説明

入力装置

【課題】タッチセンサに対するユーザのプッシュ操作及びスライド操作に応じて、ユーザに触感によるフィードバックを呈示することが可能な入力装置を提供する。
【解決手段】制御部は、タッチ対象がタッチ面をスライドしていると、前記タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部の駆動を制御し、荷重検出部により所定の荷重基準を満たしていない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出した際に、前記タッチ対象に対して前記スライドに係る触感と異なるプッシュに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関し、特に、タッチセンサを有する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話のような携帯端末において、ユーザが端末の操作を行う際に使用する入力装置は、各端末の機能や用途に応じて様々なものが開発されており、近年特に、タッチパネルを有した入力装置が増加している。タッチパネルを有する入力装置は、表示部上に表示されたボタンやアイコン等のオブジェクトにユーザが指先などで触れる(タッチする)入力方式により入力を受け付けるため、ユーザは極めて直感的な操作を行うことができる。すなわち、ユーザは、タッチパネルの画面に表示された案内に従って、画面に表示されたオブジェクトに指先などで触れることにより操作を行う。このため、ユーザは、画面に表示された誘導に応じて直感的な操作により非常に容易に端末を動作させることができ、結果的に誤操作を低減させる効果も期待できる。
【0003】
このようなタッチパネルには、抵抗膜方式や静電容量方式等の種々の方式があるが、いずれも、タッチによる入力の際に、押しボタンスイッチのようには変位しない。このため、ユーザは、タッチによる入力の際に押しボタンスイッチのようなフィードバックを得ることができないことから、同じ位置を何度も押圧する等の誤操作による入力ミスが生じ易く、ストレスを与える結果となっていた。
【0004】
このような入力ミスを防止し得るものとして、ユーザのタッチによる入力を検出するとタッチパネルを振動させて、ユーザの指先に発生させるようにしたフィードバック方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1に開示の技術によれば、ユーザはタッチパネルに対するタッチによる入力が検出されたことをタッチパネルの振動により知ることができるので、誤って同じ位置を何度もタッチすることがなくなる。
【0006】
また、特許文献2には、ユーザのタッチパネルに対するなぞり操作に応じて、ユーザに振動を呈示する技術が開示されている。
【0007】
上記特許文献2に開示の技術によれば、ユーザのタッチパネルに対するなぞり操作が受け付けられたことをタッチパネルの振動により知ることができるので、誤って同じ位置を何度もなぞり操作することがなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−288158号公報
【特許文献2】特開2005−62043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の技術においては、ユーザのタッチ操作又はなぞり操作(スライド操作)に対しては、振動によるフィードバックが呈示されるが、ユーザのタッチパネル(タッチセンサ)に対して押圧を加えるプッシュ操作に対してはなんら言及されていない。
【0010】
本発明は、タッチセンサに対するユーザのプッシュ操作及びスライド操作に応じて、ユーザに触感によるフィードバックを呈示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決すべく、第1の発明による入力装置は、タッチ入力を検出するタッチセンサと、前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、前記タッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、前記タッチ面にタッチしているタッチ対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記タッチ対象が前記タッチ面をスライドしていると、前記タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御し、前記荷重検出部により所定の荷重基準を満たしていない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出した際に、前記タッチ対象に対して前記スライドに係る触感と異なる触感であるプッシュに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する。
【0012】
また、第2の発明による入力装置は、前記制御部は、前記タッチ対象が前記タッチ面をスライドしていない状態で、前記タッチ対象に対して前記プッシュに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する。
【0013】
また、第3の発明による入力装置は、前記制御部は、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記所定の荷重基準より低い荷重基準を満たしている状態で、前記タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する。
【0014】
また、第4の発明による入力装置は、前記制御部は、前記タッチ対象に対して前記スライドに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御している際に、前記タッチ対象のスライドが停止した場合、前記スライドが停止した際に前記荷重検出部が検出した押圧荷重を基準として、該基準から所定の押圧荷重が加わったことを前記荷重検出部が検出すると、前記タッチ対象に対して前記プッシュに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する。
【0015】
また、第5の発明による入力装置は、入力用オブジェクトを表示する表示部をさらに備え、前記タッチセンサは、前記表示部に対するタッチ入力を検出し、前記制御部は、前記入力用オブジェクトが表示されていない領域に対するタッチ入力を検出している場合に、前記スライドに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御し、前記入力用オブジェクトに対するタッチ入力を検出している場合に、前記プッシュに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、タッチセンサに対するユーザのプッシュ操作及びスライド操作に応じて、ユーザに触感によるフィードバックを呈示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯電話の機能ブロック図である。
【図2】第1実施の形態のスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】第1実施の形態のプッシュに係る触感の呈示を説明する図である。
【図4】第1実施の形態のスライドに係る触感の呈示を説明する図である。
【図5】第2実施の形態のスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】第2実施の形態のスライドに係る触感の呈示を説明する図である。
【図7】第3実施の形態のスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】第3実施の形態のスライドに係る触感の呈示を説明する図である。
【図9】第4実施の形態のスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理を説明するための図である。
【図10】第5実施の形態のプッシュに係る触感の呈示を説明する図である。
【図11】第5実施の形態のスライドに係る触感の呈示を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態においては、本発明の入力装置を具える携帯端末の一例として、携帯電話を想定して説明する。しかしながら、本発明の入力装置が適用できる携帯端末は携帯電話に限定されるものではなく、例えばPDAやデジタルカメラなどの入力装置を備える種々の携帯電子機器に適用できる。また、本発明は、携帯端末に限定されるものでもなく、銀行のATMや駅の券売機など、入力装置を備える機器にも適用できる。
【0019】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯電話10の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図1に示すように、携帯電話10は、タッチセンサ11、荷重検出部12、触感呈示部13、表示部14、記憶部15、および、全体の動作を制御する制御部16を有する。
【0020】
タッチセンサ11は、そのタッチ面に対する指やスタイラスペン等のタッチ対象によるタッチ入力を検出するもので、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等のタッチ位置の二次元の位置情報を出力する公知のもので構成して、表示部14上に配置する。荷重検出部12は、タッチセンサ11のタッチ面に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いて構成する。触感呈示部13は、タッチセンサ11を振動させるもので、例えば、圧電素子を用いて構成する。
【0021】
表示部14は、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のような入力ボタンやアイコン等の入力用オブジェクトを表示するもので、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成する。この表示部14に対するタッチ対象によるタッチ入力が、入力用オブジェクトに対するタッチ入力であるか否かは、タッチセンサ11から出力される位置情報に基づいて制御部16により判断される。タッチ入力が入力用オブジェクトに対するものであり、その他所定の条件を満たした場合(例えば、荷重検出部12が検出する押圧荷重が所定の荷重基準を満たした場合)、後述する制御部16は、タッチ入力が行われている入力用オブジェクトに対応する処理を実行する。記憶部15は、各種アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。制御部16は、例えばCPU等からなり、タッチセンサ11からの位置情報、荷重検出部12からの押圧荷重情報等に基づいて各部の動作を制御する。
【0022】
なお、携帯電話10はさらに、音声通話および電子メールのデータなど各種情報をインターネットや無線通信等を介して基地局と送受信するアンテナおよび無線通信部など、通常の携帯電話としての機能を提供するために必要な各種機能部も備えている。しかしながら、これらは全て公知技術のものと特に変わるところはないため図示せず、説明を省略する。
【0023】
図2は、第1実施の形態のスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理を説明するためのフローチャートである。本処理は、タッチセンサ11が、タッチ面に対する指やスタイラスペン等のタッチ対象によるタッチ入力を検出した時点から開始する。
【0024】
制御部16は、タッチセンサ11がタッチ入力を検出した後、タッチ対象がタッチ面をスライドしているか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101において、制御部16は、タッチセンサ11から出力される位置情報が一定の距離以上連続的に変化し続けている場合、タッチ対象がタッチ面をスライドしていると判定する。
【0025】
ステップS101にて、タッチ対象がタッチ面をスライドしていると判定された場合、制御部16は、タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する(ステップS102)。ステップS102の後、制御部16は、荷重検出部12によりプッシュ触感呈示に係る荷重基準(所定の荷重基準)を満たしていない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出したか否かを判定する(以下図面においては、「プッシュ触感呈示に係る荷重基準未満→以上?」と記載する)(ステップS103)。
【0026】
ステップS103にて、制御部16は、荷重検出部12によりプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たしていない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出した場合、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する(ステップS104)。ステップS104の後、または、ステップS103にて、荷重検出部12によりプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たしていない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出しなかった場合、制御部16は、タッチ対象がタッチ面をスライドしているか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105にて、タッチ対象がスライドしていると判定された場合、ステップS102に移行し、タッチ対象がスライドしていないと判定された場合、処理は終了する。
【0027】
次に、図3は、第1実施の形態のプッシュに係る触感の呈示を説明する図である。
【0028】
図3(a)には、表示部14に表示されている入力用オブジェクトである「1」から「9」までのボタンおよびタッチ対象である指を記載している。なお表示部14上には図示しないタッチセンサ11が配置されており、タッチセンサ11は、表示部14に対するタッチ入力を検出し、タッチ入力された位置情報を制御部16に出力する。図3(a)は、タッチ対象により「1」ボタンである入力用オブジェクトに対するタッチ入力がされている。
【0029】
図3(b)に記載のグラフにおいて、横軸は時間、縦軸は荷重検出部12が検出するタッチ面に対する押圧荷重を示している。第1実施の形態においては、2Nをプッシュ触感呈示に係る荷重基準と設定し、荷重検出部12が2Nを満たさない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出した際に、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。
【0030】
ここで、プッシュに係る触感として、スライドに係る触感と異なる触感を呈示することにより、ユーザはプッシュ操作が受け付けられたことを明確に意識することができる。プッシュに係る触感とスライドに係る触感とを、異なる触感とするために、たとえば、触感呈示部13をそれぞれ異なる周波数、周期(時間)、振幅又は波形で駆動する。プッシュに係る触感として、荷重検出部12が1N〜2Nの押圧荷重を検出した際に、触感呈示部13を、170Hz程度のSin波1周期分、振幅15μm以上で駆動するように制御することが好ましい。このように制御することにより、タッチ対象に対して押しボタンスイッチをプッシュしたような触感を呈示することができる。
【0031】
次に、図4は、第1実施の形態のスライドに係る触感の呈示を説明する図である。
【0032】
図4(a)は、図3(a)と同様に、表示部14に表示されている入力用オブジェクトである「1」から「9」までのボタンおよびタッチ対象である指を記載している。図4(a)においては、タッチ対象は「1」のボタンを始点として右方向にスライドしている。
【0033】
次に、図4(b)は、図3(b)と同様に時間と、荷重検出部12が検出するタッチ面に対する押圧荷重の関係を示した図である。図4(b)において、タッチ対象は、時間t1からt2までスライドしていることを、t1からt2まで太線で記載していることにより示している。制御部16は、タッチ対象がスライドしていると、タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。
【0034】
このように、第1実施の形態では、制御部16が、タッチ対象がタッチ面をスライドしていると、タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御し、荷重検出部12によりプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出すると、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御するので、タッチセンサに対するユーザのプッシュ操作及びスライド操作に応じて、ユーザに触感によるフィードバックを呈示することができる。
【0035】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態によるスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理について説明する。
【0036】
第2実施の形態は、上述した第1実施の形態において、タッチ対象に対するスライドに係る触感とプッシュに係る触感の呈示条件をさらに明確に分ける。
【0037】
図5は、第2実施の形態のスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理を説明するためのフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、図2の第1実施の形態に係るフローチャートと同様の処理をするステップについては同一のステップ番号を割り当てるとともに、説明を割愛する。
【0038】
第2実施の形態のフローチャートは、第1実施の形態のフローチャートで行う各ステップの処理は同一であるが、ステップS102の後にステップS101に移行する点で異なる。第2実施の形態においては、ステップS101にて、タッチ対象がタッチ面をスライドしていない場合に、ステップS103に移行する。
【0039】
次に、図6は、第2実施の形態のスライドに係る触感の呈示を説明する図である。なお、図6(a)は、図4(a)と同様の図であるため説明を割愛する。
【0040】
図6(b)は、時間と、荷重検出部12が検出するタッチ面に対する押圧荷重の関係を示した図である。図4(b)と同様の点については説明を割愛する。図6(b)において、タッチ対象は時間t1からt3までスライドしており、タッチ対象のスライドに応じて、制御部16は、時間t1からt3まで、タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。ここで、制御部16は、時間t2において、荷重検出部12によりプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出しているが、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示することなく、スライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。
【0041】
このように、第2実施の形態では、タッチ対象がタッチ面をスライドしていない状態で、荷重検出部12によりプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出すると、制御部16は、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御し、タッチ対象がタッチ面をスライドしている状態で、荷重検出部12によりプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出すると、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御しない。したがって、ユーザがタッチセンサ11に対してスライド操作を行っている場合に、ユーザにスライド触感が呈示され、プッシュ触感は呈示されることはないので、ユーザのスライド操作中に違和感を生じさせることがない。
【0042】
(第3実施の形態)
次に、本発明の第3実施の形態によるスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理について説明する。
【0043】
第3実施の形態は、上述した第2実施の形態において、プッシュ触感呈示に係る荷重基準より低いスライド触感呈示に係る荷重基準(所定の荷重基準より低い荷重基準)を設定する。
【0044】
図7は、第3実施の形態のスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理を説明するためのフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、図5の第2実施の形態に係るフローチャートと同様の処理をするステップについては同一のステップ番号を割り当てるとともに、説明を割愛する。
【0045】
第3実施の形態のフローチャートは、第2実施の形態のフローチャートにおけるステップS101とステップS102の間に新たにステップS301を設ける。ステップS301において、制御部16は、荷重検出部12が検出する押圧荷重がスライド触感呈示に係る荷重基準を満たしているか否かを判断する(以下図面においては、「スライド触感呈示に係る荷重基準以上?」と記載する)。ステップS301にて、制御部16が、荷重検出部12が検出する押圧荷重がスライド触感呈示に係る荷重基準を満たしていると判定すると、ステップS102に移行する。一方、制御部16が、荷重検出部12が検出する押圧荷重がスライド触感呈示に係る荷重基準を満たしていないと判定すると、ステップS101に戻る。
【0046】
次に、図8は、第3実施の形態のスライドに係る触感の呈示を説明する図である。
【0047】
図8(a)は、図6(a)と同様の図であるため説明を割愛する。
【0048】
次に、図8(b)は、時間と、荷重検出部12が検出するタッチ面に対する押圧荷重の関係を示した図である。図6(b)と同様の点については説明を割愛する。図8(b)においては、図6(b)と対比して、新たにスライド触感呈示に係る荷重基準(1N)が設定されている。
【0049】
図8(b)において、タッチ対象が、時間t1からt3までスライドしているが、時間t1からt2までの間は、荷重検出部13により検出される押圧荷重がスライド触感呈示に係る荷重基準を満たしていないため、制御部16は、時間t1からt2までの間は、タッチ対象に対してスライド触感を呈示するように触感呈示部の駆動を制御しない。一方、時間t2からt3までの間は、タッチ対象がタッチ面をスライドしており、かつ、荷重検出部12により検出される押圧荷重がスライド触感呈示に係る荷重基準を満たしているため、制御部16は、タッチ対象に対してスライド触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。
【0050】
このように、第3実施の形態では、タッチ対象がタッチ面をスライドしていたとしても、荷重検出部12が検出する押圧荷重がスライド触感呈示に係る荷重基準を満たしていなければ、制御部16は、タッチ対象にスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御しない。したがって、ユーザの指が誤ってタッチセンサ11に触れてしまい、指がタッチ面をスライドしたとしても、荷重検出部12がスライド触感呈示に係る荷重基準を満たす押圧荷重を検出しなければ、タッチ対象にスライド触感が呈示されないので、ユーザの意思しないスライド操作に対してスライド触感が呈示されるといった処理を防ぐことができる。
【0051】
(第4実施の形態)
次に、本発明の第4実施の形態によるスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理について説明する。
【0052】
第4実施の形態は、上述した第3実施の形態におけるプッシュ触感呈示に係る荷重基準を適応的に変化させる。第3実施の形態において、プッシュ触感呈示に係る荷重基準は予め定められた2Nであったが、第4実施の形態においては、タッチ対象のスライドが検出され、そのタッチ対象のスライドが終了した際に荷重検出部12が検出している押圧荷重を基準として、プッシュ触感呈示に係る荷重基準が設定される。
【0053】
図9は、第4実施の形態のスライドに係る触感およびプッシュに係る触感の呈示処理の説明するための図である。
【0054】
図9は、時間と、荷重検出部が検出するタッチ面に対する押圧荷重の関係を示した図である。なお、図8(b)と同様の点については説明を割愛する。第4実施の形態においては、1Nにスライド触感呈示に係る荷重基準が、2Nにプッシュ触感呈示に係る荷重基準が予め設定されている。
【0055】
図9において、タッチ対象は時間t1からt3までスライドしており、制御部16は、タッチ対象がタッチ面をスライドしていると、タッチ対象に対してスライド触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。ここで、制御部16は、時間t2において、荷重検出部12によりプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出しているが、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示することなく、スライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。また、制御部16は、タッチ対象のスライドが終了した時間t3に、荷重検出部12が検出した押圧荷重を基に新たなプッシュ触感呈示に係る荷重基準を設定する。
【0056】
ここで、図9においては、時間t3に荷重検出部12が検出した2.5Nに、0.5Nを加えた3Nを新たなプッシュ触感呈示に係る荷重基準とする。新たなプッシュ触感呈示に係る荷重基準を設定した後、荷重検出部12が検出する押圧荷重が新たに設定したプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化した際(時間t4)に、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。
【0057】
このように、第4実施の形態では、タッチ対象のスライドが終了した際に荷重検出部12が検出した押圧荷重を基に、新たなプッシュ触感呈示に係る荷重基準が設定されるため、ユーザはタッチセンサ11に対してスライド操作を行った後、タッチセンサ11から指を離すことなく、続けてプッシュ操作を行った場合、確実にプッシュ操作に係る触感が呈示される。したがって、ユーザのスライド操作およびプッシュ操作に対して確実に触感によるフィードバックを呈示することができる。
【0058】
(第5実施の形態)
次に、本発明の第5実施の形態によるスライド触感およびプッシュ触感の呈示処理について説明する。
【0059】
第5実施の形態は、上述した第1実施の形態において、タッチ対象によるタッチ入力が表示部に表示されている入力用オブジェクトに対して行われているか否かによって、プッシュに係る触感を呈示するか否か、また、スライドに係る触感を呈示するか否かを判定する。
【0060】
図10は、第5実施の形態のプッシュに係る触感の呈示を説明する図である。
【0061】
図10は、表示部に表示されている入力用オブジェクトである「1」から「9」までのボタンおよびタッチ対象である指を記載している。第5実施の形態においては、図10において斜線で示した入力用オブジェクトに対するタッチ入力が行われ、かつ、荷重検出部12が検出する押圧荷重がプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化した際に、制御部16は、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。一方、図10において斜線で示した入力用オブジェクトが表示されていない領域に対するタッチ入力が行われている場合は、荷重検出部12が検出する押圧荷重がプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化したとしても、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御しない。
【0062】
次に、図11は、第5実施の形態のスライドに係る触感の呈示を説明する図である。
【0063】
図11は、表示部14に表示されている入力用オブジェクトである「1」から「9」までのボタンおよびタッチ対象である指を記載しており、入力用オブジェクトが表示されていない領域を斜線で示している。第5実施の形態においては、図11において斜線で示した入力用オブジェクトが表示されていない領域に対するタッチ入力が行われ、かつ、タッチ対象がタッチ面をスライドしていると、制御部16は、タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御する。一方、入力用オブジェクトが表示されている領域に対するタッチ入力が行われている場合は、タッチ対象がタッチ面をスライドしていたとしても、タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御しない。
【0064】
このように、第5実施の形態では、表示部14に表示された入力用オブジェクトに対するタッチ入力か否かを判定して、その判定に基づき、スライドに係る触感およびプッシュに係る触感を呈示する。したがって、ユーザに入力用オブジェクトに対応した触感が呈示されるので、ユーザの意図した入力用オブジェクトまたは領域にタッチ入力が行われて、ユーザの意図したスライド操作またはプッシュ操作が受け付けられたか否かを触感により判別することができる。
【0065】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲内に含まれることに留意されたい。
【0066】
第3,4実施の形態において、荷重検出部12が検出する押圧荷重がスライド触感呈示に係る荷重基準を満たしている状態で、タッチ対象がタッチ面をスライドすると、制御部16は、タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御するが、タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するに触感呈示部13の駆動を制御したのち、荷重検出部12が検出する押圧荷重がスライド触感呈示に係る荷重基準を満さなくなったとしても、タッチ対象がタッチ面をスライドし続けている間は、制御部16が、タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御してもよい。
【0067】
また、本実施の形態において、触感呈示部と荷重検出部を異なる構成として説明しているが、これらを同一の構成で実現してもよい。同一の構成で実現するために、例えば、圧電素子が用いられるとよい。また、本実施の形態において、制御部16は、タッチセンサ11から出力される位置情報が一定の距離以上連続的に変化し続けている場合、タッチ対象がタッチ面をスライドしていると判定するが、タッチ対象がタッチ面をスライドしているか否かの判定方法は、上記の判定に限定されることはなく、公知のスライド検出方法を用いても良い。
【0068】
また、本実施の形態において、荷重検出部12がプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出すると、タッチ対象に対してプッシュに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御するが、荷重検出部12がプッシュ触感呈示に係る荷重基準を満たさない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出した際に、入力用オブジェクトに対するタッチ入力が行われている場合、制御部16は、プッシュに係る触感を呈示するとともに、入力用オブジェクトに対応する処理を実行するように制御してもよい。
【0069】
また、第5実施の形態において、制御部16は、入力用オブジェクトが表示されていない領域に対してタッチ入力されており、かつ、タッチ対象がタッチ面をスライドすると、タッチ対象にスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御するが、制御部16は、入力用オブジェクトが表示されている領域と、表示されていない領域で、異なるスライドに係る触感を呈示するように触感呈示部13の駆動を制御してもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 携帯電話
11 タッチセンサ
12 荷重検出部
13 触感呈示部
14 表示部
15 記憶部
16 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面にタッチしているタッチ対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記タッチ対象が前記タッチ面をスライドしていると、前記タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御し、
前記荷重検出部により所定の荷重基準を満たしていない状態から満たす状態に変化する押圧荷重を検出した際に、前記タッチ対象に対して前記スライドに係る触感と異なるプッシュに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記タッチ対象が前記タッチ面をスライドしていない状態で、前記タッチ対象に対して前記プッシュに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記所定の荷重基準より低い荷重基準を満たしている状態で、前記タッチ対象に対してスライドに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記タッチ対象に対して前記スライドに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御している際に、前記タッチ対象のスライドが停止した場合、前記スライドが停止した際に前記荷重検出部が検出した押圧荷重を基準として、該基準から所定の押圧荷重が加わったことを前記荷重検出部が検出すると、前記タッチ対象に対して前記プッシュに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する請求項1乃至3に記載の入力装置。
【請求項5】
入力用オブジェクトを表示する表示部をさらに備え、
前記タッチセンサは、前記表示部に対するタッチ入力を検出し、
前記制御部は、前記入力用オブジェクトが表示されていない領域に対するタッチ入力を検出している場合に、前記スライドに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御し、
前記入力用オブジェクトに対するタッチ入力を検出している場合に、前記プッシュに係る触感を呈示するように前記触感呈示部の駆動を制御する請求項1乃至4に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−48606(P2011−48606A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196279(P2009−196279)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】