説明

免疫炎症性疾患の治療のための併用療法

本発明は、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(NsIDI)およびグループAエンハンサー(Group A enhancer)(例えば抗真菌剤、抗痛風剤、抗感染症剤、抗原虫剤、抗ウイルス剤、保湿剤、日焼け防止剤、ビタミンD化合物、微小管阻害剤、もしくは亜鉛塩)、またはこれらの類似物もしくは代謝物を患者に投与することによる、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者を治療する方法を特徴とする。本発明は、免疫炎症性疾患を治療または予防するための、NsIDIおよびグループAエンハンサー、またはその類似物もしくは代謝物を含む薬学的組成物も特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫炎症性疾患の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫炎症性疾患は、身体の免疫防御の不適切な活性化を特徴とする。免疫応答は、感染侵入体を標的とするのではなく、身体自身の組織または移植組織を標的として、これを損なってしまう。免疫系によって標的とされる組織は疾患によって異なる。例えば、炎症性皮膚疾患の場合、免疫応答は皮膚を対象とする。炎症性皮膚疾患は数百万人に影響を及ぼしており、ならびにアトピー性皮膚炎、乾癬、壊疽性膿皮症、扁平苔癬、酒さ、および脂漏性皮膚炎などの状態を含む。皮膚以外の組織を標的とする免疫炎症性疾患は、喘息、アレルギー性眼内炎疾患、関節炎、糖尿病、溶血性貧血、炎症性の腸もしくは胃腸の障害(例えばクローン病や潰瘍性大腸炎)、多発性硬化症、重症筋無力症、掻痒感/炎症、慢性関節リウマチ、肝硬変、および全身性エリテマトーデスなどの状態を含む。
【0003】
免疫炎症性疾患に対する現在の治療法は通常、免疫抑制剤に依っている。このような薬剤の有効性は多様であり、およびその使用はしばしば、有害な副作用を伴うことがある。したがって、免疫炎症性疾患に対する改善された治療薬および治療法が求められている。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
発明者らは、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(NsIDI)(例えばシクロスポリンA)とグループAエンハンサー(Group A enhancer)(例えば抗真菌剤、抗痛風剤、抗感染症剤、抗原虫剤、抗ウイルス剤、保湿剤、日焼け防止剤、ビタミンD化合物、または亜鉛塩)の組み合わせが、炎症性サイトカインの分泌の抑制に際して、いずれかの薬剤単独の場合より有効であることを発見した。したがって、NsIDIと上記薬剤、ならびにその構造的または機能的な類似体の組み合わせを、本発明の抗免疫炎症的な組み合わせに使用することができる。
【0005】
1つの局面では、本発明は一般に、NsIDIおよびグループAエンハンサーを、インビボにおいて炎症性サイトカインの分泌もしくは産生を低下させるのに、または免疫炎症性疾患を治療するのにともに十分な量で含む組成物を特徴とする。
【0006】
任意で、このような組成物は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、COX-2阻害剤、生物製剤、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、キサンチン、抗コリン作用化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、コルチコステロイド、小分子免疫調節剤、保湿剤、亜鉛塩、プソラレン、レチノイド、ビタミンD化合物、または5-アミノサリチル酸をさらに含む。いくつかの態様では、このような組成物は、局所投与用または全身投与用に製剤化される。
【0007】
本発明は、NsIDIおよびグループAエンハンサーを、インビボでにおいて患者における炎症性サイトカインの分泌または産生を低下させるのにともに十分な量で含む組成物を患者に投与することで、患者における炎症性サイトカインの分泌または産生を低下させる方法も提供する。
【0008】
本発明は、患者における炎症性サイトカインの分泌または産生を低下させる方法も特徴とする。この方法は、NsIDIおよびグループAエンハンサーを患者に同時に、または相互に14日以内に、インビボにおいて患者における炎症性サイトカインの分泌もしくは産生を低下させるのに、ともに十分な量を投与する段階を含む。
【0009】
加えて本発明は、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者を治療する方法を特徴とする。この方法は、NsIDIおよびグループAエンハンサーを同時に、または相互に14日以内に、患者を治療するのに十分な量で患者に投与する段階を含む。1つの態様では、NsIDIおよびグループAエンハンサーは1つの組成物としてともに投与される。
【0010】
本発明は、細胞(例えばインビボの哺乳動物細胞)による炎症性サイトカインの分泌または産生を低下させる方法も特徴とする。この方法は、NsIDIおよびグループAエンハンサーを同時に、または相互に14日以内に、インビボにおいて細胞における炎症性サイトカインの分泌もしくは産生を低下させるのに十分な量で細胞に接触させる段階を含む。
【0011】
本発明は、増殖性皮膚疾患であると診断されたか、または増殖性皮膚疾患を発症するリスクがあると診断された患者を治療する方法を特徴とする。この方法は、NsIDIおよびグループAエンハンサーを同時に、または相互に14日以内に、患者を治療するのに十分な量で患者に投与する段階を含む。1つの態様では、NsIDIおよびグループAエンハンサーは1つの組成物としてともに投与される。
【0012】
本発明は、NsIDIおよびグループAエンハンサーを含む組成物、ならびに免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者への組成物の投与に関する指示書を含むキットをさらに提供する。
【0013】
本発明は、NsIDI、グループAエンハンサー、ならびにNsIDIおよびグループAエンハンサーの、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者への投与に関する指示書を含むキットも提供する。
【0014】
本発明は、NsIDI;ならびにNsIDIおよびグループAエンハンサーの、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者への投与に関する指示書を含むキットも提供する。
【0015】
加えて本発明は、グループAエンハンサー、ならびにグループAエンハンサーおよびNsIDIの、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者への投与に関する指示書を含むキットを提供する。
【0016】
上記の任意の局面の好ましい態様では、グループAエンハンサーは例えば、クロトリマゾールなどの抗真菌剤;コルヒチンなどの抗痛風剤;アシクロビルなどの抗ウイルス剤;メトロニダゾールなどの抗原虫剤;ニトロフラゾンなどの抗感染症剤;オキシベンゾンなどの日焼け防止剤;尿素などの保湿剤;ビタミンD化合物、微小管阻害剤、または亜鉛塩である。グループAエンハンサーは、本明細書に記載された任意のグループAエンハンサーから選択可能である。
【0017】
上記の任意の局面の別の好ましい態様では、NsIDIおよびグループAエンハンサーは局所投与用に製剤化される。局所製剤には、0.10%、0.25%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、またはさらには35%(w/w)を上回る亜鉛を含めることができる。望ましくは組み合わせは、クリーム、フォーム、ペースト、ローション、ゲル、スティック、スプレー、パッチ、または軟膏として製剤化され、および、乾癬、アトピー性皮膚炎、手の皮膚炎、または光線性角化症などの皮膚炎症性疾患の治療目的で局所的に塗布される。
【0018】
上記の任意の局面の好ましい態様では、NsIDIは例えば、シクロスポリン、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムス、ABT-281、もしくはISAtx247などのカルシニューリン阻害剤か、またはラパマイシンやエベロリムスなどの、FK506結合タンパク質と相互作用する分子である。
【0019】
上記の任意の局面の1つの態様では、組み合わせの治療活性成分は、NsIDIおよびグループAエンハンサーからなる。
【0020】
本明細書に記載された任意の組み合わせに関して、本発明は、本明細書に記載された任意の免疫炎症性疾患または増殖性皮膚疾患の治療用の薬物の製造における組み合わせの活性成分の使用を特徴とする。このような薬物は、本明細書に記載された任意の製剤化手法を使用して調製することができる。さらに、薬物は、本明細書に記載された任意の方法で投与することができる。
【0021】
本発明の好ましい組み合わせは、シクロスポリンとアシクロビル;タクロリムスとアシクロビル;アスコマイシンとアシクロビル;ピメクロリムスとアシクロビル;ABT-281とアシクロビル;ISAtx247とアシクロビル;ラパマイシンとアシクロビル;エベロリムスとアシクロビル;シクロスポリンとクロトリマゾール;タクロリムスとクロトリマゾール;アスコマイシンとクロトリマゾール;ピメクロリムスとクロトリマゾール;ABT-281とクロトリマゾール;ISAtx247とクロトリマゾール;ラパマイシンとクロトリマゾール;エベロリムスとクロトリマゾール;シクロスポリンとコルヒチン;タクロリムスとコルヒチン;アスコマイシンとコルヒチン;ピメクロリムスとコルヒチン;ABT-281とコルヒチン;ISAtx247とコルヒチン;ラパマイシンとコルヒチン;エベロリムスとコルヒチン;シクロスポリンとメトロニダゾール;タクロリムスとメトロニダゾール;アスコマイシンとメトロニダゾール;ピメクロリムスとメトロニダゾール;ABT-281とメトロニダゾール;ISAtx247とメトロニダゾール;ラパマイシンとメトロニダゾール;エベロリムスとメトロニダゾール;シクロスポリンとニトロフラゾン;タクロリムスとニトロフラゾン;アスコマイシンとニトロフラゾン;ピメクロリムスとニトロフラゾン;ABT-281とニトロフラゾン;ISAtx247とニトロフラゾン;ラパマイシンとニトロフラゾン;エベロリムスとニトロフラゾン;シクロスポリンとオキシベンゾン;タクロリムスとオキシベンゾン;アスコマイシンとオキシベンゾン;ピメクロリムスとオキシベンゾン;ABT-281とオキシベンゾン;ISAtx247とオキシベンゾン;ラパマイシンとオキシベンゾン;エベロリムスとオキシベンゾン;シクロスポリンと尿素;タクロリムスと尿素;アスコマイシンと尿素;ピメクロリムスと尿素;ABT-281と尿素;ISAtx247と尿素;ラパマイシンと尿素;エベロリムスと尿素;シクロスポリンと亜鉛塩;タクロリムスと亜鉛塩;アスコマイシンと亜鉛塩;ピメクロリムスと亜鉛塩;ABT-281と亜鉛塩;ISAtx247と亜鉛塩;ラパマイシンと亜鉛塩;エベロリムスと亜鉛塩;シクロスポリンとビタミンD2;タクロリムスとビタミンD2;アスコマイシンとビタミンD2;ピメクロリムスとビタミンD2;ABT-281とビタミンD2;ISAtx247とビタミンD2;ラパマイシンとビタミンD2;エベロリムスとビタミンD2;シクロスポリンとビタミンD3;タクロリムスとビタミンD3;アスコマイシンとビタミンD3;ピメクロリムスとビタミンD3;ABT-281とビタミンD3;ISAtx247とビタミンD3;ラパマイシンとビタミンD3;エベロリムスとビタミンD3;ならびに、尿素、パントテノール、または亜鉛塩をさらに含む任意の上記の組み合わせを含む。
【0022】
本発明の組成物、キット、方法のある特定の態様では、組成物もしくはキット中の、または方法に使用される唯一の薬理学的に活性のある薬剤は、記載された薬剤(例えばNsIDIおよびグループAエンハンサー、またはNsIDI、グループAエンハンサー、ならびに記載された他の薬剤)である。この態様では、薬理学的に不活性な賦形剤が、組成物もしくはキット中に存在するか、または方法の実施に使用される場合もある。
【0023】
本発明に有用な化合物は、ジアステレオマーやエナンチオマーなどの異性体、塩、エステル、アミド、チオエステル、溶媒和化合物、およびこれらの多形、ならび本明細書に記載されたに化合物のラセミ混合物および純粋な異性体を含む、任意の薬学的に許容される形状の、本明細書に記載された化合物を含む。
【0024】
「非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤」または「NsIDI」は、炎症性サイトカインの産生もしくは分泌を低下させる、イムノフィリンに結合する、または炎症応答の下方調節を引き起こす、任意の非ステロイド性薬剤を意味する。NsIDIは、シクロスポリン、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムス、ABT-281、またはISAtx247などのカルシニューリン阻害剤、ならびにカルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害する他の薬剤(ペプチド、ペプチド断片、化学的に修飾されたペプチド、もしくはペプチド模倣物)を含む。NsIDIは、FK506結合タンパク質FKBP-12に結合して白血球の抗原誘導性の増殖およびサイトカイン分泌をブロックする、ラパマイシン(シロリムス)およびエベロリムスも含む。
【0025】
「グループAエンハンサー」は、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗痛風剤、抗原虫剤、抗感染症剤、日焼け防止剤、微小管阻害剤、保湿剤、ビタミンD化合物、または亜鉛塩を意味する。
【0026】
「コルチコステロイド」は、水素化されたシクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系を特徴とし、ならびに免疫抑制活性および/または抗炎症活性を有する、任意の天然または合成の化合物を意味する。天然のコルチコステロイドは一般に副腎皮質で産生される。合成コルチコステロイドは、ハロゲン化され得る。コルチコステロイドの例は本明細書に記載されている。
【0027】
「小分子免疫調節剤」は、炎症性サイトカインの産生もしくは分泌を低下させるか、炎症応答の下方調節を引き起こすか、またはイムノフィリン非依存的に免疫系を調節する、非ステロイド性の非NsIDI化合物を意味する。例示的な小分子免疫調節剤は、VX 702(Vertex Pharmaceuticals)、SCIO 469(Scios)、ドラマピモド(doramapimod)(Boehringer Ingelheim)、RO 30201195(Roche)、およびSCIO 323(Scios)などのp38 MAPキナーゼ阻害剤、DPC 333(Bristol Myers Squibb)などのTACE阻害剤、プラナルカサン(pranalcasan)(Vertex Pharmaceuticals)などのICE阻害剤、ならびにミコフェノラート(mycophenolate)(Roche)およびメリメポディブ(merimepodib)(Vertex Pharmaceuticals)などのIMPDH阻害剤である。
【0028】
「低用量」は、ヒトの任意の疾患または状態の治療用の所与の投与経路用に製剤化された特定の化合物の最低標準推奨投与量より少なくとも5%(例えば少なくとも10%、20%、50%、80%、90%、もしくはさらには95%)少ない量を意味する。例えば、吸入投与用に製剤化された低用量のコルチコステロイドは、経口投与用に製剤化された低用量のコルチコステロイドとは異なる。
【0029】
「高用量」は、ヒトの任意の疾患または状態の治療用の特定の化合物の最高標準推奨投与量より少なくとも5%(例えば少なくとも10%、20%、50%、100%、200%、もしくはさらには300%)多い量を意味する。
【0030】
「中用量」は、低用量と高用量の間の投与量を意味する。
【0031】
「治療すること」とは、免疫炎症性疾患もしくは増殖性皮膚疾患の治療用または予防用の薬学的組成物を投与すること、または処方することを意味する。
【0032】
「患者」は、任意の動物(例えばヒト)を意味する。本発明の方法、組成物、およびキットを使用する治療の対象となる他の動物は、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、ヒツジ、ウシ、魚類、および鳥類を含む。
【0033】
「十分な量」という表現は、免疫炎症性疾患または増殖性皮膚疾患を、臨床的に意味のある様式で治療もしくは予防するのに必要とされる、本発明の方法、組成物、およびキットにおける化合物の量を意味する。免疫炎症性疾患もしくは増殖性皮膚疾患に起因するか、または同疾患に寄与する状態の治療的処置のために本発明の実施に使用される十分な量の活性化合物は、投与様式、患者の年齢、体重、および全般的健康に依存して変動する。最終的には、処置担当者が、適切な量および投与法を決定する。
【0034】
「より有効である」という表現は、方法、組成物、またはキットが、比較対照の別の方法、組成物、またはキットより大きな有効性を示し、低い毒性を示し、安全で、簡便で、耐性に優れているか、もしくは安価であるか、または大きな治療満足度を提供することを意味する。当業者であれば有効性を、所与の適応症に適した任意の標準的な方法で測定することができる。
【0035】
「免疫炎症性疾患」という表現は、自己免疫疾患、増殖性皮膚疾患、および炎症性皮膚疾患を含む、さまざまな状態を包含する。免疫炎症性疾患では、炎症過程、免疫系の調節異常、および細胞の望ましくない増殖によって健常組織が損なわれる。免疫炎症性疾患の例は、尋常性座瘡;急性呼吸促迫症候群;アジソン病;アレルギー性鼻炎;アレルギー性眼内炎疾患、ANCA関連小血管炎;強直性脊椎炎;関節炎;喘息;アテローム性動脈硬化症;アトピー性皮膚炎;自己免疫性肝炎;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性肝炎;ベーチェット病;ベル麻痺;水疱性類天疱瘡;脳虚血;慢性閉塞性肺疾患;肝硬変;コーガン症候群;接触皮膚炎;COPD;クローン病;クッシング症候群;皮膚筋炎;糖尿病;円板状エリテマトーデス;好酸球性筋膜炎;結節性紅斑;剥脱性皮膚炎;線維筋痛;巣状糸球体硬化症;巣状分節状糸球体硬化症;巨細胞性動脈炎;痛風;痛風性関節炎;移植片対宿主病;手湿疹;ヘノッホ・シェーンライン紫斑病;妊娠性疱疹;多毛症;特発性角膜強膜炎;特発性肺線維症;特発性血小板減少性紫斑病;免疫性血小板減少性紫斑病;炎症性腸障害または胃腸障害;炎症性皮膚疾患;扁平苔癬;ループス腎炎;リンパ腫性気管気管支炎;黄斑浮腫;多発性硬化症;重症筋無力症;筋炎;非特異的繊維化性肺疾患;変形性関節炎;膵炎;類天疱瘡妊娠;尋常性天疱瘡;歯周炎;結節性多発動脈炎;リウマチ性多発筋痛;陰嚢掻痒症;掻痒感/炎症;乾癬;乾癬性関節炎;肺ヒストプラスマ症;慢性関節リウマチ;再発性多発性軟骨炎;サルコイドーシスに起因する酒さ;強皮症に起因する酒さ;スイート症候群に起因する酒さ;全身性エリテマトーデスに起因する酒さ:蕁麻疹に起因する酒さ;帯状疱疹関連痛に起因する酒さ;サルコイドーシス;強皮症;分節性糸球体硬化症;敗血症性ショック症候群;肩腱炎もしくは滑液包炎;シェーグレン症候群;スティル病;脳卒中による脳細胞死;スイート病;全身性エリテマトーデス;全身性硬化症;高安動脈炎;側頭動脈炎;中毒性表皮剥離症;移植臓器拒絶および移植臓器拒絶関連症候群;結核;1型糖尿病;潰瘍性大腸炎;ブドウ膜炎;血管炎;ならびにヴェグナー肉芽腫症である。
【0036】
本明細書で用いる、「皮膚以外の炎症性疾患」は例えば、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、喘息、および慢性閉塞性肺疾患を含む。
【0037】
「皮膚炎症性疾患」または「炎症性皮膚疾患」は、乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、急性熱性好中球性皮膚症、湿疹、乾皮性湿疹、発汗異常性湿疹、小水疱性掌蹠湿疹、尋常性座瘡、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、皮膚筋炎、剥脱性皮膚炎、手湿疹、汗疱、酒さ、サルコイドーシスに起因する酒さ、強皮症に起因する酒さ、スイート症候群に起因する酒さ、全身性エリテマトーデスに起因する酒さ、蕁麻疹に起因する酒さ、帯状疱疹痛に起因する酒さ、スイート病、好中球性汗腺炎、無菌性膿疱症、薬疹、脂漏性皮膚炎、バラ色粃糠疹、皮膚の菊池病、妊娠性掻痒性蕁麻疹性丘疹およびプラーク(pruritic urticarial papules and plaques of pregnancy)、スティーブンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮剥離症、タトゥー反応(tatoo reaction)、ウェルズ症候群(好酸球性蜂巣炎)、反応性関節炎(ライター症候群)、腸関連皮膚病-関節炎症候群(bowel-associated dermatosis-arthritis syndrome)、リウマチ性好中球性皮膚疾患(rheumatoid neutrophilic dermatosis)、好中球性エクリン汗腺炎(neutrophilic eccrine hidradenitis)、手背の好中球性皮膚疾患、形質細胞限局性亀頭炎、亀頭包皮炎、ベーチェット病、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、手の皮膚炎、光沢苔癬、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純性苔癬、棘状苔癬、貨幣状皮膚炎、壊疽性膿皮症、サルコイドーシス、角層下膿疱症、蕁麻疹、ならびに一過性棘融解性皮膚症から選択される炎症性疾患を意味する。
【0038】
「増殖性皮膚疾患」は、表皮または真皮における細胞分裂の加速を特徴とする良性もしくは悪性の疾患を意味する。増殖性皮膚疾患の例は、乾癬、アトピー性皮膚炎、非特異的皮膚炎、一次刺激性接触性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、皮膚の基底細胞および扁平上皮細胞癌、葉状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖症、前癌性角化症、座瘡、ならびに脂漏性皮膚炎である。
【0039】
当業者には明らかなように、特定の疾患、障害、または状態は、増殖性皮膚疾患と炎症性皮膚疾患の両方を特徴とする場合がある。このような疾患の一例が乾癬である。
【0040】
「徐放」または「放出制御」は、治療的活性成分が製剤から、治療的に有益な血液レベル(ただし毒性レベル未満)の成分が、例えば約12〜約24時間の範囲で長期間にわたって維持されることで、例えば12時間または24時間の剤形を提供するように、制御された速度で放出されることを意味する。
【0041】
「薬学的に許容される塩」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなく、ならびに妥当な利益/リスク比に見合う、ヒトおよび低級動物の組織との接触時に適切な、正しい医学的判断の範囲内に含まれる塩を意味する。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。このような塩は、本発明の化合物の最終的な分離および精製中にインサイチューで、または遊離塩基の官能基を適切な有機酸と反応させることで個別に調製できる。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸(camphorsulfonate)塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトナート、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。代表的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ならびに非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むが、これらに限定されないアミン陽イオンを含む。望ましくは、薬学的な塩は亜鉛塩である。
【0042】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、および特許請求の範囲から明らかとなる。
【0043】
詳細な説明
本発明は、シクロスポリンなどの非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(NsIDI)、ならびにグループAエンハンサー(例えば抗真菌剤、抗痛風剤、抗感染症剤、抗原虫剤、抗ウイルス性薬剤、保湿剤、日焼け防止剤、微小管阻害剤、および亜鉛塩)の有効量の投与による、免疫炎症性疾患の治療のための方法、組成物、およびキットを特徴とする。
【0044】
本発明を、以下に詳細に説明する。
【0045】
非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤
1つの態様では本発明は、任意でコルチコステロイドまたは本明細書に記載された他の薬剤を伴う、NsIDIおよびグループAエンハンサーを使用する方法、組成物、およびキットを特徴とする。
【0046】
健康な個体では、免疫系は、B細胞やT細胞などの細胞エフェクターによって、正常細胞を損なわないようにしながら感染微生物、および異常な細胞タイプを標的とする。自己免疫疾患または移植臓器を有する個体では、活性化されたT細胞が健康組織を損なう。カルシニューリン阻害剤(例えばシクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムス)、およびラパマイシンは、多くのタイプのT細胞を含む免疫調節細胞を標的とし、ならび臓器移植および自己免疫疾患における免疫応答を抑制する。
【0047】
シクロスポリン
シクロスポリンは、免疫抑制剤として作用するクラスの環状オリゴペプチドを含む真菌由来の代謝物である。シクロスポリンAおよびその重水素化された類似体ISAtx247は、11個のアミノ酸からなる疎水性の環状ポリペプチドである。シクロスポリンAは、細胞内受容体シクロフィリンに結合して複合体を形成する。シクロスポリン/シクロフィリン複合体は、Ca2+-カルモジュリン依存性セリン-スレオニン特異的タンパク質ホスファターゼであるカルシニューリンに結合してこれを阻害する。カルシニューリンは、T細胞の活性化に必要なシグナル伝達過程に関与する(総説としてSchreiber et al., Cell 70: 365-368, 1991)。シクロスポリン、ならびにその機能類似体および構造類似体は、抗原によって引き起こされるシグナル伝達を阻害することで、T細胞依存性の免疫応答を抑制する。この阻害によって、IL-2などの炎症性サイトカインの発現が低下する。
【0048】
多くのシクロスポリン(例えばシクロスポリンA、B、C、D、E、F、G、H、およびI)は真菌によって産生される。シクロスポリンAは、Novartisから商標名NEORALおよびSandimmuneとして、AbbottからGengrafとして、ならびにAllerganからRestasisとして販売されている。シクロスポリンAの構造類似体および機能類似体は、1つもしくは複数のフッ素化アミノ酸を有するシクロスポリン(例えば米国特許第5,227,467号に記載);修飾アミノ酸を有するシクロスポリン(例えば米国特許第5,122,511号および第4,798,823号に記載);ならびにISAtx247などの重水素化されたシクロスポリン(米国特許第20020132763号に記載)を含む。他のシクロスポリン類似体は、米国特許第6,136,357号、第4,384,996号、第5,284,826号、および第5,709,797号に記載されている。シクロスポリン類似体は、Cruz et al.(Antimicrob. Agents Chemother. 44: 143-149, 2000)に記載されているD-Sar(α-SMe)3Val2-DH-Cs(209-825)、Allo-Thr-2-Cs、ノルバリン-2-Cs、D-Ala(3-アセチルアミノ)-8-Cs、Thr-2-Cs、およびD-MeSer-3-Cs、D-Ser(O-CH2CH2-OH)-8-Cs、およびD-Ser-8-Csを含むが、これらに限定されない。
【0049】
シクロスポリンは疎水性が高く、および水の存在下で(例えば体液と接触して)容易に沈殿する。生物学的利用能が改善されたシクロスポリン製剤を提供する方法は、米国特許第4,388,307号、第6,468,968号、第5,051,402号、第5,342,625号、第5,977,066号、および第6,022,852号に記載されている。シクロスポリンのマイクロエマルジョン組成物については、米国特許第5,866,159号、第5,916,589号、第5,962,014号、第5,962,017号、第6,007,840号、および第6,024,978号に記載されている。
【0050】
シクロスポリンは、局所的に、静脈内に、または経口的に投与可能であるが、局所投与が好ましい。
【0051】
シクロスポリンAの疎水性に対抗するために、静脈内投与用のシクロスポリンAは通常、投与前に希釈する必要のあるエタノール-ポリオキシエチル化ヒマシ油をビヒクルとして提供される。シクロスポリンAは例えば、25 mgもしくは100 mgの錠剤中のマイクロエマルジョンとして、または100 mg/mlの経口用溶液(NEORAL(商標))中のマイクロエマルジョンとして提供される場合がある。
【0052】
典型的には、経口シクロスポリンの患者投与量は患者の状態によって変動するが、従来技術の投与法におけるいくつかの標準推奨投与量を本明細書では提供する。臓器移植を受ける患者は典型的には、12〜15 mg/kg/日の量の経口シクロスポリンAの初期用量が投与される。次に投与量は週に5%ずつ、7〜12 mg/kg/日の維持用量に達するまで徐々に低下されてゆく。静脈内投与の場合、2〜6 mg/kg/日が大半の患者で好ましい。クローン病または潰瘍性大腸炎であると診断された患者の場合、6〜8 mg/kg/日の投与量が一般に投与される。全身性エリテマトーデスであると診断された患者の場合、2.2〜6.0 mg/kg/日の投与量が一般に投与される。乾癬または慢性関節リウマチの場合、0.5〜4 mg/kg/日の投与量が一般的である。他の有用な投与量は、0.5〜5 mg/kg/日、5〜10 mg/kg/日、10〜15 mg/kg/日、15〜20 mg/kg/日、または20〜25 mg/kg/日を含む。シクロスポリンはしばしば、グルココルチコイドなどの他の免疫抑制剤と組み合わせて投与される。追加情報を表1に示す。
【0053】
(表1)NsIDI

レジェンド
CsA=シクロスポリンA
RA=慢性関節リウマチ
UC=潰瘍性大腸炎
SLE=全身性エリテマトーデス
【0054】
タクロリムス
タクロリムス(PROGRAF(商標)、PROTOPIC(商標)、FK506としても公知である)は、T細胞の細胞内シグナル伝達経路を標的とする免疫抑制剤である。タクロリムスは、シクロフィリンと構造的に近縁の細胞内タンパク質FK506結合タンパク質(FKBP-12)に結合する(Harding et al. Nature 341: 758-7601, 1989;Siekienka et al. Nature 341: 755-757, 1989;およびSoltoff et al., J. Biol. Chem. 267: 17472-17477, 1992)。FKBP/FK506複合体はカルシニューリンと結合して、カルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害する。この阻害によって、リンホカイン(例えばIL-2、γインターフェロン)の産生およびT細胞の活性化に必要な遺伝子の転写を開始する核内成分であるNFATの脱リン酸化および核への移行が妨げられる。したがってタクロリムスは、T細胞の活性化を阻害する。
【0055】
タクロリムスは、ストレプトマイセス・ツクバエンシス(Streptomyces tsukubaensis)が産生するマクロライド系の抗生物質である。タクロリムスは免疫系を抑制し、および移植臓器の生存を延長させる。タクロリムスは現在、経口用および注射用の製剤が入手できる。タクロリムスのカプセル剤は、0.5 mg、1 mg、または5 mgの無水タクロリムスをゼラチンカプセルシェル内に含む。注射用製剤は、注射前に9%塩化ナトリウムまたは5%デキストロースで希釈されるヒマシ油およびアルコール中に5 mgの無水タクロリムスを含む。経口投与が好ましいが、経口カプセル剤を飲み込めない患者には、タクロリムス注射液を使用可能である。初回投与は、連続的な静脈内注入によって移植後の6時間以内に行うべきである。
【0056】
タクロリムスおよびタクロリムス類似体は、Tanaka et al.,(J. Am. Chem. Soc., 109: 5031, 1987)に、ならびに米国特許第4,894,366号、第4,929,611号、および第4,956,352号に記載されている。FR-900520、FR-900523、およびFR-900525を含むFK506関連化合物は米国特許第5,254,562号に記載されており;O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルのマクロライドは米国特許第5,250,678号、第532,248号、第5,693,648号に記載されており;アミノO-アリールマクロライドは米国特許第5,262,533号に記載されており;アルキリデンマクロライドは米国特許第5,284,840号に記載されており;N-ヘテロアリール、N-アルキルヘテロアリール、N-アルケニルヘテロアリール、およびN-アルキニルヘテロアリールマクロライドは米国特許第5,208,241号に記載されており;アミノマクロライドおよびその誘導体は米国特許第5,208,228号に記載されており;フルオロマクロライドは米国特許第5,189,042号に記載されており;アミノO-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルのマクロライドは米国特許第5,162,334号に記載されており;ならびにハロマクロライドは米国特許第5,143,918号に記載されている。上記のすべてのタクロリムス類似体を、本発明の組み合わせにおいてタクロリムスに代えて使用可能である。
【0057】
示唆されている投与量は、患者の状態によって変動するが、従来技術の投与法で使用される標準推奨投与量を以下に示す。クローン病または潰瘍性大腸炎であると診断された患者には0.1〜0.2 mg/kg/日の経口タクロリムスが投与される。移植臓器を有する患者には典型的には0.1〜0.2 mg/kg/日の用量の経口タクロリムスが投与される。慢性関節リウマチの治療を受けている患者には典型的には1〜3 mg/日の経口タクロリムスが投与される。乾癬の治療では、0.01〜0.15 mg/kg/日の経口タクロリムスが患者に投与される。アトピー性皮膚炎では、0.03〜0.1%のタクロリムスを含むクリームを患部に1日2回塗布することで投与可能である。経口タクロリムスのカプセル剤の投与を受ける患者は典型的には、移植の6時間後すぐか、または静脈内へのタクロリムス注入が中止されてから8〜12時間後に初回用量の投与を受ける。他の示唆されているタクロリムスの投与量は、0.005〜0.01 mg/kg/日、0.01〜0.03 mg/kg/日、0.03〜0.05 mg/kg/日、0.05〜0.07 mg/kg/日、0.07〜0.10 mg/kg/日、0.10〜0.25 mg/kg/日、または0.25〜0.5 mg/kg/日を含む。
【0058】
局所タクロリムス軟膏は、ミネラルオイル、パラフィン、炭酸プロピレン、白色ワセリン、および白色ワックスの基剤中に、0.03%または0.1%のいずれかのタクロリムスを含む。局所タクロリムスの投与を受ける患者は典型的には、0.3%または0.1%の軟膏を1日2回が投与され;および他の多くの製剤が開発中である。投与はしばしば、徴候および症状が消失した後に1週間、継続される。
【0059】
タクロリムスは、混合機能オキシダーゼ系によって、特にシトクロムP-450系によって十分に代謝される。代謝の主要機構は脱メチル化および水酸化である。タクロリムスのさまざまな代謝物が、免疫抑制性の生物学的活性を示す可能性が高いが、13-脱メチル代謝物は、タクロリムスと同じ活性を有すると報告されている。したがって、この代謝物を、本発明の組み合わせにおいて、タクロリムスに代えて使用することができる。
【0060】
ピメクロリムスおよびアスコマイシンの誘導体
アスコマイシンはFK506に近縁の構造類似体であり、および強力な免疫抑制剤である。アスコマイシンはFKBP-12に結合して、そのプロリンロタマーゼ(rotamase)活性を抑制する。アスコマイシン-FKBP複合体は、2B型ホスファターゼであるカルシニューリンを阻害する。
【0061】
ピメクロリムス(SDZ ASM-981としても公知である)は、アスコマイシンの33-エピ-クロロ誘導体である。ピメクロリムスは、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus var. ascomyceitus)株によって産生される。タクロリムスと同様に、ピメクロリムス(ELIDEL(商標)、Novartis)はFKBP-12に結合してカルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害し、およびT細胞の活性化を、初期サイトカインの転写をブロックすることで阻害する。特にピメクロリムスは、IL-2の産生、および他の炎症性サイトカインの放出を阻害する。
【0062】
ピメクロリムスの構造類似体および機能類似体は、米国特許第6,384,073号に記載されている。ピメクロリムスは、アトピー性皮膚炎の治療に特に有用である。ピメクロリムスは現在、1%クリームとして入手可能である。個々の投与量は患者の状態によって変動するが、いくつかの標準推奨投与量を以下に示す。経口ピメクロリムスは、乾癬または慢性関節リウマチの治療には、40〜60 mg/日の量で投与可能である。クローン病または潰瘍性大腸炎の治療には、80〜160 mg/日のピメクロリムスの量が投与可能である。臓器移植を受けた患者には、160〜240 mg/日のピメクロリムスが投与可能である。全身性エリテマトーデスであると診断された患者には、40〜120 mg/日のピメクロリムスが投与可能である。ピメクロリムスの他の有用な投与量は、0.5〜5 mg/日、5〜10 mg/日、10〜30 mg/日、40〜80 mg/日、80〜120 mg/日、またはさらには120〜200 mg/日を含む。
【0063】
1 グラムのElidelクリーム1%は、ベンジルアルコール、セチルアルコール、クエン酸、モノグリセリドおよびジグリセリド、オレイルアルコール、プロピレングリコール、セトステアリル硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ステアリルアルコール、トリグリセリド、および水の白みがかったクリーム基剤中に10 mgのピメクロリムスを含む。局所ピメクロリムスの投与を受ける患者には典型的には1%クリームが1日2回投与される。本発明の組み合わせを、同じ方法で製剤化することができる。
【0064】
ラパマイシン
ラパマイシン(RAPAMUME(登録商標) シロリムス、Wyeth)は、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)が産生する環状ラクトンである。ラパマイシンは、Tリンパ球の活性化および増殖を阻害する免疫抑制剤である。シクロスポリン、タクロリムス、およびピメクロリムスと同様に、ラパマイシンはイムノフィリンFKBP-12と複合体を形成するが、ラパマイシン-FKBP-12複合体は、カルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害しない。ラパマイシン-イムノフィリン複合体は、細胞周期の進行に必要なキナーゼである、哺乳動物のラパマイシン標的タンパク質(mammalian target of rapamycin; mTOR)に結合してこれを阻害する。mTORのキナーゼ活性が阻害されると、Tリンパ球の増殖およびリンホカインの分泌がブロックされる。
【0065】
ラパマイシンの構造類似体および機能類似体は、モノアシル化およびジアシル化されたラパマイシン誘導体(米国特許第4,316,885号);ラパマイシンの水溶性プロドラッグ(米国特許第4,650,803号);カルボン酸エステル(PCT Publication No. WO 92/05179);カルバメート(米国特許第5,118,678号);アミドエステル(米国特許第5,118,678号);ビオチンエステル(米国特許第5,504,091号);フッ素化エステル(米国特許第5,100,883号);アセタール(米国特許第5,151,413号);シリルエーテル(米国特許第5,120,842号);二環式誘導体(米国特許第5,120,725号);ラパマイシン二量体(米国特許第5,120,727号);O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルの各誘導体(米国特許第5,258,389号);ならびに重水素化ラパマイシン(米国特許第6,503,921号)を含む。他のラパマイシン類似体は、米国特許第5,202,332号および第5,169,851号に記載されている。
【0066】
エベロリムス(40-O-(2-ヒドロキシエチル)ラパマイシン;CERTICAN(商標);Novartis)は、ラパマイシンに構造的に近縁の免疫抑制性のマクロライドであり、およびシクロスポリンAと組み合わせて投与すると、臓器移植の急性拒絶反応の予防に特に有効であることがわかっている。
【0067】
ラパマイシンは現在、液体および錠剤状の製剤の経口投与用の製品が入手可能である。RAPAMUNE(商標)溶液は、投与前に水またはオレンジジュースで希釈される1 mg/mLのラパマイシンを含む。1 mgまたは2 mgのラパマイシンを含む錠剤も入手できる。ラパマイシンは好ましくは、1日1回、移植後に可能な限りすぐに投与される。ラパマイシンは経口投与後に速やかに、かつ完全に吸収される。典型的には、ラパマイシンの患者投与量は、患者の状態によって変動するが、いくつかの標準推奨投与量を以下に示す。ラパマイシンの初期負荷用量は6 mgである。続く維持用量は典型的には2 mg/日である。または、3 mg、5 mg、10 mg、15 mg、20 mg、もしくは25 mgの負荷用量を、1 mg、3 mg、5 mg、7 mg、または10 mgの1日の維持用量とともに使用することができる。40 kg未満の患者の場合、ラパマイシンの投与量は典型的には体表面積を元に調節され;一般には、3 mg/m2/日の負荷用量および1 mg/m2/日の維持用量が使用される。
【0068】
ペプチド部分
カルシニューリンが関与するNFATの脱リン酸化および核への移行を妨げる、天然もしくは合成すなわち化学的に修飾されたペプチド、ペプチド模倣物、ペプチド断片は、本発明の実施における使用に適している。NFATの活性化因子およびNFATの転写因子を阻害することでカルシニューリン阻害剤として作用するペプチドの例は例えば、Aramburu et al., Science 285: 2129-2133, 1999、およびAramburu et al., Mol. Cell 1: 627-637, 1998に記載されている。カルシニューリン阻害剤のクラスとして、このような薬剤は本発明の方法に有用である。
【0069】
グループAエンハンサー
本発明は、NsIDIとグループAエンハンサーの組み合わせ、または免疫炎症性疾患の治療を特徴とする。グループAエンハンサーは、抗真菌剤、抗痛風剤、抗感染症剤、抗原虫剤、抗ウイルス剤、保湿剤、日焼け防止剤、微小管阻害剤、ビタミンD化合物、および亜鉛塩を含む。
【0070】
抗ウイルス剤
本発明と組み合わせて使用可能な抗ウイルス剤は、アバカビル、エースマンナン(acemannan)、アシクロビル、アデフォビル、アマンタジン、アミジノマイシン(amidinomycin)、アンプリジェン(ampligen)、アンプレナビル、アテビルジン、カプラビリン・シデフォビル(capravirine cidofovir)、デラビルジン、ジダノシン、ジデオキシアデノシン、n-ドコサノール、エドクスジン(edoxudine)、エファビレンツ、エムトリシタビン、ファムシクロビル、フロキシウリジン、フォミビルセン(fomivirsen)、ホスカルネットナトリウム、ガンシクロビル、イドクスウリジン、イミキモド、インディナビル、イノシン・プラノベクス、インターフェロン-α、インターフェロン-β、ケトキサール(kethoxal)、ラミブジン、ロピナビル、リゾチーム、マズ(madu)、メチサゾン、モロキシジン、ネルフィナビル、ネビラピン、オセルタミビル、パリビズマブ、ペンシクロビル、エンフュービルタイド(enfuvirtide)、プレコナリル、ポドフィロトキシン、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、ソリブジン、スタリマイシン(stallimycin)、スタトロン(statolon)、スタブジン、テノホビル、トレマカムラ(tremacamra)、トリフルリジン、トロマンタジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、ザルシタビン、ザナミビル、ジドブジン、レシキモド(resiquimod)、アタザナビル、チプラナビル、エンテカビル、フォサンプレナビル、メリメポディブ、ドコサノール、vx-950、およびペグインターフェロンを含むが、これらに限定されない。
【0071】
本発明の方法、組成物、およびキットに使用される1つの望ましい抗ウイルス剤がアシクロビルである。アシクロビルは、水痘、帯状疱疹、性器(生殖器)、皮膚、脳、ならびに粘膜(口唇および口腔)のヘルペスウイルス感染、ならびに新生児における広範囲のヘルペスウイルス感染の症状の治療に使用される。アシクロビルは、再発性の性器ヘルペス感染の予防にも使用される。
【0072】
本発明の組み合わせにおいて、アシクロビルに代えて使用可能な抗ウイルス剤の構造類似体は、9-((2-アミノエトキシ)メチル)グアニン、8-ヒドロキシアシクロビル、2'-O-グリシルアシクロビル、ガンシクロビル、PD 116124、バラシクロビル、オマシクロビル(omaciclovir)、バルガンシクロビル、ブシクロビル(buciclovir)、ペンシクロビル、バルマシクロビル(valmaciclovir)、カルボビル、テオフィリン、キサンチン、3-メチルグアニン、エンプロフィリン(enprofylline)、カファミノール(cafaminol)、7-メチルキサンチン、L 653180、BMS 181164、ステアリン酸バロマシクロビル(valomaciclovir)、デリフィリン(deriphyllin)、アシクロビル一リン酸、アシクロビル二リン酸ジミリストイルグリセロール、およびエトフィリン(etofylline)を含むが、これらに限定されない。
【0073】
アシクロビルは現在、クリーム、懸濁剤、眼軟膏、静脈注射剤、および錠剤として入手できる。アシクロビルは、Zoviraxの商標名で入手できる。Zoviraxの錠剤は、200 mg、400 mg、および800 mgの剤形を入手できる。Zoviraxクリームは5%のアシクロビルを含む。クリームの賦形剤は、ポロキサマー(polxamer)407、セトステアリルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、白色軟パラフィン、液体パラフィン、プロピレングリコール、および純水を含む。本発明の組み合わせは、同じ方法で製剤化可能である。
【0074】
単純ヘルペス感染の治療では、Zovirax錠剤(200 mgまたは400 mg)が典型的には、約4時間の間隔を設けて、夜間の投与は省略して1日に5回、投与される。投与は一般に5日間続けられるが、重度の初期感染時は延長される。水痘および帯状疱疹の感染の治療では、Zovirax錠剤(800 mg)が一般に、約4時間の間隔を設けて、夜間の投与を省略して7日間にわたって1日に5回、投与される。Zoviraxクリームは典型的には、約4時間の間隔を設けて、夜間の塗布を省略して5日間にわたって1日に5回、塗布される。
【0075】
ペンシクロビルは、口辺ヘルペスとしても公知の単純ヘルペスウイルス感染の治療に最も多く使用されている。ペンシクロビルは、クリーム状の製品を、商標名がVectavirまたはDenavirのものを入手できる。Denavirは、局所投与用の製品が1%の白色クリームとして入手できる。1グラムのDenavirは10 mgのペンシクロビル、ならびに以下の不活性成分を含む:セトマクロゴール1000 BP、セトステアリルアルコール、ミネラルオイル、プロピレングリコール、純水、および白色ワセリン。Denavirクリームは一般に、1日を通して約2時間の間隔を設けて、4日間にわたって患部に塗布される。本発明の組み合わせを、同じ方法で製剤化することができる。
【0076】
抗真菌剤
本発明は、抗真菌剤(またはその類似体)およびNsIDIを含む方法、組成物、ならびにキットを特徴とする。抗真菌剤は、アムホテリシンB(真菌の膜ステロールと相互作用するポリエンマクロライド)、フルシトシン(真菌のタンパク質およびDNAの生合成に相互作用するフルオロピリミジン)、ならびに真菌の膜ステロールの生合成を阻害するアゾール(例えばケトコナゾール、イトラコナゾール、およびフルコナゾール)、アリヨールアミン(allyolamine)、およびシクロピロクスを含むが、これらに限定されない、任意のさまざまなクラスの抗真菌化合物に由来する場合がある。
【0077】
本発明と組み合わせて使用可能な抗真菌剤は、2-(メトキシメチル)-5-ニトロフラン、2,4,6-トリブロモ-m-クレゾール、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アクリソルシン(acrisorcin)、アモロファイン(amorolfine)、アムホテリシン、アニデュラファンギン(anidulafungin)、アザセリン、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ビフォナゾール、ビフェナミン、ブロモサリチルクロラリニド(bromosalicylchloranilide)、ブクロサミド、ブテナフィン、ブトコナゾール、カンジシジン(candicidin)、カスポファンギン(caspofungin)、クロルダントイン、クロルミダゾール(chlormidazole)、クロルフェネシン、シクロピロクス、シクロピロクス・オラミン、クリンダマイシン、クロコナゾール、クロトリマゾール、クロキシキン(cloxyquin)、コパラフィネート(coparaffinate)、クロコナゾール、デルモスタチン(dermostatin)、ジアムタゾール(diamthazole)、ジヨードヒドロキシキノリン、エコナゾール、エコノゾール(econozole)、エニルコナゾール(enilconazole)、er30346、エリゲロン・ボナリエンシスル(erigeron bonariensisl)、エリスロマイシン、エキサラミド、フェンチコナゾール、フィリピン(filipin)、フルコナゾール、フルシトシン、フルトリマゾール(flutrimazole)、ファンギクロミン(fungichromin)、グリセオフルビン、グリセオフルビナ(griseofluvina)、ハチマイシン、ハレタゾール(halethazole)、ハロプロジン、ハマイシン、イマザリル、イソコナゾール、イソトレチノイン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、リラナフタート、ロフルカルバン(loflucarban)、ルセンソマイシン(lucensomycin)、メパルトリシン(mepartricin)、塩化メチルロザニリン、ミカファンギン、ナフチフィン(naftifine)、ナタマイシン、ウンデシレン酸ネオマイシン、ネチコナゾール、ニフラテル(nifuratel)、ニスタチン、オリゴマイシン、オモコナゾール、オキシコナゾール、硝酸オキシコナゾール、パラコナゾール(paraconazole)、ペシロシン(pecilocin)、ペリマイシン(perimycin)、ピロクトン、ポサコナゾール、プロピオン酸、ピリチオン、ピロールニトリン、ラブコナゾール、サリチルアニリド、サペルコナゾール(saperconazole)、sch56592、硫化セレン、セルタコナゾール、シッカニン、スルベンチン(sulbentine)、スルコナゾール、テノニトロゾール、テルビナフィン、テルコナゾール、テルフェナジン、チオコナゾール、トルシクラート、トリンダート(tolindate)、トルナフテート、トリアセチン、トリオキシサレン、ツベルシジン(tubercidin)、ウンデシレン酸、ビリジン、ボリコナゾール、およびジノコナゾールを含むが、これらに限定されない。
【0078】
本発明の方法、組成物、およびキットに使用される1つの望ましい抗真菌剤がクロトリマゾールである。
【0079】
クロトリマゾールは、膣、口腔、ならびに水虫、いんきんたむし、および体部白癬などの皮膚の酵母感染症の治療に使用されている。クロトリマゾールは、一部の患者の口腔カンジダ症の予防にも使用可能である。
【0080】
クロトリマゾールは、皮膚に塗布されるクリーム、ローション、および溶液;口の中で溶かすロゼンジ(トローチと呼ばれる);ならびに膣内に挿入される膣用錠剤および膣クリームとして販売されている。クロトリマゾールは、lotriminの商標名の製品を入手できる。1グラムのlotriminクリームは、10 mgのクロトリマゾール、USPを、ベンジルアルコールNF(1%)、セテアリルアルコール70/30(10%)、セチルエステルワックスNF、オクチルドデカノールNF、ポリソルベート60 NF、ソルビタンモノステアレートNF、および純水USPのバニシングクリーム基剤中に含む。1 mLのlotrimin局所溶液は、10 mgのクロトリマゾール、USPを、PEG 400 NFの非水性ビヒクル中に含む。本発明の組み合わせを、同じ方法で製剤化することができる。
【0081】
クロトリマゾールは通常、口腔カンジダ症の場合は1日5回を14日間にわたって、皮膚感染時は1日2回(朝と夕方)を2〜8週間にわたって、および膣感染時は1日1回、就寝時に3日間または7日間にわたって使用される。ロゼンジは、口腔内に入れて、約15〜30分間をかけて緩やかに溶かすべきである。
【0082】
本発明の方法、組成物、およびキットに有用な別の抗真菌剤がシクロピロクス(cicloprox)である。シクロピロクスクリーム(penlac)は、爪カビ用に8%の局所溶液として、または頭皮の脂漏性皮膚炎の治療に適応がある、1%シクロピロクスを含むloproxシャンプーとして販売されている。さらに別の例が、白癬感染に対する1%局所クリームとして入手可能なエコナゾール(spectazole)である。抗真菌クリームの別の例が、酒さの治療用の1%クリームとして入手可能なメトロニダゾール(noritate)である。抗真菌クリームのさらに別の例が、2%膣クリームとして入手可能なミコナゾール(monistat)である。抗真菌剤の別の例が、水虫治療用の1%クリームとして入手可能な塩酸テルビナフィン(lamisil)である。
【0083】
抗痛風剤
本発明は、抗痛風剤(またはその類似体)およびNsIDIを含む方法、組成物、ならびにキットを特徴とする。抗痛風剤は、疾患性痛風(disease gout)または家族性地中海熱の治療に使用される化合物である。
【0084】
本発明と組み合わせて使用可能な抗痛風剤は、aa 193、アロプリノール、ベンズブロマロン、bof 4272、カプサイシン、コルヒチン、エトリコキシブ、フェブキソスタット(febuxostat)、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト、イルテマゾール、kt 433、オキシプリノール、ペペロミア・ペルキダ(peperomia pellucida)、ピロキシカム、プロベネシド、ラスブリカーゼ、スルフィンピラゾン、ウリカーゼ(Enzon, Phoenix PharmacologiesおよびSavientから入手可能)を含むが、これらに限定されない。
【0085】
本発明の方法、組成物、およびキットに使用される1つの望ましい抗痛風剤が、コルチカム・オータムナーレ(Colchicum autumnale L.)に由来し、および他のコルチカム種にも見い出される主要なアルカロイドであるコルヒチンである。
【0086】
本発明の組み合わせにおいて、コルヒチンに代えて使用可能なコルヒチンの構造類似体は、イソコルヒチン、コルヒセイン(colchiceine)、コルヒチン、3-デメチル-(7ci),3-デスメチルコルヒチン、4-ホルミルコルヒチン、コルヒシド(colchicide)、コルヒセナミド(colchicenamide)、イソコルヒチン、コルヒセナミド、コルヒフォリン(colchifoline)、チオコルヒチン、クロルコルヒチン(chlorcolchicine)、ブロモコルヒチン、およびルミコルヒチンを含むが、これらに限定されない。
【0087】
微小管阻害剤
本発明は、微小管阻害剤(またはその類似体)およびNsIDIを含む方法、組成物、ならびにキットを特徴とする。微小管阻害剤は、遊離のチューブリン二量体と組み立てられたポリマー間の平衡に影響する薬剤である。
【0088】
本発明の組み合わせに使用可能な微小管阻害剤は、コルヒチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ポドフィロトキシン(podofilotoxin)、ポドフィロクス(podofilox)、およびビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、およびビンデシン)を含むが、これらに限定されない。
【0089】
抗原虫剤
本発明は、抗原虫剤(またはその類似体)およびNsIDIを含む方法、組成物、ならびにキットを特徴とする。
【0090】
本発明の組み合わせに使用可能な抗原虫剤は、アセタルソール(acetarsol)、アセタルゾン(acetarsone)、アクラニル(acranil)、アミニトロゾール、アニソマイシン、アンチモン、アザニダゾール、ベンズニダゾール、ベルベリン、クロロキン、シクロピロクス、クリンダマイシン、クロトリマゾール、ジヨードホマトロピン(diiodohomatropine)、ジヨードヒドロキシキノリン、ジヨードヒドロキシキノロン、ジロキサニド、エフロルニチン(eflornithine)、エルゴメトリン、エチルスチバミン(ethylstibamine)、エトファミド(etofamide)、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フマギリン(fumagillin)、フラゾリドン、ハチマイシン、ヒドロキシスチルバミジン、ラウログアジン(lauroguadine)、メベンダゾール、メラルソプロール、メパルトリシン(mepartricin)、ミコナゾール、ミルテフォシン(miltefosine)、ナフチニン(naftifine)、ニフラテル(nifuratel)、ニフロキシム(nifuroxime)、ニフルティモックス(nifurtimox)、ニモラゾール、ニタゾキサニド、オルニダゾール(ornidazole)、オキソフェナルシン、パロモマイシン、ペンタミジン、プロパミジン、ピューロマイシン、ピリメタミン、キナピラミン(quinapyramine)、キンファミド(quinfamide)、セクニダゾール、スチルバミジン、スラミンナトリウム(suraminsodium)、テノニトロゾール、テルコナゾール、チニダゾール、トリパルサミド(tryparsamide)、および尿素スチバミンを含むが、これらに限定されない。
【0091】
本発明の方法、組成物、およびキットに使用される1つの望ましい抗原虫剤がメトロニダゾールである。
【0092】
メトロニダゾールは、生殖器官、消化器官、皮膚、膣、および他の身体部位における感染を引き起こす細菌および他の微生物を除去する。メトロニダゾールは、抗酒さ剤でもある。
【0093】
抗感染症剤
本発明は、抗感染症剤(またはその類似体)およびNsIDIを含む方法、組成物、ならびにキットを特徴とする。局所抗感染症剤は、グラム陰性およびグラム陽性の細菌に有効である。抗感染症剤は、局所抗生物質、スルホンアミド、防腐剤、および消毒剤を含む。
【0094】
本発明の組み合わせに使用可能な抗感染症剤は、1-サリチル酸ナフチル、8-キノリノール、酢酸、酸性フクシン、アクリフラビン、塩化アクリフラビニウム、アルコール、アルキルポリ(アミノエチル)グリシン、アルキルジアミノグリシン、アルキルポリ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン、アルキルポリ(アミノエチル)グリシン、アルプロスタジル、硫酸アルミニウム、アミカシン、安息香酸アンモニウム、マンデル酸アンモニウム、ウバウルシ(arctostaphylos uva-ursi)、バシトラシン、ムラサキセンダイハギ(baptisia)、ベアベリー(bearberry)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化ベンゾドデシニウム、塩化ベンゾドデシニウム、塩化ベンゾキソニウム、過酸化ベンゾイル、ベンジダミン、ヨウ化酸化ビスマス、ヨウ化次没食子酸ビスマス(bismuth iodosubgallate)、トリブロモフェン酸ビスマス、ビチオノール、ブロノポール、カデキソマーヨウ素、キンセンカ(calendula officinalis)、カルフェシリン、カルバクロール、セフィキシム、セフォテタン、セフチブテン、塩化セタルコニウム、セチリジン、セトリマイド、セトリモニウム、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、カモミール、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロロクレゾール、クロロキシン、クロロキシレノール、クロルテトラサイクリン、シノキサシン、シプロフロキサシン、クリオキノール、プロピオン酸クロベタゾール、クロトリマゾール、ダプソン、デメクロサイクリン、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、ジオキシジン(dioxidine)、ドジシン(dodicin)、臭化ドミフェン、カラギーナン・エメプロニウム(emepronium carrageenate)、エノキサシン、エリスロマイシン、大腸菌、エタクリジン、ファルネソール、フェンチクロール(fenticlor)、フラボキサート、ホスホマイシン、ホスホマイシン・トロメタモール、フラジオマイシン、フラミセチン、フラジジン(furazidin)、フラゾリドン、フシジン酸、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン、ゲンチアナバイオレット、ハルキノル(halquinol)、ヘキサクロロフェン、ヘキサミジン、ヘキセチジン、ヒアルロン酸、ヒドラルガフェン(hydrargaphen)、過酸化水素、イクタモール、ヨウ化アルコール、ヨウ素、一塩化ヨウ素、ヨウ素ピロン(iodine piron)、三塩化ヨウ素、ヨードクロルヒドロキシキン、ヨードホルム、イルガサン(irgasan)、イソプロピルアルコール、イソチアゾール、コロジウム(kollodium)、乳酸、ラピリウム(lapirium)、マフェニド、サリチル酸マグネシウム、メラルーカオイル(melaleuca oil)、メルブロミン(merbromin)、昇汞、メスナ、マンデル酸メテナミン、メテナミン、メチオニン、塩化メチルロサリニリウム、塩化メチルチオニニウム、メチオラト(metiolato)、メトロニダゾール、モノエタノールアミド、ムピロシン、ナリジクス酸、ネオマイシン、ニドロキシゾン(nidroxyzone)、ニフロキサジド(nifuroxazide)、ニフロキシム(nifuroxime)、ニフルジド(nifurzide)、ニトロフラール、ニトロフラントイン、ニトロフラゾン、ニトロキソリン、ノルフロキサシン、オクテニジン、オフロキサシン、サッサフラス油、オルニダゾール、オキソリン酸、オキシクロロセン、パレイラ(pareira)、ペフロキサシン、ペニシリン、ペントサン多硫酸、ペントキシフィリン、フェナゾピリジン、フェノクチド(phenoctide)、フェノール、フェノセプト(phenosept)、フェノキシエタノール、ピペミド酸、ピロミド酸、ピブメシリナム、ポリクレスレン(policresulen)、ポリビノックス(polyvinox)、ポビドン、ポピドンヨード、プロポリス、ピリチオン亜鉛、キノロン、レゾルシノール、リファンピシン、リファマイシン、リファマイシンSV、リファキシミン、ロソキサシン(rosoxacin)、ルフロキサシン、サリチル酸、ジクロロイソシアヌレートナトリウム、ニクロム酸ナトリウム(vi)、次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorate)、次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochloride)、次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorite)、スルホコハク酸ウンデカン酸ナトリウム(sodium sulfosuccinated undecenoic acid)、チオ硫酸ナトリウム、スルファカルバミド(sulfacarbamide)、スルファジアジン、スルファジミジン、スルファメチゾール、スルファメトキシピリダジン、スルファニルアミド、スルファチアゾール、硫黄、シムクロセン、ティーツリーオイル、テマフロキサシン、テロジリン、テトラサイクリン、テベネル(tevenel)、チメルフォネートナトリウム(thimerfonate sodium)、チメロサール、チラム(thiram)、チメロサール(timerosal)、メチル硫酸トロコニウム、トシルクロラミドナトリウム、トリクロカルバン、トリクロサン、トリメトプリム、トリクロセンカリウム、チロトリシン(tyrothricin)、バンコマイシン、および酸化亜鉛を含むが、これらに限定されない。
【0095】
本発明の方法、組成物、およびキットに使用される1つの望ましい抗感染症剤がニトロフラゾンである。
【0096】
本発明の組み合わせにおいてニトロフラゾンに代えて使用可能なニトロフラゾンの構造類似体は、4-ヒドロキシニトロフラゾン、5-ニトロ-2-フルアルドキシム、5-ニトロフルフリリデンアミノグアニジン、グアノフラシン、ニドロキシゾン、ニフラルデゾン、ニフレタゾン、ニフロキサジド、ニフロキシム、ニフルセミゾン、ニヒドラゾン、およびニトロフルアルデヒドジエチルアミノプロピルセミカルバゾンを含むが、これらに限定されない。
【0097】
日焼け防止剤
本発明は、日焼け防止剤(またはその類似体)およびNsIDIを含む方法、組成物、ならびにキットを特徴とする。
【0098】
日焼け防止剤は、日焼けを防ぐために使用される。化学的および物理的の2種類の日焼け防止剤が存在する。化学的な日焼け防止剤は、紫外(UV)光および可視光を吸収することで皮膚を太陽光から保護し、物理的な日焼け防止剤は、これらの光線を反射、散乱、吸収、またはブロックする。日焼け防止剤はしばしば複数の成分を含む。例えば製品は、紫外A(UVA)光に対する保護を提供する1つの成分を、およびUVA光より日焼けを引き起こす可能性の高い紫外B(UVB)光から皮膚を保護する別の成分を含む場合がある。理想的には、適用範囲はUVA光とUVB光の両方に対する保護を含むべきである。
【0099】
本発明の組み合わせにおいて使用可能な日焼け防止剤は、アヴォベンゾン、ジオキシベンゾン、ホモサラート、リサジメート、アントラニル酸メチル、アミノ安息香酸、オクトクリレン、ケイ皮酸オクチルメトキシ、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パディメート-o(padimate-o)、フェニルベンゾイミダゾール、ロキサジマート(roxadimate)、スルイソベンゾン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、二酸化チタン、サリチル酸トロラミン、および酸化亜鉛を含むが、これらに限定されない。
【0100】
本発明の方法、組成物、およびキットに使用される1つの望ましい日焼け防止剤がオキシベンゾンである。
【0101】
本発明の組み合わせにおいて、オキシベンゾンに代えて使用可能なオキシベンゾンの構造類似体は、メキセノン;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン;4'-クロロ-2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンゾフェノン2'-ヒドロキシ-5'-メトキシ-;メタノン,(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(4-メトキシフェニル);4'-フルオロ-2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;メタノン,(2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フェニル-;ベンゾフェノン,2-ヒドロキシ-4-ブトキシ-;ジオキシベンゾン;ベンゾフェノン,2-ヒドロキシ-4-メチル-;2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2'-メチルベンゾフェノン;および2-ヒドロキシ-4-(2-フェノキシエトキシ)ベンゾフェノンを含むが、これらに限定されない。
【0102】
保湿剤
本発明は、保湿剤(またはその類似体)およびNsIDIを含む方法、組成物、ならびにキットを特徴とする。
【0103】
保湿剤は、皮膚に塗布時に水を引きつける物質である。水の供給元は、相対湿潤度が極めて高い(>80%)にもかかわらず経皮水分である。天然保湿成分(Natural Moisturizing Factor;NMF)は、複数の低分子量物質の混合物である。このような物質は、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸塩、尿素、アンモニア、尿酸、グルコサミン、クレアチニン、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン酸、有機酸、ペプチド、および他の未同定の物質を含む。このような物質の一部が保湿剤に、その吸湿性を高めるために添加される。
【0104】
本発明の組み合わせに使用可能な保湿剤は、1,3-ジ-6-キノリル尿素、1-ブチル-3-メタニリル尿素、4-ニトロフェニル)尿素、アリル尿素、αヒドロキシ酸、ヘキサ尿素硫酸三ヨウ化アルミニウム、乳酸アンモニウム、ベンジル尿素、ジアゾリジニル尿素、エクチル尿素、エチレンチオ尿素、グリセリン、ヒドロキシ尿素、イミド尿素、イナイダゾリジニル(inaidazolidinyl)尿素、イソソルビド、乳酸塩、メイダゾリジニル(maidazolidinyl)尿素、マンニトール、メクロラ尿素(mecloralurea)、n,n'-ジメチルチオ尿素、天然保湿成分(nmf)、n-エチル-n-ニトロソ尿素、ニトロ尿素、オキシメト尿素(oxymethurea)、パントテノール、フェニルチオ尿素、フェニル尿素、ソルビトール、スルファニル尿素、スルファチオ尿素、sym-ジフェニルチオ尿素、テトラメチル尿素、チオ尿素、尿素、硝酸尿素、尿素スチバミン(urea stibamine)、および尿素ホルムを含むが、これらに限定されない。
【0105】
本発明の方法、組成物、およびキットに使用される1つの望ましい保湿剤が尿素である。
【0106】
本発明の組み合わせにおいて尿素に代えて使用可能な尿素の構造類似体は、ポリ尿素、メチル尿素、および尿素塩酸を含むが、これらに限定されない。
【0107】
ビタミンD化合物
本発明は、ビタミンD化合物およびNsIDIを含む方法、組成物、ならびにキットを特徴とする。
【0108】
ビタミンDは、身体中のカルシウム、リン、およびミネラルの調節に、ならびに正常な骨の発達の促進に重要な役割を果たす脂溶性ビタミンである。ビタミンDの主要な生物学的機能は、血清中のカルシウムおよびリンの濃度を、小腸による食物からこれらのミネラルの吸収効率を高めることで正常範囲内に維持することである。
【0109】
ビタミンDは皮膚で合成され、および理想的な状態では食事から必要とされない。ビタミンDの活性型は標的組織中の特異的な受容体に結合して、最終的に血漿Ca2+の濃度を招く。食事由来のビタミンDも、体内で合成されたビタミンDも、生物学的に活性な状態となるためには活性化される必要がある。
【0110】
本明細書で用いる、「ビタミンD化合物」は、ビタミンD、抗低カルシウム血剤、および抗副甲状腺機能低下剤を意味する。ビタミンD化合物は、ベコカルシドリオール(becocalcidiol)、カルシフェジオール(calderol)、カルシポトリエン(Dovonex/Divonex、Dovobet/Divobet)、カルシポトリオール、コレカルシフェロール、カルシトリオール(rocaltrol)、ジヒドロタキステロール(hytakerol)、エルゴカルシフェロール(drisdol)、メクサカルシトール(mexacalcitol)、タカルシトール、ビタミンD2、ビタミンD3、および現在臨床で使用されている以下の類似体:Rocaltrol(登録商標)(Roche Laboratories)、Calcijex(登録商標)カルシトリオール注射剤、EB 1089(24a,26a,27a-トリホモ-22,24-ジエン-1α,25-(OH)2-D3)、KH 1060(20-エピ-22-オキサ-24a,26a,27a-トリホモ-1α,25-(OH)2-D3)、MC 1288およびMC 903(カルシポトリオール)を含むLeo Pharmaceuticalの研究段階の薬剤;1,25-(OH)2-16-エン-D3、1,25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3、および25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3などのRoche Pharmaceuticalの薬剤;22-オキサカルシトリオール(22-オキサ-1α,25-(OH)2-D3などの中外製薬の薬剤;イリノイ大学の1α-(OH)D5;ならびにZK 161422およびZK 157202などのInstitute of Medical Chemistry-Schering AGの薬剤を含む。上記の任意のビタミンD化合物を、本発明の組み合わせにおいて使用することができる。
【0111】
亜鉛塩
本発明は、亜鉛塩およびNsIDIを含む方法、組成物、ならびにキットを特徴とする。
【0112】
本発明の組み合わせに使用可能な亜鉛塩は、硫酸亜鉛アルミニウム、バシトラシン亜鉛、ペンタテート亜鉛3ナトリウム、ポラプレジンク(polaprezinc)、硫酸亜鉛カリウム、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、カプリル酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、水酸化クロム酸亜鉛(vi)、クエン酸亜鉛、シアン化亜鉛、フッ化亜鉛、ギ酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、ヨウ化亜鉛デンプン、乳酸亜鉛、メタ亜ヒ酸亜鉛、硝酸亜鉛、窒化亜鉛、亜硝酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オルトヒ酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、過酸化亜鉛、リン酸亜鉛、p-フェノールスルホン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ピリチオン亜鉛、ピロリン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、セレン酸亜鉛、セレン化亜鉛、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、テルル化亜鉛、チオシアン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、吉草酸亜鉛、亜鉛-プロトポルフィリンを含むが、これらに限定されない。
【0113】
亜鉛塩は、全身的または局所的のいずれかで投与することができる。亜鉛塩は、カプレット、シロップ、および錠剤として利用可能である。投与量は典型的には5 mg〜200 mgの範囲である。亜鉛塩は、局所投与用に製剤化することもできる。例えば、フケを抑えるためには、0.1〜2.0%(w/w)のピリチオン亜鉛が少なくとも週に2回、使用される。亜鉛塩はまた、多くの保護クリーム中に存在する。例えば、おむつかぶれなどの皮膚炎を保護するクリームとして使用時は、10〜40%(w/w)の酸化亜鉛が使用される。本発明の組み合わせを、同じ方法で製剤化することができる。
【0114】
治療法
本発明は、免疫炎症性疾患、増殖性皮膚疾患、臓器移植片拒絶反応、または移植片対宿主病を治療する手段として、炎症性サイトカインの分泌を抑制する方法を特徴とする。サイトカイン分泌の抑制は、1種類もしくは複数のグループAエンハンサーを1種類もしくは複数のNsIDIと組み合わせて投与することで達成される。実施例では特定のグループAエンハンサーおよび1つもしくは複数のNsIDIについて説明するが、複数の薬剤の組み合わせがしばしば望ましいと理解されたい。例えば、慢性関節リウマチの治療にはメトトレキセート、ヒドロキシクロロキン、およびスルファサラジンが一般に使用される。他の治療法については以下に説明する。
【0115】
乾癬
本発明の方法、組成物、およびキットを乾癬の治療に使用することができる。望ましいならば、典型的には乾癬の治療に使用される1種類もしくは複数の抗乾癬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるNSIDIに代えて、または加えて使用することができる。このような薬剤は、生物製剤(例えばアレファセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、エファリズマブ、エタネルセプト、およびCDP-870)、小分子免疫調節剤(例えばVX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラルナカサン、ミコフェノレート、およびメリメポディブ)、ビタミンD化合物(例えばカルシポトリエン、カルシポトリオール)、プソラレン(例えばメトキサレン)、レチノイド(例えばアシトレチン、タザロテン)、DMARD(例えばメトトレキセート)、アントラリン、局所コルチコステロイド(例えばクロベタゾール、トリアムシノロン、ベタメタゾン、ヒドロコルチゾン、ハロベタソール、ジフロラゾン、モメタゾン、ハルシノニド、フルチカゾン)、全身コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、デキサメタゾン)、抗ヒスタミン剤(例えばヒドロキシジン、ロラタジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、シプロヘプタジン、フェキソフェナジン)、3環系抗うつ薬(例えばドキセピン)、ならびに保湿剤、軟膏、およびローションを含む。
【0116】
アトピー性皮膚炎
本発明の方法、組成物、およびキットは、アトピー性皮膚炎の治療に使用することができる。望ましいならば、典型的にはアトピー性皮膚炎の治療に使用される1種類もしくは複数のアトピー性皮膚炎剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるNsIDIに代えて、または加えて使用することができる。このような薬剤は、局所コルチコステロイド(例えばクロベタゾール、トリアムシノロン、ベタメタゾン、ヒドロコルチゾン、ハロベタソール、ジフロラゾン、モメタゾン、ハルシノニド、フルチカゾン)、全身コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、デキサメタゾン)、抗ヒスタミン剤(例えばヒドロキシジン、ロラタジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、シプロヘプタジン、フェキソフェナジン)、3環系抗うつ薬(例えばドキセピン)、ならびに保湿剤、軟膏、およびローションを含む。
【0117】
手の皮膚炎
本発明の方法、組成物、およびキットは、手の皮膚炎の治療に使用することができる。望ましいならば、典型的には手の皮膚炎に使用される1種類もしくは複数の手の皮膚炎剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるNSIDIに代えて、または加えて使用することができる。このような薬剤は、局所的および全身的な、局所コルチコステロイド(例えばクロベタゾール、トリアムシノロン、ベタメタゾン、ヒドロコルチゾン、ハロベタソール、ジフロラゾン、モメタゾン、ハルシノニド、フルチカゾン)、全身コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、デキサメタゾン)、抗ヒスタミン剤(例えばヒドロキシジン、ロラタジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、シプロヘプタジン、フェキソフェナジン)、3環系抗うつ薬(例えばドキセピン)、ならびに保湿剤、軟膏、およびローションを含む。
【0118】
光線性角化症
本発明の方法、組成物、およびキットは、光線性角化症の治療に使用することができる。望ましいならば、典型的には手の皮膚炎の治療に使用される1種類もしくは複数の手の皮膚炎剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるNSIDIに代えて、または加えて使用することができる。このような薬剤は、化学療法剤(例えば5-フルオロウラシル)、免疫応答修飾剤(イミキモド)、非ステロイド性炎症治療薬(例えばジクロフェナク)、局所レチノイド(例えばアダパレン(adapalene))、および局所アミノレブリン酸を使用する光線力学療法剤を含む。
【0119】
基底細胞癌
本発明の方法、組成物、およびキットは、増殖性皮膚疾患である基底細胞癌の治療に使用することができる。望ましいならば、典型的には基底細胞癌の治療に使用される1種類もしくは複数の基底細胞癌剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるNSIDIに代えて、または加えて使用することができる。このような薬剤は、化学療法剤(例えば5-フルオロウラシル)、および免疫応答修飾物質を含む。
【0120】
慢性閉塞性肺疾患
1つの態様では、本発明の方法、組成物、およびキットは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に使用される。望ましいならば、典型的にはCOPDの治療に使用される1種類もしくは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるNsIDIに代えて、または加えて使用することができる。このような薬剤は、キサンチン(例えばテオフィリン)、抗コリン作用化合物(例えばイプラトロピウム、チオトロピウム(tiotropium))、生物製剤、小分子免疫調節剤、およびβ受容体アゴニスト/気管支拡張剤(例えば硫酸イブテロール、メシル酸ビトルテロール、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、およびテルブタリン)を含む。したがって1つの態様では、本発明は、グループAエンハンサーと気管支拡張剤の組み合わせ、およびこれによってCOPDを治療する方法を特徴とする。
【0121】
炎症性腸疾患
本発明の方法、組成物、およびキットは、炎症性腸疾患の治療に使用することができる。望ましいならば、典型的には炎症性腸疾患に使用される1種類もしくは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるNsIDIに代えて、または加えて使用することができる。このような薬剤は、生物製剤(例えばインフリキシマブ、アデリムマブ(adelimumab)、およびCDP-870)、小分子免疫調節剤(例えばVX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、ミコフェノレート、およびメリメポディブ(merimepodib))、5-アミノサリチル酸(例えばメサラミン、スルファサラジン、バルサラジド2ナトリウム、およびオルサラジンナトリウム)、DMARD(例えばメトトレキセートおよびアザチオプリン)、ならびにアロセトロン(alosetron)を含む。したがって1つの態様では、本発明は、グループAエンハンサーと任意の上記の薬剤の組み合わせ、およびこれによって炎症性腸疾患を治療する方法を特徴とする。
【0122】
慢性関節リウマチ
本発明の方法、組成物、およびキットは、慢性関節リウマチの治療に使用することができる。望ましいならば、典型的には慢性関節リウマチに使用されている1種類もしくは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるNsIDIに代えて、または加えて使用することができる。このような薬剤は、NSAID(例えばナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサラート(salsalate))、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク、およびトルメチン)、COX-2阻害剤(例えばロフェコキシブ、セレコクシブ、バルデコキシブ、およびルミラコキシブ)、生物製剤(例えばインフリキシマブ、アデリムマブ、エタネルセプト、CDP-870、リツキシマブ、およびアトリズマブ)、小分子免疫調節剤(例えばVX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、ミコフェノレート、およびメリメポディブ)、5-アミノサリチル酸(例えばメサラミン、スルファサラジン、バルサラジド2ナトリウム、およびオルサラジンナトリウム)、DMARD(例えばメトトレキセート、レフルノマイド、ミノサイクリン、オーラノフィン、金チオマレイン酸ナトリウム、アウロチオグルコース(aurothioglucose)、およびアザチオプリン)、硫酸ヒドロキシクロロキン、ならびにペニシラミンを含む。したがって1つの態様では、本発明は、グループAエンハンサーと任意の上記の薬剤の組み合わせ、およびこれによって慢性関節リウマチを治療する方法を特徴とする。
【0123】
喘息
本発明の方法、組成物、およびキットは、喘息の治療に使用することができる。望ましいならば、典型的には喘息の治療に使用される1種類もしくは複数の薬剤を、本発明の方法、組成物、およびキットにおけるNsIDIに代えて、または加えて使用することができる。このような薬剤は、β2アゴニスト/気管支拡張剤/ロイコトリエン修飾薬(例えばザフィルルカスト、モンテルカスト、およびジレウトン(zileuton)、生物製剤(例えばオマリズマブ)、小分子免疫調節剤、抗コリン作用化合物、キサンチン、エフェドリン、グアイフェネシン、クロモリンナトリウム、ネドクロミルナトリウム、およびヨウ化カリウムを含む。したがって1つの態様では、本発明は、グループAエンハンサーと任意の上記の薬剤の組み合わせ、およびこれによって喘息を治療する方法を特徴とする。
【0124】
投与
本発明の任意の方法の特定の態様では、NsIDIおよびグループAエンハンサーは、相互に10日以内に、相互に5日以内に、相互に24時間以内に、または同時に投与される。これらの化合物は、1種類の組成物とともに製剤化され得るか、または個別に製剤化されて投与され得る。一方または両方の化合物を、それぞれが本明細書で定義される低用量で、または高用量で投与することができる。コルチコステロイド、小分子免疫調節剤(例えばVX 702、SCIO 469、ドラマピモド、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン、ミコフェノレート、およびメリメポディブ)、保湿剤(例えば尿素もしくはパントテノール)、亜鉛塩、NSAID(例えばナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク、およびトルメチン)、COX-2阻害剤(例えばロフェコキシブ、セレコクシブ、バルデコキシブ、およびルミラコキシブ)、グルココルチコイド受容体修飾剤、またはDMARDなどの他の化合物を患者に投与することが望ましい。本発明の併用療法は、他の抗サイトカイン剤、または細胞接着に影響を及ぼす薬剤などの、疾患に陽性に作用するように免疫応答を修飾する薬剤、または生物製剤(すなわちIL-6、IL-1、IL-2、IL-12、IL-15、またはTNFの作用をブロックする薬剤(例えばエタネルセプト、アデリムマブ、インフリキシマブ、もしくはCDP-870)との組み合わせによる、免疫炎症性疾患の治療に特に有用である。この例では(TNFαの作用をブロックする薬剤の場合は)、併用療法により、サイトカインの産生が低下し、エタネルセプトまたはインフリキシマブは、炎症性サイトカインの残りの部分に作用して治療が増強される。
【0125】
本発明による治療法は単独で実施することができるほか、別の治療法と組み合わせて実施することが可能であり、および家庭で、診療所で、医院で、病院の外来で、または病院で提供され得る。治療は任意で、医師が治療の効果を詳細に観察して、必要となる任意の調整を施せるように病院で開始されるか、または外来ベースで開始され得る。治療の期間は、疾患のタイプ、または治療対象の障害、患者の年齢および状態、患者の疾患の段階およびタイプ、ならびに治療に対する患者の反応に依存する。加えて、炎症性疾患を発症するリスクの大きな個体(例えば、加齢に伴うホルモン変化が進行中の個体)は、症状の発生を阻害するか、または遅らせる治療を受ける場合がある。
【0126】
さまざまな態様に関する投与経路は、局所投与、経皮投与、および全身投与(静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、吸入投与、直腸内投与、口内投与、膣内投与、腹腔内投与、関節内投与、眼内投与、または経口投与など)を含むが、これらに限定されない。本明細書で用いる「全身投与」は、あらゆる非経皮的な投与経路を意味し、ならびに具体的には局所投与経路および経皮投与経路を除外する。
【0127】
併用療法では、組み合わせの各要素の投与量および投与頻度を独立にコントロールすることができる。例えば、1つの化合物を1日に3回投与しながら、第2の化合物を1日1回投与することが可能である。併用療法は、患者の身体に、何らかの予期せぬ副作用から回復させる機会を与えるための休止期間を含むオン-オフのサイクルで実施することができる。このような化合物は、1回の投与で両化合物が投与されるように、一括して製剤化することもできる。
【0128】
製剤
本発明の組み合わせの投与(例えばNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせ)は、標的領域における炎症性サイトカインレベルの抑制をもたらす任意の適切な手段で行うことができる。化合物には、任意の適量の任意の適切な担体物質を含めることが可能であり、および一般に、組成物の総重量に対する重量比で1〜95%の量で存在する。組成物は、経口投与、非経口投与(例えば静脈内投与、筋肉内投与)、直腸内投与、皮内投与、鼻内投与、膣内投与、吸入投与、皮膚(パッチ剤)投与、または眼内投与の経路に適した投与剤形で提供され得る。したがって組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、懸濁液、乳濁液、溶液、ヒドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリーム、プラスター、ドレンチ、浸透圧送達装置、坐剤、浣腸剤、注射剤、インプラント、スプレー、またはエアゾルの形状の場合がある。このような薬学的組成物は、従来の薬務に従って製剤化することができる(例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000, ed. A.R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia、およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J.C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkを参照)。
【0129】
組み合わせの各化合物は、当技術分野で公知のさまざまな方法で製剤化することができる。例えば、第1および第2の薬剤を一括して、または個別に製剤化することができる。望ましくは、第1および第2の薬剤は、薬剤の同時投与またはほぼ同時の投与のために一括して製剤化される。このような同時に製剤化された組成物には、単位投与剤形中に(例えば同じ丸剤、カプセル、もしくは錠剤中に)、または非単位投与剤形(例えばクリーム、液体、もしくは粉末)中に一括して製剤化されたNsIDIおよびグループAエンハンサーを含めることができる。「NsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせ」の製剤と言う場合は、用いられる製剤化手法は、組み合わせの個々の薬剤の製剤化、ならびに本発明の他の組み合わせの製剤化にも有用であると理解されたい。さまざまな薬剤に対して、さまざまな製剤化戦略を用いることで、各薬剤の薬物動態プロファイルを適切にマッチさせることができる。
【0130】
個々に、すなわち別個に製剤化された薬剤を、キットとして一括して包装することができる。非制限的な例は、例えば2種類の丸剤、1種類の丸剤および1種類の粉末、バイアルに入った坐剤および液体、2種類の局所クリームなどを含むキットを含む。キットには、粉末剤の再構成用のバイアル、注射用のシリンジ、専用のIV送達系、吸入器などの、患者への単位用量の投与を補助する任意選択要素を含めることができる。加えて、単位用量のキットには、組成物の調製および投与に関する指示書を含めることができる。キットは、1人の患者の単回用の単位用量、特定の患者への(一定の用量か、もしくは個々の化合物が治療の進行に伴い力価が変動する場合のある)複数回使用として製造可能であり;またはキットに、多数の患者への投与に適した複数分の用量(「バルク包装」)を含めることができる。キットの要素は、カートン、ブリスターパック、ボトル、チューブなどにまとめることができる。
【0131】
局所製剤
炎症性皮膚疾患の予防および/または治療に関しては、本発明の組み合わせは望ましくは、局所投与用に製剤化される。本発明の組み合わせとともに使用可能な局所製剤は、クリーム、フォーム、ペースト、ローション、ゲル、スティック、スプレー、パッチ、および軟膏を含むが、これらに限定されない。
【0132】
本発明の組み合わせは、薬学的に許容される担体と、および必要とされる場合のある、任意の保存剤、緩衝剤、または噴霧剤と無菌条件下で混合されうる。任意の従来の薬理学的および美容的に許容されるビヒクルを使用することができる。例えば化合物は、化合物の皮膚への浸透を可能とするリポソーム製剤として投与することもできる。このようなリポソーム製剤については、米国特許第5,169,637号;第5,000,958号;第5,049,388号;第4,975,282号;第5,194,266号;第5,023,087号;第5,688,525号;第5,874,104号;第5,409,704号;第5,552,155号;第5,356,633号;第5,032,582号;第4,994,213号;およびPCT Publication No. WO 96/40061に記載されている。他の適切なビヒクルの例は、米国特許第4,877,805号、および欧州特許第0586106号A1に記載されている。本発明の適切なビヒクルは、ミネラルオイル、ワセリン、ポリデセン、ステアリン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリルアルコール、または植物油を含む場合もある。
【0133】
製剤には、さまざまな従来の着色剤、着香剤、増粘剤(例えばキサンタン・ガム)、保存剤、軟化剤(例えば炭化水素油、ワックス、もしくはシリコーン)、粘滑剤、可溶化賦形剤、分散剤、浸透促進剤、可塑剤、保存剤、安定剤、解乳化剤、湿潤剤、乳化剤、保湿剤、収斂剤、脱臭剤などを含めることが可能であり、およびこれらを添加することで、追加的な長所を提供して局所調剤品の感触および外観を改善することができる。
【0134】
NsIDIまたはグループAエンハンサーの、生理的pHにおける水への溶解度が低い場合は、1種類もしくは複数の可溶化賦形剤が、局所製剤に必要な成分となる場合がある。
【0135】
可溶化は、水に不溶性か、または実質的に不溶性の物質を、透明または乳白色の水溶液に、過程中にこれらの物質の化学構造を変化させることなく変換可能な表面活性化合物による、溶解度の改善を意味すると理解されたい。
【0136】
形成された可溶化物については、物質が、水溶液中で形成される、表面活性化合物の分子集合体であるミセル中に溶解した状態で存在するという事実が注目に値する。結果として得られる溶液は、光学的に透明〜乳白色に見える。
【0137】
本発明の製剤化に使用可能な可溶化賦形剤は、以下のクラスに属する化合物を含むが、これらに限定されない:ポリエトキシル化脂肪酸、PEG脂肪酸ジエステル、PEG脂肪酸モノエステルとPEG脂肪酸ジエステルの混合物、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール-オイルエステル交換生成物、ポリポリグリセライズド脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステルとグリセロールエステルの混合物、モノグリセリドおよびジグリセリド、ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、トコフェロールエステル、およびステロールエステル。これらのクラスの賦形剤のそれぞれは市販されており、および製剤の分野における当業者に周知である。
【0138】
軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルには、本発明の組み合わせに加えて、動物油および植物油、オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、滑石、ならびに酸化亜鉛などの賦形剤、またはこれらの混合物を含めることができる。
【0139】
粉末剤およびスプレー剤には、本発明の組み合わせに加えて、乳糖、滑石、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末などの賦形剤、またはこれらの物質の混合物を含めることができる。スプレー剤には追加的に、クロロフルオロハイドロカーボンなどの従来の噴霧剤、およびブタンやプロパンなどの揮発性の非置換型炭化水素を含めることができる。
【0140】
経皮パッチを使用することで、本発明の組み合わせにおける1種類もしくは複数の活性成分の制御された送達を可能とする追加的な利点をもたせることができる。例えば、吸収促進剤を使用することで、皮膚内外における活性成分の流動を高めることもできる。さらに、速度制御型の膜を提供するか、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル中に分散させることで、皮膚内外における活性成分の流速を制御することができる。
【0141】
放出制御製剤
活性薬剤の一方または両方が放出制御用に製剤化されている、本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせの投与は、NsIDIまたはグループAエンハンサーが、(i)狭い治療指数(例えば、有害な副作用もしくは毒性反応に至る血漿濃度と、治療効果に至る血漿濃度の差は小さい;一般に治療指数TIは、有効用量の中央値(ED50)に対する致死用量の中央値(LD50)の比と定義される);(ii)消化管における狭い吸収ウインドウ(absorption window);(iii)短い生物学的半減期を有する場合に有用であるか;または(iv)各成分の薬物動態プロファイルは、ともに使用される場合に、サイトカインの抑制に関して治療的に有効である量に、各薬剤の寄与が最大化されるように修飾されなければならない。したがって、徐放性製剤を使用することで、両薬剤の血漿レベルを治療レベルに維持するために必要とされる場合のある、高頻度の投与を回避できる。例えば、本発明の好ましい経口薬学的組成物の場合、本発明の組み合わせの一方または両方の薬剤について10〜20時間の半減期および平均滞留時間が認められる。
【0142】
放出速度が治療化合物の代謝速度を上回る、放出制御を可能とするために多くの戦略を遂行することができる。例えば放出制御は、製剤化のパラメータおよび内容物(例えば、適切な放出制御用の組成物およびコーティング)の適切な選択によって可能である。例は、一単位または複数単位の錠剤またはカプセルの組成物、油剤、懸濁液、乳濁液、マイクロカプセル、微粒子、ナノ粒子、パッチ、およびリポソームを含む。放出機構は、NsIDIおよび/またはグループAエンハンサーが間隔をおいて放出されるか、放出が同時であるか、または1種類の特定の薬剤が他の薬剤より先に放出されることが好ましい場合に、組み合わせの一方の薬剤の放出が遅れるように制御することができる。
【0143】
放出制御製剤は、分解性または非分解性のポリマー、ヒドロゲル、オルガノゲル、または薬剤の生体吸収能、半減期、または生分解能を修飾する他の物理的構築物を含む場合がある。放出制御製剤は、内部または外部からのいずれかに、罹患部位に塗られるか、または塗布される物質でありうる。一例では本発明は、生分解性のボーラスか、または対象部位か、もしくは対象部位の近傍に(例えば関節炎の関節の近傍に)外科的に挿入されるインプラントを提供する。別の例では、放出制御製剤のインプラントは、炎症性腸疾患の治療のために下部腸管などの器官内に挿入可能である。
【0144】
ヒドロゲルを、本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせ用に放出制御製剤に使用することができる。このようなポリマーは、少なくとも1つの分解性領域で隔てられた重合化可能で非分解性の領域を有するマクロマーから形成される。例えば、水溶性の非分解性の領域は、マクロマーの中央部のコアを形成する場合があり、および米国特許第5,626,863号に記載されているように、分解時に非分解性領域(特に重合化ゲル)が分離されるようにコアに結合される少なくとも2つの分解性領域を有する。ヒドロゲルは、エオシン色素、紫外線、または可視光線などの複数の開始剤系によって容易に重合化可能なアクリル酸塩を含む場合がある。ヒドロゲルは、親水性が非常に高く、および生体適合性のあるポリエチレングリコール(PEG)を含む場合もある。ヒドロゲルは、エステル結合の加水分解によって、非毒性代謝物であるグリコール酸に容易に分解され得るポリ(α-ヒドロキシ酸)であるオリゴグリコール酸を含む場合もある。他の鎖の延長は、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、またはポリペプチドを含む場合がある。全体のネットワークは、制御された速度による送達のために本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせの捕捉および均一な分散のために使用可能な生分解性のネットワークにゲル化する場合がある。
【0145】
キトサンおよびキトサンとカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)の混合物は、Inouye et al., Drug Design and Delivery 1: 297-305, 1987に記載されているように、薬剤を持続的に放出させるためのビヒクルとして使用されている。これらの化合物と、本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせの薬剤の混合物を200 kg/cm2下で圧縮すると、対象への投与時に活性薬剤が緩やかに放出される錠剤が形成される。放出プロファイルは、キトサン、CMC-Na、および活性薬剤の比を変えることで変化させることができる。錠剤には、乳糖、CaHPO4二水和物、ショ糖、結晶セルロース、またはクロスカルメロースナトリウムを含む他の添加剤を含めることもできる。複数の例を表2に示す。
【0146】
(表2)

【0147】
Baichwalは米国特許第6,245,356号で、非晶質の治療的に活性のある薬物(例えば本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせ、またはその成分)の凝集粒子、ゲル化剤、イオン性ゲル強度促進剤、および不活性希釈剤を含む、持続的に放出される経口固体投与剤形について説明している。ゲル化剤は、キサンタン・ガムと、キサンタン・ガムと、同ガムが環境中の液体に曝露時に架橋可能なローカストビーンガムの混合物である場合がある。好ましくは、イオン性のゲル化促進剤は、キサンタン・ガムとローカストビーンガム間の架橋の強度を高めることで製剤の薬物成分の放出を延長するように作用する。キサンタン・ガムおよびローカストビーンガムに加えて、使用可能でもある許容されるゲル化剤は、当技術分野で周知のゲル化剤を含む。例は、アルギン酸塩、カラゲナン、ペクチン、グアールガム、化工デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなどの天然の、または修飾された天然のガム、ならびに例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルセルロースなどの他のセルロース系材料もしくはポリマー、ならびに前述の混合物などを含む。
【0148】
本発明の組み合わせに有用な別の製剤については、BaichwalおよびStaniforthによる米国特許第5,135,757号に、ヘテロ多糖(例えばキサンタン・ガムまたはその誘導体など)、ならびにヘテロ多糖を、水溶液の存在化で架橋可能な多糖材料(例えばガラクトマンナン、および最も好ましくはローカストビーンガムなど)を含む重量比で約20〜約70パーセントもしくはこれ以上の親水性材料を含む薬学的賦形剤、および重量比で約30〜約80パーセントの不活性な薬学的充填剤(例えば乳糖、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、またはこれらの混合物など)を含む薬学的賦形剤として使用される、流動性の徐放性の顆粒化について記載されている。賦形剤と、本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせ、すなわち配合剤の混合後に、混合物を直接、錠剤などの固体投与剤形に圧縮することができる。このように形成された錠剤は、摂取されて胃液に曝露されると薬物を緩やかに放出する。薬物に対する賦形剤の量を変えることで、徐放性プロファイルが得られる。
【0149】
本発明の組み合わせに有用な別の製剤については、Shellによる米国特許第5,007,790号に、薬剤を、薬剤の溶解度によって制御された速度で溶液中に放出する持続的に放出される経口薬剤投与剤形について記載されている。投与剤形は、その物理的な完全性を、投与期間(dosing lifetime)中は維持するが、その後は速やかに溶解する、親水性の水膨潤性の架橋ポリマー中で有限の溶解度で分散する薬剤の複数の粒子を含む錠剤またはカプセルを含む。摂取されると粒子は膨潤し、胃内における保持が促進され、および胃液に粒子を透過させ、薬剤を溶解し、および薬剤を粒子から浸出することで、薬剤が、胃に対する傷害性が固体状態の薬剤より弱い溶液状態で胃に確実に到達することになる。ポリマーのプログラムされた結果として生じる溶解は、ポリマーの性質および架橋の程度に依存する。ポリマーは非繊維性であり、および非架橋状態で実質的に水溶性であり、ならびに架橋の程度は、ポリマーが不溶状態で所望の時間、通常は少なくとも約4時間〜8時間(最長12時間)、保たれることを可能とするのに十分であり、この選択は、混合される薬剤、および関与する内科的処置に依存する。本発明において使用可能な適切な架橋ポリマーの例は、ゼラチン、アルブミン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、およびキチンである。ポリマーに依存して、架橋は、熱処理もしくは放射線処理によって、またはアルデヒド、ポリアミノ酸、金属イオンなどの架橋剤の使用によって達成され得る。
【0150】
本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせの製剤化に有用な、pH制御による消化器への薬剤送達用のシリコーン微粒子は、Carelli et al., Int. J. Pharmaceutics 179: 73-83, 1999に記載されている。記載されている微粒子は、さまざまな割合のポリ(メタクリル酸-コ-メチルメタクリレート)(Eudragit L100またはEudragit S100)、およびサイズが500〜1000μmの範囲のシリコーン微粒子に封入される架橋ポリエチレングリコール8000から作られる、pH感受性の半相互侵入高分子のヒドロゲルである。
【0151】
緩効性製剤は、水に容易に溶解しないが、水に緩やかに攻撃されて除去されるか、または水が緩やかに透過可能なコーティング剤を含む場合がある。したがって例えば、本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせは、結合剤の溶液による、Kitamori et al.、米国特許第4,036,948号に記載されているような、継続的に流動的な条件で吹きつけコーティングが可能である。水溶性の結合剤の例は、α化デンプン(例えばα化コーンスターチ、α化白色ジャガイモ)、α化化工デンプン、水溶性セルロース(例えばヒドロキシプロピル-セルロース、ヒドロキシメチル-セルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチル-セルロース)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン、アラビアゴムおよびゼラチン、セルロース誘導体(例えばセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレート、エチルセルロース)などの有機溶媒可溶性の結合剤を含む。
【0152】
徐放性を有する、本発明の組み合わせ、またはその成分は、噴霧乾燥法で製剤化することもできる。さらに別の剤形の徐放性のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせを、組み合わせ薬剤の粒子を、微小透析セルとして作用する膜内にマイクロカプセル化することで調製できる。このような製剤の場合、胃液がマイクロカプセルの壁に浸透し、およびマイクロカプセルを膨潤させることで、活性薬剤の外部への透析が可能となる(例えばTsuei et al.、米国特許第5,589,194号を参照)。この種類の1つの市販の徐放系は、アカシアガム/ゼラチン/エチルアルコールの膜を有するマイクロカプセルからなる。この製品は、Eurand Limited(フランス)からDiffucaps(商標)の商標名で入手できる。このように製剤化されたマイクロカプセルは、従来のゼラチンカプセル中に保持することができるほか、錠剤とすることができる。
【0153】
グループAエンハンサーの持続放出型および/または放出制御型の製剤は、当技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、放出制御製剤は、米国特許第5,422,123号に記載されている。したがって、(a)有効量の活性物質を含み、および一定の幾何学的形状を有するデポジット-コア、ならびに(b)デポジット-コアに適用される支持体-プラットフォームを含み(デポジット-コアは、少なくとも活性物質、および(1)水または水性液体と接触して膨潤するポリマー材料、およびゲル化可能なポリマー材料(ゲル化可能なポリマー材料に対する膨潤性ポリマー材料の比は1:9〜9:1の範囲)、ならびに(2)膨潤性およびゲル化特性をする1種類のポリマー材料から選択される少なくとも1つの因子)を含み、ならびに支持体-プラットフォームが、デポジット-コアの表面を部分的に覆って、デポジット-コアの水和による変化に伴い、および水溶液中で緩やかに溶解するか、および/または緩やかにゲル化可能なデポジット-コアに適用される弾性支持体である、活性物質の放出制御系を含む。支持体-プラットフォームは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのポリマー、グリセリドなどの可塑剤、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、乳糖やシリカなどの親水性薬剤、および/またはステアリン酸マグネシウムやグリセリドなどの疎水性薬剤を含めることができる。ポリマーは典型的には、重量比で支持体-プラットフォームの30〜90%、例えば約35〜40%を占める。可塑剤は、重量比で支持体-プラットフォームの少なくとも2%、例えば約15〜20%を占める場合がある。結合剤、親水性薬剤、および疎水性薬剤はまとめて典型的には、重量比で支持体-プラットフォームの最大約50%、例えば約40〜50%を占める。
【0154】
炎症性腸疾患の治療用のブデソニドの放出制御製剤(3 mgのカプセル剤)は、AstraZenecaから入手できる(「Entocort(商標)」として販売)。低用量レベルの活性物質を可能とするためには、活性物質を微粉にし、適切にはデンプンや乳糖などの公知の希釈剤と混合し、およびPVP(ポリビニルピロリドン)で顆粒化する。さらに顆粒は、6.8のpHに耐性の徐放性の内層、および1.0のpHに耐性の徐放性の外層でラミネートされる。内層は、Eudragit(登録商標)RL(アクリル酸エステルと、4級アンモニウム基の量が少ないメタクリル酸エステルの共重合体)から作られ、および外層はEudragit(登録商標)L(メタクリル酸とメタクリル酸のメチルエステルから合成された陰イオン性ポリマー)から作られる。
【0155】
二重層の錠剤を、本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせ用に製剤化することができ、さまざまな従来の顆粒化が、組み合わせの各薬剤について成され、および2種類の薬剤が、二重層プレス(bilayer press)上で圧縮されて1個の錠剤が形成される。例えば、15〜20時間のアシクロビルのt1/2をもたらす放出制御用に製剤化される、12.5 mg、25 mg、37.5 mg、または50 mgのグループAエンハンサーであるアシクロビルを、t1/2がアシクロビルのt1/2に近くなるように製剤化されるシクロスポリンと同じ錠剤中で組み合わせることができる。インビボにおけるシクロスポリンの放出速度を制御することに加えて、腸溶コーティングか、またはシクロスポリンのTmaxがアシクロビルのTmaxに近くなるように放出の開始を遅らせる放出遅延用のコーティングを含めることができる。
【0156】
シクロデキストリンは、α-(1,4)結合による天然のD(+)-グルコピラノース単位を含む環状の多糖である。それぞれ6個、7個、または8個のグルコピラノース単位を含むα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、およびγ-シクロデキストリンが、最も一般的に使用されており、ならびに適切な例は、WO91/11172、WO94/02518、およびWO98/55148に記載されている。構造的には、シクロデキストリンが環状であるため、内側に非極性すなわち疎水性の空洞を有し、シクロデキストリンの円環の一方の側に第二級水酸基が配置され、およびもう一方の側に第一級水酸基が配置された、円環すなわちドーナツ状の形状が形成される。第二級水酸基が配置されている側は、第一級水酸基が配置されている側より直径が長い。シクロデキストリンの内側の空洞は疎水性であるため、さまざまな化合物を含めることが可能となる(Comprehensive Supramolecular Chemistry, Volume 3, J.L. Atwood et al., eds., Pergamon Press(1996);Cserhati, Analytical Biochemistry 225: 328-32, 1995;Husain et al., Applied Spectroscopy 46: 652-8, 1992)。シクロデキストリンは、シクロデキストリンの疎水性空洞に適合するさまざまな薬物との包接複合体(inclusion complex)を形成させることで、または他の生物学的活性分子との非共有結合性の複合体を形成させることで、さまざまな治療用化合物の送達ビヒクルとして使用されている。米国特許第4,727,064号には、薬剤が、混合物のシクロデキストリンとの包接複合体を形成する、水への溶解度が実質的に低い薬剤、および非晶質の水溶性のシクロデキストリンベースの混合物からなる薬学的調製物について記載されている。
【0157】
薬剤-シクロデキストリン複合体の形成によって、薬剤の溶解度、解離速度、生物学的利用能、および/または安定性の特性を修飾可能である。
【0158】
スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE-β-CD、CyDex, Inc, Overland Park, KA, USAからCAPTISOL(登録商標)として市販されている)も、本発明の組み合わせの薬剤の徐放性製剤の調製を容易にするために使用可能である。例えば徐放性錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース基剤中に圧縮されたプレドニゾロンおよびSBE-β-CDを含むように作製されている(Rao et al., J. Pharm. Sci. 90: 807-16, 2001を参照)。さまざまなシクロデキストリンの使用の別の例に関しては、EP 1109806 B1に、シクロデキストリンに対する薬剤の比が1:0.25〜1:20で複合体を形成した、無水状態もしくは水素化状態の、エプタキス(eptakis)(2-6-ジ-α-メチル)-β-シクロデキストリン、(2,3,6-トリ-O-メチル)-β-シクロデキストリン、モノスクシニルエプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-β-シクロデキストリン、または2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン]を含むα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、またはγ-シクロデキストリンが得られる、薬学的化合物のシクロデキストリン複合体について記載されている。
【0159】
シクロデキストリンポリマーも、米国特許出願第10/021,294号および第10/021,312号に記載されているように作製されている。このように形成されたシクロデキストリンポリマーは、本発明の組み合わせの薬剤の製剤化に有用な場合がある。このような多機能性のシクロデキストリンポリマーは、Insert Therapeutics, Inc., Pasadena, CA, USAから市販されている。
【0160】
薬剤との直接的な複合化に代わるものとして、シクロデキストリンを補助添加剤として、例えば担体、希釈剤、または可溶化剤として使用することができる。シクロデキストリン、および本発明の組み合わせ(すなわちNsIDIまたはグループAエンハンサー)の他の薬剤を含む製剤は、本明細書に記載されたシクロデキストリン製剤の調製物と類似の方法で作製することができる。
【0161】
本発明のNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせ、または2つの成分の混合物の成分の一方または両方を、投与用のリポソーム担体中に取り込ませることができる。リポソーム担体は3つの一般的なタイプの小胞形成脂質成分を含む。第1のタイプは、リポソーム中の小胞構造の大部分を形成する小胞形成脂質を含む。一般に、このような小胞形成脂質は、疎水性および極性の頭部基部分を有し、ならびに(a)リン脂質に例示される二層状小胞を水中で自然に形成可能か、または(b)脂質二重層中に、二重層膜の内部の疎水性領域に接触して、その極性の頭部基部分が膜の外部の極性表面に向かって配置されるように、その疎水性部分とともに安定して取り込まれる、任意の両親媒性脂質を含む。
【0162】
このタイプの小胞形成脂質は好ましくは、2つの炭化水素鎖、典型的にはアシル鎖、および極性の頭部基を有する脂質である。このクラスに含まれる脂質は、2つの炭化水素鎖が典型的には約14〜22個の炭素原子の長さであり、および不飽和の程度がさまざまな、ホスファチジルコリン(PC)、PE、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびスフィンゴミエリン(SM)などのリン脂質である。アシル鎖の飽和の程度がさまざまな上記の脂質およびリン脂質は市販品を入手できるほか、公開された方法で作製できる。本発明に含まれ得る他の脂質は、糖脂質、およびコレステロールなどのステロールである。
【0163】
第2の基礎成分は、組成物中でポリマー層を形成するポリマー鎖によって誘導体化される小胞形成脂質を含む。第2の小胞形成脂質の基礎成分として使用可能な小胞形成脂質は、第1の小胞形成脂質の基礎成分について述べた任意の脂質である。リン脂質などの、ジアシル鎖を有する小胞形成脂質が好ましい。1つの例示的なリン脂質は、活性化されたポリマーとのカップリングに都合のよい反応性アミノ基を提供するホスファチジルエタノールアミン(PE)である。例示的なPEは、ジステアリルPE(DSPE)である。
【0164】
本発明の製剤中に存在する賦形剤は、担体が、リポソーム中に隔離されたNsIDI、グループAエンハンサー、またはNsIDI/グループAエンハンサーの組み合わせの、透明または乳白色の水性分散液を形成するような量で存在する。リポソーム製剤または固体脂質ナノ粒子製剤の作製に必要な表面活性賦形剤の相対量は、公知の方法で決定される。例えばリポソームは、Szoka et al, Biochim. Biophys. Acta. 601: 559(1980)に記載されている手法などの、さまざまな手法で作製できる。多重膜小胞(MLV)は、単純な脂質膜水和法で形成可能である。この手順では、適切な有機溶媒に溶解した上記のタイプのリポソーム形成脂質の混合物を容器内で蒸発させて、後に水性媒体で覆われる薄膜を形成させる。脂質膜が水和して、典型的にはサイズが約0.1〜10ミクロンのMLVが形成される。
【0165】
他の確立されたリポソーム製剤化の手法を、必要に応じて応用できる。例えば、細胞への取り込みを促すためのリポソームの使用については、米国特許第4,897,355号および第4,394,448号に記載されている。
【0166】
他の応用
本発明の化合物は、他の組み合わせ、または単独の薬剤が、炎症性サイトカインの分泌もしくは産生の阻害において、または免疫応答の調節において、組み合わせとして有効か否かを、例が本明細書に記載された一般に当技術分野で公知のアッセイ法で判定する免疫調節アッセイ法または機械アッセイ法に使用することができる。例えば候補化合物をグループAエンハンサー(またはその代謝物もしくは類似体)と、またはグループAエンハンサーと配合して、刺激したPBMCに加えることができる。適切な時間の経過後に、細胞を対象に、サイトカインの分泌もしくは産生、または他の適切な免疫応答について調べる。組み合わせ時の作用を相互に、および単独薬剤に対する相対的な作用を比較することで、有効な化合物および組み合わせが判明する。
【0167】
本発明の組み合わせは、炎症に関与する生物学的経路に関する機械的情報を解明するための有用なツールでもある。このような情報は、炎症性サイトカインに起因する炎症を抑える新規の組み合わせか、または単独の薬剤の開発につながる可能性がある。生物学的経路を見極める当技術分野で公知の方法で、炎症性サイトカインを産生するように刺激された細胞と本発明の化合物の接触による影響を受ける経路または経路網を決定することができる。このような方法は、本発明の化合物との接触後に発現もしくは抑制される細胞成分を、非処理の陽性もしくは陰性の対照化合物、および/または新規の単独薬剤および組み合わせと比較して解析する段階、または酵素活性、栄養素の取り込み、および増殖などの、細胞の他のいくつかの代謝活性を解析する段階を含む場合がある。解析対象の細胞成分は、遺伝子転写物およびタンパク質の発現を含む場合がある。適切な方法は、標準的な生化学的手法、本発明の化合物の放射性標識法(例えば14Cまたは3Hによる標識)、および例えば2次元ゲル、遺伝子発現プロファイリングを使用する、タンパク質に対する化合物の結合の観察を含む場合がある。同定後は、そのような化合物をインビボモデルにおいて、ツールの妥当性のさらなる検証か、または新規の抗炎症薬の開発に使用することができる。
【0168】
以下の実施例によって本発明を説明する。実施例によって、本発明をどのような形であれ制限する意図はない。
【0169】
実施例1:炎症性サイトカイン抑制活性のアッセイ法。
化合物希釈マトリックスを対象に、以下に記載する手順で、IL-2またはTNFαの抑制を調べた。
【0170】
IL-2
ポリスチレン製の384ウェルプレート(NalgeNunc)の各ウェルに含まれる希釈済みのヒト白血球の100μLの懸濁液を、最終濃度が10 ng/mLのホルボール12-ミリスチン酸13-アセタート(Sigma、P-1585)、および750 ng/mLのイオノマイシン(Sigma、I-0634)で処理してIL-2を分泌するように刺激した。さまざまな濃度の各試験化合物を刺激時に添加した。加湿インキュベーターで37℃で16〜18時間、インキュベーションした後に、プレートを遠心分離し、および上清を、抗IL-2抗体(PharMingen、#555051)でコーティングされた白色の不透明なポリスチレン製の384ウェルプレート(NalgeNunc、Maxisorb)に移した。2時間のインキュベーション後に、プレートを、0.1% Tween 20を含むPBSで洗浄し(Tecan Power Washer 384)、ならびに、ビオチン標識済みの別の抗IL-2抗体(Endogen、M600B)、およびストレプトアビジンに結合させたHRP(PharMingen、#13047E)とさらに1時間インキュベートした。プレートを0.1% Tween 20/PBSで洗浄後に、HRP-発光基質を各ウェルに添加し、および光強度をLJL Analystプレート照度計で測定した。
【0171】
TNFαホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートによる刺激
TNFαの分泌に対する試験化合物の組み合わせの作用を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートで刺激されたヒトのバフィーコートに由来する白血球を対象に以下の手順で調べた。バフィーコートに由来するヒト白血球を、媒体(RPMI;Gibco BRL、#11875-085)、10%ウシ胎児血清(Gibco BRL、#25140-097)、2%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco BRL、#15140-122))で1:50に希釈し、および50μLの希釈済み白血球をアッセイ法用のプレートの各ウェルに添加した。薬剤を指定の濃度で添加した。加湿インキュベーターで5% CO2雰囲気中で37℃で16〜18時間、インキュベーションした後に、プレートを遠心分離し、および上清を、抗TNFα抗体(PharMingen、#551220)でコーティングされた白色の不透明なポリスチレン製の384ウェルプレート(NalgeNunc、Maxisorb)に移した。2時間のインキュベーション後に、プレートを、0.1% Tween 20を含むPBSで洗浄し(Tecan Power washer 384)、ならびに、ビオチン標識済みの抗TNFa抗体(PharMingen、#554511)、およびストレプトアビジンに結合させたHRP(PharMingen、#13047E)とさらに1時間インキュベートした。次にプレートを0.1% Tween 20/PBSで再び洗浄した。HRP-発光基質を各ウェルに添加し、および各ウェルの光強度をプレート照度計で測定した。
【0172】
阻害率(%)
各ウェルにおける阻害率(%)(%I)を以下の式で計算した:
%I = [(avg.非処理ウェル-処理ウェル)/(avg.非処理ウェル)]×100
非処理ウェルの値の平均(avg.非処理ウェル)は、ビヒクルのみで処理した同じアッセイ法プレートに由来する40個のウェルに関する算術平均である。陰性阻害値は、非処理ウェルと比較時の、処理ウェルにおける局所変動に由来する。
【0173】
実施例2:化合物の調製。
NsIDIおよびグループAエンハンサーを含むストック溶液を、ジメチルスルフォキシド(DMSO)中に最終濃度が0〜40μMとなるように作製した。マスタープレートを、上記の化合物のストック溶液の希釈液を含むように作製した。マスタープレートを密封し、および使用の準備が整うまで-20℃で保存した。
【0174】
NsIDIおよびグループAエンハンサーのストック
シクロスポリンAを含むストック溶液を、DMSO中に1.2 mg/mlの濃度で作製した。タクロリムスのストック溶液を、DMSO中に0.04 mg/mlの濃度で作製した。
【0175】
アシクロビルを含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。クロトリマゾールを含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。亜鉛を含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。尿素を含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。オキシベンゾンを含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。ビタミンDを含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。ニトロフラゾンを含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。メトロニダゾールを含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。コルヒチンを含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。トリクロサンを含むストック溶液を、DMSO中に10 mg/mLの濃度で作製した。
【0176】
マスタープレートを、上記の化合物のストック溶液の希釈物を含むように作製した。
【0177】
最終的な単独薬剤プレートを、1μLのストック溶液を特定のマスタープレートから、100μLの媒体(RPMI;Gibco BRL、#11875-085)、10%ウシ胎児血清(Gibco BRL、#25140-097)、2%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco BRL、#15140-122))を含む希釈用プレートに、Packard Mini-Trakリキッドハンドラーを使用して移すことで作製した。この希釈用プレートを次に混合し、および5μLのアリコートを、IL-2またはTNFαの分泌を活性化させる適切な刺激用薬剤を含む50μL/ウェルのRPMI媒体を事前に満たしておいた最終アッセイ法用のプレートに移した(上記の実施例1を参照)。
【0178】
実施例3:タクロリムスとアシクロビルの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、アシクロビル、およびアシクロビルと組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたはアシクロビルなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表3に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤および組み合わせに関するデータを示す。数字の記載されていないウェルは、省略されたデータアーティファクトを示す。
【0179】
(表3)

【0180】
実施例4:シクロスポリンAとアシクロビルの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、アシクロビル、およびアシクロビルと組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたはアシクロビルなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表4に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時に関するデータを示す。
【0181】
(表4)

【0182】
実施例5:シクロスポリンAとクロトリマゾールの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、クロトリマゾール、およびクロトリマゾールと組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたはクロトリマゾールなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表5に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、5回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のコンセンサスデータを示す。数字の記載されていないウェルは、省略されたデータアーティファクトを示す。
【0183】
(表5)

【0184】
実施例6:シクロスポリンAとクロトリマゾールの組み合わせは、インビトロにおけるTNFαの分泌を低下させる。
TNFαの分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、クロトリマゾール、およびクロトリマゾールと組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたはクロトリマゾールなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表6に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、TNFα分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、4回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のコンセンサスデータを示す。
【0185】
(表6)

【0186】
実施例7:タクロリムスとクロトリマゾールの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、クロトリマゾール、およびクロトリマゾールと組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたはクロトリマゾールなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表7に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、4回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のコンセンサスデータを示す。
【0187】
(表7)

【0188】
実施例8:シクロスポリンAとコルヒチンの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、コルヒチン、およびコルヒチンと組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたはコルヒチンなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表8に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0189】
(表8)

【0190】
実施例9:タクロリムスとコルヒチンの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、コルヒチン、およびコルヒチンと組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたはコルヒチンなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表9に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0191】
(表9)

【0192】
実施例10:シクロスポリンAとメトロニダゾールの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、メトロニダゾール、およびメトロニダゾールと組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたはメトロニダゾールなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表10に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0193】
(表10)

【0194】
実施例11:タクロリムスとメトロニダゾール組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、メトロニダゾール、およびメトロニダゾールと組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたはメトロニダゾールなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表11に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0195】
(表11)

【0196】
実施例12:シクロスポリンAとニトロフラゾンの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、ニトロフラゾン、およびニトロフラゾンと組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたはニトロフラゾンなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表12に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0197】
(表12)

【0198】
実施例13:タクロリムスとニトロフラゾンの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、ニトロフラゾン、およびニトロフラゾンと組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたはニトロフラゾンなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表13に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0199】
(表13)

【0200】
実施例14:シクロスポリンAとオキシベンゾンの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、オキシベンゾン、およびオキシベンゾンと組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたはオキシベンゾンなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表14に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0201】
(表14)

【0202】
実施例15:タクロリムスとオキシベンゾンの組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、オキシベンゾン、およびオキシベンゾンと組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたはオキシベンゾンなしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表15に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0203】
(表15)

【0204】
実施例16:シクロスポリンAと尿素の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、尿素、および尿素と組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたは尿素なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表16に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0205】
(表16)

【0206】
実施例17:タクロリムスと尿素の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、尿素、および尿素と組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたは尿素なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表17に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。数字の記載されていないウェルは、省略されたデータアーティファクトを示す。
【0207】
(表17)

【0208】
実施例18:シクロスポリンAとビタミンD2の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、ビタミンD2、およびビタミンD2と組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたはビタミンD2なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表18に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0209】
(表18)

【0210】
実施例19:タクロリムスとビタミンD2の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、ビタミンD2、およびビタミンD2と組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたはビタミンD2なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表19に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0211】
(表19)

【0212】
実施例20:シクロスポリンAとビタミンD3の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、ビタミンD3、およびビタミンD3と組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたはビタミンD3なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表20に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0213】
(表20)

【0214】
実施例21:タクロリムスとビタミンD3の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、ビタミンD3、およびビタミンD3と組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたはビタミンD3なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表21に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0215】
(表21)

【0216】
実施例22:シクロスポリンAと酢酸亜鉛の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、酢酸亜鉛、および酢酸亜鉛と組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたは酢酸亜鉛なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表22に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。数字の記載されていないウェルは、省略されたデータアーティファクトを意味する。
【0217】
(表22)

【0218】
実施例23:シクロスポリンAと塩化亜鉛の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のシクロスポリンA、塩化亜鉛、および塩化亜鉛と組み合わせたシクロスポリンAの作用を、シクロスポリンAまたは塩化亜鉛なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表23に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0219】
(表23)

【0220】
実施例24:タクロリムスと酢酸亜鉛の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、酢酸亜鉛、および酢酸亜鉛と組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたは酢酸亜鉛なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表24に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0221】
(表24)

【0222】
実施例25:タクロリムスと塩化亜鉛の組み合わせは、インビトロにおけるIL-2の分泌を低下させる。
IL-2の分泌を、ホルボール12-ミリスチン酸13-アセタートおよびイオノマイシンによる刺激後に、上述のELISAで測定した。さまざまな濃度のタクロリムス、塩化亜鉛、および塩化亜鉛と組み合わせたタクロリムスの作用を、タクロリムスまたは塩化亜鉛なしに刺激された対照ウェルと比較した。この実験の結果を以下の表25に示す。薬剤単独、および組み合わせ時の作用を、IL-2分泌の阻害率(%)として示す。以下のデータは、1回の実験で得られた、単独薬剤、および組み合わせ時のデータを示す。
【0223】
(表25)

【0224】
他の態様
本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本発明の記載の方法および系に、さまざまな修正や変更がなされることは当業者には明らかであると思われる。本発明は、特定の望ましい態様との関連で説明されているが、主張される発明が、そのような特定の態様に過度に制限されるべきではないと理解されるべきである。実際に、医学、免疫学、薬学、内分泌学、または関連する分野の当業者に明らかな、本発明を実施に関して記載された様式のさまざまな修正は、本発明の範囲内であることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビボにおいて炎症性サイトカインの分泌もしくは産生を低下させるか、または免疫炎症性疾患を治療するのにともに十分な量で、非ステロイド性イムノフィリン依存性免疫抑制剤(NsIDI)およびグループAエンハンサー(Group A enhancer)を含む組成物。
【請求項2】
NsIDIがカルシニューリン阻害剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
カルシニューリン阻害剤が、シクロスポリン、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムス、ABT-281、またはISAtx247である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
NsIDIが、FK506結合タンパク質に結合する、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
NsIDIがラパマイシンまたはエベロリムスである、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
グループAエンハンサーが、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗痛風剤、抗原虫剤、抗感染症剤、日焼け防止剤、微小管阻害剤、保湿剤、または亜鉛塩である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
グループAエンハンサーが抗ウイルス剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
抗ウイルス剤がアシクロビルである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
グループAエンハンサーが抗真菌剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項10】
抗真菌剤がクロトリマゾールである、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
グループAエンハンサーが抗痛風剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項12】
抗痛風剤がコルヒチンである、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
グループAエンハンサーが抗原虫剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項14】
抗原虫剤がメトロニダゾールである、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
グループAエンハンサーが抗感染症剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項16】
抗感染症剤がニトロフラゾンである、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
グループAエンハンサーが日焼け防止剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項18】
日焼け防止剤がオキシベンゾンである、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
グループAエンハンサーが保湿剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項20】
保湿剤が尿素である、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
グループAエンハンサーが微小管阻害剤である、請求項6記載の組成物。
【請求項22】
グループAエンハンサーが亜鉛塩である、請求項6記載の組成物。
【請求項23】
局所投与用に製剤化されている、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
1.0 %(w/w)を上回る亜鉛を含む、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
クリーム、フォーム、ペースト、ローション、ゲル、スティック、スプレー、パッチ、または軟膏として製剤化されている、請求項23記載の組成物。
【請求項26】
全身投与用に製剤化されている、請求項1記載の組成物。
【請求項27】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、COX-2阻害剤、生物製剤、小分子免疫調節剤、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、キサンチン、抗コリン作用化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、コルチコステロイド、保湿剤、亜鉛塩、ビタミンD化合物、プソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸から選択される追加的な薬剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項28】
追加的な薬剤が、イブプロフェン、ジクロフェナク、およびナプロキセンから選択されるNSAIDである、請求項27記載の組成物。
【請求項29】
追加的な薬剤が、ロフェコキシブ、セレコクシブ、バルデコキシブ、およびルミラコキシブから選択されるCOX-2阻害剤である、請求項27記載の組成物。
【請求項30】
追加的な薬剤が、アデリムマブ(adelimumab)、エタネルセプト、およびインフリキシマブから選択される生物製剤である、請求項27記載の組成物。
【請求項31】
追加的な薬剤が、メトトレキセートおよびレフルノマイドから選択されるDMARDである、請求項27記載の組成物。
【請求項32】
追加的な薬剤が、テオフィリンから選択されるキサンチンである、請求項27記載の組成物。
【請求項33】
追加的な薬剤が、イプラトロピウムおよびチオトロピウム(tiotropium)から選択される抗コリン作用化合物である、請求項27記載の組成物。
【請求項34】
追加的な薬剤が、硫酸イブテロール、メシル酸ビトルテロール、エピネフリン、フマル酸フォルモテロール、イソプロテロノール、塩酸レバルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール、キシナホ酸サルメテロール、およびテルブタリンから選択されるβ受容体アゴニストである、請求項27記載の組成物。
【請求項35】
追加的な薬剤が、カルシポトリエンおよびカルシポトリオールから選択されるビタミンD化合物である、請求項27記載の組成物。
【請求項36】
追加的な薬剤が、メトキサレンから選択されるプソラレンである、請求項27記載の組成物。
【請求項37】
追加的な薬剤が、アシトレチンおよびタゾレテンから選択されるレチノイドである、請求項27記載の組成物。
【請求項38】
追加的な薬剤が、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド2ナトリウム、およびオルサラジンナトリウムから選択される5-アミノサリチル酸である、請求項27記載の組成物。
【請求項39】
追加的な薬剤が、VX 702、SCIO 469、ドラマピモド(doramapimod)、RO 30201195、SCIO 323、DPC 333、プラナルカサン(pranalcasan)、ミコフェノレート、およびメリメポディブ(merimepodib)から選択される小分子免疫調節剤である、請求項27記載の組成物。
【請求項40】
追加的な薬剤が、尿素およびパントテノールから選択される保湿剤である、請求項27記載の組成物。
【請求項41】
追加的な薬剤が亜鉛塩である、請求項27記載の組成物。
【請求項42】
追加的な薬剤が、クロベタゾール、トリアムシノロン、ベタメタゾン、ヒドロコルチゾン、ハロベタソール、ジフロラゾン、モメタゾン、ハルシノニド、フルチカゾン、プレドニゾン、およびデキサメタゾンから選択されるコルチコステロイドである、請求項27記載の組成物。
【請求項43】
NsIDIおよびグループAエンハンサーを同時に、または相互に14日以内に、インビボにおいて患者における炎症性サイトカインの分泌もしくは産生を低下させるのに十分な量を患者に投与する段階を含む、患者における炎症性サイトカインの分泌または産生を低下させる方法。
【請求項44】
NsIDIおよびグループAエンハンサーを同時に、または相互に14日以内に、患者を治療するのに十分な量を患者に投与する段階を含む、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者を治療する方法。
【請求項45】
免疫炎症性疾患が、皮膚炎症性疾患、慢性関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性多発性筋痛、巨細胞性動脈炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、強直性脊椎炎、または乾癬性関節炎である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
NsIDIが、シクロスポリン、タクロリムス、アスコマイシン、ピメクロリムス、ABT-281、ISAtx247、ラパマイシン、またはエベロリムスである、請求項44記載の方法。
【請求項47】
グループAエンハンサーが、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗痛風剤、抗原虫剤、抗感染症剤、日焼け防止剤、微小管阻害剤、保湿剤、または亜鉛塩である、請求項44記載の方法。
【請求項48】
グループAエンハンサーが抗ウイルス剤である、請求項44記載の方法。
【請求項49】
抗ウイルス剤がアシクロビルである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
グループAエンハンサーが抗真菌剤である、請求項44記載の方法。
【請求項51】
抗真菌剤がクロトリマゾールである、請求項50記載の方法。
【請求項52】
グループAエンハンサーが抗痛風剤である、請求項44記載の方法。
【請求項53】
抗痛風剤がコルヒチンである、請求項52記載の方法。
【請求項54】
グループAエンハンサーが抗原虫剤である、請求項44記載の方法。
【請求項55】
抗原虫剤がメトロニダゾールである、請求項54記載の方法。
【請求項56】
グループAエンハンサーが抗感染症剤である、請求項44記載の方法。
【請求項57】
抗感染症剤がニトロフラゾンである、請求項56記載の方法。
【請求項58】
グループAエンハンサーが日焼け防止剤である、請求項44記載の方法。
【請求項59】
日焼け防止薬がオキシベンゾンである、請求項58記載の方法。
【請求項60】
グループAエンハンサーが保湿剤である、請求項44記載の方法。
【請求項61】
保湿剤が尿素である、請求項60記載の方法。
【請求項62】
グループAエンハンサーが微小管阻害剤である、請求項44記載の方法。
【請求項63】
グループAエンハンサーが亜鉛塩である、請求項44記載の方法。
【請求項64】
NsIDIおよびグループAエンハンサーが局所的に投与される、請求項44記載の方法。
【請求項65】
免疫炎症性疾患が皮膚炎症性疾患である、請求項45記載の方法。
【請求項66】
皮膚炎症性疾患が、乾癬、アトピー性皮膚炎、手の皮膚炎、または光線性角化症である、請求項65記載の方法。
【請求項67】
NsIDIおよびグループAエンハンサーが、全身的に投与される、請求項44記載の方法。
【請求項68】
NSAID、COX-2阻害剤、小分子免疫調節剤、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、キサンチン、抗コリン作用化合物、β受容体アゴニスト、気管支拡張剤、コルチコステロイド、保湿剤、亜鉛塩、ビタミンD化合物、プソラレン、レチノイド、および5-アミノサリチル酸から選択される追加的な薬剤を投与する段階をさらに含む、請求項44記載の方法。
【請求項69】
請求項28〜42のいずれか一項記載の組成物を患者に投与する段階を含む、請求項68記載の方法。
【請求項70】
細胞に、NsIDIおよびグループAエンハンサーを同時に、または相互に14日以内に、インビボにおいて細胞における炎症性サイトカインの分泌もしくは産生を低下させるのに十分な量を接触させる段階を含む、細胞における炎症性サイトカインの分泌または産生を低下させる方法。
【請求項71】
細胞がインビボにおける哺乳動物細胞である、請求項70記載の方法。
【請求項72】
NsIDIおよびグループAエンハンサーを同時か、または相互に14日以内に、患者を治療するのに十分な量で患者に投与する段階を含む、増殖性皮膚疾患であると診断されたか、または増殖性皮膚疾患を発症するリスクがあると診断された患者を治療する方法。
【請求項73】
以下を含むキット:
(i)NsIDIおよびグループAエンハンサーを含む組成物;ならびに
(ii)該組成物を、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者に投与する際の指示書。
【請求項74】
以下を含むキット:
(i)NsIDI;
(ii)グループAエンハンサー;ならびに
(iii)該NsIDIおよび該グループAエンハンサーを、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者に投与する際の指示書。
【請求項75】
以下を含むキット:
(i)NsIDI;ならびに
(ii)該NsIDIおよびグループAエンハンサーを、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者に投与する際の指示書。
【請求項76】
以下を含むキット:
(i)グループAエンハンサー;ならびに
(ii)該グループAエンハンサーおよびNsIDIを、免疫炎症性疾患であると診断されたか、または免疫炎症性疾患を発症するリスクがあると診断された患者に投与する際の指示書。

【公表番号】特表2008−543865(P2008−543865A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517122(P2008−517122)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/023414
【国際公開番号】WO2006/138518
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(501273808)コンビナトアールエックス インコーポレーティッド (21)
【Fターム(参考)】