内視鏡装置
【課題】測定を希望する切断面の指定を容易に行え、かつその指定した切断面における観察対象の断面形状の把握を簡便に行える内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】ステレオ計測を行うためのコンピュータと、内視鏡とを備える内視鏡装置であって、コンピュータは、モニタ30の画面上に表示させた基準画像50上で、観察対象の切断位置を特定する切断基準線53を指定し、切断基準線53上の点に対応する基準画像50上の点を注目点として、この注目点に対応する参照画像51上の対応点を探索する。基準画像50上の注目点の位置と、参照画像51上の対応点の位置とから、切断基準線53上の各注目点に写像される空間上の点の3次元座標から断面情報を得て、その値を基に断面情報を出力する。すると、モニタ30の画面には、基準画像50上に表示される切断基準53線に対する断面形状外形線図57aが表示される。
【解決手段】ステレオ計測を行うためのコンピュータと、内視鏡とを備える内視鏡装置であって、コンピュータは、モニタ30の画面上に表示させた基準画像50上で、観察対象の切断位置を特定する切断基準線53を指定し、切断基準線53上の点に対応する基準画像50上の点を注目点として、この注目点に対応する参照画像51上の対応点を探索する。基準画像50上の注目点の位置と、参照画像51上の対応点の位置とから、切断基準線53上の各注目点に写像される空間上の点の3次元座標から断面情報を得て、その値を基に断面情報を出力する。すると、モニタ30の画面には、基準画像50上に表示される切断基準53線に対する断面形状外形線図57aが表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の視点から得られる画像信号を基に、所望する切断位置における断面形状の客観的な判断を可能にする内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野及び工業分野において、内視鏡が広く用いられるようになった。通常の内視鏡による観察像では、一般に対象物は平面的なものとなり、凹凸等を認識しにくい。
【0003】
このため、特許文献1には複数の視点からの画像を得て3次元計測を行う計測内視鏡装置が示されている。また、特許文献2には、基準平面と計測点を指定することで基準平面から計測点までの距離を表示し、対象物の凹凸の高さ又は深さを客観的に認識できる計測用内視鏡装置が示されている。
【0004】
これまでの計測用内視鏡装置では基準画像上で指定した点の3次元座標や2点間の距離或いは設定した平面からの深さ等の計測を行うことができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平8−12332号公報
【特許文献2】特許公報第2778739号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、観察対象における3次元形状を知るために、多数の点を指定し、その各点から得られる3次元座標を元に形状を推測していたため、観察対象の3次元形状を直感的に把握することが難しいという問題があった。
【0007】
また、画像情報から撮像範囲全体の3次元情報を得て3次元モデルを作成する方法もあるが、3次元モデルを作成するためにはコンピュータによる演算処理に多大な時間がかかり、実用的ではないという問題があった。
【0008】
したがって、例えばパイプ内部の腐食部の深さ測定を行う際、最も深い場所を特定するまでに多くの検査時間を要していた。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、測定を希望する切断面の指定を容易に行え、かつその指定した切断面における観察対象の断面形状の把握を簡便に行える内視鏡装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の内視鏡装置は、観察対象を複数の視点から撮像する撮像部と、この撮像部によって得られる複数の視点における画像の1つを基準画像、残りの画像を参照画像としてステレオ計測を行うための演算処理部とを有する内視鏡装置であって、
前記演算処理部が前記基準画像を画面上に表示させる画像表示手段と、前記画面に表示された画像上で、前記観察対象の切断位置を特定する切断基準線を指定する切断基準線指定手段と、この切断基準線上の点に対応する前記基準画像上の点を注目点とし、この注目点に対応する前記参照画像上の対応点を探索する対応点探索手段と、前記基準画像上における注目点の位置と、前記対応点探索手段で求めた前記参照画像上の対応点の位置とから、前記切断基準線上の各注目点に写像される空間上の点の3次元座標である、前記切断位置における前記観察対象の断面情報を得る断面情報演算手段と、この断面情報演算手段で得られた値を基に断面情報を出力する断面情報出力手段と、を具備し、
前記断面情報出力手段は、前記画面の前記基準画像上に表示される前記切断基準線に基づく前記断面情報を、当該画面上に断面形状外形線図として表示する。
【0011】
この構成によれば、表示されている基準画像に所望する切断面を指定することによって、観察者の所望する切断面の断面情報が画面上に表示される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、測定を希望する切断面の指定を容易に行え、かつその指定した切断面における観察対象の断面形状の把握を簡便に行える内視鏡装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1ないし図15は本発明の一実施形態に係り、図1は計測を行える内視鏡装置の概略構成を示す説明図
【図2】内視鏡挿入部先端部に儲けた撮像部と演算処理部を備えた計測装置とを説明する図
【図3】内視鏡で観察対象部位を観察している状態を示す図
【図4】ステレオ計測を説明するフローチャート
【図5】基準画像表示手段によってモニタの画面上に表示される内視鏡画像及び切断基準線の1例を示す図
【図6】切断面及び断面外形線を説明する図
【図7】他の基準線の1例を説明する図
【図8】断面情報を示す断面外形線の1例を示す図
【図9】基準画像に対して表示した断面外形線の表示例を説明する図
【図10】断面情報を示す際のカメラ座標系を説明する図
【図11】断面情報を示す断面外形線の他の例を示す図
【図12】断面情報を示す断面外形線の別の例を示す図
【図13】断面情報を示す断面外形線のまた他の例を示す図
【図14】対応点探索のアルゴリズムを説明するフローチャート
【図15】対応点探索後に示されるモニタ画面を説明する図
【図16】図16ないし図22は複数画像間での対応付けのあいまいさを減らす工夫を説明する図であり、図16はモニタ画面上に表示される画像を説明する図
【図17】基準線上での順序を利用して断面情報の精度を上げる方法を説明するフローチャート
【図18】周囲の点の奥行き情報を利用して断面情報の精度を上げる方法を説明するフローチャート
【図19】逆対応点の利用によって断面情報の精度を上げる方法を説明するフローチャート
【図20】エピポーララインからのずれの大きさを利用して断面情報の精度を上げる方法説明するフローチャート
【図21】微分値を利用して断面情報の精度を上げる方法を説明するフローチャート
【図22】注目点の周りに設定する小さな領域の形状を示す図
【図23】1点を指定して得られる基準線の1例を説明する図
【図24】1点を指定して得られる基準線の他の例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように本実施形態の計測を行うための内視鏡装置1は、観察対象部位の観察像を後述する撮像素子上に結像させる撮像部を内視鏡に備えた電子内視鏡2(以下内視鏡と記載する)と、この内視鏡2によって得られた観察像の画像信号に画像処理を施し、この画像処理した画像データを基に各種計測を行うための演算処理部を有する計測装置3とで主に構成されている。
【0015】
なお、前記計測装置3には観察対象に照明光を供給するための光源装置(不図示)が内蔵されており、観察対象部位の内視鏡画像はモニタ30の画面上に表示されるようになっている。
【0016】
前記内視鏡2は、細長な挿入部20を有し、この挿入部20の基端部には把持部を兼ねる操作部21が配設されている。そして、この操作部21の側部からは前記計測装置3に着脱自在なコネクタ22を基端部に配設したユニバーサルコード23が延出している。
【0017】
前記挿入部20は、先端側から順に後述する撮像光学系を内蔵した先端部24と、複数の湾曲駒を回動自在に連接して湾曲自在に形成された湾曲部25と、細長な柔軟部材で形成した可撓管部26とで構成されている。なお、符号27は前記湾曲部25を湾曲操作する操作ノブ27である。
【0018】
図2に示すように前記先端部24には一対の対物レンズ系41,42と、この対物レンズ系41,42を通して撮像面に結像した光学像を画像信号に光電変換する撮像素子43とから構成される撮像部40が配置されている。
【0019】
前記対物レンズ系41,42は、観察対象部位を複数の視点で撮像できるように構成したものであり、撮像素子43の撮像面上には前記対物レンズ系41,42を通過したそれぞれの光学像が結像する。つまり、本実施形態の内視鏡2はいわゆる視差を有するステレオ画像を得る立体視内視鏡である。
【0020】
図1及び図2に示すように計測装置3は、前記撮像素子43で光電変換された画像信号を前記モニタ30に表示するためのビデオ信号に変換するカメラコントロールユニット(以下CCUと略記する)31と、このCCU31で生成されたビデオ信号をデジタル画像信号に変換するビデオキャプチャ回路32と、このビデオキャプチャ回路32で変換されたデジタル画像信号を基に計測のための演算を行う演算処理部であるホストコンピュータ33と、このホストコンピュータ33を介して計測装置3を操作するコンソール34とで主に構成されている。
【0021】
図3に示すように計測装置3の光源装置で発生された照明光は、前記コネクタ22、前記ユニバーサルケーブル23、挿入部20内を挿通するライトガイドファイバ(不図示)を伝送されて照明窓44から観察対象部位4に向かって出射される。このことにより、前記計測装置3のモニタ30に観察対象部位4の内視鏡画像が表示される。
【0022】
なお、本実施形態においては前記コンソール34を計測装置本体35に対して別体とし、前記モニタ30を計測装置本体35に対して一体としているが、用途によってそれぞれ計測装置本体35に対して一体又は別体で構成される。
【0023】
図4ないし図24を参照して、上述のように構成した内視鏡装置1を用いてステレオ計測を行う際の動作及び作用を説明する。
例えば内視鏡2の挿入部20をパイプ管内に挿入し腐食部や傷の観察を開始する。
【0024】
すると、まず図4のフローチャートのステップS101に示すように照明光によって照らされた観察対象部位4の観察像が前記対物レンズ系41,42を通して撮像素子43の撮像面にそれぞれ結像する。この撮像素子43に結像して光電変換されたそれぞれの観察像の画像信号は、前記挿入部20、操作部21、ユニバーサルケーブル23内を挿通する図示しない信号線及びコネクタ22を介して計測装置3のCCU31に伝送される。
【0025】
そして、CCU31に伝送された画像信号は、このCCU31でビデオ信号に生成された後、ビデオキャプチャ回路32に伝送されてデジタル画像信号に変換され、ステップS102に示すようにこのデジタル映像信号をホストコンピュータ33に転送する一方、ステップS103に示すようにモニタ30にビデオ信号を伝送して内視鏡観察画像をモニタ30の画面上に表示させる。
【0026】
モニタ観察中に腐食部などを発見した場合には腐食部の計測を行う。このとき、まず観察者は前記コンソール34を操作してステレオ計測モードに切り換える。すると、ホストコンピュータ33内の画像表示手段によってモニタ30の画面上には図5に示すように前記対物レンズ系41,42でそれぞれとらえた観察像の内視鏡画像のうち例えば、一方の対物レンズ系41でとらえた画像を基準画像とし、他方の対物レンズ系42でとらえた画像を参照画像として、それぞれの計測用補正画像である補正基準画像50と補正参照画像51が、モニタ30上に分割して表示される。
【0027】
なお、前記画像50,51は、ステップS104に示すように補正画像生成手段によって、前記ホストコンピュータ33に取り込まれたデジタル画像信号を予め得られている前記撮像部40の歪補正係数等を元に歪補正を施した計測用補正画像として生成されている。そして、この計測用補正画像である補正基準画像50及び補正参照画像51で以下に述べる対応点探索等のステレオ計測が行われる。
【0028】
計測を行うためまず、ステップS105に示すように図5に示す基準画像50上に計測のための断面情報を得たい部分の切断位置を特定するための切断基準線を得るための2点A,Bを切断基準線指定手段を介して指定する。この作業は、観察者が前記コンソール34等を用いて、画面上に表示される矢印やカーソル等のポインターを移動操作して行う。
【0029】
そして、観察者が点A,Bを指定することにより、この点Aと点Bとを結ぶ点線に示す直線が切断基準線(以下基準線と略記する)53、或いは点A,B間を結ぶ実線で示す線分が切断基準線分(以下基準線分と略記する)54になる。この切断基準線53によって決まる切断面を図6を用いて説明する。観察対象4の像は本来、倒立像として光学中心を挟んだ観察対象の反対側に結ぶが、図中では理解しやすいように補正基準画像50を正立像で観察対象4と光学中心Lとの間に置いている。
【0030】
なお、上述のように指定した基準線53とは別に、図7に示すように点Aと点Bとの間にある点(本図においては中点)においてある角度(本図においては直交する直線)で交わる一点鎖線に示す直線をもうひとつの基準線である補助線55として設定するようにしてもよい。
【0031】
観察者の意図する切断面56は、図中の前記補正基準画像50に対して直交する二点鎖線に示す平面となる。この切断面56は、基準線53と基準画像を撮像する光学系の光学中心Lとを含む平面として定義される。
【0032】
そして、図中に示す点A1 、B1 が、前記補正基準画像50上の点A、Bの観察対象部位4の表面上への写像点になる。つまり、本実施形態における表示対象である断面外形線57は、観察対象部位4を視線方向から見たときの表面と、切断面56との共有線として定義される。
【0033】
したがって、補正基準画像50には基準画像用光学系の光軸が点として投影され、その点が補正基準画像50の画像中心Oである。なお、符号58は光軸であり、図6中で画像中心Oと光学中心Lとを結ぶ一点鎖線として表している。
【0034】
ステップS106に示すように、前記切断面56に対する断面情報を得るため計測用補正画像である補正基準画像50上の基準線53(或いは基準線分54)上のすべての画素を注目点として設定することにより、ステップS107では対応点探索手段によって前記注目点に対応する補正参照画像51上での画素である対応点の探索を行い、後述する対応点群59を描出する。この対応点探索のアルゴリズムについては後述する図14のフローチャート及び図15で説明する。
【0035】
前記ステップS107の対応点探索において対応点が見つかったならステップS108に移行して、前記注目点の補正基準画像50上での位置と、前記対応点の補正参照画像51上での位置の差、つまり各注目点毎の視差を求め、ステップS109に移行して、得られた視差と、事前に得られている各光学系の光学中心間の距離である基線長や各光学系の焦点距離、各光学系の光軸の計測用補正画像への写像点の座標等の光学データを基に、断面情報演算手段によって注目点の写像されている空間上の点の3次元座標を計算する。
【0036】
このステップS109で前記基準線53上のすべての画素に対応する点の3次元座標を求めたなら、ステップS110に移行して各点の3次元座標を基に切断面56の断面情報を以下に示す4通りの中から観察者の所望するように構成し、ステップS111に移行し、断面情報出力手段によって観察対象の切断面の形状を容易に把握できる断面情報を断面形状外形線図としてモニタ30の画面上に表示させる。なお、前記断面形状外形線図をモニタ30の画面上への表示方法としては、断面形状外形線図だけを画面内の補正参照画像51の代わりに表示させる、或いは画面上にさらに別ウィンドウを表示させてこのウィンドウに表示させる場合等又は、補正基準画像50に重ね合わせて表示する方法等がある。
【0037】
ここで、前記断面情報及び対応点探索のアルゴリズムについて説明する。
まず、断面情報について説明する。この断面情報については以下の4通りの表示方法がある。
【0038】
(1)切断面上での断面情報を直接に表示:
断面情報を図8に示す断面形状外形線57aとして表示するものであり、図中縦軸は基準線分54或いは基準線53の切断面56への正射影、横軸は光軸58の切断面56への正射影であり、この場合に断面形状外形線図が直線的に得られる。
【0039】
この断面形状外形線57aを、計測中にモニタ30の画面上に表示させるためには、モニタ上に別ウィンドウを開いてそのウィンドウに前記断面形状外形線57aを表示させる場合と、図9に示すようにモニタ30に表示されている基準画像50に対して断面形状外形線57a重ね合わせて表示させる場合とがある。なお、重ね合わせて表示させる場合には、凹凸を知る手がかりとして、視線方向を示すマークとなる矢印C等を表示させる。
【0040】
(2)断面情報を空間上の平面へ投影して表示:
図10に示すように前記基準画像50を撮像する光学系の前記光学中心Lを原点とし、前記観察対象表面52に向かって水平方向右向きをx軸、垂直方向上向きをy軸、奥行き方向をz軸に取ったカメラ座標系を形成し、図11(a)に示す(x−z)平面又は図11(b)に示す(y−z)平面に投影して断面形状外形線57b,57cを表示する。この表示においては、通常の図面で用いられているものと同じ投影方法を選択できるので、図面における投影方法に慣れ親しんだ観察者にとっては形状把握を容易に行えるという利点がある。なお、用途によって任意の座標軸、任意の投影面を設定するようにしてもよい。
【0041】
(3)断面情報を擬似3次元にて表示:
図12に示すように実空間内に内視鏡2からの視点とは別の視点を新たに設定し、その設定した別視点から見た断面形状外形線57dを表示する。図中に示す円筒形状図は内視鏡2の空間上配置位置を参考として示すものである。また、視点の位置を3次元的に示す画像を別画面で同時に表示させることもできる。この表示方法では、視点を順次移動させて見え方の変化を追うことで、観察対象の3次元形状を直感的に把握できる。
【0042】
(4)実空間上の基準線からの奥行き情報を抽出しての表示
図8、図13に示すように基準線分54或いは基準線54上の点Dを、観察対象4の表面上に写像した点D1 と、点A、Bの実空間への写像点である点A1 、B1 を結んだ直線A1 B1 上に写像した点D2 との距離を、補正基準画像50上で基準線分54に対して垂直方向に表す。点Dを基準線分54或いは基準線53上のすべての点とすることで、断面形状外形線57eを表示する。なお、この表示方法においても前記(1)での説明と同様、凹凸を知る手掛かりとして、視線の方向を示す矢印Cを表示する。なお、手掛かりとして断面外形線57eに線分D1 D2 の長さに応じた色をつけるようにも設定してもよい。 この表示方法では、奥行き差が非常に大きい画像においても結果をコンパクトに表示することができる。
【0043】
次に、前記対応点探索のアルゴリズムを説明する。
対応点の探索は、すべて計測用補正画像上で行う。対応点の探索は、テンプレートマッチング或いはウィンドウマッチングとして知られ、注目点の周囲にある点の情報を助けに対応点を探索するアルゴリズムを用いる。
【0044】
補正基準画像50に対して点として投影される空間上の直線は、補正参照画像51上では直線として投影される。この直線をエピポーララインと呼ぶ。補正基準画像50上の注目点に対する補正参照画像51上の対応点は、理論上前記エピポーライン上にしか存在しない。したがって、対応点の探索は、誤差を見込んでエピポーララインとその上下数ピクセルの範囲で行えば良い。よって、探索の手順は図14に示すフローチャートのようになる。
【0045】
まず、ステップS107で示した対応点の探索が開始されると、ステップS201に示すように注目点の周囲に領域P1 を設定する。そして、ステップS202に移行して注目点に対応するエピポーララインを計算し、ステップS203でこのエピポーララインの上下数ピクセルの範囲内の点を対応点の候補点として抽出する。
【0046】
次に、ステップS204に移行して前記候補点の周りに前記注目点に設定した領域P1 と同じ大きさの領域P2 を設定し、ステップS205に示すように注目点の領域P1 と各対応点の候補点の周りの領域P2 との濃度値の正規化相互相関或いは、差の自乗和等を計算して対応度を求め、ステップS206,S207に示すようにすべての候補点の対応度を計算し、その結果をすべての候補点について保存する。すべての候補点についての対応度の保存が済んだなら、ステップS208,S209に示すように最も高い対応度である候補点を注目点に対する対応点として座標を保存する。そして、ステップS210に示すようにすべての注目点に対する対応点を求めたなら対応点探索を終了してステップS108に移行する。
【0047】
この対応点探索を行うことによって、図14に示すように補正基準画像50の基準線分54の各注目点に対応する各対応点を描出し、すべての対応点探索を行うことによって対応点の集合である対応点群59が補正参照画像51上に表示される。
【0048】
このように、観察中、ステレオ計測モードに変換して、モニタ画面上に表示されている基準画像上に2点を指定することによって、容易に観察者が観察を行いたいと思う部分が位置するように切断基準線を形成することができる。
【0049】
また、観察者によって指定された切断基準線の断面情報が、観察者の所望する断面形状外形線図としてモニタ画面上に表示させることによって、容易に断面形状の把握を行える。
【0050】
これらのことによって、観察中に腐食部などを発見した場合、手際良く、観察部の指定を行えるととともに、指定した観察部の断面形状の把握を直感的に行って短時間での観察を可能にする。
【0051】
なお、対応点の探索範囲を切断基準線上ではなく切断基準線分上に限定することによって更に結果を得るまでの時間の短縮を行える。
【0052】
また、本実施形態においては対応点探索を基準線53又は基準線分54上のすべての注目点に対して行っているが、基準画像50と参照画像51との対応付けには本質的にあいまいさがある。このため、例えば周囲に濃度差のない点や、基準画像では見えていて参照画像では見えていない、或いはその逆の領域であるオクルージョン領域内の点、或いはオクルージョン領域に隣接する点においては正確な対応付けが困難になる。
【0053】
そして、この結果、誤った点を対応点としてしまうおそれがあり、誤った点を対応点とすることによって、表示される対応点群59の位置情報にノイズが載ることになり、場合によっては観察対象の形状の判断を誤らせることになる。
【0054】
そこで、以下に示す複数の工夫によって、対応を誤りやすい点の排除、或いは対応精度を上げて、得られる断面情報精度を上げられる。
以下、複数画像間での対応付けのあいまいさを減らす工夫を説明する。
【0055】
(1)基準線上での順序を利用して断面情報の精度を上げる方法を図16及び図17のフローチャートを参照して説明する。
図16及び図17のフローチャートに示すようにステップS301に示すように基準線53上に並んでいる全注目点の並び順序を求める。この順序は、基準画像を撮像する光学系の光学中心と、参照画像を撮像する光学系の光学中心とを結ぶ直線である基線と直行し、撮像面と平行な軸へ射影した場合にも本来変化しない。そして、これは基準画像50の画像中心Oに対応するエピポーラライン61に直行する参照画像51上の軸62へ射影した場合と同値である。
【0056】
よって、ステップS302に示すように全注目点に対応する全対応点の前記軸62への射影点を求める一方、ステップS303に移行してその軸62上における射影点の並び順序を求める。
【0057】
そして、ステップS304,S305,S306に示すように注目点の並び順序と対応点の射影点の並び順序とが矛盾するか否かを確認して、並び順序が矛盾する点については対応付けに失敗した点として注目点から除外する一方、並び順序の一致する点については対応点に対する注目点として採用する。つまり、例えば、基準線上でa、b、c、d、eの順で並んでいた注目点について、その対応点の射影点が軸62上でa、b、d、c、eの順で並んだ場合には、点d,cに相当する注目点を、並び順に矛盾が生じていることから排除する。
【0058】
なお、この処理は、前記図4に示したフローチャートのステップS106とステップS107との間で行い、ステップS107以降の処理は採用された点についてのみ計算を行う。
【0059】
(2)周囲の点の奥行き情報を利用して断面情報の精度を上げる方法を図18のフローチャートを参照して説明する。
まず、前記ステップS106に示した注目点抽出の範囲を注目点に隣接する画素にまで広げる。つまり、図18のステップS401に示すように基準線53上の注目点とその周りの8点の合計9点について対応付けを行う。
【0060】
そして、ステップS402,403に示すように9点の奥行き値の中で、中央の値である3つの値(最大3値と最小3値とを除いた値)の平均を注目点の奥行き値として処理する。この処理が一種のローパスフィルタとなる。この処理は、前記図4に示したフローチャートのステップS109とステップS110との間で行う。
【0061】
(3)逆対応点の利用によって断面情報の精度を上げる方法を図19のフローチャートを参照して説明する。
前記ステップS107において、補正基準画像50のある注目点の対応点を補正参照画像51でとった後、図19のステップS501に示すように、その対応を取った点ついて前記図14で示したフローチャートにしたがって、逆に補正参照画像51から補正基準画像50への逆対応点をとっていく。
【0062】
そして、ステップS502,S503,S504,S505に示すように逆対応点が元の注目点に対して対応するか否かを確認して、対応する点がなかった点を対応付けに失敗した点として注目点から除き、一致する点を注目点として採用する処理を行う。この処理は、前記図4に示したステップS107とステップS108との間で行い、ステップS108以降の処理は採用した点についてのみ計算を行う。
【0063】
(4)エピポーララインからのずれの大きさを利用して断面情報の精度を上げる方法を図20のフローチャートを参照して説明する。
対応付けの結果で決まる補正参照画像51上の対応点のエピポーララインからのずれは、一定の傾向をもつはずである。このことを利用して、図20のステップS601に示すように全ての対応点についてのずれ量を求める。そして、ステップS602に示すように求めたずれ量を統計処理し、ステップS603に示すようにこの処理結果からずれの傾向を求めるとともにずれ量を許容する閾値を決める。
【0064】
この後、ステップS604,S605,S606,S607に示すようにずれ量の閾値から外れたものについては対応付けに失敗した点として注目点から除外し、ずれ量の閾値以下の点を注目点として採用する処理を行う。この処理は、前記図4に示したステップS107とステップS108との間で行い、ステップS108以降の処理は採用した点についてのみ計算を行う。
【0065】
(5)微分値を利用して断面情報の精度を上げる方法を図21のフローチャートを参照して説明する。
対応付けは、注目点の周囲に濃度変化があるところでは取り易く、濃度変化のないところでは取り難い。したがって、濃度変化のあるところだけを注目点に選ぶことによって、対応付けのあいまいさを少なくできる。
このため、図21のステップS701に示すように注目点で微分フィルタをかけて濃度変化の値を求める。
【0066】
そして、ステップS702,S703,S704,S705に示すように濃度変化の値が閾値以上である否かを判断して濃度変化の有無を検出し、閾値以下のとき注目点から除外し、閾値以上のとき注目点として採用する。即ち、濃度変化があると判断した画素についてのみ対応点の探索を行う。この処理は、前記図4に示したステップS106とステップS107との間で行い、ステップ107以降の処理は採用した点についてのみ計算を行う。
【0067】
(6)注目点の周りに設定する領域の形状を調節して断面情報の精度を上げる方法を説明する。
注目点がオクルージョン領域に隣接している場合には、注目点の周りに設定する探索用の領域内にオクルージョン領域が入ってしまうことにより対応付けがあいまいになる。そこで、注目点が探索領域の縁部に位置するようにした小さな領域を併用して探索を行い、一番高い対応度を出した領域による結果をその候補点の対応度とする。小さな領域の例としては図22の点線に示す境界線の右側に示すような領域であり、図中黒丸印が注目点を示す。そして、境界線の左側に示す領域は通常設定される領域である。
【0068】
上述した6つの方法を、単独或いは任意の2つ以上を組み合わせて断面情報を得ることによって、得られる断面情報の精度が高精度になる。
【0069】
また、上述したように2点を指定して断面情報を得る代わりに、図23及び図24に示すように補正基準画面50A上の1点だけを単独の基準点71として指定することにより、その基準点71を通る直線を基準線として断面情報を得るようにしてもよい。
【0070】
なお、前記基準線としては以下のものが設定可能である。
(1)指定された基準点71を通り、モニタ30の画面水平方向に対して平行な図23に示す直線72。
(2)指定された基準点71を通り、モニタ30の画面垂直方向に対して平行な図23に示す直線73。
(3)指定された基準点71を通り、モニタ30の画面水平方向及び画面垂直方向に対して平行な図23に示す直線72,73。
(4)指定された基準点71を通り、前記2直線72,73に対してそれぞれ任意の角度で交わる図24に示す直線74。
【0071】
このように、1点を指定することによって基準線が決まることにより、より操作を簡便にすることができ、断面形状を知りたい場所を直接的に指定することできる。
【0072】
なお、本実施形態においては2つの画像を用いた例を示したが、画像は3つ以上であっても同様に断面表示を行える。
【0073】
また、第2実施形態として、ステレオ計測モードに切り替えたときに表示される画像を、前記補正基準画像50及び前記補正参照画像51代わりに補正前の基準画像と参照画像として、基準線の指定を基準画像上で行うようにしてもよい。これにより、計測用補正画像生成の処理を簡略化できるため、ステレオ計測モードに切り替える際にかかる時間を大幅に短縮することができる。なお、その他の作用・効果は前記第1実施形態と同様である。
【0074】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…内視鏡装置 30…モニタ 35…計測装置本体 40…撮像部
41,42…対物レンズ系 50…基準画像 51…参照画像
53…切断基準線 57a…断面形状外形線
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の視点から得られる画像信号を基に、所望する切断位置における断面形状の客観的な判断を可能にする内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野及び工業分野において、内視鏡が広く用いられるようになった。通常の内視鏡による観察像では、一般に対象物は平面的なものとなり、凹凸等を認識しにくい。
【0003】
このため、特許文献1には複数の視点からの画像を得て3次元計測を行う計測内視鏡装置が示されている。また、特許文献2には、基準平面と計測点を指定することで基準平面から計測点までの距離を表示し、対象物の凹凸の高さ又は深さを客観的に認識できる計測用内視鏡装置が示されている。
【0004】
これまでの計測用内視鏡装置では基準画像上で指定した点の3次元座標や2点間の距離或いは設定した平面からの深さ等の計測を行うことができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平8−12332号公報
【特許文献2】特許公報第2778739号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、観察対象における3次元形状を知るために、多数の点を指定し、その各点から得られる3次元座標を元に形状を推測していたため、観察対象の3次元形状を直感的に把握することが難しいという問題があった。
【0007】
また、画像情報から撮像範囲全体の3次元情報を得て3次元モデルを作成する方法もあるが、3次元モデルを作成するためにはコンピュータによる演算処理に多大な時間がかかり、実用的ではないという問題があった。
【0008】
したがって、例えばパイプ内部の腐食部の深さ測定を行う際、最も深い場所を特定するまでに多くの検査時間を要していた。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、測定を希望する切断面の指定を容易に行え、かつその指定した切断面における観察対象の断面形状の把握を簡便に行える内視鏡装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の内視鏡装置は、観察対象を複数の視点から撮像する撮像部と、この撮像部によって得られる複数の視点における画像の1つを基準画像、残りの画像を参照画像としてステレオ計測を行うための演算処理部とを有する内視鏡装置であって、
前記演算処理部が前記基準画像を画面上に表示させる画像表示手段と、前記画面に表示された画像上で、前記観察対象の切断位置を特定する切断基準線を指定する切断基準線指定手段と、この切断基準線上の点に対応する前記基準画像上の点を注目点とし、この注目点に対応する前記参照画像上の対応点を探索する対応点探索手段と、前記基準画像上における注目点の位置と、前記対応点探索手段で求めた前記参照画像上の対応点の位置とから、前記切断基準線上の各注目点に写像される空間上の点の3次元座標である、前記切断位置における前記観察対象の断面情報を得る断面情報演算手段と、この断面情報演算手段で得られた値を基に断面情報を出力する断面情報出力手段と、を具備し、
前記断面情報出力手段は、前記画面の前記基準画像上に表示される前記切断基準線に基づく前記断面情報を、当該画面上に断面形状外形線図として表示する。
【0011】
この構成によれば、表示されている基準画像に所望する切断面を指定することによって、観察者の所望する切断面の断面情報が画面上に表示される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、測定を希望する切断面の指定を容易に行え、かつその指定した切断面における観察対象の断面形状の把握を簡便に行える内視鏡装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1ないし図15は本発明の一実施形態に係り、図1は計測を行える内視鏡装置の概略構成を示す説明図
【図2】内視鏡挿入部先端部に儲けた撮像部と演算処理部を備えた計測装置とを説明する図
【図3】内視鏡で観察対象部位を観察している状態を示す図
【図4】ステレオ計測を説明するフローチャート
【図5】基準画像表示手段によってモニタの画面上に表示される内視鏡画像及び切断基準線の1例を示す図
【図6】切断面及び断面外形線を説明する図
【図7】他の基準線の1例を説明する図
【図8】断面情報を示す断面外形線の1例を示す図
【図9】基準画像に対して表示した断面外形線の表示例を説明する図
【図10】断面情報を示す際のカメラ座標系を説明する図
【図11】断面情報を示す断面外形線の他の例を示す図
【図12】断面情報を示す断面外形線の別の例を示す図
【図13】断面情報を示す断面外形線のまた他の例を示す図
【図14】対応点探索のアルゴリズムを説明するフローチャート
【図15】対応点探索後に示されるモニタ画面を説明する図
【図16】図16ないし図22は複数画像間での対応付けのあいまいさを減らす工夫を説明する図であり、図16はモニタ画面上に表示される画像を説明する図
【図17】基準線上での順序を利用して断面情報の精度を上げる方法を説明するフローチャート
【図18】周囲の点の奥行き情報を利用して断面情報の精度を上げる方法を説明するフローチャート
【図19】逆対応点の利用によって断面情報の精度を上げる方法を説明するフローチャート
【図20】エピポーララインからのずれの大きさを利用して断面情報の精度を上げる方法説明するフローチャート
【図21】微分値を利用して断面情報の精度を上げる方法を説明するフローチャート
【図22】注目点の周りに設定する小さな領域の形状を示す図
【図23】1点を指定して得られる基準線の1例を説明する図
【図24】1点を指定して得られる基準線の他の例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように本実施形態の計測を行うための内視鏡装置1は、観察対象部位の観察像を後述する撮像素子上に結像させる撮像部を内視鏡に備えた電子内視鏡2(以下内視鏡と記載する)と、この内視鏡2によって得られた観察像の画像信号に画像処理を施し、この画像処理した画像データを基に各種計測を行うための演算処理部を有する計測装置3とで主に構成されている。
【0015】
なお、前記計測装置3には観察対象に照明光を供給するための光源装置(不図示)が内蔵されており、観察対象部位の内視鏡画像はモニタ30の画面上に表示されるようになっている。
【0016】
前記内視鏡2は、細長な挿入部20を有し、この挿入部20の基端部には把持部を兼ねる操作部21が配設されている。そして、この操作部21の側部からは前記計測装置3に着脱自在なコネクタ22を基端部に配設したユニバーサルコード23が延出している。
【0017】
前記挿入部20は、先端側から順に後述する撮像光学系を内蔵した先端部24と、複数の湾曲駒を回動自在に連接して湾曲自在に形成された湾曲部25と、細長な柔軟部材で形成した可撓管部26とで構成されている。なお、符号27は前記湾曲部25を湾曲操作する操作ノブ27である。
【0018】
図2に示すように前記先端部24には一対の対物レンズ系41,42と、この対物レンズ系41,42を通して撮像面に結像した光学像を画像信号に光電変換する撮像素子43とから構成される撮像部40が配置されている。
【0019】
前記対物レンズ系41,42は、観察対象部位を複数の視点で撮像できるように構成したものであり、撮像素子43の撮像面上には前記対物レンズ系41,42を通過したそれぞれの光学像が結像する。つまり、本実施形態の内視鏡2はいわゆる視差を有するステレオ画像を得る立体視内視鏡である。
【0020】
図1及び図2に示すように計測装置3は、前記撮像素子43で光電変換された画像信号を前記モニタ30に表示するためのビデオ信号に変換するカメラコントロールユニット(以下CCUと略記する)31と、このCCU31で生成されたビデオ信号をデジタル画像信号に変換するビデオキャプチャ回路32と、このビデオキャプチャ回路32で変換されたデジタル画像信号を基に計測のための演算を行う演算処理部であるホストコンピュータ33と、このホストコンピュータ33を介して計測装置3を操作するコンソール34とで主に構成されている。
【0021】
図3に示すように計測装置3の光源装置で発生された照明光は、前記コネクタ22、前記ユニバーサルケーブル23、挿入部20内を挿通するライトガイドファイバ(不図示)を伝送されて照明窓44から観察対象部位4に向かって出射される。このことにより、前記計測装置3のモニタ30に観察対象部位4の内視鏡画像が表示される。
【0022】
なお、本実施形態においては前記コンソール34を計測装置本体35に対して別体とし、前記モニタ30を計測装置本体35に対して一体としているが、用途によってそれぞれ計測装置本体35に対して一体又は別体で構成される。
【0023】
図4ないし図24を参照して、上述のように構成した内視鏡装置1を用いてステレオ計測を行う際の動作及び作用を説明する。
例えば内視鏡2の挿入部20をパイプ管内に挿入し腐食部や傷の観察を開始する。
【0024】
すると、まず図4のフローチャートのステップS101に示すように照明光によって照らされた観察対象部位4の観察像が前記対物レンズ系41,42を通して撮像素子43の撮像面にそれぞれ結像する。この撮像素子43に結像して光電変換されたそれぞれの観察像の画像信号は、前記挿入部20、操作部21、ユニバーサルケーブル23内を挿通する図示しない信号線及びコネクタ22を介して計測装置3のCCU31に伝送される。
【0025】
そして、CCU31に伝送された画像信号は、このCCU31でビデオ信号に生成された後、ビデオキャプチャ回路32に伝送されてデジタル画像信号に変換され、ステップS102に示すようにこのデジタル映像信号をホストコンピュータ33に転送する一方、ステップS103に示すようにモニタ30にビデオ信号を伝送して内視鏡観察画像をモニタ30の画面上に表示させる。
【0026】
モニタ観察中に腐食部などを発見した場合には腐食部の計測を行う。このとき、まず観察者は前記コンソール34を操作してステレオ計測モードに切り換える。すると、ホストコンピュータ33内の画像表示手段によってモニタ30の画面上には図5に示すように前記対物レンズ系41,42でそれぞれとらえた観察像の内視鏡画像のうち例えば、一方の対物レンズ系41でとらえた画像を基準画像とし、他方の対物レンズ系42でとらえた画像を参照画像として、それぞれの計測用補正画像である補正基準画像50と補正参照画像51が、モニタ30上に分割して表示される。
【0027】
なお、前記画像50,51は、ステップS104に示すように補正画像生成手段によって、前記ホストコンピュータ33に取り込まれたデジタル画像信号を予め得られている前記撮像部40の歪補正係数等を元に歪補正を施した計測用補正画像として生成されている。そして、この計測用補正画像である補正基準画像50及び補正参照画像51で以下に述べる対応点探索等のステレオ計測が行われる。
【0028】
計測を行うためまず、ステップS105に示すように図5に示す基準画像50上に計測のための断面情報を得たい部分の切断位置を特定するための切断基準線を得るための2点A,Bを切断基準線指定手段を介して指定する。この作業は、観察者が前記コンソール34等を用いて、画面上に表示される矢印やカーソル等のポインターを移動操作して行う。
【0029】
そして、観察者が点A,Bを指定することにより、この点Aと点Bとを結ぶ点線に示す直線が切断基準線(以下基準線と略記する)53、或いは点A,B間を結ぶ実線で示す線分が切断基準線分(以下基準線分と略記する)54になる。この切断基準線53によって決まる切断面を図6を用いて説明する。観察対象4の像は本来、倒立像として光学中心を挟んだ観察対象の反対側に結ぶが、図中では理解しやすいように補正基準画像50を正立像で観察対象4と光学中心Lとの間に置いている。
【0030】
なお、上述のように指定した基準線53とは別に、図7に示すように点Aと点Bとの間にある点(本図においては中点)においてある角度(本図においては直交する直線)で交わる一点鎖線に示す直線をもうひとつの基準線である補助線55として設定するようにしてもよい。
【0031】
観察者の意図する切断面56は、図中の前記補正基準画像50に対して直交する二点鎖線に示す平面となる。この切断面56は、基準線53と基準画像を撮像する光学系の光学中心Lとを含む平面として定義される。
【0032】
そして、図中に示す点A1 、B1 が、前記補正基準画像50上の点A、Bの観察対象部位4の表面上への写像点になる。つまり、本実施形態における表示対象である断面外形線57は、観察対象部位4を視線方向から見たときの表面と、切断面56との共有線として定義される。
【0033】
したがって、補正基準画像50には基準画像用光学系の光軸が点として投影され、その点が補正基準画像50の画像中心Oである。なお、符号58は光軸であり、図6中で画像中心Oと光学中心Lとを結ぶ一点鎖線として表している。
【0034】
ステップS106に示すように、前記切断面56に対する断面情報を得るため計測用補正画像である補正基準画像50上の基準線53(或いは基準線分54)上のすべての画素を注目点として設定することにより、ステップS107では対応点探索手段によって前記注目点に対応する補正参照画像51上での画素である対応点の探索を行い、後述する対応点群59を描出する。この対応点探索のアルゴリズムについては後述する図14のフローチャート及び図15で説明する。
【0035】
前記ステップS107の対応点探索において対応点が見つかったならステップS108に移行して、前記注目点の補正基準画像50上での位置と、前記対応点の補正参照画像51上での位置の差、つまり各注目点毎の視差を求め、ステップS109に移行して、得られた視差と、事前に得られている各光学系の光学中心間の距離である基線長や各光学系の焦点距離、各光学系の光軸の計測用補正画像への写像点の座標等の光学データを基に、断面情報演算手段によって注目点の写像されている空間上の点の3次元座標を計算する。
【0036】
このステップS109で前記基準線53上のすべての画素に対応する点の3次元座標を求めたなら、ステップS110に移行して各点の3次元座標を基に切断面56の断面情報を以下に示す4通りの中から観察者の所望するように構成し、ステップS111に移行し、断面情報出力手段によって観察対象の切断面の形状を容易に把握できる断面情報を断面形状外形線図としてモニタ30の画面上に表示させる。なお、前記断面形状外形線図をモニタ30の画面上への表示方法としては、断面形状外形線図だけを画面内の補正参照画像51の代わりに表示させる、或いは画面上にさらに別ウィンドウを表示させてこのウィンドウに表示させる場合等又は、補正基準画像50に重ね合わせて表示する方法等がある。
【0037】
ここで、前記断面情報及び対応点探索のアルゴリズムについて説明する。
まず、断面情報について説明する。この断面情報については以下の4通りの表示方法がある。
【0038】
(1)切断面上での断面情報を直接に表示:
断面情報を図8に示す断面形状外形線57aとして表示するものであり、図中縦軸は基準線分54或いは基準線53の切断面56への正射影、横軸は光軸58の切断面56への正射影であり、この場合に断面形状外形線図が直線的に得られる。
【0039】
この断面形状外形線57aを、計測中にモニタ30の画面上に表示させるためには、モニタ上に別ウィンドウを開いてそのウィンドウに前記断面形状外形線57aを表示させる場合と、図9に示すようにモニタ30に表示されている基準画像50に対して断面形状外形線57a重ね合わせて表示させる場合とがある。なお、重ね合わせて表示させる場合には、凹凸を知る手がかりとして、視線方向を示すマークとなる矢印C等を表示させる。
【0040】
(2)断面情報を空間上の平面へ投影して表示:
図10に示すように前記基準画像50を撮像する光学系の前記光学中心Lを原点とし、前記観察対象表面52に向かって水平方向右向きをx軸、垂直方向上向きをy軸、奥行き方向をz軸に取ったカメラ座標系を形成し、図11(a)に示す(x−z)平面又は図11(b)に示す(y−z)平面に投影して断面形状外形線57b,57cを表示する。この表示においては、通常の図面で用いられているものと同じ投影方法を選択できるので、図面における投影方法に慣れ親しんだ観察者にとっては形状把握を容易に行えるという利点がある。なお、用途によって任意の座標軸、任意の投影面を設定するようにしてもよい。
【0041】
(3)断面情報を擬似3次元にて表示:
図12に示すように実空間内に内視鏡2からの視点とは別の視点を新たに設定し、その設定した別視点から見た断面形状外形線57dを表示する。図中に示す円筒形状図は内視鏡2の空間上配置位置を参考として示すものである。また、視点の位置を3次元的に示す画像を別画面で同時に表示させることもできる。この表示方法では、視点を順次移動させて見え方の変化を追うことで、観察対象の3次元形状を直感的に把握できる。
【0042】
(4)実空間上の基準線からの奥行き情報を抽出しての表示
図8、図13に示すように基準線分54或いは基準線54上の点Dを、観察対象4の表面上に写像した点D1 と、点A、Bの実空間への写像点である点A1 、B1 を結んだ直線A1 B1 上に写像した点D2 との距離を、補正基準画像50上で基準線分54に対して垂直方向に表す。点Dを基準線分54或いは基準線53上のすべての点とすることで、断面形状外形線57eを表示する。なお、この表示方法においても前記(1)での説明と同様、凹凸を知る手掛かりとして、視線の方向を示す矢印Cを表示する。なお、手掛かりとして断面外形線57eに線分D1 D2 の長さに応じた色をつけるようにも設定してもよい。 この表示方法では、奥行き差が非常に大きい画像においても結果をコンパクトに表示することができる。
【0043】
次に、前記対応点探索のアルゴリズムを説明する。
対応点の探索は、すべて計測用補正画像上で行う。対応点の探索は、テンプレートマッチング或いはウィンドウマッチングとして知られ、注目点の周囲にある点の情報を助けに対応点を探索するアルゴリズムを用いる。
【0044】
補正基準画像50に対して点として投影される空間上の直線は、補正参照画像51上では直線として投影される。この直線をエピポーララインと呼ぶ。補正基準画像50上の注目点に対する補正参照画像51上の対応点は、理論上前記エピポーライン上にしか存在しない。したがって、対応点の探索は、誤差を見込んでエピポーララインとその上下数ピクセルの範囲で行えば良い。よって、探索の手順は図14に示すフローチャートのようになる。
【0045】
まず、ステップS107で示した対応点の探索が開始されると、ステップS201に示すように注目点の周囲に領域P1 を設定する。そして、ステップS202に移行して注目点に対応するエピポーララインを計算し、ステップS203でこのエピポーララインの上下数ピクセルの範囲内の点を対応点の候補点として抽出する。
【0046】
次に、ステップS204に移行して前記候補点の周りに前記注目点に設定した領域P1 と同じ大きさの領域P2 を設定し、ステップS205に示すように注目点の領域P1 と各対応点の候補点の周りの領域P2 との濃度値の正規化相互相関或いは、差の自乗和等を計算して対応度を求め、ステップS206,S207に示すようにすべての候補点の対応度を計算し、その結果をすべての候補点について保存する。すべての候補点についての対応度の保存が済んだなら、ステップS208,S209に示すように最も高い対応度である候補点を注目点に対する対応点として座標を保存する。そして、ステップS210に示すようにすべての注目点に対する対応点を求めたなら対応点探索を終了してステップS108に移行する。
【0047】
この対応点探索を行うことによって、図14に示すように補正基準画像50の基準線分54の各注目点に対応する各対応点を描出し、すべての対応点探索を行うことによって対応点の集合である対応点群59が補正参照画像51上に表示される。
【0048】
このように、観察中、ステレオ計測モードに変換して、モニタ画面上に表示されている基準画像上に2点を指定することによって、容易に観察者が観察を行いたいと思う部分が位置するように切断基準線を形成することができる。
【0049】
また、観察者によって指定された切断基準線の断面情報が、観察者の所望する断面形状外形線図としてモニタ画面上に表示させることによって、容易に断面形状の把握を行える。
【0050】
これらのことによって、観察中に腐食部などを発見した場合、手際良く、観察部の指定を行えるととともに、指定した観察部の断面形状の把握を直感的に行って短時間での観察を可能にする。
【0051】
なお、対応点の探索範囲を切断基準線上ではなく切断基準線分上に限定することによって更に結果を得るまでの時間の短縮を行える。
【0052】
また、本実施形態においては対応点探索を基準線53又は基準線分54上のすべての注目点に対して行っているが、基準画像50と参照画像51との対応付けには本質的にあいまいさがある。このため、例えば周囲に濃度差のない点や、基準画像では見えていて参照画像では見えていない、或いはその逆の領域であるオクルージョン領域内の点、或いはオクルージョン領域に隣接する点においては正確な対応付けが困難になる。
【0053】
そして、この結果、誤った点を対応点としてしまうおそれがあり、誤った点を対応点とすることによって、表示される対応点群59の位置情報にノイズが載ることになり、場合によっては観察対象の形状の判断を誤らせることになる。
【0054】
そこで、以下に示す複数の工夫によって、対応を誤りやすい点の排除、或いは対応精度を上げて、得られる断面情報精度を上げられる。
以下、複数画像間での対応付けのあいまいさを減らす工夫を説明する。
【0055】
(1)基準線上での順序を利用して断面情報の精度を上げる方法を図16及び図17のフローチャートを参照して説明する。
図16及び図17のフローチャートに示すようにステップS301に示すように基準線53上に並んでいる全注目点の並び順序を求める。この順序は、基準画像を撮像する光学系の光学中心と、参照画像を撮像する光学系の光学中心とを結ぶ直線である基線と直行し、撮像面と平行な軸へ射影した場合にも本来変化しない。そして、これは基準画像50の画像中心Oに対応するエピポーラライン61に直行する参照画像51上の軸62へ射影した場合と同値である。
【0056】
よって、ステップS302に示すように全注目点に対応する全対応点の前記軸62への射影点を求める一方、ステップS303に移行してその軸62上における射影点の並び順序を求める。
【0057】
そして、ステップS304,S305,S306に示すように注目点の並び順序と対応点の射影点の並び順序とが矛盾するか否かを確認して、並び順序が矛盾する点については対応付けに失敗した点として注目点から除外する一方、並び順序の一致する点については対応点に対する注目点として採用する。つまり、例えば、基準線上でa、b、c、d、eの順で並んでいた注目点について、その対応点の射影点が軸62上でa、b、d、c、eの順で並んだ場合には、点d,cに相当する注目点を、並び順に矛盾が生じていることから排除する。
【0058】
なお、この処理は、前記図4に示したフローチャートのステップS106とステップS107との間で行い、ステップS107以降の処理は採用された点についてのみ計算を行う。
【0059】
(2)周囲の点の奥行き情報を利用して断面情報の精度を上げる方法を図18のフローチャートを参照して説明する。
まず、前記ステップS106に示した注目点抽出の範囲を注目点に隣接する画素にまで広げる。つまり、図18のステップS401に示すように基準線53上の注目点とその周りの8点の合計9点について対応付けを行う。
【0060】
そして、ステップS402,403に示すように9点の奥行き値の中で、中央の値である3つの値(最大3値と最小3値とを除いた値)の平均を注目点の奥行き値として処理する。この処理が一種のローパスフィルタとなる。この処理は、前記図4に示したフローチャートのステップS109とステップS110との間で行う。
【0061】
(3)逆対応点の利用によって断面情報の精度を上げる方法を図19のフローチャートを参照して説明する。
前記ステップS107において、補正基準画像50のある注目点の対応点を補正参照画像51でとった後、図19のステップS501に示すように、その対応を取った点ついて前記図14で示したフローチャートにしたがって、逆に補正参照画像51から補正基準画像50への逆対応点をとっていく。
【0062】
そして、ステップS502,S503,S504,S505に示すように逆対応点が元の注目点に対して対応するか否かを確認して、対応する点がなかった点を対応付けに失敗した点として注目点から除き、一致する点を注目点として採用する処理を行う。この処理は、前記図4に示したステップS107とステップS108との間で行い、ステップS108以降の処理は採用した点についてのみ計算を行う。
【0063】
(4)エピポーララインからのずれの大きさを利用して断面情報の精度を上げる方法を図20のフローチャートを参照して説明する。
対応付けの結果で決まる補正参照画像51上の対応点のエピポーララインからのずれは、一定の傾向をもつはずである。このことを利用して、図20のステップS601に示すように全ての対応点についてのずれ量を求める。そして、ステップS602に示すように求めたずれ量を統計処理し、ステップS603に示すようにこの処理結果からずれの傾向を求めるとともにずれ量を許容する閾値を決める。
【0064】
この後、ステップS604,S605,S606,S607に示すようにずれ量の閾値から外れたものについては対応付けに失敗した点として注目点から除外し、ずれ量の閾値以下の点を注目点として採用する処理を行う。この処理は、前記図4に示したステップS107とステップS108との間で行い、ステップS108以降の処理は採用した点についてのみ計算を行う。
【0065】
(5)微分値を利用して断面情報の精度を上げる方法を図21のフローチャートを参照して説明する。
対応付けは、注目点の周囲に濃度変化があるところでは取り易く、濃度変化のないところでは取り難い。したがって、濃度変化のあるところだけを注目点に選ぶことによって、対応付けのあいまいさを少なくできる。
このため、図21のステップS701に示すように注目点で微分フィルタをかけて濃度変化の値を求める。
【0066】
そして、ステップS702,S703,S704,S705に示すように濃度変化の値が閾値以上である否かを判断して濃度変化の有無を検出し、閾値以下のとき注目点から除外し、閾値以上のとき注目点として採用する。即ち、濃度変化があると判断した画素についてのみ対応点の探索を行う。この処理は、前記図4に示したステップS106とステップS107との間で行い、ステップ107以降の処理は採用した点についてのみ計算を行う。
【0067】
(6)注目点の周りに設定する領域の形状を調節して断面情報の精度を上げる方法を説明する。
注目点がオクルージョン領域に隣接している場合には、注目点の周りに設定する探索用の領域内にオクルージョン領域が入ってしまうことにより対応付けがあいまいになる。そこで、注目点が探索領域の縁部に位置するようにした小さな領域を併用して探索を行い、一番高い対応度を出した領域による結果をその候補点の対応度とする。小さな領域の例としては図22の点線に示す境界線の右側に示すような領域であり、図中黒丸印が注目点を示す。そして、境界線の左側に示す領域は通常設定される領域である。
【0068】
上述した6つの方法を、単独或いは任意の2つ以上を組み合わせて断面情報を得ることによって、得られる断面情報の精度が高精度になる。
【0069】
また、上述したように2点を指定して断面情報を得る代わりに、図23及び図24に示すように補正基準画面50A上の1点だけを単独の基準点71として指定することにより、その基準点71を通る直線を基準線として断面情報を得るようにしてもよい。
【0070】
なお、前記基準線としては以下のものが設定可能である。
(1)指定された基準点71を通り、モニタ30の画面水平方向に対して平行な図23に示す直線72。
(2)指定された基準点71を通り、モニタ30の画面垂直方向に対して平行な図23に示す直線73。
(3)指定された基準点71を通り、モニタ30の画面水平方向及び画面垂直方向に対して平行な図23に示す直線72,73。
(4)指定された基準点71を通り、前記2直線72,73に対してそれぞれ任意の角度で交わる図24に示す直線74。
【0071】
このように、1点を指定することによって基準線が決まることにより、より操作を簡便にすることができ、断面形状を知りたい場所を直接的に指定することできる。
【0072】
なお、本実施形態においては2つの画像を用いた例を示したが、画像は3つ以上であっても同様に断面表示を行える。
【0073】
また、第2実施形態として、ステレオ計測モードに切り替えたときに表示される画像を、前記補正基準画像50及び前記補正参照画像51代わりに補正前の基準画像と参照画像として、基準線の指定を基準画像上で行うようにしてもよい。これにより、計測用補正画像生成の処理を簡略化できるため、ステレオ計測モードに切り替える際にかかる時間を大幅に短縮することができる。なお、その他の作用・効果は前記第1実施形態と同様である。
【0074】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…内視鏡装置 30…モニタ 35…計測装置本体 40…撮像部
41,42…対物レンズ系 50…基準画像 51…参照画像
53…切断基準線 57a…断面形状外形線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象を複数の視点から撮像する撮像部と、この撮像部によって得られる複数の視点における画像の1つを基準画像、残りの画像を参照画像としてステレオ計測を行うための演算処理部とを有する内視鏡装置であって、
前記演算処理部が前記基準画像を画面上に表示させる画像表示手段と、
前記画面に表示された画像上で、前記観察対象の切断位置を特定する切断基準線を指定する切断基準線指定手段と、
この切断基準線上の点に対応する前記基準画像上の点を注目点とし、この注目点に対応する前記参照画像上の対応点を探索する対応点探索手段と、
前記基準画像上における注目点の位置と、前記対応点探索手段で求めた前記参照画像上の対応点の位置とから、前記切断基準線上の各注目点に写像される空間上の点の3次元座標である、前記切断位置における前記観察対象の断面情報を得る断面情報演算手段と、
この断面情報演算手段で得られた値を基に断面情報を出力する断面情報出力手段と、を具備し、
前記断面情報出力手段は、前記画面の前記基準画像上に表示される前記切断基準線に基づく前記断面情報を、当該画面上に断面形状外形線図として表示することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記断面情報出力手段は、前記観察対象の表面に写像した第1点と、前記切断基準線上に写像した第2点との距離を求め、その距離に対応する点を前記基準画像上で前記切断基準線に対して垂直方向に配列して得られる断面形状外形線図を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記断面情報出力手段は、前記撮像部の視点とは異なる別の視点を設定し、前記別視点から見て得られる断面形状外形線図を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記断面情報出力手段は、設定したカメラ座標系の任意の投影面に投影して得られる断面形状外形線図を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置基準画像。
【請求項5】
前記断面情報出力手段は、前記切断基準線の切断面への正射影を縦軸、前記光軸の切断面への正射影を横軸にして得られる断面形状外形線図を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項1】
観察対象を複数の視点から撮像する撮像部と、この撮像部によって得られる複数の視点における画像の1つを基準画像、残りの画像を参照画像としてステレオ計測を行うための演算処理部とを有する内視鏡装置であって、
前記演算処理部が前記基準画像を画面上に表示させる画像表示手段と、
前記画面に表示された画像上で、前記観察対象の切断位置を特定する切断基準線を指定する切断基準線指定手段と、
この切断基準線上の点に対応する前記基準画像上の点を注目点とし、この注目点に対応する前記参照画像上の対応点を探索する対応点探索手段と、
前記基準画像上における注目点の位置と、前記対応点探索手段で求めた前記参照画像上の対応点の位置とから、前記切断基準線上の各注目点に写像される空間上の点の3次元座標である、前記切断位置における前記観察対象の断面情報を得る断面情報演算手段と、
この断面情報演算手段で得られた値を基に断面情報を出力する断面情報出力手段と、を具備し、
前記断面情報出力手段は、前記画面の前記基準画像上に表示される前記切断基準線に基づく前記断面情報を、当該画面上に断面形状外形線図として表示することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記断面情報出力手段は、前記観察対象の表面に写像した第1点と、前記切断基準線上に写像した第2点との距離を求め、その距離に対応する点を前記基準画像上で前記切断基準線に対して垂直方向に配列して得られる断面形状外形線図を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記断面情報出力手段は、前記撮像部の視点とは異なる別の視点を設定し、前記別視点から見て得られる断面形状外形線図を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記断面情報出力手段は、設定したカメラ座標系の任意の投影面に投影して得られる断面形状外形線図を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置基準画像。
【請求項5】
前記断面情報出力手段は、前記切断基準線の切断面への正射影を縦軸、前記光軸の切断面への正射影を横軸にして得られる断面形状外形線図を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2009−199089(P2009−199089A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102371(P2009−102371)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【分割の表示】特願平11−247588の分割
【原出願日】平成11年9月1日(1999.9.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【分割の表示】特願平11−247588の分割
【原出願日】平成11年9月1日(1999.9.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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