説明

内燃機関の排気浄化装置

【課題】本発明は、排気の流れを排気管内で均一にすることができ、排気浄化性能を向上することができる内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】排気誘導器(20)の上流より流入する排気が切起し部(20h)の上流開口部(20k)より流入し、径方向外側開口部(20m)より排出され、排気は外周部に誘導される。更に、外周部に誘導された排気を下流側の切起し部(20h)の上流側開口部(20k)より流入し、径方向外側開口部(20m)より排出され、排気は更に外周部に誘導される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に係り、排気の流れを排気管内で均一にする構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンの排気を浄化するための排気後処理装置として、ディーゼル酸化触媒、NOx吸蔵還元触媒、尿素還元式SCR装置やディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)が用いられている。
その一例として、平板に波板を溶接した平波ペアを巻き回して触媒担体を製作し、あらかじめ当該触媒担体の平板に中心方向に突出するようにプレス加工してルーバを形成しておくことで、通過する排気に乱流を起こし触媒の活性を早くすることができる排ガス浄化用金属製触媒担体が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−293232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、上記特許文献1の排ガス浄化用金属製触媒担体では、触媒担体にルーバを形成し触媒担体内で乱流を発生させ、排気管内の排気を均一にするようにしている。
しかしながら、排気管内の排気の流れは、排気管の内壁との摩擦抵抗により壁面に近づくほど排気の流速が遅くなり、排気管の中心部では排気の流量が増える。よって、中心部の排気の流量に対してルーバを通過できる排気の流量が少ないと、外周部に十分に排気を流入させることができず中心部と外周部とで排気の流れが均一化されないこととなる。
【0005】
従って、上記特許文献1の排ガス浄化用金属製触媒担体を例えばDPFに採用した場合、捕捉され堆積した微粒子状物資(パティキュレートマター、以下、PMという)をDPFへ流入する高温酸化雰囲気ガスにより燃焼除去する強制再生において、DPF外周部に流入する高温酸化雰囲気ガスがDPF中心部に対して相対的に減少することにより、DPF外周部の温度が中心部に対して相対的に低下するのでPMが完全に除去されず、DPFの詰まりの原因となり好ましいことではない。
【0006】
また、尿素還元式SCR装置では、装置内の触媒に流入する還元剤(尿素)が触媒内で不均一となることにより、触媒全体へ還元剤が行き届かずNOxの還元性能が低下することとなり好ましいことではない。
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、排気の流れを排気通路内で均一にすることができ、排気浄化性能を向上することができる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路に設けられ、排気を浄化する排気浄化手段と、前記排気浄化手段の上流の前記排気通路内に設けられ、前記排気通路の排気流通方向に延びる複数の排気整流路が形成されるとともに、該排気通路の中心部から外周部へ前記排気を誘導する排気誘導手段とを備え、前記排気誘導手段は、前記排気整流路を区画する側壁に設けられた開口部を介して中心側の前記排気整流路から外側の前記排気整流路に排気を誘導する誘導部が複数備えられ、当該誘導部は前記排気通路の中心部から外周部に向かうにつれ単位面積当たりの前記開口部の開口面積の総和が大きくなるように配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1において、前記排気誘導手段は、排気流通方向の上流端から所定距離以降の下流では、前記排気通路の中心部より該排気通路の外周部に向かうにつれて前記誘導部が減少することを特徴とする。
また、請求項3の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1または2において、前記誘導部は、前記排気整流路を区画する側壁の一部が前記排気通路の中心部に向け突出するような切起し部と該切起し部の前記排気流通方向の上流側を開口し形成する導入部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記排気誘導手段は、平板と波板とを重ね合わせ、更に該重ね合わせた平板と波板とを巻いて層状にして該平板と該波板との間に前記排気整流路が形成され、前記開口部は、少なくとも前記平板に設けられることを特徴とする。
また、請求項5の内燃機関の排気浄化装置では、請求項4において前記切起し部が前記平板に設けられ、前記開口部は、前記切起し部の形成にともなって形成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記誘導部は、前記導入部の開口面積より前記開口部の開口面積の方が大きいことを特徴とする。
また、請求項7の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1乃至6のいずれか1項において、前記排気誘導手段は、前記排気通路の中心部から外周部に向かうにつれ熱伝導率を低く、更に熱容量を大きくすることを特徴とする。
【0011】
また、請求項8の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記排気誘導手段は、最外周部にセラミック系コート剤が被覆されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、排気浄化手段の上流に排気通路の排気流通方向に延びる複数の排気整流路が形成され、排気整流路を区画する側壁に設けられた開口部を介して中心側の排気整流路から外側の排気整流路に排気を誘導する誘導部が複数備えられた排気誘導手段が設けられ、誘導部は排気通路の中心部から外周部に向かうにつれ単位面積当たりの開口面積の総和が大きくなるように配置されている。
【0013】
これにより、排気整流路に備えられた誘導部により、流速の速い排気通路中心部の排気を排気通路外周部に誘導することができる。
従って、排気の流れを排気通路内で均一にすることができるので、排気浄化性能を向上することができる。
また、請求項2の発明によれば、誘導部を排気誘導手段の上流端から所定距離以降の下流では、排気通路の中心部より外周部に向けて徐々に減少させるようにしており、下流部の排気は、下流部に誘導部を形成しても排気を外周部に向け誘導することができなく、不要な誘導部を形成することは排気の流れを妨げるので、誘導部を徐々に減少させることにより圧力損失を低減することができる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、誘導部に排気整流路を区画する側壁の一部が排気通路の中心部に向け突出するような切起し部と切起し部の排気流通方向の上流側を開口し形成する導入部とを有しており、排気誘導通路を流れる排気を効率的に排気通路の外周部に誘導することができ、排気の流れを排気通路内で均一にすることができるので排気浄化性能を向上することができる。
【0015】
また、請求項4の発明によれば、排気誘導手段が平板と波板とを重ね合わせて層状に巻いて形成され、中心部の排気整流路と外周部の排気整流路を区画する平板に開口部が設けられているので、排気通路中心部の排気を排気通路外周部に誘導することができる。さらに、平板の開口部の外周に波板の山部が巻きつけられたとしても、波板の山部は開口部に平面的に接するため開口部が閉塞されることなく排気を誘導することができる。
【0016】
また、請求項5の発明によれば、開口部は、切起し部の形成にともなって形成されており、切起し部と開口部とが近接しているので、切起し部により案内された排気が効率よく開口部へ流入され外周部への誘導を促進することができる。
また、請求項6の発明によれば、開口部の開口面積は、切起し部の排気流通方向の上流側に設けられた導入部の開口面積より大きくしており、切起し部の導入部から導入した排気を誘導部より確実に排出することができるので圧力損失を低減することができる。
【0017】
また、請求項7の発明によれば、平板及び波板を排気通路の中心部から外周部に向かうにつれ熱伝導率が低く、更に熱容量を大きくなるようにしており、排気通路の中心部の熱伝導率が高く排気通路の外周部の熱伝導率が低いので排気通路の外周部に排気通路の中心部を流れる排気の熱量を拡散し、更に排気通路の外周部の熱容量が大きいので排気通路の外周部で温度を保持することができ、排気浄化手段に流入する排気の温度を均一にすることができるので排気浄化性能を向上することができる。
【0018】
また、請求項8の発明によれば、排気誘導手段の最外周部にセラミック系コート剤を被覆するようにしており、排気通路外周部の熱量の大気中への放出を抑制することができ、排気浄化手段に流入する排気の温度を均一にすることができるので排気浄化性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置が適用されたエンジンの全体構成図である。
【図2】本発明に係る内燃機関の排気浄化装置における排気誘導器の展開図である。
【図3】図1のA−A線における断面であり、排気誘導器の断面図である。
【図4】図3のB−B線における断面図である。
【図5】図4のC部の拡大であり、排気誘導部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
まずは、エンジン1の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置が適用されたエンジン(内燃機関)1の全体構成図を示している。
エンジン1は、例えばコモンレール式直列多気筒のディーゼルエンジンである。エンジン1のシリンダヘッド2には、燃焼室3に臨んで電磁式の燃料噴射ノズル4が気筒毎に設けられている。各燃料噴射ノズル4は高圧パイプ5によりコモンレール6に接続されるとともに、コモンレール6は高圧パイプ7を介して高圧ポンプ8に接続されている。高圧ポンプ8は燃料タンク9に貯留された燃料(軽油)をコモンレール6に供給する機能を有しており、コモンレール6に供給された燃料は高圧の状態で蓄えられ、各燃料噴射ノズル4から燃焼室3内に噴射される。
【0021】
シリンダヘッド2には、気筒毎に燃焼室3と連通する吸気ポート10及び排気ポート11がそれぞれ形成されており、吸気ポート10には吸気管12が、排気ポート11には排気管(排気通路)13が接続されている。また、シリンダヘッド2には、吸気ポート10を開閉する吸気バルブ14と、排気ポート11を開閉する排気バルブ15とが設けられている。
【0022】
吸気管12には、吸入空気量を調節する電磁式の吸気絞り弁16が設けられている。
排気管13と吸気管12との間には、電磁開閉弁であるEGR弁19を備えたEGR管18が設けられている。EGR管18は、一端が排気ポート11近傍で排気管13に接続される一方、他端が吸気ポート10近傍で吸気管12に接続され、排気管13と吸気管12とを連通する。
【0023】
排気管13には、上流側から順番に、ディーゼル酸化触媒(以下、DOCという、強制再生手段)19、排気誘導器(排気誘導手段)20、DPF(フィルタ)21が連通するように設けられている。DOC19は、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されており、排気中のCO及びHCを酸化させてCO及びHOに変換させるとともに、排気中のNOを酸化させてNOを生成する機能を有する。
【0024】
排気誘導器20は、DPF21内に流入し、DPF21内に堆積したPMを酸化させる酸化剤の通過量の不均一を是正する機能を有する。詳細な構成については、後述する。
DPF21は、例えば、ハニカム担体の通路の上流側及び下流側を交互にプラグで閉鎖して、排気中のPMを捕集し、酸化剤によりPMを燃焼除去する機能を有しており、さらに、通路を形成する多孔質の壁にプラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持して形成されている。
【0025】
また、上記のようにDPF21の上流にDOC19が配置されていると、通常のエンジン運転時には、DOC19において生成されたNOがDPF21に流入し、DPF21に捕集され堆積しているPM中の炭素成分である煤と反応してこれを酸化させる。酸化した煤はCOとなり、DPF21から除去され、これによりDPF21が連続的に再生される(連続再生)。
【0026】
一方、エンジン1の運転状況によっては、上記連続再生だけではDPF21の再生が十分に行われない場合がある。そこで、DPF21におけるPMの堆積量に基づき、強制的にPMを燃焼除去させるようにもしている(強制再生)。
当該強制再生は、エンジン1の運転時における燃料の主噴射の後の例えば膨張行程以降に燃料のポスト噴射(副噴射)を行い、未燃燃料(HC、CO等)を含んだ排気を排気管13に排出させることによって行われる。排気中に混入された未燃燃料は、DOC19に流入して酸化され、酸化の反応熱によって排気温度を上昇させる。これにより、高温の排気が排気下流側のDPF21に流入して当該DPF21に堆積したPM中の煤を加熱し燃焼させ、DPF21を強制的に再生させることが可能である。
【0027】
次に排気誘導器20の構成について説明する。
図2は、本発明に係るエンジン1の排気浄化装置における排気誘導器20の展開図を示す。図3は、図1のA−A線における断面であり、排気誘導器20をエンジン1の排気管13中に配置した状態での断面図を示す。また、図4は図3のB−B線における断面図であり、排気誘導器20をエンジン1の排気管13中に配置した状態での断面図を示す。なお、図中矢印は排気の流れを示す。図5は図4のC部の拡大であり、切起し部20hの拡大図を示す。
【0028】
図2から図5に示すように、排気誘導器20は、一端20cが他端20dに比べ板厚が薄く(t1<t3)金属製で板厚の薄い平板20aと一端20eが他端20fに比べ板厚が薄く(t2<t4)金属製で板厚の薄い波板20bを重ね合わせ、更に板厚の薄い一端20c,20e側より他端20d,20fに向け巻き回して、排気の流れを整える複数の排気整流路20gを形成しつつ略円筒形状に形成される。平板20aには、複数の切起し部20hが形成されている。切起し部20hは、平板20aと波板20bとを重ね合わせ巻き回した状態において中心に向け所定切起し角度(例えば、45°以下)で突出するように形成される、また、切起し部20hは、排気管13内に配設された状態において上流側を開口するように上流側開口部(導入部)20kが形成され、更に、径方向外側に貫通し径方向外側開口部(開口部)20mが形成されるように、半分に切断したお椀状にプレス加工にて形成される。なお、上流側開口部20kは、径方向外側開口部20mより小さい開口面積で形成される。また、径方向外側開口部20mは、排気管13の中心部から外周部に向かうにつれ、開口面積が大きくなるように形成される。また、切起し部20hは、排気誘導器20の排気流れ方向の最上流部20nから所定距離以降の下流では、下流に向かうにつれ排気管13の中心部より順に外周部に向かうにつれて設置個数が減少するように形成される。また、波板20bには、平板20aと波板20bとを重ね合わせ巻き回した状態において径方向外側開口部20mが波板20bで塞がれないように径方向外側開口部20mに対応した位置に径方向外側開口部20mの開口面積と同一或いはそれ以上の開口面積となるように逃げ穴である逃げ部20jが形成される。
【0029】
次に、このように構成される排気誘導器20の機能を説明する。
図4に示すように、排気誘導器20の上流より流入する排気が切起し部20hの上流開口部20kより流入し、径方向外側開口部20mより排出され、排気は外周部に誘導される。更に、外周部に誘導された排気が下流側の切起し部20hの上流側開口部20kより流入し、径方向外側開口部20mより排出され、排気は更に外周部に誘導される。
【0030】
このように、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、排気誘導器20の切起し部20hにより流速の速い排気管13の中心部の排気を排気管13の外周部に誘導するようにしている。
これにより、DPF21に導入される排気の流量を均一にしているので、連続再生及び強制再生時には、DPF21の外周部も昇温させることができ、DPF21に堆積したPMを完全に燃焼除去することができる。よって、排気中のPMを確実に捕集することができ排気浄化性能を向上することができる。また、強制再生時には、DPF21へのPMの堆積を均一にできDPF21へのPMの堆積を均一にできるので、過昇温を防止しPMの堆積が偏ることでの強制再生時間の長期化による潤滑油の燃料希釈を防止することもできる。
【0031】
また、切起し部20hは、排気誘導器20の排気流れ方向の最上流部20nから所定距離以降の下流では、下流方向に向かうにつれ排気管13の中心部より外周部に向け徐々に形成しないようにしている。
これにより、切起し部20hにて下流部の排気の排気管13の外周部に誘導を抑制することができるので、切起し部20hによる圧力損失を低減することができる。
【0032】
また、切起し部20hは、平板20aと波板20bとを重ね合わせ巻き回した状態において中心側に向け所定切起し角度で突出するように形成している。
これにより、切起し部20hでの排気の剥離を防止でき、排気の乱流を抑制することができるので圧力損失を低減することができる。
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の形態は上記実施形態に限定されるものではない。
【0033】
例えば、上記実施形態では、DOC19とDPF21の間に排気誘導器20を設けているが、これに限定されるものではなく、排気中に尿素水(還元剤)を噴射する噴射ノズルと、尿素水とNOxとを還元しNOxを除去するNOx還元触媒との間に排気誘導器20を設けても良い。この場合、噴射された尿素水を排気中に拡散させることができ、尿素水を均一にNOx還元触媒に供給することができるので排気中のNOxを良好に還元浄化することができる。
【0034】
また、排気誘導器20の平板20a及び波板20bを重ね合わせ巻き回した状態において外周に行くほど板厚を厚くするようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、平板20a及び波板20bを重ね合わせ巻き回した状態において外周に行くほど熱伝導率が低く、更に熱容量が大きい金属を用いても良く、このような場合でも排気管13の外周部に排気管13の中心部を流れる排気の熱量を分散し、更に排気管13の外周部で熱量を保持することが可能となる。従って、下流にDPF21がある場合にはDPF21に流入する排気の温度を均一にすることができるので強制再生時のPMの燃焼除去を完全にでき、更に過昇温を防止することができる。または、下流にNOx還元触媒を有する尿素還元式SCR装置である場合にはNOx還元触媒に流入する排気温度を均一にすることができるのでNOx還元触媒でのNOxの浄化性能を向上させることができる。
【0035】
また、排気誘導器20の最外周(最外周部)にセラミック系コート剤を被覆してもよく、この場合には排気誘導器20から大気中への熱量の放出を抑制することができる。よって、下流にDPF21がある場合にはDPF21に流入する排気の温度を均一にすることが可能となるので強制再生時のPMの燃焼除去を完全にでき、更に過昇温を防止することができる。または、下流にNOx還元触媒を有する尿素還元式SCR装置である場合にはNOx還元触媒に流入する排気温度を均一にすることができるのでNOx還元触媒でのNOxの浄化性能を向上させることができる。
【0036】
また、波板20bには、平板20aと波板20bとを重ね合わせ巻き回した状態において径方向外側開口部20mが波板20bで塞がれないように径方向外側開口部20mに対応した位置に径方向外側開口部20mの開口面積と同一或いはそれ以上の開口面積となるように逃げ部20jを形成するようにしているが、これに限定されるものではなく、波板20bに逃げ部20jを形成しなくとも良い。この場合でも、波板20bの山部の稜線が平板20aと接することとなり、仮に波板20bの山部が径方向外側開口部20mに対応する位置に巻き回しされ径方向外側開口部20mが波板20bの山部により塞がれるようになったとしても、径方向外側開口部20mが完全に塞がれることはなく、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0037】
また、平板20aに切起し部20hを形成するようにしているが、これに限定されるものではなく、波板20bに切起し部20hを形成し、平板20aに波板20bに形成した切起し部20hより大きい開口面積の逃げ部20jを形成するようにしても良く、この場合に於いても上記実施例と同様の効果を得ることができる。
また、径方向外側開口部20mを排気管13の中心部から外周部に向かうにつれ開口面積を大きくするように形成しているが、これに限定されるものではなく、開口面積は同一で径方向外側開口部20mの個数を増やすようにしても良く、また、開口面積と個数を同時に増やしても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 エンジン(内燃機関)
4 燃料噴射ノズル(強制再生手段)
19 DOC(強制再生手段)
20 排気誘導器(排気誘導手段)
20a 平板
20b 波板
20h 切起し部
20k 上流側開口部(導入部)
20m 径方向開口部(開口部)
21 DPF(フィルタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられ、排気を浄化する排気浄化手段と、
前記排気浄化手段の上流の前記排気通路内に設けられ、前記排気通路の排気流通方向に延びる複数の排気整流路が形成されるとともに、該排気通路の中心部から外周部へ前記排気を誘導する排気誘導手段とを備え、
前記排気誘導手段は、前記排気整流路を区画する側壁に設けられた開口部を介して中心側の前記排気整流路から外側の前記排気整流路に排気を誘導する誘導部が複数備えられ、当該誘導部は前記排気通路の中心部から外周部に向かうにつれ単位面積当たりの前記開口部の開口面積の総和が大きくなるように配置されていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記排気誘導手段は、排気流通方向の上流端から所定距離以降の下流では、前記排気通路の中心部より該排気通路の外周部に向かうにつれて前記誘導部が減少することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記誘導部は、前記排気整流路を区画する側壁の一部が前記排気通路の中心部に向け突出するような切起し部と該切起し部の前記排気流通方向の上流側を開口し形成する導入部とを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記排気誘導手段は、平板と波板とを重ね合わせ、更に該重ね合わせた平板と波板とを巻いて層状にして該平板と該波板との間に前記排気整流路が形成され、
前記開口部は、少なくとも前記平板に設けられることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項5】
前記切起し部が前記平板に設けられ、
前記開口部は、前記切起し部の形成にともなって形成されることを特徴とする、請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項6】
前記誘導部は、前記導入部の開口面積より前記開口部の開口面積の方が大きいことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項7】
前記排気誘導手段は、前記排気通路の中心部から外周部に向かうにつれ熱伝導率を低く、更に熱容量を大きくすることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項8】
前記排気誘導手段は、最外周部にセラミック系コート剤が被覆されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに1項に記載の内燃機関の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−52479(P2012−52479A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196644(P2010−196644)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】