説明

光情報記録装置および光情報再生装置

【課題】 ピックアップを軽くして、高速で記録媒体にアクセスできるようにして転送レートを向上させ、駆動手段を小型化することを目的とする。
【解決手段】 光源3と、光源からの光に情報を担持させて情報光を生成する空間光変調器9と、光源からの光から参照光を生成する参照光生成手段と、情報光および参照光を記録媒体に照射する対物レンズ23と、空間光変調器から対物レンズまでの間に配置された第一及び第二のリレーレンズ13,19と、一対のリレーレンズの間に配置された反射面が直交する一対の反射体15,17と、一対のリレーレンズから対物レンズまでの間に配置された光軸の方向を対物レンズに向ける偏向手段21とを有し、対物レンズおよび偏向手段が配置された第一の移動部2aと、第二のリレーレンズ19が配置された第二の移動部2bと、一対の反射体が配置された第三の移動部2cとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを利用した光情報記録装置および光情報再生装置に係り、特に、記録媒体の所定の記録位置又は再生位置にアクセスするためのサーボ機構を有する光情報記録装置および光情報再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホログラフィを利用して記録媒体に情報を記録するホログラフィック記録は、一般的に、記録用光を構成するイメージ情報を担持した情報光と記録用参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉パターンを記録媒体に書き込むことによって行われる。記録された情報の再生時には、その記録媒体に再生用参照光を照射することにより、干渉パターンによる回折によりイメージ情報が再生される(特許文献1、2参照)。
【0003】
近年では、超高密度光記録のために、ボリュームホログラフィ、特にデジタルボリュームホログラフィが実用域で開発され注目を集めている。ボリュームホログラフィとは、記録媒体の厚み方向も積極的に活用して、3次元的に干渉パターンを書き込む方式であり、厚みを増すことで回折効率を高め、多重記録を用いて記録容量の増大を図ることができるという特徴がある。そして、デジタルボリュームホログラフィとは、ボリュームホログラフィと同様の記録媒体と記録方式を用いつつも、記録するイメージ情報は2値化したデジタルパターンに限定した、コンピュータ指向のホログラフィック記録方式である。このデジタルボリュームホログラフィでは、例えばアナログ的な絵のような画像情報も、一旦デジタイズして、2次元デジタルパターン情報に展開し、これをイメージ情報として記録する。再生時は、このデジタルパターン情報を読み出してデコードすることで、元の画像情報に戻して表示する。これにより、再生時にSN比(信号対雑音比)が多少悪くても、微分検出を行ったり、2値化データをコード化しエラー訂正を行ったりすることで、極めて忠実に元の情報を再現することが可能になる。
【0004】
ところで、ホログラフィック記録の方式としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等と同様にディスク状の記録媒体を採用して、記録媒体に対する情報の記録と記録媒体からの情報の再生を行なうための光学系を含む光ピックアップ装置を使用する方式が有力である。
【0005】
従来の光情報記録再生装置における光ピックアップ装置は、光束を出射する光源と、この光源から出射される光束を空間的に変調することによって、情報を担持した情報光を生成する情報光生成手段と、光源から出射される光束を用いて記録用参照光を生成する記録用参照光生成手段と、光源から出射される光束を用いて再生用参照光を生成する再生用参照光生成手段と、記録媒体のホログラム記録層に情報光と記録用参照光との干渉による干渉パターンによって情報が記録されるように、情報光と記録用参照光とをホログラム記録層に対して照射し、再生用参照光をホログラム記録層に対して照射すると共に、再生用参照光が照射されることによってホログラム記録層より発生される再生光を収集する記録再生光学系と、この記録再生光学系によって収集された再生光を検出する検出手段とを有していた(特許文献1、2)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−311938号公報(請求項17参照)
【特許文献2】特開平2004−362750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した特許文献1に記載されている従来の光情報記録再生装置は、所定の記録位置又は再生位置に記録又は再生するため、光ピックアップ装置全体を記録媒体の半径方向に移動させてスライドサーボを行っていた。しかしながら、光ピックアップ装置は、光源、情報光生成手段、記録用参照光生成手段、再生用参照光生成手段、記録再生光学系および検出手段を含むため、体積が大きく重量が重かった。このため、光ピックアップ装置を駆動させる駆動手段が大型化し、その結果光情報記録再生装置も大型化してしまった。
【0008】
また、従来の光情報記録再生装置は、光ピックアップ装置が重く、慣性が働くため、光ピックアップ装置を高速で記録媒体にアクセスすることができず、転送レートが低下してしまっていた。
【0009】
従来、ホログラフィを利用していない光情報記録再生装置であるCDドライブやDVDドライブにおいては、移動する部分の体積を小さくし、重量を軽くするために、対物レンズを光源側と分離して記録媒体の照射位置に合わせて移動させていた。これは、CDドライブやDVDドライブにおいては、光学系が光の強度(エネルギー)のみを伝えることができれば良かったため可能であった。
【0010】
しかしながら、ホログラフィック記録再生の光学系は、対物レンズによって空間的に変調された情報光および記録用参照光を記録媒体に照射し、記録媒体のホログラム記録層において干渉させて記録するものであるから、対物レンズの入射瞳面において、少なくとも空間光変調器(情報表現手段)によって空間的に変調された情報光を結像させる必要があった。また、再生する時は、再生用参照光によって記録媒体のホログラム記録層から発生した再生光の対物レンズの射出瞳面における像を最終的には検出手段において結像させる必要があった。
【0011】
このため、図8(A)に示すように、焦点距離の等しい一対のリレーレンズ103,105を設け、空間光変調器(情報表現手段)101の表示面101aに表示された像を対物レンズ109の入射瞳面109aにおいて結像させていた。つまり、4f系の光学系として、空間光変調器(情報表現手段)101から焦点距離f1だけ離れた位置に第一のリレーレンズ103を配置し、第一のリレーレンズ103から焦点距離f1の2倍だけ離れた位置に第二のリレーレンズ105を配置し、第二のリレーレンズ105から焦点距離f1だけ離れた位置に入射瞳面109aが位置するように対物レンズ109を配置していた。また、再生時には、同様に4f系の光学系によって、対物レンズの射出瞳面に再生された像を検出手段の入射面において結像させていた。なお、図8において、記録媒体111は、半径方向の断面を示しており、図8中右側に記録媒体111の回転中心が存在する。ミラー107は、光軸の向きを記録媒体111に対して垂直になるように曲げるものである。
【0012】
かかるホログラフィック記録再生において、従来、ホログラフィを利用していないCDドライブやDVDドライブで採用されていたように対物レンズを分離して移動させると、対物レンズの入射瞳面の位置も移動するので、対物レンズと第二のリレーレンズとの距離も変化してしまう。
【0013】
図8(B)は、空間光変調器(情報表現手段)101の位置を固定して、対物レンズ109を分離して移動させた時に必要とされる光学系を示す図である。図8(B)に示すように、空間光変調器101の位置を固定して、対物レンズ109の位置を記録媒体111の内周側(図8中右側)に移動した場合、空間光変調器101の表示面101aと対物レンズ109の入射瞳面109aとが共役な関係となる必要がある。このため、図8(A)の一対のリレーレンズ103,105とは異なる焦点距離f2の一対のリレーレンズ103’,105’が必要であった。
【0014】
このような課題に対し、本出願人は、特願2004−235105号において、図9に示すように、一対のリレーレンズ103,105の間に、反射面が直交する一対の反射体113a、113bを配置し、対物レンズ109および対物レンズ側の第二のリレーレンズ105を配置した第一の移動部115と、一対の反射体113a、113bを配置した第二の移動部117とを設ける光情報記録再生装置を提案した。この構成によれば、第一のリレーレンズ103から第二のリレーレンズ105までの距離を変えることなく、対物レンズ109を移動させることができる。つまり、対物レンズ109を距離Lだけ移動させる場合、対物レンズ109が配置された第一の移動部115を距離Lだけ移動させる。さらに、第二の移動部117を同じ方向に半分の距離L/2だけ移動させると、第一の移動部115から第二の移動部117までの距離が距離L/2だけ近づき、第二の移動部117と第一のリレーレンズ105までの距離が距離L/2だけ遠ざかることになる。この結果、第一のリレーレンズ103から第二のリレーレンズ105までの距離は変わらず、空間光変調器101に表示された像を対物レンズ109の入射瞳面109aに結像させることができる。
【0015】
しかしながら、記録媒体111の表面のうねりや記録再生時における振動によって、記録媒体111から対物レンズ109までの距離が変化することから、さらに対物レンズ109を光軸方向(例えば図9の矢印119の方向)に移動させて焦点を合わせる位置決め(以下「フォーカスサーボ」と呼ぶ)を設けることが好ましい。図9の構成において、対物レンズ109を矢印119の方向に距離xだけ移動させると、対物レンズ109の入射瞳面109aも光軸方向(図9の矢印120の方向)に距離xだけ移動することになり、空間光変調器101に表示された像を入射瞳面109aに結像できなくなる。
【0016】
また、記録再生時における記録媒体の表面と平行な方向についても振動するため、位置ずれが生じる。さらに円盤状の記録媒体111を回転させて記録再生する場合は、円盤の中心と回転中心がずれていると、トラック位置が半径方向にずれる。これらの位置ずれを補正するため、記録媒体の表面と平行な方向における微小な位置決め(以下「トラッキングサーボ」と呼ぶ)を行なう場合、なるべく移動部を小さく軽くした方が好ましい。
【0017】
本発明は、以上の点を鑑みて、光ピックアップ装置の移動する部分を軽くして、高速で記録媒体にアクセスできるようにして転送レートを向上させることおよび駆動手段を小型化し、その結果光情報記録装置および光情報再生装置も小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達成するため本発明の光情報記録装置は、光源と、前記光源からの光に情報を担持させて情報光を生成する空間光変調器と、前記光源からの光から参照光を生成する参照光生成手段と、前記情報光および前記参照光を記録媒体に照射する対物レンズと、前記空間光変調器から前記対物レンズまでの間に配置された一対のリレーレンズと、前記一対のリレーレンズの間に配置された反射面が直交する一対の反射体と、前記一対のリレーレンズから前記対物レンズまでの間に配置された光軸の方向を前記対物レンズに向ける偏向手段とを有し、前記対物レンズおよび前記偏向手段が配置された第一の移動部と、前記一対のリレーレンズのうち対物レンズ側のリレーレンズが配置された第二の移動部と、前記一対の反射体が配置された第三の移動部とを備えたことを特徴とする。
【0019】
更に、上記光情報記録装置において、前記第一の移動部は前記第二の移動部に配置され、前記第一の移動部が前記第二の移動部による移動に加えて、独立して移動可能とされていることが好ましい。
【0020】
更に、上記光情報記録装置において、前記第一乃至第三の移動部の移動を制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記空間光変調器から前記対物レンズまでの光路長が一定となるように前記第一乃至第三の移動部を制御することが好ましい。
【0021】
更に、上記光情報記録装置において、前記対物レンズは、前記偏光手段から独立して、さらに光軸方向に移動可能であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の光情報再生装置は、光源と、前記光源からの光から参照光を生成する参照光生成手段と、前記参照光を記録媒体に照射し、前記記録媒体から発生した再生光が入射する対物レンズと、前記再生光を検出する検出手段と、前記対物レンズから前記検出手段までの間に配置された一対のリレーレンズと、前記一対のリレーレンズの間に配置された反射面が直交する一対の反射体と、前記一対のリレーレンズから前記対物レンズまでの間に配置された光軸の方向を前記対物レンズに向ける偏向手段とを有し、前記対物レンズおよび前記偏向手段が配置された第一の移動部と、前記一対のリレーレンズのうち対物レンズ側のリレーレンズが配置された第二の移動部と、前記一対の反射体が配置された第三の移動部とを備えたことを特徴とする。
【0023】
更に、上記光情報再生装置において、前記第一の移動部は前記第二の移動部に配置され、前記第一の移動部が前記第二の移動部による移動に加えて、独立して移動可能とされていることが好ましい。
【0024】
更に、上記光情報再生装置において、前記第一乃至第三の移動部の移動を制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記空間光変調器から前記検出手段までの光路長が一定となるように前記第一乃至第三の移動部を制御することが好ましい。
【0025】
更に、上記光情報再生装置において、前記対物レンズは、前記偏光手段から独立して、さらに光軸方向に移動可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の光情報記録装置においては、一対のリレーレンズの間の距離を一定に保った上で、対物レンズの相対的な位置関係を変えることができ、ピックアップ全体ではなく、第一乃至第三の移動部を移動させることで記録媒体の所定の照射位置にスライドサーボすることができる。さらに、対物レンズと偏光手段を配置した第一の移動部を有するので、より移動部を軽量化することができ、微小な変位に対してもより正確かつ高速で位置決めすることが可能である。そして、光ピックアップ装置の移動する部分が軽くなるので、駆動手段を小型化することができ、光情報記録装置も小型化することができる。更に光ピックアップ装置の移動する部分が軽くなるので、高速で記録媒体にアクセスすることができ、転送レートを向上させることができる。また、対物レンズのみを移動させてフォーカスサーボを行なったとしても、空間光変調器に表示された像を対物レンズの入射瞳面に結像させることができ、信頼性を向上させることができる。
【0027】
また、本発明の光情報再生装置においては、一対のリレーレンズの間の距離を一定に保った上で、対物レンズの相対的な位置関係を変えることができ、ピックアップ全体ではなく、第一乃至第三の移動部を移動させることで記録媒体の所定の照射位置にスライドサーボすることができる。さらに、対物レンズと偏光手段を配置した第一の移動部を有するので、より移動部を軽量化することができ、微小な変位に対してもより正確かつ高速で位置決めすることが可能である。そして、光ピックアップ装置の移動する部分が軽くなるので、駆動手段を小型化することができ、光情報再生装置も小型化することができる。更に光ピックアップ装置の移動する部分が軽くなるので、高速で記録媒体にアクセスすることができ、転送レートを向上させることができる。また、対物レンズのみを移動させてフォーカスサーボを行なったとしても、対物レンズの射出瞳面に再生された再生光の像を検出手段において結像させることができ、信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0029】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る光情報記録再生装置1の全体的な構成について説明する。この光情報記録再生装置1は、記録媒体51が取り付けられる取付部61と、ピックアップ2と、ピックアップ駆動手段62と、制御手段63とを備えている。
【0030】
記録媒体51は、ホログラムを記録するホログラム記録層を有している。記録媒体51として、ディスク状の記録媒体を使用し、回転させつつ記録再生を行なう方式の場合は、CDドライブやDVDドライブにおいて使用されているディスク駆動機構を使用することができ、更には、CDドライブやDVDドライブとの互換性を持たせることも容易になるので好ましい。この場合、光情報記録再生装置1は、取り付け部61を駆動して記録媒体51を回転させる記録媒体駆動手段64を備えており、記録媒体51の回転速度を所定の値に保つように制御手段63によって記録媒体駆動手段64が制御される。
【0031】
記録媒体51としては、ディスク状に限定されるものではなく、また記録再生時において記録媒体51を回転または移動させなくともよい。例えば、カード状の記録媒体51を使用して、所定の位置に保持した後、ピックアップを移動させる場合であっても本件発明を適用することができる。
【0032】
また、記録媒体51に、位置決め用の情報を予め記録しておき、ピックアップ2の位置決めにフィードバック機構を採用すると、より正確な位置決めを行なうことができ好ましい。記録媒体51に位置決め用の情報を予め記録しておく点については、特許文献1に詳述している。
【0033】
ピックアップ2は、記録媒体51に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、記録媒体51に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、記録媒体1に記録されている情報を再生するものである。ピックアップ2は、第一の移動部2a、第二の移動部2bおよび第三の移動部2cを有し、記録媒体51の記録位置又は再生位置に対物レンズを移動可能とされている。
【0034】
第一の移動部2aには、対物レンズ23および偏向手段21が配置されており、第二の移動部2bには、対物レンズ側のリレーレンズ19が配置されており、第三の移動部2cには、一対の反射体15、17が配置されている。なお、ピックアップ2の他の部分は、光情報記録再生装置に固定されていてもよいし、移動可能であってもよい。例えば、最初に、ピックアップ2を記録位置又は再生位置の大体の位置決め(以下「スライドサーボ」という)を行ない、その後、精密な位置決め(例えば、トラッキングサーボやフォーカスサーボ)を行なう多段階の位置決め機構を採用して、スライドサーボにおいては、ピックアップ2全体を大体の位置まで移動し、その後、第一乃至第三の移動部2a〜cによって精密な位置決めを行なってもよい。
【0035】
ピックアップ2によって記録媒体51から再生された情報は、制御手段63に送られ、制御手段63の信号処理機能によってデコードされる。また、ピックアップ2に記録媒体51の位置決め用の情報を読み取るための機能を持たせた場合は、ピックアップ2によって記録媒体51から読み取った位置決め用の情報は、制御手段63に送られ、制御手段63の検出機能によって位置のずれを検出し、ピックアップ駆動手段62またはピックアップ2による照射位置の位置決めにフィードバックされる。
【0036】
ピックアップ駆動手段62は、第一乃至第三の移動部2a〜cを移動する手段をそれぞれ独立して有していてもいいし、一部共通していてもよい。後述するように、第二の移動部2bおよび第三の移動部2cは、移動軸が同じであるから、ピックアップ駆動手段62の一部を共通化させることが可能である。例えば、同じ搬送レールを使用することができる。部品を共通化させると、小型化および軽量化に有効であり、製造コストも削減することができるので好ましい。ピックアップ駆動手段62として、例えばリニアモータを使用することができる。
【0037】
制御手段63は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)およびRAM(ランダム・アクセス・メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、制御手段63の機能を実現するようになっている。制御手段63は、ピックアップ駆動手段62を制御して、ピックアップ2の第一乃至第三の移動部2a〜cの移動を制御する。更に、記録する情報を信号処理機能によってエンコードして、ピックアップ2の空間光変調器に送り、ピックアップ2によって記録媒体51に情報を記録させる。また、制御手段63は、上述したように、再生時に再生された情報をデコードする機能を有し、さらに位置決め用の情報から位置のずれを検出する機能を有していてもよい。
【0038】
図2は、本発明に係る光情報記録再生装置のピックアップ2の概略平面図を示すものであり、図3乃至図6は、図2のピックアップ2において照射位置を移動させた状態を示す図である。本発明のピックアップ2は、記録および再生用の光源3、コリメータレンズ5、第一の偏光ビームスプリッタ7、空間光変調器9と、第二の偏光ビームスプリッタ11、第一のリレーレンズ13、一対の反射体15および17、第二のリレーレンズ19、偏向手段21、対物レンズ23および検出手段25を有している。
【0039】
さらに、ピックアップ2は、対物レンズ23および偏向手段21が配置された第一の移動部2aと、第二のリレーレンズ19が配置された第二の移動部2bと、一対の反射体15および17が配置された第三の移動部2cとを備えている。なお、第一乃至第三の移動部2a〜cには、上記部品だけではなく、さらに適宜必要な部品が配置されていてもよい。例えば、第一の移動部2aには、後述するフォーカスサーボ用アクチュエータ27が配置されていてもよいし、第二の移動部2bには、四分の一波長板が配置されていてもよいし、第三の移動部2cには、一対の反射体15および17の間の焦点fに、高次の回折光を取り除く開口(アパーチャー)を焦点fの移動に合わせて移動可能に配置してもよい。
【0040】
図2乃至図6において、光源3、コリメータレンズ5、第一の偏光ビームスプリッタ7、空間光変調器9と、第二の偏光ビームスプリッタ11、第一のリレーレンズ13および検出手段25が配置された部分2dは、位置が移動せず固定されているが、これは説明を簡単にするためであり、前述したとおり、移動部としてもよいし固定部としてもよい。
【0041】
また、記録媒体51は、第1基板52、反射層53、ホログラム記録層54および第2基板55を備えている。更に、記録媒体51に、位置決め用の情報を予め記録しておき、照射位置の位置決めにフィードバック機構を採用すると、より正確な位置決めを行うことができるので好ましい。例えば、反射層53の表面に位置決め用の情報としてピットを形成し、位置決め用の情報を予め記録してもよい。なお、位置決め情報を読み取る光として、記録又は再生用の光とは異なる波長の光を使用する場合は、ピットを形成した位置決め情報を読み取る光に対する反射層とは別に、記録又は再生用の光を反射する波長選択反射層を設けてもよい。例えば、反射層53とホログラム記録層54との間に、記録又は再生用の光を反射し、位置決め情報を読み取る光を透過する波長選択反射層を形成すれば、記録再生領域に重畳して位置決め情報を記録することができる。
【0042】
記録再生用光源3としては、コヒーレントな直線偏光の光線束を発生するもので、例えば半導体レーザを用いることができる。この記録再生用光源3としては、高密度記録を行なうために波長が短い方が有利であり、青色レーザやグリーンレーザを採用することが好ましい。
【0043】
コリメータレンズ5は記録再生用光源3からの発散光線束をほぼ平行光線とするものである。第一の偏光ビームスプリッタ7は、直線偏光(例えばP偏光)を反射または透過し、当該偏光に垂直な直線偏光(例えばS偏光)を透過または反射するような半反射面を有している。図2においては、第一の偏光ビームスプリッタ7は、記録再生用光源3から発生された光線束を空間光変調器9に向けて反射し、空間光変調器9で偏光方向が90度回転された情報光および記録用参照光を透過する。
【0044】
空間光変調器9は、格子状に配列された多数の画素を有し、各画素毎に出射光の位相又は/および強度を変調することができる透過型又は反射型の空間光変調器を使用することができる。空間光変調器9としては、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)やマトリクス型の液晶素子を使用することができる。DMDは、入射した光を画素ごとに反射方向を変えることで強度を変調したり、入射した光を画素ごとに反射位置を変えることで位相を空間的に変調することができる。液晶素子は、画素ごとに液晶の配向状態を制御することで、入射した光の強度や位相を空間的に変調することができる。例えば、各画素毎に出射光の位相を、互いにπラジアンだけ異なる2つの値のいずれかに設定することによって、光の位相を空間的に変調することができる。空間光変調器は、更に、入射光の偏光方向に対して、出射光の偏光方向を90°回転させるようになっている。
【0045】
そして、空間光変調器9の表示面に表示された2次元デジタルパターン情報によって、光源3からの光を空間的に変調することにより、2次元デジタルパターン情報を担持した情報光を生成することができる。
【0046】
また、図2において、空間光変調器9は、光源の光から記録時における記録用の参照光および再生時における再生用の参照光を生成する参照光生成手段としても機能する。図2に示すように、一つの空間光変調器によって 情報光および参照光を形成する場合は、空間光変調器に二つの領域を設けて、一方の領域において情報光を形成し、他方の領域において参照光を形成すればよい。
【0047】
参照光生成手段は、空間光変調器9とは別に設けることもできる。例えば、光源3からの光を分割して、一方の光を空間光変調器9によって情報光を生成し、他方の光を参照光としてもよい。この場合、光源3からの光を分割する光学素子を含めた他方の光を伝搬する光学系が参照光生成手段となる。更に、他方の光を伝搬する光学系の中に別の空間光変調器を設けて、参照光を空間的に変調してもよい。この場合は、情報光と同様に、参照光の2次元デジタルパターン情報を対物レンズ23の入射瞳面において結像させる必要があるため、情報光を生成する空間光変調器と参照光を生成する空間光変調器を共役な関係とし、一対のリレーレンズによって伝搬させる。
【0048】
第二の偏光ビームスプリッタ11は、再生時において、再生用の参照光を透過し、参照光によって記録媒体51から発生した再生光を検出手段25に向けて反射する。
【0049】
第一および第二のリレーレンズ13および19は、空間光変調器9から対物レンズ23までの間に配置されており、空間光変調器9に表示された像が対物レンズ23の入射瞳面23aに結像するように配置されている。すなわち、空間光変調器9から第一のリレーレンズ13までの距離31が第一のリレーレンズ13の焦点距離f1となり、第二のリレーレンズ19から対物レンズ23の入射瞳面23aまでの距離34が第二のリレーレンズ19の焦点距離f2となり、第一および第二のリレーレンズ13、19間の距離32,33が第一のリレーレンズ13の焦点距離f1と第二のリレーレンズ19の焦点距離f2の和となるように配置されている。
【0050】
また、図2において、第一および第二のリレーレンズ13および19は、対物レンズ23から検出手段25までの間に配置されており、再生用参照光によって記録媒体51のホログラム記録層54から発生した再生光の対物レンズ23の射出瞳面23aにおける像が再び実像として結像するように配置されている。すなわち、対物レンズ23の射出瞳面23aから第二のリレーレンズ19までの距離34が焦点距離f2となり、第一のリレーレンズ13から検出手段25までの距離35が焦点距離f1となり、第一および第二のリレーレンズ13、19間の距離32,33が焦点距離f1と焦点距離f2の和となるように配置されている。
【0051】
なお、上記一対のリレーレンズ13,19の配置は、他の光学素子を適宜配置することで変化する。例えば、第一のリレーレンズ13から検出手段25までの間に拡大レンズを配置すれば、第一のリレーレンズ13と拡大レンズの入射瞳面までの距離が焦点距離f1となるように配置される。
【0052】
一対の反射体15および17は、一対のリレーレンズ13および19の間に配置されており、両者の反射面が直交するように配置されている。そして、一対の反射体15および17によって、情報光および参照光はコの字状に反射され、並列に配置された一対のリレーレンズ13および19間で光が伝搬される。すなわち、第一の反射体15は、第一のリレーレンズ13からの光を第二の反射体17に向けて反射し、第二の反射体17は、第一の反射体15からの光を第二のリレーレンズ19に向けて反射する。反射体15、17としては、光の進行方向を変更できれば特に制限されず、ミラーやプリズム等を使用することができる。
【0053】
偏光手段21は、第二のリレーレンズ19からの光を対物レンズ23に向けて反射するものである。偏光手段21としては、光の進行方向を変更できれば特に制限されず、ミラーやプリズム等を使用することができる。図2に示すように、偏光手段21によって光の進行方向を記録媒体55に向けた場合は、第二および第三の移動部2b、2cの移動方向と同じ方向(横方向)に第一の移動部2aを移動させることで、対物レンズ23の照射位置を記録媒体51の表面と平行に移動させることができ、トラッキングサーボを行なうことができる。更に、フォーカスサーボを行なうために、図面の上下方向に対物レンズ23を移動させても、その移動方向は、偏光手段21によって、第二および第三の移動部2b、2cの移動方向と同じ方向(横方向)に変更することができる。このため、フォーカスサーボによる対物レンズ23の変位を第一乃至第三の移動部2a〜cによって補正することができるので好ましい。
【0054】
対物レンズ23は、記録時においては、入射瞳面23aに結像した情報光および参照光を記録媒体51に照射し、ホログラム記録層34において干渉させて記録するものであり、また再生時においては、入射瞳面23aに結像した参照光を記録媒体51に照射し、記録媒体51から発生した再生光を入射して射出瞳面23aに結像するものである。なお、参照光と再生光は対物レンズ23の入射する面が異なるので、参照光についての対物レンズ23の入射瞳面23aと再生光についての対物レンズ23の射出瞳面23aは同じ位置になる。
【0055】
また、対物レンズ23を光軸方向(図2では縦方向)に移動させてフォーカスサーボを行なうためのフォーカスサーボ用アクチュエータ27を有していてもよい。
【0056】
検出手段25は、格子状に配列された多数の画素を有し、各画素毎に受光した光の強度を検出できるようになっている。光検出器25としては、CCD型固体撮像素子やMOS型固体撮像素子を用いることができる。また、光検出器25として、MOS型固体撮像素子と信号処理回路とが1チップ上に集積されたスマート光センサ(例えば、文献「O plus E,1996年9月,No.202,第93〜99ページ」参照。)を用いてもよい。このスマート光センサは、転送レートが大きく、高速な演算機能を有するので、このスマート光センサを用いることにより、高速な再生が可能となり、例えば、G(ギガ)ビット/秒オーダの転送レートで再生を行なうことが可能となる。
【0057】
更に、ピックアップ2は、図示しない4分の1波長板が配置されている。4分の1波長板は、互いに垂直な方向に振動する偏光の光路差を4分の1波長変化させる位相板である。4分の1波長板によってP偏光の光は円偏光に変化され、さらに、この円偏光の光が4分の1波長板を通過するとS偏光に変化されることになる。この4分の1波長板によって、再生時における再生用参照光と再生光を第二の偏光ビームスプリッタ11で分離することができる。4分の1波長板は、第二の偏光ビームスプリッタ11から記録媒体55までの間に配置されていればよく、例えば、第一の移動部2aや第二の移動部2bに配置されていてもよいし、ピックアップ2内の他の部分に固定されていてもよい。
【0058】
第一の移動部2aは、少なくとも対物レンズ23および偏光手段21が配置されており、記録媒体51の表面と平行に移動可能とされている。第一の移動部2aは、図9の第一の移動部115と比較して、軽量化および小型化されているので、記録再生時において記録媒体51のうねりや偏心また装置の振動などによって生じる微少な変位に追従して位置決めを行うのに好適である。
【0059】
スライドサーボについてだけみれば、第一の移動部2aと第二の移動部2bとは同じ動きをするので、図7に示すように、第一の移動部2aを第二の移動部2bに配置してもよい。この場合、第一の移動部2aは、第二の移動部2bによる移動に加えて、独立して記録媒体51の表面と平行に移動可能とされている。第一の移動部2aを第二の移動部2bに配置すると、大まかなスライドサーボ用の制御については、第二の移動部2bおよび第三の移動部2cに対して行なえばよく、第一の移動部2aに対しては、微少な変位に対する細かい位置決め用の制御だけ行なえばよいので、制御回路を簡単にできる。なお、スライドサーボ自体をピックアップ2全体で行う場合や、スライドサーボと精密な位置決めとを同時に行う場合もあるので、第一の移動部2aが第二の移動部2bに配置される構成に限定されるものではない。
【0060】
第二の移動部2bは、第二のリレーレンズ19が配置されており、記録媒体51の表面と平行に移動可能とされている。第二の移動部2bには、前述したとおり、第一の移動部2aが配置されていてもよい。第二の移動部2bは、第三の移動部2cと協動して、一対のリレーレンズ13、19間の距離32、33が常に一定となるように制御されている。更に、第二の移動部2bは、微少な変位に追従して位置決めを行うために第一の移動部2aを移動させたとしても、対物レンズ23の入射瞳面23aと第二のリレーレンズ19との間の距離34が常に一定となるように制御される。加えて、対物レンズ23をフォーカスサーボ用アクチュエータ27によって光軸方向に移動したとしても、第三の移動部2cと協動して、対物レンズ23の入射瞳面23aと第二のリレーレンズ19との間の距離34が常に一定となるように制御されることが好ましい。
【0061】
第三の移動部2cは、少なくとも一対の反射体15,17が配置されており、記録媒体51の表面と平行に移動可能とされている。第三の移動部2cは、第二の移動部2bと協動して、一対のリレーレンズ13、19間の距離32、33が常に一定となるように制御されている。
【0062】
次に、図1および図2に示す光情報記録再生装置1の記録時の動作を説明する。光源3から射出した光は、コリメータレンズ5によって平行光とされ、その平行光を第一の偏光ビームスプリッタ7によって空間光変調器9に向けて反射する。平行光は、空間光変調器9に表現された2次元デジタルパターン情報によって情報光および記録用参照光となる。情報光および記録用参照光は、一対のリレーレンズ13および19によって、対物レンズ23の入射瞳面23aに空間光変調器9で表現された2次元デジタルパターン情報を結像するように伝搬される。その途中、一対の反射体15および17によって反射され、更にミラー21で対物レンズ23に向けて反射され、4分の1波長板(図示せず)を通過する。そして、対物レンズ23によって記録媒体51に照射され、記録媒体51のホログラム記録層54に情報光および記録用参照光の干渉パターンを記録する。
【0063】
更に、図1および図2に示す光情報記録再生装置1の再生時の動作を説明する。光源3から射出した光は、コリメータレンズ5によって平行光とされ、その平行光を第一の偏光ビームスプリッタ7によって空間光変調器9に向けて反射する。空間光変調器9に表現された2次元デジタルパターン情報によって再生用参照光が生成される。再生用参照光は、偏光ビームスプリッタ11を透過して、一対のリレーレンズ13および19によって、対物レンズ23の入射瞳面23aに空間光変調器9で表現された2次元デジタルパターン情報を結像するように伝搬される。その途中、一対の反射体15および17によって反射され、更にミラー21で対物レンズ23に向けて反射され、4分の1波長板(図示せず)を通過する。そして、対物レンズ23によって記録媒体51に照射され、記録媒体51のホログラム記録層54に記録された干渉パターンと干渉して再生光を発生する。
【0064】
再生光および再生用参照光は、記録媒体51の反射層53によって反射され、記録媒体51から対物レンズ23に向かって射出する。そして、再生光および再生用参照光は、対物レンズ23によって、射出瞳23a面に再生光の2次元デジタルパターン情報が再生され、一対のリレーレンズ13および19によって、検出手段25に結像するように伝搬される。その途中、4分の1波長板19を通過し、ミラー21で一対のリレーレンズ13および19に向けて反射され、一対の反射体15および17によって反射され、偏光ビームスプリッタ11で反射される。そして、検出手段25で再生光の2次元デジタルパターン情報を検出し、情報を再生する。
【0065】
この記録再生装置1において、照射位置を変更した場合を図3乃至図6を用いて説明する。図3は、ピックアップ駆動手段62によって対物レンズ28の照射位置を図2における位置Xから位置Yまで図面右方向に距離Lだけ移動してスライドサーボを行なった場合である。図4乃至図6は、位置Yにおいて、トラッキングサーボΔT、フォーカスサーボΔFおよびその両方を行なった場合である。なお、図3乃至図6においては、光線の光路としては光軸のみを示している。
【0066】
図3に示すように、位置Yに対物レンズ23の焦点を合わせるために、ピックアップ駆動手段62によって第一の移動部2aおよび第二の移動部2bを距離Lだけ移動させるとともに、ピックアップ駆動手段62によって第三の移動部2cを同じ方向(図面右方向)に距離L/2だけ移動させる。このため、第一のリレーレンズ13と第二のリレーレンズ19との距離を変えることなく、記録媒体51における照射位置を変更することができるのである。なお、図3において、図2における各部品の位置を点線で示している。
【0067】
つまり、図面右方向に、第二の移動部2bが距離Lだけ移動し、第三の移動部2cが距離L/2だけ移動すると、第二のリレーレンズ19から第二の反射体17までの距離がL/2だけ近づき、第二のリレーレンズ19の焦点が図2の位置fから距離L/2だけ移動して位置f’となる。他方で、第三の移動部2cが距離L/2だけ移動したので、第一のリレーレンズ13から第一の反射体15までの距離がL/2だけ遠ざかり、第一のリレーレンズ13の焦点も図2の位置fから距離L/2だけ移動して位置f’となる。結局、第二のリレーレンズ19から第二の反射体17までがL/2近づき、第一のリレーレンズ13から第一の反射体15までがL/2遠ざかるので、差し引きゼロであり、第一のリレーレンズ13から第二のリレーレンズ19までの距離は変わらないのである。なお、図3においては、第一の移動部2aと第二の移動部2bの相対的な位置関係は変化していないので、第二のリレーレンズ19から対物レンズ23の入射瞳面23aまでの距離34は変わらない。
【0068】
逆方向に移動した場合も同じである。第一の移動部2aが図面左方向に距離Lだけ移動したとすると、第一の移動部2aと第二の移動部2bとの距離が距離Lだけ長くなるが、第二の移動部2bが同じ方向に距離L/2移動するので、第二の移動部2bと第一の移動部2aとの距離が距離L/2短くなり、第二の移動部2bと固定部2cとの距離が距離L/2短くなる。結局、第一の移動部2aから第二の移動部2bを介した固定部2cまでの距離は変化しない。
【0069】
以上のとおり、図3のようにスライドサーボを行なって位置を変更しても、一対のリレーレンズ13、19の間の距離は変わらないので、空間光変調器9において表示された2次元デジタルパターン情報を対物レンズ23の入射瞳面23aにおいて結像させることができ、対物レンズ23の射出瞳面23aに再生された再生光の像を検出手段25において結像させることができる。
【0070】
なお、図3に示すように、ピックアップ2のその他の部材の集合した部分2dを固定すると、構成の単純化および転送レートの面で好ましい。しかし、部分dを固定した構成に限定されるものではない。部分2dを移動部とした場合であっても、第一および第二の移動部2a、2bの移動距離をxとし、第三の移動部2cの移動距離をyとし、部分2dの移動距離をzとした時に、x−2y+z=0(移動方向が逆の場合は移動距離の符号を逆にする)となるように制御すれば、第一のリレーレンズと第二のリレーレンズとの距離を一定に保った上で相対的な位置関係を変えることができる。
【0071】
図4では、位置Yにおいて、記録媒体の表面と平行な方向における微小な位置ずれΔTを補正するため、ピックアップ駆動手段62によって第一の移動部2aを距離ΔTだけ図面左方向に移動させてトラッキングサーボを行なった。すると、第二のリレーレンズ19と対物レンズ23の入射瞳面23aまでの距離34が距離ΔTだけ遠ざかるので、同じ方向に第二の移動部2bを距離ΔTだけ移動させて、第二のリレーレンズ19と対物レンズ23の入射瞳面23aまでの距離34を所定の距離とし、さらに第三の移動部2cを距離ΔT/2だけ移動させて、第一のリレーレンズ13から第二のリレーレンズ19までの距離を一定とする制御を行なうことが好ましい。しかし、距離ΔTが短く入射瞳面23aにおける結像精度が許容範囲内であれば、第二および第三の移動部2b、2cを移動させなくてもよい。
【0072】
例えば、円盤状の記録媒体51を回転させながら記録再生する場合、円盤の中心と回転中心のずれによる変位は、周期的なものであり、その周波数も低いので追従も比較的容易である。これに対し、装置の振動等によって生じる変位は、突発的なものであり、周波数が高い。このため、周波数の低い変位については、第二および第三の移動部2b、2cを移動させて、空間光変調器9から対物レンズ23の入射瞳面23aまでの距離を一定として、より正確な記録再生を行なうようにし、周波数の高い変位については、軽くて小さい第一の移動部2aを移動させて変位に追従させてもよい。また、以下に述べるように、フォーカスサーボによる変位ΔFによって距離ΔTが相殺される場合もあり、スライドサーボも含め、サーボ動作の全体を通じて許容範囲内となるように制御されることが好ましい。なお、図4乃至図6において、図3における各部品の位置を点線で示している。
【0073】
図5では、記録媒体51の凹凸やたわみによる焦点のずれΔFを補正するため、フォーカスサーボ用アクチュエータ27によって対物レンズ23を距離ΔFだけ図面上方向に移動させてフォーカスサーボを行なった。すると、対物レンズ23の移動に合わせて、その入射瞳面23aが図3の時の位置23a’から距離ΔFだけ図面上方向に移動する。このため、第二のリレーレンズ19と対物レンズ23の入射瞳面23aまでの距離34が距離ΔFだけ近づくので、第二の移動部2bを距離ΔFだけ図面右方向に移動させて第二のリレーレンズ19と対物レンズ23の入射瞳面23aまでの距離34を所定の距離とし、さらに第三の移動部2cを距離ΔF/2だけ移動させて、第一のリレーレンズ13から第二のリレーレンズ19までの距離を一定とする制御を行なうことが好ましい。フォーカスサーボにおいても、距離ΔFが短く入射瞳面23aにおける結像精度が許容範囲内であれば、第二および第三の移動部2b、2cを移動させなくてもよい。
【0074】
図6では、トラッキングサーボおよびフォーカスサーボの両方を行なっているが、第二のリレーレンズ19と対物レンズ23の入射瞳面23aまでの距離34は、トラッキングサーボによって距離ΔTだけ遠ざかるが、フォーカスサーボによって距離ΔFだけ近づく。図6においては、ΔT>ΔFであるから、結局、距離34は、その差(ΔT−ΔF)だけ変化する。そこで、第二の移動部2bを距離(ΔT−ΔF)だけ図面左方向に移動させて第二のリレーレンズ19と対物レンズ23の入射瞳面23aまでの距離34を所定の距離とし、さらに第三の移動部2cを距離(ΔT−ΔF)/2だけ図面左方向に移動させて、第一のリレーレンズ13から第二のリレーレンズ19までの距離を一定とする制御を行なうことが好ましい。図6に示すように、トラッキングサーボによる変位ΔTとフォーカスサーボによる変位ΔFが逆方向の場合は、その差が小さくなるので、第一の移動部2aの移動のみによって補正することが容易となる。入射瞳面23aにおける結像精度が許容範囲内であれば、第二および第三の移動部2b、2cを移動させなくてもよい。
【0075】
より一般化して移動の方向を符号として変位に含めれば、例えば、光軸に沿って記録媒体51側への移動を正、逆方向への移動を負とし、トラッキングサーボによる変位をΔT、フォーカスサーボによる変位をΔFとすれば、トラッキングサーボおよびフォーカスサーボを行なった時の対物レンズ23の入射瞳面23aの変位の合計はΔT+ΔFとなる。そして、ΔT+ΔFだけ移動した入射瞳面23aにおいて、結像精度が許容範囲内となるように、第二および第三の移動部2b、2cを移動させて補正すればよい。
【0076】
以上のように、図4乃至図6のようにトラッキングサーボやフォーカスサーボを行なって照射位置を変更しても、一対のリレーレンズ13、19の間の距離32,33および第二のリレーレンズ19から対物レンズ23の入射瞳面または射出瞳面23aまでの距離34を一定とすることができるので、空間光変調器9において表示された2次元デジタルパターン情報を対物レンズ23の入射瞳面23aにおいて結像させることができ、対物レンズ23の射出瞳面23aに再生された再生光の像を検出手段25において結像させることができる。
【0077】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態における光情報記録再生装置の記録時に使用する部分だけを用いれば光情報記録装置とすることができ、再生時に使用する部分だけを用いれば光情報再生装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の光情報記録再生装置の概略構成図
【図2】本発明に係る光情報記録再生装置のピックアップの概略平面図
【図3】図2のピックアップにおいて照射位置を移動させた状態を示す図
【図4】図3のピックアップにおいてトラッキングサーボを行なった状態を示す図
【図5】図3のピックアップにおいてフォーカスサーボを行なった状態を示す図
【図6】図3のピックアップにおいてトラッキングサーボおよびフォーカスサーボを行なった状態を示す図
【図7】本発明に係る光情報記録再生装置のピックアップの他の実施形態の概略平面図
【図8】(A)および(B)は、本発明の課題を説明する図
【図9】第一及び第二の移動部を有する光情報記録再生装置の概略構成図
【符号の説明】
【0079】
1 光情報記録再生装置
2 ピックアップ
2a 第一の移動部
2b 第二の移動部
2c 第三の移動部
3 光源
9 空間光変調器
13,19 リレーレンズ
15,17 反射体
25 偏向手段
23 対物レンズ
25 検出手段
51 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光に情報を担持させて情報光を生成する空間光変調器と、
前記光源からの光から参照光を生成する参照光生成手段と、
前記情報光および前記参照光を記録媒体に照射する対物レンズと、
前記空間光変調器から前記対物レンズまでの間に配置された一対のリレーレンズと、
前記一対のリレーレンズの間に配置された反射面が直交する一対の反射体と、
前記一対のリレーレンズから前記対物レンズまでの間に配置された光軸の方向を前記対物レンズに向ける偏向手段とを有し、
前記対物レンズおよび前記偏向手段が配置された第一の移動部と、
前記一対のリレーレンズのうち対物レンズ側のリレーレンズが配置された第二の移動部と、
前記一対の反射体が配置された第三の移動部とを備えたことを特徴とする光情報記録装置。
【請求項2】
前記第一の移動部は前記第二の移動部に配置され、前記第一の移動部が前記第二の移動部による移動に加えて、独立して移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録装置。
【請求項3】
前記第一乃至第三の移動部の移動を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記空間光変調器に表示された像が前記対物レンズの入射瞳面において結像するように、前記第一乃至第三の移動部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録装置。
【請求項4】
前記対物レンズは、前記偏光手段から独立して、さらに光軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光情報記録装置。
【請求項5】
光源と、
前記光源からの光から参照光を生成する参照光生成手段と、
前記参照光を記録媒体に照射し、前記記録媒体から発生した再生光が入射する対物レンズと、
前記再生光を検出する検出手段と、
前記対物レンズから前記検出手段までの間に配置された一対のリレーレンズと、
前記一対のリレーレンズの間に配置された反射面が直交する一対の反射体と、
前記一対のリレーレンズから前記対物レンズまでの間に配置された光軸の方向を前記対物レンズに向ける偏向手段とを有し、
前記対物レンズおよび前記偏向手段が配置された第一の移動部と、
前記一対のリレーレンズのうち対物レンズ側のリレーレンズが配置された第二の移動部と、
前記一対の反射体が配置された第三の移動部とを備えたことを特徴とする光情報再生装置。
【請求項6】
前記第一の移動部は前記第二の移動部に配置され、前記第一の移動部が前記第二の移動部による移動に加えて、独立して移動可能とされていることを特徴とする請求項5に記載の光情報再生装置。
【請求項7】
前記第一乃至第三の移動部の移動を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記対物レンズの射出瞳面に再生された前記再生光の像が前記検出手段において結像するように、前記第一乃至第三の移動部を制御することを特徴とする請求項5または6に記載の光情報再生装置。
【請求項8】
前記対物レンズは、前記偏光手段から独立して、さらに光軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の光情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−193874(P2007−193874A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9718(P2006−9718)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(500112179)株式会社オプトウエア (22)
【Fターム(参考)】