説明

免震用支持装置

【課題】電子機器や自動販売機等の筐体等に対する震動を減震して倒壊を防止し、被害を低減することができる免震用支持装置を提供する。
【解決手段】筐体、商品陳列用置棚又は躯体の下面に下向受皿部材を固定し、床面又は建築用基礎に支持台を固定し、該支持台に取付けた先端部材を下向受皿部材の凹面部に可動的に単数又は複数当接させる免振装置において、弾性ゴムを介して該支持台に取付けることおよび首振り構造部を介して支持したことおよびキャスターを取付け、キャスターにより支持したことおよび下向受皿部材の凹面部の周縁の曲率を内側より小さくしてストッパー部を形成したことによって、反復作用時の強力な減震力と共震現象をなくす作用を起こすことを特徴とした免震用支持装置を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免震用支持装置に関し、特に地震発生時において、電子機器や自動販売機等の筐体等に対する震動を減震して倒壊を防止し、被害を低減することができる免震用支持装置を提供するものであり、更に建築における躯体に取付けて、建築物に対する震動を減震して倒壊を防止し、被害を低減することができる免震用支持装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の免震装置が開発されているが、その殆どが建築物や床上の電子機器に対して、免震効果を有するバネやゴムの反発効果や下端部の滑動方式及び球体の転動方式のものが多く存在する。例えば、特開2007−24123号や特許第3058364号等が開発されている。
【0003】
【特許文献1】 特開平2007−24123号公報
【特許文献2】 特許第3058364号公報
【0004】
前記せる特開平2007−24123号は、免震用基盤上に球体を回転自在にとせる構造であり、また、前記せる特許3058364号は、電子機器の筐体底部にボルトを螺合させて脚体とし、その先端を曲面とし、凹面上受け皿上で滑動させるものであった。
【0005】
しかしながら、いずれも受け皿が上向きに設置されており、ゴミが入りやすく、ゴミが入ると滑動に支障を来し、上向きの受け皿の面積が狭く、滑動範囲が限られており大きな振幅に対応することができなくなる問題点があった。
【0006】
特開平2007−24123号では、狭い範囲で球体が転動するものであるから、使用対象が家屋等の建築物のような場合は、増幅される振幅に対応することが難しいものであった。
【0007】
また、前記せる特許3058364号は、電子機器の筐体底部にボルトを螺合させて脚体としたものであるから、脚体のフレキシビリティが無く、破損し易いものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の免震用支持装置は、下向受皿部材や上向受皿部材等を用いたものであって、ゴミ等が溜まりにくい場所には上向受皿部材を用いても良く、ゴミ等が溜まりやすい場合には特に下向受皿部材を用いた免震用支持装置を提供し、振動が増幅されても対応可能な免震用支持装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
筐体、商品陳列用置棚又は躯体の下面に下向受皿部材を固定し、床面又は建築用基礎に支持台を固定し、弾性ゴムを介して該支持台に取付けた先端部材を下向受皿部材の凹面部に可動的に当接させた構成からなることを特徴とし、筐体、商品陳列用置棚又は躯体の下面に下向受皿部材を固定し、床面又は建築用基礎に支持台を固定し、首振り構造部を介して該支持台に取付けた先端部材を下向受皿部材の凹面部に可動的に当接させた構成からなることを特徴とし、筐体、商品陳列用置棚又は躯体の下面に下向受皿部材を固定し、床面又は建築用基礎に支持台を固定してキャスターを取付け、キャスターの車輪を下向受皿部材の凹面部に可動的に当接させた構成からなることを特徴とし、下向受皿部材の凹面部の周縁の曲度を内側より大きくしてストッパー部を形成したことを特徴とした免震用支持装置を提供するものである。
【0010】
建築用の場合、躯体の下面に下向受皿部材を固定し、土中の拡張基礎部と一体的に形成された建築基礎部との間にストッパー部が設けられ、該ストッパー部がフランジに設けられた枢軸を介して可動的に設けられていることを特徴とする免震用支持装置を提供する。
【0011】
更に、筐体又は商品陳列用置棚の下面に固定した脚体の下端に弾性ゴム材を介して先端部材を取付け、曲面に形成された先端部材が、床面に固定された上向受皿部材の凹面部に可動的に当接されていることを特徴とし、筐体又は商品陳列用置棚の下面に固定した脚体の下端に首振り構造部を介して先端部材を取付け、曲面に形成された先端部材が、床面に固定された上向受皿部材の凹面部に可動的に当接されていることを特徴とし、筐体又は商品陳列用置棚の下面に固定した脚体の下端にキャスターを取付け、キャスターの車輪が、床面に固定された上向受皿部材の凹面部に可動的に当接されていることを特徴とし、且つ上向受皿部材の凹面部の周縁の曲度を内側より小さくしてストッパー部を形成したことを特徴とする免震用支持装置を提供するものである。
【0012】
また、揺動OA用フロアの下面又は揺動OA用フロアの交叉部下面に下向受皿部材を固定し、コンクリート床部に支持台を固定し、弾性ゴムを介して該支持台に取付けた先端部材又は支持台に首振り構造部を介して取付けた先端部材を下向受皿部材の凹面部に可動的に当接させた構成からなることを特徴とする免震用支持装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の免震用支持装置は、下向受皿部材や上向受皿部材等を用いたものであって、ゴミ等が溜まりにくい場所には上向受皿部材を用いても良く、ゴミ等が溜まりやすい場合には特に下向受皿部材を用いた免震用支持装置を提供し、振動が増幅されても対応可能な免震用支持装置を提供するものである。
【0014】
各実施例のいずれの場合でも、先端部材又はキャスターの車輪が受け皿部材の凹面部に可動的に当接されているので、全方向の移動によって横方向の震動が吸収され、また実施例1では、介在された弾性ゴム材によって、縦方向の震動も併せて吸収され、震動の終了時には各当接位置が復元されるように構成されているので、電子機器や自動販売機等の筐体の倒壊防止になり、地震発生時における被害を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の免震用支持装置について具体的に説明する。
図面に於いて、図1は本発明に係る免震用支持装置の設置状態を示す正面図である。図2は図1の使用状態を示す部分断面拡大図である。図3は他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。図4は他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。図5は躯体に応用した実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。図6は他の実施例の取付対象物を示す斜視図である。図7は他の実施例の取付対象物を示す斜視図である。図8は他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。図9は他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。図10は他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。
図11は他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。図12は他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。図13は1枚の揺動OA用フロアに複数の免震用支持装置を設置した斜視図である。図14は揺動OA用フロアの交叉部下面に免震用支持装置を設置した斜視図である。
【0016】
図1乃至図2に示す実施例1では、筐体等1、商品陳列用置棚14又は躯体10の下面に下向受皿部材5を固定し、床面6又は建築用基礎9に支持台2を固定し、弾性ゴムを介して該支持台2に取付けた先端部材4が下向受皿部材5の凹面部51に可動的に当接されている。
【0017】
図2に示す実施例2では、筐体等1、商品陳列用置棚14又は躯体10の下面に下向受皿部材5を固定し、床面6又は建築用基礎9に支持台2を固定し、首振り構造部71を介して該支持台2に取付けた先端部材4が下向受皿部材5の凹面部51に可動的に当接されている。
【0018】
図4に示す実施例3では、筐体等1、商品陳列用置棚14又は躯体10の下面に下向受皿部材5を固定し、床面6又は建築用基礎9に支持台2を固定し、キャスター8を取付けキャスター8の車輪81が下向受皿部材5の凹面部51に可動的に当接されている。
【0019】
図1乃至図5では下向受皿部材5、及び他の実施例の図8乃至図10では上向受皿部材50の凹面部51の周縁の曲度を内側より小さくしてストッパー部52を形成した免震用支持装置を提供している。
【0020】
建築用では、躯体10の下面に下向受皿部材5を固定し、土中13の拡張基礎部91と一体的に形成された建築基礎9との間にストッパー部52が設けられ、該ストッパー部52がフランジ54に設けられた枢軸53を介して可動的に設けられており、更に下向受皿5のストッパー部でもさらなる減震をはかっている。
【0021】
また、他の実施例4において、筐体等1又は商品陳列用置棚14の下面に固定した脚部21の下端に弾性ゴム材3を介して先端部材4を取付け、曲面に形成された先端部材4が床面6に固定された上向受皿部材50の凹面部51に可動的に当接されている。
【0022】
また、筐体等1又は商品陳列用置棚14の下面に固定した脚部21の下端に首振り構造部71を介して先端部材4を取付け、曲面に形成された先端部材4が、床面6に固定された上向受皿部材50の凹面部51に可動的に当接されている。
【0023】
また、筐体等1又は商品陳列用置棚14の下面に固定した脚部21の下端にキャスター8を取付け、キャスター8の車輪81が、床面6に固定された上向受皿部材50の凹面部51に可動的に当接されている。
【0024】
上向受皿部材50の凹面部51の周縁の曲度を内側より小さくしてストッパー部52を形成した前述の免震用支持装置を提供している。
【0025】
また、図11に示す他の実施例5においては、OA用フロアに適応した実施例が示されており、揺動OA用フロア101の下面に下向受皿部材5を固定し、コンクリート床部60に支持台2を固定し、弾性ゴム材3を介して該支持台2に取付けた先端部材4を下向受皿部材5の凹面部51に可動的に当接させた構成になっている。
【0026】
固定OAフロア111は支持材22によってコンクリート床部60に固定されているが図11に示すように、揺動OAフロア101は固定OAフロア111の上面より突出しているので、揺動OA用フロア101は揺動しながら振動を吸収し、揺動OA用フロア101上に載置された電子機器等の倒壊や損壊を防止する効果を有している。
【0027】
また、図12に示す他の実施例6においてもOA用フロアに適応した実施例が示されており、揺動OA用フロア101の下面に下向受皿部材5を固定し、コンクリート床部60に支持台2を固定し、首振り構造部71を介して該支持台2に取付けた先端部材7を下向受皿部材5の凹面部51に可動的に当接させた構成になっている。
【0028】
固定OAフロア111は支持材22によってコンクリート床部60に固定されているが図11乃至図12に示すように、揺動OA用フロア101は固定OAフロア111の上面より突出しているので、揺動OAフロア101は揺動しながら振動を吸収し、揺動OA用フロア101上に載置された電子機器等の倒壊や損壊を防止する効果を有している。
【0029】
また、図13に示す実施例7では、揺動OA用フロアに複数の免震用支持装置を設置した斜視図であって、1枚の揺動OA用フロアがシーソー状態にならないように面積の広い揺動OA用フロアに適応できるものである。
【0030】
また、図14に示す実施例8では、揺動OA用フロアの交叉部102の下面に免震用支持装置を設置可能にした構造をしめしている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】 本発明に係る免震用支持装置の設置状態を示す正面図である。
【図2】 図1の使用状態を示す部分断面拡大図である。
【図3】 他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。
【図4】 他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。
【図5】 躯体に応用した実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。
【図6】 他の実施例の取付対象物を示す斜視図である。
【図7】 他の実施例の取付対象物を示す斜視図である。
【図8】 他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。
【図9】 他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。
【図10】 他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。
【図11】 他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。
【図12】 他の実施例の使用状態を示す部分断面拡大図である。
【図13】 1枚の揺動OA用フロアに複数の免震用支持装置を設置した斜視図である。
【図14】 揺動OA用フロアの交叉部の下面に免震用支持装置を設置した斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 筐体等
2 支持台
21 脚部
22 支持材
3 弾性ゴム材
4 先端部材
5 下向受皿部材
50 上向受皿部材
51 凹面部
52 ストッパー部
53 枢軸
54 フランジ
55 リンク
6 床面
60 コンクリート床部
7 先端部材
71 首振り構造部
8 キャスター
81 車輪
82 水平回転構造部
9 建築基礎部
91 拡張基礎部
10 躯体
11 先端部材
111 固定OAフロア
101 揺動OA用フロア
102 交叉部
12 支持部
13 土中
14 商品陳列置棚
15 ベース
16 自動販売機
17 取付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体、商品陳列用置棚又は躯体の下面に下向受皿部材を固定し、床面又は建築用基礎に支持台を固定し、弾性ゴムを介して該支持台に取付けた先端部材を下向受皿部材の凹面部に可動的に単数又は複数当接させた構成からなることを特徴とする免震用支持装置。
【請求項2】
筐体、商品陳列用置棚又は躯体の下面に下向受皿部材を固定し、床面又は建築用基礎に支持台を固定し、首振り構造部を介して該支持台に取付けた先端部材を下向受皿部材の凹面部に可動的に単数又は複数当接させた構成からなることを特徴とする免震用支持装置。
【請求項3】
筐体、商品陳列用置棚又は躯体の下面に下向受皿部材を固定し、床面又は建築用基礎に支持台を固定し、キャスターを取付け、キャスターの車輪を下向受皿部材の凹面部に可動的に単数又は複数当接させた構成からなることを特徴とする免震用支持装置。
【請求項4】
下向受皿部材の凹面部の周縁の曲率を内側より小さくしてストッパー部を形成したことを特徴とする請求項1乃至3に記載した免震用支持装置。
【請求項5】
躯体の下面に下向受皿部材を固定し、土中の拡張基礎部と一体的に形成された建築基礎部との間にストッパー部が設けられ、該ストッパー部がフランジに設けられた枢軸及びリンクを介して可動的に設けられていることを特徴とする免震用支持装置。
【請求項6】
筐体又は商品陳列用置棚の下面に固定した脚体の下端に弾性ゴム材を介して先端部材を取付け、曲面に形成された先端部材が、床面に固定された上向受皿部材の凹面部に可動的に当接されていることを特徴とする免震用支持装置。
【請求項7】
筐体又は商品陳列用置棚の下面に固定した脚体の下端に首振り構造部を介して先端部材を取付け、曲面に形成された先端部材が、床面に固定された上向受皿部材の凹面部に可動的に当接されていることを特徴とする免震用支持装置。
【請求項8】
筐体又は商品陳列用置棚の下面に固定した脚体の下端にキャスターを取付け、キャスターの車輪が、床面に固定された上向受皿部材の凹面部に可動的に当接されていることを特徴とする免震用支持装置。
【請求項9】
上向受皿部材の凹面部の周縁の曲度を内側より大きくしてストッパー部を形成したことを特徴とする請求項6乃至8に記載した免震用支持装置。
【請求項10】
揺動OA用フロアの下面に下向受皿部材を固定し、コンクリート床部に支持台を固定し、弾性ゴムを介して該支持台に取付けた先端部材又は支持台に首振り構造部を介して取付けた先端部材を下向受皿部材の凹面部に可動的に当接させた構成からなることを特徴とする免震用支持装置。
【請求項11】
揺動OA用フロアの交叉部下面に下向受皿部材を固定し、コンクリート床部に支持台を固定し、弾性ゴムを介して該支持台に取付けた先端部材又は支持台に首振り構造部を介して取付けた先端部材を下向受皿部材の凹面部に可動的に当接させた構成からなることを特徴とする免震用支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−2047(P2010−2047A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191452(P2008−191452)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(390027661)株式会社金澤製作所 (29)
【Fターム(参考)】