説明

内部熱交換型蒸留塔

【課題】濃縮部および回収部のいずれにおいてもサイドカットが可能で、かつ、製造コストの低減、省エネルギー率の向上、メンテナンスコストの低減を図ることが可能で、用途の広い内部熱交換型蒸留塔を提供する。
【解決手段】管外55を濃縮部とし、その気液接触構造を棚段式とするとともに、管内54を回収部とし、その気液接触構造を濡れ壁式とし、かつ、管75の内周面に、周方向への液の分散と、滞留時間の増大を図るための流動制御部材(線状部材)76を配設する。
また、濃縮部の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口81a,81b,81cを配設する。
また、管75の径を、塔頂から塔底に向かって、連続的あるいは段階的に小さくする。
また、管内を濃縮部、管外を棚段式の回収部とするとともに、管外の、塔頂から塔底に至る所定の段に、回収部の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、いわゆるシェル&チューブ型の熱交換器を縦型にした構造を有し、管内側(チューブ側)と管外側(シェル側)の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高圧側が濃縮部、低圧側が回収部として機能するように構成された多管式熱交換器縦型の内部熱交換型蒸留塔に関し、詳しくは、塔頂から塔底に至る所定の位置で液を抜き出す、いわゆるサイドカットを行うことが可能な内部熱交換型蒸留塔に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー性に優れた蒸留塔として、低圧塔と高圧塔とを備え、両者の間で熱交換を行うように構成され、他との熱の授受を必要としない内部熱交換型の蒸留塔が知られている。この内部熱交換型蒸留塔は、蒸留操作の省エネルギー化を進める見地からすれば、省エネルギーに最も忠実な理論であることは、原理的にも当然であり、また、学問上からも認められているところである。
【0003】
また、内部熱交換型蒸留塔として、複数の管を両端管板によって本体胴と連結させることにより、本体胴の内部において、各管の管内(チューブ側)と管外(シェル側)が隔離された構造とし、管内および管外のそれぞれに気液の出入口を設け、管内側と管外側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高圧側を濃縮部、低圧側を回収部として一つの蒸留塔を構成するようにした構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この内部熱交換型蒸留塔は、例えば、図8に示すように、本体胴101と、本体胴101内に挿入された複数の管125を両端管板(上側管板(塔頂側管板)103aおよび下側管板(塔底側管板)103b)によって本体胴101と連結させることにより形成されている。そして、各管125の管内104と管外105は互いに隔離された構造を有しており、管内104が高圧側の濃縮部となり、管外105が低圧側の回収部となるように構成されている。なお、管内104および管外105はいずれも規則充填物が充填された充填塔となっている。
【0005】
また、本体胴101の上部には、管外(回収部)105に液を供給するための塔頂液入り口(回収部液入口)106、管外(回収部)105からの蒸気を抜き出す塔頂蒸気出口(回収部蒸気出口)107が配設されており、上側管板103aより上側の、管内(濃縮部)104と連通する端室114aには、管内(濃縮部)104に液を供給するための濃縮部液入口108が配設され、また、管内(濃縮部)104からの蒸気を抜き出す濃縮部蒸気出口109が配設されている。
【0006】
一方、本体胴101の下部には、管外(回収部)105に蒸気を供給するための回収部蒸気入口110、管外(回収部)105からの液を抜き出す回収部液出口111が配設されており、下側管板103bより下側の、管内(濃縮部)104と連通する端室114bには、管内(濃縮部)104に蒸気を供給するための濃縮部蒸気入口112が配設され、また、管内(濃縮部)104からの液を抜き出す濃縮部液出口113が配設された構造を有している。
【0007】
また、上記特許文献1の内部熱交換型蒸留塔の構造を基本構造として、図9に示すように、濃縮部である管125を取り囲むように同軸の外筒126を設け、管125と外筒126の間の空間(水平断面形状はドーナツ形)127を回収部とし、管125と外筒126を本体胴101内に配設した構造を有する内部熱交換型蒸留塔が提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
さらには、特に図示しないが、同じく上記特許文献1の内部熱交換型蒸留塔の構造を基本構造とし、管内に規則充填物を充填して濃縮部とするとともに、塔頂から塔底までの間にレデューサを複数個所に配設して、管の径を塔頂から塔底に向かって小さくし、かつ、管外(本体胴と管の間の空間)に規則充填物を充填して回収部とした内部熱交換型蒸留塔が提案されている(特許文献3)。
【0009】
そして、上記特許文献1,2および3の発明にかかる内部熱交換型蒸留塔により、濃縮部と回収部との間で熱交換を行うことが可能で、省エネルギー性に優れた内部熱交換式の蒸留を行うことが可能になっている。
【0010】
しかしながら、内部熱交換型蒸留塔の構造や操作条件などに関する自由度の増大への要求は大きく、また、製造コストなどを含む設備費や設備重量の低減、設備の小型化、運転費の低減(省エネルギー率の向上)、メンテナンスコストの削減、信頼性の向上などの見地から、さらなる改善が求められているのが実情である。
【特許文献1】特開平8−66601号公報
【特許文献2】特開2004−16929号公報
【特許文献3】特開平9−52001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、サイドカットが可能で、回収部あるいは濃縮部の塔頂から塔底に至る間の特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系において、優れた蒸留性能を発揮することが可能な内部熱交換型蒸留塔、さらには、製造コストの低減、省エネルギー率の向上、メンテナンスコストの低減を図ることが可能で、用途の広い内部熱交換型蒸留塔を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)にかかる内部熱交換型蒸留塔は、
複数の管を両端管板によって本体胴と連結することにより形成され、本体胴の内部において各管の管内と管外が隔離され、かつ、管内および管外のそれぞれが気液の出入口を備えた構造を有しているとともに、
管内側と管外側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高圧側が濃縮部、低圧側が回収部として機能するように構成された多管式熱交換器縦型の内部熱交換型蒸留塔であって、
(a)管内が高圧側の濃縮部であり、
(b)管外が低圧側の回収部であって、棚段式の気液接触構造を有し、
(c)前記回収部の、塔頂から塔底に至る所定の段に、回収部の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口が配設されていること
を特徴としている。
【0013】
また、本願発明(請求項2)の内部熱交換型蒸留塔は、
複数の管を両端管板によって本体胴と連結することにより形成され、本体胴の内部において各管の管内と管外が隔離され、かつ、管内および管外のそれぞれが気液の出入口を備えた構造を有しているとともに、
管内側と管外側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高圧側が濃縮部、低圧側が回収部として機能するように構成された多管式熱交換器縦型の内部熱交換型蒸留塔であって、
(a)管外が高圧側の濃縮部であって、棚段式の気液接触構造を有し、
(b)管内が低圧側の回収部であって、濡れ壁式の気液接触構造を有し、かつ、
(c)前記管の内周面に、液の垂直方向の流下を妨げて、前記管の内周面の周方向への液の分散と、前記管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための流動制御部材が配設され、あるいは、前記管の内周面の周方向への液の分散と、前記管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための流動制御加工が施されていること
を特徴としている。
【0014】
また、請求項3の内部熱交換型蒸留塔は、請求項2の発明の構成において、前記濃縮部の、塔頂から塔底に至る所定の段に、濃縮部の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口が配設されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項4の内部熱交換型蒸留塔は、請求項2または3の発明の構成において、前記管の内周面の周方向への液の分散と、前記管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための前記流動制御部材が線状部材であって、前記管の内周面に沿うように配設されていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項5の内部熱交換型蒸留塔は、請求項4の発明の構成において、前記線状部材が前記管の内周面に螺旋状に配設されていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項6の内部熱交換型蒸留塔は、請求項2または3の発明の構成において、前記管の内周面の周方向への液の分散と、前記管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための前記流動制御加工が、前記管の内周面への掘り溝形成加工であることを特徴としている。
【0018】
また、請求項7の内部熱交換型蒸留塔は、請求項6の発明の構成において、前記掘り溝形成加工により形成された掘り溝が前記管の内周面に螺旋状に配設されていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項8の内部熱交換型蒸留塔は、請求項1〜7のいずれかの発明の構成において、前記管の径が、塔頂から塔底に向かって、連続的あるいは段階的に小さくされていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項9の内部熱交換型蒸留塔は、請求項8の発明の構成において、レデューサを用いて、径の異なる複数の単管を接続することにより、前記管の径が塔頂から塔底に向かって段階的に小さくされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本願発明(請求項1)の内部熱交換型蒸留塔は、多管式熱交換器縦型の内部熱交換型蒸留塔において、管内(チューブ側)を高圧側の濃縮部とし、管外(シェル側)を棚段式の気液接触構造を有する低圧側の回収部とするとともに、該回収部である管外の、塔頂から塔底に至る所定の段に、回収部の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口を配設するようにしているので、該回収部の塔頂から塔底に至る間の特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系において、微量成分が蓄積する位置から液をサイドカットすることが可能になり、蒸留性能に優れた内部熱交換型蒸留塔を提供することが可能になる。
【0022】
すなわち、本願請求項1の内部熱交換型蒸留塔においては、管外の回収部を棚段式の気液接触構造としているので、各段のうちの所定の段に液抜き出し口を設けるだけで、管外が充填塔である場合には構造上困難であるサイドカットを容易に行うことが可能になる。したがって、該回収部の塔頂から塔底に至る間の特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系において、目的成分を精度よく分離することが可能な、蒸留性能の良好な内部熱交換型蒸留塔を提供することが可能になる。
【0023】
なお、サイドカットする棚板の位置は、その内部熱交換型蒸留塔の実績と設計シミュレーションによって決定されることになるが、液抜き出し口を設ける段は、実績と設計シミュレーションにより適当と判断される段と、上・下各1段を含め3ヶ所設けるようにすることが望ましい。なお、運転開始後は、通常、1ヶ所のみが使用され、他の2ヶ所はバルブカットされることになる。
【0024】
また、管外を棚段式とする場合の棚板は、バブルトレイやシーブトレイなど、その型式に特別の制約はないが、シーブトレイ(多孔板)を用いることが望ましい。また、棚板は有堰(液は棚板上を水平に流れ、堰を越えて下の棚板に流下する)、無堰(液が孔を通過して下の棚板に移行し、蒸気も同じ孔を逆向きに(上方に)通過して、液と向流接触する)のどちらでもよいが、無堰とする方が望ましい。
なお、多孔板が好ましいのは、バブルキャップなどを使用する場合に比べ、棚板上に設ける通気口に要求される面積が小さくなり、棚板の水平度を維持するためのリブの配設位置を阻害しないことによる。そもそも、リブの配設は管群に阻害されるため、従来型の蒸留塔の場合とは異なる。
また、無堰とすることが望ましいのは、液の均一分散性が比較的容易に確保できることによる。有堰とする場合には、管群を縫って移動する液を棚板上の気液接触領域全面に行き渡るように工夫する必要がある。
【0025】
また、この請求項1の内部熱交換型蒸留塔においては、管として、径(内径)が6インチ〜10インチのものを用いることが望ましい。これは、この管径の範囲において、充填物が挿入された管内の気液分散性が確保でき、期待する性能が維持できることによる。
【0026】
また、請求項1の内部熱交換型蒸留塔においては、塔頂から塔底までの蒸気量および液量の変化による蒸留性能への悪影響を避けるために、塔頂から塔底にかけて管の径を調整する方法も考えられるが、管内を規則充填物を用いた充填塔とし、塔頂から塔底にかけて、規則充填物の種類を変えて対応することが望ましい。
【0027】
また、この場合、規則充填物の濡れ面積の、規則充填物の充填体積に対する比(規則充填物の濡れ面積[m2]/規則充填物の充填体積[m3])が、塔頂から塔底に向かって小さくなるようにすることが望ましい。これにより、塔頂から塔底にかけての蒸気量負荷を均一化することが可能になる。
【0028】
また、本願発明(請求項2)の内部熱交換型蒸留塔は、管外(シェル側)を高圧側の濃縮部とし、その気液接触構造を棚段式とするとともに、管内(チューブ側)を低圧側の回収部とし、その気液接触構造を濡れ壁式とし、かつ、管の内周面に、液の垂直方向の流下を妨げて、管の内周面の周方向への液の分散と、管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための流動制御部材を配設し、あるいは、液の垂直方向の流下を妨げて、管の内周面の周方向への液の分散と、管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための流動制御加工を施すようにしているので、回収部である管内における液の、伝熱面である内周面への分散と滞留時間の増大を図ることが可能になり、熱交換効率を向上させることが可能になる。
したがって、管外を棚段式の濃縮部とし、管内を濡れ壁式の回収部とした構造の内部熱交換型蒸留塔において、十分な蒸留性能を発揮させることが可能になる。
【0029】
また、請求項2の内部熱交換型蒸留塔のように、管外を棚段式の濃縮部とし、管内を濡れ壁式の回収部とした場合、例えば、濃縮部や回収部が充填塔である場合に比べて、管の内周面および外周面(すなわち伝熱面)に付着したスケールを物理的手段により容易かつ確実に取り除くことが可能になり、メンテナンス性に優れた内部熱交換型蒸留塔を提供することが可能になる。
なお、特に回収部である管内の伝熱面(管の内周面)には、液蒸発による残渣の形で強固なスケールが形成される場合があるが、管内を濡れ壁式とした場合には、例えば500〜700kg/cm2の高圧水を吹き付けるジェット洗浄により、このスケールを除去することが可能であり、十分な実用性を担保することができる。
【0030】
また、請求項3の内部熱交換型蒸留塔のように、請求項2の発明の構成である、管外を棚段式の濃縮部とし、管内を濡れ壁式の回収部とした構造の内部熱交換型蒸留塔において、棚段式の気液接触構造を有する濃縮部の、塔頂から塔底に至る所定の段に、濃縮部の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口を設けることにより、該濃縮部の塔頂から塔底に至る間の特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系において、目的成分を精度よく分離することが可能な、蒸留性能の良好な内部熱交換型蒸留塔を提供することが可能になる。
したがって、上述の本願請求項1の発明の構成とすることにより、回収部の所定の位置からサイドカットを行うことが可能になり、この本願請求項3の発明の構成とすることにより、濃縮部の所定の位置からサイドカットを行うことが可能になる。
それゆえ、内部熱交換型蒸留塔に本願発明を適用し、本願請求項1の発明の構成と本願請求項3の発明の構成を適宜選択することにより、回収部および濃縮部の任意の位置からサイドカットを行うことが可能な、蒸留性能の高い内部熱交換型蒸留塔を実現することが可能になる。
【0031】
また、請求項4の内部熱交換型蒸留塔のように、請求項2または3の発明の構成において、管の内周面の周方向への液の分散と、管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための流動制御部材を、例えば針金のような線状部材とし、この線状部材を管の内周面に沿うように配設することにより、複雑な構造を必要とせずに、伝熱面である管の内周面への液の分散と滞留時間の増大を図ることが可能になり、濃縮部である管外と、回収部である管内との熱交換効率を向上させて、本願発明を実効あらしめることが可能になる。
【0032】
なお、流動制御部材として線状部材を用いる場合、直径が3〜10mmのものを用いることにより、伝熱面である管の内周面への分散、滞留時間の増大、気液接触面積の増大を図ることが可能になり、望ましい。
なお、直径が3〜10mmのものを用いることが好ましいのは、線状部材の直径が3mm未満になると、管の内周面への分散、滞留時間の増大の効果が不十分になり、線状部材の直径が10mmを超えると、液膜が厚くなり気液接触効率の低下が懸念されることによる。
【0033】
また、請求項5の内部熱交換型蒸留塔のように、請求項4の発明の構成において、線状部材を管の内周面に螺旋状に配設するようにした場合、より確実に回収部である管内における液の、伝熱面である管の内周面への分散と滞留時間の増大を図ることが可能になり、濃縮部である管外と、回収部である管内との熱交換効率を向上させて、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0034】
また、請求項6の内部熱交換型蒸留塔のように、請求項2または3の発明の構成において、管の内周面の周方向への液の分散と、管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための流動制御加工を、管の内周面への掘り溝形成加工とすることにより、複雑な構造を必要とせずに、伝熱面である管の内周面への液の分散と滞留時間の増大を図ることが可能になり、濃縮部である管外と、回収部である管内との熱交換効率を向上させて、本願発明を実効あらしめることが可能になる。
【0035】
また、請求項7の内部熱交換型蒸留塔のように、請求項6の発明の構成において、前記掘り溝形成加工により形成された掘り溝を、管の内周面に螺旋状に配設するようにした場合、より確実に回収部である管内における液の、伝熱面である管の内周面への分散と滞留時間の増大を図ることが可能になり、濃縮部である管外と、回収部である管内との熱交換効率を向上させて、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
なお、流動制御加工を、管の内周面への掘り溝形成加工とする場合において、掘り溝の幅は、例えば、3〜10mm、深さは3〜10mmとすることが望ましい。
これは、上記の範囲を外れると、管の内周面への分散、滞留時間の増大の効果が不十分になったり、液膜が厚くなり気液接触効率の低下が懸念されたりすることによる。
【0036】
また、請求項8の内部熱交換型蒸留塔のように、請求項1〜7のいずれかの発明の構成において、管の径を、塔頂から塔底に向かって、連続的あるいは段階的に小さくした場合、塔の断面積が、管外の濃縮部では塔頂から塔底にかけて増加し、また、管内の回収部では塔頂から塔底にかけて減少することになり、塔頂から塔底にかけての蒸気量負荷が実用上問題とならない程度に均一化された内部熱交換型蒸留塔を得ることが可能になる。
なお、この請求項8の内部熱交換型蒸留塔においては、管の径を、塔頂では6〜10インチの範囲とし、塔底では2〜4インチの範囲とすることが望ましい。
これは、管の径が2インチ未満になると、管内を例えば500〜700kg/cm2の高圧水を吹き付けるジェット洗浄により洗浄する場合に用いられるノズルの挿入ができなくなり、また、管の径が10インチを超えると、断面積に対する気液接触面積が小さくなるため気液接触効率が低下することによる。
【0037】
また、請求項9の内部熱交換型蒸留塔のように、請求項8の発明の構成において、レデューサを用いて、径の異なる複数の単管を接続することにより、管の径を塔頂から塔底に向かって段階的に小さくするようにした場合、レデューサを介して単管を接続するだけで上下両端の管板間に段階的に径の異なる管を配設することができるため、構造が簡潔で製造や保守の容易な内部熱交換型蒸留塔を確実に得ることが可能になる。本願発明において、レデューサとは一般に市販されているレデューサはもちろん、異なる径の管を接続することができる種々の構造のものを含む広い概念であり、その具体的な形状、構造に特別の制約はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0039】
図1は、本願発明の一実施例(実施例1)にかかる内部熱交換型蒸留塔の構成を示す図である。
【0040】
この実施例1の内部熱交換型蒸留塔は、図1に示すように、複数の管25を両端管板3a,3bによって本体胴1と連結することにより形成され、本体胴1の内部において各管25の管内(チューブ側)4と管外(シェル側)5が隔離され、かつ、管内4および管外5のそれぞれが気液の出入口を備えている。
【0041】
そして、この実施例1の内部熱交換型蒸留塔では、管内4側と管外5側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管25の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることができるように構成されており、管内4が高圧側の濃縮部として機能し、管外5が低圧側の回収部として機能するように構成されている。
なお、管25としては、径(内径)が6インチ〜10インチのものが用いられている。
【0042】
また、この実施例1の内部熱交換型蒸留塔においては、濃縮部である管内4が規則充填物が充填された充填塔となっており、回収部である管外5が無堰の多孔板20を塔の高さ方向に所定の間隔をおいて略水平に配設した棚段塔となっている。
【0043】
また、本体胴1の上側管板3aより上側の、管内(濃縮部)4と連通する端室14aには、管内(濃縮部)4に液(外部還流液)を供給するための塔頂液入り口(濃縮部液入口)6、管内(濃縮部)4からの蒸気を抜き出す塔頂蒸気出口(濃縮部蒸気出口)7が配設されており、本体胴1の上部には、管外(回収部)5に液を供給するための原料液入口8が配設され、また、管外(回収部)5からの蒸気を抜き出す回収部蒸気出口9が配設されている。
【0044】
一方、本体胴1の下側管板3bより下側の、管内(濃縮部)4と連通する端室14bには、管内(濃縮部)4に蒸気を供給するための濃縮部蒸気入口10、管内(濃縮部)4からの液を抜き出す濃縮部液出口11が配設されており、下側管板3bの上側には、管外(回収部)5に蒸気を供給するための回収部蒸気入口12が配設され、また、管外(回収部)5からの液を抜き出す回収部液出口13が配設されている。
【0045】
そして、この実施例1の内部熱交換型蒸留塔においては、本体胴1の下部の所定の段(この実施例1では、最も下側の棚板(多孔板)20(20a)の上側、その上の棚板(多孔板)20(20b)の上側、およびさらにその上の棚板(多孔板)20(20c)の上側の合計3ヶ所)に、回収部である管外5の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口31a,31b,31cが配設されており、回収部である管外5の所定の位置からサイドカットを行うことができるように構成されている。なお、運転開始後は、液抜き出し口31a,31b,31cのうちの1ヶ所のみが使用され、他の2ヶ所はバルブカットされるように構成されている。
【0046】
上述のように、この実施例1の内部熱交換型蒸留塔においては、回収部である管外5を棚段式の気液接触構造とし、所定の位置に液抜き出し口31a,31b,31cを設けるようにしているので、回収部の所定の位置からサイドカットを行うことができる。
その結果、回収部の塔頂から塔底に至る間の特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系において、微量成分が蓄積する位置から液をサイドカットすることが可能になり、蒸留性能に優れた内部熱交換型蒸留塔を提供することが可能になる。
【0047】
また、この実施例1の内部熱交換型蒸留塔においては、管外5を棚段式にしていることから、管外(回収部)5に液(濃縮部塔底から流下した液と原料の混合液)を供給するための原料液入口8は、最上段の棚板に液を供給することができさえすればよく、充填塔式とした場合に必要になるような液の分散を特に考慮する必要がないため、構成を簡略化することができる。
【0048】
なお、この実施例1では、充填塔とした管内4を濃縮部としているが、これは、仮に、管内4を回収部とした場合、管25の壁面が管外5の濃縮部との伝熱面となり、その場合に十分な熱交換を行わせるためには、管内4を流れる液が、管壁を十分に濡らすように流下することが必要になるが、管内4が充填塔の場合、そのようにすることが困難であり、管内4を濃縮部として機能させる方が有利であることによる。
【0049】
また、上記実施例1では無堰の多孔板を用いて棚段塔を構成したが、有堰の多孔板を用いることも可能である。また、棚段塔は多孔板式のものに限らず、バブルキャップトレイなど種々の構成のものを用いることが可能である。
【実施例2】
【0050】
図2は、本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる内部熱交換型蒸留塔を示す図、図3(a),(b)、図4は要部構成を拡大して示す図である。
【0051】
この実施例2の内部熱交換型蒸留塔は、図2に示すように、複数の管75を両端管板53a,53bによって本体胴51と連結することにより形成され、本体胴51の内部において各管75の管内(チューブ側)54と管外(シェル側)55が隔離され、かつ、管内54および管外55のそれぞれが気液の出入口を備えている。
【0052】
そして、この実施例2の内部熱交換型蒸留塔では、管内54側と管外55側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管75の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることができるように構成されており、管内54が低圧側の回収部として機能し、管外55が高圧側の濃縮部として機能するように構成されている。
【0053】
また、この実施例2の内部熱交換型蒸留塔においては、回収部となる管内54の気液接触構造として、濡れ壁塔式の気液接触構造が採用されている。また、管内54の周方向への液の分散と、液の滞留時間の増大を図るため、流動制御部材として、線状部材(具体的には針金)76が、管75の内周面に沿うように螺旋状に配設されている(図3(a),(b)参照)。なお、線状部材76としては、通常、直径が3〜10mmの線状部材が用いられている。
【0054】
また、この実施例2の内部熱交換型蒸留塔においては、塔頂から塔底にかけての蒸気量負荷を均一化するために、レデューサ77を用いて、径の異なる複数の単管75aを接続することにより、管75の径が塔頂から塔底に向かって段階的に小さくなるように構成されている(図4参照)。
なお、管75の径は、塔頂では6〜10インチの範囲とし、塔底では2〜4インチの範囲とされている。これは、管75の径が2インチ未満になると、管内54を例えば500〜700kg/cm2の高圧水を吹き付けるジェット洗浄により洗浄する場合に用いられるノズルの挿入ができなくなり、また、管75の径が10インチを超えると、断面積に対する気液接触面積が小さくなるため気液接触効率が低下することによる。
【0055】
また、この実施例2の内部熱交換型蒸留塔においては、濃縮部となる管外55の気液接触構造として、棚段塔式の気液接触構造が採用されており、無堰の多孔板70が塔の高さ方向に所定の間隔をおいて複数配設された構造を有している。
【0056】
また、本体胴51の上側管板53aより上側の、管内(回収部)54と連通する端室64aには、管内(回収部)54に液(原料液)を供給するための塔頂液入り口(回収部液入口)56、管内(回収部)54からの蒸気を抜き出す塔頂蒸気出口(回収部蒸気出口)57が配設されており、本体胴51の上部には、管外(濃縮部)55に液(外部還流液)を供給するための原料液入口58が配設され、また、管外(濃縮部)55からの蒸気を抜き出す濃縮部蒸気出口59が配設されている。
【0057】
一方、本体胴51の下側管板53bより下側の、管内(回収部)54と連通する端室64bには、管内(回収部)54に蒸気を供給するための回収部蒸気入口60、管内(回収部)54からの液を抜き出す回収部液出口61が配設されており、下側管板53bの上側には、管外(濃縮部)55に蒸気を供給するための濃縮部蒸気入口62が配設され、また、管外(濃縮部)55からの液を抜き出す濃縮部液出口63が配設されている。
【0058】
また、この実施例2の内部熱交換型蒸留塔においては、本体胴51の下部の所定の段(この実施例2では、最も下側の棚板(多孔板)70(70a)の上側、その上の棚板(多孔板)70(70b)の上側、およびさらにその上の棚板(多孔板)70(70c)の上側の合計3ヶ所)に、濃縮部である管外55の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口81a,81b,81cが配設されており、濃縮部である管外55の所定の位置からサイドカットを行うことができるように構成されている。なお、運転開始後は、液抜き出し口81a,81b,81cのうちの1ヶ所のみが使用され、他の2ヶ所はバルブカットされるように構成されている。
【0059】
上述のように構成されたこの実施例2の内部熱交換型蒸留塔においては、管外55を高圧側の濃縮部とし、その気液接触構造を棚段式とするとともに、管内54を低圧側の回収部とし、その気液接触構造を濡れ壁式とし、かつ、管75の内壁に、液の垂直方向の流下を妨げて、管内54の周方向への液の分散と、滞留時間の増大を図るための流動制御部材(線状部材(具体的には針金)76)を配設するようにしているので、管内54における液の、伝熱面である内周面への分散と滞留時間の増大を図ることが可能になり、熱交換効率を向上させることができる。
【0060】
したがって、管外55を棚段式の濃縮部とし、管内54を濡れ壁式の回収部とした構造の内部熱交換型蒸留塔において、十分な蒸留性能を発揮させることが可能になり、内部熱交換型蒸留塔の構成の自由度を向上させることができる。
【0061】
また、管外55を棚段式の濃縮部とし、管内54を濡れ壁式の回収部とした場合、管75の内周面および外周面(すなわち伝熱面)に付着したスケールを物理的手段により容易かつ確実に取り除くことが可能になり、メンテナンス性に優れた内部熱交換型蒸留塔を提供することができる。
【0062】
また、管外55を棚段式にしていることから、管外(濃縮部)55に液(濃縮部塔底から流下した液と原料の混合液)を供給するための原料液入口58は、最上段の棚板に液を供給することができさえすればよく、充填塔式とした場合に必要になるような液の分散を特に考慮する必要がないため、構成を簡略化することができる。
【0063】
また、管内54が濡れ壁塔で、管75の内壁に、液の垂直方向の流下を妨げて、管内54の周方向への液の分散と、滞留時間の増大を図るための流動制御部材(線状部材(具体的には針金)76)を配設するようにしているので、管内(回収部)54に液(原料液)を供給するための塔頂液入り口(回収部液入口)56は、管75の本数に対応する箇所だけで足る。具体的には、管75の上端部にノッチを入れて、そこからオーバーフローさせる構成などが例示される。
【0064】
なお、この実施例では、回収部である管内54の伝熱面(管75の内周面)には、液蒸発による残渣の形で強固なスケールが形成されやすいが、管内54を濡れ壁式とした場合には、例えば500〜700kg/cm2の高圧水を吹き付けるジェット洗浄により、このスケールを容易かつ確実に除去することができる。
【0065】
また、この実施例2の内部熱交換型蒸留塔は、濃縮部である管外55の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口81a,81b,81cを備えており、濃縮部である管外55の所定の位置からサイドカットを行うことができるように構成されているので、濃縮部の塔頂から塔底に至る間の特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系において、微量成分が蓄積する位置から液をサイドカットすることが可能になり、蒸留性能に優れた内部熱交換型蒸留塔を提供することが可能になる。
【0066】
なお、濃縮部の塔頂から塔底に至る間の特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系において、微量成分が蓄積する位置から液をサイドカットする場合には、この実施例2の構成を採用し、また、回収部の塔頂から塔底に至る間の特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系において、微量成分が蓄積する位置から液をサイドカットする場合には、上記実施例1のような構成を採用することにより、濃縮部および回収部のいずれかの特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系において、任意の位置でサイドカットを行うことが可能になり、蒸留性能に優れた内部熱交換型蒸留塔を実現することができる。
【0067】
なお、上記実施例2では、管75の内壁に線状部材(具体的には針金)76を螺旋状に配設しているが、場合によっては、図5(a),(b)に示すように、管75の軸方向に所定の間隔をおいて、線状部材76を水平に、線状部材76の途中に隙間(切れ目)76aがあるような態様で配設することも可能である。なお、この場合には、液のショートパスを防止するため、管75の軸方向に平行に、すなわち高さ方向に複数配設された線状部材76のそれぞれにおいて、隙間(切れ目)76aの位置が垂直方向に重ならないように配設することが望ましい。
なお、線状部材76の形状や配設態様に特別の制約はなく、液の垂直方向への流動を妨げて、管75の内周面の周方向への液の分散と、滞留時間の増大を図ることが可能な範囲において、種々の形状や配設態様とすることができる。
【0068】
また、上記実施例では線状部材を配設するようにしているが、線状部材を配設する代わりに、図6(a),(b)に示すように、管75の内周面に掘り溝86を形成することにより、管75の内周面の周方向への液の分散と、滞留時間の増大を図ることも可能である。
【0069】
なお、掘り溝86は、例えば、管75の内周面に螺旋状に配設することが望ましいが、図7(a),(b)に示すように、水平の掘り溝86を、所定の間隔をおいて管75の内周面に複数形成するようにしてもよい。
【0070】
また、特に図示しないが、断続する掘り溝を形成することも可能である。
なお、この掘り溝86に関しても、その形状や配設態様に特別の制約はなく、液の垂直方向への流動を妨げて、管75の内周面の周方向への液の分散と、滞留時間の増大を図ることが可能な範囲において、種々の形状や配設態様とすることができる。
【0071】
また、上記実施例2では無堰の多孔板を用いて棚段塔を構成したが、有堰の多孔板を用いることも可能である。また、棚段塔は多孔板式のものに限らず、バブルキャップトレイなど種々の構成のものを用いることが可能である。
【0072】
また、上記実施例2では、塔頂から塔底にかけての蒸気量負荷を実用上問題とならない程度にまで均一化するために、レデューサ77を用いて、径の異なる複数の単管75aを接続することにより、管75の径が塔頂から塔底に向かって段階的に小さくなるように構成したが、管75の径を塔頂から塔底にかけて小さくするための構成に特別の制約はない。また、管75として、径が塔頂から塔底にかけて連続的に小さくなるような管を用いることも可能である。
【0073】
本願発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、管内および管外の気液接触構造の具体的な構成、内部熱交換型蒸留塔を構成する各部の具体的な形状や構造などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本願発明によれば、濃縮部または回収部の塔頂から塔底に至る間の所定の位置で、サイドカットを行うことが可能な内部熱交換型蒸留塔を実現することが可能になる。
また、本願発明によれば、製造コストの低減、省エネルギー率の向上、メンテナンスコストの低減を図ることが可能で、用途の広い内部熱交換型蒸留塔を提供することが可能になる。
したがって、本願発明は、特に、濃縮部、回収部のいずれかの特定の位置に微量成分が蓄積するような蒸留系に用いられる蒸留装置などの用途に、好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本願発明の一実施例(実施例1)にかかる内部熱交換型蒸留塔の構成を示す図である。
【図2】本願発明の他の実施例(実施例2)にかかる内部熱交換型蒸留塔の構成を示す図である。
【図3】本願発明の実施例2にかかる内部熱交換型蒸留塔の要部構成(管内の構造)を拡大して示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図4】本願発明の実施例2にかかる内部熱交換型蒸留塔の要部構成(管の構造)を拡大して示す図である。
【図5】本願発明の実施例2にかかる内部熱交換型蒸留塔の他の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図6】本願発明の実施例2にかかる内部熱交換型蒸留塔のさらに他の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図7】本願発明の実施例2にかかる内部熱交換型蒸留塔のさらに他の変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図8】従来の内部熱交換型蒸留塔の構成を示す図である。
【図9】従来の内部熱交換型蒸留塔の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 本体胴
3a 上側管板
3b 下側管板
4 管内(濃縮部、チューブ側)
5 管外(回収部、シェル側)
6 塔頂液入り口(濃縮部液入口)
7 塔頂蒸気出口(濃縮部蒸気出口)
8 原料液入口
9 回収部蒸気出口
10 濃縮部蒸気入口
11 濃縮部液出口
12 回収部蒸気入口
13 回収部液出口
14a、14b 端室
20(20a、20b、20c) 棚板(多孔板)
25 管
31a,31b,31c 液抜き出し口
51 本体胴
53a 上側管板
53b 下側管板
54 管内(回収部、チューブ側)
55 管外(濃縮部、シェル側)
56 塔頂液入り口(回収部液入口)
57 塔頂蒸気出口(回収部蒸気出口)
58 原料液入口
59 濃縮部蒸気出口
60 回収部蒸気入口
61 回収部液出口
62 濃縮部蒸気入口
63 濃縮部液出口
64a、64b 端室
70(70a、70b、70c) 棚板(多孔板)
75 管
75a 単管
76 線状部材
76a 隙間(切れ目)
77 レデューサ
81a,81b,81c 液抜き出し口
86 掘り溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管を両端管板によって本体胴と連結することにより形成され、本体胴の内部において各管の管内と管外が隔離され、かつ、管内および管外のそれぞれが気液の出入口を備えた構造を有しているとともに、
管内側と管外側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高圧側が濃縮部、低圧側が回収部として機能するように構成された多管式熱交換器縦型の内部熱交換型蒸留塔であって、
(a)管内が高圧側の濃縮部であり、
(b)管外が低圧側の回収部であって、棚段式の気液接触構造を有し、
(c)前記回収部の、塔頂から塔底に至る所定の段に、回収部の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口が配設されていること
を特徴とする内部熱交換型蒸留塔。
【請求項2】
複数の管を両端管板によって本体胴と連結することにより形成され、本体胴の内部において各管の管内と管外が隔離され、かつ、管内および管外のそれぞれが気液の出入口を備えた構造を有しているとともに、
管内側と管外側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高圧側が濃縮部、低圧側が回収部として機能するように構成された多管式熱交換器縦型の内部熱交換型蒸留塔であって、
(a)管外が高圧側の濃縮部であって、棚段式の気液接触構造を有し、
(b)管内が低圧側の回収部であって、濡れ壁式の気液接触構造を有し、かつ、
(c)前記管の内周面に、液の垂直方向の流下を妨げて、前記管の内周面の周方向への液の分散と、前記管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための流動制御部材が配設され、あるいは、前記管の内周面の周方向への液の分散と、前記管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための流動制御加工が施されていること
を特徴とする内部熱交換型蒸留塔。
【請求項3】
前記濃縮部の、塔頂から塔底に至る所定の段に、濃縮部の途中から液を塔外に抜き出すサイドカット用の液抜き出し口が配設されていることを特徴とする請求項2記載の内部熱交換型蒸留塔。
【請求項4】
前記管の内周面の周方向への液の分散と、前記管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための前記流動制御部材が線状部材であって、前記管の内周面に沿うように配設されていることを特徴とする請求項2または3記載の内部熱交換型蒸留塔。
【請求項5】
前記線状部材が前記管の内周面に螺旋状に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の内部熱交換型蒸留塔。
【請求項6】
前記管の内周面の周方向への液の分散と、前記管の内周面における液の滞留時間の増大を図るための前記流動制御加工が、前記管の内周面への掘り溝形成加工であることを特徴とする請求項2または3記載の内部熱交換型蒸留塔。
【請求項7】
前記掘り溝形成加工により形成された掘り溝が前記管の内周面に螺旋状に配設されていることを特徴とする請求項6記載の内部熱交換型蒸留塔。
【請求項8】
前記管の径が、塔頂から塔底に向かって、連続的あるいは段階的に小さくされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内部熱交換型蒸留塔。
【請求項9】
レデューサを用いて、径の異なる複数の単管を接続することにより、前記管の径が塔頂から塔底に向かって段階的に小さくされていることを特徴とする請求項8記載の内部熱交換型蒸留塔。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−268478(P2007−268478A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99931(P2006−99931)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成17年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構業務委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(390036663)木村化工機株式会社 (27)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】