説明

光情報記録装置、光ピックアップ、光情報記録方法及び光情報記録媒体

【課題】サーボ制御の負荷を軽減することができる。
【解決手段】色光ビームLb1を集光して光ディスク100に照射し、記録マークRMを形成すべき目標深さ、及び記録マークRMを形成すべき目標トラックに、青色光ビームLb1の焦点Fb1が位置するように焦点Fb1を移動させ、光ディスク100に照射されるときの青色光ビームLb1の光軸Lx1と輪郭Lo1とのなす第1集光角α1よりも、光ディスク100に照射されるときの青色光ビームLb2の光軸Lx2と輪郭Lo2とのなす第2集光角α2を小さくすることにより、ビームウエスト径S1よりも焦点Fb2における光束径であるビームウエスト径S2が大きくなるように青色光ビームLb2を集光して光ディスク100に照射し、焦点Fb2を目標深さに合わせると共に青色光ビームLb2を目標トラックに照射するよう焦点Fb2を移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光情報記録装置、光ピックアップ、光情報記録方法及び光情報記録媒体に関し、例えば光ディスクにホログラムを記録する光ディスク装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置においては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBlu−ray Disc(登録商標、以下BDと呼ぶ)等、光ディスクに対して光ビームを照射し、その反射光を読み取ることにより情報を再生するようになされたものが広く普及している。
【0003】
またかかる従来の光ディスク装置では、当該光ディスクに対して光ビームを照射することにより、当該光ディスクの局所的な反射率等を変化させることにより、情報の記録を行うようになされている。
【0004】
この光ディスクに関しては、当該光ディスク上に形成される光スポットの大きさは、およそλ/NA(λ:光ビームの波長、NA:開口数)で与えられ、解像度もこの値に比例することが知られている。例えば、直径120[mm]の光ディスクにおよそ25[GB]のデータを記録し得るBDの詳細については、非特許文献1に示されている。
【0005】
ところで光ディスクには、音楽コンテンツや映像コンテンツ等の各種コンテンツ、或いはコンピュータ用の各種データ等のような種々の情報が記録されるようになされている。特に近年では、映像の高精細化や音楽の高音質化等により情報量が増大し、また1枚の光ディスクに記録するコンテンツ数の増加が要求されているため、当該光ディスクのさらなる大容量化が要求されている。
【0006】
そこで、1枚の光ディスク内で記録層を重ねることにより、1枚の光ディスクにおける記録容量を増加させる手法も提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0007】
一方、光ディスクに対する情報の記録手法として、ホログラムを用いた光ディスク装置も提案されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0008】
例えば図1に示すように、光ディスク装置1は、照射された光強度によって屈折率が変化するフォトポリマ等でなる光ディスク8中に、光学ヘッド7から一旦光ビームを集光し、その後光ディスク8の裏面側(図1では下側)に設けられた反射装置9を用いて、もう一度逆方向から光ビームを同一焦点位置に集光するようになされている。
【0009】
光ディスク装置1は、レーザ2からレーザ光でなる光ビームを出射させ、音響光学変調器3によりその光波を変調し、コリメータレンズ4により平行光に変換する。続いて光ビームは、偏光ビームスプリッタ5を透過し、1/4波長板6により直線偏光から円偏光に変換されてから、光学ヘッド7へ入射される。
【0010】
光学ヘッド7は、情報の記録及び再生を行い得るようになされており、光ビームをミラー7Aにより反射し、対物レンズ7Bにより集光して、スピンドルモータ(図示せず)により回転されている光ディスク8に照射する。
【0011】
このとき光ビームは、光ディスク8の内部で一旦集光されてから、当該光ディスク8の裏面側に配置された反射装置9によって反射され、当該光ディスク8の裏面側から光ディスク8の内部における同一焦点に集光される。因みに反射装置9は、集光レンズ9A、シャッタ9B、集光レンズ9C及び反射ミラー9Dにより構成されている。
【0012】
この結果、図2(A)に示すように、光ビームの焦点位置に定在波が生じ、全体的に2つの円錐体を互いの底面同士で貼り合わせたような形状でなる、光スポットサイズの小さなホログラムでなる記録マークRMを形成する。かくしてこの記録マークRMが情報として記録される。
【0013】
光ディスク装置1は、光ディスク8の内部にこの記録マークRMを複数記録する際、当該光ディスク8を回転させ各記録マークRMを同心円状又は螺旋状のトラックに沿って配置することにより一つのマーク記録層を形成し、さらに光ビームの焦点位置を調整することにより、マーク記録層を複数層重ねるように各記録マークRMを記録することができる。
【0014】
これにより光ディスク8は、内部に複数のマーク記録層を有する多層構造となる。例えば光ディスク8は、図2(B)に示すように、記録マークRM間の距離(マークピッチ)p1が1.5[μm]、トラック間の距離(トラックピッチ)p2が2[μm]、層間の距離p3が22.5[μm]となっている。
【0015】
また光ディスク装置1は、記録マークRMが記録されたディスク8から情報を再生する場合、反射装置9のシャッタ9Bを閉じ、光ディスク8の裏面側から光ビームを照射しないようにする。
【0016】
このとき光ディスク装置1は、光学ヘッド7によって光ディスク8中の記録マークRMへ光ビームを照射し、当該記録マークRMから発生する再生光ビームを当該光学ヘッド7へ入射させる。この再生光ビームは、1/4波長板6により円偏光から直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ5により反射される。さらに再生光ビームは、集光レンズ10により集光され、ピンホール11を介してフォトディテクタ12へ照射される。
【0017】
光ディスク装置1は、このときフォトディテクタ12により再生光ビームの光量を検出し、その検出結果を基に情報を再生する。
【0018】
また図1と対応する部分に同一符号を附した図3に示す光ディスク装置13のように、記録処理の際、光ビームを2つの光ビームに分離し、光ディスク8の両面側から当該2つの光ビームが重なるように照射するようになされたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0019】
この光ディスク装置13では、レーザダイオード14Aから出射した光ビームをコリメータレンズ4によって平行光に変換し、ビームスプリッタ5Aによって2つの光ビーム(第1光ビーム及び第2光ビーム)に分離する。
【0020】
光ディスク装置13は、ビームスプリッタ5Aを透過した第1光ビームをビームスプリッタ5B及び5Cを介して対物レンズ7Bに入射する。対物レンズ7Bは、第1光ビームを集光して光ディスク8の第1面8A側から光ディスク8に照射する。
【0021】
このとき光ディスク装置13は、光ディスク8における基板8C及び誘電体層8Dとの界面によって反射された第1光ビームの一部を対物レンズ7B、ビームスプリッタ5C及び5B、シリンドリカルレンズ18を介してフォトディテクタ12Bによって受光し、受光量に応じた検出信号をマトリックスアンプ19によって増幅すると共に、増幅した検出信号に基づいてサーボ制御信号を生成する。
【0022】
そして光ディスク装置13は、サーボ制御信号に基づいてアクチュエータ7Baを駆動することにより、対物レンズ7Bを変位させるようになされている。
【0023】
一方光ディスク装置13は、ビームスプリッタ5Aによって反射された第2光ビームをミラー15A、15B、15C及び15Dを介して凸レンズ7Cに入射する。凸レンズ7Cは、第2光ビームを集光して光ディスク8の第2面8B側から光ディスク8に入射する。
【0024】
このとき光ディスク装置13では、第1光ビーム及び第2光ビームが重なる部分(斜線で示す)が干渉してホログラムでなる記録マークRMを形成する。かくしてこの記録マークRMが記録層8Eに情報として記録される。
【0025】
また光ディスク装置13は、再生処理の際、第2光ビームの光路上に設置されたシャッタ16によって第2光ビームを遮断すると共に、第1光ビームが光ディスク8に記録された記録マークRMによって反射されることにより生成される再生光ビームを対物レンズ7B、ビームスプリッタ5C、凹レンズ17、集光レンズ10及びピンホール板11を介してフォトディテクタ12Aによって受光する。
【0026】
光ディスク装置1は、このときフォトディテクタ12により再生光ビームの光量を検出し、その検出結果を基に情報を再生するようになされている。
【非特許文献1】Y.Kasami, Y.Kuroda,K.Seo, O.Kawakubo, S.Takagawa, M.Ono, and M.Yamada, Jpn. J. Appl. Phys., 39,756(2000)
【非特許文献2】I.Ichimura etal, Technical Digest of ISOM’04, pp52, Oct.11-15, 2005, Jeju Korea
【非特許文献3】R. R. McLeod etal.,“Microholographicmultilayer optical disk data storage,” Appl. Opt., Vol. 44, 2005, pp3197
【特許文献1】特許第3452106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
ところで、上述した光ディスク装置13では、第1光ビーム及び第2光ビームが重なった部分にのみホログラムが形成されるため、精密なサーボ制御によって当該第1光ビーム及び第2光ビームの焦点を正確に重ね合わせる必要があり、サーボ制御に多大な負荷がかかるという問題があった。
【0028】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、サーボ制御の負荷を軽減し得る光情報記録装置、光ピックアップ、光情報記録方法及び光情報記録媒体を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
かかる課題を解決するため本発明では、光源から出射された光を第1及び第2の光に分離すると共に、光情報記録媒体の両面側から第1及び第2の光をそれぞれ照射し、光情報記録媒体の内部で当該第1及び第2の光を重複させることによりホログラムでなる記録マークを形成する光情報記録装置において、第1の光を集光して光情報記録媒体に照射する第1の集光部と、光情報記録媒体に対して近接又は離隔する深さ方向における記録マークを形成すべき目標深さ、及び光情報記録媒体の両面に平行な平行方向における記録マークを形成すべき目標トラックに、第1の光の焦点が位置するように第1の光の焦点を移動させる第1の焦点移動部と、光情報記録媒体に照射されるときの第1の光の光軸と輪郭部分とのなす第1の集光角よりも、光情報記録媒体に照射されるときの第2の光の光軸と最外周部分とのなす第2の集光角を小さくすることにより、第1の光の焦点における光束径よりも第2の光の焦点における光束径が大きくなるように第2の光を集光して光情報記録媒体に照射する第2の集光部と、第2の光の焦点を目標深さに合わせると共に、第2の光を目標トラックに照射するよう第2の光の焦点を移動させる第2の焦点移動部とを設けるようにした。
【0030】
これにより、第2の光の焦点を正確に目標トラックに照射しなくても、第1の光に応じた大きさの記録マークを目標位置に形成することができる。
【0031】
また本発明では、光源から出射された光を第1及び第2の光に分離すると共に、光情報記録媒体の両面側から第1及び第2の光をそれぞれ照射し、光情報記録媒体の内部で当該第1及び第2の光を重複させることによりホログラムでなる記録マークを形成する光ピックアップにおいて、第1の光を集光して光情報記録媒体に照射する第1の集光部と、光情報記録媒体に対して近接又は離隔する深さ方向における記録マークを形成すべき目標深さ、及び光情報記録媒体の両面に平行な平行方向における記録マークを形成すべき目標トラックに、第1の光の焦点が位置するように第1の光の焦点を移動させる第1の焦点移動部と、光情報記録媒体に照射されるときの第1の光の光軸と最外周部分とのなす第1の集光角よりも、光情報記録媒体に照射されるときの第2の光の光軸と最外周部分とのなす第2の集光角を小さくすることにより、第1の光の焦点における光束径よりも第2の光の焦点における光束径が大きくなるように第2の光を集光して光情報記録媒体に照射する第2の集光部と、第2の光の焦点を目標深さに合わせると共に、第2の光を目標トラックに照射するよう第2の光の焦点を移動させる第2の焦点移動部とを設けるようにした。
【0032】
これにより、第2の光の焦点を正確に目標トラックに照射しなくても、第1の光に応じた大きさの記録マークを目標位置に形成することができる。
【0033】
さらに本発明においては、光源から出射された光を第1及び第2の光に分離すると共に、光情報記録媒体の両面側から第1及び第2の光をそれぞれ照射し、光情報記録媒体の内部で当該第1及び第2の光を重複させることによりホログラムでなる記録マークを形成する方法において、第1の光を集光する光情報記録媒体に照射する際、光情報記録媒体に対して近接又は離隔する深さ方向における記録マークを形成すべき目標深さ、及び光情報記録媒体の両面に平行な平行方向における記録マークを形成すべき目標トラックに、第1の光の焦点が位置するように第1の光の焦点を移動させる第1の焦点移動ステップと、第2の光を集光して光情報記録媒体に照射する際、光情報記録媒体に照射されるときの第1の光の光軸と最外周部分とのなす第1の集光角よりも、光情報記録媒体に照射されるときの第2の光の光軸と最外周部分とのなす第2の集光角を小さくすることにより、第1の光の焦点における光束径よりも第2の光の焦点における光束径を大きくした状態で、第2の光の焦点を目標深さに合わせると共に、第2の光を目標トラックに照射するよう第2の光の焦点を移動させる第2の焦点移動ステップとを設けるようにした。
【0034】
これにより、第2の光の焦点を正確に目標トラックに照射しなくても、第1の光に応じた大きさの記録マークを目標位置に形成することができる。
【0035】
さらに本発明の光情報記録媒体においては、上記第1の光の焦点における光束径よりも焦点における光束径が大きく、上記第1の光と同一波長でなる上記第2の光が照射されたとき、上記第1及び第2の光が重複した部分に形成されるホログラムのうち、光強度の大きい明部分における屈折率を変化させて記録マークを記録する一方、上記第2の光における上記第1の光と重複しない非重複部分における屈折率を殆ど変化させない記録層を設けるようにした。
【0036】
これにより、第2の光のみが照射された部位の屈折率を殆ど変化させないため、第1の光に応じた大きさの記録マークを目標位置に形成することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、第1の光の焦点と第2の光の焦点とが多少ずれた場合であっても、第1の光に応じた大きさの記録マークを目標位置に形成することができ、かくしてサーボ制御の負荷を軽減し得る光情報記録装置、光ピックアップ及び光情報記録方法を実現できる。
【0038】
また本発明によれば、第2の光の焦点を正確に目標トラックに照射しなくても、第1の光に応じた大きさの記録マークを目標位置に形成することができ、かくしてサーボ制御の負荷を軽減し得る光情報記録媒体を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0040】
(1)光ディスクの構成
まず、本発明において情報記録媒体として用いられる光ディスク100について説明する。図4(A)に外観図を示すように、光ディスク100は、全体として従来のCD、DVD及びBDと同様に直径約120[mm]の円盤状に構成されており、中央部分に孔部100Hが形成されている。
【0041】
また光ディスク100は、図4(B)に断面図を示すように、情報を記録するための記録層101を中心に有しており、基板102及び103により当該記録層101を両面から挟むように構成されている。
【0042】
因みに記録層101の厚さt1は約0.3[mm]、基板102及び103の厚さt2及びt3はいずれも約0.6[mm]となるようになされている。
【0043】
基板102及び103は、例えばポリカーボネイトやガラス等の材料により構成されており、いずれも一面から入射される光をその反対面へ高い透過率で透過させるようになされている。また基板102及び103は、ある程度の強度を有しており、記録層101を保護する役割も担うようになされている。なお基板102及び103の表面については、無反射コーティングにより不要な反射が防止されるようになされていても良い。
【0044】
記録層101は、光ディスク8(図1)と同様、照射された光強度によって屈折率が変化するフォトポリマ等でなり、波長405[nm]でなる青色光ビームに反応するようになされている。図4(B)に示したように、比較的強い強度でなる2本の青色光ビームLb1及びLb2が記録層101内において干渉した場合、当該記録層101には定在波が生成されることになり、図2(A)に示したようなホログラムとしての性質を有する干渉パターンが形成される。
【0045】
また光ディスク100は、記録層101と基板102との境界面に反射層としての反射透過膜104を有している。反射透過膜104は、誘電体多層膜等でなり、再生処理及び記録処理に使用される青色透過光領域104A(詳しくは後述する)では、波長405[nm]でなる青色光ビームLb1、Lb2及び青色再生光ビームLb3を透過すると共に、波長660[nm]でなる赤色光ビームを反射するといった波長選択性を有している。
【0046】
また反射透過膜104は、トラッキングサーボ用の案内溝を形成しており、具体的には、一般的なBD−R(Recordable)ディスク等と同様のランド及びグルーブにより螺旋状のトラックを形成している。このトラックには、所定の記録単位ごとに一連の番号でなるアドレスが付されており、情報を記録又は再生するトラックを当該アドレスにより特定し得るようになされている。
【0047】
なお反射透過膜104(すなわち記録層101と基板102との境界面)には、案内溝に代えてピット等が形成され、或いは案内溝とピット等とが組み合わされていても良い。
【0048】
この反射透過膜104は、基板102側から赤色光ビームLr1が照射された場合、これを当該基板102側へ反射する。以下、このとき反射された光ビームを赤色反射光ビームLr2と呼ぶ。
【0049】
この赤色反射光ビームLr2は、例えば光ディスク装置において、目標とするトラック(以下目標トラックと呼ぶ)に対して、所定の対物レンズOL1により集光された赤色光ビームLr1の焦点Frを合わせるための、当該対物レンズOL1の位置制御(すなわちフォーカス制御及びトラッキング制御)に用いられることが想定されている。
【0050】
因みに以下では、光ディスク100の基板102側の面を案内面100Aと呼び、当該光ディスク100の基板103側の面を記録光照射面100Bと呼ぶ。
【0051】
実際上、光ディスク100に情報が記録されるとき、図4(B)に示したように、位置制御された対物レンズOL1により赤色光ビームLr1が集光され、反射透過膜104の目標とするトラック(以下、これを目標トラックと呼ぶ)に合焦される。
【0052】
また、当該赤色光ビームLr1と光軸Lxを共有し当該対物レンズOL1により集光された青色光ビームLb1が、基板102及び反射透過膜104を透過し、記録層101内における当該所望トラックの裏側(すなわち基板102側)に相当する位置に合焦される。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、対物レンズOL1を基準として、共通の光軸Lx上における焦点Frよりも遠方に位置することになる。
【0053】
さらに、青色光ビームLb1と同一波長でなり光軸Lxを共有する青色光ビームLb2が、当該青色光ビームLb1の反対側(すなわち基板103側)から、対物レンズOL1と同等の光学特性を有する対物レンズOL2により集光され、照射されるようになされている。このとき当該青色光ビームLb2の焦点Fb2は、当該対物レンズOL2が位置制御されることにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1と同一の位置となるようになされている。
【0054】
この結果、光ディスク100には、記録層101内における目標トラックの裏側に相当する焦点Fb1及びFb2の位置に、比較的小さい干渉パターンでなる記録マークRMが記録される。
【0055】
このとき記録層101内には、いずれも収束光でなる青色光ビームLb1及びLb2が重なり、且つ所定強度以上となった部分に記録マークRMが形成される。このため記録マークRMは、図2(A)に示したように、全体的に2つの円錐体を互いの底面同士で貼り合わせたような形状となり、中央部(底面同士を貼り合わせた部分)が僅かにくびれている。
【0056】
因みに、記録マークRMに関して、中央部におけるくびれ部分の直径RMrについては、青色光ビームLb1に応じて決定され(詳しくは後述する)、青色光ビームLb1の波長をλ[m]、対物レンズOL1の開口数をNAとすると、次に示す(1)式により求められる。
【0057】
【数1】

【0058】
また記録マークRMの高さRMhに関しては、対物レンズOL1の屈折率をnとすると、次に示す(2)式により求められる。
【0059】
【数2】

【0060】
例えば、波長λを405[nm]、開口数NAを0.5、屈折率nを1.5とすると、(1)式より直径RMr=0.97[μm]、(2)式より高さRMh=9.72[μm]となる。
【0061】
さらに光ディスク100は、記録層101の厚さt1(=0.3[mm])が記録マークRMの高さRMhよりも充分に大きくなるよう設計されている。このため光ディスク100は、記録層101内における記録反射膜104からの距離(以下、これを深さと呼ぶ)が切り換えられながら記録マークRMが記録されることにより、図2(B)に示したような、複数のマーク記録層を当該光ディスク100の厚さ方向に重ねた多層記録を行い得るようになされている。
【0062】
この場合、光ディスク100の記録層101内において、青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2の深さが調整されることにより、記録マークRMの深さが変更されることになる。例えば光ディスク100は、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮してマーク記録層同士の距離p3が約15[μm]に設定されれば、記録層101内に約20層のマーク記録層を形成することができる。なお距離p3については、約15[μm]とする以外にも、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮した上で他の種々の値としても良い。
【0063】
一方、光ディスク100は、情報が再生されるとき、当該情報を記録したときと同様に、対物レンズOL1により集光された赤色光ビームLr1が反射透過膜104の目標トラックに合焦されるよう、当該対物レンズOL1が位置制御されるようになされている。
【0064】
さらに光ディスク100は、同一の対物レンズOL1を介し基板102及び反射透過膜104を透過した青色光ビームLb1の焦点Fb1が、記録層101内における当該目標トラックの「裏側」に相当し、かつ目標深さとなる位置(以下、これを目標マーク位置と呼ぶ)に合焦されるようになされている。
【0065】
このとき焦点Fb1の位置に記録されている記録マークRMは、ホログラムとしての性質により、当該目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色再生光ビームLb3を発生する。この青色再生光ビームLb3は、記録マークRMの記録時に照射された青色光ビームLb2と同等の光学特性を有しており、当該青色光ビームLb2と同じ方向へ、すなわち記録層101内から基板102側へ発散しながら進むことになる。
【0066】
このように光ディスク100は、情報が記録される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1、情報記録用の青色光ビームLb1及びLb2が用いられることにより、記録層101内において焦点Fb1及びFb2が重なる位置、すなわち反射透過膜104における目標トラックの裏側となり且つ目標深さとなる目標マーク位置に、当該情報として記録マークRMが形成されるようになされている。
【0067】
また光ディスク100は、記録済みの情報が再生される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1及び情報再生用の青色光ビームLb1が用いられることにより、焦点Fb1の位置、すなわち目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色再生光ビームLb3を発生させるようになされている。
【0068】
(2)光ディスク装置の構成
次に、上述した光ディスク100に対応した光ディスク装置20について説明する。光ディスク装置20は、図5に示すように、制御部21により全体を統括制御するようになされている。
【0069】
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)から基本プログラムや情報記録プログラム、焦点深さ調整プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらを図示しないRAM(Random Access Memory)に展開することにより、情報記録処理等の各種処理を実行するようになされている。
【0070】
例えば制御部21は、光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給すると共に、記録情報を信号処理部23へ供給する。因みに記録アドレス情報は、光ディスク100の記録層101に付されたアドレスのうち、記録情報を記録すべきアドレスを示す情報である。
【0071】
駆動制御部22は、駆動命令に従い、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより、光ピックアップ26を移動軸25A及び25Bに沿って光ディスク100の径方向(すなわち内周方向又は外周方向)における記録アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
【0072】
信号処理部23は、供給された記録情報に対して所定の符号化処理や変調処理等の各種信号処理を施すことにより記録信号を生成し、これを光ピックアップ26へ供給する。
【0073】
光ピックアップ26は、図6に示すように、側面略コ字状に構成されており、図4(B)に示したように、光ディスク100に対して両面から焦点を合わせて光ビームを照射し得るようになされている。
【0074】
光ピックアップ26は、駆動制御部22(図5)の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101における記録アドレス情報により示されるトラック(以下、これを目標トラックと呼ぶ)に光ビームの照射位置を合わせ、信号処理部23からの記録信号に応じた記録マークRMを記録するようになされている(詳しくは後述する)。
【0075】
また制御部21は、例えば外部機器(図示せず)から情報再生命令及び当該記録情報のアドレスを示す再生アドレス情報を受け付けると、駆動制御部22に対して駆動命令を供給すると共に、再生処理命令を信号処理部23へ供給する。
【0076】
駆動制御部22は、情報を記録する場合と同様、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより光ピックアップ26を再生アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
【0077】
光ピックアップ26は、駆動制御部22(図5)の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101における再生アドレス情報により示されるトラック(すなわち目標トラック)に光ビームの照射位置を合わせ、所定光量の光ビームを照射する。このとき光ピックアップ26は、光ディスク100における記録層101の記録マークRMから発生される再生光ビームを検出し、その光量に応じた検出信号を信号処理部23へ供給するようになされている(詳しくは後述する)。
【0078】
信号処理部23は、供給された検出信号に対して所定の復調処理や復号化処理等の各種信号処理を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報を制御部21へ供給する。これに応じて制御部21は、この再生情報を外部機器(図示せず)へ送出するようになされている。
【0079】
このように光ディスク装置20は、制御部21によって光ピックアップ26を制御することにより、光ディスク100の記録層101における目標トラックに情報を記録し、また当該目標トラックから情報を再生するようになされている。
【0080】
(3)光ピックアップの構成
次に、光ピックアップ26の構成について説明する。図7に模式的に示すように、光ピックアップ26は、多数の光学部品が設けられており、大きく分けて案内面位置制御光学系30、案内面情報光学系50及び記録光照射面光学系70により構成されている。
【0081】
(3−1)案内面赤色光学系の構成
案内面位置制御光学系30は、光ディスク100の案内面100Aに対して赤色光ビームLr1を照射し、当該光ディスク100により当該赤色光ビームLr1が反射されてなる赤色反射光ビームLr2を受光するようになされている。
【0082】
図8において案内面位置制御光学系30のレーザダイオード31は、波長約660[nm]の赤色レーザ光を発射し得るようになされている。実際上レーザダイオード31は、制御部21(図5)の制御に基づいて発散光でなる所定光量の赤色光ビームLr1を発射し、コリメータレンズ32へ入射させる。コリメータレンズ32は、赤色光ビームLr1を発散光から平行光に変換しスリット33を介して無偏光ビームスプリッタ34へ入射させる。
【0083】
無偏光ビームスプリッタ34は、赤色光ビームLr1を反射透過面34Aにおいて約50%の割合で透過し、補正レンズ35へ入射させる。補正レンズ35及び36は、赤色光ビームLr1を一度発散させてから収束させ、ダイクロックプリズム37へ入射させる。
【0084】
ダイクロックプリズム37の反射透過面37Sは、光ビームの波長により透過率及び反射率が異なる、いわゆる波長選択性を有しており、赤色光ビームをほぼ100%の割合で透過し、青色光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。このためダイクロックプリズム37は、当該反射透過面37Sにおいて赤色光ビームLr1を透過し、第1対物レンズ38へ入射させる。
【0085】
第1対物レンズ38は、赤色光ビームLr1を集光し、光ディスク100の案内面100Aへ向けて照射する。このとき赤色光ビームLr1は、図4(B)に示したように、基板102を透過し反射透過膜104において反射され、赤色光ビームLr1と反対方向へ向かう赤色反射光ビームLr2となる。
【0086】
因みに第1対物レンズ38は、青色光ビームLb1に最適化されて設計されており、赤色光ビームLr1に関しては、スリット33、補正レンズ35及び36との光学的な距離等の関係により、開口数(NA:Numerical Aperture)が0.41の集光レンズとして作用することになる。
【0087】
この後、赤色反射光ビームLr2は、第1対物レンズ38、ダイクロックプリズム37、補正レンズ36及び35を順次透過して平行光にされた後、無偏光ビームスプリッタ34へ入射される。
【0088】
無偏光ビームスプリッタ34は、赤色反射光ビームLr2を約50%の割合で反射することによりミラー40へ照射し、当該ミラー40により当該赤色反射光ビームLr2を再度反射させた後、集光レンズ41へ入射させる。
【0089】
集光レンズ41は、赤色反射光ビームLr2を収束させ、シリンドリカルレンズ42により非点収差を持たせた上で当該赤色反射光ビームLr2をフォトディテクタ43へ照射する。
【0090】
ところで光ディスク装置20では、回転する光ディスク100における面ブレ等が発生する可能性があるため、案内面位置制御光学系30に対する目標トラックの相対的な位置が変動する可能性がある。
【0091】
このため、案内面位置制御光学系30において赤色光ビームLr1の焦点Fr(図4(B))を目標トラックに追従させるには、当該焦点Frを光ディスク100に対する近接方向又は離隔方向であるフォーカス方向及び光ディスク100の内周側方向又は外周側方向であるトラッキング方向へ移動させる必要がある。
【0092】
そこで第1対物レンズ38は、2軸アクチュエータ38Aにより、フォーカス方向及びトラッキング方向の2軸方向へ駆動され得るようになされている。
【0093】
また案内面位置制御光学系30(図8)では、第1対物レンズ38により赤色光ビームLr1が集光され光ディスク100の反射透過膜104へ照射されるときの合焦状態が、集光レンズ41により赤色反射光ビームLr2が集光されフォトディテクタ43に照射されるときの合焦状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置が調整されている。
【0094】
フォトディテクタ43は、図9に示すように、赤色反射光ビームLr2が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域43A、43B、43C及び43Dを有している。因みに矢印a1により示される方向(図中の縦方向)は、赤色光ビームLr1が反射透過膜104(図4)に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
【0095】
フォトディテクタ43は、検出領域43A、43B、43C及び43Dにより赤色反射光ビームLr2の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SDAr、SDBr、SDCr及びSDDrをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図5)へ送出する。
【0096】
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(3)式に従ってフォーカスエラー信号SFErを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
【0097】
【数3】

【0098】
このフォーカスエラー信号SFErは、赤色光ビームLr1の焦点Frと光ディスク100の反射透過膜104とのずれ量を表すことになる。
【0099】
また信号処理部23は、いわゆるプッシュプル法によるトラッキング制御を行うようになされており、次に示す(4)式に従ってトラッキングエラー信号STErを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
【0100】
【数4】

【0101】
このトラッキングエラー信号STErは、赤色光ビームLr1の焦点Frと光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックとのずれ量を表すことになる。
【0102】
駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFErを基にフォーカス駆動信号SFDrを生成し、当該フォーカス駆動信号SFDrを2軸アクチュエータ38Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104に合焦するよう、第1対物レンズ38をフィードバック制御(すなわちフォーカス制御)する。
【0103】
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STErを基にトラッキング駆動信号STDrを生成し、当該トラッキング駆動信号STDrを2軸アクチュエータ38Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックに合焦するよう、第1対物レンズ38をフィードバック制御(すなわちトラッキング制御)する。
【0104】
このように案内面位置制御光学系30は、赤色光ビームLr1を光ディスク100の反射透過膜104に照射し、その反射光である赤色反射光ビームLr2の受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、当該赤色光ビームLr1を当該反射透過膜104の目標トラックに合焦させるよう、第1対物レンズ38のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている。
【0105】
(3−2)案内面青色光学系の構成
案内面情報光学系50は、光ディスク100の案内面100Aに対して青色光ビームLb1を照射するようになされており、また当該光ディスク100から入射される青色光ビームLb2又は青色再生光ビームLb3を受光するようになされている。
【0106】
(3−2−1)青色光ビームの照射
図10において案内面情報光学系50のレーザダイオード51は、波長約405[nm]の青色レーザ光を発射し得るようになされている。実際上レーザダイオード51は、制御部21(図5)の制御に基づいて発散光でなる青色光ビームLb0を発射し、コリメータレンズ52へ入射させる。コリメータレンズ52は、青色光ビームLb0を発散光から平行光に変換し、1/2波長板53へ入射させる。
【0107】
このとき青色光ビームLb0は、1/2波長板53により偏光方向が所定角度回転されることにより、p偏光とs偏光の割合が調整され、さらにアナモプリズム54により強度分布が成形された後、偏光ビームスプリッタ55の面55Aに入射される。
【0108】
偏光ビームスプリッタ55は、反射透過面55Sにおいて、光ビームの偏光方向により異なる割合で当該光ビームを反射又は透過するようになされている。例えば反射透過面55Sは、p偏光の光ビームを約50%の割合で反射すると共に残りの50%を透過し、s偏光の光ビームを約100%の割合で透過するようになされている。
【0109】
実際上、偏光ビームスプリッタ55は、反射透過面55Sにより、p偏光でなる青色光ビームLb0を約50%の割合で反射し、面55Bから1/4波長板56へ入射させると共に、残りの50%を透過し、面55Dからシャッタ71へ入射させる。以下では、反射透過面55Sにより反射された青色光ビームを青色光ビームLb1、反射透過面55Sを透過した青色光ビームを青色光ビームLb2と呼ぶ。
【0110】
1/4波長板56は、青色光ビームLb1を直線偏光から円偏光に変換して可動ミラー57へ照射し、また当該可動ミラー57により反射され青色光ビームLb1を円偏光から直線偏光に変換し、再度偏光ビームスプリッタ55の面55Bへ入射させる。
【0111】
このとき青色光ビームLb1は、例えば1/4波長板56によりp偏光から左円偏光に変換され、可動ミラー57により反射された際に左円偏光から右円偏光に変換された後、再度1/4波長板56により右円偏光からs偏光に変換される。すなわち青色光ビームLb1は、面55Bから出射されたときと可動ミラー57により反射された後に当該面55Bに入射されるときとで、互いの偏光方向が異なることになる。
【0112】
偏光ビームスプリッタ55は、面55Bから入射された青色光ビームLb1の偏光方向(s偏光)に応じて、反射透過面55Sにより当該青色光ビームLb1をそのまま透過させ、面55Cから偏光ビームスプリッタ58へ入射させるようになされている。
【0113】
この結果、案内面情報光学系50は、偏光ビームスプリッタ55、1/4波長板56及び可動ミラー57により、青色光ビームLb1の光路長を引き延ばすことになる。
【0114】
偏光ビームスプリッタ58の反射透過面55Sは、例えばp偏光の光ビームを約100%の割合で反射し、s偏光の光ビームを約100%の割合で透過するようになされている。実際上、偏光ビームスプリッタ58は、反射透過面58Sにおいて青色光ビームLb1をそのまま透過させ、1/4波長板59により直線偏光(s偏光)から円偏光(右円偏光)に変換させた上で、リレーレンズ60へ入射させる。
【0115】
リレーレンズ60は、可動レンズ61により青色光ビームLb1を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLb1を固定レンズ62により再度収束光に変換し、ダイクロックプリズム37へ入射させる。
【0116】
ここで可動レンズ61は、アクチュエータ61Aにより青色光ビームLb1の光軸方向に移動されるようになされている。実際上、リレーレンズ60は、制御部21(図5)の制御に基づきアクチュエータ61Aによって可動レンズ61を移動させることにより、固定レンズ62から出射される青色光ビームLb1の収束状態を変化させ得るようになされている。
【0117】
ダイクロックプリズム37は、青色光ビームLb1の波長に応じて、反射透過面37Sにより当該青色光ビームLb1を反射し、これを第1対物レンズ38へ入射させる。因みに青色光ビームLb1は、反射透過面37Sにおいて反射されるときに円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。
【0118】
第1対物レンズ38は、青色光ビームLb1を集光し、光ディスク100の案内面100Aへ照射する。因みに第1対物レンズ38は、青色光ビームLb1に関しては、リレーレンズ60との光学的な距離等の関係により、開口数(NA)が0.5の集光レンズとして作用することになる。
【0119】
このとき青色光ビームLb1は、図4(B)に示したように、基板102及び反射透過膜104を透過し、記録層101内に合焦する。ここで当該青色光ビームLb1の焦点Fb1の位置は、リレーレンズ60の固定レンズ62から出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち焦点Fb1は、可動レンズ61の位置に応じて記録層101内の案内面100A側又は記録光照射面100B側へ移動することになる。
【0120】
実際上、案内面情報光学系50は、制御部21(図5)により可動レンズ61の位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLb1の焦点Fb1(図4(B))の深さd1(すなわち反射透過膜104からの距離)を調整するようになされている。なお、この青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する調整方法については、後述する。
【0121】
青色光ビームLb1は、焦点Fb1に収束した後に発散光となり、記録層101及び基板103を透過し、記録光照射面100Bから出射されて、第2対物レンズ79へ入射される(詳しくは後述する)。
【0122】
このように案内面情報光学系50は、青色光ビームLb1を光ディスク100の案内面100A側から照射して記録層101内に当該青色光ビームLb1の焦点Fb1を位置させ、さらにリレーレンズ60における可動レンズ61の位置に応じて、当該焦点Fb1の深さd1を調整するようになされている。
【0123】
(3−2−2)青色光ビームの受光
ところで光ディスク100は、記録光照射面光学系70の第2対物レンズ79から記録光照射面100Bへ照射される青色光ビームLb2を透過し、案内面100Aから発散光として出射するようになされている(詳しくは後述する)。因みに青色光ビームLb2は、円偏光(例えば右円偏光)となるようになされている。
【0124】
このとき案内面情報光学系50では、図11に示すように、青色光ビームLb2が第1対物レンズ38によりある程度収束された後、ダイクロックプリズム37により反射され、リレーレンズ60へ入射される。因みに青色光ビームLb2は、反射透過面37Sにおいて反射される際、円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。
【0125】
続いて青色光ビームLb2は、リレーレンズ60の固定レンズ62及び可動レンズ61によって平行光に変換され、さらに1/4波長板59により円偏光(左円偏光)から直線偏光(p偏光)に変換された上で、偏光ビームスプリッタ58へ入射される。
【0126】
偏光ビームスプリッタ58は、青色光ビームLb2の偏光方向に応じて当該青色光ビームLb2を反射し、集光レンズ63へ入射させる。集光レンズ63は、青色光ビームLb2を集光し、非点収差を発生させるシリンドリカルレンズ64を介してフォトディテクタ65へ照射させる。
【0127】
因みに、案内面情報光学系50内の各光学部品は、青色光ビームLb2がフォトディテクタ65に合焦するよう配置されている。
【0128】
フォトディテクタ65は、青色光ビームLb2の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて再生検出信号SDpを生成し、これを信号処理部23(図5)へ供給する。
【0129】
但し、このとき当該フォトディテクタ65において青色光ビームLb2の光量に応じて生成される再生検出信号SDpには、特に用途がない。このため信号処理部23(図5)は、当該再生検出信号SDpが供給されるものの、特に信号処理を行わないようになされている。
【0130】
一方、光ディスク100は、記録層101に記録マークRMが記録されていた場合、上述したように、青色光ビームLb1の焦点Fb1が当該記録マークRMに合焦されると、ホログラムとしての性質により、当該記録マークRMから青色再生光ビームLb3を発生することになる。
【0131】
この青色再生光ビームLb3は、ホログラムの原理上、当該記録マークRMが記録された際に青色光ビームLb1の他に照射されていた光ビーム、すなわち青色光ビームLb2を再現したものとなる。従って青色再生光ビームLb3は、案内面情報光学系50内において青色光ビームLb2と同様の光路を経ることにより、最終的にフォトディテクタ65へ照射される。
【0132】
ここで案内面情報光学系50内の各光学部品は、上述したように、青色光ビームLb2がフォトディテクタ65に合焦するよう配置されている。このため青色再生光ビームLb3は、当該青色光ビームLb2と同様に当該フォトディテクタ65に合焦する。
【0133】
フォトディテクタ65は、青色光ビームLb3の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて再生検出信号SDpを生成し、これを信号処理部23(図5)へ供給する。
【0134】
この場合、再生検出信号SDpは、光ディスク100に記録されている情報を表すものとなる。このため信号処理部23は、再生検出信号SDpに対して所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報を制御部21へ供給するようになされている。
【0135】
このように案内面情報光学系50は、光ディスク100の案内面100Aから第1対物レンズ38へ入射される青色光ビームLb2又は青色再生光ビームLb3を受光し、その受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。
【0136】
(3−3)記録光照射面光学系の構成
記録光照射面光学系70(図7)は、光ディスク100の記録光照射面100Bに対して青色光ビームLb2を照射するようになされており、また案内面情報光学系50から照射され光ディスク100を透過した青色光ビームLb1を受光するようになされている。
【0137】
(3−3−1)青色光ビームの照射
図11において案内面情報光学系50の偏光ビームスプリッタ55は、上述したように、反射透過面55Sにおいてp偏光でなる青色光ビームLb0を約50%の割合で透過し、これを青色光ビームLb2として面55Dからシャッタ71へ入射させる。
【0138】
シャッタ71は、制御部21(図5)の制御に基づいて青色光ビームLb2を遮断又は透過するようになされており、当該青色光ビームLb2を透過した場合、偏光ビームスプリッタ72へ入射させる。
【0139】
因みにシャッタ71としては、例えば青色光ビームLb2を遮断する遮断板を機械的に動かすことにより青色光ビームLb2を遮断又は透過する機械式シャッタや、液晶パネルに印加する電圧を変化することにより当該青色光ビームLb2を遮断又は透過する液晶シャッタ等を用いることができる。
【0140】
偏光ビームスプリッタ72の反射透過面72Sは、例えばp偏光の光ビームを約100%の割合で透過し、s偏光の光ビームを約100%の割合で反射するようになされている。実際上、偏光ビームスプリッタ72は、p偏光でなる青色光ビームLb2をそのまま透過させ、ミラー73により反射させた後、1/4波長板74により直線偏光(p偏光)から円偏光(左円偏光)に変換させた上で、リレーレンズ75へ入射させる。
【0141】
リレーレンズ75は、リレーレンズ60と同様に構成されており、可動レンズ61、アクチュエータ61A及び固定レンズ62とそれぞれ対応する可動レンズ76、アクチュエータ76A及び固定レンズ77を有している。
【0142】
リレーレンズ75は、可動レンズ76により青色光ビームLb2を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLb2を固定レンズ77により再度収束光に変換し、ガルバノミラー78へ入射させる。
【0143】
またリレーレンズ75は、リレーレンズ60と同様、制御部21(図5)の制御に基づきアクチュエータ76Aによって可動レンズ76を移動させることにより、固定レンズ77から出射される青色光ビームLb2の収束状態を変化させ得るようになされている。
【0144】
ガルバノミラー78は、青色光ビームLb2を反射し、第2対物レンズ79へ入射させる。因みに青色光ビームLb2は、反射されるときに円偏光における偏光方向が反転され、例えば左円偏光から右円偏光に変換される。
【0145】
またガルバノミラー78は、反射面78Aの角度を変化し得るようになされており、制御部21(図5)の制御に従い反射面78Aの角度を調整することにより、青色光ビームLb2の進行方向を調整し得るようになされている。
【0146】
第2対物レンズ79は、2軸アクチュエータ79Aと一体に構成されており、当該2軸アクチュエータ79Aにより、第1対物レンズ38と同様、光ディスク100への近接方向又は離隔方向であるフォーカス方向と、光ディスク100の内周側方向又は外周側方向であるトラッキング方向との2軸方向へ駆動され得るようになされている。
【0147】
この第2対物レンズ79は、青色光ビームLb2を集光し、光ディスク100の記録光照射面100Bへ照射する。なお、第2対物レンズ79の構成については後述する。
【0148】
このとき青色光ビームLb2は、図4(B)に示したように、基板103を透過して記録層101内に合焦する。ここで当該青色光ビームLb2の焦点Fb2の位置は、リレーレンズ75の固定レンズ77から出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち当該焦点Fb2は、青色光ビームLb1の焦点Fb1と同様、可動レンズ76の位置に応じて記録層101内の案内面100A側又は記録光照射面100B側へ移動することになる。
【0149】
具体的に記録光照射面光学系70は、案内面情報光学系50と同様、可動レンズ76の移動距離と青色光ビームLb2の焦点Fb2の移動距離とがほぼ比例関係となるように設計されており、例えば可動レンズ76を1[mm]移動させると、青色光ビームLb2の焦点Fb2が30[μm]移動するようになされている。
【0150】
実際上、記録光照射面光学系70は、制御部21(図5)によってリレーレンズ60における可動レンズ61の位置と共にリレーレンズ75における可動レンズ76の位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLb2の焦点Fb2(図4(B))の深さd2を調整するようになされている。
【0151】
このとき光ディスク装置20では、制御部21(図5)により、光ディスク100に面ブレ等が発生していないと仮定したときの(すなわち理想的な状態の)記録層101内における、第1対物レンズ38が基準位置にあるときの青色光ビームLb1の焦点Fb1に対して、第2対物レンズ79が基準位置にあるときの青色光ビームLb2の焦点Fb2を合わせるようになされている。
【0152】
青色光ビームLb2は、焦点Fb2において合焦した後、発散しながら記録層101、反射透過膜104及び基板102を透過し、案内面100Aから出射されて、第1対物レンズ38へ入射されるようになされている。
【0153】
このように記録光照射面光学系70は、青色光ビームLb2を光ディスク100の記録光照射面100B側から照射して記録層101内に当該青色光ビームLb2の焦点Fb2を位置させ、さらにリレーレンズ75における可動レンズ76の位置に応じて、当該焦点Fb2の深さd2を調整するようになされている。
【0154】
(3−3−2)青色光ビームの受光
ところで、案内面情報光学系50(図10)の第1対物レンズ38から照射された青色光ビームLb1は、上述したように、光ディスク100の記録層101内において一度収束した後、発散光となり第2対物レンズ79へ入射される。
【0155】
このとき記録光照射面光学系70では、青色光ビームLb1が第2対物レンズ79によりある程度収束された後、ガルバノミラー78により反射されて、リレーレンズ75へ入射される。因みに青色光ビームLb1は、反射面78Sにおいて反射される際、円偏光における偏光方向が反転され、例えば左円偏光から右円偏光に変換される。
【0156】
続いて青色光ビームLb1は、リレーレンズ75の固定レンズ62及び可動レンズ61によって平行光に変換され、さらに1/4波長板74により円偏光(右円偏光)から直線偏光(s偏光)に変換された後、ミラー73により反射されてから、偏光ビームスプリッタ72へ入射される。
【0157】
偏光ビームスプリッタ72は、青色光ビームLb1の偏光方向に応じて当該青色光ビームLb1を反射し、集光レンズ80へ入射させる。集光レンズ80は、青色光ビームLb1を収束させ、シリンドリカルレンズ81により非点収差を持たせた上で当該青色光ビームLb1をフォトディテクタ82へ照射する。
【0158】
しかしながら光ディスク100は、実際には面ブレ等を生じる可能性がある。このため第1対物レンズ38は、上述したように、案内面位置制御光学系30及び駆動制御部22(図5)等によりフォーカス制御及びトラッキング制御されるようになされている。
【0159】
このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、第1対物レンズ38の移動に伴って移動することになるため、第2対物レンズ79が基準位置にあるときの青色光ビームLb2における焦点Fb2の位置からずれることになる。
【0160】
そこで記録光照射面光学系70では、記録層101内における青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のずれ量が、集光レンズ80により青色光ビームLb1が集光されフォトディテクタ82へ照射されるときの照射状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置が調整されている。
【0161】
フォトディテクタ82は、図12に示すように、フォトディテクタ43と同様、青色光ビームLb1が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域82A、82B、82C及び82Dを有している。因みに矢印a2により示される方向(図中の横方向)は、青色光ビームLb1が照射されるときの、反射透過膜104(図4)におけるトラックの走行方向に対応している。
【0162】
フォトディテクタ82は、検出領域82A、82B、82C及び82Dにより青色光ビームLb1の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SDAb、SDBb、SDCb及びSDDbをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図5)へ送出する。
【0163】
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(5)式に従ってフォーカスエラー信号SFEbを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
【0164】
【数5】

【0165】
このフォーカスエラー信号SFEbは、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とのフォーカス方向に関するずれ量を表すことになる。
【0166】
また信号処理部23は、プッシュプル信号を用いたトラッキング制御を行うようになされており、次に示す(6)式に従ってトラッキングエラー信号STEbを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
【0167】
【数6】

【0168】
このトラッキングエラー信号STEbは、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とのトラッキング方向に関するずれ量を表すことになる。
【0169】
さらに信号処理部23は、タンジェンシャル制御に必要なタンジェンシャルエラー信号も生成するようになされている。このタンジェンシャル制御とは、タンジェンシャル方向(すなわちトラックの接線方向)に関して青色光ビームLb2の焦点Fb2を目標位置へ移動させる制御である。
【0170】
具体的に信号処理部23は、プッシュプル信号を用いたタンジェンシャル制御を行うようになされており、次に示す(7)式に従ってタンジェンシャルエラー信号SNEbを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
【0171】
【数7】

【0172】
このタンジェンシャルエラー信号SNEbは、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とのタンジェンシャル方向に関するずれ量を表すことになる。
【0173】
これに応じて駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFEbを基にフォーカス駆動信号SFDbを生成し、当該フォーカス駆動信号SFDbを2軸アクチュエータ79Aへ供給することにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のフォーカス方向に関するずれ量を減少させるよう、第2対物レンズ79をフォーカス制御するようになされている。
【0174】
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STEbを基にトラッキング駆動信号STDbを生成し、当該トラッキング駆動信号STDbを2軸アクチュエータ79Aへ供給することにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のトラッキング方向に関するずれ量を減少させるよう、第2対物レンズ79をトラッキング制御するようになされている。
【0175】
さらに駆動制御部22は、タンジェンシャルエラー信号SNEbを基にタンジェンシャル駆動信号SNDbを生成し、当該タンジェンシャル駆動信号SNDbをガルバノミラー78へ供給することにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のタンジェンシャル方向に関するずれ量を減少させるよう、ガルバノミラー78における反射面78Aの角度を調整する、タンジェンシャル制御を行うようになされている。
【0176】
このように記録光照射面光学系70は、光ディスク100の記録光照射面100Bから第2対物レンズ79へ入射される青色光ビームLb1を受光し、その受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、青色光ビームLb2の焦点Fb2を青色光ビームLb1の焦点Fb1に合わせるよう、第2対物レンズ79のフォーカス制御及びトラッキング制御、並びにガルバノミラー78によるタンジェンシャル制御を行うようになされている。
【0177】
(3−4)光路長の調整
ところで光ディスク装置20の光ピックアップ26は、情報を記録する際、上述したように、偏光ビームスプリッタ55(図10)により、青色光ビームLb0から青色光ビームLb1及びLb2を分離し、光ディスク100の記録層101内で当該青色光ビームLb1及びLb2を互いに干渉させることにより、当該記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMを記録させるようになされている。
【0178】
この青色光ビームLb0を出射するレーザダイオード51は、一般的なホログラムの形成条件に従い、光ディスク100の記録層101にホログラムとしての記録マークRMが正しく記録されるために、当該青色光ビームLb0のコヒーレント長をホログラムサイズ(すなわち記録マークRMの高さRMh)以上とする必要がある。
【0179】
実際上レーザダイオード51では、一般的なレーザダイオードと同様、このコヒーレント長が、当該レーザダイオード51内に設けられた共振器(図示せず)の長さに当該共振器の屈折率を乗じた値にほぼ相当するため、およそ100[μm]から1[mm]程度であると考えられる。
【0180】
一方、光ピックアップ26では、青色光ビームLb1が案内面情報光学系50(図10)内の光路を通り、光ディスク100の案内面100A側から照射されると共に、青色光ビームLb2が記録光照射面光学系70(図11)内の光路を通り、光ディスク100の記録光照射面100B側から照射される。すなわち光ピックアップ26では、青色光ビームLb1及びLb2の光路が互いに異なっているため、その光路長(すなわちレーザダイオード51から目標マーク位置までの光路の長さ)に差が生じることになる。
【0181】
さらに光ピックアップ26では、上述したように、リレーレンズ60及び75における可動レンズ61及び76の位置を調整することにより、光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置の深さ(目標深さ)を変更するようになされている。このとき光ピックアップ26は、目標マーク位置の深さを変更することにより、結果的に青色光ビームLb1及びLb2の光路長をそれぞれ変化させることになる。
【0182】
しかしながら、光ピックアップ26において干渉パターンが形成されるには、一般的なホログラムの形成条件により、当該青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差がコヒーレント長(すなわちおよそ100[μm]から1[mm])以下となる必要がある。
【0183】
そこで制御部21(図5)は、可動ミラー57の位置を制御することにより、青色光ビームLb1の光路長を調整するようになされている。この場合、制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置と目標マーク位置の深さとの関係を利用し、当該可動レンズ61の位置に応じて可動ミラー57を移動させることにより、当該青色光ビームLb1の光路長を変化させるようになされている。
【0184】
この結果、光ピックアップ26では、青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑えることができ、記録層101内の目標マーク位置に良好なホログラムでなる記録マークRMを記録することができる。
【0185】
このように光ディスク装置20の制御部21は、可動ミラー57の位置を制御することにより、光ピックアップ26内の青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑え、この結果として光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置に良好な記録マークRMを記録し得るようになされている。
【0186】
(4)情報の記録及び再生
(4−1)光ディスクに対する情報の記録
光ディスク100に情報を記録する場合、光ディスク装置20の制御部21(図5)は、上述したように、外部機器(図示せず)等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給すると共に、記録情報を信号処理部23へ供給する。
【0187】
このとき駆動制御部22は、光ピックアップ26の案内面位置制御光学系30(図8)により赤色光ビームLr1を光ディスク100の案内面100A側から照射させ、その反射光である赤色反射光ビームLr2の検出結果を基に、第1対物レンズ38のフォーカス制御及びトラッキング制御(すなわち位置制御)を行うことにより、赤色光ビームLr1の焦点Frを記録アドレス情報に対応した目標トラックに追従させる。
【0188】
また制御部21は、案内面情報光学系50(図10)により青色光ビームLb1を光ディスク100の案内面100A側から照射させる。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、位置制御された第1対物レンズ38によって集光されることにより、目標トラックの裏側に位置することになる。
【0189】
さらに制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置を調整することにより、当該焦点Fb1(図4(B))の深さd1を目標深さに調整する。この結果、青色光ビームLb1の焦点Fb1は、目標マーク位置に合わされる。
【0190】
一方、制御部21は、記録光照射面光学系70(図11)のシャッタ71を制御して
青色光ビームLb2を透過させ、当該青色光ビームLb2を光ディスク100の記録光照射面100B側から照射させる。
【0191】
また制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置に合わせてリレーレンズ75における可動レンズ76の位置を調整することにより、青色光ビームLb2(図4(B))の深さd2を調整する。これにより青色光ビームLb2は、焦点Fb2の深さd2が、光ディスク100に面ブレが生じていないと仮定した場合の青色光ビームLb1における焦点Fb1の深さd1に合わされる。
【0192】
さらに制御部21は、第1対物レンズ38及び第2対物レンズ79を介した青色光ビームLb1を記録光照射面光学系70により検出させ、その検出結果を基に、駆動制御部22により第2対物レンズ79のフォーカス制御及びトラッキング制御(すなわち位置制御)、並びにガルバノミラー78のタンジェンシャル制御を行わせる。
【0193】
この結果、青色光ビームLb2の焦点Fb2は、青色光ビームLb1における焦点Fb1の位置、すなわち目標マーク位置に合わされる。
【0194】
そのうえ制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置に応じて可動ミラー57の位置を調整し、青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑える。
【0195】
かくして光ディスク装置20の制御部21は、光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に対して、良好な記録マークRMを形成させることができる。
【0196】
ところで信号処理部23(図5)は、外部機器(図示せず)等から供給される記録情報を基に、例えば値「0」又は「1」のバイナリデータを表す記録信号を生成する。これに応じてレーザダイオード51は、例えば記録信号が値「1」である時に青色光ビームLb0を出射し、記録信号が値「0」である時に青色光ビームLb0を出射しないようになされている。
【0197】
これにより光ディスク装置20では、記録信号が値「1」のときには光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMを形成し、当該記録信号が値「0」のときには当該目標マーク位置に当該記録マークRMを形成しないことになるため、当該記録マークRMの有無により当該目標マーク位置に記録信号の値「1」又は「0」を記録することができ、結果的に記録情報を光ディスク100の記録層101に記録することができる。
【0198】
(4−2)光ディスクからの情報の再生
光ディスク100から情報を再生する場合、光ディスク装置20の制御部21(図5)は、光ピックアップ26の案内面位置制御光学系30(図8)により赤色光ビームLr1を光ディスク100の案内面100A側から照射させ、その反射光である赤色反射光ビームLr2の検出結果を基に、駆動制御部22により第1対物レンズ38のフォーカス制御及びトラッキング制御(すなわち位置制御)を行わせる。
【0199】
また制御部21は、案内面情報光学系50(図10)により青色光ビームLb1を光ディスク100の案内面100A側から照射させる。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、位置制御された第1対物レンズ38によって集光されることにより、目標トラックの裏側に位置することになる。
【0200】
因みに制御部21は、再生時におけるレーザダイオード51の出射パワーを抑えることにより、青色光ビームLb1による記録マークRMの誤消去を防止するようになされている。
【0201】
さらに制御部21は、リレーレンズ60における可動レンズ61の位置を調整することにより、当該焦点Fb1(図4(B))の深さd1を目標深さに調整する。この結果、青色光ビームLb1の焦点Fb1は、目標マーク位置に合わされる。
【0202】
一方、制御部21は、記録光照射面光学系70(図11)のシャッタ71を制御し、青色光ビームLb2を遮断することにより、当該青色光ビームLb2を光ディスク100には照射させない。
【0203】
すなわち光ピックアップ26は、光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置に記録されている記録マークRMに対して、いわゆる参照光としての青色光ビームLb1のみを照射する。これに応じて当該記録マークRMは、ホログラムとして作用し、いわゆる再生光としての青色再生光ビームLb3を案内面101A側へ発生させる。このとき案内面情報光学系50は、この青色再生光ビームLb3を検出し、その検出結果に応じた検出信号を生成する。
【0204】
かくして光ディスク装置20の制御部21は、光ディスク100の記録層101内における目標マーク位置に記録されている記録マークRMから青色再生光ビームLb3を発生させ、これを受光することにより、記録マークRMが記録されていることを検出することができる。
【0205】
ここで光ディスク装置20は、目標マーク位置に記録マークRMが記録されていなかった場合、当該目標マーク位置からは青色再生光ビームLb3が発生しないため、案内面情報光学系50により、当該青色再生光ビームLb3を受光しなかったことを示す検出信号を生成することになる。
【0206】
これに応じて信号処理部22は、検出信号を基に、青色再生光ビームLb3が検出されたか否かを値「1」又は「0」として認識し、この認識結果を基に再生情報を生成する。
【0207】
これにより光ディスク装置20では、光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMが形成されているときには青色再生光ビームLb3を受光し、当該目標マーク位置に当該記録マークRMが形成されていないときには青色再生光ビームLb3を受光しないことにより、目標マーク位置に値「1」又は「0」のいずれが記録されているかを認識することができ、結果的に光ディスク100の記録層101に記録された情報を再生することができる。
【0208】
(5)トラッキング制御の軽減
上述したように、記録マークRMは青色光ビームLb1の焦点Fb1近傍(以下、これを焦点近傍領域Af1と呼ぶ)及び青色光ビームLb2の焦点Fb2近傍(以下、これを焦点近傍領域Af2と呼ぶ)が重なる近傍重複部分にのみ形成される。
【0209】
ここで図13(A)に示すように、焦点Fb(Fb1、Fb2)とは、当該青色光ビームLb1及びLb2に回折現象がないと過程した場合に、第1対物レンズ38及び第2対物レンズ79によって集光される青色光ビームLb1及びLb2の光軸Lx上に形成される結像点をいう。
【0210】
また青色光ビームLb1及びLb2の光軸Lxと、当該青色光ビームLb1及びLb2の輪郭(最外周部分)Lo(Lo1及びLo2)とのなす角度を集光角α(第1集光角α1及び第2集光角α2)と呼ぶ。
【0211】
実際には図13(B)に示すように、回折現象により青色光ビームLb1及びLb2はその焦点Fb1及びFb2において点にならず、当該青色光ビームLb1及びLb2の光束径が最も小さくなるビームウエストBWと光軸Lxとの交点が青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2となる。
【0212】
図14に示すように光ディスク装置20では、焦点Fb2における青色光ビームLb2の光束径(以下、これをビームウエスト径S2と呼ぶ)を焦点Fb1における青色光ビームLb1の光束径(以下、これをビームウエスト径S1と呼ぶ)よりも大きくすることにより、焦点近傍領域Af1と焦点近傍領域Af2とを確実に重ねるようにする。
【0213】
すなわち光ディスク装置20では、第1対物レンズ38の開口数NAを約0.5に選定しているのに対し、第2対物レンズ79の開口数NAを当該第1対物レンズ38の1/2である約0.25に選定することにより、第2対物レンズ79によって集光された青色光ビームLb2の第2集光角α2を、第1対物レンズ38によって集光された青色光ビームLb1の第1集光角α1よりも小さくしている。なお、第2対物レンズ79の屈折率nは、第1対物レンズ38と同一の1.5である。
【0214】
この結果光ディスク装置20では、(2)式に従って算出される青色光ビームLb1のビームウエスト径S1を約1[μm]とすることができるのに対し、青色光ビームLb2のビームウエスト径S2を約2[μm]と、ビームウエスト径S1の約2倍にすることができる。
【0215】
この場合、ビームウエスト径S2よりもビームウエスト径S1が小さいため、光束径方向において青色光ビームLb1の存在する焦点近傍領域Af1のみが近傍重複部分となり、当該焦点近傍領域Af1にのみ記録マークRMが形成される。
【0216】
これにより光ディスク装置20は、青色光ビームLb1のビームウエスト径S1を基準としたサイズの記録マークRMを記録層101に形成することができるため、ビームウエスト径S1でなる2つの光ビームを重ねて記録マークを形成する場合と同一サイズの記録マークRMを形成でき、光ディスク100における記録密度を低下させずに済む。
【0217】
またビームウエスト径S2がビームウエスト径S1よりも大きいため、例えば図15に示すように、青色光ビームLb1と青色光ビームLb2の光軸Lx(Lx1及びLx2)がずれたような場合であっても、焦点近傍領域Af2における青色光ビームLb2の輪郭部分Lo2が青色光ビームLb1の輪郭部分Lo1から外れない範囲に入ってさえいれば、焦点近傍領域Af1を近傍重複部分とすることができ、ビームウエスト径S1でなる記録マークRMを確実に形成することができる。
【0218】
ここで図16に示すように、青色光ビームLb1及びLb2は、その焦点近傍領域Af1及びAf2ではその波面がほぼ平面であるが、焦点Fb1及びFb2から遠ざかるに従って波面が曲面となる。近傍重複部分に形成されるホログラムにはこの波面が反映されるため、波面が平面の場合には平面でなる縞が記録マークRMとして記録される一方、波面が曲面の場合には曲面でなる縞が記録マークRMとして記録されることになる。なお実際には青色光ビームLb1及びLb2とで光束径が異なるが、説明の便宜上、図では同一の光束径として示している。
【0219】
光ディスク装置20は、リレーレンズ60及び75によって青色光ビームLb1及びLb2の収束状態を調整し、焦点Fb1及びFb2を共に目標深さに合わせることにより、青色光ビームLb1及びLb2における焦点近傍領域Af1及びAf2を重複させることができ、記録層101に平面な縞状でなる記録マークRMを形成することができる。
【0220】
これにより光ディスク装置20は、再生処理の際、記録マークRMに青色光ビームLb1を乱反射させることなく、良好な青色再生光ビームLb3を発生させ得るようになされている。
【0221】
ところで光ディスク装置20は、上述したように反射膜104に形成されたグルーブを基準とした目標トラックに青色光ビームLb1を照射するよう第1対物レンズ38を駆動するのに対し、この青色光ビームLb1の光軸Lx1に青色光ビームLb2の光軸Lx2を追従させるよう第2対物レンズ79を駆動することによりトラッキング制御を実行し、青色光ビームLb1及びLb2を目標トラックにそれぞれ照射する。
【0222】
仮にビームウエスト径S1及びS2が同一径であれば、直径がビームウエスト径S1でなる記録マークRMを形成するには、光軸Lx1及びLx2を高精度に一致させる必要があった。
【0223】
これに対して光ディスク装置20は、第2対物レンズ79の駆動によって青色光ビームLb2が青色光ビームLb1の移動に追従しきれないような場合であっても、ビームウエスト径S2が大きいため、青色光ビームLb2の輪郭部分Lo2が青色光ビームLb1の輪郭部分Lo1からはみ出さない範囲に入ってさえいれば、焦点近傍領域Af1と焦点近傍領域Af2を重複させることができ、第1対物レンズ38の駆動により記録マークRMを常に目標マーク位置に形成できると共に、ビームウエスト径S1でなる記録マークRMを記録層101に確実に形成し得るようになされている。
【0224】
またビームウエスト径S1がビームウエスト径S2の1/2でなることから、焦点近傍領域Af1における光束面積は焦点近傍領域Af2の1/2、すなわち約1/4となる。
【0225】
光ディスク装置20では、第1対物レンズ38に入射するときの青色光ビームLb1の光強度(以下、これを第1対物レンズ入射強度PW1と呼ぶ)を第2対物レンズ79に入射するときの青色光ビームLb2の光強度(以下、これを第2対物レンズ入射強度PW2と呼ぶ)の約1/4に調整することにより、焦点近傍領域Af1及びAf2における青色光ビームLb1及びLb2の単位面積あたりの光強度(すなわち光強度密度)を同程度に調整しているため、干渉特性を向上させ、鮮明なホログラムでなる記録マークRMを形成することができる。
【0226】
具体的に、光ディスク装置20は、1/2波長板53によるp偏光及びs偏光の割合の調整と、ビームスプリッタ55によるp偏光及びs偏光の分離により、青色光ビームLb0の約25%を青色光ビームLb1として案内面情報光学系50の1/4波長板56へ入射すると共に、残りの約75%を青色光ビームLb2として記録光照射面光学系70へ入射する。
【0227】
また光ディスク装置20は、記録光照射面光学系70において、s偏光として分離した青色光ビームLb2の光強度を殆ど低下させることなく第2対物レンズ79へ入射する。
【0228】
この結果光ディスク装置20は、第1対物レンズ入射強度PW1を第2対物レンズ入射強度PW2の約1/4にすることができ、焦点近傍領域Af1及びAf2における光強度密度を同程度にすることができる。
【0229】
さらに光ディスク装置20は、光ディスク100に対する再生処理の際、当該光ディスク100に対し、第1対物レンズ38(図12)を介して青色光ビームLb1を照射し、青色光ビームLb1が光ディスク100によって反射されてなる青色再生光ビームLb3をフォトディテクタ65によって受光する。
【0230】
このとき光ディスク装置20は、第2対物レンズ79を介して青色光ビームLb2を照射する場合と比較して、ビームウエスト径S2よりもビームウエスト径S1が小さいため、目標マーク位置に隣接する記録マークRMによって青色光ビームLb1が反射される、いわゆるクロストークを低減することができ、記録マークRM同士の間隔を小さくして記録密度を向上させることができる。
【0231】
このように光ディスク装置20は、ビームウエスト径S2を青色光ビームLb1のビームウエスト径S1より大きくすることにより、青色光ビームLb1の光軸Lx1に青色光ビームLb2の光軸Lx2を完全に一致させなくても確実に記録マークRMを形成できるため、青色光ビームLb1の光軸Lx1に青色光ビームLb2の光軸Lx2を一致させるトラッキング制御の負荷を軽減することができる。
【0232】
(6)動作及び効果
以上の構成において、本発明の光ディスク装置20は、光源であるレーザダイオード51から出射された光である青色光ビームLb0を第1の光である青色光ビームLb1及び第2の光である青色光ビームLb2に分離すると共に、光情報記録媒体である光ディスク100の両面側から青色光ビームLb1及びLb2をそれぞれ照射し、光ディスク100の内部で当該青色光ビームLb1及びLb2を重複させることによりホログラムでなる記録マークRMを形成する。
【0233】
このとき光ディスク装置20は、青色光ビームLb1を集光して光ディスク100に照射し、光ディスク100に対して近接又は離隔する深さ方向における記録マークRMを形成すべき目標深さ、及び光ディスク100の両面に平行な平行方向であるトラッキング方向における記録マークRMを形成すべきに目標トラックに、青色光ビームLb1の焦点Fb1が位置するように焦点Fb1を移動させ、光ディスク100に照射されるときの青色光ビームLb1の光軸Lx1と輪郭Lo1とのなす第1集光角α1よりも、光ディスク100に照射されるときの青色光ビームLb2の光軸Lx2と輪郭Lo2とのなす第2集光角α2を小さくすることにより、焦点Fb1における光束径であるビームウエスト径S1よりも焦点Fb2における光束径であるビームウエスト径S2が大きくなるように青色光ビームLb2を集光して光ディスク100に照射し、焦点Fb2を目標深さに合わせると共に青色光ビームLb2を目標トラックに照射するよう焦点Fb2を移動させるようにした。
【0234】
これにより光ディスク装置20は、青色光ビームLb2が目標マーク位置に照射されてさえいれば焦点Fb1に応じた記録マークRMを目標マーク位置に形成することができるため、焦点Fb2を正確に目標トラックに位置させなくても済み、青色光ビームLb2のサーボ制御にかかる負荷を軽減することができる。
【0235】
また光ディスク装置20は、青色光ビームLb2の光軸Lx2が青色光ビームLb1の光軸Lx1に追従するよう第2対物レンズ79を駆動する2軸アクチュエータ79Aを制御することにより、青色光ビームLb2を目標トラックに照射するようにした。
【0236】
これにより光ディスク装置20は、仮に青色光ビームLb2の光軸Lx2を青色光ビームLb1の光軸Lx1に一致させるよう高精度で追従させた場合に、青色光ビームLb1の動きに追従するため、青色光ビームLb1と比してサーボ制御の負荷が大きくなるが、光軸Lx1と光軸Lx2とを完全に一致させる必要がないため、青色光ビームLb2に対するサーボ制御を軽減することができる。
【0237】
さらに光ディスク装置20では、焦点Fb2における青色光ビームLb2の光強度密度と、焦点Fb1における青色光ビームLb1の光強度密度とを同等に揃えることより、青色光ビームLb1及びLb2の干渉性を向上させることができ、良好な再生特性を有する記録マークRMを形成することができる。
【0238】
以上の構成によれば、青色光ビームLb1のビームウエスト径S1よりも青色光ビームLb2のビームウエスト径S2を大きくすると共に、青色光ビームLb1の焦点Fb1を目標マーク位置に位置させる一方、青色光ビームLb2の焦点Fb2を目標マーク位置の近傍に位置させて当該青色光ビームLb2を目標マーク位置に照射することにより、第1の光の焦点と第2の光の焦点とが多少ずれた場合であっても、第1の光に応じた大きさの記録マークを目標位置に形成することができるため、ビームウエスト径S1でなる記録マークRMを目標マーク位置に形成しつつ、青色光ビームLb2に対するサーボ制御を軽減することができ、かくしてサーボ制御の負荷を軽減し得る光情報記録装置、光ピックアップ、光情報記録方法及び光情報記録媒体を実現できる。
【0239】
(7)他の実施の形態
なお上述した実施の形態においては、青色光ビームLb1の光軸Lx1と青色光ビームLb2の光軸Lx2が一致するように第2対物レンズ79をトラッキング方向に駆動するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば第2対物レンズ79をトラッキングエラー信号STEbに基づいて第1対物レンズ38と同様に駆動するようにしても良い。
【0240】
このとき、光ディスク100にスキュー(傾き)や反りなどが生じている場合には、青色光ビームLb2の焦点Fb2が目標マーク位置から僅かに変位することになるが、焦点Fb2が目標マーク位置の近傍に位置するように青色光ビームLb2が照射されており、焦点近傍領域Af1及びAf2が重複すれば良い。
【0241】
すなわち、光ディスク装置20は、ビームウエスト径S1が小さい青色光ビームLb1の焦点Fb1を目標マーク位置に正確に位置するように照射さえすれば、当該青色光ビームLb1に応じて目標マーク位置に正確に記録マークRMを形成することができる。
【0242】
これにより、青色光ビームLb2の光軸Lx2を青色光ビームLb1の光軸Lx1に一致させるための光学部品(偏光ビームスプリッタ72、マルチレンズ80、シリンドリカルレンズ81及びフォトディテクタ82)が不要になり、光ピックアップの構成を簡易にすることができる。
【0243】
また上述した実施の形態においては、第2対物レンズ79の開口数NAを第1対物レンズ38の開口数NAよりも小さくし、リレーレンズ75によって青色光ビームLb2の収束状態を調整することにより、第2集光角α2を第1集光角α1よりも小さくしつつ目標深さに焦点Fb2を合わせるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第2対物レンズ79として第1対物レンズ38と同一のものを使用すると共に、例えば各種レンズやアパーチャなどの青色光ビームLb2の光束径を小さく整形するための光学部品を第2対物レンズ79の前段に設け、第2対物レンズ79に入射するときの青色光ビームLb2の光束径を第1対物レンズに入射するときの青色光ビームLb1の光束径よりも小さくするようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0244】
また第1対物レンズ38及び第2対物レンズ79の屈折率及び開口数NA、並びに当該第1対物レンズ38及び第2対物レンズ79に入射されるときの青色光ビームLb1及びLb2の収束状態及び光束径を適宜選定することにより、第2集光角α2を第1集光角α1よりも小さくしつつ、焦点Fb2を目標深さに合わせることができる。
【0245】
さらに上述した実施の形態においては、第2集光角α2を第1集光角α1の約1/2にするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、青色光ビームLb2に対するトラッキング制御の精度や、光ディスク100が有する反り、青色光ビームLb0の出射光強度などの各種状況に応じて第2集光角α2を適宜選択することができる。
【0246】
さらに上述した実施の形態においては、焦点Fb1における青色光ビームLb1の光強度密度と、焦点Fb2における青色光ビームLb2の光強度密度が同等であるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、相違していても良い。
【0247】
さらに上述した実施の形態においては、再生処理の際、ビームウエスト径S1の小さい青色光ビームLb1を記録層101に照射するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、青色光ビームLb2を記録層101に照射するようにしても良い。
【0248】
さらに上述した実施の形態においては、1/2波長板53及び偏光ビームスプリッタ55によって青色光ビームLb1及びLb2の割合を調整し、焦点Fb1及びFb2付近における光強度密度を調整するようにした場合について述べたが、本発明は限らず、例えば青色光ビームLb1を所定の割合でカットするいわゆるNDフィルタなど、種々の手法を用いることができる。
【0249】
さらに上述した実施の形態においては、円盤状の光ディスク100に対して記録マークRMを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば直方体でなる光情報記録媒体に記録マークRMを形成するようにしても良い。
【0250】
さらに上述した実施の形態においては、第1の集光部としての第1対物レンズ38及びリレーレンズ60と、第1の焦点移動部としてのアクチュエータ38A及びリレーレンズ60と、第2の集光部としての第2対物レンズ79及びリレーレンズ75と、第2の焦点移動部としてのアクチュエータ79A及びリレーレンズ75とによって光情報記録装置としての光ディスク装置20を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1の集光部と、第1の焦点移動部と、第2の集光部と、第2の焦点移動部とによって本発明の光情報記録装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0251】
本発明は、記録媒体としての光ディスクに音楽コンテンツや映像コンテンツ或いは各種データ等を大量に記録する光ディスク装置において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0252】
【図1】従来の定在波記録型光ディスク装置の構成(1)を示す略線図である。
【図2】ホログラムの形成の様子を示す略線図である。
【図3】従来の定在波記録型光ディスク装置の構成(2)を示す略線図である。
【図4】本発明の一実施形態による光ディスクの構成を示す略線図である。
【図5】本発明の一実施形態による光ディスク装置の構成を示す略線図である。
【図6】光ピックアップの外観構成を示す略線図である。
【図7】光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図8】赤色光ビームの光路を示す略線図である。
【図9】フォトディテクタにおける検出領域の構成(1)を示す略線図である。
【図10】青色光ビームの光路(1)を示す略線図である。
【図11】青色光ビームの光路(2)を示す略線図である。
【図12】フォトディテクタにおける検出領域の構成(2)を示す略線図である。
【図13】焦点とビームウエストの説明に供する略線図である。
【図14】ホログラムの形成(1)の説明に供する略線図である。
【図15】ホログラムの形成(2)の説明に供する略線図である。
【図16】青色光ビームの波面を示す略線図である。
【符号の説明】
【0253】
20……光ディスク装置、21……制御部、22……駆動制御部、23……信号処理部、26……光ピックアップ、30……案内面位置制御光学系、31、51……レーザダイオード、37、55、58、72……偏光ビームスプリッタ、38……第1対物レンズ、38A、79A……アクチュエータ、43、64、82……フォトディテクタ、50……案内面情報光学系、56……1/4波長板、57……可動ミラー、60、75……リレーレンズ、61、76……可動レンズ、70……記録光照射面光学系、71……シャッタ、78……ガルバノミラー、79……第2対物レンズ、100……光ディスク、101……記録層、102、103……基板、104……反射透過膜、Lr1……赤色光ビーム、Lr2……赤色反射光ビーム、Lb0、Lb1、Lb2……青色光ビーム、Lb3……青色再生光ビーム、Lb10……青色反射光ビーム、Fr、Fb1、Fb2……焦点、RM……記録マーク、Lx……光軸、Lo……最外周部分、α、α1、α2……集光角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射された光を第1及び第2の光に分離すると共に、光情報記録媒体の両面側から上記第1及び第2の光をそれぞれ照射し、上記光情報記録媒体の内部で当該第1及び第2の光を重複させることによりホログラムでなる記録マークを形成する光情報記録装置において、
上記第1の光を集光して上記光情報記録媒体に照射する第1の集光部と、
上記光情報記録媒体に対して近接又は離隔する深さ方向における上記記録マークを形成すべき目標深さ、及び上記光情報記録媒体の上記両面に平行な平行方向における上記記録マークを形成すべき目標トラックに、上記第1の光の焦点が位置するように上記第1の光の焦点を移動させる第1の焦点移動部と、
上記光情報記録媒体に照射されるときの上記第1の光の光軸と輪郭部分とのなす第1の集光角よりも、上記光情報記録媒体に照射されるときの上記第2の光の光軸と最外周部分とのなす第2の集光角を小さくすることにより、上記第1の光の焦点における光束径よりも上記第2の光の焦点における光束径が大きくなるように上記第2の光を集光して上記光情報記録媒体に照射する第2の集光部と、
上記第2の光の焦点を上記目標深さに合わせると共に、上記第2の光を上記目標トラックに照射するよう上記第2の光の焦点を移動させる第2の焦点移動部と
を具えることを特徴とする光情報記録装置。
【請求項2】
上記第2の焦点移動部は、
上記第2の光の光軸が上記第1の光の光軸に追従するよう上記第2の焦点移動部を制御することにより、上記第2の光を上記目標トラックに照射する
ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項3】
上記第2の焦点移動部は、
上記第1の光が上記第2の光からはみ出さないように、上記第2の光の光軸を上記第2の光軸に追従させる
ことを特徴とする請求項2に記載の光情報記録装置。
【請求項4】
上記第1の集光部及び上記第2の集光部は、
上記第2の光の焦点における光強度密度と、上記第1の光の焦点における光強度密度とを同等にする
ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項5】
上記光を上記第1の光と上記第2の光とに分離する際に当該第1及び第2の光の割合を調整することにより、上記目標位置における上記第2の光の光強度密度と、上記目標位置における上記第1の光の光強度密度とを同等にする光強度調整部
を具えることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項6】
上記第1の集光部は、
上記光情報記録装置と対向するように配置された第1の対物レンズを有し、
上記第2の集光部は、
上記光情報記録装置と対向するように配置された第2の対物レンズを有し、
上記第1の対物レンズの開口数を上記第2の対物レンズの開口数よりも大きくすることにより、上記第2の光の集光角を上記第1の光の集光角よりも小さくする
ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項7】
上記第1の集光部は、
上記光情報記録装置と対向するように配置された第1の対物レンズを有し、
上記第2の集光部は、
上記光情報記録装置と対向するように配置された第2の対物レンズを有し、
上記第1の対物レンズに入射するときの上記第1の光の光束径と上記第2の対物レンズに入射するときの上記第2の光の光束径とを相違させることにより、上記第2の光の集光角を上記第1の光の集光角よりも小さくする
ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項8】
上記第1の集光部は、
上記光情報記録装置と対向するように配置された第1の対物レンズを有し、
上記第2の集光部は、
上記光情報記録装置と対向するように配置された第2の対物レンズを有し、
上記第1の対物レンズの屈折率と上記第2の対物レンズの屈折率とを相違させることにより、上記第2の光の集光角を上記第1の光の集光角よりも小さくする
ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項9】
上記第1の集光部は、
上記光情報記録装置と対向するように配置された第1の対物レンズを有し、
上記第2の集光部は、
上記光情報記録装置と対向するように配置された第2の対物レンズを有し、
上記第1及び第2の対物レンズに入射されるときの上記第1及び第2の光の収束状態を相違させることにより、上記第2の光の集光角を上記第1の光の集光角よりも小さくする
ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項10】
上記第1集光部は、
上記記録マークが記録された光情報記録媒体に対して上記第1の光を照射し、
上記第1の光が上記光情報記録媒体によって反射されてなる反射光ビームに基づいて、上記光情報記録媒体に記録された情報を読み出す読出部
を具えることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項11】
光源から出射された光を第1及び第2の光に分離すると共に、光情報記録媒体の両面側から上記第1及び第2の光をそれぞれ照射し、上記光情報記録媒体の内部で当該第1及び第2の光を重複させることによりホログラムでなる記録マークを形成する光ピックアップにおいて、
上記第1の光を集光して上記光情報記録媒体に照射する第1の集光部と、
上記光情報記録媒体に対して近接又は離隔する深さ方向における上記記録マークを形成すべき目標深さ、及び上記光情報記録媒体の上記両面に平行な平行方向における上記記録マークを形成すべき目標トラックに、上記第1の光の焦点が位置するように上記第1の光の焦点を移動させる第1の焦点移動部と、
上記光情報記録媒体に照射されるときの上記第1の光の光軸と最外周部分とのなす第1の集光角よりも、上記光情報記録媒体に照射されるときの上記第2の光の光軸と最外周部分とのなす第2の集光角を小さくすることにより、上記第1の光の焦点における光束径よりも上記第2の光の焦点における光束径が大きくなるように上記第2の光を集光して上記光情報記録媒体に照射する第2の集光部と、
上記第2の光の焦点を上記目標深さに合わせると共に、上記第2の光を上記目標トラックに照射するよう上記第2の光の焦点を移動させる第2の焦点移動部と
を具えることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項12】
光源から出射された光を第1及び第2の光に分離すると共に、光情報記録媒体の両面側から上記第1及び第2の光をそれぞれ照射し、上記光情報記録媒体の内部で当該第1及び第2の光を重複させることによりホログラムでなる記録マークを形成する方法において、
上記第1の光を集光する上記光情報記録媒体に照射する際、上記光情報記録媒体に対して近接又は離隔する深さ方向における上記記録マークを形成すべき目標深さ、及び上記光情報記録媒体の上記両面に平行な平行方向における上記記録マークを形成すべき目標トラックに、上記第1の光の焦点が位置するように上記第1の光の焦点を移動させる第1の焦点移動ステップと、
上記第2の光を集光して上記光情報記録媒体に照射する際、上記光情報記録媒体に照射されるときの上記第1の光の光軸と最外周部分とのなす第1の集光角よりも、上記光情報記録媒体に照射されるときの上記第2の光の光軸と最外周部分とのなす第2の集光角を小さくすることにより、上記第1の光の焦点における光束径よりも上記第2の光の焦点における光束径を大きくした状態で、上記第2の光の焦点を上記目標深さに合わせると共に、上記第2の光を上記目標トラックに照射するよう上記第2の光の焦点を移動させる第2の焦点移動ステップと
を具えることを特徴とする光情報記録方法。
【請求項13】
第1の光の焦点における光束径よりも焦点における光束径が大きく、上記第1の光と同一波長でなる上記第2の光が照射されたとき、上記第1及び第2の光が重複した部分に形成されるホログラムのうち、光強度の大きい明部分における屈折率を変化させて記録マークを記録する一方、上記第2の光における上記第1の光と重複しない非重複部分における屈折率を殆ど変化させない記録層
を具えることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項14】
上記第1及び第2の光の殆どを透過し、上記第1の対物レンズを上記目標深さ位置及び上記目標トラック位置に駆動する際に使用される上記第1及び上記第2の光とは波長の異なる第3の光を反射する反射層
を具えることを特徴とする請求項13に記載の光情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−8938(P2009−8938A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170977(P2007−170977)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】