆動電源の結線関係を示す結線図を、図2(B)には、図2(A)のLDを等化回路に置き直した回路モデルを示す。図2(B)に示すように、LDは、電源とドライバに対して並列に容量成分と抵抗成分を有する。通常、抵抗は、R=V/Iで表されるが、レーザのような非線形素子の場合、電流、抵抗、電圧の関係は必ずしも線形になるとは限らない。このような場合、抵抗値を電流に対する電圧の微分dR=dV/dIで表現し、dRを微分抵抗と称する。
【0014】
次に、図3を用いて微分抵抗の計測方法について説明する。図3は、LD、LD駆動用ドライバおよびLD駆動電源の各電位について示した模式図である。LDの動作時、LDにからLDに電圧Vsが与えられ、LDDからLDに供給される電流がIopであったとする。このとき、接地電位に対する電圧源の電位はVsである。LDにおける電圧降下量は、電源電圧VsとLDDの接地電位に対する電位の差であるから、LDDとLD接続部の電位を計測すれば、LDにおける電圧降下量が分かる。LDDとLD接続部の電位をVdとすると、LDの抵抗値は、Vs−Vd=Iop×R から求めることができる。この際に求まるRの値は、電流がIopである場合の抵抗値であるから微分抵抗に相当する。Rの計測値は、レーザの動作温度、レーザの特性ばらつき等によって異なる。
(レーザの抵抗値と動作温度およびHF変調度と温度の関係について)
次に、LDの抵抗値と動作温度、およびHF変調度と動作温度との関係について説明する。HF変調度は、環境温度やレーザ(レーザ)のばらつきの影響を受けないように一定範囲内に制御される必要がある。例えばBD−REの規格において、HFは、変調周波数:400MHz±40MHz、HF変調度(Modulation)7.0±0.7、と定められており、ディスクはこの範囲で、単層ディスク1倍速、リードパワー(平均パワー)0.3mWの条件で100万回再生可能であることと規定されている。
【0015】
一方、半導体レーザを長時間連続動作させると電流により発熱し、あるいは、光ディスクドライブ内の環境温度の影響を受ける。図4(A)に、レーザの微分抵抗値と温度の関係を示す。LDの微分抵抗は、LDの動作温度が高くなるにつれて低下する傾向がある。また、図4(B)に示すようにHF変調度はレーザの微分抵抗が大きくなるほど低くなる傾向がある。図4(C)には、図4(A)と図4(B)から得られるHF変調度の温度依存性を示す。図4(C)から、HF変調度は温度上昇とともに上昇することが分かる。先述の通り、HF変調度はRIN(半導体レーザの雑音)と関係があるため、HF変調度はRINが小さくなるように一定範囲内に制御されている必要がある。通常、光ディスクの再生制御の際には、LDの温度特性は考慮されないので、HF変調度のコントローラは、HF変調度の制御パラメータが初期設定値のまま制御を行う。ところがHF変調度はレーザの温度変化に伴って変化するため、長時間の連続使用の結果、あるいは環境温度によって、HF変調度が目的とする制御範囲内から外れる可能性がある。
【0016】
加えて、LDの特性ばらつきも問題となる。すなわち、大量生産されるLDには、抵抗値の電圧特性や温度特性が標準よりも大きくばらつくものも存在し、特に微分抵抗が低いレーザが問題となる。そのようなLDに対して標準的な特性を想定して作製されたLDDを組み合わせて使用すると、連続使用の結果、HF変調度が目標値より大きくなる(図4(C)参照)。HF変調度が目標値よりも大きくなると、光ディスクに照射されるレーザのピークパワーが大きくなりデータを消去する可能性がある。記録材料などの特性から、光ディスク媒体の書き換え可能回数には上限があり、上述のデータ消去が発生すると、光ディスク媒体の再生回数が減少する。青色レーザの場合、赤色レーザよりも特性ばらつきが大きいため、HF変調度の温度変動の影響はより顕著になる。
(レーザの発光特性とマルチ縦モード発振のための制御方法について)
図5(A)には,レーザドライバが発生する駆動電流パルスと,レーザから出力されるHFパルスの関係を示す模式図を示す。この図に示すようにレーザドライブから出力されるHF電流パルスと実際にレーザで出力されるHF発光パルスは異なる。これは、レーザの抵抗もしくは微分抵抗の違いやレーザの緩和振動の影響を受けるためである。
【0017】
図5(B)には、LDDからLDに供給される電流に対するレーザの照射パワーの変化を示す。レーザの発光特性は、レーザの発振開始電流値Ithと、駆動電流に対する発光パワーの効率(傾き)ηで表される。この両者により、レーザから出射される発光波形(出射波形)が一義に決まる。ここでオフ時の電流値を発振開始電流値Ithよりも小さく設定することで、発光波形はオン状態とオフ状態の繰り返しとなる。この断続駆動により、レーザを多重縦モードにて発振させることができる。
【実施例1】
【0018】
図6には、本実施例の光ディスクドライブの概要を示す模式図を示す。本実施例の光ディスクドライブ18は、可搬型記録媒体である光ディスク10を保持するスピンドル(図示せず)、光ディスクに対してレーザを照射してその反射光を検出する光ピックアップ16、記録動作あるいは再生動作時に、光ピックアップから照射する光あるいは光ピックアップでの検出信号を処理する記録再生信号処理系17などにより構成される。
【0019】
本実施例の光ピックアップ17は、光源として半導体レーザLD11、LDの温度センサ13を備える。また、本実施例の記録再生信号処理系17は、再生時にLD11に対して所定のHFパルス電流を供給するLDドライバ回路(LDD)12と、記録動作時に所定の記録信号波形を生成するLSI14と、光ディスクドライブ全体の動作を統括制御するファームウェアを動作させるためのマイコン15などを備える。また、本実施例のLDDは、HFパルス波形の制御手段を備える。
【0020】
前述のように、HFの振幅変動は一定範囲内に制御される必要がある。そのためには,レーザの抵抗値の変化に応じて,HFパルス波形の制御手段の制御量を調整する必要がある。制御量の調整方法には,大きく分けて二つある。一つは,再生時の動作温度を測定し,搭載されたレーザの微分抵抗の情報をピックアップから取得し,再生時のHFに関わる設定をテーブル化して制御する方法、二つは再生時にレーザの微分抵抗をセンシングして,検出された微分抵抗によって,HFパルス波形制御に関わる設定を制御する方法である。
【0021】
HFパルス波形は、LDドライバ回路12内に設けられた波形制御レジスタの設定値(レジスタ値)を変更することにより制御される。これまで説明したように、HF変調度MHFは、再生信号の品質、再生回数に影響するため、一定HF変調度が得られるようなレジスタ設定値を事前に調べておく必要がある。一方、レジスタ値の変更はファームウェア上で行われる。このため、本実施例のマイコン15は、上述のLDの微分抵抗や温度などの測定情報とレジスタ値とを対応付けて保持する。本実施例の場合は、上記観測情報とレジスタ値とをテーブルの形式でマイコン15の内部メモリ内に保持される。
【0022】
図7(A)には,図6に示すLDドライバ回路12内に含まれる制御レジスタの構成例を示す。図6における図示したレーザドライバは,HF電流パルスの振幅制御レジスタ、周波数の制御レジスタ、再生パワー制御レジスタを備え、これら3種の制御レジスタが図6に示したHF波形制御手段を構成する。ここで、HF周波数とは、HFパルスの間隔を意味する。図7(B)に一例を示すようにHFの周波数は周波数レジスタ単独で制御でき、図7(C)に一例を示すようにHFの振幅レジスタによってHFのピークパワーを制御できる。
【0023】
一方、HFのピークパワーPHFは、再生パワー制御レジスタの値とHF振幅制御レジスタの値の乗算で決まる。これらのレジスタを制御することにより、再生時のHF条件を,最適化できる。
【0024】
こうして,一つ以上のレジスタの最適化を行う。なお,本実施例では,HF電流パルスの振幅制御、周波数の制御レジスタ、再生パワー制御の例を示したが,HF波形制御に利用できる制御レジスタの種類や数はレーザドライバに依存する。従って,それぞれのレーザドライバに備わっているHF波形制御用レジスタの最適値をそれぞれ求め,各制御レジスタに求まった最適値を設定すればよい。なお、ここでいう「HF波形制御用レジスタ」とは、「振幅制御レジスタ」「周波数の制御レジスタ」「再生パワー制御レジスタ」など、HF電流パルスの制御に使用されるレジスタの総称の意味である。
【0025】
図8に、本実施例のHF振幅調整レジスタテーブルの一例を示す。図9のようなばらつきのある半導体によって作製されるレーザ,温度によって特性が変化するこの温度変化に抵抗変化を予め測定しておき,温度に対応した最適レジスタ値を記憶した温度テーブルも用意しておく。典型的な温度,例えばLowを0℃,Middleを25℃,Highを50℃とし、その温度における波形制御パラメータとして図1ではHF振幅制御のレジスタを示したものである。このHF振幅レジスタを調整することにより上記で述べたHF変調度を変更することができ、テーブル参照によって、HF振幅を一定にすることができる。
図8の例では、LDの温度領域をLow,Middle,Highの3つの領域に分けているが、領域の数や広さは同一のレジスタ設定で補償できる温度範囲にしたがって定めれば良い。例えば、ばらつきが比較的小さなLDであれば、Low、Highの2つに分けても良いし、ばらつきの大きなLDであれば、4つ以上に領域を分離して温度補償を行う必要がある。いずれにせよ、LDの動作温度を複数の領域に分けて温度補償を行うことが重要である。
【0026】
図10には、本実施例の光ディスクドライブの再生動作の際の動作フローを示す。この場合の制御シーケンスを説明すると,以下の(1)〜(5)のようになる。
(1)ドライブ(ホスト)からマイコンにあるファームウェア(以下FW)がディスク情報を読む指令を受け取る
(2)FWで再生速度、ディスクの種類などの判別後、再生パワーを設定する。
(3)HF条件を定めるため、温度測定結果を取得さらに、搭載レーザの微分抵抗情報をFWがピックアップもしくはドライブから取得する。なお、このときのレーザの抵抗情報はピックアップもしくはドライブ格納されているとする。
(4)FWで温度とLDの微分抵抗から図1のようなテーブルを参照しHF振幅レジスタ値を決定し設定する。
(5)FWで最適化されたHF波形によって,再生動作を開始する。このHF波形制御を用いれば,ドライブ内の温度変化に対するレーザや,レーザの微分抵抗のばらつき,などに対応することができる。
【0027】
上記によるHF条件の調整タイミングは、光ディスクが光ディスク再生装置に挿入された時(ローディング時)、温度センサを設けてレーザダイオードの周囲温度に変化があった時、データ記録後や、ホストなどの外部から調整の要求を受けた時などが好適である。また、ドライブのFWにレーザ照射時間を記録してその照射時間情報を取得して、一定期間ごとに第2のステップを実行しても良い。
【0028】
ローディング時に調整を行うことで、フォーカスサーボやトラッキングサーボをかける前に調整ができ、記録再生動作を中断する必要がない。また、データ記録後には、記録前と比較してレーザダイオードの温度に変化が生じやすいため、記録後に常に再調整を行うようにすれば、温度変化を測定する必要がない。また、例えば1ヶ月ごとに再調整を行えば、レーザの経年変化を補償することができる。
【0029】
以上、本実施例の光ディスクドライブは、LDの特性に応じてHFパルス波形を制御することになるため、以下の2つの利点を有する。1つはHF最適化できるためを再生性能を劣化させないことであり、2つ目は従来不良品扱いであったLDも使用可能となり、光ディスクドライブの製造コストを大きく低減することができる点である。
【実施例2】
【0030】
実施例1ではレーザの微分抵抗を実測せず、温度とレーザの情報からある程度の精度でテーブル参照して、HFパルス波形を制御したが、本実施例2では微分抵抗の実測値を用いてHFパルス波形制御を行う機能を備えた光ディスクドライブの構成例について説明する。
【0031】
本実施例の光ディスクドライブの全体構成や動作については、実施例1と共通する部分が多いため、実施例と同じ部分についての説明は割愛し、相違点についてのみ説明する。
【0032】
図11に本実施例の光ディスクドライブの全体構成を示す。図11に示す光ディスクドライブは図6とほぼ同じ構成であるが、本実施例の光ディスクドライブは、微分抵抗の計測機能を有している。
【0033】
図12に、図11に示す光ディスクドライブの再生動作フローのシーケンスを示す。光ディスクドライブが接続される上位装置(通常はホストコンピュータ)からのディスク再生要求を受信すると、ファームウェアがディスクの再生指令を発行する(ステップ1201)。
(1)実施例1と同様にドライブからディスク情報を読む指令をFWが受け取る
(2)再生速度、ディスクの種類などの判別後、FWで再生パワーを設定する。
(3)HF条件を定めるため、温度測定結果を取得さらに、レーザの抵抗を測定するため、図3に示す電源電圧情報(Vs)、LDDで流している電流Iop、およびLDDのLD接続部15の電圧Vdを測定し、その値からFWで現在のレーザ抵抗値を求める。
(4)レーザの抵抗値から図13に示すテーブルからFWでHF振幅レジスタ値を決定し設定する。
【0034】
本実施例の光ディスクドライブでは、LDの抵抗もしくは微分抵抗をリアルタイムに知ることにより、HFの制御をさらに高精度化している。このとき、温度情報も用いて図8のような2パラメータ(温度、抵抗)のテーブルを参照してもよい。前にも述べたが、温度と微分抵抗の双方を用いることにより、LDの抵抗もしくは微分抵抗以外の温度特性も考慮した補正ができる。ドライブ動作での精度検証から1パラメータもしくは2パラメータのどちらのテーブルを選択するかは設計者が決めればよい。
【実施例3】
【0035】
本実施例では、再生速度に応じてHF周波数を制御する機能を備えた光ディスクドライブについて説明する。BDを例に説明する。
【0036】
図14は横軸に再生帯域と縦軸に再生の利得を示したものである。図14に示すように高速再生になると再生帯域が広くなる傾向がある。高速になれば,再生帯域とHF周波数が近づき、再生信号にHFが漏れ込み、HF自体が問題となる。
【0037】
2008年7月点では、BDの再生速度は6倍速までが規格化されており,HF周波数は規格で400MHzと決められている。しかし、今後さらに高速化が進むと,再生速度に応じてHF周波数を大きくしなければならない。例えば1−6倍速では、HF周波数400MHz、6-12倍速では800MHzzなど、再生速度の区分に応じてHF周波数を変えざるを得なくなる可能性が高い。そこで、本実施例の光ディスクドライブは、実施例1,2で説明したHFパルス波形の振幅制御に加えて,HFの周波数制御も行う。このため、HF電流パルスの振幅制御レジスタと再生パワーレジスタに加えて、HFの周波数レジスタもテーブル化される。
【0038】
以下、図15,図16及び図17を用いて本実施例の光ディスクドライブのHFパルス波形制御について説明する。図16には、本実施例の光ディスクドライブの全体構成を示す模式図を示す。図16に示す光ディスクドライブ18は、実施例1,2同様、可搬型記録媒体である光ディスク10を保持するスピンドル(図示せず)、光ディスクに対してレーザを照射してその反射光を検出する光ピックアップ16、記録動作あるいは再生動作時に、光ピックアップから照射する光あるいは光ピックアップでの検出信号を処理する記録再生信号処理系17などにより構成される。
【0039】
図15には、本実施例の光ディスクドライブにおけるHFパルス波形制御のフローを示す。図15のステップ1501において、再生開始時点の再生速度がたとえば10倍速(10x)であり、何らかの要因で再生速度を2xに落とすことになったとする。この場合,マイコン15上で動作するファームウェアがスピンドル制御器19に対してスピンドルモータの回転数を2xに対応した回転数に変えるように指示する。回転数が変化すると、スピンドル制御器19は回転数を切り替えたことを示す応答信号をマイコン15に対して送信する。ファームウェアは、この信号を受信することにより再生速度変化を検知する(ステップ1502)。
【0040】
マイコン15の内部メモリには、図17に示す制御テーブルが格納されている。ファームウェアは、再生速度変化を検出すると、内部メモリ内に格納された各テーブルを参照し、適切なレジスタ値をLSI14経由でLDドライバ回路に転送する(ステップ1503)。初めに、HFパルス波形の周波数制御が実行される。ファームウェアは、検出されたスピンドルの回転数が属する再生速度区分を判断し、図17(A)に示すHF周波数制御レジスタテーブルを参照し、再生速度区分に応じたレジスタ値を選択する。図15のフローでは、再生速度が10xから2xに切り替わるので、周波数制御レジスタ値はbからaに切り替えることになる。
【0041】
HF周波数が変わると高周波特性が変わるため、HFパルス波形の振幅も制御する必要がある。そこで、本実施例のHFパルス波形制御では、HF振幅制御レジスタテーブルも準備する周波数制御レジスタ値の数に応じて用意し、参照するHF振幅制御レジスタテーブルを切り替える。もともとは10倍速で再生していたため、HF振幅のレジスタ値の設定時には、図17(C)のテーブルを参照していたが,HF周波数が変わったため,参照するテーブルを図17(C)から図17(B)に変えてHF振幅レジスタ値を設定する。
【0042】
以上の制御が終了すると、変更後の再生速度にて再生動作が継続される(ステップ1504)。
【0043】
以上、再生速度に応じてHF周波数を制御する機能を備えた光ディスクドライブの構成例について説明した。以上の説明では、再生速度変化の検出をスピンドル制御器からの応答を用いて行ったが、例えば、ウォブル周波数を検出するなどの手段によっても同様な機能を実現可能である。
【0044】
この実施例3によってCAV(Constant Angular Velocity)再生時の内外周での再生速度が異なる場合や、複数の再生速度に対応するドライブにおいて、再生性能を最大限に引き出して再生をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】高周波重畳(HF)の説明図。本発明によるHF振幅制御レジスタテーブルの一例を示す図。
【図2】レーザドライバからレーザまでの回路モデルを示す図。
【図3】レーザの抵抗センシングを説明する図
【図4】(A)温度とレーザの微分抵抗の関係 (B)微分抵抗とHF Modulationの関係 (C)温度とレーザの抵抗センシングを説明する図の関係を示す図。
【図5】(A)HF電流パルスとHF発光パルスの関係を示す図。(B)レーザの光出力の電流特性を示す図。
【図6】実施例1の光ディスクドライブの全体構成図
【図7】(A)レーザドライバのHF制御に関するレジスタを示す図。(B)HF周波数制御レジスタ値とHF周波数の関係を示す図。(C) HF振幅制御レジスタ値とHF振幅の関係を示す図。
【図8】実施例1のHF振幅制御レジスタテーブルの構成を示す図。
【図9】レーザの微分抵抗のばらつきを示す図
【図10】実施例1の光ディスクドライブのパルス波形制御を示すフローチャート。
【図11】実施例2の光ディスクドライブの全体構成図
【図12】実施例2の光ディスクドライブのパルス波形制御を示すフローチャート。
【図13】実施例2のHF振幅制御レジスタテーブルの構成を示す図。
【図14】再生速度と再生帯域,HF周波数の関係を示す図
【図15】実施例3の光ディスクドライブのパルス波形制御を示すフローチャート。
【図16】実施例3の光ディスクドライブの全体構成図
【図17】実施例3のHFパルス波形制御レジスタテーブルを示す図。
【符号の説明】
【0046】
レーザ…レーザダイオード
レーザD…レーザダイオードドライバ回路
10…光ディスク
11…レーザダイオード
12…レーザドライバ
13…温度センサ
14…電圧測定器
15…電圧測定ポイント
【技術分野】
【0001】
本発明は,光変調波形を駆動・制御し、光記録媒体(以下、光ディスク)から情報を読み出す光情報再生方法および当該再生方法を実現する光ディスク装置(以下、光ディスクドライブ)に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクドライブでは大容量化が進み,従来までの赤外レーザ(波長780nm)を用いたCDや,赤色レーザ(波長650nm)を用いたDVDが広く普及している。また、青色レーザ(405nm)を用いたBlu-ray Disc(BD)も製品化され、先頃市場投入された。
【0003】
光ディスクに記録された情報を再生する際,半導体レーザの雑音を極力小さくする必要がある。この半導体レーザの雑音はRIN (Relative Intensity Noise)と呼ばれ一般的に
RIN = 10×log(ΔP2/P2 × 1/Δf) (dB/Hz)
(ΔP:光出力のAC成分、P:光出力のDC成分 Δf:測定帯域幅)、で表される。また、BDの規格書においても、RINは-125 dB/Hz以下で使うと定義されている
このRINを低減するため、光ディスク再生装置においては、高周波重畳法(HF:High Frequency)が知られている。これは、レーザ発振を高周波でオン・オフし多重縦モード発振状態を保つことにより、光ディスクからの反射光帰還によるレーザダイオードの光出力変動を抑止するものである。RINは、半導体レーザのHF変調度(高周波重畳時の光パルスのピークパワーをPHF、HF全体の平均パワーをPaとした場合のPHFとPaとの比;PHF/Pa)と関係があり、HF変調度を調整することにより制御される。
【0004】
一方、半導体レーザの発振特性は温度によって変化するため、動作温度が変われば、出射される光のパワーも変動する。特開2006−48885号公報(特許文献1)には、半導体レーザの駆動装置(レーザドライバ:LDD)に温度センサを設け、記録動作時に、半導体レーザを駆動する主電流パルスに対して温度による変動分を補償する副電流パルスを同位相で重畳して半導体レーザに供給することにより、温度による記録パルスのパワーの変動を防止する発明が開示されている。
【0005】
また、特開平5−299738号公報(特許文献2)には、高周波重畳法により半導体レーザを駆動する光ディスクドライブにおいて、レーザドライバから半導体レーザに供給する駆動電流に高周波が重畳されている時といない時の半導体レーザの発光強度を適当なタイミングで観測し、観測結果に基づき、レーザを駆動するための基準電流(直流電流)の振幅と、重畳する高周波電流の振幅とを個別に制御することにより、レーザの変調度を一定範囲内に制御する発明が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−48885号公報
【特許文献2】特開平5−299738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の赤色レーザを用いた光ディスクドライブについては、再生動作時のレーザの温度変化はそれほど問題にはならなかった。赤色レーザの場合は、温度によるHF変調度の変動が比較的小さく従ってRINの温度変動も小さかったことと、再生信号波形の小さな歪みであれば、再生信号処理系に設けられた波形等化器で修正可能であるからである。ところが、青色レーザの場合には、HF変調度の温度変動が赤色レーザに比べて非常に大きく、RINの温度変動も大きくなる。また、製造技術上の困難さから、レーザの特性ばらつきも赤色レーザに比べて大きい。
【0008】
特許文献1には、記録パルスのパワーの温度変動を防止することは開示されているが、再生動作時のレーザの制御については全く開示がない。また、特許文献2には、再生時にHF変調度の温度変動を防止することは開示されているものの、HF時の発光パワーを直接測定するため、発光パワーの測定機構が必要となる。高周波重畳時のレーザの発光パルス強度を観測するには、発光パルスの立ち上がりと立ち下がりに追随できるだけの感度を持ったフォトディテクタが必要である。発光パルスの立ち上がりと立ち下がり速度は、レーザ発振の緩和周波数により定まる。現状のBD用レーザでは、HFの周波数(発光パルスの間隔の逆数)自体は400MHz相当であるが、緩和周波数はGHzオーダであり、このような高速な光パルスの光量を測定することは現実的には不可能である。また、特許文献1に開示された発明においては、フォトディテクタの他、サンプルホールド回路や差動アンプなど、発光パルス観測のための回路構成が必要となり、レーザドライバの回路規模が増大することになる。
【0009】
そこで、本発明は、レーザの特性ばらつきや温度特性などの変動要因があっても、レーザの再生パワーを安定的に制御できる光情報再生装置ないし光情報再生方法を現実的な回路構成で実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では,半導体レーザの抵抗値または微分抵抗値に応じたHFの振幅設定値を格納したレジスタをレーザドライバ内に設け、レーザの抵抗または微分抵抗値に応じてレジスタの設定値を制御することにより、上記課題を解決する。HFの振幅設定値としては、半導体レーザの温度に応じた値をレジスタ内に格納しても良い。
【0011】
HFの振幅は、半導体レーザの抵抗値ないし微分抵抗値あるいは温度のいずれか1つに応じて定めれば良いが、抵抗(ないし微分抵抗)と温度の双方を使用して制御を実行した方が好ましい。温度と微分抵抗の双方を用いることにより、LDの抵抗もしくは微分抵抗以外の温度特性も考慮した補正ができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,環境温度,レーザのばらつきに対して,再生性能を極力落とさずに再生回数の減少を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、具体的な実施形態の説明を行うが、その前に、本発明を理解する上で必要と思われる背景技術について、発明者らが実験的に得た知見も交えて説明する。
(HF変調度について)
図1にはHF変調度MHFを説明するための模式図を示す。図1は、半導体レーザが発光する光パルスの波形を示す模式図であり、横軸が時間、縦軸が光パワーである。図1のように一定の時間間隔(周期)で光パルスを発生させた場合を仮定すると、周期の逆数がHF周波数となる。HF変調度MHFは、前述の通り、PHFとPaとの比=PHF/Paで定義される。ここで、PHFはHF光パルスのピークパワー、PaはHF全体の平均パワーである。平均パワーPaは、発光波形を面積分し、積分時間で除算した値とすることで算出され、パワーモニタを用いて測定することができる。
(微分抵抗について)
図2(A)には、光ディスクドライブに組み込まれているLD(レーザダイオード)とLD駆動用ドライバ(LDD)とLD駆動電源の結線関係を示す結線図を、図2(B)には、図2(A)のLDを等化回路に置き直した回路モデルを示す。図2(B)に示すように、LDは、電源とドライバに対して並列に容量成分と抵抗成分を有する。通常、抵抗は、R=V/Iで表されるが、レーザのような非線形素子の場合、電流、抵抗、電圧の関係は必ずしも線形になるとは限らない。このような場合、抵抗値を電流に対する電圧の微分dR=dV/dIで表現し、dRを微分抵抗と称する。
【0014】
次に、図3を用いて微分抵抗の計測方法について説明する。図3は、LD、LD駆動用ドライバおよびLD駆動電源の各電位について示した模式図である。LDの動作時、LDにからLDに電圧Vsが与えられ、LDDからLDに供給される電流がIopであったとする。このとき、接地電位に対する電圧源の電位はVsである。LDにおける電圧降下量は、電源電圧VsとLDDの接地電位に対する電位の差であるから、LDDとLD接続部の電位を計測すれば、LDにおける電圧降下量が分かる。LDDとLD接続部の電位をVdとすると、LDの抵抗値は、Vs−Vd=Iop×R から求めることができる。この際に求まるRの値は、電流がIopである場合の抵抗値であるから微分抵抗に相当する。Rの計測値は、レーザの動作温度、レーザの特性ばらつき等によって異なる。
(レーザの抵抗値と動作温度およびHF変調度と温度の関係について)
次に、LDの抵抗値と動作温度、およびHF変調度と動作温度との関係について説明する。HF変調度は、環境温度やレーザ(レーザ)のばらつきの影響を受けないように一定範囲内に制御される必要がある。例えばBD−REの規格において、HFは、変調周波数:400MHz±40MHz、HF変調度(Modulation)7.0±0.7、と定められており、ディスクはこの範囲で、単層ディスク1倍速、リードパワー(平均パワー)0.3mWの条件で100万回再生可能であることと規定されている。
【0015】
一方、半導体レーザを長時間連続動作させると電流により発熱し、あるいは、光ディスクドライブ内の環境温度の影響を受ける。図4(A)に、レーザの微分抵抗値と温度の関係を示す。LDの微分抵抗は、LDの動作温度が高くなるにつれて低下する傾向がある。また、図4(B)に示すようにHF変調度はレーザの微分抵抗が大きくなるほど低くなる傾向がある。図4(C)には、図4(A)と図4(B)から得られるHF変調度の温度依存性を示す。図4(C)から、HF変調度は温度上昇とともに上昇することが分かる。先述の通り、HF変調度はRIN(半導体レーザの雑音)と関係があるため、HF変調度はRINが小さくなるように一定範囲内に制御されている必要がある。通常、光ディスクの再生制御の際には、LDの温度特性は考慮されないので、HF変調度のコントローラは、HF変調度の制御パラメータが初期設定値のまま制御を行う。ところがHF変調度はレーザの温度変化に伴って変化するため、長時間の連続使用の結果、あるいは環境温度によって、HF変調度が目的とする制御範囲内から外れる可能性がある。
【0016】
加えて、LDの特性ばらつきも問題となる。すなわち、大量生産されるLDには、抵抗値の電圧特性や温度特性が標準よりも大きくばらつくものも存在し、特に微分抵抗が低いレーザが問題となる。そのようなLDに対して標準的な特性を想定して作製されたLDDを組み合わせて使用すると、連続使用の結果、HF変調度が目標値より大きくなる(図4(C)参照)。HF変調度が目標値よりも大きくなると、光ディスクに照射されるレーザのピークパワーが大きくなりデータを消去する可能性がある。記録材料などの特性から、光ディスク媒体の書き換え可能回数には上限があり、上述のデータ消去が発生すると、光ディスク媒体の再生回数が減少する。青色レーザの場合、赤色レーザよりも特性ばらつきが大きいため、HF変調度の温度変動の影響はより顕著になる。
(レーザの発光特性とマルチ縦モード発振のための制御方法について)
図5(A)には,レーザドライバが発生する駆動電流パルスと,レーザから出力されるHFパルスの関係を示す模式図を示す。この図に示すようにレーザドライブから出力されるHF電流パルスと実際にレーザで出力されるHF発光パルスは異なる。これは、レーザの抵抗もしくは微分抵抗の違いやレーザの緩和振動の影響を受けるためである。
【0017】
図5(B)には、LDDからLDに供給される電流に対するレーザの照射パワーの変化を示す。レーザの発光特性は、レーザの発振開始電流値Ithと、駆動電流に対する発光パワーの効率(傾き)ηで表される。この両者により、レーザから出射される発光波形(出射波形)が一義に決まる。ここでオフ時の電流値を発振開始電流値Ithよりも小さく設定することで、発光波形はオン状態とオフ状態の繰り返しとなる。この断続駆動により、レーザを多重縦モードにて発振させることができる。
【実施例1】
【0018】
図6には、本実施例の光ディスクドライブの概要を示す模式図を示す。本実施例の光ディスクドライブ18は、可搬型記録媒体である光ディスク10を保持するスピンドル(図示せず)、光ディスクに対してレーザを照射してその反射光を検出する光ピックアップ16、記録動作あるいは再生動作時に、光ピックアップから照射する光あるいは光ピックアップでの検出信号を処理する記録再生信号処理系17などにより構成される。
【0019】
本実施例の光ピックアップ17は、光源として半導体レーザLD11、LDの温度センサ13を備える。また、本実施例の記録再生信号処理系17は、再生時にLD11に対して所定のHFパルス電流を供給するLDドライバ回路(LDD)12と、記録動作時に所定の記録信号波形を生成するLSI14と、光ディスクドライブ全体の動作を統括制御するファームウェアを動作させるためのマイコン15などを備える。また、本実施例のLDDは、HFパルス波形の制御手段を備える。
【0020】
前述のように、HFの振幅変動は一定範囲内に制御される必要がある。そのためには,レーザの抵抗値の変化に応じて,HFパルス波形の制御手段の制御量を調整する必要がある。制御量の調整方法には,大きく分けて二つある。一つは,再生時の動作温度を測定し,搭載されたレーザの微分抵抗の情報をピックアップから取得し,再生時のHFに関わる設定をテーブル化して制御する方法、二つは再生時にレーザの微分抵抗をセンシングして,検出された微分抵抗によって,HFパルス波形制御に関わる設定を制御する方法である。
【0021】
HFパルス波形は、LDドライバ回路12内に設けられた波形制御レジスタの設定値(レジスタ値)を変更することにより制御される。これまで説明したように、HF変調度MHFは、再生信号の品質、再生回数に影響するため、一定HF変調度が得られるようなレジスタ設定値を事前に調べておく必要がある。一方、レジスタ値の変更はファームウェア上で行われる。このため、本実施例のマイコン15は、上述のLDの微分抵抗や温度などの測定情報とレジスタ値とを対応付けて保持する。本実施例の場合は、上記観測情報とレジスタ値とをテーブルの形式でマイコン15の内部メモリ内に保持される。
【0022】
図7(A)には,図6に示すLDドライバ回路12内に含まれる制御レジスタの構成例を示す。図6における図示したレーザドライバは,HF電流パルスの振幅制御レジスタ、周波数の制御レジスタ、再生パワー制御レジスタを備え、これら3種の制御レジスタが図6に示したHF波形制御手段を構成する。ここで、HF周波数とは、HFパルスの間隔を意味する。図7(B)に一例を示すようにHFの周波数は周波数レジスタ単独で制御でき、図7(C)に一例を示すようにHFの振幅レジスタによってHFのピークパワーを制御できる。
【0023】
一方、HFのピークパワーPHFは、再生パワー制御レジスタの値とHF振幅制御レジスタの値の乗算で決まる。これらのレジスタを制御することにより、再生時のHF条件を,最適化できる。
【0024】
こうして,一つ以上のレジスタの最適化を行う。なお,本実施例では,HF電流パルスの振幅制御、周波数の制御レジスタ、再生パワー制御の例を示したが,HF波形制御に利用できる制御レジスタの種類や数はレーザドライバに依存する。従って,それぞれのレーザドライバに備わっているHF波形制御用レジスタの最適値をそれぞれ求め,各制御レジスタに求まった最適値を設定すればよい。なお、ここでいう「HF波形制御用レジスタ」とは、「振幅制御レジスタ」「周波数の制御レジスタ」「再生パワー制御レジスタ」など、HF電流パルスの制御に使用されるレジスタの総称の意味である。
【0025】
図8に、本実施例のHF振幅調整レジスタテーブルの一例を示す。図9のようなばらつきのある半導体によって作製されるレーザ,温度によって特性が変化するこの温度変化に抵抗変化を予め測定しておき,温度に対応した最適レジスタ値を記憶した温度テーブルも用意しておく。典型的な温度,例えばLowを0℃,Middleを25℃,Highを50℃とし、その温度における波形制御パラメータとして図1ではHF振幅制御のレジスタを示したものである。このHF振幅レジスタを調整することにより上記で述べたHF変調度を変更することができ、テーブル参照によって、HF振幅を一定にすることができる。
図8の例では、LDの温度領域をLow,Middle,Highの3つの領域に分けているが、領域の数や広さは同一のレジスタ設定で補償できる温度範囲にしたがって定めれば良い。例えば、ばらつきが比較的小さなLDであれば、Low、Highの2つに分けても良いし、ばらつきの大きなLDであれば、4つ以上に領域を分離して温度補償を行う必要がある。いずれにせよ、LDの動作温度を複数の領域に分けて温度補償を行うことが重要である。
【0026】
図10には、本実施例の光ディスクドライブの再生動作の際の動作フローを示す。この場合の制御シーケンスを説明すると,以下の(1)〜(5)のようになる。
(1)ドライブ(ホスト)からマイコンにあるファームウェア(以下FW)がディスク情報を読む指令を受け取る
(2)FWで再生速度、ディスクの種類などの判別後、再生パワーを設定する。
(3)HF条件を定めるため、温度測定結果を取得さらに、搭載レーザの微分抵抗情報をFWがピックアップもしくはドライブから取得する。なお、このときのレーザの抵抗情報はピックアップもしくはドライブ格納されているとする。
(4)FWで温度とLDの微分抵抗から図1のようなテーブルを参照しHF振幅レジスタ値を決定し設定する。
(5)FWで最適化されたHF波形によって,再生動作を開始する。このHF波形制御を用いれば,ドライブ内の温度変化に対するレーザや,レーザの微分抵抗のばらつき,などに対応することができる。
【0027】
上記によるHF条件の調整タイミングは、光ディスクが光ディスク再生装置に挿入された時(ローディング時)、温度センサを設けてレーザダイオードの周囲温度に変化があった時、データ記録後や、ホストなどの外部から調整の要求を受けた時などが好適である。また、ドライブのFWにレーザ照射時間を記録してその照射時間情報を取得して、一定期間ごとに第2のステップを実行しても良い。
【0028】
ローディング時に調整を行うことで、フォーカスサーボやトラッキングサーボをかける前に調整ができ、記録再生動作を中断する必要がない。また、データ記録後には、記録前と比較してレーザダイオードの温度に変化が生じやすいため、記録後に常に再調整を行うようにすれば、温度変化を測定する必要がない。また、例えば1ヶ月ごとに再調整を行えば、レーザの経年変化を補償することができる。
【0029】
以上、本実施例の光ディスクドライブは、LDの特性に応じてHFパルス波形を制御することになるため、以下の2つの利点を有する。1つはHF最適化できるためを再生性能を劣化させないことであり、2つ目は従来不良品扱いであったLDも使用可能となり、光ディスクドライブの製造コストを大きく低減することができる点である。
【実施例2】
【0030】
実施例1ではレーザの微分抵抗を実測せず、温度とレーザの情報からある程度の精度でテーブル参照して、HFパルス波形を制御したが、本実施例2では微分抵抗の実測値を用いてHFパルス波形制御を行う機能を備えた光ディスクドライブの構成例について説明する。
【0031】
本実施例の光ディスクドライブの全体構成や動作については、実施例1と共通する部分が多いため、実施例と同じ部分についての説明は割愛し、相違点についてのみ説明する。
【0032】
図11に本実施例の光ディスクドライブの全体構成を示す。図11に示す光ディスクドライブは図6とほぼ同じ構成であるが、本実施例の光ディスクドライブは、微分抵抗の計測機能を有している。
【0033】
図12に、図11に示す光ディスクドライブの再生動作フローのシーケンスを示す。光ディスクドライブが接続される上位装置(通常はホストコンピュータ)からのディスク再生要求を受信すると、ファームウェアがディスクの再生指令を発行する(ステップ1201)。
(1)実施例1と同様にドライブからディスク情報を読む指令をFWが受け取る
(2)再生速度、ディスクの種類などの判別後、FWで再生パワーを設定する。
(3)HF条件を定めるため、温度測定結果を取得さらに、レーザの抵抗を測定するため、図3に示す電源電圧情報(Vs)、LDDで流している電流Iop、およびLDDのLD接続部15の電圧Vdを測定し、その値からFWで現在のレーザ抵抗値を求める。
(4)レーザの抵抗値から図13に示すテーブルからFWでHF振幅レジスタ値を決定し設定する。
【0034】
本実施例の光ディスクドライブでは、LDの抵抗もしくは微分抵抗をリアルタイムに知ることにより、HFの制御をさらに高精度化している。このとき、温度情報も用いて図8のような2パラメータ(温度、抵抗)のテーブルを参照してもよい。前にも述べたが、温度と微分抵抗の双方を用いることにより、LDの抵抗もしくは微分抵抗以外の温度特性も考慮した補正ができる。ドライブ動作での精度検証から1パラメータもしくは2パラメータのどちらのテーブルを選択するかは設計者が決めればよい。
【実施例3】
【0035】
本実施例では、再生速度に応じてHF周波数を制御する機能を備えた光ディスクドライブについて説明する。BDを例に説明する。
【0036】
図14は横軸に再生帯域と縦軸に再生の利得を示したものである。図14に示すように高速再生になると再生帯域が広くなる傾向がある。高速になれば,再生帯域とHF周波数が近づき、再生信号にHFが漏れ込み、HF自体が問題となる。
【0037】
2008年7月点では、BDの再生速度は6倍速までが規格化されており,HF周波数は規格で400MHzと決められている。しかし、今後さらに高速化が進むと,再生速度に応じてHF周波数を大きくしなければならない。例えば1−6倍速では、HF周波数400MHz、6-12倍速では800MHzzなど、再生速度の区分に応じてHF周波数を変えざるを得なくなる可能性が高い。そこで、本実施例の光ディスクドライブは、実施例1,2で説明したHFパルス波形の振幅制御に加えて,HFの周波数制御も行う。このため、HF電流パルスの振幅制御レジスタと再生パワーレジスタに加えて、HFの周波数レジスタもテーブル化される。
【0038】
以下、図15,図16及び図17を用いて本実施例の光ディスクドライブのHFパルス波形制御について説明する。図16には、本実施例の光ディスクドライブの全体構成を示す模式図を示す。図16に示す光ディスクドライブ18は、実施例1,2同様、可搬型記録媒体である光ディスク10を保持するスピンドル(図示せず)、光ディスクに対してレーザを照射してその反射光を検出する光ピックアップ16、記録動作あるいは再生動作時に、光ピックアップから照射する光あるいは光ピックアップでの検出信号を処理する記録再生信号処理系17などにより構成される。
【0039】
図15には、本実施例の光ディスクドライブにおけるHFパルス波形制御のフローを示す。図15のステップ1501において、再生開始時点の再生速度がたとえば10倍速(10x)であり、何らかの要因で再生速度を2xに落とすことになったとする。この場合,マイコン15上で動作するファームウェアがスピンドル制御器19に対してスピンドルモータの回転数を2xに対応した回転数に変えるように指示する。回転数が変化すると、スピンドル制御器19は回転数を切り替えたことを示す応答信号をマイコン15に対して送信する。ファームウェアは、この信号を受信することにより再生速度変化を検知する(ステップ1502)。
【0040】
マイコン15の内部メモリには、図17に示す制御テーブルが格納されている。ファームウェアは、再生速度変化を検出すると、内部メモリ内に格納された各テーブルを参照し、適切なレジスタ値をLSI14経由でLDドライバ回路に転送する(ステップ1503)。初めに、HFパルス波形の周波数制御が実行される。ファームウェアは、検出されたスピンドルの回転数が属する再生速度区分を判断し、図17(A)に示すHF周波数制御レジスタテーブルを参照し、再生速度区分に応じたレジスタ値を選択する。図15のフローでは、再生速度が10xから2xに切り替わるので、周波数制御レジスタ値はbからaに切り替えることになる。
【0041】
HF周波数が変わると高周波特性が変わるため、HFパルス波形の振幅も制御する必要がある。そこで、本実施例のHFパルス波形制御では、HF振幅制御レジスタテーブルも準備する周波数制御レジスタ値の数に応じて用意し、参照するHF振幅制御レジスタテーブルを切り替える。もともとは10倍速で再生していたため、HF振幅のレジスタ値の設定時には、図17(C)のテーブルを参照していたが,HF周波数が変わったため,参照するテーブルを図17(C)から図17(B)に変えてHF振幅レジスタ値を設定する。
【0042】
以上の制御が終了すると、変更後の再生速度にて再生動作が継続される(ステップ1504)。
【0043】
以上、再生速度に応じてHF周波数を制御する機能を備えた光ディスクドライブの構成例について説明した。以上の説明では、再生速度変化の検出をスピンドル制御器からの応答を用いて行ったが、例えば、ウォブル周波数を検出するなどの手段によっても同様な機能を実現可能である。
【0044】
この実施例3によってCAV(Constant Angular Velocity)再生時の内外周での再生速度が異なる場合や、複数の再生速度に対応するドライブにおいて、再生性能を最大限に引き出して再生をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】高周波重畳(HF)の説明図。本発明によるHF振幅制御レジスタテーブルの一例を示す図。
【図2】レーザドライバからレーザまでの回路モデルを示す図。
【図3】レーザの抵抗センシングを説明する図
【図4】(A)温度とレーザの微分抵抗の関係 (B)微分抵抗とHF Modulationの関係 (C)温度とレーザの抵抗センシングを説明する図の関係を示す図。
【図5】(A)HF電流パルスとHF発光パルスの関係を示す図。(B)レーザの光出力の電流特性を示す図。
【図6】実施例1の光ディスクドライブの全体構成図
【図7】(A)レーザドライバのHF制御に関するレジスタを示す図。(B)HF周波数制御レジスタ値とHF周波数の関係を示す図。(C) HF振幅制御レジスタ値とHF振幅の関係を示す図。
【図8】実施例1のHF振幅制御レジスタテーブルの構成を示す図。
【図9】レーザの微分抵抗のばらつきを示す図
【図10】実施例1の光ディスクドライブのパルス波形制御を示すフローチャート。
【図11】実施例2の光ディスクドライブの全体構成図
【図12】実施例2の光ディスクドライブのパルス波形制御を示すフローチャート。
【図13】実施例2のHF振幅制御レジスタテーブルの構成を示す図。
【図14】再生速度と再生帯域,HF周波数の関係を示す図
【図15】実施例3の光ディスクドライブのパルス波形制御を示すフローチャート。
【図16】実施例3の光ディスクドライブの全体構成図
【図17】実施例3のHFパルス波形制御レジスタテーブルを示す図。
【符号の説明】
【0046】
レーザ…レーザダイオード
レーザD…レーザダイオードドライバ回路
10…光ディスク
11…レーザダイオード
12…レーザドライバ
13…温度センサ
14…電圧測定器
15…電圧測定ポイント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波重畳されたレーザ光を光ディスクに照射して、当該光ディスクに記録された情報を再生する光ディスクドライブにおいて、
前記レーザ光を出射するレーザ光源と、
高周波電流を直流電流に重畳した駆動電流を当該レーザ光源に供給するレーザドライバと、
前記光ディスクドライブ全体の動作を制御するファームウェアが実行されるマイクロコンピュータと、
前記レーザ光源の抵抗または微分抵抗を推定する手段とを備え、
前記ファームウェアは、前記抵抗値または微分抵抗の推定値に基づき前記高周波電流の振幅を決定することを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザドライバの電位を計測する手段を備え、
前記ファームウェアは、当該レーザドライバの計測電位に基づき抵抗値または微分抵抗の値を計算することを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザ光源の温度を計測する温度計測手段と、
当該計測温度を前記抵抗値または微分抵抗に換算するためのテーブルとを備え、
前記ファームウェアは、当該テーブルの格納値に基づき前記抵抗値または微分抵抗の値を推定することを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザドライバは、前記高周波電流の振幅値を格納した振幅制御レジスタと、前記レーザの駆動電流の振幅値を格納した再生パワー制御レジスタとを備えることを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項5】
請求項4に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザドライバは、更に、前記高周波電流の周波数を格納した周波数制御レジスタを備えることを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項6】
レーザ光を出射するレーザ光源と、高周波電流を直流電流に重畳した駆動電流を当該レーザ光源に供給するレーザドライバと、前記光ディスクドライブ全体の動作を制御するファームウェアが実行されるマイクロコンピュータとを備えた光ディスクドライブを使用し、前記高周波重畳されたレーザ光を光ディスクに照射して、当該光ディスクに記録された情報を再生する光情報再生方法において、
前記レーザ光源の抵抗または微分抵抗を推定し、
当該抵抗値または微分抵抗の推定値に基づき前記高周波電流の振幅を決定することを特徴とする光情報再生方法。
【請求項7】
請求項6に記載の光情報再生方法において、
前記抵抗値または微分抵抗を実測することを特徴とする光情報再生方法。
【請求項8】
光ディスクに対して、複数の再生速度で情報を再生、または複数の記録速度で情報を記録することが可能な光ディスクドライブにおいて、
前記レーザ光を出射するレーザ光源と、
高周波電流を直流電流に重畳した駆動電流を当該レーザ光源に供給するレーザドライバと、
前記光ディスクドライブ全体の動作を制御するファームウェアが実行されるマイクロコンピュータと、
前記再生速度または記録速度を検出する手段とを備え、
前記ファームウェアは、前記再生速度または記録速度に応じて、前記高周波電流の周波数を変えることを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項9】
請求項8に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記前記再生速度または記録速度と、当該前記再生速度または記録速度に対応する高周波電流の周波数とが記録された制御テーブルとを備えることを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項10】
請求項8に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザ光源の抵抗または微分抵抗を推定する手段とを備え、
前記ファームウェアは、前記抵抗値または微分抵抗の推定値に基づき前記高周波電流の振幅を決定することを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項1】
高周波重畳されたレーザ光を光ディスクに照射して、当該光ディスクに記録された情報を再生する光ディスクドライブにおいて、
前記レーザ光を出射するレーザ光源と、
高周波電流を直流電流に重畳した駆動電流を当該レーザ光源に供給するレーザドライバと、
前記光ディスクドライブ全体の動作を制御するファームウェアが実行されるマイクロコンピュータと、
前記レーザ光源の抵抗または微分抵抗を推定する手段とを備え、
前記ファームウェアは、前記抵抗値または微分抵抗の推定値に基づき前記高周波電流の振幅を決定することを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザドライバの電位を計測する手段を備え、
前記ファームウェアは、当該レーザドライバの計測電位に基づき抵抗値または微分抵抗の値を計算することを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザ光源の温度を計測する温度計測手段と、
当該計測温度を前記抵抗値または微分抵抗に換算するためのテーブルとを備え、
前記ファームウェアは、当該テーブルの格納値に基づき前記抵抗値または微分抵抗の値を推定することを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザドライバは、前記高周波電流の振幅値を格納した振幅制御レジスタと、前記レーザの駆動電流の振幅値を格納した再生パワー制御レジスタとを備えることを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項5】
請求項4に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザドライバは、更に、前記高周波電流の周波数を格納した周波数制御レジスタを備えることを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項6】
レーザ光を出射するレーザ光源と、高周波電流を直流電流に重畳した駆動電流を当該レーザ光源に供給するレーザドライバと、前記光ディスクドライブ全体の動作を制御するファームウェアが実行されるマイクロコンピュータとを備えた光ディスクドライブを使用し、前記高周波重畳されたレーザ光を光ディスクに照射して、当該光ディスクに記録された情報を再生する光情報再生方法において、
前記レーザ光源の抵抗または微分抵抗を推定し、
当該抵抗値または微分抵抗の推定値に基づき前記高周波電流の振幅を決定することを特徴とする光情報再生方法。
【請求項7】
請求項6に記載の光情報再生方法において、
前記抵抗値または微分抵抗を実測することを特徴とする光情報再生方法。
【請求項8】
光ディスクに対して、複数の再生速度で情報を再生、または複数の記録速度で情報を記録することが可能な光ディスクドライブにおいて、
前記レーザ光を出射するレーザ光源と、
高周波電流を直流電流に重畳した駆動電流を当該レーザ光源に供給するレーザドライバと、
前記光ディスクドライブ全体の動作を制御するファームウェアが実行されるマイクロコンピュータと、
前記再生速度または記録速度を検出する手段とを備え、
前記ファームウェアは、前記再生速度または記録速度に応じて、前記高周波電流の周波数を変えることを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項9】
請求項8に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記前記再生速度または記録速度と、当該前記再生速度または記録速度に対応する高周波電流の周波数とが記録された制御テーブルとを備えることを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項10】
請求項8に記載の光ディスクドライブにおいて、
前記レーザ光源の抵抗または微分抵抗を推定する手段とを備え、
前記ファームウェアは、前記抵抗値または微分抵抗の推定値に基づき前記高周波電流の振幅を決定することを特徴とする光ディスクドライブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−146673(P2010−146673A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324919(P2008−324919)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】
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