説明

内部に複数の分離された密閉空間を有するマルチスペース容器を製造するためのブロー成形方法及びその金型

【課題】マルチスペース容器を製造できるブロー用金型を提供する。
【解決手段】 内部に独立的な成形空間を提供する各金型部の開放面を対向配置し、各金型部の開放面に形成された支持枠に分離膜を挿入し、前記開放面を前記支持枠によって密閉することで、複数の成形空間が形成されるように組み立てる段階;前記各金型部の独立的な成形空間に予備成形物をそれぞれ注入し、前記各予備成形物を同時にまたは順次的に膨張して成形する段階、及び前記分離膜の突出部分を熱処理する仕上げ段階、を含むことを特徴とするマルチスペース容器を製造するためのブロー成形方法を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形を用いた容器製作方法に関するもので、内部に複数の分離された密閉空間を有するマルチスペース容器の製作方法及びその金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の分離された密閉空間を提供するマルチスペース容器は、シャンプーとリンス(場合によって水石けんも含む。)や、砂糖とプリム(場合によってコーヒーとシロップも含む。)などのように、関連性を有して一緒に使用される物質を保管するのに非常に有用である。
【0003】
既存のブロー成形法及びそれに関する金型では、単一空間の容器のみを製作することができ、上述したマルチスペース容器を製作することは不可能な問題がある。
【0004】
したがって、本発明は、二つ以上の分離された密閉空間を有するマルチスペース容器を製造できるブロー成形方法及びそれに関する金型を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−174853号
【特許文献2】特開2004−98534号
【特許文献3】特開2003−291933号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、マルチスペース容器を製造できるブロー用金型を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、前記金型を用いたマルチスペース容器を製作(成形)する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような目的を達成するために、本発明は、左右側または多数個の金型部と、各金型部が当接する結合部分に挿入される分離膜を組み立てることで、左右側または多数個の独立的な成形空間を形成させた後、前記各金型部の内部に予備成形物をそれぞれ注入及び膨張させ完成する工程を含むことを特徴とするマルチスペース容器を製造するためのブロー成形方法及びその金型を提供する。
【0009】
本発明は、内部に独立的な成形空間を提供する各金型部の開放面を対向配置し、各金型部の結合面に分離膜を挿入することで、分割された複数の成形空間が形成されるように組み立てる段階、及び前記各金型部の独立的な成形空間に予備成形物をそれぞれ注入し、前記各予備成形物を同時にまたは順次的に膨張させ成形する段階、を含むことを特徴とするマルチスペース容器を製造するためのブロー成形方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、複数の分離された密閉空間を有するマルチスペース容器を製作できるブロー金型を提供する。また、本発明は、前記金型を用いてマルチスペース容器を製作(成形)する方法を提供する。
【0011】
したがって、本発明は、既存の金型と成形法では製作不可能であったマルチスペース容器を低廉な費用で容易に製作できるという効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るブロー用金型の第1実施例を示した分離斜視図である。
【図2】本発明に係るブロー用金型の第1実施例を示した結合斜視図である。
【図3】本発明に係るブロー用金型の第1実施例を示した結合断面図である。
【図4】本発明に係る金型(第1実施例)を用いた成形過程の初期段階を示した断面図である。
【図5】本発明に係る金型(第1実施例)を用いた成形過程の後期段階を示した断面図である。
【図6】本発明に係る第1実施例の金型とブロー成形方法で製作されたマルチスペース容器を示した斜視図である。
【図7】本発明に係るブロー用金型の第2実施例を示した分離斜視図である。
【図8】本発明に係るブロー用金型の第2実施例を示した結合断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付された図面を参照して、本発明に係るマルチスペース容器を製作するためのブロー成形方法及びそれに関する金型の実施例を説明する。この過程で図面に示した各線の厚さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜のために誇張されて図示される場合がある。また、後述する各用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語で、これは、使用者及び運用者の意図または慣例によって変わり得る。そのため、これら各用語に対する定義は、本明細書の全般的な内容に基づいて下されるべきである。
【0014】
図1及び図2は、本発明に係る金型の第1実施例、すなわち、二つの分離された密閉空間を有する容器を製作するための金型を示した分離及び結合斜視図で、図3は、本発明の第1実施例に係る金型の結合状態を示した結合断面図である。
【0015】
これら図面に示すように、この金型は、第1金型部110と第2金型部120が、予め準備された分離膜130と結合されてなりたつ。前記分離膜130は、各金型部110,120の当接部分に装置された支持枠115,125に挿入される。
【0016】
各金型部110,120が組み立てられると、各金型部110,120の内壁と挿入された分離膜130で取り囲まれた2個の独立的な成形空間が形成される。ここで、第1金型部110と第2金型部120は、一般的な金型と同様に反復的に使用される。しかしながら、分離膜130は、金型組み立ての一部であると同時に、完製品の一部になる。すなわち、一つのマルチスペース容器を製作するときごとに、一つの分離膜130が使用される。したがって、分離膜130は、ブロー成形される容器と同一の材質で製作されることが好ましい。
【0017】
第1金型部110は、右側面114が開放されており、上面112には、予備成形物が注入される入口113が設けられる。開放された右側面114には、開放面よりやや広い分離膜130が定着されるように、開口の周縁部に沿って形成された段差部分からなる支持枠115が特別に形成されている。第2金型部120は、第1金型部110と分離膜130に対して対称的な形態であり、第1金型部110の右側面114に結合される開放された左側面124にも、上述した支持枠115と同一形態の支持枠125が形成されている。
【0018】
ブロー成形前に、前記分離膜130は、図3に示すように、両側の支持枠115,125の間に位置するように左右側の金型部110,120と一緒に組み立てられる。したがって、第1金型部110は、その金型の内壁と分離膜130の左側面131によって独立的な成形空間を形成し、これと同様に、第2金型部120も、その金型の内壁と分離膜130の右側面132によって他の独立された成形空間を形成する。
【0019】
図4及び図5は、本発明に係る金型(第1実施例)を用いた初期及び後期成形過程を示した断面図である。これら図面に示すように、左右の金型部110,120と分離膜130が組み立てられた状態で、それぞれの予備成形物210,220が各金型部110,120の入口113,123に注入される。この状態で各金型部110,120の入口113,123を塞ぎ、これら入口113,123にそれぞれの注入管230,240が挿入される。各注入管230,240を通して熱気体を同時に吹き込むことで、予備成形物210,220は、徐々に膨張され、図4に示すように、左右側の金型部110,120の内壁と分離膜130の表面に接触するようになる。
【0020】
各金型部110,120の内壁と挿入された分離膜130の両表面131,132に沿って対称的に膨張する予備成形物210,220の一部は、左右側の金型部110,120の結合部分に位置した支持枠115,125で合わせられることで、挿入された分離膜130を完全に取り囲むようになり、その結果、二つの分離された密閉空間11,12を形成するようになる。
【0021】
場合によっては、同時膨張工程でない、各成形空間での順次的な膨張工程も可能である。このとき、左右側の各成形過程を二つでない一つの注入口で行えるという長所があるが、その反面、作業時間が増加するという短所が生じる。
【0022】
図5のように完全に膨張された成形品は、金型から取り出され、必要であれば、分離膜と予備成形物による突出部分の熱処理などの仕上げ過程を経て完成される。このようにすることで、外観が滑らかになるだけでなく、二つの密閉空間の表面での結合状態が強化されるという長所がある。
【0023】
図6は、本発明の第1実施例に係る金型を用いてブロー成形方法で製作されるマルチスペース容器を示した斜視図である。図6に示すように、二つに分割された密閉空間11,12を有する外観上の一つの容器10が形成される。容器10の左右側の空間11,12は、完成品の内部に挿入された分離膜130の両側に一体に構成される。
【0024】
図7及び図8は、本発明に係る金型の第2実施例、すなわち、3個の分離された密閉空間を有する容器を製作するための金型を示した分離斜視図及び結合断面図である。
【0025】
これら図面に示すように、この金型は、3個に分割された金型部310,320,330が、予め準備された分離膜340と一緒に結合されてなる。前記三角分離膜340は、各金型部310,320,330の結合部分に装置された支持枠311,321,331に挿入される。三角分離膜340は、図示したようにY字状の断面を有する。前記各金型部310,320,330が前記分離膜340と一緒に組み立てられると、各金型部310,320,330の内壁と挿入された分離膜340で取り囲まれた3個の独立的な成形空間が形成される。
【0026】
各金型部310,320,330の入口312,322,332に予備成形物をそれぞれ注入し、各注入口を通して行う同時膨張工程などは、上述した実施例で説明した通りである。
【0027】
本発明は、図面に示した実施例を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎなく、当該技術の属する分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0028】
110………第1金型部、120………第2金型部、130………分離膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に独立的な成形空間を提供する各金型部の開放面を対向配置し、各金型部の開放面に形成された支持枠に分離膜を挿入し、前記開放面を前記支持枠によって密閉することで、複数の成形空間が形成されるように組み立てる工程、
前記各金型部の独立的な成形空間に予備成形物をそれぞれ注入し、前記各予備成形物を同時にまたは順次的に膨張して成形する工程、及び
前記分離膜の突出部分を熱処理する仕上げ工程、を含むことを特徴とするマルチスペース容器を製造するためのブロー成形方法。
【請求項2】
内部に独立的な成形空間を提供する各金型部と、前記各金型部の結合面に形成された支持枠と、前記各金型部が結合されるとき、前記各支持枠の間に挿入されて固定される分離膜と、を含むマルチスペース容器を製造するためのブロー金型。
【請求項3】
開放面が互いに組み立てられるように3個に分離された金型部と、前記各金型部の結合面に形成された支持枠と、前記各金型部が結合されるとき、前記各支持枠の間に挿入されて固定されるY字状の断面を有する分離膜と、を含むマルチスペース容器を製造するためのブロー金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−214786(P2010−214786A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64461(P2009−64461)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(509076742)成林工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】