説明

光情報記録装置及び光情報再生装置

【課題】簡単な構成で記録特性が良好で光量ロスの小さい光情報記録装置と簡単な構成で良好な品質の信号が得られる光情報再生装置を提供する。
【解決手段】光情報記録再生装置は、ミラー3Bと対物レンズ9との間の光路中に、偏光ホログラムパターンが透明基板表面に形成された表面レリーフ型のホログラム素子8を有し、ホログラム素子8と対物レンズ9との間の光路中に1/4波長板8Qを有する。記録時、対物レンズ9から出射した参照光Lbが、対物レンズ9から出射した情報光Laの集光点と重なるとともに、情報光Laの集光点からずれた位置で集光するように、偏光ホログラムパターン8cが参照光Lbを回折させる。再生時、対物レンズ9から出射した復路の参照光Mbが往路の参照光Lbの光路から外れるように、偏光ホログラムパターン8cが往路の参照光Lbを回折させる。偏光ホログラムパターン8cは参照光Lb,Mbに対して凹レンズとして作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光情報記録装置及び光情報再生装置に関するものであり、更に詳しくは、情報光と参照光との干渉により得られる干渉縞で記録媒体に情報をホログラム記録する光情報記録装置と、記録媒体に干渉縞でホログラム記録されている情報を干渉縞による参照光の回折により再生する光情報再生装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に情報をホログラム記録する光情報記録装置においては、干渉縞を生成するために情報光と参照光とを記録媒体内部で重ね合わせる必要がある。このため、単一のビームから情報光と参照光を得なければならないが、ビームの分離・合成を簡単な構成で特性の劣化無く行うことは困難であり、結果として、干渉縞を高いコントラストで得ることができない。この問題を解決するため、従来より様々なタイプの光情報記録装置が提案されている。例えば、特許文献1,2には空間光変調器でビームの一部を回折させてビームを2分する構成が提案されており、特許文献3には空間光変調器とその外側に配置した拡散板とでビームを2分する構成が提案されている。
【特許文献1】特開2006−39181号公報
【特許文献2】WO2004/102542号公報
【特許文献3】特開2005−292765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1〜3で提案されている構成では、一様な光強度のビームが生成しにくく、光量ロスが生じてしまう。また、記録時には干渉縞のコントラストが低いため良好な記録特性が得られず、再生時には受光素子に入射する迷光が生じやすいため良好な品質の信号が得られない。
【0004】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な構成でありながら記録特性が良好で光量ロスの小さい光情報記録装置を提供することにある。また、簡単な構成でありながら良好な品質の信号が得られる光情報再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の発明の光情報記録再生装置は、記録時には、レーザ光源から出射したレーザビームのうち、中心部分を空間光変調器で空間的に変調して情報光とし、周辺部分をミラーで反射させて記録用の参照光とし、その情報光と参照光を対物レンズで記録媒体に照射して、情報光と参照光との干渉により得られる干渉縞で記録媒体に情報をホログラム記録し、再生時には、レーザ光源から出射したレーザビームのうち、周辺部分をミラーで反射させて再生用の参照光とし、その参照光を情報が干渉縞でホログラム記録された記録媒体に対物レンズで照射して、干渉縞による参照光の回折により情報を再生する光情報記録再生装置であって、前記ミラーと対物レンズとの間の光路中に、特定の直線偏光のみを回折させるリング状の偏光ホログラムパターンが透明基板の表面に形成された表面レリーフ型のホログラム素子を有し、その偏光ホログラムパターンと対物レンズとの間の光路中に1/4波長板を有し、前記対物レンズから記録媒体側に出射した参照光が、前記対物レンズから記録媒体側に出射した情報光の集光点近傍で重なるとともに、情報光の集光点からずれた位置で集光するように、前記ホログラムパターンが参照光を回折させ、前記対物レンズから出射した復路の参照光が復路の情報光の光路から外れるように、前記ホログラムパターンが往路の参照光を回折させ、前記ホログラムパターンが参照光に対して凹レンズとして作用することを特徴とする。
【0006】
第2の発明の光情報記録装置は、レーザ光源から出射したレーザビームのうち、中心部分を空間光変調器で空間的に変調して情報光とし、周辺部分をミラーで反射させて記録用の参照光とし、その情報光と参照光を対物レンズで記録媒体に照射して、情報光と参照光との干渉により得られる干渉縞で記録媒体に情報をホログラム記録する光情報記録装置であって、前記ミラーと対物レンズとの間の光路中にホログラムパターンを有し、前記対物レンズから記録媒体側に出射した参照光が、前記対物レンズから記録媒体側に出射した情報光の集光点近傍で重なるとともに、情報光の集光点からずれた位置で集光するように、前記ホログラムパターンが参照光を回折させることを特徴とする。
【0007】
第3の発明の光情報記録装置は、上記第2の発明において、前記ホログラムパターンが参照光に対して凹レンズとして作用することを特徴とする。
【0008】
第4の発明の光情報記録装置は、上記第2又は第3の発明において、前記ホログラムパターンが表面レリーフ型のホログラム素子で構成されており、透明基板の表面にリング状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
第5の発明の光情報記録装置は、上記第2〜第4のいずれか1つの発明において、前記ホログラムパターンが特定の直線偏光のみを回折させる偏光ホログラムパターンであり、その偏光ホログラムパターンと前記対物レンズとの間の光路中に1/4波長板を有することを特徴とする。
【0010】
第6の発明の光情報再生装置は、レーザ光源から出射したレーザビームのうち、周辺部分をミラーで反射させて再生用の参照光とし、その参照光を情報が干渉縞でホログラム記録された記録媒体に対物レンズで照射して、干渉縞による参照光の回折により情報を再生する光情報再生装置であって、前記ミラーと対物レンズとの間の光路中にホログラムパターンを有し、前記対物レンズから出射した復路の参照光が往路の参照光の光路から外れるように、前記ホログラムパターンが往路の参照光を回折させることを特徴とする。
【0011】
第7の発明の光情報再生装置は、上記第6の発明において、前記ホログラムパターンが参照光に対して凹レンズとして作用することを特徴とする。
【0012】
第8の発明の光情報再生装置は、上記第6又は第7の発明において、前記ホログラムパターンが表面レリーフ型のホログラム素子で構成されており、透明基板の表面にリング状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
第9の発明の光情報再生装置は、上記第6〜第8のいずれか1つの発明において、前記ホログラムパターンが特定の直線偏光のみを回折させる偏光ホログラムパターンであり、その偏光ホログラムパターンと前記対物レンズとの間の光路中に1/4波長板を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1又は第2の発明によれば、対物レンズから記録媒体側に出射した参照光が、対物レンズから記録媒体側に出射した情報光の集光点近傍で重なるとともに、情報光の集光点からずれた位置で集光するように、ホログラムパターンが参照光を回折させるので、簡単な構成でありながら干渉縞を高いコントラストで得ることができる。したがって、良好な記録特性で記録媒体に情報を記録することができる。しかも、回折により一様な光強度のビームを生成することができるので、光量ロスを小さくすることができる。
【0015】
第1又は第3の発明によれば、ホログラムパターンが参照光に対して凹レンズとして作用するため、参照光は広がったビームとして情報光とその集光点付近で均一に重なることになる。したがって、簡単な構成でありながら干渉縞をより一層高いコントラストで得ることができ、記録特性の更なる向上を達成することができる。
【0016】
第1又は第4の発明によれば、ホログラムパターンが表面レリーフ型のホログラム素子で構成されているため、高い回折効率で参照光の分離を行うことができる。また、ホログラムパターンが透明基板の表面にリング状に形成されているため、レーザビームの周辺部分から成る参照光のみを回折させることができる。その際、レーザビームの中心部分の情報光は、ホログラムパターンのリング中心部分に入射して、回折作用を受けずにホログラム素子を透過することができるので、情報光に対するホログラムパターンの影響は抑えられる。
【0017】
第1又は第5の発明によれば、ホログラムパターンとして特定の直線偏光のみを回折させる偏光ホログラムパターンが配置されており、その偏光ホログラムパターンと対物レンズとの間の光路中に1/4波長板が配置されているので、偏光ホログラムパターンが往路の参照光を回折し復路の参照光を回折せずに透過させる構成にすることができる。したがって、復路の参照光が光学系内で散乱して迷光となり記録特性劣化の原因となるのを防止することができる。
【0018】
第1又は第6の発明によれば、対物レンズから出射した復路の参照光が往路の参照光の光路から外れるように、ホログラムパターンが往路の参照光を回折させるので、簡単な構成でありながら迷光の発生を抑えることができる。例えば、再生時に迷光が受光素子に入射すると信号品質が低下するが、迷光の発生を抑えることにより良好な品質の信号を得ることが可能となる。
【0019】
第1又は第7の発明によれば、ホログラムパターンが参照光に対して凹レンズとして作用するため、復路において参照光は再生光から離れる方向に進む。したがって、より効果的に迷光の発生を抑えることができる。
【0020】
第1又は第8の発明によれば、ホログラムパターンが表面レリーフ型のホログラム素子で構成されているため、高い回折効率で参照光の分離を行うことができる。また、ホログラムパターンが透明基板の表面にリング状に形成されているため、レーザビームの周辺部分から成る参照光のみを回折させることができる。したがって、より効果的に迷光の発生を抑えることができる。
【0021】
第1又は第9の発明によれば、ホログラムパターンとして特定の直線偏光のみを回折させる偏光ホログラムパターンが配置されており、その偏光ホログラムパターンと対物レンズとの間の光路中に1/4波長板が配置されているので、偏光ホログラムパターンが往路の参照光を回折し復路の参照光を回折せずに透過させる構成にすることができる。したがって、復路の参照光が光学系内で散乱して迷光となり信号特性劣化の原因となるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る光情報記録装置及び光情報再生装置の実施の形態等を、図面を参照しつつ説明する。各実施の形態には光情報記録装置と光情報再生装置の両方の構成が含まれており、全体として光情報記録再生装置を構成している。つまり、光情報記録再生装置の各実施の形態は、情報光と参照光との干渉により得られる干渉縞で記録媒体に情報をホログラム記録する光情報記録機能と、記録媒体に干渉縞でホログラム記録されている情報を干渉縞による参照光の回折により再生する光情報再生機能と、を有している。また、ここでは記録媒体として円盤状の光ディスクを想定しているが、情報光と参照光との干渉により得られる干渉縞で情報のホログラム記録を行うことが可能な記録媒体であればこれに限らない。例えば、カード状や多面体状の記録媒体についても各実施の形態に適用することが可能である。
【0023】
図1に第1の実施の形態の概略光学構成を示し、図2にその要部を拡大して示す。図1,図2において、1はレーザ光源(例えば半導体レーザ)、2はコリメートレンズ、3Aは空間光変調器、3Bはミラー、4はビームスプリッタ、5は受光素子(例えばCCD:Charge Coupled Device)、6はリレーレンズ(6a:第1リレーレンズ,6b:第2リレーレンズ)、7はミラー、8はホログラム素子、9は対物レンズ、10は記録媒体、11はアクチュエータである。
【0024】
第1の実施の形態の光学構成を、情報の記録時と再生時の各光路に沿って以下に説明する。図1に示すように、情報の記録時には、レーザ光源1から出射したレーザビームが、コリメートレンズ2で平行ビームに変換された後、空間光変調器3Aとミラー3Bに斜め入射する。そして、レーザビームの中心部分は空間光変調器3Aで空間的に変調されて情報光Laとなり、レーザビームの周辺部分はミラー3Bで反射されて記録用の参照光Lbとなる。
【0025】
空間光変調器3Aは、入射光を空間的に変調して2次元デジタルパターン情報を出射光に担持させる反射型の光変調素子である。この空間光変調器3Aの具体例としては、デジタル・マイクロミラー・デバイス(digital micromirror device),反射型の液晶表示素子が挙げられる。空間光変調器3Aとしてデジタル・マイクロミラー・デバイスを用いた場合、それに入射した光は、ON/OFF状態(例えば±12°の傾き状態)の各マイクロミラーで反射されることにより空間的に変調される。その際、ON状態のマイクロミラーで反射した光のみが情報光Laとなり、ビームスプリッタ4に向けて出射される。空間光変調器3Aとして反射型の液晶表示素子を用いた場合、それに入射した光は、液晶の配向制御により画素毎のON/OFFで反射又は吸収されることにより空間的に変調される。その際、ON状態の画素からの反射光が情報光Laとなり、ビームスプリッタ4に向けて出射される。
【0026】
ミラー3Bは平面ミラーであり、空間光変調器3Aの周囲にリング状に配置されている。例えば、空間光変調器3Aのカバーガラスの表面のうち、入射光を変調する領域の周辺部分に反射コーティング(例えばアルミコーティング)を施すことにより、ミラー3Bを構成することができる。その場合、レーザビームの中心部分はミラー3Bのリング中心部分を透過して、空間光変調器3Aで反射されることになる。ミラー3Bで反射されたレーザビームは、空間光変調器3Aで反射されたレーザビームと同軸の状態を保ちながら、ビームスプリッタ4に入射する。
【0027】
ビームスプリッタ4は、入射光を透過光と反射光とに光量を2分割するハーフミラーとして機能する。したがって、ビームスプリッタ4に入射した情報光Laと参照光Lbは、その光量の半分がビームスプリッタ4を透過して、リレーレンズ6に入射する。リレーレンズ6は、第1リレーレンズ6aと第2リレーレンズ6bとから成っており、情報光Laで対物レンズ9の入射瞳面に(空間光変調器3Aで表現された)2次元デジタルパターン情報を結像させる。なお、第1リレーレンズ6aと第2リレーレンズ6bとの間のフーリエ面にフィルタを配置することにより、所望のフィルタリングによる画質改善を行うことも可能である。
【0028】
リレーレンズ6から出射した情報光Laと参照光Lbは、ミラー7で反射された後、ホログラム素子8に入射する。ホログラム素子8は、対物レンズ9と共にアクチュエータ11に取り付けられている。アクチュエータ11は、フォーカシング,トラッキング等の際に対物レンズ9を移動させるための駆動機構である。そのアクチュエータ11の一部を成して移動するアクチュエータ可動子は、ホログラム素子8,対物レンズ9,レンズホルダー(不図示)等で構成されている。つまり、対物レンズ9を保持するレンズホルダーに、ホログラム素子8,対物レンズ9等が一体的に設けられた構成になっている。対物レンズ9と共にホログラム素子8もアクチュエータ11に搭載されているので、対物レンズ9とホログラム素子8との位置関係が常に(情報の記録時・再生時共に)一定に保たれる。したがって、ホログラム素子8と対物レンズ9との位置ズレによる特性劣化を回避することができる。
【0029】
図3に、ホログラム素子8の具体例を示す。図3(A)はホログラム素子8の表面側外観を示しており、図3(B)は図3(A)におけるx−x’線断面を示している。ホログラム素子8は、ホログラムパターン8bを透明基板8a上に形成して成る表面レリーフ型のホログラム素子8である。そのホログラムパターン8bは、透明基板8aの表面にリング状に形成されており、参照光Lbに対して凹レンズとして作用するホログラムレンズを構成している。
【0030】
ホログラム素子8におけるホログラムパターン8b以外の部分では、平行平面板から成る透明基板8aからの作用のみを入射光が受けることになる。ホログラム素子8への入射光のうち、参照光Lbはホログラムパターン8bに入射し、情報光Laはホログラムパターン8bのリング中心部分に入射する。したがって、参照光Lbはホログラムパターン8bによる回折作用を受けた後、対物レンズ9で集光され、一方、情報光Laはホログラムパターン8bの回折作用を受けずにホログラム素子8を透過して対物レンズ9で集光されることになる。
【0031】
図2に示すように、対物レンズ9は情報光Laと参照光Lbで記録媒体10を照射し、情報光Laと参照光Lbとの干渉により得られる干渉縞で記録媒体10を露光して、情報を記録媒体10にホログラム記録する。その際、対物レンズ9から記録媒体10側に出射した参照光Lbが、対物レンズ9から記録媒体10側に出射した情報光Laの集光点と重なるとともに、情報光Laの集光点からずれた位置で集光するように、ホログラムパターン8bは参照光Lbを回折させる。拡散させるのではなく、参照光Lbを絞りつつ集光点を外側へ離すことにより情報光Laの方へ向けることになるので、高いコントラストで干渉縞を形成することができる。
【0032】
上記のように集光点位置を縦横方向にずらしたり中央にデフォーカスしながら集光させたりする回折作用は、光学的なパワーや軸のズレを持たせたホログラムレンズをホログラムパターン8bで構成することにより実現可能である。そして、このホログラムパターン8bの回折作用を利用すれば、簡単な構成でありながら干渉縞を高いコントラストで得ることができるので、良好な記録特性で記録媒体10に情報を記録することができる。しかも、回折により一様な光強度の情報光Laと参照光Lbを生成することができるので、光量ロスを小さくすることができる。対物レンズ9の直前で参照光Lbのみが回折するため、光量ロス低減の効果はより一層大きなものとなる。
【0033】
ホログラムパターン8bが参照光Lbに対して凹レンズとして作用するため、参照光Lbは広がったビームとして情報光Laとその集光点付近で均一に重なることになる。したがって、簡単な構成でありながら凹レンズ効果により更に高いコントラストで干渉縞を得ることができ、記録特性の更なる向上を達成することができる。
【0034】
ホログラムパターン8bが表面レリーフ型のホログラム素子8で構成されているため、高い回折効率で参照光Lbの分離を行うことができる。このシステム中のホログラムパターン8bはブレーズ化することが可能であるため、高い回折効率によってほぼ全ての光を情報光Laと交わらせることができる。また、ホログラムパターン8bの面積とそれに対応するミラー3Bの面積を調整することにより、参照光Lbの光量を調整することができる。したがって、情報光Laと参照光Lbの強度比を1:1に近づけることが可能である。情報光Laと参照光Lbの強度比を1:1に近づければ、光利用効率を上げて干渉縞のコントラストを上げることができる。
【0035】
また、ホログラムパターン8bが透明基板8aの表面にリング状に形成されているため、レーザビームの周辺部分から成る参照光Lbのみを回折させることができる。その際、レーザビームの中心部分の情報光Laは、ホログラムパターン8bのリング中心部分に入射して、回折作用を受けずにホログラム素子8を透過することができるので、情報光Laに対するホログラムパターン8bの影響は抑えられる。
【0036】
情報の再生時においても、レーザ光源1から出射したレーザビームは、コリメートレンズ2で平行ビームに変換された後、空間光変調器3Aとミラー3Bに斜め入射する。ただし、空間光変調器3AはOFF状態に設定されるため、空間光変調器3Aの遮光効果によりレーザビームの中心部分はビームスプリッタ4に入射しない。一方、レーザビームの周辺部分はリング状のミラー3Bで反射されて再生用の参照光Lbとなり、ビームスプリッタ4に入射する。ビームスプリッタ4に入射した再生用の参照光Lbは、その光量の半分がビームスプリッタ4を透過して、リレーレンズ6に入射する。
【0037】
リレーレンズ6から出射した再生用の参照光Lbは、ミラー7で反射された後、ホログラム素子8に入射する。ホログラム素子8に入射した参照光Lbは、ホログラムパターン8bによる回折作用を受けた後、対物レンズ9で集光される。対物レンズ9は、情報が干渉縞でホログラム記録された記録媒体10を、図2に示すように、参照光Lbで照射する。参照光Lbは記録媒体10の干渉縞で回折され、再生光Maを発生させることにより情報を再生する。その際、対物レンズ9から出射した復路の参照光Mbが往路の参照光Lbの光路から外れるように、ホログラムパターン8bは往路の参照光Lbを回折させる。ホログラムパターン8bには均一な光学的パワーの凹レンズ効果を持たせているので、往路でデフォーカスした状態の参照光Lbが復路では発散状態の参照光Mbとして戻ることになる。
【0038】
記録媒体10で発生した再生光Maは、情報光Laの光路に沿って対物レンズ9に入射する。対物レンズ9を出射した再生光Maは、ホログラムパターン8bのリング中心部分を通ってホログラム素子8を透過し、ミラー7で反射された後、リレーレンズ6を通ってビームスプリッタ4に入射する。ビームスプリッタ4に入射した再生光Maは、その光量の半分がビームスプリッタ4で反射されて、受光素子5の受光面に到達し結像する。受光素子5は、受光した再生光Maの光情報を電気信号として出力する。
【0039】
上記のように対物レンズ9から出射した復路の参照光Mbが往路の参照光Lbの光路から外れるように、ホログラムパターン8bが往路の参照光Lbを回折させるので、簡単な構成でありながら迷光の発生を抑えることができる。受光素子5では復路の参照光Mbが大きくデフォーカスした像のみとなるため、受光素子5に入射する迷光は生じにくく、信号特性は良好になる。つまり、再生時に迷光が受光素子5に入射すると信号品質が低下するが、ホログラムパターン8bによって迷光の発生が抑えられるため、良好な品質の信号を得ることが可能となる。
【0040】
ホログラムパターン8bが参照光Mbに対して凹レンズとして作用するため、復路において参照光Mbは再生光Maから離れる方向に進む。したがって、より効果的に迷光の発生を抑えることができる。ホログラムパターン8bが表面レリーフ型のホログラム素子8で構成されているため、高い回折効率で参照光Mbの分離を行うことができる。このシステム中のホログラムパターン8bはブレーズ化することが可能であるため、高い回折効率によってほぼ全ての光を情報の再生に用いることができる。また、ホログラムパターン8bが透明基板8aの表面にリング状に形成されているため、レーザビームの周辺部分から成る参照光Lbのみを回折させることができる。したがって、より効果的に迷光の発生を抑えることができる。
【0041】
図4に第2の実施の形態の概略光学構成を示し、図5にその要部を拡大して示す。図4(A)と図5(A)は情報の記録・再生時の各光路を往路について示しており、図4(B)と図5(B)は情報の再生時の光路を復路について示している。図4,図5において、1はレーザ光源(例えば半導体レーザ)、2はコリメートレンズ、3Aは空間光変調器、3Bはミラー、4はビームスプリッタ、5は受光素子(例えばCCD:Charge Coupled Device)、6はリレーレンズ(6a:第1リレーレンズ,6b:第2リレーレンズ)、7はミラー、8はホログラム素子、8Qは1/4波長板、9は対物レンズ、10は記録媒体、11はアクチュエータである。
【0042】
第2の実施の形態の光学構成を、情報の記録時と再生時の各光路に沿って以下に説明する。図4(A)に示すように、情報の記録時には、レーザ光源1から出射したレーザビームが、コリメートレンズ2で平行ビームに変換された後、空間光変調器3Aとミラー3Bに斜め入射する。そして、レーザビームの中心部分は空間光変調器3Aで空間的に変調されて情報光Laとなり、レーザビームの周辺部分はミラー3Bで反射されて記録用の参照光Lbとなる。
【0043】
空間光変調器3Aは、入射光を空間的に変調して2次元デジタルパターン情報を出射光に担持させる反射型の光変調素子である。この空間光変調器3Aの具体例としては、デジタル・マイクロミラー・デバイス(digital micromirror device),反射型の液晶表示素子が挙げられる。空間光変調器3Aとしてデジタル・マイクロミラー・デバイスを用いた場合、それに入射した光は、ON/OFF状態(例えば±12°の傾き状態)の各マイクロミラーで反射されることにより空間的に変調される。その際、ON状態のマイクロミラーで反射した光のみが情報光Laとなり、ビームスプリッタ4に向けて出射される。空間光変調器3Aとして反射型の液晶表示素子を用いた場合、それに入射した光は、液晶の配向制御により画素毎のON/OFFで反射又は吸収されることにより空間的に変調される。その際、ON状態の画素からの反射光が情報光Laとなり、ビームスプリッタ4に向けて出射される。
【0044】
ミラー3Bは平面ミラーであり、空間光変調器3Aの周囲にリング状に配置されている。例えば、空間光変調器3Aのカバーガラスの表面のうち、入射光を変調する領域の周辺部分に反射コーティング(例えばアルミコーティング)を施すことにより、ミラー3Bを構成することができる。その場合、レーザビームの中心部分はミラー3Bのリング中心部分を透過して、空間光変調器3Aで反射されることになる。ミラー3Bで反射されたレーザビームは、空間光変調器3Aで反射されたレーザビームと同軸の状態を保ちながら、ビームスプリッタ4に入射する。
【0045】
ビームスプリッタ4は、入射光を透過光と反射光とに光量を2分割するハーフミラーとして機能する。したがって、ビームスプリッタ4に入射した情報光Laと参照光Lbは、その光量の半分がビームスプリッタ4を透過して、リレーレンズ6に入射する。リレーレンズ6は、第1リレーレンズ6aと第2リレーレンズ6bとから成っており、情報光Laで対物レンズ9の入射瞳面に(空間光変調器3Aで表現された)2次元デジタルパターン情報を結像させる。なお、第1リレーレンズ6aと第2リレーレンズ6bとの間のフーリエ面にフィルタを配置することにより、所望のフィルタリングによる画質改善を行うことも可能である。
【0046】
リレーレンズ6から出射した情報光Laと参照光Lbは、ミラー7で反射された後、ホログラム素子8,1/4波長板8Qの順に入射する。ホログラム素子8と1/4波長板8Qは、対物レンズ9と共にアクチュエータ11に取り付けられている。アクチュエータ11は、フォーカシング,トラッキング等の際に対物レンズ9を移動させるための駆動機構である。そのアクチュエータ11の一部を成して移動するアクチュエータ可動子は、ホログラム素子8,1/4波長板8Q,対物レンズ9,レンズホルダー(不図示)等で構成されている。つまり、対物レンズ9を保持するレンズホルダーに、ホログラム素子8,1/4波長板8Q,対物レンズ9等が一体的に設けられた構成になっている。対物レンズ9と共にホログラム素子8と1/4波長板8Qもアクチュエータ11に搭載されているので、対物レンズ9,ホログラム素子8及び1/4波長板8Qの位置関係が常に(情報の記録時・再生時共に)一定に保たれる。したがって、対物レンズ9,ホログラム素子8及び1/4波長板8Qの相互の位置ズレによる特性劣化を回避することができる。
【0047】
図6に、ホログラム素子8の具体例を示す。図6(A)はホログラム素子8の表面側外観を示しており、図6(B)は図6(A)におけるx−x’線断面を示している。ホログラム素子8は、特定の直線偏光のみを回折させる偏光ホログラムパターン8cを透明基板8a上に形成して成る表面レリーフ型のホログラム素子8である。その偏光ホログラムパターン8cは、透明基板8aの表面にリング状に形成されており、参照光Lbに対して凹レンズとして作用するホログラムレンズを構成している。
【0048】
ホログラム素子8における偏光ホログラムパターン8c以外の部分では、平行平面板から成る透明基板8aからの作用のみを入射光が受けることになる。ホログラム素子8への入射光のうち、参照光Lbは前記特定の直線偏光として偏光ホログラムパターン8cに入射し、情報光Laは偏光ホログラムパターン8cのリング中心部分に入射する。したがって、参照光Lbは偏光ホログラムパターン8cによる回折作用を受けた後、対物レンズ9で集光され、一方、情報光Laは偏光ホログラムパターン8cの回折作用を受けずにホログラム素子8を透過して対物レンズ9で集光されることになる。なお、ホログラム素子8通過後の情報光Laと参照光Lbは、1/4波長板8Qを通過することにより直線偏光から円偏光に変換される。
【0049】
図5(A)に示すように、対物レンズ9は情報光Laと参照光Lbで記録媒体10を照射し、情報光Laと参照光Lbとの干渉により得られる干渉縞で記録媒体10を露光して、情報を記録媒体10にホログラム記録する。その際、対物レンズ9から記録媒体10側に出射した参照光Lbが、対物レンズ9から記録媒体10側に出射した情報光Laの集光点と重なるとともに、情報光Laの集光点からずれた位置で集光するように、偏光ホログラムパターン8cは参照光Lbを回折させる。拡散させるのではなく、参照光Lbを絞りつつ集光点を外側へ離すことにより情報光Laの方へ向けることになるので、高いコントラストで干渉縞を形成することができる。
【0050】
上記のように集光点位置を縦横方向にずらしたり中央にデフォーカスしながら集光させたりする回折作用は、光学的なパワーや軸のズレを持たせたホログラムレンズを偏光ホログラムパターン8cで構成することにより実現可能である。そして、この偏光ホログラムパターン8cの回折作用を利用すれば、簡単な構成でありながら干渉縞を高いコントラストで得ることができるので、良好な記録特性で記録媒体10に情報を記録することができる。しかも、回折により一様な光強度の情報光Laと参照光Lbを生成することができるので、光量ロスを小さくすることができる。対物レンズ9の直前で参照光Lbのみが回折するため、光量ロス低減の効果はより一層大きなものとなる。
【0051】
偏光ホログラムパターン8cが参照光Lbに対して凹レンズとして作用するため、参照光Lbは広がったビームとして情報光Laとその集光点付近で均一に重なることになる。したがって、簡単な構成でありながら凹レンズ効果により更に高いコントラストで干渉縞を得ることができ、記録特性の更なる向上を達成することができる。
【0052】
偏光ホログラムパターン8cが表面レリーフ型のホログラム素子8で構成されているため、高い回折効率で参照光Lbの分離を行うことができる。このシステム中の偏光ホログラムパターン8cはブレーズ化することが可能であるため、高い回折効率によってほぼ全ての光を情報光Laと交わらせることができる。また、偏光ホログラムパターン8cの面積とそれに対応するミラー3Bの面積を調整することにより、参照光Lbの光量を調整することができる。したがって、情報光Laと参照光Lbの強度比を1:1に近づけることが可能である。情報光Laと参照光Lbの強度比を1:1に近づければ、光利用効率を上げて干渉縞のコントラストを上げることができる。
【0053】
また、偏光ホログラムパターン8cが透明基板8aの表面にリング状に形成されているため、レーザビームの周辺部分から成る参照光Lbのみを回折させることができる。その際、レーザビームの中心部分の情報光Laは、偏光ホログラムパターン8cのリング中心部分に入射して、回折作用を受けずにホログラム素子8を透過することができるので、情報光Laに対する偏光ホログラムパターン8cの影響は抑えられる。
【0054】
ホログラム素子8通過後の情報光Laと参照光Lbは、1/4波長板8Qを通過することにより直線偏光から円偏光に変換される。偏光ホログラムパターン8cで回折される往路の参照光LbをS偏光とすると、それは1/4波長板8Qを往復することによりP偏光に変換される。往路の参照光Lb(S偏光)は偏光ホログラムパターン8cで回折されるので、復路の参照光Mb(P偏光)は偏光ホログラムパターン8cで回折されずに透過することになる。したがって、復路の参照光Mbが光学系内で散乱して迷光となり記録特性劣化の原因となるのを防止することができる。
【0055】
情報の再生時においても、レーザ光源1から出射したレーザビームは、コリメートレンズ2で平行ビームに変換された後、空間光変調器3Aとミラー3Bに斜め入射する。ただし、空間光変調器3AはOFF状態に設定されるため、空間光変調器3Aの遮光効果によりレーザビームの中心部分はビームスプリッタ4に入射しない。一方、レーザビームの周辺部分はリング状のミラー3Bで反射されて再生用の参照光Lbとなり、ビームスプリッタ4に入射する。ビームスプリッタ4に入射した再生用の参照光Lbは、その光量の半分がビームスプリッタ4を透過して、リレーレンズ6に入射する。
【0056】
リレーレンズ6から出射した再生用の参照光Lbは、ミラー7で反射された後、ホログラム素子8に入射する。ホログラム素子8に入射した参照光Lbは、偏光ホログラムパターン8cによる回折作用を受けた後、1/4波長板8Qを通過し、対物レンズ9で集光される。対物レンズ9は、情報が干渉縞でホログラム記録された記録媒体10を、図5(A)に示すように、参照光Lbで照射する。参照光Lbは記録媒体10の干渉縞で回折され、図5(B)に示す再生光Maを発生させることにより情報を再生する。その際、対物レンズ9から出射した復路の参照光Mbが往路の参照光Lbの光路から外れるように、偏光ホログラムパターン8cは往路の参照光Lbを回折させる。つまり、ホログラムパターン8bは特定の直線偏光のみを回折させるので、1/4波長板8Qを往路の参照光Lbと復路の参照光Mbが通過することにより、復路の参照光Mbはホログラムパターン8bで回折されずに透過し、結果として、図4(B)に示すように受光素子5から大きく外れることになる。
【0057】
記録媒体10で発生した再生光Maは、情報光Laの光路に沿って対物レンズ9に入射する。対物レンズ9を出射した再生光Maは、偏光ホログラムパターン8cのリング中心部分を通ってホログラム素子8を透過し、ミラー7で反射された後、リレーレンズ6を通ってビームスプリッタ4に入射する。ビームスプリッタ4に入射した再生光Maは、その光量の半分がビームスプリッタ4で反射されて、受光素子5の受光面に到達し結像する。受光素子5は、受光した再生光Maの光情報を電気信号として出力する。
【0058】
上記のように対物レンズ9から出射した復路の参照光Mbが往路の参照光Lbの光路から外れるように、偏光ホログラムパターン8cが往路の参照光Lbを回折させるので、簡単な構成でありながら迷光の発生を抑えることができる。受光素子5では復路の参照光Mbが大きくデフォーカスした像のみとなるため、受光素子5に入射する迷光は生じにくく、信号特性は良好になる。つまり、再生時に迷光が受光素子5に入射すると信号品質が低下するが、偏光ホログラムパターン8cによって迷光の発生が抑えられるため、良好な品質の信号を得ることが可能となる。
【0059】
ホログラム素子8通過後の情報光Laと参照光Lbは、1/4波長板8Qを通過することにより直線偏光から円偏光に変換される。偏光ホログラムパターン8cで回折される往路の参照光LbをS偏光とすると、それは1/4波長板8Qを往復することによりP偏光に変換される。往路の参照光Lb(S偏光)は偏光ホログラムパターン8cで回折されるので、復路の参照光Mb(P偏光)は偏光ホログラムパターン8cで回折されずに透過することになる。したがって、復路の参照光Mbが光学系内で散乱して迷光となり信号特性劣化の原因となるのを防止することができる。
【0060】
偏光ホログラムパターン8cが参照光Mbに対して凹レンズとして作用するため、復路において参照光Mbは受光素子5から離れる方向に進む。したがって、より効果的に迷光の発生を抑えることができる。偏光ホログラムパターン8cが表面レリーフ型のホログラム素子8で構成されているため、高い回折効率で参照光Mbの分離を行うことができる。このシステム中の偏光ホログラムパターン8cはブレーズ化することが可能であるため、高い回折効率によってほぼ全ての光を情報の再生に用いることができる。また、偏光ホログラムパターン8cが透明基板8aの表面にリング状に形成されているため、レーザビームの周辺部分から成る参照光Lbのみを回折させることができる。したがって、より効果的に迷光の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】光情報記録再生装置(第1の実施の形態)の概略光学構成例を示す模式図。
【図2】図1の光情報記録再生装置(第1の実施の形態)の要部を示す拡大図。
【図3】図1の光情報記録再生装置(第1の実施の形態)が有するホログラム素子の外観及び断面を示す図。
【図4】光情報記録再生装置(第2の実施の形態)の概略光学構成例を示す模式図。
【図5】図4の光情報記録再生装置(第2の実施の形態)の要部を示す拡大図。
【図6】図4の光情報記録再生装置(第2の実施の形態)が有するホログラム素子の外観及び断面を示す図。
【符号の説明】
【0062】
1 レーザ光源
3A 空間光変調器
3B ミラー
5 受光素子
6 リレーレンズ
8 ホログラム素子
8a 透明基板
8b ホログラムパターン
8c 偏光ホログラムパターン
9 対物レンズ
10 記録媒体
11 アクチュエータ
La 情報光
Lb 参照光
Ma 再生光
Mb 参照光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録時には、レーザ光源から出射したレーザビームのうち、中心部分を空間光変調器で空間的に変調して情報光とし、周辺部分をミラーで反射させて記録用の参照光とし、その情報光と参照光を対物レンズで記録媒体に照射して、情報光と参照光との干渉により得られる干渉縞で記録媒体に情報をホログラム記録し、再生時には、レーザ光源から出射したレーザビームのうち、周辺部分をミラーで反射させて再生用の参照光とし、その参照光を情報が干渉縞でホログラム記録された記録媒体に対物レンズで照射して、干渉縞による参照光の回折により情報を再生する光情報記録再生装置であって、
前記ミラーと対物レンズとの間の光路中に、特定の直線偏光のみを回折させるリング状の偏光ホログラムパターンが透明基板の表面に形成された表面レリーフ型のホログラム素子を有し、その偏光ホログラムパターンと対物レンズとの間の光路中に1/4波長板を有し、前記対物レンズから記録媒体側に出射した参照光が、前記対物レンズから記録媒体側に出射した情報光の集光点近傍で重なるとともに、情報光の集光点からずれた位置で集光するように、前記ホログラムパターンが参照光を回折させ、前記対物レンズから出射した復路の参照光が復路の情報光の光路から外れるように、前記ホログラムパターンが往路の参照光を回折させ、前記ホログラムパターンが参照光に対して凹レンズとして作用することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項2】
レーザ光源から出射したレーザビームのうち、中心部分を空間光変調器で空間的に変調して情報光とし、周辺部分をミラーで反射させて記録用の参照光とし、その情報光と参照光を対物レンズで記録媒体に照射して、情報光と参照光との干渉により得られる干渉縞で記録媒体に情報をホログラム記録する光情報記録装置であって、
前記ミラーと対物レンズとの間の光路中にホログラムパターンを有し、前記対物レンズから記録媒体側に出射した参照光が、前記対物レンズから記録媒体側に出射した情報光の集光点近傍で重なるとともに、情報光の集光点からずれた位置で集光するように、前記ホログラムパターンが参照光を回折させることを特徴とする光情報記録装置。
【請求項3】
前記ホログラムパターンが参照光に対して凹レンズとして作用することを特徴とする請求項2記載の光情報記録装置。
【請求項4】
前記ホログラムパターンが表面レリーフ型のホログラム素子で構成されており、透明基板の表面にリング状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の光情報記録装置。
【請求項5】
前記ホログラムパターンが特定の直線偏光のみを回折させる偏光ホログラムパターンであり、その偏光ホログラムパターンと前記対物レンズとの間の光路中に1/4波長板を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の光情報記録装置。
【請求項6】
レーザ光源から出射したレーザビームのうち、周辺部分をミラーで反射させて再生用の参照光とし、その参照光を情報が干渉縞でホログラム記録された記録媒体に対物レンズで照射して、干渉縞による参照光の回折により情報を再生する光情報再生装置であって、
前記ミラーと対物レンズとの間の光路中にホログラムパターンを有し、前記対物レンズから出射した復路の参照光が往路の参照光の光路から外れるように、前記ホログラムパターンが往路の参照光を回折させることを特徴とする光情報再生装置。
【請求項7】
前記ホログラムパターンが参照光に対して凹レンズとして作用することを特徴とする請求項6記載の光情報再生装置。
【請求項8】
前記ホログラムパターンが表面レリーフ型のホログラム素子で構成されており、透明基板の表面にリング状に形成されていることを特徴とする請求項6又は7記載の光情報再生装置。
【請求項9】
前記ホログラムパターンが特定の直線偏光のみを回折させる偏光ホログラムパターンであり、その偏光ホログラムパターンと前記対物レンズとの間の光路中に1/4波長板を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の光情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−108359(P2008−108359A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290302(P2006−290302)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】