説明

共反応性ラテックスに基づく単一成分系、その製造法およびホルマリンを含まないコーティング分野における利用

本発明は、室温下に架橋可能かつ熱処理により後架橋可能なホルマリンを含まないコーティングを生成し得る共反応性ラテックスに基づく単一成分系に関し、この系は、それぞれ、水性媒体中で、それぞれAおよびBモノマー:(a)式(A)の官能基を有し、モノマーAの組成物の構成成分である少なくとも1種のフリーラジカル重合性エチレン不飽和モノマー、および(b)モノマー(a)と同一または異なるラジカル(R)を有し、官能基が、アセタール、メルカプタール、メルカプト−ル、ジオキソランおよびジチオランから選択され、モノマーB組成物の構成成分である少なくとも1種のフリーラジカル重合性エチレン不飽和モノマーの組成物を乳化重合して得た2種の粒子分散物(A)および(B)の混合物からなる。本発明はさらにこの系の製造法およびコーティング分野における利用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵中安定であり、ホルマリンを含まない(formol−free)コーティングを生成する、周囲温度で架橋され、かつ熱処理により後架橋され得る、共反応性ラテックス混合物に基づく単一成分系に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング産業(塗料、接着剤、紙、皮革、繊維、インク)は、場合によって、得られるコーティングの特性、特に、機械的性質、耐水性および耐溶剤性の向上、屋外用塗料の場合における汚れの可能性を低下させる表面粘着性の低下、または硬度の向上を目的とする後架橋を必要とする被膜形成剤中の結合剤としてラテックスを用いている。
【0003】
この後架橋工程は、用途やコーティング実施条件に適合させなければならず、したがって、塗装現場では、周囲温度に近い温度、またはそれ以下の温度で作業を実施する必要があるが、繊維産業では、これまでのところ、130℃を超える温度下での熱架橋法を用いている。
【0004】
いずれにせよ、どのような用途であっても、目標は、可能な限り低い温度で生成し得る最も反応性が高くかつ単一成分である、すなわち、すぐ使用でき、かつ貯蔵中安定である系を得ることであるが、これら2つの要件は対立することが多い。
【0005】
さらに、別の目標は、人と環境との保護に関する制約により、例えば、(N−メチロールアクリルアミドに基づく繊維産業用結合剤中に極めて多い)ホルマリンなどの揮発性有機化合物またはラテックスの一時的な可塑化(コポリマーのガラス転移温度を低下させることなく、したがって被膜の機械的性質を低下させることなく被膜形成温度を低下させること)のための溶剤の放散を減少させることにある。
【0006】
例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3は、ホルマリンを含まない被膜を生成するラテックス合成におけるウレイド官能基を有するモノマーの利用を記載している。このモノマーは、マスクまたは非マスクポリアルデヒドを後添加することにより周囲温度で架橋し得る。例えば、(メト)アクロレインなどの共重合可能なアルデヒド、または、例えば、アクリル酸ジエトキシプロピル、メタクリロイルオキソプロピル−1,3−ジオキソラン、N−(1,1−ジメトキシ−ブト−4−イル)メタクリルアミドアクリルアミド−ブチルアルデヒドジエチルアセタールなどのマスクされたアルデヒドの使用の可能性も言及されており、これらのモノマーはラテックスの合成中にウレイドモノマーと結合する。
【0007】
これらの系の主な不都合は貯蔵安定性に欠けることである。ラテックスにおいて、粒子中に拡散し得る小さな反応性分子が存在するか、同一ラテックス中に2種の共反応性官能基が共存すると、実際に、前架橋現象を誘発しかねず、それによって、後架橋が乾燥工程に限定され、場合によっては、融合(coalescence)が妨げられることさえある。
【0008】
例えば、特許文献4および5により、貯蔵中安定であり、かつ周囲温度で架橋し得る被膜を生成し、この架橋が高温下の熱処理により活性化されるという、上記目標のすべてを達成し得るラテックス混合物に基づく単一成分系が公知となっている。粒子に拡散し得る小型反応性分子が存在しないために、確実に貯蔵安定性が向上し、乾燥工程まで、粒子間
の接触、したがって共反応性官能基間の反応を回避するラテックス安定化系が得られる。さらに、2種の官能化ラテックスを別々に合成することにより、各反応性基をより良好に保存することができ、それによって、被膜の融合中の後架橋効率が高くなる。
【0009】
特許文献5において、単一成分系は、一方がウレイド型基を有するモノマーであり、他方がN−アルキロール型基を有するモノマーである官能化ラテックスを混合することにより得られる。このようにして得られたコーティングは、ゼロではないが、低いフリーホルマリンレベルを有する。
【0010】
特許文献4において、単一成分系は、一方がウレイド型基を有するモノマーであり、他方がマスクまたは非マスクアルデヒド基を有するモノマーである官能化ラテックスを混合することにより得られる。得られた被膜は、完全にホルマリンを含まず、それによって、特許文献5で提起された問題を解決することができる。一方、特許文献4に言及されているマスクまたは非マスクアルデヒドモノマーは、これまでのところ、ほとんど工業規模では入手不能であるために、それらを利用することがこの系の主な不都合の1つとなっている。
【特許文献1】米国特許US−A−5468800号明細書
【特許文献2】国際出願WO−A−95/09896号明細書
【特許文献3】ドイツ特許第4439457号明細書
【特許文献4】フランス特許FR−A−2762606号明細書
【特許文献5】フランス特許FR−A−2762607号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本出願人は、貯蔵中安定であり、かつ完全にホルマリンを含まない被膜を生成し、周囲温度で架橋可能であり、この架橋が、場合により、高温下の熱処理により活性化される新規な官能化ラテックス混合物に基づく単一成分系を見出した。
【0012】
したがって、本発明により、特許文献4に記載されている原料の工業規模での商業的入手性問題に対する代替案を提起することができる。さらに、これらの新規ラテックス組成物によって、特性、特に適用性が、繊維産業用結合剤として本発明の単一成分系を用いることにより改善されるようなコーティングを得ることができる。したがって、繊維用に提示される結果は、主な不都合が被膜の熱処理の間にコーティング中に遊離ホルマリンが生成することであるN−メチロールアクリルアミドに基づく繊維産業で用いられている標準的な系に対する高性能代替物を提起するものであるという点でいっそう有用である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この新規な単一成分系は、一方が尿素またはエチレン尿素型の基を有するモノマーであり、他方がアセタール、メルカプタール、メルカプト−ル、ジオキソランまたはジチオラン官能基を有するモノマーである官能化ラテックス混合物を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
したがって、本発明の主題は、第一に、周囲温度で架橋され、かつ熱処理により後架橋され得る、ホルマリンを含まないコーティングを生成し得る共反応性ラテックスに基づく単一成分系である。この系は、下記の2種の粒子分散物(A)と(B)との混合物から構成されている。各分散物は、水性媒体中エマルションにおいて、モノマーAおよびBの組成物をそれぞれ重合することにより得られる。前記モノマーAおよびBは、
(a)式Aの官能基を含むラジカル経路で重合可能な少なくとも1種の、エチレン不飽和を有するモノマー(以下、「エチレン不飽和モノマー」とする)
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、
はラジカル経路で重合可能な基であり;
Xはモノマー組成物Aに導入されるOまたはSを表す);および
(b)ラジカル経路で重合可能な少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーであって、
モノマー(a)のものと同一かまたは異なる下記ラジカルと、
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、Rはラジカル経路で重合可能な基であり、XはOまたはSを表す)
式B1のアセタール、メルカプタール、メルカプト−ル、ジオキソランおよびジチオランから選択される官能基とを含む、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーである。
【0019】
B1: −CHOH−(G)−CH(YR)(ZR
前記式中、
YおよびZは同一であるかまたは異なり、かつOまたはSを表し;
Gは直接結合またはC−Cアルキレンラジカルを表し;
およびRは同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC−Cアルキル基を表すか、一緒になって−CH−CR−(CH)n基を形成し、ここで、n=0または1、RおよびRは同一であるかまたは異なり、それぞれ、モノマー組成物Bに導入される水素原子またはメチル基を表す。
【0020】
モノマー(a)は、以下の式(I)〜(V)から選択され得る。
【0021】
【化3】

【0022】
前記式中、
XはOまたはSを表し;
は、ラジカル経路で重合可能なエチレン不飽和基であり;
は、水素原子またはC−Cアルキル基であり;
Aは、C−C低級アルキルおよび/もしくはヒドロキシおよび/もしくはC−Cアルコキシで置換可能であり、かつ/またはカルボニル基が挿入され得る2もしくは3
個の炭素原子を有するアルキレン鎖である。
【0023】
基は、以下の基から選択され得る。
CH=CH−
CH=CH−CH
CH=C(CH)−CH
CH=CH−C(O)−
CH=C(CH)−C(O)−
CH=CH−CH−O−CH−CH(OH)−CH
−A−Alk(ここで、
は、水素原子、3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピル、ビニル、メタクリロイル、アクリロイルまたはメタクリロイルオキシアセト基を表し;
はO、NHまたはNRを表し;
は、Rが3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルを表すとき、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルを表し;
AlkはC−Cアルキレン鎖を表す)
2−(β−カルボキシアクリルアミド)エチル、
−A−C(O)−CH=CH−C(O)−A−R(ここで、
はOまたはNHを表し;
はC−Cアルキレン基を表す)。
【0024】
モノマー(a)の例としては、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、N−(2−アクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、N−(メタクリルアミドメチレン)エチレン尿素、N−(アクリルアミドメチレン)エチレン尿素、N−(β−メタクリルアミドエチル)エチレン尿素、N−(β−アクリルアミドエチル)エチレン尿素、N−ビニルエチレン尿素、N−ビニロキシエチルエチレン尿素、N−[(β−メタクリロイルオキシアセトアミド)エチル]−N,N’−エチレン尿素、N−[(β−アクリロイルオキシアセトアミド)エチル]エチレン尿素、1−[2−[[2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロピルアミノ]エチル]−2−イミダゾリドン、N−メタクリルアミドメチル尿素、N−メタクリロイル尿素、N−(3−[1,3−ジアザシクロヘキサン−2−オン]プロピル)メタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルエチレン尿素、N−アミノエチルエチレン尿素、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)アミノエチルエチレン尿素、N−メタクリルアミノエチルエチレン尿素、N−アクリルアミノエチルエチレン尿素、N−メタクリルオキシアセトキシエチルエチレン尿素、N−メタクリルオキシアセトアミノエチルエチレン尿素、N−ジ(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)アミノエチルエチレン尿素、N−(2−アクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、N−メタクリルアミドメチル尿素、アリルアルキルエチレン尿素、および、不飽和ジカルボン酸ジエステルと、ヒドロキシアルキルアルキレン尿素、アミノアルキルアルキレン尿素、ヒドロキシアルキル尿素またはアミノアルキル尿素との反応により得られる化合物が挙げられる。特に、ヒドロキシエチルエチレン尿素と、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチルまたはフマル酸ジエチルとの反応生成物、具体的に言えば、サイテック社(Cytec)から市販されている化合物Cylink C4を挙げることができる。
【0025】
特に好ましいモノマー(a)は、1−(2−メタクリロイルオキシエチル)イミダゾリン−2−オンまたはエチルイミダゾリドンメタクリレート(EIOM)とも称されるN−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレン尿素である。
【0026】
モノマー(b)に関して、下記ラジカル:
【0027】
【化4】

【0028】
は、モノマー(a)のものと同一または異なり得る。RおよびXの定義は、モノマー(a)とモノマー(b)では同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、このラジカルは同一である。具体的に言えば、このラジカルは、重合媒体中で、モノマー(a)からモノマー(b)をイン・シチュで合成することにより得られる。
【0029】
特に、下記式B1
B1: −CHOH−(G)−CH(YR)(ZR
〔前記式中、
YおよびZは同一であるかまたは異なり、OまたはSを表し;
Gは直接結合またはC−Cアルキレンラジカルを表し;
およびRは同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素原子もしくはCアルキル基を表すか、一緒になって、−CH−CR−(CH)n基を形成し、ここで、n=0または1、RおよびRは同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはメチル基を表す〕
のアセタール、メルカプタール、メルカプト−ル、ジオキソランおよびジチオランから選択される官能基を有するこのモノマー(b)は、重合媒体中、尿素またはエチレン尿素型の基を有する前駆体モノマー(モノマー(a))と、アルデヒド官能基および式B’1:CHO−(G)−CH(YR)(ZR)(ここで、G、Y、Z、RおよびRは上記定義の通り)のアセタール、メルカプタール、メルカプト−ル、ジオキソランまたはジチオラン官能基前駆体を有する化合物とを反応させることによりイン・シチュで生成される。
【0030】
一例として、アルデヒド官能基およびアセタール、メルカプタール、メルカプト−ル、ジオキソランまたはジチオラン官能基の前駆体を有する化合物は、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド、2,2−ジエトキシアセトアルデヒド、2,2−ジプロポキシアセトアルデヒド、2,2−ジブトキシアセトアルデヒド、3,3−ジメトキシプロパナール、3,3−ジエトキシプロパナール、3,3−ジプロポキシプロパナール、3,3−ジブトキシプロパナール、4,4−ジメトキシブタナール、4,4−ジエトキシブタナール、4,4−ジプロポキシブタナール、4,4−ジブトキシブタナール、5,5−ジメトキシペンタナール、5,5−ジエトキシペンタナール、5,5−ジプロポキシペンタナール、5,5−ジブトキシペンタナール、6,6−ジメトキシヘキサナール、6,6−ジエトキシヘキサナール、6,6−ジプロポキシヘキサナールおよび6,6−ジブトキシヘキサナールから選択され得る。
【0031】
アルデヒド官能基およびアセタール官能基前駆体を有する特に好ましい化合物は、1,1−ジメチルアセタールグリオキサールまたは2,2−ジメトキシエタナールとも称される2,2−ジメトキシアセトアルデヒドである。
【0032】
したがって、本発明の共反応性ラテックス混合物に基づく単一成分系は、特に、架橋性被膜の合成を簡易化し得る市販の前駆体モノマーを利用するという利点を有する。
これらのラテックスは、一旦合成されると、貯蔵中に上述の官能基間において反応を生じることなく混合することができ、周囲温度下での融合中または融合後に、基材ラテックスに比べて改良された特性を有する架橋被膜を生成し、そのような架橋は熱処理により活性化され得る。
【0033】
この新規なラテックスの組み合せは、融合中または融合後に上述の官能性が相互反応するには十分でなく、また、架橋の動力学が粒子の融合を妨害しないことも必要とされ、従って、速過ぎる架橋速度での被膜形成は事実上被膜形成を妨げて系を使用不能にし得るので、ますます自明ではない。
【0034】
本発明によれば、2種の官能化ラテックスを別々に合成することにより、各官能基をより良好に保存することが可能であり、重合温度は一般に周囲温度より高いので、被膜融合時の後架橋効率がより高くなる(鎖の相互拡散は官能基間における反応を引き起こす):実際、2つの官能基が同一ラテックス中で結合すると、前架橋が生じるので、後架橋はほとんど起らず、融合の問題さえ生じるであろう。
【0035】
別の利点は、粒子に拡散し得る小型反応性分子が存在しないために、ラテックス状態にあるとき、ラテックス安定化系は、粒子間の接触、したがって、各分散物が有する2種の共反応性官能基の間における反応を妨げるので、より高い貯蔵安定性が保証されることである。
【0036】
モノマー(b)の調製は、標準条件下で、尿素またはエチレン尿素官能基とアルデヒド官能基とを反応させて行う。例として、特許FR−A−2595694、FR−A−2613361およびFR−A−2787458を参照することができる。
【0037】
本発明はさらに、本発明の単一成分系の製造法に関する。この方法は、以下の工程、すなわち、
(i)少なくとも1種のモノマー(a)と少なくとも1種のモノマー(b)とを用意する工程と、
(ii)水性媒体中エマルションにおいて、モノマー(a)および(b)の組成物をそれぞれ別個に重合させて、それぞれ粒子分散物(A)および(B)を得る工程と、
(iii)分散物を混合する工程と
を含む。
【0038】
好ましい実施形態によれば、この方法は、さらに、モノマー(a)の組成物と、アルデヒド官能基および式B’1 CHO−(G)−CH(YR)(ZR)のアセタール、メルカプタール、メルカプト−ル、ジオキソランまたはジチオラン官能基とを有する前駆体化合物とを反応させて、モノマー(b)をイン・シチュ合成する工程を含む。
【0039】
モノマー(a)および/または(b)は、それぞれモノマーAおよびBの組成物の0.5〜10重量%、特に1〜5重量%を占めることが好ましい。モノマー(a)および(b)は、他のモノマーと均質に導入されてもよいし、または異なる官能基密度を有する生成物を生成し得るように組成勾配を有するように導入されてもよい。本発明の2種の共反応性ラテックスの割合は、ポリマー(A)の割合が、ポリマー(A)および(B)の5〜95重量%、特に25〜75重量%を占め、ポリマー(B)の割合がポリマー(A)および(B)の95〜5重量%、特に75〜25重量%を占め、各分散物の乾燥抽出物が概して20〜60重量%を占めるように選択される。
【0040】
さらに、各分散物(A)および(B)の粒子の大きさは、特に50〜500nmの範囲である。
本発明の2種の粒子分散物(A)および(B)のモノマー(a)および(b)以外のモノマーは、得られたコポリマーのガラス転移温度(Tg)が目的とする用途に適合されるかぎり、それほど重要ではない。したがって、異なるガラス転移温度を有するホモポリマーを生成し得るモノマーを組み合わせることにより、すなわち、当業者には周知の、高T
gをもたらすモノマーと低Tgをもたらすモノマーとを組み合わせることにより、得られる各コポリマーのガラス転移温度を調整することができる。
【0041】
低Tgを有するホモポリマーを生成し得るモノマーの例としては、以下が挙げられる:アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、2−エチルヘキサン酸ビニルなど。高ガラス転移温度を有するホモポリマーを生成し得るモノマーの例としては、以下が挙げられる:メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドなど。
【0042】
本発明の2種のラテックスは、当業者には周知の条件下でエマルション中で重合することにより調製される。したがって、この反応は、不活性雰囲気下、ラジカル開始剤の存在下で実施することが好ましい。使用する開始系は、例えば、K、(NH/Na、NaSOなどのレドックス系、例えば(NHなどの熱系であってよく、それらの使用量は、モノマーの総質量の0.2〜1.0重量%、好ましくは0.25〜0.5重量%を占める。
【0043】
本発明のエマルション中における重合反応は、65〜85℃の範囲の温度で実施され、そのような温度は使用する開始系の性質の関数であり、ペルオキソ二硫酸塩およびメタ重亜硫酸塩に基づくレドックス系の場合には65〜75℃、ペルオキソ二硫酸塩のみに基づく熱系の場合には70〜85℃である。
【0044】
本発明の分散物の調製は、種々のモノマーの反応性の違いの関数である組成物誘導体の制限を可能にする半連続法に従って実施することが好ましい。したがって、水部分と界面活性剤とを含むプレエマルション形態のモノマーの導入は、一般に、3時間半〜5時間の時間をかけて実施される。また、1〜15%のモノマーの開始を実施することも必須ではないが有用である。本発明のエマルション中における重合法に用いられる乳化系は、適当な親水性/疎水性のバランスを有する乳化剤範囲から選択する。好ましい系は、ラウリル硫酸ナトリウム、特に20〜25モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化硫酸ノニルフェノール、ドデシルスルホン酸ベンゼン(benzene dodecylsulphonate)および特に20〜25モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化脂肪族アルコール硫酸エステル塩などのアニオン界面活性剤と、特に10〜40モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化ノニルフェノールおよび特に10〜40モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化脂肪属アルコールなどの非イオン界面活性剤との組み合せから構成される。乳化剤の総量は、モノマーに関して、一般的には1〜5重量%、好ましくは2〜4重量%の範囲内である。
【0045】
本発明の分散物(A)および(B)の混合は、一般に周囲温度下で実施する。
周囲温度下での架橋は、一般に、15〜30℃の温度で行われ得るが、後架橋は、一般に、100〜200℃、好ましくは120〜170℃の温度で起こり得る。本発明のラテックス混合物由来の被膜は、周囲温度(23℃)で被膜を形成してから1週間後に得られたものを、その後160℃で75分間さらに熱処理するか、またはしないで、分析した。
【0046】
評価した被膜の特性は、破断歪および破断応力値を示す引張試験を用いた被膜の機械的性質であり、その目的は耐久性がありかつ変形可能な被膜を得ることである。
被膜の良好な適用性を決定する被膜の架橋度は、本願では、破断時の最高の応力および伸びによって特徴付けられる。
【0047】
ラテックスA+B混合物由来の被膜の周囲温度下での架橋は、一方は官能化されておらず、他方はN−メチロールアルリルアミド官能化された2種の基準ラテックスならびに別々に合成されたラテックスAおよびBより優れた特性を得ることによって示される。
【0048】
被膜架橋温度の存在は、160℃で75分間の熱処理の前と後での特性の比較および5部のN−メチロールアクリルアミドで官能化された基準ラテックスとの比較によって示される。
【0049】
これらの条件下、ウレイド官能基(エチルイミダゾリドンメタクリレート/EIOM)を有するモノマーで官能化されたラテックスAと、場合により、アセタール(2,2−ジメトキシエタナール)官能基前駆体である化合物の存在下にウレイド官能基(EIOM)を有する前駆体モノマーからイン・シチュで生成されるアセタール官能基を有するモノマーで官能化されたラテックスBとを混合することにより、周囲温度で架橋し、その架橋が熱処理により強化される被膜が得られることが観察された。その特性はラテックスAおよびBそれぞれの特性より優れている。さらに、好ましくは分散物組成物(B)に導入されるモノマーを混合する工程で重合媒体中イン・シチュで生成されるモノマー(b)に関して選択される合成経路により、ラテックスBの基本原料を簡単かつ低コストで入手できる。
【0050】
高温熱処理後のラテックスA+B混合物由来の被膜の特性は、5部のN−メチロールアクリルアミドで官能化した基準ラテックスを用いて得たものよりさらに優れている。
本発明の単一成分系の適用性能、言い換えれば、コーティングとして用いるラテックス被膜の最終特性、特に耐水性および耐溶剤性を向上する可能性は、ラテックスA+B混合物の不織布コーティング被膜の機械的性質(乾燥、水性媒体およびアルコール媒体中)を測定し、これらの特性を、同一条件下で、ラテックスAだけのものや、N−メチロールアクリルアミドに基づく基準ラテックス(繊維の場合には結合剤用)に関して得られた特性と比較することによって示される。
【0051】
本発明はさらに、上記定義のような共反応性ラテックスに基づく単一成分系の、架橋性ホルマリンを含まないコーティング構成用組成物、例えば、建築分野における塗料、皮革用ワニスもしくは仕上剤、繊維用仕上剤、木材保護ワニス、または紙加工用組成物中の結合剤として、種々の織布もしくは不織布繊維材料、紙、段ボール、ラップ用の結合剤および/または含浸剤として、また、特に木材工業における接着剤としての利用に関する。
【0052】
以下の実施例は、本発明を例証するものであって、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではない。これらの実施例において、部および%は、特段の定めがない限り、重量を単位とする。実施例1において、製剤およびモノマーの構成成分の量は活性物質部分で示されている。
【0053】
実施例1:ラテックスの合成および特徴
一般的操作法
以下のように配合した出発物質を、二重ジャケット内での温水循環装置、中央攪拌装置および冷却器を備えた3リットル反応器に導入する。
【0054】
出発物質
水 75.00部
水中33%エトキシル化脂肪族アルコール硫酸ナトリウム 0.25部
〔コグニス社(Cognis)から市販されているDisponil FES 77〕
水中70%エトキシル化脂肪族アルコール 0.05部
(コグニス社から市販されているDisponil AFX 3070)。
【0055】
媒質を均質化し、80℃にする。出発物質の温度が80℃に達したら、以下のように配
合した2種の混合物を、プレエマルションの場合は4時間、開始剤溶液の場合は3時間半かけて注ぐ:
プレエマルション
水 75.00部
水中33%エトキシル化脂肪族アルコール硫酸ナトリウム 2.25部
水中70%エトキシル化脂肪族アルコール 0.45部
モノマー 100.00部。
前もって界面活性剤を水に可溶化させ、次いで、磁気攪拌下で、モノマーを親水性の高いものから順に1種ずつ添加する。
【0056】
開始剤溶液
水 6.00部
過硫酸ナトリウム 0.30部。
媒質を80℃でさらに1時間反応させた後、周囲温度に冷まし、200ミクロン濾布で濾過する。
【0057】
合成ラテックスの調製および特性
ラテックスAおよびBは、それぞれ表1に示されているモノマーAおよびBから合成され、表1には、得られたラテックスの特性も示されている。
【0058】
ラテックスBの場合、アセタール官能化モノマー(b)は、重合媒体中、プレエマルション調製工程で、ウレイド官能基(EIOM)を有する前駆体モノマーおよびアセタール官能基(2,2−ジメトキシエタナール)を有する前駆体化合物を周囲温度および7以上のpH下において混合することによってイン・シチュで得られる。
【0059】
組成物1は、非官能化基準ラテックスである。
組成物2は、5質量部のN−メチロールアクリルアミドで官能化した基準ラテックスに相当する。
【0060】
【表1】

(1)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸〔アルドリッチ社(Aldrich)〕。
(2)アトフィナ社(Atofina)から市販されている、メタクリル酸メチル中50%の活性成分を含むエチルイミダゾリドンメタクリレート溶液(Norsocryl 104)。
(3)クラリアント社(Clariant)から市販されている、水中60%の活性成分を含む2,2−ジメトキシアセトアルデヒド(Highlink DM)。
(4)モル比(EIOM/2,2−ジメトキシアセトアルデヒド)(ウレイド/アルデヒド)=1。
(5)最終ラテックスは苛性ソーダ溶液を添加してpH=8に中性化される。
【0061】
実施例2: 得られたラテックス、A、B、組成物1、組成物2、共反応性混合物A+Bの特性
実施例1で別々に合成したラテックス由来の被膜の機械的性質は、23℃、50%相対湿度下で1週間乾燥させ、場合によりその後で160℃において75分間熱処理してから測定した。
【0062】
ラテックスAおよびBを等モル量のウレイドおよびアセタール官能基と混合した。この混合物由来の被膜の特性も、23℃、50%相対湿度下で1週間乾燥させ、場合によりその後で160℃下に75分間熱処理してから調べた。
【0063】
使用した試験は、有意な応力を加える引張試験であり、ISO 527規格に従って実施する。
その結果(最低3回の測定後に計算した平均値)を表2に示す。
【0064】
【表2】

(1)%で表す破断歪。
(2)MPaで表す破断応力。
【0065】
官能化基準ラテックスN−メチロールアクリルアミド(組成物2)から得た被膜は、周囲温度では架橋しないことが明らかであるが、強い熱架橋傾向を有する(破断応力の増大)。それぞれ別々に合成し、周囲温度で乾燥させたラテックスAおよびB由来の被膜は、非官能化基準ラテックス(組成物1)に比べて破断歪の有意な低下により実証されるある程度の架橋を示す。ラテックスAの被膜は、熱架橋傾向を有する(160℃で処理後の破断応力の増大)が、これは、ラテックスBでは観察されない。
【0066】
等モル量の共反応性ラテックスAとBの混合物から得た被膜は、周囲温度で乾燥させた後では、2種の基準ラテックスや、それぞれ別々に合成したラテックスAおよびBのものより高い破断応力を有し、周囲温度での強い架橋傾向を明らかに示している。この架橋は、被膜を160℃で後熱処理すると増大し、この後熱処理は、破断応力を約60%増大させ得るが、破断歪、したがって、破断することなく変形される被膜の能力は低下させない。ラテックスA+B混合物由来の被膜を熱処理した後で得た機械的性質は、ラテックスAおよびBのみのものより高いだけでなく、官能化基準ラテックス N−メチロールアクリルアミド(組成物2)より50%以上も高い。
【0067】
実施例4: 不織布含浸の適用性(繊維結合剤用)
使用した試験は、ラテックスを含浸させ、次いで105℃で1分半乾燥させ、130℃で5分間熱処理した不織布被膜の引張強度特性を測定する工程を含む。これらの試験は、繊維製品分野における不織布用の試験法を記載しているISO 9073規格に従って、不織布を、乾燥状態、または液体(水、エタノール)に浸した後で実施する。
【0068】
表3は、ラテックスAのみ、さまざまなウレイド/アセタールモル比のラテックスA+B混合物、および5部のN−メチロールアクリルアミドで官能化した基準ラテックス(組成物2)に関して得た結果を示している。
【0069】
これらの結果は、サンプルの破断に必要な力値(N/m)として表されている。
【0070】
【表3】

(1)モル比(アセタール/ウレイド)=1
(2)モル比(アセタール/ウレイド)=1.2
【0071】
実施した3回の試験から、もっとも苛酷でもある、ラテックスを含浸させた不織布のアルコール媒体中の耐久性は、A+B混合物が、ラテックスAのみと比べても、繊維結合剤用の基準ラテックスと見なされているN−メチロールアクリルアミドで官能化した基準ラテックスと比べても優れていることを実証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲温度で架橋され、かつ熱処理により後架橋され得る、ホルマリンを含まないコーティングの生成に適した共反応性ラテックスに基づく単一成分系であって、該単一成分系は、2種の粒子分散物(A)および(B)の混合物で構成されており、各分散物は、モノマーAおよびBの組成物を水性媒体中エマルションにおいてそれぞれ重合することによって得られ、前記モノマーAおよびBは、
(a)式Aの官能基を含む、ラジカル経路で重合可能な少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーであって、
【化1】

前記式中、
はラジカル経路により重合可能な基であり、
XはモノマーAの組成物に導入されるOまたはSを表す、少なくとも1種のエチレン不飽和モノマー、および
(b)ラジカル経路で重合可能な少なくとも1種のエチレン不飽和モノマーであって、
モノマー(a)と同一または異なる下記ラジカル
【化2】

(式中、Rはラジカル経路で重合可能な基であり、XはOまたはSを表す)と、
下記式B1のアセタール、メルカプタール、メルカプト−ル、ジオキソランおよびジチオランから選択される官能基とを含み、
B1: −CHOH−(G)−CH(YR)(ZR
前記式中、
YおよびZは同一であるかまたは異なり、OまたはSを表し、
Gは、直接結合またはC−Cアルキレンラジカルを表し、
およびRは同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素原子またはC−Cアルキル基を表すか、一緒になって、−CH−CR−(CH)n基を形成し、ここで、n=0または1、RおよびRは同一であるかまたは異なり、それぞれ、モノマーBの組成物に導入される水素原子またはメチル基を表す、エチレン不飽和モノマーである、系。
【請求項2】
モノマー(b)が重合媒体中でイン・シチュ生成されることを特徴とする、請求項1に記載の系。
【請求項3】
モノマー(a)および(b)の下記ラジカル:
【化3】

が、これら2種のモノマーに関して同一であることを特徴とする、請求項1または2に記載の系。
【請求項4】
モノマー(a)および(b)の少なくともいずれかの下記ラジカル:
【化4】

が、以下の式(I)〜(V)で表されるものから選択され、
【化5】

前記式中、XはOまたはSを表し、
はラジカル経路で重合可能なエチレン不飽和基であり、
は水素原子またはC−Cアルキル基であり、
Aは、C−C低級アルキル、ヒドロキシ、およびC−Cアルコキシの少なくともいずれかで置換可能であり、かつ/またはカルボニル基を挿入し得る、2もしくは3個の炭素原子を有するアルキレン鎖であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の系。
【請求項5】
が、
CH=CH−;
CH=CH−CH−;
CH=C(CH)−CH−;
CH=CH−C(O)−;
CH=C(CH)−C(O)−;
CH=CH−CH−O−CH−CH(OH)−CH−;
−A−Alk(式中、
は、水素原子、3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピル、ビニル、メタクリロイル、アクリロイルまたはメタクリロイルオキシアセト基を表し;
は、O、NHまたはNRを表し;
は、Rが3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルを表すとき、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルを表し;
AlkはC−Cアルキレン鎖を表す);
2−(β―カルボキシアクリルアミド)エチル;および
−A−C(O)−CH=CH−C(O)−A−R(式中、
はOまたはNHを表し;
はC−Cアルキレン基を表す)
の基のうちから選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の系。
【請求項6】
モノマー(a)および/または(b)の下記ラジカル:
【化6】

が、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、N−(2−アクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、N−(メタクリルアミドメチレン)エチレン尿素、N−(アクリルアミドメチレン)エチレン尿素、N−(β−メタクリルアミドエチル)エチレン尿素、N−(β−アクリルアミドエチル)エチレン尿素、N−ビニルエチレン尿素、N−ビニロキシエチルエチレン尿素、N−[(β−メタクリルオイルオキシアセトアミド)エチル]−N,N’−エチレン尿素、N−[(β−アクリロイルオキシアセトアミド)エチル]エチレン尿素、1−[2−[[2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニロキシ)プロピルアミノ]エチル]−2−イミダゾリドン、N−メタクリルアミドメチル尿素、N−メタクリロイル尿素、N−(3−[1,3−ジアザシクロヘキサン−2−オン]プロピル)メタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルエチレン尿素、N−アミノエチルエチレン尿素、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)アミノエチルエチレン尿素、N−メタクリルアミノエチルエチレン尿素、N−アクリルアミノエチルエチレン尿素、N−メタクリルオキシアセトキシエチルエチレン尿素、N−メタクリルオキシアセトアミノエチルエチレン尿素、N−ジ(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)アミノエチルエチレン尿素、N−(2−アクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、N−メタクリルアミドメチル尿素、アリルアルキルエチレン尿素、および、不飽和ジカルボン酸ジエステルと、ヒドロキシアルキルアルキレン尿素、アミノアルキルアルキレン尿素、ヒドロキシアルキル
尿素またはアミノアルキル尿素との反応により得られる化合物から選択される化合物から由来することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の系。
【請求項7】
前記ラジカルが、化合物N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレン尿素から由来することを特徴とする、請求項6に記載の系。
【請求項8】
モノマー(b)の式:
【化7】

において、
X、YおよびZは同一であるとともに、Oを表し;
Gは直接結合またはC−Cアルキレンラジカルを表し;
は請求項1〜7に定義の通りであり;
およびRは同一であるとともに、それぞれ、C−Cアルキル基を表すことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の系。
【請求項9】
モノマー(b)の式B1:CHOH−(G)−CH(YR)(ZR)の官能基が、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド、2,2−ジエトキシアセトアルデヒド、2,2−ジプロポキシアセトアルデヒド、2,2−ジブトキシアセトアルデヒド、3,3−ジメトキシプロパナール、3,3−ジエトキシプロパナール、3,3−ジプロポキシプロパナール、3,3−ジブトキシプロパナール、4,4−ジメトキシブタナール、4,4−ジエトキシブタナール、4,4、−ジプロポキシブタナール、4,4−ジブトキシブタナール、5,5−ジメトキシペンタナール、5,5−ジエトキシペンタナール、5,5−ジプロポキシペンタナール、5,5−ジブトキシペンタナール、6,6−ジメトキシヘキサナール、6,6−ジエトキシヘキサナール、6,6−ジプロポキシヘキサナールおよび6,6−ジブトキシヘキサナールから選択される化合物由来であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の系。
【請求項10】
モノマー(b)のCHOH−(G)−CH(YR)(ZR)基が、2,2−ジメトキシアセトアルデヒド由来であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の系。
【請求項11】
モノマー(a)および(b)が、それぞれモノマーAおよびBの組成物の0.5〜10重量%を構成することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の系。
【請求項12】
2種の共反応性ラテックスの割合は、ポリマー(A)の割合が、ポリマー(A)および(B)の5〜95重量%を占め、ポリマー(B)の割合がポリマー(A)および(B)の95〜5重量%を占め、各分散物の乾燥抽出物が20〜60重量%を占めるように選択されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の系。
【請求項13】
各分散物(A)および(B)の粒子の大きさが50〜500nmの範囲であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の系。
【請求項14】
2種の粒子分散物(A)および(B)のモノマー(a)および(b)以外のモノマーは、得られるコポリマーのガラス転移温度(Tg)を、高いTgを有するホモポリマーの生成に適したモノマーと低いTgを有するホモポリマーの生成に適したモノマーとを組み合わ
せることにより、目的とする用途に適合させるように選択されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の系。
【請求項15】
低Tgを有するホモポリマーの生成に適したモノマーが、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、2−エチルヘキサン酸ビニルから選択され、高Tgを有するホモポリマーを得るのに適したモノマーが、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドから選択されることを特徴とする、請求項14に記載の系。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に定義の共反応性ラテックスに基づく単一成分系の使用であって、建築分野における塗料、皮革用ワニスもしくは仕上剤、繊維用仕上剤、木材保護ワニスなどのホルマリンを含まない架橋性コーティングを構成するための組成物中または紙加工用組成物中の結合剤として、種々の織布もしくは不織布繊維材料、紙、段ボール、ラップ用の結合剤および含浸剤の少なくともいずれかとして、並びに、特に木材工業における接着剤としての使用。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか1項に記載の単一成分系の製造法であって、
(i)少なくとも1種のモノマー(a)と少なくとも1種のモノマー(b)とを用意する工程と;
(ii)水性媒体中エマルションにおいて、モノマー(a)および(b)の組成物をそれぞれ別個に乳化重合させて、それぞれ粒子分散物(A)および(B)を得る工程と;
(iii)前記分散物を混合する工程とを含む方法。
【請求項18】
モノマー(a)の組成物と、アルデヒド官能基および式B’1:CHO−(G)−CH(YR)(ZR)のアセタール、メルカプタール、メルカプト−ル、ジオキソランまたはジチオラン官能基の前駆体を有する化合物とを反応させて、モノマー(b)をイン・シチュ合成する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2008−503634(P2008−503634A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517357(P2007−517357)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001547
【国際公開番号】WO2006/010804
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(591004685)アルケマ フランス (112)
【Fターム(参考)】