説明

光記録再生装置

【課題】複数の光ピックアップを備える光記録再生装置の消費電力を低減する。
【解決手段】本実施形態の光記録再生装置は、第1および第2の光ピックアップ2a、2bと、これらの光ピックアップ2a、2bを制御する制御部を備える。第1の光ピックアップ2aは、第1の光源から出射された光ビームを光記録媒体に集光する第1の対物レンズ3aと、第1の対物レンズ3aを中心位置に対してトラック横断方向にシフトさせることができる第1のレンズアクチュエータとを有する。第2の光ピックアップ2bは、第2の光源から出射された光ビームを光記録媒体に集光する第2の対物レンズ3bと、第2の対物レンズ3bを中心位置に対してトラック横断方向にシフトさせることができる第2のレンズアクチュエータとを有する。制御部は、第1の対物レンズ3aのシフト量を増加させるとき、第2の対物レンズ3bのシフト量を減少させるように第1および第2のレンズアクチュエータを動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光テープ、光ディスク、光カードなど、光記録媒体上に情報の記録・再生あるいは消去を行う光記録再生装置に関し、特に複数の光ピックアップで同時に記録・再生を行う光記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像データ、写真データ等の高品位化、および多くの紙媒体の電子化などによりデジタルデータの量は急激に増大している。特にクラウドコンピューティングと呼ばれる、ネットワーク上のサーバ、ストレージ等を使って各種アプリケーションを使用したり各種サービスを利用したりするモデルでは、多くの利用者が様々なデータをネットワーク上のストレージに保存するため、そのデータ蓄積量は今後さらに膨大なものとなる。
【0003】
その一方で、データの保存義務についての法制化が進んでおり、これらの膨大なデータを保存する際の確実性、信頼性も要求される。
【0004】
こうした大容量データを、光を用いて光記録媒体に記録する装置において、記録再生時のデータ転送レートを上げる構成が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている装置では、光記録媒体に対し複数の光ピックアップを配置し、複数の光ピックアップで同時に記録動作又は再生動作が行われる。データ転送レートを高くするため、光記録媒体の全てのトラックをカバーできる個数の光ピックアップが配置される。
【0005】
図9を参照して、特許文献1に開示されている装置の一例を説明する。ここでは3個の光ピックアップ2を用いて同時に記録・再生を行うことができる例を説明する。光ピックアップ2と光テープ1の相対位置は固定されている。各光ピックアップ2は、対物レンズ3と、この対物レンズ3を駆動するレンズアクチュエータとを備えている。レンズアクチュエータは、対物レンズ3をトラック横断方向(トラッキング方向)にシフトさせることができる。光ピックアップ2は固定されているが、対物レンズ3がシフトすることにより、個々の光ピックアップ2は、ある幅Wrを有する領域に含まれる複数のトラックをカバーすることができる。各光ピックアップ2は、それがカバーする範囲のトラックに対して、トラッキングが可能であり、その範囲内の任意のトラックに対してデータの記録再生が可能である。
【0006】
以下、「トラック横断方向」を「トラッキング方向」と称する場合がある。対物レンズ3がトラッキング動作のためにトラッキング方向にシフトする距離を「レンズシフト量」と称する。
【0007】
光ピックアップ2の個数を12、個々の光ピックアップ2の対物レンズシフトによる記録再生可能なトラッキング可能範囲をWr、光テープ1の全トラック範囲をWとしたとき、
W=12×Wr
とすることにより、光テープ1の全トラックに対して記録再生が可能となる。
【0008】
例えば12個の光ピックアップ2で同時に記録再生することにより、高いデータ転送レートを得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−54983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
光ピックアップは、電力を消費して熱を発する光源およびレンズアクチュエータを備えるため、光記録再生装置内の光ピックアップの個数が増加すると、消費電力および発熱量が大きくなる。
【0011】
本発明の実施形態は、複数の光ピックアップで同時に記録・再生を行う際に、消費電力や発熱を低減できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態において、光記録再生装置は、第1の光ピックアップおよび第2の光ピックアップを含む複数の光ピックアップであって、各々が光記録媒体の異なるトラックに光ビームを照射することができるように配置された複数の光ピックアップと、前記複数の光ピックアップを制御する制御部とを備え、前記第1の光ピックアップは、第1の光源と、前記第1の光源から出射された光ビームを前記光記録媒体に集光する第1の対物レンズと、前記第1の対物レンズを中心位置に対してトラック横断方向にシフトさせることができる第1のレンズアクチュエータとを有し、前記第2の光ピックアップは、第2の光源と、前記第2の光源から出射された光ビームを前記光記録媒体に集光する第2の対物レンズと、前記第2の対物レンズを中心位置に対してトラック横断方向にシフトさせることができる第2のレンズアクチュエータとを有し、前記制御部は、前記第1の光ピックアップ内における前記第1の対物レンズのシフト量を増加させるとき、前記第2の光ピックアップ内における前記第2の対物レンズのシフト量を減少させるように前記第1および第2のレンズアクチュエータを動作させる。
【0013】
ある実施形態において、前記光記録媒体のトラック方向に垂直な方向における、前記複数の光ピックアップの各々の位置は固定されている。
【0014】
ある実施形態において、前記制御部は、前記第1の光ピックアップ内における前記第1の対物レンズのシフト量と前記第2の光ピックアップ内における前記第2の対物レンズのシフト量との合計が一定になるように前記第1および第2のレンズアクチュエータを動作させる。
【0015】
ある実施形態において、前記複数の光ピックアップは、前記第1および第2の光ピックアップを含めて合計K個(Kは3以上の整数)の光ピックアップを含み、各光ピックアップは、光源と、前記光源から出射された光ビームを前記光記録媒体に集光する対物レンズと、前記対物レンズを中心位置に対してトラック横断方向にシフトさせることができるレンズアクチュエータとを有し、前記制御部は、前記K個の光ピックアップ内における対物レンズのシフト量の合計が一定になるように前記K個の光ピックアップ内におけるレンズアクチュエータを動作させる。
【0016】
ある実施形態において、前記制御部は、前記第1の光ピックアップが担当トラック範囲の中央付近から記録再生を開始し、前記第2の光ピックアップが担当トラック範囲の端から記録再生を開始するように前記第1および第2の光ピックアップを制御する。
【0017】
ある実施形態において、前記第1の光ピックアップと前記第2の光ピックアップとが1つの筐体内に備えられている。
【0018】
ある実施形態において、前記制御部は、起動時に、前記複数の光ピックアップが記録又は再生を行うトラックの位置に対応した初期位置に各対物レンズを配置する。
【0019】
ある実施形態において、前記制御部は、各光ピックアップにおける前記対物レンズの中立位置が各担当トラック中心に略一致するように前記複数のピックアップと前記光記録媒体との相対位置を変化させる。
【0020】
ある実施形態において、前記制御部は、前記光記録媒体の起動エリア内に予め記録されている情報に基づいて、記録再生開始時における各対物レンズの初期位置を決定する。
【0021】
ある実施形態において、前記光記録媒体は光テープであり、前記起動エリアは前記光テープの両端の少なくとも一方に設けられている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によれば、消費電力や発熱を低減できる記録再生装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】光テープ1の一部を模式的に拡大して示す斜視図
【図1B】光テープ1の一部を模式的に示す平面図
【図2A】本発明の実施形態による光データストリーマ装置の構成例を示す図
【図2B】図2AのB−B線断面図
【図3】本発明の実施形態における光データストリーマ装置の回路構成例を示す図
【図4A】本発明の第1の実施形態における光ピックアップ2の配置例を示す平面図
【図4B】一対の光ピックアップ装置が有する対物レンズ3a、3bを模式的に示す断面図
【図4C】対物レンズ3a、3bの光テープの表面に対する配置関係の例を模式的に示す平面図
【図5】本発明の第1の実施形態における光ピックアップ2a、2bにおけるレンズシフトを示す平面図
【図6】(a)は、第1の光ピックアップ2aにおける消費電力の時間変化を模式的に示す図、(b)は、第2の光ピックアップ2bにおける消費電力の時間変化を示す図、(c)は、第1の光ピックアップ2aの消費電力と第2の光ピックアップ2bの消費電力との合計値の時間変化を示す図である。
【図7A】本発明の第2の実施形態における光ピックアップ2a、2bにおけるレンズシフトを示す平面図
【図7B】本発明の第2の実施形態で使用され得る光ピックアップ部品を示す斜視図
【図8A】本発明の第3の実施形態における光ピックアップ2の配置例を示す平面図
【図8B】本発明の第3の実施形態における光ピックアップ2の配置例を示す平面図
【図9】従来の装置における光ピックアップ2の配置例を示す平面図
【図10A】従来の光ピックアップ2における中立位置にある対物レンズ3を示す平面図
【図10B】従来の光ピックアップ2における中立位置からシフトした対物レンズ3を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図9に示す装置では、個々の光ピックアップ2が、対物レンズ3をトラッキング方向に駆動することにより、光テープ1のトラックに追随させる。対物レンズ3をトラッキング方向に駆動するため、対物レンズ3はレンズアクチュエータに搭載されている。レンズアクチュエータは、コイルとマグネットとを含むボイスコイル構成を備える。コイルに電流を流すことで駆動力を発生させる。
【0025】
光ピックアップ2の対物レンズ3は、レンズアクチュエータ内で光ピックアップ2のトラッキング方向に対し、弾性ワイヤーや板バネ、磁気バネ等によって支持されることにより中立位置に保持されている。この状態から光テープ1のトラックにトラッキング動作を行う場合、大きく2つの動作に分けられる。1つは、対物レンズ3の中立位置と、追随させたいトラック(目標トラック)の平均的なトラック位置との差の大きさだけレンズをシフトさせるDC補正である。他方は、光テープ1のトラック作製時の歪みや光ディスクの場合の偏芯等に起因するAC的な変位の大きさだけレンズをシフトさせるAC補正である。レンズシフト量は、DC補正とAC補正との合計である。
【0026】
図10Aおよび図10Bは、同一ピックアップの異なる状態を模式的に示す平面図である。光テープ1には、図中の横方向に走る多数のトラックが設けられている。図10Aは、対物レンズ3の中立位置付近のトラックの記録再生時の状態を示している。図10Bは、対物レンズ3の中立位置からトラッキング範囲内で最も離間した上端付近のトラックの記録再生時を示す。
【0027】
図10Aに示すように、記録・再生するトラック位置が対物レンズ3の中立位置にあるとき、DC補正のために対物レンズを駆動する必要はない。したがって、このとき、DC補正のためにレンズアクチュエータのコイルに流す電流は0となり、消費電流や発熱は0となる。このような場合でも、光テープ1が回転または走行するとき、目標とするトラックが図中の上下方向に変位するため、DC補正以外の動作のための消費電流や発熱は発生する。
【0028】
一方、図10Bに示すように、対物レンズ3の中立位置からトラッキング範囲内で最も離間したトラックに記録・再生する場合は、DC補正のために最大電流をレンズアクチュエータのコイルに流す必要がある。このとき、DC補正のためにコイルに流す電流を光ピックアップ1個あたりImax、同発熱をHmaxとする。従来例のように複数の光ピックアップが同時に対物レンズ中立位置近傍のトラックから記録・再生を開始し、同時に最も離間したトラックまで記録・再生を行うと、DC補正に対して、記録開始時は12個の光ピックアップ全体で消費電流、発熱はほぼ0、最も離間したトラック記録・再生時における消費電流は12Imax、発熱は12Hmaxとなる。光記録再生装置としては最大の消費電流や発熱に対応する必要があるため、消費電流(電力)や発熱の大きな光記録再生装置になってしまう。
【0029】
本発明の後述する実施形態によれば、個々の光ピックアップにおけるレンズシフト量が最大となるタイミングをずらすことができるため、光記録再生装置における所費電力の最大値を低減することが可能になる。
【0030】
(実施形態1)
まず、本実施形態における光記録再生装置の全体構成を説明する。
【0031】
本実施形態における光記録再生装置は、光記録媒体として光テープを用いる光データストリーマ装置である。光データストリーマ装置は、大量のデータのバックアップに使用され得る。光データストリーマ装置は、転送レートを上げ、短時間でバックアップを行うため、複数の光ピックアップを具備している。なお、本発明の光記録再生装置は、光データストリーマ装置に限定されず、光ディスク装置または他の装置であってもよい。光ディスク装置の場合、光記録媒体は、光テープではなく、光ディスクである。
【0032】
図1Aは、光テープ1の一部を模式的に拡大して示す斜視図である。光テープ1は、例えばベースフィルム100a、ベースフィルム100aの裏面に張り付けられたバックコート層100b、およびベースフィルム100aに支持されたインプリント層100cを含む。インプリント層100cの上面には、ランド100dおよびグルーブ100eが形成されている。図面には記載されていないが、インプリント層100cの上面を覆うように反射膜および記録材料膜が積層されている。光テープ1は、長尺方向Lに沿って延びており、例えば数百mの長さを有している。幅Wは、例えば数mmから数cmの範囲内に設定され得る。厚さは、数μmから数十μm程度であり得る。
【0033】
図1Aのスケールは、現実の光テープ1のサイズを忠実に反映してない。実際の光テープ1には、数百本またはそれ以上の本数のランド100dおよびグルーブ100eが形成され得る。ある実施形態では、データがランド100dおよびグルーブ100eの一方に記録される。データが記録されるランド100dまたはグルーブ100eを「トラック」と称する。トラックのピッチは、例えば0.2〜0.4μmの範囲に設定され得る。
【0034】
図1Bは、光テープ1の一部を模式的に示す平面図である。長尺方向Lに沿ってN(Nは典型的には100以上の整数)本のトラック0〜トラックNが形成されている。図1Bに示されるトラックの幾つかには矢印が記載されている。この矢印は、データの記録方向を模式的に示している。1つの光テープ1には、異なる方向にデータが記録され得る。
【0035】
光テープ1には、光ビームの照射によって光学的にマークが形成され得る。より具体的に言えば、このようなマークは記録材料膜に形成される。光ビームの照射は、光源と、この光源から出射された光ビームを光テープ1にフォーカスさせる対物レンズとを含む「光ピックアップ」によって行われる。光ピックアップが光テープ1に光ビームを照射すると、光テープ1上の照射領域と他の領域(非照射領域)との間で、反射率などの光学特性が変化する。このようにして光学特性が変化した領域が「記録マーク」と称される。
【0036】
光テープ1に記録されているデータは、比較的弱い一定強度の光ビームを光記録媒体に照射し、光テープ1によって変調された反射光を検出することによって再生される。光テープ1にデータを記録する場合、記録すべきデータに応じて光パワーを変調したパルス状の光ビームを光テープ1に照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
【0037】
記録材料膜にデータを記録するとき、上述のように光パワーを変調した光ビームを記録材料膜に照射することより、結晶質の記録材料膜に非晶質の記録マークを形成する。この非晶質の記録マークは、記録用光ビームの照射を受けた記録材料膜の一部が融点以上の温度に上昇した後、急速に冷却されることによって形成される。光ビームを記録マークに照射するときの光パワーを低めに設定すると、光ビームが照射された記録マークの温度は融点を超えず、急冷後に結晶質に戻る(記録マークの消去)。こうして、記録マークの書き換えを何度も行うことが可能になる。データを記録するときの光ビームの光パワーの大きさが不適切であると、記録マークの形状が歪み、データを再生することが難しくなることがある。
【0038】
光テープ1に対してデータの記録または再生を行うとき、光ビームが目標トラック上で常に所定の集束状態となる必要がある。このためには、「フォーカス制御」および「トラッキング制御」が必要となる。「フォーカス制御」は、光ビームの焦点(集束点)の位置が常に目標トラック上に位置するように対物レンズの位置を光テープ1の表面(記録面)に垂直な方向に制御することである。一方、トラッキング制御とは、光ビームのスポットが所定のトラック上に位置するように対物レンズの位置を光テープ1の記録面に平行であってトラックに垂直な方向に制御することである。
【0039】
上述したフォーカス制御およびトラッキング制御を行うためには、光テープ1から反射される光に基づいて、フォーカスずれやトラックずれを検知し、そのずれを縮小するように光ビームスポットの位置を調整することが必要である。フォーカスずれおよびトラックずれの大きさは、それぞれ、光テープ1からの反射光に基づいて生成される「フォーカス誤差(FE)信号」および「トラッキング誤差(TE)信号」によって示される。
【0040】
図2Aは、本実施形態による光データストリーマ装置の構成例を示す図である。図2Bは図2AのB−B線断面図である。本実施形態では、図2Aの上側が鉛直上方であり、下側が鉛直下方に対応している。このため、図2Bは、この光データストリーマ装置を鉛直上方から見た内部構成の配置例を示している。
【0041】
図2Aおよび図2Bは、光テープ1を収容するテープカートリッジ501が装填された状態を示している。テープカートリッジ501は着脱可能であり、図示される光データストリーマ装置には、同じ形状を有する複数のテープカートリッジ501から選択された1つが装填され得る。
【0042】
本実施形態の光データストリーマ装置は、筐体511と、筐体511の内部に設けられたシャーシ510と、光テープ1にデータを書き込むことができるように配置された複数のピックアップ部品60と、放熱板509とを備えている。複数のピックアップ部品60は光ピックアップアセンブリ580が備える位置決め機構によって位置決めされている。
【0043】
より詳細には、この光データストリーマ装置は、光テープ1を走行させるためのモータ506、507、ガイドポスト503、および巻取リール502を備えている。モータ507は、巻取リール502と機械的に結合しており、巻取リール502を回転させる。モータ506は、装填されたテープカートリッジ501の回転軸と機械的に結合し、テープカートリッジ501の外部に引き出されたテープ505をテープカートリッジ501内に巻き戻すように動作する。モータ506、507により、テープ505は、矢印で示す2つの方向のいずれにも走行することができる。
【0044】
光ピックアップアセンブリ580は、光テープ1の走行方向に沿って配列された複数のピックアップ部品60を有している。本実施形態における光ピックアップアセンブリ580は、上段および下段の各々に複数のピックアップ部品60を有している。筐体511内には、送風ファン508が設けられており、送風ファン508はモータ507に機械的に結合している。モータ507の回転に応じて送風ファン508も回転する。
【0045】
各ピックアップ部品60は、1個または複数の光ピックアップを内蔵する。個々の光ピックアップの構成については、後に詳しく説明する。ピックアップ部品60は、光ピックアップ用フレキシブル回路基板(FPC)512に接続されている。この光データストリーマ装置は、このフレキシブル回路基板512に接続された不図示の回路基板を備えており、この回路基板には、ピックアップ部品60やモータ506、507を制御するための回路要素が設けられている。なお、フレキシブル回路基板512には、通常であればピックアップ部品60および他の回路基板上に搭載されるような回路の一部が実装されていてもよい。
【0046】
次に図3を参照して、本実施形態における光データストリーマ装置の回路構成例を説明する。
【0047】
図示されている光データストリーマ装置は、光ピックアップアセンブリ580およびモータ506、507と電気的に接続された回路ブロックを備えている。
【0048】
図3に示す構成例では、光ピックアップアセンブリ580の出力がフロントエンド信号処理部520を介してエンコーダ/デコーダ530に送られる。エンコーダ/デコーダ530は、データ読み出し時、光ピックアップアセンブリ580によって得られる信号に基づいて光テープ1に記録されているデータを復号する。データ書き込み時、エンコーダ/デコーダ530はデータを符号化し、光テープ1に書き込むべき信号を生成し、光ピックアップアセンブリ580に送出する。
【0049】
フロントエンド信号処理部520は、光ピックアップアセンブリ580の出力に基づいて再生信号を生成する一方、フォーカス誤差信号FEやトラッキング誤差信号TEを生成する。フォーカス誤差信号FEやトラッキング誤差信号TEは、サーボ制御部550に送出される。サーボ制御部550は、ドライバアンプ560を介してモータ506、507を制御する一方、光ピックアップアセンブリ580内の各レンズアクチュエータを介して対物レンズの位置を制御する。エンコーダ/デコーダ530およびサーボ制御部550などの構成要素は、CPU540によって制御される。図3に示されるブロックは、例えば集積回路素子およびメモリなどの電子部品を回路基板上に搭載して実現することができる。
【0050】
本実施形態で使用され得る光テープ1の記録面の幅は、例えば約10mmである。この場合、例えば12個の光ピックアップによって、走行中の光テープ1の記録面の全幅に渡って、データの記録および再生が行われ得る。
【0051】
テープカートリッジ501が光データストリーマ装置に装填される前、光テープ1はテープカートリッジ501に、図示しないリールに巻かれた状態で収納されている。テープカートリッジ501が光データストリーマ装置に装填されると、光テープ1は複数のテープガイドポスト503に案内されて引き出され、巻取リール502に巻き取られる。各ピックアップ部品60は光テープ1に対し所定の位置に固定され、光テープ1に対して情報の記録再生を行う。光ピックアップの個数は複数であればよく、12個に限定されず、この数よりも少なくても多くてもよい。
【0052】
送りモータ507は巻取リール502を回転駆動し、光テープ1を順方向に走行させるとともに、送風ファン508を駆動する。逆送りモータ506はテープカートリッジ501内の図示しないリールを回転駆動し、光テープ1を逆方向に駆動する。この際にも、光テープ1により巻取リール502も駆動されるため送風ファン508も駆動される。ピックアップ部品60は放熱板509と熱的に結合され、その発生する熱は放熱板509に伝達される。
【0053】
記録時または再生時、光テープ1は順送りモータ507、または逆送りモータ506により、順方向または逆方向に走行し、この間、各光ピックアップは光テープ1に対し同時に記録または再生を行うことができる。
【0054】
次に、本実施形態における光ピックアップの動作を説明する。
【0055】
図4Aは、本実施形態における、複数の光ピックアップを搭載した光記録再生装置の構成を模式的に示す平面図である。
【0056】
図4Aに示されるように、本実施形態では、光テープ1に対して12個の光ピックアップ2が配置されている。この例では、12個の光ピックアップ2がトラック方向に対して斜め直線上に配列されている。前述したように、光テープ1は幅Wの範囲内に設けられた多数のトラックを有しており、トラック方向に沿って走行する。図4Aでは、簡単のため、光テープ1の一部のみが示されている。
【0057】
光テープ1の幅Wの範囲は12個の光ピックアップ2によってカバーされる。すなわち、個々の光ピックアップ2が、W/12の幅の範囲内に位置するトラックにデータを記録し、その範囲内のトラックからデータを再生することができる。
【0058】
図4Bは、複数の光ピックアップのうち、隣接する2個の光ピックアップ2が有する対物レンズ3a、3bを模式的に示す断面図である。図4Cは、これらの対物レンズ3a、3bの光テープ1の表面に対する配置関係の例を模式的に示す平面図である。対物レンズ3a、3bの位置は、それぞれのレンズアクチュエータによってフォーカス方向(Z方向)およびトラッキング方向(Y方向)に変化する。対物レンズ3a、3bが、それぞれ、トラッキング方向(Y方向)に移動し得る幅がWrで示されている。各光ピックアップ2において、対物レンズ3がトラッキング方向に移動し得る幅が例えば1mm程度であれば、幅Wが10mmの光テープ1に対して、10個程度またはそれ以上の光ピックアップ2が配列されれば、全トラックを効率的にカバーすることができる。
【0059】
なお、図4A、図4Bおよび図4Cでは記載が省略されているが、現実の光ピックアップ2には、対物レンズ3a、3bの位置および姿勢を変えるためのレンズアクチュエータが存在しているため、多数の対物レンズ2を光テープ1の幅方向(Y方向)に沿って一列に並べると、各対物レンズ2がトラッキング方向(Y方向)に移動し得る幅がレンズアクチュエータの構造によって規制される場合がある。このため、全トラックをカバーするには、図4Aに例示するように、複数の光ピックアップ2のトラック方向(X方向)における位置を光ピックアップごとにシフトさせて配置してもよい。
【0060】
図5は、図4Aに示す12個の光ピックアップ2のうち2個の光ピックアップ2a、2bにおけるレンズシフトを示す平面図である。図5には、第1の光ピックアップ2aと第2の光ピックアップ2bとが示されている。第1の光ピックアップ2aは第1の対物レンズ3aを有し、第2の光ピックアップ2bは第2の対物レンズ3bを有している。
【0061】
本実施形態の光記録再生装置は、2個を超える個数の光ピックアップ2によって同時に1つの光テープ1にデータを記録し、また光テープ1からデータを再生することができるが、以下の説明では、簡単のため、複数の光ピックアップ2から選択された2個の光ピックアップ2a、2bに着目する。この2個の光ピックアップ2a、2bは、隣接していてもよいし、隣接していなくてもよい。
【0062】
対物レンズ3a、3bはレンズアクチュエータに搭載されている。本実施形態においても、レンズアクチュエータは、コイルとマグネットとを含むボイスコイル構成を備え、コイルに電流を流すことにより、対物レンズ3a、3bのレンズシフトを行うための駆動力を発生させる。光記録再生装置内部のサーボ制御回路がレンズアクチュエータの駆動を制御できる。つまり、サーボ制御回路はコイルに流す駆動電流量を制御できる。
【0063】
対物レンズ3a、3bは、それぞれ、レンズアクチュエータのコイルに流す駆動電流を0とした時、弾性ワイヤーや板バネ、磁気バネ等によって中立位置に支持される。
【0064】
対物レンズ3aは、そのレンズアクチュエータのコイルに駆動電流を流すと、対物レンズ3aは中立位置からトラッキング方向に動いて担当トラック範囲4aを移動する。同様に、対物レンズ3bも、そのレンズアクチュエータのコイルに駆動電流を流すと、中立位置からトラッキング方向に動いて担当トラック範囲4bを移動する。
【0065】
担当トラック範囲4a、4bの幅は例えば、光テープ1の記録幅を10mmとすると、光ピックアップ2を12個並べた場合、10/12=0.83mm程度となる。本実施形態では、対物レンズ3a、3bは共に、外力がなく中立位置に自由支持されるとき、前記担当トラック範囲4a、4bの中央位置にくるように設置される。なお、対物レンズの中立位置は、担当トラック範囲の中央に設定される必要はない。
【0066】
本実施形態は、レンズアクチュエータのコイルに流す駆動電流量を制御することで、対物レンズ3aが担当トラック範囲4aの中央位置付近にあるトラックから記録再生を開始し、順次端にあるトラックに向かってレンズシフトして行く。これに対して、対物レンズ3bは、図5の実線の円で示すように、担当トラック範囲4bの端付近のトラックから記録再生を開始する。そして、順次中央部にあるトラックに向かってレンズシフトを行う。対物レンズ3aは初期レンズシフトが0で、レンズシフトが徐徐に増えるのに対して、対物レンズ3bは初期レンズシフトが最大で、そこからレンズシフトが徐徐に減って行く。すなわち、本実施形態では、第1の対物レンズ3aのシフト量を増加させるとき、第2の対物レンズ3bのシフト量を減少させるようにレンズアクチュエータを動作させる。このようなレンズアクチュエータの動作は、例えば図3のサーボ制御部550によって制御され得る。
【0067】
レンズシフトが大きくなると、中立位置からのレンズのずれを維持する外力が大きくなるため、そのような外力を発生させるレンズアクチェータの消費電力も大きくなる。そのため、従来のように対物レンズ3a、3bが同時に担当トラック範囲4a、4bの端付近のトラックを走査するときが両者のアクチェータの消費電力総和が最も大きくなり、発熱量も増し、装置内の温度上昇も大きくなる。このような状態は好ましいものではない。
【0068】
本実施形態によれば、記録動作又は再生動作を同時に行う複数の光ピックアップにおいて、各光ピックアップにおけるレンズシフトの位相をずらすことができる。図6(a)は、第1の光ピックアップ2aにおける消費電力の時間変化を模式的に示す図である。横軸は時間、縦軸は消費電力である。第1の光ピックアップ2aによる記録再生は、中立位置から開始し、光ビームのフォーカス位置が対象トラックから隣のトラックに移動するにつれ、レンズシフトの量が大きくなる。一方、図6(b)は、第2の光ピックアップ2bにおける消費電力の時間変化を示す図である。第2の光ピックアップ2bでは、最初に中立位置ではなく、レンズシフト量が最大となる位置から記録再生を開始する。従って、最初にレンズシフト量が最大となり、その後、レンズシフト量は小さくなる。図6(c)は、第1の光ピックアップ2aの消費電力と第2の光ピックアップ2bの消費電力との合計値の時間変化を示すグラフである。2つの光ピックアップ2a、2bの各々の消費電力が最大となるタイミングが異なるため、消費電力の合計の最大値が低く抑えられる。このように、本実施形態では、レンズアクチェータの消費電力の総和、および発熱量の総和は平均化され、変動も小さくなり、装置内の温度上昇も抑えることができる。
【0069】
本実施形態では、図5に示す対物レンズ3aが担当トラック範囲4aの中央付近から上端までの範囲内にあるトラックの走査を完了した後、対物レンズ3aは、担当トラック範囲4aの下端付近まで一度に移動する。このとき、対物レンズ3bは、担当トラック範囲4bの中央位置付近に保持され、他の位置に移動する必要は無い。
【0070】
その後、対物レンズ3aは担当トラック範囲4aの下端付近のトラックから記録再生を開始し、順次、中央付近にあるトラックに向かってレンズシフトして行くのに対して、対物レンズ3bは、担当トラック範囲4bの中央付近のトラックから記録再生を開始し、順次下端付近にあるトラックに向かってレンズシフトして行く。
【0071】
上記の動作を行っているときも、対物レンズ3bのレンズシフト量は大きくなるにつれ、対物レンズ3aのレンズシフト量が小さくなる。このため、図6を参照して説明した効果が得られる。なお、レンズシフトの仕方は、上述した例に限定されない。
【0072】
なお、上記動作は2個の光ピックアップに限定されるものではない。例えば12個の光ピックアップで記録再生動作行う場合には、6個の光ピックアップが中央位置付近から記録再生を開始し、残り6個が端付近から記録再生を開始するようにしてもよい。このようにすれば、12個全ての光ピックアップの消費電力総和や発熱量は平均化され、光記録再生装置内の温度上昇も低減できる。また、12個の光ピックアップの内、隣接する光ピックアップ(対物レンズ)で記録再生位置が異なるように配することで、装置内の発熱位置もより均一化される。
【0073】
光記録再生装置が、第1および第2の光ピックアップ2a、2bを含めて合計K個(Kは3以上の整数)の光ピックアップを備えるとき、光記録再生装置の制御部は、K個の光ピックアップ内における対物レンズのシフト量の合計が一定または実質的に一定になるようにK個の光ピックアップ内におけるレンズアクチュエータを動作させることができる。なお、全ての光ピックアップの消費電力の合計値が、光記録再生装置で許容される上限を下回るのであれば、対物レンズのシフト量の合計が一定である必要は無い。
【0074】
ここでは簡単のため、記録再生の開始位置が中央位置付近と端付近の2種類の場合で説明したが、開始位置はこの2カ所に限定されるものではない。複数の光ピックアップの記録再生中の対物レンズシフト量の総和が概略一定に近ければ同様の効果を有しており、個々の光ピックアップの記録再生開始位置は限定されるものではなく、さまざまな組合せが可能である。
【0075】
また、個々の光ピックアップごとに記録再生開始位置が異なる場合、光記録再生装置の起動時に、予め光ピックアップごとに記録再生位置に対応した対物レンズシフトを実行しておいてもよい。起動時に、各対物レンズの位置を所定の位置に移動させることを「プリセット」と称することにする。プリセットを行うことにより、速やかに記録再生動作が開始できる。
【0076】
上記プリセットを光記録媒体の起動エリア内で実施することにより起動時間の短縮を図れる。起動エリアは、装置起動時にユーザデータの記録や再生を行う前に、装置全体のオフセット補正や光ピックアップの光量設定等の初期設定を行うエリアのことである。起動エリアは、少なくとも光テープの記録トラックの前後端部のいずれか一方に設けられ得る。光記録媒体がディスクの場合は、最内周か最外周の少なくとも一方に設けることができる。光記録媒体の起動エリアには、種々の管理情報が記録され得る。各光ピックアップに割り当てられる初期のレンズシフト量、または、各レンズシフト量を決定するための情報が光記録媒体の起動エリアには予め記録されている。
【0077】
本実施形態では、複数の光ピックアップ2は光テープ1の記録トラックと直交する方向に概略固定された状態で同時に記録動作又は再生動作を行う。そして、このとき、複数の光ピックアップ2のレンズシフト量の合計が常に略一定である。しかし、複数の光ピックアップ2の一部は記録動作を行い、複数の光ピックアップ2の他部は再生動作を行ってもよい。そのような動作行う場合において、複数の光ピックアップ2のレンズシフト量の合計が常に略一定であるようにしてもよい。
【0078】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2における光記録再生装置について説明する。
【0079】
図7Aは本実施形態における光ピックアップの構成例を示す図である。本実施形態では、2つのピックアップが単一の筐体に一体で構成されている。
【0080】
本実施形態では、対物レンズ3a、3b共に、ひとつのピックアップ部品60に搭載されているところが実施形態1と異なる。
【0081】
図7Bは、本実施形態における光ピックアップ部品60の構成例を示す斜視図である。この構成例では、一対の光ピックアップ2が一体化されており、1つの光学ベース20と、この光学ベース20の上面に固定された2つのレンズアクチュエータ9a、9bとを備えている。言い換えると、図示される構成では、独立して対物レンズ3a、3bを駆動することができる2つの光ピックアップ2が一体化されている。図7Bには、破線で光テープ1のエッジが記載されている。
【0082】
本実施形態でも、対物レンズ3aは担当トラック範囲4aの中央位置付近にあるトラックから記録再生を開始し、順次端にあるトラックに向かってレンズシフトして行くのに対して、対物レンズ3bは、図7Aの対物レンズ3bの位置(実線の円)で示すように、担当トラック範囲4bの上端付近のトラックから記録再生を開始し、順次中央部にあるトラックに向かってレンズシフトして行く。
【0083】
本実施形態では、対物レンズ3aが担当トラック範囲4aの中央付近から上端までの範囲内にあるトラックの走査を完了した後、対物レンズ3aは、担当トラック範囲4aの下端付近まで一度に移動する。このとき、対物レンズ3bは、担当トラック範囲4bの中央位置付近に保持され、他の位置に移動する必要は無い。
【0084】
その後、対物レンズ3aは担当トラック範囲4aの下端付近のトラックから記録再生を開始し、順次、中央付近にあるトラックに向かってレンズシフトして行くのに対して、対物レンズ3bは、担当トラック範囲4bの中央付近のトラックから記録再生を開始し、順次下端付近にあるトラックに向かってレンズシフトして行く。なお、レンズシフトの仕方は、上述した例に限定されない。
【0085】
その他の構成、機能は実施形態1と同様であり、実施形態1と同様に、アクチェータの消費電力総和、発熱量は平均化され、変動を小さくすることができる。
【0086】
なお、図7Aでは光ピックアップ部品60は1個しか図示されていないが、実施形態1同様、2個の対物レンズを有する光ピックアップ部品60が複数個設けられていてもよい。この場合も、全ての記録再生中の対物レンズシフト量の総和が概略一定に近ければ同様の効果を有している。また、複数個の光ピックアップ2のうち、隣接する光ピックアップの記録再生開始位置が異なっていると、装置全体の発熱がより均一化されることは言うまでもない。
【0087】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3における光記録再生装置について説明する。
【0088】
図8Aおよび図8Bは、本実施形態における光ピックアップの配置例を示す図である。図8Aには、光ピックアップ群5aが記載され、図8Bには、光ピックアップ群5aが記載されている。光ピックアップ群5aと光ピックアップ群5aとは、異なる2つの位置に配置されているが、同一の光ピックアップ群である。
【0089】
ここでは全トラック範囲Wの光テープ1に対しトラッキング範囲Wrの光ピックアップ2が6個の場合を例示している。6個の光ピックアップで記録再生できる範囲は、6×Wr=W/2となり、光テープ1の全トラック範囲Wの半分となる。
【0090】
図8Aに示す状態では、隣接する光ピックアップ2に搭載されている対物レンズ3同士は担当トラック範囲Wr一つおきに配置されている。この光ピックアップ2が6つ合わさって光ピックアップ群5aが形成される。
【0091】
さらに、この状態で光ピックアップが配置されていないトラック範囲に記録再生する場合には、図8Bに示すように、光テープ1に対し光ピックアップ群5aをまとめて移動させ光ピックアップ群5bの配置とすることにより記録再生可能となる。
【0092】
本実施形態では、光ピックアップ2と光テープ1の相対位置関係は光ピックアップ群5aと光ピックアップ群5bの2種類のみのため、例えば光ピックアップ2をリニアモーターや送りネジ機構を用いて移送する機構を用いれば、簡単にピックアップの位置変更を行うことができる。
【0093】
本実施形態においても、実施形態1、2と同様に、半数の対物レンズ3をレンズシフトが0から増すようにしたとき、残り半数の対物レンズ3はレンズシフトが最大から減って行くように構成することにより、アクチェータの消費電力総和、発熱量は平均化され、変動を小さくすることができる。
【0094】
以上、本発明に係る光記録再生装置について、実施形態1〜3に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲でこれらの実施形態に各種変形を施して得られる形態や、各実施形態における構成要素を任意に組み合わせることで実現される形態も、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明にかかる光記録再生装置は、複数の光ピックアップで同時に記録・再生を行う大容量情報記憶システム(たとえば光テープや光ディスクを用いたデータファイルシステム)にて低消費電力や低発熱を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 光テープ
2、2a、2b 光ピックアップ
3、3a、3b 対物レンズ
60 ピックアップ部品
100a ベースフィルム
100b バックコート層
100c インプリント層
100d ランド
100e グルーブ
501 テープカートリッジ
502 巻取リール
503 テープガイドポスト
505 光テープ
506 逆送りモータ
507 順送りモータ
508 送風ファン509
509 放熱板
510 シャーシ
511 筐体
512 ピックアップ用FPC
520 フロントエンド処理部
530 エンコーダ/デコーダ
540 CPU
550 サーボ制御部
560 ドライバアンプ
100a ベースフィルム
100b バックコート層
100c インプリント層
100d ランド
100e グルーブ
580 光ピックアップアセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光ピックアップおよび第2の光ピックアップを含む複数の光ピックアップであって、各々が光記録媒体の異なるトラックに光ビームを照射することができるように配置された複数の光ピックアップと、
前記複数の光ピックアップを制御する制御部と、
を備え、
前記第1の光ピックアップは、第1の光源と、前記第1の光源から出射された光ビームを前記光記録媒体に集光する第1の対物レンズと、前記第1の対物レンズを中心位置に対してトラック横断方向にシフトさせることができる第1のレンズアクチュエータとを有し、
前記第2の光ピックアップは、第2の光源と、前記第2の光源から出射された光ビームを前記光記録媒体に集光する第2の対物レンズと、前記第2の対物レンズを中心位置に対してトラック横断方向にシフトさせることができる第2のレンズアクチュエータとを有し、
前記制御部は、前記第1の光ピックアップ内における前記第1の対物レンズのシフト量を増加させるとき、前記第2の光ピックアップ内における前記第2の対物レンズのシフト量を減少させるように前記第1および第2のレンズアクチュエータを動作させる、光記録再生装置。
【請求項2】
前記光記録媒体のトラック方向に垂直な方向における、前記複数の光ピックアップの各々の位置は固定されている、請求項1に記載の光記録再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の光ピックアップ内における前記第1の対物レンズのシフト量と前記第2の光ピックアップ内における前記第2の対物レンズのシフト量との合計が一定になるように前記第1および第2のレンズアクチュエータを動作させる、請求項1または2に記載の光記録再生装置。
【請求項4】
前記複数の光ピックアップは、前記第1および第2の光ピックアップを含めて合計K個(Kは3以上の整数)の光ピックアップを含み、
各光ピックアップは、光源と、前記光源から出射された光ビームを前記光記録媒体に集光する対物レンズと、前記対物レンズを中心位置に対してトラック横断方向にシフトさせることができるレンズアクチュエータとを有し、
前記制御部は、前記K個の光ピックアップ内における対物レンズのシフト量の合計が一定になるように前記K個の光ピックアップ内におけるレンズアクチュエータを動作させる、請求項1から3のいずれかに記載の光記録再生装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の光ピックアップが担当トラック範囲の中央付近から記録再生を開始し、前記第2の光ピックアップが担当トラック範囲の端から記録再生を開始するように前記第1および第2の光ピックアップを制御する請求項1から4のいずれかに記載の光記録再生装置。
【請求項6】
前記第1の光ピックアップと前記第2の光ピックアップとが1つの筐体内に備えられている、請求項1から5のいずれかに記載の光記録再生装置。
【請求項7】
前記制御部は、起動時に、前記複数の光ピックアップが記録又は再生を行うトラックの位置に対応した初期位置に各対物レンズを配置する、請求項1から6のいずれかに記載の光記録再生装置。
【請求項8】
前記制御部は、各光ピックアップにおける前記対物レンズの中立位置が各担当トラック中心に略一致するように前記複数のピックアップと前記光記録媒体との相対位置を変化させる、請求項1に記載の光記録再生装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記光記録媒体の起動エリア内に予め記録されている情報に基づいて、記録再生開始時における各対物レンズの初期位置を決定する、請求項7または8に記載の光記録再生装置。
【請求項10】
前記光記録媒体は光テープであり、
前記起動エリアは前記光テープの両端の少なくとも一方に設けられている請求項9に記載の光記録再生装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate


【公開番号】特開2013−84330(P2013−84330A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100826(P2012−100826)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】