説明

内燃機関の排気浄化装置

【課題】内燃機関の排気浄化装置において、NOx吸蔵還元触媒のNOxを浄化する際に発生するNOの車外への排出を防止することにある。
【解決手段】リーンNOx吸蔵還元触媒(15)の下流に配置されてNOの浄化を行うNO分解触媒(16)を設け、リーンNOx吸蔵還元触媒(15)の上流に配置されて燃料添加を行う燃料添加用インジェクタ(17)を設け、NO分解触媒(16)の温度(Tc)が第一所定温度(α)以上であってリーンNOx吸蔵還元触媒(15)のNOx吸蔵量(M)が所定量(β)に達した場合に燃料添加用インジェクタ(17)に燃料噴射指示を行う制御装置(22)を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の排気浄化装置に係り、特に燃料添加を行って一時的に吸蔵されたNOx(窒素酸化物)を浄化するNOx吸蔵還元触媒を備えた内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載した内燃機関においては、排気ガスの有害成分を浄化するための排気浄化触媒を備えた排気浄化装置が搭載されている。
この排気浄化装置には、内燃機関の排気管に配置されて排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化触媒(三元触媒)と、この排気浄化触媒の下流に配置されてNOxの吸蔵を行うリーンNOx吸蔵還元触媒とを備え、内燃機関から排出されるNOxを浄化するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−215140号公報
【0004】
特許文献1に係る内燃機関の排気浄化装置は、冷間始動時において排気浄化触媒を用いた排気ガスの有害成分の浄化ができない問題に着目した技術である。そのため、内燃機関の排気側に排気浄化触媒を備えるとともに、その排気浄化触媒の下流には、主排気通路から分岐して設けられた分岐通路に水分吸着材とNOx吸着材とを備え、これにより、冷間始動時の排気ガス中に含まれるNOxをNOx吸着材に一時的に吸着させ、排気浄化触媒の活性後にNOx吸着材に吸着したNOxを排気浄化触媒の上流に戻してNOxを浄化し、冷間始動時におけるNOxの排出を防止している。
さらに、特許文献1に係る内燃機関の排気浄化装置では、水分吸着材と、この水分吸着材に吸着した水分を導入する水分導入手段を備え、NOx吸着材にその水分を導入して、NOxの脱離を制御する手段も備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記の特許文献1において、内燃機関としての、リーンバーン(希薄燃焼)ガソリン機関やディーゼル機関等の場合に、空燃比が理論空燃比よりも空気量が多く、リーン(酸素雰囲気)領域で燃焼を行うことから、排気浄化触媒(三元触媒)では、排気ガス中のNOxを十分に浄化できない。その理由は、内燃機関のリーン領域での燃焼によりNOxを多く発生する一方で、NOxを還元するためのCO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)の発生量が少ないことにある。
このため、内燃機関には、リーンNOx吸蔵還元触媒を備えている。このリーンNOx吸蔵還元触媒もNOxの吸蔵を行うものであり、NOx吸蔵触媒の一種である。
リーンNOx吸蔵還元触媒の反応メカニズムは、リーン雰囲気で触媒担体に一旦NOxを吸蔵させた後、一時的に燃料の追加供給を行い、理論空燃比よりも燃料の比率を多くし、リッチ雰囲気に切り替え、吸蔵したNOxを脱離させて三元触媒反応で浄化するというものである。
しかしながら、リッチ雰囲気でリーンNOx吸蔵還元触媒に吸蔵したNOxを浄化する時に、NOが排出されることが、近年報告されている。
Oは、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、フロン(PFC)等とともに、オゾン層破壊物質であると同時に、地球温暖化をもたらす温室効果ガスである。その大気中での寿命が150年で、地球温暖化係数はCOの310倍であることから、ある国の規制では、車両の排出ガス規制が導入される等、排出量の抑制が求められている。
主な排出源は、車両、燃焼、アジピン酸製造、自然界(土壌や、湖、湿地等)が挙げられる。特に、車両から排出されるNOは、我国では総NO排出量の約20%を占めていることから、排気ガス中のNOの削減に取り組む必要があった。
また、リーンNOx吸蔵還元触媒を設置することで、NOxを浄化することはできるが、NOを外部に排出してしまうという問題点が生じた。
【0006】
そこで、この発明の目的は、NOx吸蔵還元触媒のNOxを浄化する際に発生するNOの車外への排出を防止する内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、内燃機関と、この内燃機関の排気管に配置されて排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化触媒と、この排気浄化触媒の下流に配置されてNOxの吸蔵を行うリーンNOx吸蔵還元触媒とを備えて前記内燃機関から排出されるNOxを浄化する内燃機関の排気浄化装置において、前記リーンNOx吸蔵還元触媒の下流に配置されてNOの浄化を行うNO分解触媒を設け、このNO分解触媒の温度を検出するNO分解触媒温度センサを設け、前記リーンNOx吸蔵還元触媒の上流に配置されて燃料添加を行う燃料添加用インジェクタを設け、この燃料添加用インジェクタに燃料噴射指示を行う制御装置を設け、この制御装置は、前記NO分解触媒の温度が第一所定温度以上であって前記リーンNOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵量が所定量に達した場合に前記燃料添加用インジェクタに燃料噴射指示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の内燃機関の排気浄化装置は、NOx吸蔵還元触媒のNOxを浄化する際に発生するNOの車外への排出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は内燃機関の排気浄化装置のシステム構成図である。(実施例1)
【図2】図2は排気浄化制御のフローチャートである。(実施例1)
【図3】図3は内燃機関の排気浄化装置のシステム構成図である。(実施例2)
【図4】図4は内燃機関の排気浄化装置のシステム構成図である。(実施例3)
【図5】図5は排気浄化制御のフローチャートである。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、NOx吸蔵還元触媒のNOxを浄化する際に発生するNOの車外への排出を防止する目的を、リーンNOx吸蔵還元触媒の下流にNO分解触媒を設置し、リーンNOx吸蔵還元触媒に吸蔵したNOxを浄化する際に発生するNOをNO分解触媒で浄化して実現するものである。
【実施例1】
【0011】
図1、図2は、この発明の実施例1を示すものである。
図1において、1は車両に搭載されるリーンバーンガソリン機関等からなる内燃機関、2は内燃機関1の吸気装置、3は内燃機関1の排気装置である。
内燃機関1には、点火プラグ4が取り付けられている。
吸気装置2においては、内燃機関1に連通する吸気通路5を形成する吸気管6が接続している。 この吸気管6の途中には、サージタンク7と、このサージタンク7の上流でスロットルバルブ8とが設けられている。また、吸気管6には、スロットルバルブ8よりも上流で、吸入空気量を測定するマスエアフローセンサ9が取り付けられ、また、サージタンク7の下流で、燃料を噴射するインジェクタ10が取り付けられている。
【0012】
排気装置3においては、内燃機関1に連通する排気通路11を形成する排気管12が接続している。
この排気管12には、内燃機関1から排出されるNOxを浄化する排気浄化装置13を構成するように、内燃機関1側から順次に、排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化触媒(三元触媒)14と、この排気浄化触媒14の下流に配置されてNOxの吸蔵を行うリーンNOx吸蔵還元触媒15と、このリーンNOx吸蔵還元触媒15の下流に配置されてNOの浄化を行うNO分解触媒16とが設けられている。
このNO分解触媒16は、所定温度以上にならないと、活性化しない性質を有し、ゼオライト系の担体に各種の遷移金属を担持させた構成のものや、酸化マグネシウムや酸化亜鉛等の塩基性担体に各種の遷移金属を担持させた構成のものである。
また、排気管12には、排気浄化触媒14とリーンNOx吸蔵還元触媒15との間で、リーンNOx吸蔵還元触媒15の上流に配置されて燃料添加を行う燃料添加用インジェクタ17が設けられている。
更に、排気管12には、リーンNOx吸蔵還元触媒15の上流側のNOx濃度を検出する上流側NOxセンサ18と、リーンNOx吸蔵還元触媒15の下流側のNOx濃度を検出する下流側NOxセンサ19とが設けられている。
また、排気浄化触媒14には、該排気浄化触媒14の温度を検出する排気浄化触媒温度センサ20が設けられている。
更に、NO分解触媒16には、該NO分解触媒16の温度を検出するNO分解触媒温度センサ21が設けられている。
【0013】
点火プラグ4とスロットルバルブ8とマスエアフローセンサ9とインジェクタ10と燃料添加用インジェクタ17と上流側NOxセンサ18と下流側NOxセンサ19と排気浄化触媒温度センサ20とNO分解触媒温度センサ21とは、制御装置(ECU)22に連絡している。
この制御装置22は、NO分解触媒16の温度(Tc)が第一所定温度(α:NO分解触媒が活性化する温度)以上であってリーンNOx吸蔵還元触媒15のNOx吸蔵量(M)が所定量(β:燃料添加を行うための排気浄化触媒のNOx吸蔵量の閾値)に達した場合に、燃料添加用インジェクタ17に燃料噴射指示を行うものである。
上記のNOx吸蔵量(M)は、リーンNOx吸蔵還元触媒15の上流・下流に配置した上流側NOxセンサ18・下流側NOxセンサ19で検出されたNOx濃度と、マスエアフローセンサ9で検出された吸入空気量とから求められる。
【0014】
次に、この実施例1における排気浄化制御を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
図2に示すように、制御装置22のプログラムがスタートすると(ステップA01)、先ず、NO分解触媒16の温度(Tc)を読み込み(ステップA02)、このNO分解触媒16の温度(Tc)が第一所定温度(α)以上か否か(Tc≧α)を判断する(ステップA03)。
このステップA03がNOの場合には、前記ステップA02に戻る。つまり、NO分解触媒16の温度(Tc)が所定温度以上にならないと活性化せず、NOを浄化できないため、NO分解触媒16の温度(Tc)が第一所定温度(α)以上になるまで、燃料添加用インジェクタ17からの燃料添加をしないようにする。このとき、リーンNOx吸蔵還元触媒15が燃料添加時にNOを発生することから、NO分解触媒16の冷機時には、NOが流入するおそれがない。
このステップA03がYESの場合には、リーンNOx吸蔵還元触媒15に吸蔵しているNOx吸蔵量(M)が所定量(β)に達したか否か(M≧β)を判断する(ステップA04)。このステップA04がNOの場合には、前記ステップA02に戻る。
このステップA04がYESの場合には、燃料添加用インジェクタ17から燃料添加を実行し、リーンNOx吸蔵還元触媒15内の浄化をする(ステップA05)。つまり、リーンNOx吸蔵還元触媒15が活性化した後は、リーンNOx吸蔵還元触媒15のNOx吸蔵量(M)が多いと、燃料添加持に、リーンNOx吸蔵還元触媒15に吸蔵されたNOxが浄化されず、NOxがリーンNOx吸蔵還元触媒15から排出されようとしている場合において、NOx吸蔵量(M)が所定量(β)以上で、NO分解触媒16が活性化したときに、所定量の燃料添加を行い、NO分解触媒16にてNOの浄化を実施する。
その後、プログラムをリターンする(ステップA06)。
【0015】
このように、リーンNOx吸蔵還元触媒15の下流にNO分解触媒16を配置し、NO分解触媒16の温度(Tc)が第一所定温度(α)以上であってリーンNOx吸蔵還元触媒15のNOx吸蔵量(M)が所定量(β)に達した場合に、燃料添加用インジェクタ17に燃料噴射指示を行うことにより、リーンNOx吸蔵還元触媒15に吸蔵したNOxを浄化する際に、リーンNOx吸蔵還元触媒15で発生したNOを浄化でき、NOを車両外部に排出することを防止できる。
【実施例2】
【0016】
図3は、この発明の実施例2を示すものである。
図3において、101は車両に搭載される内燃機関としてのディーゼル機関、102はディーゼル機関101の吸気装置、103はディーゼル機関101の排気装置である。
吸気装置102においては、ディーゼル機関101に連通する吸気通路104を形成する吸気管105が接続している。この吸気管105の途中には、吸入空気量を測定するマスエアフローセンサ106が取り付けられている。
【0017】
排気装置103においては、ディーゼル機関101に連通する排気通路107を形成する排気管108が接続している。
この排気管108には、ディーゼル機関101から排出されるNOxを浄化する排気浄化装置109を構成するように、ディーゼル機関101側から順次に、NOxの吸蔵を行うリーンNOx吸蔵還元触媒110と、NOとHCとCOのいずれかを酸化反応させるディーゼル酸化触媒111と、このディーゼル酸化触媒111の下流で粒子状物質(PM)を燃焼して除去を行うディーゼルパティキュレートフィルタ112と、このディーゼルパティキュレートフィルタ112の下流でNOの浄化を行うNO分解触媒113とが設けられる。
また、排気管108には、ディーゼル機関101とリーンNOx吸蔵還元触媒110との間で、燃料添加を行う燃料添加用インジェクタ114が設けられている。
更に、排気管108には、燃料添加用インジェクタ114とディーゼル酸化触媒111との間で、燃料添加用インジェクタ114側から順次に、リーンNOx吸蔵還元触媒115の上流側のNOx濃度を検出する上流側NOxセンサ115と空燃比センサ116とが設けられ、さらに、リーンNOx吸蔵還元触媒115の下流側で、リーンNOx吸蔵還元触媒115の下流側のNOx濃度を検出する下流側NOxセンサ117とが設けられている。
リーンNOx吸蔵還元触媒110には、該リーンNOx吸蔵還元触媒110の温度を検出するリーンNOx吸蔵還元触媒温度センサ118が設けられている。
ディーゼル酸化触媒111には、該ディーゼル酸化触媒111の温度を検出するディーゼル酸化触媒温度センサ119が設けられている。
O分解触媒113には、該NO分解触媒113の温度を検出するNO分解触媒温度センサ120が設けられている。
【0018】
燃料添加用インジェクタ114は、インジェクタドライバ121に連絡している。
上流側NOxセンサ115は、コモンレール122に連絡している。このコモンレール122は、燃料ポンプ123に連絡している。
空燃比センサ116と下流側NOxセンサ117とリーンNOx吸蔵還元触媒温度センサ118とディーゼル酸化触媒温度センサ119とNO分解触媒温度センサ120とは、コントローラ(制御部)124に連絡している。
また、このコントローラ124には、マスエアフローセンサ106とインジェクタドライバ121とコモンレール122と燃料ポンプ123とが連絡している。
このコントローラ124は、制御装置(ECU)125に連絡し、この制御装置125によって制御され、インジェクタドライバ121等の各機器を作動させる。
このような構造において、排気管108には、ディーゼル機関101側から順次に、リーンNOx吸蔵還元触媒110とディーゼル酸化触媒111とディーゼルパティキュレートフィルタ112とNO分解触媒113とが配置される。そして、リーンNOx吸蔵還元触媒110をリッチ雰囲気にした時に浄化されずに放出されたNO及び未使用のHC、CO成分を、ディーゼル酸化触媒111でNOとCOとにし、粒子状物質が下流のディーゼルパティキュレートフィルタ112でNOにより酸化浄化され、最後に、NOがNO分解触媒113で浄化される。
そして、制御装置125は、上記の実施例1と同様に、NO分解触媒113の温度(Tc)が第一所定温度(α)以上であってリーンNOx吸蔵還元触媒110のNOx吸蔵量(M)が所定量(β)に達した場合に燃料添加用インジェクタ114に燃料噴射指示を行う。ここでの、排気浄化制御は、上記の実施例1における図2のフローチャートと同様に実施されるので、その具体的な説明を省略する。
つまり、NO分解触媒113は所定温度以上にならないと活性化せず、NOを浄化できないため、NO分解触媒113の温度(Tc)が第一所定温度(α)以上になるまで燃料添加しないように制御する。NO分解触媒113が活性化した後は、NOx吸蔵量(M)が多いと、燃料添加時に浄化されずに排出されるNOxが多くなるため、NOx吸蔵量(M)が所定量(β)に達したときに、燃料添加を実施する。
なお、ディーゼル酸化触媒111とディーゼルパティキュレートフィルタ112とを、燃料添加用インジェクタ114の上流に設けても良い。
【0019】
この実施例2の排気浄化制御によれば、リーンNOx吸蔵還元触媒110に吸蔵したNOxを浄化する際、リーンNOx吸蔵還元触媒110で発生したNOを浄化することができ、NOを車両外部に排出することを防止できる。
【実施例3】
【0020】
図4、図5は、この発明の実施例3を示すものである。
この実施例3の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、上記の実施例2に係る構造において、図4に示すように、排気管108には、ディーゼルパティキュレートフィルタ112とNO分解触媒113との間で、排気ガス中の水分を吸着する水吸着材126が設けられる。
この水吸着材126には、該水吸着材126の温度(T)を検出する水吸着材用温度センサ127が設けられる。
また、排気管108には、水吸着材126の下流で、排気ガス中のNOの濃度を測定するNO濃度センサ128が設けられ、さらに、このNO濃度センサ128の下流で排気ガスの流れる通路を切り換える流路切換部129が設けられる。
水吸着材用温度センサ127とNOセンサ128と流路切換部129とは、コントローラ124に連絡している。
更に、排気管108には、流路切換部129の下流で、NO分解触媒113を備えるメイン通路130が設けられる。
また、排気管108には、流路切換部129を始端とし、NO分解触媒113を迂回して、NO分解触媒113の下流に終端するバイパス通路131が設けられる。
流路切換部129は、排気ガスをメイン通路130若しくはバイパス通路131のどちらか一方に通過可能とするように切り換えられる。
このように、NO分解触媒113が水分により失活する性質を持つため、図4に示すように、NO分解触媒113とディーゼルパティキュレートフィルタ112との間に水吸着材126を設置し、また、水吸着材126とNO分解触媒113との間にバイパス通路131を設置して、NOを外部に排出することなく、NO分解触媒113が水分により失活することを防ぐことができる。
【0021】
そして、制御装置125は、NO分解触媒113の温度(Tc)が第一所定温度(α:NO分解触媒が活性化する温度)以上であってリーンNOx吸蔵還元触媒110のNOx吸蔵量(M)が所定量(β:燃料添加を行うための排気浄化触媒のNOx吸蔵量の閾値)に達した場合にメイン通路130に排気ガスを通過させて燃料添加用インジェクタ114に燃料噴射指示を行う一方、NOセンサ128が検出した排気ガス中のNO濃度(C)が所定のNO濃度(γ)未満である場合にバイパス通路131に排気ガスを通過させるとともに水吸着材126の温度(T)が第二所定温度(δ)以上になるまで燃料添加用インジェクタ114による燃料噴射の中止とディーゼルパティキュレートフィルタ112の再生を行う。
【0022】
次に、この実施例3に係る排気浄化制御を、図5のフローチャートに基づいて説明する。
図5に示すように、制御装置125のプログラムがスタートすると(ステップB01)、先ず、流路切換部129によりメイン通路130に切り換えて(ステップB02)、NO分解触媒113に排気ガスを流入させ、NO分解触媒113の温度(Tc)を測定し(ステップB03)、このNO分解触媒113の温度(Tc)が第一所定温度(α)以上か否か(Tc≧α)を判断する(ステップB04)。このステップB04がNOの場合には、前記ステップB02に戻る。
このステップB04がYESの場合には、リーンNOx吸蔵還元触媒110に吸蔵しているNOx吸蔵量(M)が所定量(β)に達したか否か(M≧β)を判断する(ステップB05)。このステップB05がNOの場合には、前記ステップB02に戻る。
このステップB05がYESの場合には、燃料添加用インジェクタ114から燃料添加を行い、リーンNOx吸蔵還元触媒110内のNOxを浄化するとともに、NO分解触媒113にてNOの浄化を行う(ステップB06)。
そして、NOの濃度(C)が所定のNO濃度(γ)未満であるか否か(C<γ)を判断する(ステップB07)。このステップB07がNOの場合には、この判断を継続する。
このステップB07がYESの場合には、メイン通路130とバイパス通路131との分岐点に設置したNO濃度センサ128で検出した値が許容範囲内になったことを切換条件として、流路切換部129によりバイパス通路131に切り換えて(ステップB08)、このバイパス通路131に排気ガスが流れるようにし、その後、ディーゼルパティキュレートフィルタ112の再生を行って粒子状物質(PM)の燃焼及び除去を行うとともに、この際、発生する排熱を利用して水吸着材126の温度を上昇させて、水吸着材126の水分の除去を行う(ステップB09)。
そして、水吸着材126の温度(T)を計測し(ステップB10)、水吸着材126の温度(T)が第二所定温度(δ)以上か否か(T≧δ)を判断する(ステップB11)。このステップB11がNOの場合には、前記ステップB10に戻る。
このステップB11がYESの場合には、プログラムをリターンする(ステップB12)。
【0023】
この実施例3の排気浄化制御によれば、リーンNOx吸蔵還元触媒110に吸蔵したNOxを浄化する際、リーンNOx吸蔵還元触媒110で発生したNOを浄化でき、NOを車両外部に排出することを防止できる。
また、NO分解触媒113が排気ガス中に含まれる水分によって失活することを防止できる。
更に、ディーゼルパティキュレートフィルタ112の再生の際に発生する排熱を利用して、水吸着材126の水分の除去を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明に係る排気浄化装置を、各種機関に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 内燃機関
3 排気装置
9 マスエアフローセンサ
12 排気管
13 排気浄化装置
14 排気浄化触媒(三元触媒)
15 リーンNOx吸蔵還元触媒
16 NO分解触媒
17 燃料添加用インジェクタ
18 上流側NOxセンサ
19 下流側NOxセンサ
20 排気浄化触媒温度センサ
21 NO分解触媒温度センサ
22 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、この内燃機関の排気管に配置されて排気ガス中の有害成分を浄化する排気浄化触媒と、この排気浄化触媒の下流に配置されてNOxの吸蔵を行うリーンNOx吸蔵還元触媒とを備えて前記内燃機関から排出されるNOxを浄化する内燃機関の排気浄化装置において、前記リーンNOx吸蔵還元触媒の下流に配置されてNOの浄化を行うNO分解触媒を設け、このNO分解触媒の温度を検出するNO分解触媒温度センサを設け、前記リーンNOx吸蔵還元触媒の上流に配置されて燃料添加を行う燃料添加用インジェクタを設け、この燃料添加用インジェクタに燃料噴射指示を行う制御装置を設け、この制御装置は、前記NO分解触媒の温度が第一所定温度以上であって前記リーンNOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵量が所定量に達した場合に前記燃料添加用インジェクタに燃料噴射指示を行うことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
内燃機関と、この内燃機関の排気管に配置されてNOxの吸蔵を行うリーンNOx吸蔵還元触媒とを備えて前記内燃機関から排出されるNOxを浄化する内燃機関の排気浄化装置において、前記リーンNOx吸蔵還元触媒の下流に配置されてNOとHCとCOのいずれかを酸化反応させるディーゼル酸化触媒を設け、このディーゼル酸化触媒の下流に配置されて粒子状物質を燃焼して除去を行うディーゼルパティキュレートフィルタを設け、このディーゼルパティキュレートフィルタの下流に配置されてNOの浄化を行うNO分解触媒を設け、このNO分解触媒の温度を検出するNO分解触媒温度センサを設け、前記リーンNOx吸蔵還元触媒の上流に配置されて燃料添加を行う燃料添加用インジェクタを設け、この燃料添加用インジェクタに燃料噴射指示を行う制御装置を設け、この制御装置は、前記NO分解触媒の温度が第一所定温度以上であって前記リーンNOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵量が所定量に達した場合に前記燃料添加用インジェクタに燃料噴射指示を行うことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記ディーゼルパティキュレートフィルタと前記NO分解触媒との間に排気ガス中の水分を吸着する水吸着材を設け、この水吸着材の温度を検出する水吸着材用温度センサを設け、前記水吸着材の下流に排気ガス中のNOの濃度を測定するNO濃度センサを設け、のNO濃度センサの下流に排気ガスの流れる通路を切り換える流路切換部を設け、この流路切換部の下流には前記NO分解触媒を備えるメイン通路を設け、前記NO分解触媒を迂回するようにバイパス通路を設け、前記流路切換部は排気ガスを前記メイン通路若しくは前記バイパス通路のどちらか一方に通過可能に切り換え動作され、前記制御装置は、前記NO分解触媒の温度が第一所定温度以上であって前記リーンNOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵量が所定量に達した場合に前記メイン通路に排気ガスを通過させて燃料添加用インジェクタに燃料噴射指示を行う一方、前記NOセンサが検出した排気ガス中のNOの濃度が所定の濃度未満である場合に前記バイパス通路に排気ガスを通過させるとともに前記水吸着材の温度が第二所定温度以上になるまで前記燃料添加用インジェクタによる燃料噴射の中止と前記ディーゼルパティキュレートフィルタの再生を行うことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−255348(P2012−255348A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127529(P2011−127529)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】