説明

光発信形センサ、及びこれを用いた環境監視システム

【課題】 本発明は、空間内の検出センサからの信号とその位置とを細かく、容易に設定することが可能で、そのセンサの検出情報の分布を容易に監視することが可能な光発信形センサ、及びそれを用いた環境監視システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 物理量を測定するセンサと、センサによって得られた情報と対応するように、予め設定された発光パターン信号を生成し、外部に光発信する光発信形センサ10a、10b、10cを複数、被監視領域内に予め設定配置し、この被監視領域を撮像するカメラ11で撮像し、光発信形センサ10a、10b、10cの取付け位置情報及びその検出情報とを合成表示することで検出情報の分布を容易に監視することが可能な環境監視システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型センサを被監視環境内に複数配置し、複数のセンサの検出情報の分布から環境を監視する環境監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の環境を監視するネットワークセンシングシステムとして、例えば、照明モジュールに光通信機能を持たせて、隣接した照明モジュール間同士でケーブルレスの通信を可能にしたアクセス空間光センサ通信装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなアクセス空間光センサ通信装置を図14示す。アクセス空間光センサ通信装置100は、各々光送信部および光受信部を収容したN個(N≧3)の光送受信部110、120、130と、これら光送受信部間を接続する内部バス101、102と、制御部170と、通常の照明用ランプの口金と同じ給電用インターフェース部1とを備え、少なくとも2つの光送受信部110、120は、隣接するアクセス空間光センサ通信装置間100の光通信に使用し、残りの少なくとも1つの光送受信部130は、照明及び照明配下の通信装置との光通信に使用することを特徴としている。
【0004】
図15に示すように、このようなアクセス空間光センサ通信装置100を複数、所定の空間に配置して、ケーブルレスで、且つ、別途給電設備を必要としないアクセス空間光センサネットワークシステムを構成している。
【0005】
例えば、地域温度、湿度、CO2等の検出システムを構成する場合には、図16に示すように、各アクセス空間光センサ通信装置100に気温、湿度、気圧匂い、マイク、カメラ、ガス検出等のセンサを備え、センサ検出ネットワークを実現可能にし、また、このアクセス空間光センサ通信装置100との通信に必要な手段を備えた端末が照明下に存在する場合には、その端末同士がセンサネットワークを介して通信が可能な構成としている。
【特許文献1】特開2005−124123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の空間の環境を監視するネットワークセンシングシステムの検出センサの検出単位エリアは、電球の口金が設けられる照明空間をセンシングの単位エリアとするもので、地域等の広域の環境監視を行うものに適したシステムである。
【0007】
しかしながら、検出単位エリアとセンシング位置が固定されたこのシステムでは、居住空間内の環境などの微小空間内の温度や振動などについて任意の位置で、それらの検出情報の分布を細かく監視する場合には問題がある。
【0008】
また、夫々のセンサは、その配置位置を変更した場合には、センサの位置情報を新たに設定することが必要で、センサの取付け箇所の変更にも手間が掛かる問題があった。
【0009】
本発明は、環境監視システムにおいて、多数の検出センサからの信号を光信号で送信し、被監視環境空間内のセンサの位置情報を監視したい箇所に細かく、且つ、容易に設定することが可能で、これらの複数のセンサの検出情報の分布を容易に監視することが可能な光発信形センサ及びそれを用いた環境監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサは、物理量を測定するセンシング手段と、前記センシング手段によって得られた検出情報と対応するように、予め設定された発光パターン信号を生成する発光パターン信号生成手段と、前記発光パターン信号生成手段の出力で光素子を可視光領域で発光させる発光手段と、前記センシング手段、前記発光パターン信号生成手段、及び前記発光手段を収納し、前記発光手段からの発光が外部から計測可能なケースとを備え、前記検出情報を、光信号として発光させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサは、前記発光パターン信号生成手段は、前記検出情報と対応するように、前記発光手段を発光させるための光素子の駆動信号の周波数を変える周波数変換、パルス幅を変えるパルス幅変換、振幅を変える振幅変換、色相を変える色相変換、符号化する符号化変換の少なくともいずれか一つの変換処理を行う変換処理手段とすることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサは、前記光パターン信号生成手段は、前記検出情報と、予め設定された前記検出情報の基準値との差を求める差分検出手段と、前記差分検出手段の出力が予め設定された値以上となったことを判定する差分判定手段とを備え、前記差分判定手段の出力で前記発光手段の発光を制御するようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサは、前記ケース外から照射される光を受光する受光素子と、前記受光素子の出力から照射された前記光が予め設定された発光パターンであるか否かを判定する判定手段とを備える受光手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサを用いた環境監視システムは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の複数の光発信形センサと、被監視領域内の複数の監視箇所に配置された複数の前記光発信形センサの発光部を含み前記被監視領域を撮像するカメラと、前記カメラの撮像信号から前記光発信形センサの前記被測定領域内の位置情報と前記センシング手段の検出情報とを抽出する画像処理手段と、前記カメラの撮像信号と前記画像処理手段で抽出された前記光発信形センサの位置情報及び検出情報とを合成し、合成された合成画像を表示する表示手段とを備え、前記監視領域内の前記光発信形センサの検出情報の分布状態を表示するようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサを用いた環境監視システムは、前記表示手段の画像合成は、前記カメラで所定の間隔をおいて撮像した2つの画像データの差を求め、前記被監視領域内の背景画像を削除、または、背景画像をと前記画像処理手段の出力とのコントラストを変えて、前記画像処理手段の出力と合成し、前記光発信形センサの前記位置情報及び前記検出情報を容易に可視化可能にしたことを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサを用いた環境監視システムは、請求項1乃至請求項4に記載のいずれか1項に記載の前記光発信形センサを前記被監視領域内に複数配置し、複数の前記光発信形センサの発光部を含み前記被監視領域内をステレオ視するように配置された複数の前記カメラと、複数の前記カメラの撮像信号から前記光発信形センサの発光部の3次元位置情報求め、前記カメラの撮像信号から前記センシング手段の検出情報を抽出する画像処理手段と、前記カメラの映像信号と前記光発信形センサの前記位置情報及び前記検出情報とを対応付けて表示する表示手段とを備え、前記監視領域内の前記光発信形センサの検出情報の3次元分布を可視化表示するようにしたことを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサを用いた環境監視システムは、前記センシング手段の検出情報は、温度、湿度、振動、圧力、ガス濃度、騒音の少なくともいずれか一つ以上の検出情報であることを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサを用いた環境監視システムは、前記カメラの撮像のフレームレートは、前記光発信形センサの発光周波数の2倍以上とすることを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明による光発信形センサを用いた環境監視システムは、前記カメラにはGPSセンサを搭載し、前記カメラの絶対位置を求める位置検出手段を備え、前記カメラの絶対位置を求め、複数の前記被監視領域内の前記前記光発信形センサの検出情報の分布を求めるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、センサからの検出情報を予め設定された発光パターンの光信号に変換する光発信形センサで検出し、この光発信形センサを被監視環境の監視箇所に複数配置して、夫々の光発信形センサからの光信号をカメラで捉え、被監視環境内の位置情報とその検出情報とを同時に画像処理によって抽出し、且つ、背景画像から検出情報が見やすいようにコントラストを付けて表示するようにしたので、被監視環境内のセンサの検出情報の分布を容易に可視化することが可能な光発信形センサ、及びそれを用いた環境監視システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例1について、図1乃至図12を参照して説明する。先ず、図6に示すような環境監視システムに使用される光発信形センサ10について図1乃至図5を参照して説明し、次に図7乃至図12を参照して、この光発信形センサ10を用いた環境監視システムについて説明する。
【0023】
図1(a)に、光発信形センサ10の構成図を、図1(b)にその外観斜視図を示す。光発信形センサ10は、温度、湿度、加速度、圧力、COガス濃度、またはOガス濃度等のガス濃度、騒音等の環境測定のためのセンサ1の少なくとも1つ以上と、このセンサ1で検出した信号を、発光素子の発光信号に変換するための発光パターン信号生成回路2と、発光パターン信号生成回路2の出力で発光素子を発光させる発光部3と、これらに電源を供給する電池4と、これらを収納し、発光部4からに光を放射する放射口6aを供えるケース6とからなる。
【0024】
また、センサ1、発光パターン信号生成回路2、及び発光部3は、小型、低消費電力などを実現するため、半導体微細加工をベースとしたシリコン基板上に微細な機械構造でチップ化されてセラミックス基板5上に集積実装される。
【0025】
このような小型モジュールは、例えば、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)などの微細加工技術によって成形される。
【0026】
この技術で成形される各部の詳細について説明する。センサ1は、例えば、半導体の温度特性を利用したIC化された温度センサなど、オンチップ化が可能なものとする。
【0027】
発光パターン信号生成回路2は、図2に示すように、例えば、センサ1の検出信号の基準値を発生する基準値発生回路2aと、この基準値と検出される検出信号との差を求める差分検出回路2bと、差分検出回路2bの出力が所定の値以上であることを判定する差分判定回路2cと、差分判定回路2cの出力で後述する発光部3へ供給される発光パターン信号を生成する発光パターン信号変換回路2dとからなる。
【0028】
また、図1に示すように、発光部3はLEDなどの高輝度な発光素子3bと、発光パターン信号変換回路2dの出力で発光素子3をドライブするための発光素子駆動回路3aとからなる。
【0029】
次に、発光パターン信号変換回路2dで生成される発光パターン信号について図3を参照して説明する。例えば、センサ1が、半導体の特性を利用した温度センサの発光パターン信号は、この温度に対応して発生する電圧出力を電圧に比例する周波数の矩形波信号に変換する。
【0030】
夫々の波形は、横軸を時間軸とし、縦軸を発光部3を点灯をハイレベル、非点灯を低レベルとするパルス信号で示したものである。
【0031】
この発光パターン信号への変換としては、図3(a)に示す周波数変換、図3(b)に示すパルス幅変換、図3(c)に示す振幅変換、図3(d)に示す色相変換、及び図3(e)に示すデジタル符号変換などが可能である。
【0032】
いずれの発光パターン信号の場合でも、その最大周波数は、読み取る受光センサがサンプリング方式で読み取る場合、そのサンプリング周波数の1/2以下,もしくは、最大周波数の2倍以上のサンプリング周波数を有する受光センサを予め設定しておく必要がある。
【0033】
例えば、受光センサとして汎用のカメラを使用する場合には、1フレームあたりの時間分解能は1/30(秒)となるので、発光パターン信号の最大周波数は15Hz以下としておく。
【0034】
次に、図3に示す夫々の光パターン信号について、汎用のカメラで発光パターン信号を検出する場合について説明する。図3(a)に示す周波数変換では、変換する温度範囲についてその分解能を1%程度とすると、低温側を0.15Hz、高温側を15Hz(1/15秒)以下で点滅させる発光パターン信号とする。
【0035】
また、図3(b)に示すパルス幅変換の場合、変換する温度範囲について低温側から高温側の範囲で光パターン信号のパルス幅を変える。この場合もパルス幅の変化範囲は、汎用のカメラで識別可能なパルス幅を確保するように設定する。
【0036】
また、図3(c)に示す振幅変換の場合、変換する温度範囲について低温側から高温側の範囲で光パターン信号の振幅を変え、発光する素子の輝度範囲が汎用のカメラで輝度分解が可能な範囲に設定する。
【0037】
同様に、図3(d)に示す色相変換の場合、変換する温度範囲について低温側から高温側の範囲で、発光させる赤色、緑色、青色の3つのLED素子の光パターン信号の振幅を相対的に変えて、発光する素子の色相が汎用のカラーカメラで識別しやすい範囲に設定する。
【0038】
この色相変換の場合、高温側を赤色、低音側を青色、その間を中間色として発光させ、この発光パターンをカラーカメラで撮像すれば、センサ1で捉えた温度の検出値との対比が視覚で容易に観察しやすいモニタ画像が生成できる。
【0039】
また、図3(e)に示すデジタル符号変換の場合、変換する温度範囲について低温側から高温側の範囲で、デジタル信号として数値化された光パターン信号を発光させる。
【0040】
この場合の光パターン信号は、送信開始信号Tr、検出情報信号Ts、及び送信終了信号Tfで構成される。即ち、この場合には、受信側でこの信号を読み取る手段が必要になる。
【0041】
次に、この発光する発信形センサ10の他の構成の例を図4に示す。この光発信形センサ10について、図1に示す光発信形センサ10の各部と同一部分は同一の符号を付しその説明を省略する。
【0042】
図4に示す光発信形センサ10が図1の光発信形センサ10と異なるのは、受光素子7aと判定回路7bとから成る受光部7を備えたことにある。受光素子7aはケース6の外壁に外部からの光が受光できるように設けられる。
【0043】
この受光部7は、予め定められる特定の光を光発信形センサ10の外部から照射して光発信形センサ10の動作を制御するもので、この特定の光を受光素子7aで受光して、さらに、判定回路7bでこの受光信号のパターンを判定して、発光パターン生成回路2の動作を制御するものである。
【0044】
この特定の光は、図示しない別の発光装置から投光するもので、例えば、赤外線を使用した特定のパターン赤外光線を投光し、受光部7でこの信号判定し、自身への動作の指令であるかを判定するようにする。
【0045】
このように受光部7を光発信形センサ10に備えることで、外部から特定の光を照射して複数の発信形センサ10を識別して指定し、発信形センサ10自身が自身への出力要求であるか否かを判定して制御動作を開始する。
【0046】
したがって、複数の光発信形センサ10の発光信号の干渉を避けるように検出情報を異なる時間で発光させることもできるので、光発信形センサ10が高密度に集積された場合でも発光パターン信号を分離して検出することが可能となる。
【0047】
次に、センサ1が温度センサで受光部7を備えた光発信形センサ10の場合の検出動作について、図4及び図5を参照して説明する。
【0048】
先ず、電池4から電圧が供給されると、基準値発生回路2aの出力及び発光パターン信号変換回路2dを初期化する(s1)。
【0049】
次に、外部から基準値を読み込むためのトリガーとなる特定の光を図示しない発信装置から送信し、この光を受光部7で受光し、自光発信形センサ10への制御指令要求であるか否かを判定する(s2)。
【0050】
次に、受光部7で特定の光であることが判定されると、センサ1から検出された信号を基準値として取り込み記憶する(s3)。
【0051】
受光部7を備えていない光発信形センサ10の場合には、予め校正された基準値を設定するようにしておけばよい。
【0052】
そして、予め設定された周期の時間が経過する毎に(s4)、検出信号と読み込んだ基準信号との差を差分検出回路2bで求め、この差があらかじめ設定した値以上であることを差分判定回路2cで判定し、差分に相当する光信号を光発生パターン変換回路2dで生成し(s6)発光部3に送る。
【0053】
このように光発信形センサ10は、検出情報を自身の発光素子を発光させて外部に発光パターン信号を発信する。
【0054】
次に、室内や装置の温度分布の状態を細かく監視するための光発信形センサ10を多数備えた環境監視システムについて、図6を参照して説明する。
【0055】
図6は、室内等の被測定対象空間の温度分布を細かく監視する環境監視システムの構成を示し、z―y平面に設けられた多数の光発信形センサ10と、光発信形センサ10の発光状態を撮像するカメラ11とから成る。
【0056】
上述したような光発信形センサ10は、小型で、且つ、ワイヤレスで動作が可能であるので温度監視が要される箇所毎に、任意の個数、任意の場所に取り付けることができる。ここでは、説明のため3個の場合で図示している。
【0057】
同図において、この環境監視システムは、光発信形センサ10a、光発信形センサ10b、光発信形センサ10cの3つのセンサと、これらの光発信形センサ10及びその設置周辺の環境を同時に撮像するカメラ11と、カメラ11で撮像した撮像信号から、光発信形センサ10の取り付けられている位置情報を検出する位置情報抽出処理部12aと位置情報抽出処理部12aで抽出された位置の画像からセンサ1の検出情報を検出する発光パターン信号抽出処理部12bとを備える画像処理部12とからなる。
【0058】
さらに、カメラ11の撮像信号から光発信形センサ10以外の背景部分の画像を処理し、画像処理部12で処理された光発信形センサ10の位置情報と検出情報とを合成処理する画像合成部13aと画像合成部13aの出力を表示するモニタ13bとを備える表示部13とからなる。
【0059】
表示部13は、監視領域に配置された光発信形センサ10の検出情報とその分布を監視しやすく表示させるための機能を備えるもので、監視領域の背景画像と検出情報を合成して、検出情報とその位置情報とを同時に容易に可視化できるように表示させる。
【0060】
例えば、背景信号と検出情報とのコントラストを画像合成部13aで変えたり、画像処理部12で処理された検出情報のみを抽出して表示させたりして、監視目的によって表示内容を変えることが可能である。
【0061】
また、発光パターン信号を色相表示させ、この状態をカメラ11で撮像してカメラ11の撮像信号をそのままモニタ13bで表示させ、画像処理部12での処理を不要とする構成で監視することも可能である。
【0062】
次に、このように構成された環境監視システムの動作について、図7及び図8を参照して説明する。
【0063】
図7(a)は、カメラ11で撮像された光発信形センサ10a、及び光発信形センサ10cを含む周囲の背景画像sBKの撮像信号のモニタで、図7(b)は、光発信形センサ10の周囲の背景画像sBKを消去し、カメラ11の撮像信号から抽出された夫々の光発信形センサ10の部分のみを表示した合成画像を示す。
【0064】
夫々の光発信形センサ10a乃至光発信形センサ10cの検出情報は、合成画像では位置情報s101a1乃至位置情報s101c1と、対応する検出情報s101a乃至検出情報s101cとが表示されたモニタを示す。
【0065】
また、図7(c)は、カメラ11の撮像画像を画像処理部12に取り込む処理動作を説明するためのタイムチャートを示す。
【0066】
図7(c)のタイムチャートの(1)は、周期Tで発光する検出情報をカメラ11のフレームレートのサンプリング周期Tpで検出する様子を図示したもので、前述したようにT≧2Tp以上としてサンプリングする。
【0067】
次に、このように構成された環境監視システムにおいて、カメラ11の撮像信号から位置情報と検出情報とを抽出する画像処理部12の処理動作について説明する。
【0068】
先ず、その処理フローの概略を図8で説明する。光発信形センサ10を強制的に点滅させ、撮像した映像信号のフレーム間の差分を加算して、予め定められる値以上の差がある部分を抽出し、この画像の部分をセンサ1からの検出情報を抽出する代表画素位置として、位置情報抽出処理部12aの図示しない画像メモリに予め記憶しておく(s11)。
【0069】
次に、抽出された代表画素について、夫々の発光状態を時系列に図示しない画像メモリに記憶してゆく(s12)。
【0070】
夫々の代表画像について、記憶した時系列の発光パターンから、予め記憶した発光パターンと照合して検出情報を認識し、出力する(s13)。
【0071】
以上の処理手順で処理された位置情報と検出情報とは、表示部13の映像合成部13aに送信し、モニタ13bに表示する。
【0072】
次に、図8に示した処理動作の各ステップの詳細動作について図9乃至図12を参照して説明する。図9は、カメラ11で撮像した光発信形センサ10a乃至光発信形センサ10cの画像メモリ状態を示す図で、カメラ11の分解能及びその画像メモリのサイズは、予め必要な分解能に設定される。
【0073】
光発信形センサ10の発光領域は、画像処理部12の図示しない画像メモリに記憶されるが、この時の撮像画像の水平方向x番目、垂直方向y番目、時刻tにおける画素の輝度信号をP(x、y、t)として順次、画像メモリに記憶する。
【0074】
そして、発光領域に対応する発光領域画像Seから図8のステップs11の処理が行われ光発信形センサ10の存在領域Srが判定記憶される。以下その詳細を図10乃至図11で説明する。
【0075】
先ず、図10は、発光領域の抽出処理を示すフロー図である。時刻Tで画像メモリの内容を初期化(s111)し、予め設定される1000フレーム分の画像を予め記憶する(s112乃至s114)。
【0076】
次に、各画素について時刻Tn+1と時刻Tの輝度変化の差を書き式で求め、
輝度変化の差=|P(x、y、Tn+1)−P(x、y、T)|
nが0から1000までの1000点分について加算する。
【0077】
そして、この加算値が所定の値C以上の箇所が光発信形センサ10の存在量域Srとして記憶される(s115)。
【0078】
次に、抽出された複数個の存在領域に対して、夫々の存在領域の代表画素Psを抽出する。その処理を図11に示す。
【0079】
先ず、存在領域の隣接するもの同士を同じ存在領域としてグルーピング処理する(s121)。そして、それぞれのグループのx座標、y座標の平均位置座票を求め、求めた平均座標に最も近い座標位置をそのグループの代表画素Psを、撮像領域内からMmax個抽出する(s122乃至s125)。
【0080】
この代表画素の設定は、測定中のセンサ1からの信号で処理することも可能であるが、光発信形センサ10の出力を強制的に発光させて、予め代表画素の位置を記憶するようにしても良い。
【0081】
次に、抽出されたMmax個の代表画素Psの夫々の検出情報を時系列に記憶する図8のステップs12及びs13に相当する処理の詳細を図12に示す。
【0082】
まず、代表画素Psについてその発光パターンを時系列に記憶してゆく。この発光パターンを予め記憶した検出情報の発光パターンと比較して、その発光パターンから検出情報を認識処理する(s131乃至s134)。
【0083】
この発光パターンの認識処理については、発光パターンに応じて、既存の種々のパターン認識方法が適用できるので、詳細は割愛する。
【0084】
このように構成された環境監視システムにおいては、監視したい被測定対象の任意の位置に、光発信形センサ10を取付け、この光発信形センサ10からの発光の状態をカメラ11の視野内に収まるように配置することで、監視したい位置の検出情報の監視が容易に行える。
【0085】
また、本実施例では、センサ1が温度センサの場合について説明したが、被監視対照の検出情報が振動数、またはガス濃度、または騒音などのセンサの場合であっても、センサを置き換えることで同様の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0086】
以下、本発明の実施例2について、図13を参照して説明する。図13の各部について、図1乃至図12に示した実施例1の環境監視システムの各部と同一部は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
実施例2が実施例1と異なる点は、実施例1においては、1台のカメラ11の映像信号から被監視対象を撮像し、監視対象に取り付けられた光発信形センサ10の奥行き方向の位置は同じであるとして、2次元の位置情報として処理する位置情報処理部12aを備えたが、実施例2では2台のカメラ11a及びカメラ11bを備え、光発信形センサ10の位置を、位置情報抽出処理部12aに変えて、3次元の位置情報として処理する3次元位置情報抽出処理部14aを備えるようにしたことにある。
【0088】
例えば、光発信形センサ10d乃至光発信型センサ10fは凹凸のある、x、y、z座標内の3次元空間に配置されているとする。
【0089】
そして、この3次元空間の光発信形センサ10d乃至光発信型センサ10fの夫々を、2台のカメラ11a及びカメラ11bで撮像し、同一の観測点を異なる位置から観測するステレオ視(両眼立体視とも言う)が可能な配置に設定しておく。
【0090】
そして、3次元空間に配置された光発信形センサ10d乃至光発信型センサ10fの夫々を発光させ、夫々のカメラ11a及びカメラ11bで撮像した同一の位置情報から、実施例1同様に代表画素を抽出し、光発信形センサ10d乃至光発信型センサ10fの代表画素の3次元座標位置を3次元位置情報処理部14aで求める。
【0091】
したがって本発明によれば、光発信形センサを3次元空間に設置して、3次元空間の光発信形センサ10の検出情報の3次元分布状態を監視することができる。
【0092】
また、夫々の光発信形センサ10には、GPSセンサ15を取付け、複数の異なる被監視環境の絶対位置と対応付けることで、さらに広い領域の検出情報の監視の検出情報の分布を細かく監視することが可能な環境監視システムを構築することも出来る。
【0093】
本発明は上述したような実施例に何ら限定されるものでなく、光発信形センサを取り付ける監視対象物の形状と照明環境、及び光発信形センサの形状及び発光部の発光態様によってモニタの表示方法が監視しやすいように、本趣旨を逸脱しない範囲で適宜調整することが可能である。
【0094】
また、光発信形センサの電池を太陽電池とその発電電力を蓄電する二次電池で構成し、所定の蓄電量以上で作動する、省エネ型の構成とことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の光発信形センサの構成図。
【図2】本発明の光発信形センサの光発生パターン信号生成回路の構成図。
【図3】本発明の光発生パターン信号の説明図。
【図4】本発明の受光素子を備える光発信形センサの構成図。
【図5】本発明の光発信形センサの動作を説明するフローチャート。
【図6】本発明の環境監視システムの実施例1のシステム構成図。
【図7】本発明の環境監視システムの実施例1の検出情報の抽出処理動作を説明するタイムチャート。
【図8】本発明の環境監視システムの実施例1の検出情報の抽出処理動作を説明するフローチャート。
【図9】本発明の画像処理部でのメモリ記憶される撮像画像の説明図。
【図10】本発明の光発信形センサの存在領域の抽出処理動作のフロー図。
【図11】本発明の光発信形センサの代表画素の抽出処理動作のフロー図。
【図12】本発明の光発信形センサの検出情報の処理動作のフロー図。
【図13】本発明の環境監視システムの実施例2のシステム構成図。
【図14】従来の光アクセス空間センサ通信装置の構成図。
【図15】従来の光アクセスセンサネットワークの構成図。
【図16】従来の地域温度・湿度・CO2等の検出システムの実施例。
【符号の説明】
【0096】
1 センサ
2 発光パターン信号生成回路
2a 差分検出回路
2b 基準値発生回路
2c 差分判定回路
2d 光パターン信号変換回路
3 発光部
3a 発光素子駆動回路
3b 発光素子
4 電池
5 セラミックス基板
6 ケース
6a 放射口
7 受光部
7a 受講素子
7b 判定回路
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f 光発信形センサ
11、11a、11b カメラ
12 画像処理部
12a 位置情報抽出処理部
12b 光パターン信号抽出処理部
13 表示部
13b 画像合成部
13c モニタ
14a 三次元位置情報抽出処理部
15 GPSセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を測定するセンシング手段と、
前記センシング手段によって得られた検出情報と対応するように、予め設定された発光パターン信号を生成する発光パターン信号生成手段と、
前記発光パターン信号生成手段の出力で光素子を可視光領域で発光させる発光手段と、
前記センシング手段、前記発光パターン信号生成手段、及び前記発光手段を収納し、前記発光手段からの発光が外部から計測可能なケースとを
備え、
前記検出情報を、光信号として発光させるようにしたことを特徴とする光発信形センサ。
【請求項2】
前記発光パターン信号生成手段は、前記検出情報と対応するように、前記発光手段を発光させるための光素子の駆動信号の周波数を変える周波数変換、パルス幅を変えるパルス幅変換、振幅を変える振幅変換、色相を変える色相変換、符号化する符号化変換の少なくともいずれか一つの変換処理を行う変換処理手段とすることを特徴とする請求項1に記載の光発信形センサ。
【請求項3】
前記発光パターン信号生成手段は、前記検出情報と、予め設定された前記検出情報の基準値との差を求める差分検出手段と、
前記差分検出手段の出力が予め設定された値以上となったことを判定する差分判定手段とを備え、
前記差分判定手段の出力で前記発光手段の発光を制御するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光発信形センサ。
【請求項4】
前記ケース外から照射される光を受光する受光素子と、前記受光素子の出力から照射された前記光が予め設定された発光パターンであるか否かを判定する判定手段とを備える受光手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光発信形センサ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の複数の光発信形センサと、
被監視領域内の複数の監視箇所に配置された複数の前記光発信形センサの発光部を含み前記被監視領域を撮像するカメラと、
前記カメラの撮像信号から前記光発信形センサの前記被測定領域内の位置情報と前記センシング手段の検出情報とを抽出する画像処理手段と、
前記カメラの撮像信号と前記画像処理手段で抽出された前記光発信形センサの位置情報及び検出情報とを合成し、合成された合成画像を表示する表示手段とを
備え、
前記監視領域内の前記光発信形センサの検出情報の分布状態を表示するようにしたことを特徴とする環境監視システム。
【請求項6】
前記表示手段の画像合成は、前記カメラで所定の間隔をおいて撮像した2つの画像データの差を求め、前記被監視領域内の背景画像を削除、または、背景画像をと前記画像処理手段の出力とのコントラストを変えて、前記画像処理手段の出力と合成し、前記光発信形センサの前記位置情報及び前記検出情報を容易に可視化可能にしたことを特徴とする請求項5に記載の環境監視システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4に記載のいずれか1項に記載の前記光発信形センサを前記被監視領域内の複数の監視箇所に複数配置し、
複数の前記光発信形センサの発光部を含み前記被監視領域内をステレオ視するように配置された複数の前記カメラと、
複数の前記カメラの撮像信号から前記光発信形センサの発光部の3次元位置情報求め、前記カメラの撮像信号から前記センシング手段の検出情報を抽出する画像処理手段と、
前記カメラの映像信号と前記光発信形センサの前記位置情報及び前記検出情報とを対応付けて表示する表示手段とを
備え、
前記監視領域内の前記光発信形センサの検出情報の3次元分布を可視化表示するようにしたことを特徴とする環境監視システム。
【請求項8】
前記センシング手段の検出情報は、温度、湿度、振動、圧力、ガス濃度、騒音の少なくともいずれか一つ以上の検出情報であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の環境監視システム。
【請求項9】
前記カメラの撮像のフレームレートは、前記光発信形センサの発光周波数の2倍以上とすることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の環境監視システム。
【請求項10】
前記カメラにはGPSセンサを搭載し、前記カメラの絶対位置を求める位置検出手段を備え、
前記カメラの絶対位置を求め、複数の前記被監視領域内の前記光発信形センサの検出情報の分布を求めるようにしたことを特徴とする請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載の環境監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−164506(P2007−164506A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360420(P2005−360420)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】