説明

入出庫装置

【課題】 ロール幅よりも長寸となる芯材を用いる必要性がなく、物品の最大幅を抑制してスペースの効率的な利用を図るとともに、装置各部構造の簡略化を達成できる入出庫装置を提供する。
【解決手段】 ロール状の物品Wを支持するラック装置11にガイドレール13が併設され、ガイドレール13に沿ってローダ12が移動可能に設けられている。ラック装置は、物品Wを片持ち姿勢で支持する支持アーム26を備える一方、ローダは、支持アームの先端側から前進して支持アームを受容する位置に移動可能な移載アーム75を備える。ローダは、昇降体31と、水平面内で回転可能な回転体33と、移載アームを支持するスライダ34を含む。物品を出し入れするときは、支持アームに対向する位置まで移載アームを移動させ、移載アームを物品の芯材28内に挿入して支持替えを行い、その状態でローダを初期位置に復帰させることにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入出庫装置に係り、更に詳しくは、ロール状に巻回された物品の効率的な収納と出し入れを行うことができる入出庫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルム等の工業用フィルムや、上質紙、加工紙等の紙などの原反は、略円筒状の芯材を用いてロール状に巻回されて倉庫内に収納されている。このようなロール状に巻回された原反は、例えば、フィルムの片面に粘着剤等の塗布形成を行い、剥離シートを貼着し、その後にスリッター等を用いて複数の巻体に分割するなどの二次的な加工が一般的に採用されている。また、粘着加工を施されて、スリッター等の二次加工を行う前には、原反と同様にロール状に巻回されて倉庫内に収納されているものもある。
【0003】
従って、原反状態におけるロール状の物品は、そのロール幅と巻き径が大きく、重量も非常に重い状態となっている。そのため、このような物品を在庫として保有する場合には、工場内に設けられた立体的なフレーム構造体からなる大型のラック装置を含む入出庫装置を利用することが通常となっている。
【0004】
前記入出庫装置としては、例えば、特許文献1に記載されている。同文献に示された入出庫装置は、ロール状の物品を支持するラック装置と、前記物品をラック装置に対して出し入れするクレーンとを備えて構成されている。ロール状の物品は、芯材の両端部がロールの幅方向両端から突出する長さに設けられており、前記ラック装置には、芯材の前記突出した部分をそれぞれ支持する一対の支承部材が採用されている。この一方、クレーンは、支承部材の位置に対して進退可能に設けられたスライドと、このスライドに設けられた物品受け具とを備え、当該支承部材と干渉を生じないように物品受け具を昇降させることにより、支承部材に支持された芯材の両端部を支持して物品を取り出すことができる一方、反対の動作を行うことで物品をラック装置に収納することができるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−118404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された入出庫装置にあっては、物品の両端から芯材を突出させた状態で、前記支承部材が芯材の突出部分を支持する構成であるため、当該突出した長さに応じて収納容積を狭めてしまう、という不都合がある。
特許文献1の装置では、フィルムや紙等の帯状材の幅内に収まる芯材を利用した物品を対象とした場合には適用することができず、帯状材の幅よりも長軸サイズを備えた芯材を必要とし、且つ、その長さも一定の規格を備えていなければ適用できないものとなる。これは、物品の出し入れに際して、当該物品を両持ち支持としたことに起因する。
また、このような両持ち構造を前提とした入出庫装置にあっては、芯材を支える部材が一対配置でなければならないため、装置構造を複雑化させる要因ともなる。
【0007】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、ロール幅よりも長寸となる芯材を用いる必要性がなく、スペースの効率的な利用を図るとともに、装置各部構造の簡略化を達成することのできる入出庫装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、中心部に筒状空間を備えたロール状の物品を収納するラック装置と、当該ラック装置に対して前記物品の出し入れを行うローダとを備えた入出庫装置において、
前記ラック装置は、前記筒状空間内に延びて物品を収納位置に保つとともに前記物品を片持ち状態で支持する支持アームを備えている一方、前記ローダは、前記支持アームと干渉することなく前記筒状空間に対して進退可能に設けられた移載アームを備え、
前記移載アームと前記支持アームとを相対移動させることで前記収納位置に対して物品が出し入れ可能に設けられる、という構成を採っている。
【0009】
本発明において、前記支持アームは上下及び横方向に沿って所定間隔をおいて相互に平行に配置され、前記移載アームは、各支持アームの収納位置に対して選択的に移動可能に設けられる、という構成が採用されている。
【0010】
また、前記ラック装置の側方床面上にガイドレールが敷設され、当該ガイドレールに沿って前記ローダが移動可能に設けられている。
【0011】
更に、前記ローダは前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられたローダ本体と、当該ローダ本体に昇降可能に設けられた昇降体と、この昇降体に支持されるとともに前記収納位置に対して進退可能なスライダとを備え、このスライダに前記移載アームが支持される、という構成を採用することが好ましい。
【0012】
また、前記スライダは、略水平面内で回転可能に支持される、という構成も採用されている。
【0013】
更に、本発明は、中心部に筒状空間を備えたロール状の物品を収納するとともに、出し入れ側が対向する方向に向けられた一対のラック装置と、これらラック装置間の床面上に敷設されたガイドレールと、当該ガイドレールに沿って移動可能に設けられたローダとを備え、
前記各ラック装置は、前記物品の軸方向一端側を対向するラック装置側に向けて当該物品を片持ち姿勢で支持する複数の支持アームを上下及び横方向に所定間隔を隔てて備え、
前記ローダは、前記ガイドレールに沿って移動可能なローダ本体と、このローダ本体に昇降可能に設けられた昇降体と、当該昇降体に平面内で回転可能に支持された回転体と、この回転体に支持されるとともに前記物品に対して進退可能に設けられたスライダとを備え、
前記スライダは、前記筒状空間に対して前記支持アームと干渉することなく進退可能な移載アームを備え、
前記移載アームと前記支持アームの何れか一方が何れか他方を受容するように各アームを前記筒状空間内に位置させて各アームを上下方向に相対移動させることで、前記物品が前記支持アームに移載若しくは支持アームから取り出し可能に設けられる、という構成を採っている。
【0014】
また、前記ローダにより取り出された物品を受け取り可能な入出庫リフタを更に含み、当該入出庫リフタは、ローダとの間で物品の受け取り若しくは受け渡しを行う位置と、所定の走行体との間で物品の受け取り若しくは受け渡しを行う位置との間で回転可能に設けられる、という構成を採ることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ラック装置における支持アームが片持ち状態でロール状の物品を支持する構成であるため、物品の中心に筒状空間があれば当該物品を支持することができるようになり、物品の幅方向両端から外側に突出する長さを備えた芯材を利用する必要を無くすことができ、その分、収納効率を向上させることが可能となる。しかも、ロールの中心に一定の筒状空間が形成されていればよい構成であるため、芯材を用いることなくロール状に巻回された物品への適用も妨げられない。
【0016】
また、支持アームと移載アームは、一方が他方を受容する状態で領域的に重なり合うように前記物品の筒状空間内に同時に位置可能な構成を採用することができる。例えば、移載アームがU字状の横断面形状を備えたものであるとした場合には、支持アームがU字の内部に位置可能な軸状部材とした設計が可能となり、物品の受け取り若しくは受け渡しの構造を極めて簡単なものとすることができる。この場合において、支持アームが物品を支持している状態で、移載アームが支持アームを受容する位置まで移動したときに、移載アームを僅かに上昇させるだけで移載アーム側に物品を支持替えできることになる。従って、この状態で、移載アームを後退させることで、物品を収納位置から容易に取り出すことができる。
【0017】
このように、本発明によれば、支持アームに対して移載アームを軸方向に相対移動させるとともに、上下方向に僅かな相対移動を行うことができるスペースがあれば物品の出し入れを行うことができる。従って、多数の物品が相互に接近した状態でラック装置内に収納可能となり、前記相対移動を許容できるスペースが前記筒状空間内に確保されている限り物品の出し入れを行うことができ、ラック装置における物品の収納スペースを最大限に利用することが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1には、本実施形態に係る入出庫装置の概略平面図が示され、図2には、その側面図が示され、また、図3には、その拡大正面図が示されている。これらの図において、入出庫装置10は、帯状のフィルム若しくは紙等をロール状に巻回した物品Wを収納する一対のラック装置11,11と、これらラック装置11,11に対して物品Wを出し入れするローダ12と、前記ラック装置11,11間の床面上に敷設されるとともに、前記ローダ12をラック装置11,11に沿って移動可能に支持して物品Wの搬入、搬出路を構成するガイドレール13,13と、前記ローダ12からの物品受け取りと、ローダ12への物品受け渡しを行う一対の入出庫リフタ14,14とを備えて構成されている。
【0020】
前記ラック装置11,11は、相互に対向する側を物品Wの出し入れ側として相対配置され、各ラック装置11,11は対称構造を備えた構成となっている。従って、以下においては、一方のラック装置11について説明を行うものとし、他方のラック装置11については同一符号を用いて説明を省略する。
【0021】
前記ラック装置11は、H型鋼若しくはI型鋼等を縦横に組み合わせたフレーム構造体により構成されている。具体的には、前記物品Wの出し入れ側に位置する内側フレーム構造体20と、前記出し入れ側の反対側に位置する外側フレーム構造体21と、これら内側フレーム構造体20と外側フレーム構造体21を相互連結する連結フレーム22とにより構成されている。内側フレーム構造体20と外側フレーム構造体21は、上下方向に立設されるとともに相互に略平行に配置された複数の縦フレーム23と、これら縦フレーム23を相互に接続する方向(図2中左右方向)に延びる横フレーム25とにより構成されている。ここで、内側フレーム構造体20の横フレーム25は、図3に示されるように、物品Wの出し入れを妨げることがない位置に配置されている。
【0022】
前記外側フレーム構造体21において、横フレーム25には、図3に示されるように、物品Wをラック装置11の収納位置に保つ支持アーム26の一端がブラケット27を介して固定され(図4参照)、当該支持アーム26の他端すなわち先端は、自由端として前記物品Wの出し入れ側に位置するように設けられている。従って、支持アーム26は、横フレーム25に対して片持ち姿勢で固定されることとなり、当該支持アーム26が物品Wの中央部に形成された筒状空間Cに対して一端側から挿入された状態において、当該物品Wは、実質的に片持ち姿勢で支持されることとなる。各支持アーム26は、相互に所定間隔を隔てて上下方向及び横方向に沿う所定箇所にそれぞれ配置され、これらの支持アーム26に物品Wが支持され、物品Wは、支持アーム26に支持された状態で、対向するラック装置11に支持された物品Wと略同一軸線上に位置する姿勢で配置されることとなる。
【0023】
本実施形態に係るロール状の物品Wは、図4に示されるように、前記筒状空間Cを形成する鋼管、樹脂管等からなる芯材28の外周側に帯状のフィルムが巻回されたものが対象とされている。この芯材28の軸方向長さは、フィルム幅に略一致する幅のものが採用されている一方、内径は、前記支持アーム26と、ローダ12における後述する移載アームを同時に受け入れることができ、且つ、それらアームの上下方向に沿う若干の相対移動を許容できる寸法に設けられている。
【0024】
前記ローダ12は、図1及び図3に示されるように、前記ガイドレール13,13に沿って移動可能に支持されたローダ本体30と、当該ローダ本体30に昇降可能に設けられた昇降体31と、この昇降体31に水平面内で回転可能に支持されるとともに図示しないロッドレスシリンダを内蔵した回転体33と、当該回転体33に支持され、図3中左右方向、すなわち物品Wの収納位置に対して進退可能に設けられたスライダ34とを備えて構成されている。
【0025】
前記ローダ本体30は、図3及び図5に示されるように、前記ガイドレール13,13上にそれぞれ位置する一対のベースブロック36,36と、これらベースブロック36,36の中間部及び後端部(図5中右端部)間を相互に連結する連結ブロック37,37と、前記ベースブロック36,36に立設された一対の昇降ガイド38,38と、これら昇降ガイド38,38間を相互に連結する横桟39を備えて構成されている。前記ベースブロック36で囲まれる内側領域には、図示しないブラケットを介してモータMが配置されており、当該モータMの出力軸はベースブロック36よりも下方に突出し、当該出力軸の下端部(先端部)には水平面内で回転可能に設けられたピニオンP(図3参照)が固定されている。このピニオンPは、前記ガイドレール13,13間で、当該ガイドレール13,13と平行に敷設されたラックRに噛み合い可能に設けられている。従って、ローダ本体30は、ピニオンPがラックR上を転動することで前記ガイドレール13,13上で走行可能となる。
【0026】
前記昇降ガイド38,38は、図3に示されるように、ラック装置11の上端部位置に略対応する高さを備えているとともに、それらの前端面に上下方向に延びるレール41,41が取り付けられ、これらレール41,41に沿って前記昇降体31の昇降をガイドするようになっている。また昇降ガイド38の上端部には、図6及び図7にも示されるように、モータM1と減速装置42が配置されているとともに、当該モータM1の側方に一対の軸受43,43を介して回転軸44が支持されている。モータM1の出力軸には主動ギヤ45が固定されているともに、前記回転軸44には主動ギヤ45に噛み合う従動ギヤ46が固定され、モータM1の正逆回転によって回転軸44が正転方向及び逆転方向に回転可能とされている。
【0027】
前記回転軸44において、その両端部近傍には、上部スプロケット48,48が固定されている一方、昇降ガイド38,38の下部内側には上部スプロケット48,48と対をなす下部スプロケット49,49(図5参照)が回転可能に支持され、これら上下の各スプロケット48,49間にチェーン50,50が巻装されている。従って、前記モータM1が回転することにより、回転軸44の回転がチェーン50,50に伝達されて当該チェーン50,50が回行可能となる。
【0028】
前記昇降体31は、図3及び図8に示されるように、前記ベースブロック36,36の各内側に位置する一対の鉛直ブロック53,53と、これら鉛直ブロック53,53を連結するブロック連結桟54,54と、鉛直ブロック53,53の下部から前方(図8中左方)に連設されて前記ベースブロック36,36と略平行に位置する水平ブロック56,56と、これら水平ブロック56,56の前部間において相互に所定間隔を隔てて配置された二本の前部連結ブロック57,57とにより構成されている。鉛直ブロック53,53の後端面には、上下二箇所位置に、前記レール41,41に乗るスライドブロック59,59が固定されている一方、上部後端面には、前記チェーン50,50と鉛直ブロック53,53とを連結してこれらを一体化させるための連結ブラケット60が設けられ、これにより、チェーン50,50が回行したときに、これに追従して昇降体31が昇降可能となっている。
【0029】
前記水平ブロック56,56間には、図示しないロータリアクチュエータが配置されており、当該ロータリアクチュエータの出力軸61は、水平ブロック56の下面より下方に突出して下端部に主動プーリ62が固定されている(図8参照)。この主動プーリ62の前方位置(図8中左方位置)には従動プーリ63(図9参照)が配置されており、これらプーリ62,63にはベルト64が掛け回されている。従動プーリ63の回転軸65は上方に延び、その上端が前記回転体33の下部に連結されている。そのため、主動プーリ62が回転することにより、回転軸65が回転可能となり、当該回転軸65に固定された回転体33が水平面内で回転可能となる。なお、回転体33は、平面視略長方形状をなす筐体67を含み、当該筐体67の上面側に、二条のスライドレール70,70(図8,図9参照)を備えて構成されている。
【0030】
前記スライダ34は、前記回転体33に内蔵された図示しないロッドレスシリンダのピストンに連結されて前記収納位置にある物品Wに対して進退可能に設けられている。このスライダ34は、図9に示されるように、前記スライドレール70,70上に位置するスライドプレート72と、このスライドプレート72の上面側から立設された起立部材73とからなり、この起立部材73の図9中左側端面に移載アーム75が固定されている。この移載アーム75は、略水平方向に延び、その先端は自由端とされている。従って、移載アーム75は、片持ち姿勢でスライダ34に支持されていることになる。また、移載アーム75は、図4(A)に示されるように、上部が開放する略U字状の溝75Aを備えた形状に設けられ、当該溝75A内に前述した支持アーム26を先端側から受容できる内側空間を備えた構造となっており、且つ、図4(B)及び図4(C))に示されるように、移載アーム75内に支持アーム26が受容されたときに、これらアームを上下方向に相対的に移動させて何れかのアームが物品Wを支持することができる隙間が移載アーム75の下端と芯材28との間に形成されるようになっている。なお、移載アーム75の上端縁には、複数の弾性部材75Bが取り付けられており、これら弾性部材75Bにより、物品Wの中心に位置する芯材28との摩擦抵抗が付与できるように設けられている。
【0031】
前記入出庫リフタ14,14は、ラック装置11の外側フレーム構造体21を構成する前端側(図1中左端側)の縦フレーム23,23にそれぞれ設けられている。各入出庫リフタ14は、ローダ12によってラック装置11から物品Wを取り出した後に、ローダ12から物品Wを受け取り、工場等の内部を移動する図示しない走行体に載せ替えるため、或いはこれの反対動作を行うために利用されるものである。従って、走行体がローダ12の側方位置までアクセスできるものであれば、省略することも可能である。
【0032】
前記入出庫リフタ14は、図10に示すように縦フレーム23の前端面に固定された左右二本の鉛直レール80,80と、これら鉛直レール80,80に沿って昇降可能なアーム支持体81と、当該アーム支持体81に固定されるとともに、図1に示されるように、ローダ12から物品Wを受け取る位置と、前記走行体に物品Wを受け渡す位置との間、すなわち、平面内における略90度の角度範囲で回転可能に設けられたアーム82と、前記アーム支持体81に昇降力を付与するシリンダ装置83と、アーム支持体81を水平面内で回転させる駆動装置85とを含んで構成されている。アーム82はラック装置11における支持アーム26と実質的に同一形状のものが採用されている。
【0033】
なお、前記ローダ12及び入出庫リフタ14は、図示しない制御装置を介して所定動作可能に設けられており、当該制御装置には、ラック装置11における各物品Wの収納位置(アドレス)と、物品Wの種別等を記憶、更新可能なプログラムが格納されている。
【0034】
次に、本実施形態に係る入出庫装置10による出庫動作について説明する。
【0035】
ここでは、説明の便宜上、ローダ12は、図1に示される位置を初期位置として待機しているものとし、ローダ12の昇降体31は下降限にあって、しかも、移載アーム75は、図3に示されるように左側のラック装置11に先端が向けられているものとする。また、出庫対象となる物品Wは、図1中上方に位置するラック装置11の最後部(右端部)の最上部に位置している物品W1とする。また、入出庫リフタ14は、アーム82がローダ12側に向けられて当該ローダ12から物品W1を受け取ることができる高さ位置にあるものとする。
【0036】
出庫対象となる物品W1を制御装置を介して指示すると、当該制御装置が物品W1のアドレスを特定し、当該アドレスに対応する駆動信号がローダ12に付与される。すると、ローダ12は、モータMを介してピニオンPが回転してラックRに沿って転動し、物品W1の位置に対応する側方位置までローダ12がガイドレール13,13に沿って移動して停止することとなる。この際、昇降体31は、物品Wを受け取る高さ位置まで同時に上昇して停止する。
【0037】
移載アーム75が物品Wを支持している支持アーム26の延長線上に位置した状態で、前記スライダ34が回転体33上のスライドレール70,70に沿って移動し(図7参照)、移載アーム75が物品W1の芯材28内に前進するとともに、移載アーム75の溝75A内に支持アーム26が干渉することなく受容される(図4(B)参照)。
【0038】
次いで、ローダ12の昇降体31が僅かに上昇し、それまで支持アーム26に支持されていた物品W1は移載アーム75に支持替えされることとなる(図4(C)参照)。この状態で、スライダ34が後退し、これにより、物品W1が支持アーム26から抜け出た状態となり(図6及び図9参照)、この状態で、ローダ12が前記初期位置に復帰動作する。
【0039】
物品W1が移載アーム75に支持されてローダ12が初期位置に復帰すると、スライダ34が再び作動して入出庫リフタ14側に移動してアーム82が移載アーム75の溝内に受容される。この後、昇降体31が僅かに下降することで、移載アーム75で支持されていた物品W1は、アーム82に支持替えされ、その後にスライダ34が後退して移載アーム75が物品W1から抜け出ることとなる。
【0040】
次いで、入出庫リフタ14は、アーム82が図1中左側に向くように略90度回転し、図示しない走行体の受け面に物品W1を載せる。このようにして走行体に物品W1を載せた状態で、当該走行体をアームに沿って入出庫リフタ14から離れる方向に移動させることで物品W1がアームから抜け出ることとなる。
【0041】
なお、物品W1の入庫は、前述した動作を反対に行うことによって達成される。また、出庫する物品W1が反対側のラック装置11の支持アーム26に支持されている場合には、前述した動作の中間において、前記スライダ34を支持している回転体33の水平面内における回転動作を伴うこととなる。
【0042】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、材料、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それら形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0043】
例えば、前記実施形態では、ラック装置11が一対配置となる場合を図示、説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、何れか一方のラック装置11があれば足りる。この場合には、スライダ34を支持する回転体33を回転駆動させるための構造部品を省略することができる。
【0044】
また、支持アーム26と移載アーム75に関し、それらが芯材28内に位置して相互に干渉することなく領域的に重なり合う構造は、図示構成例に限定されるものではない。本実施形態では、移載アーム75が横断面形状においてU字状の形状を備えた構成としたが、支持アーム26側がU字状の形状として移載アーム75を角柱状としてもよい。また、何れか一方が何れか他方を受容する関係になくてもよい。但し、本実施形態のように、移載アーム75に支持アーム26が受容される構成とすれば、物品Wの支持替え動作をスムースに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る入出庫装置の概略平面図。
【図2】前記入出庫装置の概略側面図。
【図3】一部の構成を省略した図1の拡大正面図。
【図4】(A)は支持アームに物品が支持された状態と、これに対向する移載アームを示す概略斜視図、(B)は支持アームに物品が支持された状態で移載アームが物品の芯材内に入り込んだ状態を示す断面図、(C)は移載アームが支持アームを受容する状態で物品の芯材内に入り込んだ状態を示す断面図。
【図5】ローダ全体の概略拡大側面図。
【図6】スライダが後退した位置にある状態を示すローダの概略平面図。
【図7】スライダが前進した位置にある状態を示すローダの概略平面図。
【図8】ローダの昇降体を示す概略側面図。
【図9】ローダの昇降体及びスライダの概略正面図。
【図10】入出庫リフタの概略正面図。
【符号の説明】
【0046】
10 入出庫装置
11 ラック装置
12 ローダ
13 ガイドレール
14 入出庫リフタ
28 芯材
30 ローダ本体
31 昇降体
33 回転体
34 スライダ
75 移載アーム
82 アーム
C 筒状空間
W,W1 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に筒状空間を備えたロール状の物品を収納するラック装置と、当該ラック装置に対して前記物品の出し入れを行うローダとを備えた入出庫装置において、
前記ラック装置は、前記筒状空間内に延びて物品を収納位置に保つとともに前記物品を片持ち状態で支持する支持アームを備えている一方、前記ローダは、前記支持アームと干渉することなく前記筒状空間に対して進退可能に設けられた移載アームを備え、
前記移載アームと前記支持アームとを相対移動させることで前記収納位置に対して物品が出し入れ可能に設けられていることを特徴とする入出庫装置。
【請求項2】
前記支持アームは上下及び横方向に沿って所定間隔をおいて相互に平行に配置され、前記移載アームは、各支持アームの収納位置に対して選択的に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の入出庫装置。
【請求項3】
前記ラック装置の側方床面上にガイドレールが敷設され、当該ガイドレールに沿って前記ローダが移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の入出庫装置。
【請求項4】
前記ローダは前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられたローダ本体と、当該ローダ本体に昇降可能に設けられた昇降体と、この昇降体に支持されるとともに前記収納位置に対して進退可能なスライダとを備え、このスライダに前記移載アームが支持されていることを特徴とする請求項3記載の入出庫装置。
【請求項5】
前記スライダは、略水平面内で回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の入出庫装置。
【請求項6】
中心部に筒状空間を備えたロール状の物品を収納するとともに、出し入れ側が対向する方向に向けられた一対のラック装置と、これらラック装置間の床面上に敷設されたガイドレールと、当該ガイドレールに沿って移動可能に設けられたローダとを備え、
前記各ラック装置は、前記物品の軸方向一端側を対向するラック装置側に向けて当該物品を片持ち姿勢で支持する複数の支持アームを上下及び横方向に所定間隔を隔てて備え、
前記ローダは、前記ガイドレールに沿って移動可能なローダ本体と、このローダ本体に昇降可能に設けられた昇降体と、当該昇降体に平面内で回転可能に支持された回転体と、この回転体に支持されるとともに前記物品に対して進退可能に設けられたスライダとを備え、
前記スライダは、前記筒状空間に対して前記支持アームと干渉することなく進退可能な移載アームを備え、
前記移載アームと前記支持アームの何れか一方が何れか他方を受容するように各アームを前記筒状空間内に位置させて各アームを上下方向に相対移動させることで、前記物品が前記支持アームに移載若しくは支持アームから取り出し可能に設けられていることを特徴とする入出庫装置。
【請求項7】
前記ローダにより取り出された物品を受け取り可能な入出庫リフタを更に含み、当該入出庫リフタは、ローダとの間で物品の受け取り若しくは受け渡しを行う位置と、所定の走行体との間で物品の受け取り若しくは受け渡しを行う位置との間で回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の物品入出庫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−160477(P2006−160477A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356214(P2004−356214)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【出願人】(000217583)株式会社タナベ (11)
【Fターム(参考)】