説明

内燃機関用のローラリフタ

【課題】製造時におけるリフタ本体の摺動面の変形を容易に防ぐことができる内燃機関用のローラリフタを提供すること。
【解決手段】リフタ本体2と、回動するカム7に当接するローラ3とを有するローラリフタ1。リフタ本体2は、摺動面24を外周に有する筒状部20と、筒状部20の後端から摺動方向の後方へ突出形成されると共に軸支ピン4を支持する一対の支持部21とを有する。軸支ピン4は、一対の支持部21に設けた支持孔22に両端部40を嵌入すると共にかしめ固定されており、リフタ本体2は、支持部21の両脇において、支持部21と筒状部20との間に形成されたスリット5を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジン等に使用する内燃機関用のローラリフタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のエンジン等の内燃機関において燃料供給ポンプに用いるポンプリフタ、あるいは動弁機構に用いるバルブリフタが存在する。
これらのリフタには、内燃機関あるいは動弁機構に配設されるカムとの直接の接触箇所において、上記カムとの摩擦抵抗を小さくし、かつ上記カムとの接触面の耐摩耗性を向上すべく、図9に示すごとく、ローラ93を設けたローラリフタ9が存在する(特許文献1参照)。
【0003】
上記ローラリフタ9の構造としては、ローラリフタ9が配されるシリンダの内壁と摺動する摺動面924を有するリフタ本体92に、ローラ93が取り付けられる。
その製造においては、図9に示すごとく、まず、リフタ本体92に設けた一対の支持部921の間にローラ93を配置する。
そして、支持部921に形成された支持孔922に、ローラ93の軸支ピン94を挿嵌し、次いで、軸支ピン94の両端部を油圧プレス等によって押圧し、軸支ピン94の両端部を径方向に広がるように変形させることにより、上記支持部921に対し軸支ピン94をかしめ固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−36767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記軸支ピン94をかしめる際の押圧力により、軸支ピン94周囲の支持部921が径方向に拡張するように変形し、さらに、その力がリフタ本体92における筒状部920にまで伝達し、筒状部920(摺動面924)が変形してしまうおそれがあった。
ここで、ローラリフタは内燃機関におけるシリンダ内において、円滑に往復運動するように設置されるため、上記リフタ本体92の筒状部920の外形はシリンダの内形に沿うよう高い精度が要求される。
【0006】
例えば、シリンダの内形を真円とした場合には、上記筒状部920の外形も真円をなすように形成される。そのため、上述のような摺動面924の変形は、それがわずかなものであっても、シリンダ内におけるローラリフタ9の適切なクリアランスを確保できず、円滑な往復運動を妨げる原因となる。
【0007】
ここで、上記軸支ピン94をリフタ本体92の支時部921に対してかしめ固定する際に、上記支持部921あるいは筒状部920が、かしめ力の影響を受けて変形するおそれがある。
しかも、上記リフタ本体92への軸支ピン94のかしめ固定は、上記リフタ本体92を形成し、筒状部920の外形の真円度を高めた後の最終工程として行われるため、上記かしめ固定において、上記リフタ本体92が変形してしまうと、リフタ本体92の形状を修正することができない。なぜなら、上記軸支ピン94のかしめ固定後に、筒状部920の外形の真円度を高める工程を最終工程として行うと、係る工程における、例えば、筒状部920の外形の研磨時に発生する切り粉等の異物が上記ローラ93の内部に混入してしまい、該ローラ93の円滑な回動を妨げるためである。
【0008】
また、この異物を除去すべく、ローラリフタ9を洗浄する工程を追加すると、生産性が低下するだけでなく、この洗浄工程において、ローラ93の潤滑油までも除去されてしまうため、再度潤滑油を注入する必要が生じる。それ故、かしめ工程を最終工程とする必要がある。
【0009】
そこで、このかしめ工程における上記リフタ本体92の変形を防止するローラタペットの組立装置が存在する(特許文献1)。
しかし、この組立装置は、変形防止治具を要する大がかりなものであり、生産性についても課題が生じていた。
また、特許文献1の組立装置は支持部の変形を防止するものであり、筒状部(摺動面)の変形を防止するものではないため、上記の課題を解決できるものではない。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、製造時におけるリフタ本体の摺動面の変形を容易に防ぐことができる内燃機関用のローラリフタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シリンダの内壁に対して摺動する摺動面を備えたリフタ本体と、
該リフタ本体に対して軸支ピンを介して回動可能に取り付けられると共に、回動するカムに当接するローラとを有し、
上記リフタ本体は、上記摺動面を外周に有する筒状部と、該筒状部の後端から摺動方向の後方へ突出形成されると共に上記軸支ピンを支持する一対の支持部とを有し、
上記軸支ピンは、上記一対の支持部に設けた支持孔に両端部を嵌入すると共にかしめ固定されており、
上記リフタ本体は、上記支持部の両脇において、上記支持部と上記筒状部との間に形成されたスリットを有することを特徴とする内燃機関用のローラリフタにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0012】
本発明の内燃機関用のローラリフタは、上記リフタ本体に対して軸支ピンを介して回動可能に取り付けられると共に、回動するカムに当接するローラを有する。これによって、上記カムと上記ローラとの直接の接触箇所における上記カムとの摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0013】
そして、上記リフタ本体は、上記支持部の両脇において、上記支持部と上記筒状部との間に形成されたスリットを有する。
これによって、上記軸支ピンをかしめる際に生じる上記支持部における径方向へ拡張する押圧力が、上記スリットにより吸収できる。すなわち、軸支ピンのかしめ時に、その周囲の支持部が変形しても、上記押圧力がリフタ本体における上記筒状部にまで伝達することを防ぎ、上記筒状部が変形することを防止できる。その結果、シリンダに合わせて高精度に形成した上記摺動面の外形をそのまま保つことができ、ローラリフタを内燃機関に装着した後において、シリンダ内のローラリフタの円滑な往復運動を確保することができる。
【0014】
さらに、上記スリットを形成することによって、上記リフタ本体における上記摺動面の高さを一定長さ以上に保ったまま、上記リフタの全高を低減できる。
すなわち、リフタ本体の上記筒状部に対する、上記軸支ピンをかしめる際に生じる押圧力の影響を防ぐには、例えば、図3(A)に示すように、上記筒状部から上記支持部を大きく突出させて形成することも考えられる。
【0015】
ここで、上記摺動面の高さH2を低くせずに、上記支持部の突出量を大きくすれば、上記リフタの全高H1が高くなり、ひいては内燃機関の大型化を招く。
一方、上記リフタの全高H1を高くしないようにすると、同図に示すとおり、上記摺動面の高さH2が低くなってしまい、この場合、ローラリフタがシリンダに対してコックしやすくなるおそれがある。
【0016】
これに対し、本発明のローラリフタにおいては、例えば、図3(B)に示すとおり、上記スリットを設けることにより、上記押圧力を吸収できるため、上記筒状部から上記支持部を摺動方向に大きく突出させる必要がなく、上記摺動面の高さH2を一定長さに保ちつつ、上記リフタの全高H1が高くなることを防ぐことができる。
また、上記ローラリフタは、スリットを形成した分、軽量化を図ることもできる。
【0017】
以上のごとく、本発明によれば、製造時におけるリフタ本体の摺動面の変形を容易に防ぐことができる内燃機関用のローラリフタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1における、ローラリフタの正面図。
【図2】実施例1における、支持部周辺のローラリフタの拡大説明図。
【図3】実施例1における、本発明の効果の一部を説明する説明図であり、(A)リフタ本体にスリットを形成しないローラリフタの説明図、(B)リフタ本体にスリットを形成したローラリフタの説明図。
【図4】実施例1における、ローラリフタをポンプリフタとして用いた場合の摺動機構を示す断面説明図。
【図5】実施例2における、ローラリフタをバルブリフタとして用いた場合の摺動機構を示す断面説明図。
【図6】実施例3における、ローラリフタの正面図。
【図7】実施例4における、ローラリフタの正面図。
【図8】実施例5における、ローラリフタの正面図。
【図9】背景技術における、ローラリフタの正面図。
【図10】背景技術における、支持部に生じる押圧力の拡張状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明において、上記内燃機関用のローラリフタは、例えば、自動車のエンジン等の内燃機関における燃料供給ポンプに用いるポンプリフタ、あるいは動弁機構に用いるバルブリフタとして用いることができる。
また、本願発明のローラリフタにおいて、上記リフタ本体における上記支持部が設けられる側、つまり上記カムと当接する側を摺動方向後方側、その反対側を摺動方向前方側として説明する。
【0020】
本願発明において、上記スリットは、上記支持孔の前端よりも上記摺動方向の前方まで形成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合は、上記軸支ピンをかしめる際に生じる、上記支持部における径方向へ拡張する押圧力を上記スリットによって、より効果的に吸収することができる。
【0021】
また、上記スリットの一部は、上記ローラの回転中心から、上記摺動方向の前方に対して45°の方向に少なくとも存在していることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記軸支ピンをかしめる際に生じる押圧力を上記スリットにより充分に広い範囲にて効果的に吸収することができる。そのため、上記摺動面の変形をより効果的に防ぐことができる。
【0022】
本願発明において、上記筒状部は、上記摺動方向における摺動面と支持部との間に、後方へ行くほど内側へ向かう傾斜面を有し、スリットの前端は傾斜面の後端に配されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記軸支ピンをかしめる際における、上記摺動面の変形をより効果的に防ぐことができる。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
本願発明の実施例に係る内燃機関用のローラリフタについて、図1〜図4を用いて説明する。
本例の内燃機関用のローラリフタ1は、図1、図4に示すように、シリンダ6の内壁61に対して摺動する摺動面24を備えたリフタ本体2と、リフタ本体2に対して軸支ピン4を介して回動可能に取り付けられると共に、回動するカム7に当接するローラ3とを有する。
リフタ本体2は、摺動面24を外周に有する筒状部20と、筒状部20の後端から摺動方向の後方へ突出形成されると共に軸支ピン4を支持する一対の支持部21とを有する。
【0024】
軸支ピン4は、一対の支持部21に設けた支持孔22に両端部40を嵌入すると共にかしめ固定されている。
リフタ本体2は、支持部21の両脇において、支持部21と筒状部20との間に形成されたスリット5を有する。
ここで、本例では、図1及び図2に示すとおり、スリット5は、支持孔22の前端221よりも摺動方向の前方まで形成されている。
【0025】
また、本例では、同図に示すとおり、スリット5の一部は、ローラ3の回転中心から、摺動方向の前方に対して45°の方向に少なくとも存在している。
さらに、本例では、同図に示すとおり、筒状部20は、摺動方向における摺動面24と支持部21との間に、後方へ行くほど内側へ向かう傾斜面23を有し、スリット5の前端は傾斜面23の後端に配されている。
【0026】
筒状部20は円筒形状を有し、摺動面24は摺動方向に直交する断面の形状が真円となっている。
また、同図に示すごとく、上記リフタ本体2の筒状部20の上端面26からは、シリンダ6に対してローラリフタ1が回転することを防ぐ、回り止め部25が突出形成されている。
【0027】
ローラリフタ1は、一対の支持部21を有するリフタ本体2にローラ3が取り付けられるが、その製造においては、まず筒状部20と一対の支持部21とを有するリフタ本体2を成型した後、支持部21の両脇において支持部21と筒状部20との間にスリット5を形成する。
本例では、カッター等の切り込み加工によりリフタ本体2の筒状部20に対し、スリット5を形成する。
【0028】
次いで、筒状部20の摺動面24に対して、その外周が真円になるよう表面を研磨加工する。
そして、図1及び図2に示すごとく、一対の支持部21の間にローラ3を嵌み込むと共に、軸支ピン4をその両端部40が一対の支持部21から外側へ突出した状態で支持孔22に挿嵌する。
次いで、両端部40から軸支ピン4を油圧プレス等によって軸方向に押圧することによって、両端部40を径方向に広がるように変形させて、支持部21に対し軸支ピン4をかしめ固定する。
【0029】
本例のローラリフタ1は、例えば、図4に示すごとく、自動車のエンジン等の内燃機関における燃料供給ポンプ8Aに用いるポンプリフタ80Aとして用いることができる。
そして、本例におけるローラリフタ1は、図4に示すように、摺動面24を備えたリフタ本体2が、例えば、燃料供給ポンプ8Aにおけるシリンダ6の内壁61に対して摺動し、かつローラ3が回動するカム7に当接するように取付られる。
【0030】
図4に示すごとく、燃料供給ポンプ8Aは、レシプロエンジンのカムシャフト71に設けた燃料用のカム7の回転に同調して、燃料タンク81(図示略)から供給される燃料Fを加圧して、この加圧した燃料Fをインジェクタ82(図示略)へ供給するように構成されている。
燃料供給ポンプ8Aにおいて、ポンプリフタ80Aは、カム7の回転を受けてローラ3を従動回転させながら、レシプロエンジンのシリンダヘッド83に設けたシリンダ6内を摺動するよう構成してある。
【0031】
ポンプリフタ80Aは、シリンダヘッド83に摺動可能に配置されたプランジャ85の一端部に当接して、プランジャ85を摺動させ、プランジャ85の他端部850によって、シリンダヘッド83に形成した加圧室86内の燃料Fを加圧するように構成されている。
ここで、同図に示すごとく、ポンプリフタ80A(ローラリフタ1)は、断面円環形状のリフタ本体2の筒状部20の内周側において、板形状の当接部27を形成してなる。
【0032】
また、プランジャ85の外周にはリテーナ87が固定してあり、当接部27と当接するように構成されている。さらに、リテーナ87とシリンダヘッド83の間には、ポンプリフタ80Aをカム7の方向に付勢するためのスプリング88が配置してある。
なお、同図に示すごとく、リフタ本体2の回り止め部25は、シリンダヘッド83に設けたシリンダ6の軸方向に沿って形成された回り止め溝63に、上記摺動方向に沿って摺動可能に係合する。
加圧室86は、燃料タンク81とインジェクタ82とを連通するようシリンダヘッド83に形成した燃料供給通路89の途中に形成してある。
【0033】
次に、本例の作用効果について、説明する。
本例においては、ローラリフタ1は、リフタ本体2に対して軸支ピン4を介して回動可能に取り付けられると共に、回動するカム7に当接するローラ3を有する。これによって、カム7とローラ3との直接の接触箇所におけるカム7との摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0034】
そして、リフタ本体2は、支持部21の両脇において、支持部21と筒状部20との間に形成されたスリット5を有する。
これによって、図2に示すごとく、軸支ピン4をかしめる際に生じる支持部21における径方向へ拡張する押圧力Pが、スリット5により吸収できる。すなわち、軸支ピン4のかしめ時に、その周囲の支持部21が変形しても、押圧力Pがリフタ本体2における筒状部20にまで伝達することを防ぎ、筒状部20が変形することを防止できる。その結果、シリンダ6に合わせて高精度に形成した摺動面24の外形をそのまま保つことができ、ローラリフタ1を内燃機関に装着した後において、シリンダ6内のローラリフタ1の円滑な往復運動を確保することができる。
【0035】
さらに、スリット5を形成することによって、リフタ本体2における摺動面24の高さH2を一定長さ以上に保ったまま、リフタの全高H1を低減できる。
すなわち、リフタ本体2の筒状部20に対する、軸支ピン4をかしめる際に生じる押圧力Pの影響を防ぐには、例えば、図3(A)に示すように、筒状部20から支持部21を大きく突出させて形成することも考えられる。
【0036】
ここで、摺動面24の高さH2を低くせずに、支持部21の突出量を大きくすれば、リフタの全高H1が高くなり、ひいては内燃機関の大型化を招く。
一方、リフタの全高H1を高くしないようにすると、同図に示すとおり、摺動面24の高さH2が低くなってしまい、この場合、ローラリフタ1がシリンダ6に対してコックしやすくなるおそれがある。
【0037】
これに対し、本発明のローラリフタ1においては、例えば、図3(B)に示すとおり、スリット5を設けることにより、押圧力Pを吸収できるため、筒状部20から支持部21を摺動方向に大きく突出させる必要がなく、摺動面24の高さH2を一定長さに保ちつつ、リフタの全高H1が高くなることを防ぐことができる。
また、ローラリフタ1は、スリット5を形成した分、軽量化を図ることもできる。
【0038】
スリット5は、支持孔22の前端よりも摺動方向の前方まで形成されている。
これにより、軸支ピン4をかしめる際に生じる、支持部21における径方向へ拡張する押圧力Pをスリット5によって、より効果的に吸収することができる。
また、スリット5の一部は、ローラ3の回転中心から、摺動方向の前方に対して45°の方向に少なくとも存在している。これにより、軸支ピン4をかしめる際に生じる押圧力Pをスリット5により充分に広い範囲にて効果的に吸収することができる。そのため、摺動面24の変形をより効果的に防ぐことができる。
【0039】
さらに、筒状部20は、摺動面24と支持部21との間に傾斜面23を有し、スリット5の前端は傾斜面23の後端に配されている。
これにより、軸支ピン4をかしめる際における、摺動面24の変形をより効果的に防ぐことができる。
【0040】
以上のごとく、本例によれば、製造時におけるリフタ本体の摺動面の変形を容易に防ぐことができる内燃機関用のローラリフタを提供することができる。
【0041】
(実施例2)
本例は、図5に示すとおり、ローラリフタ1をレシプロエンジンの動弁機構8Bに用いるバルブリフタ80Bとして用いた例である。
ローラリフタ1自体の構成は、実施例1のローラリフタ1と同様である。
図5に示すごとく、動弁機構8Bにおいて、バルブリフタ80Bは、レシプロエンジンのカムシャフト71に設けた動弁用のカム7の回転を受けてローラ3を従動回転させながら、レシプロエンジンのシリンダヘッド83に設けたシリンダ6内を摺動するよう構成してある。
【0042】
バルブリフタ80Bは、レシプロエンジンにおけるバルブ830のステム先端部832に当接して、吸排気口(吸気口又は排気口)833を開閉可能に配置したバルブ830を開閉させるようシリンダ6内に往復摺動可能に配置してある。
また、当接部27は、バルブ830のステム先端部832に当接するよう構成されている。
【0043】
また、バルブ830のステム部831の外周にはリテーナ87が固定してあり、リテーナ87とシリンダヘッド83との間には、バルブリフタ80Bをカム7の方向へ付勢するためのスプリング88が配置してある。
その他は、実施例1と同様であり、同様の作用効果を有する。
【0044】
(実施例3)
本例は、図6に示すとおり、スリット5を曲線状に切り欠いて形成したローラリフタ1の例である。
なお、本例では、スリット5はリフタ本体2の筒状部20に対して、押圧プレス等により打ち抜き加工することによって形成することができる。
その他は、実施例1と同様であり、同様の作用効果を有する。
る。
【0045】
(実施例4)
本例は、図7に示すとおり、スリット5を略長方形状に切り欠き、その切り込み方向が、筒状部20の上端面26から傾斜面23に向かい内側に傾斜しているローラリフタ1の例である。
なお、本例では、スリット5はリフタ本体2の筒状部20に対して、カッター等により切り込み加工することによって形成することができる。
その他は、実施例1と同様であり、同様の作用効果を有する。
【0046】
(実施例5)
本例は、図8に示すとおり、スリット5を略円形状に切り欠いて形成したローラリフタ1の例である。
なお、本例では、スリット5はリフタ本体2の筒状部20に対して、ドリル等により切り込み加工することによって形成することができる。
その他は、実施例1と同様であり、同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0047】
1 ローラリフタ
2 リフタ本体
20 筒状部
21 支持部
22 支持孔
24 摺動面
3 ローラ
4 軸支ピン
40 両端部
5 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダの内壁に対して摺動する摺動面を備えたリフタ本体と、
該リフタ本体に対して軸支ピンを介して回動可能に取り付けられると共に、回動するカムに当接するローラとを有し、
上記リフタ本体は、上記摺動面を外周に有する筒状部と、該筒状部の後端から摺動方向の後方へ突出形成されると共に上記軸支ピンを支持する一対の支持部とを有し、
上記軸支ピンは、上記一対の支持部に設けた支持孔に両端部を嵌入すると共にかしめ固定されており、
上記リフタ本体は、上記支持部の両脇において、上記支持部と上記筒状部との間に形成されたスリットを有することを特徴とする内燃機関用のローラリフタ。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関用のローラリフタにおいて、上記スリットは、上記支持孔の前端よりも上記摺動方向の前方まで形成されていることを特徴とする内燃機関用のローラリフタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の内燃機関用のローラリフタにおいて、上記スリットの一部は、上記ローラの回転中心から、上記摺動方向の前方に対して45°の方向に少なくとも存在していることを特徴とする内燃機関用のローラリフタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関用のローラリフタにおいて、上記筒状部は、上記摺動方向における摺動面と支持部との間に、後方へ行くほど内側へ向かう傾斜面を有し、スリットの前端は傾斜面の後端に配されていることを特徴とする内燃機関用のローラリフタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−2115(P2012−2115A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136860(P2010−136860)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000185488)株式会社オティックス (305)
【Fターム(参考)】