説明

入力装置及びそれを備えた車載機器並びに入力装置の制御方法

【課題】振動や衝撃などの影響で押圧操作の誤入力による使用者の意図しない動作を防止することができる入力装置及びそれを備えた車載機器並びに入力装置の制御方法を提供する。
【解決手段】タッチパネル4や押しボタン5の操作状態が変化した時点の前後の所定期間の範囲内で加速度センサ8が検出した入力装置20に加わる振動量Gが予め定めた所定値以上であった場合は、制御部10が、タッチパネル4や押しボタン5の操作状態の変化を無効にして初期操作状態を維持するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルや押しボタンなど押圧されることで操作を行う入力装置及びそれを備えた車載機器並びに入力装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置やカーエアコンなどの車載機器には、タッチパネルや押しボタンなどの押圧(押下)されることで操作を受け付ける入力装置を備えているものが多い。
【0003】
このような車載機器では、車両が発生する振動や衝撃などにより入力装置への誤入力が発生するという問題があった。
【0004】
詳細に説明すると、例えば車載機器のタッチパネルや押しボタンなどにおいて、所定期間押し続けることで、短時間押したのとは異なる機能を動作させる入力方法、所謂長押しは、一つのボタン等に複数の機能が割り当てられるため、ボタン等を多く配置できない車載機器にはよく用いられている。ここで、この長押し操作中に振動や衝撃などによって指などが離れたりすると長押しと判断されずに短時間の押圧(短押し)として認識されてしまい、結果として使用者の意図しない動作が行われてしまうという問題があった。また、タッチパネルや押しボタンなどにおいて、1回だけ押すつもりが振動や衝撃などによって誤って2回以上押してしまうことで使用者の意図しない動作が行われてしまうという問題もあった。
【0005】
車載機器の振動や衝撃などの影響を少なくする入力装置としては、例えば、特許文献1に記載のポインティング装置が提案されている。特許文献1に記載のポインティング装置は、マウスに設けられた動き測定センサで上下方向と左右方向の回転角速度を検出し、これらの信号は本体の移動量演算部に入力される。移動量演算部では、動き測定センサによる信号に基づいて、操作者の手の上下方向の移動量と左右方向の移動量を演算すると共に、本体に設けられた動き測定センサの出力信号に基づいて自動車の左右方向の移動量を演算し、更に、操作者の手の左右方向の移動量と自動車の左右方向の移動量との差分を演算して、操作者が真に操作したマウスの左右方向の移動量を求めて、操作者の手の移動量に応じた距離だけディスプレイ上のカーソルを移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−185254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のポインティング装置では、マウスの移動量を振動や衝撃などに合わせて補正することはできるが、振動や衝撃などによるマウスのクリック操作の誤り、つまり、ドラッグ操作中にマウスボタンから指が離れてしまったり、クリックがダブルクリックになってしまうといった誤操作に対しては何ら考慮されていない。したがって上述した振動や衝撃などの影響で、長押しが誤って短押しになってしまう問題や、1回押しが誤って2回押しになってしまうといった問題を解決することができない。
【0008】
そこで、本発明は、振動や衝撃などの影響で押圧操作の誤入力による使用者の意図しない動作を防止することができる入力装置及びそれを備えた車載機器並びに入力装置の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の入力装置は、押圧操作される入力手段と、前記入力手段の操作状態に応じて当該入力手段に割り当てられた処理を行う制御手段と、を備えた入力装置において、前記入力装置に加わる振動を検出する振動検出手段と、前記入力手段の操作状態の変化を検出する変化検出手段と、を備え、前記変化検出手段が前記入力手段の操作状態の変化を検出した際に、前記振動検出手段が検出した前記振動が予め定めた所定値以上であった場合は、前記制御手段が、前記変化検出手段が検出した前記入力手段の操作状態の変化を無効にして前記振動が検出される直前の操作状態を維持するように制御することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の入力装置の制御方法は、押圧操作される入力手段の操作状態に応じて当該入力手段に割り当てられた処理を行う入力装置の制御方法において、前記入力装置に加わる振動を検出する振動検出工程と、前記入力手段の操作状態の変化を検出する変化検出工程と、前記変化検出工程が前記入力手段の操作状態の変化を検出した際に、前記振動検出工程が検出した前記振動が予め定めた所定値以上であった場合は、検出した前記入力手段の操作状態の変化を無効にして前記振動が検出される直前の操作状態を維持するように制御する制御工程と、を備えることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例にかかる入力装置を備えたカーナビゲーション装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示されたカーナビゲーション装置のブロック図である。
【図3】図1に示されたカーナビゲーション装置の入力操作を示したフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施例にかかる入力装置を備えたカーナビゲーション装置の動作の入力操作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかる入力装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる入力装置は、変化検出手段が入力手段の操作状態の変化を検出した際に、振動検出手段が検出した入力装置に加わる振動が予め定めた所定値以上であった場合は、制御手段が、変化検出手段が検出した入力手段の操作状態の変化を無効にして振動が検出される直前の操作状態を維持するように制御するので、押圧操作に影響を受けるような振動や衝撃が加わった際に、その影響を受けて指が離れてしまったり、或いは誤って押してしまっても、それらの操作を無効とすることができるため、誤操作による使用者の意図しない動作を防止することができる。
【0013】
また、入力手段が、タッチパネルで構成され、タッチパネルが押圧されている座標位置を記憶する記憶手段を備え、変化検出手段が座標情報の変化を検出した際に、振動検出手段が振動を検出した場合は、制御手段が、振動を検出する直前に記憶手段に記憶されている座標位置を読み出して、当該読み出した座標位置が押圧されているとして制御してもよい。このようにすることにより、タッチパネルを操作している際に、振動や衝撃によって指などがずれてタッチパネル上の隣接するボタン等を誤って操作してしまうといった誤操作による使用者の意図しない動作を防止することができる。
【0014】
また、上述した入力装置を車載機器に備えてもよい。このようにすることにより、車載機器において、振動や衝撃による誤操作で使用者の意図しない動作を防止することができる。
【0015】
また、本発明の一実施形態にかかる入力装置の制御方法は、変化検出工程が入力手段の操作状態の変化を検出した際に、振動検出工程が検出した入力手段に加わる振動が予め定めた所定値以上であった場合は、制御工程で検出した入力手段の操作状態の変化を無効にして振動が検出される直前の操作状態を維持するように制御するので、押圧操作に影響を受けるような振動や衝撃が加わった際に、その影響を受けて指が離れてしまったり、或いは誤って押してしまっても、それらの操作を無効することができるため、誤操作による使用者の意図しない動作を防止することができる。
【実施例1】
【0016】
本発明の第1の実施例を、図1乃至図3を参照して説明する。本発明の第1の実施例にかかる入力装置20は、車載機器としてのカーナビゲーション装置1に備えられている。カーナビゲーション装置1は車両のインストルメントパネルに設置され予め設定した目的地までの経路を表示して案内する。
【0017】
カーナビゲーション装置1は、図1及び図2に示したように、筐体2と、表示部3と、タッチパネル4と、押しボタン5と、タッチパネル検出部6と、ボタン検出部7と、加速度センサ8と、加速度検出部9と、制御部10と、ナビゲーション部11と、記録媒体記録再生部12と、を備えている。
【0018】
筐体2は、図1に示したように箱状に形成され、そのうち車両のインストルメントパネルに設置された際に使用者と相対する面2aにタッチパネル4(表示部3)が設けられている。そして、筐体2は、図2に示したカーナビゲーション装置1の各構成要素を収容している。
【0019】
表示部3は、液晶ディスプレイなどで構成され、カーナビゲーション装置1における地図情報や案内情報及び操作用のボタンやアイコン等が表示される。
【0020】
入力手段としてのタッチパネル4は、例えば、周知の抵抗膜方式であって、表示部3の表面に重ねられる透明なフィルム状に構成され、表面に線形特性を持つ抵抗膜を形成した上部電極板と同様に抵抗膜を形成した下部電極板の一対の電極板がスペーサなどを挟んで所定の隙間を設けて配置されており、指などで押圧して上部電極板と下部電極板が接触した座標位置に対応した電圧を出力する。なお、タッチパネル4は抵抗膜方式に限らず、静電容量方式や超音波方式など他の方式でも構わない。なお、本明細書における押圧とは、単に押す(押下)だけでなくタッチパネル4などを操作する際の触れる(接触する)動作も含む。
【0021】
押しボタン5は押しボタン5a〜5eの5つから構成され、タッチパネル4とは別の操作が各々割り当てられた入力手段であり、筐体2の使用者と相対する面2aの下方にそれぞれ設けられている。
【0022】
タッチパネル検出部6は、タッチパネル4で検出した座標位置に対応した電圧をX―Yの座標情報(以下、単に座標情報とする)に変換し、変換された座標情報はタッチパネル4の検出結果として制御部10へ出力する。ここで、X座標とは機器を設置した際におけるタッチパネル4の横方向の座標、Y座標とは横方向と直交する縦方向の座標を示す。
【0023】
ボタン検出部7は、ボタン5a〜5eそれぞれが押圧されたか否かを検出して、各ボタンごとのオンを示す情報(オン情報)を制御部10へ出力する。
【0024】
振動検出手段としての加速度センサ8は、カーナビゲーション装置1、即ち後述する入力装置20に外部から加わる振動や衝撃などを検出し、それを電気信号として加速度検出部9へ出力している。なお、本実施例では振動検出手段として加速度センサ8を用いているが、振動や衝撃などを検出できるセンサであれば加速度センサ8に限らないことは言うまでも無く、カーナビゲーション装置1ではなく車両に設けられている振動や衝撃などを検出できるセンサを用いてもよい。
【0025】
加速度検出部9は、加速度センサ8が検出した電気的信号を、入力手段に外部から加わる振動や衝撃などの変化量(振動量G)として制御部10へ出力する。なお、加速度センサ8と加速度検出部9は一体的に構成されていてもよい。
【0026】
制御手段、変化検出手段としての制御部10は、RAM10aを備え、タッチパネル検出部6が出力した座標情報に基づいて、該座標位置の表示部3に表示されたボタンなどに対応する処理に基づいた指示を表示部3、ナビゲーション部11及び記録媒体記録再生部12へ行う。また、ボタン検出部7が出力した押しボタン5のオン情報に基づいて、押圧された押しボタン5に対応する処理に基づいた指示を表示部3、ナビゲーション部11及び記録媒体記録再生部12へ行う。RAM10aには、タッチパネル検出部6、ボタン検出部7および加速度検出部9から取得した座標情報、オン情報および振動量Gなどが一時的に記憶され、制御部10における処理に用いられる。
【0027】
また、制御部10は、タッチパネル検出部6が出力した座標情報やボタン検出部7が出力した押しボタン5のオン情報及び加速度検出部9から出力した入力手段に外部から加わる振動や衝撃などの検出値である振動量Gに基づいて、後述するタッチパネル4や押しボタン5に対してなされた操作を無効にする処理も行う。
【0028】
ナビゲーション部11は、現在地をGPS(Global Positioning System)などを用いて検出し、その現在地から予め設定された目的地への経路を探索して案内する。
【0029】
記録媒体記録再生部12は、例えばハードディスクドライブや光ディスクドライブなどで構成され、制御部10の指示に従って、ハードディスクや光ディスクなどの記録媒体の記録または再生を行う。
【0030】
上述した構成要素のうち、表示部3、タッチパネル4、押しボタン5、タッチパネル検出部6、ボタン検出部7、加速度センサ8、加速度検出部9、制御部10で、本発明の第1の実施例にかかる入力装置20を構成する。
【0031】
次に、本発明における入力装置20の動作を図3のフローチャートを参照して説明する。図3に示したフローチャートは制御部10で実行される。
【0032】
まず、ステップS11において、タッチパネル検出部6及びボタン検出部7から初期操作状態を取得してステップS12に進む。初期操作状態とは、タッチパネル検出部6から座標情報が出力されているか否か、つまり、タッチパネル4が指などで押圧されているか否かに関する初期の状態、及び、ボタン5a〜5eそれぞれのオン情報が出力されているか否か、つまり、ボタン5a〜5eが押圧されているか否かに関する初期の状態を示している。
【0033】
次に、ステップS12において、加速度検出部9から振動量Gを取得してステップS13に進む。
【0034】
次に、ステップS13において、ステップS11で取得した初期操作状態から操作状態が変化したか否かを判断し、変化した場合(Yesの場合)はステップS14に進み、変化しない場合(Noの場合)はステップS17に進む。つまり、押圧されている状態から押圧されていない状態に変化した場合または押圧されていない状態から押圧されている状態に変化した場合は操作状態が変化したと判断される。
【0035】
次に、ステップS14において、操作状態の変化時点の前後の所定期間の範囲内で振動量Gが予め定めた所定値以上となったか否かを判断し、所定値以上となったことがある場合(Yesの場合)はステップS15に進み、所定値以上となったことがない場合(Noの場合)はステップS16に進む。本ステップでは、操作状態の変化を検出した際に、振動量Gが予め定めた所定値以上であったかを判断しているが、実際には振動発生時と人の操作とは若干のタイムラグがあるため、それを考慮して操作状態の変化時点の前後所定期間の範囲内での振動量Gの評価を行っている。また、この所定値は、例えば、車両が段差を乗り越えた際や、急加速、急減速や、悪路を走行中に発生する振動、衝撃及び揺れなどの大きさに設定されている。
【0036】
次に、ステップS15において、ステップS13で検出した操作状態の変化を無効としてステップS11で取得した初期操作状態を維持する。この操作状態の変化を無効は、例えば、タッチパネル検出部6やボタン検出部7からの信号の変化を無視し、表示部3やナビゲーション部11及び記録媒体記録再生部12への指示に反映させないように処理する。本ステップでは、初期動作状態からの変化時点の前後の所定期間の範囲内で振動量Gが所定値以上であったため、操作に影響するような大きな振動や衝撃などがあったと判断し、行われた操作を使用者の意図しない操作として無効としている。
【0037】
一方、ステップS16においては、ステップS13で検出した操作状態の変化を有効として当該変化した操作状態に対応する処理を行う。つまり、操作状態の変化に応じた指示を表示部3やナビゲーション部11及び記録媒体記録再生部12に行う。本ステップでは、初期動作状態からの変化時点の前後の所定期間の範囲内で振動量Gが所定値未満であったため、操作に影響するような振動や衝撃などはないと判断し、変化した操作状態に対応した処理、つまり通常の押圧操作に対応した処理を行う。
【0038】
また、ステップS17においては、操作状態が変化していないので、初期動作状態に対応する処理を行う。
【0039】
なお、図3に示したフローチャートは一定時間間隔(例えば0.1秒間隔など)で繰り返し実行されるようにすることで、ステップS15で初期操作状態を継続した場合でも、次の繰り返しで振動や衝撃などが収まった場合は、通常の押圧操作に対応した処理(ステップS16やS17)に復帰することができる。
【0040】
本実施例によれば、タッチパネル4や押しボタン5の操作状態が変化した時点の前後の所定期間の範囲内で加速度センサ8が検出した入力装置20に加わる振動量Gが予め定めた所定値以上であった場合は、制御部10が、タッチパネル4や押しボタン5の操作状態の変化を無効にして初期操作状態を維持するように制御するので、押圧操作に影響を受けるような振動や衝撃などが加わった際に、その影響を受けて指が離れてしまったり、誤って押してしまっても、それらの操作を無効することができるために、誤操作による使用者の意図しない動作を防止することができる。
【実施例2】
【0041】
次に、本発明の第2の実施例にかかる入力装置を図4を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施例は、特にタッチパネル4の押圧時において、大きな振動量Gが加わった際にRAM10aに記憶されている座標情報を用いて誤動作防止を行うものである。本実施例における入力装置20の動作を図4のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
まず、ステップS21において、タッチパネル検出部6から押圧されている座標情報を取得してステップS22に進む。本ステップでは、図3のステップS11と基本的に同様であって、タッチパネル4の押圧されている初期の座標情報を取得している。
【0044】
次に、ステップS22において、ステップS21で取得した座標情報をRAM10aに記憶してステップS23に進む。
【0045】
次に、ステップS23において、加速度検出部9から振動量Gを取得してステップS24に進む。
【0046】
次に、ステップS24において、ステップS21で取得した座標情報とは異なる座標情報に変化したか否かを判断し、座標情報が変化している場合(Yesの場合)はステップS25に進み、座標情報も変化していない場合(Noの場合)はステップS28に進む。この座標情報が変化するとは、ステップS21とは異なる位置を押圧していることまたはタッチパネル4から指などが離れていることを意味する。
【0047】
次に、ステップS25において、座標情報の変化時点の前後の所定期間の範囲内で振動量Gが予め定めた所定値以上となったか否かを判断し、所定値以上となったことがある場合(Yesの場合)はステップS26に進み、所定値以上となったことがない場合(Noの場合)はステップS27に進む。本ステップでも、図3のステップS14と同様にタイムラグを考慮している。また、この所定値は、第1の実施例と同様に、例えば、車両が段差を乗り越えた際や、急加速、急減速や、悪路を走行中に発生する振動量に設定されている。
【0048】
次に、ステップS26において、ステップS24で検出した座標情報の変化を無効としてステップS22でRAMに記憶した座標情報を読み出して、その読み出した座標情報に対応する処理を維持する。本ステップでは、座標情報が変化時点の前後の所定期間の範囲内で振動量Gが所定値以上であったため、操作に影響するような大きな振動や衝撃などがあったと判断し、他の位置を押圧したことによる座標情報の変化を使用者の意図しない操作として無効としている。
【0049】
一方、ステップS27においては、ステップS24で検出した座標情報の変化を有効として変化した座標情報に対応する処理を行う。つまり、座標情報の変化に応じた指示を表示部3やナビゲーション部11及び記録媒体記録再生部12に行う。本ステップでは、座標情報が変化時点の前後の所定期間の範囲内で振動量Gが所定値未満であったため、操作に影響するような振動や衝撃などはないと判断し、変化した座標情報に対応した処理、つまり通常の押圧操作に対応した処理を行う。
【0050】
また、ステップS28においては、座標情報が変化していないので、ステップS21で取得した座標情報に対応する処理を行う。
【0051】
本実施例によれば、タッチパネル4の押圧操作されている座標位置を記憶するRAM10aを備え、押圧操作されている座標位置が変化時点の前後の所定期間の範囲内で加速度センサ8が検出したタッチパネル4に加わる振動量Gが予め定めた所定値以上であった場合は、振動を検出する直前にRAM10aに記憶されている座標位置を読み出して、当該読み出した座標位置を押圧操作されているとして制御しているので、タッチパネル4を操作している際に、振動や衝撃などによって指などがずれてタッチパネル4上の隣接するボタン等を誤って操作してしまうといった誤操作による使用者の意図しない動作を防止することができる。
【0052】
なお、上述した2つの実施例では、車載機器としてカーナビゲーション装置1で説明したが、例えばカーオーディオや、カーエアコン、パワーウィンドなど押しボタンやタッチパネルといった押圧されることで操作する入力装置とその入力装置を備える車載機器であれば適用できる。
【0053】
前述した実施例によれば、以下の入力装置20及び入力装置20の制御方法が得られる。
【0054】
(付記1)タッチパネル4及び押しボタン5と、タッチパネル4及び押しボタン5の操作状態に応じて当該タッチパネル4及び押しボタン5に割り当てられた処理を行う制御部10と、を備えた入力装置20において、
入力装置20に加わる振動を検出する加速度センサ8と、
タッチパネル4及び押しボタン5の操作状態の変化を検出する制御部10と、を備え、
制御部10がタッチパネル4及び押しボタン5の操作状態の変化を検出した際に、加速度センサ8が検出した振動が予め定めた所定値G以上であった場合は、制御部10が、制御部10が検出したタッチパネル4及び押しボタン5の操作状態の変化を無効にして振動が検出される直前の操作状態を維持するように制御する
ことを特徴とする入力装置20。
【0055】
(付記2)タッチパネル4及び押しボタン5の操作状態に応じてタッチパネル4及び押しボタン5に割り当てられた処理を行う入力装置20の制御方法において、
入力装置20に加わる振動を検出するステップS12と、
タッチパネル4及び押しボタン5の操作状態の変化を検出するステップS13と、
ステップS13がタッチパネル4及び押しボタン5の操作状態の変化を検出した際に、ステップS12が検出した振動が予め定めた所定値G以上であった場合は、検出したタッチパネル4及び押しボタン5の操作状態の変化を無効にして振動が検出される直前の操作状態を維持するように制御するステップS15と、
を備えることを特徴とする入力装置20の制御方法。
【0056】
この入力装置20及び入力装置20の制御方法によれば、押圧操作に影響を受けるような振動や衝撃が加わった際に、その影響を受けて指が離れてしまったり、誤って押してしまっても、それらの操作を無効することができるために、誤操作による使用者の意図しない動作を防止することができる。
【0057】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 カーナビゲーション装置(車載機器)
4 タッチパネル(入力手段)
5 押しボタン(入力手段)
8 加速度センサ(振動検出手段)
10 制御部(制御手段、変化検出手段)
10a RAM(記憶手段)
20 入力装置
S12 振動量取得(振動検出工程)
S13 操作状態変化(変化検出工程)
S15 操作状態変化無効(制御工程)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作される入力手段と、前記入力手段の操作状態に応じて当該入力手段に割り当てられた処理を行う制御手段と、を備えた入力装置において、
前記入力装置に加わる振動を検出する振動検出手段と、
前記入力手段の操作状態の変化を検出する変化検出手段と、を備え、
前記変化検出手段が前記入力手段の操作状態の変化を検出した際に、前記振動検出手段が検出した前記振動が予め定めた所定値以上であった場合は、前記制御手段が、前記変化検出手段が検出した前記入力手段の操作状態の変化を無効にして前記振動が検出される直前の操作状態を維持するように制御する
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記入力手段が、タッチパネルで構成され、
前記タッチパネルが押圧されている座標位置を記憶する記憶手段を備え、
前記変化検出手段が前記座標情報の変化を検出した際に、前記振動検出手段が前記振動を検出した場合は、前記制御手段が、前記振動を検出する直前に前記記憶手段に記憶された前記座標位置を読み出して、当該読み出した座標位置が押圧されているとして制御することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の入力装置を備えたことを特徴とする車載機器。
【請求項4】
押圧操作される入力手段の操作状態に応じて当該入力手段に割り当てられた処理を行う入力装置の制御方法において、
前記入力装置に加わる振動を検出する振動検出工程と、
前記入力手段の操作状態の変化を検出する変化検出工程と、
前記変化検出工程が前記入力手段の操作状態の変化を検出した際に、前記振動検出工程が検出した前記振動が予め定めた所定値以上であった場合は、検出した前記入力手段の操作状態の変化を無効にして前記振動が検出される直前の操作状態を維持するように制御する制御工程と、
を備えることを特徴とする入力装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−118575(P2012−118575A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264755(P2010−264755)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】