説明

光LAN装置

【課題】 光送出部が点灯状態で維持される故障がスレーブノードで発生した場合において、その故障に起因するネットワークのダウンを抑制する。
【解決手段】 リング型光LAN装置は、光ファイバケーブルによって相互に接続されたマスタノードと複数のスレーブノードとを備える。スレーブノードの各々をバイパスする光バイパス伝送路が、スレーブノードにそれぞれ対応して設けられる。各スレーブノードは、ネットワーク上に送出すべき光信号を生成すべく点滅制御されるE/O変換器23と、そのE/O変換器23が点灯状態で維持される故障がスレーブノードで発生したとき、同E/O変換器23を消灯状態に強制的に切り換える光遮断回路60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを形成するように光ファイバケーブルによって相互に接続されたマスタノードと複数のスレーブノードとを備える光LAN装置に関し、特にはスレーブノードの故障に起因するネットワークのダウンを抑制するための技術にする。
【背景技術】
【0002】
一般的なリング型光LAN装置は、ネットワークを形成するように光ファイバケーブルによって相互に接続されたマスタノードと複数のスレーブノードとを備えている。このリング型光LAN装置では、マスタノードからネットワーク上に送出された光信号が、全てのスレーブノードを巡回してからマスタノードに戻る。そのため、スレーブノードが一つでも故障すると、故障したスレーブノードの次のスレーブノードに光信号が受け渡されず、結果的にネットワーク全体がダウンする。
【0003】
上記問題を解消するため、特許文献1には、複数のスレーブノードのうちの一部が故障した場合にも、ネットワーク全体をダウンさせないようにする技術が開示されている。すなわち、この特許文献1では、光バイパス伝送路がスレーブノードの各々に対応して設けられている。各光バイパス伝送路の上流端には光分岐器が接続されており、各光バイパス伝送路の下流端には光結合器が接続されている。光分岐器は、ネットワーク上の光信号を、対応する光バイパス伝送路へ向かう光信号と、対応するスレーブノードへ向かう光信号とに分岐させる。光結合器は、対応する光バイパス伝送路から受け取った光信号と、対応するスレーブノードから受け取った光信号とを一つの光信号に結合する。
【0004】
何れかのスレーブノードが故障した場合、マスタノードは、その故障したスレーブノードをプロトコル上においてネットワークから切り離す。また、マスタノードからネットワーク上に送出された光信号は、故障したスレーブノードに対応する光バイパス伝送路を通じて次のスレーブノードに送られる。よって、スレーブノードの故障に起因するネットワークのダウンが防止される。
【特許文献1】特開平11−313098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記各スレーブノードは光送出部を有し、その光送出部はネットワーク上に送出すべき光信号を生成すべく点滅制御される。上記特許文献1において、光送出部が消灯状態で維持される故障がスレーブノードで発生した場合には、その故障したスレーブノードは、光信号をオフ状態で維持する、すなわち光信号をネットワーク上へ送出することが不能になる。この場合、前記光結合器は、光バイパス伝送路から受け取った正常な光信号をそのまま次のスレーブノードに送出するだけである。よって、故障したスレーブノード以降のスレーブノード並びにマスタノードは、故障したスレーブノードの影響を受けることなく、ネットワーク上の光信号から必要な情報を読み取ることができる。
【0006】
一方、光送出部が点灯状態で維持される故障がスレーブノードで発生した場合には、その故障したスレーブノードは、オン状態で維持された光信号を継続的に送出し続ける。この場合、前記光結合器では、光バイパス伝送路から受け取った正常な光信号に対して、故障したスレーブノードから送出されるオン状態で維持された光信号が重ね合わされる。よって、光結合器からは、単にオン状態で維持された光信号が次のスレーブノードに向けて送出され続ける。そのため、故障したスレーブノード以降のスレーブノード並びにマスタノードは、ネットワーク上の光信号から必要な情報を読み取ることができず、結果的にネットワークのダウンを招く。
【0007】
本発明の目的は、光送出部が点灯状態で維持される故障がスレーブノードで発生した場合において、その故障に起因するネットワークのダウンを抑制することのできる光LAN装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本願発明は、ネットワークを形成するように光ファイバケーブルによって相互に接続されたマスタノードと複数のスレーブノードとを備え、前記ネットワークには、スレーブノードの各々をバイパスする光バイパス伝送路がスレーブノードにそれぞれ対応して設けられる光LAN装置を提供する。前記各スレーブノードは、ネットワーク上に送出すべき光信号を生成すべく点滅制御される光送出部と、前記光送出部が点灯状態で維持される故障がスレーブノードで発生したとき、同光送出部を消灯状態に強制的に切り換える光遮断回路とを備える。
【0009】
好適な例では、前記光送出部は、発光素子と、その発光素子を駆動するスイッチング素子とを含み、スイッチング素子がオンされたときに発光素子が点灯し、スイッチング素子がオフされたときに発光素子が消灯する。前記光遮断回路は、前記スイッチング素子がオン状態で維持される故障がスレーブノードで発生したとき、スイッチング素子を強制的にオン状態からオフ状態に切り換える。
【0010】
さらに、前記スレーブノードは、前記スイッチング素子を制御すべく同スイッチング素子に駆動信号を出力するコントローラを有する。前記光遮断回路は、前記スイッチング素子をオン状態で維持させる駆動信号が出力され続ける故障が前記コントローラで発生した場合、コントローラから出力される駆動信号を無効化する。
【0011】
また、前記スイッチング素子は入力端子を備えた第1スイッチング素子であり、前記スレーブノードは、前記光信号に対応した電圧信号を前記第1スイッチング素子の入力端子に供給するコントローラを備える。第1スイッチング素子は、入力された電圧信号によってオンされたときに、その電圧信号のレベルに応じた電圧信号を出力する。前記光遮断回路は、平滑回路、比較回路及び第2スイッチング素子を含む。前記平滑回路は、前記第1スイッチング素子からの出力電圧信号のレベルを平滑化する。前記比較回路は、前記平滑回路からの出力電圧信号のレベルを所定の基準レベルと比較して、同出力電圧信号のレベルが基準レベルより大きい場合にはオン信号を出力する。前記第2スイッチング素子は、前記比較回路から出力されるオン信号によってオン動作して、前記第1スイッチング素子の入力端子を接地させる。
【0012】
本発明ではさらに、前記マスタノードは、前記スレーブノードの各々に対応する診断指令信号を前記ネットワーク上に送出する。前記各スレーブノードは、対応する診断指令信号を前記ネットワークから受け取ったとき、診断結果情報を前記診断指令信号に付加して、その診断結果情報が付加された診断指令信号を前記マスタノードに対する返信信号として前記ネットワーク上に送出する。前記マスタノードは、前記ネットワークから受け取った前記返信信号中の診断結果情報に基づき、同返信信号に対応するスレーブノードの故障を判定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光送出部が点灯状態で維持される故障がスレーブノードで発生しても、その点灯状態を消灯状態に切り換えることによって、ネットワークのダウンを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す本実施形態の光LAN装置はリング型光LAN装置であり、車両に対して好適に適用することができる。このリング型光LAN装置は、マスタノード1と、第1〜第nスレーブノード2-1〜2-nを含む複数のスレーブノード2とを備えている。マスタノード1及びスレーブノード2は、リング型ネットワークを形成するように、光ファイバケーブル3によって相互に接続されている。
【0015】
前記マスタノード1は、例えば車両のインスツルメントパネル(図示せず)内に配置されている。マスタノード1は、マイクロコンピュータ等よりなるコントローラ(マスタコントローラ)11を備えている。マスタコントローラ11は、例えば、中央処理装置(CPU)、リードオンリメモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでいる。マスタコントローラ11には報知器としてのディスプレイ12が接続され、このディスプレイ12は車両の運転者に視認可能なようにインスツルメントパネル上に露出している。マスタコントローラ11は、スレーブノード2の各々の状態を、必要に応じてディスプレイ12上に文字や記号等で表示させる。なお、ディスプレイ12に代えて、スレーブノード2の数に対応する数の表示ランプを報知器として設けてもよい。この場合、マスタコントローラ11は、これら表示ランプを点灯或いは点滅させることにより、対応するスレーブノード2の状態を運転者に報知する。
【0016】
前記マスタコントローラ11には、光送出部として機能するE/O変換器(電気/光変換器)13及び光入力部として機能するO/E変換器(光/電気変換器)14が、それぞれ電線を介して接続されている。E/O変換器13は、マスタコントローラ11から出力される電気信号を電線を通じて受け取るとともに、受け取った電気信号を光信号に変換して、その光信号を同E/O変換器13に接続された光ファイバケーブル3上に送出する。O/E変換器14は、同O/E変換器14に接続された光ファイバケーブル3から受け取った光信号を電気信号に変換して、その電気信号を電線を通じてマスタコントローラ11に送出する。
【0017】
前記スレーブノード2は車両の各部に配置され、車載電装品である負荷装置22をそれぞれ備えている。負荷装置22は、モータやランプ等を始めとする各種の電気アクチュエータである。各スレーブノード2は、前記マスタノード1からの指令に応じて、対応する負荷装置22を駆動する。各スレーブノード2には、予め固有のアドレスが割り当てられている。
【0018】
各スレーブノード2は、マイクロコンピュータ等よりなるコントローラ(スレーブコントローラ)21を備えている。スレーブコントローラ21は、例えば、中央処理装置(CPU)、リードオンリメモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでいる。スレーブコントローラ21には、光送出部として機能するE/O変換器(電気/光変換器)23及び光入力部として機能するO/E変換器(光/電気変換器)24が、それぞれ電線を介して接続されている。E/O変換器23は、スレーブコントローラ21から出力される電気信号を電線を通じて受け取るとともに、受け取った電気信号を光信号に変換して、その光信号を同E/O変換器23に接続された光ファイバケーブル3上に送出する。O/E変換器24は、同O/E変換器24に接続された光ファイバケーブル3から受け取った光信号を電気信号に変換して、その電気信号を電線を通じてスレーブコントローラ21に送出する。
【0019】
前記負荷装置22は、ドライバ(駆動回路)25を介して対応するスレーブコントローラ21に接続されている。スレーブコントローラ21は、ドライバ25を制御することにより、対応する負荷装置22を駆動する。
【0020】
光ファイバケーブル31によって構成される光バイパス伝送路が、前記スレーブノード2の各々に対応して設けられている。光ファイバケーブル31、すなわち光バイパス伝送路31は、対応するスレーブノード2におけるO/E変換器24とE/O変換器23との間に設けられる。光バイパス伝送路31は、前記光ファイバケーブル3によって構成される光伝送路に対して、光分岐器41及び光結合器42によって接続されている。
【0021】
光分岐器41は、一つの光入力部と二つの光出力部とを有している。光分岐器41は、上流側の光伝送路から光入力部を通じて入力された一つの光信号を二つの光信号に分岐し、それら二つの光信号を、それぞれ光出力部を通じて光バイパス伝送路31及びスレーブノード2へ向けて送出する。光結合器42は、二つの光入力部と一つの光出力部とを有している。光結合器42は、光バイパス伝送路31から一方の光入力部を通じて入力された光信号と、スレーブノード2から他方の光入力部を通じて入力された光信号とを一つの光信号に結合し、その一つの光信号を、光出力部を通じて下流側の光伝送路に向けて送出する。
【0022】
上記光LAN装置においては、アクセス制御方式としてトークンパッシング方式が採用されている。マスタノード1は、信号の受け取り先となるべきスレーブノード2のアドレス情報と各種の指令情報とを含むトークン信号を、指令信号としてネットワーク上に、すなわち光ファイバケーブル3,31によって構成される光伝送路上に送出する。マスタノード1から光伝送路上に送出された指令信号は、先ず第1スレーブノード2-1で受け取られる。第1スレーブノード2-1は、指令信号中に含まれるアドレスが自身に割り当てられたアドレスと一致する場合には、同指令信号中に含まれる指令情報に従った動作を行う。また、第1スレーブノード2-1は、必要な返信情報を前記指令信号に付加して、返信情報が付加された指令信号を前記マスタノード1に対する返信信号としてネットワーク上に送出する。一方、第1スレーブノード2-1は、指令信号中に含まれるアドレスが自身に割り当てられたアドレスと異なる場合には、同指令信号をそのままネットワーク上に送出する。
【0023】
第1スレーブノード2-1からネットワーク上に送出されたトークン信号(返信信号又は指令信号)は、次に第2スレーブノード2-2で受け取られる。第2スレーブノード2-2は、受け取ったトークン信号に従い前述した第1スレーブノード2-1と同様な動作を行い、トークン信号を次のスレーブノード2に引き渡す。このようにして、マスタノード1から指令信号として送出されたトークン信号が、第1スレーブノード2-1から第nスレーブノード2-nにまで順次引き渡されていく。そして、最終段の第nスレーブノード2-nからネットワーク上に送出されたトークン信号が、マスタノード1にて返信信号として受け取られる。マスタノード1は、ネットワークから受け取った返信信号中の返信情報に基づき、同返信信号に対応するスレーブノード2の状態を把握する。
【0024】
図3(a)〜図3(c)は、マスタノード1及び複数のスレーブノード2を含むネットワーク上を巡回する前記トークン信号を例示するものである。トークン信号は、アドレスデータと、制御データと、返信データとを含む。前記アドレスデータは、トークン信号の受け取り先となるスレーブノード2のアドレスを示す情報である。前記制御データは、スレーブノード2に対する指令内容を示す情報であり、スレーブノード2の故障診断に関する指令データ(診断指令データ)や、負荷装置22の作動に関する指令データ(作動指令データ)等を含む。各スレーブノード2は、制御データによって示される指令内容に従って、自身の故障診断を行ったり、対応する負荷装置22を制御したりする。
【0025】
前記返信データは、スレーブノード2がマスタノード1から受け取った指令信号に対して付加する情報、すなわち前記返信情報であり、スレーブノード2の故障診断の結果を示すデータ(診断結果データ)や、負荷装置22の作動状態を示すデータを含む。
【0026】
マスタノード1は、前記アドレスデータと前記制御データとを含むトークン信号を、前記指令信号としてネットワーク上に送出する(図3(a)参照)。各スレーブノード2は、指令信号中に含まれるアドレスが自身に割り当てられたアドレスと一致する場合に、前記返信データを前記指令信号に付加して、同返信データが付加された指令信号を前記マスタノード1に対する返信信号としてネットワーク上に送出する(図3(b)参照)。
【0027】
前記アドレスデータ、制御データ及び返信データは、複数ビットの2値コード信号によって構成することができる。この場合、これらのデータは、光ファイバケーブル3上においてはE/O変換器13,23にて生成される光信号のオン/オフによるビット列として表される。本実施形態においては、図3(a)〜図3(c)に示すように、“0”のビットコードは、1周期分の対称方形波信号、すなわちオン信号とオフ信号との組み合わせによって構成される。“1”のビットコードは、前記対称方形波信号の1周期分の期間に相当するオン信号又はオフ信号によって構成される。複数の“0”及び“1”のビットコードがどの様な組み合わせで連続しても、光信号は短時間でオン/オフを交互に繰り返すデューティ比50%のパルス状信号となる。
【0028】
図3(a)〜図3(c)では、制御データが診断指令データであり、返信データが診断結果データである場合の例が示されている。この例では、アドレスデータが4ビットデータとして示されている。よって、アドレスデータは最大16個のアドレスを表すことができる。勿論、必要に応じてアドレスデータのビット数を変更しても構わない。
【0029】
一方、診断指令データは、所定期間のオフ信号によって構成されている。すなわち本実施形態では、スレーブノード2は、4ビットのアドレスデータに続いて所定期間の間オフで維持された光信号を受け取った場合、故障診断指令をマスタノード1から受けたと判定する。
【0030】
診断結果データ(診断結果情報)は、“1”のビットコードを表すオン信号によって構成されている。すなわち本実施形態では、スレーブノード2は、自身が正常な場合、“1”のビットコードを表すオン信号を、診断結果データとして指令信号に付加する(図3(b)参照)。
【0031】
図3(a)は、図1の光伝送路上における地点A,B,Cでの光信号を例示するものである。地点Aを通過した光信号は、光分岐器41によって二つに分岐されて、第1スレーブノード2-1に向かう光伝送路上の地点Bと光バイパス伝送路31上の地点Cとにそれぞれ至る。地点A,B,Cでの光信号は何れも同じである。地点A,B,Cでの光信号はマスタノード1から送出された故障診断用の指令信号(診断指令信号)であり、アドレスデータ及び制御データ(診断指令データ)を含むが、返信データ(診断結果データ)を含んでいない。
【0032】
図3(b)は、図1の光伝送路上における地点Dでの光信号を例示するものである。すなわち、第1スレーブノード2-1は、地点Bを通過した診断指令信号を受け取ったとき、同診断指令信号中のアドレスが自身のアドレスと一致する場合には、その診断指令信号に返信データ(診断結果データ)を付加してなる返信信号を送出する。地点Dでの光信号は、この第1スレーブノード2-1から送出された返信信号である。
【0033】
図3(c)は、図1の光伝送路上における地点Eでの光信号を例示するものである。地点C,Dをそれぞれ通過した二つの光信号は、光結合器42によって一つに結合されて、次の第2スレーブノード2-2に向かう光伝送路上の地点Eに至る。この地点Eでの光信号は、図3(a)の光信号と図3(b)の光信号とを重ね合わせたものであり、図3(b)の光信号と実質的に同一である。
【0034】
一方、第1スレーブノード2-1は、地点Bを通過した診断指令信号を受け取ったとき、同診断指令信号中のアドレスが自身のアドレスと異なる場合には、その診断指令信号をそのまま送出する。よって、この場合には、地点Dでの光信号は図3(a)の光信号と同一である。そのため、地点Eでの光信号も図3(a)の光信号と同一となる。
【0035】
前記各スレーブノード2におけるE/O変換器23は、光伝送路上に送出すべき光信号を生成すべく点滅制御される。そのようなE/O変換器23が消灯状態で維持される故障が第1スレーブノード2-1に発生したとき、地点Dには光信号が存在しない。よって、光結合器42は光バイパス伝送路31から受け取った光信号をそのまま地点Eに向けて送出するだけであり、地点Eでの光信号は図3(a)の光信号と同一となる。
【0036】
これに対して、E/O変換器23が点灯状態で維持される故障が第1スレーブノード2-1に発生したとき、E/O変換器23はオン状態で維持された光信号を継続的に送出し続ける。そのため、地点Dでの光信号が、オン状態で維持された光信号となる。このような地点Dでの光信号が、光結合器42にて光バイパス伝送路31上の光信号と重ね合わされると、地点Eでの光信号は単にオン状態で維持された光信号となってしまう。従って、故障した第1スレーブノード2-1以降のスレーブノード2並びにマスタノード1は、光伝送路上の光信号から必要な情報を読み取ることができなくなり、結果的にネットワークのダウンを招く。
【0037】
このような問題を解消するため、本実施形態の各スレーブノード2は、E/O変換器23が点灯状態で維持される故障が自身に発生したとき、同E/O変換器23を消灯状態に強制的に切り換える光遮断回路60を備えている。言い換えれば、各スレーブノード2は、E/O変換器23からオンの光信号が継続的に出力される故障が自身に発生したとき、E/O変換器23からの光信号を強制的にオフに切り換える光遮断回路60を備えている。本実施形態において、光遮断回路60は、E/O変換器23に組み込まれたハードウェア回路によって構成されている。
【0038】
図2は、各スレーブノード2におけるE/O変換器23の回路構成を示す図である。図2に示すように、前記スレーブコントローラ21は、抵抗R1を介して第1トランジスタT1のベースに接続されている。本実施形態では、第1トランジスタT1としてNPNトランジスタが使用されている。第1トランジスタT1のコレクタには発光素子としての発光ダイオードD1が接続され、その発光ダイオードD1は電源V1に接続されている。スレーブコントローラ21と抵抗R1との間には、抵抗R2を介して電源V1が接続されている。抵抗R1と第1トランジスタT1のベースとの間の接続点であるノードN1は、抵抗R3を介して接地されている。第1トランジスタT1のエミッタは、抵抗R4を介して接地されている。
【0039】
前記第1トランジスタT1は、前記発光ダイオードD1を駆動する第1スイッチング素子として機能する。第1トランジスタT1は、スレーブコントローラ21からの駆動信号S1によってオン/オフ制御され、それによって発光ダイオードD1を点灯及び消灯させる。駆動信号S1は、光伝送路上に送出すべき光信号に対応するパルス状の電圧信号であり、交互に繰り返されるHレベル信号とLレベル信号とによって構成される。第1トランジスタT1は、入力される駆動信号S1がHレベルのときにオンされ、入力される駆動信号S1がLレベルであるときにオフされる。発光ダイオードD1は、第1トランジスタT1のオンに伴い点灯し、第1トランジスタT1のオフに伴い消灯する。第1トランジスタT1のベースは、スレーブコントローラ21からの駆動信号S1が入力される入力端子として機能する。なお、前記ノードN1も、第1トランジスタT1の入力端子として見なすことができる。
【0040】
本実施形態では、駆動信号S1は、Hレベルの状態で0.7Vであり、Lレベルの状態で0Vである。また、オン状態の第1トランジスタT1は、入力される駆動信号S1のレベルに応じた電圧信号S2をエミッタから出力する。本実施形態において、電源V1の電圧を5Vとし、発光ダイオードD1の点灯時に同発光ダイオードD1にて2Vの電圧降下が生じるものとする。この場合、入力される駆動信号S1のレベルが0.7Vのときエミッタからほぼ3Vの電圧信号S2が出力され、入力される駆動信号S1のレベルが0Vのときエミッタから0Vの電圧信号S2が出力される。
【0041】
前記光遮断回路60は、平滑回路61、比較回路62、第2トランジスタT2及び抵抗R5,R6,R7を含む。平滑回路61は、ダイオードD2、コンデンサC1及び抵抗R8を含む。平滑回路61は前記電圧信号S2を平滑化する。具体的には、前記電圧信号S2が3Vであって且つデューティ比50%の方形波信号である場合には、平滑回路61はほぼ1.5Vの電圧信号S3を出力する。すなわち、電圧信号S2がHレベルとLレベルとに短時間で交互に切り替えられるパルス状信号である場合には、平滑回路61は、同電圧信号S2のHレベルとLレベルとの間の平均的なレベルの電圧信号S3を出力する。一方、平滑回路61は、電圧信号S2が0Vで維持される場合には0Vの電圧信号S3を出力し、電圧信号S2が3Vで維持される場合には3Vの電圧信号S3を出力する。
【0042】
前記比較回路62は、前記平滑回路61に接続された非反転入力端子を備えている。一方、比較回路62の反転入力端子には、電源V1の電圧を両抵抗R5,R6によって分圧することにより得られる分圧電圧が、基準信号S4として入力される。
【0043】
比較回路62の出力端子は、抵抗R7を介して接地されている。また、比較回路62の出力端子と抵抗R7との間には、前記第2トランジスタT2のベースが接続されている。本実施形態では、第2トランジスタT2としてNPNトランジスタが使用されている。第2トランジスタT2のエミッタは接地されている。第2トランジスタT2のコレクタは、前記ノードN1に接続されている。
【0044】
前記比較回路62は、前記平滑回路61から出力される電圧信号S3のレベルを、所定の基準レベル、すなわち前記基準信号S4のレベルと比較する。比較回路62は、電圧信号S3のレベルが基準信号S4のレベルより小さい場合にはLレベルの出力信号S5を出力し、電圧信号S3のレベルが基準信号S4のレベルより大きい場合にはHレベルの出力信号S5を出力する。本実施形態では、基準信号S4のレベルを2.5Vに設定している。
【0045】
前記第2トランジスタT2は第2スイッチング素子として機能し、前記比較回路62からの出力信号S5によってオン/オフ制御される。第2トランジスタT2は、Hレベルの出力信号S5が入力されたときにオンし、Lレベルの出力信号S5が入力されたときにオフする。すなわち、Hレベルの出力信号S5は、第2トランジスタT2をオンさせるためのオン信号である。第2トランジスタT2がオンすると、同第2トランジスタT2におけるコレクタとエミッタとの間が導通し、前記ノードN1、言い換えれば前記第1トランジスタT1の入力端子であるベースが接地される。
【0046】
スレーブコントローラ21が正常に機能している場合には、同スレーブコントローラ21から第1トランジスタT1に対して、正常な駆動信号S1が出力される。正常な駆動信号S1は、“1”のビットコードに相当する期間を超えてHレベルで維持されることはなく(図3(a)〜図3(c)参照)、HレベルとLレベルとに短時間で交互に切り替えられるデューティ比50%の方形波信号である。このような駆動信号S1が第1トランジスタT1に入力されたとき、同第1トランジスタT1は駆動信号S1に対応してオン/オフを交互に繰り返し、それに伴い発光ダイオードD1が点灯/消灯を交互に繰り返す。この際、第1トランジスタT1から出力される電圧信号S2は、ほぼ3Vであって且つデューティ比50%の方形波信号となる。平滑回路61はこの電圧信号S2を平滑化して、ほぼ1.5Vの電圧信号S3を出力する。この電圧信号S3のレベルは、基準信号S4のレベルである2.5Vを下回る。よって、比較回路62の出力信号S5がLレベルとなって第2トランジスタT2がオフされる。
【0047】
このように、スレーブコントローラ21が正常に機能しており、正常な駆動信号S1が第1トランジスタT1に入力される場合には、第2トランジスタT2がオフ状態で維持されて、光遮断回路60は光遮断動作を行わない。
【0048】
また、スレーブコントローラ21の異常に起因して、第1トランジスタT1に駆動信号S1が入力されなくなった場合には、第1トランジスタT1がオン動作されず、よって発光ダイオードD1が消灯状態で維持される。この場合には、平滑回路61から出力される電圧信号S3が0Vに維持され、よって比較回路62の出力信号S5がLレベルとなって第2トランジスタT2がオフされ、光遮断回路60は機能しない。
【0049】
これに対して、スレーブコントローラ21の異常に起因して、第1トランジスタT1にHレベル(0.7V)の駆動信号S1が入力され続ける状態となった場合には、第1トランジスタT1がオン状態で維持され、よって発光ダイオードD1が点灯状態で維持される。このような異常が発生した場合、第1トランジスタT1の出力電圧信号S2のレベルが3V程度で維持され、その結果、平滑回路61の出力電圧信号S3のレベルも同じく3V程度となり、基準信号S4のレベルである2.5Vを上回る。よって、比較回路62の出力信号S5がHレベルとなって第2トランジスタT2がオンされる。すると、第2トランジスタT2におけるコレクタとエミッタとの間が導通し、前記第1トランジスタT1の入力端子であるベースが、第2トランジスタT2を介して接地される。その結果、第1トランジスタT1のベースでの電圧が、接地電圧であるほぼ0Vにまで低下し、第1トランジスタT1がオフ状態に切り換えられて、発光ダイオードD1が消灯状態に切り換えられる。
【0050】
このように、第1トランジスタT1がオン状態で維持される故障がスレーブノード2で発生したとき、光遮断回路60は、第1トランジスタT1を強制的にオン状態からオフ状態に切り換えて、発光ダイオードD1を消灯状態とする。言い換えれば、第1トランジスタT1をオン状態で維持させる駆動信号S1が出力され続ける故障がスレーブコントローラ21で発生したとき、光遮断回路60は、スレーブコントローラ21から出力される駆動信号S1を無効化するように機能する。
【0051】
上述のように、スレーブノード2で故障が発生した場合、その故障がE/O変換器23の点灯状態を維持させる故障であっても、同E/O変換器23からは光信号が送出されない。そのため、故障したスレーブノード2に対応する光結合器42は、光バイパス伝送路31から受け取った正常な光信号のみをそのまま下流側の光伝送路に送出する。よって、故障したスレーブノード2以降のスレーブノード2並びにマスタノード1は、故障したスレーブノード2の影響を受けることなく、光伝送路上の光信号から必要な情報を読み取ることができる。
【0052】
次に、マスタノード1及びスレーブノード2において実行される故障診断処理について説明する。
先ず、故障診断処理に係る前記マスタノード1の動作について、図4のフローチャートに従って説明する。
【0053】
ステップS101において、マスタコントローラ11は、スレーブノード2の故障診断のための指令信号、すなわち診断指令信号を、E/O変換器13を介してネットワーク上に送出する。この診断指令信号は、同診断指令信号の受け取り先となるべきスレーブノード2のアドレスを示すアドレスデータと、診断指令データとを含む(図3(a)参照)。
【0054】
ステップS102において、マスタコントローラ11は、送出された診断指令信号に対応する返信信号が、ネットワークからO/E変換器14を介して受信されるのを待つ。返信信号が受信された場合、マスタコントローラ11はステップS103に進んで、返信信号の内容に応じた処理を実行し、処理を一旦終了する。
【0055】
すなわち、マスタコントローラ11は、返信信号中の診断結果データに基づき、同返信信号に対応するスレーブノード2が故障しているか否かを判定する。返信信号中に診断結果データが存在する場合には、マスタコントローラ11は、スレーブノード2が正常であると判定して、スレーブノード2の負荷装置22を駆動するための指令信号を送出する。一方、返信信号中に診断結果データが存在しない場合には、マスタコントローラ11は、スレーブノード2が故障していると判定して、その旨を示す情報をディスプレイ12上に表示させる。
【0056】
なお、マスタノード1は、上記のような故障診断処理を、負荷装置22の作動に関する指令信号を送出するのに先立って行っても良いし、予め定められたタイミング(例えば光LAN装置への電源投入時)に行っても良いし、或いは定期的に行っても良い。また、マスタコントローラ11は、第1〜第nスレーブノード2-1〜2-nにそれぞれ対応する診断指令信号を、予め定められた順序で連続する一つの信号列として送信してもよいし、各スレーブノード2に対して別々に送信してもよい。
【0057】
次に、故障診断処理に係る前記各スレーブノード2の正常時における動作について、図5のフローチャートに従って説明する。
ステップS201において、スレーブコントローラ21は、ネットワークからO/E変換器24を介して指令信号が受信されるのを待つ。指令信号が受信された場合、スレーブコントローラ21はステップS202に進んで、指令信号中のアドレスデータによって示されるアドレスが、自身に割り当てられたアドレスと一致するか否かを判定する。両アドレスが一致しない場合、スレーブコントローラ21はステップS203に進んで、受信された指令信号に返信データを付加することなく、同指令信号をそのままE/O変換器23を介してネットワーク上に送出し、処理を一旦終了する。一方、両アドレスが一致する場合、スレーブコントローラ21は、ステップS204に進む。
【0058】
ステップS204において、スレーブコントローラ21は、指令信号中の制御データによって示される指令内容が、故障診断指令であるか否かを判定する。指令内容が故障診断指令でない場合、スレーブコントローラ21はステップS205に進んで、指令内容に従った処理、例えば対応する負荷装置22の制御を実行する。続くステップS206において、スレーブコントローラ21は、必要な返信データを指令信号に付加し、それを返信信号としてE/O変換器23を介してネットワーク上に送出し、処理を一旦終了する。
【0059】
一方、前記ステップS204において指令内容が故障診断指令である場合、スレーブコントローラ21はステップS207に進んで、診断結果データ、すなわち“1”のビットコードを表すオン信号を指令信号に付加する(図3(b)参照)。診断結果データは、診断指令信号を認識し得たことを、つまりスレーブノード2が正常であることを、マスタノード1に対して示すためのデータである。
【0060】
ステップS208では、スレーブコントローラ21は、診断結果データが付加された指令信号を、マスタノード1に対する返信信号として、E/O変換器23を介してネットワーク上に送出し、処理を一旦終了する。
【0061】
スレーブノード2(特にはスレーブコントローラ21)が故障している場合、同スレーブノード2は図5のフローチャートに示す処理を実行できない。すなわち、故障したスレーブノード2は、マスタノード1からの指令信号を認識できず、また診断結果データを指令信号に付加することもできない。しかも、故障したスレーブノード2からの光信号の送出は、光遮断回路60によって確実に阻止される。従って、前述したように、マスタノード1は、診断指令信号に対応する返信信号を受け取ったとき、同返信信号中に診断結果データが含まれるか否かに基づき、スレーブノード2の故障の有無を判定することができる。
【0062】
以上詳述した本実施形態は、下記の利点を有する。
(1)E/O変換器23が点灯状態で維持される故障がスレーブノード2で発生しても、光遮断回路60によってE/O変換器23が消灯状態に強制的に切り換えられ、故障したスレーブノード2から光信号が送出されることが確実に阻止される。そのため、故障したスレーブノード2以降のスレーブノード2並びにマスタノード1は、故障したスレーブノード2の影響を受けることなく、光伝送路上の光信号から必要な情報を読み取ることができる。従って、マスタノード1と、故障したスレーブノード2以外の正常なスレーブノード2との間の通信は好適に維持され、スレーブノード2の故障に起因するネットワークのダウンが確実に防止される。
【0063】
(2)光遮断回路60は、スレーブコントローラ21によって制御されるものではなく、第1トランジスタT1に入力される駆動信号S1の状態に応じて自律的に動作するハードウェア回路である。よって、光遮断回路60は、それ自体に故障が発生しない限り、自身の光遮断機能を好適に発揮する。
【0064】
(3)光遮断回路60は、E/O変換器23に一体的に組み込まれている。そのため、小型化及び構成の簡素化を図る上で有利である。
(4)マスタノード1は、スレーブノード2の各々に対応する診断指令信号をネットワーク上に送出する。正常なスレーブノード2は、対応する診断指令信号をネットワークから受け取ったとき、診断結果データ(診断結果情報)を前記診断指令信号に付加して、その診断結果データが付加された診断指令信号をマスタノード1に対する返信信号としてネットワーク上に送出する。マスタノード1は、ネットワークから受け取った返信信号中に診断結果データが存在するか否かに基づき、同返信信号に対応するスレーブノード2の故障を判定する。よって、マスタノード1は、スレーブノード2の各々が故障しているか否かを確実に把握することができる。また、前述した光遮断回路60の機能によって、スレーブノード2の故障に起因するネットワークのダウンが防止されるので、スレーブノード2の故障自体が故障診断処理の障害とはならない。
【0065】
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・前記実施形態では、診断指令データが所定期間のオフ信号によって構成されているが、診断指令データは、アドレスデータと同様、少なくとも1ビット以上の2値コード信号によって構成されてもよい。診断結果データもまた、複数ビットの2値コード信号によって構成されてもよい。
【0066】
・前記実施形態では、診断指令データが所定期間のオフ信号によって構成されている。そのため、この診断指令データの領域に診断結果データを付加するようにしてもよい。この場合、光信号のデータ長を短くすることができる。
【0067】
・光遮断回路60は、図2に示される構成に限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。例えば、トランジスタT1,T2は、NPNトランジスタに限らず、PNPトランジスタやFET等、スイッチング動作を行う各種の半導体素子に置換されてもよい。
【0068】
・本発明の光LAN装置を、車両以外に適用することも可能である。
・本発明の光LAN装置は、リング型光LAN装置に限らず、バス型光LAN装置等、各種の形態の光LAN装置に適用することも可能である。
【0069】
上記実施形態から把握される技術的思想について、以下に記載する。
(1)ネットワークを形成するように光ファイバケーブルによって相互に接続されたマスタノードと複数のスレーブノードとを備える光LAN装置において、
前記マスタノードは、前記スレーブノードの各々に対応する診断指令信号を前記ネットワーク上に送出し、
前記各スレーブノードは、対応する診断指令信号を前記ネットワークから受け取ったとき、診断結果情報を前記診断指令信号に付加して、その診断結果情報が付加された診断指令信号を前記マスタノードに対する返信信号として前記ネットワーク上に送出し、
前記マスタノードは、前記ネットワークから受け取った前記返信信号中の診断結果情報に基づき、同返信信号に対応するスレーブノードの故障を判定することを特徴とする光LAN装置。
【0070】
(2)前記マスタノードは、前記ネットワークから受け取った前記返信信号中に診断結果情報が含まれるか否かに基づき、同返信信号に対応するスレーブノードの故障を判定することを特徴とする請求項5又は上記思想(1)に記載の光LAN装置。
【0071】
(3)前記マスタノードは、スレーブノードの故障を報知する報知器を備えることを特徴とする請求項5、上記思想(1)及び思想(2)の何れか一つに記載の光LAN装置。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態における光LAN装置を示す概略構成図。
【図2】図1の各スレーブノードにおけるE/O変換器を示す回路構成図。
【図3】(a)〜(c)は、ネットワーク上を巡回するトークン信号をそれぞれ例示する説明図。
【図4】マスタノードの動作を説明するためのフローチャート。
【図5】スレーブノードの動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0073】
1…マスタノード、2…スレーブノード、3…光ファイバケーブル(光伝送路)、11…マスタコントローラ、21…スレーブコントローラ、23…E/O変換器(光送出部)、31…光ファイバケーブル(光バイパス伝送路)、60…光遮断回路、61…平滑回路、62…比較回路、D1…発光ダイオード(発光素子)、T1…第1トランジスタ(第1スイッチング素子)、T2…第2トランジスタ(第2スイッチング素子)、S1…駆動信号(電圧信号)、S2…電圧信号、S3…電圧信号、S4…基準信号、S5…出力信号(オン信号)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを形成するように光ファイバケーブルによって相互に接続されたマスタノードと複数のスレーブノードとを備え、前記ネットワークには、スレーブノードの各々をバイパスする光バイパス伝送路がスレーブノードにそれぞれ対応して設けられる光LAN装置において、
前記各スレーブノードは、ネットワーク上に送出すべき光信号を生成すべく点滅制御される光送出部と、前記光送出部が点灯状態で維持される故障がスレーブノードで発生したとき、同光送出部を消灯状態に強制的に切り換える光遮断回路とを備えることを特徴とする光LAN装置。
【請求項2】
前記光送出部は、発光素子と、その発光素子を駆動するスイッチング素子とを含み、スイッチング素子がオンされたときに発光素子が点灯し、スイッチング素子がオフされたときに発光素子が消灯し、前記光遮断回路は、前記スイッチング素子がオン状態で維持される故障がスレーブノードで発生したとき、スイッチング素子を強制的にオン状態からオフ状態に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の光LAN装置。
【請求項3】
前記スレーブノードは、前記スイッチング素子を制御すべく同スイッチング素子に駆動信号を出力するコントローラを有し、前記光遮断回路は、前記スイッチング素子をオン状態で維持させる駆動信号が出力され続ける故障が前記コントローラで発生した場合、コントローラから出力される駆動信号を無効化することを特徴とする請求項2に記載の光LAN装置。
【請求項4】
前記スイッチング素子は入力端子を備えた第1スイッチング素子であり、前記スレーブノードは、前記光信号に対応した電圧信号を前記第1スイッチング素子の入力端子に供給するコントローラを備え、第1スイッチング素子は、入力された電圧信号によってオンされたときに、その電圧信号のレベルに応じた電圧信号を出力し、
前記光遮断回路は、平滑回路、比較回路及び第2スイッチング素子を含み、前記平滑回路は、前記第1スイッチング素子からの出力電圧信号のレベルを平滑化し、前記比較回路は、前記平滑回路からの出力電圧信号のレベルを所定の基準レベルと比較して、同出力電圧信号のレベルが基準レベルより大きい場合にはオン信号を出力し、前記第2スイッチング素子は、前記比較回路から出力されるオン信号によってオン動作して、前記第1スイッチング素子の入力端子を接地させることを特徴とする請求項2に記載の光LAN装置。
【請求項5】
前記マスタノードは、前記スレーブノードの各々に対応する診断指令信号を前記ネットワーク上に送出し、
前記各スレーブノードは、対応する診断指令信号を前記ネットワークから受け取ったとき、診断結果情報を前記診断指令信号に付加して、その診断結果情報が付加された診断指令信号を前記マスタノードに対する返信信号として前記ネットワーク上に送出し、
前記マスタノードは、前記ネットワークから受け取った前記返信信号中の診断結果情報に基づき、同返信信号に対応するスレーブノードの故障を判定することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の光LAN装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−14203(P2006−14203A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191770(P2004−191770)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】