説明

共沈したカラギーナン/キサンタンガム組成物およびそれらの製法

注入または転倒された食品例えば食用獣肉の漏れまたはドリップロスを減らすか、または歯磨のレオロジー性を改善するための食品および歯磨の製品用の改善された親水コロイド組成物の提供。該親水コロイド組成物は、カラギーナン対キサンタンの比が、重量%に基づいて60:40から95:5好ましくは70:30から80:20である少なくとも1つのカラギーナン特にイオータカラギーナンおよび少なくとも1つのキサンタンから本質的になる共沈物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共沈したカラギーナン/キサンタン組成物、製法およびこれら共処理された生成物を含む処方物に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の親水コロイドおよびそれらの組み合わせは、食品工業における用途について周知である。カラギーナンに基づくシステムは、粗製または精製されたカラギーナンゲル化剤と1つ以上の親水コロイドまたはガムとを混合することにより従来製造されているが、製造される食品用の増粘剤またはゲル化剤として広く使用される組成物またはゲルをつくるのに使用されている。
【0003】
食品または歯磨の用途への使用を目的とする周知の混合されたゲルシステムは、望ましくない不純物が実質的にない成分しかもゲル化剤との相互作用により透明かつ安定なゲルを生成する成分が得られることから、好都合かつ経済的な抽出、精製および清澄化に工業上用いられている。
【0004】
特許文献1は、可撓性の歯磨チューブから容易に押し出すのに好適な望ましいレオロジー性を有する歯磨を開示している。歯磨は、珪素系の研磨原料、抗核形成剤、およびイオータ−カラギーナンおよびキサンタンのゲル化剤混合物(イオータ−カラギーナンとキサンタンとの物理的混合により製造される)を含む。
【0005】
食用獣肉の熟成において、市場用に処理された食用獣肉は、典型的な例では複数の針による注射により、或いはステッチ(stitch)または動脈へのポンピングにより、通常、塩水溶液を注入される。注入後に、静置、転倒および/またはマッサージそして最終的に調理が行われる。別なやり方として、食用獣肉は塩水溶液中で転倒またはマッサージされる。いくつかの標準的な塩水処理は、特許文献2−4に開示されている。
【0006】
流通中または販売中または最終の消費者のところで、新鮮、冷蔵または冷凍の条件の何れかで、流通過程にある未調理の食品から注入された塩水が漏れだす傾向がある。従って、その中に注入された食用獣肉製品からの塩水溶液の漏れまたは液体の浸みだしを減らす必要がある。これは、「ドリップロス」として測定でき、そして例えば真空または減圧の下で特に包装された製品について測定でき、またはそれら以外に真空または減圧の下ではなく包装された製品について測定される。
【0007】
さらに、塩水溶液がその中に注入された食品製品は、また調理中重量が大きく減少するという問題を欠点として有する。注入された溶液が、調理中に漏れだし、そのため重量の減少が許容できる範囲よりも大きくなる。
【0008】
この問題を解決するための従来技術の1つは、食用獣肉の水結合容量を高めるために、食用獣肉製品へ塩化ナトリウムおよび/またはナトリウムトリポリホスフェートを添加することである。しかし、この技術は、例えば得られた食用獣肉製品のナトリウムおよびホスフェートの含量が消費者へのアピールに悪影響をあたえることを考えると、用途によっては望ましくないことになる。
【0009】
従来技術では、塩水とゲル化多糖類例えばカラギーナンまたはゲランとを混合して食品製品中への注入用の溶液を作ることは知られている。特許文献5は、水、ゲル化可能な多糖類およびゲル化カチオンを混合することにより、食品処理組成物を形成する方法を開示している。ゲル化可能な多糖類は、カラギーナン;ローカストビーンガム、カシアガムまたはコンニャクガムの少なくとも1つと組み合わされたカラギーナン;キサンタンガム;種子のガム、ミールまたはゲル化多糖類含有海草の粉(加工または未加工)と組み合わされたキサンタンガムの少なくとも1つを含む。好ましくは、多糖類は、イオータカラギーナン、カッパカラギーナン、キサンタンガムおよび低エステルペクチンの1つ以上を含む。
【0010】
FMC BioPolymerからのGelcarin(商標)ME4951安定剤は、カラギーナンとキサンタンとの混合物を含む。この安定剤は、調理されたハムをつくるときに、注入および転倒のために食用獣肉処理工業で使用することが推奨されている。この安定剤とともにつくられる塩水は、攪拌することなく静置してほとんどまたは全く沈降を示さず、調理の損失を減少させるといわれる。
【0011】
FMC BioPolymerからのViscarin(商標)SD2069安定剤は、規格化のためにキサンタンおよびカラギーナンと糖との混合物を含む。この安定剤は、スプーンですくえるサラダドレッシング、マヨネーズ、ソースおよびグレービーソースを増粘しそして安定化するのに使用されることが推奨されている。
【0012】
FMC BioPolymerからのGelcarin(商標)DX7150安定剤は、規格化のためのカラギーナン、乳酸カルシウム、キサンタンガムおよび糖の混合物を含む。この安定剤は、ドライミックスケーキグレーズに使用するのが推奨されている。
【0013】
FMC BioPolymerからのDanagel(商標)AF9050安定剤は、カラギーナン、キサンタンおよび乳酸カルシウムの混合物を含む。この安定剤は、透明度の高い特製の芳香性ゲルに使用されるのが推奨されている。
【0014】
食品製品用のゲル化組成物は、多数のやり方で製造できる。特許文献6は、例えば、(a)ガラクトマンナンと(b)グルコマンナンとから本質的になる共沈物(A)、および所望により、形成された共沈物と混合されたゲル化剤(B)を含む組成物を開示している。ゲル化剤例えばカラギーナンは、共沈後共沈した生成物と混合される。成分(a)および(b)の共沈は、同じ成分の物理的な混合物に比べて、組成物の冷時溶解度を増大させることが分かった。
【0015】
特許文献7は、親水コロイド例えばカラギーナンおよびキサンタンの透明化法を開示している。さらに、この文献は、実施例において一連の親水コロイドの組の共沈を開示している。同様な開示は、特許文献8に見いだされる。
【0016】
特許文献9は、可溶性のカシア混合ガム組成物およびその製法を開示している。これら組成物の1つは、イソプロピルアルコールを用いて共沈したカシアガム抽出物とカラギーナンとの共沈した組み合わせである。共沈した材料は、水性媒体を吸収するのに使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】US4569838
【特許文献2】US3565539
【特許文献3】US3683789
【特許文献4】US3922357
【特許文献5】US6685978
【特許文献6】US5498436
【特許文献7】US2002/0019447A1
【特許文献8】US2005/0070704A1
【特許文献9】US4952686
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前述にもかかわらず、注入または転倒された食品の漏れまたはドリップロスを減らすか、または歯磨のレオロジー性を改善するために、食品および歯磨の製品用の改善された親水コロイド組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
側面の1つでは、本発明は、少なくとも1つのカラギーナンおよび少なくとも1つのキサンタンを含む共沈した親水コロイド組成物(以下、「共沈物」ともいう)に関する。典型的な例では、該カラギーナンおよびキサンタンは、重量%に基づいて、それぞれ60:40から95:5の量で存在する。本発明は、また共沈物を含む組成物に関する。
【0020】
さらなる側面では、本発明は、本発明の共沈物を含む練り歯磨組成物に関する。練り歯磨は、水、湿潤剤、界面活性剤および研磨剤の少なくとも1つを含む。
他の側面では、本発明は、本発明の共沈物および少なくとも1つの追加の親水コロイドを含む乾いた組成物に関する。
【0021】
他の側面では、本発明は、少なくとも1つのカラギーナンと少なくとも1つのキサンタンとを含む水和された親水コロイドを混合する工程、並びに混合した親水コロイドを共沈して水性媒体から共沈した親水コロイドを回収する工程を含む共処理親水コロイドを製造する方法に関する。
【0022】
他の側面では、本発明は、共沈物を含む水性組成物を未調理の食品製品へ添加する工程を含む食用獣肉、シーフードおよび鳥肉の少なくとも1つを含む未調理の食品製品を処理する方法に関する。
【0023】
他の側面では、本発明は、食用獣肉、シーフードおよび鳥肉の少なくとも1つを含む未調理の食品製品へ共沈物を含む水性組成物を添加することにより製造される食品製品に関する。
本発明のこれらの側面および他の側面は、本発明の態様の詳細な記述およびそれに伴う実施例から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】それぞれ、75:25の重量比の共沈したイオータカラギーナン/キサンタン(実施例1−3)の2重量%水溶液、および75%イオータカラギーナンと25%キサンタンとのドライブレンド混合物(比較例)の2重量%のBrabender水和プロフィルを示す。
【図2】それぞれ、75:25の重量比の共沈したイオータカラギーナン/キサンタン(実施例1−3)の2重量%水溶液、および75%イオータカラギーナンと25%キサンタンとのドライブレンド混合物(比較例)の1.6重量%のBrabender水和プロフィルを示す。
【図3】それぞれ、2.5%のイオータカラギーナン(本発明ではないコントロール例)、2.5%のドライブレンド(75%のイオータカラギーナンおよび25%のキサンタン)(比較例)、または2.5%の共沈した75:25のイオータカラギーナン/キサンタン(実施例1−3)を含む塩水による注入(最初の重量の125%を目指す)後の未調理のブタ腰肉に関する時間の関数としてのドリップロスを示す。
【図4】それぞれ、2.5%のイオータカラギーナン(本発明ではないコントロール例)、2.5%のドライブレンド(75%のイオータカラギーナンおよび25%のキサンタン)(比較例)、または2.5%の共沈した75:25のイオータカラギーナン/キサンタン(実施例1−3)を含む塩水を注入(最初の重量の125%を目標とする)された、華氏165度(74℃)の内部温度で調理されたブタ腰肉の全調理プロセス収率を示す。
【図5】それぞれ、2.5%のイオータカラギーナン(本発明ではないコントロール例)、2.5%のドライブレンド(75%のイオータカラギーナンおよび25%のキサンタン)(比較例)、または2.5%の共沈した75:25のイオータカラギーナン/キサンタン(実施例1−3)を含む塩水による注入(最初の重量の120%を目標とする)後の未調理の全鶏肉に関する時間の関数としてのドリップロスを示す。
【図6】本発明による共沈物(実施例7の塩水B)並びに標準のカラギーナン含有塩水溶液およびカラギーナンを含まなかったホスフェート塩水に関する比較例を用いて、注入直前の食用獣肉の重量の125%の目標注入レベル(延長レベル)を有する塩水を注入された新鮮な処理食用獣肉に関するドリップロス(%)対注入後の冷凍時間を示す。この図は、本発明の生成物が種々の貯蔵時間を要する食用獣肉製品についてカスタマイズでき、それにより例えば短い貯蔵時間を要する食用獣肉について使用レベルを下げることにより、経済的な利点をもたらすことを示す。
【図7】新鮮な処理食用獣肉中に注入される実施例7の塩水Bに関する使用および延長レベルの関数としての保持時間を示す。また、これは、種々の長さの貯蔵時間を要する食用獣肉に関する使用レベルを変えることによりカスタマイズできる本発明の製品の能力を示す。
【図8】ホスフェートを含むかまたは含まない本発明による共沈物(実施例7の塩水B)並びに標準のカラギーナン含有塩水溶液およびカラギーナンを含まなかったホスフェート塩水に関する比較例を用いて、注入直前の食用獣肉の重量の125%の目標注入レベル(拡張レベル)を有する塩水を注入された新鮮な処理食用獣肉に関する調理収率を示す。
【図9】本発明による共沈物(実施例7の塩水B)並びに標準のカラギーナン含有塩水溶液およびカラギーナンを含まなかったホスフェート塩水に関する比較例を用いて、注入直前の食用獣肉の重量の125%の目標注入レベル(拡張レベル)を有する塩水を注入された新鮮な処理食用獣肉に関する種々の保持時間後の比較収率を示す。
【図10】時間に関する比較収率(重量の損失%)として、本発明による共沈物を含む塩水溶液(実施例7の塩水B)、およびクエン酸ナトリウムを含む塩水溶液により塩水溶液中のホスフェートを置換する能力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で記述される共沈した親水コロイドは、2つ以上の化学的に異なる親水コロイドを含み、そのなかの1つはカラギーナンであり、他はキサンタンガムである。これらの親水コロイドは、好ましくは、カラギーナンおよびキサンタンガムの2つの成分の物理的な混合物(「ドライブレンド」)から区別されるように、実質的に均質な生成物を生ずるやり方で製造される。実質的に均質な共沈したカラギーナン/キサンタン製品は、製品の特別な場所で2つの共沈した成分の相対的濃度で、いくつかの小さい変化があり、製品は個々の成分に機械的に分離できない。
【0026】
カラギーナン(カラギーナンガムともよばれる)は、赤色海草に見いだされる工業上重要なガラクタン多糖類である。全カラギーナンは、交互のα1→3およびβ1→4グリコシド結合により結合されたガラクトース繰り返し単位を含み、広く変化する程度に硫酸化される。カラギーナンのタイプは、硫酸化のそれらの程度および位置、並びにそれらがそれから得られる海草により、一部区別できる。種々のタイプのカラギーナンは、カッパ、カッパ−2、イオータ、ラムダ、ミューおよびニューを含む。カラギーナンがそれらの組成および構造において変化するため、それらは、性質および用途が変わることが知られている。カラギーナンは、また分子量、カチオンの含量およびカチオンのタイプにおいて変化する。
【0027】
カラギーナンは、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛の1つ以上およびガラクトースのアンモニウムサルフェートエステルおよび3,6−アンヒドロガラクトースコポリマーからなる。これらのヘキソースは、ポリマー中で交互に結合したα−1,3およびβ−1,4である。カラギーナン中に存在するカチオンの相対的な性質は、処理中に変化する。
【0028】
カラギーナンは種々の性質を有することが知られているため、特定の製品に使用されるカラギーナンのタイプは、所望の最終用途およびその最終用途に好適または望ましいカラギーナンの性質に基づいて選ばれる。例えば、ゲル化が望ましい場合には、種々の塩を有する異なるカラギーナンゲルが原料のいくらかのカスタマー化を可能にする。
【0029】
キサンタン(キサンタンガムともよばれる)は、天然の細菌Xanthomonas campestrisにより生成する細菌性の産生多糖類である。それは、食品および製薬工業において広く使用されているバイオポリマーである。それは、また多くの他の領域、例えば石油製造、パイプラインの清掃、油の回収の増大、布地のプリントおよび染め、セラミックのグレーズ、スラリー状爆発物並びに化粧品および口腔ケアに使用される。キサンタンは、典型的な例では、増粘化、沈殿防止、安定化およびゲル化の目的に使用される。キサンタンは、典型的な例では、増粘化、沈殿防止、安定化およびゲル化の目的に使用される。
【0030】
キサンタンは、五糖の繰り返しサブ単位からなる。それは、メチル化分析およびウロン酸劣化により測定して、2つのD−グルコピラノシル単位、2つのD−マンノピラノシル単位および1つのD−グルコピラノシルウロン酸単位からなる。分子は、交互のグルコシル単位上のO−3位置に結合した三糖側鎖をもつ、セルロースに見いだされる(1,4)結合(β−D−グルコピラノシル)骨格を有する。側鎖は、D−グルキュロノシル単位が2つの万ノシル単位を側面にもつように構築される。末端D−マンノシル単位のほぼ半分は、O−4位およびO−6位にわたってピルビン酸部分を有する。他のD−マンノシル単位は、O−6位でアセタール基により置換されている。キサンタンは、ナトリウムまたはカリウムの塩として、またはナトリウム、カリウムまたはカルシウムの塩の混合物としてそして種々のレベルのピルビン酸塩として容易に入手できる。キサンタンは、200万ダルトンから5000万ダルトンの分子量を有するものとされている。この広範囲の値は、ポリマー鎖の会合によるものと考えられる。
【0031】
共処理は、カラギーナンおよびキサンタンの共沈の方法により行われる。共処理の方法は、典型的な例では、(A)カラギーナンまたはカラギーナンを含む海草と水性媒体(所望により加熱および/または攪拌、および/またはアルカリを伴う)と混合して水和されたカラギーナンを含むカラギーナンゾルを形成する工程、(B)キサンタンを(A)におけるカラギーナンと同じ水性媒体または別の水性媒体中で同様なやり方で混合して、水和されたキサンタンを含むキサンタンゾルを形成し、もしカラギーナンゾルおよびキサンタンゾルが別々に製造されるならば、カラギーナンゾルとキサンタンゾルとを共に混合して、水和されたカラギーナンおよび水和されたキサンタンの共混合物を形成する工程、(C)所望により、カラギーナンゾル、キサンタンゾルまたは水和されたカラギーナンおよび水和されたキサンタンの共混合物を清澄化して不溶の固体を除く工程、(D)所望により、水和されたカラギーナンおよび水和されたキサンタンの共混合物の固体を任意の有効な手段例えば蒸発または限外濾過により濃縮する工程、(E)好ましくは水性媒体と混和できる有機溶媒の添加、または他の有効な沈降手段により、水和されたカラギーナンおよび水和されたキサンタンの共混合物を共沈して共沈物を形成する工程、(F)水性媒体から共沈物を分離する工程、(G)共沈物を乾燥する工程、(H)所望により、乾燥した共沈物を砕いて細かい粉末にする工程を含む。
【0032】
共処理中の全固体濃度および処理の温度は、諸条件を考慮してバランスをとる当業者にとって周知のやり方により変化する。高い固体濃度および低い処理温度は、プロセスの効率を上げるのに有利であるが、同じ条件は、溶液の濃度を上げ、そして処理をさらに困難にする。最適なバランスは、使用される処理装置の条件に基づく。一般に、処理媒体中のカラギーナンおよびキサンタンの最大の全濃度は、最初の混合で、約10.0重量%以下の共混合物を形成する。1.0−3.0%の濃度が最適の処理に推奨され、そして約1.5−2.5重量%の最大の全ガム濃度の範囲がしばしば好ましい。清澄化された共沈物が望ましいとき、処理媒体の全固体含量を共混合ゾルの濾過を助けるように調節することが特に重要であり、0.5−3.0%、より好ましくは約1.0−約2.0重量%の全固体含量が、清澄化が望ましいとき、処理の容易さから望ましい。処理は、共混合物の粘度および共混合物のゲル化温度に依存する。いくつかの態様は、分子量を下げるかまたはゲル化を促進するカチオンのレベルを減らすことにより、処理中10%までのより高い固体濃度を可能にする。
【0033】
カラギーナンおよびキサンタンの共沈は、本発明にとり必須であるが、共沈工程は、実質的に均質な沈殿物をもたらしそしてカラギーナンおよびキサンタンの成分の1つの顕著な単離および分離を生じない任意の有効な手段により行うことができる。好適な共沈手段の例は、有機溶媒、ドラム乾燥、噴霧乾燥、空気乾燥、流動床乾燥および圧縮または乾燥を伴う冷凍の使用による共沈を含む。共沈乾燥法が好ましい。水混和性溶媒そして恐らくpH調節による共沈は、さらに好ましい。アルコール特にイソプロピルアルコールによる共沈は、最も好ましい共沈法である。
【0034】
共沈のために十分なアルコールの量は、共沈の条件により変化するが、共混合物溶液1部に対するイソプロピルアルコール(約65−85%のイソプロピルアルコールで)2部以上の添加は、有効な沈殿剤である。共混合物に対するアルコール溶液の低い比も、プロセスの詳細な条件例えばガムの濃度および温度に応じて有効である。低い添加比、例えば共混合物1部に対する1.5部のアルコール溶液または共混合物1部に対する1部のアルコール溶液は、共沈について有効なときに、好ましい。カラギーナンは、1−99重量%の共沈物(ガム固体に基づく)を含むことができるが、通常、約50−90重量%好ましくは60−80重量%の共沈物を含み、いくつかのより好ましい態様では、カラギーナンは、共沈物に含まれる多糖類の全乾燥重量に基づいて、共沈物の70−80重量%を占める。
【0035】
1つの態様では、本発明は、共沈したカラギーナン/キサンタンから本質的になる共珍物組成物に関する。他の態様では、本発明は、共沈したカラギーナン/キサンタンからなる組成物に関する。これらの態様の好ましい組成物は、60:40から95:5のカラギーナン/キサンタンの重量比を有する。より好ましい組成物は、60:40から90:10のカラギーナン/キサンタンの重量比を有し、さらに好ましくは、組成物は、70:30から80:20のカラギーナン/キサンタンの重量比を有し、最も好ましい重量比は75:25である。これらの共沈物組成物は、所望により清澄化される。
【0036】
共沈したカラギーナン/キサンタン(また「共沈物」ともよばれる)は、結合剤、沈殿防止剤および/または増粘剤として使用するのに好適である。それは、またドライミックス中で、またはドライブレンド中の容易に分散成分として使用するのに好適である。本発明の共沈物の利点の1つは、それらが広いpH範囲にわたって使用するのに好適であることである。共沈したカラギーナン/キサンタン生成物がそれにわたって使用されるpH範囲は、酸性、塩基性および中性の条件、例えばpH約2.0から約11を含む。
【0037】
共沈したカラギーナン/キサンタンは、処方物中に使用でき、そして共沈したカラギーナン/キサンタンを含むキサンタン、カラギーナンを含む1つ以上の追加の親水コロイドと組み合わせることができる。
【0038】
共沈したカラギーナン/キサンタンまたは共沈物を含む組成物に関する好適な用途は、食品、化粧品、医薬品、工業用品および特製品である。或る好ましい用途は、それが高いイオン性環境において安定な増粘剤として有用であるとき、食品および口腔ケアにおける用途である。
【0039】
共沈物または共沈物を含む組成物は、多くの食品および工業用製品、例えばゲル化されたまたは増粘化された食品;注ぐことのできるサラダドレッシング;液状食品または食品添加物;食品スプレッド例えばマーガリンまたはチーズのスプレッド;ウォーター・デザート・ゲル;ジャムまたはゼリー;菓子;マヨネーズ;冷凍デザート;化粧用または医薬品用のリキッド;結合剤または崩壊剤として使用される助剤;クリームまたはローションの助剤;歯科用ケア製品;芳香性ゲル;解凍流体などのためのベースとして有用である。組成物がウォーター・デザート・ゲルとして使用されるとき、それらはミックスとしてドライな形であるか、または混合されるゲル化剤とともにまたはそれなしに水性ゲルの形である。組成物は、典型的な例では、1つ以上の香料、着色料、甘味剤、食品粒子、ハーブ、保存料、緩衝剤、酸性化剤またはゲル強化剤と混合して使用される。
【0040】
共沈物または共沈物を含む組成物が用いられる食品組成物は、食用獣肉(牛肉、鶏肉、豚肉)、魚類および蛋白に基づく製品、飲料、乳製品、ウォーター・デザート・ゲル、冷凍デザート(アイスクリーム、冷凍ヨーグルトを含む)、ノベルティ、食品スプレッド、注ぐことのできるまたはスプーンですくえるサラダドレッシング、スープ、ソースおよびグレービーソース、酸性化食品および酸性化飲料、調味料(例えば食品への擦り込み用調味料(rub)、共沈物、マリネおよびスパイスブレンド)、ゲル化した食品および増粘した食品を含む。または共沈物を含む組成物が用いられる工業用組成物は、油田の掘削および破断流体、セメント、壁のプラスター、殺虫剤、殺草剤、ペットフード、クリーニングおよび衛生組成物および解凍流体を含む。
【0041】
共沈物または共沈物を含む組成物が用いられるパーソナルケア組成物は、例えば口腔ケア製品、練り歯磨、芳香性ゲル、化粧用のクリームおよびローションを含む。
共沈物が用いられるドライブレンド組成物は、共沈物と、ナトリウム、カルシウムまたはカリウムの塩、塩化物の塩、乳酸塩、リン酸塩、クエン酸塩および炭酸塩例えば炭酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない塩の1つ以上とを含む組成物を含む。
【0042】
塩、糖、デキストロース、シリカおよびマルトデキストリンは、共沈物および共沈物を含む組成物、並びにドライブレンド組成物における規格調整剤として使用できる。典型的な例では、このような組成物は、粘度および/またはゲル強度について規格に合うように調整でき、それらが例えば天然の源から得られるという事実からこれら製品の性質を変化できるため、消費者へ渡されるときのコンシステンシーを確実なものにする。
【0043】
共沈物または共沈物を含む組成物は、所望により、セルロース、化学的に修飾されたセルロース、海草製品、天然のガム、生合成ガム、蛋白、合成親水コロイド、澱粉、変性澱粉、デキストリン、デキストロース、糖、界面活性剤、乳化剤および塩からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物と混合できる。同様に、共沈物が使用されるドライブレンド組成物は、これらの添加成分の1つ以上を含むことができる。好ましいドライブレンド組成物は、カラギーナン、キサンタン、カルボキシルメチルセルロースおよびこれらの混合物から選ばれる追加の親水コロイドと組み合わされた共沈物を含む。
【0044】
共沈物含有組成物が食品、工業用製品、医薬品またはパーソナルケア製品であるとき、組成物は、粘土、保存料、金属酸化物、着色料、酸味料、緩衝剤、食品粒子、ハーブ、酸性化剤、ゲル強化剤、変性剤、乳化剤、蛋白、ポリペプチド、アミノ酸、培養物およびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの材料並びに所望により親水コロイドを含むことができる。
【0045】
本発明は、また練り歯磨で使用されるための共沈したカラギーナン/キサンタンを含む練り歯磨および結合剤処方物を含む。好適な練り歯磨は、研磨剤、湿潤剤、結合剤、界面活性剤、水および所望により他の材料(練り歯磨の従来の成分例えば香料および甘味料である)の1つ以上を含むことができる。練り歯磨組成物の固体および液体の成分は、一定の押し出し可能なクリーム状の材料である製品を生成するように処方される。
【0046】
結合剤は、粘度を形成し、望ましいコンシステンシーおよびチキソトロピーをもたらし、そして貯蔵および使用中の成分の分離を防ぐ。結合剤は、本発明の共沈したカラギーナン/キサンタン組成物、および所望により追加の親水コロイド例えばセルロース誘導体(「セルロースガム」)(例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびこれらの混合物を含む);ポリビニルピロリドン;キサンタン;カラギーナン例えばイオータカラギーナン、カッパカラギーナン、カッパ−2カラギーナン、ラムダカラギーナンおよびこれらの混合物;グアガム;カラヤガム;アラビアガム;トラガントガム;およびこれらの混合物を含む。
【0047】
カラギーナン含有練り歯磨は、本明細書で参考として引用されるUS6162418に開示されている。水和されたシリカおよびコロイド状シリカは、増粘剤として使用される。シリカ増粘剤は、例えば、本明細書で参考として引用されるUS6342205に開示されている。
【0048】
練り歯磨の賦形剤は、口腔的に許容できそして水および湿潤剤からなる。湿潤剤は、口当たりを良くし、また練り歯磨組成物が乾くのを防ぐ。典型的な湿潤剤は、3−6炭素のそれぞれの炭素がヒドロキシル化されているポリオールおよびこれらの混合物、例えばグリセロール(グリセリン)、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、マンニトール、キシリトールおよび他の糖アルコールである。ソルビトールおよびグリセロールが好ましい。水は、好ましくは、脱イオン化されそして不純物を含まない。
【0049】
練り歯磨組成物は、また界面活性剤を含んで、練り歯磨成分を乳化するかまたは均一に分散する。界面活性剤は、典型的な例では、アニオン性または非イオン性の界面活性剤またはこれらの混合物である。好適な界面活性剤の例は、高級脂肪酸モノグリセリドモノスルフェートの水溶性塩;高級アルキルスルフェート;高級アルキルアリールスルホネート;高級アルキルスルホアセテート;1,2ジヒドロキシプロパンスルホネートの高級脂肪酸エステル;低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミド例えば脂肪酸、アルキルまたはアシル基中に12−16炭素原子を有するもの;高級オレフィンスルホネート、高級アルキルポリ低級アルコキシ(3−100アルコキシ基)スルフェートおよび脂肪酸石けんを含む。これらのアニオン性界面活性剤は、ナトリウムラウリルスルフェート(SLS)、ナトリウム水素化ココナッツ油脂肪酸モノグリセリドモノスルフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムラウリルスルホアセテート、ナトリウムN−ラウリルサルコシネート、およびナトリウムコケートを含む。非イオン性界面活性剤の好適なタイプは、低級アルキエンオキシド例えばエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの鎖を含む。普通使用される界面活性剤は、ナトリウムラウリルスルフェートである。
【0050】
練り歯磨組成物は、多数の所望の成分を含む。治療上または化粧品上の利点をもたらす剤が存在し、例えばエナメル硬化剤、歯石コントロール剤、美白剤および抗菌剤がある。1つ以上の甘味剤および香料が消費者を満足させるために添加される。練り歯磨の従来の成分である他の材料、例えば不透明剤および着色料も存在できる。
【0051】
香料(芳香材料、芳香剤)は、メントール;カルボン;アネトール;サルチル酸メチル;およびスペアミント、ハッカ、ヒメコウジ、サッサフラス、クローブ、セージ、ユーカリ、マジョラム、ニッケ、レモン、ライム、グレープフルーツ、キンカン、タンジェリンおよびオレンジの油を含む。甘味剤(甘味料)の例は、しょ糖、乳糖、マルトース、ソルビトール、キシリトール、ナトリウムサイクラメート、ペリラルチン、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルターム)およびサッカリンを含む。
【0052】
抗歯石の有効性を有するピロホスフェート塩例えばジアルカリまたはテトラアルカリ金属ピロホスフェート塩例えばNa(TSPP)、K、Na、Na、およびK、長鎖ポリホスフェート例えばナトリウムヘキサメタホスフェート、および環状ホスフェート例えばナトリウムトリメタホスフェートは、練り歯磨組成物中に存在できる。硬化剤の例は、フッ化物の塩例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化亜鉛、フッ化錫、フッ化亜鉛アンモニウム、ナトリウムモノフルオロホスフェート、カリウムモノフルオロホスフェートおよびラウリルアミンヒドロフルオライドである。
【0053】
抗菌剤は、また練り歯磨に含まれることができる。特に有用なのは、フェノール化合物およびビスフェノール化合物、ハロゲン化ジフェニルエーテル、ベンゾエートエステルおよびカルバアニリド例えば安息香酸ナトリウム、4−クロロフェノール、2,2′−トリクロロ−2−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル(トリクロサン);p−ヒドロキシ安息香酸のエステル、特にメチル、エチル(エチルパラセプト)、プロピル(プロピルパラセプト)、ブチル(ブチルパラセプト)、およびベンジルエステル;3,4,4′−トリクロロカルバアナリドおよび3,3′、4−トリクロロカルバアニリドに基づく非カチオン抗菌剤である。好ましい抗菌剤は、トリクロサン(5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール)である。非イオン性抗菌剤例えばセスキテルペンアルコール例えばメロリドールおよびビサボロールも有用である。
【0054】
美白剤は、練り歯磨組成物中に存在できる。有用な美白剤は、酸化剤例えば過酸化カルシウム、過酸化尿素、過酢酸およびナトリウムペルカーボネートである。不透明化剤例えば二酸化チタンは、添加されて練り歯磨を不透明にするかまたはその不透明性を増大させる。
【0055】
練り歯磨組成物は、また練り歯磨の従来の成分である他の成分を含み、例えば敏感な歯に対する減感剤例えば硝酸ナトリウム;口腔で許容できる着色剤例えばベータ−カロテン、クロロフィリン、FDandC Yellow No.5、FDandC Yellow No.6、FDandC Blue No.2,FDandC Red No.4,FDandC Green No.6、FDandC Yellow No.10、FDandC Red No.40、DandC Green No.5、DandC Red No.30レーキ、およびFDandC Blue No.1レーキ;治療剤例えばローズシード油;キレート/金属イオン封鎖剤例えばクエン酸塩;ビタミン例えばビタミンCおよびビタミンE;アミノ酸;蛋白;抗生物質;抗酵素;酵素;pHコントロール剤(緩衝剤);抗酸化剤;および保存料がある。
【0056】
練り歯磨組成物は、典型的な例では、練り歯磨組成物の全重量に基づいて約0.05−3.0重量%の共沈したカラギーナン/キサンタンを含む結合剤を含む。
低カラギーナン練り歯磨の製法は、本明細書で参考として引用されるUS6187293に開示されている。
【0057】
高水分量の練り歯磨も周知である。「高水分量の練り歯磨」に存在する水の量は、練り歯磨組成物で使用される研磨剤に、或る程度依存する。高いレベルのカルシウムに基づく研磨剤例えば2カルシウムホスフェートおよび炭酸カルシウム、および低いレベルのシリカが練り歯磨組成物で使用される。そのため、シリカに基づく高水分量の練り歯磨組成物は、典型的な例では、カルシウムに基づく研磨剤を含むものより多い水を含む。結合剤としてイオータカラギーナンを含む高水分量練り歯磨およびそれらの製法は、例えば本明細書で参考として引用されるUS6159446に記述されている。
【0058】
二酸化珪素すなわちシリカは、その研磨性のためまたはその増粘性のために練り歯磨組成物中に使用できる。研磨剤として使用されるシリカのタイプの例は、Zeodent(商標)113およびZeodent(商標)124(J.M.Huber Co.Atlanta、GA、米国)である。増粘剤として使用されるシリカの例は、Zeodent(商標)165、Zeodent(商標)163およびZeodent(商標)153(J.M.Huber Co.Atlanta、GA、米国)である。これらの2つのタイプの材料の間の性質の相違は、US6342205特に表BおよびC並びにこれらの表に付された記述に示されている。US6342205は、本明細書で参考として引用される。
【0059】
WO2004071321は、高水分量の低研磨性の練り歯磨を開示しており、それは微結晶セルロースおよび8重量%より少ない典型的な例では7重量%以下より典型的な例では1−7重量%のシリカ増粘剤を含む。この練り歯磨組成物は、8−15重量%のシリカ増粘剤を含む練り歯磨組成物よりも低い研磨性を有する。さらに、練り歯磨組成物は、15重量%より少ない、そして1重量%から15重量%より少ない、或る場合には6−10重量%のシリカ研磨剤を含む。存在するシリカの全量は、2−22重量%、或る場合には8−18重量%そして他の場合には10−14重量%である。
【0060】
高い水分量の練り歯磨では、水は高水分量のシリカ含有練り歯磨組成物の45−70重量%を占める。水含量は、また練り歯磨組成物の全重量に基づいて、50−70重量%または60−70重量%である。
【0061】
練り歯磨組成物の「製造時(as made)」の粘度(すなわち、周囲温度へ冷却された後であるが数時間より長い時間放置される前の練り歯磨組成物の粘度、または「最初の粘度」)は、典型的な例では、200mPa−sより低く、沈降を避けそして組成物を自動化された充填装置で使用するのに好都合にする。
【0062】
リン酸2カルシウム(DCP)が研磨剤として使用されるとき、練り歯磨組成物は、典型的な例では、約25−55重量%、より典型的には約35−53重量%のリン酸2カルシウムを含む。炭酸カルシウムが研磨剤として使用されるとき、練り歯磨組成物は、典型的な例では、約25−55重量%、より典型的には約35−50重量%の炭酸カルシウムを含む。従って、練り歯磨組成物中の高いレベルの研磨剤のために、これらの高水分量の練り歯磨組成物中の水の量は、シリカを含むものにおけるよりも少ないだろう。これらの高水分量の練り歯磨組成物は、35−60重量%の水を含み、好ましくは40−60重量%の水を含む。結合剤は、典型的な例では、練り歯磨組成物中の約0.5−3.0重量%の結合剤含量で、所望によりセルロースガム好ましくはカルボキシメチルセルロースとともに処方された、共沈したカラギーナン/キサンタンを含む。結合剤の量は、シリカ増粘剤の存在、例えば、約7重量%以内例えば1.0−7.0重量%典型的な例では約1.0−4.0重量%のシリカ増粘剤の存在により、またはシリカ増粘剤および微結晶セルロースの存在、例えば0.5−7.0重量%典型的には0.5−2.0重量%のシリカ増粘剤および0.5−10.0重量%典型的には1.0−3.0重量%の非コロイド状微結晶セルロース、コロイド状微結晶セルロースまたはこれらの混合物の存在により、減らすことができる。研磨剤、水、結合剤および他の成分が決められると、湿潤剤が原料の残りを占める。
【0063】
練り歯磨組成物は、典型的な例では、約0.8−約3.0重量%好ましくは約1.0−約2.0重量%の表面活性剤を含む。香料が存在するとき、練り歯磨組成物は、典型的な例では、約0.1−約2.0重量%、より典型的には約0.5−約1.5重量%の香料を含む。甘味剤が存在するとき、練り歯磨組成物は、典型的な例では、約0.1−約2重量%の甘味剤を含む。抗歯石剤が存在するとき、練り歯磨組成物は、典型的な例では、約0.5−約8.0重量%の抗歯石剤を含む。抗菌剤が存在するとき、練り歯磨組成物は、典型的な例では、約0.03−約1重量%の抗菌剤を含む。美白剤が存在するとき、練り歯磨組成物は、典型的な例では、約0.1−約5重量%好ましくは約0.5−約2重量%の美白剤を含む。ピロリン酸塩が存在するとき、練り歯磨組成物は、典型的な例では、約0.5−約8.0重量%好ましくは約1.5−約3重量%のピロリン酸塩を含む。硬化剤が存在するとき、硬化剤は、典型的な例では、練り歯磨組成物の約0.1−約5重量%を占める。他の成分例えば色素および不透明化剤が存在するとき、それらは、有効な量すなわち各成分がその特定の目的を達成するのに必要な量で存在する。
【0064】
練り歯磨組成物は、ホット法または周囲温度法の何れかで製造でき、バッチプロセスまたは連続プロセスの何れかが使用できる。周囲温度法はときにはコールド法ともよばれる。ホットプロセスは、例えばUS4353890、4565692および6187293に記載されており、その記述は本明細書で参考として引用される。練り歯磨の連続製造は、例えばUS6187293特にその図1およびそれに伴う記述で開示されており、その記述は本明細書で参考として引用される。練り歯磨の連続製造は、US5236696にも開示されている。
【0065】
当業者は、本発明の共沈したカラギーナン/キサンタンが、不透明、ホットプロセス、高水分量、低研磨剤、透明または縞のある練り歯磨処方物を含む広範囲の口腔ケア製品の製造にとり、追加の親水コロイドとの混合でまたは単独で、練り歯磨結合剤に使用して好適であることを認識するだろう。
【0066】
本発明は、また、食品処理組成物に関する。本発明により処理された食品製品は、1つの場所で本発明の食品処理組成物により製造され、そしてさらなる処理のために、液体の浸みだし、漏れまたはドリップロスを減らして他の場所へ送られる。これは、このような製品の消費者へのアピールが食用獣肉の包装内の液体の存在により不利に影響されるので、重要な利点である。さらに、食用獣肉包装中への液体の浸みだしが、有害な微生物の成長に好適な環境をもたらし、それゆえこの追加の理由のために避けねばならない。
【0067】
新しく処理された食用獣肉は、本発明による共沈物を含む塩水溶液を注入される。本発明は、新鮮な鶏肉または豚肉においてリン酸塩および標準のカラギーナンシステムよりも25−50%塩水の保持を改善するのに使用できる。さらに、本発明の共沈物は、塩に対して優れた許容度を示し、そのため不利な性能の影響なしに、塩が添加される前後に塩水溶液または他の組成物へ添加できる。これは、処理を簡略化し、製品の処方における誤りの可能性を排除する。
【0068】
塩水溶液は、任意の好適な従来のやり方でつくることができる。塩水溶液に含まれる成分は、ドライブレンドまたはドライミックスとして含まれる任意の好適な形で添加できる。塩化ナトリウムおよび/またはトリポリホスフェートは、塩水に添加されて食用獣肉の水結合容量を増加させる。本明細書で示されるように、本発明の製品は、ホスフェートを含むかまたは含まない塩水溶液で有効であり、そのためホスフェートを排除することが優先する製品に用いることができる。
【0069】
その上、本発明の食品処理組成物は、解凍時に液体の浸みだし、漏れまたはドリップロスの減った次の解凍のために食品を冷凍することを可能にする。さらに、本発明による食品処理組成物は、調理中重量の減少が減った食品の調理を可能にして調理の収率を改善する。これは、食品のサービスの用途で、改善された製品の水分保持をもたらす。
【0070】
「未調理の食品製品」は、加熱処理をうけていない食品製品、または食品中の蛋白を変性させる温度より低い1つ以上の温度で加熱処理を受けた食品製品を意味する。この温度は、典型的な例では、約60℃より低いが、食品の蛋白組成に従って変化する。食用獣肉および鶏肉では、加熱処理は、好ましくは約60℃より低いそしてより好ましくは約55℃より低い1つ以上の温度を含む。魚肉では、加熱処理は、好ましくは約50℃より低いそしてより好ましくは約40℃より低い1つ以上の温度を含む。そのため、未調理の食品製品は、未調理である食品製品、例えばすべての処理温度に曝されていない食品製品例えば冷蔵または冷凍の食品製品、並びに加熱されているが蛋白変性温度に達するのに十分なほど加熱されていない(例えばやや加温された燻蒸)食品製品を含む。好ましくは、本発明による食品処理組成物は、食品製品が普通処理される、取り扱われる、輸送されるおよび/または貯蔵される温度で添加される。
【0071】
共沈物組成物または共沈物を含む組成物は、注入装置、混合、ブレンドおよび転倒装置を用いて食品製品に添加できる。組成物が食品製品中に存在すると、それは水を吸収し、増粘またはゲル化して食品製品からの液体の浸みだし、漏れまたはドリップロスを有利に減少させる。
【0072】
本発明に従った或る塩水処方物を用いて達成が可能な他の有利さは、注入された食用獣肉製品の改善されたコンシステンシーを含み、それによりゲルポケット処方物を減らしそしてより良い分布のために食用獣肉中への浸透を増大させる。これらの利点は、本発明の共沈物の使用により比較的低粘度の塩水が得られる能力から生ずる。これは、また低粘度の塩水が注入中食用獣肉製品に局在的な高い力を働かすことが少ないので、食用獣肉製品中の筋肉の引き裂きおよび破裂の可能性を減らすように働く。本発明の低粘度の塩水がポンプで運ばれることを改善し、装置の摩損を減らしそして収量を増すことも予想される。
【0073】
もし注入装置が、組成物を食品製品へ添加するのに利用されるならば、組成物の粘度は、好ましくは従来の注入装置例えばFomaco Multineedle Injecter EquipmentモデルFGM 20/40を使用して注入するのに好適である。例えば、組成物が約1−1000cps、約5−800cps、約10−800cpsそして最も好ましくは約20−800cpsの粘度を有することが好ましい。組成物が食品と例えば高せん断装置で混合される場合、組成物の粘度は高い。従って、もし組成物の配合がグラインダー、カッターまたは乳化器例えばコロイドミルで行われるならば、高濃度の共沈物が利用されて高い粘度の組成物を得る。上述のように、食品処理組成物中に含まれる多糖類の濃度は、食品製品への添加のやり方に応じて変化でき、また特定の共沈物、または組成物中で利用される共沈物を含む組成物に応じて変化できる。もし組成物が注入装置を用いて添加されるならば、注入装置の使用を可能にする濃度、例えば約5%以内より好ましくは約0.01−2重量%さらに好ましくは約0.1−1重量%で、塩水組成物に含まれるのが好ましい。
【0074】
共沈物または共沈物を含む組成物は、好ましくは、製造中ゲル化しないが、食品製品中への配合後その場でゲル化する可能性を有する。従って、典型的な例では、塩水組成物は、共沈物を含むが、製造時に組成物のゲル化を生じさせる成分および/または組成物をゲル化できる条件では製造されない成分をそのなかに含まない。例えば、塩水組成物は、ある条件下では共沈物組成物のゲル化に影響すると思われる成分を含むことができるが、これらの成分は、それらが溶液のゲル化を生じさせない条件下で存在する。それゆえ、成分は、不溶解例えば特定の温度またはpHで不溶であり、例えば硫酸カルシウムを含むいくつかの溶解度の低いカルシウム塩である。成分は、組成物の浸透中不活性の形であり、例えば特定の温度またはpHでのみ活性になる被包された活性成分として組成物中に存在することができる。
【0075】
本発明の食品処理組成物は、所望により、食品製品中で、もし望むならばゲル化される。ゲル化は食品製品中に望まれる改善を達成するには不必要であるが、もし望むならば、食品製品への添加後、共沈物の特別な組成に応じて、食品製品中に存在する条件および/または食品製品中で改変される条件により、食品製品内で組成物のゲル化を生じさせる。例えば、ゲル化は調理中に生じ、その場合ゲルは或る粘度を上げ、それにより調理の損失を部分的に減らす。それゆえ、食品製品からの液体の浸みだしまたはドリップロスは、調理中並びに流通および取り扱い中に減らされて高い調理収率をもたらす。
【0076】
食品製品は、任意のタイプの食用獣肉、鳥肉またはシーフードであって、野生または飼育された動物であり、骨または皮付きまたは骨または皮なしで、全体または一部であり、ミンチされたまたは細分されたまたは乳化されたものであり、任意の状態の天然、新鮮、冷蔵、冷凍およびジャーキーされた食用獣肉または他の未調理の条件にあるものである。
【0077】
本発明は、本発明の単なる例示に過ぎず、そして本発明を制限するものと考えてはならないいくつかの実施例について記述される。
(テスト方法)
粘度:カラギーナン/キサンタンのサンプルの1.5重量%の水溶液は、混合し85℃へ加熱し、15分間保持し、次にBrookfield LV粘度計を用いて粘度をはかる前に75℃へ冷やすことにより調製される。粘度は、他に述べられていない限り同じ方法に従って、1.5重量%のカラギーナンまたは1.0重量%のキサンタンを含む水溶液を用いて測定された。
【0078】
水分量は、オーブン中で華氏110度で1時間乾燥したときの重量損失により測定する。
ゲルの強さ:ゲルは、溶液を水浴中で機械的に連続攪拌しつつ82℃に加熱することにより調製される。重量は、蒸留水を用いて蒸発による損失を調節し、溶液を十分に混合する。加熱された溶液を3つの皿(70mm×50mm)に注ぎそして1時間25℃の水浴に置く。ゲルはひっくり返され、テスト装置に置かれてプランジャーがゲルの中心に当たるようにする。プローブの破壊力の強さ(グラム力)および進入距離(cm)は、Instron Materialsテスト装置Model 4442、能力10kg、直径10.9mmの先細の金属プランジャー、下降速度70mm/分を用いて測定される。テスト用の水ゲル組成物は、蒸留水中2重量%のガム固体を用いる2%水ゲル;蒸留水中1重量%のガム固体プラス1重量%の塩化カリウムを用いる「1%+1」水ゲル;および蒸留水中1重量%のガム固体プラス1重量%の塩化カリウムおよび1重量%の塩化カルシウムを用いる「1%+1+1」水ゲルを含む。牛乳ゲルは、冷たいホモゲナイズされた全牛乳中でサンプルを混合しそして82℃に加熱することにより調製される。蒸発した損失を調節した後、加熱溶液を皿に注ぎ、1時間10℃の水浴に置き、次に直径21.5mmの先細の金属プランジャーを用いる以外は、水ゲルにおけると同様に、Instron Model 4442によりゲルの強さをテストする。
【0079】
酸安定性:1.5%の溶液は、混合および82℃への加熱および75℃への冷却により作られた。サンプルを75℃の浴に入れ、5.04gのリン酸ナトリウムおよび6.2gのクエン酸ナトリウムを添加攪拌した。粘度およびpH(=3.8)は、75℃で7.5分、15分、30分,45分,60分、75分および90分後に再テストされた。加水分解の速度は、毎分の粘度の低下として計算される。
【0080】
粒子のサイズは、堀場LA−910レーザー散乱粒子サイズ分析器を用いて測定した。
Brabenderテスト:水溶液中または製品処方物中の共沈したカラギーナン/キサンタンの水和および粘度の挙動は、Brabender粘度計(モデルViskograph−E)を用いて測定される。サンプルを加熱しつつ攪拌し、最大の温度に保持し、次に冷却する。加熱および冷却の速度は、1.5℃/分に設定される。Brabender粘度計上のカップ回転速度は、75rpmに設定される。Brabender水和プロフィルは、脱イオン水中2重量%のサンプルを用いて測定される。テスト溶液は、以下の加熱/冷却プロフィルを用いる。25℃で20分間保持、95℃に加熱、10分間95℃に保持、25℃に冷却および5分間25℃に保持。水和も、脱イオン水(42.8重量%)、ソルビトール(33.1重量%)、グリセリン(19.5重量%)、ナトリウムモノフルオロホスフェート(2.1重量%)、結合剤(1.6重量%)、テトラナトリウムピロホスフェート(0.5重量%)およびナトリウムサッカリン(0.重量%)を含むモデル練り歯磨エリキシルで測定する。テスト溶液は、以下の加熱/冷却プロフィルを用いる。25℃で5分間保持、82℃へ加熱、1分間82℃保持、25℃へ冷却、5分間25℃に保持。
【0081】
練り歯磨サンプルの製造:練り歯磨組成物は、以下の手順でホットプロセスを用いて製造される。
(1)結合剤を高速攪拌機により湿潤剤中に分散し、約10分間攪拌する。
(2)水を約80℃に加熱し、温度を60−70℃に維持している間、15分間攪拌を続けつつ湿潤剤/結合剤混合物に添加する。
(3)研磨剤を除く乾いた成分例えばナトリウムサッカリン、安息香酸ナトリウムなどをドライブレンドする。ドライブレンドを結合剤スラリー中へ攪拌しそして温度を60−70℃に維持しつつ攪拌を15分間続ける。
(4)真空付属品を付けた低速Rossミキサーに得られたエリキシルを移す。Rossミキサーは、二重遊星歯車の2枚のパドルミキサーであり、それは毎分20−100回転で操作され真空下操作できる。
(5)研磨剤をエリキシルへ添加してペーストを形成しそしてこのペーストを真空下(少なくとも720mmHg)15分間混合する。
(6)香料を次に添加しそしてペーストは完全な真空下Rossミキサー中で10分間混合される。
(7)界面活性剤例えばナトリウムラウリルスルフェート(SLS)を次に添加しそしてペーストの混合を20分間真空下続ける。
(8)サンプルをテストのため取り出し、チューブの充填または他のディスペンサーのためにバッチの内容物を取り出す。
【0082】
練り歯磨の粘度は、Helipath付属品を付けたBrookfield DVII粘度計を用いて5rpmでT−BarスピンドルEで測定される。サンプルは先ず周囲温度(25℃)に平衡された。練り歯磨組成物30−40gを含むチューブ中に直接スピンドルを入れることにより、粘度を測定した。固定スピンドルをサンプル内に配置した。粘度計を作動させ、そして合計6回の読み取り(次に平均化される)のために、合計1分間10秒毎に読み取りを記録した。
【0083】
(Cubanテスト)
Cubanテスト(「Rack」テストともよばれる)では、練り歯磨は、平行する棒の格子をもつ固定したオリフィスを通ってチューブから絞り出され、棒の隣接する組は、互いに距離を広げつつ間隔が空いている。テストの結果は、歯磨のリボン状物の切断なしに支持する棒の間の最大の距離を示す最大のスペース数(数は1−12である)として表示される。ラックは、長さ約300mmおよび幅約100mmである。ステンレス鋼の棒は、棒1と棒2との間が3mm離れることから始まって(スペース数1)その距離が拡がるように配置される。棒の組の間の距離は、1つの組から他の組では3mm増す。従って、棒2と棒3との間の距離は6mmであり、12番目と13番目との間の距離(スペース数12)は39mmである。高水分量の練り歯磨ではない練り歯磨では、1−2および9−12のラック点またはスペース数のものは許容できず、3および8のラック点またはスペース数のものは許容でき、そして4−7のラック点またはスペース数のものが良好である。Cubanテストの手順は、以下のように行われる。(1)テストされるべき練り歯磨組成物を満たした練り歯磨チューブへ、直径3.2mmの開口をもつノズルを固定する。(2)テスト練り歯磨組成物が満たされかつノズルを付けたチューブを、ラック装置に対して45°の角度で保持する。圧力をチューブの底部に加え、ペーストの均一なリボン状物をチューブからしぼり出す。ペーストのリボン状物がチューブから押しだされる間、チューブを直線状にラック上を動かす。ラック上にペーストのリボン状物を伸ばす時間は、普通約2−4秒である。もしリボン状物が、ラック全体を横切る前に切れるならば、手順をやり直す。(3)リボン状物を30秒間放置する。そのとき、リボン状物が切れる点数またはスペース数を、ラック点またはCuban値として記録する。(4)テストを3回行い、平均の読みを記録し、完全な数値に最も近い値を求める。
【実施例1】
【0084】
(共沈したカラギーナン/キサンタンの製造)
共沈したイオータカラギーナン/キサンタンは、2800cPの1重量%粘度および7.3のpHを有するキサンタンを脱イオン水に熔解し、次にキサンタン溶液をアルカリ性のイオータカラギーナン溶液へ添加することにより製造された。サンプル1−1から1−4では、キサンタンは、水中に分散して0.5重量%の溶液を形成しそして常に攪拌しつつ82℃に加熱することにより溶解された。このキサンタン溶液を次に1.5重量%のイオータカラギーナン溶液と混合した。(親水コロイドの濃度は、親水コロイドについて水分のないガム含量ベースの重量に基づく)。2つの溶液を等量で混合して25部のキサンタンに対して75部のイオータカラギーナンの比を得た。混合物を、75%イソプロピルアルコール/25%水中の沈殿により回収し、加熱および真空下乾燥し、次に砕いて100メッシュより小さい粒子サイズにした。サンプル1−5は、同じやり方で製造したが、ただしキサンタン溶液は0.8重量%のより高い濃度で製造されそしてこのキサンタン溶液の1部を1.66部の1.5重量%のイオータカラギーナンと組み合わせて25部のキサンタンに対して75部のイオータカラギーナンの比を得た。乾いた共沈物を脱イオン水に溶解しそして粘度およびpHをテストした。結果を表1に報告する。
【0085】
【表1】

【実施例2】
【0086】
(Brabenderテスト)
Brabender水和プロフィルは、490gの脱イオン水および10gの実施例1−3からの共沈した生成物を用いて製造された2重量%の水溶液、または比較例として、490gの脱イオン水中の75%カラギーナンおよび25%キサンタンの対応する「ブレンド」10gを用いて製造された2重量%の水溶液について加熱および冷却の両方を含む温度プロフィル中、75rpmのカップ速度で粘度のレスポンスを測定することにより測定された(図1)。最初の水和プロフィルは、約40℃より低い温度で脱イオン水中で両方のサンプルについて非常に類似していた。加熱段階中、本発明の共沈した生成物は、比較する「ブレンド」サンプルに比べて、50℃と70℃との間でより高い粘度を示した。同様に冷却すると、本発明の共沈した材料は、「ブレンド」サンプルよりも高い粘度をもたらすことが観察された。
【0087】
実施例1−3の共沈したサンプル、そして比較例として、75重量%のカラギーナンおよび25重量%のキサンタンの対応する「ブレンド」サンプルの水和の挙動は、上記の方法により製造された42.8重量%の脱イオン水、33.1重量%のソルビトール、19.5重量%のグリセリン、2.1重量%のナトリウムモノフルオロホスフェート、1.6重量%のサンプル、0.5重量%のテトラナトリウムピロホスフェートおよび0.4重量%のナトリウムサッカリンを含むモデル練り歯磨エリキシルにおいても同様な特徴を有した(図2)。
【実施例3】
【0088】
(注入された新鮮なブタ腰肉中のドロップロスの比較)
塩水サンプルは、86.7重量%の水、8.3重量%の塩(NaCl)、2.5重量%のナトリウムトリポリホスフェートおよび2.5重量%のサンプルを用いて製造され、この場合サンプルは、イオータカラギーナン(本発明ではないコントロール)、共沈した75:25のイオータカラギーナン/キサンタン(本発明のサンプル1−3)および比較例として75重量%のイオータカラギーナンおよび25重量%のキサンタンの対応する「ブレンド」を用いて製造された塩水であった。塩水溶液の粘度は、イオータカラギーナン(コントロール)および共沈したイオータカラギーナン/キサンタン(サンプル1−3)について同じであり、そして目標とする注入は両者において達成された。
【0089】
【表2】

【0090】
「ブレンド」により製造された塩水(比較例)は、しかし、粘度がより高く、そしてポンプで運ぶには幾分困難であった。ブタ腰肉の部分には、80本の3mmの鉛筆の芯状の針を備えたFomaco FGM20/80注入器を用いて125%(注入前のブタ腰肉の重量に対する注入後の重量%)の目標重量へ塩水を注入し、次に計量しそしてラックに置き、さらに間隔をおいて再計量してドリップロスとして報告される時間の関数として重量の損失を得た(ドリップロスは、注入後の或る時期に残った重量を量りそしてそれを注入直後のブタ腰肉の重量と比べることにより測定される重量損失の%である)。
【0091】
「ブレンド」(比較例)から製造された塩水を用いて達成された平均の注入は119%であり、それは125%という目標とする注入レベルよりも幾分低かった。図3に示されるように、2.5重量%の共沈したイオータカラギーナン/キサンタン(実施例1−3)を含む塩水を注入された豚肉のドリップロスは、2.5重量%の市販のイオータカラギーナンを含む塩水(本発明ではないコントロール)または2.5重量%の「ブレンド」(比較例)を含む塩水の何れかを注入された豚肉のドリップロスに比べて、時間の経過によるドリップロスの低下を示した。ドリップロスについて24時間冷凍保持された後、ブタの腰肉は、華氏165度(74℃)の内部温度への一定割合で増やす加熱により調理された。全調理プロセス収率、すなわち最初の重量(注入前)により除された最初の重量(注入前)を減じた最終の調理された重量は、図4に報告される。最高の調理されたプロセスの収率は、共沈したカラギーナン/キサンタン含有塩水を用いて塩水を注入されたブタ腰肉について得られた。
【実施例4】
【0092】
(注入された全鶏肉におけるドリップロスの比較)
実施例3で使用された塩水組成物は、80本の3mmの鉛筆の芯状の針を備えたFamaco FGM 20/80注入器を用いて120%の標的重量へ新鮮な全鶏肉中に注入し、次に計量し、ラックに置き、そして間隔をおいて再計量して15分、30分、1時間および2時間後のドリップロスを得た。鶏肉を次にカバーし、再冷凍し、そして(各塩水についてテストされる15の群あたり)3つの高さに積み重ねた5列で貯蔵して輸送をシミュレートした。重量の損失を1日、3日、5日および7日後測定した。同じ塩水の第2のバッチを用いて第2の別の注入試験でテストを繰り返した。両方の場合、「ブレンド」(比較例)を用いて製造した塩水は、より高い粘度を有し、そしてそれぞれイオータカラギーナン(本発明ではないコントロール例)および実施例1−3の共沈ブレンドを用いる塩水の注入により達成された120%の目標重量と比べて、115%の目標重量に注入されるに過ぎなかった。表は、ドライブレンド組成物に対して75:25共沈物を用いて製造されるホスフェート塩水の粘度が、顕著に低い粘度を有することを示す。共沈物は、或る範囲の濃度で許容できる懸濁物とともに望ましい低い粘度をもたらす。低い粘度の塩水を用いる処理の利点は、注入器の針の詰まりが少なく、処理性が改善されて、同じレベルで注入を再現でき、食用獣肉内で塩水のより均一な分布を行うことができて(ゲルポケットの形成を避けることができる)。
【0093】
2つの試験の平均を示す図5に示されるように、2.5重量%の共沈したカラギーナン/キサンタン(実施例1−3)を含む塩水を注入された鶏肉のドリップロスは、2.5重量%の市販のイオータカラギーナン(本発明ではないコントロール例)を含む塩水を注入された鶏肉のドリップロス、および2.5重量%の「ブレンド」(比較例)を用いて製造された塩水を注入された鶏肉のドリップロスと比べたとき、時間の経過による最低のドリップロスを示した。7日後、共沈したサンプル(実施例1−3)を含む注入された塩水に関するドリップロスは、顕著な有利さを示した。それは、そのドリップロスが、イオータカラギーナン(本発明ではないコントロール例)のみを含む塩水を注入された鶏肉に関するドリップロスよりも2.25%低く、そして「ブレンド」(比較例)を含む塩水を注入された鶏肉のそれよりも11%低かったからである。
【実施例5】
【0094】
(種々のタイプのカラギーナンを含むキサンタンの共沈物)
以下の親水コロイドにより水溶液を製造した。22cPの1.5重量%の粘度およびpH=9.1のカッパカラギーナン;30cPの1.5重量%の粘度およびpH=9.1のイオータカラギーナン;105cPの粘度およびpH=8.7のラムダカラギーナン;38cPの1.5重量%の粘度およびpH=10のイオータカラギーナンおよび2800cPの1.5重量%の粘度およびpH=7.3のキサンタン。特定の重量比の混合物は、カラギーナンおよびキサンタンを適切な比で水中に分散して室温で1.75−2.0%の固体含量をもたらすことによって製造された。サンプルを混合しつつ90℃に加熱した。もし必要ならば、pHを、水酸化ナトリウムの10%溶液で8−10の範囲内に調節した。1時間混合した後、共沈物を、イソプロピルアルコール/水の溶液中の共沈により回収し、乾燥し砕いて100メッシュよい細かい粒子サイズにした。乾燥共沈物を、粘度、pHおよびゲルの強さ(表3に報告されている)についてテストし、そして同じ組成のドライブレンド混合物と比較して酸抵抗性(表4に報告されている)についてテストした。pH3.8における粘度の損失により測定される酸抵抗性は、ドライブレンドに比べて共沈物について優れている。さらに、表3の結果は、例えば、90:10の組成物が牛乳ゲルで液体であるという事実により、分かるように、本発明の組成物によりもたらされる処方のフレキシビリティーを示す。「NT」は「テストされず」を示す。
【0095】
【表3】

【0096】
【表4】

【実施例6】
【0097】
高せん断ミキサーを用いてキサンタンを水中に約1重量%で分散させた。キサンタン溶液およびアルカリ性カラギーナン溶液を、75%カラギーナンおよび25%キサンタン、または90%カラギーナンおよび10%キサンタンの1.0−1.5%の固体混合物を生成するのに十分な速度で連続攪拌タンク中に計量して入れた。溶液を次に蒸発させて僅かに固体を濃縮し、次にイソプロピルアルコールおよび水の混合物中で凝固させ、遠心分離し、圧縮しそして真空乾燥してアルコールを除き、バッチ乾燥して5%以下の水分量にし、そして砕いて100メッシュより細かい粒子サイズにした。
【0098】
【表5】

【実施例7】
【0099】
(注入された全鶏肉におけるドリップロスの比較)
以下の塩水を製造した。すべての%は重量による。
塩水A:88.75%の水、7.5%の塩化ナトリウム、2.5%のナトリウムトリポリホスフェートおよびカラギーナン対キサンタンの75:25の重量比をもつ共沈物1.25%。
【0100】
塩水B:88.75%の水、7.5%の塩化ナトリウム、2.5%のナトリウムトリポリホスフェート、0.375%の炭酸ナトリウムおよびカラギーナン対キサンタンの75:25の重量比をもつ共沈物0.875%。
【0101】
塩水C:88.75%の水、7.5%の塩化ナトリウム、1.875%のデキストロース、0.625%のクエン酸ナトリウム、0.375%の炭酸ナトリウムおよびカラギーナン対キサンタンの75:25の重量比をもつ共沈物0.875%。
【0102】
塩水D:88.75%の水、7.5%の塩化ナトリウム、2.5%のデキストロース、0.375%の炭酸ナトリウムおよびカラギーナン対キサンタンの75:25の重量比をもつ共沈物0.875%。
【0103】
新鮮な3ポンドの全鶏肉に、80本の3mmの鉛筆の芯状の針を備えたFomaco FGM 20/80を用いて約〜120%(100%が注入前の食用獣肉の重量に相当するとき、125%の目標に対する)へ注入し、計量して注入された塩水の量を測定し、ラックに置きそして間隔をおいて再計量して15分、30分、1時間および2時間後のドリップロスを得た。鶏肉を次にカバーし、再冷凍し、(各塩水についてテストされた15の群あたり)3つの高さに積み重ねた5列で貯蔵して輸送をシミュレートした。
【0104】
【表6】

【0105】
【表7】

【0106】
【表8】

【0107】
用いられてきた用語および表現は、記述のために使用されており、限定のためではない。そのような用語および表現の使用において、示されかつ記述された特徴のすべての均等物またはその一部を排除するどんな意志はない。それゆえ、種々の改変が本発明の範囲および趣旨内で可能であることが認識される。従って、本発明は、請求の範囲内に入る変化を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラギーナン対キサンタンの比が、重量%に基づいて60:40から95:5であることを特徴とする少なくとも1つのカラギーナンおよび少なくとも1つのキサンタンから本質的になる共沈親水コロイド組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのカラギーナンおよび少なくとも1つのキサンタンからなり、該カラギーナン対キサンタンの比が、重量%に基づいて60:40から95:5である請求項1の共沈親水コロイド組成物。
【請求項3】
該カラギーナン対キサンタンの比が、重量%に基づいて60:40から90:10である請求項1または2の共沈親水コロイド組成物。
【請求項4】
該カラギーナン対キサンタンの比が、重量%に基づいて70:30から80:20である請求項1または2の共沈親水コロイド組成物。
【請求項5】
該カラギーナン対キサンタンの比が、重量%に基づいて75:25である請求項1または2の共沈親水コロイド組成物。
【請求項6】
該カラギーナンが、カッパカラギーナン、カッパ−2カラギーナン、イオータカラギーナン、ラムダカラギーナン、ミューカラギーナン、ニューカラギーナンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれたカラギーナンを含む請求項1−5の何れか1つの項の共沈親水コロイド組成物。
【請求項7】
該カラギーナンがイオータカラギーナンである請求項1−5の何れか1つの項の共沈親水コロイド組成物。
【請求項8】
請求項1−7の何れか1つの項の共沈親水コロイド組成物を含むことを特徴とする組成物。
【請求項9】
組成物が、セルロース、化学的に修飾されたセルロース、海草製品、天然ガム、生合成ガム、蛋白、合成親水コロイド、澱粉、変性澱粉、デキストリン、デキストロース、糖、界面活性剤、乳化剤および塩からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物をさらに含む請求項8の組成物。
【請求項10】
組成物が練り歯磨であり、該練り歯磨が、水、湿潤剤、界面活性剤および研磨剤の少なくとも1つをさらに含む請求項8の組成物。
【請求項11】
該組成物は乾いており、塩をさらに含む請求項8の組成物。
【請求項12】
該組成物は乾いており、追加の親水コロイドをさらに含む請求項8の組成物。
【請求項13】
該追加の親水コロイドが、カラギーナン、キサンタン、カルボキシメチルセルロースおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項12の組成物。
【請求項14】
該組成物が食品であり、着色剤、酸味剤、緩衝剤、食品粒子、ハーブ、酸性化剤、ゲル強化剤、変性剤、乳化剤、蛋白、ポリペプチド、蛋白、アミノ酸、培養物およびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの材料並びに所望により親水コロイドをさらに含む請求項8の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの追加の親水コロイド、規格調整剤、研磨剤、充填剤、界面活性剤およびこれらの混合物の少なくとも1つをさらに含む請求項8の組成物。
【請求項16】
組成物が、食用獣肉、魚類および蛋白に基づく製品、飲料、乳製品、ウォーター・デザート・ゲル、冷凍デザート、食品スプレッド、注ぐことのできるまたはスプーンですくえるサラダドレッシング、スープ、ソースおよびグレービーソース、酸性化食品、酸性化飲料、食品への擦り込み用調味料、マリネおよびスパイスブレンド、ゲル化食品および増粘された食品からなる群から選ばれる請求項8の組成物。
【請求項17】
組成物が、油田の掘削および破断流体、セメント、壁のプラスター、殺虫剤、殺草剤、ペットフード、クリーニングおよび衛生組成物および解凍流体からなる群から選ばれる請求項8の組成物。
【請求項18】
組成物が、粘土、保存料、金属酸化物、着色料、酸味料、緩衝剤、食品粒子、ハーブ、酸性化剤、ゲル強化剤、変性剤、乳化剤、蛋白、ポリペプチド、アミノ酸、培養物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの材料並びに所望により親水コロイドを含む請求項17の組成物。
【請求項19】
組成物が、口腔ケア製品、練り歯磨、エア・フレッシュナー・ゲル、化粧用のクリームおよびローションからなる群から選ばれる請求項8の組成物。
【請求項20】
組成物が、粘土、保存料、金属酸化物、着色料、酸味料、緩衝剤、食品粒子、ハーブ、酸性化剤、ゲル強化剤、変性剤、乳化剤、蛋白、ポリペプチド、蛋白、アミノ酸、培養物およびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの材料並びに所望により親水コロイドを含む請求項19の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つのカラギーナンおよび少なくとも1つのキサンタンを含む水和された親水コロイドを混合する工程、並びに混合した親水コロイドを共沈して水性媒体から共沈した親水コロイドを回収する工程を含むことを特徴とする請求項1−7の何れか1つの項のともに処理される親水コロイドを製造する方法。
【請求項22】
ともに処理される親水コロイドが、アルコールにより共沈され、アルコール含有浴から回収される請求項21の方法。
【請求項23】
請求項1−7の何れか1つの項の共沈した組成物を含む水性組成物を未調理食品製品へ添加する工程を含むことを特徴とする食用獣肉、シーフードおよび鳥肉の少なくとも1つを含む未調理の食品製品を処理する方法。
【請求項24】
水性組成物が注入により添加される請求項23の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−518106(P2011−518106A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506430(P2010−506430)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/061133
【国際公開番号】WO2008/134306
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】