説明

入退室管理システム

【課題】 認証装置の変更、追加が容易な入退室管理システムを得ること。
【解決手段】 個人認証データを登録して管理する複数の異なる生体情報登録管理部70,カード情報登録管理部90と、登録管理部70,90に個人認証データを登録する際に、共通IDの重複が生じないように共通IDの割当管理をすると共に、該共通IDを登録する個人ID管理部100と、認証装置30,40から収集した個別IDを含む認証履歴を登録する履歴統合管理部80と、個人ID管理部100に共通IDを登録する際には、該共通IDが登録されているか否かを判断し、未登録であれば、個人ID管理部100から新規な前記共通IDを発行し、共通IDの書式が登録管理部70,90の個別IDの書式と異なるか否かを判断し、異なれば、書式に変換した個別IDとし、一致しておれば、共通IDとし、該個別ID又は該共通IDを登録管理部70,90に登録するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の第1の入退室管理システムは、安全性を高めるためにアンチパスバックチェック機能を有しているものがある。アンチパスバックチェック機能とは、同じ人がその部屋に入室又は退室することを禁止する機能をいい、かかる機能を実現するには下記特許文献1に示すように、部屋の入口側と出口側に設けられたカード認証装置で、IDカードの照合結果がOK時には、扉の電気錠を解錠して入退室が可能になされている。
上記第1の入退室管理システムによれば、アンチパスバックチェック機能も備え、IDカードを所有していないと、入退室できないので、安全管理上好ましい。
【0003】
上記第1の入退室管理システムは、認証装置がカードリーダのみであるが、多数の新規な認証装置が開発され、指紋などの生体を認証する生体認証装置も用いられて図5に示す第2の入退室管理システムが知られている。
図5において、上記第2の入退室管理システムは、各部屋のセキュリティの重要度に応じて第1扉10,第2扉20にそれぞれ生体認証装置30、カード認証装置40が設けられている。生体認証装置30、カード認証装置40がそれぞれ第1,第2コントローラ50,60を介して全個人認証データを集中管理する個人認証データ管理部1000に種々のデータを送受し、第1,第2コントローラ50,60がそれぞれ第1,第2扉10,20の第1,第2電気錠10a,20aを介して開閉可能にするように形成されている。なお、個人認証データには、社員番号などの個人ID(識別用番号)が割り当てられる。
【0004】
上記第2の入退室管理システムの動作について説明する。利用者は、第1,第2扉10,20ごとに定められた認証装置の種類に応じて予め個人認証用データを個人認証データ管理部1000に登録する。個人認証データ管理部1000に登録された個人認証用データは、第1,第2コントローラ50,60に送信される。第1,第2コントローラ50,60は、コントローラ内のデータと照合し、第1,第2扉10,20に対する電気錠の解除・施錠を制御する。この際に行われる認証の結果は、個人認証データ管理部1000に認証履歴データとして送信される。
第2の入退室管理システムによれば、システム内の個人認証データと認証履歴の集中管理が可能である。
【特許文献1】特公平8−31145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、入退室管理システムが施工された後、部屋が用途変更になり高いセキュリティが要求されるようになると、認証装置をカード認証装置40から生体認証装置30に変更しなければならなくなる。認証装置が異なると、個人認証用データの形式が異なってくる。このため、個人認証データ管理部1000のデータ管理手段が変更になり煩雑である。したがって、認証装置の変更、追加がやりにくいという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解消するためになされたもので、複数の異なる認証装置を有し、認証装置からの個人認証データ、認証履歴データを管理すると共に、認証装置の変更、追加が容易な入退室管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る入退室管理システムは、カードリーダ、指紋、静脈などで個人認証する認証装置から個別IDに基づいて、電気錠を解除・施錠することにより扉を開閉可能とするコントローラと、前記認証装置からの個別IDを含む個人認証データを登録して管理する複数の異なる認証登録管理部と、該認証登録管理部に前記個人認証データを登録する際に、共通IDの重複が生じないように前記共通IDの割当管理をすると共に、該共通IDを登録する個人ID管理部と、前記認証装置から収集した個別IDを含む認証履歴を登録する履歴統合管理部と、前記個人ID管理部に前記共通IDを登録する際には、該共通IDが登録されているか否かを判断し、未登録であれば、前記個人ID管理部から新規な前記共通IDを発行し、前記共通IDの書式が前記登録管理部の前記個別IDの書式と異なるか否かを判断し、異なれば、前記書式に変換した個別IDとし、一致しておれば、前記共通IDとし、該個別ID又は該共通IDを前記登録管理部に登録する登録手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
第2の発明に係る入退室管理システムにおける個人ID管理部は、共通IDを個別IDの書式にした個別IDをコントローラの記憶部に記憶する、ことを特徴とするものである。
【0009】
第3の発明に係る入退室管理システムにおける履歴統合管理部は、コントローラの記憶部に記憶された個別IDを含む認証履歴を受信し、受信した前記個別IDを前記共通IDに変換し、該共通IDが個人ID登録部に登録されているか否かを判断し、登録されておれば、正常データとして通行者履歴を記憶し、登録されてなければ、異常データとして通行者履歴を記憶する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、複数の異なる認証装置を有し、登録手段は個人ID管理部に共通IDを登録する際には、共通IDの書式が登録管理部の個別IDの書式と異なるか否かを判断し、異なれば、前記書式に変換した個別IDとし、一致しておれば、共通IDとし、該個別ID又は該共通IDを登録管理部に登録したので、認証装置からの認証データを、入退室管理システムにおいて共通なIDを用いて管理する。これにより、認証装置の変更、追加を容易にすることができるという効果がある。
【0011】
第2の発明によれば、個人ID管理部は、共通IDを個別IDの書式にした個別IDをコントローラの記憶部に記憶した。これにより、コントローラは、認証装置からの個別IDを含む認証データの照合を速やかにできるという効果がある。
【0012】
第3の発明によれば、履歴統合管理部は、コントローラの記憶部に記憶された個別IDを含む認証履歴を受信し、受信した個別IDを共通IDに変換し、該共通IDが個人ID登録部に登録されているか否かを判断し、登録されておれば、正常データとして通行者履歴を記憶し、登録されてなければ、異常データとして通行者履歴を記憶する。これにより、複数の異なる認証装置からの認証履歴を、入退室管理システムにおいて一元的に管理できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を図1によって説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す入退室管理システムの全体ブロック図である。図1中、図5と同一符号は同一部分を示し、適宜説明を省略する。
図1において、入退室管理システムには、各部屋のセキュリティの重要度に応じて第1扉10,第2扉20にそれぞれ生体認証装置30、カード認証装置40が設けられている。生体認証装置30が第1コントローラ50を介して第1個人認証データを記憶する認証登録管理部としての生体情報登録管理部70に接続されている。カード認証装置40が第2コントローラ60を介して第2個人認証データを記憶する認証登録管理部としてのカード情報登録管理部90に接続されている。第1,第2コントローラ50,60が第1,第2認証履歴データを記憶する認証履歴統合管理部80に接続されている。生体情報登録管理部70,認証履歴統合管理部80,カード情報登録管理部90が該登録管理部で登録する共通IDの重複が生じないように共通IDの割当管理をする個人ID管理部100に接続されている。
生体認証装置30は、指紋などの認証により個別IDを発行し、カード認証装置40はカードにより個別IDを発行する。そして、個別IDを本システムで共通に取扱いのできる共通IDとの関係は図2の変換表に示している。
【0014】
第1コントローラ50には、第1電気錠10aを解除・施錠する第1駆動部52と、個別ID及び第1認証履歴データなどを記憶する第1記憶部54と、第1記憶部54に記憶されている個別IDと生体認証装置30からの個別IDが一致しているか否かを判断し、一致しておれば、第1電気錠10aを解除し、不一致であれば、第1電気錠10aを施錠する第1判断部56とを有している。
第2コントローラ60には、第2電気錠203aを解除・施錠する第1駆動部62と、個別ID及び第2認証履歴データなどを記憶する第2記憶部64と、第2記憶部64に記憶されている個別IDとカード認証装置40からの個別IDが一致しているか否かを判断し、一致しておれば、第2電気錠20aを解除し、不一致であれば、第2電気錠20aを施錠する第2判断部66とを有している。
なお、個人認証データには、社員番号などの個人ID(識別用番号)が割り当てられる。
【0015】
上記のように構成された入退室管理システムの動作を図1から図3を参照して説明する。図3は図1の入退室管理システムにおいて生体情報を登録する手順を示すフローチャートである。
<生体情報を生体情報登録管理部70に登録(記憶)する手順>
まず、生体情報登録管理部70は、新規にIDを含む個人データを登録する時に、個人ID管理部100に登録対象となる共通IDを含むデータが登録されているか検索し(ステップS101)、共通IDが未登録か否かを判断し(ステップS103)、未登録であれば、個人ID管理部100は、未使用の共通IDを一つ割り当てる(ステップS105)。
【0016】
一方、ステップS103において、共通IDが登録されておれば、該登録された共通IDを取得する(ステップS107)。個人ID管理部100は、共通IDの書式と個別IDの書式が異なるか否かを判断し(ステップS109)、書式が一致しなければ、図2に示す変換規則により7桁の共通IDを個別IDに変換する(ステップS111)。ここで、カード認証装置40を用いた場合は、個別IDと共通IDとが同一のため上記変換規則は不要となる。
生体情報登録管理部70は、生体情報を個別IDと共に、登録し(ステップS113)、生体情報及び個別IDを第1コントローラ50に送信して、第1コントローラ50の第1記憶部54に記憶する(ステップS115)。
【0017】
<認証履歴統合管理部80が履歴を収集する手順>薦める
上記手順を図1、図2、図4を参照して説明する。図4は入退室管理システムにおいて認証履歴統合管理部の認証履歴データの登録手順を示すフローチャートである。
認証履歴統合管理部80は、第1コントローラ50から個別IDを含む認証日時、認証結果、第1電気錠10aの解除・施錠時刻などの認証履歴データを受信し(ステップS201)、個別IDを図2に示すように生体認証装置30の種類毎に定められた規則により共通IDに変換し(ステップS203)、該共通IDが認証履歴統合管理部80に登録されているか検索する(ステップS205)。
【0018】
認証履歴統合管理部80は、登録されているか共通IDか判断し(ステップS207)、登録されておれば、正常データとして通行者履歴を記憶する(ステップS209)。一方、未登録であれば、異常データとして通行者履歴を記憶する(ステップS211)。
認証履歴統合管理部80は、次のデータが存在しないか判断し(ステップS213)、存在すると、上記ステップS201〜S213を実行し、存在しなければ、終了する。
【0019】
上記実施形態の入退室管理システムによれば、カードリーダ、指紋、静脈などで個人認証する生体認証装置30,カード認証装置40から個別IDに基づいて、第1,第2電気錠10a,20aを解除・施錠することにより扉を開閉可能とする第1,第2コントローラ50,60と、認証装置30,40からの個別IDを含む個人認証データを登録して管理する複数の異なる生体情報登録管理部70,カード情報登録管理部90と、登録管理部70,90に個人認証データを登録する際に、共通IDの重複が生じないように共通IDの割当管理をすると共に、該共通IDを登録する個人ID管理部100と、認証装置30,40から収集した個別IDを含む認証履歴を登録する履歴統合管理部80と、個人ID管理部100に共通IDを登録する際には、該共通IDが登録されているか否かを判断し、未登録であれば、個人ID管理部100から新規な前記共通IDを発行し、共通IDの書式が登録管理部70,90の個別IDの書式と異なるか否かを判断し、異なれば、書式に変換した個別IDとし、一致しておれば、前記共通IDとし、該個別ID又は該共通IDを登録管理部70,90に登録する登録手段とを備えたものである。
したがって、認証装置30,40からの認証データを、入退室管理システムにおいて共通なIDを用いて管理する。これにより、認証装置30,40の変更、追加を容易にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、入退室管理システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態を示す入退室管理システムの全体ブロック図である。
【図2】図1の入退室管理システムにおいて生体認証装置により認証された個別IDを共通IDに変換する変換図である。
【図3】図1の入退室管理システムにおいて生体情報を登録する手順を示すフローチャートである。
【図4】入退室管理システムにおいて認証履歴統合管理部の認証履歴データの登録手順を示すフローチャートである。
【図5】従来の入退室管理システムの全体ブロック図である。
【符号の説明】
【0022】
10 第1扉、20 第2扉、30 生体認証装置、40 カード認証装置、50 第1コントローラ、60 第2コントローラ、70 生体情報登録管理部、80認証履歴統合管理部、90 カード情報登録管理部、100 個人ID管理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードリーダ、指紋、静脈などで個人認証する認証装置から個別IDに基づいて、電気錠を解除・施錠することにより扉を開閉可能とするコントローラと、
前記認証装置からの個別IDを含む個人認証データを登録して管理する複数の異なる認証登録管理部と、
該認証登録管理部に前記個人認証データを登録する際に、共通IDの重複が生じないように前記共通IDの割当管理をすると共に、該共通IDを登録する個人ID管理部と、
前記認証装置から収集した個別IDを含む認証履歴を登録する履歴統合管理部と、
前記個人ID管理部に前記共通IDを登録する際には、該共通IDが登録されているか否かを判断し、未登録であれば、前記個人ID管理部から新規な前記共通IDを発行し、
前記共通IDの書式が前記登録管理部の前記個別IDの書式と異なるか否かを判断し、異なれば、前記書式に変換した個別IDとし、一致しておれば、前記共通IDとし、
該個別ID又は該共通IDを前記登録管理部に登録する登録手段と、
を備えたことを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
前記個人ID管理部は、前記共通IDを個別IDの書式にした前記個別IDを前記コントローラの記憶部に記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記履歴統合管理部は、前記コントローラの記憶部に記憶された前記個別IDを含む認証履歴を受信し、受信した前記個別IDを前記共通IDに変換し、該共通IDが前記個人ID登録部に登録されているか否かを判断し、
登録されておれば、正常データとして通行者履歴を記憶し、
登録されてなければ、異常データとして通行者履歴を記憶する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の入退室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−146599(P2007−146599A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345840(P2005−345840)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】