説明

光情報記録装置、光情報記録方法、光情報再生装置、光情報再生方法及び光情報記録媒体

【課題】本発明は、副データを記録することができる。
【解決手段】光ディスク装置20は、主のデータに基づく記録主データ情報Daに応じて光源であるレーザダイオード51を制御することにより光ディスク100における仮想の照射ラインTLに沿って記録マークRMを形成する。そして光ディスク装置20は、副のデータに基づく記録副データ情報Dbに応じて目標深さをフォーカス方向に移動させることにより記録マークRMの中心を照射ラインTLからフォーカス方向にずらして形成するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光情報記録装置、光情報記録方法、光情報再生装置、光情報再生方法及び光情報記録媒体に関し、例えば光ビームを用いて光情報記録媒体に情報を記録し、また光ビームを用いて当該光情報記録媒体から当該情報を再生する光情報記録再生装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光情報記録再生装置としては、円盤状の光ディスクを光情報記録媒体として用いる光ディスク装置が広く普及しており、光ディスクとして、一般にCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBlu−ray Disc(登録商標、以下BDと呼ぶ)等が用いられている。
【0003】
一般的に、これら従来型の光ディスクでは、凹凸を形成したりや反射率を変化させることにより、光ビームを反射させる信号記録面に記録マークとして情報としての主のデータを記録するようになされている。これらの光ディスク装置の中には、記録マークが形成される記録トラック上に反射率の異なる符号マークを重畳して形成することにより、副のデータを記録するようになされたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
ところで光ディスク装置では、音楽コンテンツや映像コンテンツ等の各種コンテンツ、或いはコンピュータ用の各種データ等のような種々の情報を光ディスクに記録するようになされている。特に近年では、映像の高精細化や音楽の高音質化等により情報量が増大し、また1枚の光ディスクに記録するコンテンツ数の増加が要求されているため、当該光ディスクのさらなる大容量化が求められている。
【0005】
そこで、光ディスクを大容量化する手法の一つとして、一様でなる記録層の厚さ方向に複数の記録マークを形成することにより、複数層のマーク層に情報を記録するようになされた光ディスク装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第354410号公報
【特許文献2】特開2008−71433公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2に記載の光ディスク装置では、主のデータを記録又は再生する方法について提案されているものの、従来型の光ディスク装置のように副のデータを記録又は再生する方法については提案されていない。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、副のデータを記録することができる光情報記録装置及び光情報記録方法、副のデータを再生することができる光情報再生装置及び光情報再生方法、並びに副のデータを再生させ得る光情報記録媒体を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の光情報記録装置においては、光源から出射された所定の強度以上でなる情報光が照射されることにより情報を記録マークとして記録する光情報記録媒体に対して、情報光を集光して光情報記録媒体に照射する対物レンズと、対物レンズが光情報記録媒体に対して離隔及び近接するフォーカス方向に情報光の焦点を移動させることにより情報光を照射すべき目標深さに情報光の焦点を移動させる焦点移動部と、主のデータに基づく情報に応じて光源を制御することにより光情報記録媒体における仮想の照射ラインに沿って記録マークを形成する主データ記録部と、副のデータに基づく情報に応じて目標深さをフォーカス方向に移動させることにより記録マークの中心を照射ラインからフォーカス方向にずらして形成する副データ記録部とを設けるようにした。
【0009】
これにより光情報記録装置では、主のデータが記録される記録マークに副のデータを埋め込むことができる。
【0010】
また本発明の光情報記録方法では、光源から出射された所定の強度以上でなる情報光が照射されることにより情報を記録マークとして記録する光情報記録媒体に対して、主のデータに基づく情報に応じて光源から出射される情報光を照射することにより光情報記録媒体における仮想の照射ラインに沿って記録マークを形成する際、副のデータに基づく情報に応じて情報光の焦点をフォーカス方向に移動させることにより記録マークを照射ラインからフォーカス方向にずらして形成する記録マーク形成ステップを設けるようにした。
【0011】
これにより光情報記録方法では、主のデータが記録される記録マークに副のデータを埋め込むことができる。
【0012】
さらに本発明の光情報再生装置では、情報光を出射する光源と、情報光を集光して光情報記録媒体に照射する対物レンズと、情報光が光情報記録媒体によって反射されてなる反射光ビームに基づいて光情報記録媒体における仮想の照射ライン上に沿って形成された記録マークの有無を検出する記録マーク検出部と、反射光ビームに基づいて対物レンズが光情報記録媒体に対して離隔及び近接するフォーカス方向に対する照射ラインと記録マークの中心とのズレの有無を検出するズレ検出部とを設けるようにした。
【0013】
これにより光情報再生装置では、記録マークの有無に応じて主のデータを再生し得ると共に照射ラインと記録マークの中心とのズレの有無に応じて副のデータを再生し得る。
【0014】
また本発明の光情報再生方法では、光源から出射された光が光情報記録媒体によって反射されてなる反射光ビームを受光する受光ステップと、反射光ビームに基づいて記録マークの有無を検出し、また反射光ビームに基づいて対物レンズが光情報記録媒体に対して離隔及び近接するフォーカス方向に対する照射ラインと記録マークの中心とのズレの有無を検出する検出ステップとを設けるようにした。
【0015】
これにより光情報再生方法では、変調された情報光によって検出される記録マークの有無に応じて主のデータを再生し得ると共に照射ラインと記録マークの中心とのズレの有無に応じて副のデータを再生し得る。
【0016】
さらに本発明の光情報記録媒体では、情報光の照射に応じて形成される記録マークの有無により主のデータが記録され、記録マークの中心が情報光の光軸に平行なフォーカス方向にずらして形成されることにより副のデータが記録され、照射された情報光を記録マークにより変調する記録層を設けるようにした。
【0017】
これにより光情報記録媒体では、記録マークの有無に応じて主のデータを再生させ得ると共に照射ラインと記録マークの中心とのズレの有無に応じて副のデータを再生させ得る。
【0018】
また本発明の光情報記録装置では、光源から出射された所定の強度以上でなる情報光が照射されることにより情報を記録マークとして記録する光情報記録媒体に対して、情報光及びサーボ制御用のサーボ光を集光して照射する対物レンズと、光情報記録媒体に形成されサーボ光の少なくとも一部を反射させる反射層に対し、サーボ光を合焦させるよう対物レンズを駆動する対物レンズ駆動部と、サーボ光の球面収差を変化させることにより、対物レンズが光情報記録媒体に対して近接及び離隔するフォーカス方向に、サーボ光の焦点から情報光の焦点を任意の距離だけ離隔させ、情報光を照射するべき目標深さに当該情報光の焦点を合わせる焦点移動部と、主のデータに基づく情報に応じて光源を制御することにより光情報記録媒体における仮想の照射ラインに沿って記録マークを形成する主データ記録部と、副のデータに基づく情報に応じて目標深さをフォーカス方向に移動させることにより記録マークの中心を照射ラインからずらす副データ記録部とを設けるようにした。
【0019】
これにより光情報記録装置では、反射層を基準として高精度なフォーカス制御を実行しながら、適切な照射ラインに沿って記録マークを形成すると共に、当該照射ラインから記録マークを適切にずらすことができる。
【0020】
さらに本発明の光情報再生装置では、情報再生用の情報光及びサーボ制御用のサーボ光を集光して照射する対物レンズと、光情報記録媒体に形成されサーボ光の少なくとも一部を反射させる反射層に対し、サーボ光を合焦させるよう対物レンズを駆動する対物レンズ駆動部と、サーボ光の球面収差を変化させることにより、対物レンズが光情報記録媒体に対して近接及び離隔するフォーカス方向に、サーボ光の焦点から情報光の焦点を任意の距離だけ離隔させ、情報光を照射するべき目標深さに当該情報光の焦点を合わせる焦点移動部と、情報光が光情報記録媒体によって反射されてなる反射光ビームに基づいて、光情報記録媒体における仮想の照射ライン上に沿って形成された記録マークの有無を検出する記録マーク検出部と、反射光ビームに基づいて対物レンズが光情報記録媒体に対して離隔及び近接するフォーカス方向に対する照射ラインと記録マークの中心とのズレの有無を検出するズレ検出部とを設けるようにした。
【0021】
これにより光情報再生装置では、記録マークの中心と照射ラインとがずれても影響がないサーボ光を用いてフォーカス制御を実行することができるため、情報光を確実に照射ラインに照射して副のデータを表すズレの有無を確実に検出することができる。
【0022】
また本発明の光情報記録媒体では、仮想の照射ライン上に沿って形成された記録マークの有無により主のデータが記録されると共に、当該記録マークの中心を照射ラインからずらして形成してなることにより副のデータが記録され、照射された情報光を記録マークにより変調する記録層と、記録層における情報光の位置を任意の位置に合わせるために照射されるサーボ光の少なくとも一部を反射させる反射層とを設けるようにした。
【0023】
これにより光情報記録媒体では、記録マークの中心と照射ラインとがずれても影響がないサーボ光を用いたフォーカス制御を実行させることができるため、情報光を確実に照射ラインに照射させて変調された情報光から副のデータを表すズレの有無を確実に検出させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、主のデータが記録される記録マークに副のデータを埋め込むことができ、かくして副データを記録し得る光情報記録装置及び光情報記録方法を実現し得る。
【0025】
また本発明によれば、記録マークの有無に応じて主のデータを再生し得ると共に照射ラインと記録マークの中心とのズレの有無に応じて副のデータを再生し得、かくして副データを再生させ得る光情報再生装置及び光情報再生方法を実現し得る。
【0026】
また本発明によれば、変調された情報光によって検出される記録マークの有無に応じて主のデータを再生し得ると共に照射ラインと記録マークの中心とのズレの有無に応じて副のデータを再生し得、かくして副データを再生させ得る光情報記録媒体を実現し得る。
【0027】
さらに本発明によれば、反射層を基準として高精度なフォーカス制御を実行しながら、適切な照射ラインに沿って記録マークを形成すると共に、当該照射ラインから記録マークを適切にずらすことができ、かくして副のデータを記録し得る光情報記録装置を実現し得る。
【0028】
さらに本発明によれば、記録マークの中心と照射ラインとがずれても影響がないサーボ光を用いてフォーカス制御を実行することができるため、情報光を確実に照射ラインに照射して副のデータを表すズレの有無を確実に検出することができ、かくして副のデータを再生し得る光情報再生装置を実現し得る。
【0029】
さらに本発明によれば、記録マークの中心と照射ラインとがずれても影響がないサーボ光を用いたフォーカス制御を実行させることができるため、情報光を確実に照射ラインに照射させて変調された情報光から副のデータを表すズレの有無を確実に検出させることができ、かくして副のデータを再生させ得る光情報記録媒体を実現し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0031】
(1)第1の実施の形態
(1−1)光ディスクの構成
まず、本発明において光情報記録媒体として用いられる光ディスク100について説明する。図1に外観図を示すように、光ディスク100は、全体として従来のCD、DVD及びBDと同様に直径約120[mm]の円盤状に構成されており、中央部分に孔部100Hが形成されている。
【0032】
また光ディスク100は、図2に断面図を示すように、情報を記録するための記録層101を中心に有しており、基板102及び103により当該記録層101を両面から挟むように構成されている。
【0033】
因みに記録層101の厚さt1は約0.3[mm]、基板102及び103の厚さt2及びt3はいずれも約0.6[mm]となるようになされている。
【0034】
基板102及び103は、例えばポリカーボネイトやガラス等の材料により構成されており、いずれも一面から入射される光をその反対面へ高い透過率で透過させるようになされている。また基板102及び103は、ある程度の強度を有しており、記録層101を保護する役割も担うようになされている。なお基板102及び103の表面については、無反射コーティングにより不要な反射が防止されるようになされていても良い。
【0035】
また光ディスク100は、記録層101と基板103との境界面に反射層104を有している。反射層104は、誘電体多層膜等でなり、波長405[nm]の青色レーザ光でなる青色光ビームLb1及び波長660[nm]の赤色レーザ光でなる赤色光ビームLr1のいずれをも反射する。
【0036】
また反射層104は、トラッキングサーボ用の案内溝を形成しており、具体的には、一般的なBD−R(Recordable)ディスク等と同様のランド及びグルーブにより螺旋状のトラックを形成している。このトラックには、所定の記録単位ごとに一連の番号でなるアドレスが付されており、情報を記録又は再生するトラックを当該アドレスにより特定し得るようになされている。
【0037】
なお反射層104(すなわち記録層101と基板103との境界面)には、案内溝に代えてピット等が形成され、或いは案内溝とピット等とが組み合わされていても良い。
【0038】
この反射層104は、基板102側から赤色光ビームLr1が照射された場合、これを当該基板102側へ反射する。以下、このとき反射された光ビームを赤色光ビームLr2と呼ぶ。
【0039】
この赤色光ビームLr2は、例えば光ディスク装置において、反射層104上における目標のトラック(以下所望サーボトラックと呼ぶ)に対して赤色光ビームLr1の焦点Frを合わせるため、当該赤色光ビームLr1を集光する対物レンズOLの位置制御(すなわちフォーカス制御及びトラッキング制御)に用いられることが想定されている。
【0040】
実際上、光ディスク100に情報が記録されるとき、図2に示したように、位置制御された対物レンズOLにより赤色光ビームLr1が集光され、反射層104の所望サーボトラックに合焦される。
【0041】
また、赤色光ビームLr1と光軸Lxを共有し対物レンズOLにより集光される青色光ビームLb1が、基板102を透過し、記録層101内における所望サーボトラックに相当する位置に合焦される。このとき青色光ビームLb1の焦点Fbは、対物レンズOLを基準として、共通の光軸Lx上における焦点Frよりも近く、すなわち「手前側」に位置することになる。
【0042】
光ディスク100は、情報が記録されるとき、記録層101内において比較的光強度の大きい情報記録用の青色光ビームLb1が集光されて所定強度以上となった部分(すなわち焦点Fb周辺)に例えば気泡でなる記録マークRMを形成する。例えば、青色光ビームLb1の波長λが405[nm]、対物レンズOLの開口数NAが0.5、当該対物レンズOLの屈折率nが1.5である場合には、直径RMr=1[μm]、高さRMh=10[μm]程度の記録マークRMが形成される。
【0043】
さらに光ディスク100は、記録層101の厚さt1(=0.3[mm])が記録マークRMの高さRMhよりも充分に大きくなるよう設計されている。このため光ディスク100は、記録層101内における反射層104からの距離(以下、これを深さと呼ぶ)dが切り換えられながら記録マークRMが記録されることにより、図3(A)及び(B)に示すように、複数のマーク記録層Yを当該光ディスク100の厚さ方向に重ねた多層記録を行い得るようになされている。なおマーク記録層Yは、仮想的な層を意味しており、各マーク記録層Yの境界が実際に存在するわけではない。
【0044】
この場合、光ディスク100の記録層101内において、青色光ビームLbの焦点Fbの深さdが調整されることにより、記録マークRMの深さが変更されることになる。例えば光ディスク100は、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮してマーク記録層Y同士の距離p3(すなわちマーク記録層Yの高さ)が約15[μm]に設定されれば、記録層101内に約20層のマーク記録層Yを形成することができる。なお距離p3については、約15[μm]とする以外にも、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮した上で他の種々の値としても良い。
【0045】
なお記録層101には、図3(A)に示すように、3T〜11Tのマーク長でなる記録マークRMが形成され、記録マークRMの長さ及び当該記録マークRMが形成されていないトラッキング方向のスペースの長さに応じてメインの情報となる主のデータが記録されることが想定されている。
【0046】
記録層101は、図4に示すように各マーク記録層Yにおいて螺旋でなる照射ラインTL上に青色光ビームLb1が照射されることが想定されている。この結果記録層101は、当該照射ラインTLに沿って記録マークRMが形成されることにより、当該照射ラインTLを中心とする螺旋状のトラックTRを形成するようになされている。なおこのトラックTRは、仮想的なトラックを意味しており、各トラックTRの境界が実際に存在するわけではない。
【0047】
一方、光ディスク100は、情報が再生されるとき、当該情報を記録したときと同様に、対物レンズOLにより集光された赤色光ビームLr1が反射層104の所望サーボトラックに合焦されるよう、当該対物レンズOL(図2)が位置制御されるようになされている。
【0048】
さらに光ディスク100は、同一の対物レンズOLを介して集光される比較的光強度の小さい情報読出用の青色光ビームLb1の焦点Fbが、記録層101内における所望サーボトラックの「手前側」に相当し、かつ目標深さとなる位置(以下、これを目標マーク位置と呼ぶ)に合焦されるようになされている。
【0049】
このとき焦点Fbの位置に記録されている記録マークRMは、周囲との屈折率の相違により青色光ビームLb1を反射させ、当該目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色光ビームLb2を発生する。すなわち記録層101は、記録マークRMの有無に応じて青色光ビームLb1を変調し、青色光ビームLb2を生成することになる。
【0050】
このように光ディスク100は、情報が記録される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1及び情報記録用の青色光ビームLb1が用いられることにより、記録層101内において焦点Fbが照射される位置、すなわち反射層104における所望サーボトラックの手前側となり且つ目標深さとなる目標マーク位置に、当該情報として記録マークRMが形成されるようになされている。
【0051】
また光ディスク100は、記録済みの情報が再生される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1及び情報読出用の青色光ビームLb1が用いられることにより焦点Fbの位置、すなわち目標マーク位置に記録されている記録マークRMから、青色光ビームLb2を発生させるようになされている。
【0052】
かかる構成に加えて光ディスク100では、図5(A)に示すように、記録マークRMを照射ラインTLからフォーカス方向にずらして形成することにより、メインとなる情報としての主のデータを記録するだけでなく、副次的な情報としての副のデータを埋込記録するようになされている。
【0053】
すなわち光ディスク100の記録層101には、照射ラインTLに沿って記録マークRMが形成されるものの、副のデータに応じて記録マークRMのフォーカス方向における中心線CFCが照射ラインTLから僅かにずらした状態で形成されるようになされている。
【0054】
この中心線CFCの照射ラインTLからのフォーカスズレ量ΔMcは、青色光ビームLb2の光量に影響を与えないよう、例えばマーク記録層Yの厚さp3(すなわちトラックTRの高さ)の1/50程度に設定されている。
【0055】
このため図5(B)に示すように、光ディスク100は、青色光ビームLb2に基づいて生成される再生信号SRFに殆ど影響を与えることがない。このため光ディスク100は、従来の光ディスク装置と同様に再生信号SFEに基づいて主のデータを再生させ得るようになされている。
【0056】
また上述したように情報再生処理の際、光ディスク100は、反射層104に赤色光ビームLr1を合焦させるよう対物レンズOLを変位させ、フォーカス制御を実行させる。このため図5(C)に示すように、光ディスク100は、赤色光ビームLr2に基づいて生成される赤色フォーカスエラー信号SFErに何ら影響を与えることがない。
【0057】
一方青色光ビームLb2に基づいて生成される青色フォーカスエラー信号SFEbは、記録マークRMのズレの有無に応じてその信号レベルが変動することになる。これにより光ディスク100は、図5(D)に示すように、青色フォーカスエラー信号SFEbを生成させることにより、記録マークRMのフォーカス方向へのズレの有無(すなわちフォーカスズレ量ΔMc)を検出させ得、当該ズレの有無に基づいて副のデータを再生させ得るようになされている。
【0058】
このように光ディスク100は、副のデータに応じて記録マークRMを照射ラインTLからフォーカス方向にずらして形成することにより、再生信号SRFに影響を殆ど与えることがなく、再生信号SRFから従来通り主のデータを再生することができる。さらに光ディスク100は、青色フォーカスエラー信号SFEbに基づいてフォーカスズレ量ΔMcを検出することにより、副のデータを再生させ得るようになされている。
【0059】
(1−2)光ディスク装置の構成
次に、上述した光ディスク100に対応した光ディスク装置20について説明する。光ディスク装置20は、図6に示すように、システムコントローラ21により全体を統括制御するようになされている。
【0060】
システムコントローラ21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)から基本プログラムや情報記録プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらを図示しないRAM(Random Access Memory)に展開することにより、情報記録処理及び情報再生処理等の各種処理を実行するようになされている。
【0061】
例えばシステムコントローラ21は、光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給する一方、記録情報を信号処理部23へ供給する。因みに記録アドレス情報は、光ディスク100の記録層101に付されたアドレスのうち、記録情報を記録すべきアドレスを示す情報である。
【0062】
駆動制御部22は、駆動命令に従い、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより、光ピックアップ26を移動軸25A及び25Bに沿って光ディスク100の径方向(すなわち内周方向又は外周方向)における記録アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
【0063】
信号処理部23は、供給された記録情報に対して所定の符号化処理や変調処理(例えばEFM(Eight to Fourteen Modulation)変調処理)等の各種信号処理を施すことにより記録信号を生成し、これを光ピックアップ26へ供給する。
【0064】
光ピックアップ26は、駆動制御部22の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101における記録アドレス情報により示されるトラック(以下、これを目標トラックと呼ぶ)に青色光ビームLb1の照射位置を合わせ、信号処理部23からの記録信号に応じた記録マークRMを記録するようになされている(詳しくは後述する)。
【0065】
またシステムコントローラ21は、例えば外部機器(図示せず)から情報再生命令及び当該記録情報のアドレスを示す再生アドレス情報を受け付けると、駆動制御部22に対して駆動命令を供給すると共に、再生処理命令を信号処理部23へ供給する。
【0066】
駆動制御部22は、情報を記録する場合と同様、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより光ピックアップ26を再生アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
【0067】
光ピックアップ26は、駆動制御部22の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101における再生アドレス情報により示されるトラック(すなわち目標トラック)に青色光ビームLb1の照射位置を合わせ、所定光量の光ビームを照射する。このとき光ピックアップ26は、光ディスク100における記録層101の記録マークRMから発生される青色光ビームLb2を検出し、その光量に応じた検出信号を信号処理部23へ供給するようになされている(詳しくは後述する)。
【0068】
信号処理部23は、供給された検出信号に対して所定の復調処理や復号化処理等の各種信号処理を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報をシステムコントローラ21へ供給する。これに応じてシステムコントローラ21は、この再生情報を外部機器(図示せず)へ送出するようになされている。
【0069】
このように光ディスク装置20は、システムコントローラ21によって光ピックアップ26を制御することにより、光ディスク100の記録層101における目標マーク位置に情報を記録し、また当該目標マーク位置から情報を再生するようになされている。
【0070】
(1−3)光ピックアップの構成
次に、光ピックアップ26の構成について説明する。この光ピックアップ26では、図7に示すように、サーボ制御のためのサーボ光学系30と、情報の再生又は記録のための情報光学系50を有している。
【0071】
光ピックアップ26は、レーザダイオード31から出射したサーボ光としての赤色光ビームLr1及びレーザダイオード51から出射した情報光としての青色光ビームLb1をそれぞれサーボ光学系30及び情報光学系50を介して同一の対物レンズ40へ入射し、光ディスク100にそれぞれ照射するようになされている。
【0072】
(1−3−1)赤色光ビームの光路
図8に示すように、サーボ光学系30では、対物レンズ40を介して赤色光ビームLr1を光ディスク100に照射すると共に、当該光ディスク100に反射されてなる赤色光ビームLr2をフォトディテクタ43で受光するようになされている。
【0073】
すなわちレーザダイオード31は、波長約660[nm]のP偏光でなる赤色レーザ光を出射し得るようになされている。実際上レーザダイオード31は、システムコントローラ21(図6)の制御に基づいて発散光でなる所定光量の赤色光ビームLr1を発射し、コリメータレンズ33へ入射させる。コリメータレンズ33は、赤色光ビームLr1を発散光から平行光に変換し、偏光ビームスプリッタ34へ入射させる。
【0074】
偏光ビームスプリッタ34は、反射透過面34Sにおいて、光ビームの偏光方向により異なる割合で当該光ビームを反射又は透過するようになされている。この反射透過面34は、P偏光の光ビームをほぼ全て透過し、S偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。
【0075】
そして偏光ビームスプリッタ34は、P偏光でなる赤色光ビームLr1のほぼ全てを透過させ、1/4波長板36へ入射させる。
【0076】
1/4波長板36は、P偏光でなる赤色光ビームLr1を例えば左円偏光に変換し、ダイクロイックプリズム37へ入射する。ダイクロイックプリズム37は、透過反射面37Sによって光ビームの波長に応じて当該光ビームを反射又は透過させるようになされており、これにより赤色光ビームLr1を反射して対物レンズ40へ入射させる。
【0077】
対物レンズ40は、赤色光ビームLr1を集光し、光ディスク100の反射層104へ向けて照射する。このとき赤色光ビームLr1は、図2に示したように、基板102を透過し反射層104において反射されて、赤色光ビームLr1と反対方向へ向かい、赤色光ビームLr1と逆回りの偏光方向でなる赤色光ビームLr2となる。
【0078】
この後、赤色光ビームLr2は、対物レンズ40によって平行光に変換された後、ダイクロイックプリズム37へ入射される。ダイクロイックプリズム37は、赤色光ビームLr2を反射し、これを1/4波長板36へ入射させる。
【0079】
1/4波長板36は、右円偏光でなる赤色光ビームLr2をS偏光に変換し、偏光ビームスプリッタ34へ入射させる。偏光ビームスプリッタ34は、S偏光でなる赤色光ビームLr2をその偏光方向により反射させ、マルチレンズ41へ入射させる。
【0080】
マルチレンズ41は、赤色光ビームLr2を収束させ、シリンドリカルレンズ42により非点収差を持たせた上で当該赤色光ビームLr2をフォトディテクタ43へ照射する。
【0081】
ところで光ディスク装置20では、回転する光ディスク100における面ブレ等が発生する可能性があるため、対物レンズ40に対する所望サーボトラックの相対的な位置が変動する可能性がある。
【0082】
このため、赤色光ビームLr1の焦点Fr(図2)を目標トラックに追従させるには、当該焦点Frを光ディスク100に対する近接方向又は離隔方向であるフォーカス方向及び光ディスク100の内周側方向又は外周側方向であるトラッキング方向へ移動させる必要がある。
【0083】
そこで対物レンズ40は、2軸アクチュエータ40Aにより、フォーカス方向及びトラッキング方向の2軸方向へ駆動され得るようになされている。
【0084】
またサーボ光学系30(図8)では、対物レンズ40により赤色光ビームLr1が集光され光ディスク100の反射層104へ照射されるときの合焦状態が、マルチレンズ41により赤色光ビームLr2が集光されフォトディテクタ43に照射されるときの合焦状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置が調整されている。
【0085】
フォトディテクタ43は、図9に示すように、赤色光ビームLr2が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域43A、43B、43C及び43Dを有している。因みに矢印a1により示される方向(図中の縦方向)は、赤色光ビームLr1が反射層104(図2)に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
【0086】
フォトディテクタ43は、検出領域43A、43B、43C及び43Dにより赤色光ビームLr2の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SDAr、SDBr、SDCr及びSDDrをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図4)へ送出する。
【0087】
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(1)式に従って赤色フォーカスエラー信号SFErを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
【0088】
【数1】

【0089】
この赤色フォーカスエラー信号SFErは、赤色光ビームLr1の焦点Frと光ディスク100の反射層104とのずれ量を表すことになる。
【0090】
また信号処理部23は、いわゆるプッシュプル法によるトラッキング制御を行うようになされており、次に示す(2)式に従ってトラッキングエラー信号STErを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
【0091】
【数2】

【0092】
このトラッキングエラー信号STErは、焦点Frと光ディスク100の反射層104における目標トラックとのずれ量を表すことになる。
【0093】
駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFErを基にフォーカス駆動信号SFDrを生成し、当該フォーカス駆動信号SFDrを2軸アクチュエータ40Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射層104に合焦するよう、対物レンズ40をフィードバック制御(すなわちフォーカス制御)する。
【0094】
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STErを基にトラッキング駆動信号STDrを生成し、当該トラッキング駆動信号STDrを2軸アクチュエータ40Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射層104における所望サーボトラックに合焦するよう、対物レンズ40をフィードバック制御(すなわちトラッキング制御)する。
【0095】
因みに2軸アクチュエータ40Aは、例えば磁石とコイル及びコイルとの組み合わせでなるいわゆるボイスコイルモータでなり、コイルに供給される駆動電流に応じた位置に対物レンズ40を変位させるようになされている。
【0096】
このようにサーボ光学系30は、赤色光ビームLr1を光ディスク100の反射層104に照射し、その反射光である赤色光ビームLr2の受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、当該赤色光ビームLr1を当該反射層104の目標トラックに合焦させるよう、対物レンズ40のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている。
【0097】
(1−3−2)青色光ビームの光路
一方情報光学系50では、図7と対応する図10に示すように、対物レンズ40を介してレーザダイオード51から出射した青色光ビームLb1を光ディスク100に照射すると共に、当該光ディスク100に反射されてなる青色光ビームLb2をフォトディテクタ63で受光するようになされている。
【0098】
すなわちレーザダイオード51は、波長約405[nm]の青色レーザ光を出射し得るようになされている。実際上レーザダイオード51は、システムコントローラ21(図4)の制御に基づいて発散光でなる所定光量の青色光ビームLb1を発射し、コリメータレンズ52へ入射させる。コリメータレンズ52は、青色光ビームLb1を発散光から平行光に変換し、偏光ビームスプリッタ54へ入射させる。
【0099】
偏光ビームスプリッタ54は、反射透過面54Sにおいて、光ビームの偏光方向により当該光ビームを反射又は透過するようになされている。例えば反射透過面54Sは、P偏光の光ビームをほぼ全て透過し、S偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。
【0100】
そして偏光ビームスプリッタ54は、P偏光でなる青色光ビームLb1を透過させ、球面収差などを補正するLCP(Liquid Crystal Panel)56を介して1/4波長板57へ入射させる。
【0101】
1/4波長板57は、青色光ビームLb1をP偏光から例えば左円偏光に変換してリレーレンズ58へ入射させる。
【0102】
リレーレンズ58は、可動レンズ58Aにより青色光ビームLb1を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLb1の収束又は発散の度合い(以下、これを収束状態と呼ぶ)を固定レンズ58Bにより調整し、ミラー59へ入射させる。
【0103】
ここで可動レンズ58Aは、アクチュエータ58Aaにより青色光ビームLb1の光軸方向に移動されるようになされている。実際上、リレーレンズ58は、駆動制御部22(図4)の制御に基づきアクチュエータ58Aaによって可動レンズ58Aを移動させることにより、固定レンズ58Bから出射される青色光ビームLb1の収束状態を変化させ得るようになされている。
【0104】
ミラー59は、青色光ビームLb1を反射することにより、円偏光でなる当該青色光ビームLb1の偏光方向を反転させる(例えば左円偏光から右円偏光へ)と共にその進行方向を偏向させ、ダイクロイックプリズム37へ入射する。ダイクロイックプリズム37は、反射透過面37Sにより当該青色光ビームLb1を透過させ、これを対物レンズ40へ入射する。
【0105】
対物レンズ40は、青色光ビームLb1を集光し、光ディスク100へ照射する。このとき青色光ビームLb1は、図2に示したように、基板102を透過し、記録層101内に合焦する。
【0106】
ここで当該青色光ビームLb1の焦点Fbの位置は、リレーレンズ58の固定レンズ58Bから出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち焦点Fbは、可動レンズ58Aの位置に応じて記録層101内をフォーカス方向に移動することになる。
【0107】
具体的に情報光学系50は、可動レンズ58Aの移動距離と青色光ビームLb1の焦点Fbの移動距離とがほぼ比例関係となるように設計されており、例えば可動レンズ58Aを1[mm]移動させると、青色光ビームLb1の焦点Fbが30[μm]移動するようになされている。
【0108】
因みにアクチュエータ58Aaは、例えば磁石とコイル及びコイルとの組み合わせでなるいわゆるボイスコイルモータでなり、コイルに供給されるリレー駆動電流Ufに応じた位置に可動レンズ58Aを変位させるようになされている。
【0109】
実際上、情報光学系50は、駆動制御部22(図4)により可動レンズ58Aの位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLb1の焦点Fb(図2)の深さd(すなわち反射層104からの距離)を調整し、目標マーク位置に焦点Fbを合致させるようになされている。
【0110】
このように情報光学系50は、サーボ光学系30によるサーボ制御された対物レンズ40を介して青色光ビームLb1を照射することにより、青色光ビームLb1の焦点Fbのトラッキング方向を目標マーク位置に合致させ、さらにリレーレンズ58における可動レンズ58Aの位置に応じて当該焦点Fbの深さdを調整することにより、焦点Fbのフォーカス方向を目標マーク位置に合致させるようになされている。
【0111】
そして青色光ビームLb1は、光ディスク100に対して情報を記録する記録処理の際、対物レンズ40によって焦点Fbに集光され、当該焦点Fbに記録マークRMを形成する。
【0112】
一方青色光ビームLb1は、光ディスク100に記録された情報を読み出す再生処理の際、目標マーク位置近傍に記録マークRMが記録されていた場合には、焦点Fbに集光した青色光ビームFb1が当該記録マークRMによって青色光ビームLb2として反射され、対物レンズ40へ入射される。このとき青色光ビームLb2は、記録マークRMによる反射によって、円偏光における偏光方向が反転(例えば右円偏光から左円偏光へ)される。
【0113】
他方青色光ビームLb1は、焦点Fbに記録マークRMが記録されていない場合には、焦点Fbに収束した後に再び発散し、反射層104によって反射され、青色光ビームLb2として対物レンズ40へ入射される。このとき青色光ビームLb2は、反射層104による反射によって、円偏光における回転方向が反転(例えば右円偏光から左円偏光へ)される。
【0114】
対物レンズ40は、青色光ビームLb2をある程度収束させ、ダイクロイックプリズム37へ入射する。ダイクロイックプリズム37は、青色光ビームLb2を透過させ、ミラー59へ入射する。
【0115】
ミラー59は、青色光ビームLb2を反射することにより、円偏光でなる当該青色光ビームLb1の偏光方向を反転させる(例えば左円偏光から右円偏光へ)と共にその進行方向を偏向させ、リレーレンズ58へ入射する。
【0116】
リレーレンズ58は、青色光ビームLb2を平行光に変換し、1/4波長板57へ入射する。1/4波長板52は、円偏光でなる青色光ビームLb2を直線偏光(例えば右円偏光からS偏光)に変換し、LCP56を介して偏光ビームスプリッタ54に入射する。
【0117】
偏光ビームスプリッタ54は、S偏光でなる青色光ビームLb2を偏光面54Sによって反射し、マルチレンズ60へ入射させる。マルチレンズ60は、青色光ビームLb2を集光し、シリンドリカルレンズ61に入射させる。シリンドリカルレンズ61は、青色光ビームLb2に非点収差を付加させた上で、ピンホール板62を介してフォトディテクタ63へ照射させる。
【0118】
ここで図11に示すように、ピンホール板62は、マルチレンズ60(図9)により集光される青色光ビームLb2の焦点を孔部62H内に位置させるよう配置されているため、当該青色光ビームLb2をそのまま通過させることになる。
【0119】
一方図12に示すように、ピンホール板62は、例えば光ディスク100における基板102の表面や、目標マーク位置とは異なる位置に存在する記録マークRM、反射層104などから反射されるような焦点の異なる光(以下、これを迷光LNと呼ぶ)をほぼ遮断することになる。この結果、フォトディテクタ63は、迷光LNの光量を殆ど検出することがない。
【0120】
この結果、フォトディテクタ63は、迷光LNの影響を受けることなく、青色光ビームLb2の光量に応じた検出信号SDbを生成し、これを信号処理部23(図6)へ供給するようになされている。
【0121】
ここでフォトディテクタ63は、図12に示すように、赤色光ビームLr2が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域63A、63B、63C及び63Dを有している。因みに矢印a2により示される方向(図中の縦方向)は、青色光ビームLr1が記録層101に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
【0122】
フォトディテクタ63は、検出領域63A、63B、63C及び63Dにより青色光ビームLr2の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SDb(SDAb、SDBb、SDCb及びSDDb)をそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図6)へ送出する。
【0123】
信号処理部23は、いわゆる非点収差法により、次に示す(3)式に従って青色フォーカスエラー信号SFEbを算出する。
【0124】
【数3】

【0125】
また信号処理部23は、次に示す(4)式に従って再生信号SRFを生成し、信号処理部23へ供給する。
【0126】
【数4】

【0127】
この場合、再生信号SFEは、光ディスク100に記録マークRMとして記録されている情報を精度良く表すものとなる。このため信号処理部23は、再生信号SFEに対して所定の復調処理や復号化処理等を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報をシステムコントローラ21へ供給するようになされている。
【0128】
このように情報光学系50は、光ディスク100から対物レンズ38へ入射される青色光ビームLb2を受光し、その受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。
【0129】
(1−4)情報記録処理
上述したように光ディスク装置20では、情報記録処理の際、記録マークRMの形成により情報としてのメインとなる情報を表す主のデータを記録すると共に、当該記録マークRMをフォーカス方向に変位させることにより、副次的な情報を表す副のデータをも記録するようになされている。
【0130】
具体的に光ディスク装置20の信号処理部23(図6)は、システムコントローラ21から供給される記録情報から主のデータに対応する記録主データ情報Da及び副のデータに対応する記録副データ情報Dbを分離し、記録制御部70に供給する。
【0131】
図13に示すように、記録制御部70においてクロック信号生成部71は、基準となる記録クロックCLwを生成し、これを主データ記録信号生成部72及び埋込信号生成部73に供給する。このとき主データ記録信号生成部72には記録主データ情報Daが供給される一方、埋込信号生成部73には記録副データ情報Dbが供給される。
【0132】
主データ記録信号生成部72は、図14(A)及び(B)に示すように、記録主データ情報Daに対して符号化処理や変調処理等の各種信号処理を施すことにより、記録クロックCLwに立ち上がり及び立ち下がりのタイミングを合致させながら記録信号としての主データ記録信号Swを生成し、これを埋込信号生成部73及びレーザ制御部74に供給する。
【0133】
埋込信号生成部73(図13)は、記録副データ情報Dbに対して符号化処理や変調処理等の各種信号処理を施すと共に、主データ記録信号Swに信号レベルの立ち上がり及び立ち下がりのタイミングを合致させながらプラス埋込信号Sm+及びマイナス埋込信号Sm−を生成し、駆動制御部22に供給する。
【0134】
図14(C)に示すようにこのプラス埋込信号Sm+は、記録マークRMを光ディスク100の入射面100A側であるプラス方向に変位させるタイミングを表しており、プラス方向に変位させるべき記録マークRMに相当する期間に亘って信号レベルが「High」に設定されるようになされている。
【0135】
図14(D)に示すようにマイナス埋込信号Sm−は、記録マークRMを光ディスク100の背面100B側であるマイナス方向に変位させるタイミングを表しており、マイナス方向に変位させるべき記録マークRMに相当する期間に亘って信号レベルが「High」に設定されるようになされている。
【0136】
駆動制御部22は、目標トラックの位置するマーク記録層Yに応じた電流値からプラス埋込信号Sm+及びマイナス埋込信号Sm−が「High」となる期間に対応させて所定のズレ電流値Δ±mだけ電流値をずらすことによりリレー駆動電流Ufを生成し、これをリレーレンズ58におけるアクチュエータ58Aaに供給する。
【0137】
これにより駆動制御部22は、目標トラックにおける照射ラインTLから所定のフォーカスズレ量ΔMcだけフォーカス方向(すなわちプラス方向又はマイナス方向)にずれた位置を目標マーク位置(すなわち目標深さ)に設定し、当該目標マーク位置に青色光ビームLb1を照射し得るようになされている。
【0138】
この結果光ディスク装置20は、青色光ビームLb1が本来照射されるべき照射ラインTLから記録副データ情報Dbに応じて記録マークRMをフォーカス方向にずらすことができ、記録主データ情報Daを表す記録マークRMにおけるフォーカス方向の位置に応じて記録副データ情報Dbを埋め込み得るようになされている。
【0139】
例えば時点t0において、主データ記録信号生成部72は、記録主データ情報Daに基づいて主データ記録信号Swの信号レベルを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる(図14(B))。このとき埋込信号生成部73は、記録副データ情報Dbに基づいてプラス埋込信号Sm+及びマイナス埋込信号m−の信号レベルを「Low」レベルのまま保持する(図14(C)及び(D))。
【0140】
これに応じて駆動制御部22は、リレー駆動電流Ufにおいてマーク記録層Yに応じた電流値を維持する。またレーザ制御部74は、主データ記録信号Swに応じてレーザ駆動電流を生成しこれをレーザダイオード51に供給する。この結果レーザダイオード51から出射された青色光ビームLb1が照射ラインTL上に照射され、当該照射ラインTL上に記録マークRMが形成される(図14(F))。
【0141】
また時点t1において、主データ記録信号生成部72は、記録主データ情報Daに基づいて主データ記録信号Swの信号レベルを「High」レベルから「Low」レベルに立ち下げる(図14(B))。このときレーザ制御部74は、主データ記録信号Swに応じてレーザ駆動電流を生成することにより、レーザダイオード51からの青色光ビームLb1の出射をほぼ停止する。
【0142】
さらに時点t2において、主データ記録信号生成部72は、記録主データ情報Daに基づいて主データ記録信号Swの信号レベルを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる(図14(B))。このとき埋込信号生成部73は、記録副データ情報Dbに基づいてプラス埋込信号Sm+の信号レベルを「High」に立ち上げる(図14(C))一方、マイナス埋込信号m−を「Low」レベルのまま保持する(図14(D))。
【0143】
これに応じて駆動制御部22は、リレー駆動電流Ufにおいてマーク記録層Yに応じた電流値に対して所定のズレ電流値Δ+mだけ加算する。またレーザ制御部74は、主データ記録信号Swに応じてレーザ駆動電流を生成しこれをレーザダイオード51に供給する。この結果レーザダイオード51から出射された青色光ビームLb1が照射ラインTLからズレ量ΔMcだけプラス方向にずれた位置に照射され、当該ずれた位置に記録マークRMが形成される(図14(F))。
【0144】
時点t3において、主データ記録信号生成部72は、記録主データ情報Daに基づいて主データ記録信号Swの信号レベルを「High」レベルから「Low」レベルに立ち下げる(図14(B))。このとき埋込信号生成部73は、プラス埋込信号Sm+の信号レベルを「High」レベルから「Low」レベルに立ち下げる。またレーザ制御部74は、主データ記録信号Swに応じてレーザ駆動電流を生成することにより、レーザダイオード51からの青色光ビームLb1の出射をほぼ停止する。
【0145】
続く時点t4において、主データ記録信号生成部72は、記録主データ情報Daに基づいて主データ記録信号Swの信号レベルを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる(図14(B))。このとき埋込信号生成部73は、記録副データ情報Dbに基づいてプラス埋込信号Sm+の信号レベルを「Low」レベルのまま保持する(図14(C))一方、マイナス埋込信号m−を「High」レベルに立ち上げる(図14(D))。
【0146】
これに応じて駆動制御部22は、リレー駆動電流Ufにおいてマーク記録層Yに応じた電流値に対して所定のズレ電流値Δ−mだけ加算する。またレーザ制御部74は、主データ記録信号Swに応じてレーザ駆動電流を生成しこれをレーザダイオード51に供給する。この結果レーザダイオード51から出射された青色光ビームLb1が照射ラインTLからズレ量ΔMcだけマイナス方向にずれた位置に照射され、当該ずれた位置に記録マークRMが形成される(図14(F))。
【0147】
そして時点t5において、主データ記録信号生成部72は、記録主データ情報Daに基づいて主データ記録信号Swの信号レベルを「High」レベルから「Low」レベルに立ち下げる(図14(B))。このとき埋込信号生成部73は、プラス埋込信号Sm−の信号レベルを「High」レベルから「Low」レベルに立ち下げる。またレーザ制御部74は、主データ記録信号Swに応じてレーザ駆動電流を生成することにより、レーザダイオード51からの青色光ビームLb1の出射をほぼ停止する。
【0148】
このように光ディスク装置20は、記録主データ情報Daに応じたタイミングで目標トラックに青色光ビームLb1を照射して記録マークRMを形成することにより記録層101に記録主データ情報Daを記録する。また光ディスク装置20は、記録副データ情報Dbに応じて記録マークRMを当該記録マークRMごとにフォーカス方向にずらすことにより、記録層101に記録副データ情報Dbを記録するようになされている。
【0149】
また光ディスク装置20は、赤色光フォーカスエラー信号SFErに基づいて対物レンズ40を変位させながら、当該反射層104を基準とした深さdだけ離隔する目標マーク位置に青色光ビームLb1を照射するようにリレーレンズ58の可動レンズ58Aを制御する。このとき光ディスク装置20は、記録副データ情報Dbに応じ、照射ラインTLからフォーカスズレ量ΔMcだけフォーカス方向にずれた位置を目標マーク位置に設定するようにした。
【0150】
これにより光ディスク装置20は、赤色光ビームLr1を反射層104に合焦させるよう対物レンズ40を変位させるため、後は赤色光ビーム反射層104を基準として青色光ビームLb1の焦点Fbが目標マーク位置に応じた目標深さに位置するよう制御すれば良い。このため光ディスク装置20は、記録副データ情報Dbに応じて可動レンズ58Aを微少に変位させるだけの簡易な制御によって記録マークRMのフォーカス方向の位置に応じて副のデータを埋め込み得るようになされている。
【0151】
(1−5)情報再生処理
情報再生処理の際、光ディスク装置20における信号処理部23は、青色光ビームLb1に基づいて記録主データ情報Daに対応する再生主データ情報Ra及び記録副データ情報Dbに対応する再生副データ情報Rbを生成し、これらを再生情報としてシステムコントローラ21に供給するようになされている。
【0152】
具体的に信号処理部23は、検出信号SDbから再生信号SRF及び青色フォーカスエラー信号SFEbを生成すると共に、これを再生制御部80に供給する。
【0153】
図15に示すように、再生制御部80は、再生信号SRFを再生クロック生成部81及び主データ情報再生部82に供給する一方、青色フォーカスエラー信号SFEbを副データ情報再生部83に供給する。
【0154】
図16(B)及び(C)に示すように、再生クロック生成部81は、例えばPLL(Phased Locked Loop)回路により再生信号SRFから再生クロックCLrを抽出し、主データ情報再生部82に供給する。
【0155】
主データ情報再生部82は、図16(D)に示すように、再生クロックCLrを基準として再生信号SRFを2値化することにより、再生2値化信号SROを生成し、副データ情報再生部83に供給する。また主データ情報再生部82は、再生2値化信号SROに対して復調処理及び復号化処理などの各種信号処理を施すことにより、再生主データ情報Raを生成し、システムコントローラ21に供給する。
【0156】
副データ情報再生部83は、再生2値化信号SROの立ち下がり及び立ち上がりタイミングに応じて記録マークRMの有無(すなわち記録マークRMの長さ及び当該記録マークRMの形成されていないスペースの長さ)を判別すると共に、記録マークRMに対する青色フォーカスエラー信号SFEbの信号レベルに基づいて当該記録マークRMにおけるフォーカス方向のズレの有無を検出し、ズレ検出信号(図示しない)を生成する。
【0157】
副データ情報再生部83は、ズレ検出信号に対して復調処理及び復号化処理などの各種信号処理を施すことにより、再生副データ情報Rbを生成し、システムコントローラ21に供給するようになされている。
【0158】
例えば時点t10において副データ情報再生部83は、再生2値化信号SROが「Low」レベルから「High」レベルに立ち上がったことにより、記録マークRMに対して青色光ビームLb1が照射されている(すなわち記録マークRMが検出されている)と認識する。
【0159】
時点t11において主データ情報再生部82は、再生2値化信号SROが「High」レベルから「Low」レベルに立ち下がったことにより、記録マークRMに対する青色光ビームLb1の照射が終了したと認識し、記録マークRMが3Tマークであると判別する。このとき副データ情報再生部83は、時点t10から時点t11までにおける青色フォーカスエラー信号SFEbの信号レベルの平均値(以下、これをSFEマーク平均値と呼ぶ)を算出する。
【0160】
さらに副データ情報再生部83は、SFEマーク平均値が3段階のいずれのレベルであるか否かを判別する。すなわち副データ情報再生部83は、SFEマーク平均値が第1の副情報閾値以上であるか、SFEマーク平均値が第1の情報閾値未満かつ第2の副情報閾値以上であるか、若しくはSFEマーク平均値が第2の副情報閾値未満であるかについて判別する。
【0161】
具体的に時点t11において副データ情報再生部83は、第1の情報閾値未満かつ第2の副情報閾値以上であると判別すると、記録マークRMが照射ラインTL上に形成されていると認識し、ズレ検出信号の信号レベルを「0」に設定する。
【0162】
また時点t12において主データ情報再生部82は、再生2値化信号SROが「Low」レベルから「High」レベルに立ち上がり、時点t13において再生2値化信号SROが「Low」に立ち下がると、スペースが3Tスペースであると判別する。このとき副データ情報再生部83は、時点t11と同様にしてSFEマーク平均値が3段階のいずれのレベルであるか否かを判別する。
【0163】
時点t13において、主データ情報再生部82は、同様にして記録マークRMが7Tマークであると判別する。このとき副データ情報再生部83は、SFEマーク平均値が第1の閾値以上であると判別すると、記録マークRMがプラス方向にずれて形成されていると認識し、ズレ検出信号の信号レベルを「+1」に設定する。
【0164】
また時点t14において再生2値化信号SROが「Low」レベルから「High」レベルに立ち上がり、時点t15において再生2値化信号SROが「Low」に立ち下がると、主データ情報再生部82は、同様にしてスペースが4Tスペースであり、記録マークRMが4Tマークであると判別する。
【0165】
このとき副データ情報再生部83は、時点t11と同様にしてSFEマーク平均値が3段階のいずれのレベルであるか否かを判別する。副データ情報再生部83は、SFEマーク平均値が第2の閾値未満であると判別すると、記録マークRMがマイナス方向にずれて形成されていると認識し、ズレ検出信号の信号レベルを「−1」に設定する。
【0166】
このように光ディスク装置20は、青色光ビームLb2に基づいて再生信号SRFを生成することにより記録種データ情報Daに対応する再生主データ情報Raを再生し得る。また光ディスク装置20は、青色フォーカスエラー信号SFEbに基づいて記録マークRMの照射ラインTLからのズレの有無を検出することにより、記録副データ情報Dbに対応する再生副データ情報Rbを再生し得るようになされている。
【0167】
また光ディスク装置20は、赤色フォーカスエラー信号SFErに基づいて対物レンズ40をフォーカス制御しながら青色フォーカスエラー信号SFEbに基づいて記録マークRMのズレの有無を検出するようにした。
【0168】
すなわち光ディスク装置20では、青色フォーカスエラー信号SFEbに応じて青色光ビームLb1を記録マークRMの中心に照射するように制御しないため、青色フォーカスエラー信号SFEbを記録マークRMの当該照射ラインTLからのフォーカスズレ量ΔMcに応じた振幅にすることができる。
【0169】
これにより光ディスク装置20は、青色光ビームLb1を常にほぼ照射ラインTL上に照射することができるため、記録マークRMの当該照射ラインTLからのフォーカスズレ量ΔMcに応じて青色フォーカスエラー信号SFEbを大きく変動させることが可能となる。この結果光ディスク装置20は、記録マークRMの照射ラインTLからの僅かなズレを確実に検出することができ、高い精度で副のデータを再生し得るようになされている。
【0170】
(1−6)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置20は、情報光としての青色光ビームLb1を集光して光情報記録媒体としての光ディスク100に照射する。このとき光ディスク装置20は、対物レンズ40が光情報記録媒体に対して離隔及び近接するフォーカス方向に青色光ビームLb1の焦点Fbを移動させることにより青色光ビームLb1を照射すべき目標深さに当該青色光ビームLb1の焦点Fbを移動させる。
【0171】
また光ディスク装置20は、主のデータに基づく記録主データ情報Daに応じて光源であるレーザダイオード51を制御することにより光ディスク100における仮想の照射ラインTLに沿って記録マークRMを形成する。そして光ディスク装置20は、副のデータに基づく記録副データ情報Dbに応じて目標深さをフォーカス方向に移動させることにより記録マークRMの中心を照射ラインTLからフォーカス方向にずらして形成する。
【0172】
ここで光ディスク100の記録層101では、厚みのある記録層101に立体的な記録マークRMを形成されることが想定されており、フォーカス方向に記録マークRMが形成されないスペースが存在する。
【0173】
光ディスク装置20では、このフォーカス方向のスペースを活用し、記録マークRMをフォーカス方向にずらして形成することにより、記録層101における主のデータの記憶容量を変えることなく、副のデータをも記録することができる。すなわち光ディスク装置20は、光ディスク100の記憶容量を実質的に向上させることが可能となる。
【0174】
ここで記録層101では、記録マークRMの高さRMhよりもトラックTRの高さが大きく、フォーカス方向間において各記録マークRMが一定距離だけ離間して形成されることが想定されている。
【0175】
光ディスク装置20は、記録マークRMの中心線CFRを照射ラインTLから僅かにずらすことにより副のデータを記録する。これにより光ディスク装置20は、記録マークRMを照射ラインTL上からずらすことによって記録マークRM間を殆ど近接させずに済み、情報再生時に記録マークRM同士が干渉するいわゆるクロストークを抑制することができる。
【0176】
また光ディスク装置20は、記録マークRMの中心線CFRが照射ラインTLからずれるものの依然として照射ラインTLに沿って記録マークRMを形成することができるため、情報再生処理時において青色光ビームLb2の光量に殆ど影響を与えずに済み、良好な再生信号SRFを生成することができる。
【0177】
さらに光ディスク装置20は、対物レンズ駆動部としての2軸アクチュエータ40Aによって対物レンズ40を駆動し、フォーカス制御用のサーボ光である赤色光ビームLr1を対物レンズ40によって集光する。また光ディスク装置20は、赤色光ビームLr1が光ディスク100の有する反射層104に合焦するように対物レンズ40を駆動する。
【0178】
このとき光ディスク装置20は、焦点移動部としての可動レンズ58Aによって赤色光ビームLr1の焦点Frから青色光ビームLb1の焦点Fbを任意の距離だけ離隔させることにより青色光ビームLb1を照射するべき目標深さに当該青色光ビームLb1の焦点Fbを合わせる。
【0179】
これにより光ディスク装置20は、赤色光ビームLrに基づいて青色光ビームLb1の焦点Fbを照射ラインTLに合致させることができるため、後はフォーカスズレ量ΔMcに応じて可動レンズ58Aを駆動するだけの簡易な制御で焦点Fbを目標マーク位置に合致させることができる。
【0180】
換言すると光ディスク装置20は、記録マークRMを形成すべきマーク層Yに応じて可動レンズ58Aの位置を移動するのみであり、同一のマーク層Yに記録マークRMを形成する間は通常当該可動レンズ58Aを変位させない。従って光ディスク装置20は、殆ど変位しない状態の可動レンズ58Aを副のデータに応じて僅かに変位するだけで良く、可動レンズ58Aに大きな負荷をかけずに済む。
【0181】
ここで例えば記録マークRM内で記録マークRMの中心線CFCをずらす場合には、情報再生処理の際、青色フォーカスエラー信号SFEbのピークを情報として検出することになる。この場合、青色フォーカスエラー信号SFEbに突発的に発生するノイズと情報とを区別できなくなる可能性が生じる。
【0182】
これに対して光ディスク装置20は、記録マークRMごとに記録マークRMの中心線CFCを照射ラインTLからフォーカス方向にずらして形成する。これにより光ディスク装置20では、記録マークRMに対応する期間に亘って青色フォーカスエラー信号SFEbの信号レベルを変動させることができるため、記録マークRMに埋め込まれた情報を確実に再生させることができる。
【0183】
また光ディスク装置20は、発散光中に配置された可動レンズ58Aを駆動することにより、可動レンズ58Aの移動距離などに制限なく、焦点Fbをフォーカス方向において自在に移動させることができる。
【0184】
さらに光ディスク装置20は、青色光ビームLb1が光ディスク100によって反射されてなる反射光ビームとしての青色光ビームLb2に基づいて再生信号SRFを生成することにより、光ディスク100における仮想の照射ラインTL上に沿って形成された記録マークRMの有無を検出する。そして光ディスク装置20は、当該記録マークRMの有無に基づいて主のデータを再生主データ情報Raとして再生する。
【0185】
また光ディスク装置20は、青色光ビームLb1の光量に基づいて、対物レンズ40が光ディスク100に対して離隔及び近接するフォーカス方向に対する青色光ビームLb1の焦点Fbと記録マークRMとの焦点ズレ量を表す青色フォーカスエラー信号SFEbを生成することにより、当該焦点ズレ量を検出する。そして光ディスク装置20は、当該青色フォーカスエラー信号SFEbに基づいて、記録マークRMの中心線CFCと照射ラインTLとをずらすことにより記録された副のデータを再生副データ情報Rbとして再生する。
【0186】
これにより光ディスク装置20は、記録層101に記録マークRMとして記録された主のデータ及び副のデータの双方を再生することができる。
【0187】
さらに光ディスク装置20は、光ディスク100の反射層104に対して赤色光ビームLr1を合焦させるよう対物レンズ40を駆動すると共に、赤色光ビームLr1の焦点Frから青色光ビームLb1の焦点Fbを任意の距離だけ離隔させることにより青色光ビームLb1を照射するべき目標深さに青色光ビームLb1の焦点Fbを合わせる。
【0188】
これにより光ディスク装置20は、記録マークRMが照射ラインTLからずれていても何ら影響のない赤色フォーカスエラー信号SFErを用いて焦点Fbのフォーカス制御を行うことができるため、従来の光ディスク装置と同様の高精度のフォーカス制御を実行することができる。
【0189】
また光ディスク装置20は、記録層101に主のデータ及び副のデータの記録及び再生が可能な光情報記録再生装置でなる。これにより光ディスク装置20は、例えば記録情報を所定の割合で主のデータと副のデータとに分離して記録し、これを再生することにより、光ディスク100の記録容量を増大させることができる。
【0190】
光ディスク100は、位置制御用に照射される赤色光ビームLrの少なくとも一部を反射する反射層104を有している。これにより光ディスク100は、光ディスク装置20に対して赤色光ビームLrを用いて対物レンズ40をフォーカス制御させることができるため、副のデータを埋め込んだことにより信号レベルに変化の生じる青色フォーカスエラー信号SFEbをフォーカス制御に使用させなくて済む。このため光ディスク100は、情報再生処理時において対物レンズ40のフォーカス制御に何ら影響を与えないで主のデータ及び副のデータを再生させることが可能となる。
【0191】
また光ディスク100は、凹凸でなるグルーブ及びランドによって位置情報が記録されていることにより、光ディスク装置20に容易にトラッキング制御をさせ得る。
【0192】
以上の構成によれば、光ディスク装置20は、厚さを有し立体的な記録マークRMが形成される記録層101において、主のデータを表す記録マークRMを記録層101の内部に生じるフォーカス方向のスペースに記録マークRMを変位させることができる。
【0193】
これにより光ディスク装置20は、フォーカス方向への変位によって記録マークRMに副のデータを埋め込むことができ、かくして副のデータを記録することができる光情報記録装置及び光情報記録方法、副のデータを再生することができる光情報再生装置及び光情報再生方法、並びに副のデータが記録されてなる光情報記録媒体を実現できる。
【0194】
(1−7)他の実施の形態
なお上述した第1の実施の形態においては、青色光ビームLb1の焦点Fbを移動させる焦点移動部として可動レンズ58Aを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。要は青色光ビームLb1に球面収差を付加する球面収差発生手段であれば良く、例えば青色光ビームLb1の位相を変化させる回折素子や液晶素子などの位相変調素子やエキスパンダーなどの各種光学素子であっても良い。またこれらの光学素子を可動させるようにしても良い。
【0195】
また上述した第1の実施の形態においては、記録マークRMごとに記録マークRMの中心線CFCをフォーカス方向にずらして当該記録マークRMを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば記録マークRM内で中心線CFCを徐々にずらすことにより照射ラインTLに対してフォーカス方向に傾くように記録マークRMを形成するようにしても良い。またフォーカスズレ量ΔMcを複数設定することにより記録マークRMの中心線CFCを同一方向において複数段階にずらすようにしても良い。
【0196】
さらに上述した第1の実施の形態においては、一の記録マークの中心線CFCを照射ラインTLからずらして当該一の記録マークRMを形成すると、次の記録マークRMの中心線CFCを当該ずらした位置から変位させて次の記録マークRMを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば一の記録マークRMをプラス方向にずらして形成した後、次の記録マークRMを照射ラインTLに合致させて形成することにより、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。また一の記録マークRM及び次の記録マークRMを連続して同一方向(プラス方向又はマイナス方向)にずらして形成するようにしても良い。
【0197】
さらに上述した第1の実施の形態においては、所定強度以上でなる青色光ビームLb1に応じて記録層101に気泡でなる記録マークRMが形成される光ディスク100に本発明を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば光の照射によって屈折率が変化する記録層101の全域に対して予めホログラムを形成しておき、青色光ビームLb1の照射によって当該ホログラムを破壊することにより記録マークRMを形成するような光ディスクや屈折率変化により3次元形状を有する立体的な記録マークRMが形成される光ディスク100に対して本発明を適用するようにしても良い。
【0198】
さらに一の光源から出射された青色光ビームLbを青色光ビームLb1及びLb2に分離して、体積型メディア121vの両面側から同一の目標マーク位置に照射することによりホログラムでなる記録マークRMを形成するようにしても良い。なおこの光ディスク装置の構成は、上述した特許文献2に記載されている。
【0199】
さらに上述した第1の実施の形態においては、サーボ光として青色光ビームLb1とは波長の異なる赤色光ビームLr1を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば青色光ビームLb1を分離し、サーボ光ビームとして反射層に照射するようにしても良い。この場合、反射層としては青色光ビームLb1及びサーボ光ビームLb1の少なくとも一部又は全部を反射する膜が用いられる。
【0200】
さらに上述した第1の実施の形態においては、反射層104が対物レンズ40の反対側にある基板103と記録層101との間に設けられるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。要は光ディスクとして少なくとも記録層と反射層を有していれば良い。
【0201】
例えば反射層が対物レンズ40側にある基板102と記録層101との間に設けられるようにできる。この場合反射層104は、例えば対物レンズ40のサーボ制御用に使用される波長の光(赤色レーザ光)の100%を反射する一方、記録・再生用に使用される波長の光(青色レーザ光)の100%を透過させる反射透過層として形成されることにより、赤色光ビームLr1を反射して赤色光ビームLr2を生成すると共に、青色光ビームLb1を目標マーク位置に照射することができる。
【0202】
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ピックアップ26が図7に示した構成を有するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、適宜光学部品の配置や数、種類などを変更することができる。例えば1/4波長板36、57の代わりに、偏光ビームスプリッタ37と対物レンズ40との間に1/4波長板を一つだけ設けるようにしたり、サーボ光学系30及び情報50の位置関係を変更して光学系ダイクロイックプリズム37の代わりに赤色光ビームLr1を透過させ、青色光ビームLb1を反射させるダイクロイックプリズムを用いるようにしても良い。
【0203】
さらに上述した第1の実施の形態においては、円盤状でなる光ディスク100に記録マークRMを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばキューブ状(直方体)でなる光情報記録媒体に記録マークRMを記録するようにしても良い。
【0204】
さらに上述した第1の実施の形態においては、情報光として波長が405[nm]でなる青色光ビームLb1を用い、サーボ光として波長が660[nm]でなる赤色光ビームLr1を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。情報光及びサーボ光としての波長に制限はなく、光ディスク100や光ディスク装置20の特性に応じて適宜選択することが可能である。
【0205】
さらに上述した第1の実施の形態においては、非点収差法により青色光ビームLb2に基づいて青色フォーカスエラー信号SFEbを生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えばナイフエッジ法や内外差動法など種々の方式により青色フォーカスエラー信号SFEbを生成することが可能である。また赤色フォーカスエラー信号SFErについても同様である。さらに赤色トラッキングエラー信号STErについても、DPP(Differential Push Pull)法やDPD(Differential Phase Detection)法など種々の方式により生成することができる。
【0206】
さらに上述した第1の実施の形態においては、記録情報をEFM変調により変調し、3T〜11Tでなるマーク長の記録マークRM及びスペースにより主のデータを記録するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の変調方式により記録情報を変調しても良い。また1つの記録マークRMが1ビットの情報を表し、記録マークRMの有無が「1」又は「0」を表すことにより情報を記録しても良い。
【0207】
さらに上述した第1の実施の形態においては、可動レンズ58がリレー駆動電流Ufに応じた位置に移動するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば駆動電流に応じて移動し、次に駆動電流が供給されるまで変位しないように可動レンズを制御することも可能である。
【0208】
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク100に螺旋状の照射ラインTLが想定されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば同心円状に照射ラインTLが想定されたり、直線状の照射ラインTLが想定されるようにしても良い。
【0209】
さらに上述した第1の実施の形態においては、照射ラインTLに対して記録マークRMの中心線CFCをフォーカス方向にずらすようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。照射ラインTLに対して記録マークRMの中心線CFCを光ディスク100の半径方向であるトラッキング方向にずらして当該記録マークRMを形成するようにしても良い。
【0210】
この場合、次に示す(5)式に従って生成される青色トラッキングエラー信号STEbを用いることにより、上述した実施の形態と同様にして副データを再生することが可能となる。この場合であっても、上述した実施の形態と同様、光ディスク装置が赤色光ビームLr2に基づくトラッキングエラー信号STErに従ってトラッキング制御を行うため、対物レンズのトラッキング制御に何ら影響を与えることなく記録マークRMに埋め込まれた副データを再生することが可能となる。
【0211】
【数5】

【0212】
さらに上述した第1の実施の形態においては、対物レンズとしての対物レンズ40と、焦点移動部としての可動レンズ58Aと主データ記録部としての主データ記録信号生成部72及び駆動制御部22と、副データ記録部としての埋込信号生成部73及び駆動制御部22によって光情報記録装置としての光ディスク装置20を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる対物レンズと、焦点移動部と、主データ記録部と、副データ記録部とによって本発明の光情報記録装置を構成するようにしても良い。
【0213】
さらに上述した第1の実施の形態においては、光源としてのレーザダイオード51と、対物レンズとしての対物レンズ40と、記録マーク検出部としてのフォトディテクタ63と、ズレ検出部としての再生制御部80とによって光情報再生装置としての光ディスク装置20を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる対物レンズと、焦点移動部と、記録マーク検出部と、ズレ検出部とによって本発明の光情報再生装置を構成するようにしても良い。
【0214】
さらに上述した第1の実施の形態においては、記録層としての記録層101によって光情報記録媒体としての光ディスク100を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる記録層によって本発明の光情報記録媒体を構成するようにしても良い。
【0215】
さらに上述した第1の実施の形態においては、記録層としての記録層101と、反射層としての反射層104とによって光情報記録媒体としての光ディスク100を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる記録層と、反射層とによって本発明の光情報記録媒体を構成するようにしても良い。
【0216】
(2)第2の実施の形態
図17〜図21は、第2の実施の形態を示すもので、図1〜16に示す第1の実施の形態に対応する部分を同一符号で示し、重複部分についての説明を省略する。第2の実施の形態においては、光ディスク200が反射層104を有していない点と、記録専用の光情報記録装置120によって情報を記録し、再生専用の光情報再生装置130によって情報を再生する点とが第1の実施の形態とは異なっている。
【0217】
(2−1)光ディスクの構成
光ディスク200(図示しない)は、情報を記録するための記録層101を中心に基板102及び103により当該記録層101を両面から挟むように構成された3層構造でなる。
【0218】
従って第1の実施の形態による光ディスク100のように反射層104や、当該反射層104上に形成されたランド及びグルーブは形成されていない。
【0219】
また光ディスク200における記録層101並びに基板102及び103の厚さt1、t2及びt3や材質などは光ディスク100と同様なため、説明を省略する。
【0220】
(2−2)光情報記録装置の構成
光情報記録装置120(図示せず)は、再生制御部80を有さない点及び光ピックアップ126としての構成が異なる点以外は光ディスク装置20(図6)とほぼ同一構成でなるため、説明を省略する。
【0221】
図17に示すように、光情報記録装置120の光ピックアップ126は、光ディスク200に対して青色光ビームLb1を照射するようになされている。
【0222】
具体的に光ピックアップ126のレーザダイオード151は、駆動制御部22の制御により405[nm]でなる青色光ビームLb1を出射し、コリメータレンズ152に入射させる。
【0223】
コリメータレンズ152は、発散光でなる青色光ビームLb1を平行光に変換し、対物レンズ140に入射させる。対物レンズ140は、青色光ビームLb1を集光し、光ディスク200に照射するようになされている。
【0224】
ここで光ピックアップ126では、対物レンズ140に当該対物レンズ140と光ディスク200の入射面200Aとのディスク距離HAを検出する距離検出器が設けられている。
【0225】
ここで空気中において対物レンズ140が青色光ビームLb1を集光するときの焦点距離をHX、入射面200Aから目標マーク位置までの距離である入射面深さをHd、光ディスク200(基板102及び記録層101)の屈折率をnとすると、ディスク距離HAを以下のように表すことができる。
【0226】
【数6】

【0227】
従って光ディスク装置120では、ディスク距離HAを目標マーク位置の入射面深さHdに応じて設定された設定ディスク距離HAsに保つように対物レンズ140をフォーカス方向に駆動することにより、青色光ビームLb1を目標マーク位置に照射することが可能となる。
【0228】
具体的に距離検出器は、ディスク距離HAに応じた距離信号を生成し、信号処理部23に供給する。図18(E)に示すように、信号処理部23は、距離信号に基づいて設定ディスク距離HAsと検出されたディスク距離HAとのズレ量を表す入射面変位信号SCKを生成し、駆動制御部22に供給する。
【0229】
駆動制御部22は、第1の実施の形態(図13)と同様にして記録制御部70の埋込信号生成部73によって生成されたプラス埋込信号Sm+及びマイナス埋込信号Sm−が供給されると、入射面変位信号SCKと当該プラス埋込信号Sm+及びマイナス埋込信号Sm−を重畳し、フォーカス駆動電流SFDを生成する。
【0230】
すなわち駆動制御部22は、図18(F)に示すように、入射面変位信号SCKに対して所定の係数を乗算して乗算値を生成すると共に、プラス埋込信号Sm+及びマイナス埋込信号Sm−の信号レベルが「High」の期間に応じて当該乗算値を所定のズレ電流値Δm±だけ加算する。
【0231】
例えば時点t31において、駆動制御部22は、プラス埋込信号Sm+が「High」に立ち上がると、乗算値にズレ電流値Δ+mを加算することによりフォーカス駆動電流SFDを生成する。そして時点t32において、駆動制御部22は、プラス埋込信号Sm+が「Low」に立ち下がると、ズレ電流値Δ+mの加算を停止し、乗算値をそのままフォーカス駆動電流SFDとして算出する。
【0232】
また時点t33において、駆動制御部22は、マイナス埋込信号Sm−が「High」に立ち上がると、乗算値にズレ電流値Δ−mを加算することによりフォーカス駆動電流SFDを生成する。そして時点t34において、駆動制御部22は、プラス埋込信号Sm−が「Low」に立ち下がると、ズレ電流値Δ−mの加算を停止し、乗算値をそのままフォーカス駆動電流SFDとして算出する。
【0233】
そして駆動制御部22は、フォーカス駆動電流SFDを2軸アクチュエータ140に供給する。2軸アクチュエータ140は、フォーカス駆動電流SFDに応じた位置に対物レンズ140を駆動するようになされている。
【0234】
この結果光情報記録装置120は、プラス埋込信号Sm+及びマイナス埋込信号Sm−が共に「Low」レベルのときには、ディスク距離HAを設定ディスク距離HAsに保つことができ、青色光ビームLb1の焦点Fbを照射ラインTL上に合致させ得るようになされている。
【0235】
また光情報記録装置120は、プラス埋込信号Sm+及びマイナス埋込信号Sm−のいずれか一方が「High」のときには、ズレ電流値Δ±mに応じた距離(すなわちフォーカスズレ量ΔMc×屈折率n)だけディスク距離HAを設定ディスク距離HAsからずらすよう対物レンズ140を駆動する。
【0236】
これにより光情報記録装置120は、照射ラインTL上からフォーカス方向(プラス方向又はマイナス方向)にフォーカスズレ量ΔMcだけずれた目標マーク位置に青色光ビームLb1の焦点Fbを合致させるようになされている。
【0237】
このように光情報記録装置120は、基準となる反射層104を有さない光ディスク200に対し、対物レンズ140を変位させることにより青色光ビームLb1の焦点Fbを移動させると共に、ディスク距離HAを制御することにより焦点Fbを目標マーク位置に合致させるようにした。
【0238】
これにより光情報記録装置120は、第1の実施の形態と異なりサーボ光学系30が不要となり、光ピックアップ126としての構成を簡易にし得るようになされている。
【0239】
(2−3)光情報再生装置の構成
光情報再生装置130(図示せず)は、記録制御部70を有さない点及び光ピックアップ160及び再生制御部180としての構成が異なる点以外は光ディスク装置20(図6)とほぼ同一構成でなるため、説明を省略する。
【0240】
図19に示すように、光情報再生装置130の光ピックアップ160は、光ディスク200に対して青色光ビームLb1を照射すると共に、青色光ビームLb1が光ディスク200によって反射されてなる青色光ビームLb2を受光するようになされている。
【0241】
具体的に光ピックアップ160のレーザダイオード161は、駆動制御部22の制御により405[nm]でなる青色光ビームLb1を出射し、コリメータレンズ162に入射させる。
【0242】
コリメータレンズ162は、発散光でなる青色光ビームLb1を平行光に変換し、偏光ビームスプリッタ163に入射させる。偏光ビームスプリッタ163は、偏光面163Sにおいて偏光方向に応じて青色光ビームLb1を透過又は反射させるようになされており、P偏光でなる青色光ビームLb1を透過させ、1/4波長板164に入射させる。
【0243】
1/4波長板164は、直線偏光でなる青色光ビームLb1を円偏光に変換し、対物レンズ165に入射させる。対物レンズ165は、青色光ビームLb1を集光し、光ディスク200に照射する。
【0244】
ここで光ディスク200における目標マーク位置近傍に記録マークRMが形成されていた場合、青色光ビームLb1は当該記録マークRMによって反射され、青色光ビームLb1とは回転方向が逆でなりかつ反対方向に進行する青色光ビームLb2として対物レンズ165に入射される。さらに青色光ビームLb2は、1/4波長板164によってS偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ163に入射される。
【0245】
偏光ビームスプリッタ163は、S偏光でなる青色光ビームLb2をその偏光方向により反射し、集光レンズ166に入射させる。集光レンズ166は、青色光ビームLb2を集光し、シリンドリカルレンズ167によって非点収差を付加した上で、ピンホール板168を介してフォトディテクタ169に照射する。
【0246】
フォトディテクタ169は、フォトディテクタ63(図12)と同様の構成を有しており、当該フォトディテクタ63と同様にして検出信号SDAb〜SDAdを生成し、信号処理部23(図6)に供給する。
【0247】
信号処理部23は、(3)式及び(4)式に従って再生信号SRF及び青色フォーカスエラー信号SFEbを生成するようになされている。
【0248】
ここで光ディスク200には、既に情報が記録されており、記録マークRMが形成されていることが想定されている。そこで光情報再生装置160では、青色光ビームLb1がこの記録マークRMから反射されてなる反射光ビームLb2を用いて対物レンズ165をフォーカス制御するようになされている。
【0249】
具体的に光情報再生装置130の信号処理部23は、図20に示すように、再生信号SRF(図21(B))を再生制御部180における再生クロック生成部81及び主データ情報再生部82に供給すると共に、青色フォーカスエラー信号SFEbを帯域フィルタ部183に供給する。
【0250】
主データ情報再生部82は、第1の実施の形態と同様にして再生クロック生成部81から供給される再生クロックCLr(図21(C))にタイミングを合致させて再生2値化信号SRO(図21(D))を生成する。さらに主データ情報再生部82は、当該再生2値化信号に基づいて再生主データ情報Raを生成し、システムコントローラ21に供給する。
【0251】
帯域フィルタ部183は、青色フォーカスエラー信号SFEb(図21(E))が供給されると、当該青色フォーカスエラー信号SFEbを所定の周波数帯域でフィルタリング処理する。この結果青色フォーカスエラー信号SFEbは、図21(F)及び(G)に示すように比較的高周波数でなる高域フォーカス信号SFEbHと比較的低周波数でなる低域フォーカス信号SFEbLとに分離される。
【0252】
ここで光情報再生装置130は、対物レンズ165を固定した場合、青色光ビームLb1の焦点Fbを常に同一位置に照射することになり、光ディスク200の回転に応じて照射位置がトラックTRに沿って徐々に変化することになる。
【0253】
光ディスク200の歪みや装填時の不具合などによる面ブレに起因して発生する記録マークRMに対する焦点Fbのずれは、光ディスク200の回転に応じた周期で発生する低周波として出現することが多い。
【0254】
また上述したように光ディスク200では記録マークRMごとに照射ラインTLからフォーカス方向にずれて形成されることにより副のデータが埋め込まれている。従ってこの副のデータに起因して発生する記録マークRMに対する焦点Fbのずれは、各記録マークRMに対応して高周波として出現する。
【0255】
従って青色フォーカスエラー信号SFEbにおける高周波成分である高域フォーカス信号SFEbHは副のデータを表していることになる。また青色フォーカスエラー信号SFEbの低周波成分である低域フォーカス信号SFEbLは焦点Fbの照射ラインTLからのズレ量を表していることになる。
【0256】
帯域フィルタ部183(図20)は、高域フォーカス信号SFEbHを副データ情報再生部184に供給する一方、低域フォーカス信号SFEbLを駆動制御部22に供給する。
【0257】
副データ情報再生部184は、高域フォーカス信号SFEbHに対して第1の実施の形態と同様の各種信号処理を施して副データ情報Rbを生成し、システムコントローラ21に供給する。
【0258】
駆動制御部22は、低域フォーカス信号SFEbLに基づいてフォーカス駆動電流SFDを生成し、これを2軸アクチュエータ165Aに供給する。これにより駆動制御部22は、記録マークRMが照射ラインTLからずれて形成されているにも拘わらず、青色光ビームLb1を照射ラインTL上に照射するよう対物レンズ165を駆動し得るようになされている。
【0259】
このように光情報再生装置130は、青色フォーカスエラー信号SFEbを高周波成分でなる高域フォーカス信号SFEbHと低周波成分でなるフォーカス信号SFEbLに分離する。そして光情報差生成装置130は、高域フォーカス信号SFEbHに基づいて副データ情報Raを生成する一方、低域フォーカス信号SFEbLに基づいて対物レンズ165のフォーカス制御を実行するようにした。
【0260】
これにより光情報再生装置130は、サーボ光学系30や距離検出器などを設けなくても記録マークRMに埋め込まれた副のデータを再生することができ、その構成を簡易にし得るようになされている。
【0261】
また光情報再生装置130は、青色フォーカスエラー信号SFEbから副のデータに基づく高周波成分を除去した低域フォーカス信号SFEbLに基づいて対物レンズ165を駆動することにより、青色光ビームLb1を照射ラインTLに照射することができる。これにより光情報再生装置130は、青色フォーカスエラー信号SFEbを副のデータに基づいて変動させ得るようになされている。
【0262】
(2−4)動作及び効果
以上の構成によれば、光情報記録装置120は、対物レンズ140と光情報記録媒体としての光ディスク200の入射面200Aとのディスク距離HAを検出することにより、対物レンズ140と光ディスク200の相対的な位置関係を検出する。そして光情報記録装置120は、対物レンズ140を駆動してディスク距離HAを制御することにより青色光ビームLb1の焦点Fbを目標深さに移動させるようにした。
【0263】
これにより光情報記録装置120は、サーボ光学系30の代りにディスク距離HAを検出するための距離検出器を設ければ良く、サーボ制御のための多数の光学部品が不要となり、構成を簡易にすることができる。
【0264】
また光情報記録装置120では、対物レンズ140をフォーカス方向に駆動することにより青色光ビームLb1の焦点Fbを移動させるようにした。これにより光情報記録装置120では、光ディスク装置20のように可動レンズ58Aを設ける必要がなく、構成を簡易にすることができる。
【0265】
さらに光情報再生装置130では、対物レンズ165をフォーカス方向に駆動することにより青色光ビームLb1の焦点Fbを移動させると共に、焦点ズレ量としてのフォーカスエラー信号SFEbを高周波成分である高域フォーカス信号SFEbHと低周波成分である低域フォーカス信号SFEbLとに分離する。そして光情報再生装置130では、高域フォーカス信号SFEbHに基づいて副のデータを再生し、低域フォーカス信号SFEbLに基づいて対物レンズを駆動する。
【0266】
これにより光情報再生装置130では、副のデータが埋め込まれた記録マークRMから主のデータ及び副のデータを再生すると共に、当該記録マークRMによって反射される青色光ビームLb2に基づいて、すなわち既に記録済みの記録マークRMを利用して青色光ビームLb1が照射ラインTLに照射されるよう対物レンズ165をフォーカス制御することができる。
【0267】
また光情報記録装置120では、情報記録処理の際、一の記録マークRMの中心線CFCを照射ラインTLからフォーカス方向にずらして当該一の記録マークRMを形成すると、次の記録マークRMの中心CFCを当該ずらした位置から変位させて当該次の記録マークRMを形成する。
【0268】
これにより光情報記録装置120では、照射ラインTLからずらして記録された一の記録マークRMの次の記録マークRMを照射ラインTL上又は逆方向にずらして記録でき、照射ラインTLからずらして記録された記録マークRMを連続させることなく、記録マークRMを間欠的に照射ラインTLからずらすことができる。
【0269】
これにより光情報記録装置120は、光情報再生装置130による情報再生処理の際に生成される青色フォーカスエラー信号SFEbの副のデータに起因する信号レベルの変動を高周波にすることができ、帯域フィルタ部183によって適切に高域フォーカス信号SFEbHと低域フォーカス信号SFEbLに分離させることができる。
【0270】
以上の構成によれば、光情報記録装置120は、光ディスク200と対物レンズ140との相対的な位置関係を基に対物レンズ140を駆動することにより、青色光ビームLb1を目標深さに照射する。これにより光情報記録装置120は、サーボ制御用の光を受光するための光学部品が不要となり、構成を簡易にすることができる。
【0271】
また光情報再生装置130は、青色光ビームLb2を基に対物レンズ165を駆動することにより、青色光ビームLb1を目標深さに照射する。これにより光情報再生装置130は、別途サーボ制御用の光を用いた場合と比較して当該サーボ制御用の光を照射及び受光するための光学部品が不要となり、構成を簡易にすることができる。
【0272】
(2−5)他の実施の形態
なお上述した第2の実施の形態においては、光情報記録装置120における対物レンズ140にディスク距離HAを測定する距離検出器を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば光ディスク200を載置するステージやスピンドルモータ24にディスク距離HAを測定するセンサなどを設置するようにしても良い。
【0273】
また必ずしもディスク距離HAを基に目標マーク位置を決定する必要はなく、例えば予め光ディスク200にサーボ制御用のサーボ用記録マークが形成されている場合には、当該サーボ用記録マークを用いてフォーカス制御を実行することができる。また既に記録済みの記録マークRMに対してサーボ制御用のサーボ光ビームを照射することによりフォーカス制御を実行しても良い。
【0274】
さらに上述した第2の実施の形態においては、光情報再生装置130が青色フォーカスエラー信号SFEbに基づいて対物レンズ165のフォーカス制御を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば光情報記録装置120と同様、距離検出器により測定されるディスク距離HAを用いてフォーカス制御するようにしても良い。
【0275】
さらに上述した第2の実施の形態においては、低域フォーカス信号SFEbLを用いて対物レンズ165のフォーカス制御を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば青色フォーカスエラー信号SFEbにおける副のデータによる高周波成分の振幅が比較的小さい場合などには、青色フォーカスエラー信号SFEbをそのまま用いることが可能である。この場合、高域フォーカス信号SFEbHを十分に増幅することにより、副のデータを再生することができる。
【0276】
(3)本発明の適用
次に、上述した本発明の適用例について具体例を挙げて説明する。なお説明の便宜上、符号については第1の実施の形態の光ディスク100及び光ディスク装置20を用いて説明するが、第2の実施の形態を適用することも可能である。
【0277】
(3−1)コピー防止システム
図22(A)に示すように、コピー防止システム210では、光ディスク100に映像データや音楽データなどの主のデータを記録マークRMとして記録しておく。またコピー防止システム210では、副のデータとして当該光ディスク100が正規の光ディスク100であることを示すディスク識別符号EDを所定の方式で変調し、変調識別符号EDrとして記録しておく。この変調識別符号EDrは、例えば最内周のTOC(Table Of Contents)領域において記録マークRMを照射ラインTLからフォーカス方向にずらすことにより記録される。
【0278】
光ディスク100を再生する光ディスク装置20は、光ディスク100から読み出された変調識別符号EDrからディスク識別符号EDを再生できた場合には、当該光ディスク100が正規に作製されたものと判断し、当該光ディスク100に記録された主のデータを再生する。
【0279】
一方光ディスク装置20は、図22(B)に示すように光ディスクに変調識別符号EDrが記録されておらず、ディスク識別符号EDを再生できない場合には、当該光ディスクが例えば違法に複製されたいわゆる海賊盤など正規の光ディスクでない不正光ディスク100Xであると判断し、当該不正光ディスク100Xから主のデータを再生しないようになされている。
【0280】
また光ディスク100では、フォーカスズレ量ΔMcを小さく設定しているため、記録マークRMを記録する光ディスク装置20として精密なフォーカス制御を必要とすることになり、第三者に対し、不正光ディスク100Xの作製を困難にすることが可能となる。
【0281】
この場合光ディスク100では、ディスク識別符号EDを所定の方式で変調し、変調識別符号EDrとして記録することが好ましい。このため仮に第三者が不正光ディスク100Xに変調識別符号EDrを記録しようとした場合、光ディスク100と同一の方式でディスク識別符号EDを変調させる必要が生じることになる。この結果、光ディスク100は、第三者による変調識別符号EDrの記録を一段と困難にさせ得るようになされている。なおこの変調方法については、特許文献1などに記載されている。
【0282】
すなわちコピー防止システム210では、再生可能な状態の不正光ディスク100Xを作製するための工程を極めて困難にすることができ、第三者による不正光ディスク100Xの販売を実質上防止することができる。
【0283】
また他のコピー防止システム211(図示しない)として、主のデータを暗号化して記録マークRM及びスペースとして記録し、この暗号化の解除に必要なキー情報を副のデータとして記録するようにしても良い。この場合、光ディスク100の全域に主のデータ及び副のデータの両方が記録されることになる。
【0284】
さらに副のデータとしては、キー情報の選択、復号に必要なデータを記録する場合等、暗号化の解除に必要な種々のデータを記録してもよい。
【0285】
(3−2)その他の適用例
さらに本発明は、コピー防止システム以外にも適用することが可能である。
【0286】
例えばアドレス情報を副のデータとして記録することが可能である。この場合、例えばセクタの先頭部分から記録マークRMとして主データを記録すると共に、当該先頭部分の記録マークRMを照射ラインTLから変位させることにより記録マークRMにアドレス情報を埋め込むようにする。これにより主のデータとしてアドレス情報を記録する必要がなくなるため、光ディスク100としての記録容量を向上させることが可能となる。
【0287】
またデータの再生回数、コピー回数など、副次的に発生する情報を副のデータとして記録するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0288】
本発明は、例えば映像コンテンツや音声コンテンツ等のような大容量の情報を光ディスク等の記録媒体に記録し又は再生する光ディスク装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0289】
【図1】光ディスクの外観を示す略線図である。
【図2】光ディスクの内部構成を示す略線図である。
【図3】記録マークの形成(1)の説明に供する略線図である。
【図4】記録マークの形成(2)の説明に供する略線図である。
【図5】副のデータの埋込と各種信号の説明に供する略線図である。
【図6】光ディスク装置の構成を示す略線図である。
【図7】光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図8】赤色光ビームの光路の説明に供する略線図である。
【図9】フォトディテクタにおける検出領域の構成(1)を示す略線図である。
【図10】青色光ビームの光路の説明に供する略線図である。
【図11】ピンホールによる光ビームの選別の説明に供する略線図である。
【図12】フォトディテクタにおける検出領域の構成(2)を示す略線図である。
【図13】記録制御部の構成を示す略線図である。
【図14】第1の実施の形態による情報記録処理の説明に供する略線図である。
【図15】第1の実施の形態による再生制御部の構成を示す略線図である。
【図16】第1の実施の形態による情報再生処理の説明に供する略線図である。
【図17】光情報記録装置による光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図18】第2の実施の形態による情報記録処理の説明に供する略線図である。
【図19】光情報再生装置における光ピックアップの構成を示す略線図である。
【図20】第2の実施の形態による再生制御部の構成を示す略線図である。
【図21】第2の実施の形態による情報再生処理の説明に供する略線図である。
【図22】コピー防止システムの構成を示す略線図である。
【符号の説明】
【0290】
20……光ディスク装置、21……システムコントローラ、22……駆動制御部、26、126、160……光ピックアップ、30……サーボ光学系、31、51、151、161……レーザダイオード、34、54、163……偏光ビームスプリッタ、37……ダイクロイックプリズム、36、57……1/4波長板、40……対物レンズ、40A……2軸アクチュエータ、43、63……フォトディテクタ、50……情報光学系、62……ピンホール板、70……記録制御部、71……記録クロック生成部、72……主データ記録信号生成部、73……埋込信号生成部、80、180……再生制御部、81……再生クロック生成部、82……主データ情報再生部、83、184……副データ情報再生部、183……帯域フィルタ部、Lb1、Lb2……青色光ビーム、Lr1、Lr2……赤色光ビーム、100、100X、200……光ディスク、101……記録層、102、103……基板、104……反射層、SFR……再生信号、SFEr……赤色フォーカスエラー信号、SFEb……青色フォーカスエラー信号、SFEbH……高域フォーカス信号、SFEbL……低域フォーカス信号、TL……照射ライン、RM……記録マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射された所定の強度以上でなる情報光が照射されることにより情報を記録マークとして記録する光情報記録媒体に対して、上記情報光を集光して光情報記録媒体に照射する対物レンズと、
上記対物レンズが上記光情報記録媒体に対して離隔及び近接するフォーカス方向に上記情報光の焦点を移動させることにより上記情報光を照射すべき目標深さに上記情報光の焦点を移動させる焦点移動部と、
主のデータに基づく情報に応じて上記光源を制御することにより上記光情報記録媒体における仮想の照射ラインに沿って記録マークを形成する主データ記録部と、
副のデータに基づく情報に応じて上記目標深さを上記フォーカス方向に移動させることにより上記記録マークの中心を上記照射ラインから上記フォーカス方向にずらして形成する副データ記録部と
を有する光情報記録装置。
【請求項2】
上記対物レンズを駆動する対物レンズ駆動部
を有し、
上記対物レンズは、
フォーカス制御用のサーボ光を上記対物レンズによって集光し、
上記対物レンズ駆動部は、
上記サーボ光が上記光情報記録媒体の有する反射層に合焦するように上記対物レンズを駆動し、
上記焦点移動部は、
上記サーボ光の焦点から上記情報光の焦点を任意の距離だけ離隔させることにより上記情報光を照射するべき目標深さに当該情報光の焦点を合わせる
請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項3】
上記副データ記録部は、
上記記録マークごとに上記記録マークの中心を上記照射ラインから上記フォーカス方向にずらして形成する
請求項2に記載の光情報記録装置。
【請求項4】
上記副データ記録部は、
一の記録マークの中心を上記照射ラインから上記フォーカス方向にずらして当該一の記録マークを形成すると、次の記録マークの中心を当該ずらした位置から変位させて当該次の記録マークを形成する
請求項3に記載の光情報記録装置。
【請求項5】
上記焦点移動部は、
上記情報光に球面収差を付加する球面収差発生手段である
請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項6】
上記焦点移動部は、
発散光又は収束光中に配置された可動レンズでなる
請求項5に記載の光情報記録装置。
【請求項7】
上記焦点移動部は、
上記情報光の位相を変化させる位相変調素子である
請求項5に記載の光情報記録装置。
【請求項8】
上記焦点移動部は、
上記対物レンズを上記フォーカス方向に駆動する対物レンズ移動部である
請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項9】
上記対物レンズと上記光情報記録媒体とのディスク距離を検出する距離検出器
を有し、
上記焦点移動部は、
上記ディスク距離を制御することにより上記目標深さに上記情報光の焦点を移動させる
請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項10】
光源から出射された所定の強度以上でなる情報光が照射されることにより情報を記録マークとして記録する光情報記録媒体に対して、主のデータに基づく情報に応じて光源から出射される情報光を照射することにより光情報記録媒体における仮想の照射ラインに沿って記録マークを形成する際、副のデータに基づく情報に応じて上記情報光の焦点を上記フォーカス方向に移動させることにより上記記録マークの中心を上記照射ラインから上記フォーカス方向にずらして形成する記録マーク形成ステップ
を有する光情報記録方法。
【請求項11】
情報光を出射する光源と、
上記情報光を集光して光情報記録媒体に照射する対物レンズと、
上記情報光が上記光情報記録媒体によって反射されてなる反射光ビームに基づいて上記光情報記録媒体における仮想の照射ライン上に沿って形成された記録マークの有無を検出する記録マーク検出部と、
上記反射光ビームに基づいて上記対物レンズが上記光情報記録媒体に対して離隔及び近接するフォーカス方向に対する上記照射ラインと上記記録マークの中心とのズレの有無を検出するズレ検出部と
を有する光情報再生装置。
【請求項12】
上記ズレ検出部は、
上記記録マークごとに上記記録マークの中心が上記照射ラインからの上記フォーカス方向に対するズレの有無を検出する
請求項11に記載の光情報記録装置。
【請求項13】
上記ズレ検出部は、
一の記録マークの中心が上記照射ラインから上記フォーカス方向にずらして形成され、次の記録マークの中心を当該ずらした位置から変位させて形成された当該次の記録マークのズレを検出する
請求項11に記載の光情報記録装置。
【請求項14】
上記対物レンズを駆動する対物レンズ駆動部と、
上記情報光の焦点を上記フォーカス方向に移動させる焦点移動部と、
を有し、
上記対物レンズは、
フォーカス制御用のサーボ光を上記対物レンズによって集光し、
上記対物レンズ駆動部は、
上記サーボ光が上記光情報記録媒体の有する反射層に合焦するように上記対物レンズを駆動し、
上記焦点移動部は、
上記サーボ光の焦点から上記情報光の焦点を任意の距離だけ離隔させることにより上記情報光を照射するべき目標深さに当該情報光の焦点を合わせる
請求項11に記載の光情報再生装置。
【請求項15】
上記対物レンズを駆動する対物レンズ駆動部
を有し、
上記副のデータ生成部は、
上記焦点ズレ量を高周波成分と低周波成分とに分離し、上記高周波成分に基づいて上記副のデータを生成し、
上記対物レンズ駆動部は、
上記低周波成分に基づいて上記対物レンズを駆動する
請求項11に記載の光情報再生装置。
【請求項16】
光源から出射された光が上記光情報記録媒体によって反射されてなる反射光ビームを受光する受光ステップと、
上記反射光ビームに基づいて記録マークの有無を検出し、また上記反射光ビームに基づいて上記対物レンズが上記光情報記録媒体に対して離隔及び近接するフォーカス方向に対する上記照射ラインと上記記録マークの中心とのズレの有無を検出する検出ステップと
を有する光情報再生方法。
【請求項17】
情報光の照射に応じて形成される記録マークの有無により主のデータが記録され、上記記録マークの中心が上記情報光の光軸に平行なフォーカス方向にずらして形成されることにより副のデータが記録され、照射された情報光を上記記録マークにより変調する記録層
を有する光情報記録媒体。
【請求項18】
位置制御用に照射されるサーボ光の少なくとも一部を反射する反射層
を有する請求項17に記載の光情報記録媒体。
【請求項19】
上記反射層には、
凹凸又はピットによって位置情報が記録されている
請求項17に記載の光情報記録媒体。
【請求項20】
光源から出射された所定の強度以上でなる情報光が照射されることにより情報を記録マークとして記録する光情報記録媒体に対して、上記情報光及びサーボ制御用のサーボ光を集光して照射する対物レンズと、
上記光情報記録媒体に形成され上記サーボ光の少なくとも一部を反射させる反射層に対し、上記サーボ光を合焦させるよう上記対物レンズを駆動する対物レンズ駆動部と、
上記サーボ光の球面収差を変化させることにより、上記対物レンズが上記光情報記録媒体に対して近接及び離隔するフォーカス方向に、上記サーボ光の焦点から上記情報光の焦点を任意の距離だけ離隔させ、上記情報光を照射するべき目標深さに当該情報光の焦点を合わせる焦点移動部と、
主のデータに基づく情報に応じて上記光源を制御することにより上記光情報記録媒体における仮想の照射ラインに沿って記録マークを形成する主データ記録部と、
副のデータに基づく情報に応じて上記目標深さを上記フォーカス方向に移動させることにより上記記録マークの中心を上記照射ラインからずらす副データ記録部と
を有する光情報記録装置。
【請求項21】
情報再生用の情報光及びサーボ制御用のサーボ光を集光して照射する対物レンズと、
上記光情報記録媒体に形成され上記サーボ光の少なくとも一部を反射させる反射層に対し、上記サーボ光を合焦させるよう上記対物レンズを駆動する対物レンズ駆動部と、
上記サーボ光の球面収差を変化させることにより、上記対物レンズが上記光情報記録媒体に対して近接及び離隔するフォーカス方向に、上記サーボ光の焦点から上記情報光の焦点を任意の距離だけ離隔させ、上記情報光を照射するべき目標深さに当該情報光の焦点を合わせる焦点移動部と、
上記情報光が上記光情報記録媒体によって反射されてなる反射光ビームに基づいて、上記光情報記録媒体における仮想の照射ライン上に沿って形成された記録マークの有無を検出する記録マーク検出部と、
上記反射光ビームに基づいて上記対物レンズが上記光情報記録媒体に対して離隔及び近接するフォーカス方向に対する上記照射ラインと上記記録マークの中心とのズレの有無を検出するズレ検出部と
を有する光情報再生装置。
【請求項22】
仮想の照射ライン上に沿って形成された記録マークの有無により主のデータが記録されると共に、当該記録マークの中心を上記照射ラインからずらして形成してなることにより副のデータが記録され、照射された情報光を上記記録マークにより変調する記録層と、
上記記録層における上記情報光の位置を任意の位置に合わせるために照射されるサーボ光の少なくとも一部を反射させる反射層と
を有する光情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−266285(P2009−266285A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113064(P2008−113064)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】