説明

光量検出装置および撮像装置

【課題】異なる照度の光を照射することなく、光量検出装置の動作検査を的確に行うことができる技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、モニタセンサMSaによる受光量の積分に応じて変化する信号を出力するバッファBFa2と、バッファBFa2から出力される信号と基準値Vrefとを比較し、比較結果の信号を出力するンパレータCPaと、ンパレータCPaから出力される比較結果の信号と同じ信号を生成するダミーコンパレータ信号生成部TG3aと、制御信号に応じてンパレータCPaの出力とダミーコンパレータ信号生成部TG3aの出力との切り換えを行うスイッチSWaと、スイッチSWaを介して送られる信号に基づき受光量の積分の終了を示す信号を生成する積分信号生成部TG1aとを有する光量検出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光量検出装置および撮像装置に関し、詳しくは、受光量を積分して一定の受光量の検出を行う光量検出装置およびこの光量検出装置を自動焦点合わせ用センサの光量検出に用いる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズの自動焦点合わせ機能であるオートフォーカス(AF)に用いられる自動焦点合わせ用センサでは、複数のCCDリニアセンサ(以下、「AFセンサ」と言う。)を備えている。これら複数のAFセンサは、積分制御によって一定の出力電圧で光量の積分を終了する機能が設けられている。積分制御は、複数のAFセンサについて同時に受光量の積分を開始、その後、AFセンサ毎の照度状態によって一定の出力電圧で積分終了する(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
通常、複数のAFセンサに入射される光の量は各々異なるため、各AFセンサごとに積分終了タイミングが異なる。そのため、複数AFセンサのそれぞれの積分終了タイミングとその順序情報を通知する機能を持っている。
【0004】
このようなAF用CCDリニアセンサによる積分制御では、各AFセンサの光量の積分を検出するため、AFセンサの近傍にモニタ用センサが設けられている。したがって、AFセンサへの光量の積分は、その近傍に設けられたモニタ用センサの光量の積分と等価であるとして光量検出を行っている。
【0005】
複数のAFセンサについて積分制御では、各モニタ用センサによる光量検出が正確に行われる必要がある。AF用CCDリニアセンサの製造では、各モニタ用センサによる光量検出の通知(自動積分終了タイミング)が正常に機能しているか、例えばウェハ上に形成された複数のAF用CCDリニアセンサについてパッケージ化前に検査する必要がある。
【0006】
【特許文献1】特許第3581031号明細書
【特許文献2】特開2001−305422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、各モニタ用センサによる自動積分終了タイミング通知が正確に行われているか否か、また、各モニタ用センサから出力される自動積分終了タイミングの順序情報が正確であるか否かを検査するには、次のような問題がある。すなわち、検査の際に、各モニタ用センサに対しての故意に自動積分終了タイミングが異なる状態をつくることが困難である。具体的には、例えば3つのモニタ用センサがある場合、その3つのモニタ用センサ毎に照度が異なる状態を作る必要がある。例えば、第1のモニタ用センサには10ルクス、第2のモニタ用センサには20ルクス、第3のモニタ用センサには30ルクスというように、モニタ用センサの位置に応じて異なる照度の光を照射しなければならない。このように、同一チップ上で照度を可変にするのは非常に難しい技術を要する。
【0008】
本発明は、異なる照度の光を照射することなく、光量検出装置の動作検査を的確に行うことができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、受光素子による受光量の積分に応じて変化する信号を出力する積分検出部と、積分検出部から出力される信号と基準値とを比較し、比較結果の信号を出力する比較部と、比較部から出力される比較結果の信号と同じ信号を生成する疑似信号生成部と、制御信号に応じて比較部の出力と疑似信号生成部の出力との切り換えを行う切り換え部と、切り換え部を介して送られる信号に基づき受光量の積分の終了を示す信号を生成する積分信号生成部とを有する光量検出装置である。
【0010】
このような本発明では、積分検出部から出力される信号と基準値との比較を比較部で行い、この比較結果の信号を出力する。一方、疑似信号生成部では、比較部から出力される比較結果の信号と同じ信号を生成する。この比較部からの信号と疑似信号生成部からの信号とを切り換え部で切り換えるため、積分検出部からの出力を比較部で得て基準値と比較する動作を行うことなく、比較結果と等価な信号を後段の積分信号生成部に送ることができる。
【0011】
また、積分検出部、比較部、疑似信号生成部、切り換え部、積分信号生成部を有する光量検出回路群が複数設けられている場合、制御信号生成部によって生成した各制御信号によって切り換え部より後段の回路の動作検査を行うことができる。すなわち、各光量検出回路群についての各制御信号を予め設定された順番で送ると、この順番で各切り換え部が順に動作し、比較結果と同じ擬似的な信号が各積分信号生成部に順に送られることになる。
【0012】
ここで、制御信号は、切り換え部より後段の回路の動作確認を行うための信号である。本発明は、この制御信号によって切り換え部を制御し、積分信号生成部から出力される信号のタイミングを保持する積分信号保持部を備えるものでもある。
【0013】
また、本発明は、レンズの焦点を自動調整する際に用いる自動焦点合わせ用センサと、自動焦点合わせ用センサの近傍での受光量を検出する光量検出部とを有し、光量検出部として、受光素子による受光量の積分に応じて変化する信号を出力する積分検出部と、積分検出部から出力される信号と基準値とを比較し、比較結果の信号を出力する比較部と、比較部から出力される比較結果の信号と同じ信号を生成する疑似信号生成部と、制御信号に応じて比較部の出力と疑似信号生成部の出力との切り換えを行う切り換え部と、切り換え部を介して送られる信号に基づき受光量の積分の終了を示す信号を生成し、当該信号によって自動焦点合わせセンサの動作を制御する積分信号生成部とを有する撮像装置である。
【0014】
このような本発明では、光量検出部の積分検出部から出力される信号と基準値との比較を比較部で行い、この比較結果の信号を出力することで、自動焦点合わせ用センサの積分制御を行う。一方、疑似信号生成部では、比較部から出力される比較結果の信号と同じ信号を生成する。この比較部からの信号と疑似信号生成部からの信号とを切り換え部で切り換えるため、積分検出部からの出力を比較部で得て基準値と比較する動作を行うことなく、比較結果と等価な信号を後段の積分信号生成部に送り、動作確認を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光量の積分制御を行う回路において、積分検出部に実際に光を照射することなく、光量検出装置の動作検査を的確に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.<光量検出装置>
2.<自動積分終了タイミング通知機能>
3.<自動積分終了順序情報通知機能>
4.<自動積分終了制御>
5.<撮像装置>
6.<実施形態の効果>
【0017】
<1.光量検出装置>
[回路構成]
図1は、本実施形態に係る光量検出装置の回路構成の一例を示す図である。本実施形態に係る光量検出装置は、主としてAFセンサにおける積分制御で受光量を検出する部分に適用される。光量検出部は、モニタセンサ(受光素子)MSa、MSb、MSc、バッファ(積分検出部)BFa2、BFb2、BFc2、コンパレータCPa、CPb、CPc(比較部)、ダミーコンパレータ信号生成部(疑似信号生成部)TG3a、TG3b、TG3c、スイッチ(切り換え部)SWa、SWb、SWcおよび積分信号生成部TG1a、TG1b、TG1cを備えている。
【0018】
本実施形態では、モニタセンサ、バッファ、コンパレータ、ダミーコンパレータ信号生成部、スイッチおよび積分信号生成部の各1つから成る光量検出回路群が3つ設けられている。なお、光量検出回路群は2つでも、また3つより多く設けられていてもよい。本実施形態では説明を分かりやすくするため、3つの光量検出回路群が設けられている場合を例とする。
【0019】
[光量検出回路群の構成]
上記のように、本実施形態では3つの光量検出回路群が設けられている。各光量検出回路群とも同じ構成のため、ここでは代表して1つの光量検出回路群の構成(モニタセンサMSa、バッファBFa2、コンパレータCPa、ダミーコンパレータ信号生成部TG3a、スイッチSWaおよび積分信号生成部TG1a)について説明する。
【0020】
モニタセンサMSaはAFセンサSaの近傍に配置され、受光量に応じた電荷を蓄積し、出力線が後段のバッファBFa2に接続されている。バッファBFa2は、モニタセンサMSaから出力された信号の積分に応じて変化する信号を出力する。バッファBFa2は、モニタセンサMSaから信号が出力され、これを受けると、信号を受けている時間に応じて変化する信号を出力する。本実施形態では、モニタセンサMSaから出力される信号を受けている時間に応じて出力値が低下する信号を出力する。バッファBFa2の出力線はコンパレータCPaの一方の入力に接続されている。
【0021】
コンパレータCPaの他方の入力には予め設定された基準値Vrefが入力されている。この基準値Vrefは、モニタセンサMSaの受光量の積分が一定値になることを判定するための値である。すなわち、モニタセンサMSaの受光量に応じてバッファBFa2の出力値が低下し、この出力値が基準値Vrefを超えた段階でコンパレータCPaの出力が反転するようになっている。これにより、モニタセンサMSaの受光量の積分が基準値Vrefに応じた一定値になった段階で反転する出力を得ることになる。コンパレータCPaの出力は、後述するスイッチSWaの一方の切り換え端に接続されている。
【0022】
ダミーコンパレータ信号生成部TG3aは、コンパレータCPaから出力される比較結果の信号と同じ信号(ダミー信号)を生成するタイミングジェネレータである。本実施形態では、コンパレータCPaによってバッファ出力が基準値Vrefを超えた際に出力される信号と同じ信号となるダミー信号を生成する。ダミーコンパレータ信号生成部TG3aの出力は、後述するスイッチSWaの他方の切り換え端に接続されている。
【0023】
スイッチSWaは、所定の制御信号に応じてコンパレータCPaの出力a2と、ダミーコンパレータ信号生成部TG3aの出力a5とを切り換える部分である。また、スイッチSWaの共通端a3は積分信号生成部TG1aに接続されている。スイッチSWaに入力される制御信号としては、通常の受光における積分制御を行うための信号と、スイッチSWaより後段の回路(例えば、積分信号生成部TG1a)の動作を検査するための信号とがある。
【0024】
通常の受光における積分制御を行うための信号がスイッチSWaに入力されると、スイッチSWaはコンパレータCPaの出力a2が接続される切り換え端に接続される。一方、後段の回路の動作を検査するための信号がスイッチSWaに入力されると、スイッチSWaはダミーコンパレータ信号生成部TG3aの出力a5が接続される切り換え端に接続される。
【0025】
積分信号生成部TG1aは、スイッチSWaの共通端a3から送られる信号に基づきモニタセンサMSaの受光量の積分の終了を示す信号を生成するタイミングジェネレータである。すなわち、スイッチSWaを介して送られるコンパレータCPaからの出力信号もしくはダミーコンパレータ信号生成部TG3aからの出力信号によって、モニタセンサMSaの受光量の積分の終了を示す信号を出力する。積分信号生成部TG1aの出力は、積分信号保持部TG6に接続されている。
【0026】
積分信号保持部TG6には、3つの光量検出回路群における各積分信号生成部TG1a、TG1b、TG1cからの信号が送られる。すなわち、積分信号保持部TG6は、各光量検出回路群の積分信号生成部G1a、TG1b、TG1cで生成した積分の終了を示す信号のタイミングを保持する。積分信号保持部TG6は、保持した各光量検出回路群の信号のタイミングに応じてデジタル信号の出力を行うタイミングジェネレータである。
【0027】
上記構成のほか、本実施形態の光量検出装置には、デコーダDCD、スイッチパルス生成部TG4、TG5が設けられている。デコーダDCDは各部に送る制御信号を生成する。制御信号は外部からのデジタル信号(制御コード)の入力に応じて生成される。デコーダDCDから出力される制御信号は、各ダミーコンパレータ信号生成部TG3a、TG3b、TG3c、スイッチパルス生成部TG4、TG5に送られる。
【0028】
スイッチパルス生成部TG4は、デコーダDCDから送られた制御信号に応じて各光量検出回路群のスイッチSWa、SWb、SWcへ送る切り換えのための信号を生成するタイミングジェネレータである。また、スイッチパルス生成部TG5は、デコーダDCDから送られる制御信号に応じてスイッチSWdへ送る切り換えのための信号を生成するタイミングジェネレータである。ここで、スイッチSWdは、複数のAFセンサSa、Sb、Scからの出力を切り換えるものである。
【0029】
[制御コード]
デコーダDCDにはCLK、STB、SD1、SD2が入力され、このうちSD1、SD2に制御コードが入力される。ここで、CLKはクロック、STBは制御コードラッチ信号である。図2は、制御コードの入力タイミングを説明する図である。デコーダには、STB、SD1、SD2の3つの信号によって、4ビット(D1〜D4)の制御コードが入力される。すなわち、STBがHighからLowとなるタイミングにおいてSD1のコードをD1、SD2のコードをD2と定義する。また、STBがLowからHighとなるタイミングにおいてSD1のコードをD3、SD2のコードをD4と定義する。これにより、D1〜D4の4ビットの制御コードをデコーダに入力する。
【0030】
図3は、制御コードの例を示す図である。本実施形態では、D1〜D4の4ビットにおけるNo.1〜No.11まで制御コードに応じた機能が定義されている。デコーダに制御コードが入力されることで、その制御コードに定義された機能を発揮させるための制御信号がデコーダで生成され、各部へ送られることになる。
【0031】
<2.自動積分終了タイミング通知機能>
自動積分終了タイミング通知機能は、積分信号保持部から出力されるデジタル信号DO1、DO2によって表される。すなわち、各モニタセンサによる受光量の積分が一定値に達した際のタイミングを通知する機能であり、積分信号保持部で保持した各信号のタイミングに応じて出力される。この通知によって、各光量検出回路群における積分信号生成部の動作タイミングを検証することになる。
【0032】
図4は、自動積分終了タイミング通知機能を説明するタイミングチャートである。先ず、先に説明した制御コードの自動積分開始命令によって3つのモニタセンサの全てが受光を開始し、積分開始となる。
【0033】
この積分開始とともに、DO2がHighからLowとなり、積分開始状態にあることを通知する。そして、積分開始から一定クロック(例えば、32クロック)刻みでいずれかのモニタセンサによる受光量の積分が一定値に達して積分を終了したかを監視する。
【0034】
いずれかのモニタセンサによる積分が終了した場合は、その次の一定クロック(例えば、32クロック)分でDO1が所定クロック(例えば、16クロック)分立ち下がり、積分終了のタイミングを通知する。
【0035】
図4の例では、先ずモニタセンサMSaの積分終了により64(32×2)クロック目で一回目の通知となっている。また、モニタセンサMSbの積分終了により160(32×5)クロック目で2回目の通知となっている。また、モニタセンサMScの積分終了で256(32×8)クロック目で3回目の通知となっている。
【0036】
全てのモニタセンサの積分が完了した場合は、その最後のDO1立ち上がりのタイミングでDO2も同時に立ち上がり、全モニタセンサの積分が終了したことを通知する。
【0037】
<3.自動積分終了順序情報通知機能>
自動積分終了順序情報通知機能は、積分信号保持部から出力されるデジタル信号DO1、DO2によって表される。すなわち、各モニタセンサによる受光量の積分が一定値に達した際の順序を通知する奇異能であり、積分信号保持部で保持した各信号のタイミングに応じて出力される。この通知によって、各光量検出回路群における積分信号生成部の動作順序を検証することになる。
【0038】
図5は、自動積分終了順序情報通知機能を説明するタイミングチャートである。先ず、先に説明した制御コードの積分終了順序情報読出し命令により、積分終了順序情報が通知される。
【0039】
すなわち、積分終了順序情報読出し命令の制御コードがデコーダに入力されると、これに応じた制御信号が積分信号保持部に送られる。積分信号保持部はこの制御信号を受けると、DO1端子より6つのパルスを出力する。
【0040】
ここで、1、2番目のパルスはモニタセンサMSaの情報用、3、4番目のパルスはモニタセンサMSbの情報用、5、6番目のパルスはモニタセンサMScの情報用である。DO2は、DO1の6つのパルスに合わせて、終了順序コードを出力する。
【0041】
図6は終了順序コードの例を示す図である。終了順序コードの例に示すDO2の出力(1)、(2)は、それぞれ図5に示すタイミングチャートのDO1パルスに応じて出力される(1)、(2)と対応している。つまり、DO2の(1)、(2)の信号によって、積分終了した順番が示される。
【0042】
例えば、1番目の積分終了がモニタセンサMSa、2番目の積分終了がモニタセンサMSb、3番目の積分終了がモニタセンサMScである場合、DO2のコードは「0,0」(モニタセンサMSaの情報)、「1,0」(モニタセンサMSbの情報)、「0,1」(モニタセンサMScの情報)と出力される。
【0043】
<4.自動積分終了制御>
[通常時の制御]
図7は、通常時(通常撮影時)におけるAFセンサの自動積分終了制御を説明するタイミングチャートである。以下、タイミング順に説明する。なお、以下の説明で図7に示されない符号は図1を参照するものとする。
【0044】
1.リセット命令
モニタセンサによる受光の積分開始の前に、論理回路を初期化する。制御信号は、4つのデジタル入力CLK、STB、SD1、SD2によって行われる(図2の制御コード入力例、図3の制御コード一覧参照)。CLKは各タイミングジェネレータTGおよびデコーダ用の基本クロックである。
【0045】
図2にあるようにSTB、SD1、SD2の3つのパルスのタイミング組み合わせにより、4ビットの制御コードを定義する。「リセット」命令は、図3に示すNo.1、D1:0、D2:0、D3:0、D4:0で入力できる。
【0046】
2.ダミーコンパレータ信号切替スイッチOFF命令
モニタセンサMSa、MSb、MScの出力に応じ、自動積分制御する通常自動積分終了モードの設定を行う。制御コードはデコーダDCDで変換され、スイッチパルス生成部TG4にてスイッチ制御信号(d2)がLowとなり、スイッチSWa、SWb、SWcはコンパレータCPa、CPb、CPc側に接続される。
【0047】
3.自動積分開始命令
全モニタセンサ同時に積分開始を行う。
【0048】
4.積分開始
自動積分開始命令は、デコーダDCDで変換され、モニタセンサMSa、MSb、MScの積分開始を制御する積分信号生成部(モニタセンサMSa用は積分信号生成部TG1a、モニタセンサMSb用は積分信号生成部TG1b、モニタセンサMSc用は積分信号生成部TG1c)に信号が送られる。ここで、積分開始パルスが生成される。その信号によりAFセンサSa、Sb、Scが積分を開始する。モニタセンサMSa、MSb、MScもそれと同時に積分を開始する。また、DO2も立ち下り、積分が開始したことを通知する。
【0049】
5.モニタセンサMSa自動積分終了
自動積分終了はモニタセンサMSaの出力(a1)をコンパレータCPaで監視し、ある一定の電圧(Vref)以上の出力になるとコンパレータCPaの出力(a2)が反転することで通知される。その出力(a2)は積分信号生成部TG1の入力端(a3)に入力され、AFセンサSaの積分終了パルスを生成する。
【0050】
なお、本実施形態では、モニタセンサMSa、MSb、MScのうち、モニタセンサMSaに最も多い光量が照射され、モニタセンサMSbに中程度の光量が照射され、モニタセンサMScに最も少ない光量が照射されているものとする。したがって、一番多くの光量が照射されているモニタセンサMSaが最初に積分終了することになる。
【0051】
6.一つ目のモニタセンサの自動積分終了タイミング通知
モニタセンサMSaが自動積分終了をした情報は積分信号生成部TG1aの出力(a4)として、積分信号保持部TG6に入力される。積分信号保持部TG6では、その信号により自動積分終了が行われたタイミングとしてDO1にパルスを送る。これらの動作により、一つ目の自動積分終了タイミングが通知される。
【0052】
7.モニタセンサMSb自動積分終了
中程度の光量が照射されているモニタセンサMSbが、5.と同様に自動積分終了する。
【0053】
8.二つ目のセンサ自動積分終了タイミング通知
モニタセンサMSbの自動積分終了により、6.と同様に二つ目の自動積分終了タイミングが通知される。
【0054】
9.モニタセンサMSc自動積分終了
最も少ない光量が照射されているモニタセンサMScが、5.と同様に自動積分終了する。
【0055】
10.三つ目のセンサ自動積分終了タイミング通知
モニタセンサMScの自動積分終了により、6.と同様に三つ目の自動積分終了タイミングが通知される。
【0056】
11.自動積分終了タイミング通知完了
モニタセンサMScの自動積分終了により3つ全ての積分が終了する。これにより、最後のDO1の立ち上がり位相と同じ位相でDO2が立ち上がる。そして、全モニタセンサの積分が終了したことを通知する。
【0057】
12.積分終了順序情報読出し命令
積分終了順序情報読出し命令に対応した制御コードがデコーダDCDで変換され、積分信号保持部TG6により積分終了順序情報がDO1、DO2より通知される。
【0058】
13.モニタセンサMSa終了順序情報通知
積分終了順序情報読出し命令により通知されるDO1の一番目、二番目のパルスがモニタセンサMSaの終了順序情報の通知タイミングとなる。図6に示す順序コード一覧にあるように、DO1一番目のDO2の値が「0」、二番目の値が「0」となり、モニタセンサMSaの終了順序が一番目であることが通知される。
【0059】
14.モニタセンサMSb終了順序情報通知
積分終了順序情報読出し命令により通知されるDO1の三番目、四番目のパルスがモニタセンサMSbの終了順序情報の通知タイミングとなる。図6に示す順序コード一覧にあるように、DO1三番目のDO2の値が「1」、四番目の値が「0」となり、モニタセンサMSbの終了順序が二番目であることが通知される。
【0060】
15.モニタセンサMSc終了順序情報通知
積分終了順序情報読出し命令により通知されるDO1の五番目、六番目のパルスがモニタセンサMScの終了順序情報の通知タイミングとなる。図6に示す順序コード一覧にあるように、DO1五番目のDO2の値が「0」、六番目の値が「1」となり、モニタセンサMScの終了順序が三番目であることが通知される。
【0061】
[検査時の制御]
図8は、検査時におけるAFセンサの自動積分終了制御を説明するタイミングチャートである。以下、タイミング順に説明する。なお、以下の説明で図8に示されない符号は図1を参照するものとする。
【0062】
1.リセット命令
モニタセンサによる受光の積分開始の前に、論理回路を初期化する。制御信号は、4つのデジタル入力CLK、STB、SD1、SD2によって行われる(図2の制御コード入力例、図3の制御コード一覧参照)。CLKは各タイミングジェネレータTGおよびデコーダ用の基本クロックである。
【0063】
図2にあるようにSTB、SD1、SD2の3つのパルスのタイミング組み合わせにより、4ビットの制御コードを定義する。「リセット」命令は、図3に示すNo.1、D1:0、D2:0、D3:0、D4:0で入力できる。
【0064】
2.ダミーコンパレータ信号切替スイッチON命令
コンパレータ出力をモニタセンサ出力に応じた信号ではなく、制御コードにより外部から直接コンパレータ出力を制御できるモードに設定する。制御コードはデコーダDCDで変換され、スイッチパルス生成部TG4にてスイッチ制御信号(d2)がHighとなり、スイッチSWa、SWb、SWcがダミーコンパレータ信号生成部TG3a、TG3b、TG3c側に接続される。
【0065】
3.自動積分開始命令
全モニタセンサ同時に積分開始を行う。
【0066】
4.積分開始
通常の自動積分終了制御と同様に、積分が開始される。
【0067】
5.モニタセンサMSa強制積分終了命令
モニタセンサMSaの強制積分終了命令はデコーダで変換され、ダミーコンパレータ信号生成部TG3aよりダミーのコンパレータ信号(a5)が生成される。リセット命令によりダミーコンパレータ信号生成部TG3aの出力a5はHighに初期化されているが、この命令により、Lowに立ち下げられる。次に、スイッチSWaはダミーコンパレータ信号生成部TG3a側に設定されているため、その信号は積分信号生成部TG1aの入力端子(a3)へと入力される。このように、モニタセンサMSaの積分終了が外部より強制的に制御される。
【0068】
6.一つ目のセンサ自動積分終了通知
積分信号生成部TG1aの出力(a4)が積分信号保持部TG6に入力されることにより、一つ目のモニタセンサ自動積分終了が通知される。
【0069】
7.モニタセンサMSb強制積分終了命令
モニタセンサMSbが5.と同様、強制積分終了される。
【0070】
8.二つ目のセンサ自動積分終了通知
モニタセンサMSbの強制積分終了により、6.と同様二つ目のセンサ自動積分終了が通知される。
【0071】
9.モニタセンサMSc強制積分終了命令
モニタセンサMScが5.と同様、強制積分終了される。
【0072】
10.二つ目のセンサ自動積分終了通知
モニタセンサMScの強制積分終了により、6.と同様三つ目のセンサ自動積分終了が通知される。
【0073】
11.自動積分終了タイミング通知完了
モニタセンサMScの積分終了により3つ全ての積分が終了する。これにより、全モニタセンサMSa、MSb、MScの積分が終了したことを通知する。
【0074】
12.積分終了順序情報読出し命令、13.モニタセンサMSa終了順序情報通知、14.モニタセンサMSb終了順序情報通知、15.モニタセンサMSc終了順序情報通知は、通常の自動積分終了制御同様に通知される。
【0075】
上記のように、通常動作時は各センサへの光量に応じて積分終了し、順序が決まる。一方、コンパレータより後段の回路の動作検査を行う場合には、各コンパレータ信号を外部より強制的に制御できる制御コードとタイミングジェネレータTGを設けることにより、光量に関わらず積分終了タイミングを自由に設定することができる。
【0076】
自動積分終了タイミング通知は積分信号保持部TG6に保持されている。したがって、積分信号保持部TG6から出力されるDO1、DO2を参照することで、スイッチSWa、SWb、SWcより後段の回路の動作を検査できる。すなわち、DO1、DO2による各積分終了タイミング通知が、デコーダDCDよりダミーコンパレータ信号生成部TG3a、TG3b、TG3cに送った制御信号のタイミングと合致していれば、スイッチSWa、SWb、SWcより後段の回路が正常に動作していることが分かる。一方、DO1、DO2による各積分終了タイミング通知が、デコーダDCDよりダミーコンパレータ信号生成部TG3a、TG3b、TG3cに送った制御信号のタイミングと合致していなければ、スイッチSWa、SWb、SWcより後段の回路が正常に動作していないことが分かる。
【0077】
<5.撮像装置>
図9は、本実施形態に係る光量検出装置を適用した撮像装置の一例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。このデジタルスチルカメラは、大別して被写体を撮像素子に結像させるためのレンズ部1、結像された画像を電気信号に変換する撮像素子10、電気信号をデジタル信号に変換するフロントエンド部2、画像信号の信号処理を行う信号処理部3、CPU4、ROM5、RAM6、そしてレンズ部1内のフォーカスレンズ駆動機構11を駆動させる駆動回路7から構成されている。
【0078】
レンズ部1には、フォーカスレンズFLおよびこれを駆動するフォーカスレンズ駆動機構11が設けられている。駆動回路7からフォーカスレンズ駆動機構11へは、CPU4からの指示による信号が与えられ、フォーカスレンズFLを光軸方向に沿って移動させることによって画像を撮像素子10の受光面に合焦させる。この合焦を行うにあたり、本実施形態の光量検出装置を自動焦点合わせ用センサ100として適用している。
【0079】
合焦を行う際には、先に説明した通常時の自動積分終了制御が行われる。すなわち、一対のAFセンサに入射する映像のずれを検出して、このずれ幅をなくすよう演算してフォーカスレンズFLを駆動するものである。この際、AFセンサの近傍に設けられたモニタセンサによって自動積分終了制御を行う。
【0080】
図10は、本実施形態の光量検出装置が組み込まれた自動焦点合わせ用センサの外観斜視図である。図1に示すAFセンサや光量検出のモニタセンサ、各種タイミングジェネレータ、デコーダ等は自動焦点合わせ用センサ100のパッケージ101内に組み込まれている。AFセンサやモニタセンサの上には透光性を有するカバー102が設けられており、このカバー102を介して光が入射する。
【0081】
図11は、自動焦点合わせ用センサにおけるAFセンサのレイアウトの一例を示す模式平面図である。自動焦点合わせ用センサ100のパッケージ101の周辺には電源や接地、各種信号の入出力を行う端子が設けられている。また、カバー102の下方には、複数のAFセンサが所定のレイアウトで配置されている。図11に示す例では、符号A〜Lに示す12個のAFセンサが十字ならびにその周囲を囲むレイアウトで配置されている。この12個のAFセンサのうち、A−B、C−D、E−F、G−H、I−J、K−Lが各々対となっており、対を構成する2つのAFセンサに入射される映像のずれを検出して合焦を制御する。
【0082】
図12は、AFセンサおよびモニタセンサのレイアウトの一例を示す図である。この例では、対となるAFセンサA−BのうちAFセンサAの近傍にモニタセンサM1が設けられている。また、対となるAFセンサC−DのうちAFセンサCの近傍にモニタセンサM2が設けられている。また、対となるAFセンサE−FのうちAFセンサEの近傍にモニタセンサM3が設けられている。また、対となるAFセンサG−HのうちAFセンサGの近傍にモニタセンサM4が設けられている。また、対となるAFセンサI−JのうちAFセンサIの近傍にモニタセンサM5が設けられている。また、対となるAFセンサK−LのうちAFセンサKの近傍にモニタセンサM6が設けられている。
【0083】
これらのモニタセンサM1〜M6によってAFセンサの自動積分終了制御を行うことになる。つまり、図1に示すモニタセンサの1つが図12に示すモニタセンサの1つに対応し、図12に示す例では図1に示すモニタセンサおよび光量検出回路群を6つにした構成となっている。
【0084】
なお、AFセンサおよびモニタセンサの数や配置は図11〜図12に示す数や配置に限定されず、種々の形態をとることができる。
【0085】
<6.実施形態の効果>
本実施形態によれば、同一チップ上で照度を可変にすることなく、複数のモニタセンサに対して一様な光を照射する選別機でも、ダミーコンパレータ信号を外部より制御し、自動積分終了タイミング通知および終了順序通知機能の確認をすることが可能となる。また、本実施形態の光量検出装置を自動焦点合わせ用センサに適用し、撮像装置に組み込んだ場合、撮像装置への組み込み後でも複数のモニタセンサおよび後段の回路の動作を検査できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態に係る光量検出装置の回路構成の一例を示す図である。
【図2】制御コードの入力タイミングを説明する図である。
【図3】制御コードの例を示す図である。
【図4】自動積分終了タイミング通知機能を説明するタイミングチャートである。
【図5】自動積分終了順序情報通知機能を説明するタイミングチャートである。
【図6】終了順序コードの例を示す図である。
【図7】通常時(通常撮影時)におけるAFセンサの自動積分終了制御を説明するタイミングチャートである。
【図8】検査時におけるAFセンサの自動積分終了制御を説明するタイミングチャートである。
【図9】本実施形態に係る光量検出装置を適用した撮像装置の一例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。
【図10】本実施形態の光量検出装置が組み込まれた自動焦点合わせ用センサの外観斜視図である。
【図11】自動焦点合わせ用センサにおけるAFセンサのレイアウトの一例を示す模式平面図である。
【図12】AFセンサおよびモニタセンサのレイアウトの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
MSa、MSb、MSc…モニタセンサ、BFa2、BFb2、BFc2…バッファ、CPa、CPb、CPc…コンパレータ、TG3a、TG3b、TG3c…ダミーコンパレータ信号生成部、SWa、SWb、SWc…スイッチ、TG1a、TG1b、TG1c…積分信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子による受光量の積分に応じて変化する信号を出力する積分検出部と、
前記積分検出部から出力される信号と基準値とを比較し、比較結果の信号を出力する比較部と、
前記比較部から出力される比較結果の信号と同じ信号を生成する疑似信号生成部と、
制御信号に応じて前記比較部の出力と前記疑似信号生成部の出力との切り換えを行う切り換え部と、
前記切り換え部を介して送られる信号に基づき前記受光量の積分の終了を示す信号を生成する積分信号生成部と
を有する光量検出装置。
【請求項2】
前記積分検出部、前記比較部、前記疑似信号生成部、前記切り換え部、前記積分信号生成部を有する光量検出回路群が複数設けられ、
各光量検出回路群についての各制御信号を予め設定された順番で生成する制御信号生成部を有する
請求項1記載の光量検出装置。
【請求項3】
前記積分信号生成部から出力される信号のタイミングを保持する積分信号保持部を有する
請求項1または2記載の光量検出装置。
【請求項4】
前記制御信号は、前記切り換え部より後段の回路の動作確認を行うための信号である
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の光量検出装置。
【請求項5】
レンズの焦点を自動調整する際に用いる自動焦点合わせ用センサと、
前記自動焦点合わせ用センサの近傍での受光量を検出する光量検出部とを有し、
前記光量検出部として、
受光素子による受光量の積分に応じて変化する信号を出力する積分検出部と、
前記積分検出部から出力される信号と基準値とを比較し、比較結果の信号を出力する比較部と、
前記比較部から出力される比較結果の信号と同じ信号を生成する疑似信号生成部と、
制御信号に応じて前記比較部の出力と前記疑似信号生成部の出力との切り換えを行う切り換え部と、
前記切り換え部を介して送られる信号に基づき前記受光量の積分の終了を示す信号を生成し、当該信号によって前記自動焦点合わせセンサの動作を制御する積分信号生成部と
を有する撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−66033(P2010−66033A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230495(P2008−230495)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】