説明

光走査装置および画像形成装置

【課題】反射ミラーや透過レンズ等の光学素子に硫酸アンモニウムが付着するのを軽減することで、形成対象の画像の良好な画質を維持可能とした光走査装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置の光走査部6は、偏向部61、光源ユニット62、走査光学系(トーリックレンズ64、シリンダレンズ65)、入射光学系(反射ミラー66)を光学箱90の内部に格納している。光学箱90の内部に、光源ユニット62から光ビームが照射されると共に表面に硫酸アンモニウムがコーティングされたレーザシャッタ70を設ける。レーザシャッタ70をレーザ光を遮蔽する位置とレーザ光を通過させる位置との間を移動可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ等に適用される光走査装置、および光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置には、偏向部により光ビームを被走査体(感光体)に走査することで、感光体に画像形成のための潜像を形成する光走査装置が搭載されている。光走査装置は、内部に反射ミラーや透過レンズ等の光学素子を収容しているため、装置外部から侵入する塵埃により光学素子が汚れないようにする必要がある。
【0003】
そこで、光学素子を収容した光学箱と該光学箱の開口部を閉じる蓋部材との隙間に弾性部材を設けることで、光学箱を密封構造とした光走査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような構成を採ることによって、外気中に浮遊している塵埃等が光学箱と蓋部材との間の隙間から光学箱内部に吸引されるのを軽減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−223792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外気中に浮遊している塵埃の中でもナノサイズであるガス状汚染物質は、ごくわずかな隙間からも光走査装置の光学箱内部に入り込む。近年では大気汚染が急激に進行しているため、画像形成装置に搭載された光走査装置の光学箱に侵入した外気中のガス状汚染物質に起因して、光学箱内部の光学素子が汚れることで画像不良を引き起こすという問題がある。
【0006】
例えば、外気中に存在する二酸化硫黄(SO)やアンモニア(NH)が光走査装置の光学箱の微小な隙間から光学箱内部に入り込み、レーザ光と光化学反応を起こすことがある。その結果、光化学反応により硫酸アンモニウム((NHSO)が生成され、光学箱内部の反射ミラーや透過レンズの表面に付着し、レーザ光の反射率や透過率が低下することが確認されている。
【0007】
レーザ光の反射率や透過率が低下すると、画像形成装置の画像読取部で読み取った原稿の画像に対して、画像形成部で画像形成を行って記録紙に印刷出力した画像の濃度が異なるなど、画像品位の低下が発生するという問題がある。
【0008】
そのため、光走査装置の光学箱内部の反射ミラーや透過レンズ等の光学素子に対する硫酸アンモニウムの付着を抑制し、感光体に形成した潜像を現像して記録紙に形成する画像の画質を向上させることが要望されている。
【0009】
本発明の目的は、反射ミラーや透過レンズ等の光学素子に硫酸アンモニウムが付着するのを軽減することで、形成対象の画像の良好な画質を維持可能とした光走査装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、光ビームを発する光源と、前記光ビームを偏向する偏向手段と、前記光源から出射された前記光ビームを感光体に導くレンズおよびミラーと、少なくとも前記偏向手段と前記レンズおよびミラーとを内部に格納する光学箱と、を備え、前記偏向手段により偏向された前記光ビームによって前記感光体の表面に静電潜像を形成する光走査装置において、前記光学箱の内部の特定物質を捕集するために前記光源からの光ビームが照射されるように前記光学箱の内部に設けられる被照射部材を備え、前記被照射部材は、前記光ビームが照射されることによって生成される前記特定物質を捕集する物質を保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光学箱の内部に侵入した二酸化硫黄やアンモニアと光ビームとの光化学反応で生成される硫酸アンモニウム(特定物質)は、被照射部材が保持する物質(硫酸アンモニウム)と親和性を持っている。そのため、光化学反応で生成された硫酸アンモニウムを被照射部材に付着させることができる。
【0012】
これにより、光学箱の内部の二酸化硫黄およびアンモニア濃度を軽減し、光学箱の内部に格納されたレンズおよびミラーに硫酸アンモニウムが付着するのを軽減することができる。その結果、光走査装置による感光体への光ビームの走査により形成される静電潜像を現像して得られる画像の良好な画質を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図2】(a)は、第1の実施の形態に係る画像形成装置の光走査部の構成を示す斜視図、(b)は、光走査部の一部を拡大した斜視図である。
【図3】(a)は、光走査部の光学箱においてレーザシャッタをレーザ光遮蔽位置に移動した状態を示す平面図、(b)は、レーザシャッタをレーザ光通過位置に移動した状態を示す平面図である。
【図4】光走査部のレーザをオン/オフ制御する制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】ガス検知センサを設置した場合の光走査部のレーザシャッタの開閉動作を示すフローチャートである。
【図6】ガス検知センサを設置しない場合の光走査部のレーザシャッタの開閉動作を示すフローチャートである。
【図7】(a)は、光走査部の一部を拡大した斜視図、(b)は、光走査部の光学箱底面に設けられた硫酸アンモニウム滞留用のポケットの幅を説明する断面図である。
【図8】(a)は、第2の実施の形態に係る画像形成装置の光走査部の一部を拡大した斜視図、(b)は、光走査部の第2の光源ユニット付近の構成を示す断面図である。
【図9】光走査部のレーザをオン/オフ制御する制御系の構成を示すブロック図である。
【図10】ガス検知センサを設置した場合の光走査部のレーザ光の照射タイミングを示すフローチャートである。
【図11】ガス検知センサを設置しない場合の光走査部のレーザ光の照射タイミングを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図である。
【0016】
図1において、画像形成装置は、原稿給送部1Aと装置本体部1Bからなるデジタル複写機として構成されている。原稿給送部1Aは、原稿載置部にセットされた原稿Pを装置本体部1Bの原稿台ガラス上まで給送した後、排出する。原稿給送部1Aの詳細構成は本発明の主旨と直接関係ないため説明を省略する。
【0017】
装置本体部1Bの構成および動作の概要を説明すると、装置本体部1Bに設置された操作部の複写開始キー(不図示)の押下により、原稿台ガラス上の原稿が読取光学系2で読み取られ、画像信号に変換される。画像信号はデジタル処理部(不図示)に取り込まれ、デジタルデータに変換された後、必要なデータ処理が施され、画像データとしてビデオ変換部(不図示)へ出力される。ビデオ変換部では画像データをビデオ信号に変換する。
【0018】
装置本体部1Bには、光走査部6(光走査装置)が設けられている。光走査部6は、偏向部61、トーリックレンズ64、シリンダレンズ65、光源ユニット62(図2参照)を備えており、上記ビデオ信号に基づいて走査画像を形成するためのレーザ光(光ビーム)を出力(出射)する。
【0019】
光走査部6から出力されたレーザ光は画像形成部3の感光ドラム31(感光体)に照射され、感光ドラム31上(感光体の表面)に静電潜像が形成される。現像器32は、回転駆動される感光ドラム31の静電潜像部分にトナーを付着させることで潜像を現像する。
【0020】
一方、給紙カセット10a、10b内の記録紙Sは、それぞれ取り込みローラ12a、12bにより1枚ずつ機内に取り込まれ、レジストローラ15を介して感光ドラム31の転写位置へ搬送される。感光ドラム31上の現像画像が転写帯電器33により記録紙に転写される。記録紙は搬送部16により定着器4へ搬送され、定着器4で記録紙上の転写画像が定着される。その後、記録紙は排紙ローラ17、18を介して排紙トレイ19へ排紙される。
【0021】
また、次の記録紙は前の記録紙に対して一定の間隔をもって同様に搬送され、上記画像形成プロセスを経た後、排紙トレイ19へ排紙される。また、感光ドラム31上に残ったトナーはクリーナ34により除去される。更に、感光ドラム31は除電器35により除電され、帯電器36により帯電された後、再び光走査部6により感光ドラム31に潜像が形成される。
【0022】
図2(a)は、第1の実施の形態に係る画像形成装置の光走査部の構成を示す斜視図、図2(b)は、光走査部の一部を拡大した斜視図である。
【0023】
図2(a)、図2(b)において、光走査部6は、偏向部61、光源ユニット62、シリンダレンズ63(入射光学系)、トーリックレンズ64(走査光学系)、屈折力を有するシリンダレンズ65(走査光学系)、反射ミラー66(入射光学系)を備えている。偏向部61〜反射ミラー66は、光学箱90に対して位置決めおよび固定機構(不図示)により支持されることで格納されている。
【0024】
尚、図2(a)では、光源ユニット62、シリンダレンズ63付近の図示の煩雑化を避けるため、後述のレーザシャッタ70の図示を省略している。
【0025】
光源ユニット62は、レーザ照射部(不図示)、レーザ照射部を駆動する駆動電気基板62a、コリメータレンズ鏡筒62b、コリメータレンズ62c、開口しぼり(不図示)を備えており、平行なレーザ光を放射(発光)する。
【0026】
偏向部61は、ポリゴンミラー61a、ポリゴンモータ、モータ駆動回路が実装された駆動基板61bを備えている。偏向部61において、モータ駆動回路によりポリゴンモータを駆動してポリゴンミラー61aを回転させることで、レーザ光を偏向し走査する。トーリックレンズ64およびシリンダレンズ65は、レーザ光を感光ドラム31上に一定のスポット径で結像させるものであり、走査光学系の一要素を構成している。
【0027】
ここで、光学箱の微小な隙間から光学箱内部に入り込んだ二酸化硫黄やアンモニアが原因で光学箱内で硫酸アンモニウムが生成される過程を説明する。
【0028】
空気中に存在する二酸化硫黄やアンモニアが光学箱内部に入り込むと、二酸化硫黄やアンモニアが光と以下のような光化学反応を起こすことで硫酸アンモニウムが生成されると想定される。
【0029】
まず、二酸化硫黄(SO)が振動数νの光エネルギーhν(hはプランク定数)を受けて活性化二酸化硫黄(SO*)となる。
SO+hν→SO
活性化二酸化硫黄が酸化されると三酸化硫黄(SO)となる。
2SO*+O→2SO
三酸化硫黄が水(HO)と反応し硫酸となる。
SO+HO→HSO
一方、アンモニア(NH)が水と反応し水酸化アンモニウムとなる。
2NH+HO→2NHOH+H
上記により得られる硫酸と水酸化アンモニウムとが反応を起こし硫酸アンモニウムとなる。
SO+2NHOH→(NHSO+H
以上の反応が光学箱内部において起こり反射ミラーおよび透過レンズの表面に硫酸アンモニウムが付着することで、レーザ光の反射率や透過率が低下してしまう。その結果、上記課題で説明したように、画像形成装置の読取光学系で読み取った原稿の画像に対して画像形成部で画像形成を行い記録紙に出力した画像の濃度が異なるなど、画像品位の低下が発生する。
【0030】
そこで、本実施の形態では、図2(b)に示すように、光源ユニット62のレーザ照射部から発するレーザ光の光路に対し交差する状態にレーザシャッタ70を光学箱90内に設け、レーザシャッタ70によりレーザ光の遮蔽/通過を切り替える構成としている。また、ガス検知センサ71を光学箱90内に設け、ガス検知センサ71により光学箱90内の二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度を検知し濃度に応じた電圧を出力する構成としている。
【0031】
レーザシャッタ70(被照射部材)は、レーザ光の光路上において、光源ユニット62のレーザ照射部(不図示)から照射されるレーザ光を遮蔽する位置と、レーザ光の光路から退避する位置との間を移動可能に構成されている。これにより、レーザシャッタ70がレーザ光を遮蔽する位置に存在する場合にレーザ光をレーザシャッタ70の表面に照射することで、入射光学系、走査光学系とは別の箇所で光化学反応を積極的に起こし、硫酸アンモニウムを生成することが可能である。
【0032】
また、レーザシャッタ70のレーザ光が照射される表面には、光学箱内部に侵入した二酸化硫黄やアンモニアとレーザ光との光化学反応で生成される硫酸アンモニウムと同じ物質である硫酸アンモニウムがコーティングされている。上記光化学反応で生成される硫酸アンモニウムはレーザシャッタ70の表面にコーティングされている硫酸アンモニウムと親和性を持っている。
【0033】
そのため、光学箱内部の硫酸アンモニウム(特定物質)は空気中に浮遊することなく、レーザシャッタ70の表面に付着・堆積させることで捕集することが可能である。これにより、光学箱内でレーザシャッタ70付近の二酸化硫黄およびアンモニアの濃度は低くなる。
【0034】
更に、気体の自己拡散作用により光学箱内で二酸化硫黄およびアンモニア濃度の高い部分から濃度の低いレーザシャッタ70付近へ分子が移動し、濃度が均一化する。その結果、光学箱内部全体での二酸化硫黄とアンモニアの濃度が減少する。
【0035】
以上より、レーザシャッタ70がレーザ光を通過させる位置に存在する場合に、反射ミラーや透過レンズの表面で起こる光化学反応による硫酸アンモニウムの汚染を軽減することができる。
【0036】
次に、レーザシャッタ70の移動機構について図3(a)、(b)を用いて説明する。
【0037】
図3(a)は、光走査部の光学箱においてレーザシャッタをレーザ光遮蔽位置に移動した状態を示す平面図、図3(b)は、レーザシャッタをレーザ光通過位置に移動した状態を示す平面図である。
【0038】
図3(a)、図3(b)において、光学箱90の外側には、ソレノイド75、アーム77、リンク部材78、シャッタ移動量規制部材80が設けられている。また、光学箱90の内部には、圧縮バネ79が設けられている。レーザシャッタ70の一方の端部は圧縮バネ79に接続され、レーザシャッタ70の他方の端部はアーム77に接触している。
【0039】
ソレノイド75は、レーザ光遮蔽面72(以後、表面72と略称表記)を有するレーザシャッタ70を、レーザ光を遮蔽する位置とレーザ光を通過させる位置に選択的に移動するためのものであり、ストッパ76aが固定された鉄芯76を備えている。ソレノイド75は、後述の制御部81(図4参照)によりオン/オフが制御される。
【0040】
アーム77は、回動軸74に回動可能に支持され、一方の端部はレーザシャッタ70に接触しており、他方の端部はリンク部材78を介してソレノイド75の鉄芯76に接続されている。アーム77は、該アーム77がシャッタ移動量規制部材80に突き当たる位置(図3(b)の位置)から、ソレノイド75の鉄芯76を介してストッパ76aがソレノイド75に突き当たる位置(図3(a)の位置)まで電気的に引き込み可能に構成されている。
【0041】
ソレノイド75をオンにすると、鉄芯76がソレノイド75に引き込まれる。これに伴い、アーム77は、ストッパ76aがソレノイド75に突き当たる位置(図3(a)の位置)まで矢印方向(反時計回り方向)に回動する。この時、レーザシャッタ70は表面72がレーザ光を遮蔽する位置に移動するため、レーザ照射部から照射されるレーザ光は表面72により遮蔽される(レーザシャッタ閉状態)。
【0042】
ソレノイド75をオフにすると、鉄芯76のソレノイド75に対する拘束力が解放される。これに伴い、アーム77は、図3(a)の位置から、圧縮バネ79の復元力でシャッタ移動量規制部材80に突き当たる位置(図3(b)の位置)まで矢印方向(時計回り方向)に回動して保持される。この時、レーザシャッタ70はレーザ光を通過させる位置に移動するため、レーザ照射部から照射されるレーザ光はレーザシャッタ70のレーザ通過孔73を通過する(レーザシャッタ開状態)。
【0043】
このように、ソレノイド75のオン/オフにより、レーザシャッタ70をレーザ光を遮蔽する位置とレーザ光を通過させる位置に選択的に移動することが可能となる。感光ドラム上にレーザ光を結像しない場合にレーザシャッタ70をレーザ光を遮蔽する位置に移動することで、レーザシャッタ70の表面72に硫酸アンモニウムを生成することができる。これにより、光学箱内部の二酸化硫黄およびアンモニアの濃度を軽減することができる。
【0044】
次に、光走査部のソレノイド75およびレーザのオン/オフ制御について図4を用いて説明する。
【0045】
図4は、光走査部のレーザをオン/オフ制御する制御系の構成を示すブロック図である。
【0046】
図4において、第1の検知部82(濃度検知手段)は、光走査部6の光学箱内部に設置されたガス検知センサ71(濃度検知手段)の出力を基に、光学箱内部の二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度を検知する。第2の検知部83(駆動検知手段)は、偏向部61の駆動基板61b上に実装されたポリゴンモータの駆動のオン/オフを検知する。
【0047】
制御部81(第1の制御手段、第2の制御手段、第3の制御手段)は、第1の検知部82および第2の検知部83の出力信号を基に、ソレノイド75および光源ユニット62から照射するレーザのオン/オフを制御する。また、制御部81は、制御プログラムを基に、図5、図6の各フローチャートに示す処理を実行する。
【0048】
次に、上記の構成を有する本実施の形態の画像形成装置の光走査部のレーザシャッタ70の開閉動作について説明する。
【0049】
図5は、ガス検知センサを設置した場合の光走査部のレーザシャッタの開閉動作を示すフローチャートである。
【0050】
図5において、画像形成装置の電源が投入されると、制御部81は、ソレノイド75をオフにすることでレーザシャッタ70をレーザ光を通過させる位置(図3(b)のレーザシャッタ開状態)に移動する(ステップS101)。次に、制御部81は、予め決められた画像形成装置の初期動作を行う(ステップS102)。これにより、画像形成装置でプリント動作が可能な状態(スタンバイ状態)となる(ステップS103)。
【0051】
次に、制御部81は、第2の検知部83がポリゴンモータの駆動を検知してオンの状態になっているか否かを判定することで、画像形成装置が画像形成中か否かを判断する(ステップS104)。第2の検知部83がオンの状態、即ち画像形成中の場合は、制御部81は、ソレノイド75をオフに維持することでレーザシャッタ70をレーザ光を通過させる位置(図3(b)のレーザシャッタ開状態)に保持する(ステップS105)。この後、ステップS104に戻る。
【0052】
他方、第2の検知部83がオフの状態、即ち画像形成中でない場合は、制御部81は次の処理を行う。光学箱内部のガス検知センサ71による二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度の検知に伴って第1の検知部82から出力される信号を入力する(ステップS106)。制御部81は、第1の検知部82の出力信号が光学箱内部の二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度が目標とする濃度以下の値であるか否かを判断する(ステップS107)。
【0053】
第1の検知部82の出力信号が目標とする濃度以下の値である場合は、制御部81は次の設定を行う。光源ユニット62から照射するレーザ光はオフの状態、ソレノイド75もオフの状態とし、レーザシャッタ70をレーザ光を通過させる位置(図3(b)のレーザシャッタ開状態)に設定する(ステップS109)。これにより、本処理を終了する。
【0054】
ただし、ガス検知センサ71の出力信号が目標とする濃度の値よりも大きい場合は、制御部81は出力信号に基づき次の設定を行う。光源ユニット62のレーザ照射部からのレーザ光をオンの状態、またソレノイド75をオンの状態に設定し、レーザシャッタ70をレーザ光を遮蔽する位置(図3(a)のレーザシャッタ閉状態)に移動する(ステップS108)。これにより、光源ユニット62からレーザシャッタ70の表面72にレーザ光が照射される。
【0055】
その後、制御部81は、第2の検知部83がポリゴンモータの駆動を検知してオンの状態になっているか否かを判定することで、画像形成装置が画像形成中か否かを再度判断する(ステップS104)。第2の検知部83がオンの状態、即ち画像形成中の場合は、制御部81は、ソレノイド75をオフにすることでレーザシャッタ70をレーザ光を通過させる位置(図3(b)のレーザシャッタ開状態)に移動する(ステップS105)。
【0056】
他方、第2の検知部83がオフの状態、即ち画像形成中でない場合は、制御部81は、光学箱内部のガス検知センサ71から二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度の検知に伴って出力される信号を入力する(ステップS106)。そして、制御部81は、ガス検知センサ71の出力信号が上記濃度以下の値であるか否かに応じて(ステップS107)、レーザシャッタ70の開閉動作を行う。
【0057】
以上のように、光学箱90内においてガス検知センサ71により二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度の検知を行いながら、ポリゴンモータがオフの状態でレーザシャッタ70の表面72にレーザ光を照射させ、硫酸アンモニウムを生成させる。これにより、光学箱90内の二酸化硫黄およびアンモニアの濃度を軽減でき、硫酸アンモニウム(特定物質)による反射ミラーや透過レンズの汚染を防止することが可能となる。
【0058】
尚、上記の図5のフローチャートに示したレーザシャッタ70の開閉動作の制御については、ガス検知センサ71を設置せずに図6のフローチャートに示すように行ってもよい。
【0059】
図6は、ガス検知センサを設置しない場合の光走査部のレーザシャッタの開閉動作を示すフローチャートである。
【0060】
図6において、ステップS201〜203は図5のステップS101〜103と同様であるため説明を省略する。画像形成装置の電源投入後のスタンバイ状態で、画像形成中、即ちポリゴンモータの駆動のオン/オフを検知する第2の検知部83がオンの状態では、制御部81は次の設定を行う。ソレノイド75をオフに維持することでレーザシャッタ70をレーザ光を通過させる位置(図3(b)のレーザシャッタ開状態)に保持し、また、タイマtのカウントもリセットする(ステップS205)。
【0061】
他方、第2の検知部83がオフの状態、即ち画像形成中でない場合は、制御部81は、タイマt(計時手段)のカウントを開始する(ステップS206)。続いて、制御部81は、カウントを行っているタイマtのカウント時間(経過時間)が設定時間Tに対し、T≦tであるか否かを判断する(ステップS207)。
【0062】
T≦tとなった場合、即ちタイマtのカウント時間が設定時間Tに達した場合は、レーザシャッタ70に対するレーザ光の照射が十分行われ、空気中の二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度が十分下がったとみなせる。
【0063】
制御部81は、光源ユニット62から照射するレーザ光はオフの状態、またソレノイド75もオフの状態とし、レーザシャッタ70をレーザ光を通過させる位置(図3(b)のレーザシャッタ開状態)に設定する(ステップS209)。これにより、本処理を終了する。
【0064】
他方、T>tの場合、即ちタイマtのカウント時間が設定時間Tに達していない場合は、制御部81は次の設定を行う。光源ユニット62から照射するレーザ光をオンの状態、またソレノイド75をオンの状態に設定し、レーザシャッタ70をレーザ光を遮蔽する位置(図3(a)のレーザシャッタ閉状態)に移動する(ステップS208)。これに伴い、レーザ光がレーザシャッタ70の表面72に照射される。
【0065】
その後、制御部81は、第2の検知部83がポリゴンモータの駆動を検知してオンの状態になっているか否かを判定することで、画像形成装置が画像形成中か否かを再度判断する(ステップS204)。第2の検知部83がオンの状態、即ち画像形成中の場合は、制御部81は次の設定を行う。上記と同様にソレノイド75をオフにすることでレーザシャッタ70をレーザ光を通過させる位置(図3(b)のレーザシャッタ開状態)とし、タイマtのカウントをリセットする(ステップS205)。
【0066】
他方、第2の検知部83がオフの状態、即ち画像形成中でない場合は、制御部81は、上記と同様にタイマtのカウントを開始する(ステップS206)。そして、制御部81は、タイマtのカウント時間に応じてレーザシャッタ70の開閉動作を行う。
【0067】
以上のように、タイマtによりカウントした設定時間の間、レーザ光をレーザシャッタ70の表面72に照射することで硫酸アンモニウムを生成させてもよい。
【0068】
次に、光走査部6の光学箱90内の二酸化硫黄とアンモニアの濃度を減少させるために上記のようにレーザシャッタ70の表面に堆積させた硫酸アンモニウムの飛散を抑制する構成について図7に基づき説明する。
【0069】
図7(a)は、光走査部の一部を拡大した斜視図、図7(b)は、光走査部の光学箱底面に設けられた硫酸アンモニウム滞留用のポケットの幅を説明する断面図である。
【0070】
図7(a)、図7(b)において、光学箱90におけるレーザシャッタ70の設置箇所に対応した底面部には、硫酸アンモニウムが堆積するレーザシャッタ70の表面72の移動可能範囲において、硫酸アンモニウムを滞留させるポケット85が設けられている。ポケット85の幅(レーザシャッタ70に平行な方向の長さ)は、レーザシャッタ70の移動可能範囲(光ビーム照射範囲)よりも大きい幅に設定されている。
【0071】
図7(b)の紙面左右方向において、硫酸アンモニウムが堆積するレーザシャッタ70の表面72の左端がレーザシャッタ70の移動可能範囲内の左端に位置する状態で(図中矢印範囲内)、ポケット85はaだけ大きい幅に設定されている。また、レーザシャッタ70の表面72の右端が移動可能範囲内で右端に位置する状態で(図中矢印範囲内)、ポケット85はbだけ大きい幅に設定されている。また、紙面前奥方向において、ポケット85はレーザシャッタ70の厚みよりも大きい幅に設定されている。
【0072】
これにより、万が一、レーザシャッタ70の表面72に堆積する硫酸アンモニウムが表面から落下した場合においても、硫酸アンモニウムはポケット85に落下する。これにより、偏向部61のポリゴンミラー61aの回転等により形成される光学箱90内の気流により硫酸アンモニウムが飛散するのを抑制することができる。
【0073】
加えてレーザ光は感光ドラム上で極小スポットを結ぶように集光しており、人体に、特に目にレーザ光が照射して被爆すると非常に有害であり、視力を低下させる可能性もある。そこで、画像形成装置の外装カバーなどの開閉に連動してレーザシャッタ70をレーザ光の遮蔽する位置に移動させることで、レーザ光を強制的に遮蔽し人の目に入ることを防ぐ役目も果たしている。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像形成装置の光走査部の光学箱内部のレーザシャッタ70の表面にレーザ光を定期的に照射し、二酸化硫黄とアンモニアの光化学反応を起こし硫酸アンモニウムをレーザシャッタ70の表面に生成させる。光学箱内部に侵入した二酸化硫黄やアンモニアとレーザ光との光化学反応で生成される硫酸アンモニウムは、レーザシャッタ70の表面にコーティングされている硫酸アンモニウムと親和性を持っている。そのため、光化学反応で生成された硫酸アンモニウムをレーザシャッタ70の表面に付着・堆積させることができる。
【0075】
これにより、光学箱内部の二酸化硫黄およびアンモニア濃度を軽減し、反射ミラーと透過レンズの表面に硫酸アンモニウムが付着するのを軽減することができる。その結果、レーザ光の反射率や透過率の低下を抑制できるため、感光ドラム31に形成した潜像を現像した画像の良好な画質を長時間維持できる高性能で安定した光走査部を提供することができる。
【0076】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、図8乃至図11で説明する点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1)の対応するものと同一なので説明を省略する。
【0077】
図8(a)は、第2の実施の形態に係る画像形成装置の光走査部の一部を拡大した斜視図、図8(b)は、光走査部の第2の光源ユニット付近の構成を示す断面図である。尚、図8(a)で図2(b)と同じ機能を有するものは同一の符号で示し説明は省略する。
【0078】
図8(a)、図8(b)において、光学箱90の内部には、光源ユニット62の他に第2の光源ユニット91が設けられている。第2の光源ユニット91は、レーザ照射部(不図示)、レーザ照射部を駆動する駆動電気基板91a、コリメータレンズ鏡筒91b、コリメータレンズ91cを備えている。第2の光源ユニット91から照射されるレーザ光の光路上には、リブ92(被照射部材)が光路を遮る状態に設けられている。
【0079】
リブ92におけるコリメータレンズ91cに対向するレーザ光当接部表面93は、硫酸アンモニウムと親和性のある同物質の硫酸アンモニウムでコーティングされている。リブ92のレーザ光当接部表面93上で第2の光源ユニット91から照射されるレーザ光と光化学反応を起こすことで、リブ92のレーザ光当接部表面93に硫酸アンモニウムを付着させる。
【0080】
図9は、光走査部のレーザをオン/オフ制御する制御系の構成を示すブロック図である。
【0081】
図9において、上記第1の実施の形態と同様に、第1の検知部82(濃度検知手段)は、光走査部6の光学箱内部のガス検知センサ71(濃度検知手段)の出力を基に、光学箱内部の二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度を検知する。第2の検知部83(駆動検知手段)は、偏向部61のポリゴンモータの駆動のオン/オフを検知する。
【0082】
制御部81(第1の制御手段、第2の制御手段、第3の制御手段)は、第1の検知部82および第2の検知部83の出力信号を基に、第2の光源ユニット91から照射するレーザ光のオン/オフを制御する。また、制御部81は、制御プログラムを基に、図10、図11の各フローチャートに示す処理を実行する。
【0083】
次に、上記の構成を有する本実施の形態の画像形成装置の光走査部の第2の光源ユニット91のレーザ光の照射タイミングについて説明する。
【0084】
図10は、ガス検知センサを設置した場合の光走査部のレーザ光の照射タイミングを示すフローチャートである。
【0085】
図10において、画像形成装置の電源が投入されると、制御部81は、第2の光源ユニット91から照射するレーザ光をオフにする(ステップS301)。次に、制御部81は、予め決められた画像形成装置の初期動作を行う(ステップS302)。これにより、画像形成装置でプリント動作が可能な状態(スタンバイ状態)となる(ステップS303)。
【0086】
次に、制御部81は、第2の検知部83がポリゴンモータの駆動を検知してオンの状態になっているか否かを判定することで、画像形成装置が画像形成中か否かを判断する(ステップS304)。第2の検知部83がオンの状態、即ち画像形成中の場合は、制御部81は、第2の検知部83の出力信号に基づいて第2の光源ユニット91から照射するレーザ光をオフに維持し、レーザ光照射を行わず待機する(ステップS305)。この後、ステップS304に戻る。
【0087】
他方、第2の検知部83がオフの状態、即ち画像形成中でない場合は、制御部81は、光学箱内部のガス検知センサ71による二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度の検知に伴って第1の検知部82から出力される信号を入力する(ステップS306)。制御部81は、第1の検知部82の出力信号が光学箱内部の二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度が目標とする濃度以下の値であるか否かを判断する(ステップS307)。
【0088】
第1の検知部82の出力信号が目標とする濃度以下の値である場合は、制御部81は、第2の光源ユニット91から照射するレーザ光をオフにする(ステップS309)。これにより、本処理を終了する。
【0089】
ただし、第1の検知部82の出力信号が目標とする濃度の値よりも大きい場合は、制御部81は、第2の光源ユニット91から照射するレーザ光をオンにする(ステップS308)。これにより、第2の光源ユニット91からリブ92のレーザ光当接部表面93にレーザ光が照射される。
【0090】
その後、制御部81は、第2の検知部83がポリゴンモータの駆動を検知してオンの状態になっているか否かを判定することで、画像形成装置が画像形成中か否かを再度判断する(ステップS304)。第2の検知部83がオンの状態、即ち画像形成中の場合は、制御部81は、上記と同様に第2の光源ユニット91から照射するレーザ光をオフとし、レーザ光照射を行わない(ステップS305)。
【0091】
他方、第2の検知部83がオフの状態、即ち画像形成中でない場合は、制御部81は、上記と同様にガス検知センサ71から出力される信号を入力する(ステップS306)。そして、制御部81は、上記と同様にガス検知センサ71の出力信号が上記濃度以下の値であるか否かに応じて(ステップS307)、第2の光源ユニット91からリブ92のレーザ光当接部表面93にレーザ光を照射する。
【0092】
以上のように、光学箱90内においてガス検知センサ71により二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度の検知を行いながら次の制御を行う。ポリゴンモータがオフの状態でリブ92のレーザ光当接部表面93に第2の光源ユニット91からレーザ光を照射させ、レーザ光当接部表面93に硫酸アンモニウムを付着させ堆積させる。これにより、光学箱90内の二酸化硫黄およびアンモニアの濃度を軽減でき、硫酸アンモニウム(特定物質)による反射ミラーや透過レンズの汚染を防止することが可能となる。
【0093】
尚、上記の図10のフローチャートに示した第2の光源ユニット91のレーザ光の照射タイミング制御については、ガス検知センサ71を設置せずに図11のフローチャートに示すように行ってもよい。
【0094】
図11は、ガス検知センサを設置しない場合の光走査部のレーザシャッタの開閉動作を示すフローチャートである。
【0095】
図11において、ステップS401〜403は図10のステップS301〜303と同様であるため説明を省略する。画像形成装置の電源投入後のスタンバイ状態で、画像形成中、即ちポリゴンモータの駆動のオン/オフを検知する第2の検知部83がオンの状態では、制御部81は次の設定を行う。第2の光源ユニット91から照射するレーザ光をオフに維持し、また、タイマt(計時手段)のカウントもリセットする(ステップS405)。
【0096】
他方、第2の検知部83がオフの状態、即ち画像形成中でない場合は、制御部81は、タイマtのカウントを開始する(ステップS406)。続いて、制御部81は、カウントを行っているタイマtのカウント時間(経過時間)が設定時間Tに対し、T≦tであるか否かを判断する(ステップS407)。
【0097】
T≦tとなった場合、即ちタイマtのカウント時間が設定時間Tに達した場合は、第2の光源ユニット91からリブ92のレーザ光当接部表面93に対するレーザ光の照射が十分行われ、空気中の二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度が十分下がったとみなせる。制御部81は、第2の光源ユニット91から照射するレーザ光をオフの状態とする(ステップS409)。これにより、本処理を終了する。
【0098】
他方、T>tの場合、即ちタイマtのカウント時間が設定時間Tに達していない場合は、制御部81は、第2の光源ユニット91から照射するレーザ光をオンにする(ステップS408)。これにより、第2の光源ユニット91からリブ92のレーザ光当接部表面93にレーザ光が照射される。
【0099】
その後、制御部81は、第2の検知部83がポリゴンモータの駆動を検知してオンの状態になっているか否かを判定することで、画像形成装置が画像形成中か否かを再度判断する(ステップS404)。第2の検知部83がオンの状態、即ち画像形成中の場合は、制御部81は、上記と同様にタイマtのカウントをリセットする(ステップS405)。
【0100】
他方、第2の検知部83がオフの状態、即ち画像形成中でない場合は、制御部81は、上記と同様にタイマtのカウントを開始する(ステップS406)。そして、制御部81は、タイマtのカウント時間に応じて(ステップS407)、第2の光源ユニット91からリブ92のレーザ光当接部表面93にレーザ光を照射する。
【0101】
以上のように、タイマtによりカウントした設定時間の間、レーザ光をリブ92のレーザ光当接部表面93に照射することで硫酸アンモニウムを生成させてもよい。
【0102】
また、上記第1の実施の形態と同様に、リブ92のレーザ光当接部表面93に付着した硫酸アンモニウムが落下した場合でもポリゴンミラーの回転等で飛散することがないように、次のような構成としてもよい。即ち、光学箱におけるリブ92のレーザ光当接部表面93に対応した下方の底面部に、硫酸アンモニウムを滞留させるポケットを設けてもよい。ポケットの幅は、リブ92のレーザ光当接部表面93の光ビーム照射範囲よりも大きい幅に設定すればよい。
【0103】
また、硫酸アンモニウムは、二酸化硫黄およびアンモニアが主に105nm〜180nm、180nm〜240nm、260nm〜340nm、340nm〜390nmの4つの波長帯内の光を受けて発生するとされている。そのため、第2の光源ユニット91から照射するレーザ光は上記4つの波長帯内の少なくとも1つの波長であることが望ましい。
【0104】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様に、光学箱内部の二酸化硫黄およびアンモニア濃度を軽減し、反射ミラーと透過レンズの表面に硫酸アンモニウムが付着するのを軽減することができる。これにより、長時間良好な画質を維持できる高性能で安定した光走査部を提供することができる。
【0105】
〔他の実施の形態〕
第1および第2の実施の形態では、本発明の画像形成装置を複写機に適用した場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。本発明の画像形成装置は、複写機以外にも、レーザビームプリンタ、ファクシミリに適用することができる。
【符号の説明】
【0106】
6 光走査部
62 光源ユニット
70 レーザシャッタ
82 第1の検知部
83 第2の検知部
85 ポケット
91 第2の光源ユニット
92 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを発する光源と、前記光ビームを偏向する偏向手段と、前記光源から出射された前記光ビームを感光体に導くレンズおよびミラーと、少なくとも前記偏向手段と前記レンズおよびミラーとを内部に格納する光学箱と、を備え、前記偏向手段により偏向された前記光ビームによって前記感光体の表面に静電潜像を形成する光走査装置において、
前記光学箱の内部の特定物質を捕集するために前記光源からの光ビームが照射されるように前記光学箱の内部に設けられる被照射部材を備え、
前記被照射部材は、前記光ビームが照射されることによって生成される前記特定物質を捕集する物質を保持することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記特定物質および前記被照射部材が保持する物質は、硫酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記被照射部材は、前記光ビームの光路上において前記光源からの光ビームを遮蔽する位置と前記光源からの光ビームの光路から退避する位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記偏向手段を駆動する駆動手段と、
前記駆動手段により前記偏向手段が駆動されているか否かを検知する駆動検知手段と、
前記偏向手段が駆動されていないことを前記駆動検知手段が検知した場合に、前記光源から前記被照射部材に対して光ビームを照射させる第1の制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記偏向手段が駆動されていないことを前記駆動検知手段が検知したとき計時を開始する計時手段と、
前記計時手段により計時した時間が設定時間に達していない場合に、前記光源から前記被照射部材に対して光ビームを照射させる第2の制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記光学箱の内部の二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段により検知した濃度が目標とする濃度よりも大きい場合に、前記光源から前記被照射部材に対して光ビームを照射させる第3の制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光走査装置。
【請求項7】
光ビームを発する光源と、前記光ビームを偏向する偏向手段と、前記光源から出射された前記光ビームを感光体に導くレンズおよびミラーと、少なくとも前記偏向手段と前記レンズおよびミラーとを内部に格納する光学箱と、を備え、前記偏向手段により偏向された前記光ビームによって前記感光体の表面に静電潜像を形成する光走査装置において、
光ビームを発する第2の光源と、
前記光学箱の内部の特定物質を捕集するために前記第2の光源からの光ビームが照射されるように前記光学箱の内部に設けられる被照射部材と、を備え、
前記被照射部材は、前記光ビームが照射されることによって生成される前記特定物質を捕集する物質を保持することを特徴とする光走査装置。
【請求項8】
前記特定物質および前記被照射部材が保持する物質は、硫酸アンモニウムであることを特徴とする請求項7に記載の光走査装置。
【請求項9】
前記被照射部材は、前記第2の光源の光路を遮る状態に設置されていることを特徴とする請求項7に記載の光走査装置。
【請求項10】
前記偏向手段を駆動する駆動手段と、
前記駆動手段により前記偏向手段が駆動されているか否かを検知する駆動検知手段と、
前記偏向手段が駆動されていないことを前記駆動検知手段が検知した場合に、前記第2の光源から前記被照射部材に対して光ビームを照射させる第1の制御手段と、を備えることを特徴とする請求項7に記載の光走査装置。
【請求項11】
前記偏向手段が駆動されていないことを前記駆動検知手段が検知したとき計時を開始する計時手段と、
前記計時手段により計時した時間が設定時間に達していない場合に、前記第2の光源から前記被照射部材に対して光ビームを照射させる第2の制御手段と、を備えることを特徴とする請求項7又は請求項10に記載の光走査装置。
【請求項12】
前記光学箱の内部の二酸化硫黄もしくはアンモニアの濃度を検知する濃度検知手段と、
前記濃度検知手段により検知した濃度が目標とする濃度よりも大きい場合に、前記第2の光源から前記被照射部材に対して光ビームを照射させる第3の制御手段と、を備えることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の光走査装置。
【請求項13】
前記第2の光源から照射される光ビームの波長は、105nm〜180nm、180nm〜240nm、260nm〜340nm、340nm〜390nmの4つの波長帯における少なくとも1つの波長であることを特徴とする請求項7に記載の光走査装置。
【請求項14】
前記光学箱における前記被照射部材の設置箇所に対応した底面部に硫酸アンモニウムを滞留させるポケットを備え、
前記ポケットの幅は、前記被照射部材の光ビーム照射範囲よりも大きい幅に設定されていることを特徴とする請求項1又は7に記載の光走査装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光走査装置を備えた画像形成装置であって、
前記光走査装置の光ビームの走査により静電潜像が形成される感光体と、前記感光体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記現像手段により現像された画像を記録紙に転写する転写手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−215649(P2012−215649A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79555(P2011−79555)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】