説明

光重合性組成物、カラーフィルタ用光重合性組成物、カラーフィルタ、及びその製造方法、固体撮像素子、並びに、平版印刷版原版

【課題】波長365nmや405nmの光に対する感度が高く、塗布面状性に優れ、表面が平滑な硬化膜を形成可能な光重合性組成物、それを用いたカラーフィルタ及び平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)及び一般式(2)で表される光重合性開始剤を含有する光重合性組成物。一般式(1)及び(2)中、B、B、R、X、及びXは、一価の置換基、Aは二価の有機基、Arはアリール基、Yは重合開始能を有する部分構造を含む一価の置換基を表す。m、nは0〜5の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光重合性組成物、カラーフィルタ用光重合性組成物、カラーフィルタ、及びその製造方法、固体撮像素子、並びに、平版印刷版原版に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合性組成物としては、例えば、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物に光重合開始剤を加えたものがある。このような光重合性組成物は、光を照射されることによって重合硬化するため、光硬化性インキ、感光性印刷版、カラーフィルタ、各種フォトレジスト等に用いられている。
また、光重合性組成物としては、例えば、光の照射により酸を発生し、発生した酸を触媒とする他の態様もある。具体的には、発生した酸を触媒とする色素前駆体の発色反応を利用して、画像形成、偽造防止、エネルギー線量検出のための材料に用いられたり、発生した酸を触媒とする分解反応を利用した半導体製造用、TFT製造用、カラーフィルタ製造用、マイクロマシン部品製造用等のポジ型レジストなどに用いられる。
【0003】
近年、特に短波長(365nmや405nm)の光源に感受性を有する光重合性組成物が種々の用途から望まれており、そのような短波長の光源に対して優れた感度を示す化合物、例えば、光重合開始剤に対する要求が高まってきている。しかしながら、一般的に、感度に優れた光重合開始剤は安定性に欠けることから、感度向上と同時に経時安定性も満たす光重合開始剤が望まれている。
【0004】
そこで、光重合性組成物に用いられる光重合開始剤として、下記特許文献1〜4には、オキシムエステル誘導体が提案されている。しかし、これらの公知のオキシムエステル化合物は、波長365nm、波長405nmに対する吸光度が低いため、感度の観点で未だ満足のいくものではなかった。
また、光重合性組成物としても、経時安定性に優れると共に、365nm、405nmなどの短波長の光に対して優れた感度を有するものが望まれているのが現状である。
更に、例えば、特許文献5には、オキシム化合物を含有するカラーフィルタ用の着色感放射線性組成物が開示されているが、経時安定性、及び短波長の光に対する感度に関しては、未だ不十分であった。また、カラーフィルタ用の着色感放射線性組成物においては、パターン形成後の色相の再現性が新しい課題となっており、経時により着色性が変化する問題の改善が強く望まれていた。
【0005】
一方、イメージセンサー用カラーフィルタは、CCDなどの固体撮像素子の高集光性、かつ、高色分離性による画質向上のため、カラーフィルタの高着色濃度・薄膜化への強い要求がある。高着色濃度を得るために色材を多量に添加すると、2.5μm以下の微細な画素パターンの形状を忠実に再現するには感度が不足してしまい、全体的にパターンの欠落が多発する傾向がある。なお、この欠落をなくすたねには、より高エネルギーの光照射が必要なため、露光時間が長くなり、製造上の歩留まり低下が顕著になる。以上のことからも、カラーフィルタ用の着色感放射線性組成物に関しては、色材(着色剤)を高濃度で含有しつつも良好なパターン形成性を得る必要があるという点から、感度が高いことが望まれているのが現状である。しかしながら、感度向上のためにオキシムエステル化合物の含有量を増やすと、オキシムエステル化合物の溶解性に起因して光重合性組成物の塗布面状性が低下するという問題が生じる。
そこで、反応性に優れたオキシムエステル化合物が提案され、互いに構造の異なる複数の開始剤を組み合わせて使用することも行われている(特許文献6、参照。)。しかしながら、感度の点でなお十分ではなく、塗布面状性にも改良すべき点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4255513号明細書
【特許文献2】米国特許第4590145号明細書
【特許文献3】特開2000−80068号公報
【特許文献4】特開2001−233842号公報
【特許文献5】特開2006−195425号公報
【特許文献6】特開2006−36750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、波長365nmや405nmの光に対して高感度で硬化するとともに、塗布面状性に優れ、表面が平滑な硬化膜を形成しうる光重合性組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、高感度で硬化し、良好なパターン形成性を有し、膜厚の均一な着色パターンを形成しうるカラーフィルタ用光重合性組成物を提供することにある。
更に、本発明の第3の目的は、上記カラーフィルタ用光重合性組成物を用いてなる、パターン形状が良好であり、膜厚均一性に優れた着色パターンを備えたカラーフィルタ、及び、該カラーフィルタを高い生産性で製造しうる製造方法、更には、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子を提供することにある。
加えて、本発明の第4の目的は、上記光重合性組成物を感光層に用いてなり、高感度で、膜厚均一性及び耐刷性に優れた平版印刷版を得ることができる平版印刷版原版を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の部分構造を有し、互いに構造の異なる2種のオキシム化合物を用いることで、上記問題点を解決しうることを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明の構成は以下に示すとおりである。
<1> 下記一般式(1)で表される光重合開始剤、下記一般式(2)で表される光重合開始剤と、を含有する光重合性組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
〔上記一般式(1)中、B、R及びXは、各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。
上記一般式(2)中、B、及び、Xは、各々独立に一価の置換基を表す。Yは、重合開始能を有する部分構造を含む一価の置換基を表す。mは0〜5の整数である。〕
<2> 前記一般式(2)で表される光重合開始が下記一般式(3)で表される化合物である<1>に記載の光重合性組成物。
【0011】
【化2】

【0012】
〔上記一般式(3)中、B、R2、及びZは、各々独立に一価の置換基を表す。mは0〜5の整数である。〕
<3> 前記一般式(3)で表される光重合開始が下記一般式(4)で表される化合物である<2>に記載の光重合性組成物。
【0013】
【化3】

【0014】
〔上記一般式(4)中、B、R及びXは、各々独立に一価の置換基を表し、Eは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。mは0〜5の整数である。〕
<4> さらに、(B)重合性化合物を含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の光重性組成物。
<5> さらに、(C)着色剤を含有する<4>に記載の光重合性組成物。
<6> 前記(C)着色剤が顔料であり、且つ、(D)顔料分散剤を更に含有する<5>に記載の光重合性組成物。
<7> <5>又は<6>のいずれか1項に記載の光重合性組成物を含有するカラーフィルタ用光重合性組成物。
【0015】
<8> 支持体上に、<7>に記載のカラーフィルタ用光重合性組成物を用いてなる着色パターンを有するカラーフィルタ。
<9> 支持体上に、<7>に記載のカラーフィルタ用光重合性組成物を塗布して光重合性組成物層を形成する工程と、前記光重合性組成物層をパターン露光する工程と、 露光後の前記光重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
<10> <8>に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
<11> 支持体上に、<4>に記載の光重合性組成物を含む感光層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、波長365nmや405nmの光に対する感度が高く、塗布面状性に優れた硬化膜を形成可能な光重合性組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、高感度で硬化し、良好なパターン形成性を有し、膜厚均一性に優れた着色パターンを形成しうるカラーフィルタ用光重合性組成物を提供することができる。
更に、本発明によれば、上記カラーフィルタ用光重合性組成物を用いてなる、パターン形状が良好であり、膜厚にばらつきのない着色パターンを備えたカラーフィルタ、及び、該カラーフィルタを高い生産性で製造しうる製造方法、更には、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子を提供することができる。
加えて、本発明によれば、上記光重合性組成物を感光層に用いてなり、高感度で、膜厚均一性及び耐刷性に優れた平版印刷版を得ることができる平版印刷版原版を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<光重合性組成物>
本発明の光重合性組成物は、下記一般式(1)で表される光重合開始剤(以下、適宜、「開始剤(1)」と称する。)及び、一般式(2)で表される重合開始剤(以下、適宜、「開始剤(2)」と称する。)を含有する。
まず、一般式(1)で表される光重合開始剤〔開始剤(1)〕について説明する。
【0018】
【化4】

【0019】
上記一般式(1)中、B、R及びXは、各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。
【0020】
前記Rで表される一価の置換基としては、以下に示す一価の非金属原子団であることが好ましい。
で表される一価の非金属原子団としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基等が挙げられ、アシル基、アルコキシカルボニル基などが好ましい。
【0021】
前記置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0022】
前記置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0023】
なかでも、高感度化の点から、Rとしてはアシル基がより好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0024】
前記Aで表される二価の有機基としては、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキレン、置換基を有してもよいシクロヘキシレン、置換基を有してもよいアルキニレンが挙げられる。
なかでも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0025】
前記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。
具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。中でも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0026】
一般式(1)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。
【0027】
【化5】

【0028】
前記一般式(1)においてXで表される一価の置換基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、ハロゲン基等が挙げられ、アルキル基、アシル基。アミノ基などが好ましい。
【0029】
前記置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
【0030】
前記置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0031】
前記置換基を有してもよいアミノ基としては、総炭素数0〜50のアミノ基が好ましく、例えば、−NH、N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N−アシルアミノ基、N−スルホニルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、N、N−ジスルホニルアミノ基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−tert―ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−2−エチルヘキシルアミノ基、N−デシルアミノ基、N−オクタデシルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−2−メチルフェニルアミノ基、N−2−クロロフェニルアミノ基、N−2−メトキシフェニルアミノ基、N−2−イソプロポキシフェニルアミノ基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基、N−3−クロロフェニルアミノ基、N−3−ニトロフェニルアミノ基、N−3−シアノフェニルアミノ基、N−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メトキシフェニルアミノ基、N−4−シアノフェニルアミノ基、N−4−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メチルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−フェニルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−ジメチルアミノフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジメチルアミノ基、N、N−ジエチルアミノ基、N、N−ジブチルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジアセチルアミノ基、N、N−ジベンゾイルアミノ基、N、N−(ジブチルカルボニル)アミノ基、N、N−(ジメチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジエチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジブチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジフェニルスルホニル)アミノ基、モルホリノ基、3,5−ジメチルモルホリノ基、カルバゾール基等が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
【0033】
一般式(1)においてBで表される1価の置換基としては、以下に示す一価の非金属原子団であることが好ましい。
で表される一価の非金属原子団としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基等が挙げられる。
なかでも好ましくは、炭素数1〜4の無置換のアルキル基である。
また、一般式(1)におけるnは0〜5の整数を表すが、0〜2の整数が好ましい。
【0034】
以下、本発明に用いうる開始剤(1)に包含されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
【化6】

【0036】
【化7】

【0037】
【化8】

【0038】
【化9】

【0039】
【化10】

【0040】
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
【化13】

【0043】
【化14】

【0044】
【化15】

【0045】
【化16】

【0046】
【化17】

【0047】
【化18】

【0048】
本発明に用いうる開始剤(1)に包含されるオキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものである。より好ましくは、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものを挙げることができる。特に、365nm及び455nmの吸光度が高いものが好ましい。
このように、該オキシム化合物は、従来のオキシム系の化合物に比して、長波長領域に吸収を有する。したがって、365nmや405nmの光源で露光した際に、優れた感度を示すことになる。
【0049】
本発明に係る開始剤(1)に包含されるオキシム化合物は、365nm、又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、10000〜300000であることが好ましく、15000〜300000であることがより好まく、20000〜200000であることが特に好ましい。
ここで、オキシム化合物のモル吸光係数は、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用いて0.01g/Lの濃度で測定した。
【0050】
本発明の光重合性組成物における開始剤(1)の含有量は、光重合性組成物の全固形分中、0.1〜50質量%であり、1〜40質量%がより好ましく、1.5〜30質量%が特に好ましい。
【0051】
本発明に係る開始剤(1)であるオキシム化合物は、光により分解し、重合性化合物の重合を開始、促進するが、365nmや405nmの光源に優れた感度を有する。
【0052】
次に、一般式(2)で表される光重合開始剤〔開始剤(2)〕について説明する。
開始剤(2)は、下記一般式(2)で示される化合物である。
【0053】
【化19】

【0054】
上記一般式(2)中、B、及びXは、各々独立に一価の置換基を表す。Yは、重合開始能を有する部分構造を含む一価の置換基を表す。
ここで、B及びXは、それぞれ一般式(1)におけるB及びXと同義であり、好ましい例も同様である。
mは0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。
【0055】
また、Yで示される1価の置換基としては、重合開始能を有する部分構造を含むものであれば特に制限はなく、重合開始能を有する部分構造としては、公知の開始能を有する構造であればいずれも用いることができるが、相溶性及び感度の観点から、好ましくは重合開始能を有する部分構造としてオキシム構造を有するものであることが好ましい。そのような観点からは、一般式(2)で表される光重合開始剤は、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましく、下記一般式(4)で表される化合物であることがより好ましい。
【0056】
【化20】

上記一般式(3)中、B、X及びmは、前記一般式(2)におけるのと同義である。
Zは、一価の置換基を表し、具体的には、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基などが挙げられ、好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、及びヘテロ原子を含むアルキレン基などの2価の基を介して、アリール基やヘテロアリール基が結合している置換基を表す。
mは0〜5の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。
は、一般式(1)におけるRと同義であり、好ましい例も同様である。
【0057】
【化21】

上記一般式(4)中、B、R、X2、及びmは、それぞれ、一般式(1)におけるB、R、X及びnと同義である。Eは二価の有機基を表し、一般式(1)におけるAと同義であり、好ましい例も同様である。Arはアリール基を表し、一般式(1)におけるArと同様であり、好ましい例も同様である。
この一般式(4)で示される化合物は、前記一般式(1)で示されるのと同様の構造を有する開始剤であり、このように、本発明においては、同様のケトオキシム構造と部分骨格を有し、且つ、ここで示される−(X)m、−B、−OR及びEの少なくとも1つが異なる化合物を組み合わせて用いることが好ましい。
より具体的には、一般式(1)で示される具体的に使用される化合物と、該一般式(1)で示される化合物における−(X)m、−B、−OR及びAの少なくとも1つが異なる−(X)m、−B、−OR及びEを備える一般式(4)で示される化合物と、を2種組み合わせる態様がもっとも好ましい。
従って、開始剤(2)に包含される例示化合物としては、前記開始剤(1)で挙げた化合物も同様に挙げられる。
以下、開始剤(2)の例示化合物を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0058】
【化22】

【0059】
本発明に係る開始剤(2)は、365nm、又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、10000〜300000であることが好ましく、15000〜300000であることがより好まく、20000〜200000であることが特に好ましい。
ここで、オキシム化合物のモル吸光係数は、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用いて0.01g/Lの濃度で測定した。
【0060】
本発明の光重合性組成物における開始剤(2)の含有量は、光重合性組成物の全固形分中、0.1〜50質量%であり、1〜40質量%がより好ましく、2〜30質量%が特に好ましい。
【0061】
本発明に係る開始剤(2)は、光により分解し、重合性化合物の重合を開始、促進するが、365nmや405nmの光源に優れた感度を有する。
【0062】
本発明においては、前記の如く、同一、或いは、きわめて類似した部分構造を有し、且つ、構造が互いに異なる重合開始剤を2種併用することが重要である。即ち、類似の骨格を有することで、光重合性組成物が2種の開始剤を含有したが合いも均一な組成物となるとともに、重合性組成物の他の成分との相溶性が向上され、開始剤の含有量を増加させたことにともなってしばしば生じる塗布面状性の低下を抑制しつつ、感度向上が達成される。
【0063】
前記開始剤(1)と開始剤(2)との含有比率には、特に制限はないが、90:10〜10:90の範囲であることが好ましく、80:20〜20:80の範囲であることがより好ましい。
また、開始剤(1)と開始剤(2)の好ましい添加量は、前記の通りであるが、両者の総量としては、光重合性組成物の全固形分中、0.2〜50質量%であり、1〜40質量%がより好ましく、2〜30質量%が特に好ましい。
【0064】
本発明の光重合性組成物は、波長365nmや405nmの光に対する感度が高く、塗布面状性に優れた硬化膜を形成することが可能である。この詳細な機構は不明であるが、開始剤(1)である特定構造のオキシム化合物は、光を吸収し、開裂した際のラジカル再結合が抑制される構造を有するため、発生ラジカル量が多く高感度化を達成することができる。これに、類似骨格を有する第2の開始剤〔開始剤(2)〕を併用することで、開始剤どうし、及び、重合性組成物中に含まれる他の成分と開始剤との相溶性が向上し、組成物の均一塗布性が達成されるとともに、開始剤が組成中に均一に存在することから、一層の高感度化が達成されたものと考えられる。
【0065】
本発明の光重合性組成物は、成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合材料、印刷インキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルタ用光重合性組成物、ブラックマトリクス用レジスト、プリント基板用レジスト、半導体製造用レジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト等、絶縁材、ホログラム材料、導波路用材料、オーバーコート剤、接着剤、粘着剤、粘接着剤、剥離コート剤等の種々の用途に利用することができる。
【0066】
以下に、本発明の光重合性組成物について、カラーフィルタ形成等に好適に用いうる光重合性組成物(1)、及び、平版印刷版原版の感光層形成等に好適に用いうる光重合性組成物(2)を例に説明するが、本発明の光重合性組成物は、これらに限定されるものではない。
【0067】
−光重合性組成物(1)−
〔(1)−(A)光重合開始剤〕
光重合性組成物(1)が含有する(A)光重合開始剤は、前記開始剤(1)であるオキシム化合物と、開始剤(1)と類似骨格を有し、且つ、異なる化合物である開始剤(2)とを含む。両者の含有比率は、既述の如く、90:10〜10:90であることが好ましい。
光重合性組成物(1)における開始剤(1)と開始剤(2)との総含有量は、該組成物の全固形分に対し0.5〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、1.5〜30質量%が更に好ましい。
【0068】
光重合性組成物(1)は、本発明の効果を損なわない範囲において、前記開始剤(1)及び開始剤(2)以外の公知の光重合開始剤を併用してもよい。
併用可能な光重合開始剤は、光により分解し、後述する重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。具体的には、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ビイミダゾール系化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。
【0069】
〔(1)−(B)重合性化合物〕
光重合性組成物(1)は(B)重合性化合物を含有することが好ましい。本発明に用いうる(B)重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0070】
上記その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0071】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0072】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0073】
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (A)
(ただし、一般式(A)中、R及びRは、それぞれ、H又はCHを示す。)
【0074】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
【0075】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0076】
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、光重合性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、光重合性組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料、染料)等、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0077】
〔(1)−(C)着色剤〕
光重合性組成物(1)は(C)着色剤を含有することができる。着色剤を含有することにより、所望色の着色光重合性組成物を得ることができる。
なお、光重合性組成物(1)は、短波長の光源である365nmや406nmの光源に優れた感度を有するオキシム化合物を開始剤(1)として含有するため、着色剤を高濃度に含有する場合にも高感度に硬化することができる。
【0078】
光重合性組成物(1)において用いられる着色剤は特に限定されるものではなく、従来公知の種々の染料や顔料を1種又は2種以上混合して用いることができ、これらは光重合性組成物の用途に応じて適宜選択される。本発明の硬化性着色組成物をカラーフィルタ製造に用いる場合であれば、カラーフィルタの色画素を形成するR、G、B等の有彩色系の着色剤、及びブラックマトリクス形成用に一般に用いられている黒色系の着色剤のいずれをも用いることができる。
【0079】
以下、光重合性組成物(1)に適用しうる着色剤について、カラーフィルタ用途に好適な着色剤を例に詳述する。
有彩色系の顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、なるべく細かいものの使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
【0080】
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0081】
有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメント イエロー 11, 24, 31, 53, 83, 93, 99, 108, 109, 110, 138, 139, 147, 150, 151, 154, 155, 167, 180, 185, 199, ;
C.I.ピグメント オレンジ36, 38, 43, 71;
C.I.ピグメント レッド81, 105, 122, 149, 150, 155, 171, 175, 176, 177,209, 220, 224, 242, 254, 255, 264, 270;
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 32, 39;
C.I.ピグメント ブルー 1, 2, 15, 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66;
C.I.ピグメント グリーン 7, 36, 37;
C.I.ピグメント ブラウン 25, 28;
C.I.ピグメント ブラック 1, 7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
【0082】
本発明では、特に顔料の構造式中に塩基性のN原子をもつものを好ましく用いることができる。これら塩基性のN原子をもつ顔料は光重合性組成物(1)中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、感光性重合成分と顔料との親和性の良さが影響しているものと推定される。
【0083】
本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
【0084】
C.I.ピグメント イエロー 11, 24, 108, 109, 110, 138, 139, 150, 151, 154, 167, 180, 185,
C.I.ピグメント オレンジ36, 71,
C.I.ピグメント レッド 122, 150, 171, 175, 177, 209, 224, 242, 254, 255, 264,
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 32,
C.I.ピグメント ブルー 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66,
C.I.ピグメント ブラック 1
あるいは、チタンブラック〔市販品としては、三菱化学(株)製の13M−C、13R−N、赤穂化成(株)ティラック(Tilack)D〕などが挙げられる。
【0085】
なお、上記のような黒色着色剤を含有する本発明の光重合性組成物は、ブラックマトリクスなどの黒色膜を形成するために用いられることが好ましい。この黒色膜は、遮光性や反射防止性を有するため、ブラックマトリクス以外にも、反射防止膜や、遮光膜等の作製にも適用することができる。
【0086】
光重合性組成物(1)において、着色剤が染料である場合には、組成物中に均一に溶解した状態の着色組成物を得ることができる。
【0087】
光重合性組成物(1)に含有される着色剤の含有量としては、光重合性組成物の全固形分中、30〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%がより好ましく、50〜80質量%が更に好ましい。
着色剤が少なすぎると、光重合性組成物(1)によりカラーフィルタを作製した際に、適度な色度が得られなくなる傾向がある。一方、多すぎると光硬化が充分に進まず膜としての強度が低下したり、また、アルカリ現像の際の現像ラチチュードが狭くなったりする傾向があるが、本発明で用いられる(A)オキシム化合物は、光吸収効率が高いことから、光重合性組成物中に着色剤を高濃度に含有する場合であっても、顕著に感度向上効果が発揮される。
【0088】
〔(1)−(D)顔料分散剤〕
光重合性組成物(1)が(C)着色剤として顔料を含有する場合、該顔料の分散性を向上させる観点から、(D)顔料分散剤を添加することが好ましい。
【0089】
本発明に用いうる顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0090】
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
【0091】
本発明に用いうる顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
【0092】
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
【0093】
光重合性組成物(1)における分散剤の含有量としては、顔料に対して、1〜80質量%であることが好ましく、5〜70質量%がより好ましく、10〜60質量%が更に好ましい。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料に対して、5〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲がより好ましい。
また、顔料誘導体を使用する場合であれば、その使用量としては、顔料に対し1〜30質量%の範囲にあることが好ましく、3〜20質量%の範囲にあることがより好ましく、5〜15質量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0094】
光重合性組成物(1)において、着色剤としての顔料と分散剤とを用いる場合、硬化感度、色濃度の観点から、着色剤及び分散剤の含有量の総和が、光重合性組成物を構成する全固形分に対して30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
【0095】
光重合性組成物(1)は、更に、必要に応じて、以下に詳述する任意成分を更に含有してもよい。
以下、光重合性組成物(1)が含有しうる任意成分について説明する。
【0096】
〔(1)−(E)増感剤〕
光重合性組成物(1)は、ラジカル開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、前記した(A)新規オキシム化合物に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0097】
光重合性組成物(1)に用いられる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ、300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
即ち、例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
【0098】
光重合性組成物(1)における増感剤として、より好ましい例としては、特開2008−214395号公報の段落番号〔0085〕〜〔0098〕に記載された化合物を挙げることができる。
【0099】
〔(1)−(F)共増感剤〕
光重合性組成物(1)は、更に(F)共増感剤を含有することも好ましい。
本発明において共増感剤は、(A)新規オキシム化合物や(E)増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは、酸素による(B)重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
【0100】
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0101】
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0102】
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)等が挙げられる。
【0103】
これら共増感剤の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、光重合性組成物(1)の全固形分の質量に対し、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜25質量%の範囲がより好ましく、1.5〜20質量%の範囲が更に好ましい。
【0104】
また、光重合性組成物(1)は、共増感剤として、チオール化合物を含有することが好ましい。
光重合性組成物(1)に含有しうるチオール化合物としては、下記一般式(IV)で表される化合物が好ましい。
【0105】
【化58】

【0106】
上記一般式(IV)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、又は−N(R43)−を表し、R43は、水素原子炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜13のアリール基を表す。R41及びR42は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、アセチル基、又はカルボキシル基を表し、また、R41、R42及びこれらが結合している二重結合を併せてベンゼン環を形成してもよく、R41及びR42が結合している二重結合は、水素添加されていてもよい。
【0107】
これらチオール化合物のPGMEA溶媒に対する溶解度は、塗膜均一性の観点から20g/L以上であることが好ましく、より好ましくは20g/L以上〜50g/L以下であり、更に好ましくは20g/L以上〜40g/L以下である。
【0108】
−溶解度測定方法−
本明細書において、チオール化合物の溶解度は、以下のように定義する
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶媒5mLに特定チオール化合物を加え、25℃で1時間攪拌したときに完全に溶けうる特定チオール化合物の最大量を溶解度とした。
【0109】
これらのチオール化合物は、J.Appl.Chem.,34、2203−2207(1961)に記載の方法で合成することができる。
【0110】
チオール化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
チオール化合物を併用する場合、前記した一般式のいずれかで表される化合物のみを2種以上併用してもよいし、異なる一般式で表される化合物を併用してもよい(例えば、一般式(VI)で表される化合物から選択される化合物と、一般式(VII)で表される化合物から選択される化合物とを併用する態様がある。)。
【0111】
光重合性組成物(1)がチオール化合物を含有する場合、その含有量としては、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、光重合性組成物の全固形分の質量に対し、0.5〜30質量%の範囲が好ましく、1〜25質量%の範囲がより好ましく、3〜20質量%の範囲が更に好ましい。
【0112】
〔(1)−(G)バインダーポリマー〕
光重合性組成物(1)においては、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを使用することができる。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0113】
光重合性組成物(1)で使用しうるバインダーポリマーの重量平均分子量としては、好ましくは5、000以上であり、更に好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2、000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0114】
本発明で用いうるバインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
光重合性組成物(1)において用いうるバインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
【0115】
〔(1)−(H)重合禁止剤〕
光重合性組成物(1)においては、光重合性組成物の製造中或いは保存中において、(B)重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
【0116】
熱重合防止剤の添加量は、光重合性組成物(1)の全固形分に対し約0.01〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5〜約10質量%が好ましい。
【0117】
〔(1)−(I)密着向上剤〕
光重合性組成物(1)においては、支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
【0118】
シラン系カップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
【0119】
密着向上剤の添加量は、光重合性組成物(1)の全固形分中0.5〜30質量%が好ましく、0.7〜20質量%がより好ましい。
【0120】
〔(1)−(J)希釈剤〕
光重合性組成物(1)は、希釈剤として、種々の有機溶剤を用いてもよい。
ここで使用する有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。有機溶剤に対する固形分の濃度は、2〜60質量%であることが好ましい。
【0121】
〔(1)−(K)その他の添加剤〕
更に、光重合性組成物(1)に対しては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、重合性化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
【0122】
以上、本発明の光重合性組成物(1)は、(A)特定の2種の光重合開始剤を含むことから、高感度で硬化し、かつ、塗布面状性も良好であり、硬化膜の膜厚均一性に優れる。また、光重合性組成物(1)を硬質材料表面に適用して硬化させた場合には、開始剤(1)の特性に起因して、該表面に対して高い密着性を示す。
このような光重合性組成物(1)は、(A)特定の2種の光重合開始剤、(B)重合性化合物、及び(C)着色剤を含有させてカラーフィルタ用光重合性組成物(本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物)として用いることが好ましい。
【0123】
−光重合性組成物(2)−
〔(2)−(A)光重合開始剤〕
光重合性組成物(2)が含有する光重合開始剤は、既述のように(A)特定の2種の光重合開始剤を組み合わせて用いるものである。
光重合性組成物(2)における開始剤(1)と開始剤(2)との好ましい含有比率は、既述のように、 90 : 10 〜 10 : 90 の範囲であり、該2種の光重合開始剤の総含有量は、該組成物の全固形分に対し0.5〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、1.5〜30質量%が更に好ましい。
【0124】
光重合性組成物(2)においても、本発明の効果を損なわない範囲において、前記開始剤(1)及び(2)以外の他の公知の重合開始剤を併用してもよい。
他の重合開始剤としては、例えば、(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。より具体的には、例えば、特開2006−78749号公報の段落番号[0081]〜[0139]、等に記載される重合開始剤が挙げられる。
【0125】
〔(2)−(B)重合性化合物〕
光重合性組成物(2)が含有する(B)重合性化合物としては、光重合性組成物(1)にて既述した付加重合性化合物が挙げられる。
【0126】
これらの、付加重合性化合物について、どのような構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と、強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましくない場合がある。
【0127】
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させることがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。感光層中の付加重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感材成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。
【0128】
これらの観点から、付加重合性化合物の含有量は、光重合性組成物(2)の全固形分に対して5〜80質量%が好ましく、より好ましくは25〜75質量%である。
また、これらの付加重合性化合物は、単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
【0129】
〔(2)−(C)バインダーポリマー〕
光重合性組成物(2)は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。バインダーポリマーは、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することがすることができる。
【0130】
バインダーポリマーとしては、線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」は特に限定的ではなく、いずれを使用してもよい。好ましくは水現像又は弱アルカリ水現像を可能とする、水又は弱アルカリ水可溶性又は膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、光重合性組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水又は有機溶剤現像剤の仕様に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられる。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体が挙げられる。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0131】
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0132】
アミド結合又はウレタン結合を有するバインダーポリマーを含有してもよい。ここで、アミド結合又はウレタン結合を有するバインダーポリマーとしては、アミド結合又はウレタン結合を有する線状有機高分子重合体であることが好ましい。このような「アミド結合又はウレタン結合を有する線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とする水或いは弱アルカリ水可溶性又は膨潤性であるアミド結合又はウレタン結合を有する線状有機高分子重合体が選択される。アミド結合又はウレタン結合を有する線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このようなアミド結合又はウレタン結合を有する線状有機高分子重合体として、たとえば特開平11−171907号公報記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度とを併せもち好適である。
【0133】
また、特公平7−120040号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号各公報、特願平10−116232号明細書等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。また、特開平11−171907号記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度をあわせもち、好適である。
【0134】
更にこの他に、水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0135】
バインダーポリマーは、光重合性組成物(2)中に任意な量で混和させることができる。画像強度等の点からは、感光層を構成する全固形分に対して、好ましくは30〜85質量%の範囲である。また、前記付加重合性化合物とバインダーポリマーとは、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。
【0136】
また、好ましい実施様態において、バインダーポリマーは実質的に水不要でアルカリに可溶なものが用いられる。これにより、現像液として環境上好ましくない有機溶剤を用いないか若しくは非常に少ない使用量に制限できる。この様な使用法においてはバインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり、好ましい分子量は3000から50万の範囲である。より好ましくは、酸価が0.6〜2.0、分子量が1万から30万の範囲である。
【0137】
〔(2)−(D)増感剤〕
光重合性組成物(2)は、(A)新規オキシム化合物等の重合開始剤とともに増感剤を含有することが好ましい。本発明において用いうる増感剤としては、分光増感色素、光源の光を吸収して重合開始剤と相互作用する染料又は顔料などが挙げられる。
【0138】
好ましい分光増感色素又は染料としては、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体(例えば、下記化合物)、アントラキノン類、例えば(アントラキノン)スクアリウム類、例えば(スクアリウム)等が挙げられる。
【0139】
【化64】

【0140】
より好ましい分光増感色素又は染料の例としては、例えば、例えば、特開2006−78749号公報の段落番号[0144]〜[0202]、等に記載されるものが挙げられる。
【0141】
また、光重合性組成物(2)に適用しうる増感剤としては、光重合性組成物(1)の説明において既述したものも挙げられる。
【0142】
増感剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。光重合性組成物(2)中の全重合開始剤と増感色素のモル比は100:0〜1:99であり、より好ましくは90:10〜10:90であり、最も好ましくは80:20〜20:80である。
【0143】
〔(2)−(E)共増感剤〕
光重合性組成物(2)には、感度を一層向上させる、或いは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えてもよい。
【0144】
共増感剤の例としては、硬光重合性組成物(1)の説明において既述したものも挙げられる。また、これらの他、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等も挙げられる。
【0145】
共増感剤を使用する場合には、光重合性組成物(2)に含有される重合開始剤の総量1質量部に対して、0.01〜50質量部使用するのが適当である。
【0146】
〔(2)−(F)重合禁止剤〕
光重合性組成物(2)は、該組成物の製造中或いは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
【0147】
熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
【0148】
〔(2)−(G)着色剤等〕
更に、感光層の着色を目的として、染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料及び顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
【0149】
〔(2)−(H)その他の添加剤〕
更に、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
【0150】
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
【0151】
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
【0152】
<カラーフィルタ及びその製造方法>
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
【0153】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を塗布して着色光重合性組成物層を形成する工程(以下、適宜「着色光重合性組成物層形成工程」と略称する。)と、前記着色光重合性組成物層をマスクを介して露光する工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の前記光重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)と、を含むことを特徴とする。
【0154】
具体的には、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を、直接又は他の層を介して支持体(基板)上に塗布して、光重合性組成物層を形成し(着色光重合性組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、各色(3色或いは4色)の画素からなるパターン状皮膜を形成し、本発明のカラーフィルタを製造することができる。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法における各工程について説明する。
【0155】
〔着色光重合性組成物層形成工程〕
着色光重合性組成物層形成工程では、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を塗布して着色光重合性組成物層を形成する。
【0156】
本工程に用いうる支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0157】
支持体上への本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
【0158】
カラーフィルタ用光重合性組成物の塗布膜厚としては、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、カラーフィルタ用光重合性組成物の塗布膜厚としては、解像度と現像性の観点から、0.35μm〜1.5μmが好ましく、0.40μm〜1.0μmがより好ましい。
【0159】
支持体上に塗布されたカラーフィルタ用光重合性組成物は、通常、70℃〜110℃で2分〜4分程度の条件下で乾燥され、着色光重合性組成物層が形成される。
【0160】
〔露光工程〕
露光工程では、前記着色光重合性組成物層形成工程において形成された着色光重合性組成物層をマスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、高圧水銀灯がより好まれる。照射強度は5mJ/cm〜1500mJ/cmが好ましく10mJ/cm〜1000mJ/cmがより好ましく、10mJ/cm〜800mJ/cmが最も好ましい。
【0161】
〔現像工程〕
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
【0162】
現像液に用いるアルカリとしては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7− ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0163】
なお、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、上述した、光重合性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0164】
以上説明した、着色光重合性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
【0165】
ここで、本発明のカラーフィルタの製造方法として、カラーフィルタの着色パターンを形成する際に本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を用いる態様を中心に説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物は、カラーフィルタを構成する着色パターン(画素)を隔離するブラックマトリックスの形成にも適用することができる。
また、本発明のカラーフィルタの製造方法における着色光重合性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)は、基板上のブラックマトリックスの形成する際にも適用される。具体的には、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色着色剤を含有する本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を用い、上述のように、着色光重合性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を行うことにより、基板上にはブラックマトリクス(黒色パターン)を形成することができる。
【0166】
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を用いているため、形成された着色パターンが支持体基板との高い密着性を示し、硬化した組成物は耐現像性に優れるため、露光感度に優れ、露光部の基板との密着性が良好であり、かつ、所望の断面形状を与える高解像度のパターンを形成することができる。従って、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。つまり、本発明のカラーフィルタは、固体撮像素子に適用されることが好ましい。
本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【0167】
<平版印刷版原版>
続いて、本発明の平版印刷版原版について説明する。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に本発明の光重合性組成物を含む感光層を有することを特徴とする。
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて、保護層、中間層等の他の層を有してもよい。本発明の平版印刷版原版は、感光層に本発明の光重合性組成物を含むことにより、感度が高く、経時安定性及び耐刷性に優れる。以下、本発明の平版印刷版原版を構成する各要素について説明する。
【0168】
〔感光層〕
感光層は、本発明の光重合性組成物を含む層である。具体的には、本発明の光重合性組成物の好適な態様の一つである前記光重合性組成物(2)を、感光層形成用の組成物(以下、適宜、「感光層用組成物」と称する。)として用い、該組成物を含む塗布液を支持体上に塗布、乾燥して感光層を形成することができる。
【0169】
感光層用組成物を支持体上に塗布する際には、該組成物に含有させる各成分を、種々の有機溶剤に溶かして使用する。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
【0170】
感光層の支持体被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の主要な目的である走査露光用平版印刷版としては、その被覆量は乾燥後の質量で0.1g/m〜10g/mの範囲が適当である。より好ましくは0.5g/m〜5g/mである。
【0171】
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版における支持体としては、表面が親水性の支持体が好ましい。親水性の支持体としては、平版印刷版に使用される従来公知の親水性支持体を制限なく使用することができる。
【0172】
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度に優れた表面を提供できるアルミニウム板は特に好ましい。また、特公昭48−18327号に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
これら支持体の表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
【0173】
本発明において支持体として用いられるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0174】
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、粗面化(砂目立て)処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、或いは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
【0175】
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂やシリケートにより親水化処理を細超してもよい。
親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる光重合性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
【0176】
〔保護層〕
本発明の平版印刷版原版においては、感光層上に、更に、保護層を有することが好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や、塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。
【0177】
〔他の層〕
その他、感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための層を設けることを可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物、等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗り層により、密着性が向上し、耐刷性を高めることが可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗り層により、非画像部の現像性が向上し、耐汚れ性の向上が可能となる。
【0178】
〔製版〕
平版印刷版原版は、通常、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、感光層の画像が形成されて、平版印刷版が得られる。
【0179】
本発明の平版印刷版原版に適用しうる露光方法は、公知の方法を制限なく用いることができる。望ましい、光源の波長は350nmから450nmであり、具体的にはInGaN系半導体レーザーが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。また、感光層成分は、高い水溶性のものを使用することで、中性の水や弱アルカリ水に可溶とすることもできるが、このような構成の平版印刷版は印刷機上に装填後、機上で露光−現像といった方式を行うこともできる。
【0180】
350〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
【0181】
ガスレーザーとして、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザー系として、KNbOリング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザーとしてNレーザー(337nm、パルス0.1mJ〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10mJ〜250mJ)、等が挙げられる。
【0182】
特にこれらの中で、AlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
【0183】
また、走査露光方式の平版印刷版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中でパルスレーザー以外のもの全てを利用することができる。現実的には感材感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
【0184】
・内面ドラム方式でガスレーザー或いは固体レーザー光源を1つ使用するシングルビーム露光装置
・フラットベッド方式で半導体レーザーを多数(10個以上)使用したマルチビームの露光装置
・外面ドラム方式で半導体レーザーを多数(10個以上)使用したマルチビームの露光装置
【0185】
また、その他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
【0186】
その他、平版印刷版原版の製版プロセスにおいては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱してもよい。このような加熱により、感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や、感度の安定化といった利点が生じ得る。更に、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱若しくは、全面露光を行うことも有効である。通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。150℃以下であると、非画像部にかぶりの問題が生じない。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。200℃以上であると十分な画像強化作用が得られ、500℃以下の場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題が生じない。
このようにして本発明の平版印刷版原版より得られた平版印刷版は、画像部の面状性と強度に優れ、高画質の印刷物を多数枚印刷しうる耐刷性に優れた平版印刷版である。
【実施例】
【0187】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0188】
まず、下記表1及び表2に、実施例及び比較例に用いる重合開始剤(化合物1−1〜化合物2−3)の詳細を示す。
【0189】
【化65】

【0190】
【化66】

【0191】
上記化合物1−1を以下に示す方法で合成した。
(合成例1:オキシム化合物1−1の合成)
まず、下記のスキームで化合物Aを合成する。
エチルカルバゾール(100.0g、0.512mol)をクロロベンゼン260mlに溶解し、0℃に冷却後、塩化アルミニウム(70.3g、0.527mol)を加える。続いて、o−トリルクロリド(81.5g、0.527mol)を40分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌する。次に、0℃に冷却後、塩化アルミニウム(75.1g、0.563mol)を加える。4−クロロブチリルクロリド(79.4g、0.563mol)を40分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌する。35質量%塩酸水溶液156mlと蒸留水392mlとの混合溶液を0℃に冷却し、反応溶液を滴下する。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水とメタノールで洗浄し、アセトニトリルで再結晶後、下記構造の化合物A(収量164.4g、収率77%)を得た。
【0192】
【化67】

【0193】
次に、化合物Aを用いて下記のスキームで化合物Bを合成する。
化合物A(20.0g、47.9mmol)をTHF64mlに溶解し、4−クロロベンゼンチオール(7.27g、50.2mmol)とヨウ化ナトリウム(0.7g、4.79mmol)を加える。続いて反応液に水酸化ナトリウム(2.0g、50.2mmol)を加え、2時間還流する。次に、0℃に冷却後、SM−28(11.1g、57.4mmol)を20分かけて滴下し、室温に昇温して2時間攪拌する。次に、0℃に冷却後、亜硝酸イソペンチル(6.73g、57.4mmol)を20分かけて滴下し、室温に昇温して3時間攪拌する。反応液をアセトン120mlに希釈し、0℃に冷却した0.1N塩酸水溶液に滴下する。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水で洗浄した。続いて、アセトニトリルで再結晶し、下記構造の化合物B(収量17.0g、収率64%)を得た。
【0194】
【化68】

【0195】
続いて、化合物Bを用いて下記のスキームで化合物1−1を合成する。
化合物B(18.0g、32.4mmol)を90mlのN−メチルピロリドンに溶解し、トリエチルアミン(3.94g、38.9mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(3.05g、38.9mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌する。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥後、下記構造の化合物1(収量19.5g、収率99%)を得た。
【0196】
【化69】

【0197】
得られた化合物1−1の構造はNMRにて同定した。
H−NMR 400MHz CDCl):8.86(s,1H),8.60(s,1H),8.31(d,1H,J=8.0Hz),8.81(d,1H,J=8.0Hz),7.51−7.24(m.10H),7.36(q,2H,7.4Hz),3.24−3.13(m,4H),2.36(s,3H),2.21(s,3H),1.50(t,3H,7.4Hz).
【0198】
他のオキシム化合物(重合開始剤)も同様にして合成される。また、化合物2−1は、チバスペシャルティケミカルズ社製、イルガキュア OXE 01として、化合物2−2は、同イルガキュア OXE 02として、それぞれ入手可能である。また、化合物2−3は、特開2006−36750公報に記載の方法により合成した。
【0199】
[実施例1−1]
<光重合性組成物A−1の調製>
下記光重合性組成物A−1の処方を均一に混合し、カラーフィルタ用の光重合性組成物A−1を調製した。
1−1.顔料分散液(P1)の調製
顔料としてC.I.ピグメント グリーン36とC.I.ピグメント イエロー219との30/70(質量比)混合物40質量部、分散剤としてBYK2001(Disperbyk :ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)10質量部(固形分換算約4.51質量部)、及び溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル150質量部からなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散液(P1)を調製した。
【0200】
得られた顔料分散液(P1)について、顔料の平均粒径を動的光散乱法により測定したところ、200nmであった。
【0201】
1−2.着色光重合性組成物A−1(塗布液)の調製
下記組成A−1の成分を混合して溶解し着色光重合性組成物A−1を調製した。
【0202】
<組成A−1>
・顔料分散液(P1) 600質量部
・アルカリ可溶性樹脂 200質量部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、mol比:80/10/10、Mw:10000)
・多官能性単量体ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 60質量部
・オキシム化合物1−1〔開始剤(1)〕 55質量部
・オキシム化合物1−2〔開始剤(2)〕 5質量部
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 1000質量部
・界面活性剤(商品名:テトラニック150R1、BASF社) 1質量部
・γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 5質量部
【0203】
[実施例1−2〜実施例1−19、比較例1−1〜比較例1−7]
実施例1−1において、用いる開始剤を下記表1及び表2に示す化合物及び添加量にそれぞれ換えた他は、実施例1−1と全く同一の操作で光重合性組成物1−2〜1−19及び比較例1−1〜比較例1−7をそれぞれ調製した。
【0204】
[実施例1−20〜実施例1−25]
実施例1−1において、用いる開始剤を下記表2に示す化合物及び添加量にそれぞれ換え、さらに、表2に示す増感剤及び共増感剤を加えた他は、実施例1−1と全く同一の操作で光重合性組成物1−20〜1−24をそれぞれ調製した。また、実施例1−25では、さらに第3の重合開始剤として、化合物1−3を20質量部加えた。
なお、下記表2に記載の増感剤及び共増感剤は以下に示すとおりである。
増感剤A1 :4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン
増感剤A2 :ジエチルチオキサントン
共増感剤C1:2−メルカプトベンズイミダゾール
共増感剤C2:2−メルカプトベンズチアゾール
共増感剤C3:N−フェニル−2−メルカプトベンズイミダゾール
【0205】
【表1】

【0206】
【表2】

【0207】
前記カラーフィルタ形成用光重合性組成物A−1を用いてカラーフィルタを作製した。
〔2.カラーフィルタの作製〕
2−1.光重合性組成物層の形成
上記により得られた顔料を含有する光重合性組成物A−1をレジスト溶液として、550mm×650mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、10分間そのままの状態に保持し、真空乾燥とプレベーク(prebake)(100℃80秒)を施して光重合性組成物塗膜(光重合性組成物層)を形成した。
【0208】
(スリット塗布条件)
塗布ヘッド先端の開口部の間隙:50μm
塗布速度:100mm/秒
基板と塗布ヘッドとのクリヤランス:150μm
塗布厚(乾燥厚):2μm
塗布温度:23℃
【0209】
2−2.露光、現像
その後、2.5kWの超高圧水銀灯を用いて、光重合性組成物層をパターン状に露光した。露光後の光重合性組成物層の全面を、無機系現像液(商品名:CD、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の10%水溶液で被い、60秒間静止した。
【0210】
2−3.加熱処理
その後、光重合性組成物層上に純水をシャワー状に噴射して現像液を洗い流し、次いで、220℃のオーブンにて1時間加熱した(ポストベーク)。これにより、ガラス基板上に着色パターンを有するカラーフィルタを得た。
【0211】
〔3.性能評価〕
着色光重合性組成物の保存安定性及び露光感度、着色光重合性組成物を用いてガラス基板上に着色パターンを形成した際の現像性、得られた着色パターンの加熱経時での着色、基板密着性、及びパターン断面形状について、下記のようにして評価した。評価結果はまとめて下記表1及び表2に併記する。
【0212】
3−1.着色光重合性組成物の保存安定性
着色光重合性組成物を室温で1ケ月保存した後、異物の析出度合いを下記判定基準に従って目視により評価した。
−判定基準−
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
【0213】
3−2.着色光重合性組成物の露光感度
着色光重合性組成物を、ガラス基板上にスピンコート塗布後、乾燥して膜厚1.0μmの塗膜を形成した。スピンコート条件は、300rpmで5秒の後、800rpmで20秒とし、乾燥条件は100℃で80秒とした。次に、得られた塗膜を、線幅2.0μmのテスト用のフォトマスクを用い、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)により、10mJ/cm〜1600mJ/cmの種々の露光量で露光した。次に、1%に希釈したCDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)現像液を使用して、露光後の塗膜を、25℃、60秒間の条件で現像した。その後、流水で20秒間リンスした後、スプレー乾燥しパターニングを完了した。
露光感度の評価は、露光工程において光が照射された領域の現像後の膜厚が、露光前の膜厚100%に対して95%以上であった最小の露光量を露光感度として評価した。露光感度の値が小さいほど感度が高いことを示す。
【0214】
3−3.現像性、パターン断面形状、基板密着性
「2−3.加熱処理」においてポストベークを行った後の基板表面及び断面形状を、光学顕微鏡及びSEM写真観察により通常の方法で確認することにより、現像性、基板密着性、及びパターン断面形状の評価を行った。評価方法の詳細は以下の通りである。
【0215】
<現像性>
露光工程において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を観察し、現像性を評価した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
×:未露光部に、残渣が著しく確認された
【0216】
<強制加熱経時での着色評価>
露光、及び現像後の光重合性組成物層(着色パターン)を、ホットプレートで200℃、1時間加熱し、下記基準に基づいて加熱前後の色差ΔEabを、大塚電子(株)製MCPD−3000で評価した。
−評価基準−
○:ΔEab≦5
△:5<ΔEab<8
×:ΔEab≧8
【0217】
<基板密着性>
基板密着性は、パターン欠損が発生しているか否かを観察し、下記基準に基づいて評価した。
−評価基準−
○:パターン欠損がまったく観察されなかった
△:パターン欠損がほとんど観察されなかったが、一部分欠損が観察された
×:パターン欠損が著しく多く観察された
【0218】
<パターン断面形状>
形成されたパターンの断面形状を観察して評価した。パターンの断面形状は順テーパーが最も好ましく、矩形が次に好ましい。逆テーパーは好ましくない。
<表面平滑性>
スリット間隔100μm、塗布有効幅500mmのスリットヘッドを備えたスリット塗布装置を用いて、スリット塗布適性の評価を行った。通常の方法で10枚ガラス基板(幅550mm、長さ650mm、厚み0.7mm)上に塗布した後に、前記スリットヘッドを空中に5分間待機させ、強制乾燥させた。待機後3秒間ダミーデイスペンスし、そのままガラス基板に断続で10枚スリット塗布した。ポストベーク後の塗膜厚が2μmとなるようにスリットとガラス基板間の間隔を調節して、塗布速度100mm/秒で硬化性組成物を塗布した。塗布後、ホットプレートで、90℃、60秒間プリベークした後、塗布面のスジ状のムラの本数をナトリウム光源を用いて目視にてカウントし、以下の基準で評価した。
−評価基準−
○:塗布面にスジ状のムラが全くないもの
△:スジ状のムラが1〜5本観察されたもの
×:スジ状のムラが6本以上観察されたもの
【0219】
前記表1〜表2の結果から、本発明のカラーフィルタ用着色光重合性組成物は、保存安定性(経時安定性)に優れたものであることが判る。また、これらの着色光重合性組成物は比較例に比べて露光感度がより改良され、カラーフィルタの着色パターンを形成に用いた際の現像性が良好であり、得られた着色パターンの加熱経時での着色がなく、また、形成された着色パターンの基板密着性、パターン断面形状を維持しつつ、着色パターンの表面平滑性がより優れていることが判る。
【0220】
[実施例2−1〜2−10、比較例2−1〜2−4]
〔1.平版印刷版の作製〕
<支持体の作製>
厚さ0.30mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で、水洗後、20%HNOで中和洗浄、水洗した。このアルミニウム板を、VA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で300クーロン/dmの陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ0.45μm(Ra表示)であった。ひき続いて、アルミニウム板を30%のHSO水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、33℃、20%HSO水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度5A/dmにおいて50秒間陽極酸化したところ、厚さが2.7g/mであった。
以上のようにして、平版印刷版原版用の支持体を得た。
【0221】
<感光層の形成>
得られた支持体上に、下記組成の感光層用塗布液を、乾燥塗布量が1.4g/mとなるように塗布し、95℃で乾燥し、感光層を形成した。
【0222】
−感光層用塗布液組成−
・重合性化合物(下記表3、4に記載の化合物) 0.80質量部
・バインダーポリマー(下記表3、4に記載の化合物) 0.90質量部
・増感剤(下記表3,4に記載の化合物) 添加なし、又は0.10質量部
・開始剤(1)(下記表3,4に記載の化合物) (下記表3,4に記載の量)
・開始剤(2)(下記表3,4に記載の化合物) (下記表3,4に記載の量)
・共増感剤(下記表3,4に記載の化合物) 添加なし、又は0.25質量部
・フッ素系界面活性剤 0.02質量部
(メガファックF−177:大日本インキ化学工業(株)製)
・熱重合禁止剤 0.03質量部
(N−ニトロソヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・ε型の銅フタロシアニン分散物 0.2質量部
・メチルエチルケトン 16.0質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 16.0質量部
【0223】
<保護層の形成>
得られた感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/mとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥して保護層を形成した。
【0224】
以上のようにして、実施例の平版印刷版原版及び比較例の平版印刷版原版を得た。
【0225】
〔2.平版印刷版の製版〕
<製版>
平版印刷版原版に対して、以下の露光・現像処理を行った。
【0226】
(露光)
平版印刷版原版を、波長405nmのバイオレットLD(FFEI社製バイオレットボクサー)で50μJ/cmの露光量で、4000dpiにて175線/インチの条件でベタ画像と1〜99%の網点画像(1%刻み)を走査露光した。
【0227】
(現像)
下記現像液1及びフィニッシングガム液「FP−2W」(富士フイルム(株)製)を仕込んだ自動現像機(富士フイルム製LP−850P2)で標準処理を行った。プレヒートの条件は版面到達温度が100℃、現像液温は30℃、現像液への浸漬時間は約15秒であった。
【0228】
現像液1は下記組成よりなり、pHは25℃で11.5であり、導電率は5mS/cmであった。
【0229】
−現像液1の組成−
・水酸化カリウム 0.15g
・ポリオキシエチレンフェニルエーテル(n=13) 5.0g
・キレスト400(キレート剤) 0.1g
・水 94.75g
【0230】
[3.性能評価]
平版印刷版原版の感度、保存安定性について、下記の方法で評価した。結果を表3及び表4にまとめて併記する。
【0231】
(3−1.感度の評価)
平版印刷版原版を、上記の条件で露光し、その直後に上記の条件にて現像して画像形成を行い、その際の50%網点の面積%を網点面積測定器(グレタグーマクベス)で測定した。数字が大きいほど感度が高いことを示す。
【0232】
(3−2.画像部耐刷性試験)
印刷機として、ローランド社製「R201」を使用し、インキとして大日本インキ化学工業(株)製の「GEOS−G(N)」を使用して、平版印刷版原版を用い印刷を行った。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって耐刷性を調べた。数字が多いほど耐刷性がよいことを示す。
【0233】
(3−3.保存安定性(強制経時変化量)の評価)
平版印刷版原版の各々を、合紙とともにアルミクラフト紙で密閉し、60℃で4日放置したものを用いた以外は、感度評価時とすべて同じ方法で網点面積測定を行った。次に、60℃、4日放置有りの網点面積と60℃、4日放置無しの網点面積との差を取り、強制経時による網点変動(Δ%)を測定した。この数字の絶対値が小さいほど強制経時による影響が少ないこと、すなわち経時安定性が高いことを示す。
【0234】
(3−4.表面平滑性の評価)
スリット間隔100μm、塗布有効幅500mmのスリットヘッドを備えたスリット塗布装置を用いて、スリット塗布適性の評価を行った。通常の方法で10枚アルミニウム基板(幅550mm、長さ650mm、厚み0.3mm)上に塗布した後に、前記スリットヘッドを空中に5分間待機させ、強制乾燥させた。待機後3秒間ダミーデイスペンスし、そのままアルミニウム基板に断続で10枚スリット塗布した。ポストベーク後の塗膜厚が2μmとなるようにスリットとアルミニウム基板間の間隔を調節して、塗布速度100mm/秒で硬化性組成物を塗布した。塗布後、ホットプレートで、90℃、60秒間プリベークした後、塗布面のスジ状のムラの本数を、ナトリウム光源を用いて目視にてカウントし、以下の基準で評価した。
−評価基準−
○:塗布面にスジ状のムラが全くないもの
△:スジ状のムラが1〜5本観察されたもの
×:スジ状のムラが6本以上観察されたもの
【0235】
【表3】

【0236】
【表4】

【0237】
前記表3、表4に記載の、重合性化合物M、N、O、及び、バインダーポリマーB1、B2の構造を以下に示す。
【0238】
【化70】

【0239】
上記表3、表4から明らかなように、本発明の光重合性組成物を感光層に含有する実施例2−1〜2−10の平版印刷版原版は、高感度でパターン形成可能であり、経時安定性が良好であり、且つ、塗膜の平滑性、及び耐刷性が比較例にくらべてより改良されていることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される光重合開始剤、下記一般式(2)で表される光重合開始剤、とを含有する光重合性組成物。
【化1】


〔上記一般式(1)中、B、R及びXは、各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。
上記一般式(2)中、B、及び、Xは、各々独立に一価の置換基を表す。Yは、重合開始能を有する部分構造を含む一価の置換基を表す。mは0〜5の整数である。〕

【請求項2】
前記一般式(2)で表される光重合開始が下記一般式(3)で表される化合物である請求項1に記載の光重合性組成物。
【化2】

〔上記一般式(3)中、B、R2、及びZは、各々独立に一価の置換基を表す。mは0〜5の整数である。〕
【請求項3】
前記一般式(3)で表される光重合開始が下記一般式(4)で表される化合物である請求項2に記載の光重合性組成物。
【化3】

〔上記一般式(4)中、B、R及びXは、各々独立に一価の置換基を表し、Eは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。mは0〜5の整数である。〕
【請求項4】
さらに、(B)重合性化合物を含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光重性組成物。
【請求項5】
さらに、(C)着色剤を含有する請求項4に記載の光重合性組成物。
【請求項6】
前記(C)着色剤が顔料であり、且つ、(D)顔料分散剤を更に含有する請求項5に記載の光重合性組成物。
【請求項7】
請求項5又は請求項6のいずれか1項に記載の光重合性組成物を含有するカラーフィルタ用光重合性組成物。
【請求項8】
支持体上に、請求項7に記載のカラーフィルタ用光重合性組成物を用いてなる着色パターンを有するカラーフィルタ。
【請求項9】
支持体上に、請求項7に記載のカラーフィルタ用光重合性組成物を塗布して光重合性組成物層を形成する工程と、
前記光重合性組成物層をパターン露光する工程と、
露光後の前記光重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、
を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
【請求項11】
支持体上に、請求項4に記載の光重合性組成物を含む感光層を有することを特徴とする平版印刷版原版。

【公開番号】特開2010−204213(P2010−204213A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47299(P2009−47299)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】