説明

免疫原性ペプチド担体コンジュゲートおよびその生産法

本発明は、免疫原として有用なタンパク質/ポリペプチド担体分子を含むペプチド免疫原のコンジュゲートを生産する方法を対象とし、ここでペプチド免疫原はタンパク質担体に、担体の、または場合により結合したリンカー分子のアミノ酸残基上の活性化官能基を介して結合され、そしてここでアミノ酸残基上の任意の非結合反応性官能基はキャッピングにより不活性化され、これにより担体分子の免疫学的機能性は保持されるが、コンジュゲートの安全性または効果を下げる可能性がある望ましくない反応に関する傾向を減少させる。さらに、本発明はそのような免疫原生成物およびそのような方法により作成されたそのような免疫原生成物を含有する免疫原組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連分野
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下、すべての目的に関して引用により全部、本明細書に編入する2003年12月17日に出願された特許文献1の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
適応免疫の本質は、外来物質の存在に対して反応する生物の能力であり、そして侵入物と特異的に相互作用し、そしてそれから宿主を保護することができる成分(抗体および細胞)を生産する。「抗原」または「免疫原」は、この種の免疫応答を誘導することができ、そしてまたそれに対して製造された感作細胞および抗体と相互作用することができる物質である。
【0003】
抗原または免疫原は通常、免疫系の種々の成分を認識し、そして相互作用する明確な抗原性部位または「エピトープ」を含む高分子である。それらは合成有機化学物質、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質、RNA,DNAまたは多糖からなる個別の分子として存在することができ、またはそれらは細胞構造(バクテリアまたは真菌)またはウイルスの一部でもよい(Harlow and Lane 1988a,b,c;Male et al.,1987)。
【0004】
短いペプチドのような低分子は、通常、免疫応答の産物と相互作用することができるが、たいていはそれだけで応答を引き起こすことができない。これらのペプチド免疫原(または「ハプテン」とも呼ばれる)は、実際には不完全な抗原であり、それら自体が免疫原性を生じたり、または抗体生産を誘発したりすることはできないが、それらを適切な担体とカップリングさせることにより免疫原性とすることができる。担体は通常、より高分子量のタンパク質抗原であり、インビボに投与した時、免疫学的応答を引き起こすことができる。
【0005】
免疫応答では、抗体はT−ヘルパー(T)細胞と一緒にB−リンパ球により生産そして分泌される。多くのハプテン−担体系では、B細胞はハプテンおよび担体の両方に特異的な抗体を生産する。これらの場合、Tリンパ球は担体上に特異的な結合ドメインを有するが、ハプテンのみでは認識しない。一種の相乗効果により、BおよびT細胞は協同してハプテンに特異的な抗体応答を生じる。そのような免疫応答が起こった後、宿主が続いてハプテンのみで追加免疫されれば、通常、宿主は初期免疫感作後に形成された記憶細胞からハプテンに特異的な抗体を生産することにより応答するだろう。
【0006】
より大きな高分子上の幾つかの重要なエピトープ構造を模する合成ハプテンを、しばしば担体に結合して、より大きな「元の(parent)」分子に対する免疫応答を生成する。例えば短いペプチドセグメントはタンパク質の既知の配列から合成し、そして担体にカップリングして天然のタンパク質に対する免疫原性を誘導することができる。免疫原生産に対するこの種の合成法が、現行のほとんどのワクチンの作成に対する研究の基礎となった。しかし多くの場合、合成ペプチド−担体コンジュゲートを使用することによって単にB細胞応答が生成されるが、十分に計画しても常に完全(intact)な抗原に対する完全(complete)な防御免疫が獲得されるとは限らない。より大きなウイルス粒子またはバクテリア細胞に由来する短いペプチドエピトープにより生じる免疫応答は、B細胞レベルで記憶を生じるに十分なだけかもしれない。これらの場合、今では細胞傷害性T細胞応答が防御免疫のより重要な指標であると受け入れられている。B細胞およびT細胞の両方を認識するための正しいエピトープ結合部位を持つペプチド免疫原の設計は、今日、免疫学において最も難しい研究分野の1つである。
【0007】
これらの分子を大きな「担体」分子に結合することにより、小さく、または良くない免疫原性分子の免疫原性を上げる取り組みが数十年間、成功裏に利用されてきた(例えば非特許文献1を参照にされたい)。例えば多くの免疫原性組成物が記載され、それらは精製された筴膜ポリマーを担体タンパク質に結合して、この「担体効果」を活かすことにより、より効果的な免疫原性組成物を生成する(非特許文献2)。またコンジュゲートは、通常、遊離の多糖で免疫感作した時に幼児で観察される良くない抗体応答を迂回することが示された(非特許文献3;非特許文献4)。
【0008】
ハプテン−担体コンジュゲートは、ホモ二官能性、ヘテロ二官能性またはゼロ−長架橋剤のような種々の架橋結合/カップリング試薬を使用して成功裏に作成されてきた。多くのそのような方法が現在、サッカリド、タンパク質およびペプチドをペプチド担体にカップリングするために利用可能である。ほとんどの方法がアミン、アミド、ウレタン、イソチオウレアまたはジスルフィド結合を生成し、またはチオエーテルの場合もある。反応性部位を担体および/またはハプテン分子の反応性アミノ酸分子の側鎖中に導入するカップリング試薬を使用することの欠点は、もし中和されなければ反応性部位がインビトロ(すなわちコンジュゲート(1もしくは複数)の官能性または安定性に悪影響を及ぼす)またはインビボ(すなわち調製物で免疫感作されたヒトまたは動物における副作用の潜在的危険性をもたらす)で望ましくない分子と自由に反応する点である。そのような過剰な反応性部位は、種々の既知の化学反応を利用してこれらの部位を不活性化するため反応させるか、またはキャッピングすることができるが、これらの反応はそうではなくコンジュゲートの官能性を破壊するかもしれない。これは特に反応性部位を担体分子に導入することによりコンジュゲートを作成することを試す場合に、その大きなサイズおよびより複雑な構造(ハプテンに比べて)が化学処理の破壊効果に対して、より攻撃され易くなるために問題が多い。実際に、所望する「担体効果」の特性を有する免疫原性組成物として機能するために、生じるコンジュゲートの能力を保存しながら、最初に担体を活性化し、次いでハプテンを結合反応を用いて反応させ、そして最後に残る反応性部位を「キャッピングする」ことによりコンジュゲートを作成する方法の例は知られていない。
【特許文献1】米国特許仮出願第60/530,480号明細書
【非特許文献1】Goebel et al.,J.Exp.Med.69:53,1939
【非特許文献2】Schneerson et al.Infect.Immun.45:582−591,1984
【非特許文献3】Anderson et al.J.Pediatr.107:346,1985
【非特許文献4】Insel et al.J.Exp.Med.158:294,1986
【発明の開示】
【0009】
発明の簡単な要約
本発明は、ペプチド免疫原とタンパク質/ポリペプチド担体との免疫原コンジュゲートを生産する方法を対象とし、ここでペプチド免疫原は、リシン残基のような担体のアミノ酸残基の誘導化された官能基を介して担体に結合され、そしてここでアミノ酸残基の任意の非結合誘導化官能基は、キャッピングを介して不活性化されて、それらがタンパク質/ポリペプチドを含む他の分子と反応することを遮断し、これにより担体の官能性を保護して、そうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対する所望の免疫応答を誘発するコンジュゲートの能力を保持する。
【0010】
1つの態様では、発明はペプチド免疫原のアミノ酸残基の反応性基を介して、ペプチド免疫原を1もしくは複数の官能基を有するタンパク質/ポリペプチド担体に結合する方法を対象とし、この方法は:(a)タンパク質/ポリペプチド担体の1もしくは複数の官能基を誘導化して反応性部位を持つ誘導化分子を生成し;(b)工程(a)の誘導化タンパク質/ポリペプチド担体を、ペプチド免疫原が誘導化タンパク質/ポリペプチド担体に官能基を介して結合するような反応条件下で、ペプチド免疫原のアミノ酸の残基の反応性基と反応させ;そして(c)さらにコンジュゲートをキャッピング試薬と反応させて、活性化タンパク質/ポリペプチド担体上の遊離の反応性反応官能基を不活性化し、これによりそうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対する担体の官能性を保存する工程を含んでなる。
【0011】
1つの態様では、タンパク質/ポリペプチド担体は、ヒト血清アルブミン、カサガイヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、卵アルブミン、インフルエンザ血球凝集素、PAN−DR結合ペプチド(PADREポリペプチド)、マラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HSBAg19−28)、熱ショックタンパク質(HSP)65、カルメット ゲラン桿菌(BCG)、コレラトキシン、低下した毒性を有するコレラトキシン変異体、ジフテリアトキシン、ジフテリアトキシンと交差反応性のCRM197タンパク質、組換え連鎖球菌C5aペプチダーゼ、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858、破傷風トキソイド、HIVgp120T1、微生物表面成分認識接着マトリックス分子(microbial surface component recoginizing adhesive matrix molecule:MSCRAMMS)、増殖因子/ホルモン、サイトカインおよびケモカインからなる群から選択される。
【0012】
別の態様ではタンパク質/ポリペプチド担体はT−細胞エピトープを含む。
【0013】
さらに別の態様では、タンパク質/ポリペプチド担体は上記のような破傷風トキソイド、コレラトキシンまたはコレラトキシン変異体のようなバクテアリトキソイドである。好適な態様では、タンパク質/ポリペプチド担体はCRM197である。
【0014】
さらに別の態様では、タンパク質/ポリペプチド担体はインフルエンザ血球凝集素、PADREポリペプチド、マラリアスCSタンパク質、B型肝炎表面抗原(HSBAg19−28)、熱ショックタンパク質65(HSP65)またはヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(BCG)由来のポリペプチドであることができる。
【0015】
さらに好適な態様では、タンパク質/ポリペプチド担体は連鎖球菌rC5aペプチダーゼ、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664または溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367およびクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858から選択される。
【0016】
1つの態様では、タンパク質/ポリペプチド担体は免疫応答を刺激または強化する増殖因子またはホルモンであり、そしてIL−1、IL−2、γ−インターフェロン、IL−10、GM−CSF、MIP−1α、MIP−1βおよびRANTESからなる群から選択される。
【0017】
別の態様では、ペプチド免疫原がバクテリアのタンパク質、ウイルスのタンパク質および真核生物のタンパク質から選択される。
【0018】
別の態様では、ペプチド免疫原は肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrheae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Esherichia coli)、クレブシエーラ エンテロバクター(Klebsiella enterobactor)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、シュードモナス(Pseudomonas)種、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、志賀赤痢菌(Shigella dysentriae)、オーロイオコッカス オチチディス(Alloiococcus otitidis)およびB群連鎖球菌に由来するバクテアリタンパク質から誘導化される。
【0019】
別の態様では、ペプチド免疫原はヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、水痘性口炎ウイルス(VSV)、RSウイルス(RSV)、エプスタインーバーウイルス(EBV)、コロナウイルス、ワクシニアウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)からなる群から選択されるウイルスに由来するタンパク質抗原から誘導化される。
【0020】
さらに別の態様では、ペプチド免疫原はカンジダ(Candida)種、クリプトコッカス(Cryptococcus)種、コクシジオイデス(Coccidioides)種、ヒストプラスマ(Histoplasma)種およびアスペルギルス(Aspergillus)種から選択される真菌に由来するタンパク質抗原から誘導化される。
【0021】
別の態様では、ペプチド免疫原がプラスモディウム属(Plasmodium)、トリパノソーマ属(Trypanosome)、住血吸虫属(Schistosome)およびリーシュマニア属(Leishmania)から選択される寄生生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される。
【0022】
さらに別の態様では、ペプチド免疫原が真核生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される。好適な態様では、真核生物はヒトである。
【0023】
さらに別の好適な態様では、ヒト由来のペプチド免疫原が悪性腫瘍から誘導化される。より好適な態様では、ペプチド免疫原は腎臓細胞癌腫、胸部癌腫、メラノーマおよび前立腺癌腫に由来する腫瘍抗原である。別の好適な態様では、ペプチド抗原は腫瘍抗原、癌胎児性抗原(CEA)から誘導化される。
【0024】
1つの観点では、本発明はAβ内の特定のエピトープに対して免疫応答の誘発するAβペプチドまたはAβのフラグメントまたはその類似体を含んでなるペプチド免疫原を提供する。本発明の免疫原性ペプチドには、免疫原性の異種ペプチドを含む。幾つかの免疫原性ペプチドでは、Aβフラグメントが担体に連結されて免疫原性異種ペプチドを形成し、そして次いでこの異種ペプチドは本発明の方法を使用して担体に連結されてコンジュゲートを形成する。
【0025】
本発明の別の観点では、ペプチド免疫原はAβの少なくとも残基1〜5のN−末端セグメントを含んでなるポリペプチドであり、Aβの最初の残基はポリペプチドのN−末端残基であり、ここでポリペプチドはAβのC−末端セグメントが無い。本発明のさらに別の態様では、ペプチド免疫原はAβのN−末端セグメントを含んでなるポリペプチドであり、セグメントはAβの残基1〜3から始まり、そしてAβの残基7〜11で終わる。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβのN−末端セグメントに対する免疫応答を誘導する作用物質であり、このセグメントはAβ43の残基12〜43内のエピトープに対する免疫応答を誘導せずにAβの残基1〜3から始まり、そしてAβの残基7〜11で終わる。本発明の別の観点では、ペプチド免疫原は異種アミノ酸配列に対してヘルパーT細胞応答を、そしてそれによりN−末端セグメントに対するB細胞応答を誘導する異種アミノ酸配列に連結されたAβのセグメントを含んでなる異種ポリペプチドである。
【0026】
幾つかのペプチド免疫原では、AβのN−末端セグメントはそのC−末端で異種ポリペプチドに連結されている。幾つかのペプチド免疫原では、AβのN−末端セグメントはそのN−末端で異種ポリペプチドに連結されている。幾つかのペプチド免疫原では、AβのN−末端セグメントはそのNおよびC末端で第1および第2の異種ポリペプチドに連結されている。幾つかのペプチド免疫原では、AβのN−末端セグメントはそのN末端で異種ポリペプチドに連結され、そしてそのC末端でN−末端セグメントの少なくとも1つさらなるコピーに連結されている。幾つかのペプチド免疫原では、ポリペプチドはN−末端からC−末端、AβのN−末端セグメント、N−末端セグメントの複数のさらなるコピー、および異種アミノ酸セグメントを含んでなる。
【0027】
幾つかの上記ペプチド免疫原の観点では、ポリペプチドはさらに少なくとも1つのN−末端セグメントのコピーを含んでなる。幾つかの上記ペプチド免疫原では、フラグメントはAβ43中の少なくとも5C−末端アミノ酸が無い。
【0028】
幾つかの上記ペプチド免疫原の観点では、フラグメントはAβに由来する最高10個の連続するアミノ酸を含んでなる。
【0029】
別の観点では、本発明は多抗原性ペプチド(MAP)形態と呼ぶ形態であり得るAβ内の特定のエピトープに対する免疫原応答を誘発するAβペプチドまたはAβのフラグメントまたはその類似体を含んでなるペプチド免疫原を提供する。
【0030】
本発明の幾つかの上記観点では、ペプチド免疫原はAβののN−末端半分に由来する。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、1−10、1−11、1−12、1−16、3−6および3−7からなる群から選択されるAβのフラグメントである。本発明の幾つかの上記観点では、ペプチド免疫原はAβの内部領域に由来する。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ13−28、15−24、17−28および25−35からなる群から選択されるAβフラグメントである。本発明の幾つかの上記観点では、ペプチド免疫原はAβのC−末端に由来する。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ33−42、35−40および35−42からなる群から選択されるAβフラグメントである。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、1−10、1−11、1−12、1−16、1−28、3−6、3−7、13−28、15−24、17−28、25−35、33−42、35−40および35−42からなる群から選択されるAβフラグメントである。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ1−5、Aβ1−7、Aβ1−9およびAβ1−12からなる群から選択されるAβフラグメントである。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ1−5−L、Aβ1−7−L、Aβ1−9−LおよびAβ1−12−L(ここでLはリンカーである)からなる群から選択されるAβフラグメントである。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ1−5−L−C、Aβ1−7−L−C、Aβ1−9−L−CおよびAβ1−12−L−C(ここでCはシステインアミノ酸残基である)からなる群から選択されるAβフラグメントである。
【0031】
本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ16−22、Aβ16−23、Aβ17−23、Aβ17−24、Aβ18−24およびAβ18−25からなる群から選択されるAβフラグメントである。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ16−22−C、Aβ16−23−C、Aβ17−23−C、Aβ17−24−C、Aβ18−24−CおよびAβ18−25−C(ここでCはシステインアミノ酸残基である)からなる群から選択されるAβフラグメントである。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はC−Aβ16−22、C−Aβ16−23、C−Aβ17−23、C−Aβ17−24、C−Aβ18−24およびC−Aβ18−25(ここでCはシステインアミノ酸残基である)からなる群から選択されるAβフラグメントである。
【0032】
上記免疫原の幾つかでは、異種ポリペプチドはT細胞エピトープ、B細胞エピトープおよびその組み合わせを有するペプチドからなる群から選択される。
【0033】
1つの態様では、タンパク質/ポリペプチド担体または場合により結合されたポリペプチドリンカーの1もしくは複数のアミノ酸分子の官能基は、架橋結合試薬を使用して誘導化される。別の態様では、誘導化試薬は誘導化試薬はゼロ−長の架橋結合試薬である。別の態様では、誘導化試薬はホモ二官能性架橋結合試薬である。さらに別の態様では、誘導化試薬はヘテロ二官能性架橋結合試薬である。
【0034】
好適な態様では、ヘテロ二官能性架橋化試薬が、タンパク質/ポリペプチド担体の1もしくは複数のアミノ酸分子の1級またはε−アミン官能基、およびペプチド免疫原の1もしくは複数のアミノ酸分子のペンダントチオール基と反応する試薬である。1つの態様では、ヘテロ二官能性試薬がN−スクシンイミジルブロモアセテートである。
【0035】
別の態様では、1級またはε−アミン官能基がリシンである。さらに別の態様では、N−スクシンイミジルブロモアセテートを用いたタンパク質/ポリペプチド担体のリシンの1級またはε−アミン官能基の誘導化は、タンパク質/ポリペプチド担体のリシン分子上の1級またはε−アミン残基のブロモアセチル化を生じる。さらに好適な態様では、ペンダントチオール基はペプチド免疫原のシステイン残基であり、これはペプチド免疫原のアミノ末端、ペプチド免疫原のカルボキシ末端またはペプチド免疫原の内部に位置することができる。
【0036】
別の態様では、ペンダントチオール基は、N−アセチルホモシステインチオラクトン、Traut’s試薬(2−イミノチラン)SATA(N−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート)、SMPT(4−スクシンイミジルオキシカルボニル−メチル2−ピリジルジチオトルエン)、スルホLC SPDP(スルホスクシンイミジルピリジルジチオプロピオンアミドヘキサノエート)、SPDP(スクシンイミジルピリジルジチオプロピオネート)のようなチオール化試薬により生成される。好適な態様では、活性化タンパク質/ポリペプチド担体上の遊離の反応性官能基を不活性化するために使用されるキャッピング試薬は、システアミン、−アセチルシステアミンおよびエタノールアミンからなる群から選択される。
【0037】
特に好適な態様では、活性化タンパク質/ポリペプチド担体上の遊離の反応性官能基を不活性化するために使用されるキャッピング試薬は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよびアンモニアからなる試薬群から選択される。
【0038】
1つの態様では、ペプチド免疫原のアミノ酸残基の反応性基は遊離のスルフヒドリル基である。
【0039】
別の態様では、1もしくはは複数の官能基がリンカー上にあり、これは場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に結合している。好適な態様では、リンカーはペプチドリンカーである。さらに好適な態様では、ペプチドリンカーはポリリシンである。
【0040】
別の態様では、本発明はタンパク質/ポリペプチドのペプチド免疫原を、構造:
【0041】
【化1】

【0042】
式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化可能な官能基であり、そしてここでmは0より大きな整数であるが、85以下である、
を有するタンパク質/ポリペプチド担体に結合する第2の方法を対象とし、この方法は:
(a)タンパク質/ポリペプチド担体、または場合により結合したリンカー分子の1もしくは複数の官能基を誘導化して反応性部位を持つ誘導化担体を生成し;(b)工程(a)の誘導化タンパク質/ポリペプチド担体を、ペプチド免疫反応のアミノ酸の反応性基と反応させて、共有的にカップリングしたペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートを形成し;そして(c)さらに該コンジュゲートをキャッピング試薬と反応させて、活性化タンパク質/ポリペプチド担体上の遊離の反応性官能基を不活性化し、キャッピングした基がタンパク質/ポリペプチドを含む他の分子と自由に反応しないようにし、これにより担体の官能性を保存して、そうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対して望まれる免疫応答を誘発するコンジュゲートの能力を保持して、式:
【0043】
【化2】

【0044】
式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基であり、そしてここで
Pはタンパク質担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したペプチド免疫原分子であり、Rはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したキャッピング分子であり、nは0より大きい整数であるが、85以下であり、そしてpは0より大きい整数であるが、85未満である、
を有するキャップ化ペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートを形成する工程を含んでなる。
【0045】
上記の第1の方法に関する詳細な態様は、第2の方法により調製される丁度記載したコンジュゲートにも応用することができる。
【0046】
1つの態様では、本発明はペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートを対象とし、ここでタンパク質/ポリペプチド担体は式:
【0047】
【化3】

【0048】
式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化可能な官能基であり、そしてここでmは0より大きな整数であるが、85以下である、
を有し、そしてここでキャップ化ペプチド−免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートが式:
【0049】
【化4】

【0050】
式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基であり、そしてここでPはタンパク質担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したペプチド免疫原分子であり、Rはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したキャッピング分子であり、これにより担体の官能性を保存して、そうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対して望まれる免疫応答を誘発するコンジュゲートの能力を保持し、nは0より大きい整数であるが、85以下であり、そしてpは0より大きい整数であるが、85未満である、
を有する。
【0051】
上記の第1および第2の方法に関する詳細な態様は、丁度記載したコンジュゲートにも応用することができる。
【0052】
別の態様では、本発明は本発明の第2の方法に従い生成され、そして式:
【0053】
【化5】

【0054】
式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基であり、そしてここでPはタンパク質担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したペプチド免疫原分子であり、Rはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したキャッピング分子であり、これにより担体の官能性を保存して、そうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対して望まれる免疫応答を誘発するコンジュゲートの能力を保持し、nは0より大きい整数であるが、85以下であり、そしてpは0より大きい整数であるが、85未満である、
を有するペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートを対象とする。
【0055】
上記の第2の方法に関する詳細な態様は、丁度記載したような第2の方法により生成したコンジュゲートにも応用することができる。
【0056】
別の態様では、本発明は本発明の第2の方法により生成したペプチド免疫原とタンパク質/ポリペプチド担体とのコンジュゲートを、1もしくは複数の製薬学的に許容され得る賦形剤、希釈剤およびアジュバントと一緒に含んでなる免疫原性組成物を対象とする。
【0057】
上記の第2の方法およびそれにより生成されたコンジュゲートに関する詳細な態様も、丁度記載したコンジュゲートを含有する免疫原組成物に応用することができる。
【0058】
別の態様では、本発明は本発明の有効量の免疫原組成物を個体に投与することを含んでなる、哺乳動物個体において免疫応答を誘導する方法を対象とする。
【0059】
本発明のコンジュゲートを含有する免疫原組成物に応用することができる詳細な態様は、これら免疫原組成物の使用法を対象とする本発明の態様にも応用することができる。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
発明の詳細な説明
本発明は、ペプチド免疫原−担体コンジュゲートの生成法を対象とし、ここで活性化中に生成される担体上の未反応活性官能基は、それらがさらに反応することを防止するために−アセチルシステアミンのようなキャッピング試薬を使用することにより不活性化される。また本発明はそれらの方法により生成したキャップ化担体−ペプチド免疫原コンジュゲートおよび該コンジュゲートを含んでなる免疫原組成物も対象とする。
【0065】
サッカリドのような小さく、またはよくない免疫原性分子の免疫原性を、結合を介して上げる取り組みが数十年間、成功裏に利用され(例えばGoebel et al.(1939)J.Exp.Med.69:53を参照にされたい)、そして多くの免疫原性組成物が記載され、ここでは精製された筴膜ポリマーが担体タンパク質に結合されて、この「担体効果」を活かすことにより、より効果的な免疫原性組成物が生成されてきた。例えばSchneerson et al.(J.Exp.Med.152:361−376,1980)は微生物により引き起こされる侵襲性疾患に対する免疫を付与するインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b多糖タンパク質コンジュゲートを記載する。PRP(ポリリボシルリビトールホスフェート、インフルエンザ菌(H.influenzae b))のコンジュゲートは、多糖単独に基づく免疫原組成物よりも効果的であることが示された(Chu et al.,(1983)Infect.Immun.40:245;Schneerson et al.(1984)Infect.Immun.45:582−591)。また結合は、通常、遊離の多糖で免疫感作した時に幼児で観察される良くない抗体応答を迂回することが示された(Anderson et al.(1985)J.Pediatr.107:346;Insel et al.(1986)J.Exp.Med.158:294)。
【0066】
ヒトの日常的な免疫感作では標準的なプラクティスとなっている、タンパク質担体としてバクテリアのトキシンまたはトキソイド(例えば破傷風またはジフテリア)を使用するさらなる利点は、トキシンまたはトキソイドに対して所望する免疫が筴膜ポリマーを付随する病原体に対する免疫と一緒に誘導されるという点である。
【0067】
また抗原決定基/ハプテン−担体コンジュゲートも、カップルしたハプテン上の明確な化学的エピトープを識別することができる高度に特異的なモノクローナル抗体を生産するために使用されている。生じるモノクローナルはしばしばエピトープ構造および天然のタンパク質間の相互作用を調査するために使用される。多くの場合で、これらモノクローナルを生成するために使用する抗原決定基/ハプテンは、より大きなタンパク質の表面上で重要な抗原性部位を表す小さいペプチドセグメントである。抗原決定基/ハプテン−担体コンジュゲートの生成に使用される成功した担体に関する基準は、潜在的免疫原性、抗原決定基/ハプテンとの結合のための適切な官能基の存在、誘導化後でも合理的な溶解性、およびインビボでの毒性の欠如である。
【0068】
これらの基準は、本発明の方法により生成されるコンジュゲートにより満たされる。コンジュゲートは本明細書に記載する結合法を使用して生成される任意の適切なペプチド免疫原−担体コンジュゲートであることができる。コンジュゲートは本発明の方法を使用して生成され、ここで以下の構造:
【0069】
【化6】

【0070】
を有するタンパク質/ポリペプチド担体がタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合され、ここでCはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化可能な官能基であり、そしてここでmは0より大きな整数であるが、85以下である、
がペプチド免疫原に共有結合され、そしてここでペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートは以下の式を有し、以下の式:
【0071】
【化7】

【0072】
式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基であり、Pはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したペプチド免疫原であり、Rはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したキャッピング分子であり、これにより担体の官能性を保存して、そうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対して望まれる免疫応答を誘発するコンジュゲートの能力を保持し、nは0より大きい整数であるが、85以下であり、そしてpは0より大きい整数であるが、85未満である、
により表される。
担体の選択
ペプチド免疫原の中には免疫応答を誘導するための適切なエピトープを含むが、小さすぎて免疫原性とはならないものもある。この状況では、ペプチド免疫原を適切な担体に連結して免疫応答を誘発することを助ける。本発明の方法により生成されるペプチド免疫原−担体コンジュゲートの上記の概略表示では、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、これにペプチド免疫原が担体自体の上のアミノ酸残基の誘導化官能基を介して直接的に、または担体に共有結合されたペプチドリンカー上の誘導化官能基を介して間接的に結合される。適切なタンパク質/ポリペプチド担体には限定するわけではないがアルブミン(ヒト血清アルブミンを含む)、カサガイヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、卵アルブミン、破傷風トキソイド、または減少した毒性を有する他の病原性バクテリアに由来するトキソイド(ジフテリア、大腸菌(E.coli)、コレラ、またはピロリ菌(H.pylori)のような変異体を含む)、または弱毒化トキシン誘導体を含む。1つのそのような担体はジフテリアトキシンと交差反応性のCRM197タンパク質(配列番号40)である。
【0073】
他の担体には、例えば少なくとも75%のすべてのヒトMHCアリルで、多MHCアリル(multiple MHC alleles)に結合するT細胞エピトープを含む。そのような担体は時折、「汎用的(universal)T細胞エピトープ」として当該技術分野では知られている。汎用的T細胞エピトープを持つ例示的な担体は以下を含む:
【0074】
【表5】

【0075】
免疫応答を刺激または強化し、そしてペプチド免疫原またはハプテンを結合することができる他の担体には、IL−1、IL−1αおよびβペプチド、IL−2、γINF、IL−10、GM−CSFのようなサイトカイン、およびMIP−1αおよびβおよびRANTESのようなケモカインを含む。免疫原性ペプチドは、すべての目的について引用により全部本明細書に編入するO’Mahonyにより国際公開第97/17163および同第97/17614号パンフレットに記載された組織をわたる輸送を強化するタンパク質/ペプチド担体に連結することもできる。
【0076】
さらに担体には、組換え連鎖球菌(Streptococal)C5aペプチダーゼ、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、1664および2452、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367およびT858、増殖因子およびホルモンを含む。
【0077】
本発明の1つの好適な態様では、担体タンパク質はCRM197、1次配列に1つのアミノ酸の変化を有するジフテリアトキシンの非毒性変異体である。分子のアミノ酸52位に存在するグリシンは、単一核酸コドンの変化によリグルタミン酸に置き換えられる。この変化により、タンパク質はADP−リボシルトランスフェラーゼ活性を欠き、そして非毒性となる。これは58,408Daの分子量を有する。CRM197は、引用により本明細書に編入する米国特許第5,614,382号明細書に従い、組換え発現により大量に生産される。サッカリドならびにペプチドのCRM197への結合は、リシン残基のε−アミノ基を介して連結することにより行われる。これはCRM197がB細胞エピトープとして優れており、そして安全な担体であることから、幾つかの市販されている製品を介して十分に確立された。
免疫原性ペプチド
本明細書で使用する用語「ペプチド免疫原」または「ハプテン」は、哺乳動物への投与で免疫応答を生成するように誘発、促進または誘導することができる、任意のタンパク質またはサブユニット構造/フラグメント/それらから誘導化される類似体である。特にこの用語は、本明細書に開示する方法を使用して担体にカップリングすることができる任意の起源(バクテリア、ウイルスまたは真核生物)に由来するポリペプチド抗原決定基を指す。そのようなポリペプチド免疫原/抗原決定基は、ウイルス、バクテリアまたは真核細胞起源であることができる。
【0078】
バクテリア細胞に由来するペプチド免疫原には、バクテリア細胞の表面または分泌タンパク質から誘導化されたものを含み、これはタンパク質に基づく免疫原組成物に使用することができる。バクテリア株の例には肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、クレブシエーラ(Klebsiella)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、サルモネラ(Salmonella)種、シゲーラ(Shigella)種、オーロイオコッカス オチチディス(Alloiococcus otitidis)およびB群連鎖球菌を含む。
【0079】
ウイルスに由来するペプチド免疫原の例には、幾つかを挙げればヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、水痘性口炎ウイルス(VSV)、RSウイルス(RSV)、エプスタインーバーウイルス(EBV)、コロナウイルス、ワクシニアウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)から誘導化されるものを含む。
【0080】
真菌ペプチド免疫原の例には、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス(Coccidioides)種、ヒストプラスマ(Histoplasma)種およびアスペルギルス(Aspergillus)種を含む。
寄生生物抗原には、プラスモディウム(Plasmodium)種、トリパノソーマ(Trypanosoma)種、住血吸虫(Schistosoma)種およびリーシュマニア(Leishmania)種等から誘導化されるものを含む。
【0081】
様々なヒトの疾患を防止し、処置し、予防し、または軽減する免疫治療薬として使用するために担体に結合することができる真核生物のペプチド免疫原の例は腫瘍細胞に付随するもの、Aβから誘導化されるもの、アルツハイマー病(AD)に特徴的なプラークの主要な成分である39〜43アミノ酸のペプチド、好ましくは42アミノ酸(米国特許第4,666,829号明細書;Glenner & Wong(1984)Biochem.Biophys.Res.Commun.120;1131,Hardy(1984)TINS 20:1131;Hardy(1977)TINS 20:154を参照にされたい)、アミリンのアミロイドペプチドから誘導化されるもの、II型糖尿病に関わる膵臓小島により生産されるポリペプチド物質、アテローム硬化症に関わる低密度リポタンパク質遺伝子産物から誘導化されるペプチド、およびインターロイキン6(IL−6)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)およびGDF−8のような炎症性サイトカインおよび増殖因子から誘導化される抗原性ペプチドを含む。そのような真核生物のペプチド免疫原にはT細胞(CTL)またはB細胞エピトープを含むことができる。
【0082】
「CTLエピトープ」は、限定するわけではないが腎臓細胞癌腫抗原、胸部癌腫抗原、癌胎児性抗原、メラノーマ(MAGE)抗原、および前立腺特異的膜抗原(PSMA)および前立腺幹細胞抗原(PSCA)のような前立腺ガン特異的抗原、C型肝炎抗原を含む腫瘍に随伴する抗原のような有力な標的抗原の選択されたエピトープ領域から誘導化されたものである。
【0083】
Aβ(β−アミロイドペプチドまたはA4ペプチドとしても知られている(米国特許第4,666,829号明細書;Glenner & Wong Biochem.Biophys.Res.Commun.120;1131(1984)を参照されたい)は、39〜43アミノ酸のペプチドであり、これはアルツハイマー病の特徴的プラークの主要成分である。Aβはβおよびγセクレターゼと呼ばれる2つの酵素による、より大きなタンパク質APPのプロセッシングにより生成される(Hardy,TINS 20:154(1997)を参照されたい)。アルツハイマー病に関連するAPP中の既知の突然変異は、βおよびγセクレターゼ部位の近位で、またはAβ内で起こる。例えば717位はそのAβへのプロセッシングでAPPのγ−セクレターゼ開裂部位に近く、そして670/671位は、β−セクレターゼ開裂部位に近い。突然変異はAβが形成される開裂反応と相互作用することによりADを引き起こして、生じるAβの42/43アミノ酸形の量を増加させると考えられる。
【0084】
Aβは古典的および代替的補体カスケードの両方に結合し(fix)、そして活性化することができる希有な特性を有する。特にこれはC1qに結合し、そして最終的にはC3biに結合する。この会合はマクロファージへの結合を促進して、B細胞の活性化を導く。加えて、C3biはさらに分解し、次いでB細胞上のCR2にT細胞依存的様式で結合して、これらの細胞の活性化を10,000倍上昇させる。このメカニズムでAβは他の抗原の免疫応答も過剰に生じるようにさせる。
【0085】
Aβには数種の自然に存在する形態がある。Aβのヒト形は、Aβ39、Aβ40、Aβ41、Aβ42およびAβ43を指す。これらペプチドの配列およびそれらのAPP前駆体との関係は、Hardy,et al.,TINS 20:155−158(1977)の図1により具体的に説明されている。例えばAβ42は配列:
【0086】
【表6】

【0087】
を有する。
【0088】
Aβ41、Aβ40およびAβ39は、それぞれC−末端からAla、Ala−Ile、およびAla−Ile−Valを省略することによりAβ42と異なる。Aβ43は、C−末端にトレオニン残基が存在することによりAβ42とは異なる。
【0089】
Aβのフラグメントであるペプチド免疫原は、幾つかの理由から本発明の用途には完全な分子よりも有利である。第1にAβ内の特定のエピトープのみがアルツハイマー病の処置に有用な免疫応答を誘導するので、そのようなエピトープを含有するフラグメントの等用量の質量は、完全なAβの投薬用量よりも高いモル濃度の有用な免疫原性エピトープを提供する。第2に、Aβの特定のペプチド免疫原は、Aβが派生するAPPタンパク質に対して重要な免疫原性応答を生成することなくアミロイド沈着に対する免疫原性応答を生成する。第3に、Aβのペプチド免疫原はその短いサイズにより完全なAβよりも製造が単純である。第4に、Aβのペプチド免疫原は完全なAβと同じ様式で凝集せず、担体を含むコンジュゲートの調製が単純となる。
【0090】
Aβの幾つかのペプチド免疫原は、天然のペプチドに由来の少なくとも2、3、5、6、10または20個の連続するアミノ酸の配列を有する。幾つかのペプチド免疫原は、Aβに由来する10、9、8、7、5または3個の連続する残基より多くはない。好適な態様では、AβのN−末端半分に由来するペプチド免疫原がコンジュゲートの調製に使用される。好適なペプチド免疫原にはAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−11、3−7、1−3および1−4を含む。例えばAβ1−5の表示は、Aβの残基1−5を含むN−末端フラグメントを示す。N−末端から始まり、そしてAβの残基7−11内の残基で終わるAβフラグメントが特に好ましい。フラグメントAβ1−12も使用できるが、それほど好ましくない。幾つかの方法では、フラグメントはAβ1−10以外のN−末端フラグメントである。他の好適なフラグメントには、Aβ13−28、15−24、1−28、25−35、35−40および35−42、および他の内部フラグメントおよびC−末端フラグメントを含む。
【0091】
本発明の幾つかのAβペプチドは、ヒト患者または動物への投与でAβの残基16と25との間の1もしくは複数のエピトープに特異的に結合する抗体を生成する免疫原ペプチドである。好適なフラグメントにはAβ16−22、16−23、17−23、17−24、18−24および18−25を含む。残基16と25の間のエピトープに特異的に結合する抗体は、Aβのプラークに結合せずに可溶性Aβに特異的に結合する。これらの種類の抗体は、患者または動物モデルの脳中のAβ沈着のプラークは特異的には結合せずに、患者または動物モデルで循環する可溶性Aβに特異的に結合することができる。抗体の可溶性Aβへの特異的結合は、Aβがプラークに取り込まれることを阻害し、すなわち患者にプラークが発生することを抑制するか、またはそのようなプラークが処置を投与する前にすでに発生している場合は、プラークのサイズまたは頻度をさらに増加させることを抑制する。
【0092】
好ましくは投与されるAβのフラグメントは、フラグメントに対するT細胞応答を生じるエピトープを欠いている。一般にT細胞エピトープは10個の連続するアミノ酸より大きい。故にAβの好適なフラグメントは、5〜10、または好ましくは7〜10個の連続するアミノ酸のサイズ、または最も好ましくは7個の連続するアミノ酸、すなわちT細胞応答を生じることなく抗体応答を生じるために十分な長さである。T細胞エピトープはフラグメントの免疫原活性には必要でなく、そして望ましくない炎症応答を患者の一部に引き起こす恐れがあるので、T細胞エピトープが存在しないことが好ましい(Anderson et al.(2002)J.Immunol.168,3697−3701;Senior (2002)Lancet Neurol.1,3)。
【0093】
フラグメントAβ15−25およびその7〜8個の連続するアミノ酸のサブフラグメントは、これらのペプチドがAβペプチドに対して一貫して高い免疫応答を生じるので好ましい。これらのフラグメントにはAβ16−22、Aβ16−23、Aβ16−24、Aβ17−23、Aβ17−24、Aβ18−24およびAβ18−25を含む。特に好適なAβ15−25サブフラグメントは、7個の連続するアミノ酸長である。表示Aβ15−21は、例えばAβの残基15〜21を含み、そしてAβの他の残基を欠くフラグメント、そして好ましくは7〜10個の連続するアミノ酸を示す。これらのフラグメントは末端特異的(end−specific)抗体を含む抗体応答を生成することができる。
【0094】
Aβのペプチド免疫原は、アミロイド沈着の排除(clearing)または防止における活性についてスクリーニングする必要がある(国際公開第00/72880号パンフレットを参照されたい。これはすべての目的についてその全部を本明細書に編入する)。AβのN−末端フラグメントの投与は、インビボおよびインビトロでAβ沈着を認識する抗体の生産を誘導する。自然に存在するAβ形に存在する少なくとも1つ、そして場合によっては少なくとも5または10個のC−末端アミノ酸を欠くフラグメントを、幾つかの方法では使用する。例えばAβ43のC−末端から5個のアミノ酸を欠くフラグメントは、AβのN−末端から最初の38個のアミノ酸を含む。
【0095】
特に示さない限り、Aβに対する参照には上記の自然なヒトアミノ酸配列ならびに対立遺伝子、種および誘導されたバリアントを含む類似体を含む。類似体は典型的には1、2もしくは数箇所の位置で、しばしば保存的置換により自然に存在するペプチドとは異なる。類似体は典型的には自然なペプチドと少なくとも80または90%の配列同一性を現す。また類似体の中には1、2もしくは数箇所の位置で非天然アミノ酸またはN−もしくはC−末端アミノ酸の修飾を含むものもある。例えばAβの1および/または7位の天然のアスパラギン酸残基は、イソアスパラギン酸に置き換えることができる。
【0096】
非天然アミノ酸の例はD、アルファ、アルファ−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、4−ヒドロキシプロリン、ガンマ−カルボキシグルタメート、イプシロン−N,N,N−トリメチルリシン、イプシロン−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、オメガ−N−メチルアルギニン、β−アラニン、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、チロキシン、ガンマ−アミノ酪酸、ホモセリン、シトルリンおよびイソアスパラギン酸である。また免疫原性ペプチドには、Aβおよびそのフラグメントの類似体を含む。本発明の幾つかの治療薬はオールDペプチド、例えばオールDAβ、オールDAβフラグメント、またはオールDAβもしくはオールDAβフラグメントの類似体である。フラグメントおよび類似体は、国際公開第00/72880号パンフレットに記載されているように、予防的または治療的効力について、未処置またはプラセボ対照と比較してトランスジェニック動物モデルでスクリーニングすることができる。
【0097】
またペプチド免疫原にはより長いポリペプチドも含み、これには例えばAβペプチドの免疫原を他のアミノ酸と一緒に含む。例えば好適な免疫原性ペプチドには異種アミノ酸配列に対するヘルパーT細胞応答、そしてこれによりAβセグメントに対するB細胞応答を誘導する異種アミノ酸配列に連結されたAβのセグメントを含んでなる融合タンパク質を含む。そのようなポリペプチドは、予防的または治療的効力について国際公開第00/72880号パンフレットに記載されているように、未処置またはプラセボ対照と比較して動物モデルでスクリーニングすることができる。
【0098】
Aβペプチド、類似体、免疫原フラグメントまたは他のポリペプチドは、分けられた(disaggregated)、または凝集した形態で投与されることができる。分けられたAβまたはそのフラグメントとは、単量体のペプチド単位を意味する。分けられたAβまたはそのフラグメントは一般に可溶性であり、そして自己凝集して可溶性オリゴマー、プロトフィブリルおよびADDLを形成することができる。Aβおよびそのフラグメントのオリゴマーは通常、可溶性であり、そして主にアルファ−ヘリックスまたはランダムコイルとして存在する。凝集したAβまたはそのフラグメントとは、不溶性のベータシートアッセンブリーに会合したAβまたはそのフラグメントのオリゴマーを意味する。凝集したAβまたはそのフラグメントは、繊維状ポリマーも意味する。繊維は通常、不溶性である。幾つかの抗体は可溶性Aβまたはそのフラグメント、または凝集したAβまたはそのフラグメントのいずれかに結合する。抗体の中には可溶性Aβまたはそのフラグメント、および凝集したAβまたはそのフラグメントの両方に結合するものもある。
【0099】
また免疫原ペプチドは単量体の免疫原ペプチドの多量体も含む。Aβペプチド以外の免疫原ペプチドは、上に列挙したAβの1もしくは複数の好適なフラグメント(例えばAβ1−3、1−7、1−10および3−7)に対する免疫応答を誘導するはずである。
【0100】
本発明の免疫原ペプチドは、本発明の方法を使用して担体に連結されてコンジュゲートを形成する。免疫原ペプチドはそのアミノ末端で、そのカルボキシル末端で、または両方で担体に連結されてコンジュゲートを形成することができる。場合により、免疫原ペプチドの多くの反復がコンジュゲート中に存在することができる。
【0101】
AβのN−末端フラグメントは、そのC−末端で担体ペプチドに連結されてコンジュゲートを形成することができる。そのようなコンジュゲートでは、AβのフラグメントのN−末端残基がコンジュゲートのN−末端残基を構成する。したがってそのようなコンジュゲートは、遊離状態であるAβのN−末端残基を必要とするエピトープに結合する抗体を誘導するのに効果的である。本発明の幾つかの免疫原ペプチドは、コンジュゲートを形成するためにC−末端で担体ペプチドの1もしくは複数のコピーに連結したAβのN−末端セグメントの複数の反復を含んでなる。そのようなコンジュゲートに取り込まれたAβのN−末端フラグメントは時折、Aβ1−3から始まり、そしてAβ7−11で終わる。Aβ1−7、1−3、1−4、1−5および3−7は、Aβの好適なN−末端フラグメントである。幾つかのコンジュゲートは、Aβの異なるN−末端セグメントを直列に含んでなる。例えば、コンジュゲートはAβ1−7に続いて担体に連結されたAβ1−3を含んでなることができる。
【0102】
幾つかのコンジュゲートでは、AβのN−末端セグメントがそのN−末端で担体ペプチドに連結される。AβのN−末端セグメントと同じ変化を、C−末端連結を用いて使用することができる。幾つかのコンジュゲートはAβのN−末端セグメントのN−末端に連結された担体ペプチドを含んでなり、これは次いでAβの1もしくは複数のさらなるN−末端セグメントに直列に連結される。好ましくはそのような免疫原Aβフラグメントはいったん適切な担体に連結されれば、Aβの他のフラグメントに向かうことなくAβフラグメントに特異的に向けられた免疫応答を誘導する。
【0103】
本発明の免疫原ペプチドは、免疫原性の異種ペプチドを含む。免疫原ペプチドの中には、Aβフラグメントが担体に連結されて免疫原性の異種ペプチドを形成するものもある。この異種ペプチドは本発明の方法を使用して担体に連結されてコンジュゲートを形成する。これらの免疫原性の異種ペプチドの幾つかは、米国特許第5,196,512号明細書、欧州特許第378,881号および同第427,347号明細書に記載されているような破傷風トキソイドエピトープに連結されたAβのフラグメントを含んでなる。場合により免疫原ペプチドは、例えば担体のNおよびC末端の両方で1もしくは多数の担体のコピーに連結されて、免疫原性の異種ペプチドを形成することができる。他のこれら免疫原性の異種ペプチドは、米国特許第5,736,142号明細書に記載された担体ペプチドに連結されたAβのフラグメントを含んでなる。例えば免疫原性の異種ペプチドは、Aβ1−7、続いてAβ1−3、続いて担体を含んでなることができる。そのような免疫原性の異種ペプチドの例には:
【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【0106】
を含む。
【0107】
幾つかの免疫原性の異種ペプチドは、式2により表される免疫原ペプチドの多量体を含んでなり、ここでxは1〜5の整数である。好ましくはxは1、2または3であり、2が最も好適である。xが2である時、そのような多量体はMAP4と呼ばれる好適な形態で連結された4つの免疫原ペプチドを有する(米国特許第5,229,490号明細書を参照にされたい)。そのような免疫原ペプチドは、次いで本発明の方法を使用して担体に連結されてコンジュゲートを形成する。
【0108】
MAP4形態を以下に示し、ここで分枝構造はN−末端およびリシンの側鎖アミンの両方でペプチド合成を開始することにより生産される。リシンが配列に取り込まれ、そして分枝される回数に依存して、生じる構造は多くのN−末端を与える。この例では、4つの同一のN−末端が分枝したリシン含有コア上に生産された。そのような多重性(multiplicity)はコグネイトB細胞の応答性を大きく強化する。
【0109】
【化8】

【0110】
そのような免疫原性の異種ペプチドの例には:
【0111】
【表9】

【0112】
【化9】

【0113】
を含む。
【0114】
Aβペプチド、類似体、活性フラグメントまたは他のポリペプチドは、会合した形または多量体形または解離形で投与することができる。また治療薬は単量体の免疫原物質の多量体を含む。Aβペプチド以外の作用物質は上に列挙したAβ(例えば1−10、1−7、1−3および3−7)の1もしくは複数の好適フラグメントに対する免疫応答を誘導すべきであり、そして本発明の方法を使用して担体に結合され得る。好ましくはそのような作用物質がいったん適切な担体に結合されれば、Aβの他のフラグメントに向かうことなくこれらのフラグメントの1つに特異的に向けられた免疫応答を誘導する。ペプチド免疫原と担体との結合を促進するために、さらなるアミノ酸を抗原決定基の末端に付けることができる。このさらなる残基もペプチド免疫原の物理的または化学的特性を修飾するために使用することができる。チロシン、システイン、リシン、グルタミン酸またはアスパラギン酸等のようなアミノ酸は、ペプチド免疫原のC−またはN−末端に導入することができる。加えて、グリシンおよびアラニンのようなアミノ酸を含有するペプチドリンカーも導入することができる。さらに抗原決定基は、末端NH−基のアシル化により、例えばアルカノイル(C1−C20)またはチオグリコリルアセチル化により、末端カルボキシアミド化、例えばアンモニア、メチルアミン等により修飾されることにより自然な配列とは異なることができる。場合により、これらの修飾は支持体または他の分子を連結するための部位を提供することができる。
【0115】
本明細書に開示する方法を使用して、本発明のコンジュゲートを生成するために使用するペプチド免疫原は、連結を介して合わせてポリマー(多量体)を形成するか、または混合物として連結を含まずに組成物中に配合することができる。ペプチドが同一のペプチドに連結される場合、これによりホモポリマー、複数の反復するエピトープ単位が与えられる。例えば多抗原ペプチド技術を使用して、CTLおよび/または抗体ペプチドおよびペプチドの両方を含有するポリマーを構築する。ペプチドが異なる場合(例えば異なるウイルスサブタイプを表すカクテル、サブタイプ中の異なるエピトープ、異なるHLA拘束特異性、またはT−ヘルパーエピトープを含むペプチド)、反復単位を持つヘテロポリマーが提供される。共有結合に加えて、分子間および構造内結合を形成することができる非共有的連結も意図する。
【0116】
そのようなペプチド免疫原およびそれらの類似体は、固相ペプチド合成または組換え発現により合成されるか、あるいは天然資源から得られる。自動化ペプチド合成器が、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)(フォスターシティ、カリフォルニア州)のような多くの供給元から市販されている。
【0117】
組換え発現は、バクテリア(大腸菌(E.coli)のような)、酵母、昆虫細胞または哺乳動物細胞で行うことができる。組換え発現に関する手順は、Sambrook et al.モレキュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(コールドスプリングハーバーラ出版、ニューヨーク、第2版、1989)に記載されている。幾つかの免疫原ペプチドは市販されている(例えばアメリカン ペプチド カンパニー(American Peptide Company)社、サニーヴァレ、カリフォルニア州およびカリフォルニア ペプチド リサーチ(California Peptide Research)社、ナパ、カリフォルニア州)。
【0118】
ペプチドまたは他の化合物のランダムライブラリーも、ペプチド免疫原としての適性をスクリーニングすることができる。組み合わせライブラリーは、段階的様式で合成することができる多くの種類の化合物について生成することができる。そのような化合物にはポリペプチド、ベータ回転模造物、ホルモン、オリゴマー性N−置換グリシン、およびオリゴカルバメート等を含む。化合物の大きな組み合わせライブラリーは、国際公開第95/12608号、同第93/06121号、同第94/08051号、同第95/35503号および同第95/30642号パンフレット(それぞれすべての目的について、引用により本明細書に編入する)に記載されているコード化合成ライブラリー(Coded synthetic library:ESL)法により構築することができる。ペプチドライブラリーもファージディスプレイ法(例えばDevlin、国際公開第91/18980号パンフレットを参照にされたい)により作成することができる。
免疫原ペプチドのタンパク質担体への誘導化および結合
ペプチド免疫原のタンパク質/ポリペプチド担体への結合部位、およびペプチド免疫原を担体に結合するために使用する架橋結合剤の性質の両方が、それに対して生成される抗体の特異性に重要である。正しい認識には、ペプチド免疫原は適切な方向を持つ担体にカップリングされなければならない。続いて抗体に、担体が無い遊離ペプチドを認識させるために、ペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートは、ペプチド免疫原を露出および接近可能な状態で存在しなければならない。最適な方向性はペプチド免疫原上の特異的部位に対して架橋結合反応を向けることにより達成されることが多い。ペプチド免疫原を用いてこれを行うための1つの方法は、ペプチド合成中に末端システイン残基を付けることによる。これにより担体への結合のためにペプチドの1つの末端にスルフヒドリル基が提供される。この基を介した架橋結合は、ペプチド免疫原の1つの末端のみに結合を提供し、これにより一貫した方向性が確実となる。
【0119】
ペプチド免疫原−担体コンジュゲートにおいて、目標は担体の天然状態または安定性を維持することではなく、ハプテンを最も可能性があるように免疫系に提示することである。この目標を達成するために、結合化学の選択はハプテンに対して生成した抗体に生じる力価、親和性および特異性を制御することができる。場合により非制限様式で抗原を提示するために十分な長さのスペーサーアームを含有する架橋結合剤を選択することが重要になるかもしれない。担体表面上のペプチド免疫原の密度を制御することも重要かもしれない。少なすぎるペプチド免疫原の置換は、応答をほとんど生じないか、または生じない。ペプチド免疫原の密度が高すぎると、実際には免疫抑制および応答の減少を引き起こす恐れがある。さらに架橋剤自体が望ましくない免疫応答を生じ得る。これらの事柄から、適切な架橋結合剤だけでなく、適切なタンパク質/ペプチド担体とペプチド免疫原の比率の選択も考慮する必要がある。
【0120】
タンパク質/ペプチド担体をペプチド免疫原に結合する種々の手段が可能である。イオン的相互作用は、リシンのε−アミノ基の末端またはそれを介して可能である。残基の側基とペプチド免疫原との間の水素結合も可能である。最後にタンパク質/ペプチド担体と免疫原ペプチドとの間の立体配置的相互作用は、安定な結合を生じ得る。
【0121】
ペプチド免疫原−担体コンジュゲートは、ゼロ−長、ホモ二官能性またはヘテロ二官能性架橋剤のような種々の架橋コンジュゲート剤を使用して成功裏に作成されてきた。生物結合(bioconjugation)のための最も小さな利用可能な試薬系は、いわゆるゼロ−長架橋剤である。これらの化合物はさらなる原子を含まない結合を形成することにより、2つの分子の結合を媒介する。すなわち分子の1つの原子がスペーサーである。多くの結合スキームにおいて、最終的な複合体は外来構造を架橋結合される物質に付ける化学成分により一緒に結合される。幾つかの応用では、これらの介入リンカーの存在が意図する用途に決定的となり得る。例えばペプチド免疫原−担体コンジュゲートの調製では、複合体は結合したハプテンに対する免疫応答を生じることを意図して形成される。場合によりこの応答により生産される抗体の一部は、結合手順で使用する架橋結合剤に対する特異性を有する。ゼロ−長の架橋結合剤は、2つの物質間の直接的連結を媒介することによりこの種の交差反応性の可能性を排除する。
【0122】
修飾に使用する第1の架橋結合剤であったホモ二官能性試薬および高分子の結合は、両末端に同じ官能基を含む生物反応性化合物からなった(Hartman and Wold,1966)。これらの試薬は両分子上の同じ共通する基と共有的に反応することにより、1つのタンパク質をもう別のタンパク質に結ぶことができた。すなわち1つのタンパク質のリシンのε−アミンまたはN−末端アミンを、第2のタンパク質上の同じ官能基に、ホモ二官能性試薬の存在下で単に2つを一緒に混合することにより架橋結合することができた。
【0123】
ヘテロ二官能性結合試薬は、タンパク質および高分子上の2つの異なる官能的標的にカップリングすることができる2つの異なる反応基を含む。例えば架橋剤の1部はアミン反応基を含むことができ、一方、もう1つのタンパク質はスルフヒドリル反応基からなることができる。この結果は架橋結合反応を目的分子の選択部分に向ける能力であり、これにより結合工程により良い制御を生じる。
【0124】
ヘテロ二官能性試薬は、ホモ二官能性架橋剤を使用してしばしば得られる重合化の程度を限定する2または3段階工程で、タンパク質および他の分子を架橋結合するために使用される。
【0125】
現在、ゼロ−長のホモ二官能性またはヘテロ二官能性架橋剤を使用して、ペプチド免疫原をペプチド/ポリペプチド担体にカップリングするためにの多くの方法を使用することができる。多くの方法がアミン、アミド、ウレタン、イソチオウレアまたはジスルフィド結合を、または場合によりチオエーテル結合を生じる。タンパク質またはペプチドをペプチドにカップリングするためのより一般的な方法は、二官能性架橋試薬を利用する。これらは、各末端に活性基を有する小さいスペーサー分子である。スペーサー分子は、同一または異なる活性基を各末端に有することができる。最も普通の活性な官能基、カップリング基および形成される結合は:
1.アルデヒド−アミノ→2級アミン
2.マレイミド−スルフヒドリル→チオエーテル
3.シクシンイミド−アミノ→−アミド
4.イミデートエステル−アミノ→アミド
5.フェニルアジド−アミノ→フェニルアミン
6.アシルハライド−スルフヒドリル→チオエーテル
7.ピリジルジスルフィド−スルフヒドリル→ジスルフィド
8.イソチオシアナト−アミノ→イソチオウレア
上記担体タンパク質の反応性は、担体タンパク質がペプチド免疫原に結合され得るような、架橋結合剤により修飾されるその能力という意味で、分子の3次元構造における個々のアミノ酸のアミノ酸組成および配列の位置により、ならびにペプチド免疫原のアミノ酸組成により決定される。
【0126】
タンパク質/ペプチド担体と他のペプチド(例えばタンパク質/ペプチド担体およびペプチド免疫原)との間のリンカー(L)の場合、スペーサーは典型的にはAla、Glyまたは非極性アミノ酸もしくは中性の極性アミノ酸の他の中性のスペーサーから選択される。特定の態様では、中性スペーサーはAlaである。場合により存在するスペーサーは同じ残基からなる必要はなく、したがってヘテロ−またはホモ−オリゴマーであることができる。例示的なスペーサーにはAlaのホモ−オリゴマーを含む。存在する時には、スペーサーは通常、少なくとも1もしくは2個の残基、より通常には3〜6個の残基である。別の態様では、タンパク質/ペプチド担体はペプチド免疫原に、好ましくはアミノ末端に配置されたタンパク質/ペプチド担体を用いて結合される。ペプチドはAla−Ala−Ala等のような中性リンカーにより連結され、そしてさらに典型的にはSer−Ser連結等を介してペプチドコンジュゲートのアミノ末端に付けられたLys残基((PAM)−Lys)のアルファおよびイプシロンアミノ基に付けられたパルミチン酸等のような脂質残基を含むことができる。
【0127】
本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ1−5−L、Aβ1−7−L、Aβ1−9−LおよびAβ1−12−Lからなる群から選択されるAβフラグメントである。本発明の幾つかの観点では、リンカーはGAGA(配列番号10)である。
【0128】
ペプチド免疫原を担体を用いて結合し易くするために、さらなるアミノ酸を抗原決定基の末端に加えることができる。またさらなる残基は、ペプチド免疫原の物理的または化学的特性を修飾するためにも使用することができる。チロシン、システイン、リシン、グルタミン酸またはアスパラギン酸等のようなアミノ酸を、ペプチド免疫原のC−もしくはN−末端に導入することができる。さらにグリシンおよびアラニンのようなアミノ酸を含有するペプチドリンカーも導入することができる。加えて抗原性決定基は、末端NH−基のアシル化により、例えばアルカノイル(C1−C20)またはチオグリコリルアシル化、末端カルボキシアミド化、例えばアンモニア、メチルアミン等による修飾により自然な配列とは異なることができる。場合により、これらの修飾は支持体または他の分子を連結するための部位を提供することができる。
【0129】
本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ1−5−C、Aβ1−7−C、Aβ1−9−CおよびAβ1−12−Cからなる群から選択されるAβフラグメントであり、ここでCはシステインアミノ酸残基である。本発明の幾つかの観点では、ペプチド免疫原はAβ1−5−L−C、Aβ1−7−L−C、Aβ1−9−L−CおよびAβ1−12−−L−Cからなる群から選択されるAβフラグメントである。
【0130】
ペプチド免疫原はタンパク質/ペプチド担体に直接的に、またはペプチド免疫原のアミノまたはカルボシ末端のいずれかでリンカーを介して連結される。ペプチド免疫原またはタンパク質/ペプチド担体のいずれかのアミノ末端をアシル化することができる。加えて、ペプチド免疫原−タンパク質/ペプチド担体コンジュゲートは、以下に記載するようなGly、Gly−Gly、Ser、Ser−Serのような1もしくは複数の連結残基を介して特定のアルカノイル(C−C20)脂質に連結することができる。他の有用な脂質部分にはコレステロール、脂肪酸等がある。
【0131】
ペプチド免疫原は化学的架橋結合により担体に連結することができる。免疫原を担体に連結する技術には、−スクシンイミジル−3−(2−ピリジル−チオ)プロピオネート(SPDP)(Carlsson,J.et al(1978)Biochem J.173:723)、およびスクシンイミジル4−(−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)(ペプチドがスルフヒドリル基を欠く場合、これはシステイン残基をハプテンに加えることにより提供できる)を使用したジスルフィド結合の形成を含む。これらの試薬はそれら自体と1つのタンパク質上のペプチドのシステイン残基との間にジスルフィド結合を、そしてリシン上のε−アミノを、または他のアミノ酸の遊離アミノ基を介したアミド結合を作成する。そのような種々のジスルフィド/アミド形成剤がImmune.Rev.62:85(1982)に記載されている。他の二官能性カップリング剤はジスルフィド結合よりはむしろチオエーテル結合を形成する。チオエーテル形成試薬には、6−マレイミドカプロン酸、2−ブロモ酢酸および2−ヨード酢酸、4−(−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸の反応性エステルを含む。カルボキシル基は、それらをスクシンイミドまたは1−ヒドロキシ−2−ニトロ−4−スルホン酸、ナトリウム塩と合わせることにより活性化することができる。
【0132】
最も頻繁には、リシン残基は担体タンパク質上に見いだされる最も豊富なアミノ酸残基であり、そしてこれらの残基は架橋結合剤を使用して修飾されて、次にハプテンにカップリングされる求核部位を生成する。このカップリングは化学的に活性なハプテン分子上の親水性側鎖を介してなされる。これらには幾つかを挙げれは、アルギニンのグアニジル基、グルタミン酸およびアスパラギン酸の(−カルボキシル基、システインのスルフヒドリル基、およびリシンのε−アミノ基がある。ここで他の分子にカップリングすることができるように、タンパク質の修飾は、タンパク質担体またはハプテン分子上の任意の側鎖と反応する架橋結合剤を使用してなされる。
【0133】
本発明の1つの観点では、リンカー分子を含むか、または含まない担体タンパク質は、求核性基を導入するためにさらに修飾することができる、担体タンパク質分子に反応性部位を導入する試薬で官能化(誘導化)される。1つの態様では、担体はシステインのスルフヒドリル基、リシンの1級ε−アミン基、α−アミンのα末端、メチオニンのチオエーテルおよびヒスチジンの両イミダゾリル側鎖の窒素のようなタンパク質のアミノ酸残基上の多数の官能基と優先的に反応するハロアセチル化試薬と反応させる(Gurd,1967)。好適な態様では、担体タンパク質のリシン残基上の1級ε−アミン基がbN−ヒドロキシスクシンイミジルブロモアセテートで誘導化されて、ブロモアセチル化担体を生成する。ペプチド免疫原と活性化タンパク質担体の結合は、活性化担体をペプチド免疫原を含有する溶液にゆっくりと加えることにより行った。
【0134】
本発明の方法を使用することにより、上記のB章で検討したペプチド免疫原は、上記のA章で検討した任意の担体に結合することができる。本発明の方法から生じたコンジュゲートは、受動/能動免疫療法で使用するAβに対して抗体を生成するための免疫原として使用される。さらに担体に連結されたAβまたはAβフラグメントは、Aβに対するモノクローナル抗体の生産で実験動物に投与することができる。
【0135】
本発明の1つの観点では、コンジュゲートはAβ1−7−CRM197、(Aβ1−7x3)−CRM197、および(Aβ1−7x5)−CRM197からなる群から選択されるコンジュゲートである。本発明の1つの観点では、コンジュゲートはCRM197−Aβ1−5、CRM197−Aβ1−7、CRM197−Aβ1−9およびCRM197−Aβ1−12からなる群から選択されるコンジュゲートである。本発明の別の観点では、コンジュゲートはAβ1−5−C−CRM197、Aβ1−7−C−CRM197、Aβ1−9−C−CRM197、Aβ1−12−C−CRM197、Aβ16−23−C−CRM197、Aβ17−24−C−CRM197、Aβ18−25−C−CRM197、CRM197−C−Aβ16−23、CRM197−C−Aβ17−24、CRM197−C−Aβ18−25、Aβ16−22−C−CRM197、Aβ17−23−C−CRM197、Aβ18−24−C−CRM197、CRM197−C−Aβ16−22、CRM197−C−Aβ17−23およびCRM197−C−Aβ18−24からなる群から選択されるコンジュゲートである。本発明のさらに別の観点では、コンジュゲートはAβ1−5−L−C−CRM197、Aβ1−7−L−C−CRM197、Aβ1−9−L−C−CRM197およびAβ1−12−L−C−CRM197からなる群から選択されるからなる群から選択されるコンジュゲートである。
キャッピング
反応性部位を担体および/またはハプテン分子上の反応性アミノ酸分子の側鎖に導入するカップリング試薬を使用することの欠点は、反応性部位が中和されていなければ、インビトロまたはインビボのいずれかで任意の望ましくない分子と自由に反応する点である。本発明の方法では、未反応官能基のキャッピングがペンダント反応基を持つコンジュゲートと反応性基を不活性化/キャップする試薬との反応によりなされる。本発明の結合法で使用する不活性化/キャッピング試薬の例には、−アセチルシステアミンおよびエタノールアミンがある。あるいはキャッピングはアンモニアまたは重炭酸アンモニウムとの反応によりなされ、いずれもハロアセチル基をアミノアセチル基に変換する。またキャッピングは水酸化ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムを使用してアルカリ性pH(9.0−9.8)でも行われ、これはハロアセチル基をヒドロキシアセチル基に変換する。ハロアセチル基をアミノアセチルまたはヒドロキシアセチル基に変換する1つの利点は、システアミン誘導体、エタノールアミン等との反応に反して、アンモニアまたは水酸化物/炭酸塩との反応による比較的小さいサイズの化学的官能基の導入である。生じるキャップ化官能基、例えばアミノアセチルまたはヒドロキシアセチルは、コンジュゲートの担体タンパク質部分に比較的少ない不安定性(perturbance)を与える。キャップ化されたペプチド免疫原−担体タンパク質は、クロマトグラフィー(ゲル濾過、イオン交換、疎水性相互作用または親和性)、透析、限外濾過−透析濾過、硫酸アンモニウムまたはアルコールを用いた分別沈殿等のような既知の方法を使用して、必要に応じて精製される。
免疫原コンジュゲートおよび組成物
キャップ化されたペプチド免疫原−担体タンパク質コンジュゲートは、予防および/または治療目的で免疫原組成物中にて哺乳動物、特にヒトに投与される。本発明のコンジュゲートは、免疫原に対する免疫応答を誘発および/または強化するために使用される。例えばCTL−担体コンジュゲートは、ウイルス感染 、アミロイド形成疾患、ガン等を処置および/または防止するために使用される。あるいは抗体応答を誘導するポリペプチド免疫原−担体コンジュゲートも使用される。本発明のコンジュゲートを使用して処置できる疾患の例は、種々のバクテリア感染、ウイルス感染、真菌感染、寄生生物感染およびガンを含む。
【0136】
治療的応用では、本発明のコンジュゲートはアルツハイマー病のようなアミロイド形成疾患、ガンにすでに罹患した、または病原性微生物に感染した個体に投与される。疾患の潜伏期または急性期に、本発明のコンジュゲートを他の処置と別個に、または適切ならば一緒に用いて処置することができる。
【0137】
治療的応用では本発明の免疫原組成物は、微生物、アミロイドプラーク、またはガン細胞上で発現される腫瘍抗原に対して効果的なCTL応答または体液性応答が誘発されるために、そして治癒するために、または少なくとも部分的に疾患の進行、症状および/または合併症を止めるために十分な量で患者に投与される。これを達成するために十分な量を、「治療に有効な用量」と定める。この使用に有効な量は、一部はペプチド組成物、投与様式、処置する疾患の段階および重篤度、患者の体重および一般的な健康状態、および処方する医師の判断に依存する。
【0138】
本発明の免疫原組成物の治療に有効な量は、一般に治療または予防的投与の初回免疫感作については、70kgの患者について約0.1μg〜約10,000μgのペプチド、通常は約0.1〜約8000μg、好ましくは約0.1〜約5000μg、そして最も好ましくは約0.1〜約1000μgの間の範囲である。これらの投与に続いて、約0.1μg〜約1000μgのペプチドの追加免疫投薬用量が、特異的免疫応答を測定することにより患者の応答および状態に依存して追加免疫感作の処方に準じて数週間から数カ月にわたり続けられる。
【0139】
さらに本発明はバクテリア感染、ウイルス感染、真菌感染、寄生生物感染、アミロイド形成疾患またはガンを予防的に防止し、かつ/または改善するために使用される。有効量は上記の通りである。さらに当業者は、適切ならば追加免疫し、そして投薬用量および投薬計画を調整することにより、予防的処置をどのように調整または修飾するかを知っている。
【0140】
治療的投与は疾患の最初の兆候または腫瘍の検出もしくは外科的除去、または急性の感染の場合は診断直後に始められる。これに続いて追加免疫投与は疾患の進行が停止するか、または逆行するか、または症状が実質的に弱まるまで、そしてその後の期間続けられる。慢性的感染では、初期の高用量に続いて追加免疫感作の投与が必要となるかもしれない。
【0141】
感染した個体を本発明の組成物で処置することは、急に感染した個体における感染の消散を促進することができる。慢性感染を起こし易い(または素因がある)個体には、組成物は急性または慢性の感染からの進行的変化(evolution)を防止する方法において有用である。例えば本明細書に記載するように影響を受け易い個体が感染前、または感染中に同定された場合、組成物は彼らを標的とすることができ、大多数に投与する必要性を最小にする。
【0142】
また本発明のコンジュゲートは、慢性感染を処置し、そして免疫系を刺激して潜伏感染している個体のウイルスに感染した細胞を排除するために使用される。一定量の本発明の免疫原組成物を、免疫応答を効果的に誘発および/または強化するために十分な製剤および投与様式で提供することが重要である。すなわち慢性感染の処置には、代表的な用量は70kgの患者について投与あたり約0.1μg〜約10,000μgのペプチド、通常は約0.1〜約8000μg、好ましくは約0.1〜約5000μgの間、そして最も好ましくは約0.1〜約1,000μgの間の範囲である。免疫感作投与に続いて追加免疫感作が、確立した間隔、例えば1から4週間、可能であればより長期間、個体を効果的に免疫感作するために必要とされ得る。慢性感染の場合、投与は少なくとも臨床的症状または研究室での試験が、ウイルス感染が排除されたか、または実質的に停止したことを示すまで、そしてその後の一定期間、続けられるべきである。
【0143】
治療的または予防的処置用の本発明の免疫原組成物は、予防的および/または治療的処置に非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、腹腔内、鼻内または筋肉内の手段により投与することができる。免疫原性作用物質の1つの典型的な投与経路は皮下であるが、他の経路も等しく効果的となり得る。他の通常の経路は筋肉内注射である。この種の注射は最も多くは腕または脚の筋肉に行われる。幾つかの方法では、作用物質は沈積が蓄積する直接特定の組織に直接注射され、これは例えば頭蓋内注射である。筋肉内注射または静脈内注入は、抗体の投与に好適である。幾つかの方法では、特定の治療用抗体が頭蓋に直接注射される。投与の容易さから、本発明の免疫原組成物は経口投与に特に適している。さらに本発明は非経口投与用の免疫原組成物を提供し、これは許容され得る担体、好ましくは水性担体に溶解または懸濁されたペプチドまたはコンジュゲートの溶液を含んでなる。
【0144】
種々の希釈剤、賦形剤およびバッファー、例えば水、緩衝水、リン酸緩衝化生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸等を使用することができる。これらの組成物は通常の周知滅菌技術により滅菌されることができ、あるいは滅菌濾過されることができる。生じた水溶液はそのまま使用されるために包装されるか、または凍結乾燥されることができ、凍結乾燥された調製物は投与前に滅菌溶液と合わせられる。組成物は緩衝剤、張性調節剤、湿潤剤等、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレート等のような製薬学的に許容され得る補助物質を、生理学的条件に近づけるために必要に応じて含むことができる。
【0145】
固体組成物について、通例の非毒性固体担体を使用することができる。これらには例えば製薬学的等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、シュクロース、炭酸マグネシウム等を含むことができる。経口投与には、製薬学的に許容され得る非毒性の組成物は、すでに列挙した担体のような通常に使用される任意の賦形剤、および一般に10〜90%の有効成分(すなわち本発明の1もしくは複数のコンジュゲート)、そしてさらに好ましくは25〜75%を包含させることにより形成される。
【0146】
製薬学的製剤中の本発明の免疫原組成物の濃度は、約0.1%未満から、通常少なくとも約20%から多くても20%〜50重量%以上で広く変動することができ、そして主に特定の投与様式に従い流体の容量、粘性等により選択される。
【0147】
本発明のコンジュゲートは、リポソームを介して投与することもでき、リポソームはコンジュゲートをリンパ組織のような特定の組織に標的させるために、あるいは感染細胞に対して目標とする選択性のために、ならびにペプチド組成物の半減期の上昇に役立つ。リポソームにはエマルション、泡沫、ミセル、不溶性単層、液体結晶、リン脂質分散物、ラメラ層等を含む。これらの調製物では、送達される組成物はリポソームの一部として、単独で、または例えばリンパ球細胞に広く存在する受容体に結合する分子と結合して包含される。これらの分子は、CD45抗原に結合するモノクローナル抗体を、または他の治療用もしくは免疫原組成物を一緒に含む。すなわち本発明の所望の組成物で充填されたリポソームをリンパ球細胞の部位に向けることができ、次いでここでリポソームは選択した治療薬/免疫原ペプチド組成物を送達する。本発明で使用するためのリポソームは、一般に中性および負に荷電したリン脂質およびコレステロールのようなステロールを含む標準的な小胞形成脂質から形成される。脂質の選択は、一般にリポソームサイズ、耐酸性および血流中でのリポソームの安定性を考慮して導かれる。例えばSzoka,et al.,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980)、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号および同第5,019,369号明細書(引用により本明細書に編入する)に記載されているような、様々な方法をリポソームの調製に使用することができる。
【0148】
免疫細胞を標的とするために、リポソームに包含されるリガンドは所望する免疫系の細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体またはそのフラグメントを含むことができる。本発明の組成物を含有するリポソーム懸濁物は、静脈内、局所(locally)、局所(topically)等に、とりわけ投与様式、送達される組成物および処置する疾患の段階に従い変動する用量で投与され得る。
【0149】
エーロゾル投与には、本発明の組成物は好ましくは表面活性剤および推進薬と一緒に微細に分割された状態で供給される。典型的な組成物の割合は、0.01〜20重量%、好ましくは1〜10%である。もちろん表面活性剤は非毒性でなければならず、そして好ましくは推進薬中で溶解性である。そのような代表的な作用剤は、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステリン酸およびオレイン酸のような6〜22個の炭素原子を含有する脂肪酸と、脂肪族多価アルコールまたはその環式無水物とエステルもしくは部分エステルである。混合または天然グリセリドのような混合エステルを使用してもよい。表面活性剤は組成物の0.1〜20重量%を構成し、好ましくは0.25〜5%である。組成物のバランスは、通常は推進薬である。また所望により鼻内送達用のレシチンのように担体を含めることもできる。
【0150】
本発明の組成物はモノクローナル抗体を作成するためにも使用することができる。そのような抗体は診断薬または治療薬として有用となり得る。
【0151】
本発明の組成物は診断用試薬としての用途を見いだすこともできる。例えば本発明の組成物は、ポリペプチド免疫原を使用する処置法に対する特定個体の感受性を測定するために使用することができ、すなわち既存の処置プロトコールを修飾するために、または罹患した個体の予後を測定するために役立つことができる。さらに本発明の組成物は、どの個体が慢性感染を発症する実質的な危険性があるかを予測するためにも使用することができる。
【0152】
本発明のコンジュゲートは、場合により疾患および/またはその症状の処置および/または改善に少なくとも部分的に効果的である他の作用物質と組み合わせて投与することができる。アミロイド沈着が脳で起こるアルツハイマー病およびダウン症候群の場合、本発明のコンジュゲートは脳血管関門を渡る本発明の作用物質の通過を上げる他の作用物質と一緒に投与することができる。
【0153】
免疫原組成物は典型的にはアジュバントを含む。アジュバントは免疫原または抗原と一緒に投与された時、免疫応答を強化する物質である。多数のサイトカインまたはリンホカインは免疫調節活性を有することが示され、すなわちアジュバントとして使用することができ、それらには限定するわけではないがインターロイキン1−α、1−β、2、4、5、6、7、8、10、12(例えば米国特許第5,723,127号明細書を参照にされたい)、13、14、15、16、17および18(およびその変異体形)、インターフェロン−α、βおよびγ、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(例えば米国特許第5,078,996号明細書を参照にされたい)、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、GSFおよび腫瘍壊死因子αおよびβを含む。本発明に有用なさらに別のアジュバントには、限定するわけではないがMCP−1、MIP−1α、MIP−1β、およびRANTESを含むケモカインを含む。セレクチン、例えばL−セレクチン、P−セレクチンおよびE−セレクチンのような接着分子もアジュバントとして有用である。さらに別の有用なアジュバントには限定するわけではないが、ムチン様分子、例えばCD34、GlyCAM−1、およびMadCAM−1、LEA−1、VLA−1、Mac−1およびp150.95のようなインテグリンファミリーのメンバー、PECAM、ICAM、例えばICAM−1、ICAM−2およびICAM−3、CD2およびLFA−3のような免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、CD40およびCD40Lのような同時刺激分子、血管増殖因子、神経成長因子、繊維芽細胞増殖因子、上皮増殖因子、B7.2、PDGF、BL−1および血管内皮増殖因子のような増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARF、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2およびDR6を含む受容体分子を含む。さらに別のアジュバント分子には、カスパーゼ(ICE)を含む。国際公開第98/17799号および同第99/43839号パンフレット(すべての目的に関して、引用により全部、本明細書に編入する)を参照にされたい。
【0154】
免疫応答を強化するために使用する適切なアジュバントには、限定するわけではないが米国特許第4,912,094号明細書(すべての目的に関して、引用により全部、本明細書に編入する)に記載されているMPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA;コリキサ(Corixa)、ハミルトン、マサチューセッツ州)を含む。またアジュバントとして使用するために適切であるのは、コリキサ(ハミルトン、マサチューセッツ州)から入手可能であり、そして米国特許第6,113,918号明細書(引用により全部、本明細書に編入する)に記載されているリピドA類似体またはアミノアルキルグルコサミンフォスフェート化合物(AGP)またはその誘導体もしくは類似体である。1つのそのようなAGPは2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンシラミノ]エチル2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O[(S)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシ−テトラデカノイル−アミノ]−b−D−グリコピラノシド(これは529(RC529としても知られている;コリキサ)としても知られている)である。この529アジュバントは、水性状態(529AF)または安定なエマルション(529SE)として配合される。
【0155】
さらに別のアジュバントには、鉱物油および水エマルション、リン酸カルシウムのようなカルシウム塩、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム等のようなアルミニウム塩(alum)、Amphigen、Avridine、L121/スクワレン、D−ラクチド−ポリラクチド/グリコシド、プルロン酸、ポリオール、ムラミルジペプチド、死んだボルデテラ属(Bordetella)、米国特許第5,057,540号明細書(参考3により本明細書に編入する)に記載されたStimulon(商標)QS−21(アンチジェニックス(Antigenics)、フラミンガム、マサチューセッツ州)のようなサポニン、およびISCOMS(免疫刺激複合体)のようなそれらから生成された粒子、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、バクテリアリポ多糖、CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドのような合成ポリヌクレオチド(参照により本明細書に編入する米国特許第6,207,646号明細書)、百日咳トキシン(PT)、または大腸菌(E.coli)非耐熱性トキシン(LT)、特にLT−K63、LT−R72、PT−K9/G129を含む;例えば国際公開第93/13302号および同第92/19265号パンフレット(すべての目的について引用により本明細書に編入する)を参照にされたい。
【0156】
またアジュバントとして有用であるのは、コレラトキシンおよびその変異体であり、国際公開第00/18434号パンフレット(ここでアミノ酸29位のグルタミン酸が別のアミノ酸(アスパラギン酸以外、好ましくはヒスチジン)に置き換えられている)に記載されているものを含む。同様のCTトキシンまたは変異体が、国際公開第02/098368号パンフレット(ここでアミノ酸16位のイソロイシンが別のアミノ酸に単独で、またはアミノ酸68位のセリンの別のアミノ酸への置換と組み合わせて置き換えられ;および/またはアミノ酸72位のバリンが別のアミノ酸に置き換えられている)に記載されている。他のCTトキシンが国際公開第02/098369号パンフレット(ここでアミノ酸25位のアルギニンが別のアミノ酸に置き換えられ;および/またはアミノ酸がアミノ酸49位に挿入され;および/または2つのアミノ酸がアミノ酸35および36位に挿入されている)に記載されている。
【0157】
本明細書を通して、記載する結果を説明するための任意の理論に対する参考は、本発明の範囲を限定するものではないと理解される。本発明が機能する方法とは無関係に、本明細書に記載する結果および利点は、本発明の以下の実施例を参照にすることにより達成することができる。
【0158】
当業者は多くの変更および修飾を、添付する特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく行えることが明らかである。本明細書で言及したすべての刊行物、特許および特許出願は、各刊行物、特許または特許出願が具体的に、そして個別に引用により包含しているように、それらを全部、すべての目的に関して同程度に包含する。
【実施例】
【0159】
実施例1
CRM197のAβペプチドへの結合
ハプテン/抗原性ペプチドのコンジュゲートは、活性化担体CRM197(これは39個のリシン残基を有する)を、ペンダントチオール基を有するハプテン/抗原性ペプチドに以下に記載する方法を使用して反応させることにより行った(図1)。すべてのAβペプチドは、これらのペプチドをシステイニルスルフヒドリル基を介して担体タンパク質に結合し易くするためにカルボキシ末端にシステイン残基を含んだ。これらのペプチドは固相合成により生産された。
I.活性化
CRM197の遊離アミノ基は、過剰なブロモ酢酸−ヒドロキシスクシンイミドエステル(シグマケミカル(Sigma Chemical)社、セントルイス、ミズーリ州)を用いた反応によりブロモアセチル化した(Bernatowicz and Matsueda,1986)。CRM197(〜15mg)の氷冷溶液に、10(容量/容量)%の1.0M NaHCO(pH8.4)を加えた。ブロモ酢酸−ヒドロキシスクシンイミドエステル(使用したCRM197の重量に等しい)を200μLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、CRM197にゆっくりと加え、そして暗中、室温にて1時間穏やかに混合した。生じたブロモアセチル化(活性化)タンパク質は、PBS/1mM EDTA(pH7.0)を溶出液として使用して脱塩(P6−DG)カラムを通すことにより精製した。精製後、活性化CRM197に対応する画分をプールし、そしてタンパク質濃度をBCAタンパク質アッセイにより予想した。ブロモ酢酸−ヒドロキシスクシンイミドエステルで処理する前後の両方のタンパク質のアミノ基は、ブロモアセチル化の指標として役立つ2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBSA)で処理した(Means et al.,1972)。
II.結合
結合前に、ペプチドを5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)[Ellman’s試薬]と反応させて、遊離−SH基の含量を確認した(62〜88%の間で還元された)。最初の4種のAβペプチド(リンカーを持たないアミノ酸1〜7、GAGACリンカーを持つアミノ酸1〜12、GAGACリンカーを持つアミノ酸1〜9、およびGAGACリンカーを持つアミノ酸1〜7)については、約8.0〜10.0mgのペプチドを約20mg/mlの濃度に滅菌水に溶解した。ペプチドを冷却活性化CRM197に1:1の比率(重量/重量)でゆっくりと加え、そしてpHを約7.0〜7.2に20〜36μlの1N NaOHを加えて調整した。生じた物質は暗中、4℃で一晩穏やかに混合し、続いて暗中で2回、1リットルのPBS、pH7.2を交換することにより透析した。次の4種をAβペプチド(リンカーを持たないアミノ酸1〜5、リンカーを持たないアミノ酸1〜9、リンカーを持たないアミノ酸1〜12、およびリンカーを持つアミノ酸1〜5)について、Ellman’s試薬を用いた反応を使用して遊離−SH基を確認した。CRM197をブロモアセチル化し、精製し、そしてTNBSAと前に記載したように反応させた。各ペプチドのpHは2.2x溶解ペプチドの容量で0.1M NaPO(pH8.5)を加えることにより7.0に調整した。ペプチドは、冷却活性化CRM197に1:1の比率でゆっくりと加え、そして暗中、4℃で一晩反応させた。生じた物質を透析した。最後に対照ペプチド(逆方向の1〜12mer)は、以下の修飾を用いて上記のようにCRM197に結合させた。ペプチドのpHを7.0に調整するというよりは、活性化CRM197のpHを約7.5に、20(容量/容量)%の0.5M NaPO(pH8.0)を加えることにより調整した。透析後、各コンジュゲートを滅菌した15mLのポリプロピレン管に移し、アルミホイルで包み、そして4℃に保存した。次いで担体上の反応性アミノ残基の活性化は、質量分析を使用して引き続き確認した。
【0160】
【表10】

【0161】
実施例2
Aβペプチド−CRM197コンジュゲートの調製および限外濾過による精製
CRM197のブロモアセチル化
0.01Mのリン酸ナトリウムバッファー、0.9%NaCl、pH7.0中のCRM197(100mg)を、ブロモ酢酸−ヒドロキシスクシンイミドエステル(DMSO中20mg/mLに溶解)と1:1の重量比率でアルゴン雰囲気下にて反応させた。反応物は必要に応じて滴定し、7.0にpHを維持した。混合物は室温にて1.5時間、暗中で撹拌した。反応混合物はUF/DF系の保持リザーバー(ミリポア(Millipore)のラボスケールTFF、ビレリカ、マサチューセッツ州)に1.2μmで濾過した。精製は10Kまたは30K UF膜を使用して、0.01Mのリン酸ナトリウムバッファー/0.9%NaCl、pH7.0に対する透析濾過(30倍)により行った。ブロモアセチル化CRM197は、0.2μmのフィルターを通すことにより濾過した。ブロモアセチル化の程度は、活性化CRM197をシステインと反応させ、続いてアミノ酸分析そして生成したカルボキシメチルシステイン(CMC)の定量により測定した。
Aβペプチドおよびブロモアセチル化CRM197の結合およびN−アセチルシステアミンを用いたキャッピング
ブロモアセチル化CRM197(50mg)を反応容器に移した。2〜8℃を維持しながら、この撹拌溶液に1Mの炭酸/重炭酸ナトリウムを加えた。滴定を行って目標とするpH9.0にアルゴン雰囲気下で達した。別個に、50mgのAβペプチドを計り取り、そして注射用水(WFI)に20mg/mLで溶解した。この溶液にpH9.0が達成されるまで1Mの炭酸/重炭酸ナトリウムを加えた。ペプチド溶液をブロモアセチル化CRM197溶液に加え、そして混合物を2〜8℃で14〜18時間撹拌した。残るブロモアセチル基は、20倍モル過剰の−アセチルシステアミンで2〜8℃にて3〜6時間、キャッピングした。
【0162】
反応混合物はUF/DF系の保持リザーバー(ミリポア、XL)に1.2μmのフィルターを通して入れ、そしてコンジュゲートは室温で10Kまたは30KのMWCO膜(ミリポア)を使用して、0.01Mのリン酸ナトリウムバッファー/0.9%NaCl、pH7.0に対して30倍まで透析濾過することにより精製した。保持物を集め、そして0.2μmで濾過し、そしてSDS−PAGEにより、アミノ酸分析によりタンパク質含量(ローリーまたはマイクロ−BCA比色アッセイ)に関して、そしてマウスにおける免疫原性について分析した。
実施例3
未反応ブロモアセチル基のアミノアセチル基へのキャッピングによる変換
上記実施例2で調製したブロモアセチル化CRM197(50mg)を反応容器に移した。この撹拌溶液に、2〜8℃を維持しながら、1Mの炭酸/重炭酸ナトリウムを加えた。滴定を行って目標とするpH9.0にアルゴン雰囲気下で達した。別個に、50mgのAβペプチドを計り取り、そしてWFIに20mg/mLで溶解した。この溶液にpH9.0が達成されるまで1Mの炭酸/重炭酸ナトリウムを加えた。ペプチド溶液をブロモアセチル化CRM197溶液に加え、そして混合物を2〜8℃で14〜18時間撹拌した。残るブロモアセチル基は、8%の重炭酸アンモニウム溶液を使用して2〜8℃にて4時間、キャッピングした。
【0163】
反応混合物はUF/DF系の保持リザーバー(ミリポア、XL)に1.2μmのフィルターを通して入れ、そしてコンジュゲートは室温で10Kまたは30KのMWCO膜を使用して、0.01Mのリン酸ナトリウムバッファー/0.9%NaCl、pH7.0に対して30倍まで透析濾過することにより精製した。保持物を集め、そして0.2μmで濾過し、そしてSDS−PAGEにより、アミノ酸分析によりタンパク質含量(ローリーまたはマイクロ−BCA比色アッセイ)に関して、そしてマウスにおける免疫原性について分析した。
実施例4
ペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチドコンジュゲートの結合およびキャッピングの程度の評価としてのS−カルボキシメチルシステインおよびS−カルボキシメチルシステアミンの定量的測定
ブロモアセチル活性化化学を使用して生成したタンパク質−ペプチドコンジュゲートの酸加水分解は、結合した部位のシステインに由来する酸安定性S−カルボキシメチルシステイン(CMC)の形成、およびキャッピングした部位のシステアミンに由来する酸安定性S−カルボキシメチルシステアミン(CMCA)の形成を生じた(図2)。コンジュゲートおよびキャッピングしたリシンのすべては、リシンに変換して戻し、そしてそのまま検出した。すべての他のアミノ酸は、加水分解条件により破壊したトリプトファンおよびシステインを除いて遊離のアミノ酸に加水分解して戻した。アスパラギンおよびグルタミンはそれぞれアスパラギン酸およびグルタミン酸に変換した。
【0164】
コンジュゲートサンプルを脱イオン水で1mg/mL未満の総タンパク質濃度に希釈した。各コンジュゲートの2つの10マイクログラムのアリコートを乾燥させ、そして100μLの6N HCl[ピアス(Pierce)]、5μLの融解フェノール[シグマ−アルドリッチ(Aldrich)]および1μLの2−メルカプトエタノール[シグマ−アルドリッチ]に再懸濁した。次いでサンプルを真空(100mT)下、110℃で22時間インキュベーションした。生じた加水分解物を乾燥させ、250μLのベックマン(Beckman)Na−Sクエン酸ナトリウムサンプル希釈バッファー(pH2.2)[ベックマンインスツルメンツ(Beckman Instruments)社、フラートン、カリフォルニア州]に再懸濁し、そしてワットマン(Whatman)0.2μmナイロンシリンジチップフィルターおよび1mLのシリンジを使用して濾過した。
次いで各サンプルをベックマン6300アミノ酸分析機のサンプルループに乗せ、そして分析機に配置した。各加水分解サンプルおよび対照のアミノ酸は、イオン交換クロマトグラフィーにより分離し、続いてベックマンのニンヒドリンNinRX溶液と135℃で反応させた。次いで誘導化したアミノ酸は570nmおよび440nmの可視領域で検出した(表1を参照にされたい)。500ピコモルの各アミノ酸を含有するアミノ酸の標準組[ピアスアミノ酸標準H]を、各組の分析についてサンプルおよび対照と一緒に分析した。S−カルボキシメチルシステイン[シグマ−アルドリッチ]を標準に加えた。
【0165】
【表11】

【0166】
各標準ピークの面積を、各サンプルの比例評価に関して定量的均等物として使用した。プロリンは440nmで測定し、そして最も近いアミノ酸であるグルタミン酸を使用して570nmでの均等物に変換した。
【0167】
これらの各ピコモル値は、タンパク質中に存在する理論的なリシン値に対するリシンのピコモルの比較を使用してアミノ酸残基のモル比に変換した。リシンはシステインおよびシステアミンへのリシンの共有結合および予想される類似の加水分解に基づきこの評価に選択した。次いでアミノ酸の生じたモル数は、タンパク質のアミノ酸組成と比較し、そしてCMCおよびCMCAに関する値と一緒に報告した。CMC値は結合の程度の評価について直接使用し、そしてCMCA値はキャッピングの程度の評価について直接使用した。
実施例5
Aβ−CRM197ペプチドコンジュゲートの特性決定および至適化
結合を確認するために、すべてのペプチド−CRM197コンジュゲートをアミノ酸分析およびマトリックスアシステッドレーザー励起イオン化−飛行時間(MALDI−TOF)質量分析により分析した。各コンジュゲートに関して、各1モルのCRM197に結合したペプチドのモル数を、アミノ酸分析(S−カルボキシメチルシステイン残基の数)およびMALDI−TOF質量分析により測定した。各方法により測定した値は、概して一致した。
I.サイズ排除クロマトグラフィー
バッチ濃縮サンプルを貯蔵庫から取り出し、そして室温に暖めた。Aβペプチドコンジュゲートサンプルを穏やかに混合して、確実に均一な調製物とした。Aβペプチドコンジュゲートサンプルをエッペンドルフ(Eppendorf)マイクロ遠心機で遠心して、粒子を除いた。上清をトーソーハース(TosoHaas) TSK−Gel G3000SWクロマトグラフィー用に取り出した(トーソーハース、シュツットガルト、ドイツ)。トーソーハースTSK−Gel G3000SWカラムをHPLCシステムに連結し、そして圧限界を1.4MPaに設定した。カラムは少なくとも30mLのPBS(10mMのリン酸ナトリウム、150mMのNaCl、pH7.2±0.1)で0.75mL/分の流速で平衡化した。AβペプチドコンジュゲートサンプルをトーソーハースTSK−Gel G3000SWカラムに以下のパラメーターを使用して乗せた:
Aβペプチドコンジュゲートサンプルの濃度:1.5±1.0mg/mL
流速:0.75mL/分
サンプル容量:0.1mL
流した時間:30分
吸収は280nmおよび210nmの両方で監視した。長期間の保存には、トーソーハースTSK−Gel G3000SWカラムを少なくとも50mLの20%エタノールで0.5〜1.0mL/分の流速で平衡化した。
II.PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)
活性化(ブロモアセチル化)CRM197およびAβペプチド−CRM197コンジュゲートは、中性pH、プレ−キャストポリアクリルアミドミニ−ゲル系およびNuPAGE MES SDS泳動バッファー用いて、NuPAGE Bis−Tris電気泳動(ノベックス(Novex)、フランクフルト、ドイツ)を使用したSDS−Gelにより調査した。各活性化CRMまたはコンジュゲートの8ugアリコートを、還元サンプルバッファーと混合し、そして100℃で5分間煮沸した。コンジュゲートおよび分子量(MW)標準(インビトロジェン(Invitrogen)、カールスバット、カリフォルニア州)を、Bis−Tris−HCl緩衝系に基づく10%(重量/容量、アクリルアミド)NuPageゲル(ノベックス)に乗せ、そしてMES SDS泳動バッファー−PAGE(レムリー(Laemmli))で泳動した。SDS−PAGEの後、ゲルはピアスのGel Code Blue(ピアス、ロックフォード、イリノイ州)で染色した。Aβペプチド−CRM197コンジュゲートは、天然CRMのバンドの上の66kDa付近に主要バンドを、そして120kDa付近に二量体のバンドをわずかな多量体バンド(示さず)と共に表した。
III.ペプチド−CRM197コンジュゲートのMALDI−TOF質量分析
質量分析は、およその結合の程度を即座に知るために使用した。活性化CRM197およびコンジュゲートサンプルの適切なアリコートは、マトリックスとして3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ−桂皮酸(シナピン酸:sinapinic acid)を使用したMALDI−TOF質量分析により分析した。MALDI−TOF質量分析(フィニガン(Finnigan)MATLasermat2000マススペクトロメーター、リンゴーズ、ニューヨーク州)により測定した活性化CRM197の分子量は、60.5kDa付近を中心に見いだされ、そしてコンジュゲートは結合の程度に依存して65kDaから74kDaまで変動した(データは示さず)。CRM197中、最高22個のリシン(〜50%)が1:1の比率で修飾されたことが分かった。
IV.至適化実験
活性化および結合の程度は、試薬:タンパク質比、反応温度および反応バッファーのpHの関数である。結合反応用の再現性のある工程制御パラメーターを得るために、幾つかの例を以下に与え、最適なpH条件を同定するために行った最適な結合条件を具体的に説明する。結果(図3)は、Aβ5mer(DAEFRC)(配列番号1)ならびにAβ7mer(DAEFRHDC)(配列番号2)への結合反応がpH依存的であり、そして反応条件のpHが上がると、より高い修飾/結合の程度が得られることを示した。5merおよび7merペプチドのTFA塩を使用して、結合の程度は負荷したペプチドの量を変えてpH9.0で評価した(図4)。これらの結果から、CRM分子あたり定めたコピー数のペプチドコンジュゲートが、結合工程中のペプチド/活性化CRM比を変動させることにより生成され得ることは明らかである。同様の実験を、Aβ7merペプチドの酢酸塩を使用して行った。
【0168】
Aβ1−7/CRMコンジュゲートについて、キャッピング工程はCRMあたりのCMCAのモルをCRMあたりのCMCのモルと比較することにより評価した。全CMCおよびCMCAは試験した各ペプチド:CRM比について一定であったので、キャッピング工程は完全であると推定された(図5)。コンジュゲート中の全修飾は19から21の間であり、ブロモアセチル化されたリシン数に匹敵した(図5)。これらの実験はペプチドの対イオンとしてTFAを用いて行った。Aβ1−7/CRM結合はTFA塩ではなくペプチドの酢酸塩を使用して繰り返し、そしてこれらのデータを図5および6に示す。キャッピング工程は20から22の間に止まる各点について、全CMCおよびCMCAで完了したようであった。Aβ−CRM結合反応に関する条件は、pH9.0で至適化され、結合の程度は反応中、CRMに対するペプチド比率により制御された。比率を0.1から1.5に変えることにより、結合の程度を変動させることができる(図6)。
【0169】
活性化および結合の程度は、試薬:タンパク質比、反応温度および反応バッファーのpHの関数である。各コンジュゲートに関する修飾(結合)の程度は、各コンジュゲートの質量値から活性化CRM197の質量値を差し引き、そしてコンジュゲートを調製するために使用したペプチドの質量で除算することにより算出した。すべてのコンジュゲートに関する修飾(結合)の程度を表2に記載する。
【0170】
結合の程度は、1モルのCRM197あたり形成されたS−カルボキシメチルシステイン残基の予想される量により測定される値とも比べた(表2も参照にされたい)。
【0171】
【表12】

【0172】
実施例6
Aβペプチドコンジュゲートの免疫原性実験
それぞれCRM197に結合したAβのN−末端残基1−5、1−7、1−9および1−12に広がるペプチド(リンカー配列GAGACを含むか、または含まない)、およびアミノ酸12からアミノ酸1までの逆配列のAβのN−末端に対応するペプチド(1〜12merの逆配列)は、非結合Aβ1−12merペプチドと一緒にSTIMULON(商標)Q−21を含む製剤中でマウスを免疫感作するために使用した。各群のマウスは、20μgのアジュバントSTIMULON(商標)QS−21を用いて配合した、30μgまたは5μgのいずれかの用量の1つのサンプルが、実験の始め(0週)および続いて3および6週に皮下に免疫感作された。実験のプロトコールは表3に具体的に説明する。
【0173】
表3に示すように、それぞれCRM197に結合したAβのN−末端残基1−5、1−7、1−9および1−12に広がるペプチド(リンカー配列GAGACを含むか、または含まない)、およびアミノ酸12からアミノ酸1までの逆配列のAβのN−末端に対応するペプチド(1〜12merの逆配列)は、非結合Aβ1−12merペプチドと一緒にQS−21を含む製剤中でマウスを免疫感作するために使用した。各群のマウスは、20μgのアジュバントQS−21を用いて配合した、30μgまたは5μgのいずれかの用量の1つのサンプルが、実験の始め(0週)および続いて3および6週に皮下にワクチン接種された。Swiss Websterマウスを、各群5匹のマウスで全実験に使用した。注射容量=100μl;B=採血;V=ワクチン接種;E=瀉血物。
【0174】
抗−Aβ力価は、以下に記載するようにAβおよびCRM197に対するELISAにより測定された。簡単に説明すると、コースター96ウェルプレート(#3591)を一晩、室温にて2μg/mLのAβ1−42で滅菌炭酸塩/重炭酸塩バッファー、pH9.6中で被覆した。プレートを空け、そして室温で2時間、200μl/ウェルの0.05%BSA(1XPBS/0.05%Tween20中)でブロッキングした。ブロッキングしたプレートを空にし、プレートをTBS、0.1%Brij−35(アジドを含まない)洗浄バッファーを含有するプレートワッシャーで洗浄した。すべての1次抗血清は0.05%BSA(0.05%Tween20/0.02%アジドを含有する1XPBS中)で連続希釈し、そして100μLの各希釈物を適切なプレートウェルに移し、そして室温で2時間インキュベーションした。プレートはその後、空にし/そして上記のように洗浄した。サザンバイオテック(Southern Biotech)(市、州)からのアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗−マウスIgG2次抗体を0.05%BSA(0.05%Tween20/0.02%アジドを含有するPBS中)で1:1000倍に希釈し、そして100μLを各ウェルに加え、そして室温で1時間インキュベーションした。次いでプレートを空にし/上記のように洗浄し、そして最後に室温で1時間、ジエタノールアミン/MgCl、pH9.8中に調製した100μL/ウェルの1mg/mLのp−ニトロフェニルホスフェート基質溶液とインキュベーションした。発色は50μL/ウェルの3N NaOHを加えて止めた。プレートは690nMの参照を用いて405nMで読んだ。終点力価は0.1AUのO.D.で算出した。
【0175】
【表13】

【0176】
【表14】

【0177】
CRM197ELISA
グレイナー(Greiner)の96ウェルプレート(#650011)は37℃にて90分間、5.0μg/mL(100μl/ウェル)のCRM197を用いて、滅菌炭酸塩/重炭酸塩バッファー、pH9.6中で被覆した。プレートを空け、そして1XTBS、0.1%Brij−35洗浄バッファーを含有するプレートワッシャーで洗浄した。すべての1次抗血清は1XPBS(0.3%Tween20/EDTAを含有する)で連続希釈し、そして100μLの各希釈物を適切なプレートウェルに移し、そして37℃で1時間インキュベーションした。次いでプレートを空にし/上記のように洗浄した。サザンバイオテックからのアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗−マウスIgG2次抗体を1XPBS(0.05%Tween20/0.02%アジドを含有する)で1:1000倍に希釈し、そして100μLを各ウェルに加え、そして37℃で1時間インキュベーションした。次いでプレートを空にし/上記のように洗浄し、そして最後に室温で1時間、ジエタノールアミン/MgCl、pH9.8中に調製した100μL/ウェルの1mg/mLのp−ニトロフェニルホスフェート基質溶液とインキュベーションした。発色は50μL/ウェルの3N NaOHを加えて止めた。プレートは690nMの参照を用いて405nMで読んだ。終点力価は0.1AUのO.D.で算出した。
【0178】
表4〜6は、Aβに対する終点ELISA力価を具体的に説明する。初回免疫感作後、すべての8種のコンジュゲート(負の対照を除く)は測定できるAβIgG免疫応答を誘導した。しかし5μg用量ではなく30μg用量のAβは初回免疫感作後3週目で陽性の応答を与えた。すべてのコンジュゲートの中で、リンカーに結合していないAβ1−7ペプチドが、実験した他のコンジュゲートと同じか、またはそれより良い応答を誘発した。5μgの用量で、Aβ1−5Cは8〜16週で、より良かった。Aβ1−7Cは30μg用量で最高であった。5または30μg用量のいずれかで2回および3回免疫感作した後の抗体力価の分析は、ほとんどのコンジュゲートについてAβに対する最大の免疫応答が2回目の免疫感作後に見られたことを示す。少なくともマウスでは、3回目の免疫感作は免疫応答を強化しないようであった。しかしAβペプチドは、ペプチドに対して最大の免疫応答に達するために30μgの用量での3回の免疫感作が必要であった(表5)。長期間にわたり抗体低下という意味では、コンジュゲートで免疫感作された群からの抗体レベルは、その群内の最高レベルと比べて2から3倍まで減少した。6週および8週からの個々のサンプルを分析して、各群に関してAβに対するGMTを算出して、コンジュゲート群が実質的に他よりも良いかどうかを見た。Aβ1−5C、Aβ1−7CおよびAβ1−9Cコンジュゲートから6週目の力価の統計分析は、Aβ1−7コンジュゲートが有意に、より高い力価を誘導したことを示した。この実験から、リンカー配列GAGACはペプチドに対する免疫応答の強化に貢献しなかったことも明らかである。
【0179】
【表15】

【0180】
表4.アミロイドAβペプチドのN−末端で変動する長さに広がるペプチドコンジュゲートの5μg用量に由来する抗血清を使用した、Aβに対する0、3、6、8、13および16週目のELISA終点力価。参照:Elanハイパーイミューン(hyperimmune)ポリクローナル#592=3,073,307。O.D.0.1AUでの終点。Swiss Websterマウスは、20μgのSTIMULON(商標)QS−21と配合された5μgの上記抗原を含むSC−Nで、0、3および6週に免疫感作された。
【0181】
【表16】

【0182】
表5.アミロイドAβペプチドのN−末端で変動する長さに広がるペプチドコンジュゲートの30μg用量に由来する抗血清を使用した、Aβに対する0、3、6、8、13および16週目のELISA終点力価。参照:Elanハイパーイミューンポリクローナル#592=3,073,307。O.D.0.1AUでの終点。Swiss Websterマウスは、20μgのSTIMULON(商標)QS−21と配合された30μgの上記抗原を含むSC−Nで、0、3および6週に免疫感作された。
【0183】
【表17】

【0184】
表6.アミロイド−AβのN−末端で変動する長さに広がるペプチドコンジュゲートの30μg用量に由来する抗血清を使用した、Aβに対する6および8週のELISA終点GMT。参照:Elanハイパーイミューンポリクローナル#592=3,073,307。O.D.0.1AUでの終点。Swiss Websterマウスは、20μgのSTIMULON(商標)QS−21と配合された30μgの上記抗原を含むSC−Nで、0、3および6週に免疫感作された。
a.Turky−Kramerを使用した1−5C、1−7Cおよび1−9Cからの6週目の力価の統計分析は、1−5C対1−7Cのみ間の統計的差異を示すが、スチューデントT検定を使用した分析では、1−5C対1−7Cおよび1−5C対1−9Cの間の統計的差異を示す。
b.1−5C、1−7Cおよび1−9Cからの8週目の力価の統計分析は、3群間の統計的差異を示さない。しかし1−5C対1−7Cの間には差異を示すことができる傾向があるようである。
PDAPPマウスの脳組織染色
PDAPP脳組織染色アッセイは、Aβペプチドコンジュゲートおよび/またはAβ1−42抗血清の機能性の指標を提供する。個々のマウス群に由来する血清サンプルは、アミロイドペプチドを含有するPDAPPマウスの脳組織プラークを認識するそれらの能力について別々に分析した。結果を表7Aおよび7Bに示す。Aβ5merコンジュゲートの抗血清を除いて、プラークの認識に用量に関係する応答があった。リンカーとは無関係に、30μgのコンジュゲートが誘導した抗血清は5μgのコンジュゲートの抗血清よりも良い反応性パターンを有した。しかしAβ5merコンジュゲートの抗血清は、5μg群の反応性に類似するか、または良いようである。これらすべての結果を比較すると、Aβ1−5merからAβ1−9merまでで作られたコンジュゲートがマウスにおいてプラークを認識する免疫応答の誘発に十分であり、そしてリンカーの存在は必須ではないと結論づけられる。以下の結論をこの実験から引き出すことができる:(a)すべてのペプチドコンジュゲートは、担体タンパク質CRM197に対して非結合CRM197対照に比べて等しいか、わずかに高いレベルの高い力価の抗血清を誘導した(示さず)。(b)GAGACリンカーを持つコンジュゲートは、リンカーが無いコンジュゲートと比べて免疫原性または機能性を強化しなかった。(c)免疫原性データおよびPDAPP脳組織染色(機能的抗体の最初の指標)は、Aβ1−5merおよびAβ1−7merのコンジュゲートがさらなる開発に好適な免疫原となるであろうことを示す。
【0185】
【表18】

【0186】
【表19】

【0187】
実施例7
サルを対象とした免疫原性実験
6匹のサルのグループは、STIMULON(商標)QS−21、alumまたはRC529SE製剤のいずれかをアジュバントとして加えた30ugの7merコンジュゲート(全コンジュゲート)を、0、29および58日に受けた。さらに含んだグループは、alum(Al(OH))またはRC529SEのいずれかを含む30ugの5merコンジュゲート、そして陽性対照としてSTIMULON(商標)QS−21を含む75および300μgのAβであった。陽性対照は2週間毎に免疫感作した。36および64日に、抗−Aβ抗体力価を測定した(図7〜9)。36日に、STIMULON(商標)QS−21、AlumおよびRC529SEを含む7mer/CRMコンジュゲートが、それぞれ10110、13330および17090のGMT力価を誘発した(図7)。対照的に、Aβ1−42に加えたSTIMULON(商標)QS−21は、75および300μgの用量レベルでそれぞれ223および1734のGMTを誘発した。Aβ5merコンジュゲートは、alumで2134、そしてRC−529SEで15980の力価を誘発した。64日に、すなわちSTIMULON(商標)QS−21またはRC529SEのいずれかを含むコンジュゲートの3回の投与後、2回目の投与後よりも実質的に高い力価を誘導した(7mer/RC−529SEについてGMT69910;Aβ5mer/RC−529SEについて21640;そしてAβ7mer/STIMULON(商標)QS−21について30310)(図8)。alumを含むコンジュゲートは、第3回目の免疫感作後に2回目の免疫感作後よりも減少した力価を誘発した。Aβ7merコンジュゲートは、Aβ5merコンジュゲートに比べて良い応答を誘発したようである。サルでは、Aβ7merコンジュゲートにRC−529SEまたはSTIMULON(商標)QS−21をアジュバントとして加えると、最高の応答を誘発した(図9)。alumを含むAβ7merコンジュゲートに対する応答は、穏やかであるか、またはSTIMULON(商標)QS−21を含む300ugのAβ1−42に類似した。
【0188】
この実施例から幾つかの結論を引き出すことができる。第1に両コンジュゲートは霊長類において大変免疫原性である。第2に、免疫原製剤中のアジュバントの存在は、免疫応答に重要な影響を及ぼす。第3にアルミニウムアジュバントを除いて、RC−529SEおよびSTIMULON(商標)QS−21は、少なくとも3回の投与まで、各免疫感作後に免疫応答を強化した(図9)。総じて、Aβ7merコンジュゲートは529の存在下でより高い抗体応答を誘導し、STIMULON(商標)QS−21がそれに続いた(図9を参照にされたい)。
実施例8
多抗原性ペプチド(MAP)コンジュゲートの調製およびそれらの免疫原性実験
担体上に多抗原性部位を生成するために、幾つかの方法を利用することができる。事前の実施例では、各抗原性部位を定めた結合およびキャッピング化学により担体に別個に結合した。この実施例では、多抗原性部位をAβ1−7merの直列反復の固相合成により構築する。あるいはこれらの直列反復は、至るところに記載したリシンコアを介した連結を用いて、または用いずにT細胞エピトープとカップリングさせることができる。これらの多抗原性ペプチドは、担体タンパク質への結合のためにさらなるシステイニル残基を用いて合成された。1つの反復単位を有するペプチド(1−7)、カルボキシル末端にさらなるシステイニル残基を持つ3つの反復単位を有するペプチド(1−7)、および5つの反復単位を有するペプチド(1−7)を合成した。これらのペプチドはブロモアセチル化CRMに、それらのC−末端システイン残基を介して一晩共有結合させた。反応はpH9.0〜9.2で行い、加えたペプチド:CRM比率を表8に概略した。ペプチドと反応しなかったブロモアセチル基を、N−アセチルシステアミンでキャッピングした。これらのロットは、CRMに結合したAβ1−7ペプチドの1つのコピー、3つの直列コピーおよび5つの直列コピーをそれぞれ含むコンジュゲートを表す。表8はサンプルの特性を簡単に概説する。
【0189】
【表20】

【0190】
ペプチド負荷量(担体あたりのAβ1−7ペプチドの平均数)およびキャッピング数(表9)は、アミノ酸分析により測定される担体あたりの独自なアミノ酸(CMCまたはCMCA)の数である。CMCおよびCMCA値はリシンを参照にした。
【0191】
【表21】

【0192】
Swiss−Websterマウス(1グループ10匹)を、皮下に1または0.1μgのAβ/CRMコンジュゲートペプチドで免疫感作した。半分のマウスは100μgのアジュバントAl(OH)を配合した組成物で免疫感作し、そして半分はアジュバント無しで免疫感作した。免疫感作は0および3週に計画した。採血は0、3および6週に計画した。血清サンプルはAβ1−42merペプチドに対する抗体応答について分析した。結果を表10に示す。
【0193】
【表22】

【0194】
すべてのコンジュゲートは、初回免疫感作後に抗−Aβ1−42抗体力価を誘導し、そしてレベルは追加免疫後に実質的に上昇した。アルミニウムアジュバント無しで、用量応答の違いは3週および6週の採血で分かった。より高い用量は高い力価の抗体応答を誘発した。アルミニウムアジュバントは、アジュバントを加えないグループに比べて両用量レベル(0.1および1μg)で3週目に実質的に高い抗体応答を誘発した。2回目の免疫感作後、1μg用量で与えられたコンジュゲートが抗体レベルに5〜10倍の上昇を誘発した。この用量レベルで、3および5反復ペプチドコンジュゲートは、1つの反復を含むコンジュゲートよりも高い抗体応答を誘導した。CRM担体に対する力価も測定し、そしてこれらを表11に列挙する。
【0195】
【表23】

【0196】
表11のデータは、アジュバントを含まないグループが大変低いレベルの抗−CRM抗体応答を2回の免疫感作後でも1μgならびに0.1μgの両方の用量レベルで誘導したことを示す。しかし水酸化アルミニウムアジュバントを含むコンジュゲートは、1μg用量で実質的レベルの抗−CRM抗体応答を誘導し、そして0.1μg用量では大変低い応答を誘導した。アジュバントの存在下で、CRM力価は1つの反復コンジュゲートで最高であり、3つの反復コンジュゲートでは中程度であり、そして5つの反復コンジュゲートでは最低であった。ペプチド用量あたりのCRM用量がAβ(1−7)/CRMで最低であり、そしてAβ(1−7)/CRMで最高なのでこれは予想通りである。差異は6週目の0.1μg用量でのみ統計的に有意であった。
【0197】
本発明の目的は、抗原性ハプテンに対して高い力価の免疫原応答を誘発することであり、担体タンパク質に対しては必ずしも必要ではない。特定の状況下では、担体タンパク質に対する免疫応答がほとんど無いか、または無く、ハプテン抗原決定基に対して最適な免疫応答を誘発することが望ましい。そのような応用にはアジュバントを配合していない多抗原決定基の直列反復を有するコンジュゲートが必要性を満たすだろう。
実施例9
種々の担体タンパク質を持つAβ−ペプチドコンジュゲートの調製およびそれらの免疫原性
この実施例は、6種の異なる担体タンパク質を使用したコンジュゲートの免疫原性を比較する。Aβ1−7の酢酸塩は、ブロモアセチル化担体に1:1の重量比でpH9にて加えた。Aβ1−7/rC5apを除くすべてのコンジュゲートは、N−アセチルシステアミンでキャッピングした。すべての選択的担体は組換えバクテリアタンパク質であり、CRM(ジフテリアトキソイド)、組換えC5aペプチダーゼ(rC5ap;ストレプトコッカス アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)からクローン化、D130AおよびS512A突然変異を含む)、ORF1224、1664、2452(すべてA型溶連菌(Streptococcus pyogenes)からクローン化)、およびT367、T858(それぞれクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)からクローン化)である。使用した担体の要約は、表12に見いだされる。各Aβ1−7コンジュゲートのこれら担体への結合およびキャッピングの程度は表13に表す。 この実験は、組換えC5aペプチダーゼコンジュゲートが、CRMを含む試験した他のほとんどの担体よりもAβに対して高い力価を誘導したことを示した。この差異は水酸化アルミニウムを受けた群の6週目の力価について統計的に有意であった。さらに、Aβ1−7/T858コンジュゲートは、アジュバント無しでほとんどの他のコンジュゲートよりも有意に免疫原性であった。唯一、CRM対照コンジュゲートに対して良くない成果のコンジュゲートはAβ1−7/T367であり、これはウエスタンブロットによりAβ特異的モノクローナル抗体とも反応しなかったコンジュゲートであった。この実験により多数の他の担体をAβペプチドに対して免疫感作するため成功裏に使用できることが確認される。
【0198】
【表24】

【0199】
【表25】

【0200】
結合の結果:ペプチド負荷量(担体あたりのAβ1−7ペプチドの平均数)およびキャッピング数はアミノ酸分析により測定される担体あたり独自なアミノ酸(CMCまたはCMCA値)の数である。CMCおよびCMCA値は、リシンを参照とした。
免疫感作の結果
この実験における各グループに関する幾何平均力価を、表14に列挙する。アジュバントの存在にもかかわらず3週目に、Aβ1−7/rC5apは、A型溶連菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、1664、2452、またはクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367およびT858を用いて調製した対応するコンジュゲートよりも有意に高い抗−Aβ力価を誘導した。アジュバントの不存在下では3週目に、Aβ1−7/rC5apも、Aβ1−7/T858を除くすべての他のコンジュゲートよりも免疫原性であった。Al(OH)無しのT858コンジュゲートは、ORF1224、ORF1664、ORF2452およびアジュバント無しのCRMコンジュゲートよりも高い力価を誘導した。唯一、Aβ1−7/CRMよりも有意に免疫原性が低いコンジュゲートはAβ1−7/T367(p<0.00002)であった。T367担体は3週および6週目の両方で、アジュバント有り、または無しで良くなかった。6週目で、水酸化アルミニウムを含むrC5apコンジュゲートは、Aβ1−7/ORF2452を除く他のすべてのコンジュゲートよりも免疫原性であった(p<0.04)。アジュバント無しでは、Aβ1−7/rC5apおよびAβ1−7/T858の両方がORF1224、ORF1664またはT367コンジュゲートよりも有意に高い力価を誘導した。水酸化アルミニウム無しのAβ1−7/CRMは、Aβ1−7/ORF1664またはAβ1−7/T367のいずれよりも高い力価を誘導した。
【0201】
【表26】

【0202】
実施例10
さらなるAβペプチド−タンパク質コンジュゲートの調製
I.活性化
解凍したCRM197(8mL、59.84mg、7.48mg/mLで)を、0.1Mの硼酸塩バッファー(pH9、3.968mL)に溶解して5mg/mLの濃度とした。溶液を氷浴中で0〜5℃に冷却した。ブロモ酢酸N−ヒドロキシスクシンイミド(59.9mg)(アルドリッチ−シグマ)をDMF(100μL)(アルドリッチ−シグマ)に溶解し、そしてCRM197の溶液に滴下した。ブロモ酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドの添加で、沈殿が観察された。pHをチェックした時、pH6に下がっていた。反応混合物のpHをさらに0.1Mの硼酸バッファーを加えることによりpH9に戻した。次いで反応混合物は穏やかに掻き混ぜながら4℃で1時間撹拌した。混合物はYM−10centriprep遠心濃縮を使用して精製および濃縮し、そしてSephadexG−25で10mM 硼酸塩を溶出液として使用して再精製した。ブラッドフォードの試薬(Bradford Reagent)に対して陽性の画分をプールし、そしてcentriprepYM−10を使用して濃縮した。ブロモアセチル化の程度は、ブラッドフォードアッセイ(ライナー:linear)により測定した。濃度は、5.36mg/mLであることが分かった(収量30mg)。次いで最終濃度を5mg/mLに調整し、そして使用するまで冷凍庫で5%シュクロース中にて保存した。
II.結合
各結合について、解凍したブロモアセチル化CRM197を使用した。ペプチドは硼酸バッファー(125mlの0.1M 硼酸バッファー中の2.5mg)に溶解した。AβペプチドKLVFFAEDC(配列番号45)、CLVFFAEDV(配列番号47)、CKLVFFAED(配列番号48)およびLVFFAEDC(配列番号50)ではわずかに不溶性が観察された。ブロモアセチル化CRM197(5mg/mL)をペプチド溶液/懸濁液で処理した、混合物中のペプチドおよびタンパク質の比率は、1:2であった。ペプチドKLVFFAEDC(配列番号45)、CLVFFAEDV(配列番号47)、CKLVFFAED(配列番号48)およびKLVFFAEDC(配列番号45)を含むコンジュゲート混合物には濁りが観察された。次いで混合物はpH(pH9)についてチェックし、そしてゆっくりと掻き混ぜながら4℃で一晩インキュベーションした。混合物の最終濃度を3mg/mLにした後、インキュベーションした。ペプチドCLVFFAEDV(配列番号47)およびLVFFAEDC(配列番号50)を含むコンジュゲート混合物の濁りはインキュベーション後に消えた。しかしKLVFFAEDC(配列番号45)およびCKLVFFAED(配列番号48)はまだわずかに濁っていた。可溶性mockタンパク質コンジュゲートもシステアミンを用いて1:1(重量/重量)の比率で調製した。合成したペプチドはBIOSOURCEから約95%の純度で得た。
オクタマー
LVFFAEDVC(配列番号44)
KLVFFAEDC(配列番号45)
VFFAEDVGC(配列番号43)
CLVFFAEDV(配列番号47)
CKLVFFAED(配列番号48)
CVFFAEDVG(配列番号46)
ヘプタマー
VFFAEDVC(配列番号49)
LVFFAEDC(配列番号50)
III.タンパク質上の未反応リシン基のキャッピング
未反応リシンは、1/1(重量/重量)の比率でN−アセチルシステアミン(CMCA;アルドリッチ−シグマ)を用いて、暗中、掻き混ぜながら4℃で4時間キャッピングした。未反応ペプチドおよびキャッピング試薬は、コンジュゲートをSlide−A−Lyzerカセット(Mwカットオフ10,000)(ピアス)を使用してPBSバッファー(2リットル)に対して一晩(13時間)透析することにより除去した。バッファー交換および透析は2回行った(2x14時間)。わずかな不溶性がペプチドKLVFFAEDC(配列番号45)およびCKLVFFAED(配列番号48)を含むコンジュゲートで観察された。次いですべてのコンジュゲートを保存剤中で4℃の冷蔵庫に保存した。
IV.タンパク質担体の特性決定
MALDI−TOF MSを使用してブロモアセチル化CRM197の質量、およびmockコンジュゲートN−アセチルシステアミン−CRM197の質量を測定した。
【0203】
CRM197およびブロモアセチル化CRM197の質量に基づき、11個のリシン残基が修飾された。
(59941.46−58590.29)/122=11
ここで;CRM197のMwは58624.29であり
ブロモアセチル化CRM197のMwは59941.46であり
ブロモアセテートのMwは122である。
【0204】
ブロモアセチル化の程度は28%より高かった。(CRM197中の全リシン数は39であった)。これら11個の修飾されたリシン残基から、10個がシステアミンでカップリングされた。カップリング効率は90%であった。
(61143−59941)/119=10
ここで;ブロモアセチル化CRM197のMwは59941.46であり
mockコンジュゲートのMwは61143であり
N−アセチルシステアミンのMwは119であり
(10/11)x100=90
V.ペプチド−タンパク質コンジュゲートのトリス−トリシンプレキャストゲルを用いたSDS−PAGEウエスタンブロット分析による特性決定
タンパク質−ペプチドコンジュゲートはウエスタンブロットにより分析した。レーンは:マーカー(レーン1);L−28375 24/01(レーン2);L−28375 24/02(レーン3);L−28375 24/03(レーン4);L−28375 24/04(レーン5);L−28375 24/05(レーン6);L−28375 24/06(レーン7);L−28375 24/07(レーン8);L−28375 24/08(レーン9);L−28375 24/09(MOCK)(レーン10);およびBrAcCRM197(レーン11)である。マウスに由来するペプチド特異的モノクローナル抗体(248−6H9−806Aβ17−28)を1次抗体(抗血清)として使用した(1:3000希釈が最高であることがわかった)。ヤギ−抗マウスIgG(H+L)−HRPは2次抗体であった(1:1000希釈)。mockコンジュゲートおよび活性化CRM197を除き、すべてのコンジュゲートが1次抗体により認識された(図10を参照にされたい)。
タンパク質濃度
コンジュゲートサンプルのタンパク質濃度は、ピアスのBCAアッセイにより測定した(表15を参照にされたい)。
アミノ酸分析
アミノ酸分析は、結合の程度を測定するために行った。結合の程度は、コンジュゲートに見いだされるCMCA(カルボキシメチルシステアミン)残基に基づき算出した。CMCAはペプチドに結合した後の未反応活性化部位をキャップするために使用した(表15を参照にされたい)。
【0205】
【表27】

【0206】
すべての比色アッセイは、マイクロプレート分光光度計およびSOFTmaxProを使用して行った。
実施例11
Swiss Websterマウスを対象としたAβペプチドコンジュゲートの免疫原性実験
異系交配したSwiss Websterマウスは、それぞれCRM197に結合したVFFAEDVG−C(配列番号43)、LVFFAEDV−C(配列番号44)、KLVFFAED−C(配列番号45)、C−VFFAEDVG(配列番号46)、C−LVFFAEDV(配列番号47)、C−KLVFFAED(配列番号48)、VFFAEDV−C(配列番号49)、LVFFAED−C(配列番号50)で、またはAβ1−7CRM197で免疫感作した(すべてアジュバントRC529SEを配合した)。1グループ10匹の動物のうちの9匹に、実験の始め(0週)、続いて4週目に1つのAβペプチドコンジュゲートを皮下に免疫感作した。血清は免疫感作の前、しかし同日に採血した。
同系交配Balb/cマウスにおけるAβペプチドコンジュゲートの免疫原性実験
同系交配Balb/cマウスは、前段落のように免疫感作したが、コンジュゲートおよびアジュバントで12週目にも追加免疫感作した。
結果
両実験の血清は、Aβ13−28ペプチド特異的IgG抗体力価の分析用に集める。Balb/cマウスに由来する血清も、分析用に12週目の追加免疫より1日前、およびそれから1週間後に集める。実施例11で使用する動物由来の脾臓細胞は、Aβ1−42に広がるペプチドの重複プール、完全長Aβ1−42、CRM197またはポリクローナルアクチベーターでの刺激に対して、インビトロで応答するそれらの能力を評価する。分析は、インターロイキン4および5、およびインターフェロン−ガンマについて、Elispotの読み取りからなる。完了すると、Aβペプチドコンジュゲートは上記および実施例6に記載したように評価される。
実施例12
PSAPPマウスを対象としたAβペプチドコンジュゲートの免疫原性実験
PSAPPマウスはVFFAEDVG−C(配列番号43)、LVFFAEDV−C(配列番号44)、KLVFFAED−C(配列番号45)、C−VFFAEDVG(配列番号46)、C−LVFFAEDV(配列番号47)、C−KLVFFAED(配列番号48)、VFFAEDV−C(配列番号49)、LVFFAED−C(配列番号50)で免疫感作する。PSAPPマウスは変異体APPおよびPS1導入遺伝子を過剰発現する二重トランスジェニックマウスであり(PSAPP)、Holcomb,et,al.(1998)Nature Medicine4:97−11に記載されている。
PDAPPマウスを対象としたAβペプチドコンジュゲートの免疫原性実験
PDAPPマウスはVFFAEDVG−C(配列番号43)、LVFFAEDV−C(配列番号44)、KLVFFAED−C(配列番号45)、C−VFFAEDVG(配列番号46)、C−LVFFAEDV(配列番号47)、C−KLVFFAED(配列番号48)、VFFAEDV−C(配列番号49)、LVFFAED−C(配列番号50)で免疫感作する。PDAPPマウスはヒトAPPの変異体形(APPV71F)を発現し、そして若年でアルツハイマー病を発症する(Bard,et,al.(2000)Nature Medicine6:916−919;Masliah E,et al.(1996)J Neurosci.15:16(18):5795−811)。
結果
両実験からの血清は、Aβ13−28ペプチド特異的IgG抗体力価の分析用に集める。完了したら、Aβペプチドコンジュゲートは上記および実施例6および11に記載されているように、ならびに状況恐怖条件付(CFC)アッセイで評価する。
【0207】
状況恐怖条件付けは非常に信頼性があり、そしてほとんどの動物、例えば哺乳動物で迅速に得られる学習の共通形態である。試験動物は嫌悪的経験を伴うことから、事前に中性の刺激および/または環境を恐れる学習をする。(例えばFanselow,Anim.Learn.Behav.18:264−270(1990);Wehner et al.,Nature Genet.17:331−334(1997);Caldarone et al.,Nature Genet.17:335−337(1997)を参照にされたい)。
【0208】
状況恐怖条件付けは、例えば神経変性疾患または障害、Aβ関連疾患または障害、アミロイド形成疾患または障害のような疾患または障害、認知機能に影響を及ぼす望ましくない遺伝的改変(例えば遺伝子変異、遺伝子破壊または望ましくない遺伝子型)の存在、および/または認知能力に関する作用物質、例えばAβコンジュゲート剤の効力の結果として、認知機能または機能不全を測定するために特に有用である。したがってCFCアッセイは、認知疾患または障害、特に脳の1もしくは複数の領域、例えば海馬、鉤状回、帯状回皮質、前前頭皮質、嗅周囲皮質、感覚性皮質および側頭葉内側部に影響を及ぼす疾患または障害を防止または処置する作用物質の治療効果を独立して試験し、かつ/または確認するための方法を提供する。
【0209】
典型的には、CFCアッセイは標準的な動物チャンバー、および聴覚(例えば85dbの白色雑音期間)、臭覚(例えばアーモンドまたはレモンエキス)、触覚(例えば床ケージのテクスチャー)および/または視覚キュー(閃光)とを対にした軽いショック(例えば0.35mAの足のショック)を含んでなる条件付けの採用を使用して行う。嫌悪体験(ショック)に対する応答は、典型的には硬直の1つ(呼吸を除く運動の不存在)であるが、瞬目を含んでもよく、または選択した試験動物に依存して結膜半月ひだの変化を含んでもよい。嫌悪応答は通常、訓練の初日に特徴付けて、条件付けていない恐れについてのベースラインを測定し、嫌悪応答は引き続き試験日に、例えば皮質および/またはキューの存在下で硬直を生じるが、嫌悪体験が無ければ、それぞれ皮質および/またはキューが条件付けた恐れと特徴付ける。信頼性を向上させるために、動物は典型的には無関係な技術者により別個に試験され、そして経時的に点数を付けられる。さらなる実験計画の詳細は、例えばCrawley,JN.わたしのマウスは何が悪いか:トランスジェニックおよびノックアウトマウスの行動的表現型(What’s Wrong with my Mouse:Behavioral Phenotyping of Transgenic and Knockout Mice)、ウィリー−リス(Wiley−Liss)、ニューヨーク(2000)に見いだすことができる。
【0210】
例示的実験動物(例えばモデル動物)には、アルツハイマー病のようなアミロイド形成障害を特徴とする主な症状または病状を現す哺乳動物(例えば齧歯類または非ヒト霊長類)を含む。モデル動物は、所望の選択的同系交配により作出するか、またはそれらは痴呆障害と関係した遺伝子に目的とする遺伝子改変(例えば遺伝的突然変異、遺伝子破壊)のような当該技術分野で周知のトランスジェニック技術を使用して遺伝子工学的に作出して、目的とする遺伝子の異常な発現または機能を導くことができる。例えば、幾つかのトランスジェニックマウス種は、APPを過剰発現し、そしてアミロイドプラーク病状を発症させ、かつ/またはアルツハイマー病に特徴的な認知欠如を発症させることに利用することができる(例えばGames et al.同上、Johnson−Wood et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:1550(1997)Masliah E and Rockenstein E.(2000)J Neural Transm Suppl.;59:175−83を参照にされたい)。
【0211】
あるいはモデル動物は、アミロイド形成障害の特徴的な症状または病状に伴う解剖学的な脳の領域(例えば海馬、扁桃、嗅周囲皮質、内側中隔核、青斑、マンマラリーボディ(mammalary body))または特異的ニューロン(例えばセロトニン作動性、コリン作動性、またはドーパミン作動性ニューロン)の正常な機能を除去または妨害する化学的化合物(例えばニューロトキシン、麻酔薬)、または外科的技術(例えば定位剥離、軸索切断、横断、吸引)を使用して作出することができる。特定の好適な態様では、動物モデルはアミロイド形成障害に伴う神経変性病状に加えて、学習または記憶に関連する顕著な認知欠損を現す。より好ましくは、認知欠失は加齢に伴い進行的に悪化して、その動物モデルにおける疾患の進行はアミロイド形成障害に罹患している個体における疾患の進行と類似する。
【0212】
本明細書に記載するコンジュゲートの機能性を試験するための状況恐怖条件付けおよび他のインビボアッセイは、野生型マウスまたは記憶に障害を導く特定の遺伝的改変を有するマウス、または神経変性疾患、例えばアルツハイマー病のマウスモデル(脳脊髄液(CSF)または血漿に上昇した可溶性Aβレベルを表すマウスモデルを含む)を使用して行うことができる。例えばアルツハイマー病の動物モデルには、年齢依存型記憶欠失およびプラークを表すヒトアミロイド前駆体タンパク質の“スウェーデン”型突然変異(hAPPswe;Tg2576)を過剰発現するトランスジェニックマウスを含む(Hsiao et al.(1996)Science274:99−102)。本明細書に記載するコンジュゲートのインビボでの機能性は、Duff,et al.(1996)Nature383,710−714に記載されているPS−1変異体マウスを使用しても試験することができる。アルツハイマー病の他の遺伝的に改変されたトランスジェニックモデルは、Masliah E and Rockenstein E.(2000)J Neural Transm Suppl.;59:175−83に記載されている。
【0213】
様々な観点において、本発明の方法は個体の認知を改善することができるAβコンジュゲートの投与を含んでなり、ここでAβコンジュゲートは個体の免疫治療的効力を適切に予想するアッセイを使用して同定されてきた。例示的な態様では、アッセイは少なくとも一部は、動物に試験免疫試薬を投与した後の動物の状況恐怖条件付け試験から測定される認知を、適切な対照と比較することに基づく動物モデルアッセイである。CFCアッセイは、潜在的な治療用化合物を用いて処置した動物(典型的にはマウスまたはラット)の認知における変化を評価する。特定の態様では、評価される認知における変化は、記憶障害状態の改善または記憶欠損の逆転である。したがって、CFCアッセイは認知疾患、そして特に脳の1もしくは複数の領域、例えば海馬、鉤状回、帯状回皮質、前前頭皮質、嗅周囲皮質、感覚性皮質および側頭葉内側部に影響を及ぼす疾患または障害を防止または処置する作用物質の治療効果を測定する直接的方法を提供する。そのようなCFCアッセイは、2004年12月15日に出願された同時係属中の米国特許出願第60/XXX,XXX号明細書に「免疫治療薬効果を予想するための状況恐怖条件付け(Contextual Fear Conditioning for Predicting Immunotherapeutic Efficacy)」という表題で(代理人処理番号ELN−058−1に属する)、および米国特許出願第60/XXX,XXX号明細書に「免疫治療薬効果を予想するための状況恐怖条件付け(Contextual Fear Conditioning for Predicting Immunotherapeutic Efficacy)」という表題で(代理人処理番号ELN−058−2に属する)(引用により全部、本明細書に編入する)検討されている。
【0214】
【表28】

【0215】
【表29】

【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】Aβペプチドフラグメントをタンパク質/ポリペプチド担体CRM197に結合して、Aβ/CRM197コンジュゲートを形成するために使用した工程の化学を表す流れ図である。
【図2】Aβ/CRM197コンジュゲートのようなペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチドコンジュゲートの結合の程度の評価として、S−カルボキシメチルシステインおよびS−カルボキシメチルシステアミンを定量的に測定するために使用した酸加水分解化学を表す流れ図である。
【図3】Aβペプチド/CRMコンジュゲート反応のpH依存性を表す図である。
【図4】ペプチド:CRM比へのAβ−ペプチド/CRM結合の依存性を表す図である。
【図5】Aβ1−7/CRMコンジュゲートに関するキャッピング法の確認。反応のpHは9.15であった。ペプチドを用いた反応時間は16時間、N−アセチルシステアミンを用いたキャッピングは8時間であった。
【図6】種々のペプチド:CRM比率を用いたペプチドへの結合およびキャッピング。反応のpHは9.0であった。ペプチドを用いた反応時間は16時間、N−アセチルシステアミンを用いたキャッピングは8時間であった。
【図7】種々のアジュバントを含むAβペプチドコンジュゲートで霊長類を免疫感作した後の霊長類の血清の36日目の力価。
【図8】種々のアジュバントを含むAβペプチドコンジュゲートで霊長類を免疫感作した後の霊長類の血清の64日目の力価。
【図9】日にちおよび処置群による霊長類の力価。霊長類はアジュバントとしてalumまたは529を含むAβ1−7またはAβ1−5CRM197で免疫感作し、そして抗−Aβ抗体の力価を29、36、57および54日に測定した。
【図10】ペプチド−タンパク質コンジュゲートは、トリス−トリシンプレキャストゲルを用いてSDS−PAGEウエスタンブロット分析を使用して特性決定した。レーンは、マーカー(レーン1);L−28375 24/01(レーン2);L−28375 24/02(レーン3);L−28375 24/03(レーン4);L−28375 24/04(レーン5);L−28375 24/05(レーン6);L−28375 24/06(レーン7);L−28375 24/07(レーン8);L−28375 24/08(レーン9);L−28375 24/09(Mock)(レーン10);およびBrAcCRM197(レーン11)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド免疫原を、該ペプチド免疫原のアミノ酸残基の反応性基を介して、1もしくは複数の官能基を有するタンパク質/ポリペプチド担体に結合する方法であって:
(a)タンパク質/ポリペプチド担体または、場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に結合したポリペプチドリンカーの1もしくは複数の官能基を誘導化して反応性部位を持つ誘導化担体を生成し;
(b)工程(a)の誘導化タンパク質/ポリペプチド担体を、ペプチド免疫原が誘導化タンパク質/ポリペプチド担体に官能基を介して結合するような反応条件下でペプチド免疫原のアミノ酸の反応性基と反応させ;そして
(c)さらにコンジュゲートをキャッピング試薬と反応させて、誘導化タンパク質/ポリペプチド担体上の遊離の反応性未反応官能基を不活性化し、これにより担体の官能性を保存して、そうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対して望まれる免疫応答を誘発するコンジュゲートの能力を保持する、
工程を含んでなる上記方法。
【請求項2】
担体がヒト血清アルブミン、カサガイヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、卵アルブミン、インフルエンザ血球凝集素、PADREポリペプチド、マラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HBSAg19−28)、熱ショックタンパク質(HSP)65、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、コレラトキシン、低下した毒性を有するコレラトキシン変異体、ジフテリアトキシン、ジフテリアトキシンと交差反応性のCRM197タンパク質、組換え連鎖球菌C5aペプチダーゼ、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858、破傷風トキソイド、HIVgp120T1、成分認識微生物表面接着マトリックス分子(MSCRAMMS)、増殖因子、ホルモン、サイトカインおよびケモカインからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
担体がT−細胞エピトープを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
担体がバクテリアトキソイドである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
担体がインフルエンザ血球凝集素である請求項3に記載の方法。
【請求項6】
担体がPADREポリペプチドである請求項3に記載の方法。
【請求項7】
担体がマラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質である請求項3に記載の方法。
【請求項8】
担体がB型肝炎表面抗原(HBSAg19−28)である請求項3に記載の方法。
【請求項9】
担体が熱ショックタンパク質65(HSP65)である請求項3に記載の方法。
【請求項10】
担体がヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(BCG)由来のポリペプチドである請求項3に記載の方法。
【請求項11】
担体が破傷風トキソイドである請求項4に記載の方法。
【請求項12】
バクテリアトイソイドがCRM197である請求項4に記載の方法。
【請求項13】
担体が組換え連鎖球菌C5aペプチダーゼである請求項3に記載の方法。
【請求項14】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224である請求項3に記載の方法。
【請求項15】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664である請求項3に記載の方法。
【請求項16】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452である請求項3に記載の方法。
【請求項17】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367である請求項3に記載の方法。
【請求項18】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858である請求項3に記載の方法。
【請求項19】
担体が免疫応答を刺激または強化する増殖因子またはホルモンである請求項1に記載の方法。
【請求項20】
増殖因子またはホルモンがIL−1、IL−2、γ−インターフェロン、IL−10、GM−CSF、MIP−1α、MIP−1βおよびRANTESからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ペプチド免疫原がバクテリアのタンパク質、ウイルスのタンパク質および真核生物のタンパク質からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ペプチド免疫原がバクテリアに由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
バクテリアが肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrheae
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Esherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、シュードモナス エアレーションズ(Pseudomonas aerations)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、志賀赤痢菌(Shigella dysentriae)、オーロイオコッカス オチチディス(Alloiococcus otitidis)およびB群連鎖球菌からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ペプチド免疫原がウイルスに由来するタンパク質抗原から誘導化される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、水痘性口炎ウイルス(VSV)、RSウイルス(RSV)、エプスタインーバーウイルス(EBV)、コロナウイルス、ワクシニアウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ペプチド免疫原が真菌に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項21に記載の方法。
【請求項27】
真菌がカンジダ アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス(Coccidioides)種、ヒストプラスマ(Histoplasma)種およびアスペルギルス(Aspergillus)種からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ペプチド免疫原が寄生生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項21に記載の方法。
【請求項29】
寄生生物がプラスモディウム属(Plasmodium)、トリパノソーマ属(Trypanosome)、住血吸虫属(Schistosome)およびリーシュマニア属(Leishmania)からなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ペプチド免疫原が真核生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項21に記載の方法。
【請求項31】
真核生物がヒトである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ヒト由来のペプチド免疫原が悪性腫瘍から誘導化される請求項31に記載の方法。
【請求項33】
腫瘍抗原が腎臓細胞癌腫抗原、胸部癌腫抗原、癌胎児性抗原、メラノーマ(MAGE)抗原および前立腺ガン特異的抗原からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ペプチド免疫原がヒトAβポリペプチドに由来する請求項31に記載の方法。
【請求項35】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのC−末端領域から誘導化される請求項34に記載の方法。
【請求項37】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドの内部領域から誘導化される請求項34に記載の方法。
【請求項38】
Aβペプチド免疫原がAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項35に記載の方法。
【請求項39】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項34に記載の方法。
【請求項40】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数のフラグメントが別のペプチド免疫原に融合されている請求項34に記載の方法。
【請求項41】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の分子のN−末端に融合されている請求項40に記載の方法。
【請求項42】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のC−末端に融合されている請求項40に記載の方法。
【請求項43】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端でAβペプチド免疫原の異なる分子のC−末端に融合されている請求項40に記載の方法。
【請求項44】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのN−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項40に記載の方法。
【請求項45】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項41、42、43または44に記載の方法。
【請求項46】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項41、42、43または44に記載の方法。
【請求項47】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が異種ペプチドの1もしくは複数の分子に連結されている請求項40に記載の方法。
【請求項48】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項47に記載の方法。
【請求項49】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項47に記載の方法。
【請求項50】
異種ペプチドがT−細胞エピトープ、B−細胞エピトープおよびその組み合わせからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が多抗原性ペプチド(MAP)形態に一緒に連結されている請求項40に記載の方法。
【請求項52】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が、多抗原性ペプチド(MAP)形態中の異なるAβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子に一緒に連結されている請求項40に記載の方法。
【請求項53】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項51または52に記載の方法。
【請求項55】
タンパク質/ポリペプチド担体または場合により結合されたポリペプチドリンカーの1もしくは複数のアミノ酸分子の官能基が、架橋化試薬を使用して誘導化される、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
誘導化試薬がゼロ−長の架橋化試薬である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
誘導化試薬がホモ二官能性架橋化試薬である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
誘導化試薬がヘテロ二官能性架橋化試薬である、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
タンパク質/ポリペプチド担体がハロアセチル化試薬と反応させられる、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
ヘテロ二官能性架橋化試薬が、タンパク質/ポリペプチド担体の1もしくは複数のアミノ酸残基の1級またはε−アミン官能基、およびペプチド免疫原の1もしくは複数のアミノ酸残基のペンダントチオール基と反応する試薬である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
ヘテロ二官能性架橋化試薬がN−スクシンイミジルブロモアセテート、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジル−チオ)プロピオネート(SPDP)およびスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)からなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
1級またはε−アミン官能基がリシンである請求項61に記載の方法。
【請求項63】
ペンダントチオール基がペプチド免疫原のシステイン残基である請求項60に記載の方法。
【請求項64】
システイン残基がペプチド免疫原がアミノ末端に局在している請求項63に記載の方法。
【請求項65】
システイン残基がペプチド免疫原がカルボキシ末端に局在している請求項63に記載の方法。
【請求項66】
システイン残基がペプチド免疫原の内部に局在している請求項63に記載の方法。
【請求項67】
ペンダントチオール基がチオール化試薬により生成される、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
チオール化試薬がN−アセチルホモシステインチオラクトンである請求項67に記載の方法。
【請求項69】
活性化されたタンパク質/ポリペプチド担体上の遊離の反応性官能基を不活性化するために使用されるキャッピング試薬が、システアミン、−アセチルシステアミンおよびエタノールアミンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項70】
活性化されたタンパク質/ポリペプチド担体上の遊離の反応性官能基を不活性化するために使用されるキャッピング試薬が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウムおよびアンモニアからなる試薬群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項71】
ペプチド免疫原のアミノ酸残基の反応性基が遊離のスルフヒドリル基である請求項1に記載の方法。
【請求項72】
1もしくは複数の官能基が、場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に結合したリンカー上にある、請求項1に記載の方法。
【請求項73】
リンカーがペプチドリンカーである請求項72に記載の方法。
【請求項74】
ペプチドリンカーがポリリシンである請求項73に記載の方法。
【請求項75】
構造:
【化1】

ここでCはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化可能な官能基であり、そしてここでmは0より大きな整数であるが、85以下である、
を有するタンパク質/ポリペプチド担体にペプチド免疫原を結合する方法であって:
(a)タンパク質/ポリペプチド担体、または場合により結合したリンカー分子の1もしくは複数の官能基を誘導化して反応性部位を持つ誘導化分子を生成し;
(b)工程(a)の誘導化タンパク質/ポリペプチド担体を、ペプチド免疫原のアミノ酸残基の反応性基と反応させて共有的にカップリングしたペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートを形成し;そして
(c)さらに該コンジュゲートをキャッピング試薬と反応させて、キャッピングした基が他の分子と自由に反応しないようにし、活性化タンパク質/ポリペプチド担体上の遊離の反応性官能基を不活性化して、これにより担体の官能性を保存して、そうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対して望まれる免疫応答を誘発するコンジュゲートの能力を保持して、式:
【化2】

式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基であり、そしてここで
Pはタンパク質担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したペプチド免疫原分子であり、
Rはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したキャッピング分子であり、
nは0より大きい整数であるが、85以下であり、そして
pは0より大きい整数であるが、85未満である、
を有するキャッピングされたペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートを生成する、
工程を含んでなる上記方法。
【請求項76】
担体が血清アルブミン、カサガイヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、卵アルブミン、インフルエンザ血球凝集素、PADREポリペプチド、マラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HBSAg19−28)、熱ショックタンパク質(HSP)65、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、コレラトキシン、低下した毒性を有するコレラトキシン変異体、ジフテリアトキシン、ジフテリアトキシンと交差反応性のCRM197タンパク質、組換え連鎖球菌C5aペプチダーゼ、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858、破傷風トキソイド、HIVgp120T1、成分認識微生物表面接着マトリックス分子(MSCRAMMS)、増殖因子、ホルモン、サイトカインおよびケモカインからなる群から選択される請求項75に記載の方法。
【請求項77】
担体がT−細胞エピトープを含む請求項76に記載の方法。
【請求項78】
担体がバクテリアトキソイドである請求項77に記載の方法。
【請求項79】
担体がインフルエンザ血球凝集素である請求項77に記載の方法。
【請求項80】
担体がPADREポリペプチドである請求項77に記載の方法。
【請求項81】
担体がマラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質である請求項77に記載の方法。
【請求項82】
担体がB型肝炎表面抗原(HSBAg19−28)である請求項77に記載の方法。
【請求項83】
担体が熱ショックタンパク質65(HSP65)である請求項77に記載の方法。
【請求項84】
担体がヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(BCG)由来のポリペプチドである請求項77に記載の方法。
【請求項85】
担体が破傷風トキソイドである請求項78に記載の方法。
【請求項86】
バクテリアトイソイドがCRM197である請求項78に記載の方法。
【請求項87】
担体が連鎖球菌rC5aペプチダーゼである請求項77に記載の方法。
【請求項88】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224である請求項77に記載の方法。
【請求項89】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664である請求項77に記載の方法。
【請求項90】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452である請求項77に記載の方法。
【請求項91】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367である請求項77に記載の方法。
【請求項92】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858である請求項77に記載の方法。
【請求項93】
担体が免疫応答を刺激または強化する増殖因子またはホルモンである請求項75に記載の方法。
【請求項94】
増殖因子またはホルモンがIL−1、IL−2、γ−インターフェロン、IL−10、GM−CSF、MIP−1α、MIP−1βおよびRANTESからなる群から選択される、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
ペプチド免疫原がバクテリアのタンパク質、ウイルスのタンパク質および真核生物のタンパク質からなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項96】
ペプチド免疫原がバクテリアに由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項95に記載の方法。
【請求項97】
バクテリアが肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrheae
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Esherichia coli)、クレブシエーラ エンテロバクター(Klebsiella enterobacter)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、シュードモナス(Pseudomonas)種、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、志賀赤痢菌(Shigella dysentriae)、オーロイオコッカス オチチディス(Alloiococcus otitidis)およびB群連鎖球菌からなる群から選択される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
ペプチド免疫原がウイルスに由来するタンパク質抗原から誘導化される、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、水痘性口炎ウイルス(VSV)、RSウイルス(RSV)、エプスタインーバーウイルス(EBV)、コロナウイルス、ワクシニアウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)からなる群から選択される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
ペプチド免疫原が真菌に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項96に記載の方法。
【請求項101】
真菌がカンジダ アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス(Coccidioides)種、ヒストプラスマ(Histoplasma)種およびアスペルギルス(Aspergillus)種からなる群から選択される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
ペプチド免疫原が寄生生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項96に記載の方法。
【請求項103】
寄生生物がプラスモディウム属(Plasmodium)、トリパノソーマ属(Trypanosome)、住血吸虫属(Schistosome)およびリーシュマニア属(Leishmania)からなる群から選択される請求項102に記載の方法。
【請求項104】
ペプチド免疫原が真核生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項96に記載の方法。
【請求項105】
真核生物がヒトである請求項104に記載の方法。
【請求項106】
ヒト由来のペプチド免疫原が悪性腫瘍から誘導化される請求項105に記載の方法。
【請求項107】
腫瘍抗原が腎臓細胞癌腫抗原、胸部癌腫抗原、癌胎児性抗原、メラノーマ(MAGE)抗原および前立腺ガン特異的抗原である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
ペプチド免疫原がヒトAβポリペプチドに由来する請求項105に記載の方法。
【請求項109】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化される請求項108に記載の方法。
【請求項110】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのC−末端領域から誘導化される請求項108に記載の方法。
【請求項111】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドの内部領域から誘導化される請求項108に記載の方法。
【請求項112】
ペプチド免疫原がAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項108に記載の方法。
【請求項113】
ペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項108に記載の方法。
【請求項114】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が別のペプチド免疫原に融合されている請求項108に記載の方法。
【請求項115】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のN−末端に融合されている請求項114に記載の方法。
【請求項116】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のC−末端に融合されている請求項114に記載の方法。
【請求項117】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項114に記載の方法。
【請求項118】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのN−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項114に記載の方法。
【請求項119】
AβフラグメントがAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項115、116、117または118に記載の方法。
【請求項120】
AβフラグメントがAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項115、116、117または118に記載の方法。
【請求項121】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が異種ペプチドの1もしくは複数の分子に融合されている請求項114に記載の方法。
【請求項122】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項121に記載の方法。
【請求項123】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項121に記載の方法。
【請求項124】
異種ペプチドがT−細胞エピトープ、B−細胞エピトープおよびその組み合わせからなる群から選択される、請求項121に記載の方法。
【請求項125】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が多抗原性ペプチド(MAP)形態に一緒に連結されている請求項114に記載の方法。
【請求項126】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が、多抗原性ペプチド(MAP)形態中の異なるAβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子に一緒に連結されている請求項114に記載の方法。
【請求項127】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項125または126に記載の方法。
【請求項128】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項125または126に記載の方法。
【請求項129】
タンパク質/ポリペプチド担体または場合により結合されたポリペプチドリンカーの1もしくは複数のアミノ酸分子の官能基が、架橋化試薬を使用して誘導化される、請求項75に記載の方法。
【請求項130】
誘導化試薬がゼロ−長の架橋化試薬である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
誘導化試薬がホモ二官能性架橋化試薬である、請求項129に記載の方法。
【請求項132】
誘導化試薬がヘテロ二官能性架橋化試薬である、請求項129に記載の方法。
【請求項133】
タンパク質/ポリペプチド担体がハロアセチル化試薬と反応させられる、請求項129に記載の方法。
【請求項134】
ヘテロ二官能性架橋化試薬が、タンパク質/ポリペプチド担体の1もしくは複数のアミノ酸残基の1級またはε−アミン官能基、およびペプチド免疫原の1もしくは複数のアミノ酸残基のペンダントチオール基と反応する試薬である、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
ヘテロ二官能性架橋化試薬がN−スクシンイミジルブロモアセテート、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジル−チオ)プロピオネート(SPDP)およびスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)である請求項134に記載の方法。
【請求項136】
1級またはε−アミン官能基がリシンである請求項134に記載の方法。
【請求項137】
タンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基リシンの1級またはε−アミン官能基のN−スクシンイミジルブロモアセテートを用いた誘導化が、タンパク質/ポリペプチド担体のリシン残基上の1級またはε−アミン残基のブロモアセチル化を生じる、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
ペンダントチオール基がペプチド免疫原のシステイン残基である請求項134に記載の方法。
【請求項139】
システイン残基がペプチド免疫原がアミノ末端に局在している請求項138に記載の方法。
【請求項140】
システイン残基がペプチド免疫原がカルボキシ末端に局在している請求項138に記載の方法。
【請求項141】
システイン残基がペプチド免疫原の内部に局在している請求項138に記載の方法。
【請求項142】
ペンダントチオール基がチオール化試薬により生成される、請求項138に記載の方法。
【請求項143】
チオール化試薬がN−アセチルホモシステインチオラクトンである請求項142に記載の方法。
【請求項144】
活性化されたタンパク質/ポリペプチド担体の遊離の反応性官能基を不活性化するために使用されるキャッピング試薬が、システアミン、−アセチルシステアミンおよびエタノールアミンからなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項145】
活性化されたタンパク質/ポリペプチド担体上の遊離の反応性官能基を不活性化するために使用されるキャッピング試薬が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウムおよびアンモニアからなる試薬群から選択される請求項75に記載の方法。
【請求項146】
ペプチド免疫原のアミノ酸残基の反応性基が遊離のスルフヒドリル基である請求項75に記載の方法。
【請求項147】
1もしくは複数の官能基が、場合によりタンパク質/ポリペプチドに結合したリンカー上にある、請求項75に記載の方法。
【請求項148】
リンカーがペプチドリンカーである請求項147に記載の方法。
【請求項149】
ペプチドリンカーがポリリシンである請求項148に記載の方法。
【請求項150】
タンパク質/ポリペプチド担体が式:
【化3】

式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化可能な官能基であり、そしてここでmは0より大きな整数であるが、85以下である、
を有するペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲートであって、式:
【化4】

式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基であり、そしてここでPはタンパク質担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したペプチド免疫原分子であり、Rはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したキャッピング分子であり、これにより担体の官能性を保存して、そうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対して望まれる免疫応答を誘発するコンジュゲートの能力を保持し、nは0より大きい整数であるが、85以下であり、そしてpは0より大きい整数であるが、85未満である、
で表されるペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲート。
【請求項151】
担体が血清アルブミン、カサガイヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、卵アルブミン、インフルエンザ血球凝集素、PADREポリペプチド、マラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HBSAg19−28)、熱ショックタンパク質(HSP)65、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、コレラトキシン、低下した毒性を有するコレラトキシン変異体、ジフテリアトキシン、ジフテリアトキシンと交差反応性のCRM197タンパク質、組換え連鎖球菌C5aペプチダーゼ、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858、破傷風トキソイド、HIVgp120T1、成分認識微生物表面接着マトリックス分子(MSCRAMMS)、増殖因子、ホルモン、サイトカインおよびケモカインからなる群から選択される請求項150に記載のコンジュゲート。
【請求項152】
担体がT−細胞エピトープを含む請求項150に記載のコンジュゲート。
【請求項153】
担体がバクテリアトキソイドである請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項154】
担体がインフルエンザ血球凝集素である請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項155】
担体がPADREポリペプチドである請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項156】
担体がマラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質である請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項157】
担体がB型肝炎表面抗原(HBSAg19−28)である請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項158】
担体が熱ショックタンパク質65(HSP65)である請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項159】
担体がヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(BCG)由来のポリペプチドである請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項160】
担体が破傷風トキソイドである請求項153に記載のコンジュゲート。
【請求項161】
バクテリアトイソイドがCRM197である請求項153に記載のコンジュゲート。
【請求項162】
担体が連鎖球菌rC5aペプチダーゼである請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項163】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224である請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項164】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664である請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項165】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452である請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項166】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367である請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項167】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858である請求項152に記載のコンジュゲート。
【請求項168】
担体が免疫応答を刺激または強化する増殖因子またはホルモンである請求項150に記載のコンジュゲート。
【請求項169】
増殖因子またはホルモンがIL−1、IL−2、γ−インターフェロン、IL−10、GM−CSF、MIP−1α、MIP−1βおよびRANTESからなる群から選択される、請求項168に記載のコンジュゲート。
【請求項170】
ペプチド免疫原がバクテリアのタンパク質、ウイルスのタンパク質および真核生物のタンパク質からなる群から選択される、請求項150に記載のコンジュゲート。
【請求項171】
ペプチド免疫原がバクテリアに由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項170に記載のコンジュゲート。
【請求項172】
バクテリアが肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrheae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Esherichia coli)、クレブシエーラ エンテロバクター(Klebsiella enterobacter)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、シュードモナス(Pseudomonas)種、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、志賀赤痢菌(Shigella dysentriae)、オーロイオコッカス オチチディス(Alloiococcus otitidis)およびB群連鎖球菌からなる群から選択される、請求項171に記載のコンジュゲート。
【請求項173】
ペプチド免疫原がウイルスに由来するタンパク質抗原から誘導化される、請求項170に記載のコンジュゲート。
【請求項174】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、水痘性口炎ウイルス(VSV)、RSウイルス(RSV)、エプスタインーバーウイルス(EBV)、コロナウイルス、ワクシニアウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)からなる群から選択される、請求項173に記載のコンジュゲート。
【請求項175】
ペプチド免疫原が真菌に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項170に記載のコンジュゲート。
【請求項176】
真菌がカンジダ アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス(Coccidioides)種、ヒストプラスマ(Histoplasma)種およびアスペルギルス(Aspergillus)種からなる群から選択される、請求項175に記載のコンジュゲート。
【請求項177】
ペプチド免疫原が寄生生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項170に記載のコンジュゲート。
【請求項178】
寄生生物がプラスモディウム属(Plasmodium)、トリパノソーマ属(Trypanosome)、住血吸虫属(Schistosome)およびリーシュマニア属(Leishmania)からなる群から選択される請求項177に記載のコンジュゲート。
【請求項179】
ペプチド免疫原が真核生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項170に記載のコンジュゲート。
【請求項180】
真核生物がヒトである請求項179に記載のコンジュゲート。
【請求項181】
ヒト由来のペプチド免疫原が悪性腫瘍から誘導化される請求項180に記載のコンジュゲート。
【請求項182】
腫瘍抗原が腎臓細胞癌腫抗原、胸部癌腫抗原、癌胎児性抗原、メラノーマ(MAGE)抗原および前立腺ガン特異的膜抗原(PSMA)からなる群から選択される、請求項181に記載のコンジュゲート。
【請求項183】
ペプチド免疫原がヒトAβポリペプチドに由来する請求項180に記載のコンジュゲート。
【請求項184】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化される請求項183に記載のコンジュゲート。
【請求項185】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのC−末端領域から誘導化される請求項183に記載のコンジュゲート。
【請求項186】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドの内部領域から誘導化される請求項183に記載のコンジュゲート。
【請求項187】
ペプチド免疫原がAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項183に記載のコンジュゲート。
【請求項188】
ペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項183に記載のコンジュゲート。
【請求項189】
Aβの1もしくは複数の分子が別のペプチド免疫原の1もしくは複数の分子に融合されている請求項183に記載のコンジュゲート。
【請求項190】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のN−末端に融合されている請求項189に記載のコンジュゲート。
【請求項191】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のC−末端に融合されている請求項189に記載のコンジュゲート。
【請求項192】
Aβペプチド免疫原の分子がそのC−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項189に記載のコンジュゲート。
【請求項193】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのN−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項189に記載のコンジュゲート。
【請求項194】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項190、191、192または193に記載のコンジュゲート。
【請求項195】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項190、191、192または193に記載のコンジュゲート。
【請求項196】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が異種ペプチドの1もしくは複数の分子に連結されている請求項189に記載のコンジュゲート。
【請求項197】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項196に記載のコンジュゲート。
【請求項198】
AβフラグメントがAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項196に記載のコンジュゲート。
【請求項199】
異種ペプチドがT−細胞エピトープ、B−細胞エピトープおよびその組み合わせからなる群から選択される、請求項196に記載のコンジュゲート。
【請求項200】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が多抗原性ペプチド(MAP)形態に一緒に連結されている請求項189に記載のコンジュゲート。
【請求項201】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が、多抗原性ペプチド(MAP)形態中の異なるAβペプチド免疫原の1もしくは複数のコピーに連結されている請求項189に記載のコンジュゲート。
【請求項202】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項200または201に記載のコンジュゲート。
【請求項203】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項200または201に記載のコンジュゲート。
【請求項204】
請求項75に記載の方法に従い生成され、そして式:
【化5】

式中、Cはタンパク質/ポリペプチド担体であり、そしてXはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基であり、そしてここでPはタンパク質担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したペプチド免疫原分子であり、Rはタンパク質/ポリペプチド担体のアミノ酸残基、または場合によりタンパク質/ポリペプチド担体に共有結合したペプチドリンカーのアミノ酸残基の誘導化官能基に共有結合したキャッピング分子であり、これが担体の官能性を保存して、そうしなければ担体無しでは起こらないペプチド免疫原に対して望まれる免疫応答を誘導する担体のその能力を保持し、nは0より大きい整数であるが、85以下であり、そしてpは0より大きい整数であるが、85未満である、
を有するペプチド免疫原−タンパク質/ポリペプチド担体コンジュゲート。
【請求項205】
担体がヒト血清アルブミン、カサガイヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、卵アルブミン、インフルエンザ血球凝集素、PADREポリペプチド、マラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HBSAg19−28)、熱ショックタンパク質(HSP)65、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、コレラトキシン、低下した毒性を有するコレラトキシン変異体、ジフテリアトキシン、ジフテリアトキシンと交差反応性のCRM197タンパク質、組換え連鎖球菌C5aペプチダーゼ、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858、破傷風トキソイド、HIVgp120T1、成分認識微生物表面接着マトリックス分子(MSCRAMMS)、増殖因子、ホルモン、サイトカインおよびケモカインからなる群から選択される請求項204に記載のコンジュゲート。
【請求項206】
担体がT−細胞エピトープを含む請求項204に記載のコンジュゲート。
【請求項207】
担体がバクテリアトキソイドである請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項208】
担体がインフルエンザ血球凝集素である請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項209】
担体がPADREポリペプチドである請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項210】
担体がマラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質である請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項211】
担体がB型肝炎表面抗原(HSBAg19−28)である請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項212】
担体が熱ショックタンパク質65(HSP65)である請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項213】
担体がヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(BCG)由来のポリペプチドである請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項214】
担体が破傷風トキソイドである請求項207に記載のコンジュゲート。
【請求項215】
バクテリアトイソイドがCRM197である請求項207に記載のコンジュゲート。
【請求項216】
担体が連鎖球菌rC5aペプチダーゼである請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項217】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224である請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項218】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664である請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項219】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452である請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項220】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367である請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項221】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858である請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項222】
担体が免疫応答を刺激または強化する増殖因子またはホルモンである請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項223】
増殖因子またはホルモンがIL−1、IL−2、γ−インターフェロン、IL−10、GM−CSF、MIP−1α、MIP−1βおよびRANTESからなる群から選択される、請求項222に記載のコンジュゲート。
【請求項224】
ペプチド免疫原がバクテリアのタンパク質、ウイルスのタンパク質、真菌のタンパク質、寄生生物のタンパク質および真核生物のタンパク質からなる群から選択される、請求項206に記載のコンジュゲート。
【請求項225】
ペプチド免疫原がバクテリアに由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項224に記載のコンジュゲート。
【請求項226】
バクテリアが肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrheae
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Esherichia coli)、クレブシエーラ エンテロバクター(Klebsiella enterobacter)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、シュードモナス(Pseudomonas)種、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、志賀赤痢菌(Shigella dysentriae)、オーロイオコッカス オチチディス(Alloiococcus otitidis)およびB群連鎖球菌からなる群から選択される、請求項225に記載のコンジュゲート。
【請求項227】
ペプチド免疫原がウイルスに由来するタンパク質抗原から誘導化される、請求項224に記載のコンジュゲート。
【請求項228】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、水痘性口炎ウイルス(VSV)、RSウイルス(RSV)、エプスタインーバーウイルス(EBV)、コロナウイルス、ワクシニアウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)からなる群から選択される、請求項227に記載のコンジュゲート。
【請求項229】
ペプチド免疫原が真菌に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項224に記載のコンジュゲート。
【請求項230】
真菌がカンジダ アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス(Coccidioides)種、ヒストプラスマ(Histoplasma)種およびアスペルギルス(Aspergillus)種からなる群から選択される、請求項229に記載のコンジュゲート。
【請求項231】
ペプチド免疫原が寄生生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項224に記載のコンジュゲート。
【請求項232】
寄生生物がプラスモディウム属(Plasmodium)、トリパノソーマ属(Trypanosome)、住血吸虫属(Schistosome)およびリーシュマニア属(Leishmania)からなる群から選択される請求項231に記載のコンジュゲート。
【請求項233】
ペプチド免疫原が真核生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項224に記載のコンジュゲート。
【請求項234】
真核生物がヒトである請求項233に記載のコンジュゲート。
【請求項235】
ヒト由来のペプチド免疫原が悪性腫瘍から誘導化される請求項234に記載のコンジュゲート。
【請求項236】
腫瘍抗原が腎臓細胞癌腫抗原、胸部癌腫抗原、癌胎児性抗原、メラノーマ抗原および前立腺ガン特異的抗原からなる群から選択される、請求項235に記載のコンジュゲート。
【請求項237】
ペプチド免疫原がヒトAβポリペプチドに由来する請求項234に記載のコンジュゲート。
【請求項238】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化される請求項237に記載のコンジュゲート。
【請求項239】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのC−末端領域から誘導化される請求項237に記載のコンジュゲート。
【請求項240】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドの内部領域から誘導化される請求項237に記載のコンジュゲート。
【請求項241】
Aβペプチド免疫原がAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項237に記載のコンジュゲート。
【請求項242】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項237に記載のコンジュゲート。
【請求項243】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が別のペプチド免疫原に融合されている請求項237に記載のコンジュゲート。
【請求項244】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のN−末端に融合されている請求項243に記載のコンジュゲート。
【請求項245】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のC−末端に融合されている請求項243に記載のコンジュゲート。
【請求項246】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項243に記載のコンジュゲート。
【請求項247】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのN−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項243に記載のコンジュゲート。
【請求項248】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項244、245、246または247に記載のコンジュゲート。
【請求項249】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項244、245、246または247に記載のコンジュゲート。
【請求項250】
Aβの1もしくは複数のフラグメントが異種ペプチドの1もしくは複数の分子に連結されている請求項243に記載のコンジュゲート。
【請求項251】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項250に記載のコンジュゲート。
【請求項252】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項250に記載のコンジュゲート。
【請求項253】
異種ペプチドがT−細胞エピトープ、B−細胞エピトープおよびその組み合わせからなる群から選択される、請求項250に記載のコンジュゲート。
【請求項254】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が多抗原性ペプチド(MAP)形態に一緒に連結されている請求項243に記載のコンジュゲート。
【請求項255】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が、多抗原性ペプチド(MAP)形態中の異なるAβペプチド免疫原の1もしくは複数のコピーに連結されている請求項243に記載のコンジュゲート。
【請求項256】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項254または255に記載のコンジュゲート。
【請求項257】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項245または255に記載のコンジュゲート。
【請求項258】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が異種ペプチドの1もしくは複数の分子に連結されている、請求項243に記載のコンジュゲート。
【請求項259】
異種ペプチドがT−細胞エピトープ、B−細胞エピトープおよびその組み合わせからなる群から選択される、請求項258に記載のコンジュゲート。
【請求項260】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項258に記載のコンジュゲート。
【請求項261】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項258に記載のコンジュゲート。
【請求項262】
請求項75に記載の方法により生成したペプチド免疫原とタンパク質/ポリペプチド担体とのコンジュゲートを、1もしくは複数の製薬学的に許容され得る賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントと一緒に含んでなる免疫原性組成物。
【請求項263】
担体がヒト血清アルブミン、カサガイヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、卵アルブミン、インフルエンザ血球凝集素、PADREポリペプチド、マラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HBSAg19−28)、熱ショックタンパク質(HSP)65、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、コレラトキシン、低下した毒性を有するコレラトキシン変異体、ジフテリアトキシン、ジフテリアトキシンと交差反応性のCRM197タンパク質、組換え連鎖球菌C5aペプチダーゼ、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858、破傷風トキソイド、HIVgp120T1、成分認識微生物表面接着マトリックス分子(MSCRAMMS)、増殖因子、ホルモン、サイトカインおよびケモカインからなる群から選択される請求項262に記載の免疫原性組成物。
【請求項264】
担体がT−細胞エピトープを含む請求項262に記載の免疫原性組成物。
【請求項265】
担体がバクテリアトキソイドである請求項264に記載の方法。
【請求項266】
担体がインフルエンザ血球凝集素である請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項267】
担体がPADREポリペプチドである請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項268】
担体がマラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質である請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項269】
担体がB型肝炎表面抗原(HSBAg19−28)である請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項270】
担体が熱ショックタンパク質65(HSP65)である請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項271】
担体がヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(BCG)由来のポリペプチドである請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項272】
バクテリアトキソイドが破傷風トキソイドである請求項265に記載の免疫原性組成物。
【請求項273】
バクテリアトイソイドがCRM197である請求項265に記載の免疫原性組成物。
【請求項274】
担体が連鎖球菌rC5aペプチダーゼである請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項275】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224である請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項276】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664である請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項277】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452である請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項278】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367である請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項279】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858である請求項264に記載の免疫原性組成物。
【請求項280】
担体が免疫応答を刺激または強化する増殖因子またはホルモンである請求項262に記載の免疫原性組成物。
【請求項281】
増殖因子またはホルモンがIL−1、IL−2、γ−インターフェロン、IL−10、GM−CSF、MIP−1α、MIP−1βおよびRANTESからなる群から選択される、請求項280に記載の免疫原性組成物。
【請求項282】
ペプチド免疫原がバクテリアのタンパク質、ウイルスのタンパク質、真菌のタンパク質、寄生生物のタンパク質および真核生物のタンパク質からなる群から選択される、請求項262に記載の免疫原性組成物。
【請求項283】
ペプチド免疫原がバクテリアに由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項282に記載の免疫原性組成物。
【請求項284】
バクテリアが肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrheae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエーラ エンテロバクター(Klebsiella enterobacter)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、シュードモナス(Pseudomonas)種、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、志賀赤痢菌(Shigella dysentriae)、オーロイオコッカス オチチディス(Alloiococcus otitidis)およびB群連鎖球菌からなる群から選択される、請求項283に記載の免疫原性組成物。
【請求項285】
ペプチド免疫原がウイルスに由来するタンパク質抗原から誘導化される、請求項282に記載の免疫原性組成物。
【請求項286】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、水痘性口炎ウイルス(VSV)、RSウイルス(RSV)、エプスタインーバーウイルス(EBV)、コロナウイルス、ワクシニアウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)からなる群から選択される、請求項285に記載の免疫原性組成物。
【請求項287】
ペプチド免疫原が真菌に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項282に記載の免疫原性組成物。
【請求項288】
真菌がカンジダ アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス(Coccidioides)種、ヒストプラスマ(Histoplasma)種およびアスペルギルス(Aspergillus)種からなる群から選択される、請求項287に記載の免疫原性組成物。
【請求項289】
ペプチド免疫原が寄生生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項282に記載の免疫原性組成物。
【請求項290】
寄生生物がプラスモディウム属(Plasmodium)、トリパノソーマ属(Trypanosome)、住血吸虫属(Schistosome)およびリーシュマニア属(Leishmania)からなる群から選択される請求項289に記載の免疫原性組成物。
【請求項291】
ペプチド免疫原が真核生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項282に記載の免疫原性組成物。
【請求項292】
真核生物がヒトである請求項291に記載の免疫原性組成物。
【請求項293】
ヒト由来のペプチド免疫原が悪性腫瘍から誘導化される請求項292に記載の免疫原性組成物。
【請求項294】
ペプチド免疫原が腎臓細胞癌腫抗原、胸部癌腫抗原、癌胎児性抗原、メラノーマ抗原および前立腺ガン特異的抗原からなる群から選択される、請求項293に記載の免疫原性組成物。
【請求項295】
ペプチド免疫原がヒトAβポリペプチドに由来する請求項292に記載の免疫原性組成物。
【請求項296】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化される請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項297】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのC−末端領域から誘導化される請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項298】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドの内部領域から誘導化される請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項299】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項300】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項301】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で、同じAβペプチド免疫原の別の分子のN−末端に融合されている請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項302】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のC−末端に融合されている請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項303】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項304】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのN−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項305】
AβフラグメントがAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項301、302、303または304に記載の免疫原性組成物。
【請求項306】
AβフラグメントがAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項301、302、303または304に記載の免疫原性組成物。
【請求項307】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が異種ペプチドの1もしくは複数の分子に連結されている請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項308】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項307に記載の免疫原性組成物。
【請求項309】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項307に記載の免疫原性組成物。
【請求項310】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が多抗原性ペプチド(MAP)形態に一緒に連結されている請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項311】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が、多抗原性ペプチド(MAP)形態中の異なるAβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子に連結されている請求項295に記載の免疫原性組成物。
【請求項312】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項310または311に記載の免疫原性組成物。
【請求項313】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項310または311に記載の免疫原性組成物。
【請求項314】
1もしくは複数のアジュバントが、GM−CSF、529SE、IL−12、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、バクテリアリポ多糖、アミノアルキルグルコサミンリン酸塩化合物、MPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA)、ポリペプチド、Quil A、STIMULON(商標)QS−21、百日咳トキシン(PT)、大腸菌(E.coli)非耐熱性トキシン(LT)、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、TNF−αおよびTNF−βからなる群から選択される請求項262に記載の免疫原性組成物。
【請求項315】
ペプチド免疫原がAβであり、担体がCRM197であり、そしてアジュバントが529SEである請求項314に記載の免疫原性組成物。
【請求項316】
請求項262に記載の有効量の免疫原性組成物を個体に投与することを含んでなる、哺乳動物個体において免疫応答を誘導する方法。
【請求項317】
担体がヒト血清アルブミン、カサガイヘモシアニン(KLH)、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、卵アルブミン、インフルエンザ血球凝集素、PADREポリペプチド、マラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質、B型肝炎表面抗原(HBSAg19−28)、熱ショックタンパク質(HSP)65、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、コレラトキシン、低下した毒性を有するコレラトキシン変異体、ジフテリアトキシン、ジフテリアトキシンと交差反応性のCRM197タンパク質、組換え連鎖球菌C5aペプチダーゼ、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664、溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367、クラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858、破傷風トキソイド、HIVgp120T1、成分認識微生物表面接着マトリックス分子(MSCRAMMS)、増殖因子、ホルモン、サイトカインおよびケモカインからなる群から選択される請求項316に記載の方法。
【請求項318】
担体がT−細胞エピトープを含む請求項316に記載の方法。
【請求項319】
担体がバクテリアトキソイドである請求項318に記載の方法。
【請求項320】
担体がインフルエンザ血球凝集素である請求項318に記載の方法。
【請求項321】
担体がPADREポリペプチドである請求項318に記載の方法。
【請求項322】
担体がマラリアスポロゾイド周辺(CS)タンパク質である請求項318に記載の方法。
【請求項323】
担体がB型肝炎表面抗原である請求項318に記載の方法。
【請求項324】
担体が熱ショックタンパク質65(HSP65)である請求項318に記載の方法。
【請求項325】
担体がヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(BCG)由来のポリペプチドである請求項318に記載の方法。
【請求項326】
バクテリアトキソイドが破傷風トキソイドである請求項319に記載の方法。
【請求項327】
バクテリアトイソイドがCRM197である請求項319に記載の方法。
【請求項328】
担体が連鎖球菌rC5aペプチダーゼである請求項318に記載の方法。
【請求項329】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1224である請求項318に記載の方法。
【請求項330】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF1664である請求項318に記載の方法。
【請求項331】
担体が溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)ORF2452である請求項318に記載の方法。
【請求項332】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T367である請求項318に記載の方法。
【請求項333】
担体がクラミジア肺炎病原体(Chlamydia pneumoniae)ORF T858である請求項318に記載の方法。
【請求項334】
担体が免疫応答を刺激または強化する増殖因子またはホルモンである請求項316に記載の方法。
【請求項335】
増殖因子またはホルモンがIL−1、IL−2、γ−インターフェロン、IL−10、GM−CSF、MIP−1α、MIP−1βおよびRANTESからなる群から選択される、請求項334に記載の方法。
【請求項336】
ペプチド免疫原がバクテリアのタンパク質、ウイルスのタンパク質および真核生物のタンパク質からなる群から選択される、請求項316に記載の方法。
【請求項337】
ペプチド免疫原がバクテリアに由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項336に記載の方法。
【請求項338】
バクテリアが肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrheae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Esherichia coli)、クレブシエーラ エンテロバクター(Klebsiella enterobacter)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、シュードモナス(Pseudomonas)種、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri)、ボイド赤痢菌(Shigella boydii)、志賀赤痢菌(Shigella dysentriae)、オーロイオコッカス オチチディス(Alloiococcus otitidis)およびB群連鎖球菌からなる群から選択される、請求項337に記載の方法。
【請求項339】
ペプチド免疫原がウイルスに由来するタンパク質抗原から誘導化される、請求項336に記載の方法。
【請求項340】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、水痘性口炎ウイルス(VSV)、RSウイルス(RSV)、エプスタインーバーウイルス(EBV)、コロナウイルス、ワクシニアウイルス、ロタウイルス、狂犬病ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)からなる群から選択される、請求項339に記載の方法。
【請求項341】
ペプチド免疫原が真菌に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項336に記載の方法。
【請求項342】
真菌がカンジダ(Candida)種、クリプトコッカス(Cryptococcus)種、コクシジオイデス(Coccidioides)種、ヒストプラスマ(Histoplasma)種およびアスペルギルス(Aspergillus)種からなる群から選択される、請求項341に記載の方法。
【請求項343】
ペプチド免疫原が寄生生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項336に記載の方法。
【請求項344】
寄生生物がプラスモディウム属(Plasmodium)、トリパノソーマ属(Trypanosome)、住血吸虫属(Schistosome)およびリーシュマニア属(Leishmania)からなる群から選択される請求項343に記載の方法。
【請求項345】
ペプチド免疫原が真核生物に由来するタンパク質抗原から誘導化される請求項336に記載の方法。
【請求項346】
真核生物がヒトである請求項345に記載の方法。
【請求項347】
ヒト由来のペプチド免疫原が悪性腫瘍から誘導化される請求項347に記載の方法。
【請求項348】
ペプチド免疫原が腎臓細胞癌腫抗原、胸部癌腫抗原、癌胎児性抗原、メラノーマ(MAGE−1)抗原および前立腺ガン特異的抗原から誘導化される、請求項347に記載の方法。
【請求項349】
ペプチド免疫原がヒトAβポリペプチドに由来する請求項346に記載の方法。
【請求項350】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化される請求項349に記載の方法。
【請求項351】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドのC−末端領域から誘導化される請求項349に記載の方法。
【請求項352】
ペプチド免疫原がAβポリペプチドの内部領域から誘導化される請求項349に記載の方法。
【請求項353】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項350に記載の方法。
【請求項354】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項349に記載の方法。
【請求項355】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のN−末端に融合されている請求項349に記載の方法。
【請求項356】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で同じAβペプチド免疫原の別の分子のC−末端に融合されている請求項349に記載の方法。
【請求項357】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのC−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項349に記載の方法。
【請求項358】
Aβペプチド免疫原の1つの分子がそのN−末端で異なるAβペプチド免疫原の分子のC−末端に融合されている請求項349に記載の方法。
【請求項359】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項355、356、357または358に記載の方法。
【請求項360】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項355、356、357または358に記載の方法。
【請求項361】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が異種ペプチドの1もしくは複数のコピーに連結されている請求項349に記載の方法。
【請求項362】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択される請求項361に記載の方法。
【請求項363】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択される請求項361に記載の方法。
【請求項364】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が多抗原性ペプチド(MAP)形態に一緒に連結されている請求項349に記載の方法。
【請求項365】
Aβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子が、多抗原性ペプチド(MAP)形態中の異なるAβペプチド免疫原の1もしくは複数の分子に連結されている請求項349に記載の方法。
【請求項366】
Aβペプチド免疫原がAβポリペプチドのN−末端領域から誘導化され、そしてAβ1−5、1−6、1−7、1−10、1−12、3−7、1−3および1−4からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項364または365に記載の方法。
【請求項367】
Aβペプチド免疫原がAβ7−11、3−28、16−22、16−23、17−23、17−24、18−24、18−25、17−28、17−28、1−28、25−35、35−40および35−42からなる群から選択されるAβのフラグメントである請求項364または365に記載の方法。
【請求項368】
1もしくは複数のアジュバントが、GM−CSF、529SE、IL−12、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、バクテリアリポ多糖、アミノアルキルグルコサミンリン酸塩化合物、MPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA)、ポリペプチド、Quil A、STIMULON(商標)QS−21、百日咳トキシン(PT)、大腸菌(E.coli)非耐熱性トキシン(LT)、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、TNF−αおよびTNF−βからなる群から選択される請求項262に記載の方法。
【請求項369】
ペプチド免疫原がAβであり、担体がCRM197であり、そしてアジュバントが529SEである請求項368に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−505052(P2008−505052A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545540(P2006−545540)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042701
【国際公開番号】WO2005/058940
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(598014180)
【Fターム(参考)】