説明

内照式表示体

【課題】 本発明は、メンテナンス性がよく、しかも、堅牢な内照式表示体を提供することにある。
内照式表示体を提供することにある。
【解決手段】 上枠2と、下枠3と、背板4と、側板11と、表示面6と、発光部9や光反射板10、電源部45などで構成する発光ユニット30とを備えており、側板11は、上下枠2,3と背板4の両側端部に着脱自在に取り付けてあり、発光ユニット30は、一側面または両側面に発光部9や光反射板10、電源部45を取り付けてあり且つ表示面6とほぼ平行に配置される支持板43を有し、上下枠2,3の内周側における対向位置には、両側板11間に延びる保持溝47がそれぞれ設けてあり、上下の保持溝47間には、側板11を取り外したときに、発光ユニット30の支持板43の上下両端部をそれぞれスライド自在に保持することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路指示標識や店舗広告などに利用される内照式表示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に道路案内標識にあっては、ドライバーや歩行者が常に情報を確認できる状況が担保されるべく、昼夜あるいは天候に左右されない明確な表示を目的とした内照式表示体が広く採用されている。これらは一般に、ボルトやネジなどの固定具を用いて上下、両側、背面を金属板で箱組みして中空の本体を形成し、さらに、表示面と対向する背板内周側において、蛍光管や光反射板などから構成される発光ユニットをネジやボルト、ナット等の固定具を用いて固定するものであった。また、開放している本体正面側には、一面に文字や絵柄などの案内情報を示すアクリル乳半をブラケットや挟持具などの支持具を介してネジやボルトで固定する構造である。上記のように形成された内照式表示体は、本体内部にン内蔵された発光部を発光させ、その光を光反射板やアクリル乳半で拡散することで、夜間でも表示面に情報が鮮明に照らし出され、道路を通行するドライバーや歩行者がその情報を容易に目視できる状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−197906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような内照式表示体にあっては、発光ユニットを本体に内蔵するときに、上下枠や背板に直接ネジやボルトを使って支持具を固定するものであったため、発光ユニットのメンテナンスの際には、ネジやボルトを外してから本体を分解して発光ユニットを取り出す必要があった。さらに、近年は発光部として蛍光管に換えてLEDが使用されており、このLEDは蛍光管に比べると薄型且つ小型であることから、省電力化が図られたり、あるいは、本体を薄型に形成できる半面、発光ユニットを支持する基盤も小さくなることで比較的耐久性が低く、したがって、ネジやボルトで本体側に固定するときに、締め付けが強くなれば破損するなどの欠点があった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、メンテナンス性がよく、しかも、堅牢な内照式表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、上枠と、下枠と、背板と、側板と、表示面と、発光部や光反射板、電源部などで構成する発光ユニットとを備えており、側板は、上下枠と背板の両側端部に着脱自在に取り付けてあり、発光ユニットは、一側面または両側面に発光部や光反射板、電源部を取り付けてあり且つ表示面とほぼ平行に配置される支持板を有し、上下枠の内周側における対向位置には、両側板間に延びる保持溝がそれぞれ設けてあり、上下の保持溝間には、側板を取り外したときに、発光ユニットの支持板の上下両端部をそれぞれスライド自在に保持することを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2記載の発明は、上枠と、下枠と、背板と、上下枠と背板とを連結するコーナージョイント部材と、側板と、表示面と、発光部や光反射板、電源部などで構成する発光ユニットとを備えており、上下枠と背板と側板とコーナージョイント部材は、押出形材で形成し、側板は、上下枠と背板とコーナージョイント部材の側端部に着脱自在に取り付けてあり、発光ユニットは、一側面または両側面に発光部や光反射板、電源部を取り付けてあり且つ表示面とほぼ平行に配置される支持板を有し、上枠と下枠の内周面の上下に対向する位置には、形材押出方向に連続する保持溝が設けてあり、上下の保持溝間には、側板を取り外したときに、発光ユニットの支持板の上下両端部をそれぞれスライド自在に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、本体から側板を外して本体内部を開放し、本体の上下枠内周側の対向位置に設けてある各保持溝間に、発光ユニットの支持板の上下両端部をそれぞれ差し入れるとともに、支持板を保持溝に沿ってスライドさせて発光ユニットを本体内部に押し込むことで、発光ユニットを本体内部に簡単に取り付けできる。また、本体内に内蔵してある発光ユニットを保持溝に沿ってスライドさせれば簡単に取り外せるので、メンテナンス性が向上して管理のしやすい内照式表示体を提供できる。
【0009】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、上下枠と背板とコーナージョイント部材を押出形材で形成し、上下枠内周側の対向位置に、形材押出方向に連続する保持溝を設けることにより、本体を組み立てたときに保持溝を対向位置に誤差なく位置させることが容易であり、また、保持溝の精度が高く、発光ユニットを本体に内蔵したときにほぼ垂直な状態で支持できる。しかも、メンテナンスの際、発光ユニットをスライドさせたときに受ける本体への衝撃や摩擦に対して堅牢な状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は、本実施による内照式表示体として道路標識用内照灯を示す図3(a)中A−A線縦断面図であり、(b)は、(a)中の本体上部を拡大した側面図である。
【図2】本実施による道路標識用内照灯の組立手順を示す簡略化した斜視図である。
【図3】(a)は、本実施による道路標識用内照灯の全体を示す斜視図であり、(b)は、発光ユニットを保持溝で保持する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、図面に基づいて本実施による内照式表示体として、道路標識用内照灯の実施の形態を説明する。
【0012】
本実施による道路標識用内照灯は、図1(a)(b)と図2を参照すれば、一面側に様々な情報の表示面6を有する縦横ほぼ同寸の箱型をなしており、上枠2と、下枠3と、上下枠2,3の背面側端部間をつなぐ背板4と、上下枠2,3の正面側端部間に配する表示面6とを有する矩形箱型をなし、このうち上枠2、下枠3、背板4は、中空押出形材からなっており、上枠2と背板4及び下枠3と背板4は、同じく中空押出形材からなるコーナージョイント部材5a,5bで連結してある。また、上記の中空押出形材構成部分の開放した両側端部には、本体1内部を塞ぐ側板11をそれぞれ有しており、側板11は、外周部側から蝶ネジ48で固定し、本実施による道路標識用内照灯の本体1を構成している(図2参照)。さらに、本体1内部には、照明光源となるLED9や光反射板10、電源部45等を両側面に取り付ける支持板43とからなる発光ユニット30を、上下枠2,3内周側の対向位置に設けた保持溝47に対し、その上下両端部をスライド式に脱着自在に取り付けてある。
【0013】
道路標識用内照灯の本体1を構成する上下枠2,3と背板4は、図1(a)(b)のように、すべて同一の中空押出形材が使用されており、本体1の外周部側と内周部側に位置し且つ平行な配置関係にある内周壁部2a,3a,4aと外周壁部2b,3b,4bと、内周壁部2a,3a,4aと外周壁部2b,3b,4bの両端を繋ぐ端面壁部2c,3c,4cとからほぼ矩形状に形成してある。また、内周壁部2a,3a,4aまたは外周壁部2b,3b,4bのほぼ中央部には、形材押出方向に沿う断面ほぼ凹状をなす溝部2d,3d,4dが設けてある。溝部2d,3d,4dの形状については、溝内周両側部の溝開口とほぼ面一となる位置から各々内向きに突出する突状18が各々設けてあり、両突状18によって溝開口が狭められる。この溝部2d,3d,4dを利用し、上下枠2,3の溝部2d,3d,4dにボルトヘッド12aを挿入してスライドさせ、さらに、ナット13で締結したときに、ボルトヘッド12aが両突状18の溝部2d,3d,4dに面する内周側に係止する。また、端面壁部2c,3c,4cには、コーナージョイント部材5a,5bと係止するための被係止部15が設けてあり、この被係止部15は、内周壁部2a,3a,4aまたは外周壁部2b,3b,4bとほぼ平行な方向に突出する垂直片と、垂直片の突出先端部から端面壁部2c,3c,4cとほぼ平行な方向に突出する水平片とからなる、ほぼL字状をなしている。
【0014】
コーナージョイント部材5a,5bは、同じく、図1(a)(b)を参照すれば、断面ほぼ三角形状をなす中空押出形材であり、本体1コーナー部の入隅角度を設定する一対の連結壁部16aと、各連結壁部間をつなぐ円弧状をなす露出壁部16bとからなっている。また、連結壁部16aには、連結壁部16aから離れる方向に突出する垂直片と、垂直片の突出先端から連結壁部と平行する方向に突出する水平片とからなるほぼL字状をなす係止部17を有しており、係止部17は、本体1を形成したときの連結壁部16aにおける内周側と外周側間で間隔をあけた二箇所にあり、各係止部17間には、ほぼ半円状に窪んだ挿入孔形成溝が設けてある。
【0015】
そして、上記した上下枠2,3と背板4とコーナージョイント部材5a,5bとの連結については、図1(a)(b)を参照すれば、上枠2または下枠3の被係止部15にコーナージョイント部材5a,5bのいずれか一方の係止部を、コーナージョイント部材5a,5bの形材押出方向に沿ってスライドしながら係止し、係止部と被係止部の互いの水平片同士で奥行き方向と上下方向の抜け出しを規制する。また、コーナージョイント部材5a,5bと上下枠2,3あるいは背板4を係止したときに、互いの挿入孔形成溝が対向してほぼ円形状をなし、且つ形材押出方向に延びる挿入孔20を形成する。そして、連結して形成された上記挿入孔20に、図示は省略するが上下枠2,3の形材長とほぼ同じ長さの棒材を挿通するとともに、挿入孔20の両側の孔開口部に各々ピン23を嵌入して棒材長手方向端部を両側から内向きに押圧することで、ピン23の先端に押し込まれた棒材が彎曲して上下枠2,3とコーナージョイント部材5a,5b、および、背板4とコーナージョイント部材5a,5bの双方を押し拡げる方向に押圧する。これにより、コーナージョイント部材5a,5bと上下枠2、3および背板4の連結が強固になる。
【0016】
そして、図1(a)(b)と図2のように、上枠2と下枠3の内周側には、押出形材からなるアダプタ40a,40bがそれぞれ取り付けてある。このアダプタ40a,40bは、断面上向き又は下向きほぼコ字状の狭巾のものと広巾の2つの押出形材からなっており、幅広のもの(アダプタ40b)の内周側に巾狭のもの(アダプタ40a)を配置し上下に重ね、両アダプタ40a,40b正面側と背面側に形成される二つの間隙部により、後述するが、表示面6の取付溝46と発光ユニット30を保持する保持溝47とをそれぞれ設ける。また、上下のアダプタ40a,40bは、上下の対向位置に固定してあり、また、アダプタ40a,40bの上枠2および下枠3の各内周側への固定には、上下枠2,3に設けてある溝部2d,3dが利用される。具体的には、上下に重ねた両アダプタ40a,40bにボルト12を連通し、ボルト頭部側を溝部2d、3dの長手方向端側からスライドして係止することにより、ナット13で締めることで固定される。尚、図中の符号33は、中空押出形材からなる端部キャップである。
【0017】
表示面6は、ほぼ正方形状をなすアクリル乳半による板体であり、外周面側に地名や路面状況などの文字や絵柄による情報が印刷されたフィルムを貼着してある(図2及び図3(a)参照)。また、発光ユニット30は、フラットな樹脂板の一面(正面)側のほぼ全面にわたり、四方を囲む光反射板10で区画された多数の電球態様のLED9が碁盤目状に配置されており、LED9は、配線を内蔵したLED基盤44に取り付けられている。また、支持板43の他面(背面)側には、本体1外部に延びる電源コードやインバータ、冷却ファンなどを具備した電源部45が取り付けてある。
【0018】
上述した本体1内部に表示面6及び発光ユニット30を取り付けるとき、図2を参照すれば、表示面6を構成するパネル一側端を本体1上枠2および下枠3のアダプタ40a,40bの正面側に配する取付溝46に差込み、そのまま、取付溝46に沿ってスライドさせることにより、図3(b)のように、表示面6が本体1内周側の上下の両取付溝46間で保持される。また、発光ユニット30についても、支持板43のLED9取付面側を本体1正面側に向け、さらに、支持板43の一側端をアダプタ40a,40bの背面側に配する間隙部による保持溝47に差し込み、この保持溝47に沿ってスライドさせることにより、発光ユニット30が本体1上下の保持溝47で安定的に保持される。
【0019】
本実施のものは発光ユニット30の発光部としてLED9を用いているが、例えば、蛍光管や白熱電球などの他の発光手段であってもよい。また、本実施では中空押出形材を用いて本体1を形成しているが、中空押出形材に替えて本体1をソリッド材で形成したり、あるいは、ソリッド材を連結して中空状にした複合材で形成することも可能である。さらに、保持溝47については、本実施のものでは、二つのアダプタ40a,40bを組み合わせて形成しているが、単体のアダプタとして押出一体成形したものや、上下枠2,3と一体成形してあるものでもよい。また、保持溝47における発光ユニット30の支持板43と当接する部位に、当接面が滑面形成されたパッキン41を取り付けてもよい(図1(b)参照)。このようにすると、保持溝47に発光ユニット30を脱着するとき、発光ユニット30が保持溝47に沿って円滑にスライドするとともに、取付た後にも本体1内で発光ユニット30のガタツキが抑えられる。また、本体1の形状についても上記実施形態では、縦横ほぼ同一寸法としたが、縦長や横長に形成してもよく、その形状は限定しない。
【符号の説明】
【0020】
1 本体
2 上枠(押出形材)
3 下枠(押出形材)
4 背板(押出形材)
5a,5b コーナージョイント部材
6 アクリル乳半板(表示面)
9 LED(発光部)
10 光反射板(発光ユニット)
43 支持板(発光ユニット)
45 電源部(発光ユニット)
30 発光ユニット
47 保持溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と、下枠と、背板と、側板と、表示面と、発光部や光反射板、電源部などで構成する発光ユニットとを備えており、側板は、上下枠と背板の両側端部に着脱自在に取り付けてあり、発光ユニットは、一側面または両側面に発光部や光反射板、電源部を取り付けてあり且つ表示面とほぼ平行に配置される支持板を有し、上下枠の内周側における対向位置には、両側板間に延びる保持溝がそれぞれ設けてあり、上下の保持溝間には、側板を取り外したときに、発光ユニットの支持板の上下両端部をそれぞれスライド自在に保持することを特徴とする内照式表示体。
【請求項2】
上枠と、下枠と、背板と、上下枠と背板とを連結するコーナージョイント部材と、側板と、表示面と、発光部や光反射板、電源部などで構成する発光ユニットとを備えており、上下枠と背板と側板とコーナージョイント部材は、押出形材で形成し、側板は、上下枠と背板とコーナージョイント部材の側端部に着脱自在に取り付けてあり、発光ユニットは、一側面または両側面に発光部や光反射板、電源部を取り付けてあり且つ表示面とほぼ平行に配置される支持板を有し、上枠と下枠の内周面の上下に対向する位置には、形材押出方向に連続する保持溝が設けてあり、上下の保持溝間には、側板を取り外したときに、発光ユニットの支持板の上下両端部をそれぞれスライド自在に保持することを特徴とする内照式表示体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−13785(P2012−13785A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147916(P2010−147916)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(510031970)有限会社アートスタジオ (3)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【出願人】(000112185)ビニフレーム工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】